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特開2023-82248熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082248
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/04 20060101AFI20230607BHJP
   F28F 3/10 20060101ALI20230607BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
B21D53/04 C
F28F3/10
F28F3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195869
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大作
(72)【発明者】
【氏名】柏原 康力
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】首代 英樹
(57)【要約】
【課題】一対のターミナルプレートとプレート積層体とを適正に溶接することができる熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法は、プレート積層体と、プレート積層体に対して積層方向の両側に配置される一対のターミナルプレートと、一対のターミナルプレートに対して積層方向の両側に配置される一対の拘束プレートとを、積層方向の両側から加圧治具を用いて圧縮するための圧縮工程と(S13、S15)、圧縮工程(S13、S15)の実行中、プレート積層体の周縁部と一対のターミナルプレートのそれぞれの周縁部とを溶接するための溶接工程(S17)と、溶接工程の後、一対の拘束プレートを連結具によって互いに連結させるための連結工程(S19)と、連結工程の後、加圧治具を取り外すための圧解除工程(S21)とを備える。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート積層体と、前記プレート積層体に対して積層方向の両側に配置される一対のターミナルプレートと、前記一対のターミナルプレートに対して前記積層方向の両側に配置される一対の拘束プレートとを、前記積層方向の両側から加圧治具を用いて圧縮するための圧縮工程と、
前記圧縮工程の実行中、前記プレート積層体の周縁部と前記一対のターミナルプレートのそれぞれの周縁部とを溶接するための溶接工程と、
前記溶接工程の後、前記一対の拘束プレートを連結具によって互いに連結させるための連結工程と、
前記連結工程の後、前記加圧治具を取り外すための圧解除工程と
を備える熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記圧縮工程では、積層方向視において前記プレート積層体を取り囲むように位置する前記加圧治具での加圧力の複数の入力点のうち少なくとも2つにおいて、前記加圧力が互いに異なる
請求項1に記載の熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記プレート積層体は、複数のプレートを含み、
前記複数のプレートはそれぞれ、円弧状の第1周縁部と、前記第1周縁部よりも小さい曲率を有する第2周縁部とを有し、
前記加圧力が互いに異なる前記少なくとも2つの入力点は、積層方向視において、前記プレート積層体に対して前記プレートの長手方向の両側にそれぞれ位置する
請求項2に記載の熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法。
【請求項4】
前記圧縮工程は、
前記一対の拘束プレートの前記積層方向の両側に、前記加圧治具に含まれる一対の加圧台を配置するための配置工程と、
前記プレート積層体、前記一対のターミナルプレート、及び前記一対の拘束プレートを積層方向視において避けた複数の位置のそれぞれにて、前記加圧治具に含まれる複数の締結シャフトを用いて前記一対の加圧台を締め付けるための締結工程と
を含む請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記連結工程では、積層方向視において前記プレート積層体を取り囲むように形成される前記一対の拘束プレートの周縁部を、前記連結具を用いて連結する
請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記プレート積層体は、流体の流路となる凹凸部が形成される複数のプレートを含み、
前記圧縮工程では、前記複数のプレートのうち前記積層方向において隣り合う2つの前記プレートのそれぞれの前記凹凸部が互い密着する
請求項1乃至5の何れか1項に記載の熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によって開示される熱交換器は、CO冷媒とNH冷媒との熱交換が実行されるように構成されたプレート積層体を収容する。プレート積層体は、互いに溶接された複数のプレートと、複数のプレートを積層方向の両側から挟む一対のターミナルプレートとを含む。同文献で例示される一対のターミナルプレートの一方は、CO冷媒の流路を塞ぐ。他方のターミナルプレートには、入口管と出口管とが設けられている。入口管と出口管はいずれも、プレート積層体に形成されるCO冷媒の流路と連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5690532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一対のターミナルプレートの周縁部とプレート積層体の周縁部とは、CO冷媒のリークを抑制するために適正に溶接される必要がある。この点、上記特許文献には、適正な溶接がなされるための具体的な方法が開示されていない。
【0005】
本開示の目的は、一対のターミナルプレートとプレート積層体とを適正に溶接することができる熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法は、
プレート積層体と、前記プレート積層体に対して積層方向の両側に配置される一対のターミナルプレートと、前記一対のターミナルプレートに対して前記積層方向の両側に配置される一対の拘束プレートとを、前記積層方向の両側から加圧治具を用いて圧縮するための圧縮工程と、
前記圧縮工程の実行中、前記プレート積層体の周縁部と前記一対のターミナルプレートのそれぞれの周縁部とを溶接するための溶接工程と、
前記溶接工程の後、前記一対の拘束プレートを連結具によって互いに連結させるための連結工程と、
前記連結工程の後、前記加圧治具を取り外すための圧解除工程と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、一対のターミナルプレートとプレート積層体とを適正に溶接することができる熱交換器用のプレート積層体ユニットの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る熱交換器の概念的な断面図である。
図2】一実施形態に係るプレート積層体ユニットの概念的な分解斜視図である。
図3】一実施形態に係るプレート積層体の概念的な斜視図である。
図4】一実施形態に係るプレート積層体ユニットの積層方向視における概念的な説明図である。
図5】一実施形態に係るプレート積層体ユニットの製造方法のフローチャートである。
図6】一実施形態に係るペアプレートの組立て方法の概念的な説明図である。
図7】一実施形態に係る配置工程の概念的な説明図である。
図8】一実施形態に係る締結工程の概念的な説明図である。
図9】一実施形態に係る連結工程の概念的な説明図である。
図10】一実施形態に係る圧解除工程の実行前後におけるプレート積層体の概念的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0010】
<1.熱交換器30の概要の例示>
図1は、本開示の一実施形態に係る熱交換器30の概念的な断面図である。熱交換器30は、1次冷媒回路10を循環するための第1熱媒体Tと、2次冷媒回路20を循環するための第2熱媒体Rとが互いに熱交換するように構成される。第1熱媒体Tは、一例として気相または液相のNHであり、第2熱媒体Rは一例として液相のCOである。第1熱媒体Tと第2熱媒体Rは、上記以外の流体であってもよい。
【0011】
熱交換器30に流入する液相の第1熱媒体Tである第1熱媒体液Teは、第2熱媒体Rから得た熱によって第1熱媒体ガスTvに変化する。つまり、1次冷媒回路10において熱交換器30は第1熱媒体Tの蒸発器として機能する。熱交換器30に流入する第1熱媒体Tの流動様相は気液二相であってもよい。熱交換器30から流出する第1熱媒体ガスTvは、1次冷媒回路10を循環する過程で第1熱媒体液Teに変化し、熱交換器30に戻る。1次冷媒回路10は、圧縮機、凝縮器、及び膨張弁などを備える。一方で、第1熱媒体Tとの熱交換により冷却された第2熱媒体Rは、2次冷媒回路20を循環する過程で冷熱を取り出される。第2熱媒体Rは昇温して熱交換器30に戻る。2次冷媒回路20は、受液器(レシーバ)、ポンプ、及び冷却器などを備える。冷却器は、第2熱媒体Rから冷熱を取り出すように構成される。例えば、冷却器は、2次冷媒回路20を循環する第2熱媒体Rと、冷凍庫の庫内を循環する空気などの熱媒体とを熱交換させるように構成されてもよい。
【0012】
本例の熱交換器30はプレート式熱交換器であり、より詳細にはシェルアンドプレート式熱交換器である。熱交換器30は、例えば第1熱媒体液Teの液溜まりが内部に形成される容器35と、第1熱媒体液Teの液溜まりに浸かるプレート積層体ユニット100とを備える。本例の容器35は、プレート積層体ユニット100に含まれるプレート積層体40の積層方向に延在する円筒状に形成される。また、この容器35には、プレート積層体40に第1熱媒体液Teを吐出するための吐出管50と、容器35の内部で生じた第1熱媒体ガスTvを排出するための排出ダクト60とが設けられる。排出ダクト60には、第1熱媒体ガスTvが流入可能な複数の連通口63が設けられる。本例では、第1熱媒体液Teの液溜まりに浸かったプレート積層体40の内部を第2熱媒体Rが流れ、第1熱媒体液Teと第2熱媒体Rは熱交換を行う。熱交換によって生じた第1熱媒体ガスTvは、排出ダクト60を経由して熱交換器30から排出される。
【0013】
<2.プレート積層体ユニット100の構成の例示>
図2は、本開示の一実施形態に係るプレート積層体ユニット100の概念的な分解斜視図である。図3は、本開示の一実施形態に係るプレート積層体40の概念的な斜視図である。図4は、本開示の一実施形態に係るプレート積層体ユニット100の積層方向視における概念的な説明図である。
【0014】
図2に示すように、プレート積層体ユニット100は、積層された複数のプレート44を含むプレート積層体40を備える。プレート積層体40の積層方向は、各プレート44の厚さ方向と略一致する。さらにプレート積層体ユニット100は、プレート積層体40に対して積層方向の両側に配置される一対のターミナルプレート110と、一対のターミナルプレート110に対して積層方向の両側に配置される一対の拘束プレート120と、一対の拘束プレート120を互いに連結する連結具130とを備える。
【0015】
図2図3に示すように、プレート積層体40の複数のプレート44のそれぞれには、第1連通開口41と第2連通開口42とが形成されている。第1連通開口41と第2連通開口42はいずれも、第2熱媒体Rの流路である第2流路32の一部を形成する。各プレート44の壁面には、直線状に延在する複数の凹凸部43が形成されている。凹凸部43は一例としてプレス加工によって形成されており、片面側に形成される凹凸部43は凸部であり、もう一方の片面側に形成される凹凸部43は凹部である。さらに、片面側に形成される複数の凹凸部43に相当する複数の凸部の間は凹部であると了解される。同様の考え方に則り、もう一方の片面側に形成される複数の凹凸部43に相当する複数の凹部の間は凸部であると了解される。
【0016】
図3に示すように、プレート積層体40では、一対のプレート44によって形成されるペアプレート47が複数セット配置されている。一対のプレート44では、2つの第1連通開口41の周縁部が互いに溶接されており、且つ、2つの第2連通開口42の周縁部が互いに溶接されている。これら一対のプレート44のそれぞれの外側の周縁部49は溶接されていないため、一対のプレート44の間には第1熱媒体Tの流路である第1流路31が形成される。第1連通開口41と第2連通開口42のそれぞれの内側空間と、第1流路31とは、第1連通開口41と第2連通開口42の周縁部に形成される溶接部によって仕切られる。各ペアプレート47を構成する一対のプレート44は、凹凸部43の凸部が互いに向かい合うように配置されている。そして、一対のプレート44は、これらの凹凸部43が互いに密着するように互いに押し付けられており(圧縮されており)、これにより、第1流路31の流路長が増大し、第1熱媒体Tと第2熱媒体Rとの熱交換が促進される。
【0017】
積層方向に隣り合う2セットのペアプレート47では、各々の外側の周縁部49が互いに溶接されている。これにより、一対のペアプレート47の間は、容器35の内部空間から仕切られた第2熱媒体Rの第2流路32が形成される。
【0018】
上記構成を有するプレート積層体40の積層方向の一方側の第1連通開口41は入口管7と連通し、第2連通開口42には出口管6と連通する。また、本実施形態の各プレート44の周縁部49は、円弧状に形成された第1周縁部71と、第1周縁部71よりも小さい曲率を有する第2周縁部72とを有する。これにより、積層方向視において各プレート44は長手方向と短手方向を有する。第2周縁部72は、第1周縁部71よりも長手方向において長く、且つ、第1周縁部71よりも上側に配置される。従って、吐出管50から吐出される第1熱媒体液Teは、各プレート44に当たり易く、第1熱媒体Tと第2熱媒体Rとの熱交換が促進される。なお、第2周縁部72は、湾曲していてもよいし、扁平状に形成されてもよい。一方で、下側に配置される第1周縁部71は、吐出される第1熱媒体液Teが当たりやすい形状を呈する必要は必ずしもない。また、第1周縁部71と容器35の内壁面との隙間が小さくなるほど、プレート44の大型化が実現し、第1熱媒体Tと第2熱媒体Rとの熱交換を促進できる。従って、第1周縁部71は、円筒状の容器35に倣った円弧状に形成されるのが好ましい。なお、他の実施形態では、各プレート44は、円形状または楕円形状に形成されてもよい。
【0019】
図2に戻り、一対のターミナルプレート110は、それぞれ、複数のプレート44と略同じ外形形状を呈する。一対のターミナルプレート110は、それぞれ、複数のプレート44のうちで積層方向の最も外側に位置する一対のプレート44に溶接される。より具体的な一例として、各プレート44の周縁部49と各ターミナルプレート110の周縁部119は、それぞれの周方向の全長に亘って溶接される。また、積層方向の一方側に位置するターミナルプレート110には、入口管7と出口管6とが接合されている。上述したように、入口管7と出口管6は、一方側に位置するプレート44の第1連通開口41と第2連通開口42にそれぞれ連通している。
【0020】
図2図4で示される拘束プレート120には、入口管7と出口管6がそれぞれ内側に配置される第1開口121と第2開口122とが設けられる(図4ではターミナルプレート110の図示を省略している)。拘束プレート120の周縁部129は、積層方向視においてプレート積層体40の周縁部49を取り囲むように形成される。言い換えると、積層方向視において、周縁部129の周方向の全長に亘って、周縁部129は周縁部49の外側に位置する。連結具130は積層方向に延在するバーである。本例では複数の連結具130のそれぞれの両端が、一対の拘束プレート120のそれぞれの周縁部129に溶接される。周縁部129が周縁部49よりも積層方向視において外側に位置するので、複数の連結具130はいずれも、プレート積層体40及び一対のターミナルプレート110から離隔する。
【0021】
上述したようにプレート積層体40は、圧縮された状態で配置されており、プレート積層体40の少なくとも一部は積層方向に弾性変形している。圧縮されたプレート積層体40の復元は一対の拘束プレート120と連結具130によって阻止される。つまり、プレート積層体40の復元力に起因した引張り応力が複数の連結具130に作用している。なお、圧縮されたプレート積層体40の一部は塑性変形していてもよい。
【0022】
<3.プレート積層体ユニット100の製造方法の例示>
図5は、本開示の一実施形態に係る熱交換器用のプレート積層体ユニット100の製造方法を示すフローチャートである(以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する場合がある)。図6は、本開示の一実施形態に係るペアプレート47の組立て方法の概念的な説明図である。図7は、本開示の一実施形態に係る配置工程の概念的な説明図である。図8は、本開示の一実施形態に係る締結工程の概念的な説明図である。図9は、本開示の一実施形態に係る連結工程の概念的な説明図である。
【0023】
図5に示すように、はじめに、プレート積層体40の組立て工程が実行される(S11)。例えば、図6で示されるように、一対のプレート44のそれぞれの第1連通開口41の周縁部が互いに溶接され、且つ、それぞれの第2連通開口42の周縁部が互いに溶接される。これによりペアプレート47が完成する。このとき、一対のプレート44のそれぞれの凹凸部43は互いに密着されていなくてもよい。ペアプレート47を作製する作業が繰り返され、複数セットのペアプレート47が用意される。その後、図3に示すように、1セットのペアプレート47のそれぞれの周縁部49を溶接する作業を繰り返す。これにより、プレート積層体40の組立てが完了する。
【0024】
図5に戻り、プレート積層体ユニット100を製造に必要な各種部品が配置される(S13)。例えば、図7で示されるように、プレート積層体ユニット100を圧縮するための加圧治具200が用意される。加圧治具200は、一対の加圧台210と、複数の締結シャフト220(図8参照)と、複数のナット(図示外)を含む。下側に配置される一方の加圧台210には下側から順に、拘束プレート120、ターミナルプレート110、プレート積層体40、ターミナルプレート110、及び拘束プレート120が載置される。そして、拘束プレート120の上側に他方の加圧台210が配置される。これにより、積層方向の内側から順に(プレート積層体40の積層方向の中心側から順に)、プレート積層体40、一対のターミナルプレート110、一対の拘束プレート120、及び一対の加圧台210が配置される。
【0025】
加圧台210の周縁部は、積層方向視において、一対の拘束プレート120を取り囲む。言い換えると、積層方向視において、加圧台210の周縁部はその周方向の全長に亘って、拘束プレート120の周縁部129の外側に位置する。また、加圧台210には、複数の差込穴212が設けられる。複数の差込穴212はいずれも、積層方向視において、一対の拘束プレート120の周縁部129に対して外側に位置する。言い換えると、各差込穴212は、プレート積層体40、一対のターミナルプレート110、及び一対の拘束プレート120を積層方向において避けた位置に配置される。複数の差込穴212は、積層方向に開放されると共に、積層方向と直交する水平方向に沿って開口する。さらに、複数の差込穴212のうち2つの差込穴212Aは積層方向視において、プレート44の長手方向両端を間にして配置される。
【0026】
図5に戻り、加圧治具200の一対の加圧台210を締め付ける締結工程が実行される(S15)。例えば、図8で示されるように、複数の差込穴212のそれぞれに複数の締結シャフト220が差込まれる。締結シャフト220の外周面にはおねじが形成されており、差込まれた複数の締結シャフト220の上端部にはそれぞれ複数のナット(図示外)が取り付けられる。各ナットは、加圧台210に上から押し当てられるように締め付けられる。これにより、上側の加圧台210には加圧力が付与され、一対の加圧台210は締め付けられる。つまり、一対の加圧台210は、一対の拘束プレート120と一対のターミナルプレート110とを介してプレート積層体40に対して圧縮力を付与する。結果、プレート積層体40は圧縮され、ペアプレート47を構成する2つのプレート44の凹凸部43が互いに密着する。また、一対の拘束プレート120はプレート積層体40の圧縮に伴い互いに近接する。
【0027】
複数の差込穴212の周縁と複数のナットとのそれぞれの接触位置は、加圧力が付与される入力点Pである。本例の入力点Pの個数は6個である。複数の入力点Pは、積層方向視においてプレート積層体40を取り囲むように位置する。そして、上側の加圧台210での複数の入力点Pのうち少なくとも2つにおいて、加圧力が異なる。つまり、複数の入力点Pのうち少なくとも2つにおいて、ナットの締め付け量が互いに異なる。加圧力が異なることによる利点は後述する。
【0028】
補足すると、締結シャフト220が鉛直方向に沿って差込穴212に差込まれる場合、プレート積層体40の積層方向長さが増えるほど、差込みの作業性が低下するおそれがある。この点、本実施形態の各差込穴212は水平方向に開放されているので、締結シャフト220を水平方向に沿って差込穴212に差込むことができる。よって、プレート積層体40が積層方向に長くても、差込みの作業性が損なわれることはない。
【0029】
図5図8に戻り、プレート積層体40の周縁部49と、一対のターミナルプレート110のそれぞれの周縁部119とを溶接する溶接工程が実行される(S17)。このとき、加圧治具200による加圧が実行されているため、周縁部49、119はそれぞれの周方向の全長に亘って互いに密着している。これら密着した周縁部49、119に対して溶接がおこなわれる。従って、溶接部150はその周方向の全長に亘って、適正に仕上がる。
【0030】
図5図9に示すように、その後、一対の拘束プレート120を連結具130によって互いに連結する連結工程が実行される(S19)。図9の例では、積層方向に延在する複数の連結具130のそれぞれの両端が、一対の拘束プレート120の周縁部129のそれぞれに溶接によって連結される。これにより、プレート積層体ユニット100が加圧治具200によって加圧された状態で組立てられる。
【0031】
図5に戻り、加圧治具200を取り外す圧解除工程が実行される(S21)。より詳細には、複数のナットがそれぞれ複数の締結シャフト220から取り外される。これにより、加圧治具200を用いた圧縮は終了するが、プレート積層体40は一対の拘束プレート120と連結具130によって圧縮された状態で拘束される。従って、加圧治具200による圧縮が終了した後も、プレート積層体40は殆ど復元せずに圧縮された状態を維持する。その後、複数の締結シャフト220と上側の加圧台210が取り除かれ、プレート積層体ユニット100が取り出される。以上でプレート積層体ユニット100の製造は完了する。可搬性を有するプレート積層体ユニット100は、その後、熱交換器30の容器35に収容される。
【0032】
上記構成によれば、プレート積層体40、一対のターミナルプレート110、及び一対の拘束プレート120を積層方向の両側から加圧治具200で圧縮する圧縮工程であるS13及びS15の実行によって、プレート積層体40の周縁部49と一対のターミナルプレート110の周縁部119は、それぞれの周方向の全長に亘って密着することができる。周縁部49、119が密着した状態で溶接工程(S17)が実行されるので、これら周縁部49、119をそれぞれの周方向の全長に亘って適正に溶接することができる。また連結工程(S19)の実行前に周縁部49、119を溶接するので、連結具130が溶接工程(S17)の邪魔になることもない。以上より、プレート積層体40と一対のターミナルプレート110を簡易且つ適正に溶接することができる、熱交換器用のプレート積層体ユニット100の製造方法を実現できる。さらに圧解除工程(S21)が実行された後も、圧縮されたプレート積層体40の復元を連結具130は阻止し、溶接部150での引張り応力は抑制される。より詳細には、高圧流体としての第2熱媒体Rがプレート積層体40の第2流路32を流れることに起因してプレート積層体40とターミナルプレート110とを引き離す大きな力が発生しても、連結具130がこの力を受けるので、溶接部150における引張り応力を抑制できる。よって、熱交換器30の使用に適応できる熱交換器用のプレート積層体ユニット100の製造方法が実現する。
【0033】
また、締結工程(S15)では、プレート積層体40、一対のターミナルプレート110、及び一対の拘束プレート120を積層方向視において避けた複数の位置(本実施形態では複数の入力点P)のそれぞれにて、加圧治具200に含まれる複数の締結シャフト220を用いた一対の加圧台210の締め付けが実行される。上記構成によれば、複数の締結シャフト220が、プレート積層体40、ターミナルプレート110、及び一対の拘束プレート120から離隔する状態で一対の加圧台210は締め付けられる。これにより、締結工程よりも後の後溶接工程(S17)の実行時に、複数の締結シャフト220が邪魔にならない。よって、溶接工程を容易化できる。
【0034】
また、連結工程(S19)では、積層方向視において、プレート積層体40を取り囲むように形成される一対の拘束プレート120の周縁部129が、連結具130を用いて連結される。上記構成によれば、拘束プレート120の周縁部129が積層方向視においてプレート積層体40を取り囲むように形成されるので、連結具130はプレート積層体40から離隔して一対の拘束プレート120に連結される。よって、連結工程(S19)の実行時にプレート積層体40が邪魔にならないので、連結工程(S19)を容易化できる。
【0035】
プレート積層体40は、第1流路31と第2流路32となる凹凸部43が形成される複数のプレート44を含む。上記の圧縮工程に相当するS13、S15では、複数のプレート44のうち積層方向に隣り合う2つのプレート44のそれぞれの凹凸部43が互いに密着する。上記構成によれば、圧解除工程(S21)が実行された後も、一対のプレート44及び連結具130によってプレート積層体40の復元が阻止されるので、隣り合う2つのプレート44において、これら凹凸部43は互いに接触した状態を維持することができる。これにより、第1流路31の流路長を増大できるので、プレート積層体40における熱交換を促進することができる。
【0036】
<4.入力点Pに応じて加圧力が異なる利点の例示>
図9図10を参照して、締結工程(S15)において加圧力が入力点Pに応じて異なる利点を例示する。図10は、本開示の一実施形態に係る圧解除工程(S21)の実行前後におけるプレート積層体40の概念的な説明図である。図10では、説明を判り易くする都合、加圧治具200による加圧力の入力点Pを2つに絞って概念的に図示する。
【0037】
図10に示すように、圧解除工程が実行されることに伴って加圧力が解除されると、一対の拘束プレート120と連結具130とによる拘束があるものの、プレート積層体40は積層方向に僅かに復元する。積層方向における復元量は、プレート積層体40の積層方向長さに対して1%以下であり、より具体的には0.5%以下である。
【0038】
しかしながら、復元量が小さくても、圧解除工程が実行されることに伴ってプレート積層体40が傾くことがある。傾きが生じる理由は以下の通りである。
【0039】
締結工程(S15)が実行されることに伴ってプレート積層体40の内部で生じるひずみは、プレート積層体40において偏って生じる。これは、プレート積層体40の複数のプレート44が厳密には同一形状でないこと、単一のプレート44において複数の凹凸部43の配置パターン(例えば密集度)に差異があることなどが要因であると考えられる。特に、単一のプレート44において凹凸部43の密集度が不均一であれば、当該プレート44に内包されるひずみ量は不均一になる。その結果、プレート積層体40に対して均等な加圧力が付与された場合、圧解除工程(S21)が実行されることにより確認されるプレート積層体40の復元量が均一にならず、プレート積層体40の積層方向は変わり、プレート積層体40は傾く。発明者らの知見によれば、どちらに傾くかは、複数の入力点Pのそれぞれの位置、プレート積層体40の形状、凹凸部43の配置パターン、及び各凹凸部43の形状などによって決まる。図10の上段の例では、締結工程の実行時に均等な加圧力が付与されても、プレート積層体40における片側(図10の例では左側)では比較的大きなひずみ(比較的大きな圧縮)が現れる。その結果、圧解除工程が実行されることによるプレート積層体40における復元量は、プレート積層体40の片側で大きく、圧解除工程の実行に伴いプレート積層体40の傾きは大きくなる。図10の例では、寸法L2は寸法L1よりも大きい。なお、寸法L1は0であってもよい。
【0040】
この点、本実施形態では締結工程(S15)において、積層方向の復元量が均一にならないことを踏まえて、加圧力を複数の入力点Pのうち少なくとも2つにおいて異ならせる調整が実行される(図10の下段)。これにより、復元量が大きくなる傾向にある片側での加圧力が大きくなるので、プレート積層体40の片側の部位の弾性変形量は増大する。このような弾性変形量の調整がなされた締結状態のまま連結工程(S19)が実行され、弾性変形量に偏差が生じているプレート積層体40の状態が連結具130によって保持(拘束)される。よって、圧解除工程(S21)が実行された場合に、プレート積層体40の片側の部位での復元量は、連結具130による拘束がなされているので、調整された弾性変形量分、低減する。従って、プレート積層体40の復元量は均一化する。図10の例では、寸法L4は寸法L2よりも小さく、プレート積層体40の傾きは抑制される。ゆえに、傾きを抑制したプレート積層体ユニット100を製造することができる。なお、加圧力を異ならせることでプレート積層体40にて生じる均等な復元量と、加圧力を等しくすることでプレート積層体40にて生じる不均等な復元量は、いずれも、プレート積層体40の積層方向長さに対して1%以下であり、より具体的には0.5%以下である。
【0041】
また、上述したように熱交換器30の容器35の内壁面と、容器35に収容されるプレート積層体40との隙間は小さい方が好ましい。この点、プレート積層体40の傾きが抑制されるので、プレート積層体40の外形寸法のバラつきを抑制することができ、上記の隙間の寸法を小さくしたプレート積層体40を製造できる。つまり、規定寸法を有する容器35に収容されるプレート積層体40を大きくすることができるので、熱交換器30における第1熱媒体Tと第2熱媒体Rとの熱交換を促進した熱交換器30を実現することができる。
【0042】
また、図8に戻り、加圧力が互いに異なる少なくとも2つの入力点Pは、一対の入力点Pcを含む。一対の入力点Pcは、積層方向視において、プレート積層体40に対してプレート44の長手方向の両側にそれぞれ位置する。発明者らの知見によれば、締結工程(S15)の実行に伴ってプレート積層体40において生じるひずみは、プレート44の長手方向に不均一になる傾向がある。上記構成によれば、複数のプレート44の各々の長手方向両端部に付与される圧縮力が不均一になるため、圧解除工程(S21)が実行された後のプレート積層体40の傾きを効果的に抑制することができる。
【0043】
なお、他の実施形態では、複数の入力点Pのうち、一対の入力点Pc以外の2以上の入力点Pにおいても、加圧力が互いに異なってもよい。また、プレート積層体40に対して均等な加圧力を付与したときのプレート積層体40でのひずみの偏在傾向(プレート積層体40での復元量の偏在傾向)を予め把握しておけば、複数の入力点Pにおいてどのように加圧力を不均等にすればよいかも判明する。その結果、圧解除工程(S21)が実行された後のプレート積層体40の傾きをより効果的に抑制することができる。
【0044】
<5.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0045】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法は、
プレート積層体(40)と、前記プレート積層体(40)に対して積層方向の両側に配置される一対のターミナルプレート(110)と、前記一対のターミナルプレート(110)に対して前記積層方向の両側に配置される一対の拘束プレート(120)とを、前記積層方向の両側から加圧治具(200)を用いて圧縮するための圧縮工程(S13、S15)と、
前記圧縮工程(S13、S15)の実行中、前記プレート積層体(40)の周縁部(49)と前記一対のターミナルプレート(110)のそれぞれの周縁部(119)とを溶接するための溶接工程(S17)と、
前記溶接工程(S17)の後、前記一対の拘束プレート(120)を連結具(130)によって互いに連結させるための連結工程(S19)と、
前記連結工程の後、前記加圧治具(200)を取り外すための圧解除工程(S21)と
を備える。
【0046】
上記1)の構成によれば、圧縮工程(S13、S15)の実行によって、プレート積層体(40)の周縁部(49)と一対のターミナルプレート(110)の周縁部(119)は、それぞれの周方向の全長に亘って密着することができる。これら周縁部(49、119)が密着した状態で溶接工程(S17)が実行されるので、プレート積層体(40)の周縁部(49)と一対のターミナルプレート(110)のそれぞれの周縁部(119)とを、それぞれの周方向の全長に亘って適正に溶接することができる。また、連結工程(S19)の実行前に、これらの周縁部(49、119)を溶接するので、連結具(130)が溶接工程(S17)の邪魔になることもない。以上より、プレート積層体(40)と一対のターミナルプレート(110)を簡易且つ適正に溶接することができる、熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法を実現できる。さらに、圧解除工程(S21)が実行された後も、圧縮されたプレート積層体(40)の復元を連結具(130)は阻止し、溶接工程(S17)の実行に伴い生じる溶接部(150)での引張り応力は抑制される。例えば、高圧流体(第2熱媒体R)がプレート積層体(40)の流路(第2流路32)を流れることに起因してプレート積層体(40)とターミナルプレート(110)とを引き離す大きな力が発生しても、連結具(130)がこの力を受けるので、溶接部(150)における引張り応力を抑制できる。よって、熱交換器(30)の使用に適応できる熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法が実現する。
【0047】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法であって、
前記圧縮工程(S13、S15)では、積層方向視において前記プレート積層体(40)を取り囲むように位置する前記加圧治具(200)での加圧力の複数の入力点(P)のうち少なくとも2つにおいて、前記加圧力が互いに異なる。
【0048】
圧縮工程(S13、S15)の実行中にプレート積層体(40)において生じるひずみは偏って発生する傾向がある。この場合、圧解除工程(S21)の実行に伴いプレート積層体(40)において生じる積層方向の復元量は均一にならない。そのため、圧解除工程(S21)が実行されるとプレート積層体(40)の積層方向は変わり、プレート積層体(40)は傾く傾向にある。この点、上記2)の構成によれば、積層方向の復元量が均一にならないことを踏まえて圧縮工程(S13、S15)における加圧力を、複数の入力点(P)のうち少なくとも2つにおいて異ならせるので、復元量が大きいと判っているプレート積層体(40)の部位では比較的大きな圧縮力が加わる。そして、該部位の弾性変形量を増大させる調整がなされた締結状態のまま連結工程(S19)が実行され、プレート積層体(40)は、弾性変形量に偏差が生じている状態で保持される。これにより、弾性変形量が大きくなる傾向にある部位の復元量は圧解除工程(S21)の実行時に低減し、プレート積層体(40)の復元量は均一化する。よって、傾きを抑制したプレート積層体ユニット(100)を製造することができる。これにより、プレート積層体(40)の外形寸法のバラつきを抑制することができるので、規定寸法を有する熱交換器(30)の容器(35)に収容されるプレート積層体(40)を大きくすることができ、熱交換を促進した熱交換器(30)を実現することができる。
【0049】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法であって、
前記プレート積層体(40)は、複数のプレート(44)を含み、
前記複数のプレート(44)はそれぞれ、円弧状の第1周縁部(71)と、前記第1周縁部よりも小さい曲率を有する第2周縁部(72)とを有し、
前記加圧力が互いに異なる前記少なくとも2つの入力点(P)は、積層方向視において、前記プレート積層体(40)に対して前記プレート(44)の長手方向の両側にそれぞれ位置する。
【0050】
発明者らの知見によれば、圧縮工程(S13、S15)の実行に伴ってプレート積層体(40)において生じるひずみは、プレート(44)の長手方向に不均一になる傾向がある。上記3)の構成によれば、複数のプレート(44)の各々の長手方向両端部に付与される圧縮力が不均一になるため、圧解除工程(S21)が実行された後のプレート積層体(40)の傾きを効果的に抑制することができる。
【0051】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)のいずれかに記載の熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法であって、
前記圧縮工程(S13、S15)は、
前記一対の拘束プレート(120)の前記積層方向の両側に、前記加圧治具(200)に含まれる一対の加圧台(210)を配置するための配置工程(S13)と、
前記プレート積層体(40)、前記一対のターミナルプレート(110)、及び前記一対の拘束プレート(120)を積層方向視において避けた複数の位置のそれぞれにて、前記加圧治具(200)に含まれる複数の締結シャフト(220)を用いて前記一対の加圧台(210)を締め付けるための締結工程(S15)と
を含む。
【0052】
上記4)の構成によれば、複数の締結シャフト(220)が、プレート積層体(40)、ターミナルプレート(110)、及び一対の拘束プレート(120)から離隔する状態で一対の加圧台(210)は締め付けられる。これにより、締結工程(S15)よりも後の溶接工程(S17)の実行時に、複数の締結シャフト(220)が邪魔にならない。よって、溶接工程(S17)を容易化できる。
【0053】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)のいずれかに記載の熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法であって、
前記連結工程(S19)では、積層方向視において前記プレート積層体(40)を取り囲むように形成される前記一対の拘束プレート(120)の周縁部(129)を、前記連結具(130)を用いて連結する。
【0054】
上記5)の構成によれば、拘束プレート(120)の周縁部(129)が、積層方向視においてプレート積層体(40)を取り囲むように形成されるので、連結具(130)は、プレート積層体(40)から離隔して一対の拘束プレート(120)に連結される。よって、連結工程(S19)の実行時にプレート積層体(40)が邪魔にならないので、連結工程(S19)を容易化できる。
【0055】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)のいずれかに記載の熱交換器用のプレート積層体ユニット(100)の製造方法であって、
前記プレート積層体(40)は、流体(第1熱媒体)の流路(第1流路31)となる凹凸部(43)が形成される複数のプレート(44)を含み、
前記圧縮工程(S13、S15)では、前記複数のプレート(44)のうち前記積層方向において隣り合う2つの前記プレート(44)のそれぞれの前記凹凸部(43)が互い密着する。
【0056】
上記6)の構成によれば、圧解除工程(S21)が実行されても、一対の拘束プレート(120)及び連結具(130)によってプレート積層体(40)の復元が阻止されるので、積層方向に隣り合う2つのプレートの凹凸部(43)は互いに接触した状態を維持できる。これにより、流体(第1熱媒体T)の流路(第1流路31)の流路長を増大できるので、プレート積層体(40)における熱交換を促進することができる。
【符号の説明】
【0057】
30 :熱交換器
40 :プレート積層体
43 :凹凸部
44 :プレート
49、119 :周縁部
71 :第1周縁部
72 :第2周縁部
100 :プレート積層体ユニット
110 :ターミナルプレート
120 :拘束プレート
129 :周縁部
130 :連結具
200 :加圧治具
210 :加圧台
220 :締結シャフト
P、Pc :入力点


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10