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特開2023-84172ウレタンフォーム形成性組成物およびウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084172
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ウレタンフォーム形成性組成物およびウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230612BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20230612BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20230612BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20230612BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20230612BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230612BHJP
【FI】
C08G18/00 F
B01J20/22 A
A61L9/014
C08L75/04
C08K9/06
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198184
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】宮山 昌大
(72)【発明者】
【氏名】小柳 哲平
(72)【発明者】
【氏名】須藤 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓夢
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】布川 真理奈
【テーマコード(参考)】
4C180
4G066
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB08
4C180BB11
4C180CC01
4C180CC12
4C180CC15
4C180EB15X
4G066AA22C
4G066AB05B
4G066AB13B
4G066AB18D
4G066BA28
4G066CA02
4G066CA52
4G066DA03
4G066FA37
4J002CK021
4J002CK041
4J002CP032
4J002DA016
4J002DE028
4J002DE076
4J002DE096
4J002DE136
4J002DE146
4J002DH006
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002EN037
4J002EU137
4J002FB146
4J002FD016
4J002FD157
4J002FD202
4J002FD206
4J002FD328
4J002GN00
4J034BA03
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA01
4J034CA04
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4J034CB07
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4J034DA01
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC50
4J034DG01
4J034DG02
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4J034DG04
4J034DG08
4J034DG09
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA11
4J034HC12
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034KB02
4J034KB05
4J034KD12
4J034NA01
4J034NA03
4J034NA08
4J034QB13
4J034QB15
4J034QB16
4J034QC01
4J034QD03
4J034RA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アルデヒド揮発量が極めて低いウレタンフォームの形成に資するウレタンフォーム形成性組成物、および、アルデヒド揮発量が極めて低いウレタンフォームを提供すること。
【解決手段】ポリオール成分(A)を含む第一液と、ポリイソシアネート成分(B)を含む第二液と、アルデヒド捕捉剤(F)と、を含み、該アルデヒド捕捉剤(F)が、式(1)で表される特定の構造を有する化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体である、ウレタンフォーム形成性組成物。

式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;mは、0~2の整数を表す;nは、1~12の整数を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分(A)を含む第一液と、
ポリイソシアネート成分(B)を含む第二液と、
アルデヒド捕捉剤(F)と、を含み、
該アルデヒド捕捉剤(F)が、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、
該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する、ウレタンフォーム形成性組成物:
【化1】
【化2】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;
mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;
mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【請求項2】
式中、
Rが、メチル基であり、
Xが、各々独立に、メトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基である、請求項1に記載のウレタンフォーム形成性組成物。
【請求項3】
前記担体が、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、活性炭、セルロース、又はヒドロキシアパタイトである、請求項1または2に記載のウレタンフォーム形成性組成物
【請求項4】
前記担体が、シリカゲルである、請求項1または2に記載のウレタンフォーム形成性組成物。
【請求項5】
前記アルデヒド捕捉剤(F)の含有量が、前記ウレタンフォーム形成性組成物の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のウレタンフォーム形成性組成物。
【請求項6】
前記第一液が、前記アルデヒド捕捉剤(F)を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のウレタンフォーム形成性組成物。
【請求項7】
触媒(C)、整泡剤(D)、および発泡剤(E)をさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のウレタンフォーム形成性組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のウレタンフォーム形成性組成物の発泡硬化物であるウレタンフォーム。
【請求項9】
軟質ウレタンフォームである、請求項8に記載のウレタンフォーム。
【請求項10】
硬質ないし半硬質ウレタンフォームである、請求項8に記載のウレタンフォーム。
【請求項11】
自動車用ウレタンフォームである、請求項8から10のいずれか1項に記載のウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォーム形成性組成物およびウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタンフォームは生活用品、自動車用材料、衣類、スポーツ・レジャー用品、衣料用材料、土木建築材料等、広範囲に使用されている。このような分野の中でも、シートクッションや表皮裏打ち材、床天井等の吸音・制振材、ハンドル等の自動車用材料、寝具やソファーなどの生活用品、断熱材などの土木建築材料において、室内環境改善の観点から各材料のVOC(揮発性有機化合物)および臭気の低減が求められている。VOCの中でも特にアルデヒド類は化学物質過敏症を引き起こす原因であると共に、臭気要因の一つであるため、アルデヒド類の低減が必要である。
【0003】
ウレタンフォームから発生するアルデヒド類を低減する対策として、アルデヒド捕捉剤への注目が高まっている。特許文献1は、尿素化合物、アミノ酸、多価フェノールなどのアルデヒド捕捉剤を含む軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-110753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にかかるポリオール組成物でウレタンフォームを形成した場合、ウレタンフォーム成形過程において、主成分の一つであるイソシアネートとアルデヒド捕捉剤とが反応するため、アルデヒド捕捉剤の能力が低下し、アルデヒド類を十分に低減できないという問題がある。
そこで、本発明の一態様は、アルデヒド揮発量が極めて低いウレタンフォームの形成に資するウレタンフォーム形成性組成物を提供することに向けられている。また、本発明の他の態様は、アルデヒド揮発量が極めて低いウレタンフォームを提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
ポリオール成分(A)を含む第一液と、
ポリイソシアネート成分(B)を含む第二液と、
アルデヒド捕捉剤(F)と、を含み、
該アルデヒド捕捉剤(F)が、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、
該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する、ウレタンフォーム形成性組成物が提供される:
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;
mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;
mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【0010】
また、本発明の他の態様によれば、上記ウレタンフォーム形成性組成物の発泡硬化物であるウレタンフォームが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、アルデヒド揮発量が極めて低いウレタンフォームの形成に資するウレタンフォーム形成性組成物が提供できる。また、本発明の他の態様によれば、アルデヒド揮発量が極めて低いウレタンフォームを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の各態様を実施するための例示的な実施形態についてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明の一態様にかかるウレタンフォーム形成性組成物は、
ポリオール成分(A)を含む第一液と、
ポリイソシアネート成分(B)を含む第二液と、
アルデヒド捕捉剤(F)と、を含み、
該アルデヒド捕捉剤(F)が、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、
該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する:
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;
mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;
mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【0017】
ウレタンフォーム形成性組成物は、触媒(C)、整泡剤(D)、および発泡剤(E)をさらに含むことが好ましい。
【0018】
<第一液>
・ポリオール成分(A)
ポリオール成分(A)は、ポリイソシアネート成分(B)と重付加してウレタンを形成するものである。ポリオール成分(A)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオール、ポリマーポリオール、鎖延長剤として機能する短分子ポリオール、ハロゲン含有ポリオール、リン含有ポリオール、フェノールベースポリオール等が挙げられる。ポリオール成分は一種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレンエーテルポリオール、ポリエチレンポリプロピレンエーテルポリオール(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)等が挙げられる。
【0020】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、重縮合型ポリエステル系ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。重縮合型ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、アジピン酸とジオールとの共重合体であるポリエステルポリオールが挙げられる。ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
【0021】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、短鎖ジオール、短鎖トリオール等と、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどの低分子カーボネートと、の脱アルコール反応や脱フェノール反応により得られるものが挙げられる。
【0022】
ポリオレフィンポリオールとしては、水酸基を2個有するポリオレフィンである。該ポリオレフィンとしては、例えば、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
【0023】
動植物ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロイン等が挙げられる。
【0024】
ポリマーポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えばブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
【0025】
鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量の多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量のアミンポリオール類、エチレンジアミン、キシレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等のポリアミン類を挙げることができる。
【0026】
ハロゲン含有ポリオールとしては、例えば、エピクロロヒドリン、トリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られるもの、多価アルコールを臭素化したものにアルキレンオキシドを付加して臭素化されたもの等が挙げられる。
【0027】
リン含有ポリオールとしては、例えば、リン酸、亜リン酸、有機リン酸等にアルキレンオキシドを付加重合したもの、ポリヒドロキシプロピルホスフィンオキシドにアルキレンオキシドを付加したものなどが挙げられる。
【0028】
フェノールベースポリオールとしては、例えばフェノールとホルマリンから得られるノボラック樹脂、レゾール樹脂に、アルキレンオキシド類を反応させたポリオール、フェノール類と、アルカノールアミンおよびホルマリンを反応したものにアルキレンオキサイド類を反応させたマンニッヒベースポリオール等が挙げられる。
【0029】
<第二液>
・ポリイソシアネート成分(B)
ポリイソシアネート成分(B)としては、例えば4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート等、ならびに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ヌレート変性体、ビュウレット変性体等)が挙げられる。これらのイソシアネート成分は一種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
<他の成分>
触媒(C)としては、公知である各種のウレタン化触媒が挙げられ、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモリホリン、N-エチルモリホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,2-ジメチルイミダゾール、ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチル-N-ヘキサノールアミン、さらにこれらの有機酸塩が挙げられる。また、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、2-ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、6―ジメチルアミノー1-ヘキサノール、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール等のヒドロキシ基を有するアミン触媒、ジラウリン酸ジブチル錫、ジオクチル酸ジブチル錫、ジアセチル酸ジブチル錫、2-エチルヘキサン錫およびナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物等も挙げられる。これらの触媒成分は一種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
整泡剤(D)としては、公知の整泡剤であるシリコーン系整泡剤、フッ素化合物系整泡剤等が挙げられ、例えば、東レ・ダウコーニング社製のSZ-1327、SZ-1325、SZ-1336、SZ-3601、モメンティブ社製のY-10366、L-540、L-3639LF2、L-5309、L-6164、L-6168、エボニック社製B-8123、B-8460、B-8462、B-8487、B-8724LF2、B-8715LF2、信越化学社製のF-122等が挙げられる。これらの整泡剤成分は一種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
発泡剤(E)としては、水、有機酸等の無機酸類、アルカリ炭酸塩類、環状カーボネート類、ジアルキルカーボネート等、ウレタン原料との反応または熱等により分解してガスを発生させるもの、ハイドロクロロフルオロオレフィン類、ハイドロフルオロオレフィン類、ハイドロフルオロカーボン類、ハロゲン系ハイドロカーボン類、ハイドロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、塩化メチレン等の低沸点ハロゲン、二酸化炭素等の気体、低温液体等、熱等によりガスを発生させるものが挙げられる。これらの発泡剤成分は一種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
<アルデヒド捕捉剤(F)>
アルデヒド捕捉剤(F)は、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する。
【0034】
【化5】
【0035】
【化6】
【0036】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表し、mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表し、mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【0037】
アルデヒド捕捉剤(F)としては、式(1)で表される化合物(以下、「シランカップリング剤」ともいう。)を担体に化学修飾(以下、「シランカップリング反応」ともいう。)して得られるものを例示することができる。
【0038】
Rは炭素数1~4のアルキル基を表し、Xは炭素数1~4のアルコキシ基を表す。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-メチルプロピル基、1-メチルプロピル基、tert-ブチル基等を例示することができる。該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、2-メチルプロピルオキシ基、1-メチルプロピルオキシ基、tert-ブトキシ基等を例示することができる。シランカップリング反応が効率的である点で、Rはメチル基であることが好ましく、Xは、メトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基であることが好ましく、mは0~1の整数であることが好ましく、m’は0であることが好ましく、nは3~9の整数であることが好ましい。複数のXは同一又は相異なっていてもよい。
【0039】
式(1)で表されるシランカップリング剤は、市販品を購入して使用してもよいが、Organic Preparations and Procedures International,1994年,26巻,111-113頁、特開平7-233132号公報、Tetrahedron Letters,2005年,46巻,7973-7975頁に記載の方法に準じて合成することも可能である。
【0040】
アミノオキシアルキル基担持担体は、アミノオキシアルキル基の一部又は全てが無機酸又は有機酸との化学的に許容される塩となっていてもよい。塩の種類としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、過塩素酸塩、ケイ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、および酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、安価である点で無機酸塩が好ましく、塩酸塩がさらに好ましい。
【0041】
アミノオキシアルキル基の担体への担持量は、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定されるものではないが、アミノオキシアルキル基が担体の質量に対し、0.01mmol/g以上10mmol/g以下の範囲であることが好ましい。
【0042】
担体としては、水に不溶性のものであれば特に制限はない。例えば、ポリスチレン、架橋ポリスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン)、ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー、セルロース、アガロース、デキストラン等の高分子量多糖類等の高分子担体;シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、活性炭、セルロース、ヒドロキシアパタイト等の無機担体:などが挙げられる。シランカップリング剤と混合する担体としては、シランカップリング反応が効率的である点で、無機担体が好ましく、シリカゲルがさらに好ましい。
【0043】
担体の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、球状(例えば、球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(例えば、平膜など)等の一般的に分離基材として使用される形状が挙げられ、これらのうち、球状、膜状、粒状、顆粒状、又は繊維状のものが好ましい。球状、粒状、又は顆粒状担体は、カラム法やバッチ法で使用する際、その使用体積を自由に設定できることから、特に好ましい。球状、粒状、又は顆粒状担体の粒子サイズとしては、通常、平均粒径0.1μm~10mmの範囲であるが、液体中での分散性がよい点で0.1μm~100μmであることが好ましい。
【0044】
担体は多孔質でもよいし、無孔質でもよい。多孔質担体の平均細孔径は、通常、0.1nm~1μmであるが、アルデヒド捕捉速度の点で0.1nm~300nmの範囲であることが好ましい。
【0045】
アミノオキシアルキル基担持担体の含有量が、ウレタンフォーム形成性組成物の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0046】
アルデヒド捕捉剤(F)は、第一液に含有されていてもよく、第二液に含有されていてもよく、いずれにも含有されず第三液に含有されていてもよい。アルデヒド捕捉剤(F)は、第一液に含有されていることが好ましい。
【0047】
アルデヒド捕捉剤(F)の含有量は、ウレタンフォーム形成性組成物の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0048】
ウレタンフォーム形成性組成物には、必要に応じて、さらに助剤として、通気性向上剤、充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤等を含有してもよく、これらの助剤を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせてもよい。
【0049】
上記したウレタンフォーム形成性組成物からウレタンフォームを得ることができる。ウレタンフォームは、ウレタンフォーム形成性組成物の発泡硬化物である。
ウレタンフォームは、軟質ウレタンフォームであってもよく、硬質ないし半硬質ウレタンフォームであってもよい。
また、ウレタンフォームは、自動車用ウレタンフォームであってもよい。
【0050】
次に、ウレタンフォームの製造方法について説明する。
本発明の一態様にかかるウレタンフォームは、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)、触媒(C)、整泡剤(D)、発泡剤(E)およびアルデヒド捕捉剤(F)の混合液を反応発泡させて製造することができる。
【0051】
ウレタンフォームの製造方法としては、例えば、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)、触媒(C)、整泡剤(D)、発泡剤(E)およびアルデヒド捕捉剤(F)の混合液の発泡原液を金型内に注入し、その後、発泡硬化させる、ウレタンモールドフォーム(以下、モールドフォーム)、および、前記混合液を、発泡用容器又は連続的にベルトコンベア上に供給して発泡するウレタンスラブフォーム(以下、スラブフォーム)が挙げられる。さらに、現場吹付け工事用のスプレー発泡機を使用してもよく、工事現場等で直接発泡することもできる。
【0052】
ポリオール成分(A)を含む第一液と、ポリイソシアネート成分(B)を含む第二液とは、発泡直前で混合することが好ましい。その他の成分は、原料の貯蔵安定性や反応性の経時変化に影響を与えない範囲でポリオール成分(A)、またはポリイソシアネート成分(B)とを予め混合することができる。アルデヒド捕捉剤(F)の混合は、アルデヒド類を効果的に低減するために、ポリイソシアネート成分(B)に比べアルデヒド含有量が多いポリオール成分(A)と混合することが好ましい。それら混合物は、混合後直ちに使用しても、貯留した後、必要量を適宜使用してもよい。混合部に2成分を超える成分を同時に導入可能な発泡装置の場合、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)、触媒(C)、整泡剤(D)、発泡剤(E)、アルデヒド捕捉剤(F)、助剤等を個別に混合部に導入することもできる。
【0053】
また、混合方法は、発泡機のマシンヘッド混合室内で混合を行うダイナミックミキシング、送液配管内で混合を行うスタティックミキシングの何れでもよく、また両者を併用してもよい。物理発泡剤等のガス状成分と液状成分との混合はスタティックミキシングで行って、液体として安定に貯留可能な成分同士の混合はダイナミックミキシングで行ってもよい。発泡装置は、混合部の溶剤洗浄が必要のない高圧発泡装置であることが好ましい。
【0054】
このような混合により得られた混合液を金型(モールド)内に吐出し、発泡硬化させ、その後脱型が行われる。上記脱型を円滑に行うため、金型に予め離型剤を塗布しておくことも好適である。離型剤としては、成形加工分野で通常用いられる離型剤が挙げられる。
【0055】
スラブフォームの製造方法としては、原料混合用として公知のローター回転式又は、高圧衝突混合式の混合ヘッドを有する多成分型の発泡機を用い、ヘッドにて全ての成分を混合した後、混合液を発泡用容器又は連続的にベルトコンベア上に供給して発泡する方法;および、バッチ式の混合槽で全ての成分を混合した後、発泡用容器にこれを流し込んで発泡する方法(バッチブロックと称することもある);が挙げられる。
【実施例0056】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0057】
以下の実施例及び比較例では、下記原料を使用した。
・ポリイソシアネート1:MDI含有率が85質量%であり、アイソマー含有率が38質量%であり、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートを含むポリイソシアネート混合物(東ソー社製、商品名:CEF-550)
・ポリイソシアネート2:MDI含有率が67質量%であり、アイソマー含有率が37質量%であり、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートを含むポリイソシアネート混合物
・ポリオール1:平均官能基数=3、水酸基価=24(mgKOH/g)、末端一級化率=84mol%、オキシエチレン単位=14.6質量%、総不飽和度0.03mFq./gのポリエチレンポリプロピレンエーテルポリオール(東ソー社製、商品名:NEF-693)
・ポリオール2:平均官能基数=3、水酸基価=24(mgKOH/g)のポリオキシエチレンポリオキシプロピオングリコール(AGC社製、商品名:EL-923)
・ポリオール3:平均官能基数=3、水酸基価=28のポリエーテルポリオール(Jurong Ningwu New Material社製、商品名:NJ-360N)
・ポリオール4:平均官能基数=3、水酸基価=240のポリエーテルポリオール(佳化化学社製、商品名:G-700)
・ポリオール5:平均官能基数=3、水酸基価=480のポリエーテルポリオール(佳化化学社製、商品名:G-300)
・ポリオール6:平均官能基数=3、水酸基価=24(mgKOH/g)、オキシエチレン単位=70質量%のポリエーテルポリオール(東ソー株式会社製、商品名:NEF-729)
・ポリオール7:1,4-ブタンジオール(三菱ケミカル社製)
・触媒1:トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液、(東ソー社製、商品名:TEDA-L33)
・触媒2:ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液、(東ソー社製、商品名:TOYOCAT-ET)
・触媒3:2-ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンを主成分とする反応性触媒(東ソー社製、商品名:RZETA)
・整泡剤1:シリコーン系整泡剤(エボニック社製、商品名:B-8715LF2)
・整泡剤2:シリコーン系整泡剤(モメンティブ社製、商品名:L-6168)
・整泡剤3:シリコーン系整泡剤(エボニック社製、商品名:B-8462)
・酸化防止剤1:酸化防止剤(BASF社製、商品名:PUR-68)
・発泡剤:市水。
・アルデヒド捕捉剤1:アミノオキシ基担持担体
・アルデヒド捕捉剤2:アルデヒド捕捉剤(東亞合成社製、商品名:ケスモンNS-750)
・アルデヒド捕捉剤3:アミノオキシ酢酸3%水溶液
【0058】
(実施例1~4、比較例1~6)
<アルデヒド捕捉剤1の合成>
シリカゲル(東ソー・シリカ製、NIPGEL BY-400)19.94gとトルエン173.4gを混合した後、窒素気流化で、化学式(1’)で示すシランカップリング剤8.08gとトルエン43.35gの混合物を滴下し、25℃で120時間撹拌した。得られた反応液を濾過し、残渣を120℃で4時間乾燥させることで、アミノオキシアルキル基を化学結合により担持させた担体(以下、「アミノオキシ基担持担体」という。)を得た。得られたアミノオキシ基担持担体を元素分析したところ、アミノオキシアルキル基が担体質量に対し1.4mmol/g含まれていた。
【0059】
【化7】
【0060】
<ポリオール組成物(第一液)の調製>
撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器を窒素置換した後、ポリオール1を70g、ポリオール2を30g、ポリオール6を0.4g、触媒1を0.53g、触媒2を0.2g、整泡剤1を1.0g、水を3.3g、アルデヒド捕捉剤1を0.22g仕込み、0.5時間攪拌させることにより、ポリオール組成物P-1を得た。その他のポリオール組成物(P-2~P-10)も、表1記載の部数の通りに各原料を仕込み、ポリオール組成物(P-1)と同様に調製した。
【0061】
<ポリイソシアネート組成物(第2液)の調製>
ポリイソシアネート1をポリイソシアネート組成物I-1、ポリイソシアネート2をポリイソシアネート組成物I-2として用いた。
【0062】
<軟質ウレタンフォームの成形(実施例1~3、比較例1および3~6)>
表1に示す組み合わせでポリオール組成物およびポリイソシアネート組成物を用い、軟質ウレタンフォームを成形した。具体的には、上記で調製したポリオール組成物、ポリイソシアネート組成物の液温をそれぞれ24℃~26℃に調整した。次いで、表1記載の配合比(ポリオール組成物100g当たりのポリイソシアネート組成物の質量)となるように、ポリオール組成物に対してポリイソシアネート組成物を所定量加えて、ミキサー(毎分7000回転)で7秒間混合後、金型内に注入し、混合液を反応発泡させた。反応発泡条件は以下のとおりとした。
【0063】
[発泡条件]
金型温度:60~65℃
金型形状:300mm×300mm×100mm
金型材質:アルミニウム
キュア時間:5分
【0064】
以上の方法で軟質ウレタンフォームを成型した後、得られた軟質ウレタンフォームの成形体(モールドフォーム)を金型より取り出した。
【0065】
<半硬質ウレタンフォームの成形(実施例4および比較例2)>
上記軟質ウレタンフォームの成形と同様に発泡混合液を調製した後、上型開放容器(250×250×250mm)に注入し、混合液を反応発泡させた。
以上の方法で半硬質ウレタンフォームを成型した後、得られた半硬質ウレタンフォームの成形体(スラブフォーム)を上型開放容器より取り出した。
【0066】
【表1】
【0067】
<アルデヒド類の測定に関して>
得られた各ウレタンフォーム成形体について、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドの揮発量を測定した。測定は、縦100mm×横70mmのスキン表面を含む厚みが80mmの直方体状の試験片を上記で成形した軟質ウレタンフォームおよび半硬質ウレタンフォームから切り出してサンプルとし、このサンプルを窒素4Lと共に10Lのサンプリングバッグ内に封入して、サンプリングバッグを65℃で2時間加熱し、専用の捕集管(DNPHカートリッジ)にバック内の揮発成分を含む窒素ガス3Lを捕集した。また、窒素ガス中に含まれるアルデヒドガスを算出するために、サンプルを含まないサンプリングバック中に窒素ガス4Lを封入し、上記の方法と同様に捕集管に捕集した。サンプルを含む窒素ガスおよびサンプルを含まない窒素ガスを捕集後、高速液体クロマトグラフィにて分析することで、アルデヒドガスの揮発量を測定し、試料片からのアルデヒド揮発量は次式により算出した。
【0068】
(試験片からのアルデヒド揮発量)=(サンプルを含む窒素ガスからのアルデヒド揮発量―サンプルを含まない窒素ガスからのアルデヒド揮発量)×4/3
【0069】
高速液体クロマトグラフィの測定条件は次の通りである。
装置として島津製作所社製LC-20Aシリーズ、カラムとして東ソー社製TSKgel ODS-80TsQAを用い、移動相としてアセトニトリル/水を使用し、移動相速度を1.0mL/minとした。カラム温度は40℃とし、検出器はUV(λ=360nm)で実施し、アルデヒド-DNPHのアセトニトリル溶液を標準試料溶液とし、検量線を作成した。結果を表1にあわせて示す。
【0070】
表1に示すように、実施例1~実施例4に係るウレタンフォーム成形体は、比較例1~比較例6のウレタンフォーム成形体に比べて、アルデヒド揮発量が少ないことがわかった。