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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084767
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】卵黄含有ソース
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20230613BHJP
【FI】
A23L23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199038
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 日菜子
(72)【発明者】
【氏名】谷野 晃正
(72)【発明者】
【氏名】畑澤 智志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 武紀
【テーマコード(参考)】
4B036
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LF03
4B036LH10
4B036LH41
4B036LH50
4B036LP01
4B036LP06
4B036LP17
(57)【要約】
【課題】長期保存しても、卵黄の濃厚なコクと風味を有し、かつ口溶けの良好な卵黄含有ソースの提供。
【解決手段】卵黄を含有し糖度が5~13度であるソースA、及び卵黄を含有し糖度が16~25度であるソースBを非混合状態で含有する、卵黄含有ソース。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のソースA及びソースBを非混合状態で含有する、卵黄含有ソース:
ソースA:卵黄を含有し糖度が5~13度であるソース
ソースB:卵黄を含有し糖度が16~25度であるソース。
【請求項2】
前記ソースA及びソースBにおける卵黄の含有量がそれぞれ1~20質量%である、請求項1記載の卵黄含有ソース。
【請求項3】
前記ソースAとソースBの糖度の差が6度以上である、請求項1又は2記載の卵黄含有ソース。
【請求項4】
前記ソースAとソースBを収納する容器を含む容器入りソースである、請求項1~3のいずれか1項記載の卵黄含有ソース。
【請求項5】
前記ソースAとソースBが互いに接した状態で前記容器に収納されている、請求項1~4のいずれか1項記載の卵黄含有ソース。
【請求項6】
冷凍ソースである、請求項1~5のいずれか1項記載の卵黄含有ソース。
【請求項7】
剛性容器に収納されている、請求項1~6のいずれか1項記載の卵黄含有ソース。
【請求項8】
卵黄を含有し糖度が5~13度であるソースAと、卵黄を含有し糖度が16~25度であるソースBとを混合することを含む、卵黄含有ソースの製造方法。
【請求項9】
前記ソースA及びソースBにおける卵黄の含有量がそれぞれ1~20質量%である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ソースAとソースBの糖度の差が6度以上である、請求項8又は9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵黄含有ソースに関する。
【背景技術】
【0002】
カスタードクリームやカルボナーラソース等の卵黄含有ソースは、卵黄の濃厚でコクのある風味と滑らかな口当たりが好まれる食品素材である。一方で、卵黄は加熱により凝固しやすいため、卵黄含有ソースを用いる食品は、加熱に注意を要する。ソース中の卵黄が凝固すると、ソースの滑らかさが損なわれ、また卵黄がソースから分離してソースの風味も低下する。
【0003】
特許文献1には、ホスホリパーゼA処理卵黄と五糖以上の糖アルコールを含む水中油型パスタソースが、加熱を行わなくても単にパスタと和えるだけで喫食でき、コクと滑らかな食感を有することが記載されている。特許文献2には、調理ソース中にホスホリパーゼ処理された卵黄グラニュール画分及び/又はホスホリパーゼ処理された卵黄プラズマ画分を添加すると、口溶け、食感が良く、風味に優れた調理ソースが得られることが記載されている。特許文献3には、卵黄をホスホリパーゼA2及びプロテアーゼで処理することにより、耐熱性に優れた卵加工品が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-215539号公報
【特許文献2】特開2009-195127号公報
【特許文献3】特開2002-233334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の酵素処理した卵黄を含むソースは、卵黄本来の風味が必ずしも十分なものではなかった。また従来の酵素処理した卵黄を含むソースは、長期間冷蔵又は冷凍保存すると、徐々に水分や油脂が分離して風味が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、長期保存しても、卵黄の濃厚なコクと風味を有し、かつ口溶けの良好な卵黄含有ソースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、それぞれ異なる所定の糖度を有する2種類の卵黄含有ソースを非混合状態で保存し、喫食の際に混合することで、長期保存しても卵黄のコクと風味、口溶けが良好な卵黄含有ソースを提供できることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、以下、
下記のソースA及びソースBを非混合状態で含有する、卵黄含有ソース:
ソースA:卵黄を含有し糖度が5~13度であるソース
ソースB:卵黄を含有し糖度が16~25度であるソース、
を提供する。
また本発明は、卵黄を含有し糖度が5~13度であるソースAと、卵黄を含有し糖度が16~25度であるソースBとを混合することを含む、卵黄含有ソースの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長期保存しても卵黄本来の濃厚なコクと風味があり、かつ滑らかで良好な口溶けを有する卵黄含有ソースを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における卵黄含有ソースとは、通常、卵黄を含有する材料を混合及び加熱して製造される、液状食品をいう。卵黄含有ソースの代表的な例としては、出汁に卵黄を混合して加熱した卵汁、カスタードソース、及びカルボナーラソースが挙げられ、このうちカルボナーラソースが好ましい。ただし、本明細書における卵黄含有ソースの例はこれらに限定されず、ホワイトソース、クリームソース、トマトソース、白ワインをベースとしたヴァンブランソース等に卵黄を混合して加熱したソースなども、卵黄含有ソースの例として挙げることができる。
【0011】
本発明により提供される卵黄含有ソースは、2種類のソース:ソースA及びソースBを含有する。該ソースA及びソースBは、それぞれが卵黄含有ソースである。該ソースA及びソースBは、喫食直前までは非混合状態で保存され、喫食の際に混合されて、喫食用の卵黄含有ソースへと調製される。
【0012】
前記ソースA及びソースBの原料に用いられる卵黄は、全卵から卵白を分離して得られるものである。好ましくは、得られた卵黄を液状化又は均質化したものをソースの原料として用いる。あるいは、酵素処理卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄などの加工卵黄を用いることができる。
【0013】
本発明で用いる酵素処理卵黄の製造方法に特に制限はない。例えば、常法に従い卵から卵黄を取り出し酵素で処理することで酵素処理卵黄を製造することができる。酵素としては、蛋白質分解酵素であるプロテアーゼ、リン脂質分解酵素であるホスホリパーゼのいずれか一方又は両方を用いることができる。プロテアーゼとしては、食品に適用可能なものであれば限定されないが、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、金属プロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼなどを用いることができる。好ましいプロテアーゼの例としては、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、ペプシン、ブロメライン、パンクレアチン等が挙げられる。これらのプロテアーゼは、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで用いることができる。ホスホリパーゼとしては、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2及びこれらと同等の活性を有するものが挙げられ、これらをいずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで用いることができる。これらの酵素は、市販の酵素製剤を用いることができる。あるいは、本発明で用いる酵素処理卵黄は、市販品を用いることができる。
【0014】
本発明で用いる酵素処理卵黄は、プロテアーゼ及びホスホリパーゼのいずれか一方で処理されたものであれよいが、プロテアーゼ及びホスホリパーゼの両方で処理されたものであると、本発明の効果がより高められるため好ましい。
【0015】
本発明で用いる加塩卵黄は、卵黄に食塩を添加したものであり、好ましくは卵黄100質量部に対して3~15質量部の割合で食塩を添加したものである。加塩卵黄は、常法に従い、卵から卵黄を取り出し、食塩を加えて均一に混合することで製造することができる。あるいは、市販の加塩卵黄を使用することができる。
【0016】
本発明で用いる加糖卵黄は、卵黄に糖類を添加したものであり、好ましくは卵黄100質量部に対して10~30質量部の割合で糖類を添加したものである。用いる糖類としては、ブドウ糖、ショ糖などを利用できる。加糖卵黄は、常法に従い、卵から卵黄を取り出し、糖類を加えて均一に混合することで製造することができる。あるいは、市販の加糖卵黄を使用することができる。
【0017】
酵素処理卵黄、加塩卵黄又は加糖卵黄として冷凍処理を行ったものを用いると、保存性が高まるため好ましい。当該冷凍処理の手順は、常法に従えばよく、特に制限はない。また、冷凍処理された酵素処理卵黄、加塩卵黄又は加糖卵黄は、解凍処理を行ってから使用することが好ましい。当該解凍処理の手順も常法に従えばよく、特に制限はない。
【0018】
前記ソースA及びソースBの原料として用いる卵黄には、前述の未処理の卵黄、酵素処理卵黄、加塩卵黄、及び加糖卵黄からなる群より選択されるいずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせを用いることができる。これらのうち、未処理卵黄の臭み、及び酵素のえぐみを抑制する観点からは、加塩卵黄及び加糖卵黄からなる群より選択されるいずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせを用いることが好ましい。
【0019】
前記ソースA及びソースBにおける卵黄の含有量は、それぞれ、該ソースの全質量中、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~10質量%である。卵黄として酵素処理卵黄、加塩卵黄又は加糖卵黄を用いる場合には、それらに含まれる酵素、食塩、糖類等を除いた卵黄自体の含有量が上記の範囲となるように調整する。なお、全卵を均質化した液卵やそれを乾燥した全卵粉に含まれる卵黄成分の量は、本発明の卵黄含有ソースにおける卵黄の含有量に含まれない。
【0020】
前記ソースAは、糖度が5~13度、好ましくは7~12度の範囲である。また前記ソースBは、糖度が16~25度、好ましくは17~23度の範囲である。また、該ソースAとソースBの糖度の差は、好ましくは6度以上、より好ましくは8度以上、かつ好ましくは15度以下、より好ましくは13度以下である。該ソースA及びソースBの糖度を前記範囲とすることにより、喫食前の本発明の卵黄含有ソースにおいて、ソースAとソースBを非混合状態のまま維持することができると共に、喫食する際に該ソースA及びソースBを攪拌して混合すると、卵黄の濃厚なコクと風味、及び滑らかな口当たりを有する卵黄含有ソースを得ることが可能になる。なお、本明細書におけるソースの糖度は、屈折計による光の屈折を糖度に換算する方法で測定される値であり、市販の糖度計(例えば、株式会社アタゴ製、「ポケット糖度計PAL-BX/RI」)を用いて、機器マニュアルに従って測定することができる。
【0021】
前記ソースA及びソースBの糖度は、常法に従って調整することができる。例えば、後述する通常の卵黄含有ソースの製造の手順に従ってソースA及びソースBを製造する過程で、卵黄の風味を損なわない範囲の量で糖類、蛋白質類、脂質類、塩類等を添加することで、ソースの糖度を調整することができる。
【0022】
前記ソースA及びソースBには、前記の卵黄のほかに、通常の卵黄含有ソースの製造に使用され得る他の原料を配合することができる。該他の原料の例としては、小麦粉等の穀粉類、澱粉類、乳製品、油脂類、糖類、蛋白質類、塩類、調味料、色素、乳化剤等が挙げられる。これらの他の原料は、製造する卵黄含有ソースの種類等に応じて適宜選択して用いることができる。
【0023】
好ましくは、前記ソースA及びソースBの粘度は、それぞれ20~30dPa・s程度、及び25~45dPa・s程度である。ソースの粘度を前記範囲にすることで、最終的に喫食される本発明の卵黄含有ソースの舌触りが滑らかになるという有利さが得られる。本明細書において、ソースの粘度とは、ソースを目開き2mmの金網で濾した液状部をB型回転粘度計で、品温30℃、回転速度3~13rpmで測定した値である。
【0024】
前記ソースA及びソースBは、糖度を前記の範囲にする以外は、通常の卵黄含有ソースの製造方法に従って製造することができる。例えば、小麦粉をバターで炒め、牛乳又は生クリームを加えて伸ばし、加熱してホワイトクリームソースを製造した後、ここに卵黄を上記の含有量となるように加えて加熱混合することで、カルボナーラソースのためのソースA及びソースBを製造することができる。このとき、原料の小麦粉、バター、牛乳、生クリームなどの量を調整したり、糖類、蛋白質類、塩類などを適宜添加することによって、ソースA及びソースBの糖度を前述した所望の範囲に調整することができる。ただし、本発明の卵黄含有ソースとして提供されるカルボナーラソースの製造方法は、これに限定されない。
【0025】
前記ソースA及びソースBは、固形具材を含んでいてもよい。固形具材としては、例えば、肉類、魚介類、野菜類、キノコ類等が挙げられ、これらのいずれか1種又はいずれか2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、ソースに含まれる「固形具材」は、好ましくは差し渡し長さ又は長軸長さが5mm以上の食材である。また本明細書において、ソースにおける卵黄の含有量とは、前記の固形具材を除外したソースの全質量中における卵黄の含有量をいう。
【0026】
本発明の卵黄含有ソースは、前述したソースA及びソースBを非混合状態で含有する。本明細書において、ソースA及びソースBの非混合状態とは、該ソースAとソースBが撹拌されていない状態、又は均一に混合されていない状態をいう。また本発明の卵黄含有ソースは、該ソースA及びソースBをそれらが互いに接した状態で含有する。好ましくは、本発明の卵黄含有ソースは、前記ソースAとソースBを収納する容器を含む容器入りソースであり、該容器内には、該ソースAとソースBが、前記のように互いに接した状態で収納されている。該ソースAとソースBは、前記のような異なる糖度を有するため、互いに接した状態で容器に収められていても自然対流による混合は起こりにくい。よって、本発明の卵黄含有ソースは、長時間保存した場合でも、ソースAとソースBを非混合状態で維持することができる。ただし、ソースAとソースBは、撹拌操作等によって容易に混合されて均一になり得る。
【0027】
例えば、本発明の卵黄含有ソースにおいては、前記ソースAとソースBを前後又は左右に並べて配置するか、又は該ソースAとソースBを積層させて配置することができる。あるいは、ソースAでソースBを囲んだり、包んだりしてもよい。本発明の卵黄含有ソースにおいて、該ソースA及びソースBは、それぞれ、少なくとも1つの塊を形成していればよいが、2つ以上に分けられていてもよい。例えば、本発明の卵黄含有ソースは、1つのソースAの塊と1つのソースBの塊とを含有していてもよく、1つのソースAの塊と2つ以上のソースBの塊とを含有していてもよく、2つ以上のソースAの塊と1つのソースBの塊とを含有していてもよく、又は2つ以上のソースAの塊と2つ以上のソースBの塊とを含有していてもよい。保存中における両ソースの混合を抑制するためには、該ソースA及びソースBはできるだけ小さな面積で接するように配置されることが好ましい。一方、喫食の際の両ソースの混合しやすさの点からは、保存中における両ソースの混合を抑制できる限りにおいて、該ソースAとソースBの接触面積は大きいほうが都合がよい。
【0028】
本発明の卵黄含有ソースにおいて、前記ソースAとソースBとの量比は特に限定されない。保存中におけるソースAとソースBの混合を抑制するためには、ソースA100質量部に対して、ソースBの量は、好ましくは5~80質量部、より好ましくは8~50質量部、さらに好ましくは10~45質量部である。
【0029】
本発明の卵黄含有ソースは、喫食前の保存状態では前記ソースA及びソースBを非混合状態で含有し、喫食に際して(例えば、喫食者自身で、又は喫食者に提供される直前に)該ソースA及びソースBが混合されることで、喫食用のソースとして製造される。本発明の卵黄含有ソースは、該ソースA及びソースBを非混合状態で含有することで、長時間保存しても、卵黄の濃厚なコクと風味、及び滑らかな口当たりを維持することができる。
【0030】
本発明の卵黄含有ソースを収納する容器には、一般的なソースの包装に用いられる容器を用いることができる。例えば、容器としては、金属製又はプラスチック製の包装袋や包装箱などが挙げられる。保存中に容器外部からの力が加わることでソースAとソースBが混合されることを防止するためには、前記ソースA及びソースBは剛性容器に収納されることが好ましい。また後述するソースA及びソースBの混合操作を容易にするためには、該容器は加熱可能であることが好ましい。例えば、該容器は電子レンジ加熱可能な容器であることが好ましい。該容器に収納されたソースAとソースBは、必要に応じて常法により殺菌処理される。
【0031】
本発明の卵黄含有ソースは、常温、冷蔵又は冷凍で保存することができる。好ましくは、本発明の卵黄含有ソースは冷凍ソースである。冷凍ソースとすることで、長期間の保存が容易になるだけでなく、保存中の前記ソースAとソースBの混合を抑制することができる。したがって、冷凍ソースの場合は、該ソースAとソースBの接触面積は大きくてもよい。
【0032】
本発明の卵黄含有ソースにおいては、前記ソースA及びソースBのみが容器に収納されていてもよいが、前記ソースA及びソースBがその他の食品とともに容器に収納されていてもよい。例えば、シチュー、ハンバーグ、又はスパゲティやグラタン等のパスタ料理などの食品とともに、該ソースA及びソースBを容器に収納することができる。具体的な例としては、調理したハンバーグの上に該ソースA及びソースBを並べて又は積層して配置したものを容器に収納することができる。別の具体例として、茹でたパスタの上に該ソースA及びソースBを並べて又は積層して配置したものを容器に収納することができる。好ましくは、本発明の卵黄含有ソースはパスタソースである。
【0033】
本発明の卵黄含有ソースを喫食する場合、前記ソースA及びソースBを混合し、喫食用の卵黄含有ソースを製造する。その際、該ソースA及びソースBを加熱すると混合が容易になる。好ましい実施形態において、前記ソースA及びソースBは、それらが収納された容器ごと電子レンジ等で加熱される。加熱後のソースを撹拌することで該ソースA及びソースBを混合し、喫食用の卵黄含有ソースが製造される。
【実施例0034】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
下記の実施例及び比較例において使用した卵黄は下記のとおりである。
・加糖卵黄:加糖凍結卵黄:卵黄含量80%
【0036】
〔製造例〕卵黄含有ソースの製造
ソースA:市販のホワイトクリームソースルウと加糖卵黄を用いて、カルボナーラソースを製造した。具体的には、まずホワイトクリームソースルウを鍋に入れた湯にのばしてホワイトクリームソースを調製した。ここに卵黄を5質量%となるように加え、鍋が沸騰しないように5分間加熱混合し、卵黄含有ソースであるカルボナーラソースを調製した。調製したカルボナーラソースの糖度を糖度計(ポケット糖度計PAL-BX/RI:株式会社アタゴ製)を用いて測定したところ、糖度は4度であった。また、目開き2mmの金網で濾した液状部を用いて、B型回転粘度計で、品温30℃、回転速度3~13rpmで測定した粘度は22dPa・sであった。このカルボナーラソースに粉末マルトースを適宜混合し、表1~2の糖度を有するソースAを調製した。なお粉末マルトースによるソースの粘度変化はほとんど認められなかった。
ソースB:上記ソースAの製造工程で調製したカルボナーラソースに溶き片栗粉を加え、加熱攪拌して煮詰め、濃カルボナーラソースを調製した。同様に糖度を測定したところ、糖度は16度であった。また、目開き2mmの金網で濾した液状部を用いて、B型回転粘度計で、品温30℃、回転速度3~13rpmで測定した粘度は27dPa・sであった。この濃カルボナーラソースに粉末マルトースを適宜混合し、表1~2の糖度を有するソースBを調製した。なお粉末マルトースによるソースの粘度変化はほとんど認められなかった。
【0037】
容量200mLのプラスチックトレイを用意し、ソースAを100g充填した。充填したソースAの中央部に、表1~2の量でソースBを、ソースAと混合しないように静かに流し込んだ。得られたソースでは、ソースAの中央部に略円形にソースBが配置されていた。ソースを配置したトレイを直ちにラップフィルムで覆い、-18℃の冷凍庫で凍結し、卵黄含有ソースを製造した。
【0038】
参考例1として、ソースAとソースBを予め混合したソースを製造した。製造例3と同様の配合のソースAとソースBを用い、ただし上記と同様の手順でソースBをソースAに流し込んだ後、すぐに均一になるよう攪拌し、次いで同様に冷凍して卵黄含有ソースを製造した。
【0039】
〔試験例1〕
製造した卵黄含有ソースを-18℃の冷凍庫で3日間保管後、冷凍庫から取出し、容器ごと電子レンジで600W、2分間加熱した。加熱したソースAとソースBをよく攪拌して均一にした。得られたソースの風味及び口溶けを、10名の訓練されたパネラーにより下記の評価基準に従って評価し、10名の評価の平均値を求めた。評価結果を表1~2に示す。
<評価基準>
(風味)
5点:卵黄の濃厚なコクと風味が十分にあり、非常に良好。
4点:卵黄の濃厚なコクと風味があり、良好。
3点:卵黄のコク又は風味がやや物足りない。
2点:卵黄のコク又は風味が物足りず、不良。
1点:卵黄のコク又は風味が感じられないか、生臭さや異味が感じられ、非常に不良。
(口溶け)
5点:ソース全体が舌触りが良く、非常に良好。
4点:ソース全体がほぼムラなく舌触りが良く、良好。
3点:ソースが部分的にわずかに分離又は凝集しており、わずかにざらつきを感じる。
2点:ソースが部分的に分離又は凝集しており、ざらつきが感じられ、不良。
1点:ソース全体に分離又は凝集があり、ざらつきが強く感じられ、非常に不良。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
ソースBの卵黄含有量を表3のように変更した以外は、製造例4と同様に卵黄含有ソースを製造し、試験例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】