(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083213
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】Siウェハ、Si基板部材、貼り合わせ基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20230608BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H01L21/78 B
B41J2/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148365
(22)【出願日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2021197017
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌央
(72)【発明者】
【氏名】守田 要
【テーマコード(参考)】
2C057
5F063
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AP23
2C057AP31
5F063AA05
5F063AA31
5F063BA11
5F063BA31
5F063BA32
5F063CB07
5F063CB08
5F063CB17
5F063CB29
5F063CC03
5F063CC04
5F063CC08
5F063DD29
5F063DD37
5F063DD68
(57)【要約】
【課題】ウェハを小片化する際に過度な応力集中が生じることを抑制でき、割れやクラックを抑制でき、部品不良を低減できるSiウェハを提供する。
【解決手段】面方向に連結された第1基板21と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層41と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層42とを有し、前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数よりも多い改質層を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数よりも多い改質層を有することを特徴とするSiウェハ。
【請求項2】
面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有するとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とするSiウェハ。
【請求項3】
面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有し、
前記長手方向の基板領域に形成される改質層のうちの少なくとも1つは、前記長手方向に不連続であることを特徴とするSiウェハ。
【請求項4】
前記長手方向に不連続な改質層を不連続改質層とし、前記第1基板の長手方向の一端から他端までの距離を長手全長とし、前記第1基板の長手方向の中央もしくは略中央をチップ中心としたとき、
前記不連続改質層は、
前記チップ中心から前記一端の方向に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層と、
前記チップ中心から前記他端の方向に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層と、
前記一端側に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層、及び/又は、前記他端側に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層と、
からなることを特徴とする請求項3に記載のSiウェハ。
【請求項5】
前記長手方向の基板領域に形成される改質層のうち、前記長手方向に不連続な改質層を不連続改質層とし、前記長手方向に連続な改質層を連続改質層としたとき、
前記不連続改質層及び前記連続改質層は、少なくとも1つ以上形成されており、
前記不連続改質層のうちの少なくとも1つは、前記連続改質層の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のSiウェハ。
【請求項6】
前記短手方向の基板間領域における前記改質層のうちの少なくとも1つと、前記長手方向の基板間領域における前記改質層のうちの少なくとも1つは、前記第1基板の厚み方向で位置が同じであることを特徴とする請求項3に記載のSiウェハ。
【請求項7】
前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有するとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とする請求項6に記載のSiウェハ。
【請求項8】
前記第1基板は、液体吐出ヘッド用の部材であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のSiウェハ。
【請求項9】
前記第1基板は、ノズル基板であることを特徴とする請求項8に記載のSiウェハ。
【請求項10】
請求項1~3のいずれかに記載のSiウェハ上であり、前記第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板が貼り合わされたことを特徴とする貼り合わせ基板。
【請求項11】
前記第2基板のうちの1つが、電子機械変換素子を有する基板であることを特徴とする請求項10に記載の貼り合わせ基板。
【請求項12】
面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、
側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数よりも多いことを特徴とするSi基板部材。
【請求項13】
面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、
側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数以上であるとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とするSi基板部材。
【請求項14】
面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、
側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数よりも多く、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層のうちの少なくとも1つは、前記長手方向に不連続であることを特徴とするSi基板部材。
【請求項15】
液体吐出ヘッド用の部材であることを特徴とする請求項12~14のいずれかに記載のSi基板部材。
【請求項16】
ノズル基板であることを特徴とする請求項15に記載のSi基板部材。
【請求項17】
請求項12~14のいずれかに記載のSi基板部材を第1のSi基板部材としたとき、該第1のSi基板部材上に、前記第1のSi基板部材とは異なる1つ以上の第2のSi基板部材が貼り合わされたことを特徴とする貼り合わせ基板。
【請求項18】
前記第2のSi基板部材のうちの1つが、電子機械変換素子を有する基板であることを特徴とする請求項17に記載の貼り合わせ基板。
【請求項19】
請求項12~14のいずれかに記載のSi基板部材を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項20】
請求項18に記載の貼り合わせ基板を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項21】
請求項20に記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項22】
請求項20に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項23】
面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、
前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、
前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、
前記第2工程は、前記第1工程で形成する改質層の層数よりも多い改質層を形成することを特徴とする基板加工方法。
【請求項24】
面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、
前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、
前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、
前記第2工程は、前記第1工程で形成する改質層の層数以上の改質層を形成するとともに、少なくとも1つ以上の改質層を前記第1工程のレーザーの出力よりも大きい出力で形成することを特徴とする基板加工方法。
【請求項25】
面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、
前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、
前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、
前記第2工程は、前記長手方向に不連続となる前記改質層を少なくとも1つ形成することを特徴とする基板加工方法。
【請求項26】
前記第1基板は、液体吐出ヘッド用の部材であることを特徴とする請求項23~25のいずれかに記載の基板加工方法。
【請求項27】
前記第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板を貼り合わせる貼り合わせ工程を含み、
前記貼り合わせ工程の後に、前記改質層作製工程を行うことを特徴とする請求項23~25のいずれかに記載の基板加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Siウェハ、Si基板部材、貼り合わせ基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドのノズル基板やアクチュエータ基板の製造方法として、例えば、Siウェハ上にデバイスを形成後、チップを小片化し、個々の部品を取り出す方法が知られている。このような方法では、Siウェハ上に多くのチップを配置するため、半ピッチずらして配列することがある。このような配列は千鳥配列とも称されることがある。
【0003】
Siウェハのチップを小片化する方法として、ステルスダイシング法によるステルスダイシング装置を用いることが知られている。ステルスダイシング法では、例えばレーザー照射工程とエキスパンド工程を行う。レーザー照射工程では、ダイシングライン(分割ラインなどとも称する)にレーザーを照射し、レーザーの集光によって改質層という欠陥を形成する。次いで、後工程であるエキスパンド工程では、部品に外力を加えて加圧することで分割を行う。
【0004】
しかし、半ピッチずらして配列された千鳥配置のウェハには、ダイシングライン上のT字部分が生じており、このT字部分に関して、加工の精度を向上させる試みがなされている。
【0005】
例えば特許文献1では、T字部分に対するレーザー加工を考慮した技術が提案されている。特許文献1では、基板を分割しようとする予定分割線のうち、第1の予定分割線と交差してT字形状を成す第2の予定分割線に沿って、前記第1の予定分割線との交差地点から所定の長さ及び深さでエッチング加工を行う工程と、該エッチング加工を行なっていない前記予定分割線の部分に対して前記基板を分割するためのレーザー加工を行う工程とを有する基板加工方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半ピッチずらして配列された千鳥配置のウェハを小片化する場合、形成されるダイシングライン上のT字部分には、エキスパンド時に応力が集中しやすい。このため、現状のダイシング条件であると、後工程のエキスパンド工程でチップに割れやクラックが発生するという問題が生じている。
【0007】
そこで本発明は、ウェハを小片化する際に過度な応力集中が生じることを抑制でき、割れやクラックを抑制でき、部品不良を低減できるSiウェハを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のSiウェハは、面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数よりも多い改質層を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウェハを小片化する際に過度な応力集中が生じることを抑制でき、割れやクラックを抑制でき、部品不良を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るSiウェハの一例を示す斜視概略図(A)及び従来例において第1基板にクラックが発生した場合の例を示す平面概略図(B)である。
【
図2】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す分解斜視概略図である。
【
図3】従来例におけるレーザー加工の一例を模式的に説明するための平面概略図である。
【
図4】実施例におけるレーザー加工の一例を模式的に説明するための平面概略図である。
【
図6】比較例1における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図7】実施例1における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図8】実施例2における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図9】第1基板及び第2基板の一例を示す平面概略図である。
【
図10】比較例2における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図11】実施例3における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図12】実施例4における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図13】他の実施例におけるレーザー加工の一例を模式的に説明するための平面概略図である。
【
図14】他の例における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図15】他の例における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図16】他の例における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図17】他の例における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図18】実施例5における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図19】実施例6における第1基板の割断面を示す短手方向に沿った図(A)及び長手方向に沿った図(B)である。
【
図20】本発明に係る液体を吐出する装置の一例を示す斜視概略図である。
【
図21】本発明に係る液体を吐出する装置の一例を示す側面概略図である。
【
図22】本発明に係る液体を吐出する装置の他の例を示す概略図である。
【
図23】本発明に係る液体を吐出する装置の他の例を示す概略図である。
【
図24】液体吐出ユニットの一例を示す概略図である。
【
図25】液体吐出ユニットの他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るSiウェハ、Si基板部材、貼り合わせ基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
(Siウェハ、Si基板部材、貼り合わせ基板及び液体吐出ヘッド)
<第1実施形態及び第2実施形態>
まず、従来の問題について
図1を用いて説明する。
図1(A)は、本発明のSiウェハの一例を示す斜視概略図であり、Siウェハ50は、面方向に連結した複数の第1基板21を有している。
図1(A)に示すSiウェハ50は、第1基板21を39個有している。
図1(B)は、従来の問題を説明するための図であり、
図1(A)の破線の円部分の拡大図にも相当する。ただし、
図1(B)は、第1基板21を分割して小片化(チップ化とも称する)した場合の一例を示している。
【0013】
なお、ここでは、チップ化する前(分割する前)の状態をSiウェハとも称し、Siウェハを分割してチップ化したものをSi基板部材とも称する。これらの用語は、チップ化する前と後とを区別するために便宜的に用いており、適宜変更することが可能である。
【0014】
図2は、本発明の液体吐出ヘッドの一例を説明するための斜視分解概略図である。
図2では、ノズル基板11、アクチュエータ基板12、ダンパ部材13、フレーム部材14が図示されている。
ノズル基板11は、ノズル16を有しており、ノズルプレートなどと称されてもよい。アクチュエータ基板12は、電気機械変換素子17を有し、また液室や流路等を有している。アクチュエータ基板12は、液室基板などと称されてもよい。ダンパ部材13は、ダンパ18を有している。例えば、ダンパ18が振動することで、アクチュエータ基板12上に形成されている流路を流れる液体の振動を抑えることができる。フレーム部材14は、例えばダンパ18の振動領域を有している。
【0015】
図1(A)の第1基板21としては、例えば、
図2に示すノズル基板11であってもよいし、アクチュエータ基板12であってもよいし、ノズル基板11とアクチュエータ基板12とが貼り合わされたものであってもよいし、更にその他であってもよい。
【0016】
なお、
図1(A)及び
図2は、本発明にも含まれるものである。また、ノズル基板やアクチュエータ基板をMEMS部品(Micro Electro Mechanical Systems)などと称してもよい。第1基板21は、MEMS部材を有していてもよく、この場合、本実施形態のSiウェハをMEMS基板として用いてもよい。
【0017】
液体吐出ヘッドのノズル基板やアクチュエータ基板の製造方法として、Siウェハにデバイスを形成した後、小片化して個々の部品を取り出す方法が知られている。ノズル基板の場合、例えば、基板の表裏からエッチングを行うことでノズル孔を形成し、その後、保護膜等を形成して接液耐性を付与する。そして、基板を分割し小片化して、部品を得る。小片化される1つの単位をチップなどとも称する。Siウェハを分割して小片化する場合、例えばダイシングラインに沿って分割する。
【0018】
従来、ステルスダイシング法を用いたステルスダイシング装置により、ダイシングすることが知られている。ステルスダイシング法では、例えばレーザー照射工程とエキスパンド工程を行う。レーザー照射工程では、ダイシングライン(基板間領域とも称する)にレーザーを照射し、レーザーの集光によって改質層という欠陥を形成する。次いで、後工程であるエキスパンド工程では、部品に外力を加えて加圧することで分割を行う。なお、改質層を欠陥層などと称してもよい。
【0019】
従来、Siウェハ上に、より多くのチップを配置するため、
図1(A)に示すように、半ピッチずらしてチップを配列することが知られている。半ピッチずらしてチップを配列することを千鳥配置などとも称することがある。なお、千鳥配置と称する場合、1チップずつ半ピッチずらす場合のみならず、
図1(A)に示すように、複数のチップをひとまとまりとして半ピッチずらす場合も含まれる。
【0020】
半ピッチずらしてチップを配列させたことにより形成されるダイシングライン上のT字部分には、エキスパンド時に応力が集中しやすくなる。なお、ダイシングライン上のT字部分は、例えば
図1(A)の破線の円部分が例示される。
【0021】
エキスパンド時に応力が集中すると、例えば
図1(B)に示すように、クラック9が生じてしまう。クラックが生じると、部品の品質が著しく低下してしまう。このように、従来のダイシング条件であると、エキスパンド工程でクラックが生じてしまう場合があった。なお、クラックよりも程度がひどいものを割れとも称する。
【0022】
ステルスダイシング法における従来の方法について、
図3を用いて説明する。
図3は、Siウェハの平面概略図であり、レーザー加工を模式的に説明するための図である。図中、第1基板21は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としている。第1基板21と隣接する他の第1基板21との間にダイシングライン(基板間領域とも称する)が存在している。第1基板21はダイシングラインを介して他の第1基板21と連結している。
【0023】
ステルスダイシング法では、レーザー加工を行い、ダイシングラインに改質層を形成する。図中、短手方向のレーザー加工を符号31で示しており、長手方向のレーザー加工を符号32で示している。また、短手方向のレーザー加工の一つを符号31aで示しており、長手方向のレーザー加工の一つを符号32aで示している。なお、レーザー加工とあるのは、レーザーを照射することを意味する。
【0024】
従来では、短手方向のレーザー加工と長手方向のレーザー加工を同じように行っている。このため、形成される改質層は、短手方向と長手方向とで同じになり、後工程であるエキスパンド工程において、ダイシングライン上のT字部分に応力が集中しやすくなる。
【0025】
そこで、本発明では、短手方向のレーザー加工と長手方向のレーザー加工とを異ならせ、長手方向のダイシングラインが短手方向のダイシングラインよりも先に割れやすくする。これにより、応力集中による割れやクラックを防ぐことができる。
【0026】
長手方向のダイシングラインが短手方向のダイシングラインよりも先に割れやすくするには、例えば、長手方向のレーザー加工をする際に、短手方向よりも改質層を多く形成する方法が挙げられる。
【0027】
図4は、本発明の一例を説明するための図であり、
図3と同様の平面概略図である。
図4に示す例では、符号32で示される長手方向のレーザー加工を2回行い、長手方向で形成される改質層の数を短手方向で形成される改質層の数よりも多くしている。これにより、長手方向のダイシングラインが短手方向のダイシングラインよりも先に割れやすくすることができる。
【0028】
次に、本発明における改質層の詳細例について説明する。
まず、
図5に、Siウェハ50の要部平面概略図の一例を示す。面方向に連結された第1基板21が図示されており、また、第1基板21の間に設けられた基板間領域(ダイシングライン33、34)が図示されている。基板間領域(ダイシングライン)は、第1基板21を分割するために設けられており、ダイシングライン33は短手方向であり、ダイシングライン34は長手方向である。第1基板21は、例えば、面方向に対して短手と長手の4辺を有する長方形である。
【0029】
本発明について説明する前に、比較例1について
図6を用いて説明する。
図6(A)及び
図6(B)は、比較例1を説明するための図であり、
図5のSiウェハに対してダイシングを行い、分割した後の第1基板21の側面図である。このような側面図を第1基板21の割断面とも称する。
図6(A)は、第1基板21の短手方向に沿った側面図であり、
図6(B)は、第1基板21の長手方向に沿った側面図である。また
図6は、
図3のようにしてレーザー加工をして得られたSiウェハを分割したものである。
【0030】
図3のところでも説明したように、比較例1では、短手方向のレーザー加工と長手方向のレーザー加工を同じにしている。そのため、基板間領域(ダイシングライン)は、短手方向と長手方向で同じになり、改質層(欠陥層)のでき方が短手方向と長手方向とで同じになる。これは、Siウェハをダイシングして第1基板21の側面を見ても判断できる。
図6(A)と
図6(B)とで改質層のでき方が同じになっている。
【0031】
図6に示す数値は一例であり、例として、第1基板21の厚みを50μmとしている。Siウェハの厚みが50μmであると称してもよい。また、この例では、レーザー加工を行い、基板表面から25μmの位置に改質層42を形成している。第1基板21の割断面をみると、第1基板21の厚み方向において、複数のSi層41と、Si層41よりも内側に形成された改質層42とが形成されている。
【0032】
比較例1では、
図6(A)と
図6(B)の間に破線を表示している。これは、短手方向のダイシングラインに形成された改質層42と、長手方向のダイシングラインに形成された改質層42とが同じ位置(深さ)に形成されていることを理解するためのものである。
【0033】
比較例1では、0.20Wのレーザー出力でレーザー照射を行い、短手方向と長手方向のダイシングラインに対して、基板表面から25μmの位置に改質層42を形成している。比較例1では、同じ構成の改質層42が短手方向と長手方向に形成されるため、ダイシングを行うと、短手方向と長手方向とで同じように割断がはじまってしまう。このため、半ピッチずらして千鳥配置にした場合に存在するダイシングライン上のT字部分に、割れやクラックが発生してしまった。
【0034】
これに対して本発明では例えば以下のようにする。
図7は、本発明の一例(実施例1)を説明するための図であり、
図6と同様に、分割した後の第1基板21の側面図である。
図7(A)は、分割した後における第1基板21の短手方向に沿った側面図であり、
図7(B)は、分割した後における第1基板21の長手方向に沿った側面図である。
図5のAA線、BB線の側面図にも相当する。分割した後の第1基板21は、Si基板部材に該当する。なお、以下では、分割した後の第1基板21を単に第1基板21とも称することがある。
【0035】
また
図7は、
図4のようにしてレーザー加工をして得られたSiウェハ50を分割したものである。短手方向のレーザー加工は1回であるのに対し、長手方向のレーザー加工は2回行っている。なお、レーザー加工を2回行うというのは、例えば長手方向のレーザー加工32bにおいて、2回レーザーを照射するといったことを意味する。
【0036】
本実施例において、改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、前記第2工程は、前記第1工程で形成する改質層の層数よりも多い改質層を形成する。改質層作製工程の後、Siウェハを分割する分割工程を行う。
【0037】
実施例1では、
図7(B)に示すように、長手方向に形成する改質層42を、基板表面から16μm、32μmのそれぞれに導入している。これにより、図示するように、長手方向のダイシングライン(基板間領域)には、2層(2本)の改質層42が形成される。なお、レーザー出力は比較例1と同様に、0.20Wのレーザー出力としている。
【0038】
エキスパンド時の加圧時には、改質層42が多く形成されている箇所から割断がはじまる。このため、実施例1の場合、短手方向のダイシングラインよりも先に、長手方向のダイシングラインから割断される。これにより、半ピッチずらして千鳥配置にした場合に存在するダイシングライン上のT字部分に過度な応力集中が生じることを抑制でき、第1基板に割れやクラックが発生することを防止できる。結果として、部品不良を低減することができる。
【0039】
実施例1では、長手方向の基板間領域に、基板表面から16μm、32μmに改質層42を形成している。このように、改質層が形成される位置(基板表面からの距離)を変える方法としては、適宜選択することができる。
【0040】
図8は、本発明の一例(実施例2)を説明するための図であり、
図7と同様に、分割した後の第1基板21の側面図である。
図8(A)は、第1基板21の短手方向に沿った側面図であり、
図8(B)は、第1基板21の長手方向に沿った側面図である。また
図8は、
図5のAA線、BB線の側面図にも相当する。分割した後の第1基板21は、Si基板部材に該当する。なお、以下では、分割した後の第1基板21を単に第1基板21とも称することがある。
【0041】
本実施例でも実施例1と同様に、改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、改質層作製工程の後、Siウェハを分割する分割工程を行う。ただし、第2工程において実施例1との違いがある。
【0042】
実施例2も
図4のようにしてレーザー加工をして得られたSiウェハ50を分割したものであるが、長手方向のレーザー加工のうちの1つについて、高強度のレーザー出力で加工を行っている。実施例2では、例えば、短手方向のレーザー加工と長手方向のレーザー加工のうちの1つにおけるレーザー出力を0.20Wにし、長手方向の他のレーザー加工のレーザー出力を0.25Wにしている。
【0043】
このようにすることで、
図8(B)に示すように、長手方向のダイシングラインにおける改質層の一つについて、厚みを大きくすることができる。図中、厚みが大きい改質層を符号43で示している。
【0044】
実施例2では、ダイシングライン(基板間領域)における改質層の密度を、実施例1よりも高密度に形成することができるため、長手方向のダイシングラインがさらに割断しやすくなる。これにより、効果的に割れやクラックを防止することができ、部品不良を更に低減することができる。
【0045】
表1に、比較例1、実施例1及び実施例2についてまとめた。
【0046】
【0047】
本発明の一実施形態(第1実施形態)におけるSiウェハは、以下の特徴を有する。
面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハである。また、前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有する。前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数よりも多い改質層を有することを特徴とする。
【0048】
また第1実施形態のSi基板部材は、以下の特徴を有する。
面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数よりも多いことを特徴とする。
第1実施形態のSi基板部材は第1実施形態のSiウェハを分割しても得られる。第1実施形態のSi基板部材は、チップ化された後の状態であり、長手方向に改質層本数が多く存在するため先に割れやすくなり、チッピングや割れといった外観不良が低減される。
【0049】
また第1実施形態の基板加工方法は、以下の特徴を有する。
面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、前記第2工程は、前記第1工程で形成する改質層の層数よりも多い改質層を形成することを特徴とする。
本実施形態の基板加工方法によれば、ウェハを小片化する際に過度な応力集中が生じることを抑制でき、割れやクラックを抑制でき、部品不良を低減できる。
【0050】
実施例1は第1実施形態に含まれる。また、実施例1では、短手方向の改質層42を1層としているが、これに限られるものではなく、適宜変更することができ、2層以上であってもよい。短手方向の改質層42が2層以上である場合でも、長手方向の改質層42の層数が短手方向の改質層42の層数よりも多ければ、上記の効果が得られる。
【0051】
本発明の他の実施形態(第2実施形態)におけるSiウェハは、以下の特徴を有する。
面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハである。また、前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有する。前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有するとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とする。
【0052】
また第2実施形態のSi基板部材は、以下の特徴を有する。
面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数以上であるとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とする。
第2実施形態のSi基板部材は第2実施形態のSiウェハを分割しても得られる。第2実施形態のSi基板部材は、チップ化された後の状態であり、長手方向に、短手方向よりも厚い改質層が存在するため、先に割れやすくなり、チッピングや割れといった外観不良が低減される。
【0053】
また第2実施形態の基板加工方法は、以下の特徴を有する。
面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、前記第2工程は、前記第1工程で形成する改質層の層数以上の改質層を形成するとともに、少なくとも1つ以上の改質層を前記第1工程のレーザーの出力よりも大きい出力で形成することを特徴とする。
本実施形態の基板加工方法によれば、ウェハを小片化する際に過度な応力集中が生じることを抑制でき、割れやクラックを抑制でき、部品不良を低減できる。
【0054】
実施例2は第2実施形態に含まれる。また、実施例2では、短手方向の改質層42を1層としているが、これに限られるものではなく、適宜変更することができ、2層以上であってもよい。短手方向の改質層42が2層以上である場合でも、長手方向の改質層42の層数が短手方向の改質層42の層数以上であり、長手方向における各改質層の厚みが、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つある場合、上記の効果が得られる。
【0055】
長手方向における各改質層の厚みが、短手方向における改質層の厚み以上であるとは、長手方向の改質層の全てが、短手方向の改質層の厚み以上であることを意味する。換言すると、長手方向の改質層の全てが、短手方向の改質層の最大の厚み以上であることを意味する。このようにするには、例えば実施例2のように、長手方向の改質層を作製する工程(第2工程)において、少なくとも1つ以上の改質層を、短手方向の改質層を作製する工程(第1工程)のレーザーの出力よりも大きい出力で形成する。
【0056】
第1実施形態及び第2実施形態ともに、第1基板21としては、適宜選択することができ、例えば液体吐出ヘッド用の部材が挙げられる。第1基板21としては、例えば、
図2に示すノズル基板11であってもよいし、アクチュエータ基板12であってもよいし、ノズル基板11とアクチュエータ基板12とが貼り合わされたものであってもよいし、更にその他であってもよい。
【0057】
第1実施形態及び第2実施形態ともに、第1基板21の厚み、改質層が形成される位置、改質層の数、レーザー出力は、適宜変更することができる。
図7、
図8及び表1に示す数値は一例であり、適宜変更することができる。
【0058】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、前記短手方向の基板間領域における少なくとも1つの改質層と、前記長手方向の基板間領域における少なくとも1つの改質層とが、前記第1基板の厚み方向の位置が同じであってもよい。
【0059】
<第3実施形態及び第4実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0060】
本実施形態は、第1基板21上に、第1基板21とは異なる1つ以上の第2基板22が貼り合わされた貼り合わせ基板に関するものである。なお、
図1(A)及び
図4には、貼り合わせ基板51の一例における平面概略図を示している。平面視では、貼り合わせ基板51をSiウェハ50と同じもしくは略同じであるものとして図示できるため、符号を50、51としている。
【0061】
まず、
図9に、貼り合わせ基板51の要部平面概略図の一例を示す。本実施形態では、第1基板21上に、第1基板21とは異なる1つ以上の第2基板22が貼り合わされており、図に符号21、22を示している。本実施形態においても、第1基板21が面方向に連結されており、また、第1基板21の間に設けられた基板間領域(ダイシングライン33、34)が図示されている。基板間領域(ダイシングライン)は、第1基板21を分割するために設けられており、ダイシングライン33は短手方向であり、ダイシングライン34は長手方向である。第1基板21は、例えば、面方向に対して短手と長手の4辺を有する長方形である。第2基板22の形状は、適宜選択することができ、例えば長方形が挙げられる。
【0062】
本実施形態の貼り合わせ基板の作製方法としては、適宜選択することができる。例えば、第1基板21を構成する薄いウェハと、第2基板22を構成する厚いウェハとを貼り合わせ、その後、レーザー加工を行い、ダイシングライン(基板間領域)に改質層を形成する方法が挙げられる。
【0063】
本実施形態では、例えば、薄いウェハと厚いウェハを貼り合わせた後に、エッチング等を行い、隣り合う第2基板22を分離させる。その後、レーザー加工を行い、ダイシングライン(基板間領域)に改質層を形成する。この場合、第1基板21の間に改質層が形成されることとなる。隣り合う第2基板22同士が分離されており、第2基板22の間には改質層は形成されない。第1基板21の間に改質層が形成され、第1基板21が第2基板22よりも薄い場合、分割しやすくなる。
【0064】
ただし、本実施形態はこれに限られない。第2基板22を分離させずに、第2基板22の間の基板間領域に改質層を形成してもよい。
【0065】
第2基板は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、本実施形態では、基板を貼り合わせる前に、第2基板を構成するウェハを加工しておいてもよい。例えば、第2基板となるウェハに電気機械変換素子を形成しておき、このウェハと第1基板となるウェハとを貼り合わせてもよい。また、基板を貼り合わせる前に、第1基板を構成するウェハを加工しておいてもよい。例えば、第1基板となるウェハにノズルを形成し、第1基板がノズル基板になるようにウェハを加工しておき、第2基板となるウェハと貼り合わせてもよい。
【0066】
本実施形態の改質層の詳細例について説明する前に、比較例2について
図10を用いて説明する。
図10(A)及び
図10(B)は、比較例2を説明するための図であり、
図9の貼り合わせ基板に対してダイシングを行い、分割した後の第1基板21及び第2基板の側面図(割断面)である。
図10(A)は、第1基板21の短手方向に沿った側面図であり、
図10(B)は、第1基板21の長手方向に沿った側面図である。また
図10は、
図3のようにしてレーザー加工をして得られた貼り合わせ基板を分割したものである。また、図中、符号49は接着剤を表し、接着剤を用いて貼り合わせている。
【0067】
図3のところでも説明したように、比較例2では、短手方向のレーザー加工と長手方向のレーザー加工を同じにしている。そのため、基板間領域(ダイシングライン)は、短手方向と長手方向で同じになり、改質層(欠陥層)のでき方が短手方向と長手方向とで同じになる。これは、貼り合わせ基板をダイシングして第1基板21の側面を見ても判断できる。
図10(A)と
図10(B)とで改質層のでき方が同じになっている。
【0068】
図10に示す数値は一例であり、例として、第1基板21の厚みを75μmとし、第2基板22の厚みを400μmとしている。Siウェハの厚みが75μmであると称してもよい。また、この例では、ステルスダイシング法のレーザー加工を行い、第1基板21の表面から37.5μmの位置に改質層42を形成している。第1基板21の割断面をみると、比較例1と同様に、第1基板21の厚み方向に、複数のSi層41と、Si層41よりも内側に形成された改質層42とが形成されている。
【0069】
比較例2では、0.20Wのレーザー出力でレーザー照射を行い、短手方向と長手方向のダイシングラインに対して、第1基板21の表面から37.5μmの位置に改質層42を形成している。比較例2では、同じ構成の改質層42が短手方向と長手方向に形成されるため、ダイシングを行うと、短手方向と長手方向とで同じように割断がはじまってしまう。このため、半ピッチずらして千鳥配置にした場合に存在するダイシングライン上のT字部分に割れやクラックが発生してしまった。
【0070】
これに対して本実施形態では例えば以下のようにする。
図11は、本実施形態の一例(実施例3)を説明するための図であり、
図10と同様の図である。
図11(A)は、第1基板21の短手方向に沿った側面図であり、
図11(B)は、第1基板21の長手方向に沿った側面図である。
図9のCC線、DD線の側面図にも相当する。
【0071】
また
図11は、
図4のようにしてレーザー加工をして得られた貼り合わせ基板51を分割したものである。短手方向のレーザー加工は1回であるのに対し、長手方向のレーザー加工は2回行っている。
【0072】
本実施例では、第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板を貼り合わせる貼り合わせ工程を行い、貼り合わせ工程の後に改質層作製工程を行う。改質層作製工程の後、Siウェハを分割する分割工程を行う。なお、Siウェハを分割すると称してもよいし、貼り合わせ基板を分割すると称してもよい。
【0073】
実施例3では、
図11(B)に示すように、長手方向に形成する改質層42を、基板表面から25μm、50μmのそれぞれに導入している。これにより、図示するように、長手方向のダイシングライン(基板間領域)には、2層(2本)の改質層42が形成される。なお、レーザー出力は比較例2と同様に、0.20Wのレーザー出力としている。
【0074】
エキスパンド時の加圧時には、改質層42が多く形成されている箇所から割断がはじまる。このため、実施例3の場合、短手方向のダイシングラインよりも先に、長手方向のダイシングラインから割断される。これにより、半ピッチずらして千鳥配置にした場合に存在するダイシングライン上のT字部分に割れやクラックが発生することを防止できる。
【0075】
図12は、本実施形態の一例(実施例4)を説明するための図であり、
図11と同様の図である。
図12(A)は、第1基板21の短手方向に沿った側面図であり、
図12(B)は、第1基板21の長手方向に沿った側面図である。また
図12は、
図9のCC線、DD線の側面図にも相当する。
【0076】
本実施例でも実施例3と同様に、第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板を貼り合わせる貼り合わせ工程を行い、貼り合わせ工程の後に改質層作製工程を行う。
【0077】
実施例4も
図4のようにしてレーザー加工をして得られた貼り合わせ基板51を分割したものであるが、長手方向のレーザー加工のうちの1つについて、高強度のレーザー出力で加工を行っている。実施例4では、例えば、短手方向のレーザー加工と長手方向のレーザー加工のうちの1つにおけるレーザー出力を0.20Wにし、長手方向の他のレーザー加工のレーザー出力を0.25Wにしている。
【0078】
このようにすることで、
図11(B)に示すように、長手方向のダイシングラインにおける改質層の一つについて、厚みを大きくすることができる。図中、厚みが大きい改質層を符号43で示している。
【0079】
実施例4では、ダイシングライン(基板間領域)における改質層の密度を、実施例3よりも高密度に形成することができるため、長手方向のダイシングラインがさらに割断しやすくなる。これにより、効果的に割れやクラックを防止することができる。
【0080】
表2に、比較例2、実施例3及び実施例4についてまとめた。
なお、表2中、表面とあるのは、第1基板21の表面を表す。
【0081】
【0082】
第3実施形態に係る貼り合わせ基板は、以下の特徴を有する。
第3実施形態に係る貼り合わせ基板は、上記実施形態に記載のSiウェハ上であり、前記第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板が貼り合わされた貼り合わせ基板である。また、第1実施形態と同様に、前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数よりも多い改質層を有することを特徴とする。
【0083】
実施例3は第3実施形態に含まれる。また、実施例3では、短手方向の改質層42を1層としているが、これに限られるものではなく、適宜変更することができ、2層以上であってもよい。短手方向の改質層42が2層以上である場合でも、長手方向の改質層42の層数は短手方向の改質層42の層数よりも多ければ、上記の効果が得られる。
【0084】
第4実施形態に係る貼り合わせ基板は、以下の特徴を有する。
第4実施形態に係る貼り合わせ基板は、上記実施形態に記載のSiウェハ上であり、前記第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板が貼り合わされた貼り合わせ基板である。また、第2実施形態と同様に、前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有するとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とする。
【0085】
実施例4は第4実施形態に含まれる。また、実施例4では、短手方向の改質層42を1層としているが、これに限られるものではなく、適宜変更することができ、2層以上であってもよい。短手方向の改質層42が2層以上である場合でも、長手方向の改質層42の層数が短手方向の改質層42の層数以上であり、長手方向における各改質層の厚みが、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つある場合、上記の効果が得られる。
【0086】
第3実施形態及び第4実施形態における基板加工方法としては、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様の基板加工方法とすることができる。第3実施形態及び第4実施形態における基板加工方法では、前記第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板を貼り合わせる貼り合わせ工程を含み、前記貼り合わせ工程の後に、前記改質層作製工程を行うことが好ましい。
【0087】
また、第3実施形態及び第4実施形態において、前記短手方向の基板間領域における少なくとも1つの改質層と、前記長手方向の基板間領域における少なくとも1つの改質層とが、前記第1基板の厚み方向の位置が同じであってもよい。
【0088】
<第5実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0089】
本実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態のSi基板部材を第1のSi基板部材としたとき、該第1のSi基板部材上に、前記第1のSi基板部材とは異なる1つ以上の第2のSi基板部材が貼り合わされたことを特徴とする貼り合わせ基板に関するものである。
【0090】
本実施形態の貼り合わせ基板は、Siウェハをチップ化した基板を貼り合わせて得られる。例えば、第1実施形態又は第2実施形態によって得られる第1のSi基板部材と、該第1のSi基板部材とは異なる第2のSi基板部材とを貼り合わせることにより得られる。その他にも、本実施形態の貼り合わせ基板は、貼り合わせ基板をチップ化する(分割する)ことによっても得られる。例えば、第3実施形態又は第4実施形態によって得られる貼り合わせ基板をチップ化することにより得られる。第3実施形態や第4実施形態で例示した方法は、本実施形態にも適用できる。例えば、薄いウェハを第1のSi基板部材とし、厚いウェハを第2のSi基板部材としてもよい。
【0091】
次に、本発明の液体吐出ヘッドについて補足説明する。
本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態は、第1実施形態もしくは第2実施形態のSi基板部材、又は、第5実施形態の貼り合わせ基板を有する。本発明の液体吐出ヘッドによれば、吐出特性を向上させることができる。なお、本発明の液体吐出ヘッドの一例を
図2に示している。
【0092】
<第6実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。本実施形態では、上記実施形態で説明したSiウェハとすることもできるし、上記実施形態で説明した貼り合わせ基板とすることもできる。
【0093】
本実施形態において、長手方向の基板領域に形成される改質層のうちの少なくとも1つは、長手方向に不連続となっている。不連続とあるのは、間欠的と表記してもよいし、とぎれとぎれなどと表記してもよい。不連続とあるのは、連続的でないことを意味する。
【0094】
本実施形態では、長手方向の基板領域に形成される改質層のうちの少なくとも1つを長手方向に不連続にしているため、追加加工によって長手方向の基板間領域上のSi強度がもろくなることを防止できる。また、長手方向の基板領域に形成される改質層を、応力の集中しやすいところのみに限定することができるため、クラックを防ぎ、かつ、欠けがより起こりにくい状態にすることができる。このため、エキスパンド前にSiがへき開することを防止でき、欠けの発生を更に抑制することができる。このため、部品不良を低減することができる。
【0095】
まず
図13(A)に、本実施形態におけるSiウェハ50の要部平面概略図の一例を示す。面方向に連結された第1基板21が図示されており、また、第1基板21の間に設けられた基板間領域(ダイシングライン33、34)が図示されている。基板間領域(ダイシングライン)は、第1基板21を分割するために設けられており、ダイシングライン33は短手方向であり、ダイシングライン34は長手方向である。第1基板21は、例えば、面方向に対して短手と長手の4辺を有する長方形である。
【0096】
図13(A)においても、
図3と同様に、符号32で示される長手方向のレーザー加工を2回行う。本実施形態において、長手方向の2回目のレーザー加工(符号32c)では、不連続に加工している。これにより、長手方向の基板領域に形成される改質層のうちの1つを長手方向に不連続にすることができる。
【0097】
なお、上記のように、長手方向の2回目のレーザー加工で不連続に加工してもよいし、1回目のレーザー加工で不連続に加工するなど、工程は適宜変更することができる。
【0098】
図13(B)は、
図13(A)において、符号の図示を変更した図である。
図13(C)は、
図13(B)における第1基板21a、21b、21cの側面図(割断面図)である。
図13(C)に示すように、本実施形態では、第1基板21の側面に形成される改質層のうちの少なくとも1つは、長手方向に不連続となっている。長手方向に不連続な改質層を不連続改質層44としている。
【0099】
図13(C)に示すように、不連続改質層44は、第1基板21a、21b、21cで形成される箇所が異なっていてもよい。ここで、第1基板21の長手方向の中央もしくは略中央をチップ中心Oとも称する。例えば、第1基板21aでは、チップ中心Oの改質層44と、第1基板21aの一端側の改質層44とが形成されている。第1基板21bでは、チップ中心Oの改質層44と、第1基板21bの一端側の改質層44と、第1基板21bの他端側の改質層44とが形成されている。第1基板21cでは、チップ中心Oの改質層44と、第1基板21cの他端側の改質層44とが形成されている。これら第1基板21a、21b、21cにおける長手方向の基板領域はすべて不連続改質層44を有している。
【0100】
本実施形態における好ましい例を説明する。
長手方向に不連続な改質層を不連続改質層44とし、第1基板21の長手方向の一端から他端までの距離を長手全長とし、第1基板21の長手方向の中央もしくは略中央をチップ中心Oとする。このとき、不連続改質層44は、チップ中心Oから前記一端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、チップ中心Oから前記他端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、前記一端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層、及び/又は、前記他端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、からなることが好ましい。なお、後述の
図14~
図17はこの構成に該当し、また後述の実施例5、6(
図18、
図19)はこの構成に該当する。
【0101】
このようにすることで、長手方向における不連続改質層44の長さを抑えることができ、長手方向の基板間領域上のSi強度がもろくなることをより防止することができる。また、チップ中心Oに改質層が形成されているため、長手方向のダイシングラインが短手方向のダイシングラインよりも先に割れやすくなる効果を確保できる。
【0102】
図13(C)に示す第1基板21aは、不連続改質層44が、チップ中心Oから前記一端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、チップ中心Oから前記他端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、前記一端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、からなる場合の例である。
図13(C)に示す第1基板21bは、不連続改質層44が、チップ中心Oから前記一端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、チップ中心Oから前記他端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、前記一端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層、及び、前記他端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、からなる場合の例である。
図13(C)に示す第1基板21cは、不連続改質層44が、チップ中心Oから前記一端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、チップ中心Oから前記他端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、前記他端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層と、からなる場合の例である。
【0103】
また本実施形態において、長手方向の基板領域に形成される改質層のうち、長手方向に不連続な改質層を不連続改質層とし、長手方向に連続な改質層を連続改質層としたとき、不連続改質層及び連続改質層は、少なくとも1つ以上形成されており、不連続改質層のうちの少なくとも1つは、連続改質層の厚みよりも大きいことが好ましい。なお、後述の
図15、
図17はこの構成に該当し、また後述の実施例6(
図19)は、この構成に該当する。
【0104】
この場合、改質層を応力の集中しやすいところのみに限定し、クラックを防ぎ、かつ、欠けが起こりにくい状態にすることができるとともに、長手方向のダイシングラインが短手方向のダイシングラインよりも先に割れやすくなる効果を向上させることができる。
【0105】
また本実施形態において、短手方向の基板間領域における改質層のうちの少なくとも1つと、長手方向の基板間領域における改質層のうちの少なくとも1つは、第1基板の厚み方向で位置が同じであることが好ましい。不連続改質層が短手方向の基板間領域における改質層の1つと同じ位置であってもよいし、連続改質層が短手方向の基板間領域における改質層の1つと同じ位置であってもよい。後述の
図16、
図17はこの構成に該当する。
【0106】
この場合、改質層を応力の集中しやすいところのみに限定し、クラックを防ぎ、かつ、欠けが起こりにくい状態にすることができるとともに、ダイシングがよりしやすくなる。
【0107】
また上記の例において、長手方向の基板間領域は、短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有するとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることが好ましい。不連続改質層が短手方向における改質層の厚みよりも厚くなっていてもよいし、連続改質層が短手方向における改質層の厚みよりも厚くなっていてもよい。なお、後述の
図17はこの構成に該当し、また後述の実施例6(
図19)は、この構成に該当する。
【0108】
この場合、改質層を応力の集中しやすいところのみに限定し、クラックを防ぎ、かつ、欠けが起こりにくい状態にすることができるとともに、長手方向のダイシングラインが短手方向のダイシングラインよりも先に割れやすくなる効果を向上させることができる。
【0109】
本実施形態の一例を以下に示す。
図14は、本実施形態の一例を説明するための図であり、
図10と同様の図である。
図14(A)は、第1基板21の短手方向に沿った側面図であり、
図14(B)は、第1基板21の長手方向に沿った側面図である。
図13(B)のEE線、FF線の側面図にも相当する。
【0110】
図14に示す例において、第1基板21の長手方向の基板領域に形成される改質層のうちの少なくとも1つは、長手方向に不連続である。すなわち、第1基板21の長手方向の基板領域において、不連続改質層44が形成されている。長手方向の基板領域に形成される改質層を、応力の集中しやすいところのみに限定することができるため、クラックを防ぎ、かつ、欠けがより起こりにくい状態にすることができる。
【0111】
また
図14に示す例では、不連続改質層44が、チップ中心Oから前記一端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層44と、チップ中心Oから前記他端の方向に形成された長手全長の1/8以内の改質層44と、前記一端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層44、及び、前記他端側に形成された長手全長の1/8以内の改質層44と、からなる場合の例である。本例では、長手方向における不連続改質層44の長さを抑えることができ、長手方向の基板間領域上のSi強度がもろくなることをより防止することができる。
【0112】
図15は、本実施形態の他の例を説明するための図であり、
図14と同様の図である。本例では、連続改質層42の厚みよりも大きい厚みの不連続改質層45が形成されている。本例では、連続改質層42の厚みよりも大きい厚みを有する不連続改質層を符号45で表記している。厚みの大きい不連続改質層45が形成されていることにより、長手方向のダイシングラインが短手方向のダイシングラインよりも先に割れやすくなる効果を向上させることができる。
【0113】
連続改質層42の厚みよりも大きい厚みを有する不連続改質層を形成する方法としては、適宜選択することができる。例えばレーザーの出力を大きくして不連続にレーザー加工する方法が挙げられる。
【0114】
図16は、本実施形態の他の例を説明するための図であり、
図14と同様の図である。本例では、短手方向の基板間領域における改質層42のうちの1つと、長手方向の基板間領域における改質層のうちの1つが、第1基板21の厚み方向で位置が同じになっている。本例では、短手方向の基板間領域における改質層42と、長手方向の基板間領域における不連続改質層44とが、第1基板21の厚み方向で位置が同じになっている。短手方向と長手方向とで位置が同じになる改質層が形成されていることにより、ダイシングがより行いやすくなる。
【0115】
本例は図示するように、短手方向の基板間領域における改質層42と、長手方向の基板間領域における不連続改質層44とが厚み方向で同じ位置になっている。本実施形態はこれに限られず、後述の
図17に示すように、短手方向の基板間領域における改質層42と、長手方向の基板間領域における連続改質層42とが厚み方向で同じ位置になっていてもよい。この場合でも上記の効果が得られる。ただし、厚み方向で同じ位置になるのは、不連続改質層44であることがより好ましい。短手方向の基板間領域における改質層42と、長手方向の基板間領域における不連続改質層44とが厚み方向で同じ位置になっている場合、ウェハをハンドリングする際に意図せずに第1基板21が外れることを防止しやすくなる。
【0116】
図17は、本実施形態の他の例を説明するための図であり、
図14と同様の図である。本例では、短手方向の基板間領域における改質層42と、長手方向の基板間領域における連続改質層42とが厚み方向で同じ位置になっている。これにより、ダイシングがより行いやすくなる。図示するように、長手方向の基板間領域において、不連続改質層の配置は適宜変更することができ、連続改質層42よりも上方であってもよいし、下方であってもよい。
【0117】
本実施形態の実施例について説明する。
図18は、本実施形態における実施例5を説明するための図であり、実施例5は、
図14で示した場合の例を作製する例である。
図19は、本実施形態における実施例6を説明するための図である。
【0118】
実施例5では、長手方向の基板間領域について、1回目のレーザー加工(出力0.20W)により、第1基板21の表面から32μmの位置に連続改質層42を形成している。また、2回目のレーザー加工(出力0.20W)により、第1基板21の表面から16μmの位置に不連続改質層44を形成している。不連続改質層44は、チップ中心Oから前記一端の方向に形成された長手全長の1/8の改質層44と、チップ中心Oから前記他端の方向に形成された長手全長の1/8の改質層44と、前記一端側に形成された長手全長の1/8の改質層44、及び、前記他端側に形成された長手全長の1/8の改質層44と、からなる。実施例5では、長手方向の基板間領域における改質層42の厚みは同じとした。
【0119】
実施例6は、
図15で示した場合の例に似ているが、
図15で示した場合に比べて、不連続改質層45は長手方向の長さを小さくしている。実施例6では、長手方向の基板間領域について、不連続改質層の厚みを大きくするとともに、長手方向の長さを小さくしている。図示するように、不連続改質層45は、チップ中心Oから前記一端の方向に形成された長手全長の1/10の改質層と、チップ中心Oから前記他端の方向に形成された長手全長の1/10の改質層と、前記一端側に形成された長手全長の1/10の改質層、及び、前記他端側に形成された長手全長の1/10の改質層と、からなる。
【0120】
実施例6では、長手方向の基板間領域について、1回目のレーザー加工(出力0.20W)により、第1基板21の表面から32μmの位置に連続改質層42を形成している。また、2回目のレーザー加工(出力0.25W)により、第1基板21の表面から16μmの位置に不連続改質層45を形成している。
【0121】
表3に、実施例5及び実施例6についてまとめた。
なお、表3中、表面とあるのは、第1基板21の表面を表す。また、「改質層の形状」は、改質層が長手方向に連続であるか、不連続であるかを表している。また、実施例6の不連続改質層は他の改質層に比べて厚みが大きくなっていることを表している。
【0122】
【0123】
実施例5及び実施例6では、クラックが発生しやすいT字部は高密度に改質層を形成でき、それ以外の箇所では低密度で改質層は形成されるため、効果的にクラックを防止しかつダイシングライン上のSi強度を保つことができる。このため、欠けをより防止することができる。
【0124】
本発明の一実施形態(第6実施形態)におけるSiウェハは、例えば以下の特徴を有する。
面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハである。また前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有し、前記長手方向の基板領域に形成される改質層のうちの少なくとも1つは、前記長手方向に不連続であることを特徴とする。
【0125】
また第6実施形態のSi基板部材は、以下の特徴を有する。
面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数よりも多く、前記長手方向に沿った側面における前記改質層のうちの少なくとも1つは、前記長手方向に不連続であることを特徴とする。
【0126】
第6実施形態のSi基板部材は第6実施形態のSiウェハを分割しても得られる。第6実施形態のSi基板部材は、チップ化された後の状態であり、長手方向の基板領域に形成される改質層を、応力の集中しやすいところのみに限定することができるため、クラックを防ぎ、かつ、欠けがより起こりにくい状態にすることができる。このため、エキスパンド前にSiがへき開することを防止でき、欠けの発生を更に抑制することができる。このため、部品不良を低減することができるとともに、チッピングや割れといった外観不良が低減される。
【0127】
また第6実施形態においても貼り合わせ基板が提供される。
第6実施形態の貼り合わせ基板は、本実施形態のSi基板部材を第1のSi基板部材としたとき、該第1のSi基板部材上に、前記第1のSi基板部材とは異なる1つ以上の第2のSi基板部材が貼り合わされたことを特徴とする。
【0128】
また第6実施形態の基板加工方法は、以下の特徴を有する。
面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、前記第2工程は、前記長手方向に不連続となる前記改質層を少なくとも1つ形成することを特徴とする。
本実施形態の基板加工方法によれば、ウェハを小片化する際に過度な応力集中が生じることを抑制でき、割れやクラックを抑制でき、部品不良を低減できる。
【0129】
(液体を吐出する装置、液体吐出ユニット)
次に、本発明の液体吐出ユニット、液体を吐出する装置について説明する。
本発明の液体吐出ユニットは、本発明の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする。また、本発明の液体吐出ユニットは、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化していることが好ましい。
また、本発明の液体を吐出する装置は、本発明の液体吐出ヘッド、又は、本発明の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする。
【0130】
本実施形態の液体を吐出する装置の一例について、インクジェット記録装置を例に挙げて説明する。
図20、
図21に本例のインクジェット記録装置90を示す。
このインクジェット記録装置90は、例えば、キャリッジ98、液体吐出ヘッド1、印字機構部91等を有する。キャリッジ98は、装置本体の内部に走査方向に移動可能である。液体吐出ヘッド1は、上記の本実施形態の液体吐出ヘッドを用いることができ、例えばキャリッジ98に搭載される。印字機構部91は、液体吐出ヘッド1へインクを供給するインクカートリッジ99等で構成される。
【0131】
装置本体の下方部には、前方側から多数枚の用紙92を積載可能な給紙カセット93(或いは給紙トレイでもよい)を抜き差し自在に装着されている。また、用紙92を手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ94を有していてもよい。給紙カセット93あるいは手差しトレイ94から給送される用紙92を取り込み、印字機構部91によって所要の画像を記録する。その後、後面側の装着された排紙トレイ95に排紙する。
【0132】
印字機構部91は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド96と従ガイドロッド97とキャリッジ98を主走査方向に摺動自在に保持する。このキャリッジ98には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッド1を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ98には、液体吐出ヘッド1に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ99を交換可能に装着している。
【0133】
インクカートリッジ99は、上方に大気と連通する大気口、下方には液体吐出ヘッド1へインクを供給する供給口が設けられている。インクカートリッジ99の内部には、インクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液体吐出ヘッド1へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
【0134】
液体吐出ヘッド1としては、各色の液体吐出ヘッド1を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液体吐出ヘッドとしてもよい。
【0135】
キャリッジ98は、後方側(用紙搬送下流側)を主ガイドロッド96に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送上流側)を従ガイドロッド97に摺動自在に載置している。このキャリッジ98を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ101で回転駆動される駆動プーリ102と従動プーリ103との間にタイミングベルト104を張装している。このタイミングベルト104をキャリッジ98に固定しており、主走査モータ101の正逆回転によりキャリッジ98が往復駆動される。
【0136】
本例の装置は、給紙カセット93にセットした用紙92を液体吐出ヘッド1に下方側に搬送するために、給紙ローラー105及びフリクションパッド106と、ガイド部材107と、搬送ローラー108と、先端コロ110とを有している。
【0137】
給紙ローラー105及びフリクションパッド106は、給紙カセット93から用紙92を分離給装する。ガイド部材107は、用紙92を案内する。搬送ローラー108は、給紙された用紙92を反転させて搬送する。先端コロ110は、搬送ローラー108の周面に押し付けられる搬送コロ109及び搬送ローラー108からの用紙92の送り出し角度を規定する。また、搬送ローラー108は、副走査モータによってギア列を介して回転駆動される。
【0138】
本例の装置は、用紙ガイド部材である印写受け部材111を有している。印写受け部材111は、キャリッジ98の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラー108から送り出された用紙92を液体吐出ヘッド1の下方側で案内する。
【0139】
印写受け部材111の用紙搬送方向下流側には、用紙92を排紙方向へ送り出すための回転駆動される搬送コロ112と拍車113が設けられている。さらに、用紙92を排紙トレイ95に送り出す排紙ローラー114及び拍車115と、排紙経路を形成するガイド部材116、117とが配設されている。
【0140】
このインクジェット記録装置90で記録する際には、キャリッジ98を移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド1を駆動させる。例えば、停止している用紙92にインクを吐出して1行分を記録し、その後、用紙92を所定量搬送した後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙92の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙92を排紙する。
【0141】
キャリッジ98の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液体吐出ヘッド1の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ98は、印字待機中にはこの回復装置117側に移動される。そして、キャッピン手段で液体吐出ヘッド1をキャッピングして吐出口部を湿潤状態に保つことにより、インク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係ないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出状態を維持する。
【0142】
吐出不良が発生した場合等には、キャピング手段で液体吐出ヘッド1の吐出出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段により吐出口からインクとともに気泡等を吸出する。これにより、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0143】
このインクジェット記録装置90は本実施形態の液体吐出ヘッド1を搭載しているので、安定したインク吐出特性が得られ、画像品質が向上する。上記では、インクジェット記録装置90に液体吐出ヘッド1を使用した場合について説明したが、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する装置に液体吐出ヘッド1を適用してもよい。
【0144】
次に、本発明の液体を吐出する装置の他の実施形態について説明する。以下、本発明の液体を吐出する装置の一例として記録装置を例に挙げて説明する。
本発明の液体吐出ヘッドは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/複合機、立体造形装置、バイオプリンターなどに使用することができる。
【0145】
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
【0146】
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
【0147】
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
【0148】
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。また、記録装置には、特に限定しない限り、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
【0149】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の他の例について
図22及び
図23を参照して説明する。
図22は同装置の要部平面説明図、
図23は同装置の要部側面説明図である。
【0150】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0151】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズル4からなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0152】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0153】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0154】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0155】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラー413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0156】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラー413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0157】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0158】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズル4が形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0159】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0160】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0161】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0162】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0163】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図24を参照して説明する。
図24は同ユニットの要部平面説明図である。
【0164】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0165】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0166】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図25を参照して説明する。
図25は同ユニットの正面説明図である。
【0167】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0168】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0169】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0170】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0171】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0172】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像
が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0173】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0174】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0175】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0176】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0177】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0178】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0179】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0180】
例えば、液体吐出ユニットとして、
図23で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0181】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0182】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、
図24で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0183】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0184】
また、液体吐出ユニットとして、
図25で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
【0185】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0186】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0187】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0188】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数よりも多い改質層を有することを特徴とするSiウェハ。
<2>面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有するとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とするSiウェハ。
<3>面方向に連結された第1基板と、前記第1基板の間に設けられ、前記第1基板を分割するための基板間領域とを有するSiウェハであって、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記基板間領域は、短手方向の基板間領域と長手方向の基板間領域との少なくとも2種からなるとともに、前記第1基板の厚み方向において、複数のSi層と、前記Si層よりも内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有し、
前記長手方向の基板領域に形成される改質層のうちの少なくとも1つは、前記長手方向に不連続であることを特徴とするSiウェハ。
<4>前記長手方向に不連続な改質層を不連続改質層とし、前記第1基板の長手方向の一端から他端までの距離を長手全長とし、前記第1基板の長手方向の中央もしくは略中央をチップ中心としたとき、
前記不連続改質層は、
前記チップ中心から前記一端の方向に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層と、
前記チップ中心から前記他端の方向に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層と、
前記一端側に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層、及び/又は、前記他端側に形成された前記長手全長の1/8以内の改質層と、
からなることを特徴とする<3>に記載のSiウェハ。
<5>前記長手方向の基板領域に形成される改質層のうち、前記長手方向に不連続な改質層を不連続改質層とし、前記長手方向に連続な改質層を連続改質層としたとき、
前記不連続改質層及び前記連続改質層は、少なくとも1つ以上形成されており、
前記不連続改質層のうちの少なくとも1つは、前記連続改質層の厚みよりも大きいことを特徴とする<3>又は<4>に記載のSiウェハ。
<6>前記短手方向の基板間領域における前記改質層のうちの少なくとも1つと、前記長手方向の基板間領域における前記改質層のうちの少なくとも1つは、前記第1基板の厚み方向で位置が同じであることを特徴とする<3>から<5>のいずれかに記載のSiウェハ。
<7>前記長手方向の基板間領域は、前記短手方向の基板間領域における前記改質層の層数以上の改質層を有するとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とする<6>に記載のSiウェハ。
<8>前記第1基板は、液体吐出ヘッド用の部材であることを特徴とする<1>から<7>いずれかに記載のSiウェハ。
<9>前記第1基板は、ノズル基板であることを特徴とする<8>に記載のSiウェハ。
<10><1>から<9>のいずれかに記載のSiウェハ上であり、前記第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板が貼り合わされたことを特徴とする貼り合わせ基板。
<11>前記第2基板のうちの1つが、電子機械変換素子を有する基板であることを特徴とする<10>に記載の貼り合わせ基板。
<12>面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、
側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数よりも多いことを特徴とするSi基板部材。
<13>面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、
側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数以上であるとともに、長手方向における各改質層の厚みは、短手方向における改質層の厚み以上であり、短手方向における改質層の厚みよりも厚い改質層が少なくとも1つあることを特徴とするSi基板部材。
<14>面方向において短手と長手を有するSi基板部材であって、
側面に、複数のSi層と、前記Si層よりも基板厚み方向の内側に形成された1層以上の改質層とを有し、
前記短手の方向を短手方向とし、前記長手の方向を長手方向としたとき、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層の層数は、前記短手方向に沿った側面における前記改質層の層数よりも多く、
前記長手方向に沿った側面における前記改質層のうちの少なくとも1つは、前記長手方向に不連続であることを特徴とするSi基板部材。
<15>液体吐出ヘッド用の部材であることを特徴とする<12>から<14>のいずれかに記載のSi基板部材。
<16>ノズル基板であることを特徴とする<15>に記載のSi基板部材。
<17><12>から<16>のいずれかに記載のSi基板部材を第1のSi基板部材としたとき、該第1のSi基板部材上に、前記第1のSi基板部材とは異なる1つ以上の第2のSi基板部材が貼り合わされたことを特徴とする貼り合わせ基板。
<18>前記第2のSi基板部材のうちの1つが、電子機械変換素子を有する基板であることを特徴とする<17>に記載の貼り合わせ基板。
<19><12>から<16>のいずれかに記載のSi基板部材を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
<20><18>に記載の貼り合わせ基板を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
<21><19>又は<20>に記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出ユニット。
<22><19>もしくは<20>に記載の液体吐出ヘッド、又は、<21>に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
<23>面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、
前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、
前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、
前記第2工程は、前記第1工程で形成する改質層の層数よりも多い改質層を形成することを特徴とする基板加工方法。
<24>面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、
前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、
前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、
前記第2工程は、前記第1工程で形成する改質層の層数以上の改質層を形成するとともに、少なくとも1つ以上の改質層を前記第1工程のレーザーの出力よりも大きい出力で形成することを特徴とする基板加工方法。
<25>面方向に連結された第1基板を有するSiウェハに対して行う基板加工方法であって、
前記第1基板の間の基板間領域にレーザーを照射し、前記第1基板の厚み方向においてSi層よりも内側に1層以上の改質層を形成する改質層作製工程と、
前記Siウェハを分割する分割工程と、を含み、
前記第1基板は、面方向において短手と長手を有し、該短手の方向を短手方向とし、該長手の方向を長手方向としたとき、
前記改質層作製工程は、短手方向の基板間領域に改質層を作製する第1工程と、長手方向の基板間領域に改質層を作製する第2工程とを少なくとも含み、
前記第2工程は、前記長手方向に不連続となる前記改質層を少なくとも1つ形成することを特徴とする基板加工方法。
<26>前記第1基板は、液体吐出ヘッド用の部材であることを特徴とする<23>から<25>のいずれかに記載の基板加工方法。
<27>前記第1基板上に、前記第1基板とは異なる1つ以上の第2基板を貼り合わせる貼り合わせ工程を含み、
前記貼り合わせ工程の後に、前記改質層作製工程を行うことを特徴とする<23>から<26>のいずれかに記載の基板加工方法。
【符号の説明】
【0189】
9 クラック
11 ノズル基板
12 アクチュエータ基板
13 ダンパ部材
14 フレーム部材
16 ノズル
17 電気機械変換素子
18 ダンパ
21、21a~21c 第1基板
22 第2基板
31 短手方向のレーザー加工
32 長手方向のレーザー加工
33 短手方向のダイシングライン
34 長手方向のダイシングライン
41 Si層
42~45 改質層
49 接着剤
50 Siウェハ
51 貼り合わせ基板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0190】