(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008453
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20230112BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230112BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20230112BHJP
F16N 5/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B05C1/02 104
B05C11/10
B05C11/00
F16N5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112024
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸一
【テーマコード(参考)】
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
4F040AA04
4F040AA33
4F040AB08
4F040AB20
4F040BA03
4F040CA15
4F040CC02
4F040DA02
4F040DA07
4F040DA12
4F040DA13
4F040DA18
4F042AA03
4F042AA29
4F042AB00
4F042BA12
4F042CB03
4F042DD11
4F042DD16
4F042DD41
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】塗布剤を柱状部材の周面に均一な厚さでムラなく塗布する。
【解決手段】グリス(塗布剤)を柱状部材90の周面に塗布する塗布装置であって、柱状部材90においてグリスを塗布する塗布部91が挿入される穴部31が形成されて、外周の側から穴部31に向けてグリスを供給するための供給路32が穴部31を中心に周方向に間隔をあけて複数形成された筒状部材30が設けられている。また、筒状部材30において塗布部91にグリスが塗布された柱状部材90を穴部31から引き抜く動作に連動して、塗布部91に塗布されたグリスの塗布量を規制する規制部材40が設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布剤を柱状部材の周面に塗布する塗布装置であって、
前記柱状部材において塗布剤を塗布する塗布部が挿入される穴部が形成されて、外周の側から前記穴部に向けて塗布剤を供給するための供給路が前記穴部を中心に周方向に間隔をあけて複数形成された筒状部材と、
前記筒状部材において前記塗布部に塗布剤が塗布された前記柱状部材を前記穴部から引き抜く動作に連動して、前記塗布部に塗布された塗布剤の塗布量を規制する規制部材と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記筒状部材の前記穴部に対して前記柱状部材の挿入方向の上流側に配置されて、前記穴部の大きさに対して同等以下の大きさの規制穴部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記規制穴部は、前記穴部の側の端部に、周面状にエッジ部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記規制穴部が前記挿入方向に同じ穴の大きさで所定長さ形成されて、前記規制穴部の前記挿入方向の上流側端部から前記挿入方向の上流側に向けて穴の大きさが漸増するように形成されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記複数の供給路の上流側にそれぞれ連通する複数のノズルが前記穴部を中心に周方向に間隔をあけて設置されて、貯留部に貯留された塗布剤を前記複数のノズルを介して前記複数の供給路に分配して吐出する分配部材を備えたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項6】
前記分配部材に着脱可能に連結されて、前記貯留部に向けて塗布剤を供給する供給ユニットを備えたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項7】
前記分配部材に供給された塗布剤の温度を直接的又は間接的に検知する温度検知手段を備え、
前記温度検知手段の検知結果に基づいて、前記供給ユニットから前記分配部材に供給する供給時間が制御されることを特徴とする請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記供給ユニットは、前記分配部材にルアーロック又は2条ネジによって連結されるシリンジを具備したことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記穴部に挿入された前記柱状部材の姿勢と挿入方向の位置とを定める位置決め部が設けられたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項10】
前記穴部に挿入された前記柱状部材の挿入方向の位置が狙いの位置であることを検知する位置検知手段を備えたことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項11】
前記塗布剤は、グリスであることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、グリスなどの塗布剤を軸などの柱状部材の周面に塗布する塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、グリスなどの塗布剤を塗布対象物に塗布するための塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、塗布対象物の平面上に、円周状に間隔をあけてグリスを塗布する塗布装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の塗布装置は、グリスなどの塗布剤を、軸などの柱状部材の周面に、均一な厚さでムラなく塗布するのが難しかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、塗布剤を柱状部材の周面に均一な厚さでムラなく塗布しやすい、塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における塗布装置は、塗布剤を柱状部材の周面に塗布する塗布装置であって、前記柱状部材において塗布剤を塗布する塗布部が挿入される穴部が形成されて、外周の側から前記穴部に向けて塗布剤を供給するための供給路が前記穴部を中心に周方向に間隔をあけて複数形成された筒状部材と、前記筒状部材において前記塗布部に塗布剤が塗布された前記柱状部材を前記穴部から引き抜く動作に連動して、前記塗布部に塗布された塗布剤の塗布量を規制する規制部材と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塗布剤を柱状部材の周面に均一な厚さでムラなく塗布しやすい、塗布装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における塗布装置を示す全体構成図である。
【
図6】柱状部材の外周面にグリスを塗布する手順を示す図である。
【
図7】変形例1としての、塗布用アタッチメントを示す断面図である。
【
図8】変形例2としての、分配部材を示す側面図である。
【
図9】変形例3としての、塗布装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、塗布装置1の全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における塗布装置1は、塗布剤としてのグリスを柱状部材90の周面(外周面)に塗布する装置である。
図1に示すように、本実施の形態において、塗布装置1は、供給ユニット2、3、塗布用アタッチメント10、土台100などで構成されている。
なお、本実施の形態では、
図1、
図2、
図6等において、柱状部材90として、円柱状の軸部材を図示している。
【0011】
供給ユニットは、シリンジ2、ディスペンサ3などで構成されていて、塗布用アタッチメント10(分配部材20)の貯留部21(
図2参照)に向けて潤滑剤としてのグリスを供給するものである。
シリンジ2は、その内筒部にグリス(塗布剤)が充填されていて、後述する分配部材20の連結部24(
図2参照)にルアーロック(又は、2条ネジ)によってしっかりと連結されている。このような連結方法を用いることで、グリスを供給しているときに、シリンジ2が分配部材20(塗布用アタッチメント10)から外れてしまう不具合が生じにくくなる。
ディスペンサ3(供給ユニット)は、単位時間当たりに分配部材20(貯留部21)に供給するグリス(塗布剤)の供給量が略一定になるように制御されるものである。ディスペンサ3としては、例えば、シリンジ2の内筒部に嵌合する押子を一定速度で押し込むものを用いることができる。
【0012】
本実施の形態において、供給ユニット2、3は、分配部材20(塗布用アタッチメント10)に着脱可能に連結されているため、外径や断面形状や塗布範囲や塗布位置などが異なる柱状部材90(軸部材)が塗布対象となる場合であっても、その塗布対象に対応する塗布用アタッチメント10を適宜付け替えてグリス塗布作業をおこなうことが可能になる。
なお、本実施の形態では、供給ユニット2、3として、塗布用アタッチメント10に自動でグリスを供給するものを用いたが、塗布用アタッチメント10に手動でグリスを供給するものを用いることもできる。そのようなものとしては、例えば、シリンジ2の内筒部に嵌合する押子を手動で押し込むものを用いることができる。そして、そのように構成した場合には、安価で簡単な塗布装置1を提供することができる。
【0013】
図1を参照して、土台100は、柱状部材としての柱状部材90の非塗布部を固定支持するものである。
そして、土台100に支持された柱状部材90の塗布部91(塗布範囲)に、塗布装置1によってグリスが塗布されることになる。
なお、土台100は、外径や断面形状などが異なる柱状部材90を固定可能な可動式チャッキングが設置されている。
また、土台100は、固定された柱状部材90の中心軸Z(
図1において一点鎖線で示している。)が、塗布用アタッチメント10の穴部31(
図4等参照)や規制穴部41(
図5等参照)の中心軸Zと一致するように塗布装置1に設置されている。
なお、本実施の形態では、柱状部材90を土台100で固定するものを用いたが、土台で固定することなく、人の手で把持した柱状部材90を、固定した塗布用アタッチメント10に差し込むものを用いることもできる。そして、そのように構成した場合には、安価で簡単な塗布装置1を提供することができる。
【0014】
図2等を参照して、塗布用アタッチメント10は、分配部材20、筒状部材30、規制部材40などで構成されている。
本実施の形態において、分配部材20と筒状部材30と規制部材40とは、円筒状のソケット11(
図1参照)内に分割可能に収納されている。
【0015】
図2、
図3等に示すように、分配部材20は、貯留部21(供給ユニット2、3からグリスが直接的に供給される部分である。)に貯留されたグリス(塗布剤)を複数のノズル22(本実施の形態では、6つのノズル22である。)を介して複数の供給路32(後述する筒状部材30に同じ数だけ設けられている。
図4参照)に分配して吐出するものである。
図3を参照して、複数のノズル22は、複数の供給路32の上流側(外周の側)にそれぞれ連通するものであって、穴部31(後述する筒状部材30の穴部である。)を中心に周方向に間隔をあけて設置されている。
具体的に、本実施の形態では、6つのノズル22が、中心軸Zを中心にして、周方向に等間隔に配置されている。
【0016】
図2、
図4等に示すように、筒状部材30は、柱状部材90においてグリス(塗布剤)を塗布する塗布部91が挿入される穴部31が形成されている。また、筒状部材30には、外周の側から穴部31に向けてグリスを供給するための供給路32が穴部31を中心に周方向に間隔をあけて複数形成されている。
具体的に、本実施の形態では、6つの供給路32が、それぞれ径方向に延びるように、中心軸Z(穴部31)を中心にして等間隔に放射状に配置されている。
【0017】
そして、供給ユニット2、3によって分配部材20の貯留部21に供給されたグリスは、6つのノズル22をそれぞれ介して、筒状部材30の6つの供給路32に供給される。そして、6つの供給路32にそれぞれ供給されたグリスG0は、穴部31に挿入された柱状部材90の塗布部91に周方向にわたって塗布されることになる(
図6(B)参照)。すなわち、塗布用アタッチメント10において、グリスは
図2の黒矢印方向に流動して、柱状部材90の外周面に供給されることになる。
【0018】
図2、
図5、
図6等に示すように、規制部材40は、筒状部材30において塗布部91にグリスG0が塗布された柱状部材90を穴部31から引き抜く動作に連動して、塗布部91に塗布されたグリスの塗布量(厚さ)を規制するものである。
詳しくは、規制部材40は、略円筒状の部材であって、筒状部材30の穴部31の大きさ(穴径M)に対して同等以下の大きさ(穴径N)の規制穴部41が形成されている(M≧N)。この規制穴部41は、筒状部材30の穴部31に対して柱状部材90の挿入方向の上流側(
図2、
図5、
図6の右側である。)に、穴部31に隣接するように配置されている。
【0019】
具体的に、本実施の形態において、規制部材40には、筒状部材30を嵌め込むための嵌込み穴部43(穴部31や規制穴部41と同心円状に形成されている。)が形成されている。
また、規制穴部41は、狙いの塗布部91の厚さ(規制量)に応じて定められている。例えば、柱状部材90の外径がA(mm)であって、塗布部91の狙いの厚さ(グリスの層厚)がB(mm)であるとすると、規制穴部41の穴径は概ねA+2B(mm)に設定される。
【0020】
そして、
図6(B)に示すように、筒状部材30において塗布部91にグリスG0が塗布された柱状部材90が、
図6(C)に示すように、筒状部材30(穴部31)から引き抜かれていくときに、塗布部91に塗布された余分なグリスG0´が規制穴部41の端部(エッジ部41aである。)に掻き取られる。これにより、柱状部材90の塗布部91に狙いの厚さのグリスG1が塗布されることになる。
なお、
図6(A)に示すように、柱状部材90の塗布部91が先端面(
図6の左側端面である。)から離れた位置に設定されている場合には、
図6(C)に示すように、筒状部材30(穴部31)から引き抜かれていくときに、塗布部91に塗布された余分なグリスG0´によって、その先端部92にも、ほぼ均一の厚さ(少なくとも規制穴部41の穴径Nを超えない厚さである。)のグリスG1を塗布することができる。
【0021】
なお、本実施の形態において、規制穴部41は、穴部31の側の端部に、周面状にエッジ部41aが形成されている。
すなわち、規制穴部41における穴部31の側の端部(縁部)は、R状に形成されたり面取り加工がされたりすることなく、エッジ状(鋭利な角がそのまま残った状態である。)に形成されている。
このように構成することにより、柱状部材90が筒状部材30(穴部31)から引き抜かれていくときに、塗布部91に塗布された余分なグリスG0´を掻き取る能力が向上することになる。
なお、そのような余分なグリスG0´を掻き取る能力をさらに向上させるために、規制穴部41における穴部31の側の端部(縁部)に、中心軸Zの方向に向かう先端が鋭利なブレード状部材を設置することもできる。
【0022】
また、本実施の形態において、規制部材40は、規制穴部41が挿入方向(
図5の左右方向である。)に同じ穴の大きさ(穴径N)で所定長さ形成されている。また、規制部材40は、規制穴部41の挿入方向の上流側端部(
図5の右側端部である。)から挿入方向の上流側に向けて穴の大きさ(穴径)が漸増するように形成されている。
すなわち、所定の穴径N、所定長さの規制穴部41に隣接(連通)するように、すり鉢状穴部42が形成されている。
このように、規制部材40にすり鉢状穴部42を設けることで、柱状部材90の塗布用アタッチメント10(規制部材40)に対する挿入動作と引き抜き動作とが容易になる。
【0023】
また、本実施の形態における塗布装置1(塗布用アタッチメント10)には、筒状部材30の穴部31に挿入された柱状部材90の姿勢と挿入方向の位置とを定める位置決め部23が設けられている。
具体的に、本実施の形態において、位置決め部23は、柱状部材90の外径と略同等の穴径からなる中心軸Zを中心にした非貫通穴であって、分配部材20の端部に形成されている。そして、柱状部材90の先端部(挿入方向下流側の端部である。)が位置決め部23に嵌合することで、柱状部材90の姿勢と挿入方向位置とが定められることになる。
このように位置決め部23を設けることで、塗布装置1(塗布用アタッチメント10)における柱状部材90の姿勢が精度良く定められるとともに、筒状部材30における塗布部91の軸方向の位置も精度良く定められることになるため、柱状部材90の塗布部91に精度良く所望の厚さのグリスを塗布することができる。
【0024】
このように、本実施の形態における塗布装置1には、筒状部材30においてグリスG0が塗布された柱状部材90を穴部31から引き抜く動作に連動して塗布部91に塗布されたグリスの塗布量を規制する規制部材40が設けられている。
そのため、柱状部材90の外周面における所望の位置(塗布部91)に、グリスを均一な厚さでムラなく簡単に塗布することができる。したがって、柱状部材90の外周面における所望の位置にグリスが塗布されなかったり、不均一な厚さやムラのある状態でグリスが塗布されたりしたときに生じる様々な不具合(例えば、本来のグリス塗布によって得られる潤滑性の消失である。)を防止することができる。
【0025】
以下、
図6を用いて、まとめとして、本実施の形態において、柱状部材90の外周面(塗布部91)にグリスを塗布する手順について簡単に説明する。
まず、土台100(
図1参照)に固定された柱状部材90が、塗布用アタッチメント10(塗布装置1)に対して
図6(A)の白矢印方向に相対的に移動される。そして、
図6(B)に示すように、塗布用アタッチメント10における柱状部材90の姿勢・挿入方向位置が定められた状態で、供給ユニット2、3(
図1参照)から塗布用アタッチメント10にグリスが供給されて、黒矢印方向のグリスの流動によって、柱状部材90の塗布部91にグリスG0が塗布される。
その後、
図6(C)に示すように、柱状部材90が塗布用アタッチメント10に対して白矢印方向に相対的に移動されると(引き抜かれると)、塗布部91に塗布された余分なグリスG0´が規制穴部41のエッジ部41aで掻き取られて、柱状部材90の塗布部91に狙いの厚さのグリスG1が塗布されることになる。
【0026】
<変形例1>
図7に示すように、変形例1における塗布用アタッチメント10(塗布装置1)には、筒状部材30の穴部31に挿入された柱状部材90の挿入方向の位置が狙いの位置であることを検知する位置検知手段としてのプッシュスイッチ50が設置されている。
詳しくは、変形例1において、プッシュスイッチ50(位置検知手段)は、分配部材20の端部(複数のノズル22に囲まれた空間である。)に設置されている。そして、柱状部材90の挿入時に、柱状部材90の先端部(挿入方向下流側の端部である。)がプッシュスイッチ50に接触すると、柱状部材90が正常な位置にセットされたことが表示パネル(不図示)に表示(報知)される。
このように位置検知手段(プッシュスイッチ50)を設けることで、柱状部材90のセット不良を防止することができる。すなわち、筒状部材30における塗布部91の軸方向の位置が精度良く定められて、柱状部材90の塗布部91に精度良く所望の厚さのグリスを塗布することができる。
【0027】
<変形例2>
図8に示すように、変形例2における塗布用アタッチメント10(塗布装置1)にも、筒状部材30の穴部31に挿入された柱状部材90の挿入方向の位置が狙いの位置であることを検知する位置検知手段が設置されている。
詳しくは、変形例2においては、電極部51や電流検知部52などが位置検知手段として機能する。電極部51は、分配部材20の端部(複数のノズル22に囲まれた空間である。)において、離れた位置に2つ設置されている。そして、2つの電極部51は電池に直列的に接続されていて、その回路中には電流検知部52が設けられている。そして、金属材料など導電性材料からなる柱状部材90の挿入時に、柱状部材90の先端部(挿入方向下流側の端部である。)が2つの電極部51に接触すると、回路中に電流が流れた状態が電流検知部52で検知される。そして、柱状部材90が正常な位置にセットされたことが表示パネル(不図示)に表示(報知)される。
このように位置検知手段(電極部51、電流検知部52)を設けることで、柱状部材90のセット不良を防止することができる。すなわち、筒状部材30における塗布部91の軸方向の位置が精度良く定められて、柱状部材90の塗布部91に精度良く所望の厚さのグリスを塗布することができる。
【0028】
<変形例3>
図9に示すように、変形例3における塗布装置1は、分配部材20に供給されたグリス(塗布剤)の温度を直接的又は間接的に検知する温度検知手段としての温度センサ60が設けられている。
具体的に、変形例3において、温度検知手段としての温度センサ60は、ソケット11と分配部材20との隙間(分配部材20の周面に接する位置である。)に設置されていて、分配部材20内のグリスの温度を間接的に検知するものである。このような温度センサ60としては、サーミスタ、サーモパイル、熱電対などを用いることもできる。なお、温度検知手段としては、分配部材20内のグリスの温度を直接的に検知するものを用いることもできる。
また、変形例3における供給ユニット2、3は、単位時間当たりに分配部材20に供給する塗布剤の供給量が略一定になるように制御される。具体的に、供給ユニット2、3は、シリンジ2内において押子を押し込むスピードが一定になるように構成されている。
そして、変形例3では、温度センサ60(温度検知手段)の検知結果に基づいて、供給ユニット2、3から分配部材20に供給する供給時間(押子を押し込む時間)が制御される。このような制御をおこなうのは、グリスの温度によってノズル22から吐出されるグリスの吐出量が変化するためである。
具体的に、制御部70には、温度センサ60の検知温度に基づいて供給ユニット2、3の供給時間を算出するための演算部(又は、検知温度と供給時間との関係をデータテーブル化した記憶部)が設けられている。そして、制御部70によって、温度センサ60の検知温度に基づいて供給ユニット2、3の供給時間が求められると、求められた供給時間だけ供給ユニット2、3による塗布用アタッチメント10へのグリス供給がおこなわれて、温度変化に関わらず、柱状部材90の塗布部91に所望量のグリスが無駄なく塗布されることになる。
なお、グリス吐出量の温度特性は、グリスの特性によって異なるため、上述した演算部(又は、記憶部)のプログラムはグリス(塗布剤)の種類ごとに異なる。例えば、温度の上昇にともないグリス吐出量が増加するようなグリスを用いる場合には、温度センサ60の検知温度が高い場合に、検知温度が低い場合比べて、供給ユニット2、3の供給時間が短くなるようなプログラムが用いられることになる。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態における塗布装置1は、グリス(塗布剤)を柱状部材90の周面に塗布する塗布装置であって、柱状部材90においてグリスを塗布する塗布部91が挿入される穴部31が形成されて、外周の側から穴部31に向けてグリスを供給するための供給路32が穴部31を中心に周方向に間隔をあけて複数形成された筒状部材30が設けられている。また、筒状部材30において塗布部91にグリスが塗布された柱状部材90を穴部31から引き抜く動作に連動して、塗布部91に塗布されたグリスの塗布量を規制する規制部材40が設けられている。
これにより、グリスを柱状部材90の周面に均一な厚さでムラなく塗布することができる。
【0030】
なお、本実施の形態では、柱状部材90(塗布対象)として円柱状であって中実状であってストレート形状のものを用いたが、柱状部材はこれに限定されず、多角注状のものであっても良いし、中空状のものであっても良いし、非ストレート形状(例えば、段形状のものであって塗布用アタッチメントへの挿入が可能な形状)のものであっても良い。その場合、その柱状部材90の形状に合わせた塗布用アタッチメント10が塗布装置1に設置されることになる。
また、本実施の形態では、塗布剤としてグリスを用いたが、塗布剤はこれに限定されることなく、軟膏などであっても良いし、非粘性や液状のもの等であっても良い。
そして、これらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0031】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 塗布装置、
2 シリンジ(供給ユニット)、
3 ディスペンサ(供給ユニット)、
10 塗布用アタッチメント、
11 ソケット、
20 分配部材、
21 貯留部、 22 ノズル、 23 位置決め部、
30 筒状部材、
31 穴部、 32 供給路、
40 規制部材、
41 規制穴部、 41a エッジ部、
42 すり鉢状穴部、 43 嵌込み穴部、
50 プッシュスイッチ(位置検知手段)、
51 電極(位置検知手段)、
52 電流検知部(位置検知手段)、
60 温度センサ(温度検知手段)、
70 制御部、
90 柱状部材、
91 塗布部、
100 土台、
G0、G0´、G1 グリス(塗布剤)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】