(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008683
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20230112BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20230112BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230112BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20230112BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/12 Z
H04N1/04 101
G06T1/00 430C
B41J29/393 105
G03G21/00 510
G03G21/00 386
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112423
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】紺野 吉男
(72)【発明者】
【氏名】石井 達也
(72)【発明者】
【氏名】松本 到
(72)【発明者】
【氏名】青柳 広太
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
(72)【発明者】
【氏名】牧野 英世
(72)【発明者】
【氏名】三ヶ尻 晋
(72)【発明者】
【氏名】山崎 公晴
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5B047
5C072
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
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2C061KK26
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2H270KA55
2H270LB17
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5C072AA01
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5C072NA01
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5C072XA05
(57)【要約】
【課題】不要な生産性の低下、記録媒体の損失を防止する。
【解決手段】搬送される記録媒体上の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部による画像読取の背景となる背景部と、前記背景部を前記画像読取部で読み取った第一読取り画像と、前記背景部および前記記録媒体を前記画像読取部で読み取った第二読取り画像とを比較して、異物付着を検知する異物検知部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体上の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部による画像読取の背景となる背景部と、
前記背景部を前記画像読取部で読み取った第一読取り画像と、前記背景部および前記記録媒体を前記画像読取部で読み取った第二読取り画像とを比較して、異物付着を検知する異物検知部と、
を備えることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記背景部は、モータ駆動により回転可能であって、
前記第一読取り画像は、前記背景部に前記記録媒体が重なっていない状態で、前記背景部を回転させながら前記画像読取部で読み取った画像とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記画像読取部は、複数の照明装置を備え、前記画像読取部の前記照明装置を切り替えて点灯させて画像読取を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項4】
前記画像読取部は、第一の照明装置と第二の照明装置とを備え、前記第一の照明装置と前記第二の照明装置との点灯と消灯とを切り替える、
ことを特徴とする請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記異物検知部は、検知した異物と主走査方向に一致する異物による読取りスジを、異物付着の検知結果から除外する、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記異物検知部は、異物付着の検知を前記記録媒体に対する画像形成の際に行う、
ことを特徴とする請求項5に記載の読取装置。
【請求項7】
前記異物検知部は、検知した異物と以前に検知した異物との主走査位置が一致する場合、検知結果を報知する、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の読取装置。
【請求項8】
前記異物検知部は、前記記録媒体の領域外の読取りスジに基づいて異物を判定する、
ことを特徴とする請求項5ないし7の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の読取装置と、
画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、画像形成した用紙上の画像を読取り、用紙上に形成された画像が正常であるかを検査する技術が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、印刷画像が無い状態で事前に印刷画像読取領域にある基準白板のデータの取得をしておき、印刷画像読取領域外の主走査両端の基準白板の読取データのレベル変化に応じて、シェーディングデータを補正する技術が開示されている。加えて、特許文献1には、主走査両端の印刷画像読取領域外の基準白板の汚れが見られた場合には、回転機構によりデータ取得位置を変える技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術によれば、画像検査に影響しない位置における汚れなどの異物の付着が有った場合であっても画像検査を停止していたので、不要な生産性の低下、記録媒体の損失が発生してしまう、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不要な生産性の低下、記録媒体の損失を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の読取装置は、搬送される記録媒体上の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部による画像読取の背景となる背景部と、前記背景部を前記画像読取部で読み取った第一読取り画像と、前記背景部および前記記録媒体を前記画像読取部で読み取った第二読取り画像とを比較して、異物付着を検知する異物検知部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不要な生産性の低下、記録媒体の損失を防止することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の一例の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、画像読取部の第二読取部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、画像読取部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4-1】
図4-1は、背景回転体における異物有無にかかる読取データを例示的に示す図である。
【
図4-2】
図4-2は、背景回転体における異物有無にかかる読取データを例示的に示す図である。
【
図5】
図5は、照明装置における異物有無にかかる読取データを例示的に示す図である。
【
図6】
図6は、読取画像と異物の見え方の一例について説明する図である。
【
図7】
図7は、異物の付着場所の検知処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第二読取部の構成の変形例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態にかかるシェーディング時の異物検査の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、異物があった場合の画像読取り結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、読取装置および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の一例の構成を示す図である。
図1に示すように、読取装置および画像形成装置である画像形成装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明する。画像形成装置100は、画像形成部110と、媒体搬送部120と、画像読取部130と、制御部150と、を備える。
【0011】
制御部150は、画像形成装置100の全体動作を制御し、シート状の記録媒体であるシートSに対し画像を形成するための一連の処理を制御する。
【0012】
画像形成部110は、各色の画像に対応する潜像を形成するための感光体ドラム112(112Y,112M,112C,112K)を備える。感光体ドラム112(112Y,112M,112C,112K)は、各色の画像形成材(例えばトナー)である黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーによる画像形成プロセスに対応するように配置されている。
【0013】
感光体ドラム112(112Y,112M,112C,112K)は、無端状の移動手段である中間転写ベルト111に沿って配置されている。中間転写ベルト111は、少なくとも一つの駆動ローラと複数の従動ローラに掛け回されていて、感光体ドラム112(112Y,112M,112C,112K)で現像された画像(トナー画像)が転写される一次転写位置とシートSへ画像(トナー画像)が転写される二次転写位置の間を移動する。
【0014】
二次転写位置には、転写部113が配置されている。転写部113は、転写ローラ113aと、転写ローラ113aに対向して配置される対向ローラ113bとを含んで構成される。転写部113において、シートSに対して中間転写ベルト111からトナー像が転写されることで、シートSの所定の位置に画像が形成される。転写ローラ113aと対向ローラ113bの間は、中間転写ベルト111とシートSが挟持されつつ通過可能な程度の隙間が形成されている。シートSには、この隙間に挟持されつつ、搬送方向(副走査方向)に搬送されながら画像が転写される。
【0015】
媒体搬送部120は、シートSを収容する供給トレイ121と、シートSが搬送される経路を複数のローラ対の配置で構成される搬送経路122と、転写部113よりも搬送方向下流側に配置される定着ローラ123と、搬送経路切替部124と、反転パス125と、を含む。
【0016】
画像形成プロセスの実行時において、制御部150による所定の制御処理の制御の下、供給トレイ121に収容されているシートSがピックアップローラなどによって分離されて搬送経路122に沿って搬送され、転写部113に至る。
【0017】
転写部113にシートSが至ると、転写プロセスが行なわれる。すなわち、シートSは、転写ローラ113aによって対向ローラ113b側に付勢される中間転写ベルト111の表面と対向ローラ113bとの間に挟持されながら、所定の搬送方向に搬送される。シートSが中間転写ベルト111と対向ローラ113bの間を通過するときに、中間転写ベルト111の表面の画像形成材がシートSに転写される。この転写プロセスによって、シートSの一方の面(第一面)に画像が形成される。
【0018】
第一面に画像が形成されたシートSはさらに搬送され、定着ローラ123にて画像を定着された後、搬送経路切替部124に搬送される。その後、シートSは進行方向を逆転し、反転パス125に搬送される。そして、シートSは、中間転写ベルト111上に形成された画像がシートSの第二面に転写されるような状態で、転写ローラ113aの転写位置に再度搬送される。
【0019】
第二面に画像が形成されたシートSはさらに搬送され、定着ローラ123にて第二面の画像が定着された後、画像読取部130に搬送される。
【0020】
画像読取部130は、シートSの第一面を読み取る第一読取部130aと、シートSの第二面を読み取る第二読取部130bを有する。画像読取部130を通過したシートSは、排出トレイ126のトレイ126Aまたはトレイ126Bに選択的に排出される。
【0021】
画像読取部130は、画像検査装置として機能する。画像読取部130は、シートSに画像形成した印刷物の異常(スジや抜け、汚れ)、色味変化、シートSに対する印刷位置等を検知し、元データとの照合により規定以上の差を検出することで異常画像のある印刷がなされたことを検知する。
【0022】
次に、画像読取部130の第二読取部130bについて詳述する。ここで、
図2は画像読取部130の第二読取部130bの構成を示す図である。
【0023】
図2に示すように、第二読取部130bは、読取位置を通過するシートSの第二面に光を照射する照射部131と、読取部132と、背景切替リボルバ140と、を備える。
【0024】
照射部131は、複数の照明装置131a(照明1),131b(照明2)を備える。第1の照明装置131aおよび第2の照明装置131bは、LED(Light Emitting Diode)アレイで構成される。照射部131は、背景切替リボルバ140と対向する位置に、ガラス131cを有している。ガラス131cは、照射部131から照射する光、および、照射した光が背景切替リボルバ140やシートSに反射して戻る反射光を透過する。
【0025】
読取部132は、イメージセンサ132a、レンズ132b、複数のミラー132cで構成されている縮小光学系である。読取部132は、シートSの第二面で反射した光を複数のミラー132cで折り返しながらレンズ132bで集め、狭い幅のイメージセンサ132aに結像させる。
【0026】
第二読取部130bは、読取位置を通過するシートSの通紙動作に合わせて、シート幅方向に延在する1ライン分の画像の読取動作を繰り返し行うことで、シートSの第二面に印刷された画像を2次元画像として読み取る。
【0027】
背景切替リボルバ140は、搬送経路122を挟んで第二読取部130bと対向する位置に配置され、シートSの第二面に印刷された画像の読み取り時にシートSの第二面に照射される照射光を反射する。
【0028】
図2に示すように、背景切替リボルバ140は、読取部132における読取データの基準レベルおよび主走査方向の分布補正用の白基準データ取得用に、白基準となる回転機能を有する背景部である背景回転体140aと背景回転体140bを備えている。背景回転体140aと背景回転体140bとは、回転体の径サイズが異なっている。このように回転体の径サイズが異なる背景回転体140aと背景回転体140bとを用いるのは、多彩な厚みのシートSが搬送される画像形成装置100にあって、安定した読取焦点距離を確保するために複数の背景を持つようしたものである。なお、本実施形態においては、白基準となる背景回転体を2つ設けるようにしたが、これに限るものではなく、背景回転体を3つ以上設けるようにしてもよい。
【0029】
加えて、背景切替リボルバ140は、多彩な色のシートSに印刷された印刷物を検知する際に、シートSと背景との区別をつけるため白以外の背景部となる背景回転体140cと背景回転体140dとを備えている。背景回転体140cと背景回転体140dとは、回転体の径サイズが異なっている。なお、本実施形態においては、黒の背景となる背景回転体140cと背景回転体140dとを図示しているが、これに限るものではない。
【0030】
以上のように、背景切替リボルバ140は、4種の背景回転体を備えている。背景切替リボルバ140は、シートSの情報(厚み、色)や動作モードに応じて回転し、任意の背景回転体に切り替えることが可能である。
【0031】
なお、第一読取部130aは、背景切替リボルバ140を搬送経路122に対して上に、照射部131と読取部132とを搬送経路122に対して下に配置している。
【0032】
次に、画像読取部130のハードウェア構成について説明する。ここで、
図3は画像読取部130のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0033】
図3に示すように、画像読取部130の第一読取部130aおよび第二読取部130bは、イメージセンサ132aと、照明装置131a,131bと、背景切替リボルバ140の各背景回転体140a~140dを回転駆動するモータ141a~141dと、画像処理部133と、制御部150と、を備える。
【0034】
画像処理部133は、シートSに画像形成した印刷物の異常(スジや抜け、汚れ)、色味変化、シートSに対する印刷位置等を検知し、元データとの照合により規定以上の差を検出することで異常画像のある印刷がなされたことを検知する異物検知部として機能する。画像処理部133は、異常画像のある印刷がなされたことを検知した場合、印刷停止やアラート表示を制御部150に指示する。
【0035】
制御部150は、イメージセンサ132aと照明装置131a,131bとモータ141a~141dとについての動作を制御するCPU(Central Processing Unit)151と、CPU151からの指示によってモータ141a~141dを駆動するモータ駆動部152と、記憶部153と、を備える。
【0036】
モータ駆動部152は、モータ141a~141dを駆動する。モータ駆動部152によるモータ141a~141dの駆動によって、背景切替リボルバ140が動作する。
【0037】
記憶部153は、画像検査タイミングなどの画像読取部130の制御タイミング、モータ141a~141dの駆動のタイミングなどが格納されているプログラムを記憶する。
【0038】
なお、画像検査装置として機能する画像読取部130を画像形成装置100に組み込む場合には、CPU151との通信により画像検査実施のトリガとなるコントロール部やコントロール部の動作のトリガとなる表示部が設けられる。画像読取部130による検知結果に異常を確認した場合には、CPU151は、コントロール部を通じて表示部にてステータス表示やメンテナンス指示を行う。なお、画像処理部133が実行する元データと画像読取結果の比較/判断については、元データを保持しているコントロール部にて行うようにしてもよい。
【0039】
ここで、画像形成装置100の画像読取部130の読取パスの一部に紙粉やゴミ、トナー、インク等の異物が付着した場合について考える。なお、異物の大きさや形状、色は、多種あるものとする。
【0040】
まず、背景切替リボルバ140の背景回転体140aに異物が付着した場合について説明する。背景切替リボルバ140の背景回転体140aに異物が付着した場合、基準となる白データ取得時に異物の影響を受けて本来の主走査分布形状ではなくなってしまうため、背景回転体140aを回転させて読取位置をずらして狙いのデータを取得する必要がある。しかしながら、シートSの画像読取時においては背景回転体140aの背景はシートSの読取の際にはシートSによって隠れることになるとともに、画像検査時においては背景回転体140aの回転によってずらした位置(=異物なき箇所)の読取ができるため、メンテナンスによる異物の除去は必ずしも必要ないことになる。
【0041】
また、従来技術(特開2018-182529号公報)では、白基準データを取得するエリアが主走査両端の限定エリアであり主走査分布を推測で生成しているため、精度が荒いという欠点と、異物付着が白基準データ取得エリアに限らないためにその場合のケアが出来ていないという欠点がある。
【0042】
次に、照射部131を構成する照明装置131a,131bまたは照射部131のガラス131cに異物が付着した場合について説明する。照明装置131a,131bまたはガラス131cに異物が付着した場合、これらは光学的に位置が固定であるため、読取データに現れてしまうことになる。したがって、照明装置131a,131bまたはガラス131cに付着した異物については、メンテナンスにより異物除去を必要とする。
【0043】
そこで、本実施形態においては、画像読取部130内の異物の付着箇所に応じて、メンテナンスの必要、不要を判断するとともに、メンテナンス不要と判断した場合には、画像検査を継続させるようにしたものである。この点について、以下において詳述する。
【0044】
ここで、
図4-1および
図4-2は背景回転体における異物有無にかかる読取データを例示的に示す図である。
図4-1および
図4-2に示すように、画像読取部130は、背景回転体を白基準レベルデータおよび主走査分布補正データとして読み取る。なお、画像読取部130は、画像形成装置100の初期調整やシートSを読み取る前に、背景回転体を予め読み取るものとする。
【0045】
図4-1は、背景回転体140aにおいて画像読取部130の読取ラインに異物が付着したイメージを示すものである。このような異物を含む読取ラインを読み取ると、
図4-1のグラフに示すように、異物箇所の読取レベルが変化し、主走査分布の補正データとして使うことができない。しかし、読取レベルの低下を検出することで異物の付着(または、光学的な異常)が発生したと分かる。
【0046】
そのため、異物の付着か光学的な異常かを判断するため、
図4-2に示すように、背景回転体140aを回転させ、読取ライン位置を変更する。読取ライン位置を変更することにより、
図4-2のグラフに示すように、読取レベルの低下のないデータ取得が可能であり、かつ異物は背景回転体140aに付着していたことが分かる。この時、画像形成装置100を停止させてメンテナンスを開始して異物除去を行っても良いが、画像検査を行うにあたって不都合がないため、そのままでも構わない。
【0047】
図5は照明装置131a,131bにおける異物有無にかかる読取データを例示的に示す図である。
図5に示す例では、LED(Light Emitting Diode)アレイにて構成された照明装置131a,131bに異物が付着した様子を示す。
図5に示すように、照明装置131a,131bに付着した異物により、照明装置131a,131bから照射する光はケラレ、照射対象へ十分な光が届かず読取データの一部にレベル低下が発生する。回転可能な背景回転体とは異なり、照明装置131a,131b(またはガラス131c)は異物の位置を移動させることができないため、これらに付着した異物を除去しない限り読取画像にはこの影響が常時発生するので、画像形成装置100として機能させることができない。
【0048】
次に、読取画像と異物の見え方について説明する。ここで、
図6は読取画像と異物の見え方の一例について説明する図である。
【0049】
図6(a)は、背景回転体140aに異物が付着している場合であって、シートSの非通紙状態での読取画像(第一読取り画像)を示すものである。すなわち、異物の付着した背景回転体140aが読取ラインにある場合には、
図6(a)の様に見える。
【0050】
図6(b)は、
図6(a)で示した異物が付着した背景回転体140aを回転させながら読み取った読取画像(第一読取り画像)を示すものである。白基準データを取得する際には、異物が読取ラインに掛かること回避するために、背景回転体140aを回転させて、異物なき箇所で背景データ取得する。
【0051】
図6(c)は、照射部131(またはガラス131c)に異物が付着した場合であって、シートSの非通紙状態での読取画像(第一読取り画像)を示すものである。照射部131(またはガラス131c)に付着した異物は光をけるために、
図6(c)に示すように副走査方向にスジを発生させる。
【0052】
図6(d)は、
図6(a)または
図6(b)で示した状態で画像検査を行う場合、背景回転体140aに付着した異物は検査対象のシートSに隠れることになるため、画像検査に問題とならない読取画像(第二読取り画像)を示すものである。
【0053】
図6(e)は、
図6(c)で示した状態で画像検査を行う場合、光のケラレを含めて印刷後のシートSを読み取るため、画像検査による疑似欠陥が発生してしまう読取画像(第二読取り画像)を示すものである。この状態では画像検査を行うことはできない。
【0054】
続いて、異物の付着場所の検知処理について説明する。ここで、
図7は異物の付着場所の検知処理の流れを示すフローチャートである。
【0055】
図7に示すように、画像処理部133は、照射部131の照明装置131a,131bを全点灯させる(ステップS1)。なお、画像処理部133は、照射部131が複数ある場合には全点灯させる。また、画像処理部133は、照射部131が1つの照明の場合には、部分的な点灯をさせるようにしてもよい。
【0056】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aを制御して背景回転体140a~140dの読取を行う(ステップS2)。
【0057】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aからの取得データから異物の有無(主走査分布に落ち込みがあるか否か)を確認する(ステップS3)。
【0058】
画像処理部133は、異物が無いと判断した場合には(ステップS3のNo)、異物検知終了し、画像検査装置として動作させることができる。
【0059】
画像処理部133は、主走査分布に落ち込みがあり、異物が有ると判断した場合には(ステップS3のYes)、付着箇所の絞り込みを開始する。
【0060】
まず、画像処理部133は、背景回転体140a~140dを回転させ(ステップS4)、読取ラインから異物をずらす。
【0061】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aを制御して背景回転体の読取を行う(ステップS5)。
【0062】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aからの取得データから異物の有無(主走査分布に落ち込みがあるか否か)を確認する(ステップS6)。
【0063】
画像処理部133は、異物が無いと判断した場合には(ステップS6のNo)、異物は背景回転体140a~140dに付着しており、ステップS4にて位置ずらしにて画像検査装置として動作させることに問題がないため、検知処理を終了する。
【0064】
画像処理部133は、主走査分布に落ち込みがあり、異物が有ると判断した場合には(ステップS6のYes)、背景回転体140a~140d以外のガラス131cなどの光学系に異物が付着していることになるため、ユーザメンテナンスを促すために場所の絞り込みを継続する。
【0065】
次に、画像処理部133は、これまで全点灯していた照射部131の照明装置131a,131bについて、照射部131の片方(例えば、照明装置131b)のみ点灯状態とする(ステップS7)。なお、画像処理部133は、システム上、照射部131が1つの照明装置のみの場合には、点灯領域を絞り部分点灯させる。
【0066】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aを制御して背景回転体140a~140dの読取を行う(ステップS8)。
【0067】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aからの取得データから異物の有無(主走査分布に落ち込みがあるか否か)を確認する(ステップS9)。この時、照射部131の照明装置の点灯を減らしているため全体の読取レベルは低下するが、異常有無の判断は分布形状で判断する。
【0068】
画像処理部133は、異物が無いと判断した場合には(ステップS9のNo)、照射部131の消灯した照明装置131aに付着していたとして、照明装置131aの清掃指示を行い(ステップS10)、異物検知終了する。
【0069】
画像処理部133は、主走査分布に落ち込みがあり、異物が有ると判断した場合には(ステップS9のYes)、照射部131の点灯している照明装置131bもしくは、ガラス131cなどの別の光学系に異物付着しているため、さらに絞り込みを行う。
【0070】
次に、画像処理部133は、照射部131の照明装置131aと照明装置131bの点灯と消灯とを切り替える(ステップS11)。なお、画像処理部133は、システム上、照射部131が1つの照明装置のみの場合には、点灯領域を絞り部分点灯させる。
【0071】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aを制御して背景回転体140a~140dの読取を行う(ステップS12)。
【0072】
次に、画像処理部133は、イメージセンサ132aからの取得データから異物の有無(主走査分布に落ち込みがあるか否か)を確認する(ステップS13)。
【0073】
画像処理部133は、異物が無いと判断した場合には(ステップS13のNo)、照射部131の消灯した照明装置131bに付着していたとして、照明装置131bの清掃指示を行い(ステップS14)、異物検知終了する。
【0074】
画像処理部133は、主走査分布に落ち込みがあり、異物が有ると判断した場合には(ステップS13のYes)、背景回転体140a~140d以外のガラス131cなどの光学系に付着しているものとして清掃指示を行い(ステップS15)、検知処理を終了する。
【0075】
以上の様に、異物検知と付着場所の判断を行い、メンテナンス(=清掃)しなくても良い場合には、装置を継続使用させ、メンテナンスが必要な場合には表示部にアラートを出すことで、不要な生産性の低下を回避する。
【0076】
このように本実施形態によれば、読取画像に現れる異常(ゴミ付着)か、読取画像には隠れる異常(ゴミ付着)であるかを画像処理部で判定することで画像検査装置自身の異物により正常な印刷画像の欠陥を誤検知することを防止する。これにより、画像検査に影響する異物付着と判断した場合には、誤検知防止のために画像検査の停止ないしは、アラートにてメンテナンス指示によって、不要な生産性の低下、記録媒体の損失を防止することができる。また、異常付着場所の特定をしたうえで、メンテナンス指示につなげることができる。
【0077】
なお、本実施形態においては、シートSを読み取る画像読取部130として、縮小光学系である読取部132を備えるものとしたが、これに限るものではなく、コンタクト・イメージ・センサ(CIS)を適用してもよい。ここで、
図8は第二読取部130bの構成の変形例を示す図である。
図8に示すように、第二読取部130bは、1画素ごとに光電変換する複数の撮像素子をシート幅方向に一次元状に並べて配置されたラインイメージセンサ160を備える。ラインイメージセンサ160を構成する撮像素子は、読取位置においてシートS上の画像の読取動作を行う光学式センサである。
【0078】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0079】
第2の実施の形態は、画像処理部が、検知した異物と主走査方向に一致する異物による読取りスジを、異物付着の検知結果から除外するようにした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0080】
ここで、
図9は第2の実施の形態にかかるシェーディング時の異物検査の一例を示す図である。画像読取部130は、読み取り光学系等における各種の歪みを補正するためなどに用いる基準白板である基準部材を設けている。画像読取部130は、基準部材の読み取り結果に基づいて画像読み取り時のシェーディング補正を行う。
図9に示すように、異物付着などによって画素値に異常が発生した場合、異常が発生している箇所に相当する画素位置の背景回転体140a~140dの読取データ値は、周囲の画素と比較して小さくなる(
図9において実線で示す)。
【0081】
図9に示す基準部材の読取データ(基準部材データ:第二読取り画像)は、照射部131の照明ムラ、またはイメージセンサ132aの撮像素子の感度ムラによって主走査方向に緩やかに変化している。そこで、画像処理部133は、基準部材データの基準位置を、主走査方向にずらす(
図9において大破線で示す)。また、
図9に示す背景回転体140a~140dの読取データ(背景板データ:第一読取り画像)は、基準部材データと同じような主走査分布を持つことになる(
図9において小破線で示す)。
【0082】
図9に示すように、基準位置を変更した基準部材データと背景板データとを比較すると、異常が無い場合でも主走査方向に緩やかに変化している成分の差分とともに、異常がある場合に発生する急峻に変化している成分の差分が現れる。後者の異常による急峻な変化の成分は、基準位置をずらしたぶんだけ主走査方向にずれて2箇所に現れる。
【0083】
画像処理部133は、比較して得られたデータに対して、異常画素の検知を行う。ここでの比較後のデータは、シェーディング補正後のデータに相当するデータである必要がある。シェーディング補正後のデータにおける影響度を根拠に適切な閾値で異常画素の判定を行うためである。そこで、ここでの比較はシェーディング補正で実施される演算と同様に、2つのデータの比を取ることで実現する。この比を取る演算を行うことで、画素値の主走査方向に緩やかに変化する成分はおおよそ一様化されるため主走査方向の画素値変動は最小化され、異常画素検知を行う際の誤検知が防止される。一方、異物付着などの異常によって発生する急峻に変化する成分は比較を行っても一様化されないため、異常として検知することができる。
【0084】
本実施形態の画像読取部130においては、これらの作用により高精度な異常検知を行うことが可能となっている。画像処理部133は、シェーディング補正後のデータにおける影響度を考慮した閾値によって異常検知するので、異常検知の精度を向上させることができる。
【0085】
図10は、異物があった場合の画像読取り結果の一例を示す図である。
図10に示すように、読取りスジ1は、シューディング後にガラス131cに異物が付着した場合の読取り画像となる。読取りスジ2は、シェーディング時に異物があった場合の読取り画像となる。
【0086】
図9で説明したように、シェーディング時の異物検査を実行することはできるが、背景回転体140a~140dやガラス131c上の異物を清掃することができない場合、異物は、読取りスジとして読取り画像上に現れる。このように読取りスジが発生した画像は、異常画像として通知されることになる。
【0087】
そこで、シェーディング時の読取りスジと画像検査時の読取りスジとを比較し、同一主走査位置の異常は異常画像から除外する。こうすることにより、異物による不要な異常画像の検知を減らすことが可能である。
【0088】
また、シェーディング以降にガラス131cに異物が付着した場合、シェーディング時と比較しても読取りスジとは検出できない。このように途中で付着した異物の判別は、用紙外領域である余黒部を使うことにより、異物と判定することができる。また、異物による読取りスジは副走査方向に検出され続け、用紙外領域である余黒部にも検出されるため、画像先後端の余黒部に読取りスジは発生している個所は異物と判定することができる。
【0089】
また、通紙中にもシェーディングを行っているので、通紙中にガラス131cや背景回転体140a~140dに付着した異物も、
図9で説明したように後から高精度で検出することができる。なお、シェーディング前に異常として検出した主走査位置と比較することで、読取りスジか否かの判別も可能である。主走査位置が一致する場合、検出した異常に対して読取りスジの可能性ありと表示部に表示等により報知することで、異常画像の検知結果を大量に確認する必要がなくなる。
【0090】
このように本実施形態によれば、異物が付着していた場合、基準位置を変更した基準部材の読取データ(基準部材データ)と背景回転体140a~140dの読取データ(背景板データ)を比較することで急峻に変化している成分の差分が現れ、異物を検出することができる。このようにシェーディング時の異物検査結果で異物を検知した主走査位置の異常は異常画像から除外することで、異物による不要な異常画像の検知を減らすことができる。また、異常画像として確定した情報と印刷中の異物検知を比較することで、遡って異物の影響をなくすことができる。
【0091】
本実施形態の画像読取部130で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0092】
また、本実施形態の画像読取部130で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の画像読取部130で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0093】
また、本実施形態の画像読取部130で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0094】
なお、上記実施の形態では、本発明の読取装置および画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の読取装置または画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0095】
また、本実施形態の画像読取部130は、シートSの第一面を読み取る第一読取部130aと、シートSの第二面を読み取る第二読取部130bを有するものに限られない。たとえば、定着ローラ123から搬送経路切替部124までの間に読取部130bを配置してもよい。この場合、読取部130bで読み取られたシートSは、表裏を反転して画像形成部110で画像形成されたあと、読取部130bで読み取られる。
【符号の説明】
【0096】
100 読取装置、画像形成装置
110 画像形成部
130 画像読取部
131a,131b 照明装置
133 異物検知部
140a~140d 背景部
S 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】