(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084205
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】端子配置台及び端子配置方法
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
H01R9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198239
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】良島 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】武田 伸弥
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 雄基
(72)【発明者】
【氏名】安田 光利
(72)【発明者】
【氏名】金井 万里
(72)【発明者】
【氏名】植田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】興梠 樹美人
(72)【発明者】
【氏名】平松 尚也
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086CC50
5E086DD32
5E086LL10
5E086LL13
5E086LL17
(57)【要約】
【課題】電線付きの端子を容易に整列可能な端子配置台を提供する。
【解決手段】端子配置台1は、配置面10と、本体部20と、ポンプ接続部と、を備える。配置面10は、複数の電線71付きの端子70を整列して配置する面である。配置面10には、1つの端子70に対して複数の吸着孔11が形成されている。本体部20は、吸着孔11に接続される負圧経路が内部に形成されている。ポンプ接続部は、負圧経路に接続されており、負圧経路に負圧を発生させる吸引ポンプを接続可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線付きの端子を整列して配置する面であり、1つの端子に対して複数の吸着孔が形成されている配置面と、
前記吸着孔に接続される負圧経路が内部に形成されている本体部と、
前記負圧経路に接続されており、当該負圧経路に負圧を発生させる吸引ポンプを接続可能なポンプ接続部と、
を備えることを特徴とする端子配置台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子配置台であって、
外部に接続された開放口が形成された開放バルブを備え、
前記開放バルブは、操作部を有しており、操作部が操作されることにより、前記開放口と前記負圧経路が接続された状態と、前記開放口と前記負圧経路の間が閉鎖された状態と、を切り替えることを特徴とする端子配置台。
【請求項3】
請求項2に記載の端子配置台であって、
前記負圧経路は、複数の前記端子のそれぞれに対応して形成された個別経路と、複数の前記個別経路が合流して前記ポンプ接続部に繋がる共通経路と、を有しており、
前記個別経路毎に前記開放バルブが設けられていることを特徴とする端子配置台。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の端子配置台であって、
閉鎖部材を備え、
前記負圧経路は、前記吸着孔から前記ポンプ接続部までの経路である吸着経路を有し、
前記吸引ポンプが負圧を発生させることにより、前記閉鎖部材は、前記吸着経路の閉鎖を解除し、
前記吸引ポンプが負圧の発生を停止させることにより、前記閉鎖部材は、前記吸着経路を閉鎖することを特徴とする端子配置台。
【請求項5】
請求項4に記載の端子配置台であって、
前記負圧経路は、複数の前記端子のそれぞれに対応して形成された個別経路と、複数の前記個別経路が合流して前記ポンプ接続部に繋がる共通経路と、を有しており、
前記個別経路毎に前記閉鎖部材が設けられていることを特徴とする端子配置台。
【請求項6】
請求項5に記載の端子配置台であって、
外部に接続された開放口が形成された開放バルブを備え、
前記開放バルブは、操作部を有しており、操作部が操作されることにより、前記開放口と前記負圧経路が接続された状態と、前記開放口と前記負圧経路の間が閉鎖された状態と、を切り替え、
前記個別経路の長手方向において、前記吸着孔を挟んだ一側に前記閉鎖部材が配置され、他側に前記開放バルブが配置されることを特徴とする端子配置台。
【請求項7】
請求項3又は5に記載の端子配置台であって、
前記共通経路の長手方向端部に前記ポンプ接続部が形成されていることを特徴とする端子配置台。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の端子配置台であって、
前記配置面のうち前記吸着孔の縁部に配置され、当該配置面から外側に突出しているシール部材を備えることを特徴とする端子配置台。
【請求項9】
端子配置台に複数の電線付きの端子を整列して配置する端子配置方法において、
1つの前記端子に対して複数の吸着孔が形成されている配置面に前記端子を整列する準備工程と、
前記吸着孔に接続される負圧経路に負圧を発生させて前記端子を前記配置面に吸着させる吸着工程と、
を含むことを特徴とする端子配置方法。
【請求項10】
請求項9に記載の端子配置方法であって、
前記吸着工程の後に、整列された複数の前記端子を撮影する撮影工程を行うことを特徴とする端子配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、端子を整列して配置するための端子配置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線付きの端子に対して耐久試験を行った後において、複数の端子を整列して端子の状態を目視で検査したり、撮影して記録したりすることがある。従来は、電線付きの端子を手作業で整列していた。
【0003】
また、特許文献1は、平板状のワークを吸着して保持する吸着保持装置を開示する。吸着保持装置は、吸着ステージを備える。吸着ステージには、吸引孔が形成されている。吸引孔は、吸気路を介して吸気バルブに接続されている。吸気バルブにより吸気路を負圧にすることにより、吸着ステージに吸引力が発生する。これにより、吸着ステージに置かれたワークを吸着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、複数の端子を手作業で揃える作業は、作業者にとって手間が掛かることがある。例えば、電線が屈曲して戻らない場合や、端子が小さい場合は、端子の整列に手間が掛かり易い。それ以外にも様々な要因で作業者にとって手間が掛かることがある。そのため、この手間を解消できる装置又は方法が要望されていた。なお、特許文献1は、平板状のワークを保持する構成を開示するにとどまり、電線付きの端子を保持する構成は開示していない。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、電線付きの端子を容易に整列可能な端子配置台を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の端子配置台が提供される。即ち、端子配置台は、配置面と、本体部と、ポンプ接続部と、を備える。前記配置面は、複数の電線付きの端子を整列して配置する面であり、1つの端子に対して複数の吸着孔が形成されている。前記本体部は、前記吸着孔に接続される負圧経路が内部に形成されている。前記ポンプ接続部は、前記負圧経路に接続されており、当該負圧経路に負圧を発生させる吸引ポンプを接続可能である。
【0009】
これにより、吸引ポンプが発生させた負圧を用いて、複数の端子を吸着孔で吸着して保持できる。そのため、簡単な作業で複数の端子を整列して、撮影又は目視検査等を行うことができる。
【0010】
前記の端子配置台においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、端子配置台は、外部に接続された開放口が形成された開放バルブを備える。前記開放バルブは、操作部を有しており、操作部が操作されることにより、前記開放口と前記負圧経路が接続された状態と、前記開放口と前記負圧経路の間が閉鎖された状態と、を切り替える。
【0011】
吸引ポンプが負圧経路に負圧を発生させている間に開放バルブの操作部を操作することにより、負圧経路の圧力を外部圧(大気圧)に近づけることができる。そのため、端子の吸着を一時的に弱くすることができるので、端子の位置の修正等を容易に行うことができる。
【0012】
前記の端子配置台においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記負圧経路は、複数の前記端子のそれぞれに対応して形成された個別経路と、複数の前記個別経路が合流して前記ポンプ接続部に繋がる共通経路と、を有している。前記個別経路毎に前記開放バルブが設けられている。
【0013】
これにより、端子毎に吸着を弱くさせることができるので、位置ズレした端子に対する吸着力のみを弱くして、端子の位置の修正等を行うことができる。
【0014】
前記の端子配置台においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、端子配置台は、閉鎖部材を備える。前記負圧経路は、前記吸着孔から前記ポンプ接続部までの経路である吸着経路を有する。前記吸引ポンプが負圧を発生させることにより、前記閉鎖部材は、前記吸着経路の閉鎖を解除する。前記吸引ポンプが負圧の発生を停止させることにより、前記閉鎖部材は、前記吸着経路を閉鎖する。
【0015】
これにより、吸引ポンプが負圧を発生させている間は負圧を用いて端子を吸着できる。その後、吸引ポンプが負圧の発生を停止させた状況においても、吸着経路が閉鎖されるので吸着経路の負圧を維持して、端子の吸着を継続できる。
【0016】
前記の端子配置台においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記負圧経路は、複数の前記端子のそれぞれに対応して形成された個別経路と、複数の前記個別経路が合流して前記ポンプ接続部に繋がる共通経路と、を有している。前記個別経路毎に前記閉鎖部材が設けられている。
【0017】
これにより、個別経路毎に負圧を維持させることができる。
【0018】
前記の端子配置台においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、端子配置台は、外部に接続された開放口が形成された開放バルブを備える。前記開放バルブは、操作部を有しており、操作部が操作されることにより、前記開放口と前記負圧経路が接続された状態と、前記開放口と前記負圧経路の間が閉鎖された状態と、を切り替える。前記個別経路の長手方向において、前記吸着孔を挟んだ一側に前記閉鎖部材が配置され、他側に前記開放バルブが配置される。
【0019】
これにより、必要部材を一列に整列することができるのでコンパクトな構成を実現できる。
【0020】
前記の端子配置台においては、前記共通経路の長手方向端部に前記ポンプ接続部が形成されていることが好ましい。
【0021】
端子配置台の内部構造を単純化できるので製造が容易になる。
【0022】
前記の端子配置台においては、前記配置面のうち前記吸着孔の縁部に配置され、当該配置面から外側に突出しているシール部材を備えることが好ましい。
【0023】
これにより、端子と吸着孔の隙間を小さくすることができるので、端子を吸着する吸着力を高くすることができる。
【0024】
本発明の第2の観点によれば、以下の端子配置方法が提供される。即ち、端子配置台に複数の電線付き端子を整列して配置する。端子配置方法は、準備工程と、吸着工程と、を含む。前記準備工程では、1つの前記端子に対して複数の吸着孔が形成されている配置面に前記端子を整列する。前記吸着工程では、前記吸着孔に接続される負圧経路に負圧を発生させて前記端子を前記配置面に吸着させる。
【0025】
これにより、吸引ポンプが発生させた負圧を用いて、複数の端子を吸着孔で吸着して保持できる。そのため、簡単な作業で複数の端子を整列して、撮影又は目視検査等を行うことができる。
【0026】
前記の端子配置方法においては、前記吸着工程の後に、整列された複数の前記端子を撮影する撮影工程を行うことが好ましい。
【0027】
これにより、適切に整列された端子を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る端子配置台の斜視図。
【
図3】端子配置台に端子を配置して吸着させる処理を段階的に示す断面図。
【
図4】端子配置台の端子の位置の調整、撮影、及び吸着を解除する処理を段階的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1から
図3を参照して、端子配置台1の構成について説明する。
【0030】
端子配置台1は、複数の端子70を整列した状態で保持する装置である。端子70は電線71の長手方向の端部に設けられており、他の端子又はコネクタに機械的及び電気的に接続されて、電力又は電気信号を伝達する。
【0031】
端子配置台1は、例えば端子70の耐久試験後に用いられる。作業者は、端子70を端子配置台1に整列させて、端子70を撮影する。なお、端子配置台1の用途はこれに限られない。例えば、耐久試験の記録以外を目的とした端子70の撮影台として端子配置台1を用いることもできる。あるいは、端子70を目視検査する際に端子70を配置する台として端子配置台1を用いることもできる。
【0032】
図1及び
図2に示すように、端子配置台1は、配置面10と、本体部20と、閉鎖部材30と、ポンプ接続部25と、開放バルブ50と、を備える。
【0033】
配置面10は、端子配置台1の上面に位置する平面である。配置面10には、複数の端子70が整列して配置されている。端子70の整列方向は、平面視で電線長手方向に垂直な方向である。本実施形態の配置面10には、4つの端子70を整列可能であるが、配置面10に配置可能な端子70の個数はこれに限られない。
【0034】
配置面10には、吸着孔11が形成されている。後述する吸引パイプが発生させた負圧により、吸着孔11に端子70を吸着させて保持することができる。配置面10には、1つの端子70に対して、1組の吸着孔11(本実施形態では2つの吸着孔11)が形成されている。これにより、1組の吸着孔11の配列方向と、端子70の長手方向と、が一致するように端子70が配置面10に保持される。更に、1組の吸着孔11は、平面視で電線長手方向に垂直な方向に並べて形成されている。これにより、複数の端子70を同じ向きで整列させることができる。なお、本実施形態の吸着孔11は円形であるが、それ以外の形状であってもよい。
【0035】
配置面10には、シール部材12が配置されている。シール部材12は、例えばウレタン等の軟質性樹脂であり、容易に変形可能である。シール部材12は、吸着孔11の縁部に配置されている。シール部材12は、配置面10から外側に突出している。吸着孔11に端子70が吸着されることにより、端子70がシール部材12を押圧してシール部材12が変形する。これにより、端子70と吸着孔11の間に隙間が生じにくいので、空気漏れを軽減できる。これにより、例えば端子70の下面の平坦度が低い場合であっても、端子70を吸着できる。
【0036】
本体部20は、ブロック状の部分である。本実施形態の本体部20は直方体であり、その一面が配置面10である。なお、本体部20は直方体に限られず、他の立体形状であってもよい。本体部20は、金属製である。本体部20は、ブロック状の金属を切削して孔等を形成することにより製造される。ただし、この製造方法は一例であり、本体部20は、例えば、複数の部材を組み付けて製造されてもよい。
【0037】
図2及び
図3に示すように、本体部20には、負圧経路21が形成されている。負圧経路21は、吸着孔11に接続された経路である。また、負圧経路21には、吸引ポンプ60により負圧を発生させることができる。負圧経路21は、吸着経路21aと、開放経路21dと、を含む。
【0038】
吸着経路21aは、端子70を吸着させるための経路である。具体的には、吸着経路21aは、吸着孔11から、吸引ポンプ60に接続されるポンプ接続部25までの経路である。また、吸着経路21aは、個別経路21bの一部と、共通経路21cと、を含む。
【0039】
個別経路21bは、複数の端子70のそれぞれに対応して形成された経路である。配置面10に端子70が配置された状態において、個別経路21bの長手方向は、端子70の長手方向(言い換えれば1組の吸着孔11の配列方向)と同じである。共通経路21cは、複数の個別経路21bが合流する経路である。吸着孔11を上流端としてポンプ接続部25を下流端とした場合、個別経路21bの下流側に共通経路21cが形成されている。
【0040】
本実施形態では、平面視において、個別経路21bの長手方向と、共通経路21cの長手方向と、は垂直である。更に、共通経路21cの長手方向の端部には、ポンプ接続部25が接続されている。これにより、本体部20に形成する孔の数を少なくすることができるので、本体部20の製造が容易となる。なお、本実施形態の構成に代えて、共通経路21cの中途部に接続する孔を別途形成して、この孔を用いてポンプ接続部25を設けてもよい。
【0041】
ポンプ接続部25は、吸引ポンプ60を接続するための部分である。本実施形態の吸引ポンプ60は、接続金具61と、吸引ホース62と、ポンプ本体63と、を備える。ポンプ接続部25は、接続金具61を取付可能なネジ溝が形成された開口部である。接続金具61には、吸引ホース62を介してポンプ本体63が接続される。なお、ポンプ接続部25は、吸引ポンプ60を接続可能であれば、本実施形態とは異なる構成であってもよい。
【0042】
吸引ポンプ60を作動させることにより、吸引ホース62を介して、負圧経路21の空気が吸引される。これにより、吸着経路21aに負圧を発生させることができる。本実施形態において負圧とは、端子配置台1が配置される環境の気体の圧力(通常は大気圧)よりも低い圧力が生じている状態である。
【0043】
個別経路21bには、閉鎖部材30とバネ31が配置されている。閉鎖部材30は、吸着経路21a(詳細には個別経路21b)を閉鎖可能である。具体的には、吸引ポンプ60が作動していない状況(吸着経路21aの全体が大気圧下である状況)では、バネ31が閉鎖部材30を押圧することにより、閉鎖部材30が吸着経路21aに押し付けられることにより、吸着経路21aが閉鎖される。一方、吸引ポンプ60が作動している状況では、閉鎖部材30は、バネ31の付勢力とは逆方向の吸引力を受ける。その結果、閉鎖部材30が押し戻されて、吸着経路21aの閉鎖が解除される。この構成により、吸引ポンプ60を作動させた後に吸引ポンプ60を停止させた状況では、閉鎖された吸着経路21aで負圧が維持されるので、吸着力を持続させることができる。
【0044】
開放経路21dは、複数の端子70のそれぞれに対応して形成された経路である。開放経路21dは、吸着孔11を挟んで個別経路21bとは反対側に形成されている。開放経路21dには、後述する開放バルブ50が取り付けられている。即ち、吸着孔11を挟んで一側(
図2の左側に)閉鎖部材30が配置され、その他側(
図2の右側)に開放バルブ50が配置されている。
【0045】
開放バルブ50は、操作部51と、バルブ経路52と、開放口53と、弁体54と、バネ55と、を備える。開放バルブ50は、本体部20の開放経路21dに取り付けられている。例えば、開放経路21dの端部にネジ溝が形成されており、開放バルブ50の外周面にネジ突起が形成されており、ネジ突起とネジ溝を用いて、開放バルブ50が本体部20に取り付けられている。
【0046】
開放バルブ50に形成されたバルブ経路52は、開放経路21dと接続されている。バルブ経路52の外側の端部には開放口53が形成されている。バルブ経路52の中途部には、弁体54が形成されている。弁体54がバルブ経路52を閉鎖することにより、負圧経路21と開放口53の間が閉鎖される。これにより、負圧経路21に生じている負圧が維持される。また、弁体54がバルブ経路52の閉鎖を解除することにより、負圧経路21と開放口53が接続される。これにより、負圧経路21に負圧が生じている場合において、負圧を逃がすことができる。
【0047】
弁体54には、操作部51とバネ55が取り付けられている。バネ55は、弁体54をバルブ経路52の内壁面に向けて押圧する。これにより、バルブ経路52が閉鎖される。また、作業者は、バネ55の付勢力と反対方向に操作部51を押圧することにより、弁体54をバルブ経路52の内壁面から離間させることができる。その結果、バルブ経路52の閉鎖が解除される。
【0048】
上述したように、開放バルブ50は、個別経路21b毎に設けられているので、作業者は、端子70毎に負圧を逃がして、端子70の保持を解除する(又は弱める)ことができる。
【0049】
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施形態の端子配置方法の流れを説明する。
【0050】
初めに、作業者は、耐久試験が完了した複数の端子70を準備する(準備工程)。この段階では、作業者は、端子70を吸着孔11の上に仮置きしてもよいし、仮置きを省略してもよい。
【0051】
次に、作業者は、吸引ポンプ60を作動させて端子70を吸着させる(吸着工程)。吸引ポンプ60を作動させる直前において、閉鎖部材30は吸着経路21a(詳細には個別経路21b)を閉鎖している。吸引ポンプ60が作動することにより、吸着経路21aの一部に負圧が生じることで、閉鎖部材30がバネ31の付勢力に抗して移動し、吸着経路21aの閉鎖が解除される。その結果、負圧による吸着力を発生させることができる。その状態において、作業者は、端子70を配置面10に整列する。端子70が吸着されて保持されるため、配置面10配置した端子70の位置が維持される。従って、例えば電線71が屈曲して戻らない状況であったり、端子70が軽くて位置ズレが生じ易い状況であったとしても、配置済みの端子70の位置ズレが生じにくい。
【0052】
なお、作業者は、端子70を誤った吸着孔11に吸着させたり、端子70を誤った向きで吸着孔11に吸着させた場合、端子70の位置調整を行う。具体的には、作業者は、位置調整を希望する端子70に対応する開放バルブ50の操作部51を押圧する。操作部51を押圧している間は、開放口53から空気が負圧経路21に流入するため、吸着力を無くす又は低下させることができる。作業者は、端子70の位置調整が完了した後に操作部51の押圧を解除する。これにより、再び端子70に吸着力を作用させることができる。
【0053】
本実施形態では、開放バルブ50が個別経路21b毎(言い換えれば端子70毎)に設けられている。そのため、他の端子70を吸着させた状態を維持しつつ、対象の端子70の位置調整を行うことができる。なお、開放バルブ50が個別経路21b毎に設けられるのは一例であり、例えば複数の個別経路21bに対して、1つの開放バルブ50が設けられてもよい。あるいは、共通経路21cに対して1つの開放バルブ50が設けられてもよい。
【0054】
作業者は、全ての端子70の整列が完了した後に、吸引ポンプ60の作動を停止させる。これにより、閉鎖部材30に作用していた吸引力がなくなるため、バネ31に押圧されて閉鎖部材30が移動し、閉鎖部材30が吸着経路21aを閉鎖する。これにより、吸着孔11に接続される吸着経路21aが密閉されるため、吸引ポンプ60の作動を停止させても、負圧による吸引力を維持できる。
【0055】
次に、作業者は、カメラ80を用いて端子70を撮影する(撮影工程)。上述したように、端子70は端子配置台1によって保持されているため、端子70が適切に整列された状態で撮影を行うことができる。作業者は、撮影後に全ての開放バルブ50の操作部51を押圧して、端子70の保持を解除する。その後、作業者は、端子配置台1から端子70を取り外す。これで、耐久試験後の端子70を記録する処理が完了する。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の端子配置台1は、配置面10と、本体部20と、ポンプ接続部25と、を備える。配置面10は、複数の電線71付きの端子70を整列して配置する面である。配置面10には、1つの端子70に対して複数の吸着孔11が形成されている。本体部20は、吸着孔11に接続される負圧経路21が内部に形成されている。ポンプ接続部25は、負圧経路21に接続されており、負圧経路21に負圧を発生させる吸引ポンプ60を接続可能である。
【0057】
これにより、吸引ポンプ60が発生させた負圧を用いて、複数の端子70を吸着孔11で吸着して保持できる。そのため、簡単な作業で複数の端子70を整列して、撮影又は目視検査等を行うことができる。
【0058】
本実施形態の端子配置台1は、外部に接続された開放口53が形成された開放バルブ50を備える。開放バルブ50は、操作部51を有しており、操作部51が操作されることにより、開放口53と負圧経路21が接続された状態と、開放口53と負圧経路21の間が閉鎖された状態と、を切り替える。
【0059】
吸引ポンプ60が負圧経路21に負圧を発生させている間に開放バルブ50の操作部51を操作することにより、負圧経路21の圧力を外部圧(大気圧)に近づけることができる。そのため、端子70の吸着を一時的に弱くすることができるので、端子70の位置の修正等を容易に行うことができる。
【0060】
本実施形態の端子配置台1において、負圧経路21は、複数の端子70のそれぞれに対応して形成された個別経路21bと、複数の個別経路21bが合流してポンプ接続部25に繋がる共通経路21cと、を有している。個別経路21b毎に開放バルブ50が設けられている。
【0061】
これにより、端子70毎に吸着を弱くさせることができるので、位置ズレした端子70に対する吸着力のみを弱くして、端子70の位置の修正等を行うことができる。
【0062】
本実施形態の端子配置台1は、閉鎖部材30を備える。負圧経路21は、吸着孔11からポンプ接続部25までの経路である吸着経路21aを有する。吸引ポンプ60が負圧を発生させることにより、閉鎖部材30は、吸着経路21aの閉鎖を解除する。吸引ポンプ60が負圧の発生を停止させることにより、閉鎖部材30は、吸着経路21aを閉鎖する。
【0063】
これにより、吸引ポンプ60が負圧を発生させている間は負圧を用いて端子70を吸着できる。その後、吸引ポンプ60が負圧の発生を停止させた状況においても、吸着経路21aが閉鎖されるので吸着経路21aの負圧を維持して、端子70の吸着を継続できる。
【0064】
本実施形態の端子配置台1において、負圧経路21は、複数の端子70のそれぞれに対応して形成された個別経路21bと、複数の個別経路21bが合流してポンプ接続部25に繋がる共通経路21cと、を有している。個別経路21b毎に閉鎖部材30が設けられている。
【0065】
これにより、個別経路21b毎に負圧を維持させることができる。
【0066】
本実施形態の端子配置台1では、個別経路21bの長手方向において、吸着孔11を挟んだ一側に閉鎖部材30が配置され、他側に開放バルブ50が配置される。
【0067】
これにより、必要部材を一列に整列することができるのでコンパクトな構成を実現できる。
【0068】
本実施形態の端子配置台1において、共通経路21cの長手方向端部にポンプ接続部25が形成されている。
【0069】
端子配置台1の内部構造を単純化できるので製造が容易になる。
【0070】
本実施形態の端子配置台1において、配置面10のうち吸着孔11の縁部に配置され、配置面10から外側に突出しているシール部材12を備える。
【0071】
これにより、端子70と吸着孔11の隙間を小さくすることができるので、端子70を吸着する吸着力を高くすることができる。
【0072】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0073】
上記実施形態の端子配置台1は、電線71付きの端子70のうち端子70のみを吸着する。これに代えて、端子70に加えて電線71を吸着してもよい。
【0074】
上記実施形態の吸着経路21aは、個別経路21bと、共通経路21cと、を含む。これに代えて、吸着経路21aが共通経路21cのみで構成されていてもよい。例えば、本実施形態の個別経路21bが形成されている位置に、幅広状の共通経路21cを形成する。幅広状の共通経路21cには、複数の端子70に対応する吸着孔11がそれぞれ接続される。
【符号の説明】
【0075】
1 端子配置台
10 配置面
11 吸着孔
20 本体部
21 負圧経路
21a 吸着経路
21b 個別経路
21c 共通経路
21d 開放経路
30 閉鎖部材
50 開放バルブ
60 吸引ポンプ
70 端子