(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082554
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】筐体及びプローバ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230607BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230607BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20230607BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 A
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196404
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】長島 秀明
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AG12
2G003AH04
2G003AH05
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD10
4M106DD23
4M106DG28
4M106DG29
4M106DJ04
4M106DJ05
4M106DJ07
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA32
5F131HA09
(57)【要約】
【課題】 検査のスループットの低下を招くことなく、各階層で生じた振動による影響を効果的に低減することが可能なプローバ用の筐体及びその筐体を適用したプローバを提供する。
【解決手段】 複数の測定部30が多段に積層された階層構造を有するプローバ用の筐体1は、階層構造の各階層の床面を構成するフロアベース10と、複数の階層のうち、一の階層のフロアベース10と、一の階層の上段に位置する他の階層のフロアベース10との間に配置され、測定部30の両側部に位置する側部フレーム体20と、を備え、側部フレーム体20は、一の階層のフロアベース10に立設され、他の階層のフロアベースの下面側を支持する第1側部フレーム21と、第1側部フレーム21とは異なる位置で一の階層のフロアベース10に立設され、測定部30に配置される測定部構成部材を支持する第2側部フレーム22と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定部が多段に積層された階層構造を有するプローバ用の筐体であって、
前記階層構造の各階層の床面を構成するフロアベースと、
複数の階層のうち、一の階層の前記フロアベースと、前記一の階層の上段に位置する他の階層の前記フロアベースとの間に配置され、前記測定部の両側部に位置する側部フレーム体と、
を備え、
前記側部フレーム体は、
前記一の階層の前記フロアベースに立設され、前記他の階層の前記フロアベースの下面側を支持する第1側部フレームと、
前記第1側部フレームとは異なる位置で前記一の階層の前記フロアベースに立設され、前記測定部に配置される測定部構成部材を支持する第2側部フレームと、
を有する、プローバ用の筐体。
【請求項2】
前記複数の階層のうち、最上段以外の階層に前記側部フレーム体が配置される、
請求項1に記載のプローバ用の筐体。
【請求項3】
前記測定部構成部材を保持する保持部を有するヘッドプレートを有し、
前記ヘッドプレートの下面側が前記第2側部フレームに支持される、
請求項2に記載のプローバ用の筐体。
【請求項4】
前記第2側部フレームは、前記第1側部フレームに隣接した位置に並設される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のプローバ用の筐体。
【請求項5】
前記測定部構成部材は、ポゴフレーム、プローブカード、又は、テストヘッドである、
請求項1から4のいずれか1項に記載のプローバ用の筐体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のプローバ用の筐体を備え、
前記一の階層には、少なくとも2以上の前記測定部が設けられ、
検査対象であるウェハを、前記一の階層に配置された前記測定部の各々に移動可能な移動ステージを備える、
プローバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ上に形成された複数の半導体装置(チップ)の電気的特性の検査を行うプローバ、特に、多段状に積層された複数の測定部を有するプローバ用の筐体、及びその筐体を適用したプローバに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、多数の工程を有し、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、半導体ウェハ上に半導体装置の複数のチップが形成された段階で、各チップの半導体装置の電極パッドをテストヘッドに接続し、テストヘッドから電源及びテスト信号を供給し、半導体装置の出力する信号をテストヘッドで測定して、正常に動作するかを電気的に検査するウェハレベル検査が行われている。
【0003】
ウェハレベル検査は、ウェハ上の各チップの電極パッドにプローブを接触させるプローバを使用して行われる。プローブはテストヘッドの端子に電気的に接続され、テストヘッドからプローブを介して各チップに電源及びテスト信号が供給されると共に各チップからの出力信号をテストヘッドで検出して正常に動作するかを測定する。
【0004】
半導体製造工程においては、製造コストの低減のために、ウェハの大型化や一層の微細化(集積化)が進められており、1枚のウェハ上に形成されるチップの個数が非常に大きくなっている。それに伴って、プローバでの1枚のウェハの検査に要する時間も長くなっており、スループットの向上が求められている。
【0005】
そこで、スループットの向上を図るため、多数のプローブを設けて複数個のチップを同時に検査できるようにするマルチプロービングが行われている。近年、同時に検査するチップ数は益々増加し、ウェハ上のすべてのチップを同時に検査する試みも行われている。そのため、電極パッドとプローブを接触させるアライメントの許容誤差が小さくなっており、プローバにおける移動の位置精度を高めることが求められている。
【0006】
スループットを増加するもっとも簡単な方法として、プローバの台数を増加させることが考えられるが、プローバの台数を増加させると、製造ラインにおけるプローバの設置面積も増加するという問題を生じる。また、プローバの台数を増加させると、その分装置コストも増加することになる。そのため、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを増加させることが求められている。
【0007】
このような問題に対し、多段状に積層された複数の測定部を有するプローバが提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。このプローバでは、複数の測定部が多段状に積層された階層構造(多段構造)を有するため、ウェハレベル検査を測定部毎に行うことができ、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを向上させることができる。
【0008】
一方、特許文献3には、複数のテスタが多段状に配置された検査装置において、各階層のテスタに対してウェハを搬送する搬送ステージを階層毎に備え、各階層の搬送ステージの移動を制御するコントローラが、複数の階層のうち、一の階層の搬送ステージが動作中の場合は他の階層の搬送ステージの動作を制限する制御を行うことで、他の階層の搬送ステージが動作することにより生じる振動の影響を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-028296号公報
【特許文献2】特開2016-181690号公報
【特許文献3】特開2021-052065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1、2に開示されたプローバでは、ウェハチャックを着脱自在に保持して、ウェハチャックに保持されたウェハとプローブカードとの相対的な位置合わせ(アライメント)を行うためのアライメント装置(移動ステージ)が階層毎に設けられている。このアライメント装置は、各階層に配置された複数の測定部間で相互に移動可能に構成されている。このようなプローバが、複数の区画を形成する複数のフレームを組み合わせて一体とした筐体(一体型筐体)によって構成される場合、次のような問題がある。
【0011】
すなわち、上記プローバでは、各階層にはそれぞれ複数の測定部間を相互に移動可能なアライメント装置が設けられるため、一の階層においてアライメント装置を移動させると、そのアライメント装置の移動による振動が、筐体を構成するフレームを介して、他の階層に配置される測定部に対して伝播しやすい構造となっている。そのため、アライメントの精度が悪化して、ウェハとプローブカードのプローブとの十分なコンタクト精度を確保することができず、検査精度の低下を招く虞がある。
【0012】
一方、特許文献3に開示された技術では、複数の階層のうち、一の階層の搬送ステージが動作中の場合は他の階層の搬送ステージの動作が制限されるため、搬送ステージの移動に要する時間が増えてしまい、検査のスループットが低下してしまうという虞がある。
【0013】
また、特許文献3に開示された技術は、搬送ステージの移動による振動に対してのみ有効であり、他の原因により定常的に発生する振動、例えば、他の階層のテストヘッドの異常による振動などに対しては効果がないという問題もある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の測定部が多段に積層された階層構造を有するプローバ用の筐体において、検査のスループットの低下を招くことなく、各階層で生じた振動による影響を効果的に低減することが可能なプローバ用の筐体及びその筐体を適用したプローバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、以下の発明を提供する。
【0016】
第1の態様に係るプローバ用の筐体は、複数の測定部が多段に積層された階層構造を有するプローバ用の筐体であって、階層構造の各階層の床面を構成するフロアベースと、複数の階層のうち、一の階層のフロアベースと、一の階層の上段に位置する他の階層のフロアベースとの間に配置され、測定部の両側部に位置する側部フレーム体と、を備え、側部フレーム体は、一の階層のフロアベースに立設され、他の階層のフロアベースの下面側を支持する第1側部フレームと、第1側部フレームとは異なる位置で一の階層の前記フロアベースに立設され、測定部に配置される測定部構成部材を支持する第2側部フレームと、を有する。
【0017】
第2の態様に係るプローバ用の筐体は、第1の態様において、複数の階層のうち、最上段以外の階層に前記側部フレーム体が配置される。最上段の階層の構成を最上段以外の階層よりも簡略にすることにより、最上段の階層を軽量化して筐体全体の構造を安定化することができる。
【0018】
第3の態様に係るプローバ用の筐体は、第2の態様において、測定部構成部材を保持する保持部を有するヘッドプレートを有し、ヘッドプレートの下面側が第2側部フレームに支持される。
【0019】
第4の態様に係るプローバ用の筐体は、第1から第3の態様のいずれか1つの態様において、第2側部フレームは、第1側部フレームに隣接した位置に並設される。
【0020】
第5の態様に係るプローバ用の筐体は、第1から第4の態様のいずれか1つの態様において、測定部構成部材は、ポゴフレーム、プローブカード、又は、テストヘッドである。
【0021】
第6の態様に係るプローバは、第1から第5の態様のいずれか1つの態様に係るプローバ用の筐体を備え、一の階層には、少なくとも2以上の測定部が設けられ、検査対象であるウェハを、一の階層に配置された測定部の各々に移動可能な移動ステージを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の測定部が多段に積層された階層構造を有するプローバ用の筐体において、検査のスループットの低下を招くことなく、各階層で生じた振動による影響を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図である。
【
図3】
図1の測定ユニットの内部構造を示した図(正面図)である。
【
図4】
図1の測定ユニットの内部構造を示した図(側面図)である。
【
図6】テストヘッド、ポゴフレーム、プローブカード、及びウェハチャックが一体化された状態を示した図である。
【
図7】筐体の別の構成例(比較例)を示した図(正面図)である。
【
図8】筐体の別の構成例(比較例)を示した図(側面図)である。
【
図9】本実施形態に係る筐体の効果を説明する図である。
【
図10】本実施形態に係る筐体の効果を説明する図である。
【
図11】本実施形態に係る筐体の変形例を示した図(側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい一実施形態について説明する。以下では、本実施形態に係るプローバ100について説明を行ってから、そのプローバ100に適用される筐体1について説明する。
【0025】
[プローバ]
まず、
図1及び2を用いてプローバ100の構成について説明する。
図1は、プローバ100の全体構成を示した外観図である。
図2は、
図1に示したプローバ100の平面図である。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るプローバ100は、検査するウェハW(
図5参照)を供給及び回収するローダ部114と、ローダ部114に隣接して配置され、複数の測定部30を有する測定ユニット112と、を備えている。測定ユニット112は、複数の測定部30を有しており、ローダ部114から各測定部30にウェハW(検査対象)が供給されると、各測定部30でそれぞれウェハWの各チップの電気的特性の検査(ウェハレベル検査)が行われる。そして、各測定部30で検査されたウェハWはローダ部114により回収される。なお、プローバ100は、操作パネル121、各部を制御する制御装置(不図示)等も備えている。
【0027】
ローダ部114は、ウェハカセット120が載置されるロードポート118と、測定ユニット112の各測定部30とウェハカセット120との間でウェハWを搬送する搬送ユニット122とを有する。搬送ユニット122は、図示しない搬送ユニット駆動機構を備えており、X、Z方向に移動可能に構成されるとともに、θ方向(Z方向周り)に回転可能に構成されている。また、搬送ユニット122は、搬送アーム124を備えており、上記搬送ユニット駆動機構により搬送アーム124を前後に伸縮させることが可能となっている。搬送アーム124の上面部には図示しない吸着パッドが設けられており、搬送アーム124は、この吸着パッドでウェハWの裏面を真空吸着してウェハWを保持する。これにより、ウェハカセット120内のウェハWは、搬送ユニット122の搬送アーム124によって取り出され、その上面に保持された状態で測定ユニット112の各測定部30に搬送される。また、検査の終了した検査済みのウェハWは逆の経路で各測定部30からウェハカセット120に戻される。
【0028】
図3及び
図4は、
図1の測定ユニット112の内部構造を示した図である。
図3は測定ユニット112を正面側(ローダ部114側)から見た図であり、
図4は測定ユニット112を側面側から見た図である。
【0029】
図3及び
図4に示すように、測定ユニット112は、複数の測定部30が多段状に積層された階層構造(多段構造)を有しており、各測定部30はX方向及びZ方向に沿って2次元的に配列されている。本実施形態では、一例として、X方向に4つの測定部30がZ方向に3段積み重ねられている。
【0030】
測定ユニット112は、複数の測定部30を区画形成する筐体1を備えている。筐体1は、複数のフレームを格子状に組み合わせた格子形状を有している。なお、筐体1の構成については、後で詳細に説明する。
【0031】
各測定部30は、いずれも同一の構成を有しており、
図5に示すように、ヘッドプレート44と、テストヘッド43と、プローブカード42と、テストヘッド43とプローブカード42との間に介在するポゴフレーム41とを備えている。
【0032】
テストヘッド43は、図示しないテストヘッド保持部によりヘッドプレート44の上方に支持されている。テストヘッド43は、プローブカード42のプローブ66に電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電源及びテスト信号を供給するとともに、各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定する。
【0033】
ヘッドプレート44は、筐体1に支持されており、ポゴフレーム41の平面形状に対応した円形状の開口からなるポゴフレーム取付部53を有する。ポゴフレーム取付部53は位置決めピン63を有しており、ポゴフレーム41は位置決めピン63により位置決めされた状態でポゴフレーム取付部53に固定される。ポゴフレーム41の固定方法としては特に限定されるものでないが、例えば、図示しない吸引手段により、ポゴフレーム41をポゴフレーム取付部53の支持面(吸着面)に真空吸着させることにより固定する方法が好適である。なお、真空吸着以外の固定手段として、例えばネジ等の機械的な固定手段を用いてもよい。
【0034】
ポゴフレーム41は、テストヘッド43の下面(ポゴフレーム41に対向する面)に形成される各端子とプローブカード42の上面(ポゴフレーム41に対向する面)に形成される各端子とを電気的に接続する多数のポゴピン(不図示)を備えている。また、ポゴフレーム41の上面(テストヘッド43に対向する面)及び下面(プローブカード42に対向する面)の外周部には、それぞれリング状のシール部材60、62が形成されている。そして、図示しない吸引手段により、テストヘッド43とポゴフレーム41とシール部材60で囲まれた空間、及びプローブカード42とポゴフレーム41とシール部材62で囲まれた空間が減圧されることにより、テストヘッド43、ポゴフレーム41、及びプローブカード42が一体化される(
図6参照)。
【0035】
プローブカード42は、ウェハWの各チップの電極に対応した多数のプローブ66を有する。各プローブ66は、プローブカード42の下面(ウェハチャック150に対向する面)から下方に向けて突出して形成されており、プローブカード42の上面(ポゴフレーム41に対向する面)に設けられる各端子に電気的に接続されている。したがって、テストヘッド43、ポゴフレーム41、及びプローブカード42が一体化されると、各プローブ66は、ポゴフレーム41を介してテストヘッド43の各端子に電気的に接続される。なお、本例のプローブカード42は、検査するウェハWの全チップの電極に対応した多数のプローブ66を備えており、各測定部30ではウェハチャック150に保持されたウェハW上の全チップの同時検査が行われる。
【0036】
ウェハチャック150は、真空吸着等によりウェハWを吸着して固定する。ウェハチャック150は、後述するアライメント装置13に着脱自在に支持され、アライメント装置13によってX、Y、Z、θ方向に移動可能となっている。また、ウェハチャック150の上面(ウェハ載置面)の外周部にはリング状のシール部材64が設けられている。そして、図示しない吸引手段により、プローブカード42とウェハチャック150とシール部材64で囲まれた空間が減圧されることにより、ウェハチャック150がプローブカード42に向かって引き寄せられる。これにより、プローブカード42の各プローブ66がウェハWの各チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。
【0037】
ウェハチャック150の内部には、チップを高温状態(例えば、最高で150℃)、又は低温状態(例えば最低で-40℃)で電気的特性検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱冷却機構(不図示)が設けられている。加熱冷却機構としては、公知の適宜の加熱器/冷却器が採用できるものであり、例えば、面ヒータの加熱層と冷却流体の通路を設けた冷却層との二重層構造にしたものや、熱伝導体内に加熱ヒータを巻き付けた冷却管を埋設した一層構造の加熱/冷却装置など、様々のものが考えられる。また、電気加熱ではなく、熱流体を循環させるものでもよく、またペルチエ素子を使用してもよい。
【0038】
測定ユニット112はさらに、ウェハチャック150を着脱自在に支持するアライメント装置13を備えている。アライメント装置13は、それぞれの段毎に設けられており、図示しないアライメント装置駆動機構によって、各階層(各段)に配置された複数の測定部30間で相互に移動可能に構成されている。すなわち、アライメント装置13は、同一の階層(段)に配置される複数(本例では4つ)の測定部30間で共有されており、同一の階層に配置された複数の測定部30間を相互に移動する。なお、アライメント装置13は、本発明の「移動ステージ」の一例である。また、アライメント装置13は、各測定部30に移動すると図示しない位置決め固定装置に固定され、上述したアライメント装置駆動機構によりウェハチャック150をX、Y、Z、θ方向に移動させて、ウェハチャック150に保持されたウェハWとプローブカード42との相対的な位置合わせを行う。なお、図示は省略したが、アライメント装置13は、ウェハチャック150に保持したウェハWのチップの電極とプローブ66との相対的な位置関係を検出するために、針位置検出カメラと、ウェハライメントカメラとを備えている。
【0039】
なお、アライメント装置13は、真空吸着等によりウェハチャック150を吸着して固定するが、ウェハチャック150を固定できるものであれば、真空吸着以外の固定手段でもよく、例えば機械的手段等で固定するようにしてもよい。また、アライメント装置13には、ウェハチャック150との相対的な位置関係が常に一定となるように位置決め部材(不図示)が設けられている。
【0040】
次に、本実施形態に係るプローバ100を用いた検査方法について説明する。
【0041】
本実施形態に係るプローバ100を用いて検査が行われる場合、ローダ部114では、ウェハカセット120内のウェハWが搬送ユニット122の搬送アーム124によって取り出され、搬送アーム124の上面に保持された状態で測定ユニット112の各測定部30に搬送される。
【0042】
一方、測定ユニット112では、各階層(各段)ごとに設けられたアライメント装置13は所定の測定部30に移動し、アライメント装置13の上面にウェハチャック150を位置決めして吸着により固定する。
【0043】
続いて、アライメント装置13は、ウェハチャック150を所定の受渡し位置に移動させる。そして、ローダ部114の搬送ユニット122からウェハWが受け渡されると、そのウェハWはウェハチャック150の上面に保持される。
【0044】
次に、アライメント装置13は、ウェハWを保持したウェハチャック150を所定のアライメント位置に移動させ、図示しない針位置検出カメラ及びウェハライメントカメラにより、ウェハチャック150に保持されたウェハWのチップの電極とプローブ66との相対的な位置関係を検出し、検出した位置関係に基づいて、ウェハチャック150をX、Y、Z、θ方向に移動させて、ウェハチャック150に保持されたウェハWとプローブカード42との相対的な位置合わせを行う。
【0045】
この位置合わせが行われた後、アライメント装置13は、ウェハチャック150を所定の測定位置(プローブカード42に対向する位置)に移動させ、ウェハチャック150を所定の高さ(具体的には、ウェハチャック150の上面に形成されるシール部材64がプローブカード42の下面(ウェハチャック150に対向する面)に接触する高さ)となるまでウェハチャック150を上昇させる。このとき、シール部材64がプローブカード42の下面に接触する前(すなわち、プローブカード42とウェハチャック150とシール部材64とで囲まれた空間が密閉空間となる前)に、図示しない吸引手段による吸引が開始されていることが好ましい。これにより、ウェハチャック150を上昇させても、吸引手段による吸引が行われた状態となっているので、上記空間の圧縮による反力の影響を防止することが可能となる。なお、シール部材64がプローブカード42の下面に接触するのと同時に吸引手段による吸引を開始するようにしてもよい。
【0046】
その後、アライメント装置13は、ウェハチャック150の固定を解除する。これにより、ウェハチャック150は、アライメント装置13から離脱する。そして、吸引手段による吸引によって、プローブカード42とウェハチャック150とシール部材64とで囲まれた空間が減圧されることにより、ウェハチャック150はプローブカード42に向かって引き寄せられ、プローブカード42とウェハチャック150は密着状態となり、プローブカード42の各プローブ66は均一な接触圧でウェハWの各チップの電極パッドに接触する。
【0047】
これにより、
図6に示すように、測定部30は、テストヘッド43、ポゴフレーム41、プローブカード42、及びウェハチャック150が一体化された状態となり、ウェハレベル検査を開始可能な状態となる。
【0048】
その後、テストヘッド43からウェハWの各チップに電源及びテスト信号が供給され、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査が行われる。
【0049】
以下、他の測定部30についても、同様の手順で、ウェハチャック150上にウェハWを供給し、各測定部30においてアライメント動作及びコンタクト動作が完了した後、ウェハWの各チップの同時検査が順次行われる。すなわち、各測定部30では、テストヘッド43からウェハWの各チップに電源及びテスト信号が供給され、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査が行われる。
【0050】
各測定部30において検査が完了した場合には、アライメント装置13を各測定部30に順次移動させて検査済ウェハWが保持されるウェハチャック150を回収する。
【0051】
すなわち、検査が終了した測定部30にアライメント装置13が移動すると、アライメント装置13はその上面がウェハチャック150に当接する位置まで上昇し、プローブカード42とウェハチャック150とシール部材64で囲まれた空間の減圧が解除される。そして、アライメント装置13は、その上面にウェハチャック150を位置決めして固定する。さらにアライメント装置13は、ウェハチャック150を所定の受け渡し位置にウェハチャック150を移動させ、ウェハチャック150から検査済ウェハWの固定を解除して搬送ユニット122に受け渡す。搬送ユニット122に受け渡された検査済ウェハWは、搬送アーム124に保持され、ローダ部114に配置されるウェハカセット120に戻される。
【0052】
なお、本実施形態では、
図3及び
図4に示したように、各測定部30に対してそれぞれ1つずつウェハチャック150が割り当てられているが、ウェハチャック150は複数の測定部30間で共有されていてもよい。この場合、アライメント装置13は、ウェハチャック150を共有する複数の測定部30間でウェハチャック150を相互に移動させる。
【0053】
[筐体]
次に、本実施形態に係るプローバ100に適用される筐体1の構成について詳しく説明する。筐体1は、本発明の「プローバ用の筐体」の一例である。
【0054】
図3及び
図4に示すように、本実施形態の筐体1は、複数のフレームを格子状に組み合わせることによって測定部30に相当する区画を各階層にそれぞれ複数形成するものである。この筐体1では、プローバ100において発生する振動(アライメント装置13の移動により生じる振動や各測定部30で定常的に発生する振動など)を効果的に抑制するために、各階層(本実施形態では最上段の階層を除く)に配置されるフレーム(側部フレーム体20)が分割フレーム構造となっている。具体的には後で詳述するが、一の階層に配置される側部フレーム体20は、上側に配置される他の階層を支える第1側部フレーム21と、一の階層内の測定部30に配置される測定部構成部材(ヘッドプレート44、ポゴフレーム41、プローブカード42、テストヘッド43を含む)を支える第2側部フレーム22)と、を備えて構成される。以下の説明では、
図3及び
図4において、各階層を下から順に、1段目の階層、2段目の階層、3段目の階層と称する。
図3及び
図4に示す例では、1段目が最下段となり、3段目が最上段となる。
【0055】
まず、本実施形態の筐体1では、後述の理由により、最上段の階層とそれ以外の階層との構成が異なっている。まず、最上段以外の階層、つまり、
図3及び
図4における1段目及び2段目の階層の構成について説明する。
【0056】
最上段以外の各階層は、階層構造の各階層の床面を構成するフロアベース10と、各階層のフロアベース10間に設けられた複数の側部フレーム体20とを備える。フロアベース10はX方向に長く(X方向が長手方向であり)、且つ、XY平面に平行な平板状であり、好ましくは、1つの階層に設けられた測定部30(区画)間で共通に形成される。
【0057】
また、フロアベース10は、好ましくは、最上段の階層以外の階層では、ある階層の天井がその階層の直下の段の階層のフロアベース10を兼ねる。例えば、
図3及び
図4において、3段目の階層のフロアベース10は、2段目の階層のフロアベース10の天井を兼ねる。
【0058】
各階層のフロアベース10の上面には、好ましくは、アライメント装置13のX方向の移動をガイドするガイドレール(不図示)が設けられる。
【0059】
複数の側部フレーム体20は、ある階層のフロアベース10と、その階層の上段に位置する他の階層のフロアベース10との間に配置され、且つ、フロアベース10のY方向の両端部(Y方向の両側部)に配置される。
【0060】
側部フレーム体20には、第1側部フレーム21と、第1側部フレーム21とは別体に設けられた第2側部フレーム22との2種類がある。
【0061】
第1側部フレーム21は、例えば、Z方向に延びる柱状である。そして、第1側部フレーム21の一方端は、ある階層のフロアベース10の上面の、例えば、Y方向の端部に配置され、他方端はその階層の上段に位置する他の階層のフロアベース10の下面の、例えば、Y方向の端部に配置される。
【0062】
言い換えると、第1側部フレーム21はある階層の前記フロアベース10の上面(ガイドレールが形成されている面)側に立設され、その階層の上段に位置する他の階層のフロアベース10の下面(ガイドレールが形成されている面の反対側の面)側を支持する。
【0063】
図4に即して説明すると、例えば、2段目の階層の第1側部フレーム21は3段目(最上段)の階層のフロアベース10を支持する。このように複数の第1側部フレーム21によって複数のフロアベース10をZ方向に連結することにより、Z方向に多段に積層された階層構造を形成する。
【0064】
第2側部フレーム22は、第1側部フレーム21とは異なる位置で、各階層のフロアベース10の上面に立設される。例えば、
図4に示すように、第2側部フレーム22は、第1側部フレーム21に隣接した位置に並設される。また、第2側部フレーム22は、X方向に一定間隔で並べられており、具体的には、X方向において、測定部30の間と、両端の測定部30の外側に、それぞれ配置される。
【0065】
各第2側部フレーム22は、例えば、Z方向に延びる2つの柱部221と、2つの柱部221の間に渡されてY方向に延びる梁部222とを備える略門状である。なお、梁部222の形状は、必ずしも直棒状ではなく、測定部構成部材(後述)の形状及び望ましい配置に合わせて適宜変更される。第2側部フレーム22の2つの柱部221は、例えば、各測定部30のY方向の両端の近傍に配置される。
【0066】
最上段以外の各階層の各測定部30に配置される測定部構成部材は、ヘッドプレート44、ポゴフレーム41、プローブカード42、及びテストヘッド43を含む。ヘッドプレート44は、測定部30に配置される平板状の部材であり、上述したようにポゴフレーム取付部53(
図5参照)を有する。そして、ヘッドプレート44のポゴフレーム取付部53にはポゴフレーム41が固定され、さらにポゴフレーム41の上下面にはそれぞれテストヘッド43及びプローブカード42が吸引手段(不図示)により一体化される構成となっている。すなわち、ヘッドプレート44は、測定部構成部材であるポゴフレーム41、プローブカード42、及びテストヘッド43を直接又は間接的に支持する部材である。
【0067】
このように構成されるヘッドプレート44は、第2側部フレーム22(より具体的には梁部222)によって支持される。第2側部フレーム22によるヘッドプレート44の支持位置は好ましくはヘッドプレート44の下面であるが、必ずしもこれに限らず、他の位置(例えば、ヘッドプレート44の側面)であってもよい。これにより、最上段以外の各階層の各測定部30に配置される測定部構成部材は、それぞれ、第2側部フレーム22によって直接又は間接的に支持された状態となっており、各測定部30において上述した検査が行われるようになっている。
【0068】
このように、最上段以外の階層では、上段の階層のフロアベース10を支える第1側部フレーム21と、自階層に配置された測定部構成部材を支持する第2側部フレーム22とが別体に設けられる。
【0069】
次に、最上段の階層の構成について説明する。最上段の階層は、フロアベース10と、複数の最上段側部フレーム体23と、枠部24とを備える。最上段の階層(
図3及び
図4における3段目の階層)において、最上段側部フレーム体23は、後述する変形例(
図11参照)のように他の階層の側部フレーム体20と同じ構成を有してもよいが、上階のフロアベース10を支える必要がないため、最上段以外の各階層のように側部フレーム体20を互いに異なる2つのフレーム(第1側部フレーム21と第2側部フレーム22)で構成する必要はない。また、最上段の階層の構成を簡略化して軽量化するほうが筐体1の全体構成が安定する。
【0070】
これらの理由から、最上段の階層において、最上段側部フレーム体23は、他の階層の側部フレーム体20よりも簡略な構成を有する。より具体的には、最上段側部フレーム体23は不図示の天井を支持する機能と、測定部構成部材を支持する機能とを併せ持つ。言い換えると、他の階層の側部フレーム体20における第1側部フレーム21の機能と第2側部フレーム22の機能とを果たす。
【0071】
図3及び
図4に示すように、最上段側部フレーム体23は、第2側部フレーム22とほぼ対応する位置に配置され、且つ、第2側部フレーム22と略同形状を有する。つまり、最上段側部フレーム体23は、第2側部フレーム22と同様に、最上段の階層のフロアベース10の上面に立設される。また、最上段側部フレーム体23は、X方向に一定間隔で並べられており、具体的には、X方向において、測定部30の間と、両端の測定部30の外側に、それぞれ配置される。
【0072】
最上段側部フレーム体23は、Z方向に延びる2つの柱部231と、2つの柱部231の間に渡されたY方向に延びる梁部232とを備える略門状である。柱部231の上端側は梁部232を超えて、最上段の階層の天井を構成する枠部24まで延設されている。
【0073】
梁部232の形状は、測定部構成部材の形状及び望ましい配置に合わせて適宜変更される。最上段側部フレーム体23の2つの柱部231は、例えば、各測定部30のY方向の両端の近傍に配置される。
【0074】
最上段の階層の各測定部30内に配置される測定部構成部材は、最上段以外の階層と同様に、ヘッドプレート44、ポゴフレーム41、プローブカード42、及びテストヘッド43を含む。また、最上段の階層のヘッドプレート44は、最上段以外の階層と同様に、測定部構成部材であるポゴフレーム41、プローブカード42、及びテストヘッド43を直接又は間接的に支持する部材である。
【0075】
最上段の階層のヘッドプレート44は、最上段側部フレーム体23(より具体的には梁部232)によって支持される。最上段側部フレーム体23によるヘッドプレート44の支持位置は好ましくはヘッドプレート44の下面であるが、必ずしもこれに限らず、他の位置(例えば、ヘッドプレート44の側面)であってもよい。これにより、最上段の階層の各測定部30に配置される測定部構成部材は、それぞれ、最上段側部フレーム体23によって直接又は間接的に支持された状態となっている。
【0076】
枠部24は、複数の最上段側部フレーム体23のZ方向の上端部を連結し、不図示の天井は枠部24に固定される。
【0077】
図7及び
図8は、プローバに適用された筐体の別の構成例(比較例)を示した図である。
図7は比較例に係る筐体の正面図であり、
図8は比較例に係る筐体の側面図である。
図7及び
図8に示した比較例に係る筐体においては、各階層の側部フレーム50は、上段の階層のフロアベース10を支持する機能と、測定部構成部材を支持する機能とを併せ備えた一体型フレーム構造となっている。
【0078】
このため、比較例に係る筐体では、ある階層においてアライメント装置13が移動してフロアベース10に振動が生じた場合、その振動は側部フレーム50を伝ってその階層の上下段に位置する他の階層のフロアベース10に伝播しやすい。その結果、アライメント装置13の移動が終了しても、アライメント装置13の移動による振動が静定するまでの静定時間が長くなるという問題がある。
【0079】
加えて、比較例に係る筐体では、ある階層のフロアベース10の振動がその階層の上下段に位置する他の階層の側部フレーム50に直接に伝播することにより、他の階層の側部フレーム50に支持されている測定部構成部材が振動するために、アライメント精度やウェハレベル検査の結果に悪影響を与えるという問題がある。
【0080】
一方、本実施形態に係る筐体1によれば、上段の階層のフロアベース10を支持する第1側部フレーム21と、測定部構成部材を支持する第2側部フレーム22とが別体で構成された分割フレーム構造が採用される。そのため、ある階層においてアライメント装置13が移動してフロアベース10に振動が生じた場合、その振動は第1側部フレーム21を伝って他の階層のフロアベース10に伝播したとしても、第1側部フレーム21とは別体の第2側部フレーム22によって支持されている測定部構成部材に伝播しにくい。
【0081】
これにより、ある階層でのアライメント装置13の移動によって生じた振動による、その階層の上下段に位置する他の階層におけるウェハレベル検査の結果及びアライメント精度への悪影響を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る筐体1によれば、各階層に配置されるアライメント装置13のうち、一の階層のアライメント装置13の動作中に他の階層のアライメント装置13の動作を制限する必要がないので、ウェハレベル検査のスループットが悪化するという不利益を伴わずに、アライメント装置13の移動によって生じる振動による影響を効果的に抑えることが可能となる。
【0083】
さらに、本実施形態に係る筐体1によれば、上述の分割フレーム構造を採用することによって、アライメント装置13の移動ではない別の原因、例えば、測定部30を構成する各部品(例えばテストヘッド43など)の異常などによって振動が生じた場合であっても、他の階層の測定部30にその影響が及ぶのを抑制することができる。
【0084】
続いて、
図9及び
図10を用いて本実施形態に係る筐体1によって実現される効果についてより詳しく説明する。
図9は、
図7及び
図8に示す比較例に係る筐体において、ある階層のフロアベース10にある一定の振幅の振動を一定時間加えた場合に、その階層の下段に位置する階層の側部フレーム50における振動の様子を模式的に示すグラフである。
図10は、本実施形態に係る筐体1において、フロアベース10に比較例と同様にある一定の振幅の振動を一定時間加えた場合に、その階層の下段に位置する階層の第2側部フレーム22における振動の様子を模式的に示すグラフである。
図9及び
図10のグラフは振動計の出力波形を示す。これらのグラフにおいて、横軸は時間を示し、単位は秒であり、縦軸は出力電圧(振動の振幅に相当)を示し、単位はmVである。
【0085】
図9及び
図10に示すグラフにおいて、出力電圧の最大値と最小値との差は、ある階層で発生した振動が伝播することによって、階層の下段に位置する階層の測定部構成部材に生じた振動の振幅に相当する。
【0086】
図9に示すグラフでは、振動計の出力電圧の最大値と最小値との差は約129mVであり、この値は、比較例に係る筐体において下段に位置する階層の第2側部フレーム22における振動の振幅に相当する。一方、
図10に示すグラフでは、振動計の出力電圧の最大値と最小値の差は約71.656mVであり、この値は、本実施形態に係る筐体1において下段に位置する階層の第2側部フレーム22における振動の振幅に相当する。両者の振幅を比較した結果、本実施形態に係る筐体1によれば、比較例に係る筐体と比べて約4割強の振幅、つまり、振動の大きさを低減することができることが分かる。
【0087】
[変形例]
上記の実施形態において、最上段の階層を軽量化して筐体1全体の構造を安定化するために、最上段の階層の構成を最上段以外の階層よりも簡略にした場合について説明した。しかし、最上段の階層の構成が他の階層の構成と同じでもよい。
図11に、変形例として、最上段の階層が他の階層と同じ構成を有する筐体2を適用した測定ユニット112の概略構成図(側面図)を示す。変形例に係る筐体2の正面図は
図3と同じであるため省略する。この変形例に係る筐体2も、当然ながら上記の効果を実現することが可能である。
【0088】
また、上記の実施形態において、測定ユニット112における階層の数および測定部30の数は
図3及び
図4に示した例に限定されるものではない。
【0089】
[効果]
以上説明したように、本実施形態に係る筐体1によれば、側部フレーム体20において、上段の階層のフロアベース10を支持する第1側部フレーム21と、測定部構成部材を支持する第2側部フレーム22とを別体で構成した分割フレーム構造が採用される。これにより、ある階層においてアライメント装置13が移動してフロアベース10に振動が生じ、第1側部フレーム21を介して上下段の階層のフロアベース10に伝播した場合であっても、その振動は、上下段の階層において第1側部フレーム21とは別体の第2側部フレーム22によって支持されている測定部構成部材に伝播しにくくなる。
【0090】
延いては、ある階層でのアライメント装置13の移動によって生じた振動による、その階層の上下段に位置する階層におけるアライメント精度及びウェハレベル検査の結果への影響を抑制することができる。
【0091】
本実施形態に係る筐体1によれば、アライメント装置13の移動を制限しないため、プローバによるウェハレベル検査のスループットを良好に保ちつつ、振動によるアライメント精度及びウェハレベル検査の結果への影響を抑制することができる。
【0092】
本実施形態に係る筐体1によれば、分割フレーム構造を採用することによって振動による影響を低減しているため、アライメント装置13の移動ではない別の原因、例えば、測定部30の異常によって振動が生じた場合であっても、上記の効果を実現することができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0094】
1,2…筐体、10…フロアベース、13…アライメント装置、、20…側部フレーム体、21…第1側部フレーム、22…第2側部フレーム、23…最上段側部フレーム体、24…枠部、30…測定部、41…ポゴフレーム、42…プローブカード、43…テストヘッド、44…ヘッドプレート、50…側部フレーム、53…ポゴフレーム取付部、60,62,64…シール部材、63…位置決めピン、66…プローブ、221…柱部、222…梁部、231…柱部、232…梁部、100…プローバ、112…測定ユニット、114…ローダ部、118…ロードポート、120…ウェハカセット、121…操作パネル、122…搬送ユニット、124…搬送アーム、150…ウェハチャック、W…ウェハ