(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084516
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】吸収性物品の収容体及び吸収性物品のパッケージ群
(51)【国際特許分類】
B65D 85/07 20170101AFI20230612BHJP
【FI】
B65D85/07
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198735
(22)【出願日】2021-12-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】段 其序
(72)【発明者】
【氏名】徐 智慧
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲栄▼▲栄▼
(72)【発明者】
【氏名】篠原 章
(72)【発明者】
【氏名】符 玉▲鴿▼
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲馬▼松
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068AB02
3E068AB03
3E068AC07
3E068BB09
3E068CC22
3E068CE03
3E068DD27
3E068DE14
3E068EE02
3E068EE25
(57)【要約】
【課題】シート接合部から延びるシート縁部によって収容体の美観が低下することを抑制するとともに、吸収性物品を衛生的に収容できる吸収性物品の収容体を提供する。
【解決手段】吸収性物品の収容体は、吸収コアを有する複数の吸収性物品(20)を、熱可塑性樹脂製の収容シート(10)によって収容している。収容体の第1面(101)には、収容シート同士が接合されたシート接合部(11)と、シート接合部よりも収容体の外側に収容シートが延出したシート縁部(12)と、が設けられている。シート接合部及びシート縁部は、延出方向に隣接し、かつ延出方向に所定長さを有する。シート縁部の延出方向の長さ(Z12)は、シート接合部の延出方向の長さ(Z11)よりも短い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収コアを有する複数の吸収性物品を、熱可塑性樹脂製の収容シートによって収容した吸収性物品の収容体であって、
前記収容体の第1面には、前記収容シート同士が接合されたシート接合部と、前記シート接合部よりも前記収容体の外側に前記収容シートが延出したシート縁部と、が設けられており、
前記シート接合部及び前記シート縁部は、延出方向に隣接し、かつ前記延出方向に所定長さを有し、
前記シート縁部の前記延出方向の長さは、前記シート接合部の前記延出方向の長さよりも短い、吸収性物品の収容体。
【請求項2】
前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有し、
前記シート縁部は、前記シート接合部側に位置する根元端と、前記シート縁部の前記根元端と反対側の先端と、を有し、
前記収容体の自然状態において、前記第1領域における前記シート縁部の前記根元端と前記先端とを繋ぐ第1仮想線と、前記延出方向と、がなす角度は、25度以下であり、
前記収容体の自然状態において、前記第2領域における前記シート縁部の前記根元端と前記先端とを繋ぐ第2仮想線と、前記延出方向と、がなす角度は、25度以下である、請求項1に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項3】
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有し、
前記シート接合部は、前記第1領域と前記第2領域が共に押圧された押圧部を複数有し、
前記押圧部は、前記第1領域側から前記第2領域側に凹む第1押圧部と、前記第2領域側から前記第1領域側に凹む第2押圧部と、を有し、
前記第1押圧部と前記第2押圧部は、前記第1方向及び前記延出方向のいずれかにおいてずれて配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項4】
前記第1押圧部と前記第2押圧部は、前記第1方向において交互に配置されている、請求項3に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項5】
前記シート接合部は、前記押圧部が設けられた高圧搾部と、前記高圧搾部よりも相対的に圧搾度の低い低圧搾部と、を有する、請求項3又は請求項4に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項6】
前記シート接合部には、前記収容シートが着色された着色領域が設けられており、
前記押圧部の少なくとも一部は、前記着色領域に設けられている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項7】
前記シート縁部の先端は、ジグザグ状又は波状をなしている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項8】
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容体は、前記第1面と対向して配置された第2面を有し、
前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられており、
前記第1面の前記シート接合部と前記第2面の前記シート接合部は、前記第1方向に平行な仮想線に対して同方向に傾斜している、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項9】
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容体は、前記第1面と対向して配置された第2面を有し、
前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられており、
前記第2面の前記シート接合部と前記第1面の前記シート接合部は、前記第1方向に平行な仮想線に対して逆方向に傾斜している、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項10】
前記収容体は、前記第1面と対向して配置された第2面を有し、
前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられており、
前記第1面の前記シート接合部と前記第2面の前記シート接合部との前記延出方向の間隔をG11とし、
前記吸収性物品の延出方向の長さをZ20とし、
前記第1面のシート接合部の前記延出方向の長さをZ111とし、
前記第2面のシート接合部の前記延出方向の長さをZ112とすると、
(Z111+Z112)>(G11-Z20)を満たす、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項11】
Z111<(G11-Z20)を満たし、Z112<(G11-Z20)を満たす、請求項10に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項12】
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有し、
前記第1領域と前記第2領域の前記第1方向のずれの長さをX13とすると、
Z111>X13を満たし、Z112>X13を満たす、請求項10又は請求項11に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項13】
前記シート接合部には、前記吸収性物品の情報を示す表示部が設けられている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体を複数備える吸収性物品のパッケージ群であって、
前記収容体は、第1収容体と、前記第1収容体よりも前記延出方向の長さが長い第2収容体と、を有し、
前記第1収容体における前記シート接合部と前記シート縁部を合わせた前記延出方向に沿う第1長さは、前記第2収容体における前記シート接合部と前記シート縁部を合わせた前記延出方向に沿う第2長さと同じである、吸収性物品のパッケージ群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の吸収性物品を、熱可塑性樹脂製の収容シートによって収容した吸収性物品の収容体及び吸収性物品のパッケージ群に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の吸収性物品を、収容シートによって収容した収容体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の収容体は、収容シート同士が接合されたシート接合部が設けられている。また、吸収性物品の収容体の収容シートは、一般的に、熱可塑性樹脂製の包装袋が用いられる(例えば、特許文献2)。この包装袋は、ガセットチューブ袋と称され、筒形状の袋の一面が開口しており、その両側面の中央に形成された折り目に沿って内側に折り込まれることによりガセットが形成され、シート状に折り畳めるものである。シート接合部は、このような包装袋に物品を充填した後、開口部を封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-125489号公報
【特許文献2】特開平6-263125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品をガセットチューブ袋に挿入する際は、吸収性物品(個包装体)は、複数積層された状態で、厚み方向に押圧されつつ挿入される。このとき、吸収性物品が押圧され過ぎると、吸収コアが局所的に硬くなってしまい、吸収性能を阻害したり、装着感が悪化したりするおそれがある。そのため、吸収性物品が押圧され過ぎないように、包装袋の内寸法に対してゆとりをもたせつつ吸収性物品の積層体を挿入する。このように、包装袋の内寸法と積層体の外寸法に寸法差が生じると、シート接合部における収容シート同士の位置がずれ易い。よって、綺麗にシート接合部を形成し難いことがあった。
【0005】
また、吸収性物品の収容体を製造する際は、複数の収容体を連続して製造しており、シート接合部を形成するとともに、シート接合部の近傍にて収容シートを切断して、個々の収容体を得る。このとき、シート接合部よりも外側において、収容シート同士が接合されずに積層されたシート縁部が形成されることがある。当該シート縁部が形成された収容体において、収容シート同士の位置ずれが発生していると、シート縁部において収容シート同士の位置ずれが目立ち易く、美観を損ねることがあった。また、収容シート同士の位置がずれると、ずれた部分が引っかかり、当該引っかかりによって意図せずにシート接合部が開封してしまうおそれがあった。よって、衛生的に吸収性物品を収容し続けることができないおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、シート接合部から延びるシート縁部によって収容体の美観が低下することを抑制するとともに、吸収性物品を衛生的に収容できる吸収性物品の収容体及び吸収性物品のパッケージ群を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る吸収性物品の収容体は、吸収コアを有する複数の吸収性物品を、熱可塑性樹脂製の収容シートによって収容している。前記収容体の第1面には、前記収容シート同士が接合されたシート接合部と、前記シート接合部よりも前記収容体の外側に前記収容シートが延出したシート縁部と、が設けられている。前記シート接合部及び前記シート縁部は、延出方向に隣接し、かつ延出方向に所定長さを有する。前記シート縁部の前記延出方向の長さは、前記シート接合部の前記延出方向の長さよりも短い。
【0008】
一態様に係る吸収性物品のパッケージ群は、吸収性物品の収容体を複数備える。前記収容体は、第1収容体と、前記第1収容体よりも前記延出方向の長さが長い第2収容体と、を有する。前記第1収容体における前記シート接合部と前記シート縁部を合わせた延出方向に沿う第1長さは、前記第2収容体における前記シート接合部と前記シート縁部を合わせた延出方向に沿う第2長さと同じである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る吸収性物品の収容体の正面側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、吸収性物品の収容体の上面側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のA部分の拡大図である。
図3(A)は、自然状態を示しており、
図3(B)は、伸長状態を示している。
【
図4】
図4は、
図1に示すB部分を基準とした拡大図において、収容シート同士の位置ずれを示した図である。
【
図5】
図5は、シート接合部の断面を模式的に示した図である。
【
図6】
図6は、第1面と第2面の両方にシート接合部が設けられた収容体の一例を示した図である。
【
図7】
図7は、吸収性物品のパッケージ群を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品の収容体は、吸収コアを有する複数の吸収性物品を、熱可塑性樹脂製の収容シートによって収容している。前記収容体の第1面には、前記収容シート同士が接合されたシート接合部と、前記シート接合部よりも前記収容体の外側に前記収容シートが延出したシート縁部と、が設けられている。前記シート接合部(11)及び前記シート縁部(12)は、延出方向(Z)に隣接し、かつ前記延出方向に所定長さを有する。前記シート縁部の前記延出方向の長さ(Z12)は、前記シート接合部の前記延出方向の長さ(Z11)よりも短い。本態様によれば、シート縁部の前記延出方向の長さが相対的に短いため、シート縁部が起立せずに第1面の外面に沿って配置された場合であっても、シート縁部が収容体の第1面のデザイン等の表示を阻害し難い。また、シート縁部の延出方向の長さが相対的に短いため、シート縁部が起立した場合であっても、剛性が比較的低いシート縁部が安定せずに配置されることによる美観の低下を抑制できる。一方、シート接合部の前記延出方向の長さが長いため、シート接合部による接合強度を確保できる。よって、使用者が誤ってシート接合部を開封しようとしても、開封できず、衛生的に吸収性物品を収容し続けることができる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有する。前記シート縁部は、前記シート接合部側に位置する根元端と、前記シート縁部の前記根元端と反対側の先端と、を有する。前記収容体の自然状態において、前記第1領域における前記シート縁部の前記根元端と前記先端とを繋ぐ第1仮想線(FL1)と、前記延出方向と、がなす角度は、25度以下である。前記収容体の自然状態において、前記第2領域における前記シート縁部の前記根元端と前記先端とを繋ぐ第2仮想線(FL2)と、前記延出方向と、がなす角度は、25度以下である。本態様によれば、両方のシート縁部が起立し、第1面の外面に沿って配置されないため、シート縁部が収容体の第1面のデザイン等の表示を阻害し難く、収容体の美観の低下を抑制できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びている。前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有する。前記シート接合部は、前記第1領域と前記第2領域が共に押圧された押圧部を複数有する。前記押圧部は、前記第1領域側から前記第2領域側に凹む第1押圧部(41)と、前記第2領域側から前記第1領域側に凹む第2押圧部(42)と、を有する。前記第1押圧部と前記第2押圧部は、前記第1方向及び延出方向のいずれかにおいてずれて配置されている。本態様によれば、第1押圧部及び第2押圧部が設けられていることにより、外力に対してシート接合部が変形しても元に戻り易いため、シート縁部及びシート接合部が起立した状態を維持し易い。また、シート接合部が変形しても元に戻り易いことにより、吸収コアに局所的に力が掛かることを抑制し、吸収性能を維持できる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記第1押圧部と前記第2押圧部は、前記第1方向において交互に配置されている。本態様によれば、シート接合部には、第1方向に沿って複数の変形起点が形成される。よって、シート接合部が変形した際に、戻り易くなり、シート接合部及びシート縁部が起立した状態を維持し易い。また、シート接合部が変形しても元に戻り易いため、吸収コアに局所的に力が掛かることを抑制し、吸収性能をより維持できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部は、前記押圧部が設けられた高圧搾部と、前記高圧搾部よりも相対的に圧搾度の低い低圧搾部と、を有する。本態様によれば、シート接合部に剛性の異なる高圧搾部と低圧搾部が形成されるため、当該剛性の違いによってシート接合部に変形起点が形成される。よって、シート接合部が変形した際に、戻り易くなり、シート接合部及びシート縁部が起立した状態を維持し易い。また、シート接合部が変形しても元に戻り易いため、吸収コアに局所的に力が掛かることを抑制し、吸収性能を維持できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部には、前記収容シートが着色された着色領域が設けられている。前記押圧部の少なくとも一部は、前記着色領域に設けられている。着色領域は、顔料又はインクが付されており、非着色領域よりも剛性が高くなり易い。当該着色領域に押圧部を設けることで、着色領域が起立し易くなり、シート接合部の起立性をより維持し易くなる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記シート縁部の先端は、ジグザグ状又は波状をなしている。本態様によれば、シート縁部の先端に第1方向に離間した複数の変形起点が形成される。よって、シート縁部が変形した際に、戻り易くなり、シート縁部が起立した状態を維持し易い。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びている。前記収容体は、前記第1面(101)と対向して配置された第2面(102)を有する。前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられている。第1面のシート接合部と前記第2面の前記シート接合部は、前記第1方向に平行な仮想仮想線に対して同方向に傾斜している。本態様によれば、第1面のシート接合部と第2面のシート接合部が同方向に傾斜しているため、吸収性物品の吸収コアにねじれ方向の力がかからず、吸収性能を確保できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びている。前記収容体は、前記第1面(101)と対向して配置された第2面(102)を有する。前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられている。前記第2面の前記シート接合部と前記第1面のシート接合部は、前記第1方向に平行な仮想線に対して逆方向に傾斜している。本態様によれば、第1面のシート接合部と第2面のシート接合部が逆方向に傾斜するため、各シート接合部によって互いに異なる方向に支持する力が作用し、収容体を安定して配置できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記収容体は、前記第1面と対向して配置された第2面を有する。前記第1面のシート接合部と第2面のシート接合部との前記延出方向の間隔をG11とし、前記吸収性物品の延出方向の長さをZ20とし、前記第1面のシート接合部の前記延出方向の長さをZ111とし、記第2面のシート接合部の前記延出方向の長さをZ112とすると、(Z111+Z112)>(G11-Z20)を満たす。本態様によれば、(Z111+Z112)は、比較的剛性が高く、変形しにくい領域である。一方、(G11-Z20)は、吸収性物品が収容体内で移動できる長さであり、変形し易い領域である。変形し易い領域の長さが短いため、(Z111+Z112)によって収容体同士の位置ずれを抑制しつつ、収容体内の吸収性物品のずれを抑制できる。
【0020】
好ましい一態様によれば、Z111<(G11-Z20)を満たし、Z112<(G11-Z20)を満たしてよい。本態様によれば、(G11-Z20)は、収容体内において吸収性物品がずれを吸収できる空間の長さであり、比較的変形し易い領域である。Z111(Z112)が(G11ーZ20)よりも短いため、第1面のシート接合部(又は、第2面のシート接合部)が収容体の内部側に押圧されても、吸収性物品が変形することを抑制できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びている。収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有する。前記第1領域と前記第2領域の前記第1方向のずれの長さをX13とすると、Z111>X13を満たし、Z112>X13を満たす。本態様によれば、ずれ(延出部分)の第1方向の長さX13がシート接合部11の延出方向の長さよりも長いと、延出部分が目立って見た目が悪くなるとともに、延出部分がひっかかって意図せずにシート接合部が開封するおそれがある。しかし、Z111>X13を満たし、Z112>X13を満たすため、延出部分の長さ以上にシート接合部の幅を確保し、見た目の悪化を抑制できると共に、意図せずにシート接合部が開封することを抑制できる。
【0022】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部には、前記吸収性物品の情報を示す表示部が設けられてよい。本態様によれば、シート接合部の表示部によって使用者の注意をひくことで、相対的にシート縁部を目立ち難くすることができ、シート縁部による美観の低下を抑制できる。
【0023】
一態様に係る吸収性物品のパッケージ群は、吸収性物品の収容体を複数備える。前記収容体は、第1収容体と、前記第1収容体よりも前記延出方向の長さが長い第2収容体と、を有する。前記第1収容体における前記シート接合部と前記シート縁部を合わせた延出方向に沿う第1長さは、前記第2収容体における前記シート接合部と前記シート縁部を合わせた延出方向に沿う第2長さと同じである。第1収容体と第2収容体は、収容体全体の延出方向の長さが異なるが、シート接合部及びシート縁部を併せた長さ(第1長さと第2長さ)が同じである。第2収容体は、第1収容体よりも大きく、シート接合部及びシート縁部が占める比率が低く、美観を向上できる。また、シート接合部及びシート縁部が占める比率が異なるが、第1長さと第2長さが同じであるため、第1収容体と第2収容体が関連するパッケージ群であることを消費者が認識し易くなる。
【0024】
(2)吸収性物品の収容体の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の収容体1(以下、収容体1とする)について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0025】
図1は、実施形態に係る収容体1の斜視図である。
図2は、収容体1の上面図である。
図3は、
図2のA部分の拡大図である。
図3(A)は、自然状態を示しており、
図3(B)は、伸長状態を示している。ここで、自然状態とは、平らな板上に収容体1を置き、収容体の正面と背面の皺が見えなくなる程度まで、延出方向と水平に両側のシート接合部をそれぞれ手で把持して、シート接合部11を延出方向Zの外側に引っ張る。次いで、引っ張った手を外した状態で、20±2℃温度、湿度50%の条件下で、30分放置した状態である。また、伸長状態は、収容体の正面と背面の皺が見えなくなる程度まで、両側のシート接合部をそれぞれ手で把持して、シート接合部11を延出方向Zの外側に引っ張った状態である。なお、収容シートを接合する際に、収容シートに形成された皺と重なる領域にシート接合部が形成された構成にあっては、シート接合部に重なる皺以外の皺が見えなくなるまで、両側のシート接合部を引っ張ればよい。
【0026】
収容体1は、複数の吸収性物品20を、収容シート10によって包装している。収容体1は、収容シート10が折り畳まれ、かつ収容シート10が接合されることにより、その内部に吸収性物品20を収容した収容空間5を有する。収容空間5には、吸収性物品20が複数収容されている。吸収性物品20としては、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナーを例示できる。吸収性物品20は、収容体1内において吸収性物品20の厚み方向に積層されてよい。吸収性物品20は、使用時に用いられる本体部21(生理用ナプキン、使い捨ておむつ等)のみの状態で収容体1に収容されていてもよいし、包装シート22(
図2参照)によって個別に包装された状態で収容体1に収容されていてもよい。
【0027】
吸収性物品20は、周知の吸収性物品20を適宜用いることができる。しかし、好適には、吸収コアが比較的柔らかい吸収性物品20を好適に用いることができる。後述のように、本実施の形態の収容体1は、吸収コアが局所的に硬くなることを抑制するように構成されているためである。具体的には、吸収性物品20は、吸収コアを含む領域が、長手方向及び幅方向において、5.0~35.0mN・mの曲げ剛性値であってよい。当該曲げ剛性は、例えば、以下の手順に従って測定される。(1)恒温恒湿室(20±2℃・60±5%RH)に、イマダ製トルク試験機、EX-0762を準備する。ロードセルは、引張・圧縮の50Nにセットし、トルクは1Nにセットする。(2)サンプルを、表1に示すとおりに切り出す。(3)サンプルの測定方向両端に、治具間隔が表1に示すとおりとなるように、50mm×20mmのサイズの布テープを、その長手方向が測定方向と直交するように貼付し、サンプルの測定方向両端につかみ部を形成する。(4)サンプルを治具に取付け、表1に示す条件にて、その最大トルク値(mN・m)を測定する。(5)測定は、異なるサンプルにて5回実施し、それらの平均値を曲げ剛性値として採用する。
【表1】
【0028】
収容シート10は、樹脂製のフィルムからなり、略直方形に成形されてよい。収容体1は、略直方形に成形された状態で第1面101から第6面106を有する六面体であってよい。第1面101から第6面106は、矩形の面であってもよい。第1面101から第6面106は、互いに交わる境界において垂直に交わらずに、曲線状に交わっていてもよい。第1面101と第2面102とは、互いに対向して配置され、第3面103と第4面104とは互いに対向して配置され、第5面105と第6面106とは、互いに対向して配置されている。第1面101は、後述するシート接合部11が設けられた面である。なお、シート接合部11が複数の面に設けられた形態(本実施の形態のシート接合部11は、第1面101と第2面102に設けられている)においては、シート接合部11が形成された面のうち任意の面を第1面101としてよい。収容体1には、吸収性物品20を取り出す開封口を形成するための切り取り線3が形成されてよい。本実施の形態の切り取り線3は、第1面に設けられおり、シート接合部11と第2方向Yに間隔を空けて、第1方向Xに沿って延びている。
【0029】
収容体1は、互いに直交する第1方向X、第2方向Y及び延出方向Zを有する。第1面101及び第2面102は、第1方向Xに延びる辺と、第2方向Yに延びる辺と、に囲まれた面である。第1面101及び第2面102は、延出方向Zに離間し、互いに対向している。第3面103及び第4面104は、第1方向Xに延びる辺と、延出方向Zに延びる辺と、に囲まれた面である。第3面103及び第4面104は、第2方向Yに離間し、互いに対向している。第5面105及び第6面106は、第2方向Yに延びる辺と、延出方向Zに延びる辺と、に囲まれた面である。第5面105及び第6面106は、第1方向Xに離間し、互いに対向している。本実施の形態の収容体1は、第1面101から第6面106のうち第3面103及び第4面104の面積が大きく、第3面103が正面を構成し、第4面104が背面を構成する。第5面105が上面を構成し、第6面106が下面を構成する。第1面101及び第2面102は、側面を構成する。
図1に示す状態において、第1方向Xは、縦方向に延びており、第2方向Yは、奥行方向に延びており、延出方向Zは、横方向に延びている。延出方向Zは、後述するシート接合部11とシート縁部12が隣接する方向である。
【0030】
収容シート10は、熱可塑性樹脂製のシートによって構成されてよい。収容シート10は、熱可塑性樹脂製のシートを少なくとも有していればよく、他のシートと重ねられた積層シートであってもよい。シート接合部11は、収容シート10同士が接合された部分である。熱溶着、超音波溶着等の溶着によって接合された部分であってよく、接着剤で接着された部分であってもよい。シート縁部12は、シート接合部11よりも延出方向Zの外側に位置する。シート縁部12は、収容シート10同士が接合されていない部分、又はシート接合部11よりも弱い接合力で収容シート10同士が接合された部分である。シート接合部11とシート縁部12は、第1方向Xに沿って延びている。シート接合部11とシート縁部12は、延出方向Zに隣接しており、延出方向Zに所定長さを有する。シート接合部11及びシート縁部12は、第1面101に設けられている。なお、シート接合部11及びシート縁部12は、第1面101以外の面に設けられていてよく、本実施の形態では、第2面102にも設けられている。当該実施形態において、一定の方向に延びる構成は、当該方向に平行な構成のみならず、当該方向に対して45度未満で延びる構成も含む概念である。好適には、シート接合部11とシート縁部12は、第1方向Xに対して10度未満で傾斜してよく、より好適には、第1方向Xに対して5度未満で傾斜してよい。
【0031】
次いで、このように構成された収容体1における収容体1の美観が低下することを抑制し、かつ、吸収性物品20を衛生的に収容するための構成について詳細に説明する。
図3に示すように、収容体1のシート縁部12の延出方向Zの長さZ12は、シート接合部11の延出方向Zの長さZ11よりも短い。収容シート10は、一般的に可撓性がある資材を用いられることが多い。よって、本実施の形態のおける位置関係及び長さは、特段の言及がない限り、収容体1の伸長状態にて測定する。よって、シート接合部11及びシート縁部12を延出方向Zに伸長させた状態において、Z12<Z11を満たしてよい。また、シート接合部11の延出方向Zの長さZ11及びシート縁部12の延出方向Zの長さZ12が第1方向Xの位置において変化する形態にあっては、シート接合部11とシート縁部12が隣り合う位置で比較する。具体的には、延出方向Zに平行な仮想線を引き、当該仮想線上において、Z12<Z11を満たしてよい。本実施の形態の収容体1は、シート縁部12の延出方向Zの長さが比較的短く構成されている。そのため、シート縁部12が起立せずに第1面101の外面に沿ってシート縁部12が配置された場合であっても、シート縁部12が第1面101のデザイン等の表示を阻害し難い。また、シート縁部12が起立した場合であっても、剛性が比較的低いシート縁部12が安定せずに配置されることによる美観の低下を抑制できる。
【0032】
吸収性物品20をガセットチューブ袋(収容シート10)に挿入する際は、複数の吸収性物品20を積層した状態で、厚み方向に押圧しつつ挿入する。このとき、押圧し過ぎると、吸収コアが局所的に堅くなってしまい、吸収性能を阻害したり、装着感が悪化したりするおそれがある。そのため、吸収性物品20が押圧され過ぎないように、袋の内寸法に対してゆとりをもたせつつ吸収性物品20の積層体を挿入する。このように、袋の内寸法と積層体の外寸法に寸法差が生じると、シート接合部11及びシート縁部12における収容シート10同士の位置がずれ易い。
図4に、
図1に示すB部分を基準とした拡大図において、収容シート10同士の位置ずれを示す。
図4に示すように、第3面103側の収容シート10と第4面104側の収容シート10とが、第1方向Xにずれた状態でシート接合部11が形成されると、両収容シートが接合加工された部分(シート接合部11に対応)と、一方の収容シート(
図4では、第4面104側の収容シート10)のみが接合加工された部分(
図4の斜線かつ符号13で示した部分)と、が形成される。そのため、両収容シート10が接合加工されたシート接合部11よりも第1方向Xの外側には、一方の収容シートが延出した延出部分13が形成され、シート接合部11よりも延出方向Zの外側に両収容シートが接合されずに重なった部分(シート縁部12に対応)が形成される。シート縁部12の延出方向Zの長さが比較的長いと、収容シート10同士の位置がずれることで形成された延出部分13も目立ち易くなり、美観を損ねるおそれがある。しかし、シート縁部12の延出方向Zの長さZ12が短いため、収容シート10同士の位置がずれを目立ち難くできる。一方、シート接合部11の延出方向Zの長さZ11が長いため、比較的高い剛性のシート接合部11が起立し、当該シート接合部11に追従してシート縁部12も立ち上がり易い。シート縁部12も起立することで、シート縁部12が第1面101に沿うこと(ねてしまうこと)に起因した収容体1の美観の低下を抑制できる。また、シート接合部11の延出方向Zの長さZ11が長いため、シート接合部11による接合強度を確保できる。よって、使用者が誤ってシート接合部11を開封しようとしても、開封できず、衛生的に吸収性物品20を収容し続けることができる。
【0033】
シート接合部11の延出方向の長さZ11は、1mm以上であってよく、好適には、1.5mm以上であってよい。また、シート縁部12の延出方向の長さZ12は、1.5mm未満であってよく、好適には、1.0mm未満であってよい。また、シート接合部11の延出方向の長さZ11に対するシート縁部12の延出方向の長さZ12の比率は、1.0mm未満であればよいが、好適には、0.7以下であってよい。
【0034】
図3(A)に示すように、収容シート10は、シート接合部11において接合され、シート縁部12において離間可能に重なる第1領域R1と第2領域R2を有してよい。第1領域R1は、第3面103側に位置し、第3面103から延びる領域に位置する。第2領域R2は、第4面104側に位置し、第4面104から延びる領域に位置する。シート縁部12は、シート接合部11側に位置する根元端121と、シート縁部12の根元端121と反対側の先端122と、を有する。収容体1の自然状態において、第1領域R1におけるシート縁部12の根元端121と先端122とを繋ぐ第1仮想線FL1と、延出方向Zと、がなす角度αは、25度以下であってよい。また、収容体1の自然状態において、第2領域R2におけるシート縁部12の根元端121と先端122とを繋ぐ第2仮想線FL2と、延出方向Zと、がなす角度βは、25度以下であってよい。当該構成によれば、両方のシート縁部12は、起立し、かつ第1面101の外面に沿って配置されないため、シート縁部12が第1面101のデザイン等の表示を阻害し難い。
【0035】
また、第1仮想線FL1と第2仮想線FL2の成す角度は、50度以下である。仮に一方のみが起立し、他方が第1面101の外面に沿って配置されると、第1領域R1と第2領域R2が離間して配置されることとなり、一方が引っかかった際等に第1領域R1と第2領域R2が離間する方向に引っ張られ、意図せずにシート接合部11が開封するおそれがある。しかし、第1領域R1と第2領域R2が50度以下の鋭角をなし、互いに沿って配置されるため、シート接合部11が意図せずに開封することを抑制できる。第1仮想線FL1と第2仮想線FL2の成す角度は、50度以下であればよいが、好適には、25度以下であってよく、より好適には、10度以下であってよい。
【0036】
図5は、シート接合部11の断面を模式的に示した図である。
図5は、シート接合部11の延出方向の中心を基準とした断面である。
図5(A)は、本実施の形態のシート接合部11を示しており、
図5(B)は、比較例に係るシート接合部11を示している。シート接合部11は、第1領域R1と第2領域R2が共に押圧された押圧部40を複数有する。押圧部40は、第1方向Xに沿って複数設けられてよい。押圧部40は、第1領域R1側から第2領域R2側に凹む第1押圧部41と、第2領域R2側から第1領域R1側に凹む第2押圧部42と、を有してよい。すなわち、押圧部40は、第1領域R1側から押圧されて形成されるとともに、第2領域R2側からも押圧されて形成されている。第1押圧部41と第2押圧部42は、第1方向X及び延出方向Zのいずれかにおいてずれて配置されている。すなわち、第1方向Xにおける第1押圧部41の位置と第2押圧部42の位置が異なっていてもよいし、延出方向Zにおける第1押圧部41の位置と第2押圧部42の位置が異なっていてもよい。本実施の形態では、延出方向Zにおける第1押圧部41の位置と第2押圧部42の位置は、一致しており、第1方向Xにおける第1押圧部41の位置と第2押圧部42の位置が異なっている。
【0037】
例えば、
図5(B)に示す比較例のように、第1領域R1と第2領域R2のうち一方側から押圧された押圧部40のみを有する形態にあっては、一方側からの外力に対する曲げ剛性と、他方側からの外力に対する曲げ剛性と、が異なる。よって、シート縁部12及びシート接合部11が起立した状態を維持し難く、収容体1の外面のデザインを被覆してしまい、収容体の美観が低下するおそれがある。しかし、第1押圧部41及び第2押圧部42が設けられていることにより、何れの方向の外力に対してシート接合部11が変形しても元に戻り易いため、シート縁部12及びシート接合部11が起立した状態を維持し易い。また、シート接合部11が変形しても元に戻り易いことにより、吸収コアに局所的に力が掛かることを抑制し、吸収性能を維持できる。
【0038】
第1押圧部41と第2押圧部42は、第1方向Xにおいて交互に配置されてよい。シート接合部11が延びる第1方向Xに、第1押圧部41と第2押圧部42が交互に配置されているため、シート接合部11には、第1方向Xに沿って複数の変形起点が形成される。よって、シート接合部11が変形した際に、元の状態に戻り易くなり、シート接合部11及びシート縁部12が起立した状態を維持し易い。また、シート接合部11が変形しても元に戻り易いため、吸収コアに局所的に力が掛かることを抑制し、吸収性能をより維持できる。
【0039】
シート接合部11は、押圧部40が設けられた高圧搾部と、高圧搾部よりも相対的に圧搾度が低い低圧搾部と、を有してよい。ここで圧搾度は、圧搾する際の押し込み量、又は圧搾された部分の深さによって比較的できる。本実施の形態では、第1押圧部41が高圧搾部を構成し、第2押圧部42が低圧搾部を構成する。シート接合部11に剛性の異なる高圧搾部と低圧搾部が形成されるため、当該剛性の違いによってシート接合部11に変形起点が形成される。よって、シート接合部11が変形した際に、戻り易くなり、シート接合部11及びシート縁部12が起立した状態を維持し易い。また、シート接合部11が変形しても元に戻り易いため、吸収コアに局所的に力が掛かることを抑制し、吸収性能を維持できる。
【0040】
図1においては、説明の便宜上、第1面101におけるシート接合部11及びシート縁部12の形状と、第2面102におけるシート接合部11及びシート縁部12の形状と、を異ならせて示している。しかし、収容体1は、第1面101におけるシート接合部11及びシート縁部12の形状と、第2面102におけるシート接合部11及びシート縁部12の形状と、が同じであってよい。第2面102のシート接合部11に示すように、シート接合部11には、収容シート10が着色された着色領域R3が設けられてよい。着色領域R3は、収容シートが顔料又はインクによって着色された領域である。押圧部40の少なくとも一部は、着色領域R3に設けられてよい。着色領域R3は、顔料又はインクによって、非着色領域よりも剛性が高くなり易い。当該着色領域R3に押圧部40を設けることで、着色領域R3が起立し易くなり、シート接合部11の起立性をより維持し易くなる。
【0041】
図1の第2面に示すように、シート縁部12の先端122は、ジグザグ状又は波状をなしてよい。シート縁部12の先端122がジグザグ状又は波状であるため、シート縁部12の先端122に第1方向Xに離間した複数の変形起点が形成される。よって、シート縁部12が変形した際に、戻り易くなり、シート縁部12が起立した状態を維持し易い。また、シート縁部12の先端122が直線形状の構成と比較して、シート縁部12の面積を抑えつつシート縁部12の延出方向Zの長さを確保できる。シート縁部12の面積を抑えることにより、シート縁部12によって収容体の外面を覆う面積を抑制でき、美観の低下を抑制できる。また、シート縁部12が変形しても元に戻り易いため、吸収コアに局所的に力が掛かることを抑制し、吸収性能を維持し易い。なお、
図1の第1面101に示すように、シート縁部12の先端122は、直線状であってもよい。
【0042】
シート接合部11には、吸収性物品20の情報を示す表示部が設けられてよい。吸収性物品の情報とは、吸収性物品の製品名、ブランド表記、種別(生理用ナプキン、使い捨ておむつ)、性能(羽根つき、夜用)、及びキャラクターの形や名称を含むものである。シート接合部11の表示部によって使用者の注意をひくことで、相対的にシート縁部12を目立ち難くすることができ、シート縁部12による美観の低下を抑制できる。なお、表示部は、収容シート10の印刷によって構成されていてもよいし、押圧部40によって構成されていてもよい。具体的には、複数の押圧部40の集合体によって所定の情報(キャラクターの絵柄や文字)を示してもよいし、個々の押圧部40の形状(各押圧部の外形で文字を示す)によって所定の情報を示してもよい。
【0043】
着色領域R3において、収容シートが個々の押圧部40の色は、周囲の非押圧部(押圧されていない部分)よりも薄くてもよい。当該色の違いによって押圧部の存在が目立ちやすくなる。よって、使用者は、押圧部の存在によって収容体1の密閉性を把握でき、衛生面の安心感を得ることができ、また、押圧部40によって表示部を構成した際に、当該表示部を目立たせることができる。また、押圧部が高圧搾部と低圧搾部を有する形態にあっては、高圧搾部の色が低圧搾部の色よりも薄くてもよい。当該色の違いによって高圧搾部の存在が目立ちやすくなる。よって、高圧搾部の色と低圧搾部の色の違いによって表示部やデザインを示したり、高圧搾部の存在によって収容体1の密閉性を示したりできる。
【0044】
図6は、第1面101と第2面102の両方に、シート接合部11が設けられた一例を示した図である。
図6(A)に示すように、第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11は、第1方向Xに平行な沿う仮想線FL3に対して同方向に傾斜してよい。すなわち、収容体1を一方の側面(例えば、第1面101)から見た状態で、いずれのシート接合部11も、仮想線FL3に対して同じ方向に傾いている。なお、同方向に傾斜した状態は、角度が一致していなくてもよく、傾く方向が同じであればよい。例えば、
図6(A)に示す形態にあっては、第1面101のシート接合部11及び第2面102のシート接合部11は、いずれも、第5面105側から第6面106側に向かって(
図6における上側から下側に向かって)、第3面103側から第4面104側(
図6における奥行側から手前側)に向かって傾いている。第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11が逆方向に傾斜すると、内部に収容された吸収性物品20にねじれ方向の力がかかり、吸収コアがよれたり、局所的に堅くなったりして吸収性能が低下するおそれがある。しかし、第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11が同方向に傾斜しているため、吸収コアにねじれ方向の力がかからず、吸収性能を確保できる。
【0045】
また、変形例において、
図6(B)に示すように、第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11は、第1方向Xに平行な仮想線FL3に対して逆方向に傾斜してよい。すなわち、収容体1を一方の側面(例えば、第1面101)から見た状態で、第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11が交差するように配置されている。例えば、
図6(B)に示す形態にあっては、第1面101のシート接合部11は、第5面105側から第6面106側に向かって(
図6における上側から下側に向かって)、第3面103側から第4面104側(
図6における奥行側から手前側)に向かって傾き、第2面102のシート接合部11は、第5面105側から第6面106側に向かって(
図6における上側から下側に向かって)、第4面104側から第3面103側(
図6における手前側から奥行側)に向かって傾いている。本態様によれば、第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11が逆方向に傾斜するため、各シート接合部11によって互い異なる方向に支持する力が作用し、収容体1を安定して配置できる。なお、収容体1を安定して配置するためには、第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11の全体が逆方向に傾斜していなくてもよく、収容体の底面に近い側の部分(例えば、シート接合部の1/3以上の長さ分)において逆方向に傾斜していればよい。
【0046】
図2に示すように、第1面101のシート接合部11と第2面102のシート接合部11との延出方向Zの間隔をG11とし、吸収性物品20の延出方向Zの長さをZ20とし、第1面101のシート接合部11の延出方向Zの長さをZ111とし、第2面のシート接合部の延出方向の長さをZ112とすると、Z111+Z112>(G11-Z20)を満たしてよい。吸収性物品20の延出方向Zの長さをZ20は、包装シートを含む吸収性物品全体の長さであってよい。(Z111+Z112)は、比較的剛性が高く、変形しにくい領域である。一方、(G11-Z20)は、吸収性物品が収容体内で移動できる長さであり、変形し易い領域である。変形し易い領域の長さが短いため、(Z111+Z112)によって収容体同士の位置ずれを抑制しつつ、収容体1内の吸収性物品20の位置ずれを抑制できる。また、(G11-G20)が短いと、吸収性物品20が収容体内で動きにくく、吸収性物品20が傷付き難い。よって、吸収性物品の品質を保ちやすい。一方、(Z111+Z112)が長いことにより、容器内で収容体が配置された状態で、(Z111+Z112)が緩衝領域となり、吸収性物品が傷付き難く、吸収性物品の品質を保ちやすい。
【0047】
シート接合部間の延出方向Zの間隔G11は、吸収性物品の延出方向Zの長さZ20よりも長く、吸収性物品20の延出方向Zの長さZ20は、本体部21の延出方向Zの長さZ21よりも長くてよい。吸収性物品の包装シート(個包装体)が折れられない状態で、収容体内に吸収性物品20を保持できる。また、好適には、吸収性物品のうち、本体部21の延出方向Zの長さをZ21とすると、Z111+Z112>(G11-Z21)を満たしてよい。当該構成によれば、(G11-Z21)が緩衝領域として機能し、吸収性物品の品質をより保ちやすい。
【0048】
Z111<(G11-Z20)を満たし、Z112<(G11-Z20)を満たしてよい。(G11-Z20)は、収容体内において吸収性物品がずれを吸収できる空間の長さであり、比較的変形し易い領域である。Z111(Z112)が(G11ーZ20)よりも短いため、第1面101のシート接合部11(又は、第2面102のシート接合部11)が収容体1内部側に押圧されても、吸収性物品20が変形することを抑制できる。
【0049】
図4に示すように、第1領域R1と第2領域R2が第1方向にずれた形態にあっては、延出部分13の第1方向Xのずれの長さをX13とすると、Z111>X13を満たし、Z112>X13を満たしてよい。ずれ(延出部分)の長さX13がシート接合部11の延出方向の長さよりも長いと、延出部分が目立って見た目が悪くなるとともに、延出部分13がひっかかって意図せずにシート接合部が開封するおそれがある。しかし、Z111>X13を満たし、Z112>X13を満たすため、延出部分の長さ以上にシート接合部の幅を確保し、見た目の悪化を抑制できると共に、意図せずにシート接合部11が開封することを抑制できる。Z111に対するX13の比率及びZ112に対するX13の比率は、1.0未満であればよいが、好適には、0.5未満であってよく、より好適には、0.3未満であってよい。当該構成によれば、延出部分13が目立ち難く、収容体の美観の低下をより抑制できる。また、延出部分13は、シート接合部11を形成する際に、シート接合部11が形成される領域と併せて接合加工されることがある。シート接合部11が形成される領域は、少なくとも2枚の収容シートが重なっているが、延出部分13は、1枚の収容シートのみが配置されている。そのため、接合加工によって延出部分13の収容シートが意図せずに破れる等の不具合が発生する可能性がある。そのため、延出部分は、収容シートの接合加工がなされない(押圧されない)部分であってもよい。
【0050】
次いで、
図7を参照して、吸収性物品のパッケージ群100(以下、パッケージ群100とする)を説明する。パッケージ群100は、上述の収容体1を複数備える。本実施の形態の収容体は、第1収容体51と、第2収容体52と、を備える。第1収容体51の延出方向Zの長さZ51は、第2収容体52の延出方向Zの長さZ52よりも長い。また、第1収容体51の第1方向Xの長さは、第2収容体52の第1方向Xの長さよりも長くてよいし、第1収容体51の第2方向Yの長さY51は、第2収容体52の第2方向Yの長さY52よりも長くてよい。第1収容体51におけるシート接合部11とシート縁部12を合わせた延出方向Zに沿う第1長さZ511は、第2収容体52におけるシート接合部11とシート縁部12を合わせた延出方向Zに沿う第2長さZ521と同じである。ここで、第1長さZ511と第2長さZ521が同じ長さである状態は、実質的に同じであればよく、その誤差が、一方の長さに対する5%以内であればよい。第1収容体51と第2収容体52は、収容体全体の延出方向の長さが異なるが、シート接合部11及びシート縁部12を併せた長さ(第1長さZ511と第2長さZ521)が同じである。第1収容体51は、第2収容体52よりも大きく、シート接合部11及びシート縁部12が占める比率が低く、美観を向上できる。また、シート接合部11及びシート縁部12が占める比率が異なるが、第1長さZ511と第2長さZ512が同じであるため、第1収容体51と第2収容体52が関連するパッケージ群であることを消費者が認識し易くなる。
【0051】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 :収容体
5 :収容空間
10 :収容シート
11 :シート接合部
12 :シート縁部
121 :根元端
122 :先端
20 :吸収性物品
40 :押圧部
41 :第1押圧部
42 :第2押圧部
51 :第1収容体
52 :第2収容体
100 :パッケージ群
101 :第1面
102 :第2面
FL1 :第1仮想線
FL2 :第2仮想線
FL3 :仮想線
R1 :第1領域
R2 :第2領域
R3 :着色領域
X :第1方向
Y :第2方向
Z :延出方向
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収コアを有する複数の吸収性物品を、熱可塑性樹脂製の収容シートによって収容した吸収性物品の収容体であって、
前記収容体の第1面には、前記収容シート同士が接合されたシート接合部と、前記シート接合部よりも前記収容体の外側に前記収容シートが延出したシート縁部と、が設けられており、
前記シート接合部及び前記シート縁部は、延出方向に隣接し、かつ前記延出方向に所定長さを有し、
前記シート縁部の前記延出方向の長さは、前記シート接合部の前記延出方向の長さよりも短く、
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容体は、前記第1面と対向して配置された第2面を有し、
前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられており、
前記第1面の前記シート接合部と前記第2面の前記シート接合部は、前記第1方向に平行な仮想線に対して同方向に傾斜している、吸収性物品の収容体。
【請求項2】
吸収コアを有する複数の吸収性物品を、熱可塑性樹脂製の収容シートによって収容した吸収性物品の収容体であって、
前記収容体の第1面には、前記収容シート同士が接合されたシート接合部と、前記シート接合部よりも前記収容体の外側に前記収容シートが延出したシート縁部と、が設けられており、
前記シート接合部及び前記シート縁部は、延出方向に隣接し、かつ前記延出方向に所定長さを有し、
前記シート縁部の前記延出方向の長さは、前記シート接合部の前記延出方向の長さよりも短く、
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容体は、前記第1面と対向して配置された第2面を有し、
前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられており、
前記第2面の前記シート接合部と前記第1面の前記シート接合部は、前記第1方向に平行な仮想線に対して逆方向に傾斜している、吸収性物品の収容体。
【請求項3】
前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有し、
前記シート縁部は、前記シート接合部側に位置する根元端と、前記シート縁部の前記根元端と反対側の先端と、を有し、
前記収容体の自然状態において、前記第1領域における前記シート縁部の前記根元端と前記先端とを繋ぐ第1仮想線と、前記延出方向と、がなす角度は、25度以下であり、
前記収容体の自然状態において、前記第2領域における前記シート縁部の前記根元端と前記先端とを繋ぐ第2仮想線と、前記延出方向と、がなす角度は、25度以下である、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項4】
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有し、
前記シート接合部は、前記第1領域と前記第2領域が共に押圧された押圧部を複数有し、
前記押圧部は、前記第1領域側から前記第2領域側に凹む第1押圧部と、前記第2領域側から前記第1領域側に凹む第2押圧部と、を有し、
前記第1押圧部と前記第2押圧部は、前記第1方向及び前記延出方向のいずれかにおいてずれて配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項5】
前記第1押圧部と前記第2押圧部は、前記第1方向において交互に配置されている、請求項4に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項6】
前記シート接合部は、前記押圧部が設けられた高圧搾部と、前記高圧搾部よりも相対的に圧搾度の低い低圧搾部と、を有する、請求項4又は請求項5に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項7】
前記シート接合部には、前記収容シートが着色された着色領域が設けられており、
前記押圧部の少なくとも一部は、前記着色領域に設けられている、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項8】
前記シート縁部の先端は、ジグザグ状又は波状をなしている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項9】
前記収容体は、前記第1面と対向して配置された第2面を有し、
前記第2面には、前記シート接合部と前記シート縁部が設けられており、
前記第1面の前記シート接合部と前記第2面の前記シート接合部との前記延出方向の間隔をG11とし、
前記吸収性物品の延出方向の長さをZ20とし、
前記第1面のシート接合部の前記延出方向の長さをZ111とし、
前記第2面のシート接合部の前記延出方向の長さをZ112とすると、
(Z111+Z112)>(G11-Z20)を満たす、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項10】
Z111<(G11-Z20)を満たし、Z112<(G11-Z20)を満たす、請求項9に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項11】
前記シート接合部及び前記シート縁部は、前記延出方向と直交する第1方向に沿って延びており、
前記収容シートは、前記シート接合部において接合され、前記シート縁部において離間可能に重なる第1領域と第2領域を有し、
前記第1領域と前記第2領域の前記第1方向のずれの長さをX13とすると、
Z111>X13を満たし、Z112>X13を満たす、請求項9又は請求項10に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項12】
前記シート接合部には、前記吸収性物品の情報を示す表示部が設けられている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。