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特開2023-84176ポリウレタン樹脂形成性組成物、成形体、及びコーティング材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084176
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ポリウレタン樹脂形成性組成物、成形体、及びコーティング材
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20230612BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20230612BHJP
   C08L 101/10 20060101ALI20230612BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20230612BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20230612BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20230612BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230612BHJP
【FI】
C08L75/04
C08G18/65 005
C08L101/10
C08K3/01
C09D175/04
C09D7/62
C09D7/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198189
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】川口 忠之
(72)【発明者】
【氏名】須藤 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓夢
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】布川 真理奈
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J002AA012
4J002AA022
4J002AB012
4J002BB032
4J002BB122
4J002BC022
4J002BC032
4J002BD052
4J002BD152
4J002BG042
4J002BG102
4J002DA016
4J002DE146
4J002DE186
4J002DE266
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002FB142
4J002FB146
4J002GC00
4J002GF00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ01
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA15
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC43
4J034DC50
4J034DF02
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF21
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG14
4J034DG23
4J034DM01
4J034DP12
4J034DP18
4J034EA12
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB07
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034MA17
4J034MA22
4J034MA24
4J034QA03
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB17
4J034RA03
4J034RA10
4J034RA12
4J034RA14
4J038BA022
4J038DG051
4J038DG061
4J038DG111
4J038DG121
4J038DG131
4J038DG181
4J038DG191
4J038DG261
4J038DG271
4J038DG281
4J038HA026
4J038HA216
4J038HA446
4J038HA556
4J038JC35
4J038KA02
4J038KA06
4J038KA15
4J038KA20
4J038NA27
4J038PB02
4J038PB05
4J038PB09
4J038PB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れたアルデヒド捕捉能を有するポリウレタン樹脂の形成に資するポリウレタン樹脂形成性組成物を提供すること、ならびに、優れたアルデヒド捕捉能を有する成形体、及びコーティング材を提供すること。
【解決手段】ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、鎖延長剤(C)と、アルデヒド捕捉剤(D)と、任意成分である有機溶剤と、任意成分である水と、を含み、前記アルデヒド捕捉剤(D)が、特定の構造を有する化合物と担体とが化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(A)と、
ポリイソシアネート(B)と、
鎖延長剤(C)と、
アルデヒド捕捉剤(D)と、
任意成分である有機溶剤と、
任意成分である水と、を含むポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記アルデヒド捕捉剤(D)が、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、
該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する、ポリウレタン樹脂形成性組成物:
【化1】
【化2】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;
mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;
mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂形成性組成物中、
前記有機溶剤の含有量が、0質量%以上90質量%以下であり、
前記水の含有量が、0質量%以上10%質量以下である、請求項1に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項3】
式中、
Rが、メチル基であり、
Xが、各々独立に、メトキシ基、エトキシ基またはイソプロポキシ基である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項4】
前記担体が、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、活性炭、セルロースまたはヒドロキシアパタイトである、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項5】
前記担体が、シリカゲルである、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項6】
前記鎖延長剤(C)が、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、メチルオクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、ジメチロールヘプタン、ポリプロピレングリコール、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、水素添加トリレンジアミン、水素添加キシレンジアミン、および水素添加テトラメチルキシレンジアミンからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物である、成形体。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物である、コーティング材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン樹脂形成性組成物、成形体、及びコーティング材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂は、衣料、家具・家電、日用雑貨、建築・土木、及び自動車部材へのコーティング材、インキ、接着剤、塗料などの樹脂成分;ならびに、フィルム、シートなどの各種成形体;等、広く使用されている。
【0003】
一方、アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド類は、生活環境における代表的な臭気物質であり、臭い閾値が極めて低いために低濃度でも不快臭の原因となる。ところが、アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の低級アルデヒドは沸点が低いため、消臭剤として汎用されるシリカゲルや活性炭等の無機系多孔質材では捕捉効率が低い。
そこで、特許文献1は、アミン等からなるアルデヒド捕捉剤とアルデヒド類とを化学反応させることによりアルデヒド類を捕捉する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-108360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にかかる方法では、捕捉効率が必ずしも十分ではなく、基材へ塗布した捕捉剤の捕捉能力が低かったり、反応基の消失などで性能が低下したりするなどの問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、優れたアルデヒド捕捉能を有するポリウレタン樹脂の形成に資するポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することに向けられている。また、本発明の他の態様は、優れたアルデヒド捕捉能を有する成形体、及びコーティング材を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
ポリオール(A)と、
ポリイソシアネート(B)と、
鎖延長剤(C)と、
アルデヒド捕捉剤(D)と、
任意成分である有機溶剤と、
任意成分である水と、を含むポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記アルデヒド捕捉剤(D)が、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、
該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する、ポリウレタン樹脂形成性組成物が提供される:
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;
mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;
mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【0011】
本発明の他の態様によれば、上記ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物である、成形体が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、上記ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物である、コーティング材が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、優れたアルデヒド捕捉能を有するポリウレタン樹脂の形成に資するポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することができる。また、本発明の他の態様によれば、優れたアルデヒド捕捉能を有する成形体、及びコーティング材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の各態様を実施するための例示的な実施形態についてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明の一態様にかかるポリウレタン樹脂形成性組成物は、
ポリオール(A)と、
ポリイソシアネート(B)と、
鎖延長剤(C)と、
アルデヒド捕捉剤(D)と、
任意成分である有機溶剤と、
任意成分である水と、を含むポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記アルデヒド捕捉剤(D)が、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、
該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する:
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;
mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;
mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【0018】
[ポリオール(A)]
ポリオール(A)としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、及びフッ素系ポリオールからなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0019】
<ポリカーボネートポリオール>
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオールの1種類以上;と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類等のカーボネートの1種類以上;と、の脱アルコール反応から得られるものが挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性、耐擦傷性、及び耐オレイン酸性を付与する観点から、1,6-ヘキサンジオールと、ジエチルカーボネートとから脱アルコール反応で得られるポリカーボネートポリオールが好ましい。
【0020】
<ポリカプロラクトンポリオール>
ポリカプロラクトンポリオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオールの1種類以上を開始剤として、ε-カプロラクトンやアルキル置換ε-カプロラクトンの何れか一方、または両方を開環付加させて得られるものが挙げられる。
【0021】
<ポリエステルポリオール>
ポリエステルポリオールの具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、α-ハイドロムコン酸、β-ハイドロムコン酸、α-ブチル-α-エチルグルタル酸、α,β-ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸またはこれらの無水物等の1種類以上;と、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分子量500以下の低分子ポリオール類の1種類以上;と、の縮重合反応から得られるものが挙げられる。また、ポリエステルポリオールは、低分子ポリオールの一部をヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等の低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールに代えて得られるポリエステル-アミドポリオールであってもよい。
【0022】
<ポリエーテルポリオール>
ポリエーテルポリオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、またはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子ポリアミン類等のような活性水素基を2個以上、好ましくは2~3個有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のようなアルキレンオキサイド類を付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオール;或いはメチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマーを開環重合することで得られるポリエーテルポリオール;が挙げられる。
【0023】
<ポリオレフィンポリオール>
ポリオレフィンポリオールは、水酸基を2個以上有するポリオレフィンである。ポリオレフィンの具体例としてはポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
【0024】
<アクリルポリオール>
アクリルポリオールとしては、アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステル〔以下(メタ)アクリル酸エステルという〕と、反応点となりうる少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有するアクリル酸ヒドロキシ化合物及び/またはメタクリル酸ヒドロキシ化合物〔以下(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物という〕と、重合開始剤と、を熱エネルギーや紫外線または電子線などの光エネルギー等を使用し、アクリルモノマーを共重合したものが挙げられる。
【0025】
・(メタ)アクリル酸エステル
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、炭素数1~20のアルキルエステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環式アルコールとのエステル;(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルは、単独であってもよく、2種類以上組み合わせたものであってもよい。
【0026】
・(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物
(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物は、ポリイソシアネート(B)との反応点となり得る少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有している。(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのアクリル酸ヒドロキシ化合物;2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどのメタクリル酸ヒドロキシ化合物が挙げられる。これらアクリル酸ヒドロキシ化合物やメタクリル酸ヒドロキシ化合物は、単独であってもよく、2種類以上組み合わせたものであってもよい。
【0027】
<シリコーンポリオール>
シリコーンポリオールの具体例としては、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを重合したビニル基含有シリコーン化合物、及び分子中に少なくとも1個の末端水酸基を有する、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシポリジフェニルシロキサン等のポリシロキサンが挙げられる。
【0028】
<ヒマシ油系ポリオール>
ヒマシ油系ポリオールの具体例としては、ヒマシ油脂肪酸とポリオールとの反応により得られる線状または分岐状ポリエステルポリオールが挙げられる。また、脱水ヒマシ油、一部分を脱水した部分脱水ヒマシ油、水素を付加させた水添ヒマシ油も挙げられる。
【0029】
<フッ素系ポリオール>
フッ素系ポリオールの具体例としては、含フッ素モノマーとヒドロキシ基を有するモノマーとを必須成分として共重合反応により得られる線状または分岐状のポリオールである。ここで、含フッ素モノマーとしては、フルオロオレフィンであることが好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロメチルトリフルオロエチレンが挙げられる。また、ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル、ヒドロキシアルキルクロトン酸ビニル等のヒドロキシル基含有カルボン酸ビニルまたはアリルエステル等のヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0030】
<コポリマーポリオール>
ポリオール(A)としては、耐久性、耐候性、柔軟性等の観点から、前記のポリカーボネートポリオールと、前記のポリカプロラクトンポリオールと、脂肪族グリコールとをエステル交換反応することにより得られるコポリマーポリオールも挙げられる。ポリカプロラクトンポリオールに対するポリカーボネートポリオールおよび脂肪族グリコールの最適な比率〔(ポリカーボネートポリオール+脂肪族グリコール)/ポリカプロラクトンポリオール〕としては、質量比で99/1~60/40であることが好ましい。このようにして得られたコポリマーポリオールは、それぞれ単独、若しくは混合物とした場合よりも耐久性、耐候性、柔軟性等の性能を高めることができる。
【0031】
・脂肪族グリコール
脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0032】
・コポリマーポリオールの製造方法
コポリマーポリオールの製造方法としては、公知の技術を用いることができる。例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及び脂肪族グリコールを配合し、窒素ガスをバブリングしながら、60℃で均一になるまで溶解させる。その後、190℃で、目的の分子量になるまでエステル交換反応を行うことでコポリマーポリオールが得られる。
【0033】
ポリオール(A)の分子量としては、数平均分子量が500以上50,000以下であることが好ましく、1,000~4,000であることがより好ましい。数平均分子量がこの範囲であると、機械物性、耐熱性がさらに向上する。
【0034】
また、ポリオール(A)は、1分子中の活性水素基数(平均官能基数)が1.9以上4.0以下であることが好ましい。この範囲であると、耐摩耗性、柔軟性、機械物性がさらに向上する。
【0035】
[ポリイソシアネート(B)]
ポリイソシアネート(B)としては、例えば、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのポリイソシアネートを原料として得られるイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレタン基含有ポリイソシアネート、アロファネート基含有ポリイソシアネート、ビュレット基含有ポリイソシアネート、ウレトイミン基含有ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0036】
<脂環族ジイソシアネート>
脂環族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0037】
<芳香族ジイソシアネート>
芳香族ジイソシアネートの具体例としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート/2,6-トリレンジイソシアネート混合物、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
【0038】
<脂肪族ジイソシアネート>
脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0039】
<芳香脂肪族ジイソシアネート>
芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,3-または1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3-または1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン等が挙げられる。
【0040】
[鎖延長剤(C)]
鎖延長剤(C)としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、メチルオクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、ジメチロールヘプタン、ポリプロピレングリコール、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、水素添加トリレンジアミン、水素添加キシレンジアミン、水素添加テトラメチルキシレンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、柔軟性や耐久性のバランスから1,4-ブタンジオールやイソホロンジアミンが好ましい。
【0041】
[アルデヒド捕捉剤(D)]
アルデヒド捕捉剤(D)は、式(1)で表される化合物と、担体と、が化学結合により結合しているアミノオキシアルキル基担持担体であり、該アミノオキシアルキル基担持担体が、式(2)で示される構造のうちいずれか1つ以上の構造を有する。
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】
【0044】
式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す;
mが2のとき、2つのRは同一又は相異なっていてもよい;
Xは、炭素数1~4のアルコキシ基を表す;
mが0又は1のとき、複数のXは同一又は相異なっていてもよい;
mは、0~2の整数を表す;
m’は、0~1の整数を表す;
nは、1~12の整数を表す。
【0045】
アルデヒド捕捉剤(D)としては、式(1)で表される化合物(以下、「シランカップリング剤」ともいう。)を担体に化学修飾(以下、「シランカップリング反応」ともいう。)して得られるものを例示することができる。
【0046】
シランカップリング剤において、Rは炭素数1~4のアルキル基を表し、Xは炭素数1~4のアルコキシ基を表す。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-メチルプロピル基、1-メチルプロピル基、tert-ブチル基等を例示することができる。該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、2-メチルプロピルオキシ基、1-メチルプロピルオキシ基、tert-ブトキシ基等を例示することができる。シランカップリング反応が効率的である点で、Rはメチル基が好ましく、Xは、各々独立に、メトキシ基、エトキシ基、またはイソプロポキシ基が好ましく、mは0~1の整数が好ましく、m’は0であることが好ましく、nは3~9の整数が好ましい。
【0047】
式(1)で表されるシランカップリング剤は、市販品を購入して使用してもよいが、Organic Preparations and Procedures International,1994年,26巻,111-113頁、特開平7-233132号公報、Tetrahedron Letters,2005年,46巻,7973-7975頁に記載の方法に準じて合成することも可能である。
【0048】
アミノオキシアルキル基担持担体は、アミノオキシアルキル基の一部または全てが無機酸または有機酸との化学的に許容される塩となっていてもよい。塩の種類としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、過塩素酸塩、ケイ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、および酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、安価である点で無機酸塩が好ましく、塩酸塩がさらに好ましい。
【0049】
アミノオキシアルキル基の担体への担持量は、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定されるものではないが、アミノオキシアルキル基が担体の質量に対し、0.01mmol/g以上10mmol/g以下の範囲であることが好ましい。
【0050】
担体としては、水に不溶性のものであれば特に制限はない。例えば、ポリスチレン、架橋ポリスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン)、ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー、セルロース、アガロース、デキストラン等の高分子量多糖類等の高分子担体;シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、活性炭、セルロース、ヒドロキシアパタイト等の無機担体;などが挙げられる。シランカップリング剤と混合する担体としては、シランカップリング反応が効率的である点で、無機担体が好ましく、シリカゲルがさらに好ましい。
【0051】
担体の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、球状(例えば、球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(例えば、平膜など)等の一般的に分離基材として使用される形状が挙げられ、これらのうち、球状、膜状、粒状、顆粒状、または繊維状のものが好ましい。球状、粒状、または顆粒状担体は、カラム法やバッチ法で使用する際、その使用体積を自由に設定できることから、特に好ましくい。球状、粒状、または顆粒状担体の粒子サイズとしては、通常、平均粒径0.1μm~10mmの範囲であるが、液体中での分散性がよい点で0.1μm~100μmであることが好ましい。
【0052】
担体は多孔質でもよいし、無孔質でもよい。多孔質担体の平均細孔径は、通常、1nm~1μmであるが、アルデヒド捕捉速度の点で1nm~300nmの範囲であることが好ましい。
【0053】
<モノアミン>
モノアミンの具体例としては、エチルアミン、モルホリン、プロピルアミン、ジブチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジブチルアミンモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン、N-t-ブチルエタノールアミン、ヒドロキシエチルピペラジン、N-(3-アミノプロピル)ジエタノールアミン、N-シクロヘキシルエタノールアミン等が挙げられ、これらは単独であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0054】
<有機溶剤>
有機溶剤の具体例としては、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル類;ジオキサン等のエーテル類;ヨウ化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミド等の極性非プロトン溶媒;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0055】
有機溶剤の含有量は、ポリウレタン樹脂形成性組成物中、0質量%以上90%以下であり、10質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以上75質量%以下であることが特に好ましい。
【0056】
<水>
水の含有量は、ポリウレタン樹脂形成性組成物中、0質量%以上10%以下であり、0質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%以上1質量%以下であることが特に好ましい。
【0057】
<他の成分>
ポリウレタン樹脂形成性組成物は、周知慣用されている他の成分を含んでいてもよい。
【0058】
[成形体、コーティング材]
本発明の他の態様にかかる成形体は、上述したポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物。
本発明のさらに他の態様にかかるコーティング材は、上述したポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物である。
成形体、コーティング材は、周知慣用されている他の材料を含んでいてもよい。
【実施例0059】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0060】
<合成例>
シリカゲル(東ソー・シリカ製、NIPGEL BY-400)19.94gとトルエン173.4gを混合した後、窒素気流化で、化学式(1’)で示すシランカップリング剤8.08gとトルエン43.35gの混合物を滴下し、25℃で120時間撹拌した。得られた反応液を濾過し、残渣を120℃で4時間乾燥させることで、アミノオキシアルキル基を化学結合により担持させた担体(以下、「アミノオキシ基担持担体」という。)を得た。得られたアミノオキシ基担持担体を元素分析したところ、アミノオキシアルキル基が担体質量に対し1.4mmol/g含まれていた。
【0061】
【化7】
【0062】
<ポリウレタン樹脂形成性組成物の合成>
【0063】
<実施例1>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ポリオール(1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2,000)を232.2gと、1,4-ブタンジオールを6.3gと、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと言う。)を350g仕込み、これらを45℃で均一に撹拌しながら窒素ガスバブリングして高分子ポリオールの溶液を調製した。この高分子ポリオール溶液に、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIという。)を46.5g仕込み、窒素気流下、70℃で4時間ウレタン化反応させた。反応終了は、赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート残基が観測されなくなったのを確認した。その後、メチルエチルケトン(以下、MEKという。)を350g仕込みとアミノオキシ基担持担体を15g仕込み、40℃で1時間混合した。このようにして、数平均分子量60,000、ウレタン樹脂を固形分として30質量%含有する樹脂溶液PU-1を得た。25℃における粘度が12,000mPa・sであった。
【0064】
<GPC:分子量の測定>
(1)測定器:HLC-8220(東ソー社製)
(2)カラム:TSKgel(東ソー社製)
・G3000H-XL
・G2500H-XL
・G2000H-XL、G1000H-XL
(3)キャリア:THF(テトラヒドロフラン)
(4)検出器:RI(屈折率)検出器
(5)温度:40℃
(6)流速:1.000ml/min
(7)検量線:標準ポリスチレン(東ソー社製)
・F-80(分子量:7.06×10、分子量分布:1.05)
・F-20(分子量:1.90×10、分子量分布:1.05)
・F-10(分子量:9.64×10、分子量分布:1.01)
・F-2(分子量:1.81×10、分子量分布:1.01)
・F-1(分子量:1.02×10、分子量分布:1.02)
・A-5000(分子量:5.97×10、分子量分布:1.02)
・A-2500(分子量:2.63×10、分子量分布:1.05)
・A-500(分子量:5.0×10、分子量分布:1.14)
(8)サンプル溶液濃度:0.5%THF溶液
【0065】
<実施例2>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ポリオール1(1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2,000)を215.2gと、DMFを350gと、MEKを350g仕込み、これらを45℃で均一に撹拌しながら窒素ガスバブリングして高分子ポリオールの溶液を調製した。この高分子ポリオール溶液に、イソホロンジイソシアネート(エボニック社製、NCO含有量:37.8質量%、以下、IPDIと言う。)を50.6g仕込み、窒素気流下、75℃で3時間ウレタン化反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含有量は1.0質量%であった。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液にイソホロンジアミン(以下、IPDAという。)を16.2g窒素気流下、40℃で4時間にわたり鎖延長反応させ、モノエタノールアミン(以下、MEAと言う。)を3g仕込み、窒素気流下、40℃で2時間にわたりイソシアネート基の封止反応を行った。反応終了は、赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート残基が観測されなくなったのを確認した。その後、アミノオキシ基担持担体を15g仕込み、40℃で1時間混合した。このようにして、数平均分子量75,000、ウレタン樹脂を固形分として30質量%含有する樹脂溶液PU-2を得た。25℃における粘度が14,000mPa・sであった。
【0066】
<実施例3>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ポリオール1(1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2,000)を203.9gと、DMFを350gと、MEKを350g仕込み、これらを45℃で均一に撹拌しながら窒素ガスバブリングして高分子ポリオールの溶液を調製した。この高分子ポリオール溶液に、IPDIを47.9g仕込み、窒素気流下、75℃で3時間ウレタン化反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含有量は1.0質量%であった。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液にIPDAを15.4g窒素気流下、40℃で4時間にわたり鎖延長反応させ、MEAを2.8g仕込み、窒素気流下、40℃で2時間にわたりイソシアネート基の封止反応を行った。反応終了は、赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート残基が観測されなくなったのを確認した。その後、アミノオキシ基担持担体を30g仕込み、40℃で1時間混合した。このようにして、数平均分子量74,000、ウレタン樹脂を固形分として30質量%含有する樹脂溶液PU-3を得た。25℃における粘度が17,000mPa・sであった。
【0067】
<比較例1>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ポリオール1(1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2,000)を226.5gと、DMFを350gと、MEKを350g仕込み、これらを45℃で均一に撹拌しながら窒素ガスバブリングして高分子ポリオールの溶液を調製した。この高分子ポリオール溶液に、IPDIを53.3g仕込み、窒素気流下、75℃で3時間ウレタン化反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含有量は1.1質量%であった。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液にIPDAを17.1g窒素気流下、40℃で4時間にわたり鎖延長反応させ、MEAを3g仕込み、窒素気流下、40℃で2時間にわたりイソシアネート基の封止反応を行った。反応終了は、赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート残基が観測されなくなったのを確認した。このようにして、数平均分子量73,000、ウレタン樹脂を固形分として30質量%含有する樹脂溶液PU-4を得た。25℃における粘度が13,000mPa・sであった。
【0068】
<比較例2>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ポリオール1(1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2,000)を215.2gと、DMFを350gと、MEKを350g仕込み、これらを45℃で均一に撹拌しながら窒素ガスバブリングして高分子ポリオールの溶液を調製した。この高分子ポリオール溶液に、IPDIを50.6g仕込み、窒素気流下、75℃で3時間ウレタン化反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含有量は1.0質量%であった。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液にIPDAを16.2g窒素気流下、40℃で4時間にわたり鎖延長反応させ、MEAを3g仕込み、窒素気流下、40℃で2時間にわたりイソシアネート基の封止反応を行った。反応終了は、赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート残基が観測されなくなったのを確認した。その後、ケスモンNS-750を15g仕込み、40℃で1時間混合した。このようにして、数平均分子量75,000、ウレタン樹脂を固形分として30質量%含有する樹脂溶液PU-5を得た。25℃における粘度が15,000mPa・sであった。
なお、ケスモンNS-750は、東亞合成株式会社製のアミノ基担持型無機系アルデヒド捕捉剤である。
【0069】
<比較例3>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ポリオール1(1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2,000)を215.2gと、DMFを350gと、MEKを350g仕込み、これらを45℃で均一に撹拌しながら窒素ガスバブリングして高分子ポリオールの溶液を調製した。この高分子ポリオール溶液に、IPDIを50.6g仕込み、窒素気流下、75℃で3時間ウレタン化反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含有量は1.0質量%であった。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液にIPDAを16.2g窒素気流下、40℃で4時間にわたり鎖延長反応させ、MEAを3g仕込み、窒素気流下、40℃で2時間にわたりイソシアネート基の封止反応を行った。反応終了は、赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート残基が観測されなくなったのを確認した。その後、アミノオキシ酢酸3%水溶液を15g仕込み、40℃で1時間混合した。このようにして、数平均分子量75,000、ウレタン樹脂を固形分として30質量%含有する樹脂溶液PU-6を得た。25℃における粘度が13,000mPa・sであった。
【0070】
PU-1~PU-6に使用した原料の配合量と性状、フィルム特性、アルデヒド捕捉率能を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に用いられている略記号は以下の通り。
MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
ポリオール:1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2,000
MEA:モノエタノールアミン
IPDA:イソホロンジアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
MEK:メチルエチルケトン
NS-750:ケスモンNS-750、東亞合成社製
【0073】
評価試験1:
<引張特性>
剥離紙上にPU-1~PU-6の樹脂形成性組成物を100μm厚になるようにキャストし、常温で30分間静置後、温度60℃の乾燥機中で2時間、120℃で2時間加熱処理を行い、続いて温度23℃、相対湿度50%の環境下で7日間養生を行うことで試験片を作製した。得られた試験片は、JIS K6251に準拠して引張特性を測定した。評価結果を表1にあわせて示す。
・試験装置:テンシロンUTA-500(エー・アンド・デー社製)
・測定条件:25℃×50%RH
・ヘッドスピード:200mm/分
・ダンベル:4号
・フィルム引張物性試験
100%モジュラス:伸び100%時の引張応力
破断時引張強度:試験片の破断時までの最大応力
破断時伸び:試験片破断時の標線間距離の伸長倍率
【0074】
評価試験2:
<アセトアルデヒド捕捉率能試験>
評価試験1と同様に作製した試験片(フィルム膜厚60μm)を5cm×5cmの大きさにカットして5Lのテドラーバッグに封入した後、アセトアルデヒド濃度が1ppmの窒素ガス1Lを加えた。室温で96時間静置後、テドラーバッグ内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(富士フイルム和光純薬株式会社製、プレセップ-C DNPH)に吸着させた。このカートリッジをアセトニトリルで処理し、DNPH-アルデヒド縮合体を溶出させた。続いて、溶出液を液体クロマトグラフ(島津製作所社製、LC-2030C Plus)を用いてアセトアルデヒド残存濃度を定量した。評価結果を表1にあわせて示す。
【0075】
表1に示すように、実施例1~実施例3に係るコーティング材は、アルデヒド捕捉率で優れていることがわかった。一方、比較例1~比較例3のコーティング材は、アルデヒド捕捉率に劣るものであった。