(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082691
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/235 20110101AFI20230607BHJP
H04N 21/2362 20110101ALI20230607BHJP
G11B 27/00 20060101ALI20230607BHJP
H04H 60/04 20080101ALI20230607BHJP
【FI】
H04N21/235
H04N21/2362
G11B27/00 A
H04H60/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191928
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021196520
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大槻 一博
(72)【発明者】
【氏名】河村 侑輝
(72)【発明者】
【氏名】大西 正芳
(72)【発明者】
【氏名】兜森 椋
【テーマコード(参考)】
5C164
5D110
【Fターム(参考)】
5C164FA06
5C164GA02
5C164MB13S
5C164MC06S
5C164SB08P
5C164SB15P
5C164TB22S
5D110AA27
5D110AA29
5D110DA02
5D110DA04
5D110DA09
5D110DA11
(57)【要約】
【課題】放送伝送路において、任意のファイルを低遅延で伝送することを可能とする。
【解決手段】送信装置10は、所定のファイルを汎用データアセットのデータ領域に格納し、ファイルに関する情報をMPテーブルまたは汎用データヘッダ領域に格納した、パッケージを構成するパッケージ構成部11と、パッケージ構成部11により構成されたパッケージを、放送伝送路を介して伝送する伝送部12と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汎用データ伝送方式により、番組コンテンツに対応するパッケージを伝送する送信装置であって、
前記パッケージは、前記番組コンテンツのデータを伝送する少なくとも1つのアセットと、制御メッセージとを含み、
前記制御メッセージには、前記アセットを参照するための参照情報を含むMPテーブルが含まれ、
前記アセットには、汎用データが格納されるデータ領域と、前記汎用データに関する情報を含む汎用データヘッダ領域とを含む汎用データアセットが含まれ、
所定のファイルを前記汎用データアセットの前記データ領域に格納し、前記ファイルに関する情報を前記MPテーブルまたは前記汎用データヘッダ領域に格納した、前記パッケージを構成するパッケージ構成部と、
前記パッケージ構成部により構成されたパッケージを、放送伝送路を介して伝送する伝送部と、を備える送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置において、
前記汎用データアセットに対応する参照情報には、データ符号化方式に関する情報を記述するMH-データ符号化方式記述子が含まれ、
前記MH-データ符号化方式記述子には、additional_data_component_infoが含まれ、
前記パッケージ構成部は、前記ファイルに関する情報を前記additional_data_component_infoに格納する、送信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送信装置において、
前記パッケージ構成部は、前記ファイルに関する情報として、前記ファイルに割り当てられたID、前記ファイルのバージョン、前記ファイルのファイル名、前記ファイルのMIMEタイプおよび前記ファイルの圧縮形式に関する情報を前記additional_data_component_infoに格納する、送信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の送信装置において、
前記パッケージ構成部は、前記ファイルに関する情報を前記汎用データヘッダ領域に格納する場合、前記ファイルに関する情報として、前記ファイルの名前および前記ファイルの圧縮形式に関する情報を前記汎用データヘッダ領域に格納する、送信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の送信装置において、
前記汎用データアセットに対応する参照情報には、前記汎用データアセットを構成するMPUの提示時刻に関する情報を記述するMPUタイムスタンプ記述子が含まれ、
前記MPUタイムスタンプ記述子には、mpu_presentation_timeおよびmpu_sequence_numberが含まれ、
前記パッケージ構成部は、前記mpu_presentation_timeの値を、前記ファイルのバージョンに関する情報として用いる、送信装置。
【請求項6】
請求項4に記載の送信装置において、
前記汎用データアセットの前記汎用データヘッダ領域には、mpu_presentation_timeが含まれ、
前記パッケージ構成部は、前記mpu_presentation_timeの値を、前記ファイルのバージョンに関する情報として用いる、送信装置。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の送信装置において、
前記パッケージ構成部は、前記additional_data_component_infoに、前記ファイルに関する情報が格納されているか否かを示すフラグ情報を、前記additional_data_component_infoに含める、送信装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項の記載の送信装置において、
前記ファイルは、前記番組コンテンツの視聴のために参照されるファイルである、送信装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の送信装置から伝送された前記パッケージを受信する受信装置であって、
前記受信したパッケージの前記MPテーブルまたは前記汎用データヘッダ領域に格納されている前記ファイルに関する情報を参照して、前記汎用データアセットの前記データ領域に格納されている前記所定のファイルを取得する多重分離部を備える、受信装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか一項に記載の送信装置として機能させるプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項9に記載の受信装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上放送高度化方式においては、放送あるいは通信といった伝送路によらず、共通のメディア形式で伝送される番組コンテンツを受信システムで一元的に管理し、様々な視聴端末に搭載されているWebブラウザで一様に視聴する仕組みの導入が検討されている。
【0003】
Webブラウザで番組コンテンツを一様に視聴する仕組みは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)(非特許文献1参照)を用いたストリーミング配信が想定されている。Webブラウザでの番組コンテンツの視聴を可能とするためには、番組コンテンツを一定時間ごとに分割したセグメントファイルと、セグメントファイルの属性およびURL(Uniform Resource Locator)などを記載したマニフェストファイル(非特許文献2参照)を受信システム内で用意する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】RFC8216、“HTTP Live Streaming”、[令和3年11月15日検索]、インターネット<URL:https://tools.ietf.org/html/rfc8216>
【非特許文献2】ISO/IEC 23009-1、“Information Technology - Dynamic Adaptive Streaming over HTTP (DASH) - Part 1: Media Presentation Description and Segment Formats”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放送システムでは、複数の受信端末に対して同一内容を一斉に同報送信する、いわゆるブロードキャスト伝送により番組コンテンツが伝送される。コンテンツ構成を記載した番組制御情報が短い一定の時間間隔で伝送されるため、受信端末は、番組制御情報を受信することで、任意の視聴開始タイミングですぐにコンテンツ構成を取得し、番組コンテンツの視聴を開始することができる。
【0006】
一方、HTTPを用いたストリーミング配信では、各受信端末からのリクエストに従ってマニフェストファイルが配信され、受信端末は、配信されたマニフェストファイルに記載される番組構成から必要なセグメントファイルを受信することで、番組コンテンツの視聴を開始することができる。
【0007】
地上放送高度化方式による新しい放送システムにおいては、これまでの放送システムにおいては番組制御情報として提供されていた情報を、マニフェストファイルとして受信システムに提供し、番組コンテンツの視聴を可能とする必要がある。このように、地上放送高度化方式による新しい放送システムにおいては、任意のファイルを低遅延に伝送することが可能な手法が求められているが、その手法については十分な検討がなされていない。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、放送システムにおいて、任意のファイルを低遅延に伝送することが可能な送信装置、受信装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る送信装置は、汎用データ伝送方式により、番組コンテンツに対応するパッケージを伝送する送信装置であって、前記パッケージは、前記番組コンテンツのデータを伝送する少なくとも1つのアセットと、制御メッセージとを含み、前記制御メッセージには、前記アセットを参照するための参照情報を含むMPテーブルが含まれ、前記アセットには、汎用データが格納されるデータ領域と、前記汎用データに関する情報を含む汎用データヘッダ領域とを含む汎用データアセットが含まれ、所定のファイルを前記汎用データアセットの前記データ領域に格納し、前記ファイルに関する情報を前記MPテーブルまたは前記汎用データヘッダ領域に格納した、前記パッケージを構成するパッケージ構成部と、前記パッケージ構成部により構成されたパッケージを、放送伝送路を介して伝送する伝送部と、を備える。
【0010】
(2) (1)に記載の送信装置において、前記汎用データアセットに対応する参照情報には、データ符号化方式に関する情報を記述するMH-データ符号化方式記述子が含まれ、前記MH-データ符号化方式記述子には、additional_data_component_infoが含まれ、前記パッケージ構成部は、前記ファイルに関する情報を前記additional_data_component_infoに格納する。
【0011】
(3) (2)に記載の送信装置において、前記パッケージ構成部は、前記ファイルに関する情報として、前記ファイルに割り当てられたID、前記ファイルのバージョン、前記ファイルのファイル名、前記ファイルのMIMEタイプおよび前記ファイルの圧縮形式に関する情報を前記additional_data_component_infoに格納する。
【0012】
(4) (1)に記載の送信装置において、前記パッケージ構成部は、前記ファイルに関する情報を前記汎用データヘッダ領域に格納する場合、前記ファイルに関する情報として、前記ファイルの名前および前記ファイルの圧縮形式に関する情報を前記汎用データヘッダ領域に格納する。
【0013】
(5) (4)に記載の送信装置において、前記汎用データアセットに対応する参照情報には、前記汎用データアセットを構成するMPUの提示時刻に関する情報を記述するMPUタイムスタンプ記述子が含まれ、前記MPUタイムスタンプ記述子には、mpu_presentation_timeおよびmpu_sequence_numberが含まれ、前記パッケージ構成部は、前記mpu_presentation_timeの値を、前記ファイルのバージョンに関する情報として用いる。
【0014】
(6) (4)に記載の送信装置において、前記汎用データアセットの前記汎用データヘッダ領域には、mpu_presentation_timeが含まれ、前記パッケージ構成部は、前記mpu_presentation_timeの値を、前記ファイルのバージョンに関する情報として用いる。
【0015】
(7) (2)から(6)のいずれか一項に記載の送信装置において、前記パッケージ構成部は、前記additional_data_component_infoに、前記ファイルに関する情報が格納されているか否かを示すフラグ情報を、前記additional_data_component_infoに含める。
【0016】
(8) (1)から(7)のいずれかに記載の送信装置において、前記ファイルは、前記番組コンテンツの視聴のために参照されるファイルである。
【0017】
(9)本発明に係る受信装置は、(1)から(8)のいずれかに記載の送信装置から伝送された前記パッケージを受信する受信装置であって、前記受信したパッケージの前記MPテーブルまたは前記汎用データヘッダ領域に格納されている前記ファイルに関する情報を参照して、前記汎用データアセットの前記データ領域に格納されている前記所定のファイルを取得する多重分離部を備える。
【0018】
(10)本発明に係るプログラムは、コンピュータを、(1)から(8)のいずれかに記載の送信装置として機能させる。
【0019】
(11)本発明に係るプログラムは、コンピュータを、(9)に記載の受信装置として機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る送信装置、受信装置およびプログラムによれば、放送システムにおいて、任意のファイルを低遅延に伝送することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る送信装置を含む送受信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示す送信装置の構成例を示す図である。
【
図3】非同期型汎用データ伝送におけるパッケージの構成例を示す図である。
【
図4】additional_data_component_infoの構成例を示す図である。
【
図5】compression_typeの設定例を示す図である。
【
図6】additional_infoの構成例を示す図である。
【
図7】同期型汎用データ伝送におけるパッケージの構成例を示す図である。
【
図8】additional_infoの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る送信装置10を含む、放送システムとしての送受信システム1の構成例を示す図である。
【0024】
図1に示すように、送受信システム1は、本実施形態に係る送信装置10と、受信システム20とを備える。
【0025】
送信装置10は、放送伝送路あるいは通信回線を介した通信伝送路などの、任意の伝送路を介して、番組コンテンツを伝送する。具体的には、送信装置10は、番組コンテンツの映像音声ストリーム、コンテンツ構成を記載した番組制御情報およびマニフェストファイルなどを多重して伝送する。送信装置10は、例えば、放送伝送路を介したブロードキャスト伝送により、番組コンテンツを伝送する。また、送信装置10は、例えば、個別の受信システム20からの要求に応じて、通信伝送路を介して、番組コンテンツを伝送する。マニフェストファイルは、セグメントファイルの属性およびURLなどを記載したファイルであり、受信システム20において番組コンテンツの視聴のために参照されるファイルである。以下では、送信装置10がマニフェストファイルを受信システム20に伝送する例を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではなく、送信装置10は、任意のファイルを伝送可能である。
【0026】
受信装置としての受信システム20は、送信装置10により伝送された番組コンテンツを受信し提示する。受信システム20は、通信部21と、提示部22とを備える。通信部21と提示部22とは1つの装置として設けられてもよい。また、通信部21と提示部22とは、別個の装置として設けられてもよい。この場合、通信部21は、例えば、放送受信機能を持つルーターであり、提示部22は、例えば、ユーザへの番組コンテンツの提示が可能な様々な端末(スマートフォンやタブレットなど)である。
【0027】
通信部21は、多重分離部211と、HTTPクライアント212と、記憶部213と、Webサーバ214とを備える。
【0028】
多重分離部211は、送信装置10から放送伝送路を介して伝送された放送波を受信し、多重されている映像音声ストリーム、番組制御情報およびマニフェストファイルを分離する。多重分離部211は、受信した番組制御情報に基づき、映像音声ストリームを一定時間ごとに分割したセグメントファイルを生成し、生成したセグメントファイルおよびマニフェストファイルを記憶部213に出力する。
【0029】
HTTPクライアント212は、通信伝送路上のサーバからマニフェストファイルおよび取得したマニフェストファイルを参照して得られるセグメントファイルを取得する。HTTPクライアント212は、取得したセグメントファイルおよびマニフェストファイルを記憶部213に出力する。
【0030】
記憶部213は、多重分離部211あるいはHTTPクライアント212から出力されたセグメントファイルおよびマニフェストファイルを記憶する。
【0031】
Webサーバ214は、例えば、HTTPを用いた提示部22との通信により、提示部22からの要求に応じてマニフェストファイルおよびセグメントファイルを送信する。
【0032】
提示部22は、HTTPを用いた通信部21(Webサーバ214)との通信が可能なWebブラウザ221を備えており、Webブラウザ221を介して、Webサーバ214からマニフェストファイルおよびセグメントファイルを受信する。Webブラウザ221は、受信したマニフェストファイルを参照して、セグメントファイルを逐次デコードして、番組コンテンツを提示する。
【0033】
次に、本実施形態に係る送信装置10の構成について、
図2を参照して説明する。
【0034】
本実施形態においては、送信装置10は、下記参考文献で規定される汎用データ伝送方式により番組コンテンツを、放送伝送路を介して伝送する。汎用データ伝送方式は、各種データを同期型・非同期型により伝送する方式であり、映像、音声、字幕以外のデータの提示を行う受信端末で利用されるデータ、あるいは、マルチメディアサービスで利用されるデータなど、任意のデータの伝送に適した方式である。また、本実施形態においては、送信装置10は、番組コンテンツの映像ストリーム、音声ストリームなどを下記参考文献で規定されるMMT(MPEG Media Transport)を用いて多重化して伝送する。MMTでは、番組コンテンツの単位を「パッケージ」として定義しており、送信装置10は、汎用データ伝送方式により、番組コンテンツに対応するパッケージを伝送する。
<参考文献>
ARIB STD-B60、“デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式”
【0035】
図2に示すように、本実施形態に係る送信装置10は、パッケージ構成部11と、伝送部12とを備える。
【0036】
パッケージ構成部11は、番組コンテンツの映像音声ストリームおよび番組コンテンツの視聴のために参照されるファイルであるマニフェストファイルなどを多重したパッケージを構成し、伝送部12に出力する。パッケージ構成部11によるパッケージの構成の詳細については後述する。
【0037】
伝送部12は、パッケージ構成部11により構成されたパッケージを、放送伝送路および通信伝送路などの、任意の伝送路を介して伝送する。
【0038】
図3は、非同期型汎用データ伝送方式におけるパッケージの構成例を示す図である。非同期型汎用データ伝送方式は、映像・音声などのデータと、それ以外のデータとのタイミング同期が不要な場合に用いられる方式である。
【0039】
MMTでは、番組コンテンツの映像データおよび音声データなどのコンポーネント(番組コンテンツを構成する要素)がアセットと定義される。アセットは、MPU(Media Processing Unit)が連続した構造である。MPUは、MMTにおけるデータの処理単位である。すなわち、MPUは、あるタイミングで利用するデータを含み、MPU単体で映像および音声の復号処理を行うことができる単位である。MPUは、少なくとも1つのMFU(Media Fragment Unit)を含む。MFUは、ヘッダ領域と、データ領域とを含む。番組コンテンツは、番組コンテンツのデータを伝送する1つ以上のアセットと、制御メッセージとを含むパッケージとして定義される。
【0040】
パッケージ構成部11は、番組コンテンツの映像データをMPUに格納した映像データアセット(
図3においては不図示)、および、番組コンテンツの音声データをMPUに格納した音声データアセット(
図3においては不図示)を生成する。
【0041】
上述したように、汎用データ伝送方式は、映像、音声、字幕以外の各種データ(以下、「汎用データ」と称する。)の伝送に適した方式である。パッケージを構成するアセットには、汎用データを伝送するための汎用データアセットが含まれる。汎用データアセットは、
図3に示すように、連続するMPUにより構成される。また、MPUは、汎用データヘッダ領域と、汎用データが格納されるデータ領域とからなる、少なくとも1つのMFUを含む。
【0042】
パッケージ構成部11は、マニフェストファイルを汎用データアセットのデータ領域に格納する。このように本実施形態においては、汎用データ伝送方式を用い、汎用データアセットのデータ領域にマニフェストファイルを格納することで、マニフェストファイルを低遅延で伝送することができる。なお、パッケージ構成部11は、一連のマニフェストファイルのセットを圧縮して多重化し、汎用データアセットのデータ領域に格納してもよい。
【0043】
上述したように、パッケージには、制御メッセージが含まれる。制御メッセージには、
図3に示すように、MP(MMT Package)テーブルが含まれる。MPテーブルは、パッケージに含まれるアセットを参照するための参照情報が含まれる。
【0044】
具体的には、MPテーブルには、映像アセットを参照するための参照情報(アセットIDおよびロケーション情報)および音声アセットを参照するための参照情報(アセットIDおよびロケーション情報)が含まれる。また、MPテーブルには、汎用データアセットを参照するための参照情報が含まれる。汎用データアセットの参照情報には、アセットID、アセットタイプ、ロケーション情報などが含まれる。アセットタイプには、対応する汎用データアセットのデータ領域に格納される汎用データが非同期型汎用データであることを示す「aagd」が入力される。
【0045】
汎用データアセットの参照情報にはさらに、データ符号化方式に関する情報を記述するMH-データ符号化方式記述子が含まれる。MH-データ符号化方式記述子には、data_component_idと、additional_data_component_infoとが含まれる。data_component_idは、汎用データアセットのデータ領域に格納される汎用データの符号化方式を示す。additional_data_component_infoは、データ符号化方式毎に規定される付加識別情報が格納される。
【0046】
パッケージ構成部11は、汎用データアセットのデータ領域に格納したファイル(マニフェストファイル)に関する情報を、例えば、additional_data_component_infoに格納してよい。
【0047】
図4は、additional_data_component_infoの構成例を示す図である。
【0048】
図4に示すように、additional_data_component_infoには、target_path、file_id、file_version、file_name、data_typeおよびcompression_typeが含まれる。target_pathは、伝送するファイルを蓄積するフォルダの共通部分を示す文字列である。file_idは、伝送するファイルに割り当てられる固有のIDを示す。file_idは、ファイルを伝送するMPUのシーケンス番号の上位16ビットに対応付けられる。file_versionは、伝送するファイルのバージョンを示し、ファイルの更新時にインクリメントされる。file_versionは、ファイルを伝送するMPUのシーケンス番号の下位16ビットに対応付けられる。file_nameは、伝送するファイルのファイル名を示す。data_typeは、伝送するファイルのMIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)タイプを示す。compression_typeは、伝送するファイルの圧縮形式を示す。compression_typeとしては、
図5に示すような、伝送するファイルの圧縮形式に応じた値(Compression Type ID)が設定される。
【0049】
パッケージ構成部11は、マニフェストファイルに関する情報として、上述したadditional_data_component_infoの各項目に、マニフェストファイルの対応する情報を格納する。また、パッケージ構成部11は、additional_data_component_infoにマニフェストファイルに関する情報を格納する場合、additional_data_component_infoのfile_info_flagを“1”に設定する。このように、パッケージ構成部11は、additional_data_component_infoに、ファイルに関する情報が格納されているか否かを示すフラグ情報(file_info_flag)を、additional_data_component_infoに含める。
【0050】
受信装置としての受信システム20では、additional_data_component_infoのfile_info_flagに“1”が設定されている場合、additional_data_component_infoに含まれる、上述したセグメントファイルに関する情報を参照することで、汎用データアセットで伝送されるマニフェストファイルを取得することができる。
【0051】
図3を再び参照すると、パッケージ構成部11は、additional_data_component_infoの代わりに、汎用データアセットの汎用データヘッダ領域に、マニフェストファイルに関する情報を格納してもよい
【0052】
汎用データヘッダ領域は、component_tagと、data_typeと、additional_infoと、data_lengthと、を含む。component_tagは、コンポーネントを識別するタグである。data_typeは、データ領域に格納して伝送するデータのMIMEタイプを示す。additional_infoは、データ領域に格納して伝送するデータの付加情報である。data_lengthは、データ領域に格納して伝送するデータのデータ長を示す。
【0053】
パッケージ構成部11は、汎用データアセットのデータ領域に格納したファイル(マニフェストファイル)に関する情報を、汎用データヘッダ領域のadditional_infoに格納してよい。
【0054】
図6は、additional_infoの構成例を示す図である。
【0055】
図6に示すように、パッケージ構成部11は、マニフェストファイルに関する情報として、file_nameと、compression_typeと、をadditional_infoに含める。すなわち、パッケージ構成部11は、マニフェストファイルに関する情報を汎用データヘッダ領域に格納する場合、ファイルの名前(file_name)およびファイルの圧縮形式(compression_type)に関する情報を汎用データヘッダ領域に格納する。
【0056】
なお、マニフェストファイルに関する情報を汎用データヘッダ領域のadditional_infoに格納する場合、パッケージ構成部11は、target_path、file_id、file_versionおよびdata_typeについては、additional_data_component_infoに格納する必要はない。これらの情報は、汎用データヘッダ領域とともにMFUを構成するデータ領域にマニフェストファイルが格納されているため、不要だからである。
【0057】
また、マニフェストファイルに関する情報を汎用データヘッダ領域のadditional_infoに格納する場合、パッケージ構成部11は、additional_data_component_infoにはtarget_pathのみを記載し、file_info_flagには“0”を設定する。
【0058】
マニフェストファイルに関する情報を汎用データヘッダ領域のadditional_infoに格納することで、MH-データ符号化方式記述子のデータサイズを極力、小さくすることができる。
【0059】
パッケージ構成部11は、上述した、映像アセット、音声アセット、汎用データアセットおよび制御メッセージ(MPテーブル)などを多重してパッケージを構成する。ここで、パッケージ構成部11は、マニフェストファイルを、汎用データアセットのデータ領域に格納し、ファイルに関する情報をMPテーブルまたは汎用データヘッダ領域に格納したパッケージを構成する。
【0060】
図1を参照して説明したように、受信装置としての受信システム20は、多重分離部211を備える。多重分離部211は、受信したパッケージのMPテーブルまたは汎用データヘッダ領域に格納されているファイルに関する情報を参照して、汎用データアセットのデータ領域に格納されている所定のファイルを取得することができる。
【0061】
上述したように、汎用データ伝送方式は、任意のデータを汎用データアセットのデータ領域に格納して低遅延で伝送することが可能である。したがって、本実施形態によれば、パッケージ構成部11は、マニフェストファイルに限らず、任意のファイルを汎用データアセットのデータ領域に格納し、データ領域に格納したファイルに関する情報を、MPテーブルあるいは汎用データアセットの汎用データヘッダ領域に格納して伝送することができる。そのため、本実施形態に係る送信装置10によれば、放送伝送路において、任意のファイルを低遅延で伝送することが可能である。
【0062】
これまでは、送信装置10が非同期型汎用データ伝送により番組コンテンツを伝送する例を用いて説明したが、本開示はこれに限られるものではなく、送信装置10は、同期型汎用データ伝送により番組コンテンツを伝送してもよい。
【0063】
同期型汎用データ伝送方式の場合、
図7に示すように、汎用データアセットの参照情報に含まれるアセットタイプには、汎用データアセットで伝送されるデータが同期型データであることを示す「asgd」が設定される。
【0064】
汎用データアセットの参照情報には、汎用データアセットを構成するMPUの提示時刻に関する情報を記述するMPUタイムスタンプ記述子がさらに含まれる。
図7に示すように、MPUタイムスタンプ記述子は、mpu_sequence_numberと、mpu_presentation_timeと、を含む。mpu_sequence_numberは、タイムスタンプを記述するMPUのシーケンス番号を示す。mpu_presentation_timeは、MPUの提示時刻を示す。
【0065】
マニフェストファイルに関する情報として、file_nameと、compression_typeとを汎用データヘッダ領域のadditional_infoに格納する場合、パッケージ構成部11は、マニフェストファイルのバージョンに関する情報として、MPUタイムスタンプ記述子のmpu_presentation_timeの値を利用してよい。すなわち、パッケージ構成部11は、mpu_presentation_timeの値を、ファイルのバージョンに関する情報として用いてもよい。この場合、受信システム20では、MPUタイムスタンプ記述子のmpu_presentation_timeの値が更新されることで、汎用データアセットで伝送されるファイルが更新されたことを把握することができる。
【0066】
また、パッケージ構成部11は、MPUタイムスタンプ記述子の代わりに、汎用データヘッダ領域に含まれるadditional_infoに、マニフェストファイルのバージョンに関する情報を格納してもよい。すなわち、パッケージ構成部11は、
図8に示すように、additional_infoにmpu_presentation_timeを追加し、mpu_presentation_timeの値を利用してマニフェストファイルのバージョンに関する情報を格納してもよい。
【0067】
このように本実施形態に係る送信装置10は、所定のファイルを汎用データアセットのデータ領域に格納し、当該ファイルに関する情報をMPテーブルまたは汎用データヘッダ領域に格納した、パッケージを構成するパッケージ構成部11と、パッケージ構成部11により構成されたパッケージを、放送伝送路を介して伝送する伝送部12と、を備える。
【0068】
また、本実施形態に係る受信装置としての受信システム20は、受信したパッケージのMPテーブルまたは汎用データヘッダ領域に格納されている、ファイルに関する情報を参照して、汎用データアセットのデータ領域に格納されている所定のファイルを取得する多重分離部211を備える。
【0069】
任意のファイルを伝送可能な汎用データ伝送方式を用い、汎用データアセットのデータ領域に任意のファイル格納し、当該ファイルに関する情報をMPテーブルあるいは汎用データヘッダ領域に格納して伝送することで、放送伝送路で任意のファイルを低遅延で伝送することができる。特に、当該ファイルが、番組コンテンツの視聴のために参照されるマニフェストファイルである場合、マニフェストファイルおよびマニフェストファイルに関する情報を放送伝送路で伝送することで、受信システム20における番組コンテンツの視聴が可能となる。
【0070】
実施形態では特に触れていないが、コンピュータを、送信装置10あるいは受信装置としての受信システム20として機能させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0071】
あるいは、送信装置10あるいは受信装置としての受信システム20が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ、および、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成され、送信装置10あるいは受信装置としての受信システム20に搭載されるチップが提供されてもよい。
【0072】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 送受信システム
10 送信装置
11 パッケージ構成部
12 伝送部
20 受信システム(受信装置)
21 通信部
22 提示部
211 多重分離部
212 HTTPクライアント
213 記憶部
214 Webサーバ
221 Webブラウザ