(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008587
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】接合装置、および接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112264
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】稲益 寿史
(57)【要約】
【課題】接合する基板同士の位置合わせの精度を向上させることできる技術を提供する。
【解決手段】接合装置は、第1基板を保持する第1保持部と、第2基板を保持する第2保持部と、第1保持部と第2保持部のうち少なくとも一方を他方に対して相対移動させる移動部と、を有する。また、接合装置は、第1基板を透過する光を用いて、第1基板に形成された第1マークと、第2基板に形成された第2マークとの両方を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが撮像した撮像情報に基づき移動部を動作させる制御部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板を接合する接合装置であって、
前記第1基板を保持する第1保持部と、
前記第2基板を保持する第2保持部と、
前記第1保持部および前記第2保持部のうち少なくとも一方を他方に対して相対移動させる移動部と、
前記第1基板を透過する光を用いて、前記第1基板に形成された第1マークと、前記第2基板に形成された第2マークとの両方を撮像する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットが撮像した撮像情報に基づき前記移動部を動作させる制御部と、を備える、
接合装置。
【請求項2】
前記撮像ユニットは、
前記第1基板を透過した前記光が入射する対物レンズと、
前記対物レンズを通過した前記光が結像する1以上の撮像部と、
前記対物レンズの位置を維持したまま、前記第1マークおよび前記第2マークの両方に前記1以上の撮像部の焦点を合わせる焦点調整部と、を含む、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記1以上の撮像部は、前記第1マークを撮像する第1撮像部と、前記第2マークを撮像する第2撮像部と、を含み、
前記焦点調整部は、前記第1撮像部の焦点が前記第1マークに合った状態で、前記第1撮像部に対して前記第2撮像部を相対移動させる第2撮像部用移動機構を有する、
請求項2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記第1撮像部と前記第2撮像部は、相互に異なる位置に設けられるとともに、前記第1基板および前記第2基板から入光した光が通る導光路の一部を共有しており、
前記導光路における、前記第1撮像部の受光軸と、前記第2撮像部の受光軸とが交差する位置に、ハーフミラーを有する、
請求項3に記載の接合装置。
【請求項5】
前記1以上の撮像部は、1つの撮像部によって構成され、
前記焦点調整部は、電力供給に基づき、前記第1マークおよび前記第2マークの各々に前記1つの撮像部の焦点を合わせる流体レンズを有する、
請求項2に記載の接合装置。
【請求項6】
前記撮像ユニットは、前記第1基板と前記第2基板の接合後に、前記第2マークに焦点を合わせている前記1以上の撮像部により撮像を行い、
前記制御部は、前記1以上の撮像部が撮像した前記撮像情報に基づき、前記第1基板と前記第2基板の接合状態を検査する、
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項7】
前記撮像ユニットは、前記第1基板と前記第2基板の接合中に、前記第1マークに焦点を合わせている前記1以上の撮像部により撮像を行い、
前記制御部は、前記1以上の撮像部が撮像した前記撮像情報において、前記第1マークが消失したことに基づき、前記第1基板と前記第2基板の接合の進行を認識する、
請求項2乃至6のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項8】
前記撮像ユニットは、前記第1保持部の前記第1基板を保持している面とは反対側に配置され、前記第1保持部に設けられた貫通窓を介して、前記第1基板の前記第1マークおよび前記第2基板の前記第2マークを撮像する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項9】
前記第2基板に対して間隔をおいて対向する前記第1基板の中心を押圧して当該第1基板と前記第2基板を接合する押動部を有し、
前記制御部は、
前記撮像ユニットで前記第1マークおよび前記第2マークの両方を撮像する時と、前記押動部で前記第1基板の中心を押圧する時とで、前記第1基板と前記第2基板の間隔を同一の間隔に設定する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項10】
前記撮像ユニットは、前記押動部を基準として所定距離離れた位置に複数設けられる、
請求項9に記載の接合装置。
【請求項11】
前記第1保持部は前記第1基板を水平に保持し、前記第2保持部は前記第2基板を水平に保持し、
前記移動部は、前記第1保持部と前記第2保持部を相対的に鉛直方向に移動させる鉛直方向移動部と、前記第1保持部と前記第2保持部を相対的に水平方向に移動させる水平方向移動部とを、備え、
前記制御部は、前記撮像ユニットが撮像した撮像情報に基づき、前記移動部のうち前記水平方向移動部のみを動作させる、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項12】
前記第1保持部が保持する前記第1基板は、前記第2保持部が保持する前記第2基板よりも上方に配置される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項13】
前記撮像ユニットと相対的に前記第1保持部を昇降させる移動機構を備える、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項14】
第1基板と第2基板を接合する接合装置の接合方法であって、
前記接合装置は、
前記第1基板を保持する第1保持部と、
前記第2基板を保持する第2保持部と、
前記第1保持部および前記第2保持部のうち少なくとも一方を他方に対して相対移動させる移動部と、
前記第1基板を透過する光を用いて、前記第1基板に形成された第1マークと、前記第2基板に形成された第2マークと、を撮像する撮像ユニットと、を備え、
前記接合方法は、
前記第1マークおよび前記第2マークの両方に前記撮像ユニットの焦点を合わせることで、前記第1マークを有する第1撮像情報と前記第2マークを有する第2撮像情報とを取得する工程と、
前記第1撮像情報と前記第2撮像情報に基づき前記移動部の移動を行って、前記第1基板と前記第2基板の相対位置を位置合わせする工程と、
前記位置合わせ後に、前記第1基板と前記第2基板を接合する工程と、を有する
接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合装置、および接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上チャックが保持した上側の基板と、上チャックに対して水平方向かつ鉛直方向に相対移動可能な下チャックが保持した下側の基板とを接合する接合装置が開示されている。
【0003】
接合装置は、接合前において、下チャックを移動して、上側の基板と下側の基板との水平方向位置の位置合わせを行う。位置合わせにおいて、接合装置は、上チャックに固定された上部撮像部で撮像した画像と、下チャックに固定された下部撮像部で撮像した画像とに基づき、上側の基板と下側の基板の相対位置を認識し、水平方向位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、接合する基板同士の位置合わせの精度を向上させることできる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、第1基板と第2基板を接合する接合装置であって、前記第1基板を保持する第1保持部と、前記第2基板を保持する第2保持部と、前記第1保持部および前記第2保持部のうち少なくとも一方を他方に対して相対移動させる移動部と、前記第1基板を透過する光を用いて、前記第1基板に形成された第1マークと、前記第2基板に形成された第2マークとの両方を撮像する撮像ユニットと、前記撮像ユニットが撮像した撮像情報に基づき前記移動部を動作させる制御部と、を備える、接合装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、接合する基板同士の位置合わせの精度を向上させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る接合システムを示す概略平面図である。
【
図2】一実施形態に係る接合システムが接合する第1基板および第2基板の一例を示す概略側面図である。
【
図3】一実施形態に係る接合システムを示す概略側面図である。
【
図4】一実施形態に係る接合システムによる接合方法を示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態に係る接合装置の一例を示す概略平面図である。
【
図6】一実施形態に係る接合装置を示す概略側面図である。
【
図7】撮像ユニット、上チャック、下チャック、上ウェハおよび下ウェハを示す概略側面図である。
【
図8】撮像ユニットが撮像した撮像情報を例示する説明図である。
【
図9】一実施形態に係る接合装置の接合方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第1変形例に係る撮像ユニット、上チャック、下チャック、上ウェハおよび下ウェハを示す概略側面図である。
【
図11】第2変形例に係る撮像ユニット、上チャック、下チャック、上ウェハおよび下ウェハを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る接合システム1は、第1基板W1および第2基板W2を搬送し、接合装置41において当該第1基板W1および第2基板W2を接合することで接合基板Tを作製する。なお、
図1中において、接合システム1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、互いに垂直な方向であり、X軸方向およびY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0011】
接合システム1は、第1基板W1および第2基板W2の搬入出ステーション2と、第1基板W1および第2基板を処理する処理ステーション3と、を備える。搬入出ステーション2および処理ステーション3は、Y軸方向に沿って互いに隣接し、かつ連続するよう設置される。
【0012】
この接合システム1で接合される第1基板W1および第2基板W2のうち少なくとも一方は、例えば、シリコンウェハまたは化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板である。化合物半導体ウェハは、特に限定されないが、例えば、GaAsウェハ、SiCウェハ、GaNウェハ、またはInPウェハである。なお、第1基板W1および第2基板W2は、半導体基板の代わりに、ガラス基板が用いられてもよい。第1基板W1および第2基板W2のうち他方は、電子回路が形成されていないベアウェハでもよい。
【0013】
第1基板W1と第2基板W2とは、略同形状(同径)の円板に形成されている。
図2に示すように、接合システム1は、第1基板W1のZ軸負方向側(鉛直方向下側)に第2基板W2を配置して、第1基板W1と第2基板W2を接合する。よって以下、第1基板W1を「上ウェハW1」、第2基板W2を「下ウェハW2」、接合基板Tを「接合ウェハT」という場合がある。また以下では、上ウェハW1の板面のうち、下ウェハW2と接合される側の板面を「接合面W1j」といい、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」という。また、下ウェハW2の板面のうち、上ウェハW1と接合される側の板面を「接合面W2j」といい、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」という。
【0014】
図1に示すように、搬入出ステーション2は、載置台10と、搬送領域20とを備える。載置台10は、複数の載置板11を有している。各載置板11には、複数枚(例えば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1、C2、C3がそれぞれ載置される。カセットC1は上ウェハW1を収容するカセットであり、カセットC2は下ウェハW2を収容するカセットであり、カセットC3は接合ウェハTを収容するカセットである。カセットC1、C2において、上ウェハW1および下ウェハW2は、それぞれ接合面W1j、W2jを上面にした姿勢で収容される。
【0015】
搬送領域20は、載置台10と処理ステーション3との間に設置される。搬送領域20は、X軸方向に延在する搬送路21と、この搬送路21に沿って移動可能な搬送装置22とを備える。搬送装置22は、Y軸方向に移動可能かつ水平面上で旋回(θ回転)可能であり、載置台10上に載置されたカセットC1~C3と、後述する処理ステーション3の第3処理ブロックG3との間で、上ウェハW1、下ウェハW2および接合ウェハTの搬送を行う。
【0016】
なお、載置台10上に載置される載置板11の数およびカセットC1~C3の個数は、特に限定されないことは勿論である。また、載置台10には、カセットC1、C2、C3以外に、不具合が生じた基板を回収するための図示しないカセットが載置されてもよい。
【0017】
処理ステーション3は、X軸正方向側に第1処理ブロックG1を備えるとともに、X軸負方向側に第2処理ブロックG2を備える。また、処理ステーション3は、Y軸正方向側(搬入出ステーション2と、第1処理ブロックG1および第2処理ブロックG2との間)に第3処理ブロックG3を備える。
【0018】
さらに、処理ステーション3は、第1処理ブロックG1~第3処理ブロックG3に囲まれた領域に、搬送装置61を備えた搬送領域60を有する。搬送装置61は、例えば、水平方向(X軸方向およびY軸方向)、鉛直方向(Z軸方向)および水平面上で旋回(θ回転)可能な搬送アームを有する。搬送装置61は、搬送領域60内を移動し、搬送領域60に隣接する第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3内の装置に、上ウェハW1、下ウェハW2および接合ウェハTを搬送する。
【0019】
第1処理ブロックG1は、例えば、表面改質装置33と、表面親水化装置34と、を備える。表面改質装置33は、上ウェハW1の接合面W1jおよび下ウェハW2の接合面W2jを改質する。表面親水化装置34は、改質された上ウェハW1の接合面W1jおよび下ウェハW2の接合面W2jを親水化する。
【0020】
図3に示すように、第2処理ブロックG2は、例えば、接合装置41と、第1温度調整装置42と、第2温度調整装置43と、を備える。接合装置41は、親水化された上ウェハW1と下ウェハW2とを接合し(
図2も参照)、接合ウェハTを作製する。第1温度調整装置42は、接合前(下ウェハW2との接触前)に、上ウェハW1の温度分布を調整する。第2温度調整装置43は、接合前(上ウェハW1との接触前)に、下ウェハW2の温度分布を調整する。なお、本実施形態において、第1温度調整装置42および第2温度調整装置43は、接合装置41と別に設けられるが、接合装置41の一部として設けられてもよい。
【0021】
第3処理ブロックG3は、例えば、Z軸正方向側からZ軸負方向側に向かって順に、第1位置調整装置51、第2位置調整装置52、およびトランジション装置53、54を積層している。なお、第3処理ブロックG3における各装置の設置場所は、図示例に限定されない。第1位置調整装置51は、上ウェハW1を水平面上で回転することにより上ウェハW1の水平方向の姿勢を調整し、かつ上ウェハW1を上下反転して上ウェハW1の接合面W1jを下向きにする。第2位置調整装置52は、下ウェハW2を水平面上で回転することにより下ウェハW2の水平方向の姿勢を調整する。トランジション装置53には、上ウェハW1が一時的に載置される。また、トランジション装置54には、下ウェハW2や接合ウェハTが一時的に載置される。なお、本実施形態において、第1位置調整装置51および第2位置調整装置52は、接合装置41とは別に設けられるが、接合装置41の一部として設けられてもよい。
【0022】
図1に戻り、接合システム1は、システム全体の動作を制御する制御装置90を備える。制御装置90は、1以上のプロセッサ91、メモリ92、図示しない入出力インタフェースおよび電子回路を有する制御用コンピュータである。1以上のプロセッサ91は、CPU、ASIC、FPGA、複数のディスクリート半導体からなる回路等のうち1つまたは複数を組み合わせたものであり、メモリ92に記憶されたプログラムを実行処理する。メモリ92は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含み、制御装置90の記憶部を形成している。
【0023】
次に、
図4を参照して、実施形態に係る接合システム1の接合方法について説明する。接合方法において、作業者または搬送ロボット(不図示)は、複数枚の上ウェハW1を収容したカセットC1、複数枚の下ウェハW2を収容したカセットC2、および空のカセットC3を、搬入出ステーション2の載置台10上に載置する。
【0024】
接合システム1は、搬送装置22および搬送装置61により、カセットC1内の上ウェハW1を搬送する。具体的には、搬送装置22は、カセットC1から上ウェハW1を取り出し、第3処理ブロックG3のトランジション装置53に搬送する。その後、搬送装置61は、トランジション装置53から上ウェハW1を取り出し、第1処理ブロックG1の表面改質装置33に搬送する。
【0025】
そして、接合システム1は、表面改質装置33により、上ウェハW1の表面改質を行う(ステップS1)。表面改質装置33は、上ウェハW1の接合面W1jを上に向けた状態で接合面W1jを改質する。ステップS1の後、搬送装置61は、表面改質装置33から上ウェハW1を取り出し、表面親水化装置34に搬送する。
【0026】
接合システム1は、表面親水化装置34により、上ウェハW1の表面親水化を行う(ステップS2)。表面親水化装置34は、上ウェハW1の接合面W1jを上に向けた状態で接合面W1jを親水化する。その後、搬送装置61は、表面親水化装置34から上ウェハW1を取り出し、第3処理ブロックG3の第1位置調整装置51に搬送する。
【0027】
接合システム1は、第1位置調整装置51により、上ウェハW1を回転することで上ウェハW1の水平面上の姿勢を調整し、また上ウェハW1の上下を反転する(ステップS3)。これにより、上ウェハW1のノッチが所定の方位に向けられ、上ウェハW1の接合面W1jが下に向けられる。その後、搬送装置61は、第1位置調整装置51から上ウェハW1を取り出し、第2処理ブロックG2の第1温度調整装置42に搬送する。
【0028】
接合システム1は、第1温度調整装置42により、上ウェハW1の温調を行う(ステップS4)。上ウェハW1の温度の調整は、上ウェハW1の接合面W1jを下に向けた状態で実施する。その後、搬送装置61は、第1温度調整装置42から上ウェハW1を取り出し、接合装置41に搬送する。
【0029】
また、接合システム1は、上ウェハW1に対する上記の処理と並行して(時間を前後して)、下ウェハW2に対する処理を実施する。接合システム1は、搬送装置22および搬送装置61により、カセットC2内の下ウェハW2を搬送する。まず搬送装置22は、カセットC2内の下ウェハW2を取り出し、処理ステーション3の第3処理ブロックG3のトランジション装置54に搬送する。その後、搬送装置61は、トランジション装置54から下ウェハW2を取り出し、第1処理ブロックG1の表面改質装置33に搬送する。
【0030】
接合システム1は、表面改質装置33により、下ウェハW2の表面改質を行う(ステップS5)。表面改質装置33は、下ウェハW2の接合面W2jを上に向けた状態で接合面W2jの表面を改質する。その後、搬送装置61は、表面改質装置33から下ウェハW2を取り出し、表面親水化装置34に搬送する。
【0031】
そして、接合システム1は、表面親水化装置34により、下ウェハW2の表面親水化を行う(ステップS6)。表面親水化装置34は、接合面W2jを上に向けた状態で接合面W2jを親水化する。その後、搬送装置61は、表面親水化装置34から下ウェハW2を取り出し、第3処理ブロックG3の第2位置調整装置52に搬送する。
【0032】
接合システム1、第2位置調整装置52により、下ウェハW2を回転することで、下ウェハW2の水平面上の姿勢を調整する(ステップS7)。これにより、下ウェハW2のノッチが所定の方位に向けられる。その後、搬送装置61は、第2位置調整装置52から下ウェハW2を取り出し、第2処理ブロックG2の第2温度調整装置43に搬送する。
【0033】
接合システム1は、第2温度調整装置43により、下ウェハW2の温調を行う(ステップS8)。下ウェハW2の温度の調整は、下ウェハW2の接合面W2jを上に向けた状態で実施する。その後、搬送装置61は、第2温度調整装置43から下ウェハW2を取り出し、接合装置41に搬送する。
【0034】
そして、接合システム1は、接合装置41により上ウェハW1と下ウェハW2を接合して、接合ウェハTを製造する(ステップS9:接合工程)。その後、搬送装置61は、接合装置41から接合ウェハTを取り出し、第3処理ブロックG3のトランジション装置54に搬送する。最後に、搬送装置22は、トランジション装置54から接合ウェハTを取り出し、載置台10上のカセットC3に搬送する。これにより、接合システム1の一連の処理が終了する。
【0035】
なお、接合システム1は、接合方法において、ステップS1~S9の全てを実施しなくてもよい。例えば、接合システム1は、ステップS4およびS8を実施しなくてもよい。あるいは、接合システム1は、ステップS1~S9以外の処理を実施してもよい。
【0036】
次に、
図5および
図6を参照して、接合装置41の一例について説明する。接合装置41は、箱状の筐体100を有する。筐体100は、搬送領域60側(X軸正方向側)の側壁に、図示しない搬入出口、および当該搬入出口を開閉する開閉シャッタを備える。搬送装置61(
図1参照)は、開閉シャッタの開放中に、搬入出口を介して上ウェハW1、下ウェハW2および接合ウェハTを搬入出する。
【0037】
接合装置41は、上チャック110(第1保持部)、下チャック120(第2保持部)、移動部130、ガス供給部140および排気部150を筐体100内に備える。これらの構成は、筐体100自体または筐体100の内部に設けられた支持フレーム101により支持されている。さらに、接合装置41は、接合装置41内の各構成を制御する制御部190を有する。制御部190は、制御装置90に通信可能に接続され、制御装置90の指令に基づき動作を行う。なお、接合装置41は、制御部190と同じ機能を制御装置90内に備え、制御装置90が直接制御を行う構成でもよい。
【0038】
支持フレーム101は、基台102と、基台102の上面から上方に突出した複数の支柱103と、複数の支柱103の上端に固定された上部フレーム104と、含む。上部フレーム104は、上チャック110を上方から支持する。
【0039】
上チャック110は、上ウェハW1を保持する平面円形状の保持面111を有する。上チャック110は、図示しない複数の吸引管を保持面111に備えるとともに、各吸引管に接続される図示しない真空ポンプを備える。上チャック110は、真空ポンプの作動によって、上ウェハW1の上面(非接合面W1n)を保持面111に吸着保持する。
【0040】
また、上チャック110は、接合において、上ウェハW1を押し下げて下ウェハW2に接触させる押動部112を備える。押動部112は、保持面111の中心位置に設けられている。押動部112は、押動ピン113と、この押動ピン113の昇降ガイドである外筒114と、を有する。押動ピン113は、例えばモータを内蔵した駆動部(不図示)によって、上チャック110の保持面111から突出して、上ウェハW1を押し下げる。
【0041】
上チャック110は、上チャック用移動機構116を介して上部フレーム104に設置されている。上チャック用移動機構116は、上チャック110を鉛直方向に沿って昇降させる。したがって、上チャック110に保持された上ウェハW1も一体に変位する。上チャック用移動機構116による上チャック110の移動距離は、後記の移動部130の移動距離よりも短く、例えば、数nm~数mm程度の範囲で上チャック110を移動させる。
【0042】
一方、下チャック120は、上チャック110よりも下方に設けられ、下ウェハW2を保持する平面円形状の保持面121を有する。下チャック120は、図示しない複数の吸引管を保持面121に備えるととともに、各吸引管に接続される図示しない真空ポンプを備える。下チャック120は、真空ポンプの作動によって、下ウェハW2の下面(非接合面W2n)を保持面121に吸着保持する。
【0043】
接合装置41の移動部130は、下チャック120を水平方向(X軸方向およびY軸方向)および鉛直方向(Z軸方向)に移動させる。例えば、移動部130は、下チャック120をX軸方向に移動させる第1移動部131と、下チャック120をY軸方向に移動させる第2移動部132と、下チャック120をZ軸方向に移動させる第3移動部133と、を備える。また、移動部130は、下チャック120を水平面上で回転(θ回転)させる図示しないθ方向移動部を有する。
【0044】
第1移動部131は、X軸方向に延在する一対の第1レール131aと、一対の第1レール131a上を移動する第1可動体131bと、を有する。第1移動部131は、この第1可動体131bに第3移動部133を固定している。
【0045】
第2移動部132は、Y軸方向に延在する一対の第2レール132aと、一対の第2レール132aを移動する第2可動体132bと、を有する。第2移動部132は、この第2可動体132bに対して第1移動部131を搭載している。すなわち、第1移動部131と第2移動部132とは、下ウェハW2を水平方向に移動させる水平方向移動部を構成している。
【0046】
第3移動部133は、モータ133aと、モータ133aの駆動により昇降する可動台133bと、を含む。第3移動部133は、可動台133bに対して下チャック120を搭載している。すなわち、第3移動部133は、下ウェハW2を鉛直方向に移動させる鉛直方向移動部を構成している。
【0047】
以上の移動部130は、X軸方向およびY軸方向に下チャック120を移動させることにより、上チャック110に保持されている上ウェハW1と、下チャック120に保持されている下ウェハW2と、の水平方向位置の位置合わせを行う。また、移動部130は、下チャック120をZ軸方向に移動させることにより、上ウェハW1と、下ウェハW2と、の鉛直方向位置の位置合わせを行う。
【0048】
なお、移動部130は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に、上チャック110および下チャック120を相対移動させることができればよい。よって、移動部130は、上チャック110に設けられてもよく、上チャック110または下チャック120の両方に設けられてもよい。あるいは、移動部130は、第1移動部131、第2移動部132、第3移動部133、θ方向移動部のうち一部を上チャック110に備え、残りを下チャック120に備えてもよい。
【0049】
搬送装置61は、上チャック110に上ウェハW1を渡す際に、上チャック110の真下に進入する。また、搬送装置61は、下ウェハW2を下チャックに渡す際に、下チャック120の真上に進入する。接合装置41に対する搬送装置61の進入前に、接合装置41は、上チャック110に対して水平方向および鉛直方向に離間した基板受渡位置に、下チャック120を移動させる。
【0050】
基板受渡位置は、下チャック120が下ウェハW2を搬送装置61から受け取り、かつ下チャック120が接合ウェハTを搬送装置61に渡す位置である。接合システム1は、基板受渡位置において、n(nは1以上の自然数)回目の接合で作製された接合ウェハTの搬出と、n+1回目の接合で接合される上ウェハW1および下ウェハW2の搬入とを連続して行う。そして、接合システム1は、移動部130により、基板受渡位置と接合位置との間で下チャック120を移動させる。
【0051】
接合位置は、平面視で上ウェハW1と下ウェハW2とが重なるとともに、上ウェハW1と下ウェハW2とが鉛直方向に間隔をあけて向かい合う位置である。接合位置は、基板受渡位置に対して、上ウェハW1と下ウェハW2間の鉛直方向の間隔が狭く、この間隔は、例えば、10μm~100μm程度に設定される。接合位置において、接合装置41は、上ウェハW1を下ウェハW2に落とすことで、上ウェハW1と下ウェハW2との接合を行う。
【0052】
接合装置41のガス供給部140は、設定温度に調整されたガスを筐体100の内部に供給する。ガスは、例えば、ドライエア、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスである。ガス供給部140は、例えば、FFU(Fan Filter Unit)であり、清浄化されたガスを供給する。設定温度は、例えば、23℃程度の常温である。
【0053】
ガス供給部140は、筐体100の外部に設けられたガス供給装置に接続されている。ガス供給装置は、配管の上流から下流に向かって順に、ガス供給源143、バルブ142、温調器141、温度センサ149を備える。温度センサ149は、ガスの温度を測定し、測定温度を制御部190に出力する。制御部190は、温度センサ149の測定温度が設定温度になるように温調器141を制御する。ガス供給部140は、設定湿度に調整されたガスを供給してもよい。
【0054】
ガス供給部140は、筐体100の複数の側面のうち、Y軸負方向側の側面100aに設けられ、Y軸正方向側にガスを吐出する。排気部150は、筐体100の複数の側面のうち、ガス供給部140が取り付けられる側面100aと対向するY軸正方向側の側面100bに設けられる。排気部150は、真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続されており、吸引装置の吸引力を利用して筐体100の内部を排気する。ガス供給部140と排気部150は、筐体100の内部にサイドフローを形成する。なお、本実施形態では、大気圧下で接合が行われるが、真空下で接合が行われてもよい。
【0055】
そして、接合装置41は、上ウェハW1と下ウェハW2との接合において、上ウェハW1と下ウェハW2との位置合わせを行うために、複数(本実施形態では2つ)の撮像ユニット160を備える。接合装置41の制御部190は、各撮像ユニット160が撮像した撮像情報を各々受信して、各撮像情報に基づき移動部130の移動方向および移動量を算出し、移動部130を動作させる。
【0056】
各撮像ユニット160は、筐体100内において上部フレーム104に固定されることで、上チャック110よりも上方に配置されている。各撮像ユニット160は、上ウェハW1を透過可能な波長の出射光(電磁波)を出射して、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとの各々を撮像する。上ウェハW1を透過可能な出射光は、例えば、赤外線、X線等があげられ、赤外線としては、シリコンを透過し易い8μm~12μmの波長を持つものを用いるとよい。なお、出射光の波長および光量は、上ウェハW1の材料や構造等に応じて適宜設定されることが好ましい。
【0057】
なお、撮像ユニット160の設置位置は、上チャック110側(上チャック110よりも上方)に限定されず、下チャック120側(下チャック120よりも下方)であってもよい。接合装置41は、上チャック110および下チャック120のうち一方側にのみ撮像ユニット160を配置することで、他方側の構造の自由度を高めることができる。例えば、接合装置41は、撮像ユニット160が配置されていない下チャック120に対して変形機能やVAC-ZONEコントロール等の機能をもたせることが可能となる。
【0058】
2つの撮像ユニット160は、上チャック110の中心(押動部112)を基点に、Y軸方向に沿って等距離(所定距離)離れた位置に設けられている。制御部190は、2つの撮像ユニット160の各撮像情報に基づき、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jの水平面上のX軸方向位置、Y軸方向位置およびθ位置(回転角)等を認識することが可能となる。したがって、制御部190は、各撮像情報に基づきθ方向移動部を動作させて、上ウェハW1と下ウェハW2とのθ位置を合わせることができる。なお、接合装置41が備える撮像ユニット160の数は、特に限定されず、1または3以上設けられてもよい。
【0059】
図7に示すように、上チャック110は、撮像ユニット160からの出射光、および上ウェハW1または下ウェハW2からの反射光を通過させるために、複数(2つ)の撮像ユニット160毎に貫通窓115を有する。各貫通窓115は、上チャック110が上ウェハW1を保持した状態で、上ウェハW1の非接合面W1nに対向する。
【0060】
撮像ユニット160は、ケース161と、ケース161内に設置される撮像部162と、ケース161内の先端(光の入出光口165)に設けられる対物レンズ166と、を含む。また、本実施形態に係る撮像ユニット160の撮像部162は、上ウェハW1を撮像する第1撮像部163と、下ウェハW2を撮像する第2撮像部164と、を有している。
【0061】
ケース161は、上チャック110よりもZ軸方向に長い筒状に形成され、その内部に撮像ユニット160の各構成を収容している。ケース161は、第1撮像部163の受光軸と、第2撮像部164の受光軸とが互いに直交するように、第1撮像部163および第2撮像部164を異なる位置(互いに直交する位置)に固定している。詳細には、ケース161は、第1撮像部163の受光軸が鉛直方向(Z軸方向)に沿うように第1撮像部163を保持し、第2撮像部164の受光軸が水平方向(本実施形態ではY軸方向)に沿うように第2撮像部164を保持している。
【0062】
撮像ユニット160は、第1撮像部163および第2撮像部164の各々に光を導く導光路167を、ケース161内に形成している。導光路167を形成するケース161の内壁は、平滑な内周面に形成されてもよく、迷光を低減するために種々の形状に形成されてもよい。また、導光路167は、ケース161内を鉛直方向に沿って直線状に延在する主光路167aと、主光路167aのZ軸方向の途中位置に連通し、水平方向に沿って直線状に延在する分光路167bと、を有する。
【0063】
主光路167aは、ケース161の先端において入出光口165に連通している。主光路167aは、入出光口165を介して上ウェハW1および下ウェハW2からの光が入光する。主光路167aは、入出光口165の近傍位置に1つの対物レンズ166を備えるとともに、分光路167bの接続位置にハーフミラー168(ビームスプリッタ)を備える。
【0064】
また、撮像ユニット160は、鉛直方向に沿って主光路167aと平行に延在する出射光路169を有するとともに、この出射光路169に出射光を出射する光源170を備える。光源170は、上ウェハW1を透過可能な波長の出射光を出射できれば、その種類については特に限定されず、例えば、発光ダイオード、半導体レーザ等を適用することができる。出射光路169は、先端側において導光路167に合流して、対物レンズ166を共有している。なお、本実施形態に係る撮像ユニット160は、上ウェハW1および下ウェハW2に出射光を出射してその反射光を受光する構造であるが、撮像ユニット160は、上ウェハW1および下ウェハW2の透過光を受光する構造でもよい。この場合、撮像ユニット160は、下チャック120内に光源170を備える一方で、上ウェハW1および下ウェハW2を挟んだ光源170の対向位置に、対物レンズ166を備えればよい。
【0065】
第1撮像部163は、主光路167aにおいて入出光口165とは反対側の延在端部(ケース161の基端)に設けられている。第1撮像部163は、入出光口165から主光路167aを通って、ハーフミラー168を透過した反射光を受光する。
【0066】
第1撮像部163は、主光路167aの入出光口165を臨む図示しない受光部を有するカメラである。受光部は、フォトダイオードやフォトトランジスタ、フォトIC等が適用され、上ウェハW1の接合面W1jを反射した反射光を受光する。第1撮像部163は、高倍率および高開口数(NA)の機器を適用することが好ましい。この場合、第1撮像部163の焦点(ピント、フォーカス)が合う範囲が狭くなる。第1撮像部163の焦点が合う範囲は、例えば、数十nm~数μmである。しかしながら、上ウェハW1の接合面W1jに焦点が合うことで、下ウェハW2に対しては焦点がずれるので、上ウェハW1の接合面W1jを継続的に監視することが可能となる。
【0067】
接合装置41は、上ウェハW1を保持した上チャック110を鉛直方向に移動することで、第1撮像部163の焦点を調整することができる。また、接合装置41は、上ウェハW1を上チャック110に保持する際に、貫通窓115に対向するように上ウェハW1の接合面W1jに形成された第1マークM1を配置する。これにより、第1撮像部163は、反射光の受光に基づいて第1マークM1を撮像することが可能となる。
【0068】
図8は、撮像ユニット160の撮像情報を例示する説明図である。
図8(a)は、第1マークM1の第1撮像情報I1の模式図、
図8(b)は、第2マークM2の第2撮像情報I2の模式図、
図8(c)は、第2マークM2が移動した際の模式図、
図8(d)は、第1マークM1と第2マークM2が一致した際の模式図である。
【0069】
第1マークM1は、上ウェハW1の接合面W1jにおいて上チャック110の貫通窓115に配置される適宜の構成が適用される。例えば、第1マークM1としては、接合面W1jに設けられた出射光を反射する要素(回路の配線や素子等)を利用することができる。これにより、出射光が第1マークM1に反射されて、第1撮像情報I1には、第1マークM1が写像される(
図8(a)参照)。なお、上ウェハW1は、位置合わせ専用の第1マークM1を予め備えていてもよい。
【0070】
一方、
図7に示すように、分光路167bは、主光路167aの軸線に直交しかつ主光路167aよりも短く延在している。第2撮像部164は、分光路167bにおいてハーフミラー168とは反対側の延在端部に設けられている。第2撮像部164は、ハーフミラー168によって反射した光を、分光路167bを通して受光する。
【0071】
第2撮像部164は、分光路167bと主光路167aの接続部分(ハーフミラー168)を臨む図示しない受光部を有するカメラである。受光部は、第1撮像部163と同様に、フォトダイオードやフォトトランジスタ、フォトIC等が適用され、下ウェハW2の接合面W2jを反射した反射光を受光する。第2撮像部164も、高倍率および高開口数(NA)の機器を適用するとよく、第1撮像部163と同じ種類の機器を採用することができる。これにより、第2撮像部164の焦点が合う範囲が狭くなる(例えば、数十nm~数μmの範囲となる)。しかしながら、下ウェハW2の接合面W2jに焦点が合うことで、上ウェハW1に対しては焦点がずれるので、上ウェハW1の撮像を抑制しながら、下ウェハW2の接合面W2jを継続的に監視することが可能となる。なお、第1撮像部163と第2撮像部164は、異なる機器を適用してもよい。
【0072】
撮像ユニット160は、後述する焦点調整部171により、第2撮像部164の焦点を調整する。第2撮像部164は、反射光の受光に基づいて下ウェハW2の接合面W2jに形成された第2マークM2を撮像することが可能となる。
【0073】
第2マークM2は、上ウェハW1に対して下ウェハW2を正確に位置合わせして接合した際に、ちょうど第1マークM1に重なり合う位置にある適宜の構成が適用される。例えば、第2マークM2は、第1マークM1と同様に、接合面W2jに設けられた出射光を反射する要素(回路の配線や素子等)を利用することができる。これにより、出射光が第2マークM2により反射されて、第2撮像情報I2には、第2マークM2が写像される(
図8(b)参照)。なお、下ウェハW2も、位置合わせ専用の第2マークM2を予め備えていてもよい。
【0074】
主光路167aに固定された対物レンズ166は、両凸レンズ、平凸レンズ等を適用することができる。対物レンズ166は、光源170の出射光を接合面W1jおよび接合面W2jに集光するとともに、上ウェハW1の接合面W1jおよび下ウェハW2の接合面W2jの反射光を集光する。なお、撮像ユニット160は、対物レンズ166以外にも、主光路167aを通過する反射光を調整する種々の構成を備えてよい。例えば、この構成としては、コリメータレンズやフィルタがあげられる。
【0075】
ここで、上ウェハW1と下ウェハW2が接合する前までは、上ウェハW1の接合面W1jから第1撮像部163に至るまでの反射光の第1距離と、下ウェハW2の接合面W2jから第2撮像部164に至るまでの反射光の第2距離とが相互に異なる。特に、下ウェハW2が上ウェハW1に対して相対移動するため、第2距離は変動する。このため、接合装置41は、第1撮像部163の焦点を第1マークM1に合わせるととともに、第2撮像部164の焦点を第2マークM2に合わせる焦点調整部171を備える。
【0076】
上チャック110に保持された上ウェハW1は、上チャック用移動機構116により鉛直方向に移動し、第1撮像部163は、この上ウェハW1の移動に伴って焦点を合わせることができる。したがって、上チャック用移動機構116は、焦点調整部171の一部であると言うことができる。なお、焦点調整部171は、上チャック用移動機構116に代えて、撮像ユニット160のケース161(第1撮像部163および第2撮像部164の両方)を移動させる移動機構(不図示)を備えてもよい。また、上チャック用移動機構116は、上チャック110を水平方向に移動させる機能を有してもよい。水平方向の位置合わせを行うことで、第1撮像部163によって撮像する画像の中央に第1マークM1を配置することが可能となる。
【0077】
また、焦点調整部171は、ケース161内の第2撮像部164を、主光路167aと相対的に移動させる第2撮像部用移動機構172を有する。第2撮像部用移動機構172は、モータ等の駆動源、およびプーリやベルト、ギヤ等の駆動伝達部を有し(ともに不図示)、分光路167bの軸線に沿った方向に第2撮像部164を移動させる。これにより、撮像ユニット160は、主光路167aのハーフミラー168と相対的に第2撮像部164を水平移動して、第2距離のみを変化させる。
【0078】
制御部190は、図示しない1以上のプロセッサ、メモリ、入出力インタフェースおよび電子回路を有するコンピュータ内蔵ボードである。制御部190は、制御装置90の指令に基づき、接合装置41の動作を制御し、上ウェハW1と下ウェハW2との位置合わせを行い、上ウェハW1と下ウェハW2を接合する。
【0079】
制御部190は、第1撮像部163および第2撮像部164の焦点合わせにおいて、第1撮像部163による撮像を実施しながら上チャック用移動機構116を動作させる。したがって、第1撮像部163の焦点が、上ウェハW1の第1マークM1に先に一致する。その後、制御部190は、上チャック用移動機構116の動作を停止し、第2撮像部164による撮像を実施しながら第2撮像部用移動機構172を動作させる。これにより、撮像ユニット160は、第1撮像部163の焦点を維持したまま、下ウェハW2の第2マークM2に第2撮像部164の焦点を合わせることができる。
【0080】
本実施形態に係る接合装置41は、基本的には以上のように形成され、以下その動作について説明する。
【0081】
接合システム1は、
図4のステップS1~ステップS8までは、上ウェハW1および下ウェハW2の各々に対する処理(表面改質、親水化、温調等)を行う。そして、接合システム1は、
図4のステップS9の接合工程において、接合装置41により上ウェハW1と下ウェハW2を接合する接合方法を行う。
【0082】
図9に示すように、接合方法の実施において、接合装置41の制御部190は、ステップS4で温調した上ウェハW1を搬送装置61により搬送して、上チャック110により上ウェハW1を保持する(ステップS101)。この際、接合システム1の制御装置90は、上ウェハW1を保持した搬送装置61を動作させ、基板受渡位置(上チャック110)の真下に上ウェハW1を搬送する。制御部190は、搬送された上ウェハW1を上チャック110により真空吸着する。上ウェハW1の非接合面W1nが上チャック110に吸着保持されることで、接合面W1jは、下方(下チャック120の方向)を臨んだ状態となる。
【0083】
上ウェハW1の保持後、制御部190は、撮像ユニット160の第1撮像部163による撮像を行いつつ、上チャック用移動機構116を動作させて、第1撮像部163の焦点を第1マークM1(接合面W1j)に合わせる(ステップS102)。すなわち、上チャック用移動機構116により上チャック110および上ウェハW1が鉛直方向に移動することで、接合装置41は、第1撮像部163の焦点を第1マークM1に円滑に合わせられる。このステップS92において、第2撮像部164は、撮像を停止していてもよく、あるいは撮像を行って撮像情報を制御部190に提供することで、第1撮像部163の焦点合わせを補助してもよい。
【0084】
さらに、制御部190は、ステップS8で温調した下ウェハW2を搬送装置61により搬送して、下チャック120により下ウェハW2を保持する(ステップS103)。この際、接合システム1の制御装置90は、下ウェハW2を保持した搬送装置61を動作させ、基板受渡位置(下チャック120)の真上に下ウェハW2を搬送する。制御部190は、搬送された下ウェハW2を下チャック120により真空吸着する。下ウェハW2の非接合面W2nが下チャック120に吸着保持されることで、接合面W2jは、上方(上チャック110の方向)を臨んだ状態となる。
【0085】
その後、制御部190は、移動部130を制御して、上チャック110と相対的に下チャック120を水平方向に移動し、水平方向における上ウェハW1と下ウェハW2と水平方向の仮位置調整を行う(ステップS104)。水平方向の仮位置調整において、制御部190は、例えば、撮像ユニット160の撮像情報を用いずに、基板受渡位置から所定のベクトル(移動方向かつ移動量)だけ下チャック120を移動させる。所定のベクトルは、上チャック110と下チャック120とが鉛直方向にちょうど重なるように設定されることが好ましい。これにより、下チャック120が短時間に移動して、上ウェハW1と下ウェハW2とが鉛直方向に沿って互いに対向し合う。
【0086】
このような水平方向の仮位置調整によって、下チャック120に保持された下ウェハW2の第2マークM2が、上チャック110の貫通窓115に対して鉛直方向に重なる(入り込む)ようになる(
図8(c)も参照)。つまり、上ウェハW1の第1マークM1と、下ウェハW2の第2マークM2とが互いに近距離(例えば、数百μm以下の範囲内)に配置される。
【0087】
さらに、制御部190は、移動部130を制御して、上チャック110と相対的に下チャック120を鉛直方向に移動して、下ウェハW2を接合位置に配置する(ステップS105)。これにより、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとは、鉛直方向に沿って10μm~100μm程度の間隔に配置される。
【0088】
そして、制御部190は、撮像ユニット160の第2撮像部164を撮像しつつ、第2撮像部用移動機構172を動作させて、第2撮像部164の焦点を第2マークM2(接合面W2j)に合わせる(ステップS106)。すなわち、第2撮像部用移動機構172によりケース161内の第2撮像部164が水平方向に移動することで、撮像ユニット160は、第2撮像部164の焦点を第2マークM2に円滑に合わせられる。またステップS95において、第1撮像部163は、第1マークM1を継続的に捕捉し続けている。
【0089】
制御部190は、第1撮像部163の第1撮像情報I1、および第2撮像部164の第2撮像情報I2に基づき、移動部130を動作させて、第1マークM1と第2マークM2とを重ねる水平方向の本位置調整を行う(ステップS107)。
図8(c)および
図8(d)に示すように、制御部190は、本位置調整において、第1撮像情報I1および第2撮像情報I2が互いに同じ座標位置となるように重ね合わせる。そして、制御部190は、重ね合わせられた第1マークM1の座標位置と第2マークM2の座標位置との相対差から移動部130の移動方向および移動量を算出する。さらに、制御部190は、算出した移動方向及び移動量に基づき移動部130を動作して、下チャック120(下ウェハW2)を水平方向に移動させる。なお、制御部190は、下チャック120の移動中も撮像ユニット160の撮像情報を監視して第1マークM1と第2マークM2の相対位置をフィードバッグする。これにより、第1マークM1からずれていた第2マークM2が、第1マークM1の真下に向かって正確に移動していく。
【0090】
水平方向の本位置調整の実施後、接合装置41は、上ウェハW1を落下して下ウェハW2に接合する処理に直ちに移行することができる。具体的には、制御部190は、上ウェハW1の中心領域の真空吸着を解除し、さらに押動部112の押動ピン113により上ウェハW1の中心を押し下げて下ウェハW2に接触させる(ステップS108)。この結果、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2j間に、ファンデルワールス力(分子間力)が生じ、上ウェハW1と下ウェハW2の中心同士が接合される。さらに、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jは、親水基(例えばOH基)が水素結合し、接合面W1j、W2j同士が強固に接合される。
【0091】
次に、制御部190は、上ウェハW1の周辺領域の真空吸着を解除する(ステップS109)。これにより、上ウェハW1の中心から周縁に向かって上ウェハW1が落下し、上ウェハW1と下ウェハW2の接合が中心から周縁に向かって順に進行する。
【0092】
この際、制御部190は、第1撮像部163による第1マークM1の撮像を継続し、第1撮像部163の第1撮像情報I1における第1マークM1を監視する。第1撮像情報I1から第1マークM1が消失した場合、撮像ユニット160の撮像位置で上ウェハW1が落下したことになる。したがって、接合装置41は、撮像ユニット160の第1撮像情報I1に基づき、上ウェハW1と下ウェハW2の接合の進行度を監視することができる。つまり、接合装置41は、撮像ユニット160の撮像情報を、基板同士の貼り合わせの検知センサとして利用することが可能であり、従来設置しているプロパゲーションセンサ等を非設置または削減することができる。
【0093】
上ウェハW1と下ウェハW2が周縁まで進行することで、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jが全面で接合することになり、接合ウェハTが得られる。その後、制御部190は、押動ピン113を元の位置まで上昇させる。
【0094】
ここで、接合装置41は、第2撮像部164の第2撮像情報I2に基づき、上ウェハW1と下ウェハW2の接合状態を検査してもよい。例えば、制御部190は、接合前の第2撮像情報I2における第2マークM2が存在していた状態から、接合後の第2撮像情報I2における第1マークM1と第2マークM2とが存在する状態を認識する。そして、制御部190は、第2撮像情報I2における第1マークM1と第2マークM2の相対位置、第1マークM1の鮮明度等に基づき、上ウェハW1および下ウェハW2の貼り付け状態を判定することができる。
【0095】
接合ウェハTの製造後、接合装置41は、移動部130を移動して下ウェハW2を基板受渡位置まで移動し、搬送装置61に接合ウェハTを受け渡すことで、接合装置41から接合ウェハTを搬出する(ステップS110)。
【0096】
以上のように、接合装置41は、撮像ユニット160により上ウェハW1の第1マークM1と下ウェハの第2マークM2とを同時に撮像して、上ウェハW1と下ウェハW2の相対移動を行う。これにより、上ウェハW1の第1マークM1と下ウェハW2の第2マークM2とが重なった状態で、上ウェハW1と下ウェハW2を良好に接合することができる。
【0097】
ここで、上ウェハW1と下ウェハW2の接合では、数nmオーダで高精度に位置合わせする必要があるが、従来は、装置の構成の温度変化による伸縮等により誤差が生じる可能があった。また、下ウェハW2を鉛直方向に移動させる際には、nm単位で見ると、水平方向にも位置ずれしてしまう。すなわち、従来の装置は、上ウェハW1と下ウェハW2の高精度な位置合わせが難しいという課題があった。
【0098】
これに対し、本実施形態に係る接合装置41は、上チャック110側から第1マークM1および第2マークM2の両方を撮像ユニット160より撮像することで、接合位置において上ウェハW1および下ウェハW2の相対位置を良好に認識できる。すなわち、接合装置41は、上ウェハW1と下ウェハW2が充分に近い接合位置で第1マークM1と第2マークM2に基づく水平方向の相対移動を行うことで、上ウェハW1と下ウェハW2の位置合わせ精度を向上させることができる。特に、第1マークM1と第2マークM2の位置合わせが終了すると、移動部130の移動を停止して、そのまま接合プロセスに移行でき、鉛直方向の移動時の水平方向の位置ずれがなくなる。また、従来の装置では、レーザ計測器により測長して、上チャック110と下チャック120を位置合わせしていたが、撮像ユニット160を有する接合装置41では、長距離の高精度な計測や移動が不要となり、レーザ計測器を使用しなくてもよくなる。
【0099】
なお、接合装置41による接合方法は、上記の処理フローに限定されず、種々の変形例をとり得る。例えば、接合装置41は、ステップS104の仮位置調整の後であって、ステップS105の上チャックと相対的に下チャックを鉛直方向に移動させる前に、ステップS106の第2撮像部164の第2マークM2への焦点合わせ、およびステップS107の本位置調整を行ってもよい。この本位置調整後に、制御部190は、下ウェハW2を鉛直方向に移動し、この際に第2撮像部164の焦点を第2マークM2に合わせつつ撮像を継続する。そして、鉛直方向の移動時に第1マークM1から第2マークM2がずれた場合には、制御部190は、下ウェハW2を水平方向に移動する制御を適宜行うことで、第1マークM1および第2マークM2の重なりを維持し続けてもよい。
【0100】
また、撮像ユニット160も、上記の構成に限定されず、種々の変形例をとることが可能である。例えば、
図10に示すように、第1変形例に係る撮像ユニット160Aは、複数の光源170(第1光源170a、第2光源170b)を備えた点で、上記の撮像ユニット160と異なる。具体的には、第1光源170aは、導光路167に隣接した位置で、出射光路169を通して上チャック110を臨んでいる。一方、第2光源170bは、導光路167の主光路167aに連通しかつ主光路167aに直交する方向に延びる光源用光路167cに設けられて、主光路167aを臨んでいる。
【0101】
さらに、撮像ユニット160Aは、第2光源170b、第1撮像部163および第2撮像部164に対応して、複数のハーフミラー168(第1ハーフミラー168a、第2ハーフミラー168b)を有する。第1ハーフミラー168aは、上記の撮像ユニット160のハーフミラー168と同じ位置かつ同じ機能を持っている。第2ハーフミラー168bは、主光路167aにおいて光源用光路167cが交差する位置に設けられ、第2光源170bの出射光を入出光口165に導く。また、第2ハーフミラー168bは、上ウェハW1および下ウェハW2から反射された反射光を透過させる。
【0102】
入出光口165には、導光路167のみに設けられた1つの対物レンズ166が配置されている。対物レンズ166は、第2光源170bの出射光を透過させることで、上ウェハW1の保持面111および下ウェハW2の保持面121にピンポイントで赤外線を照らす。このように、撮像ユニット160Aは、第2光源170bの出射光の光軸と、上ウェハW1や下ウェハW2からの反射光の光軸が重なることで、第1撮像部163および第2撮像部164の焦点が合う範囲を、より効果的に明るくすることが可能となる。
【0103】
そして、撮像ユニット160Aは、第2光源170bの赤外線の出射に合わせて第1光源170aからも赤外線を出射することで、第1撮像部163または第2撮像部164においてより明るくコントラストがはっきりした画像(撮像情報)を得ることができる。なお、撮像ユニット160Aは、光源170として第2光源170bのみを導光路167に備えた構成でもよい。
【0104】
図11に示すように、第2変形例に係る撮像ユニット160Bは、ケース161内の導光路167の延在端部に1つの撮像部162を備えるとともに、入出光口165に焦点を調整可能な焦点調整部171である流体レンズ180を備える。
【0105】
流体レンズ180は、制御部190の制御下に電流駆動アクチュエータ181から電力供給されることで、第1マークM1および第2マークM2への焦点合わせを電気的に行う。例えば、流体レンズ180は、高分子膜内に光学的流体を充填して構成され、電流駆動アクチュエータ181により高分子膜に圧力を加えることで、レンズの曲率を変えて短時間に焦点を変える。
【0106】
これにより、撮像ユニット160Bは、1つの撮像部162の焦点を第1マークM1と第2マークM2の各々に交互に合わせることができる。したがって、制御部190は、上記の撮像ユニット160と同様に、第1マークM1と第2マークM2の両方を良好に捕捉して、精度よく位置合わせを行うことができる。
【0107】
以上の接合装置41は、撮像ユニット160、160A、160Bにより、上ウェハW1を透過する光を用いて第1マークM1と第2マークM2との両方を撮像する。撮像ユニット160、160A、160Bは、上ウェハW1を基準として下ウェハW2とは反対側(上側)に配置される。特許文献1に記載のように撮像ユニットが上ウェハW1と下ウェハW2の間に配置される場合に比べて、上ウェハW1と下ウェハW2の間隔が狭い状態で、撮像ユニット160、160A、160Bが第1マークM1と第2マークM2の両方を撮像できる。よって、撮像後、接合前に行われる、位置合わせの動作を小さくでき、特に鉛直方向の移動距離を短縮できる。それゆえ、鉛直方向の移動を案内するガイドの傾斜または歪みによって生じる、意図しない水平方向の位置ずれを小さくできる。この結果、接合前に、第1マークM1と第2マークM2の水平方向の位置合わせの精度を向上できる。また、接合装置41は、上ウェハW1の第1マークM1と下ウェハW2の第2マークM2との相対位置を確認しながら、上チャック110と下チャック120の相対移動を行うことが可能となる。したがって、接合装置41は、上ウェハW1と下ウェハW2同士の位置合わせの精度を向上させることできる。なお、撮像ユニット160、160A、160Bは、下ウェハW2を基準として上ウェハW1とは反対側(下側)に配置されてもよい。この場合も、特許文献1に比べて、上ウェハW1と下ウェハW2の間隔が狭い状態で、撮像ユニット160、160A、160Bが第1マークM1と第2マークM2の両方を撮像できる。
【0108】
また、撮像ユニット160、160A、160Bは、第1基板(本実施形態では上ウェハW1)を透過した光が入射する対物レンズ166と、対物レンズ166を通過した光が結像する1以上の撮像部162と、対物レンズ166の位置を維持したまま、第1マークM1および第2マークM2の両方に1以上の撮像部162の焦点を合わせる焦点調整部171と、を含む。これにより、撮像ユニット160、160A、160Bは、対物レンズ166を移動させずに、第1マークM1と第2マークM2の両方に撮像部162の焦点を簡単に合わせることができる。
【0109】
また、1以上の撮像部162は、第1マークM1を撮像する第1撮像部163と、第2マークM2を撮像する第2撮像部164と、を含み、焦点調整部171は、第1撮像部163の焦点が第1マークM1に合った状態で、第1撮像部163に対して第2撮像部164を相対移動させる第2撮像部用移動機構172を有する。これにより、接合装置41は、第1撮像部163の第1撮像情報I1と第2撮像部164の第2撮像情報I2とを同時に取得して、その相対位置を認識することが可能となり、より円滑に位置合わせを行うことができる。
【0110】
また、第1撮像部163と第2撮像部164は、相互に異なる位置に設けられるとともに、上ウェハW1および下ウェハW2から入光した光が通る導光路167の一部を共有しており、導光路167における、第1撮像部163の受光軸と、第2撮像部164の受光軸とが交差する位置に、ハーフミラー168を有する。これにより、接合装置41は、第1撮像部163により第1マークM1を安定的に撮像するとともに、第2撮像部164により第2マークM2を安定的に撮像することができる。
【0111】
また、1以上の撮像部162は、1つの撮像部162によって構成され、焦点調整部171は、電力供給に基づき、第1マークM1および第2マークM2の各々に1つの撮像部162の焦点を合わせる流体レンズ180を有する。このように、焦点調整部171として流体レンズ180を適用しても、上ウェハW1の第1マークM1および下ウェハW2の第2マークM2の各々を良好に撮像することができる。
【0112】
また、撮像ユニット160、160A、160Bは、上ウェハW1と下ウェハW2の接合後に、第2マークM2に焦点を合わせている1以上の撮像部162により撮像を行い、制御部190は、1以上の撮像部162が撮像した撮像情報に基づき、上ウェハW1と下ウェハW2の接合状態を検査する。これにより、接合装置41は、接合ウェハTの接合状態を簡単に認識することができ、例えば、接合ウェハTの検査を簡略化または省略することも可能となる。
【0113】
また、撮像ユニット160、160A、160Bは、上ウェハW1と下ウェハW2の接合中に、第1マークM1に焦点を合わせている1以上の撮像部162により撮像を行い、制御部190は、1以上の撮像部162が撮像した撮像情報において、第1マークM1が消失したことに基づき、上ウェハW1と下ウェハW2の接合の進行を認識する。これにより、接合装置41は、上ウェハW1と下ウェハW2の接合の進行を良好に検知することができ、プロパゲーションセンサ等を省くことが可能となる。
【0114】
また、撮像ユニット160、160A、160Bは、上チャック110の上ウェハW1を保持している面とは反対側に配置され、上チャック110に設けられた貫通窓115を介して、上ウェハW1の第1マークM1および下ウェハW2の第2マークM2を撮像する。これにより、接合装置41は、撮像ユニット160、160A、160Bを設置しても、上チャック110や下チャック120の移動を邪魔することがなく、また下チャック120は自由度が高まり、他の機能を持たせることができる。
【0115】
また、下ウェハW2に対して間隔をおいて対向する上ウェハW1の中心を押圧して当該上ウェハW1と下ウェハW2を接合する押動部112を有し、制御部190は、撮像ユニット160、160A、160Bで第1マークM1および第2マークM2の両方を撮像する時と、押動部112で上ウェハW1の中心を押圧する時とで、上ウェハW1と下ウェハW2の間隔を同一の間隔に設定する。これにより、接合装置41は、上ウェハW1と下ウェハW2の水平方向の位置合わせ後(本位置調整後)に、押動部112による上ウェハW1の押圧を直ちに行うことができ、位置合わせ精度の向上とともに接合動作の効率化を図ることができる。
【0116】
また、撮像ユニット160、160A、160Bは、押動部112を基準として所定距離離れた位置に複数設けられる。複数の撮像ユニット160、160A、160Bによって、接合装置41は、上ウェハW1と下ウェハW2の相対位置を一層精度よく合わせることが可能となる。
【0117】
また、上チャック110は上ウェハW1を水平に保持し、下チャック120は下ウェハW2を水平に保持し、移動部130は、上チャック110と下チャック120を相対的に鉛直方向に移動させる第3移動部133と、上チャック110と下チャック120を相対的に水平方向に移動させる第1移動部131および第2移動部132とを、備え、制御部190は、撮像ユニット160、160A、160Bが撮像した撮像情報に基づき、移動部130のうち第1移動部131、第2移動部132のみを動作させる。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2の水平方向の位置合わせ後(本位置調整後)に、鉛直方向の移動を行わずに済み、鉛直方向の移動時に生じる可能性がある位置ずれを回避することができる。
【0118】
また、上チャック110が保持する上ウェハW1は、下チャック120が保持する下ウェハW2よりも上方に配置される。これにより、接合装置41は、撮像ユニット160、160A、160Bの撮像情報に基づく位置合わせ後に、上ウェハW1を下ウェハW2に落とすことで、上ウェハW1と下ウェハW2を容易に接合することができる。
【0119】
また、撮像ユニット160、160A、160Bと相対的に上チャック110を昇降させる上チャック用移動機構116を備える。上チャック用移動機構116の昇降によって、接合装置41は、複数の撮像部162のうち1つの撮像部162の焦点を第1マークM1または第2マークM2に合わせることができる。
【0120】
また、本開示の一態様は、第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)を接合する接合装置41の接合方法であって、接合装置41は、上ウェハW1を保持する第1保持部(上チャック110)と、下ウェハW2を保持する第2保持部(下チャック120)と、上チャック110および下チャック120のうち少なくとも一方を他方に対して相対移動させる移動部130と、上ウェハW1を透過する光を用いて、上ウェハW1に形成された第1マークM1と、下ウェハW2に形成された第2マークM2と、を撮像する撮像ユニット160、160A、160Bと、を備え、接合方法は、第1マークM1および第2マークM2の両方に撮像ユニット160、160A、160Bの焦点を合わせることで、第1マークM1を有する第1撮像情報I1と第2マークM2を有する第2撮像情報I2とを取得する工程と、第1撮像情報I1と第2撮像情報I2に基づき移動部130の移動を行って、上ウェハW1と下ウェハW2の相対位置を位置合わせする工程と、位置合わせ後に、上ウェハW1と下ウェハW2を接合する工程と、を有する。これにより、接合方法は、接合する基板同士の位置合わせの精度を向上させることできる。
【0121】
今回開示された実施形態に係る接合装置は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0122】
1 接合システム
41 接合装置
110 上チャック
112 押動部
115 貫通窓
116 上チャック用移動機構
120 下チャック
130 移動部
160、160A、160B 撮像ユニット
162 撮像部
163 第1撮像部
164 第2撮像部
167 導光路
168 ハーフミラー
171 焦点調整部
172 第2撮像部用移動機構
180 流体レンズ
190 制御部