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特開2023-86350インク、収容容器、印刷物、印刷方法、及び印刷装置
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  • 特開-インク、収容容器、印刷物、印刷方法、及び印刷装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086350
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】インク、収容容器、印刷物、印刷方法、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/30 20140101AFI20230615BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20230615BHJP
   C09D 11/102 20140101ALI20230615BHJP
   C09D 11/106 20140101ALI20230615BHJP
   C09D 11/326 20140101ALI20230615BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20230615BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20230615BHJP
   B41J 2/01 20060101ALN20230615BHJP
【FI】
C09D11/30
C09D11/322
C09D11/102
C09D11/106
C09D11/326
B41M5/00 120
B41M5/00 116
B41M5/00 112
B41J2/175 119
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200795
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慎
(72)【発明者】
【氏名】玉井 崇詞
(72)【発明者】
【氏名】南場 通彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠太
(72)【発明者】
【氏名】吉原 真由美
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 大喜
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA13
2C056EA16
2C056EE18
2C056FA10
2C056FB02
2C056FB04
2C056FC01
2H186BA08
2H186DA18
2H186FB07
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB18
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB48
2H186FB55
2H186FB56
2H186FB58
4J039AD03
4J039AD09
4J039AE04
4J039AE07
4J039AE11
4J039BC07
4J039BC13
4J039BC20
4J039BC31
4J039BE01
4J039BE12
4J039BE22
4J039CA03
4J039CA06
4J039EA29
4J039EA43
4J039EA44
4J039EA46
4J039FA01
4J039FA02
4J039FA04
4J039FA06
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】被印刷物に対し水平方向への吐出での液垂れを抑制でき、優れた吐出安定性、保存性、密着性及び発色性を備えたインクの提供。
【解決手段】被印刷物に対しインクを水平方向に吐出する印刷方法に用いるインクであって、水、色材、樹脂、2種類以上の有機溶剤、及び界面活性剤を含有するインクである。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物に対しインクを水平方向に吐出する印刷方法に用いるインクであって、
水、色材、樹脂、2種類以上の有機溶剤、及び界面活性剤を含有することを特徴とするインク。
【請求項2】
前記被印刷物の材質が金属、ガラス、合成紙、樹脂、及びセラミックスから選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のインク。
【請求項3】
2種類以上の前記有機溶剤が3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを含む、請求項1から2のいずれかに記載のインク。
【請求項4】
2種類以上の前記有機溶剤が、沸点100℃以上140℃未満の有機溶剤及び沸点140℃以上180℃以下の有機溶剤を含む、請求項1から3のいずれかに記載のインク。
【請求項5】
2種類以上の前記有機溶剤が、25℃での蒸気圧0.1mmHg以上4mmHg未満の有機溶剤及び25℃での蒸気圧4mmHg以上15mmHg以下の有機溶剤を含む、請求項1から4のいずれかに記載のインク。
【請求項6】
前記色材は、イエロー顔料がC.I.ピグメントイエロー110、74若しくは155、マゼンタ顔料がC.I.ピグメントレッド122若しくはC.I.ピグメントバイオレット19、シアン顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、ブラック顔料がC.I.ピグメントブラック7、又はホワイト顔料がC.I.ピグメントホワイト6である、請求項1から5のいずれかに記載のインク。
【請求項7】
前記樹脂がアニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂を含む、請求項1から6のいずれかに記載のインク。
【請求項8】
前記樹脂がアクリルシリコーン樹脂及びスチレンアクリル樹脂の少なくともいずれかを含む、請求項1から7のいずれかに記載のインク。
【請求項9】
前記色材が、界面活性剤で分散した顔料分散体、及びポリマーで被覆した顔料分散体のいずれかを含む、請求項1から8のいずれかに記載のインク。
【請求項10】
前記界面活性剤がシリコーン界面活性剤及びノニオン界面活性剤の少なくともいずれかである、請求項1から9のいずれかに記載のインク。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のインクを容器中に収容したことを特徴とする収容容器。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載のインクを収容した収容部と、
前記インクを吐出する吐出手段と、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
被印刷物上に請求項12に記載の印刷装置を用いて画像を印刷することを特徴とする印刷方法。
【請求項14】
前記被印刷物に対して水平方向にインクを吐出する、請求項13に記載の印刷方法。
【請求項15】
前記被印刷物の材質が金属、ガラス、合成紙、樹脂、及びセラミックスから選択される少なくとも1種である、請求項13から14のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項16】
被印刷物と、該被印刷物上に請求項12に記載の印刷装置により形成した印刷層と、を有することを特徴とする印刷物。
【請求項17】
前記被印刷物の材質が金属、ガラス、合成紙、樹脂、及びセラミックスから選択される少なくとも1種である、請求項16に記載の印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク、収容容器、印刷物、印刷方法、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷方法に用いるインクは、一般に、保湿性を維持するため高沸点有機溶剤からなる湿潤剤を含有させたものを用いており、その配合量や記録媒体の種類によっては、ビーディング、ブリード等の画質異常が発生することがある。
そこで、画質向上させる方法としては、水性プレコート液及び水性顔料インク中の高沸点有機溶媒の含有量を特定範囲に規定し、かつ前処理工程及び記録工程を通じて単位面積当たりに吐出される高沸点有機溶媒の総量を特定範囲に抑えるように、各液の単位面積当たりの吐出量を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、被印刷物に対し水平方向への吐出での液垂れを抑制でき、優れた吐出安定性、保存性、密着性及び発色性を備えたインクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、被印刷物に対しインクを水平方向に吐出する印刷方法に用いるインクであって、水、色材、樹脂、2種類以上の有機溶剤、及び界面活性剤を含有する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、被印刷物に対し水平方向への吐出での液垂れを抑制でき、優れた吐出安定性、保存性、密着性及び発色性を備えたインクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の印刷装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、印刷装置におけるメインタンクの一例を示す斜視説明図である。
図3図3は、印刷装置としての液体吐出装置の一例を示す概略側面図である。
図4図4は、印刷装置としての液体吐出装置の一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(インク)
本発明のインクは、被印刷物に対しインクを水平方向に吐出する印刷方法に用いるインクであって、水、色材、樹脂、2種類以上の有機溶剤、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0008】
従来技術では、被印刷物に対し水平方向への吐出で液垂れが生じ、吐出安定性が劣り、水性プレコート液の前処理工程追加による生産性の低下が生じるという問題がある。
本発明のインクは、水、色材、樹脂、2種類以上の有機溶剤、及び界面活性剤を含有することにより、従来のインクでは不充分であった水平方向への吐出での液垂れ及び吐出安定性を改善でき、優れた保存性、密着性及び発色性を実現することができる。
【0009】
<有機溶剤>
本発明のインクは、2種類以上の有機溶剤を含有し、3種類以上の有機溶剤を含有することが好ましく、4種類以上の有機溶剤を含有することがより好ましい。2種類以上の有機溶剤を含有することにより、従来のインクに比べて、液垂れ、吐出安定性、YMCK画像の彩度及び濃度、ホワイト画像濃度(白色度)、密着性、及びインク保存性の少なくともいずれかを向上させることができる。
2種類以上の前記有機溶剤が3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを含むことが好ましい。3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを含むことにより、YMCK画像の彩度及び濃度、及び密着性を向上させることができる。
【0010】
2種類以上の前記有機溶剤が、沸点100℃以上140℃未満の有機溶剤及び沸点140℃以上180℃以下の有機溶剤を含むことが、吐出安定性、液垂れ、及びインク保存性の点から好ましい。
沸点100℃以上140℃未満の有機溶剤としては、例えば、1-メトキシ-2-プロパノール(沸点120℃)、1-エトキシ-2-プロパノール(沸点133℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、2-メチル-2-ブタノール(沸点102℃)、3-メチル-1-ブタノール(沸点131℃)などが挙げられる。
沸点140℃以上180℃以下の有機溶剤としては、例えば、1-ブトキシ-2-プロパノール(沸点170℃)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点156℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点172℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点145℃)などが挙げられる。
【0011】
2種類以上の前記有機溶剤が、25℃での蒸気圧0.1mmHg以上4mmHg未満の有機溶剤及び25℃での蒸気圧4mmHg以上15mmHg以下の有機溶剤を含むことが吐出安定性、液垂れ、及びインク保存性の点から好ましい。
25℃での蒸気圧0.1mmHg以上4mmHg未満の有機溶剤としては、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(25℃での蒸気圧1.00mmHg)、1-ブトキシ-2-プロパノール(25℃での蒸気圧1.40mmHg)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(25℃での蒸気圧2.34mmHg)、1-エトキシ-2-プロパノール(25℃での蒸気圧3.86mmHg)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(25℃での蒸気圧0.38mmHg)などが挙げられる。
25℃での蒸気圧4mmHg以上15mmHg以下の有機溶剤としては、例えば、1-メトキシ-2-プロパノール(25℃での蒸気圧12.5mmHg)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
【0012】
前記有機溶剤としては、水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。前記水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物などが挙げられる。
【0013】
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1-メトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノールなどが挙げられる。
前記有機溶剤は、湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
【0014】
炭素数1~3の飽和一価アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールを速乾向上の観点から用いられる。
【0015】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、被印刷物として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
【0016】
前記有機溶剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インク全量に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0017】
<色材>
色材としては、特に限定されず、顔料又は染料を使用可能である。
前記顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、顔料として、混晶を使用してもよい。
前記顔料としては、例えば、ブラック顔料、白色顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
【0018】
前記ブラック顔料としてはカーボンブラックを用いることができる。前記カーボンブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社製の#10B、#20B、#30、#33、#40、#44、#45、#45L、#50、#55、#95、#260、#900、#1000、#2200B、#2300、#2350、#2400B、#2650、#2700、#4000B、CF9、MA8、MA11、MA77、MA100、MA220、MA230、MA600、MCF88;キャボット社製のモナーク120、モナーク700、モナーク800、モナーク880、モナーク1000、モナーク1100、モナーク1300、モナーク1400、モーガルL、リーガル99R、リーガル250R、リーガル300R、リーガル330R、リーガル400R、リーガル500R、リーガル660R;デグサ社製のプリンテックスA、プリンテックスG、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス55、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック5、スペシャルブラック6、スペシャルブラック100、スペシャルブラック250、カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170などが挙げられる。
【0019】
前記白色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、ストロンチウム等の酸化物、窒化物、酸化窒化物などが挙げられる。これらの中でも、着色が少なく屈折率が高い材料である点から、酸化チタンが好ましい。
前記酸化チタンの個数平均一次粒子径は150nm以上300nm以下が好ましい。酸化チタンの個数平均一次粒子径が150nm以上であると、高い隠蔽性が得られる。また、酸化チタンの個数平均一次粒子径が300nm以下であると、インクの分散安定性及び沈降性が向上する。
【0020】
前記マゼンタ顔料としては、例えば、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
【0021】
前記シアン顔料としては、例えば、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60などが挙げられる。
【0022】
前記イエロー顔料としては、例えば、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180などが挙げられる。
【0023】
これらの中でも、イエロー顔料がC.I.ピグメントイエロー110、74若しくは155、マゼンタ顔料がC.I.ピグメントレッド122若しくはC.I.ピグメントバイオレット19、シアン顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、ブラック顔料がC.I.ピグメントブラック7、又はホワイト顔料がC.I.ピグメントホワイト6であることにより、印刷した際の耐候性、耐擦性、発色性、高彩度かつ高明度なレッド領域の色再現性、更に吐出安定性が向上する。
【0024】
前記染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、塩基性染料などが使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35などが挙げられる。
【0025】
前記色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性、及び吐出安定性の点から、インク全量に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0026】
前記色材は、界面活性剤で分散した顔料分散体、及びポリマーで被覆した顔料分散体のいずれかを含むことが好ましい。
前記色材(ブラック又はホワイト)に使用される分散剤としては、顔料種別に応じて適宜選択できるが、アニオン系界面活性剤としてアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルカン又はオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホコハク酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩よりなる群から選ばれる界面活性剤、又は高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩などが挙げられる。
これらの中でも、カーボンブラックとの分散性の相性、及び界面活性剤の起泡性の点から、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物等の芳香族スルホン酸塩が好ましい。
【0027】
前記芳香族スルホン酸塩は芳香族にスルホン酸を導入し、塩基性化合物で中和したものであり、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等をブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、コリン等で中和したものなどが挙げられる。
前記塩基性化合物としては、トリスヒドロキシルメチルアミノメタン、グッドバファー等の緩衝剤を用いてもよい。また、芳香族スルホン酸塩をホルマリン等で縮合させた物質も使用できる。ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物は、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物であり、上記縮合物の繰り返しからなるものであれば特に限定されない。
【0028】
前記色材に使用される分散剤としては顔料種別に応じて適宜選択できるが、ポリマーとしては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
これらの中ではカルボン酸基又はスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。
また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール又はケン化物、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート又はそれらの(共)重合体)、2-オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコールの完全ケン化物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
【0029】
前記色材(イエロー、マゼンタ、又はシアン)に使用される分散剤として有機顔料種別に応じて適宜選択できるが、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリンエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンαナフチルエーテル、ポリオキシエチレンβナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0030】
前記色材(イエロー、マゼンタ、又はシアン)に使用される分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。前記一般式(1)で表される化合物を分散剤として用いると、平均粒径が小さく、又粒度分布における標準偏差の小さいカラー顔料インクを得ることができる。
【0031】
【化1】
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアリル基、又は炭素数1~20のアラルキル基を表し、mは0~7の整数を表し、nは20~200の整数を表す。
【0032】
前記一般式(1)で示される化合物において、nは20以上100以下が好ましく、30以上50以下がより好ましい。nが20未満であると、分散安定性が低下する傾向があり、平均粒径が大きく、又粒度分布における標準偏差の大きいインクのため満足な彩度が得られない。また、nが100を超えると、インクの粘度が高くなり、インクジェット方式での印刷が困難になる傾向がある。これらの中でも、POE(n=40)βナフチルエーテルが特に好ましい。
【0033】
<樹脂>
前記樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂が好ましい。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性及び高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性及びインクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0034】
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、インク中の固形分の粒径の最大頻度が最大個数換算で20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0035】
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、又は両性界面活性剤などが挙げられる。
【0036】
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
【0037】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
【0038】
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
【0039】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0040】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
【0041】
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(S-1)式で表される、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
【0042】
【化2】
(ただし、前記一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表し、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
【0043】
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社製)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社製)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社製)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社製)などが挙げられる。
【0044】
フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、下記一般式(F-1)又は下記一般式(F-2)で表されるフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
【0045】
【化3】
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
【0046】
【化4】
上記一般式(F-2)で表される化合物において、Yは水素原子、又はC2m+1でmは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-C2m+1でmは4~6の整数、又はC2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
【0047】
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(いずれも、Chemours社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N、ダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
【0048】
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性及び吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0049】
<水>
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、及び超純水などを用いることができる。
水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの全量に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましく、50質量%以上90質量%以下が更に好ましい。
【0050】
<その他の成分>
その他の成分としては、必要に応じて、公知の種々の添加剤を用いることができ、例えば、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、及び防錆剤などが挙げられる。
【0051】
--消泡剤--
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0052】
--防腐防黴剤--
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0053】
--防錆剤--
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが 挙げられる。
【0054】
--pH調整剤--
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、 ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0055】
-インク物性-
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、粒径、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、1.0mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、1.5mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、被印刷物上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、30mN/m以下が好ましく、25mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
【0056】
<インクと処理液のセット>
本発明のインクは、処理液と組み合わせたセットとして用いてもよい。処理液は、インクに含有された成分を凝集させる凝集剤を含有する。インクに含有された成分とは、例えば、インク中の顔料等の色材であり、これによりインクにより形成される画像の画像濃度を向上させることができる。
【0057】
-処理液-
処理液は、凝集剤を含み、必要に応じて、有機溶剤、水、及びその他の成分を含有してもよい。なお、有機溶剤、水、及びその他の成分については、インクと同様のものを用いることができるのでその説明を省略する。
【0058】
-凝集剤-
前記凝集剤は、インクに含有された成分を凝集させる材料であれば特に限定されないが、例えば、金属塩が挙げられる。金属塩は、インク中の色材との電荷的な作用によって会合し、色材の凝集体を形成して、色材を液相から分離させ、被印刷物への定着を促進させる。処理液に金属塩を含有することで、インク吸収性の低い被印刷物を用いた場合などでもビーディングの発生を抑制でき、高画質な画像を形成できる。
前記金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン化合物、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物等の塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、顔料などの色材を効果的に凝集させることができる点から、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ニッケル化合物の塩が好ましく、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩がより好ましい。
【0059】
なお、金属塩はイオン性のものが好ましい。特に、上記金属塩がマグネシウム塩であることが好ましい。
上記マグネシウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、珪酸マグネシムなどが挙げられる。
上記カルシウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウムなどが挙げられる。
上記バリウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸バリウムなどが挙げられる。
上記亜鉛化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫化亜鉛、炭酸亜鉛などが挙げられる。
上記アルミニウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
でき、例えば、珪酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
また、金属塩の処理液に対する含有量は、0.85モル/kg以上1.4モル/kg以下であることが好ましい。含有量が0.85モル/kg以上であることで、インク吸収性の低い被印刷物を用いた場合などでもビーディングの発生を抑制でき、高画質な画像を形成できる。また、含有量が1.4モル/kg以下であることで、処理液の保存安定性が向上する。
【0060】
<被印刷物>
前記被印刷物とは、本発明のインクを用いて印刷される対象物を意味し、インクや処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
前記被印刷物としては、特に制限はなく、目的に応じて、形状、構造、材質等を適宜選択することができる。
前記被印刷物の材質としては、例えば、金属、ガラス、合成紙、樹脂、セラミックスなどが挙げられる。
前記被印刷物としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を基材とするプラスチックシート:黄銅、鉄、アルミニウム、SUS(ステンレス鋼)、銅等の金属表面又は非金属の基材に蒸着等の手法により金属コーティング処理をしたもの;紙を基材として撥水処理等がなされた合成紙、無機質の材料を高温で焼成した、いわゆるセラミックス、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、金属又はガラスが好適である。
前記被印刷物の大きさは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記インクの吐出方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、前記被印刷物に対して水平に吐出することが好ましい。
【0061】
(収容容器)
本発明の収容容器は、本発明のインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて、その他の部材などを有してなる。
前記容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例
えば、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
前記容器の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する
ことができる。
【0062】
<印刷方法及び印刷装置>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、印刷装置及び印刷方法とは、被印刷物に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて印刷を行う方法である。
前記印刷装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、被印刷物の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
印刷装置及び印刷方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有してもよい。加熱手段、乾燥手段には、例えば、被印刷物の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、印刷装置及び印刷方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、印刷装置は、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この印刷装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の印刷装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
【0063】
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
【0064】
印刷装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は印刷装置の斜視説明図である。図2は印刷装置におけるメインタンクの斜視説明図である。印刷装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から被印刷物へインクを吐出可能となる。
【0065】
本明細書における「インクジェット印刷装置」とは、前記被印刷物に対して本発明のインクや、前記処理液等を吐出することが可能な液体吐出装置を示す。
【0066】
以下、インクジェット印刷装置としての液体吐出装置の一例について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではない。
図3は液体吐出装置の側面図、図4は液体吐出装置の平面図である。
液体吐出装置1000は、被印刷物100に対向するように設置する。キャリッジ1は、被印刷物100に向けて液体の一例であるインクを吐出するためのヘッド300を搭載している。そしてキャリッジ1がZ軸方向に移動可能なように、Z軸レール103がキャリッジ1を保持する。
キャリッジ1を保持したZ軸レール103がX軸方向に移動可能なように、X軸レール101がZ軸レール103を保持する。更に、X軸レール101がY軸方向に移動可能なように、Y軸レール102がX軸レール101を保持する。ここで、X軸は「第1の軸」の一例であり、Y軸は「第1の軸と交差する第2の軸」の一例であり、Z軸は「第1の軸及び第2の軸と交差する第3の軸」の一例である。また、キャリッジ1は「液体吐出ユニット」の一例であり、ヘッド300は「液体吐出ヘッド」の一例である。
【0067】
液体吐出装置1000は、キャリッジ1をZ軸レール103に沿ってZ軸方向に動かすZ方向駆動部92と、Z軸レール103をX軸レール101に沿ってX軸方向に動かすX方向駆動部72を備えている。更に、液体吐出装置1000は、X軸レール101をY軸レール102に沿ってY軸方向に動かすY方向駆動部82を備えている。Z方向駆動部92は、「第1の駆動手段」の一例であり、キャリッジ1をX軸及びY軸と交差するZ軸の方向へ動かす。なお、キャリッジ1及びヘッド300のZ軸の方向への移動は、Z軸方向と平行でなくてもよく、少なくともZ軸方向の成分を含んでいれば斜めの移動であってもよい。
キャリッジ1は、更に別のZ方向駆動部93を備えている。Z方向駆動部93は、「第2の駆動手段」の一例であり、キャリッジ1に対してヘッド300をZ軸の方向へ動かす。
上記のように構成した液体吐出装置1000は、キャリッジ1をX軸、Y軸及びZ軸の方向に移動させながら、ヘッド300から被印刷物100に向けてインクを吐出し、被印刷物100に描画を行う。なお、被印刷物100は、平面板の形態で示しているが、自動車やトラック、航空機などのように鉛直に近い面もしくは曲率半径の大きい面でもよい。
【0068】
(印刷物)
本発明の印刷物は、被印刷物と、該被印刷物上に本発明の印刷装置により形成した印刷層と、を有する。
前記被印刷物の材質としては、例えば、金属、ガラス、合成紙、樹脂、セラミックスなどが挙げられる。
【0069】
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
【実施例0070】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0071】
(顔料分散体の製造例1)
<ブラックの界面活性剤型顔料分散体Aの作製>
[処方]
・顔料:C.I.ピグメントブラック7(NIPEX150、degussa社製、ガスブラック):200質量部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(パイオニンA-45-PN、竹本油脂株式会社製、ナフタレンスルホン酸2量体、3量体、4量体の合計含有量:30質量%):50質量部
・蒸留水:750質量部
上記の混合物をプレミックス後、ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い、直径0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した。その後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、ブラック分散体の平均粒子径110nmの顔料分散体(A)を得た(固形分20質量%)。
【0072】
(顔料分散体の製造例2)
<ブラックのポリマー被覆型顔料分散体Bの作製>
機械式撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを調製した。
【0073】
上記合成で作製したポリマー溶液28g、C.I.ピグメントブラック7(NIPEX150、degussa社製、ガスブラック)26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に撹拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に撹拌した後、エバポレーターを用いて、メチルエチルケトン及び水を留去し、プレミックス後ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い、直径0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径125nmのブラックのポリマー被覆型顔料分散体Bを得た(固形分20質量%)。
【0074】
(顔料分散体の製造例3)
<シアンの界面活性剤型顔料分散体Cの作製>
[処方]
・顔料:C.I.ピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製、シアニンブルーA-385):200質量部
・下記一般式で表される化合物(n=40):56質量部
【化5】
・パイオニンA-51-B(竹本油脂株式会社製):2.5質量部
・蒸留水:742質量部
【0075】
上記の混合物をプレミックス後、ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い、直径0.03mmのジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径80nmのシアンの界面活性剤型顔料分散体Cを得た(固形分20質量%)。
【0076】
(顔料分散体の製造例4)
<シアンのポリマー被覆型顔料分散体Dの作製>
機械式撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを調製した。
【0077】
上記合成で作製したポリマー溶液28g、C.I.ピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製、シアニンブルーA-385)26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に撹拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に撹拌した後、エバポレーターを用いて、メチルエチルケトン及び水を留去し、プレミックス後ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径100nmのシアンのポリマー被覆型顔料分散体Dを得た(固形分20質量%)。
【0078】
(顔料分散体の製造例5)
<マゼンタの界面活性剤型顔料分散体Eの作製>
[処方]
・顔料:C.I.ピグメントレッド122(チバスペシャルティケミカルズ社製、クロモフタールJETマゼンタDMQ):200質量部
・下記一般式で表される化合物(n=40):56質量部
【化6】
・蒸留水:744質量部
【0079】
上記の混合物をプレミックス後、ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い、直径0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径120nmのマゼンタの界面活性剤型顔料分散体を得た(固形分20質量%)。
【0080】
(顔料分散体の製造例6)
<マゼンタのポリマー被覆型顔料分散体Fの作製>
機械式撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを調製した。
【0081】
上記合成で作製したポリマー溶液28g、C.I.ピグメントレッド122(チバスペシャルティケミカルズ社製、クロモフタールJETマゼンタDMQ)26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に撹拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に撹拌した後、エバポレーターを用いて、メチルエチルケトン及び水を留去し、プレミックス後ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径100nmのマゼンタのポリマー被覆型顔料分散体Fを得た(固形分20質量%)。
【0082】
(顔料分散体の製造例7)
<イエローの界面活性剤型顔料分散体Gの作製>
[処方]
・顔料:C.I.ピグメントイエロー110(コリマックスイエロー3RL、製造元:ZEYA CHEMICALS(HAIMEN) Co.,Ltd.):200質量部
・下記一般式で表される化合物(n=40):56質量部
【化7】
・蒸留水:744質量部
【0083】
上記の混合物をプレミックス後、ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い、直径0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径90nmのイエローの界面活性剤型顔料分散体Gを得た(固形分20質量%)。
【0084】
(顔料分散体の製造例8)
<イエローのポリマー被覆型顔料分散体Hの作製>
機械式撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS-6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを調製した。
【0085】
上記合成で作製したポリマー溶液28g、C.I.ピグメントイエロー110(コリマックスイエロー3RL、製造元:ZEYA CHEMICALS(HAIMEN) Co.,Ltd.)26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に撹拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に撹拌した後、エバポレーターを用いて、メチルエチルケトン及び水を留去し、プレミックス後ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い、直径0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径100nmのイエローのポリマー被覆型顔料分散体Hを得た(固形分20質量%)。
【0086】
(顔料分散体の製造例9)
<ホワイトの界面活性剤型顔料分散体Iの作製>
[処方]
・顔料:C.I.ピグメントホワイト6(テイカ社製、製品名「JR-403」、個数平均一次粒子径250nm、アスペクト比2、表面処理:Al,Si):200質量部
・顔料分散剤(商品名:TEGO Dispers651、エボニック社製):56質量部
・蒸留水:744質量部
【0087】
上記の混合物をプレミックス後、ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM-015)を用い、直径0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10-6g/m)で周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、平均粒子径250nmのホワイトの界面活性剤型顔料分散体Iを得た(固形分20質量%)。
【0088】
(顔料分散体の製造例10)
-イエローの界面活性剤型顔料分散体Jの作製-
顔料分散体の製造例7において、C.I.ピグメントイエロー110(コリマックスイエロー3RL、製造元:ZEYA CHEMICALS(HAIMEN) Co.,Ltd.)を、C.I.ピグメントイエロー74(ファーストエロー531、製造元:大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の製造例7と同様にして、イエローの界面活性剤型顔料分散体Jを得た(固形分20質量%)。
【0089】
(顔料分散体の製造例11)
-イエローのポリマー被覆型顔料分散体Kの作製-
顔料分散体の製造例8において、C.I.ピグメントイエロー110(コリマックスイエロー3RL、製造元:ZEYA CHEMICALS(HAIMEN) Co.,Ltd.)を、C.I.ピグメントイエロー74(ファーストエロー531、製造元:大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の製造例8と同様にして、イエローのポリマー被覆型顔料分散体Kを得た(固形分20質量%)。
【0090】
(顔料分散体の製造例12)
-イエローの界面活性剤型顔料分散体Lの作製-
顔料分散体の製造例7において、C.I.ピグメントイエロー110(コリマックスイエロー3RL、製造元:ZEYA CHEMICALS(HAIMEN) Co.,Ltd.)を、C.I.ピグメントイエロー155(INK JET YELLOW 4G VP2532 製造元:クラリアントジャパン社製)に変更した以外は、顔料分散体の製造例7と同様にして、イエローの界面活性剤型顔料分散体Lを得た(固形分20質量%)。
【0091】
(顔料分散体の製造例13)
-イエローのポリマー被覆型顔料分散体Mの作製-
顔料分散体の製造例8において、C.I.ピグメントイエロー110(コリマックスイエロー3RL、製造元:ZEYA CHEMICALS(HAIMEN) Co.,Ltd.)を、ピグメントイエロー155(INK JET YELLOW 4G VP2532 製造元:クラリアントジャパン社製)に変更した以外は、顔料分散体の製造例8と同様にして、イエローのポリマー被覆型顔料分散体Mを得た(固形分20質量%)。
【0092】
(顔料分散体の製造例14)
-マゼンタの界面活性剤型顔料分散体Nの作製-
顔料分散体の製造例5において、C.I.ピグメントレッド122(チバスペシャルティケミカルズ社製、クロモフタールJETマゼンタDMQ)を、C.I.ピグメントバイオレット19(INK JET Magenta E5B02VP2984 製造元:クラリアントジャパン社製)に変更した以外は、顔料分散体の製造例5と同様にして、マゼンタの界面活性剤型顔料分散体Nを得た(固形分20質量%)。
【0093】
(顔料分散体の製造例15)
-マゼンタのポリマー被覆型顔料分散体Oの作製-
顔料分散体の製造例6において、C.I.ピグメントレッド122(チバスペシャルティケミカルズ社製、クロモフタールJETマゼンタDMQ)を、C.I.ピグメントバイオレット19(INK JET Magenta E5B02VP2984 製造元:クラリアントジャパン社製)に変更した以外は、顔料分散体の製造例6と同様にして、マゼンタのポリマー被覆型顔料分散体Oを得た(固形分20質量%)。
【0094】
(実施例1~16及び比較例1~5)
<インクの調製>
下記の表1から表4に示す処方の材料を混合撹拌した後、平均孔径0.8μmポリプロピレンフィルターでろ過し、実施例1~16及び比較例1~5のインクを作製した。なお、表1から表4に示す各成分の配合量の単位は「質量%」である。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
なお、表2~表4中の各成分の詳細については以下の通りである。
【0100】
-有機溶剤-
・エタノール:沸点79℃、25℃での蒸気圧59.3mmHg
・3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン:沸点203℃、25℃での蒸気圧1.00mmHg
・1-メトキシ-2-プロパノール:沸点120℃、25℃での蒸気圧12.5mmHg
・1-ブトキシ-2-プロパノール:沸点170℃、25℃での蒸気圧1.40mmHg
・1-エトキシ-2-プロパノール:沸点133℃、25℃での蒸気圧3.86mmHg
・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート:沸点156℃、25℃での蒸気圧2.34mmHg
【0101】
-界面活性剤-
・界面活性剤α:Triton HW-1000(下記一般式(α)で表される化合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ダウ・ケミカル社製)
【化8】
ただし、前記一般式(α)におけるR、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。炭素数1~5のアルキル基としては、分岐を有するアルキル基であっても分岐を有さないアルキル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。なお、前記一般式(α)におけるnは4以上10以下の整数を表す。
【0102】
・界面活性剤β:TEGO Wet 270(下記一般式(β)で表されるシリコーン系化合物(シリコーン系界面活性剤)、エボニック社製)
【化9】
ただし、前記一般式(β)におけるRは水素原子又はメチル基を表し、m1、m2はそれぞれ独立して、0以上6以下の整数を表し、n1は2以上20以下の整数を表す。
【0103】
-樹脂-
・樹脂a:タケラックXW-75-W932(アニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂、三井化学株式会社製、固形分28質量%)
・樹脂b:モビニール5450(スチレンアクリル樹脂、日本合成化学工業株式会社製、固形分45質量%)
・樹脂c:TOCRYL W-6109(アクリルシリコーン樹脂、トーヨーケム株式会社製、固形分40質量%)
【0104】
-防腐防黴剤-
・プロキセルLV:アベシア社製
【0105】
次に、得られた各インクを用い、以下のようにして、「液垂れ」、「吐出安定性」、「YMCK画像の彩度及び濃度」、「ホワイト画像濃度(白色度)」、「密着性」及び「インク保存性」を評価した。結果を表5~表8に示す。
【0106】
<液垂れ>
実施例及び比較例で作製した各インクを、図3及び図4に示すプリンターNNV13(リコーデジタルペインティング株式会社製)に充填してセットし、被印刷物A及びBを使用して、記録密度105.8dpi、2パスでA4サイズ全面ベタ画像の印刷を行った。インクの付着量は3.00nL/dotに調整し、印字終了から10分間後の画像について、下記の基準で液垂れを評価した。なお、○及び△が許容範囲である。
[被印刷物]
・被印刷物A:アルミニウム複合板(エスコEA440HA-X2(ホワイト)、株式会社エスコ製)
・被印刷物B:ガラス基材(オプティマ ファインワインボトル 500cc 10931/30、アズワン社製)
[評価基準]
○:液垂れなし
△:液垂れが発生してないが画像ムラあり(画像下部に液たまり)
×:液垂れが発生
【0107】
<吐出安定性>
図3及び図4に示すプリンターNNV13(リコーデジタルペインティング株式会社製)を温度23℃、湿度50%RHの環境下で、被印刷物Aを使用して、記録密度105.8dpi、2パスで全面ベタ画像(横:13,000mm×縦:3,250mm)の印刷を行った。インクの付着量は3.00nL/dotに調整し、印刷終了後、ノズルチェックパターンを出力し、下記の基準で曲がりの程度を評価した。なお、○及び△が許容範囲である。
[評価基準]
○:曲がりなし
△:曲がりが1か所以上3か所以下発生
×:曲がりが4か所以上発生
【0108】
<YMCK画像の彩度及び濃度>
上記液垂れの評価と同様にして作製した実施例及び比較例のベタ画像部の光学濃度(OD)を、分光測色計(X-Rite938、X-Rite社製)を用いて測定し、下記基準により評価した。
画像の鮮明性(彩度)とは、被印刷物A及びBに印刷し、画像サンプルのベタ画像の測色を前記分光測色計にて行い、色度図上にプロットし、色度図上の原点からの距離を言う。より詳しくは、彩度は、色度図上のa値及びb値から求めた下記式で表される。
【数1】
[評価基準]
-イエロー顔料インクの彩度-
○:彩度が55以上
△:彩度が50以上55未満
×:彩度が50未満
【0109】
-マゼンタ顔料インクの彩度-
○:彩度が55以上
△:彩度が50以上55未満
×:彩度が50未満
【0110】
-シアン顔料インクの彩度-
○:彩度が55以上
△:彩度が50以上55未満
×:彩度が50未満
【0111】
-ブラック顔料インクの光学濃度(OD)-
○:OD≧0.9
△:0.9>OD≧0.8
×:0.8>OD
【0112】
<ホワイト画像濃度(白色度)>
上記液垂れの評価と同様にして作製した実施例及び比較例のベタ画像部の光学濃度を、分光測色計(X-Rite938、X-Rite社製)にて測定し、下記基準により評価した。
画像の白色度とは、被印刷物A及びBに印刷し、画像サンプルのベタ画像の測色をXrite濃度計にて行い、色度図上にプロットし、色度図上の原点からの距離を言う。より詳しくは、白色度は、色度図上のa値及びb値から求めた下記式で表される。
【数2】
〔評価基準〕
○:白色度が3以下
△:白色度が3より大きく、5以下
×:白色度が5より大きい
【0113】
<密着性>
上記液垂れの評価と同様にして作製した実施例及び比較例のベタ画像部を被印刷物A及びBに印刷し、透明感圧付着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標)CT-18:以下、「テープ」と呼ぶ)剥離による被印刷物A及びBへの密着性と、JIS-K-5600-5-6に示されるクロスカット法に準じて所定の切込みを入れた場合の基材への付着性を評価した。
なお、テープ剥離試験における結果の表記は、テープを貼り付けた後に引き剥がし、全くはがれの見られない状態を「a」、剥がれが見られる状態を「c」と表記した。
一方、クロスカット法における試験結果としては塗膜に設けた5×5の25マスの切り込みに対して、テープを貼り付けた後に引き剥がし、全く剥がれが見られない状態を「a」とし、剥がれが見られる場合を「c」と表記した。この際、刃入れの強弱等の影響を強く受けやすいカット交差部のわずかな剥がれは無視した。
これらの結果に基づき、下記評価基準により、密着性を評価した。
[評価基準]
○:テープ剥離試験が「a」かつクロスカット法が「a」である
△:テープ剥離試験が「a」かつクロスカット法が「c」、又はテープ剥離試験が「c」かつクロスカット法が「a」である
×:テープ剥離試験が「c」かつクロスカット法が「c」である
【0114】
<インク保存性>
各インクをポリエチレン容器に入れて密封し、70℃で2週間保存した前後の体積平均粒径、表面張力、及び粘度をそれぞれ測定し、初期物性との変化率をそれぞれ求め、下記の基準により評価した。なお、体積平均粒径、表面張力、及び粘度のうち最も変化率の大きいもので評価を行った。
粘度は、コーンプレート型回転粘度計(装置名:VISCOMETER TV-22、東機産業株式会社製)を用い、恒温循環水の温度が25℃、回転数が50rpm、せん断速度が191.4sec-1の条件で測定した。
表面張力は、自動表面張力計(DY-300、協和界面科学株式会社製)を用いて、25℃で測定した。
体積平均粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。
[評価基準]
○:変化率が10%未満
△:変化率が10%以上50%以下
×:変化率が50%を超える
【0115】
【表5】
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
表1~表8の結果から、実施例1~16は、比較例1~5に比べて、液垂れ、吐出安定性、YMCK画像の彩度及び濃度、ホワイト画像濃度(白色度)、密着性、及びインク保存性の少なくともいずれかの評価において優れているものであった。このことは、実施例1~15のインクが有機溶剤を2種類以上含有することに基づくものである。
また、実施例1は実施例9に比べて、YMCK画像の彩度及び濃度及び密着性において優れるものであった。このことは、実施例1が3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを含有することに基づくものである。
また、実施例2、3と実施例10、11を比較して、実施例2は吐出安定性、実施例3は液垂れ、インク保存性において優れるものであった。このことは、実施例2、3が沸点100℃以上、140℃未満及び沸点140℃以上、180℃以下の有機溶剤を含むことに基づくものである。
また、実施例4、6と実施例12、13と比較して、実施例4は吐出安定性、実施例6は液垂れ、インク保存性において優れるものであった。このことは、実施例4、6が蒸気圧(25℃)0.1mmHg以上、4mmHg未満及び4mmHg以上、15mmHg以下の有機溶剤を含むことに基づくものである。
また、実施例7と実施例14を比較して、実施例7は密着性評価において優れるものであった。このことは、実施例7がインクジェット記録用インクの樹脂として、アニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂を含むことに基づくものである。
また、実施例8と実施例15を比較して、実施例8は密着性評価において優れるものであった。このことは、実施例8がインクの樹脂として、更にアクリルシリコーン樹脂又はスチレンアクリル樹脂を含むことに基づくものである。
【0120】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 被印刷物に対しインクを水平方向に吐出する印刷方法に用いるインクであって、
水、色材、樹脂、2種類以上の有機溶剤、及び界面活性剤を含有することを特徴とするインクである。
<2> 前記被印刷物の材質が金属、ガラス、合成紙、樹脂、及びセラミックスから選択される少なくとも1種である、前記<1>に記載のインクである。
<3> 2種類以上の前記有機溶剤が3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを含む、前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 2種類以上の前記有機溶剤が、沸点100℃以上140℃未満の有機溶剤及び沸点140℃以上180℃以下の有機溶剤を含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 2種類以上の前記有機溶剤が、25℃での蒸気圧0.1mmHg以上4mmHg未満の有機溶剤及び25℃での蒸気圧4mmHg以上15mmHg以下の有機溶剤を含む、前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記色材は、イエロー顔料がC.I.ピグメントイエロー110、74若しくは155、マゼンタ顔料がC.I.ピグメントレッド122若しくはC.I.ピグメントバイオレット19、シアン顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、ブラック顔料がC.I.ピグメントブラック7、又はホワイト顔料がC.I.ピグメントホワイト6である、前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
<7> 前記樹脂がアニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂を含む、前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記樹脂がアクリルシリコーン樹脂及びスチレンアクリル樹脂の少なくともいずれかを含む、前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 前記色材が、界面活性剤で分散した顔料分散体、及びポリマーで被覆した顔料分散体のいずれかを含む、前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクである。
<10> 前記界面活性剤がシリコーン界面活性剤及びノニオン界面活性剤の少なくともいずれかである、前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクを容器中に収容したことを特徴とする収容容器である。
<12> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクを収容した収容部と、
前記インクを吐出する吐出手段と、を有することを特徴とする印刷装置である。
<13> 被印刷物上に前記<12>に記載の印刷装置を用いて画像を印刷することを特徴とする印刷方法である。
<14> 前記被印刷物に対して水平方向にインクを吐出する、前記<13>に記載の印刷方法である。
<15> 前記被印刷物の材質が金属、ガラス、合成紙、樹脂、及びセラミックスから選択される少なくとも1種である、前記<13>から<14>のいずれかに記載の印刷方法である。
<16> 被印刷物と、該被印刷物上に前記<12>に記載の印刷装置により形成した印刷層と、を有することを特徴とする印刷物である。
<17> 前記被印刷物の材質が金属、ガラス、合成紙、樹脂、及びセラミックスから選択される少なくとも1種である、前記<16>に記載の印刷物である。
【0121】
前記<1>から<10>のいずれかに記載のインク、前記<11>に記載の収容容器、前記<12>に記載の印刷装置、前記<13>から<15>のいずれかに記載の印刷方法、及び前記<16>から<17>のいずれかに記載の印刷物によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0122】
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】特開2004-106204号公報
図1
図2
図3
図4