(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086563
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】米飯食品硬化抑制剤、及び米飯食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230615BHJP
【FI】
A23L7/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201165
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154597
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 悟郎
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 卓也
(72)【発明者】
【氏名】玉川 由梨
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LG01
4B023LK12
(57)【要約】
【課題】米飯食品を常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の食感の硬化を抑制する米飯食品硬化抑制剤であって、食品素材を有効成分とする 米飯食品硬化抑制剤、及び常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の食感の硬化が抑制された米飯食品の製造方法を提供する。
【解決手段】加熱大豆胚芽を含むことを特徴とする米飯食品硬化抑制剤、及び炊飯工程を含む米飯食品の製造方法であって、前記炊飯工程及び/又は前記炊飯工程後において、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することを特徴とする米飯食品の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱大豆胚芽を含むことを特徴とする米飯食品硬化抑制剤。
【請求項2】
炊飯工程を含む米飯食品の製造方法であって、
前記炊飯工程及び/又は前記炊飯工程後において、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することを特徴とする米飯食品の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の米飯食品硬化抑制剤を用いる請求項2に記載の米飯食品の製造方法。
【請求項4】
炊飯して得られる米飯食品の経時的な硬化を抑制する方法であって、
前記炊飯時及び/又は前記炊飯後に、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱大豆胚芽を有効成分とする米飯食品硬化抑制剤、及びそれを用いた米飯食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等のいわゆる中食市場において、各種持ち帰り弁当、おにぎり、寿司等の米飯食品の流通が増加している。米飯食品の流通は、冷凍から常温まで幅広い温度で行なわれているが、中食市場においては、特に約10~25℃の常温の温度帯又は約0~10℃の冷蔵の温度帯で流通されることが多い。しかしながら、米飯食品は、常温又は冷蔵の温度帯においては、米飯中の澱粉の老化などにより経時的に食感が硬くなり、搬送、保存、陳列中に商品価値が低下し易いという問題がある。そのため、米飯食品を常温又は冷蔵の温度帯で保存しても硬化を抑制することができる技術が求められている。
【0003】
従来から、米飯食品の硬化を抑制する技術の開発が行なわれている。例えば、特許文献1では、米飯、特にチルド温度帯(0~10℃)において長時間(たとえば12時間以上)保管される米飯の老化抑制効果を期待できる添加物および、従来のものよりも、より効率的で安価に老化抑制の効果を得られる方法や手段として、グァーガム酵素分解物を有効成分とする米飯の品質改良用剤、及びグァーガム酵素分解物を有効成分とする米飯の老化抑制用剤が開示されている。また、特許文献2では、炊飯時に添加することにより、冷蔵後の米飯の硬化を抑制することができる炊飯用油脂組成物を提供すること等を目的とし、食用油脂、レシチンを0.1質量%以上3質量%以下、アスコルビン酸類縁化合物を0.002質量%以上1質量% 以下、及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.01質量% 以上3質量%以下含有することを特徴とする炊飯用油脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-175956号公報
【特許文献2】特開2018-121587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の技術では食品添加物を使用するため、ユーザーによっては利用を控える場合もある。そのため、食品添加物を使用しないでも米飯食品の硬化を抑制する方法の開発も望まれている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、米飯食品を常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の食感の硬化を抑制する米飯食品硬化抑制剤であって、食品素材を有効成分とする米飯食品硬化抑制剤、及び常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の食感の硬化が抑制された米飯食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々の食品素材から、大豆胚芽に着目し、加熱大豆胚芽を用いることで上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
すなわち、上記目的は、加熱大豆胚芽を含むことを特徴とする米飯食品硬化抑制剤によって達成される。また、上記目的は、炊飯工程を含む米飯食品の製造方法であって、前記炊飯工程及び/又は前記炊飯工程後において、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することを特徴とする米飯食品の製造方法によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、食品素材を有効成分とする米飯食品硬化抑制剤が得られ、食品添加物を用いなくても、常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の食感の硬化が抑制された米飯食品を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[米飯食品硬化抑制剤]
本発明の米飯食品硬化抑制剤は、加熱大豆胚芽を含むことを特徴とする。大豆胚芽を米と共に炊飯する技術は、例えば、特開昭60-43351では、味が苦く且つエグミを有するため栄養分を豊富に含みながら食品原料として難があった大豆胚芽を食べ易くすることを目的とし、大豆胚芽と所望によりその他の穀類及び/又は食品とを添加し常法により炊飯してなる大豆胚芽入り御飯が開示されている。また、特開2013-201956では、イソフラボン、サポニン等の機能性成分が多く含まれ、水分が1~5%(w/w)、嵩密度が3 7~43g/100ml、クリーム色を呈し、炊飯した際に青臭みがなく、オレンジ色を呈し、芯は残っておらず、食感が炊飯米と同程度で軟らかく、形状の崩れがない膨化大豆胚芽を得ることを目的とし、水分が1~5%(w/w)、嵩密度が37~43g/100ml、L値が69.0~77.0、a 値が2.4~5.5、b値が23.1~24.8である膨化大豆胚芽が開示されている。しかしながら、これらの従来技術では、大豆胚芽の栄養機能や健康機能に着目しているが、大豆胚芽が米飯食品の硬化抑制効果を有することは一切知られていなかった。そのため、上記の特許文献では実施例において、大豆胚芽の栄養機能や健康機能を生かすため、大豆胚芽を米100質量部に対して5質量部以上配合して炊飯し、炊飯直後の美味しさ、食感、青臭さ、色を評価している。本発明においては、後述する実施例に示す通り、加熱大豆胚芽が、米に対して比較的少量の添加でも、常温又は冷蔵の温度帯で1日以上保存した際の米飯食品の硬化を抑制する効果を有することを見出している。
【0011】
本発明において、加熱大豆胚芽は、大豆胚芽(丸大豆の胚軸部分)を加熱処理したものである。大豆胚芽は、大豆粉や大豆油、脱脂大豆を製造するプロセス、又は豆乳や豆腐等の大豆加工品を製造するプロセスにおいて得られる大豆の胚軸部分であればどのようなものを用いてもよい。例えば、丸大豆を加熱後分割、剥皮を行い、風選、篩別、比重選別により分離した大豆胚芽が得られる。大量に安定した品質で得られる点で、大豆粉や大豆油、脱脂大豆を製造するプロセスから得られるものが好ましい。本発明において、加熱大豆胚芽の加熱処理条件は、本発明の効果が得られる条件であれば、特に制限はない。加熱処理時の大豆胚芽の形態も特に制限はないが、丸大豆から分離した状態のまま(すなわち粒の状態)が好ましい。粒状の場合、米粒との大きさに差が少ないため分散が容易である。大豆胚芽に含まれるリポキシゲナーゼは、青臭さの原因になり得るので、リポキシゲナーゼ活性が以下の測定方法で検出限界以下になる条件が好ましい。
<リポキシゲナーゼ活性測定方法>
0.05mol/Lリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を用いて大豆胚芽抽出液を調製し、0.001mol/Lリノール酸(pH9.0)3mLにその抽出液を0.02mL混合して、25℃、波長232.5nmの条件で吸光度変化を測定する。25℃、pH9.0において1分間に1μmolの基質が反応する酵素量を1単位とする。
【0012】
また、本発明において、加熱大豆胚芽の加熱処理条件は、加熱大豆胚芽のCIELAB表色系のL値が40以上である条件が好ましく、45以上である条件がより好ましく、50以上である条件がさらに好ましい。これにより、焦げ臭のない加熱大豆胚芽とすることができる。また、加熱大豆胚芽の加熱処理条件は、加熱大豆胚芽のCIELAB表色系のL値が61以下である条件が好ましく、58以下である条件がより好ましい。これにより、大豆胚芽の青臭さなどが低減される。なお、CIELAB表色系のL値は、公知の手法を用いて色差計により測定された明度を示す値をいう。L値は0から100までの数値で表され、L値0は黒、L値100は白を意味する。色差計としては、例えば、分光測色計CM-5(コニカミノルタ株式会社)を用いることができる。本発明において、加熱大豆胚芽の加熱処理方法は、特に制限はない。具体的には、例えば、熱風乾燥機、オーブン、焙煎窯、焙煎機、パドルドライヤー、流動層乾燥機、スチーム処理等が挙げられる。
【0013】
本発明の米飯食品硬化抑制剤は、加熱大豆胚芽のみから構成されていてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の材料を含有して構成されていても良い。その他の材料としては、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース等の糖類、キシリトール、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール、その他水あめ、マルトオリゴ糖、デキストリン、澱粉等の糖質;サフラワー油、ひまわり油、綿実油、なたね油、大豆油、米ぬか油、椿油等の植物性油脂、牛脂、魚油、鯨油、豚脂等の動物性油脂、これらを原料としたエステル交換油、硬化油、分別油、これらに乳化剤を配合した炊飯専用油等の油脂類;ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤;結晶セルロース、難消化性デキストリン等の食物繊維;カラギーナン、タラガム、キサンタンガム、ペクチン、グアガム、ローカストビーンガム等の増粘剤;ゼラチン、可溶性コラーゲン、卵白、卵黄末、カゼインナトリウム等のたん白質類;カルシウム、鉄等のミネラル類;ビタミンE等のビタミン類、酢酸ナトリウム等のpH調整剤;α-グルコシダーゼ、枝つくり酵素、トランスグルタミナーゼ等の酵素類;アミノ酸、食塩、酢などの調味料類等が挙げられる。本発明の米飯食品硬化抑制剤は、食品素材である加熱大豆胚芽が有効成分として含むことで効果が得られるので、食品添加物を含まないことが好ましい。
【0014】
[米飯食品の製造方法]
本発明の米飯食品の製造方法は、炊飯工程を含む米飯食品の製造方法であって、前記炊飯工程及び/又は炊飯工程後において、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することを特徴とする。加熱大豆胚芽を上記の範囲で添加して炊飯する、及び/又は炊飯米に加熱大豆胚芽を上記の範囲で添加することで、常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の硬化が抑制された米飯食品を製造することができる。また、加熱大豆胚芽を添加することで、米飯食品のべちゃつきの程度も抑制することができる。本発明の効果が得られ易い点で、常温で保存させる米飯食品であることが好ましい。本発明における常温とは、15~25℃の温度である。また、本発明の効果が得られ易い点で、生米がうるち米であることが好ましい。本発明の好ましい態様は、前記炊飯工程において、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することである。加熱大豆胚芽を炊飯工程でさらに加熱することで、大豆胚芽の青臭さなどをさらに低減することができる。なお、本発明において、炊飯工程とは、米に加水して加熱処理すること、又は米を蒸気で加熱処理(蒸気炊飯)することを意味する。例えば、炊飯器を用いて生米を炊飯する工程や、リゾットのように生米を炒めた後に行う、熱したスープを注ぎ、炊き上げる工程がこれに当たる。後述する実施例に示す通り、加熱大豆胚芽の添加量が上記範囲を超えると、米の本来の味質以外の異味をやや強く感じるようになる。また、未加熱の大豆胚芽では、上記の範囲の添加量でも米の本来の味質以外の異味をかなり強く感じるようになる。本発明の米飯食品の製造方法において、前記加熱大豆胚芽の添加量は、生米100質量部に対して0.3~4.5質量部が好ましく、1.0~4.0質量部がより好ましく、1.0~3.0質量部がさらに好ましい。本発明の米飯食品の製造方法は、本発明の米飯食品硬化抑制剤を用いて、上記範囲の加熱大豆胚芽を添加することが好ましい。
【0015】
本発明の製造方法によって製造できる米飯食品としては、特に限定されないが、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等における、常温又は冷蔵の温度帯で搬送、保存、陳列される、各種持ち帰り弁当のご飯、おにぎり、炊き込みご飯、おこわ、赤飯、ドリア、リゾット、パエリア、ピラフ、寿司等の米飯食品が挙げられる。
【0016】
なお、上述の本発明の米飯食品の製造方法の説明から理解できるように、本発明は、炊飯して得られる米飯食品の経時的な硬化を抑制する方法であって、前記炊飯時及び/又は前記炊飯後に、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することを特徴とする方法にも関する。本発明の米飯食品の経時的な硬化を抑制する方法の好ましい態様は、本発明の米飯食品の製造方法の好ましい態様と同様である。
【実施例0017】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.加熱大豆胚芽の分析
炊飯試験に用いる未加熱の大豆胚芽及び、加熱大豆胚芽について、CIELAB表色系のL値、及びリポキシゲナーゼ活性を分析した。なお、CIELAB表色系のL値は、分光測色計CM-5(コニカミノルタ株式会社)を用いて測定し、リポキシゲナーゼ活性は、上述したリポキシゲナーゼ活性測定方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0018】
【0019】
2.炊飯試験方法
IH炊飯器(パナソニック株式会社、SR-NF101(5.5合炊き))を用いて炊飯試験を行なった。具体的には、炊飯釜に表2~4に記載の配合で、生米(千葉県産コシヒカリ無洗米)、大豆胚芽(未加熱)又は加熱大豆胚芽(大豆Hi!芽(登録商標)-R(昭和産業株式会社)、又は大豆Hi!芽(登録商標)-S(昭和産業株式会社))、及び水を入れ、軽く混ぜた後(参考例は、大豆胚芽等の添加なしで)、無洗米ふつうコースで炊飯した。炊飯後、真空冷却機で20℃まで冷却し、プラスチックパックに詰めて10℃で1日間、20℃で2日間又は4℃で1日間保存した。
3.米飯の評価方法
2.で保存した後の米飯を喫食し、以下の評価基準で硬さ、べちゃつき、異味を評価した。評価結果は、訓練を受けた専門パネル5名の合議による評点とした。なお、(1)硬さ、(3)異味については、0.5点刻みの9段階で評点を決めた。10℃で1日間保存した結果を表2、20℃で2日間保存した結果を表3、4℃で1日間保存した結果を表4に示す。
(1)硬さ
5:参考例2、参考例4、又は参考例6と比べて同程度かそれ以上に軟らかい
4:参考例1、参考例3、又は参考例5と比べて軟らかく、参考例2、参考例4、又は参考例6と比べてやや硬い
3:参考例1、参考例3、又は参考例5と比べてやや軟らかい
2:参考例1、参考例3、又は参考例5と同程度に硬い
1:参考例1、参考例3、又は参考例5と比べて硬い
(2)べちゃつき
2:参考例2、参考例4、又は参考例6と比べてべちゃつきの程度が低い
1:参考例2、参考例4、又は参考例6と比べてべちゃつきの程度が同程度か高い
(3)異味
5:米の本来の味質以外の異味を感じず、非常に良好
4:米の本来の味質以外の異味をわずかに感じるが、良好
3:米の本来の味質以外の異味をやや感じる程度で、やや良好
2:米の本来の味質以外の異味をやや強く感じる
1:米の本来の味質以外の異味を強く感じる
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
表2~4に示した通り、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.4~4.4質量部添加して炊飯した実施例1~5、7、8の米飯は、10℃1日、20℃2日、4℃1日間保存しても、少なくとも大豆胚芽を添加せずに同じ水の量で炊飯した参考例の米飯と比べて軟らかく、米の本来の味質以外の異味も許容範囲(やや感じる程度)以上の評価であった。また、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して4.4質量部添加して、加水量を増やし炊飯した実施例6は、大豆胚芽を添加せずに同じ水の量で炊飯した参考例2と比べて、軟らかく、べちゃつきの程度も低く、米の本来の味質以外の異味も許容範囲(やや感じる程度)の評価であった。なお、保存後の米飯の硬化を低減するため、多めの水で炊飯した参考例2、参考例4、参考例6については、硬さは軟らかかったが、べちゃつきの程度が高く、良好な食感とはいえなかった。一方、加熱大豆胚芽の代わりに未加熱の大豆胚芽を生米100質量部に対して4.4質量部用いて、加水量を増やし炊飯した比較例1では、硬さ、べちゃつきは良好であったが、米の本来の味質以外の異味がかなり強く感じられた。また、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して5.0質量部用いて、加水量を増やし炊飯した比較例2では、硬さ、べちゃつきは良好であったが、米の本来の味質以外の異味がやや強く感じられ、許容範囲を超えていた。したがって、米飯食品の炊飯工程において、加熱大豆胚芽を生米100質量部に対して0.1~4.5質量部添加することで、米の本来の味質を損なうことなく、常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の米飯食品の硬化を抑制できることが示唆された。また、米飯食品のべちゃつきの程度も抑制できることが示唆された。
【0024】
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、添加物を有効成分としない米飯食品硬化抑制剤が得られ、食品添加物を用いなくても、常温又は冷蔵の温度帯で保存した際の食感の硬化が抑制された米飯食品を製造することができる。