(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081811
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】造形装置、造形システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/37 20210101AFI20230606BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20230606BHJP
B29C 64/218 20170101ALI20230606BHJP
B29C 64/194 20170101ALI20230606BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20230606BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20230606BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230606BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230606BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230606BHJP
B22F 10/14 20210101ALI20230606BHJP
B22F 12/63 20210101ALI20230606BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20230606BHJP
B22F 12/50 20210101ALI20230606BHJP
B22F 12/10 20210101ALI20230606BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B22F10/37
B29C64/165
B29C64/218
B29C64/194
B29C64/321
B29C64/386
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F10/14
B22F12/63
B22F12/90
B22F12/50
B22F12/10
B28B1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041375
(22)【出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2021195329
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】萬 恭明
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AP12
4F213AQ01
4F213AR13
4F213AR20
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
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4F213WL74
4F213WL85
4F213WL92
4G052DA02
4G052DB12
4G052DC06
4K018AA06
4K018AA09
4K018AA10
4K018AA15
4K018AA30
4K018AA33
4K018BA16
4K018BA17
4K018BA20
4K018DA03
4K018KA63
(57)【要約】
【課題】 立体造形物の品質を向上させることができる装置、システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】 造形装置10は、立体造形物を造形する装置であって、粉体を含む層を形成する形成手段と、層に造形液を塗布する塗布手段と、層の表面情報を取得する取得手段と、表面情報に基づき、少なくとも形成手段または塗布手段の動作を制御する制御手段とを含む。取得手段は、形成手段が層を形成した後に表面情報を取得し、制御手段は、取得された表面情報に応じて、形成手段の次の層に対する動作を変更する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体造形物を造形する造形装置であって、
粉体を含む層を形成する形成手段と、
前記層に造形液を塗布する塗布手段と、
前記層の表面情報を取得する取得手段と、
前記表面情報に基づき、少なくとも前記形成手段または前記塗布手段の動作を制御する制御手段と
を含む、造形装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記形成手段が前記層を形成した後に前記表面情報を取得し、
前記制御手段は、取得された前記表面情報に応じて、前記形成手段の次の層に対する動作を変更する、請求項1に記載の造形装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記形成手段の動作の変更として、前記形成手段が供給する粉体の量を変更する、請求項2に記載の造形装置。
【請求項4】
前記形成手段は、ローラーを含み、
前記制御手段は、前記形成手段の動作の変更として、少なくとも前記ローラーの回転速度または走査速度を変更する、請求項2または3に記載の造形装置。
【請求項5】
前記形成手段は、粉体を供給する容器と、前記容器に振動を付与する振動付与手段とを含み、
前記制御手段は、前記形成手段の動作の変更として、少なくとも前記振動の振動周波数または振動時間を変更する、請求項2または3に記載の造形装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記塗布手段が前記造形液を塗布した後に前記表面情報を取得し、
前記制御手段は、取得された前記表面情報に応じて、前記塗布手段の動作を変更する、請求項1~5のいずれか1項に記載の造形装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記塗布手段の動作の変更として、少なくとも前記造形液の量を変更または該造形液を塗布する領域を修正する、請求項6に記載の造形装置。
【請求項8】
前記制御手段は、取得された前記表面情報から得られる粉体の充填密度に基づき、少なくとも前記形成手段または前記塗布手段の動作を制御する、請求項1~7のいずれか1項に記載の造形装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記表面情報として、少なくとも表面の粉粒子の陰影から前記充填密度を推定する、請求項8に記載の造形装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記表面情報として、少なくとも表面の高低差または前記造形液の浸透範囲に基づき、前記塗布手段を制御する、請求項6または7に記載の造形装置。
【請求項11】
前記造形液が塗布された後の層を加熱する加熱手段を含み、
前記制御手段は、取得された前記表面情報に応じて、少なくとも前記加熱手段による加熱時間または加熱温度を変更する、請求項1~10のいずれか1項に記載の造形装置。
【請求項12】
前記制御手段は、取得された前記表面情報に基づき、待機が必要と判断した場合、該表面情報に応じて、待機時間を変更する、請求項1~11のいずれか1項に記載の造形装置。
【請求項13】
前記立体造形物の造形データと前記表面情報と前記造形装置の動作を含むデータを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記データに基づいて特徴量を抽出し、前記特徴量に基づいて学習する学習手段と、
前記学習手段の学習に基づいて、表面情報および造形装置の動作を推定する推定手段と
を含み、
前記制御手段は、前記推定手段で推定された結果に基づいて、少なくとも前記形成手段または前記塗布手段の動作を制御することを特徴とする、請求項1に記載の造形装置。
【請求項14】
立体造形物を造形する造形システムであって、
粉体を含む層を形成する形成手段と、
前記層に造形液を塗布する塗布手段と、
前記層の表面情報を取得する取得手段と、
前記表面情報に基づき、少なくとも前記形成手段または前記塗布手段の動作を制御する制御手段と
を含む、造形システム。
【請求項15】
立体造形物の造形を制御する方法であって、
粉体を含む層を形成するステップと、
前記層に造形液を塗布するステップと、
前記層の表面情報を取得するステップと、
前記表面情報に基づき、少なくとも前記形成するステップまたは前記塗布するステップにおける動作を制御するステップと
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体造形物を造形する造形装置、造形システムおよび立体造形物の造形を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体造形物を造形する方法として、選択的にレーザーを照射するSLS(Selective Laser Sintering)方式、電子線を照射するEBM(Electron Beam Melting)方式、造形液を塗布するBJ(Binder Jetting)方式等が知られている。
【0003】
例えば、BJ方式で造形を行う造形装置として、粉末層の形成と、三次元モデルの形状データに基づく液体の付与を一連の動作として繰り返し行う際、粉末層の液体が付与された領域の乾燥状態に応じて、次に行われる一連の動作を制御する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の造形装置は、液体の乾燥状況のみで次の一連の動作を制御するため、立体造形物の形状や強度にばらつきが生じ、立体造形物の品質が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、立体造形物の品質を向上させることができる装置、システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、立体造形物を造形する造形装置であって、
粉体を含む層を形成する形成手段と、
層に造形液を塗布する塗布手段と、
層の表面情報を取得する取得手段と、
表面情報に基づき、少なくとも形成手段または塗布手段の動作を制御する制御手段と
を含む、造形装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、立体造形物の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】ムラやひび割れ、凝集物を有する撮影画像の一例を示した図。
【
図7】粉体層を形成する動作として走査速度を変えた場合の表面情報の一例を示した図。
【
図8】粉体層を形成する機構を変更した場合の動作例を示した図。
【
図9】造形液を塗布する動作を制御し、焼結の品質に影響を与える原因について説明する図。
【
図11】造形液の浸透範囲を検知する方法について説明する図。
【
図12】粉面の高低差を検知する方法について説明する図。
【
図14】反りによる影を撮影した画像の一例を示した図。
【
図15】粉面の高低差から密度を推定する方法について説明する図。
【
図16】粉面センサによる粉面の異常を検出しやすくするための実施例を示した図。
【
図18】粉体層形成後の表面情報と造形液塗布後の表面情報を比較した図。
【
図19】造形装置の動作を制御する流れを示したフローチャート。
【
図20】造形前の校正の流れを示したフローチャート。
【
図22】リコート最適化の流れを示したフローチャート。
【
図23】造形液濃度の校正の流れを示したフローチャート。
【
図24】リコート調整の流れを示したフローチャート。
【
図25】粉体層解析の流れを示したフローチャート。
【
図26】造形液濃度の調整の流れを示したフローチャート。
【
図27】造形層解析の流れを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、立体造形物を造形する造形システムの構成例を示した図である。ここで、立体造形物は、造形システムにより造形された三次元形状の造形物(完成品)であり、単に造形物というときは、造形システムにより造形途中の複数の造形層の集合体を意味する。粉体が敷き詰められただけの1つの層が粉体層であり、粉体層に造形液が塗布され、粉体が造形液により結合されて所望の形状が形成された層が造形層である。単に層というときは、粉体層もしくは造形層またはその両方のいずれかを指す。
【0011】
造形システムは、立体造形物を造形する造形装置10を含む。造形システムは、造形装置10のみから構成されていてもよいが、造形装置10と通信を行い、造形装置10に対して造形したい立体造形物の形状データを送信する情報処理装置11とを含むことができる。造形システムが造形装置10のみから構成される場合、造形装置10内に、情報処理装置11の機能を組み込むことができる。
【0012】
情報処理装置11は、PC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォン等とされ、立体造形物の形状データを作成するためのアプリケーションを実装し、アプリケーションを使用して作成した形状データを造形装置10へ送信する。なお、情報処理装置11は、上記アプリケーションを実装せず、他の機器で作成された形状データを記憶し、ユーザからの指示を受けて、記憶した形状データを読み出し、造形装置10へ送信してもよい。造形装置10と情報処理装置11は、ケーブル等で接続されていてもよいし、無線接続されていてもよい。また、造形装置10と情報処理装置11は、ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0013】
形状データは、造形される立体造形物を積層ピッチ単位で分割した、各層を造形するためのデータとして作成される。
【0014】
造形装置10は、例えばBJ方式の造形装置である。造形装置10は、
図2に示すように粉体20を、積層ピッチに相当する所定の厚さに敷き詰めて粉体層を形成する。そして、造形装置10は、情報処理装置11から受信した形状データに基づき、造形液21を、塗布手段としてのインクジェット・プリントヘッド22から吐出させることにより塗布し、粉体20同士を接着して固形化し、造形層を形成する。造形装置10は、粉体層の形成と、造形液の塗布とを繰り返し、層状に造形液で粒子同士が接着された造形物としてのグリーン体を形成する。造形装置10は、グリーン体を脱脂して余分な造形液の成分を除去し、さらに焼結して粒子同士を結合させることにより所望の立体形状の造形物を得る。
【0015】
粉体としては、粉末状の金属、セラミックス、石膏等を使用することができる。金属としては、マルエージング鋼、ステンレス、インコネル、コバルトクロム、アルミニウム合金、チタン合金等を使用することができる。造形液は、粉体の粒子同士を接着する接着剤を含む。接着剤としては、例えばフェノール系樹脂、フラン樹脂、セメント、水ガラス等を用いることができる。
【0016】
図3を参照して、造形装置10について説明する。造形装置10は、粉体層を形成する形成手段としてのパウダーヘッド23、レベリングローラー24、パウダー・フィード・ピストン25、ビルド・ピストン26と、塗布手段としてのインクジェット・プリントヘッド22と、取得手段としての粉面センサ28と、制御手段として制御回路29とを備える。
【0017】
形成手段は、粉体を含む層を形成する。また、塗布手段は、層に造形液を塗布する。一例として、形成手段、塗布手段の順に動作する造形装置10を説明する。また、造形装置10に含まれる一部の手段は、造形装置10以外の装置に含まれ、造形システムとして構成されてもよい。
【0018】
パウダーヘッド23は、上部が開放された粉体が充填される槽を含み、レベリングローラー24が回転しながら所定の方向へ移動(走査)することにより1層分の粉体を造形領域となる隣の造形槽27へ運び、表面を平坦に均しながら粉体層を形成する。パウダー・フィード・ピストン25は、パウダーヘッド23の底部にある底板を上下に移動させる第1の昇降手段として機能する。ビルド・ピストン26は、造形槽27の底部にある底板を上下に移動させる第2の昇降手段として機能する。粉体層は、パウダーヘッド23に粉体を充填した状態で、パウダー・フィード・ピストン25を積層ピッチ分だけ1段上昇させ、ビルド・ピストン26を積層ピッチ分だけ1段下降させ、レベリングローラー24を回転させながら、
図3の左側から右側へ走査することにより形成される。平坦化手段の一例としてレベリングローラー24を説明したが、レベリングローラー24以外の種々のローラー、プレート等を適用してもよい。
【0019】
インクジェット・プリントヘッド22は、1層分の粉体層が形成された後、粉体層の表面(粉面)上を走査され、粉面上の所望の領域にのみ造形液を吐出する。インクジェット・プリントヘッド22は、造形液を充填するインクタンクとチューブにより接続され、造形装置10が設置されるテーブルの表面に対し、水平方向の例えばx方向に延びる2本の軸に架設される。2本の軸は、y方向へ移動させることができる。このため、インクジェット・プリントヘッド22は、2本の軸に沿ってx方向へスライドさせることでx方向へ走査し、2本の軸をy方向へ移動させることによりy方向へ走査することができる。造形液の吐出箇所は、情報処理装置11から受信した形状データに基づき決定される。このようにして、粉面上に選択的に造形液を塗布し、所望の領域のみ固形化することにより造形層を形成する。なお、造形装置10は、造形液を塗布しただけでは仮固定した状態である。
【0020】
造形装置10は、造形液が塗布された所望の領域に熱を与えて乾燥させたり、接着を促進させたりするべく、加熱手段としての赤外線ランプやヒーター等を備える。造形装置10は、粉体層の形成と造形液の塗布を繰り返すことで、複数の造形層が積層された造形物として所望の立体形状を有する立体造形物を造形することができる。
【0021】
BJ方式の造形装置では、粉体の組成の違いによる特性ばらつきや、形成手段や塗布手段のばらつきでグリーン体の密度にムラができ、部分的に焼結できなかったり、強度不足になったり、表面に析出物ができたりする問題があった。この問題を解決するためには、均一で密なグリーン体を造形する必要がある。そこで、発明者は鋭意検討した結果、取得手段で取得した表面情報に基づき、少なくとも形成手段または塗布手段の動作を制御することで、均一で密なグリーン体を造形することが可能であることを見出した。これにより、粉体の特性の違いや、形成手段や塗布手段のばらつきの影響を受けないようになるので、立体造形物の品質を向上させることができる。
【0022】
したがって、造形装置10は、層の表面情報を取得する取得手段としての粉面センサ28を備える。粉面センサ28は、例えば粉面を撮影するカメラであり、粉面に対向した位置に離間して設置され、粉面を撮影して表面情報を取得する。層の表面情報は、粉体層の表面情報、造形層の表面情報、その両方の表面情報のいずれであってもよい。粉面センサ28は、造形槽27に敷き詰められた粉体の粉面全体ではなく、造形槽27の底部に設置された造形テーブル上に造形物が造形されることから、造形テーブル上の造形領域の粉面を撮影することができればよい。
【0023】
粉面センサ28の別の実施例として、粉面を撮影するカメラをインクジェット・プリントヘッド22に接するように備え、インクジェット・プリントヘッドと一体で走査できる構成でもよい。粉面に近隣して撮影できるため、粉面の細部まで拡大して撮影でき、インクジェット・プリントヘッド22と一体で走査することで、粉面の様々な場所を選択して撮影することができるといった利点がある。一方で、粉面全体を撮影することは難しいという欠点もある。
【0024】
また、取得手段として、粉面センサ28の別の実施例として、レーザーを照射して輝線位置からデプス情報を取得するセンサ(光切断方式の3Dスキャナ)、赤外線を照射して反射光の変化を取得するセンサ等を適用してもよい。
【0025】
塗布手段が造形液を塗布した後として、粉体を含む層に造形液が塗布された表面情報を取得してもよいし、塗布手段が造形液を塗布する前として、粉体を含む表面情報を取得してもよいし、これらを組み合わせてもよい。塗布する前の表面状態を取得することにより、リコートによる粉の充填状態を取得することができる。これによって、リコートのパラメータとして、粉の供給量やリコーターの走査速度、回転数等の調整が可能となる。造形液が塗布された表面状態を取得する手段は、造形層の表面情報を取得する粉面センサ28と同一のものをしようすることができるし、別の手段を使用してもよい。
【0026】
造形装置10は、粉面センサ28により取得された表面情報に基づき、レベリングローラー24、パウダー・フィード・ピストン25、ビルド・ピストン26、インクジェット・プリントヘッド22の動作を制御する制御手段としての制御回路29を備える。ここでは、造形装置10が制御回路29を備えているが、情報処理装置11が制御手段としての機能を備えていてもよい。
【0027】
制御手段は、取得手段で取得された表面情報として画像を解析し、形成手段、塗布手段、または加熱手段のうち少なくとも1つ以上の制御をする。画像の解析としては、テクスチャ解析により特徴量の抽出等を行う。特徴量から粉の充填密度やインクの過不足を判断する。もしくは、輝度の差の解析により面積等を判断して、粉のばらつきやインクの陰影の大きさ等を判断する。制御手段は、これらの画像の解析結果に応じて、形成手段の速度変更、塗布手段の濃度変更、粉の供給量の変更、加熱手段の加熱時間の変更を行う。これらの手段の変更は、単独で行ってもよいし、複数組み合わせて行ってもよい。
【0028】
表面情報に基づく制御は、次の層に対し行ってもよいし、表面情報に応じて、全ての層に対して行わなくてもよい。つまり、表面情報に応じて、制御の必要性を判断し、次の層に対して制御を行わなくてもよい。また、n層の表面情報をn+1層の制御に用いてもよいし、n層より前の1層目からn-1層目の表面情報を蓄積しておいて、n+1層の制御へ反映させてもよい。このn層より前の1層目からn-1層目の表面情報を全てn+1層の動作の制御へ反映させてもよい。もしくは、1層目からn-1層目の表面情報の中から、n層目と近似する表面情報を検出して、近似する表面情報から実施された制御と同じ制御をn+1層目に反映してもよい。近似する表面情報だけでなく、造形データを考慮して制御を決定してもよい。
【0029】
制御回路29は、レベリングローラー24等の動作を制御するためのプログラムを記憶する記憶装置、そのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、そのプログラムをCPUが実行するために展開されるRAM(Random Access Memory)、粉面センサ28からの表面情報の入力、レベリングローラー24等への制御情報の出力を制御する入出力I/F等を備える。
【0030】
制御回路29は、機械学習プログラムを実装してもよい。制御回路29は、造形データとその表面情報および最適な造形装置の制御との対応を学習することで、類似造形データに対して予め最適な造形制御を実行することができる。機械学習プログラムは、制御回路29を、
図4に示すように、データ蓄積手段30、学習手段31、推定手段32として機能させることができる。データ蓄積手段30は、造形データ、表面情報、造形装置の動作情報を受け付け、データとして蓄積する。学習手段31は、データ蓄積手段30に蓄積されているデータから特徴量を抽出し、それらの関係を学習する。推定手段32は、学習手段31が学習した結果に基づいて、任意の入力された造形データから表面状態、適した造形装置の動作を推定し、この推定に基づいて制御手段が造形装置の動作を制御する。
【0031】
次に、制御回路29による制御について説明する。制御回路29は、粉面センサ28により取得された表面情報に基づき、レベリングローラー24等の動作を制御する。そこで、どのような表面情報の場合に、どのような制御を行うかについて、以下に詳細に説明する。
【0032】
図5は、粉面センサ28により取得された表面情報の一例を示した図である。
図5は、粉面に異常があることを示した図で、異常として、積層中にできる粉面33のムラが示されている。ムラは、例えば層の厚さが厚い箇所や薄い箇所が混在することにより発生する。異常としては、ムラのほか、ひび割れ等が挙げられる。このような異常は、粉面センサ28としてのカメラにより粉面33を上部から撮影し、撮影した画像を解析することにより検出することができる。
【0033】
粉面33に異常がない場合、撮影した画像を構成する各画素の画素値は、ほぼ一定の値となる。しかしながら、粉面33に異常があると、色に濃淡が生じ、異常がある部分と異常がない部分とでは一定以上に異なった画素値となる。このため、画素値に一定の範囲を設け、各画素値が一定の範囲内か否かを判定することにより異常の有無、異常がある場合、どの部分に異常があるかを特定することができる。なお、この方法は一例であるため、その他の方法により異常の有無や異常の箇所を特定してもよい。
【0034】
パウダーヘッド23から粉体を吐出し、粉体層を形成した段階で粉面33を撮影し、粉面33にムラやひび割れのような異常があることを検出した場合、それ以上粉体層の形成を継続したとしても、ムラやひび割れがなくなるわけではない。ムラやひび割れが残っていると、造形された立体造形物の形状が変化したり、強度が低く壊れやすかったりする問題が生じる。そこで、制御回路29は、パウダーヘッド23等の粉体層を形成する形成手段の動作を停止するように制御することができる。このような制御により、粉体や造形液の無駄を防止することができる。
【0035】
また、
図6に示すように、ムラやひび割れ、凝集物34が小さい場合は、立体造形物の形状や強度に与える影響は小さい。しかしながら、小さな異常でも蓄積すれば造形物全体では強度が不足するといった不具合となる可能性がある。そのため、小さな異常であっても検出できたものは記録しておくことで、造形物の品質を保証するデータとして活用することができる。そこで、制御回路29は、ムラやひび割れの規模が一定以上の規模である場合に粉体層を形成する機構の動作を停止するように制御することができる。ムラやひび割れの規模は、ムラになっている部分の面積、ひび割れの幅、ひび割れの長さ等から判断することができる。このようなムラやひび割れは、毎層画像を撮影して検出処理を行うことで、異常の発生に迅速に対応することができる。
【0036】
図7は、粉体層を形成する動作として走査速度を変えた場合の表面情報の一例を示した図である。粉体層を形成する動作の1つに、レベリングローラー24の走査がある。レベリングローラー24の走査速度を変えると、粉体の充填密度が変わる。そこで、制御手段は、表面情報から得られる粉体の充填密度に基づき、少なくとも形成手段または塗布手段を制御してもよい。
図7(a)は、レベリングローラー24の走査速度が低速である場合の表面情報として粉面を撮影した画像を示し、
図7(b)は、レベリングローラー24の走査速度が高速である場合の表面情報として粉面を撮影した画像を示す。走査速度はリコート速度とも呼ばれる。
【0037】
図7(a)に示す走査速度が低速である場合、粉体の粒子が均一に並んでいる。一方、
図7(b)に示す走査速度が高速である場合、粉体の粒子が不規則に並んでいる。
【0038】
一般的に、粉体を高速で敷き詰めることができれば単位時間当たりの造形量を増やすことができ、生産性が向上するので望ましい。しかしながら、高速に粉体を移動させると、粉体の粒子が凝集して均一に分散・分布させることが難しくなることが知られている(例えば、“Effect of Recycling on the Spreadability of Metallic Powder”,2020年6月3日,AZO MATERIALS,<URL:https://www.azom.com/article.aspx?ArticleID=19313>を参照されたい)。
【0039】
レベリングローラー24の走査速度とは別に、レベリングローラー24の回転速度によっても粉体層の粉の状態は変化する。回転速度が速いと、粉を巻き上げる力が強くなり、粉を押し付ける力が弱くなるため、粉の充填密度は低くなる。一方、回転速度が遅いと、粉を巻き上げる力が弱くなり、粉を押し付ける力が強くなるため、粉の充填密度は高くなる。粉の充填密度は高い方が凝結後の造形物の密度が高くなり、強度も高くなるため、一般的には望ましいが、押し付け力が強すぎると、粉面にムラができやすく、密度が場所によって異なってしまう。一方、回転速度を速くして粉を巻き上げる力を強くする粉は均一に充填される。密度と均一さとを考慮し、適切な回転速度に設定することが望ましい。
【0040】
粉体を均一に積層できる速度は、粉体が、例えば新品材料か、リサイクル材料かによって変わり、粉体の組成や特性にも依存する。特性は、例えば粉体の粒子サイズや形状等である。
【0041】
制御手段は、形成手段が供給する粉体の量を変更してもよい。または、制御手段は、形成手段の動作の変更として、少なくともレベリングローラーの回転速度または走査速度の1つを変更してもよい。例えば、
図7に示すように、粉面の粒子の並びの均一性をカメラで撮影した画像から判断することで、粉体を均一に積層できているかを判別することができる。この判別により、不均一性が見られた場合、制御手段は、少なくともレベリングローラー24の回転速度または走査速度の1つを調整する。または、制御手段は、粉体の供給量を調整する。これによって、均一に積層することが可能となる。使用している粉体材料の特性の変動により、レベリングローラー24の回転速度や走査速度が設定した値では高速もしくは低速すぎるために粉面が不均一になっている場合、制御回路29は、レベリングローラー24の回転速度や走査速度を変更することができる。粉体の供給量が少なくて不均一になっている場合、制御回路29は、パウダー・フィード・ピストン25によりパウダーヘッド23の底板を上昇させる等して粉体の供給量を増やすことができる。このような表面情報を取得し、レベリングローラー24の走査速度やローラーの回転速度の調整は、造形前や造形中の数十層に一回程度の頻度で実施する。
【0042】
粉体の供給量、レベリングローラー24の回転速度や走査速度は、その全部を変更してもよいし、その一部のみを変更してもよい。
【0043】
図2では、粉体層を形成する形成手段として、パウダー・フィード・ピストン25、ビルド・ピストン26を用い、段差を付け、レベリングローラー24により段差分の粉体を造形槽27へ運びながら、平坦に均して粉体層を形成している。形成手段は、このような方式に限定されるものではなく、粉体を供給する供給手段と、供給手段に振動を付与する振動付与手段を含んでもよい。
図8は、供給手段としてホッパー供給器40を示す。ホッパー供給器40から造形槽27へ粉体を落下させ、ローラー41により表面を均し、粉体層を形成してもよい。粉体は、ホッパー供給器40に設けられた振動付与手段により振動を付与することにより所定の量を下方へ落下させることができる。
図8に示す方式は、ホッパー方式と呼ばれる。
【0044】
図8を参照して、粉体層を形成する機構をホッパー方式に代えた場合の造形物の造形動作について説明する。ホッパー方式では、造形装置10の形成手段は、供給手段としてのホッパー供給器40と平坦化手段としてのローラー41を含む。造形装置10の塗布手段は、プリントヘッド42とされ、そのほか、加熱手段としての赤外線ランプ43が含まれる。ローラー41は、例えばホッパー供給器40の下端であって、ホッパー供給器40の下部に設けられる開閉可能な穴40aの走査方向の後方位置に設けられ、穴40aから落下した粉体を均す。赤外線ランプ43は、例えば穴40aの走査方向の前方位置に設けられる。ホッパー供給器40およびプリントヘッド42は、x方向へ延びる軸にスライド可能に取り付けられ、軸は、y方向へ移動可能とされている。このため、ホッパー供給器40およびプリントヘッド42をスライドさせることによりx方向へ走査し、軸をy方向へ移動させることによりy方向へ走査することができる。ここでは、軸がx方向に延びているが、これに限られるものではなく、軸がy方向に延び、x方向へ移動可能とされていてもよい。
【0045】
図8(a)に示すように、造形槽44の底部の底板がビルド・ピストン45により昇降可能とされ、1層分の粉体が収容される位置となるように底板の高さが調整される。これにより、造形槽44の頂部の高さまで粉体を敷き詰めることにより1層(1段)分の粉体層を形成することが可能となる。このとき、粉体の表面の高さ位置は、造形槽44の頂部より1段下となる。ホッパー供給器40は、下部の穴40aを開き、振動付与手段により振動が付与されることにより内部に収容された粉体が落下する。矢線に示す方向へ走査することで、それまでに積層した粉面全体に、次の粉体層を構成する粉体を充填することができる。
【0046】
ホッパー供給器40から粉体を落下させただけでは、表面に凹凸が生じ、粉体が均一に敷き詰められていない。このため、
図8(b)に示すように、ローラー41を回転させ、走査することで、表面を平坦に均すとともに、粉体を均一に敷き詰める。余分な粉体は、造形槽44の周囲に設けられた粉体回収溝46へ落下し、回収される。
【0047】
粉体を均一に敷き詰め、粉体層を形成した後、
図8(c)に示すように、プリントヘッド42から造形液を吐出させ、粉面の所定の領域に造形液を塗布する。造形液を塗布する領域は、情報処理装置11から受信した形状データに基づき決定される。造形液の塗布により造形層が形成され、
図8(d)に示すような、造形層が積層された造形物としてのグリーン体47が形成される。
図8(d)に示す例では、グリーン体47が、持ち手がついたカップとされている。
【0048】
その後、
図8(e)に示すように、赤外線ランプ43により粉面に熱を与えて塗布した造形液を乾燥させたり、化学反応を加速させたりする。
【0049】
ホッパー方式の造形装置10でも、ローラー41により均したとしても、走査速度が高速である場合等、粉体が均一に充填されないことがある。このため、粉面センサ28により取得された表面情報に基づき、ホッパー供給器40の動作を変更することで、粉体を均一に積層することができる。具体的には、制御回路により、粉体の供給量として、粉体を落下させる量を変更する。または、粉体の量が場所によって偏りがあるのを修正する必要がある。そこで、制御手段は、少なくとも振動付与手段により付与される振動の振動周波数または振動時間を変更する。
【0050】
これまで粉体層を形成する動作を制御することについて説明してきた。造形物は、造形液を塗布し、乾燥や接着の化学反応の進展により粉体の粒子同士を結合することにより造形される。このため、焼結の品質には、粉体層の形成のほか、造形液の塗布や加熱等も影響を与える原因となることが考えられる。そこで、制御手段は、表面情報に応じて、加熱手段による加熱時間または加熱温度を制御してもよい。
【0051】
図9は、造形液を塗布する動作を制御し、焼結の品質に影響を与える原因について説明する図である。粉体層の内部は、どんなに密に敷き詰めても、粒子サイズで見ると、粉体50の粒子間に間隙51が生じる。このため、粉体層に造形液52を塗布すると、間隙51に造形液52が浸透する。間隙51に浸透した造形液52は、粒子間に介在して粒子同士を接着し、造形液52の毛管力により粒子同士がお互いに吸引され、粉体の密度が向上する。その後、加熱すると、粒子同士が密着しているところから焼結が進み、ち密化が進行し、粉体が一体となって造形物が造形される。
【0052】
一般に、焼結前のグリーン体47の密度が低い場合、焼結しても欠陥が多かったり、そもそも焼結が進まなかったりするという問題がある。高品質の焼結体を得るには、グリーン体47の密度を出来るだけ高くすることが望ましい。
【0053】
グリーン体47の密度は、造形液52の毛管力により向上させることができる。しかしながら、造形液52の量が多いと、毛管力が作用せず、密度が向上しない。一方、造形液52の量が少ないと、粒子同士を接着する力が弱く、グリーン体47の強度が低くなり、壊れるおそれがある。したがって、グリーン体47の密度を向上させるためには、造形液52の量を適切に制御することが必要となる。そこで、制御手段は、表面情報に基づいて、塗布手段の動作の変更として、少なくとも造形液の量を変更または該造形液を塗布する領域を修正する。
【0054】
粉体層においてどこが密で、どこが疎であるかは、粉面センサ28により表面情報を取得し、解析することにより判別することができる。密の場所は、造形液52の量を少なくし、疎の場所は、造形液52の量を増やし、場所に応じて量を変えることで、グリーン体47の密度を向上させることができる。したがって、制御回路29は、表面情報に基づき、造形液52の量や塗布する領域を修正して、グリーン体47の密度を向上させることができる。
【0055】
図10は、焼結が十分に進まなかった例を示した図である。グリーン体47の密度にばらつきがあったために、焼結が部分的にしか進まなかった例である。
図10中、色が黒い部分が、焼結が進まず、粉体のままとなっている部分53である。
【0056】
制御手段は、表面情報として、少なくとも表面の高低差または造形液の浸透範囲に基づき、塗布手段を制御してもよい。浸透範囲の一例として、
図11は、表面情報から造形液の浸透範囲を検出する方法について説明する図である。
図11(a)は、粉面に造形液を、1ドットずつ間隔をあけて塗布したものをカメラで撮影した画像である。
図11(b)は、造形液を塗布した上で、塗布しなかった領域の粉体を除去し、粉面をカメラで撮影した画像である。
【0057】
図11(a)に示す画像からは、色の濃淡に基づき、造形液が浸透した範囲54を検出することができる。
図11(b)に示す画像からは、焦点(ピント)が合っているかどうかにより造形液が浸透した範囲54を検出することができる。ちなみに、
図11(a)に示す画像では、ほぼ等間隔で点状に示される色の濃い部分が、造形液が浸透した範囲54を示し、
図11(b)に示す画像では、焦点が合っている部分が、造形液が浸透した範囲54を示す。
【0058】
造形液を塗布すると、粉面に着弾した造形液の液滴が時間の経過とともに広がって浸透していく。安定した造形を行うためには、適切な量の造形液を塗布する必要があり、そのためには、造形液を塗布した際、どれくらいの広さまで浸透していくかが重要になる。しかしながら、どの程度浸透するかは、粉体の組成の変動や造形液の特性の変動で影響を受けるため、予め想定した浸透範囲より広くなったり、狭くなったりする。
【0059】
粉面センサ28は、造形液が浸透した粉面を撮影し、表面情報として造形液の浸透範囲を取得することができる。制御回路29は、取得した浸透範囲に基づき、適切な造形液の量となるように塗布量を調整する。造形液の浸透範囲が広い場合、狙いの形状より一回り小さい形状の範囲に造形液を塗布するように調整することができる。また、浸透の影響を考慮し、浸透しやすい箇所については、造形液の量を少なくし、浸透しにくい箇所については、造形液の量を多くするように、塗布する場所によって造形液の量を変化させることができる。
【0060】
高低差の一例として、
図12は、粉面の高低差を検出する方法について説明する図である。
図12(a)は、造形液が塗布されない粉面の高低差を三次元測定器で計測した結果を示した図である。
図12(b)は、造形液が塗布された粉面の高低差を三次元測定器で計測した結果を示した図である。このように、造形中に造形物は収縮の時間差による反りが発生する。ここでは、粉面の高低差を三次元測定器により計測しているが、粉面の高低差は、粉面センサ28としてのカメラにより撮影された画像から求めることができる。
【0061】
これを
図13(a)、(b)を用いて説明する。
図13(a)は、造形物の反りが発生しない場合、
図13(b)は、造形物の反りが発生した場合を示している。造形槽27のうち、55は造形液を塗布した領域を示す。56は、光源である。
【0062】
粉面センサ28としてのカメラにより撮影された画像には、
図13(a)に示したように反りが発生しない場合には影が写らない。一方、
図13(b)に示したように反りが発生し、粉面に高低差があった場合には、影57が写る。高低差の大きさと影の大きさが比例し、また、予めどのような形状を造形しているかは、制御回路29が知っているため、影57の大きさを基準に反りの大きさを推定することができる。
図14は、
図13(b)で示したような反りによる影57を撮影した画像の例である。
【0063】
このように影の大きさから反りの大きさが推定できれば、赤外線ランプによる加熱の温度や加熱待機時間を調整することができる。造形物は、造形液の塗布によって時間をかけて収縮するため、造形の進捗に伴う収縮の進み具合の違いにより、反りが発生する。1層造形するごとに十分に変形が進んでいればそれ以上変形することはなく、反りは発生しないが、1層造形するごとに十分に変形が進んでいなければ、それ以降造形するごとに収縮力が蓄積し、ある時点で周囲の支えに耐えきれず、大きく変形してしまう。そこで、毎層、影の大きさを基準に反りの大きさを推定することで、1層造形するごとに十分に微小な変形が済んでいるかを判定できる。十分に微小な変形が済んでいない場合、赤外線ランプによる加熱の温度を上げたり、加熱待機時間を増やしたりすることで微小な変形が済むようにして、大きな反りが発生することを防ぐことができる。
【0064】
造形液が塗布されない粉面は、造形液の塗布がないため、
図12(a)に示すように平坦な状態が維持される。一方、造形液が塗布された粉面は、
図12(b)に示すように造形液の塗布により表面が低くなる。これは、造形液が粒子間に浸透することで発生する毛管力の影響で、粒子同士が吸引、収縮することで、粉面に凹みが発生して低くなるものと考えられる。したがって、粉面の高低差を検出することで、造形液が浸透し、密度が向上している度合いを検出することができる。
【0065】
造形液の浸透、乾燥、固形化には時間がかかる。粉体層を形成し、造形液を塗布した後、待機時間を設けることは造形の安定化のために有効である。粉体の粒子同士が毛管力により十分に吸引され、密度が向上するからである。ただし、待機時間を設けると、その分だけ1つの層を形成する時間が長くなるため、必要に応じて設け、設ける場合は適切な時間とすることが望ましい。制御手段は、取得された表面情報に基づき、待機が必要と判断した場合、表面情報に応じて、待機時間を変更する。
【0066】
粉面センサ28は、表面情報としての凹みが進捗していく状態を高低差として取得する。制御回路29は、粉面センサ28により取得された高低差に基づき、待機の必要性の有無や、待機時間の長さを調整する。
【0067】
凹みが進捗していく状態は、造形液が浸透し、毛管力によって粒子同士が吸引、収縮する現象を、高低差を観測することで、モニタリングすることができる。このため、造形液を予め何回かに分けて塗布することとし、粉面の高低差を観測することで、粉体の収縮の進み具合を把握する。把握した収縮の進み具合に応じて、塗布する回数を調整することで、最適な造形液の量となるように調整することができる。
【0068】
制御手段は、表面情報として、少なくとも表面の凹凸または陰影から充填密度を推定する。表面情報の凹凸の一例として、
図15は、粉面の高低差から密度を推定する方法について説明する図である。粉体層の密度は、粉体50の粒子がどれだけ密に詰まっているかに依存する。粒子の詰まり具合は、粉面の粗さ(表面粗さ)に依存し、粗いほど、密度が低くなる傾向にある。したがって、粉面センサ28は、粉面に凹凸が多いか否か、また、高低差が大きいか否かに応じて、表面情報として粉面の粗さを取得することができる。制御回路29は、粉面センサ28により取得された粉面の粗さから密度を推定することができる。
【0069】
密度の推定は、粉体の組成等に応じて予め粗さに対応する密度を計測し、データとして蓄積しておき、検出した粉面の粗さを基に、蓄積されたデータを用いて実施することができる。この方法は一例であるので、これに限定されるものではない。
【0070】
粉体層の密度は、粉面の粗さのほか、粉面の陰影から推定することも可能である。表面情報の陰影の一例として、
図13(b)および
図14を参照して、粉面の陰から密度を推定する方法について説明する。
図13(b)に示すように、粉面に対して平行に近い角度(浅い角度)で光を当てることにより、影57となる色の濃い部分が際立つ。このように影57を際立たせた上で、粉面センサ28としてのカメラで撮影し、
図14に示すような影57の分布(テクスチャ)を取得する。制御回路29は、取得された影57の分布に基づき、密度を推定する。
【0071】
図16に粉面センサ28による粉面の異常を検出しやすくするための実施例を示す。造形槽27に光源56を浅い角度で当て、粉面センサ28で撮影することにより、粉面の異常を検出しやすくなる。撮影画像の例を
図17に示す。粉面がほぼ平坦である場合、撮影画像は均一な輝度の画像になる。粉面にひび割れがあったり、凝集物があったりすると、影ができるため、容易に検出することができる。
【0072】
粉体層の密度が低い場合は、粉体の粒子がまばらになって隙間が多くなっており、粉面も凹凸が多い。したがって、浅い角度で光を当てると、影57がくっきり出る。一方、粉体層の密度が高い場合は、粉体の粒子が密に詰まっており、粉面の凹凸も少ない。したがって、浅い角度で光を当てると、細かな影57がちらばって出てくる。
【0073】
このように影57の出方の違いにより、密度を推定することができる。この方法でも、予め陰影の分布に応じた密度を計測し、データとして蓄積しておき、検出された陰影の分布を基に、蓄積されたデータを用いて密度を推定することができる。
【0074】
図18は、粉体層を形成した後の表面情報と、造形液を塗布した後の表面情報を例示した図である。
図18(a)は、粉体層を形成した後の表面情報として、粉面センサ28としてのカメラにより撮影した画像である。
図18(b)は、造形液を塗布した後の表面情報として、粉面センサ28としてのカメラにより撮影した画像である。右側の色の濃い領域が、造形液を塗布した領域55である。
【0075】
粉面センサ28としてのカメラにより表面情報を取得するタイミングとして、造形液を塗布する前の粉体層を形成した後と、粉体層を形成し、形成した粉体層の所定の領域に造形液を塗布した後とがある。
図14および
図15を参照して説明した表面の凹凸や陰影から粉体の充填密度を推定する場合、粉体層を形成した後の粉面をカメラで撮影し、得られた画像を表面情報として取得する。
図11および
図12を参照して説明した造形液の浸透範囲や造形液の塗布に伴う表面の凹凸の変化を検出する場合、造形液を塗布した後の粉面をカメラで撮影し、得られた画像を表面情報として取得する。
【0076】
図19を参照して、立体造形物の造形を制御する方法についてまとめる。制御回路29の制御は、造形装置10へ形状データが送信され、立体造形物の造形が指示されたことを受けて、ステップ100から制御を開始する。ステップ101では、造形に先立ち、造形関連パラメータの校正を行う。ステップ102では、制御回路29が、形成手段としてパウダーヘッド23、レベリングローラー24、パウダー・フィード・ピストン25、ビルド・ピストン26に対して粉体層の形成を指示し、その指示を受けて、パウダーヘッド23等が、1層分の粉体層を形成する。このとき、レベリングローラー24等は、設定された回転速度や走査速度で動作する。
【0077】
ステップ103では、リコート調整(レベリングローラー24の回転速度や走査速度の調整)を実施するかどうかを判断する。例えば、数十層毎にリコート調整を実施するようにすればよい。したがって、指定された層数形成した場合、ステップ104へ進み、リコート調整を行う。
【0078】
ステップ105では、取得手段として粉面センサ28が、形成された粉体層の表面情報を取得する。取得した表面情報を基に粉体層解析を実施する。その結果、例えば粉の供給不足が判明すれば粉の供給量を増やしたり、その他の異常が発見されたら異常発生のデータを履歴として保存したりする。
【0079】
ステップ106では、例えば、ステップ105の結果、異常発生が許容範囲を超えた場合に、造形を停止する判断をする。造形を停止するかどうかの判断は、例えば異常発生回数で判断してもよいし、異常個所の大きさで判断してもよい。
【0080】
ステップ107では、制御回路29が、形状データのうちの対応する造形層を示すデータに基づき、塗布手段としてインクジェット・プリントヘッド22に対して造形液の塗布を指示し、インクジェット・プリントヘッド22が、形成された粉体層の粉面の所望の領域に造形液を塗布する。2層目の造形槽を形成する場合は、2層目の造形槽を示すデータを、対応する造形槽を示すデータとして使用する。一例として、形成手段、塗布手段の順に動作する方法を説明したが、塗布手段、形成手段の順に動作させてもよいし、形成手段と塗布手段の間に所定の処理を施してもよい。
【0081】
ステップ108では、造形液濃度の調整を実施するかどうかを判断する。例えば数十層毎に造形液濃度の調整を実施するようにすればよい。したがって、指定された層数形成した場合、ステップ109へ進み、造形液濃度の調整を行う。
【0082】
ステップ110では、造形層解析を実施する。粉面センサ28が、造形液が塗布された粉面の表面情報を取得し、取得した表面情報を基に、赤外線加熱温度や待機時間の調整を行う。
【0083】
ステップ111では、加熱手段として赤外線ランプにより加熱する。なお、制御回路29は、取得された表面情報に基づき、赤外線ランプによる加熱時間や加熱温度の設定値を変更し、それにより、ち密化して品質を向上させることができる。このため、制御回路29は、赤外線ランプの動作を制御することもできる。
【0084】
ステップ112で、制御回路29が、形状データを参照し、最後の造形層を形成したかを判断する。形成すべき造形層がある場合、ステップ102へ戻り、次の造形層を形成する。一方、最後の造形層を形成した場合、ステップ113へ進み、制御を終了する。
【0085】
ステップ106において、粉体層にムラやひび割れがある場合、粉体層を形成する動作を停止すると判断し、停止すると判断した場合、ステップ113へ進み、粉体層を形成する動作を停止し、制御を終了する。
【0086】
次に
図20を参照して、造形前の校正について説明する。ステップ120で造形前の校正を開始すると、ステップ121で粉の粒径分布の計測、ステップ122でリコート最適化、ステップ123で造形液濃度の校正と実施し、ステップ124で終了する。
【0087】
図21を参照して、粉の粒径分布計測の例を説明する。ステップ131で所定の場所に粉を少量だけ散布する。ステップ132でこれを粉面センサ28で撮影する。ステップ133で画像に写った粉粒子の一粒一粒の直径を算出する。ステップ134で、画像に写った複数粒子の直径の分布を求める。複数画像を撮影してもよいし、1枚の画像のみを用いてもよい。粉の粒子の分布は、粉の重要な特性で、これを記録すると同時に、リサイクル粉の混合割合の調整や、レベリングローラーの走査速度や回転速度を調整したり、造形液の濃度を調整したりする。
【0088】
図22を参照して、リコート最適化の手順について説明する。ステップ141で制御回路29が、形成手段としてパウダーヘッド23、レベリングローラー24、パウダー・フィード・ピストン25、ビルド・ピストン26に対して粉体層の形成を指示し、その指示を受けて、パウダーヘッド23等が、複数層分の粉体層を形成する。ステップ142で粉面センサ28が粉面の画像を撮影する。
【0089】
ステップ143でテクスチャ解析を行う。テクスチャ解析では、例えば同時生起行列を計算する。これは、取得した画像の各画素について、隣接する画素の距離と角度毎に、どのような輝度になる確率が高いかを計算したものであり、異なるテクスチャで異なる値を示す。テクスチャ解析には、他にも高次自己相関を用いたものや、フーリエ解析を用いたもの、フラクタル構造を使った解析等が知られている。これら複数の解析結果を基に、ステップ144で粉の充填密度を推定する。すなわち、予め異なる充填密度の粉面に対して、その粉面を撮影した画像と各種テクスチャ解析結果との対応を調べておき、それら関係をもとに粉の充填密度を推定する。
【0090】
ステップ145では、粉の充填密度の推定値が許容範囲かを確認する。粉の充填密度が許容範囲内であれば、ステップ148に進んで終了する。粉の充填密度が許容範囲よりも低ければ、ステップ146でレベリングローラーの走査速度を下げる、もしくは回転速度を下げることで充填密度を上げる。その後ステップ141に戻って再び粉体層を形成する。一方、粉の充填密度の推定値が許容範囲よりも高ければ、ステップ147でレベリングローラーの走査速度を上げる、もしくは回転速度をあげることで充填密度を上げる。一般的に粉の充填密度は高い方が良いが、充填密度が許容範囲を下回らなければ、生産性を重視して、レベリングローラーの走査速度をあげて、造形時間短縮する。その後、再びステップ141に戻り、粉体層を形成する。
【0091】
図23を参照して、造形液濃度の校正手順を説明する。まず、ステップ151でチェック用の形状データを用いて通常のシーケンスで造形を行う(
図19のステップ102~113と同等)。その後、ステップ152で余剰粉を除去する。例えば、装置に備えられた圧縮空気を吹き付けることで、造形液が塗布されていない領域にある粉を吹き飛ばす。ステップ153にて粉面センサ28で粉面の画像を撮影する。このとき、造形液が塗布された領域にピントを合わせて撮影する。ステップ154~155で造形液が塗布された領域を抽出する。ステップ153で撮影された画像は造形液が塗布された領域にピントが合って撮影されているため、造形液が塗布されずに、ステップ152で粉が吹き飛ばされた領域はピントが合っていない(
図11)。
【0092】
そこで、まず、ステップ154にて画像の平均化処理を行って周辺画素の輝度平均値を計算する。次に、ステップ155にて各画素の輝度値と、周辺画素の輝度平均値との差分を計算し、その大きさで識別することで造形液の浸透領域を求めることができる。ステップ156でその結果とチェック用の形状データとの比較を行うことで、造形液の浸透範囲を求めることができ、造形液が浸透する範囲を指数化する。ステップ157で造形液の浸透範囲をもとに、造形液の塗布濃度を調整する。
【0093】
図24を参照して、
図19に示すステップ104のリコート調整の手順について説明する。ステップ161で粉面センサ28を用いて粉体層の粉面の画像を撮影する。ステップ162で複数のテクスチャ解析結果を行い、粉面のテクスチャの特徴量を求める。これは、
図22に示すステップ143と同様の手法を用いる。ステップ163でテクスチャの特徴量から粉の充填密度を推定する。これは、
図22に示すステップ144と同様の手法を用いる。ステップ164で、充填密度の推定値が許容範囲内であればそのままステップ167に進んで終了する。許容範囲よりも低ければ、ステップ165へ進み、次の層以降でレベリングローラーの走査速度を下げる。逆に充填密度の推定値が許容範囲よりも高ければ、ステップ166へ進み、次の層以降でレベリングローラーの走査速度を上げる。そして、ステップ167に進み、終了する。
【0094】
図25を参照して、
図19に示すステップ105の粉体層解析の手順について説明する。ステップ171で粉面センサ28を用いて粉体層の粉面の画像を撮影する。これはステップ161と同じ画像を用いてもよい。ステップ172で画像の着目画素に対して、周辺画素との輝度差を求めるという計算を、全画素に対して行う。ステップ173で輝度差が閾値以上となる領域を抽出し、繋がっている固まりごとに分ける。ステップ174~178にて、分けられた固まりごとに、それぞれの固まりの分類を行う。ステップ174で抽出した固まりの面積をもとめ、その面積が閾値以下であれば、ステップ175でノイズもしくは小さな問題のない異常であるとして分類する。面積が閾値以上であれば、ステップ176にて、その抽出した固まりがレベリングローラーの走査する下流域にある段差であるかどうかを判定し、そうであれば、ステップ177へ進み、粉の供給量が不足していることに伴う異常であると分類する。それ以外は、ステップ178へ進み、その他の異常であるとして分類する。ステップ179で全ての固まりの分類が終了したかを判断し、終了しない場合、ステップ174へ戻り、終了した場合、ステップ180へ進み、粉体解析を終了する。
【0095】
図26を参照して、
図19に示すステップ109で造形液濃度の調整の手順について説明する。ステップ191で粉面センサ28を用いて造形層の粉面の画像を撮影する。ステップ192で画像のテクスチャ解析を行う。テクスチャ解析の対象はステップ191で得られた画像のうち、造形液を塗布した領域に対して実施する。テクスチャ解析の内容はステップ143、162と同じでもよいし、異なっていてもよい。ステップ193で、テクスチャ解析の結果から塗布された造形液が多いか少ないかを判定する。予め造形液の量を変えて塗布したときの粉面の画像をテクスチャ解析したときの結果を保存しておき、それとの比較で造形液の量を推定する。造形液の量の推定値が適量であった場合は何もせずにステップ196へ進み、終了する。造形液の量の推定値が不足していた場合はステップ194へ進み、次層以降で造形液の濃度を濃くする。造形液の量の推定値が不足していた場合はステップ195に進み、次層以降で造形液の濃度を薄くする。いずれもステップ196に進み、終了する。
【0096】
図27を参照して、
図19に示すステップ110の造形層解析の手順について説明する。ステップ201で粉面センサ28を用いて造形層の粉面の画像を撮影する。これはステップ191の画像と同じものを用いてもよい。ステップ202で各画素に対して周辺画素の輝度の平均値との差を計算する。ステップ203で輝度差が閾値以上であり、かつ造形液を塗布する領域と塗布しない領域との境界にある領域を影として抽出する。
【0097】
ステップ204で、影の大きさが、許容範囲内であるかどうかを判定する。形状データをもとに、予め反りの大きさと影の大きさの関係を求めておき、影の大きさが許容範囲内であるかどうかを判定することで、反りの大きさが許容範囲内であるかを判定することができる。反りの大きさが許容範囲内でなければ、ステップ205に進み、ステップ110の加熱温度を高くしたり、加熱・待機時間を長くしたりする調整を行う。
【0098】
図28は、造形システムの別の構成例を示した図である。
図28に示す造形システムは、
図1に示した造形システムの別の実施形態として、造形装置10と情報処理装置11を含み、少なくとも情報処理装置11の一部もしくは全部の機能を情報管理装置(クラウド)12が具備している。造形装置10と、情報処理装置11と、情報管理装置12は、ケーブルやネットワークを介して互いに通信可能に接続される。ネットワークは、無線ネットワークであってもよいし、有線ネットワークであってもよい。また、情報管理装置12は、情報処理装置11に限らず、造形装置10の一部の機能を具備してもよい。
【0099】
以上のように、1層形成するごとに表面情報を取得し、取得した表面情報に基づき、粉体層を形成する動作や造形液を塗布する動作等を制御することで、造形された立体造形物の形状や強度にばらつきを減少させ、立体造形物の品質を向上させることができる。
【0100】
これまで本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の構成要素を変更若しくは削除し、または本実施形態の構成要素を他の構成要素を追加するなど、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0101】
10…造形装置
11…情報処理装置
20…粉体
21…造形液
22…インクジェット・プリントヘッド
23…パウダーヘッド
24…レベリングローラー
25…パウダー・フィード・ピストン
26…ビルド・ピストン
27…造形層
28…粉面センサ
29…制御回路
30…データ蓄積手段
31…学習手段
32…推定手段
33…粉面
34…ムラやひび割れ、凝集物
40…ホッパー供給器
40a…穴
41…ローラー
42…プリントヘッド
43…赤外線ランプ
44…造形槽
45…ビルド・ピストン
46…粉体回収溝
47…グリーン体
50…粉体
51…間隙
52…造形液
53…粉体のままとなっている部分
54…造形液が浸透した範囲
55…造形液を塗布した領域
56…光源
57…影
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】