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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083058
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】洗眼容器
(51)【国際特許分類】
   A61H 35/02 20060101AFI20230608BHJP
   A61H 33/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61H35/02 503
A61H33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197161
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 梢
【テーマコード(参考)】
4C094
【Fターム(参考)】
4C094AA05
4C094DD12
4C094GG07
(57)【要約】
【課題】使用時に貯留部をスクイズして変形させた際にフレーム部の変形を抑制してフレーム部の顔への密着性が損なわれないようにする洗眼容器を提供する。
【解決手段】洗眼の際に使用される洗眼容器1は目の周囲に当てられるフレーム部2と、洗眼液を内部に貯留可能な樹脂フィルム製の袋状の貯留部3であって、上端部が全周にわたってフレーム部2に接合される貯留部3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗眼の際に使用される洗眼容器であって、
目の周囲に当てられるフレーム部と、
洗眼液を内部に貯留可能な樹脂フィルム製の袋状の貯留部であって、上端部が全周にわたって前記フレーム部に接合される貯留部と、
を備える、洗眼容器。
【請求項2】
前記貯留部の少なくとも底を含む下端部は、横断面視形状が下方に向かうに連れて次第に小さくなる先細りの形状を呈し、前記底は線状又は点状を呈する、請求項1に記載の洗眼容器。
【請求項3】
前記貯留部の前記底が線状を呈しており、前記底が延びる方向に平行な縦断面視形状において、前記貯留部の少なくとも前記底を含む下端部は、前記底が頂点を有するように下に凸をなして折れ曲がる外形を呈する、請求項2に記載の洗眼容器。
【請求項4】
前記貯留部の前記底が線状を呈しており、前記底が延びる方向を横から見た形状において、前記貯留部の少なくとも前記底を含む下端部は、前記底の左右の端に角を有するように折れ曲がる外形を呈する、請求項2に記載の洗眼容器。
【請求項5】
前記貯留部は、対向する二枚の樹脂フィルムの外周縁同士を上端縁及び左右の側縁を互いに接合することで袋状に形成され、前記二枚の樹脂フィルムの互いに接合されていない上端縁が所定の幅でもって前記フレーム部に接合されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の洗眼容器。
【請求項6】
前記フレーム部には、対向する一対の指当て部が前記貯留部の内側又は外側に配置されるように設けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の洗眼容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗眼液で眼を洗浄する際に使用される洗眼容器に関する。
【背景技術】
【0002】
眼病予防や花粉症対策などのため、洗眼液で眼を洗うことが従来から行われており、洗眼する際に使用される洗眼容器として、洗眼液を貯留可能なカップ状の貯留部と、カップ状の貯留部の上端縁に全周にわたって設けられたフレーム部とで構成された洗眼容器が知られている。洗眼液は、別途に用意される液体収容器に収容されており、液体収容器から洗眼容器のカップ状部に注入される。
【0003】
特許文献1には、カップ状の貯留部及びフレーム部が弾性変形可能な柔軟材料により一体に成形された洗眼容器が開示されている。ユーザは、特許文献1の洗眼容器のカップ状の貯留部を指で掴み、顔を下に向けた状態でフレーム部を目の周囲に隙間なく押し当てた後、指でカップ状の貯留部をスクイズする。これにより、貯留部内の洗眼液が押し上げられ、流動する洗眼液が眼に接触することにより、洗眼することができる。
【0004】
特許文献2には、剛性を有するカップ状の貯留部の上端縁に柔軟なフレーム部が固定された洗眼容器が開示されている。ユーザは、特許文献2の洗眼容器のカップ状の貯留部を指で掴み、顔を下に向けた状態でフレーム部を目の周りに隙間なく押し当てた後、顔を上に向けて眼を洗眼液に浸しながら瞬きする。これにより、貯留部内の洗眼液が流動し、洗眼することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-133025号公報
【特許文献2】特開2017-164352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の洗眼容器は、フレーム部及びカップ状の貯留部が弾性変形可能な柔軟材料により一体に成形されているため、使用時にカップ状の貯留部をスクイズして変形させた際にフレーム部にも力が作用して変形する。これにより、フレーム部が歪んで顔への密着性が損なわれると、使用中にフレーム部と顔との間に隙間が生じてこの隙間から洗眼液が漏れ出るおそれがある。
【0007】
特許文献2に記載の洗眼容器は、カップ状の貯留部が剛性を有していてスクイズできないため、ユーザは顔を上に向けた状態でフレーム部を目の周囲に押し当てるが、瞬きしながらフレーム部を隙間なく顔に押し当て続けることは容易ではなく、使用中にフレーム部と顔との間に隙間が生じてこの隙間から洗眼液が漏れ出るおそれがある。加えて、洗眼容器は、液体収容器の口部に着脱可能に装着されるものが多く、この場合には液体収容器の口部に装着された状態で流通、保管される。しかし、口部に洗眼容器が装着された液体収容器を床などに落としてしまい、運悪く洗眼容器が下を向いた状態で床などに叩きつけられると、剛性のあるカップ状の貯留部が強い衝撃を受けてひびが入ったり割れたりするなど破損するおそれがある。
【0008】
また特許文献1及び2に記載の洗眼容器は、カップ状の貯留部に保形性があるために折り畳むなどして保管することができず、携帯する際に洗眼容器が嵩張るおそれがある。そのうえ、特許文献1及び2に記載の洗眼容器は、液体収容器から洗眼液を注入する際に洗眼液がカップ状の貯留部の内壁面に勢いよく当たると、その保形性により洗眼液が飛び跳ね、洗眼容器を持つ手や洗眼容器を置いた台などが飛び跳ねた洗眼液により汚れるおそれがある。
【0009】
本開示は、上記課題を解決することができる洗眼容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の洗眼容器は、洗眼の際に使用されるものである。本開示の洗眼容器は、目の周囲に当てられるフレーム部と、洗眼液を内部に貯留可能な樹脂フィルム製の袋状の貯留部であって、上端部が全周にわたって前記フレーム部に接合される貯留部と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
本開示の洗眼容器において好ましくは、前記貯留部の少なくとも底を含む下端部は、横断面視形状が下方に向かうに連れて次第に小さくなる先細りの形状を呈し、前記底は線状又は点状を呈する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0012】
また、本開示の洗眼容器において好ましくは、前記貯留部の前記底が線状を呈しており、前記底が延びる方向に平行な縦断面視形状において、前記貯留部の少なくとも前記底を含む下端部は、前記底が頂点を有するように下に凸をなして折れ曲がる外形を呈する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0013】
また、本開示の洗眼容器において好ましくは、前記貯留部の前記底が線状を呈しており、前記底が延びる方向を横から見た形状において、前記貯留部の少なくとも前記底を含む下端部は、前記底の左右の端に角を有するように折れ曲がる外形を呈する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0014】
また、本開示の洗眼容器において好ましくは、前記貯留部は、対向する二枚の樹脂フィルムの外周縁同士を上端縁及び左右の側縁を互いに接合することで袋状に形成され、前記二枚の樹脂フィルムの互いに接合されていない上端縁が所定の幅でもって前記フレーム部に接合されている、ことを特徴とするように構成することができる。
【0015】
また、本開示の洗眼容器において好ましくは、前記フレーム部には、対向する一対の指当て部が前記貯留部の内側又は外側に配置されるように設けられる、ことを特徴とするように構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の洗眼容器によれば、貯留部が樹脂フィルム製で袋状に形成されているため、使用時に袋状の貯留部をスクイズする際に貯留部に強い力をかけなくても貯留部を容易に変形させることができる。よって、貯留部のスクイズの際にフレーム部にほとんど力がかからず、フレーム部の変形を抑制できるので、フレーム部は顔への密着性が維持され、フレーム部と顔との間から洗眼液が漏れ出るのを抑制することができる。
【0017】
また本開示の洗眼容器によれば、貯留部は樹脂フィルム製で剛性が低いため、液体収容器の口部に装着された状態で流通、保管された際に、液体収容器の落下などによって洗眼容器が床などに叩きつけられて貯留部が衝撃を受けても貯留部は容易に変形する。よって、洗眼容器が破損するおそれが低い。
【0018】
また本開示の洗眼容器によれば、貯留部は樹脂フィルム製の袋状で保形性がないため、折り畳むなど容易に変形させてサイズを小さくすることができる。よって、洗眼容器を携帯する際に洗眼容器が嵩張らない。加えて、袋状の貯留部は保形性がないことから、液体収容器から洗眼液を注入する際に洗眼液が袋状の貯留部の内側面に勢いよく当たっても、洗眼液の勢いが緩和される。よって、洗眼液が洗眼容器への注入時に飛び跳ねて、洗眼容器を持つ手や洗眼容器を置いた台などが飛び跳ねた洗眼液により汚れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施形態の洗眼容器の斜視図である。
図2】本開示の実施形態の洗眼容器の背面図である。
図3】本開示の実施形態の洗眼容器の平面図である。
図4】本開示の実施形態の洗眼容器の右側面図である。
図5図2のA-A断面図(第一方向の縦断面図)である。
図6図4のB-B断面図(前記第一方向と直交する第二方向の縦断面図)である。
図7図4のC-C断面図(横断面図)である。
図8】貯留部の斜視図である。
図9】(A)~(C)はいずれも変形例の洗眼容器の第一方向の縦断面図である。
図10】本開示の実施形態の洗眼容器の折り畳んだ状態の(A)斜視図、(B)右側面図である。
図11】本開示の実施形態の洗眼容器の使用状態を示す説明図である。
図12】変形例の洗眼容器の第二方向の縦断面図である。
図13】変形例の洗眼容器の平面図である。
図14図13の変形例の洗眼容器の平面図である。
図15図13のD-D断面図(第一方向の縦断面図)である。
図16図14のE-E断面図(第二方向の縦断面図)である。
図17】変形例の洗眼容器の平面図である。
図18図17の変形例の洗眼容器の平面図である。
図19図17の変形例の洗眼容器の背面図である。
図20図17のF-F断面図(第一方向の縦断面図)である。
図21図18のG-G断面図(第二方向の縦断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の洗眼容器は、例えば眼病予防や花粉症対策のために洗眼液により眼を洗う際に使用されるものである。なお、本開示の洗眼容器の上述した使用目的はあくまでも一例である。洗眼液は、洗眼に用いることができる液体であれば特に限定されず、公知の種々の洗眼液を用いることができる。
【0021】
以下、本開示の洗眼容器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本開示では、ユーザが顔を下に向けた状態で洗眼容器を使用する状態(フレーム部を上に貯留部を下にした状態)における洗眼容器の高さ方向を上下方向とする。また、洗眼容器において、ユーザの目の周囲に押し当てた際の目頭(目の鼻に近い方の端)側に対応する部分が真正面となる側を正面側、目尻(目の耳に近い方の端)側に対応する部分が真正面となる側を背面側とし、洗眼容器を上から見る側を平面側、洗眼容器を下から見る側を底面側とし、六面の残りの二面側を側面側とする。また、洗眼容器の内部の方向を内側、外部の方向を外側とする。
【0022】
洗眼容器
図1から図7は、本開示の洗眼容器の一実施形態を示す。洗眼容器1は、フレーム部2及び貯留部3を備える。フレーム部2は、ユーザの目の周囲に押し当てられる部分である。貯留部3は、ユーザの眼を洗うための洗眼液を貯留する部分である。以下、洗眼容器1の各構成部材について詳細に説明する。
【0023】
フレーム部
図1から図6に示すように、フレーム部2は、内側に開口を有する枠状を呈しており、当該開口にユーザの目及びその周囲が収まる大きさに形成されている。フレーム部2の形状は、本実施形態では平面視で概ね楕円形状である。フレーム部2の平面視形状は、特に限定されるものではなく、円形状、正方形や長方形の矩形状、菱形形状などの他の形状であってもよい。
【0024】
フレーム部2は、特に限定されるものではないが、本実施形態では長軸方向の両端に目頭(目の鼻に近い方の端)側に対応する部分22及び目尻(目の耳に近い方の端)側に対応する部分23が位置し、これらの間にある中間部分が下に凸をなして湾曲するように形成されている。また、フレーム部2の目尻側に対応する部分23は、目頭側に対応する部分22よりも上方に位置している。これにより、フレーム部2をユーザの目の周囲にフィットさせることができ、フレーム部2を目の周囲に良好に密着させることができる。
【0025】
フレーム部2は、ユーザの目の周囲に隙間なく押し当てることができるように、弾性及び柔軟性を有する。フレーム部2を形成する材料としては、従来の洗眼容器のフレーム部に用いられる公知の種々の樹脂材料を用いることができるが、例えば、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、合成ゴム、天然ゴム、メタクリル樹脂、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリ三フッ化エチレン、熱可塑性エラストマー、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、尿素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を挙げることができる。
【0026】
フレーム部2は、特に限定されるものではないが、上下方向に延びる下部20と、下部20上に径方向外向きに傾斜するように延びる上部21とを含む。下部20は、貯留部3が接合される部分であり、上部21は、ユーザの目の周囲に当接する部分である。
【0027】
上部21は、特に限定されるものではないが、本実施形態では目尻側に当接する部分24の幅がそれ以外の部分の幅よりも広くなるように形成されている。フレーム部2をユーザの目の周囲に押し当てた際、目尻の近傍から洗眼液が漏れやすいが、上部21の目尻側に当接する部分24の幅を広くすることにより、目尻の近傍からの洗眼液の漏れを抑制することができる。また、上部21の目尻側に当接する部分以外の部分の幅を狭くすることにより、鼻などが邪魔することなく上部21を目の周囲に当接させることができる。
【0028】
なお、フレーム部2は、本実施形態ではその全体が弾性及び柔軟性を有するように形成されているが、上部21だけを弾性及び柔軟性を有するように形成し、下部20は上部21よりも硬くて剛性を有するように形成してもよい。この場合に下部20は、従来の洗眼容器の貯留部に用いられる公知の種々の硬質の樹脂材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。
【0029】
貯留部
図1から図8に示すように、貯留部3は、液不透過性でありかつ可撓性を有する樹脂フィルム製であり、袋状を呈している。貯留部3は、上端が開口しており、この上端開口の周縁をなす貯留部3の上端部33(貯留部3の上端縁に沿った所定の幅(上下方向の長さ)を有する部分)が全周にわたってフレーム部2の下部20に接合されている。貯留部3の上端部33をフレーム部2に接合する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤や粘着剤による接着の他、熱溶着や超音波溶着など、公知の種々の方法を用いることができる。
【0030】
貯留部3を形成する樹脂フィルム4は、可撓性を有していれば硬質の樹脂フィルムを用いることもできるが、薄くて柔らかい軟質の樹脂フィルムを用いることが好ましい。軟質の樹脂フィルムとしては、例えば一般に食品や薬剤などの包装に用いられる軟包装材を用いることができ、樹脂フィルムを形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのポリアミド、セロハン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、アイオノマーなどを挙げることができる。
【0031】
貯留部3を形成する樹脂フィルム4は、厚みが小さいほど貯留部3を柔らかくできる一方で、厚みが小さ過ぎると貯留部3の強度が低下する。そのため、貯留部3の厚みは、特に限定されるものではないが、0.02mm以上0.8mm以下が好ましく、0.05mm以上0.5mm以下がより好ましく、0.05mm以上0.25mm以下がさらにより好ましい。
【0032】
貯留部3は、特に限定されるものではないが、本実施形態では二枚の樹脂フィルム4A,4Bにより形成されている。二枚の樹脂フィルム4A,4Bは大きさ及び形状がほぼ同じである。互いに重ね合わされることにより対向する二枚の樹脂フィルム4A,4Bの下端縁及び左右の側縁を互いに接合することで、貯留部3を袋状に形成することができる。そして、二枚の樹脂フィルム4A,4Bの互いに接合されていない上端縁を所定の幅(上下方向の長さ)でもってフレーム部2の下部20に接合することで、貯留部3をフレーム部2に固定することができる。樹脂フィルムの接合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤や粘着剤による接着の他、熱溶着や超音波溶着など、公知の種々の方法を用いることができる。
【0033】
貯留部3における樹脂フィルムの接合部5の幅は、特に限定されるものではないが、貯留部3の強度を考慮すれば、2mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上8mm以下がより好ましい。
【0034】
貯留部3の側面側から見た縦断面視形状(図5に示す、本開示では「第一方向の縦断面視形状」という)は、本実施形態では下方に向かうに連れて幅狭の台形状である。貯留部3の第一方向の縦断面視形状は、特に限定されるものではなく、長方形状や正方形状(矩形状)などの他の四角形状、三角形状、半円形状、半楕円形状など、種々の形状とすることができる。なお、本開示において縦断面視形状とは、鉛直方向に沿った断面の形状である。
【0035】
貯留部3は、特に限定されるものではないが、横断面視形状(図7に示す)において少なくとも底30を含む下端部が下方に向かうに連れて次第に小さくなるように、先細りの形状を呈している。なお、本開示において横断面視形状とは、水平方向に沿った断面の形状である。
【0036】
本実施形態では、貯留部3は、正面側及び背面側から見た縦断面視(図6に示す、本開示では「第二方向の縦断面視形状」という)において下端が尖るV字形状を呈しており、貯留部3の全体が上述した先細りの形状を呈している。これにより、貯液部3は、第一方向の縦断面視形状が台形状などの四角形状であるために底30が正面側及び背面側の間でほぼ水平に線状に延びていて(図5から図7に示す)、貯留部3は線状の底30から上方に向かって両側面側に次第に広がる形状を呈している。
【0037】
本実施形態では貯留部3の第一方向の縦断面視形状が台形状などの四角形状であるが、貯留部3の第一方向の縦断面視形状が図9(A)に示すような、少なくとも底30を含む下端部が先の丸い形状(例えば円形状、楕円形状、U字形状)である場合は、貯留部3の底30は正面側及び背面側の間を下に凸をなして湾曲しながら線状に延びる。貯留部3の第一方向の縦断面視形状が図9(B)に示すような、少なくとも底30を含む下端部が先の尖った形状(例えばロケット形状)である場合は、貯留部3の底30は正面側及び背面側の間を下に凸をなして屈曲しながら線状に延びる。貯留部3の第一方向の縦断面視形状が図9(C)に示すような、三角形状である場合は、貯留部3は錐形状をなし、貯留部3の底30は点状である。
【0038】
貯留部3は、本実施形態では、正面側及び背面側から見た第二方向の縦断面視形状において上述したV字形状を呈しているが、側面側から見た第一方向の縦断面視形状においてV字形状を呈していてもよい。
【0039】
貯留部3は、特に限定されるものではないが、全体又は一部が透明又は半透明であり、これにより外部から貯留部3内の洗眼液の量を確認することができる。
【0040】
洗眼容器の使用方法
次に、上述した洗眼容器1の使用方法について説明する。まず、洗眼容器とは別途に用意される洗眼液を収容した液体収容器から、洗眼容器1の袋状の貯留部3に洗眼液を注入する。なお、図10に示すように、洗眼容器1の貯留部3が折り畳まれている場合は、貯留部3を広げて袋状とする。
【0041】
次に、フレーム部2又は貯留部3を指で挟み持ち、顔を下に向けた状態でフレーム部2を目の周囲に隙間なく押し当てる。そして、図11に示すように、この状態で貯留部3を指でスクイズして貯留部3内の洗眼液を押し上げ、流動させた洗眼液を眼に接触させる。指による貯留部3のスクイズを繰り返し行い、貯留部3内の洗眼液を眼に繰り返し接触させることにより、眼に付着した汚れや、花粉、埃などの異物を洗い流して洗眼することができる。
【0042】
なお、図示は省略するが、貯留部3を指で掴み、顔を下に向けた状態でフレーム部2を目の周りに隙間なく押し当てた後に顔を上に向け、眼を洗眼液に浸し続けながら瞬きすることによって洗眼液を流動させることにより、眼に付着した汚れや、花粉、埃などの異物を洗い流して洗眼することもできる。
【0043】
洗眼容器による作用・効果
上述した本実施形態の洗眼容器1は、貯留部3が樹脂フィルム製で袋状に形成されているため、使用時に袋状の貯留部3をスクイズする際に貯留部3に強い力をかけなくても貯留部3を容易に変形させて、貯留部3内の洗眼液を押し上げて流動させることができる。よって、本実施形態の洗眼容器1によれば、洗眼時にフレーム部2にほとんど力がかからず、フレーム部2の変形を抑制できるので、フレーム部2はユーザの顔への密着性が維持され、洗眼時にフレーム部2と顔との間から洗眼液が漏れ出るのを抑制することができる。
【0044】
また本実施形態の洗眼容器1は、貯留部3が樹脂フィルム製で剛性が低い。そのため、本実施形態の洗眼容器1によれば、液体収容器の口部に装着された状態で流通、保管された際に、液体収容器の落下などによって洗眼容器1が床などに叩きつけられて貯留部3が衝撃を受けても、貯留部3は容易に変形するので、洗眼容器1が破損するおそれが低い。
【0045】
また本実施形態の洗眼容器1は、貯留部3が樹脂フィルム製の袋状で保形性がない、つまりは、剛性が高くて変形しにくい性質や、弾性が高くて変形しても元の形状に復元できる性質ではないため、図10に示すように折り畳むなどすることにより容易に変形させてサイズを小さくすることができる。よって、本実施形態の洗眼容器1によれば、洗眼容器1を携帯する際に嵩張らない。
【0046】
また本実施形態の洗眼容器1は、貯留部3の保形性がないことから、液体収容器から洗眼液を注入する際に洗眼液が貯留部3の内側面に勢いよく当たっても、洗眼液の勢いが緩和される。よって、本実施形態の洗眼容器1によれば、洗眼液が洗眼容器1への注入時に飛び跳ねて、洗眼容器1を持つユーザの手や洗眼容器を置いた台などが飛び跳ねた洗眼液により汚れるのを抑制することができる。
【0047】
以上の通り、本実施形態の洗浄容器1は、本開示の上述した課題を解決することができる。加えて、本実施形態の洗浄容器1は、貯留部3が樹脂フィルム製であるため、従来の洗眼容器の貯留部と比べて樹脂の使用量を削減することができるため、環境にやさしいという利点がある。
【0048】
加えて、本実施形態の洗眼容器1は、図6及び図7に示すように、貯留部3の少なくとも底30を含む下端部が横断面視形状で下方に向かうに連れて次第に小さくなる先細りの形状を呈しており、貯留部3の下端部は底30が線状又は点状をなして尖っている。このように貯留部3の底30が狭いため、本実施形態の洗眼容器1によれば、少量の洗眼液で洗眼することができるうえ、洗眼容器1の携帯の際に折り畳みやすくなる。さらに、貯留部30をスクイズする際に貯留部3に加える力を調整しやすいため、洗眼時に眼に接触させる洗眼液の流量や勢いなどを容易に調整することができる。
【0049】
また、洗眼容器1は、その使用目的上、衛生的に使用できることが必要であり、洗眼により眼から除去された汚れや異物を目視により容易に確認できることが好ましい。本実施形態の洗眼容器1は、貯留部3の少なくとも底30を含む下端部が尖る先細りの形状であることにより、洗眼により眼から除去された汚れや異物が貯留部3の底30に溜まりやすい構造である。よって、本実施形態の洗眼容器1によれば、ユーザは眼から除去された汚れや異物を目視で確認することができ、洗眼容器1の衛生的な洗浄・保管が可能となる。
【0050】
加えて、本実施形態の洗眼容器1は、図5に示すように、貯留部3が線状の底30が延びる方向に平行な第一の縦断面視形状において台形状などの四角形状を呈しており、貯留部3の少なくとも底30を含む下端部が底30の左右の端に角31を有するように折れ曲がる外形を呈している。これにより、洗眼容器1を傾けると、洗眼により眼から除去された汚れや異物が貯留部3の底30の角31に溜まる。よって、本実施形態の洗眼容器1によれば、ユーザは眼から除去された汚れや異物を目視で容易に確認することができる。
【0051】
一方で、図9(A)や図9(B)に示すように、貯留部3が線状の底30が延びる方向に平行な第一の縦断面視形状において、少なくとも底30を含む下端部が下に凸をなして湾曲する又は下に凸をなして尖る形状を呈しており、貯留部3の下端部が底30の中央に頂点32を有するように折れ曲がる外形を呈する場合は、洗眼により眼から除去された汚れや異物が貯留部3の底30の頂点32に自然に溜まる。よって、この場合もユーザは眼から除去された汚れや異物を目視で容易に確認することができる。
【0052】
洗眼容器の変形例
以上、本開示の洗眼容器の一実施形態について説明したが、本開示の洗眼容器は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。つまり、以下に例示する変形例の洗眼容器は、上記実施形態の洗眼容器1と同様に、本開示の上述した課題を解決することができる。
【0053】
上記実施形態の洗眼容器1は、貯留部3が二枚の樹脂フィルム4A,4Bで形成されている。変形例として、図示は省略するが、貯留部3を一枚の樹脂フィルムにより形成することもできる。この変形例の洗眼容器では、折り返された一枚の樹脂フィルムの折り返し部を互いに接合するとともに、左右の側縁を互いに接合することで、貯留部3を袋状に形成することができる。そして、折り返された一枚の樹脂フィルムの互いに接合されていない二つの上端縁を所定の幅でもってフレーム部2の下部20に接合することで、貯留部3をフレーム部2に固定することができる。この変形例の洗眼容器においても、貯留部3は、横断面視形状において少なくとも底30を含む下端部が下方に向かうに連れて次第に小さくなるように、下端が尖る先細りの形状を呈しており、貯留部3の底30は正面側及び背面側の間でほぼ水平に線状に延びている。
【0054】
また他の変形例として、図12に示すように、貯留部3を三枚の樹脂フィルム4A,4B,4Cにより形成することもできる。この変形例の洗眼容器10では、貯留部3の側面をなす大きさ及び形状がほぼ同じの二枚の樹脂フィルム4A,4Bが互いに重ね合わされており、貯留部3の底面をなす他の一枚の樹脂フィルム4Cが二つ折りにされかつ折り返し部を上方に向けた状態で二枚の樹脂フィルム4A,4Bの下部の間に挟まれている。樹脂フィルム4Cの外周縁を二枚の樹脂フィルム4A,4Bに接合することで、貯留部3の底面が形成され、樹脂フィルム4Cよりも上方において二枚の樹脂フィルム4A,4Bの左右の側縁を互いに接合することで、貯留部3を袋状に形成することができる。そして、側面をなす二枚の樹脂フィルム4A,4Bの互いに接合されていない上端縁を所定の幅でもってフレーム部2の下部20に接合することで、貯留部3をフレーム部2に固定することができる。この変形例の洗眼容器10では、貯留部3に二つの底30が形成される。この変形例の洗眼容器10においても、貯留部3は、横断面視形状において少なくとも底30を含む下端部が下方に向かうに連れて次第に小さくなるように、下端が尖る先細りの形状を呈しており、貯留部3の二つの底30はそれぞれ正面側及び背面側の間でほぼ水平に線状に延びている。
【0055】
また上記実施形態の洗眼容器1では、貯留部3の底30は線状を呈している。変形例として、図示は省略するが、貯留部3は、横断面視形状において少なくとも底30を含む下端部が下方に向かうに連れて次第に小さくなるように、先細りの形状を呈するものの、下端は尖っていなくてもよい。この変形例の洗眼容器では、貯留部3の底30は線状ではなく面状をなしており、貯留部3の底30は正面側及び背面側の間でほぼ水平に面状に延びている。
【0056】
また上記実施形態の洗眼容器1では、貯留部3は、横断面視形状において少なくとも底30を含む下端部が下方に向かうに連れて次第に小さくなるように、先細りの形状を呈している。変形例として、図示は省略するが、貯留部3は、先細りの形状を呈していなくてもよい。
【0057】
また図13から図16及び図17から図21に示す変形例のように、洗眼容器100は、フレーム部2に、対向する一対の指当て部6が設けられていてもよい。一対の指当て部6は、フレーム部2と一体に形成されていてもよいし、フレーム部2とは別個に形成してフレーム部2に取り付けるようにしてもよい。一対の指当て部6は、貯留部3の内側に配置されてもよいし、貯留部3の外側に配置されてもよい。
【0058】
一対の指当て部6を貯留部3の内側に配置する場合は、図13から図16に示すように、一対の指当て部6はフレーム部2から内側に倒れるように鉛直方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、先細り形状を呈する貯留部3の内側面に一対の指当て部6を沿わせることができる。
【0059】
一対の指当て部6を貯留部3の外側に配置する場合は、図17から図21に示すように、一対の指当て部6はフレーム部2から鉛直方向に延びていてもよいし、フレーム部2から内側又は外側に倒れるように鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
【0060】
一対の指当て部6は、ユーザが親指や人差し指で一対の指当て部6を挟み持つことが可能な形状、大きさに形成されている。ユーザは、洗眼容器100を目の周囲に押し当てる際に一対の指当て部6を指で挟み持つことで、洗眼容器100を持ちやすくなるため、洗眼容器100をより安定して目の周囲に隙間なく押し当てることができ、洗眼容器100の顔への密着性を向上可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 洗眼容器
2 フレーム部
3 貯留部
30 貯留部の底
31 底の左右の端の角
32 底の頂点
33 貯留部の上端部
4 樹脂フィルム
5 樹脂フィルムの接合部
6 指当て部
図1
図2
図3
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