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特開2023-8475インプリントモールドおよびその製造方法ならびに再生インプリントモールドの製造方法
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  • 特開-インプリントモールドおよびその製造方法ならびに再生インプリントモールドの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008475
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】インプリントモールドおよびその製造方法ならびに再生インプリントモールドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20230112BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112078
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 勝
(72)【発明者】
【氏名】伊東 駿也
【テーマコード(参考)】
4F209
5F146
【Fターム(参考)】
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209AJ03
4F209AJ06
4F209AJ09
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN09
4F209PQ11
5F146AA32
(57)【要約】
【課題】材料として合成石英ガラスが必須として選択され、高い精度が必要な微細パターンを有するインプリントモールドにおいて、パターンが微細であることに起因する破損を防ぐことができ、パターン上に被覆層を形成した場合、パターンに異物等が挟まったり、汚損したりしても、容易に被覆層を除去でき、新たな被覆層を形成することで再生することが可能なインプリントモールドを提供すること。
【解決手段】表面に転写用微細パターンが形成された合成石英ガラス基板と、前記微細パターン上の少なくとも一部に、前記基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により形成された被覆層とを有するインプリントモールド。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に転写用微細パターンが形成された合成石英ガラス基板と、
前記微細パターン上の少なくとも一部に、前記基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により形成された被覆層と
を有するインプリントモールド。
【請求項2】
前記基板とは異なる材料が、金属、無機酸化物または無機窒化物である請求項1記載のインプリントモールド。
【請求項3】
前記被覆層の厚さが、50nm以下であり、前記厚さのばらつきが、被覆層の厚さの平均値に対して10%以内である請求項1または2記載のインプリントモールド。
【請求項4】
転写用微細パターンのうち被覆層が形成された部分の破壊強度が、前記被覆層が形成される前の転写用微細パターンの破壊強度より高い請求項1~3のいずれか1項記載のインプリントモールド。
【請求項5】
転写用微細パターンのうち被覆層が形成された部分の破壊強度が、前記被覆層が形成される前の転写用微細パターンの破壊強度の1.05倍以上である請求項4記載のインプリントモールド。
【請求項6】
合成石英ガラス基板表面に形成された転写用微細パターン上の少なくとも一部に、逐次化学気相蒸着法により、前記基板とは異なる材料の原料となる少なくとも2種の反応性前駆体を交互に暴露してこれら前駆体を反応させることで、前記基板とは異なる材料により被覆層を形成する請求項1~5のいずれか1項記載のインプリントモールドの製造方法。
【請求項7】
表面に転写用微細パターンが形成された合成石英ガラス基板と、前記微細パターン上の少なくとも一部に、前記基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により形成された被覆層とを有するインプリントモールドから前記被覆層を剥離する工程と、
被覆層を剥離した後の転写用微細パターンを洗浄する工程と、
洗浄後の転写用微細パターンについて、前記被覆層を形成する前の転写用微細パターンの形状および破壊強度が保たれていることを確認する工程と、
確認後の転写用微細パターン上の少なくとも一部に、原子堆積法により、剥離した被覆層と同じ材料または異なる材料により新たな被覆層を形成する工程と
を含む再生インプリントモールドの製造方法。
【請求項8】
前記確認する工程が、飛行時間型二次イオン質量分析法またはナノインデンテーション試験法によるものである請求項7記載の再生インプリントモールドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリントモールドおよびその製造方法ならびに再生インプリントモールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年盛んになってきた、フォトリソグラフィの代替技術の1つであるインプリント技術は、型となるモールドの形状に忠実なパターン転写ができることや、装置コストなどの観点で有利であると考えられている。
インプリントには、大別して2つの方式がある。1つ目は、熱インプリントであり、2つ目は、光インプリントである。前者は、被転写材料に対してモールドパターンを押しつけ、熱と圧力を印加することで、被転写材料にパターンを転写する方式である。後者は、光硬化性材料に対してモールドパターンを押しつけ、光照射によってパターンの転写を行う方式である。
【0003】
一般的に、熱インプリントは、比較的簡便で、安価な材料と装置で行うことができるが、印加圧力が高く、熱膨張・収縮により、パターン寸法や精度に限界があるとされる。これに対し、光インプリントは、印加圧力が低く、パターン転写時の寸法制御を高精度に行うことが可能とされ、用途に応じて使い分けが行われている。
【0004】
上述の方式の違いに加え、インプリントモールドには、目的デバイスに求められる転写精度や耐久性の観点から、樹脂、金属、ガラス、セラミクスなど様々な材料が使い分けられている。また、必要に応じて離形性を高めるための化学処理が行われる。
【0005】
特許文献1では、樹脂により形成した凹凸パターンを有するインプリントモールドが提案されている。樹脂は、複雑な形状の凹凸パターンを有するインプリントモールドであっても容易に製造できる点で優位である。樹脂により形成した凹凸パターンを有するインプリントモールドは、耐薬品(溶剤)性や強度が低いため、凹凸パターンが崩れてしまうという問題点があるものの、樹脂のゲル分率を調整したり、凹凸パターン上に被覆層を形成したりすることで、当該問題点を解決できることが報告されている。
【0006】
また、特許文献2では、転写欠陥がなく、離型性に優れた樹脂で形成したインプリント用モールドが提案されている。このインプリントモールドは、樹脂で形成した基板の表面に、酸化物層とその上に形成した離型剤層とを有するが、これらの酸化物層と離型剤層とが、一体化して、転写した樹脂フィルムに移行してしまうという問題点がある。これを解決するために、特許文献2では、上記インプリントモールドに含まれる樹脂の反応性を制御することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-170863号公報
【特許文献2】国際公開第2012/018048号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、一般的に、高い精度が必要な微細パターンにおいては、UV光を光源とした光インプリントが選択され、モールドの材料として合成石英ガラスが選択される。これは、合成石英ガラスにより形成したモールドは、特許文献1や2に記載されている樹脂製のモールドと比較して、凹凸パターンの強度や硬度、寸法安定性等が優れているためである。
しかしながら、合成石英ガラスにより形成したモールドであっても、その凹凸パターンが微細になるにつれて、パターンの破損による不具合が発生する場合があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、材料として合成石英ガラスが必須として選択され、高い精度が必要な微細パターンを有するインプリントモールドにおいて、パターンが微細であることに起因する破損を防ぐことができ、パターン上に被覆層を形成した場合、パターンに異物等が挟まったり、汚損したりしても、容易に被覆層を除去でき、新たな被覆層を形成することで再生することが可能なインプリントモールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、合成石英ガラス基板により形成したインプリントモールドの転写用微細パターンが形成された部分の少なくとも一部を、基板とは異なる材料の膜で被覆することで、モールドパターン部分の強度を向上させることができることを見出すとともに、被覆した膜は、モールドパターンにダメージを与えずに容易に除去でき、再被覆が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のインプリントモールドおよびその製造方法ならびに再生インプリントモールドの製造方法を提供する。
1. 表面に転写用微細パターンが形成された合成石英ガラス基板と、
前記微細パターン上の少なくとも一部に、前記基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により形成された被覆層と
を有するインプリントモールド。
2. 前記基板とは異なる材料が、金属、無機酸化物または無機窒化物である1記載のインプリントモールド。
3. 前記被覆層の厚さが、50nm以下であり、前記厚さのばらつきが、被覆層の厚さの平均値に対して10%以内である1または2記載のインプリントモールド。
4. 転写用微細パターンのうち被覆層が形成された部分の破壊強度が、前記被覆層が形成される前の転写用微細パターンの破壊強度より高い1~3のいずれかに記載のインプリントモールド。
5. 転写用微細パターンのうち被覆層が形成された部分の破壊強度が、前記被覆層が形成される前の転写用微細パターンの破壊強度の1.05倍以上である4記載のインプリントモールド。
6. 合成石英ガラス基板表面に形成された転写用微細パターン上の少なくとも一部に、逐次化学気相蒸着法により、前記基板とは異なる材料の原料となる少なくとも2種の反応性前駆体を交互に暴露してこれら前駆体を反応させることで、前記基板とは異なる材料により被覆層を形成する1~5のいずれかに記載のインプリントモールドの製造方法。
7. 表面に転写用微細パターンが形成された合成石英ガラス基板と、前記微細パターン上の少なくとも一部に、前記基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により形成された被覆層とを有するインプリントモールドから前記被覆層を剥離する工程と、
被覆層を剥離した後の転写用微細パターンを洗浄する工程と、
洗浄後の転写用微細パターンについて、前記被覆層を形成する前の転写用微細パターンの形状および破壊強度が保たれていることを確認する工程と、
確認後の転写用微細パターン上の少なくとも一部に、原子堆積法により、剥離した被覆層と同じ材料または異なる材料により新たな被覆層を形成する工程と
を含む再生インプリントモールドの製造方法。
8. 前記確認する工程が、飛行時間型二次イオン質量分析法またはナノインデンテーション試験法によるものである7記載の再生インプリントモールドの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインプリントモールドは、インプリント工程において、パターンへのダメージ、特に、異物が混入した場合の微細パターンの破損を回避または軽減できる。また、パターン上に形成した被覆層を容易に除去し、新たな被覆層を再生することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実験例1で得られたラインパターンの原子間力顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、更に詳しく説明する。
本発明のインプリントモールドは、表面に転写用微細パターンが形成された合成石英ガラス基板と、前記微細パターン上の少なくとも一部に、合成石英ガラス基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により形成された被覆層とを有する。
【0015】
[インプリントモールド]
本発明に用いられる合成石英ガラス基板としては、シラン化合物、シロキサン化合物等のシリカ原料化合物を酸水素火炎によって反応させて製造した合成石英ガラスインゴットを所望の形状に成型し、アニール処理を施して、所望の厚さにスライスした後、ラッピング、必要に応じて外周の研磨を行い、粗研磨、精密研磨を経て得られたものを用いることができる。
【0016】
合成石英ガラス基板の形状は、特に制限されるものではないが、製造の容易さから、長方形等の四角形状、円形状等とすることができる。例えば、四角形状の基板では、一辺の長さが10~300mmのサイズの基板が好適に用いられ、円形状のガラス基板では、直径が10~300mmのサイズの基板が好適に用いられる。
合成石英ガラス基板の厚さは、適宜選定され、特に制限されるものではないが、透過率の観点からは、薄い方が好ましく、一方で、強度、自重変形、取扱いの観点からは、ある程度の厚みが必要であり、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは100μm以上であり、また、好ましくは300mm以下、より好ましくは100mm以下、更に好ましくは30mm以下である。
【0017】
本発明において、微細パターンとしては、ラインパターンやナノピラーパターンの他、3Dパターン等が挙げられる。そのサイズや形状は、特に制限されるものではないが、ラインパターンの場合は、単純な直線形状、角度を持った折れ曲がり形状、曲率を持ったR形状、分岐形状、十字形状等が挙げられる。ナノピラーパターンの場合は、角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、角錘台状、円錐台形状、楕円錘台形状、逆角錘台状、逆円錐台形状、逆楕円錘台形状等が挙げられる。また、3Dパターンとしては、階段形状のような段差形状、スロープ形状、一部球面を持った形状等が挙げられる。微細パターンは、1種類の形状であっても、複数種類の形状を組み合わせてもよい。
【0018】
転写用微細パターンが形成された部分の基板の破壊強度は、後述する被覆層の形成、除去、再生の点から、70GPa以上が好ましく、75GPa以上がより好ましい。なお、本発明において、破壊強度は、ナノインデンテーション試験法により求めることができる。ナノインデンテーション試験法とは、硬質の圧子を基材に押し付けた際の押印力と押し込まれた深さにより、基材の硬度、ヤング率を計測する方法である。ヤング率が高いほど、破壊強度が高いといえる。
【0019】
本発明のインプリントモールドには、上記の転写用微細パターン上の少なくとも一部に、合成石英ガラス基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により形成された被覆層が設けられている。この被覆層が転写用微細パターン上に設けられていることにより、合成石英ガラスで形成されている転写用微細パターンを汚損や劣化から保護することができ、その目的において上記材料は適宜選択される。その中でも特に、被覆膜厚精度、強度等の観点から、金属、無機酸化物または無機窒化物が好ましい。
金属としては、Cr、Cu、Mo、Ni等の金属単体、これらを含む合金等が挙げられる。無機酸化物としては、Al23、ZrO2、HfO2等が挙げられる。無機窒化物としては、TiN、TaN、WN等が挙げられる。これらの中でも、被覆膜の性能、被覆安定性、汎用性の理由から、アルミナ(Al23)が好適である。
【0020】
被覆層の厚さは、特に制限されないが、50nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。下限値は特に制限されないが、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましい。厚さが上述の範囲であれば、被覆膜層を含むパターンの強度ばらつきだけでなく、微細パターンの寸法の信頼性の観点からも好ましい。
また、厚さのばらつき(厚さの最大値-厚さの最小値)は、被覆層の平均厚さの10%以内が好ましい。厚さのばらつきが上述の範囲にあることで、強度の安定性、再現性の点で良好な結果を得ることができる。
【0021】
上記被覆層の硬度は、合成石英ガラスの微細パターンの保護、強化の観点から高い方が好ましく、具体的には、例えば、モース硬度が6以上であることが好ましい。
【0022】
更に、上記被覆層を設けることで、転写用微細パターンが形成された部分の破壊強度を良好に向上させることができる。上記被覆層を設ける前の転写用微細パターン部分の破壊強度が、例えば、73GPaである場合、被覆層を設けた転写用微細パターン部分の破壊強度は、好ましくは77GPa以上、より好ましくは80GPa以上である。被覆層を設けることで、被覆層を設ける前に比べて、転写用微細パターン部分の破壊強度を好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.1倍以上に引き上げることができ、硬質異物によるパターン破壊の阻止だけでなく、インプリント時のパターン変形抑制の観点から有効である。
【0023】
本発明において、被覆層は、転写用微細パターンの少なくとも一部を覆うように形成されるが、強度向上の点から、微細パターン全てを覆うように形成されることが好ましく、微細パターンが形成された面の全面を覆うように形成されることがより好ましい。
【0024】
このような被覆層が設けられた転写用微細パターンを有する本発明のインプリントモールドは、微細パターンへのダメージ、特に、異物が混入した場合の微細パターンの破損を回避または軽減できるため、従来のインプリントモールドと比較して、各段に高精度、長寿命を実現できる。
本発明のインプリントモールドは、上述の被覆層が設けられた微細パターンが何らかの理由により汚損されてしまった場合であっても、後述する方法により、容易に被覆層を再生することができるため、この点においても長寿命化が期待できる。
【0025】
[インプリントモールドの製造方法]
[1]微細パターンの形成方法
本発明のインプリントモールドにおいて、合成石英ガラス基板表面に形成されている微細パターンは、例えば、電子線リソグラフィ法、フォトリソグラフィ法、ナノインプリントリソグラフィ法等のリソグラフィ法により製造することができる。
【0026】
具体的には、例えば、下記工程を含む方法により製造することができる。
(1)合成石英ガラス基板の微細パターンが形成される面の上に無機膜を形成する工程(第1工程)
(2)無機膜の上に有機膜を形成する工程(第2工程)
(3)有機膜をパターニングして、無機膜上に有機膜パターンを形成する工程(第3工程)
(4)有機膜のパターンをエッチングマスクとして、無機膜をエッチングして無機膜パターンを形成する工程(第4工程)
(5)有機膜パターンおよび無機膜パターン、または無機膜パターンをエッチングマスクとして、合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、微細パターンを形成する工程(第5工程)
(6)有機膜パターンおよび無機膜パターン、または無機膜パターンを除去する工程(第6工程)
【0027】
(1)第1工程
第1工程では、通常、合成石英ガラス基板の微細パターンが形成される面の全体に無機膜を形成する。無機膜としては、金属膜や、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化酸化物、金属窒化炭化物、金属酸化炭化物、金属窒化酸化炭化物等の金属化合物の膜等が挙げられる。金属膜は、単体膜であっても合金膜であってもよい。また、金属化合物膜の金属も、1種のみであっても2種以上の組み合わせであってもよい。金属膜および金属化合物膜を構成する金属として具体的には、Ag、Al、Au、Cr、Cu、Mo、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、W等が挙げられる。これらのなかでも、第4工程の無機膜のエッチングにおけるエッチングのしやすさの観点から、Cr膜、Si膜、Cr化合物膜、Si化合物膜が好ましく、Cr化合物として具体的には、CrN、CrO、CrNO、CrNOC(これらの式は、化合物の構成元素を表し、各元素の比率は、任意である。)等が挙げられ、Si化合物として具体的には、SiN(この式は、化合物の構成元素を表し、各元素の比率は、任意である。)等が挙げられる。
無機膜の膜厚は、パターン幅が大きくなることによる微細化との逆行を防ぎ、また、十分な強度向上効果を得る観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは50nm以下であり、また、好ましくは2nm以上である。
【0028】
無機膜は、スパッタリング法により成膜することが可能である。具体的には、ターゲットとして、金属ターゲット、金属化合物ターゲット等を用い、スパッタリングガスとして、アルゴンガス等の希ガスと、必要に応じて、酸素含有ガス、窒素含有ガス、炭素含有ガス等の反応性ガスとを用い、スパッタリング装置で、合成石英ガラス基板上に無機膜を成膜する。電源は、直流および交流のいずれでもよいが、直流電源を用いる際は、アーク発生を抑制するための方策を適用することが好ましい。
【0029】
(2)第2工程
第2工程では、無機膜の上に有機膜を形成する。第2工程において、有機膜は、無機膜の表面の一部または全部に形成される。
有機膜の材料としては、電子線、X線、紫外線、エキシマレーザー(ArF、KrF等)、高圧水銀ランプ(i線、g線等)等の所望の活性化エネルギー線に感応可能なレジスト材料(フォトレジスト材料)が好適である。レジスト材料は、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料のいずれも用いることができるが、精度や環境面の観点から、ポジ型レジスト材料が好ましい。
有機膜の膜厚は、10nm~数10μmの範囲で選ぶことができるが、解像性の観点からは薄膜が好ましく、エッチング耐性の観点からは厚膜が好ましい。両者を総合して考えると、第5工程の合成石英ガラス基板の表面部のエッチングにウェットエッチングを採用する場合には、0.5~5μm程度が好ましく、ドライエッチングを採用する場合には、10~500nm程度が好ましい。
【0030】
有機膜の成膜は、スピンコート、スプレーコート、スリットコート、孔版印刷等による塗布により行うことができるが、より均一に塗布するためにスピンコートが好適である。スピンコートでは、最大回転数2,000~4,000rpmで回転塗布し、塗布後にベーク(プリベーク)を行う。プリベーク温度は、有機膜の材料の種類にもよるが、約80~120℃で行うことが好ましい。
【0031】
(3)第3工程
第3工程では、有機膜をパターニングして、無機膜上に有機膜パターンを形成する。有機膜パターンを形成する方法としては、電子線リソグラフィまたはフォトリソグラフィによる方法、ナノインプリントリソグラフィによる方法等が挙げられる。
【0032】
電子線リソグラフィによる方法では、無機膜上に形成した有機膜を、電子線描画装置を用いて描画し、有機膜に描画されたパターンを現像することにより、有機膜パターンを形成することができる。
【0033】
また、フォトリソグラフィによる方法では、無機膜上に形成した有機膜を、所定の遮光部および非遮光部を有するフォトマスクを用いて露光し、有機膜に転写されたパターンを現像することにより、有機膜パターンを形成することができる。
現像に使用される液は、レジスト材料の種類に応じて適宜選択すればよく、現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液、キシレン系の有機溶剤等を好適に用いることができる。
現像後は、純水等によるリンス処理を行い、残留している現像液、および現像液に溶解したレジスト材料由来の成分を洗い流し、乾燥させることで、無機膜上に有機膜パターンを形成することができる。乾燥後には、有機膜の強化のために、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、有機膜が感光しなくなる温度および/または時間で行い、露光前のプリベーク温度よりも高温(例えば、130℃以上)で行うことが好ましい。
【0034】
ナノインプリントリソグラフィによる方法では、有機膜に所定の凹凸パターンを有するインプリントモールドの凹凸構造部を押し当てて、モールドの凹部内を、レジスト材料で満たすと共に、レジスト材料の上面を凹凸パターンの形状となるように成形し、その状態で有機膜を硬化させ、その後、硬化した有機膜からインプリントモールドを分離することにより有機膜パターンを形成することができる。
【0035】
有機膜にインプリントモールドの凹凸構造部を押し当てる際は、ヘリウムガス雰囲気下または易凝縮性ガス雰囲気下にて行うことが好ましい。易凝縮性ガス雰囲気とは、モールド空隙に気体が閉じ込められたときに、押圧により容易に液化するガスの雰囲気であり、このような雰囲気では、バブル欠陥が生じ難くなる。このようなガスとして、具体的には1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(PFP、HFC-245fa)や、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(TFP)等が挙げられる。インプリントモールドの凹凸構造部の表面とレジスト材料との間に気泡が生じると、有機膜パターンに、パターン欠陥が発生し得るが、ヘリウム雰囲気下または易凝縮性ガス雰囲気下であれば、気泡を構成するヘリウムガスや易凝縮性ガスがレジスト材料に溶け込み、パターン欠陥の発生を防止することができる。
有機膜を硬化させる方法としては、有機膜を構成する材料の硬化タイプに応じた方法を採用すればよく、例えば、有機膜材料が紫外線硬化タイプであれば、インプリントモールドを介して有機膜に紫外線を照射する方法等を採用することができる。
【0036】
硬化した有機膜からインプリントモールドを分離した後、有機膜がインプリントモールドの凸部と接触していた位置には、通常、相応の厚さ(例えば、1nm以上、特に5nm以上で、20nm以下、特に10nm以下)で有機膜が残存しているが、この残存部は、合成石英ガラス基板をエッチングする前に除去することが好ましい。残存部を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸素プラズマによるアッシング処理、紫外光によるUVオゾン処理、真空紫外光によるVUV処理等が挙げられる。
【0037】
(4)第4工程
第4工程では、有機膜が除去されて露呈した無機膜の部分を選択的に除去して、無機膜パターン(ハードマスクパターン)を形成する。無機膜の選択除去には、エッチングが好適である。
エッチングは、ウェットプロセスおよびドライプロセスのいずれでもよいが、ウェットプロセスの場合は、無機膜の種類に応じたエッチング液を用いてエッチングする。ウェットプロセスとして具体的には、例えば、無機膜がCrまたはCr化合物の場合は、Crエッチング液(硝酸セリウム第二アンモニウム水溶液)を用いるウェットエッチングが挙げられる。Crエッチング液の濃度は、特に限定されないが、5~20質量%が好ましい。
一方、ドライプロセスの場合は、異方性エッチングが好適である。ドライプロセスとして具体的には、例えば、アルゴンイオンミリング、CF4、C36、C38、C48、C58、CHF3等の反応性ガスによるドライエッチングが挙げられる。
無機膜の選択除去後、無機膜パターンの上には、通常、有機膜パターンが残留しているが、この残留している有機膜パターンは、無機膜パターンの上に残したまま、第5工程を実施しても、無機膜パターンの上から除去した後に第5工程を実施してもよい。
【0038】
(5)第5工程
第5工程では、第4工程で無機膜を選択的に除去した後、有機膜パターンを残した場合は、有機膜パターンおよび無機膜パターン(ハードマスクパターン)をエッチングマスクとして、有機膜パターンを除去した場合は、無機膜パターン(ハードマスクパターン)をエッチングマスクとして、合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、微細パターンを形成する。このエッチングでは、有機膜パターンおよび無機膜パターン、または無機膜パターンで被覆されていない、合成石英ガラス基板の表面が露呈した部分がエッチングされ(掘り込まれ)、パターンで被覆されている部分がエッチングされずに残り、微細パターンが形成される。
【0039】
合成石英ガラス基板をエッチングする方法としては、特に限定されないが、例えば、フッ酸やフッ化ナトリウムを含むエッチング水溶液へ浸漬するウェットエッチング、CF4、C36、C38、C48、C58、CHF3等の反応性ガスによるドライエッチング等が挙げられる。
【0040】
(6)第6工程
第6工程では、第4工程で無機膜を選択的に除去した後、有機膜パターンを残した場合は、有機膜パターンおよび無機膜パターンを、有機膜パターンを除去した場合は、無機膜パターンを除去する。有機膜パターンは、無機膜パターンと同時に除去することができ、無機膜パターンは、エッチングにより除去することができる。
エッチングは、ウェットプロセスおよびドライプロセスのいずれでもよいが、ウェットプロセスの場合は、無機膜の種類に応じたエッチング液を用いてエッチングする。ウェットプロセスとして具体的には、例えば、無機膜がCrまたはCr化合物の場合は、Crエッチング液(硝酸セリウム第二アンモニウム水溶液)を用いるウェットエッチングが挙げられる。Crエッチング液の濃度は、特に限定されないが、5~20質量%が好ましい。
一方、ドライプロセスの場合は、異方性エッチングが好適である。ドライプロセスとして具体的には、例えば、アルゴンイオンミリング、CF4、C36、C38、C48、C58、CHF3等の反応性ガスによるドライエッチング等が挙げられる。
【0041】
ここまで、微細パターンの製法として、合成石英ガラス基板の上に、まず無機膜を形成し、更に有機膜を形成して製造する方法を例に挙げて説明したが、これらの態様に限定されるものではない。
微細パターンは、例えば、合成石英ガラス基板の上に、まず有機膜を形成し、有機膜をパターニングして有機膜パターンを形成した後、更に、無機膜を形成して製造する、いわゆるリフトオフ法により製造することも可能である。
【0042】
具体的には、例えば、下記工程を含む方法により製造することができる。
(11)合成石英ガラス基板の微細パターンが形成される面の上に有機膜を形成する工程(第11工程)
(12)有機膜をパターニングして、合成石英ガラス基板の微細パターンが形成される面の上に有機膜パターンを形成する工程(第12工程)
(13)有機膜パターンおよび露出した合成石英ガラス基板の面の上に無機膜を形成する工程(第13工程)
(14)有機膜パターンを、有機膜のパターンの上に形成された無機膜と共に除去する工程(第14工程)
(15)合成石英ガラス基板の面の上に形成された無機膜により描かれた無機膜パターンをエッチングマスクとして、合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、微細パターンを形成する工程(第15工程)、
(16)無機膜パターンを除去する工程(第16工程)
【0043】
(11)第11工程
第11工程では、合成石英ガラス基板の微細パターンが形成される面の一部または全部に有機膜を形成する。
有機膜の材料としては、電子線、X線、紫外線、エキシマレーザー(ArF、KrF等)、高圧水銀ランプ(i線、g線等)等の所望の活性化エネルギー線に感応可能なレジスト材料(フォトレジスト材料)が好適である。レジスト材料は、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料のいずれも用いることができるが、精度や環境面の観点から、ポジ型レジスト材料が好ましい。
有機膜の膜厚は、10nm~数10μmの範囲で選ぶことができるが、解像性の観点からは薄膜が好ましく、第14工程において有機膜パターンを無機膜と共に除去する観点から、後述する無機膜より十分に厚い(例えば、無機膜より2倍以上厚い)ことが好ましい。
【0044】
有機膜の成膜は、スピンコート、スプレーコート、スリットコート、孔版印刷等による塗布により行うことができるが、より均一に塗布するためにスピンコートが好適である。スピンコートは、最大回転数2,000~4,000rpmで回転塗布し、塗布後にベーク(プリベーク)を行う。プリベーク温度は有機膜の材料の種類にもよるが、約80~120℃で行うことが好ましい。
【0045】
(12)第12工程
第12工程では、有機膜をパターニングして、合成石英ガラス基板の微細パターンが形成される面の上に有機膜パターンを形成する。有機膜パターンを形成する方法としては、電子線リソグラフィまたはフォトリソグラフィによる方法、ナノインプリントリソグラフィによる方法等が挙げられる。
【0046】
電子線リソグラフィによる方法では、無機膜上に形成した有機膜を、電子線描画装置を用いて描画し、有機膜に描画されたパターンを現像することにより、有機膜パターンを形成することができる。
【0047】
また、フォトリソグラフィによる方法では、無機膜上に形成した有機膜を、所定の遮光部および非遮光部を有するフォトマスクを用いて露光し、有機膜に転写されたパターンを現像することにより、有機膜パターンを形成することができる。
現像に使用される液は、レジスト材料の種類に応じて適宜選択すればよく、現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液、キシレン系の有機溶剤等を好適に用いることができる。
現像後は、純水等によるリンス処理を行い、残留している現像液、および現像液に溶解したレジスト材料由来の成分を洗い流し、乾燥させることで、無機膜上に有機膜パターンを形成することができる。乾燥後には、有機膜の強化のため、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、有機膜が感光しなくなる温度および/または時間で行うため、露光前のプリベーク温度よりも高温(例えば、130℃以上)で行うことが好ましい。
【0048】
ナノインプリントリソグラフィによる方法では、有機膜に所定の凹凸パターンを有するインプリントモールドの凹凸構造部を押し当てて、モールドの凹部内を、レジスト材料で満たすと共に、レジスト材料の上面を凹凸パターンの形状となるように成形し、その状態で有機膜を硬化させ、その後、硬化した有機膜からインプリントモールドを分離することにより有機膜パターンを形成することができる。
【0049】
有機膜にインプリントモールドの凹凸構造部を押し当てる際は、ヘリウムガス雰囲気下または易凝縮性ガス雰囲気下にて行うことが好ましい。易凝縮性ガス雰囲気とは、モールド空隙に気体が閉じ込められたときに、押圧により容易に液化するガスの雰囲気であり、このような雰囲気では、バブル欠陥が生じ難くなる。このようなガスとして、具体的には1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(PFP、HFC-245fa)や、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(TFP)等が挙げられる。インプリントモールドの凹凸構造部の表面とレジスト材料との間に気泡が生じると、有機膜パターンに、パターン欠陥が発生し得るが、ヘリウム雰囲気下または易凝縮性ガス雰囲気下であれば、気泡を構成するヘリウムガスや易凝縮性ガスがレジスト材料に溶け込み、パターン欠陥の発生を防止することができる。
有機膜を硬化させる方法としては、有機膜を構成する材料の硬化タイプに応じた方法を採用すればよく、例えば、有機膜材料が紫外線硬化タイプであれば、インプリントモールドを介して有機膜に紫外線を照射する方法等を採用することができる。
【0050】
硬化した有機膜からインプリントモールドを分離した後、有機膜がインプリントモールドの凸部と接触していた位置には、通常、相応の厚さ(例えば、1nm以上、特に5nm以上で、20nm以下、特に10nm以下)で有機膜が残存しているが、この残存部は、合成石英ガラス基板をエッチングする前に除去することが好ましい。残存部を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸素プラズマによるアッシング処理、紫外光によるUVオゾン処理、真空紫外光によるVUV処理等が挙げられる。
【0051】
(13)第13工程
第13工程では、通常、有機膜パターンおよび露出した合成石英ガラス基板の面の全体に無機膜を形成する。無機膜としては、金属膜や、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化酸化物、金属窒化炭化物、金属酸化炭化物、金属窒化酸化炭化物等の金属化合物の膜等が挙げられる。金属膜は、単体膜であっても合金膜であってもよい。また、金属化合物膜の金属も、1種のみであっても2種以上の組み合わせであってもよい。金属膜および金属化合物膜を構成する金属として具体的には、Ag、Al、Au、Cr、Cu、Mo、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、W等が挙げられる。これらのなかでも、第14工程の無機膜のエッチングにおけるエッチングのしやすさの観点から、Cr膜、Si膜、Cr化合物膜、Si化合物膜が好ましく、Cr化合物として具体的には、CrN、CrO、CrNO、CrNOC(これらの式は、化合物の構成元素を表し、各元素の比率は、任意である。)等が挙げられ、Si化合物として具体的には、SiN(この式は、化合物の構成元素を表し、各元素の比率は、任意である。)等が挙げられる。
無機膜の膜厚は、好ましくは200nm以下、より好ましくは50nm以下であり、また、好ましくは10nm以上である。
【0052】
無機膜は、スパッタリング法により成膜することが可能である。具体的には、ターゲットとして、金属ターゲット、金属化合物ターゲット等を用い、スパッタリングガスとして、アルゴンガス等の希ガスと、必要に応じて、酸素含有ガス、窒素含有ガス、炭素含有ガス等の反応性ガスとを用い、スパッタリング装置で、合成石英ガラス基板上に無機膜を成膜する。電源は直流および交流のいずれでもよいが、直流電源を用いる際は、アーク発生を抑制するための方策を適用することが好ましい。
【0053】
(14)第14工程
第14工程では、有機膜パターンを、この有機膜のパターンの上に形成された無機膜と共に除去するが、有機膜を無機膜より十分に厚く形成すれば、有機膜のパターンのうち無機膜が形成されていない側部から有機膜パターンを除去することにより、無機膜のうち、有機膜のパターンの上に形成された無機膜のみが除去される。この場合、有機膜パターンは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液、キシレン系の有機溶剤等により除去することができる。
【0054】
(15)第15工程
第15工程では、合成石英ガラス基板の面の上に形成された無機膜により描かれた無機膜パターン(ハードマスクパターン)をエッチングマスクとして、合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、微細パターンを形成する。このエッチングでは、無機膜パターンで被覆されていない、合成石英ガラス基板の表面が露呈した部分がエッチングされ(掘り込まれ)、パターンで被覆されている部分がエッチングされずに残り、微細パターンが形成される。
【0055】
合成石英ガラス基板をエッチングする方法としては、特に限定されないが、例えば、フッ酸やフッ化ナトリウムを含むエッチング水溶液へ浸漬するウェットエッチング、CF4、C36、C38、C48、C58、CHF3等の反応性ガスによるドライエッチング等が挙げられる。
【0056】
(16)第16工程
第16工程では、無機膜パターンを除去する。無機膜パターンは、エッチングにより除去することができる。
エッチングは、ウェットプロセスおよびドライプロセスのいずれでもよいが、ウェットプロセスの場合は、無機膜の種類に応じたエッチング液を用いてエッチングする。ウェットプロセスとして具体的には、例えば、無機膜がCrまたはCr化合物の場合は、Crエッチング液(硝酸セリウム第二アンモニウム水溶液)を用いるウェットエッチングが挙げられる。Crエッチング液の濃度は、特に限定されないが、5~20質量%が好ましい。
一方、ドライプロセスの場合は、異方性エッチングが好適である。ドライプロセスとして具体的には、例えば、アルゴンイオンミリング、CF4、C36、C38、C48、C58、CHF3等の反応性ガスによるドライエッチングが挙げられる。
【0057】
[2]被覆層の形成方法
次いで、上述のようにして得られた微細パターン上への被覆層の形成方法について説明する。本発明では、上記微細パターン上の少なくとも一部に、合成石英ガラス基板とは異なる材料のうちの少なくとも1種により被覆層を形成する。
微細パターン上への被覆層の形成方法としては、逐次化学気相蒸着法、CVD法、スパッタリング法、蒸着法等が挙げられるが、微細パターンの外周にも均一な被覆層を設けるには、逐次化学気相蒸着法が好適であり、逐次化学気相蒸着法の1種である原子堆積法を好適に採用できる。
【0058】
逐次化学気相蒸着法は、一般的に、無機物層の積層法であり、基板を無機物層の原料となる少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種の反応性前駆体に曝露し、前駆体と基板表面とを反応させることで、または前駆体を基板上で反応させることで、無機物層を形成する方法である。これにより形成される無機物層としては、例えば、Al23、ZrO2、HfO2等の無機酸化物膜層、TiN、TaN、WN等の無機窒化物層等が挙げられる。中でも広範に使われる膜としては、アルミナ(Al23)膜が挙げられ、この場合の被覆層の堆積について様々な方法が提案されている中で、最も一般的なのが、トリメチルアルミニウム(TMA)を原料として水と反応させる方法である。
【0059】
この方法では、基板温度が室温から300℃以上の温度までの範囲で被覆層の成長が可能であり、次のようなメカニズムで被覆層を成長させる。具体的には、TMAと水を交互に供給するが、TMAの供給中、TMAが解離し、基板表面にAlCH3が吸着する。余剰なTMAは吸着することなく排出され、基板表面には1原子層のAlCH3が形成される。ここに水を供給することで、水は表面のCH3基と反応して副生成物のCH4が発生し、表面にヒドロキシル化したAl23が残る。このサイクルを繰り返すことで、基板表面上に所望の厚さのAl23層が形成される。例えば、Al23の場合、20サイクル繰り返すことで約3nmの被覆層が形成される。
【0060】
被覆層形成後は、未反応物や水分を除去し、被覆層の安定化のために加熱工程を実施してもよい。加熱温度は特に限定されないが、微細パターンに影響を与えない温度、また、アルミナの構造変化のない温度である点から、100~900℃が好ましい。
【0061】
被覆層の厚さとしては、強度向上の観点では、厚い方が好ましいが、微細化の観点からはより薄い方が好ましい。半導体向け用途の微細パターンの寸法は数十nm程度であることに鑑みると、被覆層の厚さは、好ましくは50nm以下、より好ましくは10nm以下である。下限値は特に制限されないが、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましい。
【0062】
[再生インプリントモールドの製造方法]
本発明のインプリントモールドは、被覆層を容易に除去することができる。例えば、Al23膜は、市販の混酸アルミナエッチング液で容易に除去することが可能である。そのため、何らかの理由で転写用微細パターンが汚損した場合や、転写用微細パターン上に形成された被覆層が劣化した場合であっても、上記の通り、被覆層を除去することが可能であり、被覆層を除去した転写用微細パターンに、再度、上述の手法により被覆層を形成することで、インプリントモールドを再生することが可能である。これにより、合成石英ガラス基板上に設けられている転写用微細パターンへダメージを与えることなく、再生モールドを得ることができる。
【0063】
上記の再生インプリントモールドの製造方法としては、具体的には、例えば、下記工程を含む方法を採用することができる。
(21)合成石英ガラス基板の転写用微細パターン上に形成された被覆層を剥離する工程(第21工程)
(22)被覆層を剥離した転写用微細パターンを洗浄する工程(第22工程)
(23)洗浄した転写用微細パターンについて、被覆層を剥離する前のパターンと比べて、形状および破壊強度が保たれていることを確認する工程(第23工程)
(24)確認後の転写用微細パターン上の少なくとも一部に、剥離した被覆層と同じ材料または異なる材料により新たな被覆層を形成する工程(第24工程)
【0064】
(21)第21工程
第21工程では、合成石英ガラス基板の転写用微細パターン上に形成された被覆層を剥離する。この工程においては、転写用微細パターンを侵さず、既に設けられている被覆層を除去することが可能な薬剤を用いることが好適である。薬剤は、被覆層の材料により適宜選択することができるが、例えば、被覆層がアルミナの場合は、市販の混酸アルミナエッチング液等を適用することが可能である。
【0065】
(22)第22工程
第22工程では、被覆層を剥離した転写用微細パターンを洗浄する。この工程においては、異物等が巻き込まれていることを考慮して、転写用微細パターンを洗浄する。具体的には、一般に、SC1、SC2と称される水溶液等の半導体向けの酸、アルカリ、界面活性剤等を組み合わせたウェット洗浄や、プラズマ、オゾン、DUV等のドライ洗浄等の手法を組み合わせて行うことができる。
【0066】
(23)第23工程
第23工程では、被覆層を剥離し、洗浄した転写用微細パターンについて、この被覆層を形成する前のパターンと比べて、形状および破壊強度が保たれていることを確認する。この工程においては、被覆層の剥離前後(剥離した被覆層の形成前と剥離後)で転写用微細パターンに破損等がなく、再利用しても問題なく利用できるか否かを確認する。具体的には、例えば、飛行時間型二次イオン質量分析法、ナノインデンテーション試験法等の手法で被覆層の剥離前後(剥離した被覆層の形成前と剥離後)の形状および破壊強度を確認することができる。
【0067】
飛行時間型二次イオン質量分析法とは、基材表層にイオンを照射して、基材の二次イオンを発生させ、質量に応じた飛行時間から基材表面に存在する物質の質量を計測することで元素を同定する方法である。二次イオンの検出結果から基材の表面状態を解析することができる。
また、ナノインデンテーション試験法により、破壊強度(ヤング率)を求めることができる。
本発明においては、これらの手法の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができるが、本発明では、ナノインデンテーション試験法を用いることが好ましい。
【0068】
本発明において、被覆層を形成する前の転写用微細パターンの形状および強度が保たれているとは、ナノインデンテーション試験法による、剥離、洗浄後の微細パターン部分の破壊強度(ヤング率)が、好ましくは65GPa以上、より好ましくは70GPa以上であり、かつ、剥離した被覆層の形成前の微細パターン部分の破壊強度(ヤング率)との差の絶対値が、好ましくは6GPa以下、より好ましくは5GPa以下であることをいう。
上記条件を満たせば、パターンに破損がないと考えられ、次工程において新たな被覆層を形成することで、所望の破壊強度(ヤング率)を有する再生インプリントモールドを得ることができる。
【0069】
(24)第24工程
第24工程では、形状および破壊強度を確認した転写用微細パターン上の少なくとも一部に、剥離した被覆層と同じ材料または異なる材料により新たな被覆層を形成する。この工程においては、上述の被覆層を設ける方法と同様の手法を用いることで、再度被覆層を設ける。被覆層の材料も、上述したものと同じものを用いることができる。
【0070】
新たな被覆層の厚さ、厚さのばらつき、モース硬度、破壊強度(ヤング率)、被覆前と比べた破壊強度(ヤング率)の向上割合の好ましい範囲は、いずれも再生前の被覆層について説明した範囲と同じである。
再生回数は特に制限されず、被覆層剥離後のパターンの形状および破壊強度が上述した範囲内であれば、何回でも再生することができるが、好ましくは2回以上、より好ましくは3回以上である。
【0071】
このようにして再生されたインプリントモールドは、再生前のインプリントモールドと同様に用いることが可能である。
【実施例0072】
以下、実施例および実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0073】
[実施例1]インプリントモールドの作製
[電子線リソグラフィによる有機膜形成用合成石英ガラスモールドの作製]
まず、有機膜のナノインプリントリソグラフィに用いるインプリントモールドを作製した。20mm×20mm、厚さ0.525mmの正方形の合成石英ガラス基板上に、スパッタリング法により厚さ10nmのCrN層を形成した。その後、CrN層上に、ポジ型電子線レジスト(ZEP520A、日本ゼオン(株)製)をスピンコートし、180℃で10分間プリベークして、厚さ80nmのポジ型電子線レジスト層を形成した。その後、導電性高分子のチャージアップ防止剤(エスペイサー300Z、昭和電工(株)製)をスピンコートし、厚さ10nmの帯電防止層を形成した。
【0074】
次に、電子線描画装置(ELS-G125S、(株)エリオニクス製)を用いて、線幅100nmとスペース幅100nmの線形パターンを電子線描画し、潜像を形成した。超純水による洗浄を行って帯電防止層を除去し、現像液(ZED-N50、日本ゼオン(株)製)、リンス液(ZMD-B、日本ゼオン(株)製)の順に浸漬処理して、乾燥させることにより現像し、CrN層上に、電子線暴露されたスペース幅100nmのレジスト開口部と、電子線未照射の線幅100nmのレジスト残部を有する線形パターンを形成した。
【0075】
次に、アルゴンイオンビームミリング装置(20IBE-C、伯東(株)製)を用いて、スペース幅に相当するレジスト開口部のCrN層の表面が露呈している部分を選択的に除去して、線幅に相当するCrNのハードマスクパターンを形成した。その後、八フッ化プロパン(C38)ガスを用い、ドライエッチング装置(EIS-200ER、(株)エリオニクス製)を用いて、CrNのマスクパターンで覆われていない合成石英ガラス基板の表面部をエッチングし、クロムエッチング液(林純薬工業(株)製)に浸漬し、CrNのハードマスクパターンを除去して、線幅100nmとスペース幅100nmの線形パターンを有する合成石英ガラス製のインプリントモールドを得た。得られたインプリントモールドに、離型剤FAS13((トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリメトキシシラン)を蒸着した。
【0076】
[ナノインプリントリソグラフィによる合成石英ガラスのナノライン構造体(転写用微細パターン)の作製]
次に、直径100mmφ、厚さ0.525mmの円形の合成石英ガラス基板上に、スパッタリング法により、厚さ10nmのCrN膜(無機膜)を形成した。その後、CrN膜上に、光硬化性のレジストを塗布し、厚さ80nmのレジスト膜(有機膜)を形成した。
次に、ナノインプリント装置(ImpFlex Essential、(株)三明製)を用いて、離型剤処理したインプリントモールドを押し当ててレジスト膜を成形し、その状態でレジスト膜を硬化させることにより、CrN膜上に、線幅100nmとスペース幅100nmの線形パターンであるレジスト膜パターン(有機膜パターン)を形成した。その後、酸素反応性エッチング装置(IM-TU01、国立大学法人東北大学製)により、線幅100nmのレジスト膜パターン部分以外のスペース幅の部分に残存しているレジスト膜を除去し、線形のレジスト膜パターンが形成されていない部分のCrN膜の表面を露呈させた。
【0077】
次に、アルゴンイオンビームミリング装置(20IBE-C、伯東(株)製)を用いて、線形のレジスト膜パターンが形成されておらず、表面が露呈している部分のCrN膜を選択的に除去して、CrNのハードマスクパターン(無機膜パターン)を形成した。その後、八フッ化プロパン(C38)ガスを用い、ドライエッチング装置(EIS-200ER、(株)エリオニクス製)を用いて、CrNのマスクパターンで覆われていない合成石英ガラス基板の表面部をエッチングし、クロムエッチング液(林純薬工業(株)製)に浸漬して、CrNのマスクパターンをレジスト膜パターンと共に除去して、合成石英ガラス基板の表面部に、線幅100nmとスペース幅100nmの線形パターンを有するナノライン構造体(転写用微細パターン)が形成された合成石英ガラス基板を得た。
パターン部分の形状および破壊強度を下記方法により測定した。
【0078】
[原子層堆積(ALD)によるアルミナの被覆]
得られた合成石英ガラスのナノライン構造体(転写用微細パターン)の表面に、ALDによりアルミナを被覆した。合成石英ガラス基板の表面温度が140℃となるように真空チャンバー内の加熱台座上に静置した。無機前駆体のトリメチルアルミニウムの暴露0.1s、窒素パージと排気600s、酸化剤の水の暴露0.1s、窒素パージと排気600sを1サイクルとし、計20サイクルのALDを施した。
被覆後のパターン部分の破壊強度を下記方法により測定した。
【0079】
[ウェットエッチングによるアルミナの除去]
ALDにより形成したアルミナ被覆層をウェットエッチングにより除去した。液温30℃の混酸アルミエッチング液(関東化学(株)製)に3分間浸漬し、超純水で洗浄し、乾燥させた。
乾燥後のパターン部分の形状および破壊強度を下記方法により測定した。
【0080】
[実施例2]再生インプリントモールドの作製1
[ALDによるアルミナの被覆]
実施例1で被覆層を除去した合成石英ガラスのナノライン構造体(転写用微細パターン)の表面に、実施例1と同様にしてALDによりアルミナを被覆した。
被覆後のパターン部分の破壊強度を実施例1と同様に測定した。
【0081】
[ウェットエッチングによるアルミナの除去]
実施例1と同様に被覆層を除去し、乾燥させた。
乾燥後のパターン部分の形状および破壊強度を実施例1と同様に測定した。
【0082】
[実施例3]再生インプリントモールドの作製2
[ALDによるアルミナの被覆]
実施例2で被覆層を除去した合成石英ガラスのナノライン構造体(転写用微細パターン)の表面に、実施例1と同様にしてALDによりアルミナを被覆した。
被覆後のパターン部分の破壊強度を実施例1と同様に測定した。
【0083】
[ウェットエッチングによるアルミナの除去]
実施例1と同様に被覆層を除去し、乾燥させた。
乾燥後のパターン部分の形状および破壊強度を実施例1と同様に測定した。
【0084】
(ナノインデンテーション試験による強度評価)
ダイヤモンド製球状圧子(曲率半径200μm、(株)エリオニクス製)を装備したナノインデンテーション試験機(ENT-2100、(株)エリオニクス製)を用いて、合成石英ガラスのナノライン構造体(転写用微細パターン)が形成されている領域に、ダイヤモンド製球状圧子(剛体)を接触させて押し込むことにより、ナノライン構造体(転写用微細パターン)の一部のナノライン構造体(転写用微細パターン)を高さ方向に押圧して塑性変形させた。具体的には、5mN/sの押圧速度、10mNの荷重、同一の位置にて連続100回押圧した。
【0085】
(実施例1における被覆前後でのナノインデンテーション試験による強度試験結果)
被覆前の合成石英ガラスのラインパターン部分のヤング率は77.0GPaであった。
原子層堆積を施したアルミナ被覆合成石英ガラスラインパターン部分のヤング率は83.5GPaであり、アルミナの堆積による機械強度の向上が認められた。
アルミナ除去後のラインパターン部分のヤング率は75.8GPaであり、アルミナ被覆前後でのヤング率の変化が確認された。
これらの結果を表1に示す。
【0086】
(実施例1~3におけるナノインデンテーション試験による再生繰り返しの強度試験およびパターン形状の確認結果)
アルミナの堆積と除去を繰り返し行い、ラインパターン部分のヤング率を求めた。結果を表1に示す。ALDによるアルミナ堆積によって機械強度の向上が確認された。
実施例1において、アルミナ堆積前(ALD未処理基板)のヤング率に比べて、アルミナ除去後(アルミナ除去1回目)のヤング率の低下が認められたが、実施例2において、繰り返しアルミナ被覆(ALD2回目)でのヤング率の再現が確認された。
実施例2においても、1回目のアルミナ剥離後(アルミナ除去1回目)のヤング率に比べて、アルミナ除去後(アルミナ除去2回目)のヤング率の低下が認められたが、実施例3では、繰り返しアルミナ被覆(ALD3回目)でのヤング率の再現が確認された。
これらにより、いずれも剥離した被覆層を形成する前のパターン形状が保たれていることが確認された。
【0087】
【表1】
【0088】
[実験例1]
(微細パターンの作製および結果)
実施例1と同様にして、合成石英ガラス基板の表面に、線幅100nmとスペース幅100nmの線形パターンを有するナノライン構造体(転写用微細パターン)が形成された合成石英ガラス基板を得た。
図1に、得られた線状のラインパターンの原子間力顕微鏡像を示す。線幅100nm、高さ115nmの微細パターンが形成されていることを確認した。
【0089】
[実験例2]
(アルミナ被覆層の厚さの計測および結果)
パターンを有しない合成石英ガラス基板上に、実施例1の[原子層堆積(ALD)によるアルミナの被覆]と同操作、同条件でアルミナを被覆し、触針式微細形状測定機(ET4000、(株)小坂研究所製)で膜厚を計測した。測定力5μN、速度20μm/sで計測した。アルミナの膜厚は約3nmであった。
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
また、フォトリソグラフィによる方法では、合成石英ガラス基板上に形成した有機膜を、所定の遮光部および非遮光部を有するフォトマスクを用いて露光し、有機膜に転写されたパターンを現像することにより、有機膜パターンを形成することができる。
現像に使用される液は、レジスト材料の種類に応じて適宜選択すればよく、現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液、キシレン系の有機溶剤等を好適に用いることができる。
現像後は、純水等によるリンス処理を行い、残留している現像液、および現像液に溶解したレジスト材料由来の成分を洗い流し、乾燥させることで、合成石英ガラス基板上に有機膜パターンを形成することができる。乾燥後には、有機膜の強化のため、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、有機膜が感光しなくなる温度および/または時間で行うため、露光前のプリベーク温度よりも高温(例えば、130℃以上)で行うことが好ましい。