(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086801
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】基板組立装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20230615BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20230615BHJP
G02F 1/1339 20060101ALN20230615BHJP
【FI】
G02F1/13 101
H01L21/68 F
H01L21/68 K
G02F1/1339 505
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065286
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2022032234の分割
【原出願日】2015-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 久
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 仁志
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正行
(72)【発明者】
【氏名】海津 拓哉
(57)【要約】
【課題】上基板と下基板の寸法誤差によって生じる貼り合せ誤差を解消して、上基板と下基板を精度よく貼り合せ可能な基板組立装置を提供することを課題とする。
【解決手段】下基板K2を保持する下テーブル4と、複数の分割駆動部31を有する上テーブル3と、粘着ピンプレート8aとともに垂直方向に変位して上基板K1を保持可能な複数の粘着ピン8と、粘着ピンプレート8aを垂直動作させる上下動機構80と、分割駆動部31を変位させるアクチュエータ32と、を有する基板組立装置とする。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下基板を保持する下部基板面を有する下テーブルと、
前記下部基板面に対向する上部基板面を有する上テーブルと、
前記上部基板面に対し当該上部基板面から突出して上基板を保持する複数の粘着ピンと、
各々に1つ以上の前記粘着ピンが取り付けられ、各々が独立して前記上部基板面に対し当該上部基板面から前記粘着ピンを突出して前記上基板を保持する複数のベース部と、
前記粘着ピンが、前記ベース部ごとに設定された突出量で前記上部基板面から突出して前記上基板を保持するように駆動される駆動機構とを備え、
前記下テーブルに保持した前記下基板と前記ベース部ごとに設定された突出量で突出した前記複数の粘着ピンで保持した前記上基板とを真空環境下で貼り合わせる基板組立装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記粘着ピンが、前記ベース部ごとに設定された突出量で前記上部基板面から突出して前記上基板を変形保持するように駆動されることを特徴とする請求項1に記載の基板組立装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記粘着ピンが、前記ベース部ごとに設定された突出量で前記上部基板面から突出して前記上基板を湾曲保持するように駆動されることを特徴とする請求項1に記載の基板組立装置。
【請求項4】
複数のベース部の各々には1つの前記粘着ピンが取り付けられ、当該ベース部の各々は独立して前記上部基板面に対し当該上部基板面から前記粘着ピンを突出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板組立装置。
【請求項5】
複数のベース部の各々には複数の前記粘着ピンが取り付けられ、当該ベース部の各々は独立して前記上部基板面に対し当該上部基板面から前記粘着ピンを突出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板組立装置。
【請求項6】
前記粘着ピンは、前記複数のベース部の各ベース部ごとに予め設定した突出量で前記上部基板面から突出して前記上基板を保持することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の基板組立装置。
【請求項7】
前記下テーブル及び前記上テーブル及び前記粘着ピンを真空環境下で収納可能な真空チャンバと、
前記粘着ピンと前記上テーブルを前記下テーブルに向かつて進行させる第1駆動機構と、
複数の前記ベース部を独立して駆動し、前記上部基板面に対し当該上部基板面から前記粘着ピンを突出させる第2駆動機構と、
前記粘着ピンに開口している真空吸着孔に接続される第1吸引手段と、
前記下部基板面に形成される吸引孔につながった第2吸引手段と、を備えて成る請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の基板組立装置。
【請求項8】
前記下テーブルに保持した前記下基板と前記ベース部ごとに設定された突出量で突出した前記複数の粘着ピンで保持した前記上基板とを真空環境下で位置合わせして貼り合わせることを特徴とした請求項1に記載の基板組立装置。
【請求項9】
前記下テーブルに保持した前記下基板と前記ベース部ごとに設定された突出量で突出した前記複数の粘着ピンで保持した前記上基板とを真空環境下でずれを規定範囲内に補正して貼り合わせることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「本発明は、制御部で接離用駆動部及び着脱用駆動部が作動制御され、減圧雰囲気で第一保持部材又は粘着ピンのいずれか一方か若しくは両方を第二保持部材に対し相対的に接近移動させることにより、第一ワークと第二ワークが貼り合わされる。この貼り合わせ後は、第一保持部材の剛性当接面が第一ワークに接触した状態で、粘着ピンを第一ワークから離隔する方向へ移動させることにより、粘着ピンの引き剥がしに伴い第一ワークにおける粘着ピンで粘着保持された部位の周辺部分が、剛性当接面と接触して剛性当接面に沿うように形状保持される。したがって、第一保持部材による第一ワークの加圧時及び第一ワークからの粘着ピンの引き剥がし時において第一ワークの変形を最小限に抑えることができる。」と記載されている(段落0007参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるワーク貼り合わせ装置(基板組立装置)は、第一ワーク(上基板)と第二ワーク(下基板)を貼り合せた貼合デバイスを第一保持部材(上テーブル)から取り外すときの第一ワークの変形を抑制するように構成されている。
しかしながら、第一ワークと第二ワークを精度よく貼り合せるためには、貼り合せる前の第一ワークと第二ワークの位置合わせが必要になる。
【0005】
特許文献1には、「第一ワークW1及び第二ワークW2の貼り合せ直前において、第一保持部材1又は第二保持部材2のいずれか一方を他方に対してXYθ方向に調整移動することで、第一ワークW1と第二ワークW2の位置合わせ(アライメント)を行うことが好ましい。」と記載されているが(段落0020参照)、具体的な位置合わせの方法について記載されていない。
また、XYθ方向の調整移動では、第一ワークと第二ワークの位置ずれは調節できるが、生産時等に生じる寸法誤差によって生じる貼り合せ誤差(ピッチずれ)は解消できない。
【0006】
本発明は、上基板と下基板の寸法誤差によって生じる貼り合せ誤差を解消して、上基板と下基板を精度よく貼り合せ可能な基板組立装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、下基板を保持する下部基板面を有する下テーブルと、前記下部基板面に対向する上部基板面を備え、当該上部基板面で上基板を保持する上テーブルと、を有し、前記下テーブルに保持した前記下基板と前記上テーブルに保持した前記上基板とを真空環境下で貼り合わせる基板組立装置において、前記上テーブルに対し垂直方向に変位して前記上基板を保持する複数の粘着ピンと、各々が1つ以上の前記粘着ピンを備えた複数の粘着ピンプレートと、当該粘着ピンプレートの各々を互いに独立して前記上テーブルに対して垂直方向に変位駆動する粘着ピン変位駆動手段と、前記下基板と前記上基板のずれを規定範囲内にするための変形量に応じ前記複数の粘着ピンプレートの各々を変位駆動して前記上基板を湾曲させ、前記上基板と前記下基板とのずれを規定範囲内に補正するよう前記粘着ピン変位駆動手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする基板組立装置とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、上基板と下基板の寸法誤差によって生じる貼り合せ誤差を解消して、上基板と下基板を精度よく貼り合せ可能な基板組立装置を提供できる。これによって、上基板と下基板の寸法誤差で生じるマークピッチずれを効果的に補正して貼り合せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】上テーブルの上部基板面を示す図であり、粘着ピンの配置の一例を示す図である。
【
図7】(a)は下テーブルを示す図、(b)はSec1-Sec1での断面図である。
【
図8】基板組立装置で基板を貼り合せる工程を示す図である。
【
図9】上基板と下基板の貼り合せ位置を調整するためのマーキングを示す図であって、(a)は上基板に付される上マークを示す図、(b)は下基板に付される下マークを示す図である。
【
図10】上基板の上マークと下基板の下マークのずれを調整する状態を示す図であって、(a)はXY軸方向のずれを示す図、(b)はXY軸方向のずれが調整された状態を示す図である。
【
図11】上基板の上マークと下基板の下マークのずれを調整する状態を示す図であって、(a)はZ軸周りのずれを示す図、(b)はZ軸周りのずれが調整された状態を示す図である。
【
図12】第1上マークと第1下マークのずれが規定範囲内にある状態を示す図であり、(a)は第1上マークが第1下マークの中心にある状態を示す図、(b)は第1上マークが第1下マークの中心からずれた状態を示す図である。
【
図13】粘着ピンプレートの変位量を変えて上基板と下基板のずれを低減する状態を示す図であり、(a)は第1上マークと第1下マークがずれている状態を示す図、(b)は第1上マークと第1下マークのずれが低減した状態(上基板と下基板のマークピッチずれが補正された状態)を示す図である。
【
図14】(a)は分割駆動部が上基板の形状に合せて変位した状態を示す図、(b)は上テーブルが上基板と下基板を押圧する状態を示す図である。
【
図15】設計変更例を示す図であって、(a)は1つの粘着ピンプレートに取り付けられた粘着ピンの変位量が異なる状態を示す図、(b)は1つの粘着ピンに1つの分割駆動部が対応する構成を示す図である。
【
図16】別の設計変更例を示す図であって、(a)は1つの粘着ピンプレートに4つの分割駆動部が対応している状態を示す図、(b)は3つの粘着ピンプレートに1つの分割駆動部が対応している状態を示す図である。
【
図17】さらに別の設計変更例を示す図であって、(a)は全ての粘着ピンが1つの粘着ピンプレートに取り付けられている設計変更例を示す図、(b)は一体構造の上テーブルが備わる設計変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例に係る基板組立装置について、適宜図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す各図面では、共通する部材には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【実施例0011】
図1は基板組立装置を示す図である。
基板組立装置1は、ロボットハンド等の搬送装置200で運び込まれる上基板K1(ガラス基板)と下基板K2(ガラス基板)を真空中で貼り合せて、液晶パネル等の基板を組み立てる装置である。基板組立装置1は制御装置100で制御される。
基板組立装置1は、架台1aと上フレーム2を有する。架台1aは設置面(床面等)に載置される。上フレーム2は架台1aの上方において上下動可能に備わっている。
上フレーム2は、架台1aに取り付けられる第1駆動機構(Z軸駆動機構20)にロードセル20dを介して取り付けられている。
【0012】
基板組立装置1には、上テーブル3と下テーブル4が備わっている。下テーブル4は、移動ユニット(XYθ移動ユニット40)を介して架台1aに取り付けられている。XYθ移動ユニット40は、架台1aに対して、互いに直交する2軸(X軸,Y軸)方向に独立して可動に構成されている。また、XYθ移動ユニット40は、架台1aに対してZ軸周りに回転可能に構成されている。XYθ移動ユニット40として、Z軸方向には固定されてXY軸方向に自由に移動可能なボールベア等を使用したものが利用できる。
【0013】
なお、本実施例の基板組立装置1において、架台1aに対する上フレーム2の方向をZ軸方向(上下方向)とする。また、Z軸に対して直交する1軸の方向をX軸方向(横方向)とし、Z軸及びX軸に直交する1軸の方向をY軸方向(縦方向)とする。
また、上テーブル3及び下テーブル4はY軸方向及びX軸方向を縦横方向とする矩形となっている。そして、上テーブル3の平面(上部基板面3a)と下テーブル4の平面(下部基板面4a)が対向している。
【0014】
上フレーム2は、Z軸駆動機構20を介して架台1aに取り付けられている。Z軸駆動機構20は、Z軸方向(上下方向)に延設されるボールねじ軸20aを上下動させるボールねじ機構20bを有する。ボールねじ軸20aは電動モータ20cで回転し、ボールねじ機構20bによって上下動する。
電動モータ20cは制御装置100で制御され、上フレーム2は制御装置100の演算にもとづいて変位(上下動)する。
【0015】
上テーブル3は複数の上シャフト2aを介して上フレーム2に固定され、上フレーム2と上テーブル3は一体に上下動する。上テーブル3の周囲には上チャンバ5aが配置されている。上チャンバ5aは、下方(架台1aの側)が開口し、上テーブル3の上方及び側方を覆うように配置される。
【0016】
上チャンバ5aは、吊下げ機構6を介して上フレーム2に取り付けられている。吊下げ機構6は、上フレーム2から下方に延設される支持軸6aと、支持軸6aの下端部がフランジ状に広がって形成される係止部6bとを有する。
また、上チャンバ5aにはフック6cが備わる。フック6cは支持軸6aの周囲において自在に上下動する。また、フック6cは支持軸6aの下端において係止部6bと係合する。
上シャフト2aは上チャンバ5を貫通する。上シャフト2aと上チャンバ5の間は真空シール(図示せず)で密封されている。
【0017】
上フレーム2が上方に移動(上動)すると、フック6cが支持軸6aの係止部6bと係合して上チャンバ5aが上フレーム2とともに上動する。また、上フレーム2が下方に移動(下動)すると、フック6cが自重で下動し、それにともなって上チャンバ5aが下動する。
【0018】
また、下テーブル4の周囲には下チャンバ5bが配置されている。下チャンバ5bは、架台1aに取り付けられている複数の下シャフト1bで支持されている。下シャフト1bは下チャンバ5b内に突出している。下チャンバ5bと下シャフト1bの間は真空シール(図示せず)で密封されている。
下チャンバ5bは上方(上フレーム2の側)が開口し、下テーブル4の下方及び側方を覆うように配置される。
【0019】
XYθ移動ユニット40は、下チャンバ5b内に突出している下シャフト1bに取り付けられて下テーブル4を支持する。
【0020】
上チャンバ5aと下チャンバ5bは、互いの開口した部分が合わさって真空チャンバ5を形成する。つまり、下動した上チャンバ5aが下チャンバ5bに上方から係合して、下チャンバ5bの開口が上チャンバ5aで塞がれるように構成されている。なお、上チャンバ5aと下チャンバ5bの接続部はシールリング(図示せず)で密封され、真空チャンバ5の気密性が確保されている。
【0021】
また、上フレーム2は、上チャンバ5aが下チャンバ5bに接する状態よりもさらに下動可能となっている。これによって、上チャンバ5aの下動が下チャンバ5bによって規制された状態から上フレーム2が下動し、吊下げ機構6における係止部6bとフック6cの係合が解消する。上チャンバ5aは自重で下チャンバ5bに載置した状態になる。そして、真空チャンバ5の内側に上テーブル3と下テーブル4が配設される。
【0022】
基板組立装置1には真空ポンプP0が備わっている。真空ポンプP0は真空チャンバ5に接続され、真空チャンバ5内の空気を排気して真空チャンバ5内を真空にする。つまり、真空ポンプP0が駆動すると真空チャンバ5の内部が真空環境になる。真空ポンプP0は制御装置100で制御される。
【0023】
上テーブル3は真空チャンバ5の内側において下動する上フレーム2とともに下動する。このような上テーブル3の下動によって、上テーブル3に保持される上基板K1と、下テーブル4に保持される下基板K2が貼り合わされて加圧される。真空チャンバ5内が真空状態であれば、上基板K1と下基板K2が真空で貼り合せされる。
また、前記したように、上テーブル3は複数の上シャフト2aを介して上フレーム2に固定される。このため、上テーブル3によって上基板K1と下基板K2が加圧されるときの荷重がロードセル20dで検出される。ロードセル20dの検出信号は制御装置100に入力される。
【0024】
図2はサポートピンを示す図である。
図2に示すように、上フレーム2には複数のサポートピン7が備わっている。サポートピン7は、上下方向に延設される管状部材であって、上テーブル3とは独立して上下動可能に備わっている。全てのサポートピン7は1つのサポートベース7aに取り付けられ、全てのサポートピン7が同時に上下動する。サポートベース7aは、上チャンバ5aと上テーブル3の間に配置される。サポートベース7aは図示しない上下動機構(ボールねじ機構等)で上下動する。この上下動機構は制御装置100で制御される。
【0025】
サポートピン7は上テーブル3の上部基板面3aよりも上方に配置され、上テーブル3
に対して下動した時に上部基板面3aから下方に突出する。
【0026】
また、サポートピン7は中空の管状を呈し、その中空部7a1はサポートベース7aの中空部7a1と連通する。サポートベース7aの中空部7a1には真空ポンプP1が接続される。真空ポンプP1が駆動すると中空部7a1が真空になり、上基板K1がサポートピン7に真空吸着される。真空ポンプP1は制御装置100で制御される。つまり、制御装置100の指令に応じて真空ポンプP1が駆動してサポートピン7に上基板K1が真空吸着される。
【0027】
図3は上テーブルの構造を示す図である。
図4は上テーブルの上部基板面を示す図である。
図3に示すように、上テーブル3は、バックプレート30と、分割駆動部31と、を有する。
バックプレート30は上シャフト2aに取り付けられ、上フレーム2と一体に上下動する。バックプレート30は、下テーブル4の下部基板面4a(
図1参照)と平行に配置される板状の部材である。また、バックプレート30は下部基板面4aと対向している。
【0028】
分割駆動部31は上部基板面3aを分割する。換言すると、下テーブル4の下部基板面4a(
図1参照)と対向するように分割駆動部31に形成されている平面部(分割平面部31a)によって上部基板面3aが形成される。なお、分割駆動部31は分割平面部31aが下部基板面4aの側となるように配設される。
図4に示すように、本実施例では、上部基板面3aが9個に分割される。つまり、上テーブル3は9個の分割駆動部31で構成される。また、上部基板面3aは9個の分割平面部31aに分割される。
【0029】
図3に示すように、バックプレート30にはアクチュエータ32(第3駆動機構)が取り付けられている。アクチュエータ32は、分割駆動部31をバックプレート30に対して変位(上下動)させる。アクチュエータ32は、バックプレート30に対して直交する方向(上下方向)に延伸するロッド32aを有する。アクチュエータ32は、例えば電動機(図示せず)を内蔵し、ボールねじ機構でロッド32aを軸線方向(上下方向)に変位させる。アクチュエータ32は制御装置100(
図1参照)で制御される。
【0030】
分割駆動部31はアクチュエータ32のロッド32aに取り付けられている。
例えば、
図4に示すように、矩形の分割駆動部31の4つの隅部(又は4つの隅部の近傍)にロッド32aが取り付けられる。また、ロッド32aと分割駆動部31の間には図示しないベアリングが介在し、ロッド32aが分割駆動部31に対して回転自在に取り付けられている。
【0031】
アクチュエータ32によってロッド32aが上下動すると、分割駆動部31は、ロッド32aの変位に応じてバックプレート30に対する垂直方向に変位(上下動)する。各分割駆動部31は、互いに干渉することなく独立した上下動が可能となっている。
また、バックプレート30は下部基板面4a(
図1参照)と対向しているので、アクチュエータ32は、下部基板面4aに対して垂直方向に分割駆動部31を変位(上下動)させる。換言すると、アクチュエータ32は、分割駆動部31を下部基板面4aに向かって変位させる。
【0032】
このように、本実施例の基板組立装置1は、独立した上下動が可能な9個の分割駆動部31を有する。そして、各分割駆動部31の分割平面部31aで形成される上部基板面3aが変形可能になっている。
【0033】
図5は粘着ピンを示す図である。
図5に示すように、上フレーム2には複数の粘着ピン8が備わっている。粘着ピン8は、上下方向に延設される管状部材であって、上テーブル3及びサポートピン7とは独立した上下動が可能に備わっている。粘着ピン8の上下動は、上部基板面3aに対する垂直動作になる。
粘着ピン8は上部基板面3aよりも上方に配置され、上テーブル3に対して下動した時に上部基板面3aから下方に突出する。また、粘着ピン8は上動して上部基板面3aから引き込まれる。本実施例では、上部基板面3a(
図3に示す分割平面部31a)から粘着ピン8が突出していない状態、つまり、粘着ピン8の突出量がゼロ(又はそれ以下)の状態を、粘着ピン8が上部基板面3aから引き込まれた状態とする。そして、粘着ピン8は、下動して上部基板面3aから突出する。なお、粘着ピン8の突出量は、上部基板面3a(分割平面部31a)からの粘着ピン8の突出量を示す(以下、同じ)。
【0034】
粘着ピン8は、複数の粘着ピンプレート8a(ベース部)に取り付けられている。粘着ピンプレート8aには1つ以上の粘着ピン8が取り付けられる。それぞれの粘着ピンプレート8aは互いに独立した上下動(上部基板面3aに対する垂直動作)が可能になっている。
【0035】
粘着ピン8は先端に粘着部8bを有する。
また、粘着ピン8は中空の管状を呈し、中心に真空吸着孔8cが開口している。真空吸着孔8cは粘着ピンプレート8aの中空部として形成される負圧室8a1と連通する。粘着ピンプレート8aの負圧室8a1には第1吸引手段(真空ポンプP2)が接続される。したがって、粘着ピン8の真空吸着孔8cには負圧室8a1を介して第1吸引手段(真空ポンプP2)が接続される。
【0036】
粘着ピン8は、真空ポンプP2が駆動して真空吸着孔8cが真空状態となったときに上基板K1を真空吸引し、さらに、真空吸引された上基板K1を粘着部8bに貼りつけて保持(粘着保持)する。粘着ピン8は上部基板面3aから突出した状態のときに上基板K1を保持する。
真空ポンプP2は制御装置100で制御される。上基板K1は、制御装置100の指令に応じて粘着ピン8に真空吸引されて粘着部8bに貼りつけられる。
【0037】
粘着ピンプレート8aの負圧室8a1にはガス供給手段8dが接続される。ガス供給手段8dは制御装置100で制御される。ガス供給手段8dは制御装置100の指令に応じて駆動し負圧室8a1に所定のガス(空気や窒素ガスなど)を供給する。ガス供給手段8dから供給されるガスによって負圧室8a1と真空吸着孔8cが昇圧し、粘着部8bに貼りついている上基板K1が粘着部8bから剥離する。
【0038】
各粘着ピンプレート8aには第2駆動機構(上下動機構80)が備わっている。上下動機構80は、取付部80aに回転自在に支持されてZ軸方向に延設されるボールねじ軸81と、ボールねじ軸81を回転させる電動モータ83と、回転するボールねじ軸81によって上下動するボールねじ機構82と、を有する。取付部80aは上フレーム2に固定されている。ボールねじ軸81は電動モータ83で回転し、ボールねじ機構82を上下動させる。そして、ボールねじ機構82は粘着ピンプレート8aに取り付けられる。ボールねじ軸81の回転で上下動するボールねじ機構82と一体に粘着ピンプレート8aが上下動する。
上下動機構80は制御装置100で制御され、制御装置100の指令に応じて粘着ピンプレート8aと粘着ピン8が上下動する。
【0039】
取付部80aは上フレーム2に取り付けられ、上フレーム2と一体に上下動する。また、前記したように上テーブル3は上フレーム2と一体に上下動する。上フレーム2はZ軸
駆動機構20(
図1参照)で上下動し、上フレーム2が下動すると、上テーブル3と取付部80aは下テーブル4(
図1参照)に向かって進行する。上下動機構80は取付部80aに取り付けられており、取付部80aの上下動に応じて粘着ピンプレート8a(粘着ピン8)が上下動する。したがって、Z軸駆動機構20(第1駆動機構)は、粘着ピン8と上テーブル3を下テーブル4に向かって進行させる機能を有する。
【0040】
図6は上テーブルの上部基板面を示す図であり、粘着ピンの配置の一例を示す図である。
一例として、
図6に示すように、上テーブル3に81個の粘着ピン8が備わる本実施例においては9個の粘着ピン8が1つの粘着ピンプレート8aに取り付けられる。そして、本実施例の基板組立装置1(
図1参照)は、9個の粘着ピンプレート8aを有する。
また、本実施例においては、1つの分割駆動部31に1つの粘着ピンプレート8aが対応して配置される。例えば、1つの分割駆動部31の分割平面部31aに対応して9個の粘着ピン8が配設される。そして、1つの分割駆動部31(分割平面部31a)に配設される9個の粘着ピン8は、その分割駆動部31に対応して備わる1つの粘着ピンプレート8aに取り付けられている。
【0041】
また、1つの粘着ピンプレート8aに4つの上下動機構80が備わっている。例えば、矩形を呈する粘着ピンプレート8aの4隅に上下動機構80が備わっている。9個の粘着ピンプレート8aは上下動機構80によって、互いに独立して上下動可能になっている。
粘着ピンプレート8aは、分割駆動部31と干渉することなく備わり、分割駆動部31に対して独立した上下動が可能になっている。これによって、1つの粘着ピンプレート8aに取り付けられている粘着ピン8は、対応する分割平面部31aに対して垂直方向に変位可能となっている。
【0042】
このように、本実施例の上下動機構80(第2駆動機構)は、複数(9個)の粘着ピンプレート8aをそれぞれ独立して上下動(上部基板面3aに対する垂直動作)させることが可能に構成されている。
そして、上下動機構80は、粘着ピンプレート8aごとに設定される変位量で、粘着ピンプレート8aを変位させることができる。これによって、粘着ピン8は、粘着ピンプレート8aごとに設定される変位量で粘着ピンプレート8aとともに変位した状態で上基板K1(
図1参照)を保持可能になっている。
【0043】
図7の(a)は下テーブルを示す図、(b)はSec1-Sec1での断面図である。
図7の(a)に示すように、下テーブル4は上方が開口している下チャンバ5bの内側に収容されている。下テーブル4は下方と側面が下チャンバ5bで囲われている。下テーブル4と下チャンバ5bの間には、横方向(X軸方向)と縦方向(Y軸方向)のそれぞれに間隙Gx,Gyが形成されている。また、下テーブル4は下方が複数のXYθ移動ユニット40で支持される。
図7の(a)には9個のXYθ移動ユニット40で支持された下テーブル4が図示されているが、下テーブル4を支持するXYθ移動ユニット40の数は限定されない。
【0044】
XYθ移動ユニット40は、X軸方向とY軸方向に自在に変位可能に下テーブル4を支持する。このような構造によって、下テーブル4は下チャンバ5bに対してX軸方向とY軸方向に自在に変位可能に備わる。
また、下テーブル4には移動機構41が取り付けられている。移動機構41は、下テーブル4の端辺に連結される軸部41bと、軸部41bを軸線方向に変位させる駆動部41aとを有する。駆動部41aは、例えばボールねじ機構で軸部41bを軸線方向に変位させる。
【0045】
図7の(a)に示すように、下テーブル4には3つの移動機構41が連結されている。1つの移動機構41は軸部41bがX軸方向に延設され、2つの移動機構41は軸部41bがY軸方向に延設されている。
X軸方向に延設される軸部41bは下テーブル4の端辺の中央部近傍に連結される。X軸方向に延設される軸部41bの変位によって下テーブル4がX軸方向(横方向)に変位する。
【0046】
また、Y軸方向に延設される2つの軸部41bは下テーブル4において同じ側の端辺の端部近傍に連結される。Y軸方向に延設される2つの軸部41bの変位量が等しい場合、下テーブル4はY軸方向(縦方向)に変位する。そして、Y軸方向に延設される2つの軸部41bの変位量が異なる場合、下テーブル4は、軸部41bの変位量の大きな一方が変位量の小さな一方よりも大きくY軸方向に変位するためZ軸周りに回転する。
このように、3つの移動機構41が接続される下テーブル4は、X軸方向(横方向)の変位と、Y軸方向(縦方向)の変位と、Z軸周りの回転と、が可能になっている。
【0047】
3つの移動機構41は制御装置100で制御される。制御装置100は3つの移動機構41に指令を与えて軸部41bを適宜変位させ、下テーブル4を変位させる。
【0048】
また、下テーブル4にはリフタ42が備わっている。リフタ42は、例えばX軸方向に下テーブル42を横断するように延設される。リフタ42は、ボールねじ機構などの昇降装置42aで、
図7の(b)に黒矢印で示すように上下動する。昇降装置42aは制御装置100で制御される。制御装置100は下基板K2(
図1参照)が搬送装置200(
図1参照)で搬送されたときにリフタ42を駆動して下基板K2を下テーブル4に載置する。
【0049】
また、矩形を呈する下テーブル4の4隅には位置合わせ窓4bが形成されている。
図7の(b)に示すように、位置合わせ窓4bは下テーブル4の平面(下部基板面4a)を貫通する貫通孔である。位置合わせ窓4bには撮像部収容筒10aが下方から入り込む。撮像部収容筒10aは下チャンバ5bの下面が上方に向かって筒状に盛り上がって形成され、先端部に透明部材10bが嵌め込まれている。撮像部収容筒10aには、下テーブル4で保持される下基板K2(
図1参照)を撮像する撮像装置10が収容される。
下テーブル4には4つの撮像装置10が備わり、それぞれの撮像装置10が撮像したデータ(画像データ)は制御装置100に入力される。なお、下テーブル4に備わる撮像装置10の数は限定されない。
【0050】
下テーブル4の下部基板面4aは下基板K2(
図1参照)を保持する平面である。また、移動機構41は、下テーブル4を下部基板面4aに沿って、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸周りに変位させる。
【0051】
2つの位置合わせ窓4bの近傍には、撮像窓4cが形成されている。撮像窓4cは位置合わせ窓4bと同等の形状に形成されている。撮像窓4cには第2の撮像部収容筒(図示せず)が下方から入り込む。第2の撮像部収容筒は撮像部収容筒10aと同等に形成されている。第2の撮像部収容筒には、第2の撮像装置(図示せず)が収容される。第2の撮像装置は、下テーブル4で保持される下基板K2(
図1参照)を撮像し、その画像データは制御装置100に入力される。なお、
図7の(a)には、下テーブル4に第2の撮像装置が2つ備わる構成が図示されているが、第2の撮像装置の数は限定されない。
【0052】
下テーブル4の下部基板面4aには、複数の吸引孔43が開口している。吸引孔43は第2吸引手段(真空ポンプP3)とつながっている。真空ポンプP3が駆動すると、載置された下基板K2(
図1参照)が吸着されて下テーブル4(下部基板面4a)で保持され
る。真空ポンプP3は制御装置100で制御される。
【0053】
図8は基板組立装置で基板を貼り合せる工程を示す図である。適宜
図1~7を参照して、基板組立装置1が基板を貼り合せる工程を説明する。
【0054】
第1工程(STEP1)は、上基板搬入工程である。
上基板搬入工程で、制御装置100は上フレーム2を上動して上チャンバ5a及び上テーブル3を上動させる。これによって真空チャンバ5が開く。
搬送装置200によって上基板K1が上テーブル3と下テーブル4の間に搬送されると、制御装置100は、上基板K1に当たるまでサポートピン7を下動し、真空ポンプP1を駆動する。上基板K1がサポートピン7に真空吸引される。
搬送装置200が退出すると制御装置100は、サポートピン7を上動させて上基板K1を上テーブル3の上部基板面3aに密着させる。
そして制御装置100は、上下動機構80に指令を与えて粘着ピンプレート8aを下動させるとともに真空ポンプP2を駆動する。上基板K1は粘着ピンプレート8aとともに下動する粘着ピン8に真空吸引され、先端の粘着部8bが上基板K1に貼りつく。その後、制御装置100は、粘着ピン8に上基板K1が貼りついた状態の粘着ピンプレート8aを下動し、上基板K1を上部基板面3aから離反させる。
このとき、制御装置100は、粘着ピンプレート8aの変位量が、粘着ピンプレート8aごとに設定されている変位量となるように各粘着ピンプレート8aを下動する。粘着ピンプレート8aの変位量の詳細は後記する。
【0055】
さらに制御装置100は、各粘着ピンプレート8aに対応している分割駆動部31を、当該粘着ピンプレート8aに設定されている変位量と同じ変位量でバックプレート30に対して変位(下動)させる。
【0056】
第2工程(STEP2)は、下基板搬入工程である。
搬送装置200によって下基板K2が上テーブル3と下テーブル4の間に搬入されると、制御装置100は、リフタ42を上動して下基板K2を受け取る。搬送装置200が退出すると制御装置100はリフタ42を下動して下基板K2を下テーブル4の下部基板面4aに載置する。また、制御装置100は真空ポンプP3を駆動して下基板K2を下テーブル4の下部基板面4aに吸着させて保持する。
その後、制御装置100はZ軸駆動機構20を駆動して上フレーム2を下動し、上チャンバ5a及び上テーブル3を下動させる。上チャンバ5aと下チャンバ5bが係合して真空チャンバ5が閉じる。真空チャンバ5の内側には、上テーブル3と下テーブル4とサポートピン7と粘着ピン8が配置される。
制御装置100は、真空チャンバ5が閉じると真空ポンプP0を駆動して真空チャンバ5内を真空にする。真空ポンプP0の駆動で真空チャンバ5内が真空になるので、真空チャンバ5は、真空環境下で上テーブル3と下テーブル4とサポートピン7と粘着ピン8を収納する。
なお、下基板K2は、基板組立装置1(上テーブル3と下テーブル4の間)に搬入される前に、別の工程でシール剤、液晶、スペーサ及びペースト材など必要な物質が塗布されている。
【0057】
第3工程(STEP3)は、貼り合せ位置調整工程である。
貼り合せ位置調整工程で、制御装置100は、移動機構41を駆動して下テーブル4を変位させて貼り合せ位置を調整する。貼り合せ位置調整工程の詳細は後記する。
【0058】
第4工程(STEP4)は、上基板K1と下基板K2を貼り合せる貼り合せ工程である。貼り合せ工程の詳細は後記する。
【0059】
第5工程(STEP5)は、搬出工程である。
搬出工程で制御装置100は、真空状態にある真空チャンバ5の内部に窒素ガスなどの気体を注入して真空チャンバ5内を大気圧まで昇圧する。真空チャンバ5の内部が大気圧まで昇圧することによって、あらかじめ基板(下基板K2)に塗布されているスペーサや液晶の量によって決定されるギャップ(セルギャップ)になるまで、上基板K1と下基板K2が均一に押圧(加圧プレス)される。制御装置100はガス供給手段8dを駆動して真空吸着孔8cにガスを供給する。この時点で粘着ピン8は上基板K1を保持していないので、真空吸着孔8cに供給されたガスは真空チャンバ5内に供給される。制御装置100は、図示しない気圧センサで真空チャンバ5内の気圧を計測し、真空チャンバ5内の気圧が大気圧まで昇圧した時点でガス供給手段8dを停止する。そして、制御装置100は上フレーム2を上動する。これによって真空チャンバ5が開放される。
その後、貼り合わされた上基板K1と下基板K2が搬送手段200で基板組立装置1から搬出される。
【0060】
本実施例の基板組立装置1は、
図8に示す5工程(STEP1~STEP5)を主な工程として上基板K1と下基板K2を貼り合わせる。
【0061】
制御装置100は、
図8に示す貼り合せ位置調整工程(STEP3)で上基板K1と下基板K2の貼り合せ位置を調整する。本実施例における貼り合せ位置調整工程(STEP3)を説明する。
【0062】
図9は上基板と下基板の貼り合せ位置を調整するためのマーキングを示す図であって、(a)は上基板に付される上マークを示す図、(b)は下基板に付される下マークを示す図である。また、
図10,11は上基板の上マークと下基板の下マークのずれを調整する状態を示す図であって、
図10の(a)はXY軸方向のずれを示す図、(b)はXY軸方向のずれが調整された状態を示す図である。また、
図11の(a)はZ軸周りのずれを示す図、(b)はZ軸周りのずれが調整された状態を示す図である。
【0063】
上基板K1及び下基板K2に付されるマーキング(上マークと下マーク)の形状は限定されるものではない。例えば、上マークは、
図9の(a)に示すように、上基板K1の基準位置に黒四角の第1上マークMk1が付けられ、第1上マークMk1の近傍に黒四角の第2上マークMk1aが付けられている。また、下マークは、
図9の(b)に示すように、下基板K2の基準位置に四角枠形状の第1下マークMk2が付けられ、第1下マークMk2の近傍に四角枠形状の第2下マークMk2aが付けられている。
第2上マークMk1aは第1上マークMk1よりもサイズの小さい黒四角である。また、第2下マークMk2aは第1下マークMk2と同じ大きさか、第1下マークMk2よりもサイズの大きな四角枠形状である。
【0064】
なお、第1上マークMk1が付けられる上基板K1の基準位置は、例えば、上基板K1の端辺からの距離で設定される。一例として、上基板K1の端辺から所定長離れた位置に第1上マークMk1が付けられる。同様に、下基板K2の端辺から所定長離れた位置に第1下マークMk2が付けられる。
【0065】
第1上マークMk1が
図9の(a)に示すように黒四角であり、第1下マークMk2が
図9の(b)に示すように四角枠形状の場合、制御装置100(
図1参照)は、第1上マークMk1(黒四角)が第1下マークMk2(四角枠)の枠内にあるとき、上基板K1と下基板K2のずれが規定範囲内と判定する。
なお、
図7の(a)に示す下テーブル4の位置合わせ窓4bは、上基板K1及び下基板K2の基準位置に対応して形成されている。
【0066】
また、第2上マークMk1aが
図9の(a)に示すように黒四角であり、第2下マークMk2aが
図9の(b)に示すように四角枠形状の場合、制御装置100(
図1参照)は、第2上マークMk1a(黒四角)が第2下マークMk2a(四角枠)の枠内にあるとき、上基板K1に対する下基板K2の位置の粗調整が終了したと判定する。
なお、
図7の(a)に示す下テーブル4の撮像窓4cは、上基板K1に付けられる第2上マークMk1a、及び、下基板K2に付けられる第2下マークMk2aの位置に対応して形成されている。
【0067】
制御装置100(
図1参照)は、
図8に示す貼り合せ位置調整工程において2段階で上基板K1と下基板K2の貼り合せ位置を調整する。
制御装置100は、貼り合せ位置調整工程において、最初に、第2上マークMk1aが第2下マークMk2aの枠内に配置されるように下テーブル4を変位させる。このとき、制御装置100は、図示しない第2の撮像装置から入力される画像データにもとづいて下テーブル4を変位させ、2つの第2上マークMk1aを、それぞれ第2下マークMk2aの枠内に配置する。制御装置100は、2つの第2上マークMk1aが第2下マークMk2aの枠内に入ったとき、上基板K1に対する下基板K2の位置の粗調整が終了したと判定する。
【0068】
制御装置100(
図1参照)は、上基板K1に対する下基板K2の位置の粗調整が終了したと判定した後で、
図10の(a)に示すように、上基板K1の第1上マークMk1(黒四角)が下基板K2の第1下マークMk2(四角枠)の枠外にある場合、制御装置100は上基板K1と下基板K2のずれが規定範囲外にあると判定する。そして、制御装置100は、上基板K1に対する下基板K2の位置を微調整する。
【0069】
制御装置100(
図1参照)は、下テーブル4の移動機構41(
図7の(a)参照)に指令を与えて下テーブル4を変位させる。制御装置100は、下テーブル4の移動機構41に指令を与え、下テーブル4(
図7の(a)参照)をX軸方向(Dx)及びY軸方向(Dy)に移動させる。そして、
図10の(b)に示すように、4つの第1上マークMk1が全て第1下マークMk2の枠内に配置された時点で、制御装置100は、上マーク(第1上マークMk1)と下マーク(第1下マークMk2)が所定の位置関係にあって、上基板K1と下基板K2のずれが規定範囲内にあると判定して微調整を終了する。
【0070】
また、
図11の(a)に示すように、第1下マークMk2が第1上マークMk1に対し、Z軸周りに回転した方向にずれている場合、制御装置100は、下テーブル4の移動機構41(
図7の(a)参照)に指令を与え、下テーブル4(
図7の(a)参照)をZ軸周り(Rz)に回転させる。そして、
図11の(b)に示すように、4つの第1上マークMk1が全て第1下マークMk2の枠内に配置された時点で、制御装置100は、上マーク(第1上マークMk1)と下マーク(第1下マークMk2)が所定の位置関係にあって、上基板K1と下基板K2のずれが規定範囲内にあると判定して微調整を終了する。
【0071】
このように、制御装置100(
図1参照)は、
図8に示す貼り合せ位置調整工程において、第2上マークMk1aと第2下マークMk2aにもとづいた粗調整と、第1上マークMk1と第1下マークMk2にもとづいた微調整で、上基板K1と下基板K2の貼り合せ位置を調整する。
そして、本実施例の制御装置100は、第1上マークMk1が第1下マークMk2の枠内に配置される状態のとき、第1上マークMk1と第1下マークMk2が所定の位置関係にあると判定する。
【0072】
なお、貼り合せ位置調整工程において、制御装置100(
図1参照)は撮像装置10(
図7の(b)参照)から入力される画像データを画像処理して第1上マークMk1と第1下マークMk2の位置と形状を抽出し、第1上マークMk1が第1下マークMk2の枠内に向かって移動するように、移動機構41(
図7の(a)参照)に指令を与える。
制御装置100は、多値化処理等の画像処理で第1上マークMk1と第1下マークMk2の位置や形状を抽出する。
【0073】
図12は第1上マークと第1下マークのずれが規定範囲内にある状態を示す図であり、(a)は第1上マークが第1下マークの中心にある状態を示す図、(b)は第1上マークが第1下マークの中心からずれた状態を示す図である。
本実施例の制御装置100(
図1参照)は、
図10の(b)、及び
図11の(b)に示すように、第1上マークMk1(黒四角)が第1下マークMk2(四角枠)の枠内に配置されたときに、上基板K1と下基板K2のずれが規定範囲内にあると判定する。
第1上マークMk1及び第1下マークMk2は、それぞれ上基板K1及び下基板K2の基準位置に付される。このため、
図12の(a)に示すように、上基板K1と下基板K2に寸法差(寸法誤差)がないとき、4つの第1上マークMk1が、全て第1下マークMk2の中心に配置されるように構成されている。
【0074】
しかしながら、上基板K1と下基板K2の生産時に誤差(寸法誤差等)が生じると、上基板K1と下基板K2の基準位置に誤差が生じる。そして、上基板K1と下基板K2の基準位置に誤差が生じると、4つの第1上マークMk1の全てが第1下マークMk2の中心に配置されなくなる。このように、第1上マークMk1が第1下マークMk2の中心に配置されない状態をマークピッチずれ(上基板K1と下基板K2のマークピッチずれ)という。
本実施例の制御装置100(
図1参照)は、
図12の(b)に示すように、4つの第1上マークMk1の全てが第1下マークMk2の中心でなくても、つまり、上基板K1と下基板K2にマークピッチずれが生じた状態であっても、4つの第1上マークMk1の全てが第1下マークMk2の枠内に配置されたときに、上基板K1と下基板K2のずれが規定範囲内と判定する。
【0075】
しかしながら、この状態で上基板K1と下基板K2が貼り合わされると、上基板K1と下基板K2の間に微小なずれが生じる。
そこで、本実施例の基板組立装置1の制御装置100(
図1参照)は、
図8に示す上基板搬入工程(STEP1)で粘着ピン8を下動するとき、粘着ピンプレート8aごとに下動の変位量を変えて上基板K1と下基板K2のずれを低減する。これによって、上基板K1と下基板K2のマークピッチずれが効果的に補正される。
【0076】
図13は粘着ピンプレートの変位量を変えて上基板と下基板のずれを低減する状態を示す図であり、(a)は第1上マークと第1下マークがずれている状態を示す図、(b)は第1上マークと第1下マークのずれが低減した状態(上基板と下基板のマークピッチずれが補正された状態)を示す図である。
なお、
図13の(a),(b)においては、第1下マークMk2の位置を破線で示している。
【0077】
図13の(a)に示すように、全ての粘着ピンプレート8aの変位量が等しい場合、全ての粘着ピン8の突出量が等しくなるので、粘着ピン8に吸着(保持)される上基板K1は平面状になる。つまり、上基板K1は、上部基板面3aと平行な状態で粘着ピン8に保持される。このとき、生産時等に生じる寸法誤差等によって上基板K1や下基板K2に寸法誤差が生じると、第1上マークMk1が第1下マークMk2の中心からずれた位置になる場合がある。つまり、上基板K1と下基板K2にマークピッチずれが生じる場合がある。
【0078】
例えば、
図13の(b)に示すように、第1上マークMk1が付けられる端部側において粘着ピンプレート8aの変位量が多くなると、上基板K1は中央が端部側よりも上テーブル3に近づいて微小に湾曲した状態で粘着ピン8に保持される。
上基板K1がこのように湾曲すると、上基板K1の端部が中心に微小に寄るので端部近傍に付けられる第1上マークMk1が中心に微小に寄る。したがって、第1上マークMk1が第1下マークMk2の中心に近づいた状態で上基板K1が粘着ピン8に保持される。
【0079】
このように、第1上マークMk1が第1下マークMk2の中心に近づいた状態で上基板K1が粘着ピン8に保持されていると、
図8に示す貼り合せ位置調整工程での微調整によって、
図13の(b)に示すように、第1上マークMk1が第1下マークMk2の中心に精度よく近づく。そして、上基板K1と下基板K2の貼り合わせで生じる微小なずれが低減され、これによって、上基板K1と下基板K2のマークピッチずれが補正されて、マークピッチずれが軽減される。
【0080】
上基板K1,下基板K2の生産時に生じる誤差(寸法誤差等)は、同一の生産ロットで近似する。つまり、下基板K2の第1下マークMk2に対する第1上マークMk1のずれの大きさは、上基板K1や下基板K2の生産ロットごとに近似する。
したがって、上基板K1や下基板K2の生産ロットごとに、粘着ピンプレート8aの変位量が設定されると、生産ロットが変わらない限りにおいて、第1上マークMk1を第1下マークMk2の中心に近づけることができる。そして制御装置100(
図1参照)は予め設定された変位量で粘着ピンプレート8aを変位させる構成とすればよい。
【0081】
例えば、基板組立装置1(
図1参照)の管理者等が、粘着ピンプレート8aの変位量を、上基板K1や下基板K2の生産ロットごとに設定する。本実施例の基板組立装置1は9個の粘着ピンプレート8aを有するので、それぞれの粘着ピンプレート8aに対して変位量が設定される。
このようにして設定された変位量が制御装置100(
図1参照)に入力されると、制御装置100は、上基板搬入工程(
図8参照)において、設定された変位量で各粘着ピンプレート8aをバックプレート30(
図3参照)に対して変位させる。各粘着ピンプレート8aが設定された変位量で下動する。
【0082】
なお、
図13の(b)は、中央に配置される粘着ピンプレート8aの変位量が端辺側に配置される粘着ピンプレート8aの変位量よりも小さい状態を図示しているが、中央に配置される粘着ピンプレート8aの変位量が端辺側に配置される粘着ピンプレート8aの変位量よりも大きい状態にすることも可能である。
また、
図13の(b)はX軸方向で粘着ピンプレート8aの変位量が変わっているが、Y軸方向で粘着ピンプレート8aの変位量が変わった状態にすることも可能である。
【0083】
制御装置100(
図1参照)は、
図8に示す貼り合せ位置調整工程(STEP3)で上基板K1と下基板K2の貼り合せ位置を調整した後、
図8に示す貼り合せ工程(STEP4)を実行して上基板K1と下基板K2を貼り合せる。本実施例における貼り合せ工程(STEP4)を説明する。
【0084】
図14の(a)は分割駆動部が上基板の形状に合わせて変位した状態を示す図、(b)は上テーブルが上基板と下基板を押圧する状態を示す図である。
前記したように、本実施例の制御装置100(
図1参照)は、
図8に示す上基板搬入工程(STEP1)において粘着ピンプレート8aの変位量を変化させて、
図13の(b)に示すように、上基板K1を微小に湾曲させる。
【0085】
そして、制御装置100(
図1参照)は、貼り合せ位置調整工程で貼り合せ位置を調整した後、
図8に示す貼り合せ工程(STEP4)を実行する。
制御装置100は、貼り合せ工程において、それぞれの分割駆動部31の分割平面部31aに対応した粘着ピン8が取り付けられている粘着ピンプレート8aの変位量に対応した変位量で、それぞれの分割駆動部31を変位させる。本実施例において、制御装置100は、それぞれの分割駆動部31の分割平面部31aに対応した粘着ピン8が取り付けられている粘着ピンプレート8aの変位量と同じ変位量で、それぞれの分割駆動部31を変位させる。
【0086】
制御装置100(
図1参照)は、アクチュエータ32(
図3参照)を制御して分割駆動部31を下動しバックプレート30から離反させる。このとき、制御装置100は、対応する粘着ピンプレート8aの変位量と同じ変位量で分割駆動部31を下動する。したがって、
図14の(a)に示すように、粘着ピンプレート8aと、その粘着ピンプレート8aに対応する分割駆動部31と、が同じ量だけ変位(下動)した状態になる。分割駆動部31は上基板K1の変形に応じて変位することになって、上テーブル3の上部基板面3aが、粘着ピン8で保持されている上基板K1の形状に変形する。
【0087】
その後、制御装置100(
図1参照)はZ軸駆動機構20(
図1参照)を駆動し、上フレーム2(
図1参照)をさらに下動して、
図14の(a)に示す上テーブル3と粘着ピンプレート8a(粘着ピン8)を下動させる。これによって、
図14の(b)に示すように、粘着ピン8で保持されている上基板K1と、下テーブル4で保持されている下基板K2が貼り合わされる。
制御装置100は、
図14の(a)に示すように、分割駆動部31が変位した状態でZ軸駆動機構20(
図1参照)を駆動する。上フレーム2(
図1参照)とともに上テーブル3(バックプレート30,分割駆動部31)が下動する。そして、
図14の(b)に示すように、粘着ピン8で保持されている上基板K1と、下テーブル4で保持されている下基板K2が上テーブル3(分割駆動部31)と下テーブル4とで押圧されて貼り合わされる。このとき、分割駆動部31は変位した状態で上基板K1及び下基板K2を押圧する。
【0088】
このため、上基板K1の第1上マークMk1が下基板K2の第1下マークMk2の中心に近づいた状態(形状)で上基板K1と下基板K2が貼り合わされる。これによって、貼り合せ工程における、上基板K1と下基板K2のマークピッチずれが抑制され、上基板K1と下基板K2の貼り合せで生じる誤差が小さくなる。
【0089】
なお、
図14の(a),(b)は、説明をわかりやすくするために上基板K1の変形量が大きく図示されている。実際の上基板K1の変形量は微小であり分割駆動部31の変位量も微小である。したがって、分割駆動部31が変位した状態(バックプレート30から下動した状態)で上基板K1と下基板K2が貼り合わされたとしても上基板K1の変形量は微小であり、上基板K1と下基板K2は間隙等を生じることなく精度よく貼り合わされる。
【0090】
制御装置100は、ロードセル20d(
図1参照)から入力される検出信号によって、上基板K1と下基板K2が貼り合わさったことを検知すると、その時点で上下動機構80を駆動して粘着ピン8を上部基板面3aから引き込む。このとき、制御装置100は真空ポンプP2(
図5参照)を停止するとともにガス供給手段8dを駆動して真空吸着孔8cにガスを供給し、上基板K1を粘着部8bから剥離させる。そして、制御装置100はZ軸駆動機構20を駆動して上フレーム2をさらに下動し、上テーブル3で上基板K1及び下基板K2を押圧する。制御装置100は、ロードセル20dから入力される検出信号によって、上テーブル3と下テーブル4の間に所定の荷重が生じたと判定したときに上フレーム2の下動を停止する。
真空チャンバ5の内部は真空であり、上基板K1と下基板K2は真空チャンバ5内の真空環境下において所定の荷重で貼り合わされる。このときの加圧によって、下基板K2にあらかじめ塗布されているシール剤が適宜押圧され、シール剤で囲まれた枠内に塗布される液晶部分の真空が保持される。
その後、上基板K1と下基板K2の位置がずれないように、図示しないUV(紫外線)照射装置から照射される紫外線でシール剤が仮硬化される。
【0091】
なお、前記したように、上基板K1や下基板K2の寸法誤差は、同一の生産ロットで近似し、上基板K1や下基板K2の生産ロットごとに、粘着ピンプレート8aの変位量が設定される。したがって、上基板K1や下基板K2の生産ロットが変わらない間、粘着ピンプレート8aに設定される変位量と等しい変位量で分割駆動部31が変位した状態が維持される構成であってもよい。例えば、上基板K1の生産ロットと下基板K2の生産ロットがともに変わらない間、制御装置100(
図1参照)は、それぞれの生産ロットに応じた粘着ピンプレート8aの変位量と等しい変位量で分割駆動部31を変位させた状態に維持する構成であってもよい。
このような構成であれば、上基板K1と下基板K2の生産ロットが変わらない限りにおいて、制御装置100(
図1参照)は、貼り合せ工程を実行するたびに分割駆動部31を変位させる必要がなくなる。
【0092】
以上のように、本実施例の基板組立装置1(
図1参照)は、搬入された上基板K1を保持するときに、粘着ピン8(
図5参照)の変位量を粘着ピンプレート8a(
図5参照)ごとに変えることで、上基板K1と下基板K2の生産時等に生じる寸法誤差等による微小なずれ(マークピッチずれ)を低減できる。そして、上基板K1と下基板K2のマークピッチずれを補正することができ、マークピッチずれが軽減される。
【0093】
また、本実施例の基板組立装置1は、上基板K1と下基板K2のマークピッチずれを補正するように変更された粘着ピン8(
図5参照)の変位量と同じ変位量で分割駆動部31(
図3参照)が変位する。これによって、上テーブル3の上部基板面3a(
図3参照)の形状は、粘着ピン8に保持された上基板K1の形状と等しくなる。そして、貼り合せ工程(
図8参照)において上基板K1は、形状が等しい上部基板面3aで下基板K2に押圧されるので、貼り合せ工程においてマークピッチずれが生じることなく、上基板K1と下基板K2が精度よく貼り合わせられる。
【0094】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではない。例えば、前記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0095】
この他、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
図15は設計変更例を示す図であって、(a)は1つの粘着ピンプレートに取り付けられた粘着ピンの変位量が異なる状態を示す図、(b)は1つの粘着ピンに1つの分割駆動部が対応する構成を示す図である。また、
図16は別の設計変更例を示す図であって、(a)は1つの粘着ピンプレートに4つの分割駆動部が対応している状態を示す図、(b)は3つの粘着ピンプレートに1つの分割駆動部が対応している状態を示す図である。
【0096】
図6に示すように、1つの粘着ピンプレート8aは4つの上下動機構80で駆動される。また、
図4に示すように、1つの分割駆動部31は4つのロッド32a(
図3に示すアクチュエータ32)で支持される。
そこで、1つの粘着ピンプレート8aにおける4つの上下動機構80の動作量を変えることが可能である。同様に、1つの分割駆動部31を支持するアクチュエータ32ごとにロッド32aの変位量を変えることが可能である。
【0097】
そして、
図15の(a)に示すように、1つの粘着ピンプレート8aに取り付けられた粘着ピン8の変位量が異なった状態にすることが可能となる。この場合、粘着ピン8で保持される上基板K1を多様に変形(湾曲)させることができる。さらに、1つの粘着ピン8の変位量に合わせて分割駆動部31をバックプレート30から変位させることも可能である。
したがって、
図15の(a)に示すように、分割駆動部31をバックプレート30から適宜変位させて分割平面部31aをバックプレート30に対して傾斜させ、上部基板面3aの形状を上基板K1の形状と合わせることができる。これによって、上基板K1と下基板K2の貼り合せで生じる微小なずれをより効果的に低減できる。ひいては、上基板K1と下基板K2のマークピッチずれが、より効果的に補正される。
【0098】
また、
図15の(b)に示すように、1つの粘着ピン8に1つの上下動機構80が備わる構成とすることも可能である。つまり、1つの粘着ピンプレート8aに1つの粘着ピン8が取り付けられた構成とすることも可能である。さらに、1つの粘着ピン8に1つの分割駆動部31が対応し、1つの分割駆動部31に1つのアクチュエータ32が備わる構成も可能である。この構成の場合、粘着ピン8ごとに異なった変位量とすることが可能となり、粘着ピン8で保持される上基板K1をより多様に変形(湾曲)させることができる。さらに、制御装置100(
図1参照)は、粘着ピン8の変位量に合わせてそれぞれの分割駆動部31を変位させて、上テーブル3の上部基板面3a(
図5参照)の形状を上基板K1の形状に合わせることができる。
この場合、粘着ピン8のそれぞれに真空ポンプP2(
図5参照)が接続される構成とすれば、各粘着ピン8で上基板K1を真空吸引できる。
【0099】
なお、本実施例は、9個の粘着ピンプレート8aが備わる構成としたが、粘着ピンプレート8aの数は限定されない。粘着ピンプレート8aの数は、例えば、粘着ピン8の数に応じて適宜変更可能である。また、粘着ピンプレート8aの形状や、1つの粘着ピンプレート8aにおける粘着ピン8の配置も限定されない。
例えば、X軸方向(またはY軸方向)に延設される長尺形状の粘着ピンプレート8aに、粘着ピン8が一列に配置される構成であってもよい。
また、1つの粘着ピンプレート8aに備わる粘着ピン8の数も限定されない。粘着ピンプレート8aごとに異なった数の粘着ピン8が備わる構成であってもよい。
【0100】
また、本実施例は、
図6に示すように、1つの粘着ピンプレート8aに1つの分割駆動部31が対応している。この構成に限定されず、
図16の(a)に一例を示すように、1つの粘着ピンプレート8aに複数(
図16の(a)の一例では4つ)の分割駆動部31が対応する構成であってもよい。また、
図16の(b)に一例を示すように、複数(
図16の(b)の一例では3つ)の粘着ピンプレート8aに1つの分割駆動部31が対応する構成であってもよい。
【0101】
なお、1つの分割駆動部31の形状も矩形(正方形や長方形)に限定されない。図示はしないが、中央部が開口した枠型形状の分割駆動部が組み合わさった上テーブル3(
図1参照)であってもよい。その他、三角形や台形など様々な形状の分割駆動部(図示せず)であってもよい。
【0102】
また、上フレーム2を上下動させるZ軸駆動機構20(
図1参照)、粘着ピンプレート8aを駆動する上下動機構80(
図5参照)、下テーブル4を駆動する移動機構41(図
7の(a)参照)、アクチュエータ32(
図3参照)などの駆動機構はボールねじ機構に限定されない。これらの駆動機構の全て又は一部がエアシリンダ、あるいは、リニアモータ等、別の機構で構成されていてもよい。
【0103】
また、基板組立装置1(
図1参照)で貼り合せる上基板K1(
図1参照)及び下基板K2(
図1参照)は、主にガラス基板であって周囲温度の変化に応じた誤差が生じやすい。例えば、真空チャンバ5(
図1参照)の内部が真空になったときの温度変化で、上基板K1や下基板K2に生じる誤差を軽減するため、上テーブル3(
図1参照)及び下テーブル4(
図1参照)を加熱して上基板K1及び下基板K2の温度低下を抑制する加熱装置(ヒータ)が備わる構成であってもよい。逆に、ペルチェ素子等を利用して上基板K1及び下基板K2の温度上昇を抑制できる構成としてもよい。このような構成であれば、温度変化で上基板K1及び下基板K2に生じる誤差が軽減され、上基板K1と下基板K2の貼り合せ精度が向上する。そして、温度変化による上基板K1と下基板K2のマークピッチずれの発生を効果的に軽減できる。
【0104】
図17はさらに別の設計変更例を示す図であって、(a)は全ての粘着ピンが1つの粘着ピンプレートに取り付けられている設計変更例を示す図、(b)は一体構造の上テーブルが備わる設計変更例を示す図である。
図6に示すように、本実施例の基板組立装置1(
図1参照)は9個の粘着ピンプレート8aを有する。そして、1つの粘着ピンプレート8aに9個の粘着ピン8が取り付けられている。この構成に限定されず、例えば、
図17の(a)に示すように、1つの粘着ピンプレート8aに全ての粘着ピン8が取り付けられている構成であってもよい。
【0105】
そして、
図17の(a)に示すように、矩形を呈する粘着ピンプレート8aの4つの隅部に上下動機構80が備わる構成であってもよい。
この構成であれば、4つの上下動機構80の動作量を変えることで粘着ピン8の変位量が異なった状態にすることが可能になる。さらに、粘着ピン8の変位量に合わせて、それぞれの分割駆動部31をバックプレート30(
図3参照)から変位させ、この状態で上基板K1(
図1参照)と下基板K2(
図1参照)を貼り合せることができる。
【0106】
また、
図4に示すように、本実施例の基板組立装置1(
図1参照)の上テーブル3には9個の分割駆動部31が備わっている。この構成に限定されず、
図17の(b)に示すように、上テーブル3が一体構造であってもよい。つまり、上テーブル3に分割駆動部31が備わらず、1枚の鋼板等で上テーブル3が構成されていてもよい。この場合、矩形を呈する上テーブル3の4つの隅部にアクチュエータ32(
図3参照)のロッド32aが取り付けられる構成とすれば、4つのロッド32aの変位量を変えることで上テーブル3を適宜傾斜させることができる。したがって、粘着ピン8の変位量に合わせて適宜上テーブル3を傾斜させ、この状態で上基板K1(
図1参照)と下基板K2(
図1参照)を貼り合せることができる。