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特開2023-84292除去装置、基板処理装置および除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084292
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】除去装置、基板処理装置および除去方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/306 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198381
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 倫太郎
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA35
5F043BB23
5F043EE12
5F043EE22
5F043EE23
5F043EE28
5F043EE33
5F043EE35
5F043EE36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】処理液からケイ酸化合物を効率よく除去する除去装置、基板処理装置及び除去方法を提供する。
【解決手段】基板処理システムにおいて、除去装置3は、ケイ酸捕捉部34と、導入部32と、排出部35と、を備える。ケイ酸捕捉部34は、基板処理に用いられた使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物を捕捉する。導入部32は、ケイ酸捕捉部に使用済みの処理液を導入する。排出部35は、ケイ酸捕捉部で処理された使用済みの処理液を排出する。また、ケイ酸捕捉部34は、多孔質部材51と、pH調整機構52と、を有する。多孔質部材は、使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物が通過可能な孔径を有する。pH調整機構は、多孔質部材に接触する使用済みの処理液のpH値を上昇させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理に用いられた使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物を捕捉するケイ酸捕捉部と、
前記ケイ酸捕捉部に前記使用済みの処理液を導入する導入部と、
前記ケイ酸捕捉部で処理された前記使用済みの処理液を排出する排出部と、
を備え、
前記ケイ酸捕捉部は、
前記使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物が通過可能な孔径を有する多孔質部材と、
前記多孔質部材に接触する前記使用済みの処理液のpH値を上昇させるpH調整機構と、
を有する除去装置。
【請求項2】
前記pH調整機構は、
前記多孔質部材に接触する電極と、
前記電極に負電圧を印加する電源と、
を有する
請求項1に記載の除去装置。
【請求項3】
各部を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記ケイ酸捕捉部への前記使用済みの処理液の通流を維持しながら、前記電極にパルス状の負電圧を印加する
請求項2に記載の除去装置。
【請求項4】
前記多孔質部材は、導電性材料で構成される
請求項1~3のいずれか一つに記載の除去装置。
【請求項5】
前記多孔質部材は、前記使用済みの処理液が通流する配管の内壁に沿って配置される
請求項1~4のいずれか一つに記載の除去装置。
【請求項6】
前記多孔質部材は、前記使用済みの処理液が通流する配管の内部で交差するように配置される
請求項1~4のいずれか一つに記載の除去装置。
【請求項7】
前記ケイ酸捕捉部は、ケイ酸化合物を選択的に吸着する吸着剤を有する
請求項1~6のいずれか一つに記載の除去装置。
【請求項8】
基板処理に用いられた使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物を捕捉するケイ酸捕捉部と、
前記ケイ酸捕捉部に前記使用済みの処理液を導入する導入部と、
前記ケイ酸捕捉部で処理された前記使用済みの処理液を排出する排出部と、
を備え、
前記ケイ酸捕捉部は、ケイ酸化合物を選択的に吸着する吸着剤を有する
除去装置。
【請求項9】
前記排出部は、分岐部を有し、
前記分岐部から前記ケイ酸捕捉部に前記使用済みの処理液を戻す循環路、をさらに備える
請求項1~8のいずれか一つに記載の除去装置。
【請求項10】
前記ケイ酸捕捉部にケイ酸化合物を選択的に溶解する溶解液を供給する溶解液供給部と、
前記ケイ酸捕捉部に供給された前記溶解液を排出する溶解液排出部と、
をさらに備える
請求項1~9のいずれか一つに記載の除去装置。
【請求項11】
処理液により基板を処理する基板処理部と、
前記基板処理部から前記使用済みの処理液を前記導入部に送液する第1送液路と、
請求項1~10のいずれか一つに記載の除去装置と、
前記ケイ酸捕捉部で処理された前記使用済みの処理液を前記排出部から前記基板処理部に送液する第2送液路と、
を備える基板処理装置。
【請求項12】
基板処理に用いられた使用済みの処理液を、ケイ酸化合物が通過可能な孔径を有する多孔質部材の内部に通流させる工程と、
前記多孔質部材に接触する前記使用済みの処理液のpH値を上昇させて、前記使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物を重合させる工程と、
重合したケイ酸化合物を前記多孔質部材で捕捉する工程と、
を含む除去方法。
【請求項13】
前記重合させる工程は、前記多孔質部材への前記使用済みの処理液の通流を維持しながら、前記多孔質部材に接触する電極にパルス状の負電圧を印加する
請求項12に記載の除去方法。
【請求項14】
ケイ酸化合物を溶解する溶解液を供給して、前記多孔質部材に捕捉されたケイ酸化合物を除去する工程、をさらに含む
請求項12または13に記載の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、除去装置、基板処理装置および除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板処理システムにおいて、リン酸(HPO)水溶液に基板を浸漬することで、かかる基板に形成された窒化膜をエッチング処理する技術が知られている。また、かかるエッチング処理において、使用済みのリン酸水溶液からケイ酸化合物を除去することで、使用済みのリン酸水溶液を再利用する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-6623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理液からケイ酸化合物を効率よく除去することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による除去装置は、ケイ酸捕捉部と、導入部と、排出部と、を備える。ケイ酸捕捉部は、基板処理に用いられた使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物を捕捉する。導入部は、前記ケイ酸捕捉部に前記使用済みの処理液を導入する。排出部は、前記ケイ酸捕捉部で処理された前記使用済みの処理液を排出する。また、前記ケイ酸捕捉部は、多孔質部材と、pH調整機構と、を有する。多孔質部材は、前記使用済みの処理液に含まれるケイ酸化合物が通過可能な孔径を有する。pH調整機構は、前記多孔質部材に接触する前記使用済みの処理液のpH値を上昇させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理液からケイ酸化合物を効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、各実施形態に係る基板処理システムの構成例を示す概略ブロック図である。
図2図2は、各実施形態に係るエッチング処理装置の構成例を示す概略ブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部の構成例を示す概略ブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部の捕捉処理の一例について説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部の捕捉処理の一例について説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部の捕捉処理の別の一例について説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部の捕捉処理の別の一例について説明するための図である。
図8図8は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部の捕捉処理の別の一例について説明するための図である。
図9図9は、第1実施形態の変形例1に係るケイ酸捕捉部の構成例を示す概略ブロック図である。
図10図10は、第1実施形態の変形例2に係るケイ酸捕捉部の構成を示す概略ブロック図である。
図11図11は、第2実施形態に係るケイ酸捕捉部の構成例を示す概略ブロック図である。
図12図12は、第2実施形態に係るケイ酸捕捉部の構成および捕捉処理について説明するための図である。
図13図13は、第2実施形態に係るケイ酸捕捉部の構成および捕捉処理について説明するための図である。
図14図14は、第1実施形態の変形例3に係るケイ酸捕捉部の構成例を示す概略ブロック図である。
図15図15は、第1実施形態の変形例4に係るケイ酸捕捉部の構成例を示す概略ブロック図である。
図16図16は、各実施形態に係る基板処理システムの別の構成例を示す概略ブロック図である。
図17図17は、第1実施形態に係る除去装置が実行する除去処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、第2実施形態に係る除去装置が実行する除去処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する除去装置、基板処理装置および除去方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、基板処理システムにおいて、リン酸(HPO)水溶液に基板を浸漬することで、かかる基板に形成された窒化膜をエッチング処理する技術が知られている。
【0010】
たとえば、リン酸水溶液に基板を浸漬することで、基板上に積層されたシリコン窒化膜(SiN)およびシリコン酸化膜(SiO)のうち、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
【0011】
また、このシリコン窒化膜のエッチング処理では、シリコン窒化膜から生成されるポリシロキサンなどのケイ酸化合物(以下、単に「ケイ酸」とも呼称する。)がエッチング液中に溶解する。
【0012】
そして、このシリコン窒化膜のエッチング処理では、エッチング液中のケイ酸濃度が高くなった場合、シリコン酸化膜上にケイ酸化合物が析出するなどの不具合が生じることがあった。
【0013】
そこで、かかるエッチング処理において、安定したエッチング処理とリン酸水溶液の廃棄量の削減とを両立させるため、使用済みのリン酸水溶液からケイ酸化合物を除去することで、使用済みのリン酸水溶液を再利用する技術が知られている。
【0014】
一方で、上記の従来技術では、ケイ酸化合物の除去効率について更なる改善の余地があった。そこで、上述の問題点を克服し、リン酸水溶液などの処理液からケイ酸化合物を効率よく除去することができる技術の実現が期待されている。
【0015】
<基板処理システムの構成>
まず、各実施形態に係る基板処理システム1の構成について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、各実施形態に係る基板処理システム1の構成例を示す概略ブロック図であり、図2は、各実施形態に係るエッチング処理装置2の構成例を示す概略ブロック図である。基板処理システム1は、基板処理装置の一例である。
【0016】
図1に示すように、基板処理システム1は、エッチング処理装置2と、除去装置3と、制御装置4とを備える。エッチング処理装置2は、基板処理部の一例であり、基板Wをエッチング液L1でエッチング処理する。エッチング液L1は、処理液の一例である。除去装置3は、エッチング処理装置2で使用された使用済みのエッチング液L1(以下、使用済み液L2とも呼称する。)を再生する。
【0017】
基板Wは、たとえば、シリコンなどで構成されるウェハと、かかるウェハの表面に形成されるシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜とを含む。シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とは、たとえば、交互に繰り返し積層され、積層膜を形成する。かかる積層膜は、たとえば、厚さ方向に貫通する貫通孔を有する。
【0018】
エッチング液L1は、たとえば、リン酸を含む処理液である。エッチング液L1は、積層膜の貫通孔に入り込み、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜のうちのシリコン窒化膜を選択的にエッチングし、除去する。
【0019】
図2に示すように、エッチング処理装置2は、たとえば複数の基板Wを同時にエッチング液L1で処理するバッチ式であって、処理槽11を有する。処理槽11はエッチング液L1を貯留し、複数の基板Wは処理槽11の内部でエッチング液L1に浸漬される。
【0020】
処理槽11は、たとえば二重槽であり、内槽11aおよび外槽11bを有する。内槽11aは、エッチング液L1を貯留する。外槽11bは、内槽11aからオーバーフローしたエッチング液L1を回収する。複数の基板Wは、内槽11aの内部でエッチング液L1に浸漬され、かかるエッチング液L1によって処理される。
【0021】
エッチング処理装置2は、循環路12を有する。かかる循環路12は、外槽11bから取り出したエッチング液L1を、内槽11aに送る。また、エッチング処理装置2は、循環路12の途中に、ポンプ13と、ヒータ14と、フィルタ15とを有する。
【0022】
ポンプ13は、外槽11bから循環路12を経て内槽11aに送られるエッチング液L1の循環流を形成する。また、エッチング液L1は、内槽11aの開口部からオーバーフローすることで、再び外槽11bへと流出する。このようにして、エッチング処理装置2内にエッチング液L1の循環流が形成される。すなわち、かかる循環流は、外槽11b、循環路12および内槽11aにおいて形成される。
【0023】
ヒータ14は、循環路12を循環するエッチング液L1の温度を調整する。エッチング液L1の温度は、たとえばエッチング液L1の沸点に設定される。フィルタ15は、循環路12を循環するエッチング液L1に含まれるパーティクルを捕集し、エッチング液L1を濾過する。
【0024】
また、エッチング処理装置2は、内槽11aの内部に水平管16を有する。かかる水平管16は、循環路12から送られるエッチング液L1を、内槽11aの内部に供給する。水平管16は、Y軸方向に延びており、X軸方向に間隔をおいて複数設けられる。
【0025】
複数の水平管16は、その長手方向に間隔をおいて複数の吐出口(図示せず)を有し、複数の吐出口はそれぞれ真上に向けてエッチング液L1を吐出する。これにより、複数の水平管16はカーテン状の上昇流を内槽11aの内部に形成する。
【0026】
また、エッチング処理装置2は、基板保持部17を有する。かかる基板保持部17は、複数の基板WをY軸方向に間隔をおいて保持しながら、待機位置と処理位置との間で昇降する。待機位置は、複数の基板Wを不図示の搬送装置に対して受け渡す位置であり、処理位置の上方に設定される。処理位置は、複数の基板Wをエッチング液L1に浸漬する位置である。
【0027】
基板保持部17は、待機位置で処理前の基板Wを搬送装置から受け取り、次いで処理位置まで下降し、所定時間経過後に再び待機位置まで上昇し、待機位置で処理後の基板Wを搬送装置に渡す。
【0028】
このエッチング処理装置2でのエッチング処理の選択比は、エッチング液L1中のケイ酸濃度などに依存し、ケイ酸濃度が高いほど選択比が向上する。一方で、ケイ酸濃度が飽和濃度を超えてしまうと、ケイ酸化合物S(図4参照)がシリコン酸化膜上に析出してしまう。
【0029】
また、基板Wのエッチング処理が進むにつれ、基板Wからエッチング液L1にケイ酸化合物Sが溶出し、エッチング液L1中のケイ酸濃度が徐々に高くなる。そこで、エッチング処理装置2では、ケイ酸濃度を許容範囲に維持すべく、エッチング液L1の入れ替え処理が行われる。
【0030】
具体的には、ケイ酸濃度の高い使用済みのエッチング液L1(すなわち、使用済み液L2)がエッチング処理装置2から外部に排出され、この使用済み液L2よりも低いケイ酸濃度のエッチング液L1が外部からエッチング処理装置2に供給される。
【0031】
そのため、エッチング処理装置2は、液供給部18および排液部19を有する。液供給部18は、ケイ酸濃度の低いエッチング液L1を外部からエッチング処理装置2に供給する。
【0032】
液供給部18は、たとえば除去装置3によって再生されたエッチング液L1をエッチング処理装置2に供給する。なお、液供給部18は、未使用のエッチング液L1をエッチング処理装置2に供給してもよい。
【0033】
液供給部18は、たとえば開閉弁と流量制御器とを有し、かかる開閉弁を開放することで、ケイ酸濃度の低いエッチング液L1を処理槽11の外槽11bに供給する。その供給量は、流量制御器によって制御される。
【0034】
排液部19は、使用済み液L2をエッチング処理装置2から外部に排出する。排液部19は、図2に示すように内槽11aの底部から外部に使用済み液L2を排出してもよいし、循環路12の途中から外部に使用済み液L2を排出してもよい。
【0035】
排液部19は、たとえば開閉弁と流量制御器とを有し、かかる開閉弁を開放することで、使用済み液L2をエッチング処理装置2から外部に排出する。その排出量は、流量制御器によって制御される。排液部19によって排出された使用済み液L2の少なくとも一部は、除去装置3に送られる。
【0036】
図1の説明に戻る。除去装置3は、エッチング処理装置2で使用された使用済み液L2(図3参照)からケイ酸化合物S(図4参照)を除去する。これにより、除去装置3では、ケイ酸濃度の高い使用済み液L2がケイ酸濃度の低いエッチング液L1に再生される。
【0037】
除去装置3は、第1バッファ槽31と、導入部32と、切替バルブ33と、ケイ酸捕捉部34と、排出部35と、フィルタ36と、濃度センサ37と、切替バルブ38と、循環路39と、第2バッファ槽40と、添加剤供給部41とを有する。切替バルブ33は、分岐部の一例である。
【0038】
第1バッファ槽31は、排液部19から第1送液路20を介して供給される使用済み液L2を貯留する。
【0039】
導入部32は、第1バッファ槽31に貯留される使用済み液L2をケイ酸捕捉部34に導入する。導入部32は、たとえば、第1バッファ槽31とケイ酸捕捉部34との間を接続する配管32a(図3参照)、およびこの配管32aに設けられるポンプ(図示せず)などで構成される。
【0040】
また、導入部32には切替バルブ33が設けられる。かかる切替バルブ33は、上流側の第1バッファ槽31から供給される液体、および循環路39から供給される液体のいずれか一方を選択して、選択されたほうの液体を下流側のケイ酸捕捉部34に流す。
【0041】
ケイ酸捕捉部34は、エッチング処理装置2において基板処理に用いられた使用済み液L2に含まれるケイ酸化合物Sを捕捉する。かかるケイ酸捕捉部34の詳細については後述する。
【0042】
排出部35は、ケイ酸捕捉部34でケイ酸化合物Sの除去処理がなされた使用済み液L2を、ケイ酸捕捉部34から排出する。排出部35は、たとえば、ケイ酸捕捉部34と第2バッファ槽40との間を接続する配管35a(図3参照)、およびこの配管35aに設けられるポンプ(図示せず)などで構成される。
【0043】
また、排出部35には、フィルタ36、濃度センサ37および切替バルブ38が設けられる。フィルタ36は、排出部35を流れる使用済み液L2に含まれるパーティクルを捕集し、使用済み液L2を濾過する。
【0044】
濃度センサ37は、排出部35を流れる使用済み液L2のケイ酸濃度を検出する。また、濃度センサ37は制御装置4に接続され、濃度センサ37で生成された信号は制御装置4に送信される。
【0045】
切替バルブ38は、下流側の循環路39および第2バッファ槽40のいずれか一方を選択して、選択したほうに上流側のケイ酸捕捉部34から供給される液体を流す。循環路39は、切替バルブ38と切替バルブ33との間に接続される。
【0046】
第2バッファ槽40は、ケイ酸化合物Sの除去処理が完了した使用済み液L2(すなわち、再生されたエッチング液L1)を貯留する。かかる第2バッファ槽40は、第2送液路21を介して液供給部18に接続される。第2送液路21は、除去装置3によって再生されたエッチング液L1を、エッチング処理装置2に送る。
【0047】
除去装置3は、第2バッファ槽40に貯留される再生されたエッチング液L1に対して、添加剤を供給する添加剤供給部41を有してもよい。かかる添加剤は、一般的なものであってよく、たとえば、基板Wの処理中にシリカの析出を抑制する析出抑制剤、ケイ酸濃度を調整する濃度調整剤などである。
【0048】
なお、図1の例では、添加剤供給部41が第2バッファ槽40に接続されるが、添加剤供給部41は、不図示の第3バッファ槽に接続されてもよい。かかる第3バッファ槽は、第2バッファ槽40とエッチング処理装置2とを接続する第2送液路21の途中に設けられる。また、添加剤供給部41は省略されてもよい。
【0049】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、基板処理システム1における各部の動作を制御する。かかる制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部5および記憶部6を備える。記憶部6には、基板処理や除去処理などの各種処理を制御するプログラムが格納される。制御部5は、記憶部6に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0050】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部6にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0051】
<ケイ酸捕捉部の詳細(第1実施形態)>
つづいて、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部34の詳細について、図3図10を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部34の構成例を示す概略ブロック図である。
【0052】
図3に示すように、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部34は、配管50と、多孔質部材51と、pH調整機構52とを備える。また、pH調整機構52は、陰極53と、陽極54と、電源55とを有する。陰極53は、電極の一例である。
【0053】
配管50は、たとえば、導入部32の配管32aおよび排出部35の配管35aと一体で構成される配管である。多孔質部材51は、使用済み液L2に含まれるケイ酸化合物S(図4参照)が通過可能な孔径を有する多孔質材料で構成される。多孔質部材51は、たとえば、配管50の内壁に沿って筒状に配置される。
【0054】
多孔質部材51は、たとえば、金属(たとえば、タングステンや貴金属など)、半導体(たとえば、シリコンやゲルマニウムなど)、金属酸化物、炭素、高分子材料(たとえば、ポリアニリンなど)などで構成される。多孔質部材51の孔径は、たとえば、1(nm)~100(nm)であるとよく、2(nm)~10(nm)であるとより好ましい。
【0055】
pH調整機構52の陰極53は、多孔質部材51に接触する。陰極53は、たとえば、筒状に配置される多孔質部材51の外壁に接触するように、筒状に配置される。陽極54は、多孔質部材51の近傍においてかかる多孔質部材51と離間して配置される。また、陽極54は、配管50の内部を通流する使用済み液L2に接触するように配置される。
【0056】
電源55は、陰極53に所与の負電圧を印加するとともに、陽極54に所与の正電圧を印加する。陰極53に印加される負電圧は、たとえば、-0.5(V)~-10(V)である。
【0057】
つづいて、ケイ酸捕捉部34によるケイ酸化合物Sの除去処理について説明する。図4および図5は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部34の捕捉処理の一例について説明するための図である。
【0058】
図4に示すように、まず、制御部5(図1参照)は、電源55(図3参照)を動作させて、陰極53に所与の負電圧を印加する(ステップS01)。すると、陰極53に隣接する多孔質部材51の内部に浸透する使用済み液L2において、以下の式(1)に示す化学反応が生じるため、使用済み液L2のpH値が上昇する(ステップS02)。
2H+2e→H ・・・(1)
【0059】
これにより、多孔質部材51の内部に浸透する使用済み液L2が、弱酸性から中性または弱アルカリ性に変化する。また、使用済み液L2に含まれるケイ酸化合物Sは、使用済み液L2が中性または弱アルカリ性に変化すると、互いに重合して徐々に粒径が大きくなる。
【0060】
すなわち、第1実施形態では、陰極53に負電圧を印加することによって、多孔質部材51の内部においてケイ酸化合物Sが重合する(ステップS03)。そして、制御部5は、図5に示すように、互いに重合し、粒径が多孔質部材51の孔径よりも大きくなったケイ酸化合物Sを、多孔質部材51で捕捉する(ステップS04)。
【0061】
このように、第1実施形態では、pH調整機構52によって多孔質部材51に接触する使用済み液L2のpH値を上昇させることで、ケイ酸化合物Sの重合反応を促進させることにより、重合したケイ酸化合物Sを多孔質部材51で捕捉する。
【0062】
これにより、第1実施形態では、使用済み液L2からケイ酸化合物Sを効率よく除去することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、pH調整機構52が、陰極53および電源55を有するとよい。これにより、多孔質部材51の内部に浸透する使用済み液L2を中性または弱アルカリ性に効率よく変化させることができることから、ケイ酸化合物Sの重合反応をさらに促進させることができる。
【0064】
したがって、第1実施形態によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0065】
なお、図3の例では、pH調整機構52が陰極53および電源55を有する場合について示したが、本開示はかかる例に限られない。たとえば、pH調整機構52が、多孔質部材51の内部にアルカリ性の薬液を浸透させる薬液供給部を有してもよい。
【0066】
これによっても、多孔質部材51の内部に浸透する使用済み液L2を中性または弱アルカリ性に変化させることができることから、使用済み液L2からケイ酸化合物Sを効率よく除去することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、多孔質部材51が導電性材料で構成されるとよい。これにより、陰極53に印加された負電圧が多孔質部材51にも直接伝わることから、多孔質部材51の内部に浸透する使用済み液L2を中性または弱アルカリ性に効率よく変化させることができる。
【0068】
したがって、第1実施形態によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0069】
なお、本開示において、多孔質部材51が導電性材料で構成される場合、陰極53が省略されて電源55から多孔質部材51に直接負電圧が印加されてもよい。これによっても、多孔質部材51の内部に浸透する使用済み液L2を中性または弱アルカリ性に効率よく変化させることができることから、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、図3に示すように、多孔質部材51が使用済み液L2の通流する配管50の内壁に沿って配置されるとよい。これにより、多孔質部材51によって使用済み液L2の通流が阻害されることを抑制することができる。
【0071】
したがって、第1実施形態によれば、使用済み液L2内のケイ酸化合物Sが多孔質部材51に接触する頻度を増加させることができることから、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、制御部5が、切替バルブ33および切替バルブ38を制御して、ケイ酸化合物Sの除去処理がなされた使用済み液L2を排出部35から循環路39を介してケイ酸捕捉部34に戻すとよい。
【0073】
すなわち、第1実施形態では、排出部35と、循環路39と、導入部32とで形成される循環流によって、ケイ酸捕捉部34での使用済み液L2に対するケイ酸化合物Sの除去処理をくり返し行うとよい。
【0074】
また、この際、制御部5は、濃度センサ37によって、循環流内のケイ酸濃度を測定しながらケイ酸化合物Sの除去処理を行う。そして、かかるケイ酸濃度が所与のしきい値以下となった場合、制御部5は、ケイ酸化合物Sの除去処理が完了したとみなし、切替バルブ38を制御して、循環流内の再生されたエッチング液L1を第2バッファ槽40に送液するとよい。
【0075】
これにより、ケイ酸捕捉部34に使用済み液L2を滞留させてケイ酸化合物Sの除去処理を行う場合と比較して、使用済み液L2内のケイ酸化合物Sが多孔質部材51に接触する頻度を増加させることができる。したがって、第1実施形態によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0076】
なお、図4および図5の例では、陰極53に定電圧の負電圧を印加する例について示したが、本開示はかかる例に限られない。図6図8は、第1実施形態に係るケイ酸捕捉部34の捕捉処理の別の一例について説明するための図である。
【0077】
以下に説明する捕捉処理の別の一例では、陰極53にパルス状の負電圧を印加する。まず、制御部5(図1参照)は、図6に示すように、電源55(図3参照)を制御して、陰極53に対して所与の負電圧を印加する(ステップS11)。
【0078】
すると、弱酸性の使用済み液L2が中性または弱アルカリ性に変化した領域(以下、中和領域Nとも呼称する。)が増大する(ステップS12)。かかるステップS12の処理では、たとえば、使用済み液L2において中和領域Nが陰極53の表面から多孔質部材51をはみ出した部分まで増大する。
【0079】
次に、制御部5(図1参照)は、図7に示すように、電源55(図3参照)を制御して、陰極53に対する所与の負電圧の印加を停止する(ステップS13)。すると、使用済み液L2において中和領域Nが減少する(ステップS14)。かかるステップS14の処理では、たとえば、使用済み液L2において中和領域Nが陰極53の表面近傍まで減少する。
【0080】
すなわち、この時点では、多孔質部材51の表面近傍は中和領域Nでは無くなることから、多孔質部材51の表面近傍ではケイ酸化合物Sの重合反応が抑制される。そのため、ケイ酸化合物Sは、多孔質部材51の内部まで容易に侵入する(ステップS15)。
【0081】
次に、制御部5(図1参照)は、図8に示すように、電源55(図3参照)を制御して、陰極53に対して所与の負電圧を再度印加する(ステップS16)。すると、使用済み液L2において中和領域Nが再び増大する(ステップS17)。
【0082】
そのため、制御部5は、多孔質部材51の奥深くまで侵入したケイ酸化合物Sの重合反応を促進できることから、多孔質部材51の奥深くでも重合したケイ酸化合物Sを捕捉することができる(ステップS18)。
【0083】
ここまで説明したように、図6図8の例では、陰極53にパルス状の負電圧を印加することにより、多孔質部材51の表面近傍に加えて、多孔質部材51の奥深くにおいても重合したケイ酸化合物Sを捕捉することができる。したがって、第1実施形態によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0084】
図9は、第1実施形態の変形例1に係るケイ酸捕捉部34の構成例を示す概略ブロック図である。図9に示すように、変形例1のケイ酸捕捉部34では、多孔質部材51が、使用済み液L2の通流する配管50の内部で交差するように配置される。たとえば、変形例1では、多孔質部材51をコーティングしたメッシュ状の陰極53が配管50の内部を塞ぐように配置される。
【0085】
これにより、使用済み液L2内のケイ酸化合物Sが多孔質部材51に接触する頻度を増加させることができる。したがって、この変形例1によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0086】
図10は、第1実施形態の変形例2に係るケイ酸捕捉部34の構成例を示す概略ブロック図である。図10に示すように、変形例2のケイ酸捕捉部34では、多孔質部材51が、使用済み液L2の通流する配管50の内壁に沿ってコイル状に配置される。たとえば、変形例2では、多孔質部材51をコーティングしたコイル状の陰極53が配管50の内壁に沿って配置される。
【0087】
これにより、使用済み液L2内のケイ酸化合物Sが多孔質部材51に接触する頻度を増加させることができる。したがって、この変形例2によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0088】
<ケイ酸捕捉部の詳細(第2実施形態)>
つづいて、第2実施形態に係るケイ酸捕捉部34の詳細について、図11図13を参照しながら説明する。図11は、第2実施形態に係るケイ酸捕捉部34の構成例を示す概略ブロック図である。
【0089】
図11に示すように、第2実施形態に係るケイ酸捕捉部34は、拡径部60と、吸着剤61と、フィルタ62、63とを備える。拡径部60は、ケイ酸捕捉部34で使用済み液L2が通流する配管50において、上流側および下流側よりも内径が広がっている部位である。
【0090】
吸着剤61は、使用済み液L2に含まれるケイ酸化合物S(図12参照)を選択的に吸着する。吸着剤61は、たとえば、拡径部60の内部を塞ぐように配置される。フィルタ62は、拡径部60の内部において吸着剤61の上流側に配置される。フィルタ63は、拡径部60の内部において吸着剤61の下流側に配置される。
【0091】
このように、フィルタ62、63を吸着剤61の上流側および下流側に配置することにより、吸着剤61が拡径部60の外部に流れ出ることを抑制することができる。
【0092】
図12および図13は、第2実施形態に係るケイ酸捕捉部34の構成および捕捉処理について説明するための図である。図12に示すように、吸着剤61は、基材61aと、スペーサ61bと、アルコキシシリル基61cとを有する。
【0093】
基材61aは、たとえば、粒子状や繊維状であり、樹脂、金属または金属酸化物などで構成される。なお、基材61aの粒径や繊維径には特に制限はなく、nmオーダーからmmオーダーまで可能である。
【0094】
スペーサ61bは、基材61aの表面とアルコキシシリル基61cとの間をつなぐ。なお、基材61aの表面が直接アルコキシシリル基61cで修飾可能である場合、スペーサ61bは省略されてもよい。
【0095】
アルコキシシリル基61cは、-SiRの化学式を有する。このうち、Rはメトキシ基(-OCH)またはエトキシ基(-OCHCH)であり、nは1~3を取り得る。
【0096】
このように、第2実施形態では、図12に示すように、アルコキシシリル基61cで表面が修飾された吸着剤61が、ケイ酸捕捉部34において使用済み液L2に浸漬される。すると、図13に示すように、アルコキシシリル基61cとケイ酸化合物Sとが化学反応して共有結合を作るため、ケイ酸化合物Sが吸着剤61に選択的に吸着される。
【0097】
したがって、第2実施形態によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sを効率よく除去することができる。
【0098】
<ケイ酸捕捉部の変形例>
つづいて、第1実施形態に第2実施形態を組み合わせた場合の各種変形例について、図14および図15を参照しながら説明する。図14は、第1実施形態の変形例3に係るケイ酸捕捉部34の構成例を示す概略ブロック図である。
【0099】
図14に示すように、この変形例3では、配管50の内壁に沿って筒状に配置される多孔質部材51の内側に、第2実施形態の吸着剤61が配置される。たとえば、筒状の多孔質部材51の内部を埋めるように、吸着剤61が配置される。そして、この変形例3では、多孔質部材51に接触する陰極53に電源55から負電圧が印加される。
【0100】
これにより、多孔質部材51でケイ酸化合物S(図4参照)を捕捉することができるとともに、吸着剤61でもケイ酸化合物Sを捕捉することができる。したがって、変形例3によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0101】
図15は、第1実施形態の変形例4に係るケイ酸捕捉部34の構成例を示す概略ブロック図である。図15に示すように、この変形例4では、多孔質部材51の内部において多孔質部材51と接触する陰極53の表面近傍に、第2実施形態の吸着剤61が配置される。
【0102】
これにより、陰極53から離れた部位では多孔質部材51によってケイ酸化合物S(図4参照)を捕捉することができるとともに、陰極53の表面近傍では吸着剤61によってケイ酸化合物Sを捕捉することができる。したがって、変形例4によれば、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0103】
なお、本開示では、除去装置3において、第1実施形態のケイ酸捕捉部34と第2実施形態のケイ酸捕捉部34とが、切替バルブ33(図1参照)とフィルタ36(図1参照)との間に直列に繋った構成のケイ酸捕捉部34が設けられてもよい。これによっても、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0104】
<除去装置の変形例>
図16は、各実施形態に係る基板処理システム1の別の構成例を示す概略ブロック図である。図16では、除去装置3の構成が図1の例と異なる。具体的には、図16の例では、除去装置3に溶解液供給部43および溶解液排出部47がさらに設けられる。
【0105】
溶解液供給部43は、溶解液供給路44を介して切替バルブ45に接続される。かかる切替バルブ45は、導入部32の配管32a(図3参照)に設けられ、上流側の第1バッファ槽31から供給される液体、および溶解液供給部43から供給される液体のいずれか一方を選択して、選択されたほうの液体を下流側のケイ酸捕捉部34に流す。
【0106】
溶解液供給部43は、ケイ酸化合物S(図4参照)を選択的に溶解することができる溶解液を、切替バルブ45等を介してケイ酸捕捉部34に供給する。かかる溶解液は、たとえば、希フッ酸、希アンモニア水およびDIW(脱イオン水)の混合液である。なお、本開示の溶解液は、上記組成の混合液に限られず、ケイ酸化合物Sを選択的に溶解することができればどのような組成であってもよい。
【0107】
溶解液排出部47は、排出部35におけるフィルタ36の上流側に設けられる切替バルブ46に接続され、ケイ酸捕捉部34に供給された液体(たとえば、溶解液)をドレイン部DRに排出する。切替バルブ46は、下流側の切替バルブ38および溶解液排出部47のいずれか一方を選択して、選択されたほうに上流側のケイ酸捕捉部34から供給される液体を流す。
【0108】
そして、制御部5(図1参照)は、所与の時間使用したケイ酸捕捉部34に対して、溶解液供給部43から溶解液を供給するとともに、供給された溶解液を溶解液排出部47からドレイン部DRに排出する。
【0109】
これにより、ケイ酸捕捉部34で捕捉されたケイ酸化合物Sを選択的に溶解して除去することができることから、ケイ酸捕捉部34を再生することができる。したがって、図16の例によれば、ケイ酸捕捉部34を使い捨てにせずに済むことから、エッチング液L1の再生コストを低減することができる。
【0110】
第1実施形態に係る除去装置3は、ケイ酸捕捉部34と、導入部32と、排出部35と、を備える。ケイ酸捕捉部34は、基板処理に用いられた使用済みの処理液(使用済み液L2)に含まれるケイ酸化合物Sを捕捉する。導入部32は、ケイ酸捕捉部34に使用済みの処理液(使用済み液L2)を導入する。排出部35は、ケイ酸捕捉部34で処理された使用済みの処理液(使用済み液L2)を排出する。また、ケイ酸捕捉部34は、多孔質部材51と、pH調整機構52と、を有する。多孔質部材51は、使用済みの処理液(使用済み液L2)に含まれるケイ酸化合物Sが通過可能な孔径を有する。pH調整機構52は、多孔質部材51に接触する使用済みの処理液(使用済み液L2)のpH値を上昇させる。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sを効率よく除去することができる。
【0111】
また、第1実施形態に係る除去装置3において、pH調整機構52は、多孔質部材51に接触する電極(陰極53)と、電極(陰極53)に負電圧を印加する電源55と、を有する。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0112】
また、第1実施形態に係る除去装置3は、各部を制御する制御部5をさらに備える。また、制御部5は、ケイ酸捕捉部34への使用済みの処理液(使用済み液L2)の通流を維持しながら、電極(陰極53)にパルス状の負電圧を印加する。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0113】
また、第1実施形態に係る除去装置3において、多孔質部材51は、導電性材料で構成される。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0114】
また、第1実施形態に係る除去装置3において、多孔質部材51は、使用済みの処理液(使用済み液L2)が通流する配管50の内壁に沿って配置される。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0115】
また、第1実施形態に係る除去装置3において、多孔質部材51は、使用済みの処理液(使用済み液L2)が通流する配管50の内部で交差するように配置される。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0116】
また、第1実施形態に係る除去装置3において、ケイ酸捕捉部34は、ケイ酸化合物Sを選択的に吸着する吸着剤61を有する。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0117】
また、第2実施形態に係る除去装置3は、ケイ酸捕捉部34と、導入部32と、排出部35と、を備える。ケイ酸捕捉部34は、基板処理に用いられた使用済みの処理液(使用済み液L2)に含まれるケイ酸化合物Sを捕捉する。導入部32は、ケイ酸捕捉部34に使用済みの処理液(使用済み液L2)を導入する。排出部35は、ケイ酸捕捉部34で処理された使用済みの処理液(使用済み液L2)を排出する。また、ケイ酸捕捉部34は、ケイ酸化合物Sを選択的に吸着する吸着剤61を有する。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sを効率よく除去することができる。
【0118】
また、各実施形態に係る除去装置3において、排出部35は、分岐部(切替バルブ38)を有する。また、実施形態に係る除去装置3は、分岐部(切替バルブ38)からケイ酸捕捉部34に使用済みの処理液(使用済み液L2)を戻す循環路39、をさらに備える。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0119】
また、各実施形態に係る除去装置3は、ケイ酸捕捉部34にケイ酸化合物Sを溶解する溶解液を供給する溶解液供給部43と、ケイ酸捕捉部34に供給された溶解液を排出する溶解液排出部47と、をさらに備える。これにより、エッチング液L1の再生コストを低減することができる。
【0120】
また、各実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、基板処理部(エッチング処理装置2)と、第1送液路20と、上記に記載の除去装置3と、第2送液路21と、を備える。基板処理部(エッチング処理装置2)は、処理液(エッチング液L1)により基板Wを処理する。第1送液路20は、基板処理部(エッチング処理装置2)から使用済みの処理液(使用済み液L2)を導入部32に送液する。第2送液路21は、ケイ酸捕捉部34で処理された使用済みの処理液(使用済み液L2)を排出部35から基板処理部(エッチング処理装置2)に送液する。これにより、安定したエッチング処理とリン酸水溶液の廃棄量の削減とを両立させた基板Wのエッチング処理を実現することができる。
【0121】
<除去処理の手順>
つづいて、各実施形態に係る除去処理の手順について、図17および図18を参照しながら説明する。図17は、第1実施形態に係る除去装置3が実行する除去処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0122】
第1実施形態に係る除去処理では、まず、制御部5が、エッチング処理装置2で使用された使用済み液L2を、ケイ酸捕捉部34に通流させる(ステップS101)。
【0123】
次に、制御部5は、pH調整機構52を動作させて、ケイ酸捕捉部34内で通流する使用済み液L2のpH値を上昇させる(ステップS102)。そして、制御部5は、多孔質部材51の内部でケイ酸化合物Sを重合させて、かかる重合したケイ酸化合物Sを多孔質部材51で捕捉する(ステップS103)。
【0124】
次に、制御部5は、切替バルブ33、38などを制御して、ケイ酸捕捉部34で処理された使用済み液L2を循環させ(ステップS104)、ケイ酸捕捉部34での除去処理をくり返し行う。
【0125】
次に、制御部5は、循環する使用済み液L2のケイ酸濃度が所与のしきい値以下であるか否かを判定する(ステップS105)。そして、循環する使用済み液L2のケイ酸濃度が所与のしきい値以下である場合(ステップS105、Yes)、制御部5は、切替バルブ38などを制御して、除去処理が完了した使用済み液L2を第2バッファ槽40に送液する(ステップS106)。これにより、一連の除去処理が完了する。
【0126】
一方で、循環する使用済み液L2のケイ酸濃度が所与のしきい値以下でない場合(ステップS105、No)、ステップS102の処理に戻る。
【0127】
図18は、第2実施形態に係る除去装置3が実行する除去処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0128】
第2実施形態に係る除去処理では、まず、制御部5が、エッチング処理装置2で使用された使用済み液L2を、ケイ酸捕捉部34に通流させる(ステップS201)。そして、制御部5は、吸着剤61で使用済み液L2に含まれるケイ酸化合物Sを捕捉する(ステップS202)。
【0129】
次に、制御部5は、切替バルブ33、38などを制御して、ケイ酸捕捉部34で処理された使用済み液L2を循環させ(ステップS203)、ケイ酸捕捉部34での除去処理をくり返し行う。
【0130】
次に、制御部5は、循環する使用済み液L2のケイ酸濃度が所与のしきい値以下であるか否かを判定する(ステップS204)。そして、循環する使用済み液L2のケイ酸濃度が所与のしきい値以下である場合(ステップS204、Yes)、制御部5は、切替バルブ38などを制御して、除去処理が完了した使用済み液L2を第2バッファ槽40に送液する(ステップS205)。これにより、一連の除去処理が完了する。
【0131】
一方で、循環する使用済み液L2のケイ酸濃度が所与のしきい値以下でない場合(ステップS204、No)、ステップS202の処理に戻る。
【0132】
第1実施形態に係る除去方法は、通流させる工程(ステップS101)と、重合させる工程(ステップS102)と、捕捉する工程(ステップS103)と、を含む。通流させる工程(ステップS101)は、基板処理に用いられた使用済みの処理液(使用済み液L2)を、ケイ酸化合物Sが通過可能な孔径を有する多孔質部材51の内部に通流させる。重合させる工程(ステップS102)は、多孔質部材51に接触する使用済みの処理液(使用済み液L2)のpH値を上昇させて、使用済みの処理液(使用済み液L2)に含まれるケイ酸化合物Sを重合させる。捕捉する工程(ステップS103)は、重合したケイ酸化合物Sを多孔質部材51で捕捉する。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sを効率よく除去することができる。
【0133】
また、第1実施形態に係る除去方法において、重合させる工程(ステップS102)は、多孔質部材51への使用済みの処理液(使用済み液L2)の通流を維持しながら、多孔質部材51に接触する電極(陰極53)にパルス状の負電圧を印加する。これにより、使用済み液L2からケイ酸化合物Sをさらに効率よく除去することができる。
【0134】
また、第1実施形態に係る除去方法は、ケイ酸化合物Sを溶解する溶解液を供給して、多孔質部材51に捕捉されたケイ酸化合物Sを除去する工程、をさらに含む。これにより、エッチング液L1の再生コストを低減することができる。
【0135】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の各実施形態では、リン酸水溶液を含有するエッチング液L1を処理液として用いた例について示したが、処理液の組成はかかる例に限られず、ケイ酸化合物Sの除去が必要な処理液であればどのような処理液であってもよい。
【0136】
また、上記の各実施形態では、基板Wの表面に形成されるデバイス構造が、積層されたシリコン窒化膜およびシリコン酸化膜である場合について示したが、基板Wの表面に形成されるデバイス構造はかかる例に限られない。
【0137】
また、上記の各実施形態では、エッチング処理装置2がバッチ式の基板処理装置であるが、エッチング処理装置2は枚葉式の基板処理装置であってもよい。枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板Wを水平に保持するスピンチャックと、スピンチャックによって回転される基板Wに対してエッチング液L1を供給するノズルとを含む。
【0138】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 基板処理システム(基板処理装置の一例)
2 エッチング処理装置(基板処理部の一例)
3 除去装置
5 制御部
20 第1送液路
21 第2送液路
32 導入部
34 ケイ酸捕捉部
35 排出部
38 切替バルブ(分岐部の一例)
39 循環路
43 溶解液供給部
47 溶解液排出部
50 配管
51 多孔質部材
52 pH調整機構
53 陰極(電極の一例)
55 電源
60 拡径部
61 吸着剤
L1 エッチング液(処理液の一例)
L2 使用済み液(使用済みの処理液の一例)
S ケイ酸化合物
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18