(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084114
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】半導体処理ツールのための反応物質蒸気送達システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20230609BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20230609BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230609BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
C23C16/44 J
C23C16/455
H01L21/31 B
H01L21/31 C
H01L21/31 D
H01L21/302 101G
H01L21/302 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193617
(22)【出願日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】63/264,978
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャンチウ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】グンヤネシュ・トリヴェディ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・フィッツジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】アクシャイ・パドニス
(72)【発明者】
【氏名】インゾン・ブ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・マ
(72)【発明者】
【氏名】シュバム・ガーグ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA03
4K030EA06
4K030EA11
4K030GA02
4K030JA04
4K030KA10
4K030KA45
4K030LA15
5F004AA15
5F004BB18
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5F045AA15
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5F045DP03
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5F045EB06
5F045EF03
5F045EF05
5F045EF09
5F045EM10
(57)【要約】
【課題】反応器を提供する。
【解決手段】反応器は、反応チャンバと、基材支持体の上面上に基材を支持するように構成された基材支持体と、反応チャンバ内に配置された細長の送達装置と、を含むことができる。基材支持体は、反応チャンバ内の垂直軸に沿って、上部位置および下部位置に作動される場合がある。基材支持体は、垂直軸に実質的に直交する水平軸に沿って垂直軸からの最大水平寸法を有する場合がある。細長の送達装置は、基材支持体の最大水平寸法より大きい内側水平寸法を有する場合がある。送達装置は、ガスがその送達装置の内部を通過することを可能にすることができる。送達装置は、複数の開口を含むことができる。複数の開口の各々は、送達装置の内部から反応チャンバの中へのガスの通過を可能にすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部チャンバと下部チャンバとの間に配置されるフランジと、
基材支持体であって、前記基材支持体の上面上に基材を支持するように構成され、反応チャンバ内の上部位置と下部位置との間で垂直に作動するようにさらに構成された基材支持体と、
前記上部チャンバ内に配置され、かつ前記基材の上面にガスを送達するように構成された1次ガス送達装置と、
前記下部チャンバ内に配置され、かつ前記基材支持体を部分的に囲むように構成された細長のガス送達装置であって、ガスが該細長のガス送達装置の内部を通過し、そして該細長のガス送達装置の内部と流体連通する複数の開口の外へ出るように構成された細長のガス送達装置と、を備える反応器。
【請求項2】
反応チャンバと、
前記反応チャンバ内の水平位置において、上面上に基材を支持するように構成された基材支持体であって、前記反応チャンバ内の上部位置と下部位置との間で垂直に作動するようにさらに構成された基材支持体と、
前記反応チャンバ内に配置されて、前記基材支持体を前記水平位置において部分的に囲む細長のガス送達装置であって、前記基材支持体の水平幅より大きい水平内幅を有し、ガスが該細長のガス送達装置の内部を通過するように構成され、該細長のガス送達装置の内部と流体連通する複数の開口を備え、前記複数の開口の各々が該細長のガス送達装置の内部から前記反応チャンバの中へガスを通過させるように構成されている、細長のガス送達装置と、を備え、
前記複数の開口が、
前記基材支持体が前記上部位置にある時に、前記基材支持体の頂部の下方に位置し、
前記基材支持体が前記下部位置にある時に、前記基材支持体の縁部と同じ高さまたは上方に位置する、反応器。
【請求項3】
前記反応チャンバが、前記反応チャンバの外に前記ガスを引き出すように構成されたチャンバ出口を備える、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記細長のガス送達装置がアーチ形のセグメントを備える、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記アーチ形のセグメントが180°~270°の角度を含む、請求項4に記載の反応器。
【請求項6】
前記複数の開口の各々が前記アーチ形のセグメントに沿って位置する、請求項4に記載の反応器。
【請求項7】
前記複数の開口の各々が、前記ガスを前記チャンバ出口に向かって方向付けるように構成されている、請求項6に記載の反応器。
【請求項8】
前記複数の開口の各々が前記アーチ形のセグメントの内径に沿って位置する、請求項4に記載の反応器。
【請求項9】
前記細長のガス送達装置の入口が、前記反応チャンバの基部へと連結するように構成されている、請求項2に記載の反応器。
【請求項10】
前記複数の開口の各々が、垂直軸に直交する平面内に位置するように構成されている、請求項2に記載の反応器。
【請求項11】
前記反応器の上部チャンバと下部チャンバとの間に配置されたフランジをさらに備える請求項2に記載の反応器。
【請求項12】
前記基材支持体が、前記上部位置において前記フランジとシールを形成するように構成されている、請求項11に記載の反応器。
【請求項13】
前記上部チャンバ内に配置されかつ前記基材の上部に向かって下向きにガスを送達するように構成された1次ガス送達機構をさらに備える請求項11に記載の反応器。
【請求項14】
反応チャンバ内にガスを送達するための送達装置であって、
前記反応チャンバ内に配置されるように構成された細長の管であって、ガスが該細長の管の内部を通過するように構成され、前記反応チャンバ内の基材支持体の水平位置を部分的に囲むアーチ形のセグメントを備える細長の管と、
前記反応チャンバの基部に連結した入口アダプタであって、反応蒸気を該入口アダプタを通して前記細長の管に供給するように構成された入口アダプタと、
前記細長の管の内部と流体連通する複数の開口であって、該複数の開口の各々が、前記送達装置の内部から前記反応チャンバの中に前記ガスを通過させるように構成された複数の開口と、を備える送達装置。
【請求項15】
前記細長の管が、垂直軸と直交する平面内に配置されるように構成され、前記垂直軸に沿って、前記基材支持体が前記反応チャンバ内の上部位置と下部位置との間で作動するように構成されている、請求項14に記載の送達装置。
【請求項16】
前記複数の開口が、
前記基材支持体が前記上部位置にある時に、前記細長の管が基材の頂部より下方に位置し、
前記基材支持体が前記下部位置にある時に、前記細長の管が基材の頂部の上方に位置する、請求項15に記載の送達装置。
【請求項17】
前記送達装置がアーチ形のセグメントを備える、請求項14に記載の送達装置。
【請求項18】
前記アーチ形のセグメントが、120°~270°の角度を含む、請求項17に記載の送達装置。
【請求項19】
前記複数の開口の各々が前記アーチ形のセグメントに沿って配置されている、請求項17に記載の送達装置。
【請求項20】
前記複数の開口の各々が、前記アーチ形のセグメントの内径に沿って配置されている、請求項19に記載の送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して半導体処理、そのためのツールに関し、そしてより具体的には、反応物質蒸気送達システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、典型的に、制御されたプロセス条件下で反応チャンバ内で基材支持体上に支持された基材を用いて行われる。多くのプロセスでは、反応チャンバ内で、反応物質蒸気が半導体基材(例えば、ウエハ)の上方から送達される。様々な目的のための反応物質蒸気の基材への送達は、改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5997588号明細書
【特許文献2】米国特許第10872804号明細書
【発明の概要】
【0004】
一部の実施形態では、反応器は、上部チャンバと下部チャンバとの間に配置されたフランジを含む。反応器はまた、基材支持体の上面上に基材を支持するように構成された基材支持体も含む。基材支持体は、反応チャンバ内の上部位置と下部位置との間で垂直に作動させるように構成することができる。反応器は、上部チャンバ内に配置されかつガスを基材の上面に送達するように構成された1次ガス送達装置を含む。反応器は、下部チャンバ内に配置され、かつ基材支持体を部分的に囲むように構成された細長のガス送達装置を含むことができる。送達装置は、ガスがその内部を通過し、そして送達装置の内部と流体連通する複数の開口から出ることを可能にするように構成することができる。
【0005】
一部の実施形態では、反応器は、反応チャンバと、反応チャンバ内の水平位置にある基材支持体とを含む。基材支持体は、基材支持体の上面上に基材を支持するように構成することができる。基材支持体は、反応チャンバ内の上部位置と下部位置との間で垂直に作動させるように構成することができる。反応器は、反応チャンバ内に配置されて基材支持体を水平位置で部分的に囲む、細長のガス送達装置を含むことができる。ガス送達装置は、基材支持体の水平幅より大きい内側水平幅を有することができる。送達装置は、ガスがその内部を通過することを可能にするように構成することができる。送達装置は、送達装置の内部と流体連通する複数の開口を含むことができる。複数の開口の各々は、送達装置の内部から反応チャンバの中へのガスの通過を可能にするように構成することができる。複数の開口は、基材支持体が上部位置にある時、基材支持体の頂部の下方に配置することができ、また基材支持体が下部位置にある時、基材支持体の縁部と同じ高さであるか、またはその上方にある。
【0006】
一部の実施形態では、反応チャンバ内にガスを送達するための送達装置は、反応チャンバ内に配置されるように構成された細長の管を含む。管は、ガスがその内部を通過することを可能にするように構成することができる。管は、チャンバ内の基材支持体の水平位置を部分的に囲むアーチ形のセグメントを含むことができる。反応器は、反応チャンバの基部に連結され、かつそれを通して反応蒸気を管に供給するように構成された入口アダプタを含むことができる。反応器は、管の内部と流体連通する複数の開口をさらに含んでもよい。複数の開口の各々は、送達装置の内部から反応チャンバの中へのガスの通過を可能にするように構成することができる。
【0007】
一部の実施形態では、クリーニングガスを反応器内に送達する方法は、基材を反応器の上部チャンバ内の基材支持体上に位置付けることを含む。方法は、上部チャンバ内のシャワーヘッド送達装置を経由して反応物質蒸気を基材に送達することと、基材を反応器から取り外すこととを含む。方法は、反応器の下部チャンバ内の水平位置に基材支持体を位置付けることと、ガス送達装置の複数の開口を経由して下部チャンバ内に位置付けられたガス送達装置の内部を通してクリーニングガスを送達することとを含む。
【0008】
一部の実施形態では、反応器内に反応物質蒸気を送達する方法は、反応器内の基材支持体の上に基材を装填することと、基材支持体を反応器の下部チャンバ内に位置付けることとを含む。方法は、反応物質ガスを、下部チャンバ内に位置付けられた細長の送達装置の内部を通して送達することをさらに含む。
【0009】
一部の実施形態では、反応チャンバ内でチャンバにガスを送達する方法は、基材支持体を、基材を処理するための処理位置と、下部位置との間で反応チャンバ内の垂直軸に沿って作動させることを含む。下部位置では、基材支持体の頂部は、弓状送達装置と同じ高さであるか、またはその下方である。弓状送達装置は、基材支持体の外幅より大きい内幅を有することができる。方法は、下部位置にある間に、弓状送達装置の内部を通し、そして弓状送達装置の複数の開口を経由して反応チャンバの中にガスを通すことを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】反応器および下部位置にある基材支持体を含む、例示の反応物質蒸気送達システムを示す。
【
図2】基材支持体に対する例示の反応物質蒸気送達システムの斜視図を示す。
【
図3】
図2の例示の反応物質蒸気送達システムおよび基材支持体の上面図を示す。
【
図4】
図2の例示の反応物質送達システムおよび基材支持体の側面図を示す。
【
図5】
図2の反応物質蒸気送達システムに対する例示の流れパターンを示す。
【
図6C】送達装置の入口へ、および反応チャンバの基部に連結された
図6Aの送達装置アダプタを示す。
【
図7】図示したチャンバクリーニングガス用の反応物質ガス送達システムを使用して実施されうる例示の方法を示す。
【
図8】基材を処理するために図示した反応物質ガス送達システムを使用して実施されうる例示の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある特定の実施形態および例を下記に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、本明細書に開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0012】
半導体基材の調製および処理は、精密な製造技法および装置を必要とする可能性がある。さらに、処理機器は、メンテナンスおよびクリーニングを必要とする可能性がある。基材処理の清浄度および品質を改善するための様々な実施形態が本明細書で記述される。
【0013】
反応器の反応チャンバ内では、様々な反応プロセスが生じる可能性がある。これらの反応プロセスは、他のプロセスがある中でも、化学蒸着(CVD)および原子層堆積(ALD)などの堆積プロセスを含むことができる。ある特定の反応の間に、反応物質蒸気は加熱された基材を通り過ぎ、望ましい材料の薄い層の化学蒸着(CVD)を基材上に引き起こす。連続的な処理を通して、複数の層が集積回路になる。他の例示的なプロセスとしては、スパッタ堆積、マスキング工程、ドライエッチング、プラズマ処理(プラズマ支援堆積およびエッチングプロセスを含む)、および高温アニーリングなどが挙げられる。これらのプロセスの多くは、高温を採用し、これにより、基材支持体上の基材を加熱するために放射加熱、対流加熱、抵抗加熱等の手段が典型的に提供される。外部加熱であるか、または内部加熱であるかにかかわらず、基材支持体は、業界ではしばしばヒーターまたはサセプタと称される。
【0014】
基材の直径も処理に影響を与える可能性がある。近年、直径が大きい基材の枚葉式処理は、バッチ処理で達成しうる精度より高い精度のプロセス制御に対する要望を含めた、様々な理由でより広く使用されるようになってきた。基材はシリコンで作製される場合があり、また約150mm(約6インチ)または約200mm(約8インチ)の直径を有し、かつ約0.725mmの厚さを有する場合がある。最近では、約300mm(約12インチ)の直径および約0.775mmの厚さを有する、より大きいシリコン基材が使用されている。これは、枚葉式処理の利点をさらになお効率的に利用するためである。将来的にはさらになお大きい基材が予想されている。典型的な枚葉式基材支持体はポケットまたは凹部を備え、基材は処理中にその中に置かれる。多くの場合、凹部は基材を非常に密接に受容するように形作られる。
【0015】
基材は、エフェクターまたは他のロボット基材取り扱いデバイス(フォーク、パドル、静電ワンド、真空ワンド、またはベルヌーイワンドなど)によって、反応チャンバ内で移動される場合がある。ベルヌーイワンドは、特許文献1に記述されており、その開示全体は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。エンドエフェクタのタイプに応じて、基材支持体は、リフトピンを含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0016】
反応動作中に、反応物質蒸気および/または不活性ガス(例えば、担体および/またはパージガス)を含む蒸気は、1つ以上の反応チャンバ入口を通して反応チャンバの中に流れてもよく、また過剰な反応物質、反応物質副産物、および不活性ガスなどの蒸気は、1つ以上の反応チャンバ出口を通して反応チャンバの外に流れてもよい。不活性ガスは、単一の不活性ガスまたは不活性ガスの混合物を含むことができ、また1つ以上の貴ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等)を含んでもよい。シャワーヘッドアセンブリなどの送達システムは、一般的に、基材の上面の近くに蒸気を送達しうる。送達システムは、基材の面に対して概して垂直にガスを流れさせることができる。物質が天然で気体状であるか、または送達のために気化されるかどうかに関わらず、本明細書では「ガス」または「蒸気」を同じ意味で使用する場合がある。反応チャンバ内に実装されるシャワーヘッドの例は、特許文献2に記述されており、その開示全体は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
反応チャンバは、反応チャンバの中に反応物質蒸気を送達するための1つ以上のガス送達機構を含むことができる。ガス送達装置は、反応器内で水平位置において配置することができ、これによりガス送達装置は、サポートがより下部位置にある時に基材支持体の上面に蒸気を送達することができ、また送達装置はサポートの下側に反応物質蒸気を送達することができる。図示した実施形態の基材支持体は、垂直移動のためにのみ構成されるため、水平位置は、反応チャンバの上部チャンバ内と下部チャンバ内とで同じにすることができる。反応物質蒸気送達機構に対する支持体の相対的な移動によってもたらされる柔軟性は、機器クリーニング蒸気などの反応物質蒸気が、すべての望ましい機器表面に達することを確実にするのに役立つ可能性がある。
【0018】
送達された反応物質蒸気は、基材を処理するためのプロセス反応物質蒸気、エッチャントガス、または何らかの他のガスであってもよい。例えば、NF3などのエッチャントガスは、典型的に基材の非存在下で、反応チャンバ内の1つ以上の機器表面をクリーニングするために使用されてもよい。反応チャンバの内部部品のクリーニングは時間がかかる可能性があり、また人がクリーニングする必要のある反応チャンバ内の部品(複数可)にアクセスするので、反応チャンバに対する著しいダウンタイムを必要とする可能性がある。本明細書に記載の反応物質蒸気送達システムは、様々なやり方で熱クリーニングプロセスを改善することができる。例えば、改善された反応物質蒸気送達システムは、チャンバをその場でクリーニングすることができ、それ故にダウンタイムを最小化し、またより徹底的な外部でのクリーニングのための反応器の分解の間の期間を最大化することができる。追加的または代替的に、本明細書に記載の蒸気送達システムは、より頻繁なクリーニングサイクルを容易にすることによって、機器表面上の望ましくない堆積のフレーキングまたはスポーリングからの粒子汚染を最小化することができる。
【0019】
チャンバ内にクリーニングガスを送達させることを可能にすることによって、クリーニングをより標的を絞ったものにすることができる。例えば、クリーニングガスは、基材支持体が上部位置にある時、基材支持体の下方(例えば、反応チャンバの下部チャンバ内)に放出されてもよい。これは、反応物質蒸気送達システムが、外部でのクリーニングを用いずにはアクセスが困難である、基材支持体および/または反応チャンバ内の他の要素の下側をクリーニングすることを可能にすることができる。
【0020】
追加的または代替的に、基材支持体は、ガスをサポートおよび/またはその近くの他のエリアの標的部分に送達することができる、下部位置に移動されてもよい。例えば、反応物質蒸気送達システムは、以前の反応プロセス(例えば、堆積プロセス)から、基材支持体の縁部をクリーニングするために、サポートの縁部にガスを送達することができる。追加的または代替的に、基材支持体の側面または縁部は、基材支持体が上部の処理位置にある時に、基材支持体と反応チャンバのフランジとの間のシールを改善するためにクリーニングされてもよい。例えば、基材支持体は、基材支持体が上部位置にある時、一部の実施形態では、上部チャンバを画定する時、反応チャンバのフランジを用いてシールを形成してもよい。一部の実施形態では、シールはなくてもよく、また反応チャンバフランジと処理位置にある基材支持体との間にギャップが存在してもよい。
【0021】
上記で考察したように、反応物質蒸気は、反応チャンバ表面を処理するためのエッチャントガスまたは他のクリーニングガスを含んでもよい。しかしながら、反応蒸気送達システムは、追加的または代替的に、基材を処理するための処理反応蒸気を送達するように構成されてもよい。例えば、反応蒸気送達装置は、反応蒸気を送達して、1次反応蒸気送達システム(例えば、シャワーヘッド)からの処理反応蒸気を補うため、または1次インジェクタからの反応物質と相互作用するための反応物質のサブセットを提供するために、2次インジェクタとして機能してもよい。それ故に、こうした送達装置は、一部の実施では、シャワーヘッドを補い、かつ/または置き換えることができる。一部の実施形態では、シャワーヘッドおよび図示した実施形態の部分的なリングなどのクロスフローインジェクタの両方から送達される処理蒸気を有することが有利である場合がある。
【0022】
ここで図を参照する。
図1は、反応チャンバ104と、下部位置124にある基材支持体108とを含む例示の反応器100を示す。反応チャンバ104は、フランジ170によって分離された上部チャンバ166および下部チャンバ168を含んでもよい。基材支持体108は、その上に基材112(例えば、ウエハ)を支持することができる。反応器100は、反応チャンバ104内(例えば、下部チャンバ168内)に配置されたガス送達装置136をさらに含むことができる。図示した実施形態では、反応器100は、基材支持体108の上方に配置されたシャワーヘッド138をさらに含み、このシャワーヘッドは、基材112の頂部に向かって垂直軸に対して概して下向きに平行にガスを送達するように構成される。図示した実施形態では、シャワーヘッド138は、1次反応蒸気送達装置またはインジェクタとして機能することができ、ここで、「1次」という用語は単に標識であり、相対的重要性を暗示するものではない。上部チャンバ166は、上部チャンバ166の外に蒸気を引き出すように(例えば、処理中に)構成された上部チャンバ出口158を含むことができる。一部の実施形態では、チャンバ104を通るガス流路を調整するために、所望に応じて反応チャンバ104の外に蒸気を引き出すために、上部チャンバ出口158は、下部チャンバ出口154とともに機能してもよい。
【0023】
一部の実施形態では、反応器100は、例えば、処理中に基材112の着座を確実にするため、または装置上に蓄積された残渣のレベルを検査するために、基材支持体108および/または基材112の目視検査を可能にすることを可能にすることができる、覗き窓160を含むことができる。反応器100は、追加的または代替的に、ガス送達装置136を支持する1つ以上の装置支持体156を含むことができる。1つ以上の装置支持体156は、覗き窓160に連結(例えば、取り付け)されてもよい。
【0024】
ガス送達装置136は、反応チャンバ104内に配置されるように構成された細長の管を含むことができる。管は、水平に向けられるように図示された1つ以上の開口140を含むことができる。管は、基材支持体108の上面116に概して平行な水平面に沿って配置することができる。追加的または代替的に、1つ以上の開口140は、垂直に向けることができ、または垂直と水平との間の他の向きにすることができる。1つ以上の開口140の各々は、ガス送達装置136の内部から反応チャンバ104の中へのガスの通過を可能にするように構成することができる。
図2~
図5から理解されるように、ガス送達装置136の管は、水平面内で基材支持体108を少なくとも部分的に囲むように形作ることができ、また反応チャンバ内の基材支持体108の最大幅より大きい内寸法を有することができる。例えば、図示した実施形態では、管は湾曲しており、また基材支持体108の外径より大きい内径を有する円弧または部分的なリングを形成する。基材支持体108の半径方向寸法およびガス送達装置136の管は、垂直軸128に実質的に垂直な水平軸132に沿って測定されてもよい。管は中空であり、これにより、反応物質蒸気がその内部を通過することが可能である。管の内部は、1つ以上の開口140と流体連通していてもよい。管の図示された丸い形状には、例えば、開口140から基材支持体108の縁部への均等な距離が可能であるという利点がある一方で、管は、卵状または長方形などの他の形状を有することができることを当業者は理解するであろう。
【0025】
ガス送達装置136は、反応チャンバ104のチャンバ基部148に連結するように構成された入口152を含むことができる。入口152は、反応チャンバ104のチャンバ基部148に連結する送達装置アダプタ(例えば、
図6A~
図6Bおよび付随する記述を参照のこと)を含むことができる。ガスは、ガス源(例えば、反応チャンバ104の外側のガスボンベまたは気化器)から入口152を通してガス送達装置136の中に通ることができる。
【0026】
反応チャンバ104は、チャンバ基部148においてなど、下部チャンバ出口154を含むことができる。下部チャンバ出口154は、チャンバの外にガスを引き出すように構成することができる。例えば、真空ポンプは、下部チャンバ出口154および/または上部チャンバ出口158に連結されてもよい。一部の実施形態では、下部チャンバ出口154および上部チャンバ出口158の各々は、コントローラ174によって独立して動作することができる別個の真空ポンプに連結される。下部チャンバ出口154は、一部の実施形態では、クリーニング手順の間のみ動作するように構成されてもよい。
【0027】
上記のように、また
図2~
図5を参照すると、ガス送達装置136の管は、水平面内で、またはより一般的に基材支持体108と平行な平面内で、円弧、アーチ形のセグメント、または部分的なリングの少なくとも一部分を形成することができる。円弧の一部分は、鈍角を包含することができる。一部の実施形態では、角度は、180°より大きくてもよく、また約200°、約220°、約240°、約260°、約280°、約300°、約320°、約340°、約360°、その中の任意の角度、またはその中に端点を有する範囲内に収まる。一部の実施形態では、角度は約120°である。1つ以上の開口140の各々は、円弧の一部分の内径に沿ってなど、円弧の一部分に沿って配置されてもよい。例えば、1つ以上の開口の各々は、水平面に沿って蒸気を注入するように構成される。動作時に、1つ以上の開口の各々は、図示した実施形態で反応チャンバ104の下部壁または基部148において位置付けられているチャンバ出口154に向かってガスを方向付けることができ、これにより反応蒸気は、サポート108が下部位置またはクリーニング位置にある時、開口140とチャンバ出口154との間の基材支持体108の水平位置を横断する。この場所は、特に、反応蒸気がクリーニングガスを含む実施形態については、クリーニングガスが基材支持体108の上方に放出されたかまたは下方に放出されたかどうかに関わらず、反応蒸気が下部チャンバ(フランジ170の下方)の表面に達するのを確実にする様態で、反応チャンバ104を通して反応蒸気を方向付けるのに役立つ場合がある。
【0028】
基材支持体108は、外周を形成する外縁を、基材支持体108の面または頂部の周りに含むことができる。基材支持体108は、元素材料または分子材料などの1つ以上の材料を含んでもよい。こうした材料としては、炭化ケイ素(SiC)、グラファイト、または任意の他のセラミックなどの、非酸化物セラミックを挙げることができる。金属などの他の材料を使用してもよい。一部の実施形態では、基材支持体108としては、炭化ケイ素コーティングされたグラファイトなどの、炭化ケイ素コーティングが挙げられる場合がある。一部の実施形態では、基材支持体108は、200mmウエハまたは300mmウエハなどの特定のタイプの基材を適合するようにサイズ設定され、かつ形状にされたポケットを画定するために、周囲の周りに隆起した突起を有することができる。
【0029】
基材支持体108は、垂直軸128に沿ってシャフト144に取り付けられたモーターによって上げ下げされるように構成されてもよい。シャフト144は、支持された基材112を有する処理位置として機能することができる上部位置120と、本明細書に記述される一部の実施形態では、装填/脱離位置および/またはクリーニング位置として機能することができる下部位置124とを含む、チャンバ内の様々な垂直位置に基材支持体108を上げることができる。上部位置120にある時、基材支持体108はフランジ170と接触してもよく、それによって上部チャンバ166と下部チャンバ168との間に流体バリアを実質的に生成し、それ故に上部チャンバ166内の基材112の処理を可能にする。フランジ170は、金属リングなどのリングを含んでもよい。他の実施形態では、基材支持体108は、上部位置においてフランジ170とともに、それを通る制御された最小限の流れを有する小さいギャップを形成してもよく、または基材支持体108とフランジ170との間にラビリンスシールが形成されてもよい。
【0030】
反応器100は、1つ以上のプロセッサだけでなく、その上に実行可能な命令を有するメモリを含むコントローラ174も含むことができる。プロセッサによって実行された時に、1つ以上のプロセッサは、反応物質蒸気の送達、モーターによるシャフト144の上げ下げおよび回転、反応器100内の1つ以上の加熱要素の温度の修正、様々な弁を通る蒸気の流れの制御、ロボット工学を通した基材の移動等に関連するプロセスを実施することができる。コントローラ174を、本明細書に記述されるプロセスを実施するようにプログラムすることができることを、当業者は理解するであろう。例えば、プロセッサは、ロボット工学、温度コントローラ、弁およびその他の流れ制御機器、ゲート弁、基材支持体位置決めおよび回転モーター等の制御を通してレシピをプロセスすることができる。レシピは、例えば、特定の反応物質蒸気に対する反応プロセスの時間の順序付けおよび/または長さであってもよい。反応器100はまた、シャワーヘッド138および入口152に接続された、ガスボンベまたは気化ツールなどの反応蒸気源も含む。
【0031】
上部位置120では、基材支持体108の上面116および/または基材112の上面は、ガス送達装置136内に配置された開口140の上方であってもよい。追加的または代替的に、下部位置124では、基材支持体108の上面116および/または基材112の上面は、開口140の下方にあってもよい。一部の実施形態では、開口140は、下部位置124にある基材支持体108とほぼ同じ高さであってもよい。それ故に、ガス送達装置136は、ガス送達装置136に対する基材支持体108の位置に応じて、基材支持体108および/または基材112の異なる部分にガスを送達することができるように配置することができる。
【0032】
上記のように、基材支持体108の面または上部は、200mmウエハまたは300mmウエハなどの特定の基材に適合するように形作られてもよい。追加的または代替的に、基材支持体108は、基材支持体108の重量を低減し、かつ/または基材のより正確な取り扱いを可能にするために、比較的低いプロファイル(すなわち、一般的な断面厚さ)を有してもよい。基材支持体108の上面116は、ほぼ円形状の基材支持体108を形成するように、実質的に丸くてもよい。
【0033】
基材支持体108は、上昇機(例えば、リフトピン、突起、ロッド等)がそれを通ることを可能にするように構成された1つ以上の開口を含んでもよい。上昇機は、装填時に基材支持体108上に基材112を受容し、また脱離時に基材112を基材支持体108から分離するために使用されてもよい。上面116は、基材支持体108の内表面に対して傾斜した、かつ/または凹形の外表面を有してもよく、これは内表面に対して上昇した部分をもたらす場合がある。これは、基材支持体108によって基材112の熱的な制御を改善することができる。上記のように、基材支持体108は、外部から供給される放射もしくはエネルギーの吸収を通して、または抵抗加熱もしくは対流加熱による内部加熱を通してのいずれかで、ヒーターとして機能することができる。
【0034】
基材支持体108は、様々な寸法を有することができる。基材支持体108は、約1mm~15mmの厚さを有することができ、また一部の実施形態では約3.8mmの厚さを有することができる。基材支持体108の直径(水平軸132に沿った)は、約100mm~500mmとすることができ、一部の実施形態では、300mmウエハを支持するように構成される。基材支持体108の直径は、ガス送達装置136によって形成される円弧の一部分の内径より小さくてもよい。このようにして、基材支持体108は、ガス送達装置136と接触することなく、上部位置120と下部位置124との間で自由に移動してもよい。
【0035】
図2は、例示の反応物質蒸気送達システム200の斜視図を示す。反応物質蒸気送達システム200は、一部の実施形態では、反応チャンバ内に含まれてもよい。反応物質蒸気送達システム200は、ガス送達装置236およびシャフト244によって制御される基材支持体208を含む。ガス送達装置236は、1つ以上の開口240を含むことができる。ガス送達装置236は、1つ以上の装置支持体256によって支持されてもよい。1つの装置支持体256のみが示されているが、2つ以上の装置支持体が可能である。装置支持体256は、反応チャンバの壁に連結されてもよく、またフックまたは何らかの他の支持構造を使用してガス送達装置236を支持してもよい。示されるように、ガス送達装置236は、湾曲したまたは円弧状の部分を有することができる。円弧部分は、概して、基材支持体208の縁部の曲率に追従してもよく、またはそれと平行であってもよい。示されるように、基材支持体208は、垂直軸228に関して対称であってもよい。
【0036】
示されるように、ガス送達装置236は、基材支持体208より大きい半径方向寸法を有する。例えば、示されるガス送達装置236は、基材支持体208より大きい円弧直径を有する。これは、必要に応じて、シャフト244によって、基材支持体208を上方に(上部位置(図示せず)に)上げ、かつガス送達装置236の下方に(下部位置(図示せず)に)下げることを可能にすることができる。示されるように、ガス送達装置236は、基材支持体208の上面216のわずかに下方に配置されるが(
図4を参照)、ガス送達装置236の円弧部分は、基材支持体208のある特定の位置では、基材支持体208の上面216と実質的に同一平面上であってもよい。
【0037】
図3は、
図2の例示の反応物質蒸気送達システム200の上面図を示す。示されるように、ガス送達装置236の円弧部分は、おおよそ170°であるが、他の円弧部分の半径方向寸法が可能である。
図4は、
図2の例示の反応物質蒸気送達システム200の側面図を示す。ガス送達装置236のいくつかの開口240を
図4で見ることができる。ガス送達装置236の入口252が示されている。入口252は、反応チャンバの基部(
図6Cおよび付随する記述を参照のこと)に連結するように構成されてもよい。一部の実施形態では、入口252は、ガス送達装置236の終端238(
図5、入口252と反対側の端部)と実質的に同様の直径を有してもよい。終端238は、プロセス中に終端238内のあらゆる化学物質の捕捉を防止するように構成することができ、それ故に、ガス送達装置236および/または反応チャンバ内の化学物質による汚染のリスクを低減することができる、通気開口を含んでもよい。一部の実施形態では、終端238は閉鎖される。
【0038】
図5は、
図2のガス送達装置236を示す。ガス送達装置236は、反応チャンバ(図示せず)内に配置されるように構成された細長の管を含む。管は実質的に中空であり、そしてガスが反応器のガス源(図示せず)から、入口252を通って、管の内部を経由して開口240に通ることを可能にする。示されるように、細長の管は、複数の真っ直ぐな部分と湾曲した部分とを含む。例えば、管は、入口252で始まって真っ直ぐになるように構成され、そして1つ以上の下流の湾曲した部分を含んでもよい。複数の真っ直ぐな部分のうちの1つ以上は、実質的に垂直であってもよく、これは、ガス送達装置236の残りの部分を支持するのに役立つ場合がある。細長の管は、ガス送達装置236の全体を通して実質的に等しい直径を有してもよいが、他の配設が可能である。
【0039】
管は、外径および内径を有してもよい。外径は、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mmであってもよく、または上記の値のうちのいずれかを端点として有する任意の範囲に含まれてもよい。外径の選択は、反応チャンバのサイズ、望ましいガス流の体積および/または速度によって制約される場合がある。一部の実施形態では、外径は約6.4mmである。内径(ガスが流れることができる管の内部を画定する)は、約0.3mm、約0.5mm、約0.8mm、約1mm、約2mm、約3mm、約5mm、または上記の値のうちのいずれかを端点として有する任意の範囲に含まれてもよい。内径の選択は、必要とされるガス流の体積および/もしくは速度、ならびに/またはガス送達装置236の材料のタイプによって制約される場合がある。ガス送達装置236は、アルミニウム金属(例えば、Al 6061/6063)または何らかの他の元素金属もしくは金属合金などの実質的に剛直な材料で作製されてもよい。一部の実施形態では、材料は、三フッ化窒素(NF3)または他の反応性化学物質などの酸化化学物質に対して抗腐食性であるように構成される。
【0040】
図5の図示した実施形態では、1つ以上の開口240の各々は、点線の矢印によって示されるように、チャンバ出口254(点線の楕円で概略的に示される)に向かってガスを方向付けるように構成される。放出されたガスの方向は、下部チャンバ出口254の両方の相対的な位置に依存し、そして示されるように部分的に下向きに、またはチャンバ出口154がガス送達装置236の上方にある場合、上向きにすることができる。追加的または代替的に、開口240の各々は、細長の管の円弧部分の周り(例えば、管の円弧部分の内部部分内)に位置付けることができ、これによりガスの一般的な方向は、少なくとも概してチャンバ出口254に向かう。下部チャンバ出口254に対するガス送達装置236の位置決め、基材支持体(
図1~
図4を参照のこと)、および他の反応器機器は、ガス送達装置236を使用する処理を加速する(例えば、クリーニングプロセスのスピードアップ)のを助けることができ、これは、反応チャンバのダウンタイム(例えば、クリーニング手順の間)を低減し、かつ/または堆積または他の反応プロセス間の時間を低減することができる。
【0041】
各開口240は、約0.2mm、約0.5mm、約0.7mm、約1mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mmの直径を有してもよく、または上記の値のうちのいずれかを端点として有する任意の範囲に含まれてもよい。ガス送達装置236の各開口240の直径は、少なくとも部分的に、ガスシステムの望ましい流量および/またはプロセスされる必要のある基材のサイズに基づいてもよい。
【0042】
ガス送達装置236の円弧部分は、約250mm、約300mm、約350mm、約400mm、約450mm、約500mm、約550mm、その中の任意の値、またはその中の任意の値を端点として有する任意の範囲に含まれる、外径を有することができる。ガス送達装置236の円弧部分の外径は、少なくとも部分的に、基材支持体208の外寸法(例えば、外径)に基づいてもよい。別の方法で、基材支持体208の位置の範囲は、基材支持体208をガス送達装置236と衝突することなしに低減されてもよい。一部の実施形態では、ガス送達装置236の円弧部分の外径は、約400mm~430mm、例えば、約416mmであり、基材支持体は、300mmウエハを支持するように構成される。
【0043】
一部の実施形態では、ガスは、ガス送達装置236への送達前に加熱されてもよい。これは、1つ以上のやり方で達成されうる。一部の実施形態では、反応物質蒸気をガス送達装置236の入口252に送達する配管の周りに、ヒータージャケットが配置される。加熱要素(複数可)は、ガス送達装置236の所与の部分内のガスの温度を、特定の温度範囲内に、かつ/または最低温度を上回るように保持するように構成されてもよい。例えば、加熱要素(複数可)(例えば、加熱ジャケット)は、入口252を通って流れるガスの標的または平均温度を、約70℃、約90℃、約110℃、約130℃、約150℃、約170℃、約200℃、約225℃で維持するように構成されてもよく、または上記の値のうちのいずれかを端点として有する任意の範囲に含まれてもよい。
【0044】
ガス送達装置を通して提供される蒸気を予熱することは、有利なことに、結果として基材の処理および/または基材間のクリーニング反応の変動性を引き起こす可能性がある、反応チャンバ内の機器の対流冷却、およびチャンバ内の温度制御への付随する干渉を軽減または防止することができる。
【0045】
図6A~
図6Cは、細長のガス送達装置(例えば、ガス送達装置136、ガス送達装置236)をチャンバの基部に連結するために使用されてもよい、例示の入口アダプタ600を示す。
図6Aは、入口アダプタ600の斜視図であり、また
図6Bは、入口アダプタ600の断面側面図である。入口アダプタ600は、アダプタヘッド604、アダプタナット608、およびアダプタボルト612を含むことができる。アダプタヘッド604は、1つ以上の凹部616を含んでもよい。一部の実施形態では、凹部616は、Oリングまたは他のシール要素を受容するように構成されてもよい。アダプタヘッド604の上面は、チャンバの基部に対して連結およびシールするように構成することができる。送達装置アダプタ600は、それを通る蒸気の流れを可能にするように、中空とすることができる。
【0046】
有利なことに、入口アダプタ600は、細長の送達装置へのアクセスの改善を可能にすることができる。例えば、入口アダプタ600は、チャンバに取り付ける、またはチャンバにレトロフィットする準備完了とすることを可能にする場合がある。一部の実施形態では、入口アダプタ600は、アダプタナット608およびアダプタナット608の内部に取り外し可能に連結されるように構成されたボルトインサート620を含むことができる。一部の実施形態では、アダプタナット608およびボルトインサート620は、より確実な連結のために一緒に接着(例えば、溶接)される。
図6Cは、ガス送達装置236の入口252およびチャンバ基部248に連結された入口アダプタ600を示す。示されるように、Oリング624は、アダプタヘッド604とチャンバ基部248の基部との間に配置される。
【0047】
図7は、上述の1つ以上のシステム(例えば、反応物質蒸気送達システム100、反応物質蒸気送達システム200)によって、そして特にシステム用のコントローラによって実施されてもよい、例示の方法700を示す。ブロック704において、基材は、反応器の反応チャンバの上部位置、または処理位置(例えば、
図1の120を参照のこと)内の基材支持体上に位置付けられる。反応蒸気は、ブロック708において、
図1のシャワーヘッド138などの1次ガス送達装置を通して送達することができる。1つの実施形態では、基材処理は、化学蒸着(CVD)などの、基材上の金属材料の蒸着を含むことができる。
【0048】
その後、ブロック712において、反応器の反応チャンバから基材を除去することができ、またブロック716において、システムは、基材支持体(例えば、基材支持体108または208)を反応器内の下部チャンバ(例えば、下部チャンバ168)内の水平位置に位置付けることができる。下部チャンバでは、基材支持体の頂部は、ガス送達装置(例えば、送達装置136、送達装置236)の複数の開口(例えば、開口140、開口240)の下方にあってもよい。ガス送達装置は、基材支持体の外径方向寸法より大きい内径方向寸法を有することができる。例えば、ガス送達装置は、基材支持体の外径より大きい内径を有してもよい。ブロック720において、システムは、基材支持体が下部チャンバ内にある間に、複数の開口を経由して下部チャンバ内に位置付けられたガス送達装置の内部を通してガス(例えば、クリーニングガス)を通すことができる。これは、ガスが、基材支持体の上面(例えば、基材支持体をクリーニングするために)、基材の上面(例えば、その上に化学物質を送達するために)、および/または反応器の上部部分の中の要素(例えば、それらの要素をクリーニングするために)と接触することを可能にする場合がある。ガスは、反応チャンバの表面上に残された残渣を基材処理によってクリーニングするように構成されたクリーニングガスであってもよい。金属材料堆積、特にモリブデン堆積の本明細書の例では、ガス送達装置を通して供給されるクリーニングガスは、ハロゲン化物ガスを含むことができる。特定の例では、クリーニングガスはNF3を含む。
【0049】
追加的または代替的に、システムは、反応器内の垂直軸に沿って上部位置に基材支持体を作動させることができる。上部位置では、基材支持体の上部は、複数の開口の上方であってもよい。システムは、基材支持体が上部位置にある間に、送達装置の内部を通し、そして複数の開口を経由して反応器の中に、クリーニングガスなどの反応物質蒸気を通過させてもよい。これは、クリーニングガスが、基材支持体の下側(例えば、基材支持体をクリーニングするため)および反応器の下部部分内の他の機器表面と接触することを可能する場合がある。反応物質蒸気を、送達装置の内部を通し、かつ反応器の中に通すことは、複数の開口の各々から反応器内のチャンバ出口(例えば、下部チャンバ出口154、下部チャンバ出口254)に向かってガスを方向付けることを含んでもよい。方法600の1つ以上の態様の追加的な特徴は、
図1~
図5に関して上記に開示された反応物質蒸気送達システム100および/または反応物質蒸気送達システム200の機能性および特徴を含むことができる。
【0050】
図8は、上述の1つ以上のシステム(例えば、反応物質蒸気送達システム100、反応物質蒸気送達システム200)によって実施されてもよい例示の方法800を示す。ガス送達装置は、送達装置の内部と流体連通する複数の開口を含んでもよい。最初に、ブロック804において、反応器の反応チャンバ内の基材支持体の上に基材を装填してもよく、そしてブロック808において、サポートは、反応チャンバの下部チャンバ内で処理するために位置付けることができる。処理位置は、
図1の上部位置120であってもよく、または、ガス送達装置が基材支持体の縁部と同じ高さである位置もしくは
図1の下部位置124であってもよく、それらのいずれも、ガス送達装置を通した基材表面へのガスのアクセスを可能にする。シャワーヘッド送達装置は、基材支持体の上方に配置されてもよく、またその上の基材に蒸気を送達するように構成されてもよい。細長の送達装置は、基材支持体の外径方向の寸法より大きい内径方向の寸法を有することができる。ブロック812において、プロセス反応物質蒸気は、ガス送達装置を通して、かつ複数の開口を経由して反応チャンバの中に送達することができる。プロセスガスはまた、シャワーヘッド送達装置を通して送達することもできる。1つの実施形態では、同じプロセス反応物質蒸気が、シャワーヘッドと下部ガス分配装置との両方を通して提供される。別の実施形態では、1つの反応物質はシャワーヘッドを通して供給され、そして異なる反応物質は下部ガス分配装置を通して供給される。シャワーヘッドからの垂直流れとガス分配装置からのクロスフローとの両方を採用することは、有利なことに、シャワーヘッドを通した反応物質蒸気のみでは利用可能とはならない、均一性のためのガス流(質量搬送)の調整を可能にする。
【0051】
他の実施形態では、プロセス反応物質蒸気は、好ましくは、下部位置にある基材支持体を用いて、下部ガス分配装置のみを通して供給することができる。さらに他の実施形態では、反応物質蒸気は、基材処理(例えば、金属材料の蒸着)中にガス分配装置を通して供給され、基材は、チャンバから取り出され、ガス分配装置は、反応物質蒸気をパージされ、そしてクリーニングガス(例えば、NF3)が、基材支持体が下部位置(ガス分配装置の下方またはガス分配装置と同じ高さ)にある状態で下部チャンバガス分配装置を通して供給される。その結果、下部チャンバ内の部分的なリングは、シャワーヘッドを用いた1次処理中、クロスフローのみを使用した別個の処理において、連続的な原位置での処理のための組み合わせにおいて、および/または基材処理工程間のクリーニング工程で、使用に対する追加的な柔軟性を提供する。
【0052】
下記に様々な例示的な例が提供される。
【0053】
例1では、上部チャンバと下部チャンバとの間に配置されるフランジと、基材支持体の上面上に基材を支持するように構成された基材支持体であって、反応チャンバ内の上部位置と下部位置との間で垂直に作動されるように追加的に構成された基材支持体と、上部チャンバ内に配置され、かつ基材の上面にガスを送達するように構成された1次ガス送達装置と、下部チャンバ内に配置され、かつ基材支持体を部分的に囲むように構成された細長のガス送達装置であって、ガスがその内部を通過し、かつ送達装置の内部と流体連通する複数の開口を出ることを可能にするように構成された、送達装置と、を備える、反応器。
【0054】
例2では、反応チャンバと、反応チャンバ内の水平位置における基材支持体であって、基材支持体の上面上に基材を支持するように構成され、反応チャンバ内で上部位置と下部位置との間で垂直に作動されるように追加的に構成された基材支持体と、反応チャンバ内に配置されて、基材支持体水平位置を部分的に囲む細長のガス送達装置であって、基材支持体の水平幅より大きい水平内幅を有し、ガスがその内部を通過することを可能にするように構成され、送達装置の内部と流体連通する複数の開口を備え、複数の開口の各々が送達装置の内部から反応チャンバの中へのガスの通過を可能にするように構成された、送達装置と、を備える反応器と、を備え、複数の開口が、基材支持体が上部位置にある時、基材支持体の頂部の下方に配置され、また基材支持体が下部位置にある時、基材支持体の縁部と同じ高さまたは上方に配置される、反応器。
【0055】
例3では、反応チャンバが、チャンバの外にガスを引き出すように構成されたチャンバ出口を備える、例2の反応器。
【0056】
例4では、送達装置がアーチ形のセグメントを備える、例3の反応器。
【0057】
例5では、アーチ形のセグメントが、約180°~約270°の角度を包含する、例4の反応器。
【0058】
例6では、複数の開口の各々がアーチ形のセグメントに沿って配置される、例4~5のいずれかの反応器。
【0059】
例7では、複数の開口の各々が、ガスをチャンバ出口に向かって方向付けるように構成される、例6の反応器。
【0060】
例8では、複数の開口の各々がアーチ形のセグメントの内径に沿って配置される、例4~7のいずれかの反応器。
【0061】
例9では、送達装置の入口が、反応チャンバの基部に連結するように構成される、例2~8のいずれかの反応器。
【0062】
例10では、複数の開口の各々が、垂直軸に直交する平面内に実質的に配置されるように構成された、例2~9のいずれかの反応器。
【0063】
例11では、反応器の上部チャンバと下部チャンバとの間に配置されたフランジをさらに備える、例2~10のいずれかの反応器。
【0064】
例12では、上部位置において、基材支持体がフランジとシールを形成するように構成される、例11の反応器。
【0065】
例13では、上部チャンバ内に配置され、かつ基材の頂部に向かって下向きにガスを送達するように構成された1次ガス送達機構をさらに備える、例11~12のいずれかの反応器。
【0066】
例14では、反応チャンバ内にガスを送達するための送達装置であって、反応チャンバ内に配置されるように構成された細長の管であって、ガスがその内部を通過することを可能にするように管が構成され、チャンバ内の基材支持体の水平位置を部分的に囲むアーチ形のセグメントを備える、細長の管と、反応チャンバの基部に連結し、かつ反応蒸気をそれを通して管に供給するように構成された、入口アダプタと、管の内部と流体連通する複数の開口であって、複数の開口の各々が送達装置の内部から反応チャンバの中へのガスの通過を可能にするように構成された、開口と、を備える、送達装置。
【0067】
例15では、管が、垂直軸と直交する平面内に実質的に配置されるように構成され、それに沿って、基材支持体が反応チャンバ内の上部位置と下部位置との間で作動するように構成される、例14の送達装置。
【0068】
例16では、複数の開口が、基材支持体が上部位置にある時、基材の頂部の下方に、また基材支持体が下部位置にある時、基材の頂部の上方になるように管が配置される、例15の送達装置。
【0069】
例17では、アーチ形のセグメントを備える、例14~16のいずれかの送達装置。
【0070】
例18では、アーチ形のセグメントが、約120°~約270°の角度を包含する例17の送達装置。
【0071】
例19では、複数の開口の各々が、アーチ形のセグメントに沿って配置される、例17~18のいずれかの送達装置。
【0072】
例20では、複数の開口の各々が、反応チャンバ内のチャンバ出口に向かってガスを方向付けるように構成される、例19の送達装置。
【0073】
例21では、複数の開口の各々が、アーチ形のセグメントの内径に沿って配置される、例19~20のいずれかの送達装置。
【0074】
例22では、クリーニングガスを反応器内に送達する方法であって、反応器の上部チャンバ内の基材支持体上に基材を位置付けることと、上部チャンバ内のシャワーヘッド送達装置を経由して、反応物質蒸気を基材に送達することと、反応器から基材を取り出すことと、反応器の下部チャンバ内の水平位置において基材支持体を位置付けることと、下部チャンバ内に位置付けられたガス送達装置の内部を通して、ガス送達装置の複数の開口を経由して、クリーニングガスを送達することと、を含む、方法。
【0075】
例23では、ガス送達装置の内部を通してクリーニングガスを送達することが、下部チャンバ内の弓状管の内部を通してクリーニングガスを送達することを含む、例22の方法。
【0076】
例24では、弓状管が、約90°~約270°の円弧に対する、例23に記載の方法。
【0077】
例25では、反応器内に反応物質蒸気を送達する方法であって、反応器内の基材支持体の上に基材を装填することと、反応器の下部チャンバ内に基材支持体を位置付けることと、下部チャンバ内に位置付けられた細長の送達装置の内部を通して反応物質ガスを送達することと、を含む、方法。
【0078】
例26では、反応物質ガスを細長の送達装置の内部を通して送達することが、反応物質ガスを下部チャンバ内の弓状管の内部を通して送達することを含む、例25の方法。
【0079】
例27では、弓状管が、約90°~約180°の円弧に対する、例26の方法。
【0080】
例28では、弓状管によって包まれる円弧と概して反対側の反応物質ガスをチャンバ出口を通して排出することをさらに含む、例27の方法。
【0081】
例29では、上部チャンバ内のシャワーヘッド送達装置を経由して、反応物質蒸気を基材に送達することをさらに含む、例27~28のいずれかの方法。
【0082】
例30では、反応物質蒸気を、上部チャンバ内のシャワーヘッド送達装置を経由して基材に送達することが、下部チャンバ内に位置付けられた細長の送達装置の内部を通して反応物質ガスを送達することと同時である、例29の方法。
【0083】
例31では、反応チャンバ内にチャンバガスを送達する方法であって、基材を処理するための処理位置と、反応チャンバ内の垂直軸に沿った下部位置との間で基材支持体を作動させることであって、下部位置において、基部サポートの頂部が、弓状送達装置と同じ高さ、または弓状送達装置の下方であり、弓状送達装置が、基材支持体の外幅より大きい内幅を有する、作動させることと、下部位置にある間、弓状送達装置の内部を通し、かつ弓状送達装置の複数の開口を経由して反応チャンバの中にガスを通すことと、を含む、方法。
【0084】
例32では、反応チャンバ内の垂直軸に沿って上部位置に基材支持体を作動することであって、上部位置において、基材支持体の頂部が複数の開口の上方にある、作動することと、基材支持体が上部位置にある間に、送達装置の内部を通し、かつ複数の開口を経由して反応チャンバの中にガスを通すことと、をさらに含む、例31の方法。
【0085】
例33では、送達装置の内部を通し、かつ反応チャンバの中にガスを通すことが、複数の開口の各々から、ガスを反応チャンバ内のチャンバ出口に向かって方向付けることを含む、例31~32のいずれかの方法。
【0086】
本態様および実施は、機能ブロック構成要素および様々な処理工程に関して記述されうる。こうした機能ブロックは、特定された機能を実施し、かつ様々な結果を達成するように構成された、任意の数のハードウェアまたはソフトウェア構成要素によって実現されてもよい。例えば、本態様は、様々な機能を実行しうる様々なセンサ、検出器、流量制御デバイス、ヒーター、およびこれに類するものを採用してもよい。加えて、本態様および実施は任意の数の処理方法と併せて実施されてもよく、また記述される装置およびシステムは任意の数の処理方法を採用してもよく、また記述される装置およびシステムは本発明の用途の単なる例である。
【外国語明細書】