IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社前川製作所の特許一覧

特開2023-85931ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置
<>
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図1
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図2
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図3
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図4
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図5
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図6
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図7
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図8
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図9
  • 特開-ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085931
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】ミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200254
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】羽根 慎二
(72)【発明者】
【氏名】梶山 友孝
(72)【発明者】
【氏名】岡 賢一
(72)【発明者】
【氏名】小山 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】児玉 龍二
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA04
4B011FA05
(57)【要約】
【課題】骨付き肉の骨部から肉部を効率良く安定して剥離させることができるミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置を提供する。
【解決手段】ミートセパレータは、相対移動する骨付き肉の骨部bの外周面に当接することで、骨部bに付着している肉部mを剥離させる。ミートセパレータは、複数のクランプブロックを備える。クランプブロックは、夫々が骨部bの外周面に当接する削ぎ落し当接部15At,15Btを有し、各削ぎ落し当接部15At,15Btが協働して骨部bの外周面を挟持する。少なくとも一つのクランプブロックは、当該クランプブロックの削ぎ落し当接部の少なくとも一部が、骨部bの外面形状に沿って複数方向に変位可能とされるとともに、骨部から離反する方向の変位を弾性的に押し戻す付勢機能部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対移動する骨付き肉の骨部の外周面に当接することで、前記骨部に付着している肉部を剥離させるミートセパレータであって、
夫々が前記骨部の外周面に当接する削ぎ落し当接部を有し、各前記削ぎ落し当接部が協働して前記骨部の外周面を挟持する複数のクランプブロックを備え、
少なくとも一つの前記クランプブロックは、当該クランプブロックの前記削ぎ落し当接部の少なくとも一部が、前記骨部の外面形状に沿って複数方向に変位可能とされるとともに、前記骨部から離反する方向の前記変位を弾性的に押し戻す付勢機能部を備えていることを特徴とするミートセパレータ。
【請求項2】
少なくとも一つの前記クランプブロックを他の前記クランプブロックに相対的に近接変位させる近接装置をさらに備え、
少なくとも一つの前記クランプブロックは、
他の前記クランプブロックに相対的に近接変位させる近接変位方向と交差する方向に変位可能な一対のクランプ爪と、
一対の前記クランプ爪を相互に近接する方向に付勢するばね部材と、を備え、
一対の前記クランプ爪には、両者の間に前記骨部の外周面を受容する凹状の骨部受容部を形成する当接刃が設けられ、
前記ばね部材が前記付勢機能部を構成し、
各前記クランプ爪の前記当接刃が前記削ぎ落し当接部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のミートセパレータ。
【請求項3】
少なくとも一つの前記クランプブロックを他の前記クランプブロックに相対的に近接変位させる近接装置をさらに備え、
少なくとも一つの前記クランプブロックの前記削ぎ落し当接部は、前記骨部の外周面に当接することにより、当該骨部の外周面の形状に追従して弾性変形する弾性部材によって構成され、
前記付勢機能部も前記弾性部材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のミートセパレータ。
【請求項4】
前記近接装置は、少なくとも一つの前記クランプブロックと他の前記クランプブロックを相互に近接する方向に付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項2~3のいずれか1項に記載のミートセパレータ。
【請求項5】
骨付き肉の骨部を保持する骨部保持装置と、
請求項1~4のいずれか1項に記載のミートセパレータと、
前記骨部保持装置と前記ミートセパレータを、前記骨部保持装置に保持された骨部の長手方向に略沿って相対移動させる移動装置と、を備えていることを特徴とする骨付き肉の肉部剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食鳥腿肉等の骨付き肉の骨部から肉部を剥離させるミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食鳥腿肉等の骨付き肉の骨部から肉部を機械によって剥離させる肉部剥離装置が開発されている。
この種の肉部剥離装置は、骨付き肉の肉部の適所に切込み装置によって予め切込みを入れておき、骨部の端末部を保持したクランパを上昇させつつ、ミートセパレータによって肉部を骨部から剥離させる。ミートセパレータは、骨付き肉の骨部の外周面に当接するように、肉部の切込みに差し込まれる削ぎ落し爪を有する。肉部剥離装置は、ミートセパレータの削ぎ落し爪を骨付き肉の骨部の外周面に押し付けた状態で、骨部を上昇させることにより、骨部から肉部を剥離させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のミートセパレータは、工場設備に固定される固定クランプ(固定セパレータ)と、固定クランプに対して近接離反する可動クランプ(可動セパレータ)と、を備えている。固定クランプと可動クランプの相互に対向する先端部には削ぎ落し爪が設けられている。各削ぎ落し爪は、骨付き肉の骨部の外周面を受容可能な凹形状の骨部受容部を有する。固定クランプの骨部受容部と可動クランプの骨部受容部は、可動クランプが固定クランプに近接する方向に変位するときに、互いの側縁部が向かい合わせで重なり合う。これにより、二つの骨部受容部が骨付き肉の骨部の外周を取り囲み、その状態で骨部が上昇すると、肉部が骨部から引き剥がされる。
また、可動クランプは、ばね部材やエアシリンダ等の付勢手段によって固定クランプに近接する方向に付勢されている。ミートセパレータは、この構成により、骨部の長手方向の途中に外径の変化する部位や膝関節等の膨出部があっても、骨部の外面形状の変化に追従して肉部を引き剥がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4190705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のミートセパレータは、骨付き肉の骨部を挟持する際に、二つの骨部受容部による挟み込み荷重が一方向(可動クランプの可動方向)のみから骨部に作用する。このため、骨部受容部を骨付き肉の骨部の外面形状に正確に沿わせて押し付けることが難しく、骨部の形状によっては骨部に肉部が大きく残ったり、逆に、骨部の一部が肉部とともに剥離して肉部に残骨として残ることが懸念される。
【0006】
そこで本発明は、骨付き肉の骨部から肉部を効率良く安定して剥離させることができるミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係るミートセパレータは、相対移動する骨付き肉の骨部の外周面に当接することで、前記骨部に付着している肉部を剥離させるミートセパレータであって、夫々が前記骨部の外周面に当接する削ぎ落し当接部を有し、各前記削ぎ落し当接部が協働して前記骨部の外周面を挟持する複数のクランプブロックを備え、少なくとも一つの前記クランプブロックは、当該クランプブロックの前記削ぎ落し当接部の少なくとも一部が、前記骨部の外面形状に沿って複数方向に変位可能とされるとともに、前記骨部から離反する方向の前記変位を弾性的に押し戻す付勢機能部を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成により、骨付き肉の骨部から肉部を剥離する場合には、複数のクランプブロックの各削ぎ落し当接部が骨付き肉の骨部の外周面に当接し、その状態で骨部がミートセパレータに対して相対移動する。このとき、少なくとも一つのクランプブロックは、削ぎ落し当接部の少なくとも一部が付勢機能部から付勢力を受けつつ、骨部の外面形状に沿って複数方向に変位する。これにより、複数のクランプブロックの削ぎ落し当接部が複数方向から骨部の外面に弾性的に押し付けられる。この結果、骨部の周囲に付着している肉部は、骨部に近接した位置から、残肉が少なく、かつ骨部の剥離の少ない状態で骨部から剥離される。
【0009】
前記ミートセパレータは、少なくとも一つの前記クランプブロックを他の前記クランプブロックに相対的に近接変位させる近接装置をさらに備え、少なくとも一つの前記クランプブロックは、他の前記クランプブロックに相対的に近接変位させる近接変位方向と交差する方向に変位可能な一対のクランプ爪と、一対の前記クランプ爪を相互に近接する方向に付勢するばね部材と、を備え、一対の前記クランプ爪には、両者の間に前記骨部の外周面を受容する凹状の骨部受容部を形成する当接刃が設けられ、前記ばね部材が前記付勢機能部を構成し、各前記クランプ爪の前記当接刃が前記削ぎ落し当接部を構成するようにしても良い。
【0010】
この場合、少なくとも一つのクランプブロックと他のクランプブロックが、近接装置によって相互に近接する方向に相対変位させられ、各クランプブロックの削ぎ落し当接部が骨部の外周面に当接する。このとき、少なくとも一つのクランプブロックは、削ぎ落し当接部を構成する一対のクランプ爪の当接刃が骨部の外周面に当接し、二つの当接刃の間に形成される凹状の骨部受容部に骨部の外周面が受容される。二つの当接刃は、一対のクランプ爪を相互に近接する方向に付勢するばね部材の付勢力を受け、近接変位方向と交差する方向において骨部の外周面に押し付けられる。この結果、複数のクランプブロックの削ぎ落し当接部が、骨部の外周面に対して複数方向から当接することになる。
【0011】
前記ミートセパレータは、少なくとも一つの前記クランプブロックを他の前記クランプブロックに相対的に近接変位させる近接装置をさらに備え、少なくとも一つの前記クランプブロックの前記削ぎ落し当接部は、前記骨部の外周面に当接することにより、当該骨部の外周面の形状に追従して弾性変形する弾性部材によって構成され、前記付勢機能部も前記弾性部材によって構成されるようにしても良い。
【0012】
この場合、少なくとも一つのクランプブロックと他のクランプブロックが、近接装置によって相互に近接する方向に相対変位させられると、少なくとも一つのクランプブロックに設けられた弾性部材が骨部の外周面に当接することにより、骨部の外周面の形状に追従して弾性変形する。このとき、弾性部材は、自身の持つ弾性によって骨部の外周面に複数方向から押し付けられる。この結果、複数のクランプブロックの削ぎ落し当接部(弾性部材を含む。)が、骨部の外周面に対して複数方向から当接することになる。
【0013】
前記近接装置は、少なくとも一つの前記クランプブロックと他の前記クランプブロックを相互に近接する方向に付勢する付勢手段を備えるようにしても良い。
【0014】
この場合、少なくとも一つのクランプブロックと他のクランプブロックが付勢手段によって相互に近接する方向に付勢される。このため、クランプブロックの削ぎ落し当接部が多方向から骨部の外周面に押し付けられつつ、クランプブロック全体が骨部の外面形状に柔軟に追従して変位することになる。この結果、削ぎ落し当接部が骨部に過大な力で押し付けられることが無くなり、骨部の破損や傷付きを未然に防止することが可能になる。
【0015】
本発明に係る骨付き肉の肉部剥離装置は、骨付き肉の骨部を保持する骨部保持装置と、前記のいずれかのミートセパレータと、前記骨部保持装置と前記ミートセパレータを、前記骨部保持装置に保持された骨部の長手方向に略沿って相対移動させる移動装置と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るミートセパレータ、及び、骨付き肉の肉部剥離装置は、クランプブロックの削ぎ落し当接部の少なくとも一部が骨部の外面形状に沿って複数方向に変位可能とされ、骨部から離反する方向の変位が付勢機能部によって弾性的に押し戻される構造とされている。このため、骨付き肉の骨部から肉部を剥離する際には、複数のクランプブロックの削ぎ落し当接部が、骨部の外周面に対し複数方向から押し付けられることになる。したがって、本発明に係るミートセパレータや骨付き肉の肉部剥離装置を採用した場合には、削ぎ落し当接部が骨部の外周面により密着し、骨付き肉の骨部から肉部を効率良く安定して剥離させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態の肉部剥離装置の側面図である。
図2図2は、第1実施形態のミートセパレータの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態の可動クランプブロックの図2のIII矢視図である。
図4図4は、第1実施形態のミートセパレータの挙動を示す側面図である。
図5図5は、第1実施形態のミートセパレータの図4と同じ挙動を示す平面図である。
図6図6は、第1実施形態のミートセパレータの他の挙動を示す側面図である。
図7図7は、第1実施形態のミートセパレータの図6と同じ挙動を示す平面図である。
図8図8は、第2実施形態のミートセパレータの平面図である。
図9図9は、第3実施形態のミートセパレータの平面図である。
図10図10は、第4実施形態のミートセパレータの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の材質や形状、相対的な配置等は、特に特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定するものではない。
また、以下で説明する各実施形態においては、同一部分に共通符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の骨付き肉の肉部剥離装置1(以下、「肉部剥離装置1」と称する。)の側面図である。
肉部剥離装置1は、食鳥腿肉等の骨付き肉2の骨部bから肉部mを剥離するための装置である。以下では、骨付き肉2の一例として、食鳥腿肉を例に挙げて説明する。食鳥腿肉(骨付き肉2)は、大腿骨b1と脛骨b2が膝関節b3によって連結され、脛骨b2の端部に足首b4が連結されている。
【0020】
図1に示す肉部剥離装置1は、骨付き肉2を下向きにして足首b4(骨部b)を保持するクランパ10(骨部保持装置)と、クランパ10を昇降させる昇降装置11(移動装置)と、クランパ10の上昇動作との協働によって骨付き肉2の骨部bから肉部mを剥離されるミートセパレータ12と、を備えている。
なお、図1は、骨付き肉2の膝関節b3の近傍部の肉部mの剥離を行う処理ステーションに配置される肉部剥離装置1が示されている。実際には、図1に示す肉部剥離装置1で上記の処理を実行する前段階として、脛骨b2の足首b4側端部の周域の肉部mに対する切込み入れ処理や、骨部bの長手方向に沿わせた肉部mの筋入れ処理、脛骨b2回りの肉部mの剥離処理等が別の処理ステーションにおいて行われる。各処理ステーションの間は、共通のクランパ10が骨付き肉2の足首b4を保持した状態で移動する。
【0021】
クランパ10は、骨付き肉2の足首b4の保持と、その解除を行える構造とされている。
昇降装置11は、骨付き肉2の骨部b(足首b4)を保持したクランパ10を所定速度で上昇させることにより、骨付き肉2の骨部bをミートセパレータ12に対して上下方向に相対移動させる。本実施形態では、上下方向の位置を固定したミートセパレータ12に対し、昇降装置11が骨付き肉2の骨部bを上方に上昇させることにより、ミートセパレータ12による肉部mの剥離が可能とされている。
ただし、骨付き肉2の骨部bをクランパ10によって固定し、ミートセパレータ12側を下方に移動させることも可能である。また、骨部bの長手方向が略水平になるように骨付き肉2を横向きに配置し、骨付き肉2の骨部bとミートセパレータ12を略水平方向に相対移動させることも可能である。
【0022】
ミートセパレータ12は、工場設備に固定される固定クランプブロック15Aと、固定クランプブロック15Aに対して近接方向と離反方向に変位可能な可動クランプブロック15Bと、を備えている。以下では、説明の都合上、図1中の左右方向において、固定クランプブロック15Aの配置される側を「設備内側i」と称し、可動クランプブロック15Bの配置される側を「設備外側o」と称する。
【0023】
固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック15Bは、相互に対向する各先端部に骨付き肉2の骨部bの外周面に当接する削ぎ落し当接部15At,15Btを備えている。両クランクブロック15A,15Bの削ぎ落し当接部15At,15tは、骨付き肉2の骨部bの外周面に押し付けられ、互いの共働によって骨部bの外周面を挟持する。
【0024】
可動クランプブロック15Bは、略L字状の回動アーム16に支持されている。可動クランプブロック15Bは、回動アーム16の基端の回動軸16aを中心として固定クランプブロック15Aに対して近接離反するように揺動変位する。本実施形態の場合、回動アーム16の回動軸16aは、固定クランプブロック15Aよりも下方位置に配置され、ばね部材等の付勢手段を持つエアシリンダ17によって回動操作される。回動アーム16は、エアシリンダ17の作動によって回動軸16aを中心として揺動変位し、それによって先端側の可動クランプブロック15Bを固定クランプブロック15Aに近接する方向(設備内側iに向かう方向)や離反する方向(設備外側oに向かう方向)に変位させる。
【0025】
可動クランプブロック15Bは、固定クランプブロック15Aに近接した状態で、削ぎ落し当接部15Btが骨付き肉2の骨部bの外周面に当接して骨部bから反力を受けると、エアシリンダ17の付勢手段の付勢力に抗して離反方向(設備外側oに向かう方向)に押し戻される。このとき、可動クランプブロック15Bは、骨部bの外面形状に沿って設備外側oに向かう方向に変位しつつ、削ぎ落し当接部15Btが適度な付勢力によって骨部bの外面に押し付けられる。
本実施形態では、エアシリンダ17と回動アーム16が、可動クランプブロック15Bを固定クランプブロック15Aに対して相対的に近接変位させる近接装置を構成してる。ただし、近接装置は、この構成に限定されるものではなく、可動クランプブロック15Bを固定クランプブロック15Aに対して相対的に近接変位させることができるものであれば、他の構成であっても良い。例えば、近接装置は、可動クランプブロック15Bを設備内側i方向と設備外側o方向に水平に直動させる装置であっても良い。
【0026】
図2は、ミートセパレータ12の斜視図であり、図3は、可動クランプブロック15Bの図2のIII矢視図である。また、図4は、ミートセパレータ12の挙動を示す側面図であり、図5は、ミートセパレータ12の図4と同じ挙動を示す平面図である。以下の固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック15Bの説明においては、固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック15Bが対向する方向を「ブロックの近接離反方向」と称し、上下方向、及び、ブロックの近接離反方向に直交する方向を「幅方向」と称する。
固定クランプブロック15Aは、工場設備の固定壁から設備外側oに向かって略水平に延びる板状の固定クランプ爪20を備えている。固定クランプ爪20は、先端部(延出端部)に設備外側oに向かって開口する凹状の骨部受容部21が形成されている。骨部受容部21は、図5に示すように、例えば、幅方向外側に緩やかに開いた略U字状の平面視形状に形成されている。骨部受容部21には、クランパ10に吊り下げ支持された骨付き肉2の骨部bの外周面が受容される。固定クランプブロック15A側の削ぎ落し当接部15Atは、骨部受容部21によって構成されている。
【0027】
可動クランプブロック15Bは、回動アーム16の先端部に連結される肉厚の支持プレート22と、支持プレート22に回動可能に支持される一対のクランプ爪23a,23bと、一対のクランプ爪23a,23bを相互に近接する方向に付勢する一対のばね部材24と、を備えている。
支持プレート22は、矩形板状のプレート基部22aと、プレート基部22aの幅方向の両側の端部から略L字状に屈曲して延びる側部覆い壁22bと、を備えている。
【0028】
支持プレート22は、回動アーム16の先端部が鉛直上方に起立した状態において、プレート基部22aが回動アーム16の先端部に沿うように起立姿勢となる。以下、プレート基部22aのうちの、このとき固定クランプブロック15A側に向く側を「前面」と称し、それと逆側を「背面」と称する。
プレート基部22aの前面には、クランプ爪23a,23bを回動可能に支持する一対の枢支軸25と、クランプ爪23a,23bの各回動変位を規制する一対の規制軸26が突設されている。枢支軸25と規制軸26は、プレート基部22aの前面に対して直交する方向に突出している。また、プレート基部22aの背面の幅方向の中心位置には、図2図4図6等に示すように、回動アーム16の先端部が連結される連結ブロック27が取り付けられている。
【0029】
各クランプ爪23a,23bは、回動アーム16の先端部が起立した状態において、ブロックの近接離反方向に延びる短冊板状の薄肉の爪本体28と、爪本体28の長手方向の一端部が連結される短冊板状の厚肉の支持片29と、を備えている。爪本体28については、支持片29に連結される側を「基端部」と称し、その逆側を「先端部」と称する。
爪本体28の基端部には、略L字状に屈曲した連結部28aが一体に形成されている。連結部28aは支持片29の長手方向の一端部にボルト締結されている。各クランプ爪23a,23bは、この状態において、側面視が略L字形状の一体ブロックとされている。
【0030】
一対のクランプ爪23a,23bは、各支持片29の長手方向の他端側(図3中の下端側)が支持プレート22の対応する枢支軸25に回動可能に連結されている。支持プレート22側の一対の枢支軸25は、プレート基部22aの前面の幅方向に離間した二位置に、幅方向に並んで配置されている。各枢支軸25に支持された二つの支持片29は、支持プレート22のプレート基部22aの前面側において、幅方向に並んで配置される。一対のクランプ爪23a,23bは、枢支軸25を中心として回動することにより、夫々の爪本体28が幅方向に相互に近接する近接位置と、夫々の爪本体28が幅方向に相互に離間する離間位置との間で変位可能とされている。
【0031】
クランプ爪23a,23bの各爪本体28は、他方の爪本体28に隣接する側の側縁部(以下、「内側の側縁部」と称する。)に基端部の近傍から先端部側に向かって延びる切欠き部30が形成されている。幅方向で隣接する二つの爪本体28の切欠き部30の離間幅は、基端部側から先端部寄りの所定位置までの間は一定の離間幅とされ、所定位置よりも先端部側は先端部に向かって漸増している。隣接する二つの爪本体28のうちの、切欠き部30の離間幅が先端部に向かって漸増する領域は、両者の間に骨付き肉2の骨部bの外周面を受容する凹状の骨部受容部31とされている。隣接する二つの爪本体28のうちの、骨部受容部31を形成する側縁部は、切欠き部30の縁を形成する端末部に向かって肉厚が漸減している。爪本体28のこの部分は、骨付き肉2の外周面に当接する当接刃32とされている。骨部受容部31は、二つのクランプ爪23a,23bの当接刃32によって形成されている。
本実施形態では、二つのクランプ爪23a,23bの当接刃32が可動クランプブロック15Bにおける削ぎ落し当接部15Btを形成している。
【0032】
また、一方のクランプ爪23aには、二つのクランプ爪23a,23bの切欠き部30を跨ぐように幅方向に延びる規制片33が取り付けられている。規制片33は、ミートセパレータ12による骨付き肉2の肉部mの剥離作業時に、骨部bや肉部mが二つのクランプ爪23a,23bの切欠き部30の基部側の深い位置に噛み込まれるのを規制する。
【0033】
図2図3に示すように、各クランプ爪23aの支持片29には、支持片29を厚み方向に貫通する正面視が円形状の挿通孔34が形成されている。各支持片29の挿通孔34には、支持プレート22のプレート基部22aに突設された各規制軸26が挿通されている。挿通孔34の内壁には、一対のクランプ爪23a,23bが最離間位置に変位したときと、最近接位置に変位したときに、対応する規制軸26の外面が当接する。これにより、一対のクランプ爪23a,23bの離反方向の変位と、近接方向の変位が規制される。
なお、挿通孔34の内壁には、一対のクランプ爪23a,23bが最離間位置に変位したときにのみ、対応する規制軸26の外面が当接するようにしても良い。
【0034】
また、図3に示すように、各クランプ爪23a,23bの支持片29には、ばね係止突起35a,35bが夫々突設されている。一方のクランプ爪23aのばね係止突起35aは、クランプ爪23aの背面側に突出し、他方のクランプ爪23bのばね係止突起35bは、クランプ爪23bの前面側に突出している。また、支持プレート22のプレート基部22aの前面には、一対のばね係止突起36a,36bが突設されている。一方のばね係止突起36aは、一方のクランプ爪23aの支持片29の幅方向外側(他方のクランプ爪23bの支持片29と離間する側)に離間した位置に配置されている。他方のばね係止突起36bは、他方のクランプ爪23bの支持片29の幅方向外側(一方のクランプ爪23aの支持片29と離間する側)に離間した位置に配置されている。
【0035】
一方のクランプ爪23aのばね係止突起35aとプレート基部22aのばね係止突起36bには、圧縮コイルばね等のばね部材24の各端部が係止されている。他方のクランプ爪23bのばね係止突起35bとプレート基部22aのばね係止突起36aには、圧縮コイルばね等の同様のばね部材24の各端部が係止されている。二つのばね部材24は、二つのクランプ爪23a,23bが相互に近接する方向に各クランプ爪23a,23bを付勢している。具体的には、二つのクランプ爪23a,23bは、夫々支持プレート22上の枢支軸25に回動可能に支持されているため、二つのばね部材24は、二つのクランプ爪23a,23bの開き角を狭めるようにクランプ爪23a,23bを付勢している。
なお、本実施形態では、一端が支持プレート22に支持される二つのばね部材24によって二つのクランプ爪23a,23bが夫々近接方向に付勢されているが、一つのばね部材24の両側の端部を二つのクランプ爪23a,23bの夫々に連結するようにしても良い。
【0036】
図4図5は、骨付き肉2の脛骨b2の周囲の肉部mを剥離する際のミートセパレータ12の挙動を示す図であり、図6図7は、骨付き肉2の膝関節b3の周囲の肉部や膜を剥離する際のミートセパレータ12の挙動を示す図である。図6は、図4と同様のミートセパレータ12の側面図であり、図7は、図5と同様のミートセパレータ12の平面図である。
以下、図4図7図1を適宜参照して、肉部剥離装置1による骨付き肉2の処理について説明する。
【0037】
最初に、エアシリンダ17の作動によって可動クランプブロック15Bを固定クランプブロック15Aから離間させておく。
この状態で、足首b4の近傍の周囲の切込み処理と骨部bに沿う筋入れ処理を終えた骨付き肉2が、クランパ10に保持されてミータセパレータ12に向かって下降する。こうして骨付き肉2の肉部mの切込み部部分がミートセパレータ12の固定クランプブロック15Aの高さ位置まで下降すると、エアシリンダ17の作動によって可動クランプブロック15Bが固定クランプブロック15Aに近接するように変位する。これにより、骨付き肉2の切込み部分を通して、固定クランプブロック15Aの骨部受容部21(削ぎ落し当接部15At)と、可動クランプブロック15Bの骨部受容部31(削ぎ落し当接部15Bt)が、骨付き肉2の骨部b(脛骨b2)の外周面を取り囲むようにして骨部bの外面に当接する。
【0038】
このとき、エアシリンダ17の作動は停止し、エアシリンダ17の持つ付勢手段の付勢力によって可動クランプブロック15Bの骨部受容部31(削ぎ落し当接部15Bt)が骨部bの外周面に押し付けられる。
また、可動クランプブロック15Bの骨部受容部31(削ぎ落し当接部15Bt)は、クランプ爪23a,23bの当接刃32によって形成されているため、このとき、一対のクランプ爪23a,23bは、ばね部材24の付勢力を受けつつ、骨部bから離間方向の反力を受ける。このため、骨部受容部31を構成する一対のクランプ爪23a,23bの当接刃32は、骨部bの外面に対し、ブロックの近接離反方向と幅方向において弾性的に押し付けられる。
【0039】
クランパ10に保持された骨付き肉2は、この状態において、昇降装置11の作動によって上昇する。このとき、図4図5に示すように、固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック15Bの各骨部受容部21,31が脛骨b2の外面に押し付けられた状態において、骨部bのみが上方に引き上げられる。このため、脛骨b2の周囲に付着している肉部mはミートセパレータ12によって脛骨b2の周囲から引き剥がされる。また、このとき、可動クランプブロック15Bのクランプ爪23a,23bは、ブロックの近接離反方向と幅方向において、骨部bの外面に弾性的に押し付けられているため、脛骨b2の外径や形状が長手方向で微妙に変化しても脛骨b2の外面に確実に密着する。
こうして、脛骨b2から引き剥がされた肉部mは、表裏が反転した状態で大腿骨b1側の肉部mの外面に重なる。
【0040】
この後、クランパ10に保持された骨付き肉2が昇降装置11の作動によってさらに上昇すると、固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック15Bの各骨部受容部21,31が骨付き肉2の膝関節b3の大きく膨出した部分に達する。このとき、図6図7に示すように、可動クランプブロック15Bの一対のクランプ爪23a,23bは、膝関節b3の膨出部から当接反力を受け、エアシリンダ17の付勢手段の力に抗してブロックの近接離反方向に後退変位するとともに、ばね部材24の付勢力に抗して幅方向に離反変位する。
【0041】
この後、クランパ10に保持された骨付き肉2が昇降装置11の作動によってさらに上昇すると、固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック15Bの各骨部受容部21,31が骨付き肉2の大腿骨b1の外面に押し付けられ、大腿骨b1の周囲から肉部mが剥離される。
【0042】
以上のように、本実施形態のミートセパレータ12は、可動クランプブロック15Bの削ぎ落し当接部15Bt(クランプ爪23a,23bの当接刃32)が骨付き肉2の骨部bの外面形状に沿って複数方向に変位可能とされ、骨部bから離反する方向の変位が付勢機能部であるばね部材24によって弾性的に押し戻される構造とされている。このため、骨付き肉2の骨部bから肉部mを剥離する際には、固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック15Bの削ぎ落し当接部15At,15Btが、骨部bの外周面に対し複数方向から押し付けられることになる。したがって、本実施形態のミートセパレータ12を採用した場合には、削ぎ落し当接部15At,15Btが骨部bの外周面により密着し、骨付き肉2の骨部bから肉部mを効率良く安定して剥離させることが可能になる。この結果、骨部bに肉部mが大きく付着したまま残る事象や、剥離した骨部bの一部が肉部mに残骨として残る事象を極力少なく抑えることが可能になる。
【0043】
また、本実施形態のミートセパレータ12は、可動クランプブロック15Bを固定クランプブロック15Aに近接変位させる近接装置(エアシリンダ17、及び、回動アーム16)を備え、可動クランプブロック15Bが、幅方向に相対変位可能な一対のクランプ爪23a,23bと、一対のクランプ爪23a,23bを近接方向に付勢するばね部材24(付勢機能部)と、を備えている。そして、一対のクランプ爪23a,23bには、両者の間に骨部bの外周面を受容する凹状の骨部受容部31を形成する当接刃32が設けられている。このため、クランプ爪23a,23bの各当接刃32が、近接装置によってブロックの近接離反方向で骨部bの外周面に押し付けられると、二つの当接刃32がばね部材24の付勢力を受けつつ骨部bの外周面に幅方向から当接する。
したがって、本実施形態のミートセパレータ12を採用した場合には、固定クランプブロック15Aの削ぎ落し当接部15Atと、可動クランプブロック15Bの削ぎ落し当接部15Btを骨部bの外面形状に追従させて複数方向から確実に当接させることができる。
また、本実施形態のミートセパレータ12は、ばね部材24をばね定数の異なるものに適宜変更することにより、骨部bの外周面に対する当接刃32の押し付け力を容易に変更することができる。
【0044】
さらに、本実施形態のミートセパレータ12は、近接装置を構成するエアシリンダ17が、可動クランプブロック15Bを固定クランプブロック15Aの方向に付勢する付勢手段を内蔵している。このため、可動クランプブロック15Bの削ぎ落し当接部15Bt(当接刃32)が骨部bの外面に押し付けられつつ、削ぎ落し当接部15Bt(当接刃32)が骨部bの外面形状に柔軟に追従して、ブロックの近接離反方向と幅方向とに変位することになる。この結果、削ぎ落し当接部15At,15Btが骨部bに過大な力で押し付けられることが無くなり、骨部bの破損や傷付きを未然に防止することが可能になる。
【0045】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態のミートセパレータ112の平面図である。
上述した第1実施形態のミートセパレータ12は、可動クランプブロック15Bが幅方向に相対変位可能な一対のクランプ爪23a,23bを備えた構成とされ、固定クランクブロック15Aが一つの固定クランプ爪20によって構成されていた。これに対し、本実施形態のミートセパレータ112は、固定クランプブロック115A側も幅方向に相対変位可能な一対のクランプ爪20a,20bを備えた構成とされている。一対のクランプ爪20a,20bは、可動クランプブロック15B側と同様に、ばね部材24によって相互に近接する方向に付勢されている。
【0046】
固定クランプブロック115Aの各クランプ爪20a,20bは、可動クランプブロック15B側の各クランプ爪23a,23bと同様の形状とされている。即ち、各クランプ爪20a,20bの先端部側には、両者の間に凹状の骨部受容部121を形成する当接刃32が設けられている。
【0047】
本実施形態のミートセパレータ112の場合、近接装置の作動によって可動クランプブロック15Bの削ぎ落し当接部15Btと、固定クランプブロック115Aの削ぎ落し当接部115Atが骨部bの外面に押し付けられると、両クランプブロック115A,15Bの各一対のクランプ爪20a,20b、23a,23bがばね部材24の付勢力に抗して幅方向に変位する。これにより、両クランプブロック115A,15Bの削ぎ落し当接部115At,15Bt(クランプ爪20a,20b、23a,23b)がより多方向から骨部bの外周面に弾性的に押し付けられることになる。
したがって、本実施形態のミートセパレータ112を採用した場合には、両クランプブロック115A,15Bの削ぎ落し当接部115At,15Btがより多方向から骨部bの外周面に密着し、骨付き肉2の骨部bから肉部mをより効率良く安定して剥離させることが可能になる。
【0048】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態のミートセパレータ212の平面図である。
本実施形態のミートセパレータ212は、一つの固定クランプブロックの先端部に対向するように、二つの可動クランプブロック15B,15Cが骨部bの中心部回りにほぼ120°ずらして配置されている。二つの可動クランプブロック15B,15Cは第1実施形態の可動クランプブロック15Bと同様の構造とされている。二つの可動クランプブロック15B,15Cは、図示しない近接装置によって固定クランプブロック15Aに近接する方向に移動させられる。これにより、可動クランプブロック15B,15Cの各削ぎ落し当接部15Bt,15Ctが、固定クランプブロック15Aの削ぎ落し当接部15Atとともに骨部bの外周面を挟持する。このとき、各可動クランプブロック15B,15Cの一対のクランプ爪23a,23bがばね部材24の付勢力によって骨部bの外周面に押し付けられつつ、骨部bの外面形状に追従して幅方向に変位する。
【0049】
本実施形態のミートセパレータ212は、二つの可動クランプブロック15B,15Cが骨部bの中心部回りにほぼ120°ずらして配置されている点を除いて第1実施形態と同様の構成とされている。このため、本実施形態のミートセパレータ212は、第1実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるが、一つの固定クランプブロック15Aと二つの可動クランプブロック15B,15Cによって骨部bの外周面を三方向から挟持することができる。
本実施形態のミートセパレータ212は、各可動クランプブロック15B,15Cの一対のクランプ爪23a,23bがばね部材24の付勢力を受つつ骨部bの外周面に柔軟に追従するため、多数の削ぎ落し当接部15At,15Bt,15Ctをより多方向から骨部bの外周面に密着させることができる。このため、骨付き肉2の骨部bから肉部mをさらに効率良く安定して剥離させることができる。
【0050】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態のミートセパレータ312の平面図である。
本実施形態のミートセパレータ312は、工場設備に固定される固定クランプブロック15Aと、固定クランプブロック15Aに近接する方向と離反する方向に変位可能な可動クランプブロック315Bと、を備えている。可動クランプブロック315Bは、上述した第1実施形態と同様に近接装置によって近接方向に操作される。
【0051】
固定クランプブロック15Aは第1実施形態と同様の構造とされている。
可動クランプブロック315Bは、近接装置に保持される連結プレート50に、平面視が略コ字状を成すように一対の保持アーム50aが延設されている。一対の保持アーム50aには、線状の弾性部材である金属ワイヤ55の両端部が固定されている。金属ワイヤ55は、張力を持たせた状態で一対の保持アーム50aに保持される。
【0052】
本実施形態では、線状の弾性部材である金属ワイヤ55が、可動クランプブロック315Bにおける削ぎ落し当接部を構成している。保持アーム50aに保持された金属ワイヤ55は、骨付き肉の骨部bの外周面に押し当てられると、骨部bの外周面の形状に沿って弾性変形し、骨部bの外周面に密着する。この状態でミートセパレータ312に対して骨部bが長手方向に沿って相対移動すると、金属ワイヤ55によって肉部を骨部bから引き剥がすことができる。本実施形態では、金属ワイヤ55は、骨部bから離反する方向の削ぎ落し当接部の変位を弾性的に押し戻す付勢機能部も構成している。
なお、可動クランプブロック315Bを固定クランプブロック15A方向に変位させる図示しない近接装置は、第1実施形態と同様に、可動クランプブロック315Bを固定クランプブロック15Aに近接する方向に付勢するばね部材等の付勢手段を備えている。
【0053】
以上のように、本実施形態のミートセパレータ312は、可動クランプブロック315Bの削ぎ落し当接部である金属ワイヤ55が骨付き肉2の骨部bの外面形状に沿って複数方向に変位可能とされ、骨部bから離反する方向の変位が金属ワイヤ55自体の弾性によって押し戻される構造とされている。このため、骨付き肉2の骨部bから肉部を剥離する際には、固定クランプブロック15Aの削ぎ落し当接部15Atと、可動クランプブロック315Bの金属ワイヤ55(削ぎ落し当接部)とが、骨部bの外周面に対し複数方向から押し付けられることになる。
したがって、本実施形態のミートセパレータ312を採用した場合には、固定クランプブロック15A側の削ぎ落し当接部15Atと、可動クランプブロック315B側の金属ワイヤ55が骨部bの外周面により密着し、骨付き肉の骨部bから肉部を効率良く安定して剥離させることが可能になる。
なお、図10に示す実施形態では、可動クランプブロック315Bにのみ削ぎ落し当接部として金属ワイヤ55(弾性部材)が採用されているが、固定クランプブロック15Aの削ぎ落し当接部にも同様の金属ワイヤ55を採用しても良い。この場合、固定クランプブロック15Aと可動クランプブロック315Bの削ぎ落し当接部が骨部の外周面により密着し、骨付き肉の骨部bから肉部をより効率良く安定して剥離させることが可能になる。
【0054】
また、本実施形態のミートセパレータ312は、可動クランプブロック315Bを固定クランプブロック15Aに近接変位させる近接装置を備え、可動クランプブロック315Bの削ぎ落し当接部が弾性部材(金属ワイヤ55)によって構成されるとともに、弾性部材(金属ワイヤ55)が、骨部bから離反する方向の変位を弾性的に押し戻す付勢機能部も構成している。このため、部品点数が少なく、小型軽量化が可能な構造でありながら、骨付き肉の骨部bの外周面に削ぎ落し当接部をより密着させ、骨部bから肉部をより効率良く安定して剥離させることができる。
【0055】
また、本実施形態のミートセパレータ312は、削ぎ落し当接部に用いる弾性部材として金属ワイヤ55を採用している。このため、骨部bから肉部を剥離させる際の高い耐荷重を容易に得ることができ、骨部bから肉部をより確実に剥離させることができる。
【0056】
さらに、本実施形態のミートセパレータ312は、可動クランプブロック315Bを変位させる近接装置が、可動クランプブロック315Bを固定クランプブロック15Aの方向に付勢するばね部材等の付勢手段を備えている。このため、可動クランプブロック315Bの金属ワイヤ55が骨部bの外面に確実に押し付けられつつ、金属ワイヤ55全体が骨部bの外面形状に柔軟に追従して変位することになる。この結果、削ぎ落し当接部15Atや金属ワイヤ55が骨部bに過大な力で押し付けられることが無くなり、骨部bの破損や傷付きを未然に防止することが可能になる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上述した第1~第3実施形態では、変位可能な一対のクランプ爪の当接刃によって凹形状の削ぎ落し当接部が構成されているが、削ぎ落し当接部はこの構成に限定されない。削ぎ落し当接部は、例えば、変位可能な三つ以上のクランプ爪の当接刃によって構成し、三つ以上のクランプ爪が相互に近接する方向にばね部材によって付勢されるようにしても良い。
また、図10に示す第4実施形態では、削ぎ落し当接部に用いられる弾性部材として金属ワイヤ55を採用しているが、弾性部材はこれに限定されるものではない。弾性部材は、樹脂等の金属以外の線材によって構成するようにしても良い。例えば、弾性部材は、エラストマーのような食品に接触しても害がなく洗浄性に優れた素材を仕様することも可能である。また、弾性部材の形状は、線状に限定されない。弾性部材は、例えば、帯状形状であっても良い。
また、図10に示す第4実施形態では、固定クランプブロック15Aに対して一つの可動クランプブロック315Bが対向して配置されているが、図9に示す第3実施形態のように、三つ以上のクランプブロックを骨部の周囲に環状に配置するようにしても良い。
また、上記の各実施形態では、クランプブロックの削ぎ落し当接部(クランプ爪23a,23bや金属ワイヤ55)が、骨部を中心とした放射方向にのみ変位可能とされているが、削ぎ落し当接部の変位方向は、骨部を中心とした放射方向と交差する方向であっても良い。
さらに、上記の各実施形態では、工場設備に固定される固定クランプブロックと、固定クランプブロックに対して近接離反するいくつかの可動クランプブロックが組み合わせて構成されているが、すべてのクランプブロックを骨部に対して近接離反する可動クランプブロックによって構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0058】
1…肉部剥離装置、2…骨付き肉、10…クランパ、11…、昇降装置(移動装置)、12,112,212,312…ミートセパレータ、15A,115A…固定クランプブロック(クランプブロック)、15B,15C,315B…可動クランプブロック(クランプブロック)、15At,15Bt,115At…削ぎ落し当接部、16…回動アーム、17…エアシリンダ(近接装置)、20a,20b…クランプ爪、23a,23b…クランプ爪、24…ばね部材(付勢機能部)、31…骨部受容部、32…当接刃、55…金属ワイヤ(弾性部材、削ぎ落し当接部、付勢機能部)、m…肉部、b…骨部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10