(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008218
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】現像装置及び現像方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230112BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230112BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01L21/30 569F
H01L21/30 569C
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
G03F7/30 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111602
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】宮窪 祐允
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196GA29
5F146LA03
5F146LA14
5F157AA09
5F157AA91
5F157AA92
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC25
5F157BB23
5F157BB44
5F157CB04
5F157CE07
5F157CE10
5F157CE25
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF60
5F157CF70
5F157CF99
5F157DA21
5F157DB02
5F157DB22
5F157DB37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板中心部の過現像やパターン剥がれを抑制する。
【解決手段】基板を現像する現像装置であって、基板の中心部周りに前記基板を回転させる回転支持部と、回転支持部上の基板の表面に現像液を供給する現像ノズルと、現像ノズルを少なくとも水平に基板上方で移動させるノズル移動機構と、現像ノズルからの現像液の供給、回転支持部、及びノズル移動機構を制御する制御部と、を有し、制御部は、下記のステップAとステップBとを実行するように構成されている、ステップA:基板を第1の速度で回転させた状態で、基板の中心部から外れた第1の位置にて現像ノズルから現像液を供給して、基板の表面に環状の現像液の液膜を形成するステップ。
ステップB:基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させた状態で、現像ノズルを第1の位置にて前記現像液を供給し、基板に供給された際の現像液の基板上の広がりで前記基板の中心部を覆うステップ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を現像する現像装置であって、
基板の中心部周りに前記基板を回転させる回転支持部と、
前記回転支持部上の前記基板の表面に現像液を供給する現像ノズルと、
前記現像ノズルを少なくとも水平に基板上方で移動させるノズル移動機構と、
前記現像ノズルからの現像液の供給、前記回転支持部、及び前記ノズル移動機構を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、下記のステップAとステップBとを実行するように構成されている、現像装置。
ステップA:前記基板を第1の速度で回転させた状態で、前記基板の中心部から外れた第1の位置にて前記現像ノズルから前記現像液を供給して、前記基板の表面に環状の現像液の液膜を形成するステップ。
ステップB:前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させた状態で、前記現像ノズルを前記第1の位置にて前記現像液を供給し、前記基板に供給された際の現像液の基板上の広がりで前記基板の中心部を覆うステップ。
【請求項2】
前記ステップAの後に前記ステップBが実行される、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記ステップBの後に前記ステップAが実行される、請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記ステップAと前記ステップBが繰り返し実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記ステップAと前記ステップBが繰り返し実行される場合、前記現像ノズルは、最初に供給した第1の位置とは異なった第2の位置にて現像液を供給する、請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第1の速度は、500rpm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記ステップAまたはステップBにおいて、前記現像ノズルから現像液を供給しつつ、前記現像ノズルを前記第1の位置から前記基板の周縁部側に移動させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記移動は、段階的または連続的である、請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記基板の表面にリンス液を供給するリンスノズルと、
前記リンスノズルを少なくとも水平に基板上方で移動させるリンスノズル移動機構と、
前記リンスノズルからのリンス液の供給及び前記リンスノズル移動機構を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記ステップAまたは前記ステップBを実行した後であって、前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させた状態で、前記リンスノズルを前記基板の中心部から外れた位置でリンス液を前記基板に供給し、当該位置で前記基板に供給された際のリンス液の基板上の広がりで前記基板の中心部にまで当該リンス液を行き亘らせるステップを実行するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項10】
現像液を用いて基板を現像する現像方法であって、
前記基板を第1の速度で回転させた状態で、前記基板の中心部から外れた第1の位置にて現像液を供給して、前記基板の表面に環状の現像液の液膜を形成するステップと、
前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させた状態で、前記第1の位置にて前記現像液を供給し、前記基板に供給された際の現像液の基板上の広がりで前記基板の中心部を覆うステップと、
を有する、現像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像装置及び現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、現像処理後リンスノズルからリンス液を被洗浄体に供給して現像液を洗浄するスピンデベロッパにおいて、前記被洗浄体の中心部に前記リンス液を流出させる第1のノズルと、前記被洗浄体の周辺部に前記リンス液を流出させる第2のノズルとを備えたことを特徴とするスピンデベロッパを開示しており、この文献には、現像液をウェハの中心上方から滴下することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板中心部の過現像やパターン剥がれを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を現像する現像装置であって、基板の中心部周りに前記基板を回転させる回転支持部と、前記回転支持部上の前記基板の表面に現像液を供給する現像ノズルと、前記現像ノズルを少なくとも水平に基板上方で移動させるノズル移動機構と、前記現像ノズルからの現像液の供給、前記回転支持部、及び前記ノズル移動機構を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、下記のステップAとステップBとを実行するように構成されている、現像装置。
ステップA:前記基板を第1の速度で回転させた状態で、前記基板の中心部から外れた第1の位置にて前記現像ノズルから前記現像液を供給して、前記基板の表面に環状の現像液の液膜を形成するステップ。
ステップB:前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させた状態で、前記現像ノズルを前記第1の位置にて前記現像液を供給し、前記基板に供給された際の現像液の基板上の広がりで前記基板の中心部を覆うステップ。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板中心部の過現像やパターン剥がれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態にかかる現像装置の構成の概略を模式的に示した側面断面図である。
【
図2】
図1の現像装置の構成の概略を模式的に示した平面図である。
【
図3】実施形態にかかる現像方法のプロセスの様子を示す斜視図である。
【
図4】他の実施形態にかかる現像方法のプロセスを示す斜視図である。
【
図5】実施形態にかかる現像方法のプロセスを2ループ実行した際のフローチャートである。
【
図6】従来の現像方法によってウェハを現像した際のウェハの位置とパターンの線幅の大きさとの関係を示すグラフである。
【
図7】他の実施形態にかかる現像方法のプロセスの様子を示す斜視図である。
【
図8】
図8の現像方法によってウェハを現像した際のウェハの位置とパターンの線幅の大きさとの関係を示すグラフである。
【
図9】ウェハ上で現像ノズルを外周側へと移動させる様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という場合がある。)などの基板の表面にレジスト膜を形成し、パターンを露光した後に現像する液処理としての現像処理が行われている。現像する場合、特許文献1に開示されているように、基板を回転させながら基板の中心上方から現像液を供給し、現像液を遠心力によって拡散させて基板の全面に行き亘らせることが行われている。
【0009】
このような現像方法によれば、基板の中心部には絶えず新しい現像液が供給されることになり、中心部が現像過多(過現像)になってパターンの面内均一性が悪化したり、現像ノズルからの現像液の供給の際に基板表面が受ける圧力によって、パターン剥がれが発生するおそれがある。
【0010】
そこで本開示にかかる技術は、基板を回転させながら基板に現像液を供給して現像処理するにあたり、基板中心部の過現像やパターン剥がれを抑制する。
【0011】
以下、本実施形態にかかる現像装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態にかかる現像装置1の構成の概略を模式的に示す側面断面の様子を示している。現像装置1は、筐体10内に、基板保持部としてのスピンチャック11を有している。スピンチャック11は、基板としてのウェハWを水平に保持する。スピンチャック11は、昇降自在な回転部12と接続され、回転部12はモータなどによって構成される回転駆動部13と接続されている。したがって回転駆動部13の駆動によって保持したウェハWは回転可能である。
【0013】
スピンチャック11の外側には、カップ21が配置されており、飛散する現像液、リンス液、並びにこれらのミストが周囲に飛散することが防止される。カップ21の底部22には、排液管23と排気管24が設けられている。排液管23は、排液ポンプなどの排液装置25に通じている。排気管24は、バルブ26を介して、排気ポンプなどの排気装置27に通じている。かかる構成により、スピンチャック11に保持されているウェハWの周囲の雰囲気が、排気管24から排気される。排気管24、排気装置27は排気部を構成している。
【0014】
現像装置1の筐体10内の上方には、要求される温湿度のエアをカップ21内に向けてダウンフローとして供給する送風装置14が設けられている。
【0015】
ウェハW上に現像液を供給する現像ノズル31は、ノズル支持部32に設けられている。ノズル支持部32には、他にリンスノズル33が設けられている。これら現像ノズル31、リンスノズル33は、X方向に直線状に並置されている。
【0016】
ノズル支持部32は、
図2に示したように、アーム41に取り付けられており、アーム41は移動機構42に接続されている。移動機構42は、横方向に伸びたガイドレール43に沿ってX方向移動し、またアーム41を昇降させることができる(Z方向への移動)。そして後述の制御装置100からの制御信号に従って移動機構42が移動し、この移動機構42の移動によって、ノズル支持部32はカップ21の外部の待機位置とウェハWの中心部との間で移動することができ、また所望の位置にて停止することができる。移動機構42の移動距離、移動速度、移動方向についても制御装置100からの制御信号によって制御される。
【0017】
現像ノズル31は、バルブ51、ポンプ52を介して、現像液供給源53に通じている。リンスノズル33は、バルブ54、ポンプ55を介して、リンス液供給源56に通じている。
【0018】
現像装置1は、制御部である制御装置100によって制御される。制御装置100は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、現像装置1におけるウェハWの現像処理を制御する各種のプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御装置100にインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは一時的記憶媒体か非一時的記憶媒体かを問わない。
【0019】
制御の例としては、現像から洗浄、乾燥に至るまでの一連の処理を挙げられる。例えばノズル支持部32の移動、停止、現像ノズル31からの現像液の供給、停止、スピンチャック11の回転、停止、回転速度の制御、リンスノズル33からのリンス液の供給、停止、等を含めた現像処理の一連シーケンスについても制御される。
【0020】
次に、以上の構成を有する現像装置1による現像方法について、
図3(a)~(d)に基づいて説明する。以下の例は、ネガティブタイプのレジストの現像処理に基づいて説明する。まず、スピンチャック11上に保持されたウェハWを第1の速度で回転させ、ノズル支持部32をウェハWの中心P側に移動させ、所定位置である第1の位置で停止させる(
図3(a))。ここで第1の速度とは、相対的に高速回転であり(図中の回転方向を示す矢印の符号HIで示す)、例えば500rpmである。なお第1の速度は例えば500rpm以下がよく、好ましくは300rpm~500rpmがよい。なお第1の速度は、後述する第2の速度(相対的低速回転)よりも速いものであるから、前記好ましい回転速度は、第2の速度よりも速いものである。
【0021】
また所定位置である第1の位置とは、この例では、現像ノズル31の吐出口が、ウェハWの中心Pから水平方向に離れた距離D1が30mmとなる位置としている。もちろんこれに限らず、距離D1は例えば20mm~40mmの範囲で設定してもよい。
【0022】
次いで第1の位置にて、現像ノズル31からウェハWに対して現像液を供給する。供給時間は、例えば2秒~10秒である。これによってウェハW上には、
図3(b)に示したように、現像液で覆われない円形の領域が形成される(本開示におけるステップA)。換言すれば、ウェハWの回転中にウェハWの表面に吐出された現像液は遠心力によって拡散されるが、他方ウェハWの表面に吐出された現像液は、ウェハWの表面で着地点を中心として円形に広がる。そして当該ウェハW上での円形の広がりよりも、遠心力の方が大きい場合に、
図3(b)に示したように、現像液で覆われない円形の領域が形成され、現像液はウェハWの中心Pを中心として環状に現像液の液膜が形成される。
【0023】
次いで
図3(c)に示したように、現像ノズル31の吐出位置を第1の位置のままに、ウェハWの回転速度を第1の速度よりも遅い第2の速度(図中、符号Loで表示)、例えば40rpmで回転させながら、引き続き現像液をウェハWの表面に供給する(本開示におけるステップB)。そうすると回転速度の低下に伴って遠心力が低下し、ウェハWの表面に供給された現像液は、遠心力よりも現像液が着面した際の広がりの方が大きくなって、ウェハWの中心Pを含むウェハWの中心部まで広がり、ウェハWの中心部が現像液によって覆われる。第2の速度としては、ウェハWの回転による遠心力よりも現像液が着面した際の広がりの方が大きくなるような速度であればよく、例えば10rpm~50rpmがよい。
【0024】
また供給時間は、例えば10秒~50秒が例示できるが(後述する、複数のLOOPを設定しない場合)、第2の速度との関係で適宜設定可能である。例えばウェハWの中心部への広がりに伴う当該中心部での現像液の滞留時間、すなわち現像時間によって適切に定めることが可能である。例えば現像時間が60秒の場合、第1の速度で10秒間供給した際には、第2の速度の下では50秒間供給することが例示できる。またステップBにおいても、現像ノズル31から現像液が供給し続けているから、いわゆるプルバックと呼ばれるウェハWの回転速度の急減速に伴う、ウェハW上の現像液の急激な移動に起因するパターン倒れが発生することはない。
【0025】
その後は、現像液の吐出を停止し、
図3(d)に示したように、ノズル支持部32を中心Pへ向けて移動させ、ウェハWの中心Pからリンスノズル33の吐出口までの距離Rが、例えば10mmとなる位置で停止させる。そしてこの位置でリンスノズル33からリンス液、例えば純水をウェハWに供給する。このときリンス液の吐出位置は、前記した距離D1よりも中心Pに近い位置であることから、ウェハWの回転速度は、第1の速度以上であればよい。距離Rとしては、例えば5mm~10mmが例示できる。
【0026】
このような実施の形態にかかる現像方法によれば、現像液はウェハWの中心Pから外れた位置にて供給し、従来のようにウェハWの中心位置に絶えず現像液を連続して供給していない。したがって、ウェハWの中心部においてパターン剥がれが発生することが抑えられる。すなわち、現像処理の際に、ウェハWの中心Pへ、直接現像ノズル31から現像液を供給しないステップを実施することで、ウェハWの中心部の現像の程度、進行度合いを制御することができる。
【0027】
発明者の知見によれば、パターン剥がれは、現像液が供給される際の圧力(液圧)の積算値と相関関係があることが分かった。したがって、前記した実施の形態のようにウェハWの中心部に直接現像液を供給しないプロセス、ステップを採用することで、ウェハWの中心部において前記した液圧の積算値を低下させることができ、現像時のパターン剥がれが発生することを大幅に抑制できる。
【0028】
またウェハWの中心部へ現像液が行き亘るのは、本開示のステップBの第2の速度でウェハWを回転させた後であるから、中心部に現像液が滞留している時間、すなわち現像している時間は、中心部に絶えず現像液を供給し続けている従来の現像方法よりも短い。したがって、従来見られたウェハWの中心部での過現像も抑えることが可能である。
【0029】
さらにまた前記実施の形態では、リンスノズル33によってリンス液を供給する位置も、ウェハWの中心Pから外れた位置であるから、リンス液の供給によるウェハWの中心部でのパターン剥がれ、パターン倒れも抑制することが可能である。
【0030】
前記実施の形態では、第1の速度でウェハWを回転させるステップAの後に、第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度の下で現像液を供給するステップBを実行したが、先にステップBを実行し、その後にステップAを実行するようにしてもよい。
【0031】
図4はかかる場合のプロセスの様子を示しており、スピンチャック11上に保持されたウェハWを第2の速度で回転させ、ノズル支持部32をウェハWの中心P側に移動させ、所定位置である第1の位置で停止させる(
図4(a))、その後は
図4(b)に示したように、ウェハWを第2の速度で回転させた状態で、第1の位置にて現像ノズル31から現像液をウェハWに供給する。そうすると、供給された現像液は、その広がりによって中心Pを含むウェハWの中心部を覆って広がる。
【0032】
次いで
図4(c)に示したように、ウェハWを第2の速度よりも速い第1の速度で回転させる。そうすると、現像液はウェハWの中心Pからは外れた位置にてウェハW上に供給されているから、遠心力によって中心部の現像液もウェハWの外周側へと流れていき、ウェハW上には環状の現像液の液膜が形成される。その後は現像液の供給を停止して、ノズル支持部32をウェハWの中心側に移動させ、ウェハWの中心Pから距離Rの位置に、リンスノズル33の吐出口を位置させ、リンスノズル33からウェハWにリンス液を供給してウェハWを洗浄する(
図4(d))。
【0033】
このように本開示におけるステップBを先に実施して少なくともウェハWの中心部の現像処理を先に行い、次いで本開示におけるステップAを実施するようにしたので、例えばKrFレジストやArFレジストのように、現像の前半で全体の現像処理が支配的なレジストの現像処理、換言すれば現像処理の前半と後半とで感度が異なる現像処理に対して、適切に対応して、ウェハWの中心部の現像を好適に制御することが可能である。
【0034】
また前記した
図3の実施の形態では、ステップA(
図3(b))の後にステップB(
図3(c))を実行し、その後リンス液の供給による洗浄ステップ(
図3(d))を実行していたが、ステップAとステップBを繰り返して実行してもよい。
【0035】
図5のフローチャートはかかる場合のプロセスを示しており、まずLOOP1について説明すると、ウェハWを第1の速度で回転させ(ステップS1)、第1の位置にて現像液を吐出し(ステップS2)、そのまま現像液を吐出しながらウェハWを第2の速度で回転させる(ステップS3)。その後現像液の供給を停止する(ステップS4)。
図3に示した例では、その後リンス液の供給によるウェハWの洗浄を実施していた。
【0036】
この点
図5に示した例では、現像液の供給を停止した後、現像液を入れ替えて新鮮な現像液を新たに供給するために一旦ウェハWを回転させてウェハW上の現像液を振り切る(ステップS5)。次いで、LOOP2として、ウェハWを第1の速度で回転させ(ステップS6)、第1の位置にて現像液を吐出し(ステップS7)、そのまま現像液を吐出しながらウェハWを第2の速度で回転させ(ステップS8)、その後現像液の供給を停止する(ステップS9)。すなわち、本開示におけるステップAとステップBとを繰り返して行っている。その後は、リンス液を供給してウェハWの表面を洗浄し(ステップS10)、次いでリンス液の供給を停止した後、ウェハWを回転させてウェハWをいわゆる振り切り乾燥させる(ステップS11)。
【0037】
このように本開示におけるステップAとステップBとを繰り返し行うことで、ウェハWの中心部分の現像の程度を制御する幅が広がる。すなわち、例えばLOOP1におけるステップS2の時間と、LOOP2におけるステップS7の時間を調整したり、相互に異なった時間とすることで、ウェハWの中心部分の現像の程度、進行度合いを制御すると共に、LOOP2における新鮮な現像液の供給によって現像処理を効率よく行うことが可能になる。
【0038】
ところで、従来のウェハWを回転させながら、ウェハWの中心部に絶えず現像液を供給して現像する方法では、既述したように、ウェハWの中心部が過現像となりやすく、その結果、
図6に示したように、パターンの線幅が中心程細く、外周部へと向かうにつれて太くなる傾向があり、基板面内の現像処理の均一性に改善の余地があった。
【0039】
このような観点から、例えば
図7に示したプロセスが提案できる。すなわち、前記したステップBにおいて、当初は
図7(a)に示したように、ウェハWを第2の速度で回転させつつ第1の位置(例えば距離D1=30mm)において現像ノズル31からウェハWに現像液を供給する。その後
図7(b)に示したように、第2の速度を維持しつつ現像ノズル31を外周側の第2の位置(例えば距離D2=60mm)に移動させる。
【0040】
その後例えば5秒経過したら、そのまま第2の速度を維持して
図7(c)に示したように、現像ノズル31を外周側の第3の位置(例えばD3=90mm)に移動させる。こうすることで、ウェハWの中心Pから中間部にかけての現像を段階的に抑制することができる。その結果、現像後のウェハWの線幅のプロファイルを、
図8に示したように、全般的により平坦なものとすることができ、現像処理の面内均一性を向上させることができる。かかる場合、現像ノズル31の移動は、そのようないわば段階的な移動ではなく、連続的に移動させるようにしてもよい。
【0041】
またそのような現像ノズル31移動は、
図5に示したフローチャートのように、本開示におけるステップA、ステップBを繰り返す場合、すなわちLOOP1とLOOP2を実行する場合、LOOP1とLOOP2の各々、あるいはいずれかのLOOPにおいて実行してもよい。
【0042】
さらにまた本開示におけるステップA、ステップBを3回繰り返す場合、すなわちLOOP1~LOOP3を有するプロセスの場合、LOOP1のステップBでは、
図7(a)に示した現像ノズル31の位置(ウェハWの中心Pから距離D1離れた位置)にて吐出し、LOOP2のステップBでは、
図7(b)に示した現像ノズル31の位置(ウェハWの中心PからD2離れた位置)にて吐出し、LOOP3のステップBでは、
図7(c)に示した現像ノズル31の位置(ウェハWの中心Pから距離D3離れた位置)にて吐出するようにしてもよい。すなわち各LOOPごとに吐出位置をずらすようにしてもよい。このようなプロセスによっても、ウェハWの中心Pから中間部にかけての現像を段階的に抑制することができ、それによって現像後のウェハWの線幅のプロファイルを、
図8に示したように、全般的により平坦なものとすることができる。
【0043】
以上説明した現像ノズル31の移動は、ステップBにおいてなされたものであるが、ステップAにおいても、現像ノズル31を中心側から周縁部側に段階的または連続的に移動させて現像液をウェハWに供給するようにしてもよい。
【0044】
さらにまた前記した現像ノズル31の移動は、
図9に示した矢印Мのように第1の位置から周縁部側に段階的または連続的に移動させるものであったが、
図9の破線矢印Nで示したように、ウェハWの周縁部側から中心側に移動させるようにしてもよい。この場合、ウェハWの回転速度は現像ノズル31が周縁部側に位置する時は、相対的低速(第2の速度)とし、現像ノズル31がウェハWの中心部側に位置する時には相対的高速(第1の速度)としてもよい。
【0045】
なお前記した例は、ネガティブタイプのレジストの現像処理に有効なものであったが、これに限らずポジティブタイプのレジストにも有効である。
【0046】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 現像装置
10 筐体
11 スピンチャック
12 回転部
13 回転駆動部
14 送風装置
21 カップ
22 底部
23 排液管
24 排気管
25 排液装置
26 バルブ
27 排気装置
31 現像ノズル
32 ノズル支持部
33 リンスノズル
100 制御装置
P 中心
W ウェハ