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特開2023-8620優れた照りつやを付与できる照焼き用みりん
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  • 特開-優れた照りつやを付与できる照焼き用みりん 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008620
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】優れた照りつやを付与できる照焼き用みりん
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/08 20060101AFI20230112BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20230112BHJP
【FI】
C12G3/08 102
A23L27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112319
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 和真
(72)【発明者】
【氏名】岡村 岳
【テーマコード(参考)】
4B047
4B115
【Fターム(参考)】
4B047LB07
4B047LF04
4B047LF10
4B047LG07
4B047LG09
4B047LG60
4B047LG63
4B047LP02
4B047LP19
4B115GM00
(57)【要約】
【課題】照焼き用調味液に配合した際に、従来のみりんによる照りつやよりも、さらに優れた照りつやを照焼きの具材に付与できる照焼き用みりんを含有する調味液、及び/又は照焼き用調味液を提供すること
【解決手段】クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんであって、増粘剤を実質的に含まない照焼き用調味液に用いるための、みりん。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんであって、
増粘剤を実質的に含まない照焼き用調味液に用いるための、みりん。
【請求項2】
総酸度が1ml/10ml以上であるか、又はアミノ酸度が1.5ml/10ml以上である請求項1に記載のみりん。
【請求項3】
直糖/エキスが0.8以上である、請求項1又は2に記載のみりん。
【請求項4】
エタノール含量が12.7%v/v以上である請求項1~3のいずれかに記載のみりん。
【請求項5】
クエン酸を全体に対して0.3mg/ml~30mg/mlの割合で含む、請求項1~4のいずれかに記載のみりん。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のみりん及び醤油をみりん:醤油=1:0.25~1:1の重量比で含み、増粘剤を実質的に含んでいない照焼き用調味液。
【請求項7】
クエン酸を全体に対して0.24mg/ml以上の割合で含む、増粘剤が実質的に含まれていない照焼き用調味液。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の照焼き用調味液とともに肉類、魚類又は野菜類を照り焼きに付す工程を含む、肉類、魚類又は野菜類の照焼きを製造する方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の照焼き用調味液を用いることを含む、肉類、魚類又は野菜類の照焼きにおける照りを向上させる方法。
【請求項10】
クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんを含む、照焼きにおける照焼き用調味液の絡み向上用組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の照焼き用調味液の絡み向上用組成物及び醤油を前記組成物:醤油=1:0.25~1:1の重量比で含む照焼き用調味液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照焼き用みりん(照焼用調味液に用いられるみりん)及び該照焼き用みりんを含む照焼き用調味液に関する。
【背景技術】
【0002】
照焼きは醤油にみりんや砂糖を配合した甘みのあるタレを食材に塗りながら焼く、フライパンなどで調理する料理法である。 タレの糖分により魚や肉等の食材の表面がツヤを帯び、「照りやつや」が出るのが名前の由来であるが、照りやつや等の食品の外観は、食欲をそそるうえで重要な要素である。
照焼きの調理・調製には、みりんと醤油を含む照焼き用調味液が簡便に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-180567号公報
【特許文献2】特許第3560196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の照焼き用調味液は、十分な照りを与えるものでなく、照焼きにおける一層の照りを与える照焼き用調味液に対する需要があることを本発明者らは見出した。したがって本発明は、従来の照焼き用調味液を上回る照りを食品(照焼き)に与える照焼き用調味液を提供することを課題とした。
より詳細には本発明は、照焼き用調味液に配合した際に、従来のみりんによる照りつやよりも、さらに優れた照りつやを照焼きの具材に付与できる照焼き用みりんを含有する調味液、すなわち該照焼き用みりんを含む照焼き用調味液、を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ある種の成分を照焼き用調味液に配合することにより上記課題が解決できる可能性があることを見出し、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、少なくとも以下の発明に関する:
[1]
クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんであって、
増粘剤を実質的に含まない照焼き用調味液に用いるための、みりん。
[2]
総酸度が1ml/10ml以上であるか、又はアミノ酸度が1.5ml/10ml以上である[1]に記載のみりん。
[3]
直糖/エキスが0.8以上である、[1]又は[2]に記載のみりん。
[4]
エタノール含量が12.7%v/v以上である[1]~[3]のいずれかに記載のみりん。
[5]
クエン酸を全体に対して0.3mg/ml~1.17mg/mlの割合で含む、[1]~[4]のいずれかに記載のみりん。
[6]
[1]~[4]のいずれかに記載のみりん及び醤油をみりん:醤油=1:0.25~1:1の重量比で含み、増粘剤を実質的に含んでいない照焼き用調味液。
[7]
クエン酸を全体に対して0.24mg/ml以上の割合で含む、増粘剤が実質的に含まれていない照焼き用調味液。
[8]
[6]又は[7]に記載の照焼用調味液とともに肉類、魚類又は野菜類を照焼きに付す工程を含む、肉類、魚類又は野菜類の照焼きを製造する方法。
[9]
[6]又は[7]に記載の照焼き用調味液を用いることを含む、肉類、魚類又は野菜類の照焼きにおける照りを向上させる方法。
[10]
クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんを含む、照焼きにおける照焼き用調味液の絡み向上用組成物。
[11]
[10]に記載の照焼き用調味液の絡み向上用組成物及び醤油を前記組成物:醤油=1:0.25~1:1の重量比で含む照焼き用調味液。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来の照焼き用調味液を上回る照りを食品に与える照焼き用調味液を提供することができる。また本発明によれば、かかる照焼き用調味液に用いられるみりんが提供される。
本発明のみりんのうち、照焼き調理用の調味液の調理前の照焼き調理用の調味液の粘度をほぼ変えることなく照焼きにおける照りつやを向上させる効果を奏するみりんは、調味液を具材になじませやすいため好ましい。
また、本発明のみりんのうち、従来のみりん及び増粘剤を用いる照焼き用調味液とは異なり、具材の香りを損なわずに照りや絡みを向上させる効果を奏する照焼き用調味液を与えるみりんも好ましい。
本発明のみりんと醤油を、例えばみりん:醤油=1:0.25~1:1の割合で配合した照焼き用調味液を用いて、例えば鶏肉(とくに鶏もも肉)の照焼きを調理すると、従来のみりんと比較して、格段に照りつやが優れ、焦げ目が鮮やかな照焼きとなるという効果が奏される。
【0008】
調理特性に優れたクエン酸を多く含むみりんに関する技術やクエン酸の照りにおける作用は公知であるが、照焼き調理用の調味液に配合するだけで、照焼きの具材に優れた照りつやを与えるみりんに関する技術は知られていない。すなわち、調理特性に優れたクエン酸を多く含むみりんに関する報告は存在するが(特許文献1、特許文献2)、照焼き調理において、照焼き用調味液に配合することで増粘剤などを使用しなくても具材に一層よく絡みつき、その結果照焼きにおける照りつやを向上させる効果を示すみりんに関する先行技術はない。
したがって、本発明のみりんは増粘剤を使用しなくても照焼きの具材に一層優れた照りつやを与えることができることは、従来技術からは予想することができない効果である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のみりんを含む照焼き用調味液又は従来のみりんを含む照焼き用調味液を用いて調理を行った照焼きの外観を示す写真図である。左から順に、試験品1、試験品2、試験品4及び試験品7を示し、これらの試験品のうち試験品1、試験品2及び試験品7は、本発明のみりんを含む照焼き用調味液を用いた例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、みりんとは、酒税法でいうみりんであれば限定されず、みりん(本みりん)、焼酎乙類を加えた2種(旧式)みりん等が例示される。
本発明において、照焼きとは一般的な照焼きを意味する。一般的な照焼きは、例えばみりん及び醤油、ならびに適宜料理酒及び砂糖を用いて食材を焼成して得られる調理品である。
本発明における、照焼きの「照りつや」の語及び「照り」の語は、相互に置換可能な意味を有する。
以下において、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0011】
1.増粘剤を実質的に含まない照焼き用調味液に用いるためのみりん
<本発明のみりんの特性>
本発明のみりんは、クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんであって、
増粘剤を実質的に含まない照焼き用調味液に用いるための、みりんである。
本発明のみりんはまた、クエン酸を該みりん全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含む、増粘剤が実質的に用いられない照焼き用調味液に用いられえるみりんであり、照焼きを調理するために用いられえるみりんである。
一般的に増粘剤とは、通常の照焼き用調味液に粘度を付与するために用いられる食品あるいは食品添加物であって、でん粉、加工でん粉、多糖類、ガム類等が例示される。従来の照焼き用調味液においてはこれらの増粘剤が用いられ、照焼きの対象である食材への照焼き用調味液の調理時における滞留性を向上させて調理後の照りを有効に得ることがなされている。
本発明のみりんにおいてはこのような増粘剤とともに用いられる必要はない。一般的な照焼き用調味液や照焼きの材料、あるいは他の調味成分や食材に由来し不可避的に含有される増粘作用を有する物質は、上記増粘剤には包含されない。すなわち、本発明のみりんは、照焼き用調味液に不可避的に含有される増粘作用を有する前記物質を含む照焼き用調味液を調製するために、前記増粘剤を加えることなく用いることができる。本発明のみりんはまた、前記増粘剤とともに照焼き用調味液を調製するために用いてもよい。
【0012】
本発明のみりんに含有されるクエン酸は、みりんの製造過程において生じるものであってもよく、みりんの製造過程において生じるものではない、みりんの製造過程において生じたクエン酸とは別個の、外添されるものであってもよい。クエン酸は、これらのクエン酸の両方からなるものであってもよい。
みりんの製造過程において生じるクエン酸として、生酸性焼酎用麹菌(黒麹菌・白麹菌)を用いて製造したみりんに含有されるクエン酸が例示される(https://www.kawauchi.co.jp/about/kawachikin.html)。
みりんの製造過程において生じたクエン酸とは別個の外添されるクエン酸は限定されず、市販のクエン酸を用いてよい。
【0013】
本発明のみりんに含有されるクエン酸のみりん全体に対する割合として、0.3mg/ml~3mg/mlの割合、0.3mg/ml~1.17mg/mlの割合、0.3mg/ml~1.2mg/mlの割合、0.3mg/ml~0.39mg/ml、又は0.3mg/ml~0.36mg/mlの割合は、それぞれ好ましい。これらの割合によれば、本発明の効果を簡便に、一層確実に奏することができる。
本明細書及び本発明において波線(「~」)により数値範囲が示される場合、該数値範囲は波線の左右に記載される数値のそれぞれを下限値又は上限値として含む範囲を表す。
【0014】
本発明のみりんにおける総酸度及びアミノ酸度は限定されないところ、総酸度が1ml/10ml以上であるか、又はアミノ酸度が1.5ml/10ml以上である本発明のみりんは好ましい。総酸度が、1ml/10ml~5ml/10mlである本発明のみりんはより好ましく、1ml/10ml~2.3ml/10mlである本発明のみりんは一層より好ましい。総酸度をこれらの範囲にすることにより、調理品における味のバランスをより好適に保つことができる。
本発明のみりんにおけるpHは限定されないところ、pHが4.1~5.4である本発明のみりんは好ましい。
本発明のみりんには、クエン酸以外に酢酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸といった有機酸を含んでよい。
本発明のみりんには、グルタミン酸等のアミノ酸を含んでよい。
【0015】
本発明のみりんにおける直糖のエキス分に対する割合(直糖/エキス)は限定されないところ、直糖/エキスが0.8以上である、本発明のみりんは好ましい。本発明における直糖とは、農林水産省告示「しょうゆの日本農林規格」に示される 直接還元糖を意味する。
【0016】
本発明におけるエキスとは、エキス分とも称される、酒税法による可溶性固形分を意味し、主成分として糖分及び糖分以外の可溶性タンパク質等の成分から構成されるものを意味する。みりんに用いられる糖液のエキス分においては、糖分の主たる構成成分はブドウ糖とオリゴ糖である。
本発明の糖液におけるエキス分の量の測定方法は、本技術分野における通常の方法であれば限定されないところ、国税庁所定分析法による測定方法が例示される。当該測定方法を表す国税庁所定分析法の記載をそのまま引用して記載すると、以下のとおりである:
「検体を2倍に希釈し7-3により測定した比重をSとし、7-4で測定したアルコール分の1/2を第2表により換算した比重(15/15°C)をAとし次式によって算出する。
E=[(S-A)×260+0.21]×2
(注)途中の計算においては小数点以下5けたを四捨五入し、E値において小数点以下2けたを切り捨てる。」。
上記における「7-3により測定した比重」は「A)浮ひょう法」又は「B)振動式密度計法」(いずれの測定方法についても、国税庁訓令第1号、昭和36年1月11日、平19国税庁訓令第6号、「国税庁所定分析法」、国税庁発行の第17頁に記載されている)により測定した比重である。
また上記における「7-4で測定したアルコール分」は上記「国税庁所定分析法」の第3頁~第8頁に記載の方法により測定したアルコール分である。
【0017】
本発明のみりんにおけるエタノール含量は限定されないところ、エタノール含量が12.7%v/v以上である本発明のみりんは好ましい。
本発明のみりんのうち、照焼き用調味液において用いた際に、該照焼き用調味液の酸味についての味わいとして、通常のみりんを用いた照焼き用調味液と少なくとも同等の味わいを与えるものは好ましい。
【0018】
<本発明のみりんの製造方法>
本発明のみりんの製造方法は酒税法に準拠して方法であれば限定されない。
本発明のみりんの製造方法のうち、0.3mg/mlの量のクエン酸を生じさせるみりんの製造方法としては、生酸性焼酎用麹菌(白麹菌)を用いる方法が例示される。
本発明のみりんの製造方法のうち、0.3mg/mlの量のクエン酸を生じさせないみりんの製造方法としては、通常の方法により製造されたみりんに、別途クエン酸を書定量添加する工程を含む製造方法であってよい。
【0019】
2.本発明の照焼き用調味液
<本発明の照焼き用調味液の特性>
本発明の照焼き用調味液は、本発明のみりん及び醤油をみりん:醤油=1:0.25~1:1の重量比で含んでなる増粘剤を実質的に含んでいない照焼き用調味液、又は該照焼き用調味液と同等の成分により構成される照焼き用調味液である。
【0020】
本発明の照焼き用調味液には、上記本発明のみりんを用いるものが包含される。
また、本発明の照焼き用調味液には、本発明のみりん及び醤油を1:1~1:4の重量比で含む本発明の照焼き用調味液と同じ成分を含むものも包含される。すなわち本発明の照焼き用調味液には、本発明のみりんと醤油をみりん:醤油=1:0.25~1:1の重量比で配合してなる照焼き用調味液に含有されるクエン酸の量に相当するクエン酸を、通常のみりんに別途添加して調製してもよい。かかる照焼き用調味液は、例えばクエン酸を0.24mg/ml以上の割合で含む照焼き用調味液である。なお、該照焼き用調味液において、増粘剤は含まなくてよいし、含んでもよい。いずれの場合においても、本発明の照焼き用調味液により照焼きにおける照りは向上する。
【0021】
本発明の照焼き用調味液に用いられる醤油の種類は限定されず、通常の醸造方法によって得られる醤油、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、しろ醤油等から選ばれる1種または2種以上を用いてよい。また本発明の照焼き用調味液に用いられる醤油における醤油には、上記において例示した醤油のみならず、ポン酢やつゆなどの醤油含有調味料に含有される醤油も包含される。本発明の調味液用組成物にはポン酢やつゆなどの醤油含有調味料により醤油を添加してよい。
【0022】
本発明の照焼き用調味液には、調味するための他の成分を含んでよい。かかる成分としてクエン酸が例示されるほか、以下のものが例示される:
ぶどう糖、果糖、水飴、異性化液糖などの糖類;
穀物酢、醸造酢などの食酢;
グルタミン酸ナトリウム、グリシン等のアミノ酸系調味料;
イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の核酸系調味料等の調味料類;
大豆油、ナタネ油、ゴマ油、ラー油等の食用油脂類;
鰹エキス、鰹節エキス、ホタテエキス、昆布エキス等の魚介類・海産物エキス;
鶏、豚、牛等の畜肉類から得られる畜肉エキス;
ニンニクや生姜、椎茸等からの野菜エキス;
食塩、胡椒、酸味調味料、有機酸類、果汁、料理酒、清酒、ワイン、発酵調味料、味噌、小麦粉、カレー粉、オイスターソース、乳化剤、香料、着色料、アルコール等。
【0023】
<本発明の照焼き用調味液の製造方法>
本発明の照焼き用調味液の製造方法は限定されず、例えば上記本発明のみりんを醤油とみりん:醤油=1:0.25~1:1の重量比で配合して得てよい。さらに、上記のみりん及び醤油以外の食材や調味成分を、従来技術の方法に従って配合してもよい。
例えば本発明のみりん、醤油、料理酒及び砂糖を配合して得てよく、みりん2、醤油2、料理酒2及び砂糖1の割合で配合して加熱混合することで照焼き用調味液を製造してもよい。
【0024】
また、本発明の照焼き用調味液に用いられるみりんとして、上記本発明のみりんではないみりんを用いてもよい。かかるみりんを用いる場合には、クエン酸を添加して本発明の照焼き用調味液を調製する。すなわち、みりんと醤油との配合比を勘案し、元のみりんにクエン酸が少なくとも0.3mg/ml含有されていた場合の照焼き用調味液におけるクエン酸量に相当するクエン酸量になるように、クエン酸を添加して本発明の照焼き用調味液を調製してよい。本発明のみりんと醤油をみりん:醤油=1:0.25の重量比で含む照焼き用調味液に含有されるクエン酸の量に相当するクエン酸の量は、照焼き用調味液全体に対して0.24mg/ml以上の割合である。本発明のみりんと醤油を1:1の重量比で含む照焼き用調味液に含有されるクエン酸の量に相当するクエン酸の量は、照焼き用調味液全体に対して0.15mg/ml以上の割合である。
なお、本発明の照焼き用調味液を上記本発明のみりんを用いて製造する場合において、クエン酸をさらに添加してもよい。
【0025】
<本発明の照焼き用調味液の使用方法>
本発明の照焼き用調味液は、照焼きの調理、製造に用いることができる。
例えば本発明の照焼き用調味液は、肉類、魚類又は野菜類を照り焼きする工程に用いることにより、肉類、魚類又は野菜類の照焼きの製造に用いることができる。
本発明の照焼き用調味液は、上記肉類としては鶏肉、豚肉、牛肉及びハンバーグといった調製品等、上記魚類としてはブリ等、ならびに上記野菜類としてはれんこん、ごぼう、ニンジン、ブロッコリー、ピーマン、及びパプリカといった、一般的な照焼きに用いられる食材を用いる照焼きに用いてよい。
【0026】
本発明の照焼き用調味液はまた、いわゆる照焼き以外の調理、例えば豚肉の生姜焼き等に用いてもよい。
また、本発明の照焼き用調味液は、他の照焼き用調味液その他の調味液や調味料とともに用いてよい。
【0027】
3.照焼きにおける照りを向上させる方法
本発明はまた、本発明の照焼き用調味液を用いることを含む、肉類、魚類又は野菜類の照焼きにおける照りを向上させる方法にも関する。
本発明の照焼きにおける照りを向上させる方法は、照焼きの対象である食材の焼成工程を、本発明の照焼き用調味液とともに行えばよい。
本発明において、「照焼きにおける照りを向上させる」とは、本発明のみりんではないみりんのみを用いた照焼き用調味液を用いて、該照焼き用調味液を用いること以外については同じ条件下において照焼きを調理した場合と比較して、本発明の照焼き用調味液が、調理品である照焼きの照りの度合いを向上させることを意味する。
【0028】
4.照焼きにおける照焼き用調味液の絡み向上用組成物
本発明はまた、クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんを含む、照焼きにおける照焼き用調味液の絡み向上用組成物にも関する。
本発明の絡み向上用組成物は、醤油等を含む照焼き用調味液に用いられ、食材を照り焼きに調理するために焼成する前から焼成後における該照焼き用調味液の食材への絡みの度合いを向上させて、同照焼き用調味液が食材の焼成中及び焼成後に前記食材に滞留する度合いを高める。
本発明の絡み向上用組成物は、照焼き用調味液が食材の焼成中及び焼成後に前記食材に滞留する度合いを高めることにより、照焼きにおける照りを向上させる効果を奏する。
【0029】
本発明の絡み向上用組成物は、クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんを含むものであれば成分は限定されない。本発明の絡み向上用組成物は、クエン酸を全体に対して0.3mg/ml以上の割合で含むみりんであってよい。
【0030】
本発明の絡み向上用組成物を用いて照焼き用調味液を製造する方法は限定されず、上述した本発明の照焼き用調味液の製造方法と同様にして製造してよい。例えば本発明の向上用組成物と醤油とを、本発明の向上用組成物:醤油=1:0.25~1:1の重量比で混和して照焼き用調味液としてよい。
かかる照焼き用調味液には、上述した調味するための他の成分を含んでよいし、加工デンプンやデンプン等の増粘剤を含んでもよい。
【0031】
本発明の絡み向上用組成物に用いられるみりんに含有されるクエン酸は、みりんの製造過程において生じるものであってもよく、みりんの製造過程において生じるものではない、みりんの製造過程において生じたクエン酸とは別個の、外添されるものであってもよい。クエン酸は、これらのクエン酸の両方からなるものであってもよい。
みりんの製造過程において生じるクエン酸として、生酸性焼酎用麹菌(白麹菌)を用いて製造したみりんに含有されるクエン酸が例示される。
みりんの製造過程において生じたクエン酸とは別個の外添されるクエン酸は限定されず、市販のクエン酸を用いてよい。
【0032】
本発明の絡み向上用組成物に用いられるみりんに含有されるクエン酸のみりん全体に対する割合として、0.3mg/ml~3mg/mlの割合、0.3mg/ml~1.17mg/mlの割合、0.3mg/ml~1.2mg/mlの割合、0.3mg/ml~0.39mg/ml、又は0.3mg/ml~0.36mg/mlの割合は、それぞれ好ましい。これらの割合によれば、本発明の効果を簡便に、一層確実に奏することができる。
【0033】
本発明の絡み向上用組成物に用いられるみりんにおける 本発明のみりんにおける総酸度及びアミノ酸度は限定されないところ、総酸度が1ml/10ml以上であるか、又はアミノ酸度が1.5ml/10ml以上である本発明のみりんは好ましい。
本発明のみりんにおけるpHは限定されないところ、pHが4.1~5.4である本発明のみりんは好ましい。
本発明の絡み向上用組成物に用いられるみりんには、クエン酸以外に酢酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸といった有機酸を含んでよい。
本発明のみりんには、グルタミン酸等のアミノ酸を含んでよい。
【0034】
本発明の絡み向上用組成物に用いられるみりんにおける直糖のエキス分に対する割合(直糖/エキス)は限定されないところ、直糖/エキスが0.8以上である、前記みりんは好ましい。
【0035】
本発明の絡み向上用組成物に用いられるみりんにおけるエタノール含量は限定されないところ、エタノール含量が12.7%v/v以上である前記みりんは好ましい。
本発明の絡み向上用組成物に用いられるみりんのうち、照焼き用調味液において用いた際に、該照焼き用調味液の酸味についての味わいとして、通常のみりんを用いた照焼き用調味液と少なくとも同等の味わいを与えるものは好ましい。
【0036】
本発明の上記組成物に含まれるみりんについては、上記「1.増粘剤を実質的に含まない照焼き用調味液に用いるためのみりん」の項における記載事項を適用してよい。
【0037】
本発明について実施例及び試験例によりさらに説明する。該実施例は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例0038】
[実施例1・試験例1]
クエン酸量の異なるみりん(本発明のみりん(試験品1)及び黄麹菌を用いたみりん(試験品6))を製造し、また、市販のみりん(試験品2~試験品5)を入手しその性能について評価を行った。
●材料と方法
<試験品1と試験品6のみりんの製造>
(1)黄麹の調製
精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、黄麹菌(Aspergillusoryzea)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で48時間培養して黄麹1.15Kgを調製した。
(2)白麹の調製
また、精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、白麹菌(Aspergillusawamoriimut.)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で48時間培養して白麹1.15Kgを調製した。
(3)みりんの製造
蒸煮糯米610g、上記(1)で得られた黄麹50g、又は、上記(2)で得られた白麹50g、及び40%アルコール295mlを仕込み、30℃で糖化熟成を開始した。その後、30日後に終了してみりん醪を得た。その後、みりん醪を圧搾し、さらに常法により、火入れ、滓引きして700mlのみりんを得た。得られたみりん液を糖類、アルコール、水で調整することで試験みりんを得た。上記白麹を用いて製造したみりんが試験品1であり、上記黄麹で製造したみりんが試験品6である。
<調理品の作製>
一口サイズ(約2cm×約2cm)に切った鶏もも肉を100g測り分けた。小さじ一杯油を引いたフライパン(直径20cm)で、皮目を下にして中火で皮面を3分、裏返して1分30秒焼成した。
余分な油をキッチンペーパーでふき取った後、調味液を入れて中火のまま3分、さらに2分強火で煮詰めたものを調理品とした。
【0039】
<調味液組成>
みりんとして、下記のようにして試験品1~11を入手又は調製し、試験に供試した:
【表1】
【0040】
試験品1~11の組成は以下のとおりであった。これらの試験品のうち、試験品1、2、7、10及び11は本発明の例示的なみりんを用いた本発明の照焼き用調理液に相当する:
【表2】
【0041】
アルコール濃度、総酸度及びアミノ酸度は、「国税庁所定分析法 7.みりん」に従って測定した。また、各酸の量は高速液体クロマトグラフィー(Prominence:島津製作所社製)を用いてポストカラム法で測定した(ポストカラム法を用いた有機酸分析 (KC-811):島津製作所)。
pHはpHメーター(HORIBA社製)を用いて行い、直糖の定量はベルトラン法(澱粉糖関連工業分析法、澱粉糖技術部会編、食品化学新聞社、1991.11)により行った。
エキス分の量の測定は、国税庁所定分析法による測定方法により行った。
【0042】
肉の評価に秀でた分析型官能評価パネル(A~Cの3名、訓練期間:8~20年)を用いた。
調理品を室温で2時間放置して粗熱を取り、鶏肉表面の照りつやを観察した。同じ傾きになるように皿を傾け調味液の粘度を観察した。
・ 照りつやについては、評価サンプルを提示し、見た目で評価を実施した。
2:タレノリが良く照りつや良い(試験品1)
1:表面が乾いて照りつやが悪い。(試験品4)

・ 粘度については、評価サンプルを提示し、下図の基準で採点を行った。
3:粘度が高い(試験品1)
2:中間(試験品10)
1:粘度低くさらさらしている(試験品4)

・ 味わい(酸味)については、評価サンプルを喫食した際に感じる風味を、下記の指標で評価した。
3:酸味が気にならず、好ましい(試験品1)
2:酸味がやや気になるが、好ましい(試験品1と試験品10の中間)
1:酸味が気になり、好ましくない(試験品10)

・ 味わい(塩味)については、評価サンプルを喫食した際に感じる風味を、下記の指標で評価した。
3:塩味が気にならず、好ましい(試験品1)
2:塩味がやや気になるが、好ましい(試験品1と試験品12の中間)
1:塩味が強く気になり、好ましくない(試験品12)
【0043】
総合的な性能を評価する基準としての総合評点(「総評」と記載することがある)として、以下のとおりのものを設定して適用した:
総合得点
◎:11点
〇:9~10点
×:8点以下
【0044】
●結果
下表に示すとおりであった:
【表3】
【0045】
本発明のみりん及び照焼き用調味液は、照りつやにおいて優れていた。
本発明の照焼き調理用のみりん及び調味液を用いた場合、比較例に比較して調理後は粘度が増していた(表3、図1)。これに対し、調理前の調味液の粘度は、本発明の照焼き調理用のみりん及び調味液を用いた場合と比較例との差はなかった。
【0046】
[実施例2・試験例2]
本発明のみりんと醤油との混合比が、照焼き用調味液の粘度と照りつやに及ぼす影響を調べた。
●材料と方法
上記試験品1のみりんを用いて、試験例1と同様に試験を行った。
試験品14においては該煮切りみりんを醤油と混合してて調味液を調製した。
上記煮切りみりんの製法は以下のとおりであった:
煮切りみりん:本発明のみりんを2倍に濃縮した煮切りみりん
煮切りの方法:100gのみりんを50gになるまで電子レンジで加熱して煮切りみりんを調製した。
評価は試験例1と同様に行った。
【0047】
●結果
下表に示すとおりであった。これらの試験品のうち、試験品1、13、14及び15は本発明の例示的なみりん及び照焼き用調理液に相当する:
【表4】
【0048】
本発明のみりん及び照焼き用調味液は、照りつやにおいて優れていた。本発明のみりんは、少なくとも醤油に対して1/5~1/2の配合比、すなわち本発明のみりん:醤油=1:0.25~1:1の重量比、において用いることができる。
【0049】
[実施例3・試験例3]
ぶりの照焼きを調理し、鶏肉以外の具材に対する粘度と照りつやに及ぼす影響を調べた。
●材料と方法
市販のぶりの切り身(100g/切)を、小さじ一杯油を引いたフライパン(直径20cm)を熱した後、皮目を下にして中火で皮面を3分、裏返して1分30秒焼成し、ついで余分な油をキッチンペーパーでふき取った後、各調味液(上記試験品1及び試験品6のみりんを用いて調製)のいずれかを入れて中火のまま3分、さらに2分強火で煮詰めたものを各調理品とした。
評価は試験例1と同様に行った。
【0050】
●結果
下表に示すとおり、本発明のみりん(試験品1)を用いた照焼き用調味液は、鶏肉以外の具材においても、照焼き調理において粘度及び照りつやが、通常のみりんよりも優れていた。試験品1は本発明の例示的なみりん及び照焼き用調理液に相当する:
【表5】
【0051】
[実施例4・試験例4]
鶏肉を用いた本発明のみりんを配合した照焼き用調味液による調理試験を行った。
●材料と方法
表6に示す各原料(調味料全質量あたりの質量%)及び水を混和し、85℃になるまで攪拌しながら加熱保持して均一に混合した。ついで、水冷で25℃まで冷却した後、蒸発した水を加水して各試験における照焼き用調味液を得た。
(1)鶏もも肉のフライパンによる調理
縦横4分割にした鶏肉300gを皮目を下にして、フライパン(直径20cm)で中火で3分焼成し、裏返して更に蓋をして弱火7分蒸し焼きにした。一度火を止めた後、3分間時間を置いてから、蓋を取り除き照焼き用調味液を加えて、弱火で5分間煮詰め、鶏肉を裏返してさらに5分間に詰めたものを調理品とした。
(2)鶏もも肉の電子レンジによる調理
縦横4分割にした鶏もも肉を、各調味液を入れたレンジ対応スタンディングパウチに入れ、ジップ付きチャックを閉めて密封した。ついで、30秒間パウチの外側を両手で摘みながら肉を揉み、調味液を肉に絡ませた。鶏もも肉と各調味液の入ったパウチを、チャックを開いてからチャック部が上部にくるように縦置きで自立できる状態にして、電子レンジ庫内フラットテーブルの中央に置き、600W、8分間電子レンジ加熱を行い、その後庫内で2分間蒸らし調理品を作製した。
(3)豚肉のフライパン調理
豚バラブロック肉250gを約3cm角程度の大きさに切り、フライパン(直径20cm)に脂身を下にして並び入れ、中火で2分焼いたら倒し、残りの各表面を1分間ずつ焼いて焼き色を付ける。次いで、一度火を止め調味料を加えて肉全体に絡めた後、水200gを入れ、蓋をして弱火で10分間火を通した後、肉を裏返して弱火で10分、さらに、蓋を取り肉を裏返して15分、再び肉を裏返して15分煮た豚肉を調理品とした。
(4)豚肉の電子レンジ調理
まず、豚バラブロック肉250gを約1cm角程度の大きさに切り、各調味液を入れた電子レンジ対応ジップ付きスタンディンパウチプラスチック容器に入れ、ジップ付チャックを閉じて密封した。30秒間パウチの外側を両手でもみながら肉を揉み縦横4分割にした鶏もも肉を、各調味液を入れたレンジ対応スタンディングパウチに入れ、ジップ付きチャックを閉めて密封した。ついで、30秒間パウチの外側を両手で摘みながら肉を揉み、調味液を肉に絡ませた。豚肉と各調味液の入ったパウチを、チャックを開いてからチャック部が上部にくるように縦置きで自立できる状態にして、電子レンジ庫内フラットテーブルの中央に置き、600W、6分30秒間電子レンジ加熱を行い、その後庫内で3分30秒間蒸らし調理品を作製した。
●評価法
評価パネルは、肉の評価に秀でた分析型官能評価パネル(A~Cの3名、訓練期間:8~20年)を用いた。加熱直後の調理品を白色の皿(直径22.5cm・深さ0~1.5cm)に移し、これをパネルに提示して外観の評価を行った。次に、風味(喫食時に口腔内から鼻へぬける香り)と食感を評価するために、調理はさみにて鶏もも肉又は豚肉の調理品が一口サイズ(約20g)となるようにカットし、喫食した際に感じる風味と食感の評価を行った。
●結果
表6に結果を示す。試験品17及び19は、本発明の例示的なみりん及び照焼き用調味液に相当する。
本発明のみりんを配合した照焼き用調味液においては、フライパンによる調理、電子レンジによる調理のいずれにおいても、一般的なみりんと比較して照りつやが向上することがわかった。また、照焼きした肉自体に関しても、風味や柔らかさが、一般的なみりんよりも向上していた。一方、粘度、pH、及びBxについては、本発明のみりんを配合した照焼き用調味液を用いても本発明のみりんではないみりんを用いた場合との差は生じなかった。
なお、本実施例より、照焼き用調味液の粘度やpHが同じであっても、クエン酸が多い本発明のみりんを用いることで、照焼き用調味液により与えられる具材の照りつやや照焼き用調味液の具材への絡みがよくなることがわかった。また、本発明のみりん又は本発明の照焼き用調味液を用いることにより、従来のみりん及び増粘剤を含む照焼き用調味液(試験品16及び18)とは異なり、調理品の香りを損なわずに照りや絡みがよくなることが分かった。
また、鶏もも肉にかえて豚バラ肉の角切り(約3cm角)を用いて、同様の照焼きを調理したところ、本発明のみりんを配合した試験品17、試験品19、試験品21又は23の照焼き用調味液を用いた場合、照焼きの照りつやが比較例である試験品16、試験品18、試験品20又は試験品22の照焼き用調味液に比較してよくなることが分かった。すなわち本発明のみりん又は本発明の照焼き用調味液による効果は、肉種を問わずに奏されることも明らかになった。
これらの結果から、本発明のみりん又は本発明の照焼き用調味液を用いることにより、調理品の香りや風味に悪影響を及ぼす増粘剤を多くすることで高粘度としなくても、調理後には適度な粘度が付与され具材の香りや風味を損なわずに照りや絡みを向上させることができると考えられた。
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば照焼き用調味液に配合した際に、従来のみりんによる照りつやよりも、さらに優れた照りつやを照焼きの具材に付与できる照焼き用みりん及び照焼き用調味液を提供することができる。したがって本発明は食品産業及びその関連産業の発展に寄与するところ大である。
図1