(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083769
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】スライドシートのハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230609BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20230609BHJP
B60N 2/36 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
B60N2/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197651
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】奥村 政宏
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3B087CA12
3B087CB12
3B087DE09
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】スライドシートを前後方向にスライドしたりスライドシートを足元空間に格納したりしても、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【解決手段】ハーネス配索構造20には、リンクアーム11の枢動動作に伴って移動するレール12に固定されてハーネス21のハーネス経路を規制するハーネス規制部24が備えられている。ハーネス規制部24は、車体側保持部22からスライドシート200に近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前後方向Xに沿って後方側Bに延伸された後に前方側Fへ曲げ返されてシート側保持部23に至るハーネス21の中途部分に沿接されてハーネス経路を規制する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクアームによって車体の前後方向に延びるレールが支持され、前記レールに沿って移動可能とするスライダにスライドシートが載置されており、前記リンクアームの枢動動作によって前記レール及び前記スライダとともに足元空間に格納可能とされる前記スライドシートの電装部品に対して給電を行うハーネス配索構造であって、
前記車体と前記スライドシートの間に架け渡されるハーネスと、
前記車体の側に固定されて前記ハーネスの基端部分を保持する車体側保持部と、
前記スライドシートの側に固定されて前記ハーネスの先端部分を保持するシート側保持部と、
前記リンクアームの枢動動作に伴って移動する部材に固定されて前記ハーネスのハーネス経路を規制するハーネス規制部とが備えられ、
前記ハーネス規制部は、前記車体側保持部から前記スライドシートに近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前記前後方向に沿って一方側に延伸された後に他方側へ曲げ返されて前記シート側保持部に至る前記ハーネスの中途部分に沿接されてハーネス経路を規制する
ハーネス配索構造。
【請求項2】
前記ハーネス規制部には、前記ハーネスにおける前記スライドシートに近接する方向から前記一方側に向かう方向へ曲げられた部分に沿接されて当該部分のハーネス形状を規制する第一曲げ規制部が設けられた
請求項1に記載のハーネス配索構造。
【請求項3】
前記第一曲げ規制部が前記ハーネス規制部に形成された円弧面とされ、当該円弧面の中心軸が前記リンクアームの連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置された
請求項2に記載のハーネス配索構造。
【請求項4】
前記ハーネス規制部には、前記スライドシートを足元空間に格納した状態において、前記ハーネスにおける前記第一曲げ規制部の近傍にて曲げられた部分に沿接されて当該部分の曲げ形状を規制する第二曲げ規制部が設けられた
請求項2又は請求項3に記載のハーネス配索構造。
【請求項5】
前記第二曲げ規制部が前記ハーネス規制部に形成された円弧面とされ、当該円弧面の中心軸が前記リンクアームの連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置された
請求項4に記載のハーネス配索構造。
【請求項6】
前記車体側保持部には、前記スライドシートを足元空間に格納した状態又は足元空間から展開した状態において、前記ハーネスにおける基端部分の近傍にて曲げられた部分に沿接されて当該部分の曲げ形状を規制する第三曲げ規制部が設けられた
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項7】
前記第三曲げ規制部が前記車体側保持部に形成された円弧面とされ、当該円弧面の中心軸が前記リンクアームの連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置された
請求項6に記載のハーネス配索構造。
【請求項8】
前記シート側保持部には、前記スライドシートを前記一方側へスライドさせた状態において、前記ハーネスにおける前記一方側に向かう方向から前記他方側に向かう方向へ曲げ返された部分に沿接されて当該部分の曲げ形状を規制する第四曲げ規制部が設けられた
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項9】
前記ハーネス規制部には、前記スライドシートのシート後部を引き上げた状態において、前記ハーネスにおける前記リンクアームの連結部分の近傍にて曲げられた部分に沿接されて当該部分のハーネス形状を規制する第五曲げ規制部が設けられた
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項10】
前記ハーネス規制部には、前記ハーネスにおける少なくとも前記一方側に向かう方向に延伸された部分のハーネス経路を規制する延伸規制部が設けられた
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項11】
前記延伸規制部が前記ハーネスを挟むように配置された一対の沿接面で構成された
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項12】
前記車体側保持部及び前記シート側保持部の少なくとも一方に前記ハーネスのコネクタが保持された
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項13】
前記ハーネスが前記車体を構成するフロアパネルと前記スライドシートを構成するシートクッションとの隙間に配索された
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項14】
リンクアームによって車体の前後方向に延びるレールが支持され、前記レールに沿って移動可能とするスライダにスライドシートが載置されており、前記リンクアームの枢動動作によって前記レール及び前記スライダとともに足元空間に格納可能とされる前記スライドシートの電装部品に対して給電を行うハーネス配索構造のハーネス規制部であって、
前記車体と前記スライドシートの間に架け渡されるハーネスの基端部分を保持する前記車体側保持部から前記スライドシートに近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前記前後方向に沿って一方側に延伸された後に他方側へ曲げ返されて前記ハーネスの先端部分を保持するシート側保持部に至る前記ハーネスの中途部分に沿接されてハーネス経路を規制する
ハーネス規制部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライドシートに組み込まれた電装部品に対して給電を行うハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体の前後方向にスライドするスライドシートであって、シートバックを倒伏させた状態でシート後部を引き上げ、前方側に向かって枢動させることにより、スライドシートを足元空間に格納できる、いわゆるダイブインを可能としたものが存在している(特許文献1参照)。かかるスライドシートには、シートベルトリマインダ等の電装部品が組み込まれている。そのため、車体からこれらの電装部品に対して給電を行う必要がある。
【0003】
ところで、スライドシートを前後方向にスライドする際には、車体とスライドシートの間に架け渡されるハーネスがスライドシートの移動に伴って変形することとなる。また、スライドシートを足元空間に格納する際にも、ハーネスがスライドシートの移動に伴って変形することとなる。すると、ハーネスに局所的な曲げ(曲率の大きな曲げ、つまりは曲がりの程度がきつい急激な曲げ)が生じ、ひいてはハーネスに過大な負荷が作用するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、スライドシートを前後方向にスライドしたりスライドシートを足元空間に格納したりしても、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できるハーネス配索構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、リンクアームによって車体の前後方向に延びるレールが支持され、前記レールに沿って移動可能とするスライダにスライドシートが載置されており、前記リンクアームの枢動動作によって前記レール及び前記スライダとともに足元空間に格納可能とされる前記スライドシートの電装部品に対して給電を行うハーネス配索構造であって、前記車体と前記スライドシートの間に架け渡されるハーネスと、前記車体の側に固定されて前記ハーネスの基端部分を保持する車体側保持部と、前記スライドシートの側に固定されて前記ハーネスの先端部分を保持するシート側保持部と、前記リンクアームの枢動動作に伴って移動する部材に固定されて前記ハーネスのハーネス経路を規制するハーネス規制部とが備えられ、前記ハーネス規制部は、前記車体側保持部から前記スライドシートに近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前記前後方向に沿って一方側に延伸された後に他方側へ曲げ返されて前記シート側保持部に至る前記ハーネスの中途部分に沿接されてハーネス経路を規制することを特徴としている。
【0007】
また本願発明には、前述したハーネス配索構造を構成するハーネス規制部も含まれるものとする。すなわち、リンクアームによって車体の前後方向に延びるレールが支持され、前記レールに沿って移動可能とするスライダにスライドシートが載置されており、前記リンクアームの枢動動作によって前記レール及び前記スライダとともに足元空間に格納可能とされる前記スライドシートの電装部品に対して給電を行うハーネス配索構造のハーネス規制部であって、前記車体と前記スライドシートの間に架け渡されるハーネスの基端部分を保持する前記車体側保持部から前記スライドシートに近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前記前後方向に沿って一方側に延伸された後に他方側へ曲げ返されて前記ハーネスの先端部分を保持するシート側保持部に至る前記ハーネスの中途部分に沿接されてハーネス経路を規制するハーネス規制部も含まれるものとする。
【0008】
これらの発明によれば、スライドシートを前後方向にスライドしたりスライドシートを足元空間に格納したりしても、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
詳述すると、本願発明に係るハーネス配索構造ならびにハーネス規制部は、ハーネス規制部が車体側保持部からスライドシートに近接する方向(スライドシートが足元空間から展開した状態にあっては上方側に向かう方向)に向かった後に曲げられるとともに前後方向に沿って一方側に延伸された後に他方側へ曲げ返されてシート側保持部に至るハーネスの中途部分に沿接されてハーネス経路を規制する。そのため、車体側保持部及びシート側保持部のいずれからも離間したハーネスの中途部分において、ハーネスの変形(変位)を小さく抑え、ハーネスに局所的な曲げ(曲率の大きな曲げ、つまりは曲がりの程度がきつい急激な曲げ)が生じることを防止できる。したがって、スライドシートを前後方向にスライドしたりスライドシートを足元空間に格納したりしても、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【0009】
この発明の態様として、前記ハーネス規制部には、前記ハーネスにおける前記スライドシートに近接する方向から前記一方側に向かう方向へ曲げられた部分に沿接されて当該部分のハーネス形状を規制する第一曲げ規制部が設けられてもよい。
【0010】
この発明により、ハーネスが第一曲げ規制部に巻き掛かり、第一曲げ規制部に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネスにおけるスライドシートに近接する方向から一方側に向かう方向へ曲げられた部分が許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記第一曲げ規制部が前記ハーネス規制部に形成された円弧面とされ、当該円弧面の中心軸が前記リンクアームの連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置されてもよい。
【0012】
この発明により、ハーネスがリンクアームの枢動動作に追従して第一曲げ規制部である円弧面に巻き掛かる際に、引っ張られて緊張することを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。また、ハーネスがリンクアームの枢動動作に追従して第一曲げ規制部である円弧面から巻き解かれる際に、大きく弛んでしまうことを防止できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記ハーネス規制部には、前記スライドシートを足元空間に格納した状態において、前記ハーネスにおける前記第一曲げ規制部の近傍にて曲げられた部分に沿接されて当該部分の曲げ形状を規制する第二曲げ規制部が設けられてもよい。
【0014】
この発明により、スライドシートを足元空間に格納した状態において、ハーネスが第二曲げ規制部に巻き掛かり、第二曲げ規制部に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネスにおける第一曲げ規制部の近傍にて曲げられた部分が許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記第二曲げ規制部が前記ハーネス規制部に形成された円弧面とされ、当該円弧面の中心軸が前記リンクアームの連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置されてもよい。
【0016】
この発明により、ハーネスがリンクアームの枢動動作に追従して第二曲げ規制部である円弧面に巻き掛かる際に、引っ張られて緊張することを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。また、ハーネスがリンクアームの枢動動作に追従して第二曲げ規制部である円弧面から巻き解かれる際に、大きく弛んでしまうことを防止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記車体側保持部には、前記スライドシートを足元空間に格納した状態又は足元空間から展開した状態において、前記ハーネスにおける基端部分の近傍にて曲げられた部分に沿接されて当該部分の曲げ形状を規制する第三曲げ規制部が設けられてもよい。
【0018】
この発明により、スライドシートを足元空間に格納した状態又は足元空間から展開した状態において、ハーネスが第三曲げ規制部に巻き掛かり、第三曲げ規制部に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネスにおける基端部分の近傍にて曲げられた部分が許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記第三曲げ規制部が前記車体側保持部に形成された円弧面とされ、当該円弧面の中心軸が前記リンクアームの連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置されてもよい。
【0020】
この発明により、ハーネスがリンクアームの枢動動作に追従して第三曲げ規制部である円弧面に巻き掛かる際に、引っ張られて緊張することを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。また、ハーネスがリンクアームの枢動動作に追従して第三曲げ規制部である円弧面から巻き解かれる際に、大きく弛んでしまうことを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記シート側保持部には、前記スライドシートを前記一方側へスライドさせた状態において、前記ハーネスにおける前記一方側に向かう方向から前記他方側に向かう方向へ曲げ返された部分に沿接されて当該部分の曲げ形状を規制する第四曲げ規制部が設けられてもよい。
【0022】
この発明により、スライドシートを一方側へスライドさせた状態において、ハーネスが第四曲げ規制部に巻き掛かり、第四曲げ規制部に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネスにおける一方側に向かう方向から他方側に向かう方向へ曲げ返された部分が許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記ハーネス規制部には、前記スライドシートのシート後部を引き上げた状態において、前記ハーネスにおける前記リンクアームの連結部分の近傍にて曲げられた部分に沿接されて当該部分のハーネス形状を規制する第五曲げ規制部が設けられてもよい。
【0024】
この発明により、スライドシートのシート後部を引き上げた状態において、ハーネスが第五曲げ規制部に巻き掛かり、第五曲げ規制部に沿って曲げられることとなる。そのため、前記ハーネスにおけるリンクアームの連結部分の近傍にて曲げられた部分が許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記ハーネス規制部には、前記ハーネスにおける少なくとも前記一方側に向かう方向に延伸された部分のハーネス経路を規制する延伸規制部が設けられてもよい。
この発明により、車体側保持部及びシート側保持部のいずれからも離間したハーネスの中途部分を支持することができる。そのため、ハーネスの中途部分が重力によって垂れ下がることを防止できる。したがって、垂れ下がったハーネスが周囲の部材に干渉することを防止できる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記延伸規制部が前記ハーネスを挟むように配置された一対の沿接面で構成されてもよい。
この発明により、車体側保持部及びシート側保持部のいずれからも離間したハーネスの中途部分で捩れを抑えることができる。そのため、ハーネスが意図しない形状に変形してしまうことを防止できる。したがって、意図しない形状に変形したハーネスが周囲の部材に干渉することを防止できる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記車体側保持部及び前記シート側保持部の少なくとも一方に前記ハーネスのコネクタが保持されてもよい。
この発明により、車体側保持部にコネクタが保持された場合には、車体に配索されたハーネスとハーネス配索構造を構成するハーネスとを車体側保持部で接続することが可能となる。また、シート側保持部にコネクタが保持された場合には、スライドシートに配索されたハーネスとハーネス配索構造を構成するハーネスとをシート側保持部で接続することが可能となる。さらに、車体側保持部及びシート側保持部にコネクタが保持された場合には、車体とスライドシートの間に架け渡されるハーネスの仕様を変更することが可能となる。例えば、車体とスライドシートの間に架け渡されるハーネスのみフレキシブルフラットケーブルを適用することが可能となる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記ハーネスが前記車体を構成するフロアパネルと前記スライドシートを構成するシートクッションとの隙間に配索されてもよい。
この発明により、フロアパネルとシートクッションとの隙間にハーネスを収容できる。そのため、スライドシートに着座する者や周囲の者からハーネスを見えなくして美観を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本願発明によれば、スライドシートを前後方向にスライドしたりスライドシートを足元空間に格納したりしても、ハーネスに過大な負荷が作用することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図11】スライドシートを前方側へスライドする際のシート支持構造の動作態様を示す説明図。
【
図12】スライドシートを前方側へスライドする際のハーネス配索構造の動作態様を示す説明図。
【
図13】スライドシートを後方側へスライドする際のシート支持構造の動作態様を示す説明図。
【
図14】スライドシートを後方側へスライドする際のハーネス配索構造の動作態様を示す説明図。
【
図15】スライドシートを足元空間に格納する際のシート支持構造の動作態様を示す説明図。
【
図16】スライドシートを足元空間に格納する際のハーネス配索構造の動作態様を示す説明図。
【
図17】スライドシートを足元空間から展開する際のシート支持構造の動作態様を示す説明図。
【
図18】スライドシートを足元空間から展開する際のハーネス配索構造の動作態様を示す説明図。
【
図19】スライドシートのシート後部を引き上げる際のハーネス配索構造の動作態様を示す説明図。
【
図20】他の実施形態に係るハーネス配索構造の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を図面に基づいて詳述する。
本願においては、全ての図面で車体100の方向を示している。詳しくは、矢印Fが車体前方側を示し、矢印Bが車体後方側を示し、矢印Rが車体右方側を示し、矢印Lが車体左方側を示している。そして、矢印Uが車体上方側を示し、矢印Dが車体下方側を示している。加えて、本願においては、前後方向をX、左右方向をY、上下方向をZとして説明する。
【0032】
図1はシート支持構造10の斜視図である。
図2はハーネス配索構造20の斜視図であり、
図3はハーネス配索構造20の側面図である。
図4は車体側保持部22の拡大斜視図であり、
図5は車体側保持部22の拡大側面図である。
図6はシート側保持部23の拡大斜視図であり、
図7はシート側保持部23の拡大側面図である。
図8はハーネス規制部24の拡大斜視図であり、
図9はハーネス規制部24の拡大側面図である。そして、
図10は
図8におけるX-X矢視断面図である。なお、
図1においては、シート支持構造10及びハーネス配索構造20が見えるようにスライドシート200を二点鎖線で表している。
図2においては、ハーネス規制部24の固定対象であるレール12を二点鎖線で表している。
【0033】
また、
図11はスライドシート200を前方側Fへスライドする際のシート支持構造10の動作態様を示す説明図であり、
図12はスライドシート200を前方側Fへスライドする際のハーネス配索構造20の動作態様を示す説明図である。
図13はスライドシート200を後方側Bへスライドする際のシート支持構造10の動作態様を示す説明図であり、
図14はスライドシート200を後方側Bへスライドする際のハーネス配索構造20の動作態様を示す説明図である。なお、
図11及び
図13においては、ハーネス配索構造20が見えるように左方側Lのリンクアーム11等を省略している。
図12及び
図14においては、左方側Lだけでなく右方側Rのリンクアーム11等も省略しており、かつ動作の前後を二点鎖線と実線で表している。
【0034】
さらに、
図15はスライドシート200を足元空間Aに格納する際のシート支持構造10の動作態様を示す説明図であり、
図16はスライドシート200を足元空間Aに格納する際のハーネス配索構造20の動作態様を示す説明図である。
図17はスライドシート200を足元空間Aから展開する際のシート支持構造10の動作態様を示す説明図であり、
図18はスライドシート200を足元空間Aから展開する際のハーネス配索構造20の動作態様を示す説明図である。そして、
図19はスライドシート200のシート後部を引き上げる際のハーネス配索構造20の動作態様を示す説明図である。なお、
図15及び
図17においては、ハーネス配索構造20が見えるように左方側Lのレール12等を省略している。
図16、
図18及び
図19においては、左方側Lだけでなく右方側Rのレール12等も省略しており、かつ動作の前後を二点鎖線と実線で表している。
【0035】
図1に示すように、車体100は、フロアパネル101とキックアップ102とを有する。車体100には、スライドシート200を支持するシート支持構造10が設けられている。本実施形態に係るシート支持構造10は、一対のリンクアーム11と、一対のレール12と、一対のスライダ13とを有している。
【0036】
リンクアーム11は、その基端側の側面部分に左右方向Yに突出する連結軸111を有している。リンクアーム11は、フロアパネル101に固定されたフレーム10Fの貫通孔10hに連結軸111が挿入されることにより、フレーム10Fに対して枢動可能に連結されている。そのため、それぞれのリンクアーム11は、連結軸111を枢動中心として前方側Fから上方側Uまでの略90度の範囲で枢動することが可能である(矢印P参照)。
【0037】
また、リンクアーム11は、その先端側の側面部分にも左右方向Yに突出する連結軸112を有している。リンクアーム11は、レール12に固定されたフレーム12Fの貫通孔12hに連結軸112が挿入されることにより、フレーム12Fに対して枢動可能に連結されている。そのため、それぞれのリンクアーム11は、連結軸112を枢動中心として下方側Dから後方側Bまでの略90度の範囲で枢動することが可能ということもできる(
図15及び
図17参照)。
【0038】
レール12は、車体100の前後方向Xに沿って延びている。レール12は、その前端側部分がリンクアーム11によって支持(枢動可能に支持)され、その後端側部分がキックアップ102によって支持(枢動不能に支持)されている。そのため、それぞれのレール12は、後端側部分を引き上げてラッチを解除することにより、リンクアーム11の枢動動作に伴って移動可能である(矢印P参照)。それぞれのレール12の上面部分には、前後方向Xに沿って軌道溝12rが形成されている。
【0039】
スライダ13は、レール12の軌道溝12rに嵌め合わされた状態で支持されている。そのため、スライダ13は、レール12に沿って移動可能である(矢印S参照)。また、それぞれのスライダ13は、リンクアーム11の枢動動作に伴ってレール12とともに移動可能である(矢印P参照)。それぞれのスライダ13の上端部分には、スライドシート200が載置されている。具体的には、スライドシート200を構成するシートクッション201が取り付けられている。つまり、スライダ13とシートクッション201は、一体的に構成されている。
【0040】
このような構成により、シート支持構造10は、レール12に沿ってスライダ13が移動することにより、車体100の前後方向Xにスライドシート200をスライド可能としている。また、シート支持構造10は、リンクアーム11が枢動することにより、レール12及びスライダ13とともにスライドシート200を足元空間Aに格納可能としている。なお、本実施形態に係るシート支持構造10においては、シートバック202を倒伏させた状態でシート後部を引き上げ、これによって図示しないラッチを解除し、前方側Fに向かって枢動させることにより、スライドシート200を足元空間Aに格納できるよう構成されている。
【0041】
図1に示すように、シート支持構造10には、スライドシート200に組み込まれた電装部品に対して給電を行うハーネス配索構造20が設けられている。
図2に示すように、ハーネス配索構造20は、ハーネス21と、車体側保持部22と、シート側保持部23と、ハーネス規制部24とを有している。以下に、
図2から
図10を用いて、これらの部材について詳しく説明する。
【0042】
ハーネス21は、車体100とスライドシート200の間に架け渡される。ハーネス21は、複数枚のフレキシブルフラットケーブルを重ね合わせて構成されている。また、ハーネス21は、その基端部分に各電導板に留められた端子金具を収容するコネクタ211が取り付けられている。さらに、その先端部分にも各電導板に留められた端子金具を収容するコネクタ212が取り付けられている。
【0043】
ハーネス21は、車体側保持部22からスライドシート200に近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前後方向Xに沿って後方側Bに延伸された後に前方側Fへ曲げ返されてシート側保持部23に至っている。ハーネス21は、左右方向Yに沿う後述する中心軸C1を中心に曲げられ、所定の状態においては同じく左右方向Yに沿う後述する中心軸C4を中心に曲げ返される。ハーネス21を構成するフレキシブルフラットケーブルは、電導板を絶縁性のシート材で挟み込んで帯状に形成したものであるから、厚み方向に高い可撓性を有しており、このようなハーネス経路とすることができる。
【0044】
車体側保持部22は、車体100の側に固定されてハーネス21の基端部分を保持している。車体側保持部22は、主にコネクタホルダ220で構成されており、かかるコネクタホルダ220に前述したコネクタ211が収容されている。そして、このコネクタ211に対して車体100に配索されたハーネス150のコネクタ151が連結(接続)される。これにより、車体100に配索されたハーネス150とハーネス配索構造20を構成するハーネス21とが電気的に接続されることとなる。なお、車体100に配索されたハーネス150は、断面形状が丸い、いわゆる被覆電線を束ねたものである。
【0045】
また、コネクタホルダ220は、本体部221と、本体部221を挟んで左右両側に広がる固定板部222とを有している。本体部221には、その後端部分に開口穴が設けられており、この開口穴にコネクタ211が収容されている。そのため、ハーネス21は、コネクタ211から本体部221の内側を通って前方側Fに導かれ、後述する段差部223に設けられたスリット状の開口穴22hから前方側Fに向かって延伸される。なお、コネクタホルダ220は、固定板部222に挿通されるボルト22Bによってフロアパネル101上のフレーム10Fに固定される。但し、フレーム10Fに限定するものではない。
【0046】
さらに、コネクタホルダ220は、本体部221の下端部分に段差部223が形成されており、この段差部223の前板に前述した開口穴22h(
図5参照)が形成されている。そして、開口穴22hにおける上縁部分から前方側Fに向かって本体部221の下板221dが延びている。また、下板221dに対して垂直に前板221fが配置されている。本体部231における下板221dと前板221fの角部分には、曲げ規制部224が設けられている。曲げ規制部224は、左右方向Yに対して平行となる中心軸C3を中心とした円弧面224sであり、所定の状態であるときにハーネス21が巻き掛かる。なお、中心軸C3は、リンクアーム11が有する連結軸111の中心線に対して同軸上に配置されている。
【0047】
シート側保持部23は、スライドシート200の側に固定されてハーネス21の先端部分を保持している。シート側保持部23は、主にコネクタホルダ230で構成されており、かかるコネクタホルダ230に前述したコネクタ212が収容されている。そして、このコネクタ212に対してスライドシート200に配索されたハーネス250のコネクタ252が連結(接続)される。これにより、スライドシート200に配索されたハーネス250とハーネス配索構造20を構成するハーネス21とが電気的に接続されることとなる。なお、スライドシート200に配索されたハーネス250は、断面形状が丸い、いわゆる被覆電線を束ねたものである。
【0048】
また、コネクタホルダ230は、本体部231と、本体部231を挟んで左右両側に広がる固定板部232とを有している。本体部231には、その前端部分に開口穴が設けられており、この開口穴にコネクタ212が収容されている。そのため、ハーネス21は、コネクタ212から本体部231の内側を通って後方側Bに導かれ、後述する段差部233に設けられたスリット状の開口穴23hから後方側Bに向かって延伸される。なお、コネクタホルダ230は、固定板部232に挿通されるボルト23Bによってシートクッション201下のフレーム20Fに固定される。但し、フレーム20Fに限定するものではない。
【0049】
さらに、コネクタホルダ230は、本体部231の上端部分に段差部233が形成されており、この段差部233の後板に前述した開口穴23h(
図7参照)が形成されている。そして、開口穴23hにおける下縁部分から後方側Bに向かって本体部231の上板231uが延びている。また、上板231uに対して平行に下板231dが配置されている。本体部231における上板231uの後端側部分と下板231dの後端側部分の間には、曲げ規制部234が設けられている。曲げ規制部234は、左右方向Yに対して平行となる中心軸C4を中心とした円弧面234sであり、所定の状態であるときにハーネス21が巻き掛かる。
【0050】
ハーネス規制部24は、リンクアーム11の枢動動作に伴って移動するレール12に固定されてハーネスの21ハーネス経路を規制している。ハーネス規制部24は、主にハーネスガイド240で構成されており、かかるハーネスガイド240にハーネス21のハーネス経路を規制する各規制部(曲げ規制部245から曲げ規制部248ならびに延伸規制部249)が設けられている。なお、各規制部は、それぞれ単独で効果を奏するものであり、少なくとも一つが設けられていればよい。
【0051】
また、ハーネスガイド240は、本体部241と、本体部241の上方側Uにてやや左右方向Yに減幅された固定板部242とを有している。固定板部242には、左右方向Yに貫通する開口穴が設けられており、この開口穴にステー24Sが挿通されている。ステー24Sは、右方側Rに延出された後に上下方向Zに対して平行に曲げられており、その先端側部分が隣接するレール12に対して連結される。そのため、レール12が足元空間Aに格納されると、ハーネスガイド240も追従して足元空間Aに格納されることとなる。なお、ハーネスガイド240は、ステー24Sの先端側部分に挿通されるボルト24Bによってレール12に固定される。但し、レール12に限定するものではない。
【0052】
さらに、ハーネスガイド240は、第一案内部243と第二案内部244を有しており、これらによって案内溝24gが形成されている。そして、ハーネスガイド240の後端側部分において、第二案内部244に対向する第一案内部243の内板243iが後方側Bに向かって延びている。また、内板243iに対して平行に下板243dが配置されている。第一案内部243における内板243iの前端側部分と下板243dの前端側部分の間には、曲げ規制部245ならびに曲げ規制部246が設けられている。上方側Uの曲げ規制部245は、左右方向Yに対して平行となる中心軸C1を中心とした円弧面245sであり、下方側Dの曲げ規制部246は、同じく中心軸C1を中心とした円弧面246sである。なお、中心軸C1は、リンクアーム11が有する連結軸112の中心線に対して同軸上に配置されている。
【0053】
加えて、ハーネスガイド240は、前述の繰り返しとなるが、第一案内部243と第二案内部244を有しており、これらによって案内溝24gが形成されている。そして、ハーネスガイド240の後端側部分において、第一案内部243に対向する第二案内部244の内板244iが後方側Bに向かって延びている。また、内板244iに対して平行に下板244dが配置されている。第二案内部244における内板244iの前端側部分と下板244dの後端側部分の間には、曲げ規制部247ならびに曲げ規制部248が設けられている。上方側Uの曲げ規制部247は、前述した中心軸C1を中心とした円弧面247sであり、下方側Dの曲げ規制部248は、左右方向Yに対して平行となる中心軸C5を中心とした円弧面248sである。曲げ規制部248は、左右方向Yから視て曲げ規制部246の線対称形状とされている。
【0054】
ところで、第一案内部243と第二案内部244によって形成された案内溝24gには、ハーネス21における後方側Bに延伸された部分が挿通される。これにより、ハーネス21における後方側Bに延伸された部分のハーネス経路を規制することができる。したがって、ハーネス規制部24には、ハーネス21における後方側Bに延伸された部分のハーネス経路を規制する延伸規制部249が設けられているといえる。案内溝24gは、ハーネス21の厚みよりも僅かに広く形成されており、下方側Dの沿接面249sと上方側Uの沿接面249sとでハーネス21のハーネス経路を規制する。このため、延伸規制部249は、ハーネス21を挟むように配置された一対の沿接面249s,249sで構成されているといえる。
【0055】
このような構成により、ハーネス配索構造20は、スライドシート200を前方側Fへスライドする際にも後方側Bへスライドする際にも適宜にハーネス経路を規制することができる。また、ハーネス配索構造20は、スライドシート200を足元空間Aに格納する際にも足元空間Aから展開する際にも適宜にハーネス経路を規制することができる。以下に、シート支持構造10の動作態様と、ハーネス配索構造20の動作態様について説明する。
【0056】
まず、
図11及び
図12を用いて、スライドシート200を前方側Fへスライドする際のシート支持構造10の動作態様と、そのときのハーネス配索構造20の動作態様について説明する。
図11(a)は、スライドシート200を最も後方側Bにスライドした状態を示し、
図11(b)は、スライドシート200を最も前方側Fにスライドした状態を示している。
図12においては、
図11(a)に相当するハーネス配索構造20を二点鎖線で表し、
図11(b)に相当するハーネス配索構造20を実線で表している。
【0057】
スライドシート200を前方側Fへスライドする場合、レール12に沿ってスライダ13を前方側Fへ移動させる必要がある。すると、スライダ13に取り付けられたスライドシート200も前方側Fへ移動されることとなる(矢印Sf参照)。なお、スライドシート200を前方側Fへスライドする際には、図示しないラッチを解除する必要がある。
【0058】
また、スライドシート200を前方側Fへスライドする場合、シート側保持部23は、スライドシート200と一体となって前方側Fへ移動する(矢印Sf参照)。すると、シート側保持部23は、ハーネス21における曲げ返された部分21dから離間していき、ハーネス規制部24の手前まで近接していくこととなる。このように、スライドシート200を最も前方側Fへスライドした状態においては、車体側保持部22の曲げ規制部224である円弧面224sならびにハーネス規制部24の曲げ規制部245である円弧面245sにハーネス21が巻き掛かった状態となる。そして、車体側保持部22の下板221dと前板221fならびにシート側保持部23の上板231uと下板231dがハーネス21に沿接された状態となる。
【0059】
加えて、本実施形態に係るハーネス配索構造20においては、スライドシート200を前方側Fへスライドしても、車体側保持部22における前板221fとハーネス規制部24における円弧面245sの前端側部分が前後方向Xに等しい位置(ズレのない位置)を維持する。そのため、ハーネス21における上方側Uに向かって延伸された部分は、その下端側部分が車体側保持部22の前板221fに沿接され、その上端側部分がハーネス規制部24の円弧面245sに沿接された状態となる。また、ハーネス規制部24における内板244iとシート側保持部23における下板231dも上下方向Zに等しい位置(ズレのない位置)となる。そのため、ハーネス21における後方側Bに向かって延伸された部分は、その前端側部分がハーネス規制部24の内板244iに沿接され、その中途部分がシート側保持部23の下板231dに沿接された状態となる。なお、ハーネス21の前端側部分は、内板244iに対向して配置された内板243iにも沿接された状態となる。
【0060】
次に、
図13及び
図14を用いて、スライドシート200を後方側Bへスライドする際のシート支持構造10の動作態様と、そのときのハーネス配索構造20の動作態様について説明する。
図13(a)は、スライドシート200を最も前方側Fにスライドした状態を示し、
図13(b)は、スライドシート200を最も後方側Bにスライドした状態を示している。
図14においては、
図13(a)に相当するハーネス配索構造20を二点鎖線で表し、
図13(b)に相当するハーネス配索構造20を実線で表している。
【0061】
スライドシート200を後方側Bへスライドする場合、レール12に沿ってスライダ13を後方側Bへ移動させる必要がある。すると、スライダ13に取り付けられたスライドシート200も後方側Bへ移動されることとなる(矢印Sb参照)。なお、スライドシート200を後方側Bへスライドする際にも、図示しないラッチを解除する必要がある。
【0062】
また、スライドシート200を後方側Bへスライドする場合、シート側保持部23は、スライドシート200と一体となって後方側Bへ移動する(矢印Sb参照)。すると、シート側保持部23は、ハーネス規制部24から離間していき、ハーネス21における曲げ返された部分21dに当接するまで近接していくこととなる。このように、スライドシート200を最も後方側Bへスライドした状態においては、シート側保持部23の曲げ規制部234である円弧面234sにハーネス21が巻き掛かった状態となる。また、車体側保持部22の曲げ規制部224である円弧面224sならびにハーネス規制部24の曲げ規制部245である円弧面245sにハーネス21が巻き掛かった状態となる。そして、車体側保持部22の下板221dと前板221fならびにシート側保持部23の上板231uと下板231dがハーネス21に沿接された状態となる。
【0063】
加えて、本実施形態に係るハーネス配索構造20においては、スライドシート200を後方側Bへスライドしても、車体側保持部22における前板221fとハーネス規制部24における円弧面245sの前端側部分が前後方向Xに等しい位置(ズレのない位置)を維持する。そのため、ハーネス21における上方側Uに向かって延伸された部分は、その下端側部分が車体側保持部22の前板221fに沿接され、その上端側部分がハーネス規制部24の円弧面245sに沿接された状態となる。また、ハーネス規制部24における内板244iとシート側保持部23における下板231dも上下方向Zに等しい位置(ズレのない位置)となる。そのため、ハーネス21における後方側Bに向かって延伸された部分は、その前端側部分がハーネス規制部24の内板244iに沿接され、その後端側部分がシート側保持部23の下板231dに沿接された状態となる。なお、ハーネス21の前端側部分は、内板244iに対向して配置された内板243iにも沿接された状態となる。
【0064】
次に、
図15及び
図16を用いて、スライドシート200を足元空間Aに格納する際のシート支持構造10の動作態様と、そのときのハーネス配索構造20の動作態様について説明する。
図15(a)は、スライドシート200を足元空間Aから展開した状態を示し、
図15(b)は、スライドシート200を足元空間Aに格納する途中の状態を示し、
図15(c)は、スライドシート200を足元空間Aに格納した状態を示している。
図16においては、
図15(a)に相当するハーネス配索構造20を二点鎖線で表し、
図15(c)に相当するハーネス配索構造20を実線で表している。
【0065】
スライドシート200を足元空間Aに格納する場合、スライダ13を最も後方側Bへ移動させた状態とし、リンクアーム11を前方側Fへ枢動させる必要がある。すると、リンクアーム11の枢動動作によってレール12及びスライダ13とともにスライドシート200が足元空間Aに格納されることとなる(矢印Pd参照)。なお、スライドシート200を足元空間Aに格納する際には、シートバック202を倒伏させた状態でシート後部を引き上げ、これによって図示しないラッチを解除し、前方側Fに向かって枢動させる必要がある。
【0066】
また、スライドシート200を足元空間Aに格納する場合、リンクアーム11とともにハーネス21における上方側Uに延伸された部分が前方側Fへ倒伏する(矢印Pd参照)。すると、ハーネス21が車体側保持部22の曲げ規制部224である円弧面224sに巻き掛かって曲げられた状態から次第に曲げ角度が大きくなっていき、同時にハーネス21がハーネス規制部24の曲げ規制部236である円弧面236sに次第に巻き掛かって曲げ返されていくこととなる。このように、スライドシート200を足元空間Aに格納した状態においては、ハーネス21が曲げ規制部224である円弧面224sから巻き解かれ、新たに曲げ規制部246である円弧面246sに巻き掛かった状態となる。また、曲げ規制部245である円弧面245sならびに曲げ規制部234である円弧面234sにもハーネス21が巻き掛かった状態となる。そして、車体側保持部22の下板221d、ハーネス規制部24の下板243dならびにシート側保持部23の上板231uと下板231dがハーネス21に沿接された状態となる。
【0067】
加えて、本実施形態に係るハーネス配索構造20においては、スライドシート200を足元空間Aに格納しても、車体側保持部22における下板221dとハーネス規制部24における下板243dが上下方向Zに等しい位置(ズレのない位置)を維持する。そのため、ハーネス21における前方側Fに向かって延伸された部分は、その後端側部分が車体側保持部22の下板221dに沿接され、その前端側部分がハーネス規制部24の下板243dに沿接された状態となる。また、ハーネス規制部24における内板244iとシート側保持部23における下板231dも上下方向Zに等しい位置(ズレのない位置)となる。そのため、ハーネス21における後方側Bに向かって延伸された部分は、その前端側部分がハーネス規制部24の内板244iに沿接され、その後端側部分がシート側保持部23の下板231dに沿接された状態となる。なお、ハーネス21の前端側部分は、内板244iに対向して配置された内板243iにも沿接された状態となる。
【0068】
次に、
図17及び
図18を用いて、スライドシート200を足元空間Aから展開する際のシート支持構造10の動作態様と、そのときのハーネス配索構造20の動作態様について説明する。
図17(a)は、スライドシート200を足元空間Aに格納した状態を示し、
図17(b)は、スライドシート200を足元空間Aから展開する途中の状態を示し、
図17(c)は、スライドシート200を足元空間Aから展開した状態を示している。
図18においては、
図17(a)に相当するハーネス配索構造20を二点鎖線で表し、
図17(c)に相当するハーネス配索構造20を実線で表している。
【0069】
スライドシート200を足元空間Aから展開する場合、スライダ13を最も後方側Bへ移動させた状態とし、リンクアーム11を上方側Uへ枢動させる必要がある。すると、リンクアーム11の枢動動作によってレール12及びスライダ13とともにスライドシート200が足元空間Aから展開されることとなる(矢印Pu参照)。なお、スライドシート200を足元空間Aから展開する際には、上方側Uに向かってスライドシート200を枢動させ、シート後部を降ろすことによって図示しないラッチを係合し、シートバック202を起立させる必要がある。
【0070】
また、スライドシート200を足元空間Aから展開する場合、リンクアーム11とともにハーネス21における前方側Fに向かって延伸された部分が上方側Uへ起立する(矢印Pu参照)。すると、ハーネス21がハーネス規制部24の曲げ規制部236である円弧面236sに巻き掛かって曲げられた状態から次第に曲げ角度が大きくなっていき、同時にハーネス21が車体側保持部22の曲げ規制部224である円弧面224sに次第に巻き掛かって曲げられていくこととなる。このように、スライドシート200を足元空間Aから展開した状態においては、ハーネス21が曲げ規制部246である円弧面246sから巻き解かれ、新たに曲げ規制部224である円弧面224sに巻き掛かった状態となる。また、曲げ規制部245である円弧面245sならびに曲げ規制部234である円弧面234sにもハーネス21が巻き掛かった状態となる。そして、車体側保持部22の下板221dと前板221fならびにシート側保持部23の上板231uと下板231dがハーネス21に沿接された状態となる。
【0071】
加えて、本実施形態に係るハーネス配索構造20においては、スライドシート200を足元空間Aから展開しても、車体側保持部22における前板221fとハーネス規制部24における円弧面245sの前端側部分が前後方向Xに等しい位置(ズレのない位置)を維持する。そのため、ハーネス21における上方側Uに向かって延伸された部分は、その下端側部分が車体側保持部22の前板221fに沿接され、その上端側部分がハーネス規制部24の円弧面245sに沿接された状態となる。また、ハーネス規制部24における内板244iとシート側保持部23における下板231dも上下方向Zに等しい位置(ズレのない位置)となる。そのため、ハーネス21における後方側Bに向かって延伸された部分は、その前端側部分がハーネス規制部24の内板244iに沿接され、その後端側部分がシート側保持部23の下板231dに沿接された状態となる。なお、ハーネス21の前端側部分は、内板244iに対向して配置された内板243iにも沿接された状態となる。
【0072】
次に、
図19を用いて、スライドシート200のシート後部を引き上げる際のハーネス配索構造20の動作態様について説明する。
図19においては、スライドシート200のシート後部を引き上げる前のハーネス配索構造20を二点鎖線で表し、スライドシート200のシート後部を引き上げた後のハーネス配索構造20を実線で表している。
【0073】
前述したように、スライドシート200を足元空間Aに格納する際には、シートバック202を倒した状態でシート後部を引き上げ、これによって図示しないラッチを解除し、前方側Fに向かって枢動させる必要がある。この場合、ハーネス21における後方側Bに向かって延伸された部分も上方側Uへ引き上げられることとなる(矢印Pp参照)。すると、ハーネス21がハーネス規制部24の曲げ規制部245である円弧面245sに巻き掛かって曲げられた状態から次第に曲げ角度が大きくなっていき、対向する曲げ規制部248である円弧面248sに次第に巻き掛かって曲げられていくこととなる。このように、スライドシート200のシート後部を引き上げた状態においては、ハーネス規制部24の曲げ規制部248である円弧面248sにハーネス21が巻き掛かった状態となる。
【0074】
以上のように、ハーネス配索構造20は、リンクアーム11によって車体100の前後方向Xに延びるレール12が支持され、レール12に沿って移動可能とするスライダ13にスライドシート200が載置されており、リンクアーム11の枢動動作によってレール12及びスライダ13とともに足元空間Aに格納可能とされるスライドシート200の電装部品に対して給電を行うものである。ハーネス配索構造20には、車体100とスライドシート200の間に架け渡されるハーネス21と、車体100のフロアパネル101に固定されてハーネス21の基端部分を保持する車体側保持部22と、スライドシート200のシートクッション201に固定されてハーネス21の先端部分を保持するシート側保持部23と、リンクアーム11の枢動動作に伴って移動するレール12に固定されてハーネス21のハーネス経路を規制するハーネス規制部24とが備えられている。そして、ハーネス規制部24は、車体側保持部22からスライドシート200に近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前後方向Xに沿って後方側Bに延伸された後に前方側Fへ曲げ返されてシート側保持部23に至るハーネス21の中途部分に沿接されてハーネス経路を規制する。
【0075】
このようなハーネス配索構造20によれば、スライドシート200を前後方向Xにスライドしたりスライドシート200を足元空間Aに格納したりしても、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
詳述すると、本願発明に係るハーネス配索構造20は、ハーネス規制部24が車体側保持部22からスライドシート200に近接する方向(スライドシート200が足元空間Aから展開した状態にあっては上方側Uに向かう方向)に向かった後に曲げられるとともに前後方向Xに沿って後方側Bに延伸された後に前方側Fへ曲げ返されてシート側保持部23に至るハーネス21の中途部分に沿接されてハーネス経路を規制する。そのため、車体側保持部22及びシート側保持部23のいずれからも離間したハーネス21の中途部分において、ハーネス21の変形(変位)を小さく抑え、ハーネス21に局所的な曲げ(曲率の大きな曲げ、つまりは曲がりの程度がきつい急激な曲げ)が生じることを防止できる。したがって、スライドシート200を前後方向Xにスライドしたりスライドシート200を足元空間Aに格納したりしても、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
【0076】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、ハーネス規制部24には、ハーネス21におけるスライドシート200に近接する方向から後方側Bに向かう方向へ曲げられた部分21aに沿接されて当該部分21aのハーネス形状を規制する曲げ規制部245が設けられている。
【0077】
このようなハーネス配索構造20によれば、ハーネス21が曲げ規制部245に巻き掛かり、曲げ規制部245に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネス21におけるスライドシート200に近接する方向から後方側Bに向かう方向へ曲げられた部分21aが許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
【0078】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、曲げ規制部245がハーネス規制部24に形成された円弧面245sとされ、円弧面245sの中心軸C1がリンクアーム11の連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置されている。
【0079】
このようなハーネス配索構造20によれば、ハーネス21がリンクアーム11の枢動動作に追従して曲げ規制部245である円弧面245sに巻き掛かる際に、引っ張られて緊張することを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。また、ハーネス21がリンクアーム11の枢動動作に追従して曲げ規制部245である円弧面245sから巻き解かれる際に、大きく弛んでしまうことを防止できる。
【0080】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、ハーネス規制部24には、スライドシート200を足元空間Aに格納した状態において、ハーネス21における曲げ規制部245の近傍にて曲げられた部分21b(
図16参照)に沿接されて当該部分21bの曲げ形状を規制する曲げ規制部246が設けられている。
【0081】
このようなハーネス配索構造20によれば、スライドシート200を足元空間Aに格納した状態において、ハーネス21が曲げ規制部246に巻き掛かり、曲げ規制部246に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネス21における曲げ規制部245の近傍にて曲げられた部分21bが許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
【0082】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、曲げ規制部246がハーネス規制部24に形成された円弧面246sとされ、円弧面246sの中心軸C1がリンクアーム11の連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置されている。
【0083】
このようなハーネス配索構造20によれば、ハーネス21がリンクアーム11の枢動動作に追従して曲げ規制部246である円弧面246sに巻き掛かる際に、引っ張られて緊張することを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。また、ハーネス21がリンクアーム11の枢動動作に追従して曲げ規制部246である円弧面246sから巻き解かれる際に、大きく弛んでしまうことを防止できる。
【0084】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、車体側保持部22には、スライドシート200を足元空間Aから展開した状態において、ハーネス21における基端部分の近傍にて曲げられた部分21cに沿接されて当該部分21cの曲げ形状を規制する曲げ規制部224が設けられている。
【0085】
このようなハーネス配索構造20によれば、スライドシート200を足元空間Aから展開した状態において、ハーネス21が曲げ規制部224に巻き掛かり、曲げ規制部224に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネス21における基端部分の近傍にて曲げられた部分21cが許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
【0086】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、曲げ規制部224が車体側保持部22に形成された円弧面224sとされ、円弧面224sの中心軸C3がリンクアーム11の連結部分における枢動中心に対して同軸上に配置されている。
【0087】
このようなハーネス配索構造20によれば、ハーネス21がリンクアーム11の枢動動作に追従して曲げ規制部224である円弧面224sに巻き掛かる際に、引っ張られて緊張することを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。また、ハーネス21がリンクアーム11の枢動動作に追従して曲げ規制部224である円弧面224sから巻き解かれる際に、大きく弛んでしまうことを防止できる。
【0088】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、シート側保持部23には、スライドシート200を後方側Bへスライドさせた状態において、ハーネス21における後方側Bに向かう方向から前方側Fに向かう方向へ曲げ返された部分21dに沿接されて当該部分21dの曲げ形状を規制する曲げ規制部234が設けられている。
【0089】
このようなハーネス配索構造20によれば、スライドシート200を後方側Bへスライドさせた状態において、ハーネス21が曲げ規制部234に巻き掛かり、曲げ規制部234に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネス21における後方側Bに向かう方向から前方側Fに向かう方向へ曲げ返された部分21dが許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
【0090】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、ハーネス規制部24には、スライドシート200のシート後部を引き上げた状態において、ハーネス21におけるリンクアーム11の連結部分の近傍にて曲げられた部分21e(
図19参照)に沿接されて当該部分21eのハーネス形状を規制する曲げ規制部248が設けられている。
【0091】
このようなハーネス配索構造20によれば、スライドシート200のシート後部を引き上げた状態において、ハーネス21が曲げ規制部248に巻き掛かり、曲げ規制部248に沿って曲げられることとなる。そのため、ハーネス21におけるリンクアーム11の連結部分の近傍にて曲げられた部分21eが許容曲げ半径よりも小さい半径になることを防止できる。したがって、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
【0092】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、ハーネス規制部24には、ハーネス21における後方側Bに向かう方向に延伸された部分のハーネス経路を規制する延伸規制部249が設けられている。
このようなハーネス配索構造20によれば、車体側保持部22及びシート側保持部23のいずれからも離間したハーネス21の中途部分を支持することができる。そのため、ハーネス21の中途部分が重力によって垂れ下がることを防止できる。したがって、垂れ下がったハーネス21が周囲の部材に干渉することを防止できる。
【0093】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、延伸規制部249がハーネス21を挟むように配置された一対の沿接面249s,249sで構成されている。
このようなハーネス配索構造20によれば、車体側保持部22及びシート側保持部23のいずれからも離間したハーネス21の中途部分で捩れを抑えることができる。そのため、ハーネス21が意図しない形状に変形してしまうことを防止できる。したがって、意図しない形状に変形したハーネス21が周囲の部材に干渉することを防止できる。
【0094】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、車体側保持部22及びシート側保持部23にハーネス21のコネクタ211,212が保持されている。
このようなハーネス配索構造20によれば、車体100とスライドシート200の間に架け渡されるハーネス21の仕様を変更することが可能となる。例えば、車体100とスライドシート200の間に架け渡されるハーネス21のみフレキシブルフラットケーブルを適用することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態に係るハーネス配索構造20において、ハーネス21が車体100を構成するフロアパネル101とスライドシート200を構成するシートクッション201との隙間に配索されている。
このようなハーネス配索構造20によれば、フロアパネル101とシートクッション201との隙間にハーネス21を収容できる。そのため、スライドシート200に着座する者や周囲の者からハーネス21を見えなくして美観を向上することが可能となる。
【0096】
本願発明の構成と前述した実施形態との対応において、
シート支持構造はシート支持構造10に対応し、
リンクアームはリンクアーム11に対応し、
レールはレール12に対応し、
スライダはスライダ13に対応し、
ハーネス配索構造はハーネス配索構造20に対応し、
ハーネスはハーネス21に対応し、
車体側保持部は車体側保持部22に対応し、
第三曲げ規制部は曲げ規制部224に対応し、
円弧面は円弧面224sに対応し、
シート側保持部はシート側保持部23に対応し、
第四曲げ規制部は曲げ規制部234に対応し、
円弧面は円弧面234sに対応し、
ハーネス規制部はハーネス規制部24に対応し、
第一曲げ規制部は曲げ規制部245に対応し、
円弧面は円弧面245sに対応し、
第二曲げ規制部は曲げ規制部246に対応し、
円弧面は円弧面246sに対応し、
第五曲げ規制部は曲げ規制部248に対応し、
円弧面は円弧面248sに対応し、
延伸規制部は延伸規制部249に対応し、
沿接面は沿接面249sに対応し、
コネクタはコネクタ211,212に対応し、
車体は車体100に対応し、
フロアパネルはフロアパネル101に対応し、
スライドシートはスライドシート200に対応し、
シートクッションはシートクッション201に対応し、
足元空間は足元空間Aに対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0097】
例えば、本願に開示するハーネス配索構造20においては、車体側保持部22を構成する本体部221に段差部223が形成されており、この段差部223の前板にハーネス21が挿通される開口穴22hが形成されている。しかし、
図20に示すように、車体側保持部22を構成する本体部221の上板にハーネス21が挿通される開口穴22hが形成され、スライドシート200が足元空間Aに格納された状態において、曲げ規制部224にハーネス21が巻き掛かるとしてもよい。
【0098】
このようなハーネス配索構造20によれば、スライドシート200を足元空間Aから展開する場合に、ハーネス21における基端部分の近傍にて曲げられた部分21cが次第に曲げ角度が大きくなっていくこととなる。反対に、スライドシート200を足元空間Aに格納する場合に、ハーネス21における基端部分の近傍にて次第に曲げられていくこととなる。すなわち、車体側保持部22には、スライドシート200を足元空間Aに格納した状態において、ハーネス21における基端部分の近傍にて曲げられた部分21cに沿接されて当該部分21cの曲げ形状を規制する曲げ規制部224が設けられているといえる。
【0099】
また、本願に開示するハーネス配索構造20において、ハーネス21は、車体側保持部22からスライドシート200に近接する方向(スライドシート200が足元空間Aから展開した状態にあっては上方側Uに向かう方向)に向かった後に曲げられるとともに前後方向Xに沿って後方側Bに延伸された後に前方側Fへ曲げ返されてシート側保持部23に至っている。しかし、車体側保持部22からスライドシート200に近接する方向(スライドシート200が足元空間Aから展開した状態にあっては上方側Uに向かう方向)に向かった後に曲げられるとともに前後方向Xに沿って前方側Fに延伸された後に後方側Bへ曲げ返されてシート側保持部23に至るとしてもよい。
【0100】
また、本願に開示するハーネス配索構造20において、レール12は、その前端側部分がリンクアーム11によって支持(枢動可能に支持)され、その後端側部分がキックアップ102によって支持(枢動不能に支持)されている。しかし、レール12は、その前端側部分がキックアップ102によって支持(枢動不能に支持)され、その後端側部分がリンクアーム11によって支持(枢動可能に支持)されていてもよい。この場合、足元空間Aは、スライドシート200の後方側Bに位置する。
【0101】
また、本願発明には、前述したハーネス配索構造20を構成するハーネス規制部24も含まれるものとする。すなわち、リンクアーム11によって車体100の前後方向Xに延びるレール12が支持され、レール12に沿って移動可能とするスライダ13にスライドシート200が載置されており、リンクアーム11の枢動動作によってレール12及びスライダ13とともに足元空間Aに格納可能とされるスライドシート200の電装部品に対して給電を行うハーネス配索構造20のハーネス規制部24であって、車体100とスライドシート200の間に架け渡されるハーネス21の基端部分を保持する車体側保持部22からスライドシート200に近接する方向に向かった後に曲げられるとともに前後方向Xに沿って後方側Bに延伸された後に前方側Fへ曲げ返されてハーネス21の先端部分を保持するシート側保持部23に至るハーネス21の中途部分に沿接されてハーネス経路を規制するハーネス規制部24も含まれるものとする。
【0102】
これにおいても、前述の実施形態に係るハーネス配索構造20と同様の効果を奏する。つまりは、車体側保持部22及びシート側保持部23のいずれからも離間したハーネス21の中途部分において、ハーネス21の変形(変位)を小さく抑え、ハーネス21に局所的な曲げ(曲率の大きな曲げ、つまりは曲がりの程度がきつい急激な曲げ)が生じることを防止できる。したがって、スライドシート200を前後方向Xにスライドしたりスライドシート200を足元空間Aに格納したりしても、ハーネス21に過大な負荷が作用することを防止できる。
【0103】
最後に、本願に開示するハーネス配索構造1は、ハーネス21がフレキシブルフラットケーブルであるとして説明した。しかしながら、断面形状が丸い、いわゆる被覆電線であってもよい。あるいは、断面形状が扁平である、いわゆるリボン電線であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
10…シート支持構造
11…リンクアーム
12…レール
13…スライダ
20…ハーネス配索構造
21…ハーネス
22…車体側保持部
224…曲げ規制部
224s…円弧面
23…シート側保持部
234…曲げ規制部
234s…円弧面
24…ハーネス規制部
245…曲げ規制部
245s…円弧面
246…曲げ規制部
246s…円弧面
248…曲げ規制部
248s…円弧面
249…延伸規制部
249s…沿接面
211…コネクタ
212…コネクタ
100…車体
101…フロアパネル
200…スライドシート
201…シートクッション
A…足元空間