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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083994
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】熱処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230609BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20230609BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/316 X
C23C16/44 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198044
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 守人
(72)【発明者】
【氏名】樋口 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】羽根 秀臣
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030BA42
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA06
4K030EA03
4K030FA01
4K030GA05
4K030HA01
4K030KA41
4K030KA46
4K030LA15
5F045AA08
5F045AB31
5F045AC15
5F045AF19
5F045DP15
5F045DP27
5F045DQ10
5F045DQ12
5F045EB05
5F045EB06
5F045EB09
5F045EE14
5F045EF03
5F045EH03
5F045EH11
5F045EK07
5F045EK22
5F045EM09
5F045EM10
5F045EN04
5F045GB05
5F045GB09
5F045GB16
5F058BA20
5F058BC01
5F058BF07
5F058BF29
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG03
5F058BG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】処理容器に付着した付着物のクリーニング処理の回数に応じて熱処理の温度を補正する熱処理装置、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置を有し、処理容器に収納された被処理体を熱処理する熱処理装置であって、制御装置は、処理条件に従って熱処理を制御する熱処理制御部と、熱処理により処理容器に付着した付着物のクリーニング処理を制御するクリーニング制御部と、処理容器に付着している付着物の累積膜厚の値を、熱処理した処理条件に基づいて特定する累積膜厚特定部と、累積膜厚の値及びクリーニング処理の回数に応じた温度補正量に基づいて熱処理の温度を補正する温度補正部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置を有し、処理容器に収納された被処理体を熱処理する熱処理装置であって、
前記制御装置は、
処理条件に従って前記熱処理を制御するように構成された熱処理制御部と、
前記熱処理により前記処理容器に付着した付着物のクリーニング処理を制御するように構成されたクリーニング制御部と、
前記処理容器に付着している付着物の累積膜厚の値を、前記熱処理した処理条件に基づいて特定するように構成された累積膜厚特定部と、
前記累積膜厚の値及び前記クリーニング処理の回数に応じた温度補正量に基づいて前記熱処理の温度を補正するように構成された温度補正部と、
を有する熱処理装置。
【請求項2】
前記温度補正部は、前記累積膜厚の値と前記温度補正量との対応関係を示した複数の温度補正テーブルから、前記クリーニング処理の回数に応じた1つの前記温度補正テーブルを選択し、選択した前記温度補正テーブルを利用して前記熱処理の温度を補正するように構成されていること
を特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記温度補正テーブルは、複数の前記累積膜厚の値ごとに、前記処理容器の領域と前記温度補正量との対応関係を示すように構成されていること
を特徴とする請求項2記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記クリーニング処理の回数は、ドライクリーニング処理の実施により増加、ウェットクリーニングの実施により初期化するように構成されていること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記処理容器の内部に前記被処理体を載置するように構成されたステージと、
前記処理条件に応じた温度と前記温度補正量とに基づいて前記ステージを加熱するように構成された加熱部と、
を更に有する請求項1乃至4の何れか一項に記載の熱処理装置。
【請求項6】
制御装置を有し、処理容器に収納された被処理体を熱処理する熱処理装置の制御方法であって、
前記制御装置が、
処理条件に従って前記熱処理を制御し、
前記熱処理により前記処理容器に付着している付着物の累積膜厚の値を、前記熱処理した処理条件に基づいて特定し、
前記処理容器に付着している付着物の累積膜厚の値及び前記熱処理により前記処理容器に付着した付着物のクリーニング処理の回数に応じた温度補正量に基づいて前記熱処理の温度を補正する、
熱処理装置の制御方法。
【請求項7】
処理容器に収納された被処理体を熱処理する熱処理装置の制御装置に、
処理条件に従って前記熱処理を制御する手順、
前記熱処理により前記処理容器に付着している付着物の累積膜厚の値を、前記熱処理した処理条件に基づいて特定する手順、
前記処理容器に付着している付着物の累積膜厚の値及び前記熱処理により前記処理容器に付着した付着物のクリーニング処理の回数に応じた温度補正量に基づいて前記熱処理の温度を補正する手順、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱処理装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、被処理体、例えば、半導体ウエハの成膜処理などを行う熱処理システムが用いられている。熱処理システムでは、成膜すべき薄膜の種類、膜厚などに応じて、処理温度、処理圧力、ガス流量などの処理条件が決められており、これらの処理条件を書き込んだレシピが用意されている。熱処理システムでは、薄膜の種類及び膜厚に応じたレシピを選択することにより、予め定められた処理条件に基づいて成膜処理などが行われる。
【0003】
従来の熱処理システムは、熱処理装置内部の温度(処理温度)ごとに、装置内部に付着した付着物の累積膜厚と、温度補正量との関係を示す温度補正テーブルが記憶され、処理温度と累積膜厚とに基づいて温度補正量が特定される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-218558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、処理容器に付着した付着物のクリーニング処理の回数に応じて熱処理の温度を補正する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、制御装置を有し、処理容器に収納された被処理体を熱処理する熱処理装置であって、前記制御装置は、処理条件に従って前記熱処理を制御するように構成された熱処理制御部と、前記熱処理により前記処理容器に付着した付着物のクリーニング処理を制御するように構成されたクリーニング制御部と、前記処理容器に付着している付着物の累積膜厚の値を、前記熱処理した処理条件に基づいて特定するように構成された累積膜厚特定部と、前記累積膜厚の値及び前記クリーニング処理の回数に応じた温度補正量に基づいて前記熱処理の温度を補正するように構成された温度補正部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、処理容器に付着した付着物のクリーニング処理の回数に応じて熱処理の温度を補正する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る成膜装置の断面図の一例を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る成膜装置の分解斜視図の一例を示す。
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図4】本実施形態に掛かる制御装置の機能構成の一例を示す図である。
図5】編集画面の一例のイメージ図である。
図6】温度補正テーブルのデータがリセットされた編集画面の一例を示すイメージ図である。
図7】利用しない温度編集テーブルが設定された編集画面の一例のイメージ図である。
図8】ドライクリーニング処理の回数に応じた1つの温度補正テーブルを選択する処理の一例の説明図である。
図9】本実施形態に係る成膜装置の運用イメージの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、本明細書及び図面では、本実施形態の説明に不要な部分についての図示及び説明を適宜省略する。
【0010】
本実施形態では、熱処理装置の一例である成膜装置1について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る成膜装置の断面図の一例を示す。図2は本発明の一実施形態に係る成膜装置の分解斜視図の一例を示す。
【0011】
成膜装置1は被処理体の一例であるウエハWに成膜する。例えば成膜装置1は原料ガスをウエハWに吸着させた後、ウエハWの表面に酸化ガスを供給して分子層を形成する。成膜装置1はプラズマ発生用ガスから発生させたプラズマにウエハWを曝し、分子層を改質する処理を行う。成膜装置1はウエハWに対して一連の処理を複数回、繰り返し行うことにより、成膜する。原料ガス及び酸化ガスは、処理ガスの一例である。
【0012】
成膜装置1は、概ね円形の扁平な処理容器11と、処理容器11内に設けられた円板状の回転テーブル2と、を備えている。回転テーブル2は、ウエハWを載置するように構成されたステージの一例である。処理容器11は、天板12と、処理容器11の側壁及び底部をなす容器本体13と、により構成されている。
【0013】
回転テーブル2は、例えば石英ガラス(以下、石英という)により構成され、中心部に鉛直下方へ伸びる金属製の回転軸21が設けられている。回転軸21は、容器本体13の底部に形成された開口部14を有するスリーブ141内に挿入される。回転軸21はスリーブ141の下端部に、処理容器11を気密に塞ぐように設けられた回転駆動部22に接続されている。回転テーブル2は、回転軸21を介して処理容器11内に水平に支持されて、回転駆動部22の作用により回転する。
【0014】
また、スリーブ141の上端部には、回転テーブル2の上面側から下面側への原料ガス及び酸化ガスなどの回りこみを防ぐために、スリーブ141及び容器本体13の開口部14と回転軸21との隙間にN2(窒素)ガスを供給するガスノズル15が設けられている。
【0015】
一方で、処理容器11を構成する天板12の下面には、回転テーブル2の中心部に向けて対向するように突出し、平面視形状が円環状の中心部領域Cが形成されている。中心部領域Cと回転テーブル2の中心部との隙間はN2ガスの流路18を構成している。
【0016】
流路18には、天板12に接続されたガス供給管からN2ガスが供給される。流路18内に流れ込んだN2は、回転テーブル2の上面と中心部領域Cとの隙間から、その全周に亘って回転テーブル2の径方向外側に向けて吐出される。N2ガスは、回転テーブル2上の互いに異なる位置にて供給された原料ガス及び酸化ガスが、回転テーブル2の中心部(流路18)をバイパスとして互いに接触することを防いでいる。
【0017】
図2の分解斜視図は、成膜装置1から天板12及び回転テーブル2を取り外した状態を示している。回転テーブル2の下方に位置する容器本体13の底面には、回転テーブル2の周方向に沿って、扁平な円環状の凹部31が形成されている。凹部31の底面には回転テーブル2の下面全体に対向する領域に亘ってヒータ33が配置されている。
【0018】
ヒータ33は、例えば十数cm~数十cm程度の長さの円弧形状に形成された、細長い管状のカーボンワイヤヒータからなる多数のヒータエレメント331を組み合わせて構成されている。円弧状のヒータエレメント331を複数組み合わすことにより、ヒータ33は回転軸21を中心とした複数の同心円を描くように凹部31内に配置されている。
【0019】
ヒータ33は、側面から見ると凹部31の底面とほぼ平行となるように当該底面から浮いた状態で配置されている。ヒータ33の両端は下方側へと屈曲され、容器本体13の底板を貫通する接続ポートを介して、処理容器11の外部に設けられた給電部333に接続されている。給電部333は制御装置7から制御される。制御装置7は、例えば配置されているヒータ33を領域ごとに分割して、分割した領域ごとにヒータ33の出力を調整できる。ヒータ33が配置された凹部31の上面は、例えば石英からなる円環形状の板部材であるシールド34によって塞がれている。
【0020】
また、凹部31の外周側に位置する容器本体13の底面には、処理容器11内を排気する排気口35、36が開口している。排気口35、36には、真空ポンプなどにより構成された図示しない真空排気機構が接続されている。
【0021】
容器本体13の側壁にはウエハWの搬入出口37と、搬入出口37を開閉するゲートバルブ38とが設けられている。外部の搬送機構に保持されたウエハWは、搬入出口37を介して処理容器11内に搬入される。回転テーブル2の上面には、中心部の流路18の回りを囲むように、ウエハWの載置領域を成す複数の凹部25が形成されている。処理容器11内に搬入されたウエハWは、各凹部25内に載置される。搬送機構と凹部との間のウエハWの受け渡しは、各凹部25に設けられた不図示の貫通口を介して回転テーブル2の上方位置と下方位置との間を昇降自在に構成された昇降ピンを介して行われるが、昇降ピンの記載は省略してある。
【0022】
回転テーブル2の上方には、原料ガスノズル51、分離ガスノズル52、酸化ガスノズル53、プラズマ用ガスノズル54、及び分離ガスノズル55が、回転テーブル2の回転方向に沿って間隔を開けて配設されている。これらのガスノズルの下面には、多数の吐出口56が互いに間隔を開けて形成されており、吐出口56から各ガスが下方側に向けて吐出される。
【0023】
また、天板12の開口部には、石英などの誘電体からなり、開口部に対応する平面形状を有し、縦断側面形状がカップ状に形成されたプラズマ形成部61が挿入されている。プラズマ形成部61の下面には、プラズマ形成部61の周縁部に沿って突条部62が設けられている。プラズマ用ガスノズル54は、突条部62に囲まれる領域にガスを吐出するように挿入されている。
【0024】
プラズマ形成部61の上面側には窪みが形成されている。この窪みには上面側が開口する箱型のファラデーシールド63が配置されている。ファラデーシールド63の底面には絶縁用の板部材64が配置されている。その上面側には、金属線を鉛直軸周りにコイル状に巻回して形成され、高周波電源66に接続された、プラズマ発生用のアンテナ65が設けられている。
【0025】
成膜装置1には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御装置7が設けられている。制御装置7には、装置全体の動作を制御するプログラムが格納されている。プログラムを実行することで制御装置7は、成膜装置1の各部に制御信号を送信して各部の動作を制御する。
【0026】
例えば制御装置7は、各種ガスの供給量調整、ヒータ33の出力制御、N2ガスの供給量調整、回転駆動部22による回転テーブル2の回転速度調整などを制御する。プログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体から制御装置7にインストールされる。
【0027】
制御装置7はレシピに示された種々の処理条件下で成膜処理が行われるように、成膜装置1の動作を制御する。レシピは、例えば20~30ステップの処理を含むプロセスの処理条件が設定されている。また、制御装置7は作業者からの情報の入力を受け付ける画面の表示、作業者に対して結果などの情報を出力する画面の表示が可能である。制御装置7は成膜装置1に内蔵されていてもよいし、通信路を介して成膜装置1と接続されていてもよい。
【0028】
通信路は有線通信方式であっても無線通信方式であってもよく、コンピュータの内外において各種信号を交換するための通信路であればよい。通信路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークを利用するものであってもよい。
【0029】
以上に説明した構成を備えた成膜装置1において、回転テーブル2はヒータ33により加熱され、回転テーブル2を介して各凹部25に載置されたウエハWが加熱される。本実施形態に係る成膜装置1は、成膜処理により処理容器11の内部に付着する付着物の累積膜厚に応じた温度補正機能(以下、累積膜厚温度補正機能と呼ぶ)を有している。
【0030】
累積膜厚温度補正機能では、処理容器11の累積膜厚の値と温度補正量との対応関係を示した温度補正テーブルを利用する。温度補正テーブルの詳細は後述する。また、処理容器11の累積膜厚の値は、成膜処理により増加し、ドライクリーニング処理又はウェットクリーニングの実施により「0」リセットされる。ドライクリーニング処理は、ウェットクリーニングの実施よりも頻繁に行われるものとする。
【0031】
ドライクリーニング処理により累積膜厚の値が減少した処理容器11は、回転テーブル2のクラック(亀裂やひび割れなど)が増え、表面積の増加による処理ガスの消費量の増加により、成膜処理により成膜されるウエハWの膜厚の値が低下する。ドライクリーニング処理により低下したウエハWの膜厚の値は、累積膜厚の値の増加により徐々に回復していき、累積膜厚の値が例えば5μm以上となると、ドライクリーニング処理前のウエハWの膜厚の値に戻る。このように、累積膜厚温度補正機能は、累積膜厚の値に応じた温度補正量でヒータ33の温度補正を行うことで、成膜処理により成膜されるウエハWの膜厚の値を調整する。
【0032】
また、ドライクリーニング処理を繰り返すことで、処理容器11は、クラックが増えていき、成膜処理により成膜されるウエハWの膜厚の値が更に低下する可能性がある。本実施形態に係る成膜装置1は、ドライクリーニング処理の回数に応じた温度補正テーブルを利用することにより、ドライクリーニング処理の回数に応じた累積膜厚温度補正機能を実現する。
【0033】
制御装置7は、例えば図3に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。図3はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0034】
図3のコンピュータ500は、入力装置501、出力装置502、外部I/F(インタフェース)503、RAM(Random Access Memory)504、ROM(Read Only Memory)505、CPU(Central Processing Unit)506、通信I/F507及びHDD(Hard Disk Drive)508などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び出力装置502は必要なときに接続して利用する形態であってもよい。
【0035】
入力装置501はキーボードやマウス、タッチパネルなどであり、作業者等が各操作信号を入力するのに用いられる。出力装置502はディスプレイ等であり、コンピュータ500による処理結果を表示する。通信I/F507はコンピュータ500をネットワーク等に接続するインタフェースである。HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。
【0036】
外部I/F503は、外部装置とのインタフェースである。コンピュータ500は外部I/F503を介してSD(Secure Digital)メモリカードなどの記録媒体503aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。ROM505は、プログラムやデータが格納された不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0037】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0038】
図1に示した制御装置7は、図3のハードウェア構成のコンピュータ500がプログラムに従い処理を実行することで、図4の各種機能を実現できる。
【0039】
図4は本実施形態に掛かる制御装置の機能構成の一例を示す図である。図4に示した制御装置7は、制御部200、操作受付部202、出力制御部204、通信部206、及び記憶部210を有する。
【0040】
図4の記憶部210は、プログラム212、レシピ記憶部214、温度補正テーブル記憶部216、及び保守管理項目記憶部218を記憶する。記憶部210はHDD508で実現してもよいし、ネットワーク等を介して通信可能に接続された記憶装置により実現してもよい。プログラム212は、成膜装置1の装置全体の動作を制御するプログラムの一例である。
【0041】
レシピ記憶部214は、成膜装置1で実行するプロセスの処理条件が設定されているレシピを記憶している。温度補正テーブル記憶部216は、後述の温度補正テーブルを記憶している。保守管理項目記憶部218は、ドライクリーニング処理の回数及び累積膜厚の値などの保守管理項目を記憶している。
【0042】
制御部200は成膜装置1の全体の制御を行う。成膜装置1の全体の制御には、作業者から受け付けた操作に基づき、レシピを記憶する処理の制御、温度補正テーブルを記憶する処理の制御、保守管理項目を記憶する処理の制御、レシピに応じた成膜処理の制御、累積膜厚温度補正機能の処理の制御、ドライクリーニング処理の制御などが含まれる。
【0043】
制御部200は、CPU506がプログラム212などのプログラムに記載された処理を実行することで実現される。図4の制御部200は、熱処理制御部240、クリーニング制御部242、累積膜厚特定部244、温度補正部246、温度補正テーブル管理部248、及び保守管理部250を有する構成である。
【0044】
熱処理制御部240は、レシピに示されたプロセスの処理条件下で成膜処理が行われるように成膜装置1の動作を制御する。クリーニング制御部242は、ドライクリーニング処理が行われるように成膜装置1の動作を制御する。累積膜厚特定部244は処理容器11に付着した付着物の累積膜厚の値を、成膜処理を行ったレシピに基づいて特定する。保守管理部250はドライクリーニング処理の回数及び累積膜厚の値を含む保守管理項目を保守管理項目記憶部218に記憶させ、管理する。
【0045】
温度補正テーブル管理部248は、後述の温度補正テーブルを温度補正テーブル記憶部216に記憶させ、管理する。また、温度補正テーブル管理部248は作業者などから温度補正テーブルの編集操作を受け付け、温度補正テーブル記憶部216に記憶されている温度補正テーブルを編集する。
【0046】
温度補正部246は累積膜厚の値及びドライクリーニング処理の回数に応じた温度補正量を温度補正テーブルから読み出し、読み出した温度補正量でヒータ33の温度補正を行うことで、成膜処理により成膜されるウエハWの膜厚の値を調整する。
【0047】
操作受付部202は入力装置501に対する作業者の各種操作を受け付ける。出力制御部204は制御部200の制御に従って各種画面を出力装置502に表示する。操作受付部202はCPU506がプログラム212に従って入力装置501を制御することにより実現される。また、出力制御部204は、CPU506がプログラム212に従って出力装置502を制御することにより実現される。入力装置501に対する作業者の各種操作とは、CPU506に処理を実行させるため、作業者が操作受付部202を操る操作をいう。出力制御部204は、制御部200の制御に従い、各種画面の表示と音の出力とを行う。
【0048】
通信部206は、ネットワーク等を介して通信する。通信部206はCPU506がプログラム212を実行し、プログラム212に従って通信I/F507を制御することにより実現される。
【0049】
温度補正テーブル管理部248は、図5に示す編集画面1000を表示し、作業者から温度補正テーブルの編集を受け付ける。図5は編集画面の一例のイメージ図である。図5の編集画面1000は、ドライクリーニング回数編集欄1002及び温度補正テーブル編集欄1004を有する。
【0050】
ドライクリーニング回数編集欄1002は、テーブル選択ボタン1010と、それぞれの温度補正テーブルにドライクリーニング回数を設定する欄1012と、を含む。図5のテーブル選択ボタン1010は「テーブル1」から「テーブル10」の温度補正テーブルを作業者が選択できる例を示している。作業者はテーブル選択ボタン1010を選択する操作により、温度補正テーブル編集欄1004に表示する温度補正テーブルを切り替えることができる。また、作業者はドライクリーニング回数を設定する欄1012にドライクリーニング処理の回数を設定することにより、ドライクリーニング処理の回数と温度補正テーブルとの対応関係を設定できる。
【0051】
例えば図5の編集画面1000は「テーブル1」のテーブル選択ボタン1010が選択されている状態を示しており、温度補正テーブル編集欄1004に「テーブル1」の温度補正テーブルが表示されている。温度補正テーブルは、参照膜厚と、領域ごとの温度補正量との対応関係をテーブル化することで、累積膜厚の値と温度補正量との対応関係を線形補間できる。
【0052】
図5の例では「ライン1」から「ライン10」と対応付けて10個の参照膜厚を設定できる。図5の編集画面1000は「ライン1」から「ライン5」を表示している例を表している。作業者は次ページボタン1008を押下する操作により「ライン6」から「ライン10」を表示している編集画面1000に切り替えることができる。
【0053】
図5の温度補正テーブル編集欄1004の「領域1」から「領域5」は、例えばヒータ33により加熱する処理容器11内の領域を分割して示している。例えば処理容器11内の領域は、回転テーブル2の外側を「領域1」、回転テーブル2の内側を「領域5」、「領域1」と「領域5」の中間を「領域3」、「領域1」と「領域3」の中間を「領域2」、「領域3」と「領域5」の中間を「領域4」に設定してもよい。
【0054】
図5の例では「ライン1」から「ライン10」の参照膜厚ごとに、領域ごとの温度補正量が設定されている。温度補正量は、補正温度の設定範囲内で設定できる。レシピにより決められた領域ごとの温度は温度補正量に従って補正される。なお、保守管理項目として記憶されている「累積膜厚の値」が図5の温度補正テーブルの参照膜厚の範囲外である場合は、最小の参照膜厚の「ライン1」又は最大の参照膜厚の「ライン10」の領域ごとの温度補正量を採用すればよい。
【0055】
なお、作業者は編集画面1000のテーブルリセットボタン1006を押下することにより、編集画面1000で選択中の温度補正テーブルのデータを例えば図6に示したように「0」リセットできる。また、累積膜厚温度補正機能は「有効」「無効」の作業者による切り替えを可能としてもよい。図6は温度補正テーブルのデータがリセットされた編集画面の一例を示すイメージ図である。
【0056】
保守管理項目として記憶されている「ドライクリーニング処理の回数」はクリーニングレシピによるドライクリーニング処理が正常終了すると「1」カウントアップする。保守管理項目として記憶されている「ドライクリーニング処理の回数」は、ウェットクリーニングの実施、又はウエハWを載置するサセプタ交換の実施などの後で「0」リセットする必要がある。本実施形態に係る成膜装置1は保守管理項目として記憶されている「ドライクリーニング処理の回数」の自動または手動による「0」リセットを可能とする。
【0057】
また、ドライクリーニング回数を設定する欄1012にドライクリーニング処理の回数を設定する処理について、更に説明する。ドライクリーニング回数を設定する欄1012には、例えば「0」から「99」などの入力範囲でドライクリーニング処理の回数を設定できる。
【0058】
本実施形態ではドライクリーニング回数を設定する欄1012に「0」が設定された温度編集テーブルを利用しない。図7は利用しない温度編集テーブルが設定された編集画面の一例のイメージ図である。図7の編集画面1000では「テーブル1」及び「テーブル6」の温度編集テーブルが利用されない。
【0059】
また、本実施形態ではドライクリーニング回数を設定する欄1012に「0」以外の数値を重複して設定できないようにする。例えばドライクリーニング回数を設定する欄1012に「0」以外の数値が重複して設定された場合は、エラーなどをポップアップ表示するようにしてもよい。
【0060】
また、作業者はドライクリーニング回数を設定する欄1012にドライクリーニング処理の回数を設定することで、図8に示すように、ドライクリーニング処理の回数に応じた1つの温度補正テーブルを利用して、累積膜厚温度補正機能を実現できる。
【0061】
図8はドライクリーニング処理の回数に応じた1つの温度補正テーブルを選択する処理の一例の説明図である。制御装置7の温度補正部246は、ドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されたドライクリーニング処理の回数と、保守管理項目として記憶されているドライクリーニング処理の回数(以下、ドライクリーニング処理の積算値と呼ぶ)と、を比較し、利用する温度補正テーブルを以下のように選択する。
【0062】
温度補正部246は、ドライクリーニング処理の積算値が、ドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されたドライクリーニング処理の回数を下回っていれば、温度編集テーブルを選択しない。また、温度補正部246は、ドライクリーニング処理の積算値が、ドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されたドライクリーニング処理の回数と一致していれば、一致している温度補正テーブルを選択する。
【0063】
温度補正部246は、ドライクリーニング処理の積算値がドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されたドライクリーニング処理の回数を下回っておらず、一致していなければ、ドライクリーニング処理の回数がドライクリーニング処理の積算値に一番近く、且つ下回っている温度補正テーブルを選択する。
【0064】
温度補正部246は、ドライクリーニング処理の積算値が、ドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されたドライクリーニング処理の回数を上回っていれば、ドライクリーニング処理の回数がドライクリーニング処理の積算値に一番近く、且つ下回っている温度補正テーブルを選択する。
【0065】
例えば図8(A)のドライクリーニング回数編集欄1002の場合、ドライクリーニング処理の積算値が「0回」から「99回」のときに温度補正部246が選択する温度補正テーブルは図8(B)のようになる。
【0066】
ドライクリーニング処理の積算値が「0回」から「2回」の場合、ドライクリーニング処理の積算値は、ドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されているドライクリーニング処理の回数を下回る。したがって、温度補正部246は、温度編集テーブルを選択せず、累積膜厚温度補正を行わない。
【0067】
ドライクリーニング処理の積算値が「3回」から「6回」の場合、ドライクリーニング処理の積算値は、ドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されているドライクリーニング処理の回数と一致する。したがって、温度補正部246は一致している温度補正テーブルを利用して、累積膜厚温度補正を行う。
【0068】
ドライクリーニング処理の積算値が「7回」の場合、ドライクリーニング処理の積算値はドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されているドライクリーニング処理の回数と一致しない。したがって、温度補正部246はドライクリーニング処理の回数がドライクリーニング処理の積算値に一番近く、且つ下回っている「テーブル5」の温度補正テーブルを利用して、累積膜厚温度補正を行う。
【0069】
ドライクリーニング処理の積算値が「8回」から「11回」の場合、ドライクリーニング処理の積算値は、ドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されているドライクリーニング処理の回数と一致する。したがって、温度補正部246は一致している温度補正テーブルを利用して、累積膜厚温度補正を行う。
【0070】
ドライクリーニング処理の積算値が「12回」から「99回」の場合、ドライクリーニング処理の積算値はドライクリーニング回数を設定する欄1012に設定されているドライクリーニング処理の回数を上回る。したがって、温度補正部246はドライクリーニング処理の回数がドライクリーニング処理の積算値に一番近く、且つ下回っている「テーブル10」の温度補正テーブルを利用して、累積膜厚温度補正を行う。
【0071】
本実施形態に係る成膜装置1は、例えば図9に示す運用中に、ドライクリーニング処理の回数の積算値に応じて温度補正テーブルを選択し、選択した温度補正テーブルを利用して累積膜厚温度補正を行う。図9は本実施形態に係る成膜装置の運用イメージの一例を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS100において、成膜装置1はダミーRunを行う。ダミーRunはウエハWの成膜処理を行う前に、ウエハWの成膜状態を整えるために、処理容器11内の部材に対して成膜を行う処理である。ダミーRunは、例えば累積膜厚が1μmとなるまで行われる。
【0073】
ステップS102において、成膜装置1は累積膜厚が所定値(例えば10μm)となるまでウエハWへの成膜処理を含む生産プロセスを行う。保守管理項目の一つとして記憶されているドライクリーニング処理の回数は「0」であるため、温度補正部246は前述したように温度編集テーブルを選択せず、累積膜厚温度補正を行わない。
【0074】
保守管理項目の一つとして記憶されている累積膜厚の値は、成膜処理を行ったレシピに基づいて累積膜厚特定部244が特定する。累積膜厚の値は、例えば20~30ステップの処理を含むプロセスの処理が終了するごとに積算して更新してもよいし、ステップの処理が終了するごとに積算して更新してもよい。成膜装置1は累積膜厚が所定値(例えば10μm)となると、プロセスの終了後にステップS104の処理に進む。
【0075】
ステップS104において成膜装置1は1回目のドライクリーニング処理を行う。ドライクリーニング処理は、処理容器11内にクリーニングガスを供給して、処理容器11内に付着した付着物を除去する処理である。
【0076】
ドライクリーニング処理が完了すると、成膜装置1は、保守管理項目の一つとして記憶されているドライクリーニング処理の回数に「1」を加算する。また、成膜装置1は保守管理項目の一つとして記憶されている累積膜厚の値を「0」リセットする。
【0077】
ステップS106において、成膜装置1はダミーRunを行う。ステップS108において、温度補正部246は保守管理項目の一つとして記憶されているドライクリーニング処理の回数に応じた温度補正テーブルを前述したように選択する。
【0078】
例えば図5の例の場合、保守管理項目の一つとして記憶されているドライクリーニング処理の回数が「1」であれば、温度補正部246は「テーブル1」の温度補正テーブルを選択する。
【0079】
ステップS110において、成膜装置1は累積膜厚が所定値(例えば10μm)となるまでウエハWへの成膜処理を含む生産プロセスを行う。ステップS110の生産プロセスの間、温度補正部246はステップS108で選択した温度編集テーブルを利用して累積膜厚温度補正を行う。例えば図5の例の場合、保守管理項目の一つとして記憶されている累積膜厚の値が「150nm」であれば、温度補正部246は「ライン2」の温度補正量を利用して累積膜厚温度補正を行う。
【0080】
また、成膜装置1は累積膜厚が所定値(例えば10μm)となると、プロセスの終了後にステップS112の処理に進む。ステップS112において成膜装置1は2回目以降のドライクリーニング処理を行う。
【0081】
ドライクリーニング処理が完了すると、成膜装置1は保守管理項目の一つとして記憶されているドライクリーニング処理の回数に「1」を加算する。また、成膜装置1は保守管理項目の一つとして記憶されている累積膜厚の値を「0」リセットする。
【0082】
ステップS114において、成膜装置1は累積膜厚の値の合計が所定値(例えば160μm)以上であるか否かを判定する。累積膜厚の値の合計は、ドライクリーニング処理により「0」リセットした累積膜厚の値の合計である。累積膜厚の値の合計が所定値(例えば160μm)以上でなければ、成膜装置1はステップS106に戻り処理を続ける。
【0083】
また、累積膜厚の値の合計が所定値(例えば160μm)以上であれば、成膜装置1はステップS116のウェットクリーニングを実施する。ウェットクリーニングは、作業者が処理容器11内に付着した付着物を除去する作業である。
【0084】
ステップS118において、成膜装置1は保守管理項目の一つとして記憶されているドライクリーニング処理の回数を「0」リセットする。ステップS120において、成膜装置1はステップS114で利用する累積膜厚の値の合計を「0」リセットする。ステップS120の処理が完了すると、成膜装置1はステップS100に戻り処理を続ける。
【0085】
以上、本実施形態によれば、処理容器11に付着した付着物のドライクリーニング処理の回数に応じて成膜処理(熱処理)の温度を補正する技術を提供できる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0087】
例えば本実施形態では、1台の成膜装置1に1つの制御装置7が対応している例を示したが、複数台の成膜装置1に1つの制御装置7が対応してもよい。制御装置7の機能は成膜装置1と通信可能に接続されたホストコンピュータやクラウドコンピュータに設ける形態であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 成膜装置
2 回転テーブル
7 制御装置
11 処理容器
33 ヒータ
200 制御部
202 操作受付部
204 出力制御部
206 通信部
210 記憶部
212 プログラム
214 レシピ記憶部
216 温度補正テーブル記憶部
218 保守管理項目記憶部
240 熱処理制御部
242 クリーニング制御部
244 累積膜厚特定部
246 温度補正部
248 温度補正テーブル管理部
250 保守管理部
333 給電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9