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  • 特開-頭皮頭髪用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087017
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】頭皮頭髪用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20230615BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20230615BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230615BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q5/00
A61Q7/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075681
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2018237773の分割
【原出願日】2018-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】表迫 真美
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 里紗子
(57)【要約】
【課題】頭皮頭髪用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)アロエエキス、及び(B)オトギリソウエキス、または(A)アロエエキス、(B)オトギリソウエキス、及び(C)ショウガエキスを含有する頭皮頭髪用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アロエエキス、及び(B)オトギリソウエキス、または
(A)アロエエキス、(B)オトギリソウエキス、及び(C)ショウガエキス
を含有する頭皮頭髪用組成物。
【請求項2】
前記(A)アロエエキスが、キダチアロエ、アロエベラ、及びアロエトーメントーサよりなる群から選択される少なくとも1種のアロエ植物体の抽出物である請求項1に記載する頭皮頭髪用組成物。
【請求項3】
毛髪成長促進用、抜け毛防止用、ふけ防止用、及び頭皮潤い用からなる群より選択される少なくとも1つの用途に用いられる、請求項1または2に記載する頭皮頭髪用組成物。
【請求項4】
(A)アロエエキス、及び(B)オトギリソウエキス、または
(A)アロエエキス、(B)オトギリソウエキス、及び(C)ショウガエキス
を頭皮頭髪用組成物に配合する工程を有する、当該頭皮頭髪用組成物に毛髪成長促進作用、抜け毛防止作用、ふけ防止作用、及び頭皮潤い作用からなる群より選択される少なくとも1つの作用を付与するか、または当該頭皮頭髪用組成物が有する前記少なくとも1つの作用を増強する方法。
【請求項5】
前記(A)アロエエキスが、キダチアロエ、アロエベラ、及びアロエトーメントーサよりなる群から選択される少なくとも1種のアロエ植物体の抽出物である請求項4に記載する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は頭皮頭髪用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりアロエエキスには多くの作用が知られている。特に、アロエエキスの頭皮頭髪に対する作用としては、従来より毛乳頭活性化作用(特許文献1)、及びVEGF産生促進作用(特許文献2及び3)等が知られており、発毛効果や育毛効果が期待されている。特にアロエエキスは、古くから皮膚に適用され人体に対する安全性が確認されている植物由来成分であることから、薄毛に悩みながらも化学物質に対して過敏な人にも適用できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-240823号公報
【特許文献2】特開2013-144650号公報
【特許文献3】特開2015-34157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は頭皮頭髪用組成物を提供することを課題とする。好ましくは一種のアロエ植物から調製されるアロエエキスが有する毛髪成長促進効果がより増強されてなる頭皮頭髪用組成物を提供することを課題とする。より詳細には、毛髪成長促進効果、抜け毛防止効果、ふけ防止効果、及び/または頭皮に潤いを与える効果を有する頭皮頭髪用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、アロエエキスに、同じく植物由来成分であるオトギリソウエキスを併用することで、アロエエキスが有する毛髪成長促進効果がより増強されることを見出し、さらにその効果は、アロエエキスとして二種以上のアロエ植物から調製されるアロエエキスを用いたり、及び/または、さらにショウガエキスと併用することで、より一層増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含するものである。
【0006】
(I)頭皮頭髪用組成物
(I-1)(A)アロエエキス、及び(B)オトギリソウエキス、または
(A)アロエエキス、(B)オトギリソウエキス、及び(C)ショウガエキス
を含有する頭皮頭髪用組成物。
(I-2)前記(A)アロエエキスが、キダチアロエ、アロエベラ、及びアロエトーメントーサよりなる群から選択される少なくとも1種のアロエ植物体の抽出物である(I-1)に記載する頭皮頭髪用組成物。
(I-3)前記(A)アロエエキスが、キダチアロエ、アロエベラ、及びアロエトーメントーサよりなる群から選択される少なくとも2種のアロエ植物体の抽出物である(I-1)または(I-2)に記載する頭皮頭髪用組成物。
(I-4)毛髪成長促進用(養毛用及び育毛用を含む)、抜け毛防止用、ふけ防止用、及び頭皮潤い用からなる群より選択される少なくとも1つの用途に用いられる、(I-1)~(I-3)のいずれかに記載する頭皮頭髪用組成物。
【0007】
(II)頭皮頭髪用組成物に対する毛髪成長促進作用等の作用付与または作用増強方法
(II-1)(A)アロエエキス、及び(B)オトギリソウエキス、または
(A)アロエエキス、(B)オトギリソウエキス、及び(C)ショウガエキス
を頭皮頭髪用組成物に配合する工程を有する、当該頭皮頭髪用組成物に毛髪成長促進作用、抜け毛防止作用、ふけ防止作用、及び頭皮潤い作用からなる群より選択される少なくとも1つの作用を付与するか、または当該頭皮頭髪用組成物が有する前記少なくとも1つの作用を増強する方法。
(II-2)前記(A)アロエエキスが、キダチアロエ、アロエベラ、及びアロエトーメントーサよりなる群から選択される少なくとも1種のアロエ植物体の抽出物である(II-1)に記載する方法。
(II-3)前記(A)アロエエキスが、キダチアロエ、アロエベラ、及びアロエトーメントーサよりなる群から選択される少なくとも2種のアロエ植物体の抽出物である(II-1)または(II-2)に記載する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば毛髪成長促進作用を有する人体に優しい頭皮頭髪用組成物を提供することができる。特に2種以上のアロエ植物体から調製されるアロエエキスとオトギリソウエキスを含有する本発明の頭皮頭髪用組成物によれば優れた毛髪成長促進効果を発揮し、毛を長く及び/または太くする効果に優れており、頭髪のボリュームアップに寄与することができる。さらにこれらに加えてさらにショウガエキスを含む本発明の頭皮頭髪用組成物によれば、毛髪成長促進効果に加えて、抜け毛防止効果、ふけ防止効果、及び/または頭皮に潤いを付与する効果に優れている。本発明の頭皮頭髪用組成物は、現在または将来の薄毛が気になる方に対して育毛または養毛用組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験例3で実施したアンケート評価の結果を示す。(a)毛髪全体のボリューム、(b)抜け毛、(c)頭皮のうるおい、及び(d)ふけに対する本発明の頭皮頭髪用組成物(実施例3)の効果を示す箱ひげ図(四分位数)である。各図において、ひげの上端は被験者24名全員のアンケート評価の最大値、ひげの下端は被験者全員のアンケート評価の最小値、箱の上端(第三四分位数)は全員の3/4の部分(75パーセンタイル)、箱の中央(第二四分位数)は全体の2/4の部分(50パーセンタイル)、箱の下端(第一四分位数)は全員の1/4の部分(25パーセンタイル)を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(I)頭皮頭髪用組成物
本発明の頭皮頭髪用組成物は、(A)アロエエキス及び(B)オトギリソウエキスを含有するか、または(A)アロエエキス、(B)オトギリソウエキス、及び(C)ショウガエキスを含有することを特徴とする。以下、これらの成分について説明する。
【0011】
(A)アロエエキス
本発明において使用されるアロエエキスの原料となるアロエ植物体としては、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されない。本発明の効果に加えて、安全性、栽培の容易さ、入手のしやすさ、または日本薬局方で使用が認められている等の理由から、キダチアロエ(学名:Aloe arborescens)、アロエベラ(学名:Aloe vera)、アロエトー
メントーサ(学名:Aloe tomentosa)、アロエエルー(学名:Aloe eru)、アロエカメロニー(又はアロエ・カメロン)(学名:Aloe cameronii)、アロエケドンゲンシス(学名:Aloe kedongensis)、アロエフェロックス(学名:Aloe ferox)、アロエアフリカーナ(学名:Aloe africana)、及びアロエアンドンゲンシス(学名:Aloe andongensis)等
を挙げることができる。なお、これらのアロエ植物体には、当該植物体の同類種や改良種
も含まれる。これらの植物体は一種単独でアロエエキスの原料として用いることができるが、好ましくは二種以上を組み合わせて用いることが望ましい。アロエ植物体として好ましくはキダチアロエ、アロエベラ、及びアロエトーメントーサである。特にこれら三種のアロエ植物体のなかから任意に選択される二種以上を組み合わせてアロエエキスの原料とすることが好ましい。好ましい組み合わせとしては、キダチアロエとアロエベラの組み合わせ、キダチアロエとアロエトーメントーサの組み合わせ、及びキダチアロエとアロエベラとアロエトーメントーサの組み合わせである。
【0012】
アロエエキスの調製には、前述するアロエ植物体の全体をそのまま使用してもよい。またアロエの葉の外皮を使用しても、また葉内部のゼリー質を使用してもよい。制限はされないものの、調製が容易という理由から、アロエ植物体の全体を使用して、アロエエキスを調製することが好ましい。
【0013】
アロエエキスの調製には、アロエ植物体の全体または一部(例えば、葉、茎、根等)の生の状態のもの(未乾燥物)、乾燥させたもの(乾燥物)、又は凍結したもの(凍結物)を用いることができる。また、アロエ植物体の未乾燥物、乾燥物又は凍結物を適切な大きさに細砕し粉末化したものを用いることもできる。
【0014】
アロエのエキスの調製方法としては、抽出工程及び分離工程を組み合わせる方法、上記方法に更に分画工程を組み合わせる方法等があげられるが、これらに限定されない。
【0015】
抽出工程は、アロエ植物体から抽出溶媒を用いて、アロエエキスとして必要な成分を取り出す工程であり、抽出方法や抽出条件は特に限定されない。
【0016】
抽出溶媒の種類も、本発明の効果を得ることを限度として、特に限定されないものの、水、有機溶媒及びこれらの混合溶媒が挙げられる。ここで水としては、冷水、常温水、温水、熱水及び水蒸気等の全ての温度における水が挙げられ、また、殺菌処理、イオン交換処理、浸透圧調整処理または緩衝化されていてもよい。有機溶媒としては、親水性有機溶媒が好ましく、例えば、炭素数1~5の1価アルコール(エタノール、メタノール、プロ
パノール、イソプロパノール等)、炭素数2~5の多価アルコール(グリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)、エステル(酢酸メチル等)、ケトン(アセトン等)等を用いることができる。これらの有機溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明では、安全性及び有効成分の抽出効率の点から、水、エタノール、及び1,3-ブチレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の抽出溶媒を用いることが好ましい。抽出溶媒として、好適には水とエタノールの混合液、及び水と1,3-ブチレングリコールの混合液を例示することができる。これらの含水混合液を用いる場合、含水混合液中のエタノールまたは1,3-ブチレングリコールの割合としては、制限されないものの、エタノールの場合は5~95質量%程度、好ましくは50~90質量%程度、より好ましくは60~80質量%程度を挙げることができる。また1,3-ブチレングリコールの場合は、5~70質量%程度、好ましくは10~60質量%程度、より好ましくは10~50質量%程度を挙げることができる。
【0018】
抽出手法としては、定法の方法を使用することができ、例えば浸漬抽出、攪拌抽出、還流抽出、振とう抽出及び超音波抽出等が挙げられる。また抽出条件としても、定法の方法を使用することができ、例えば、室温抽出、加熱抽出(加温抽出ともいう)、加圧抽出、超臨界抽出等があげられる。好ましくは、室温又は加熱抽出である。抽出時間は特に限定されない。また、抽出に際してpH調整してもよい。上記抽出操作は、1回でもよく、抽出操作を行った後に得られる抽出残渣を再度抽出することを複数回数繰り返すことにより
行ってもよい。更に、抽出工程の前後に、必要に応じて後述する濾過等の固液分離処理を行ってもよい。
【0019】
分離工程は、上記で得られた抽出物から、抽出液と抽出残渣である不溶物とを分離する固液分離方法であり、例えば、遠心分離、フィルタプレス、濾過(加圧、常圧)、クロマトグラフィー等の、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離等による方法が挙げられる。抽出液から分取された抽出物はそのまま用いてもよく、必要に応じて更に分画等により精製してもよい。
【0020】
分画工程は、上記で得られた抽出物から本発明の効果を奏する画分を分画して精製及び濃縮する方法である。分画工程に用いられる方法としては、担体として活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、シリカゲル、芳香族化合物を吸着するポリスチレン系の樹脂等を用いるクロマトグラフィー、透析、分子ふるい、減圧濃縮、凍結乾燥等の方法があげられるがこれらに限定されない。更に、本工程後に、必要に応じて遠心分離等により上清を回収する工程を行ってもよい。
【0021】
なお、上記各工程の前後に、必要に応じて濾過等の処理を行ってもよい。濾過には、ガーゼや濾過フィルター、市販の濾過器等を用いることができる。また、必要に応じて、滅菌処理等を施すことができる。
【0022】
上記方法により調製されるアロエエキスは、そのままの液状形態を有していてもよいが、その後、噴霧乾燥、真空乾燥、または凍結乾燥等の乾燥工程に供することで固体状の形態を有するように調製することができる。さらに必要に応じて粉砕処理や造粒処理をすることで、粉末状または顆粒状の形態を有するように調製することができる。
【0023】
本発明の頭皮頭髪用組成物に含まれるアロエエキスの含有割合は、エキスとして0.01~80質量%の範囲から、本発明の効果を奏するように適宜選択設定することができる。好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは1~20質量%、特に好ましくは1~10質量%である。なお、乾燥固形分としては0.0001~0.8質量%、好ましくは0.001~0.7質量%、より好ましくは0.01~0.2質量%、特に好ましくは0.01~0.1質量%を例示することができる。
【0024】
(B)オトギリソウエキス
本発明において使用されるオトギリソウエキスの原料となるオトギリソウ植物体としては、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されない。前述するアロエ植物体と同様に、本発明の効果に加えて、安全性、栽培の容易さ、入手のしやすさ、または日本薬局方で使用が認められている等の理由から、オトギリソウ科オトギリソウ(Hypericum erectum)またはセイヨウオトギリソウ(コゴメバオトギリソウ)(Hypericum perforatum)等を挙げることができる。好ましくはセイヨウオトギリソウである。なお、これらの
オトギリソウ植物体には、当該植物体の同類種や改良種も含まれる。これらの植物体は一種単独でオトギリソウエキスの原料として用いることができるが、必要に応じて二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0025】
オトギリソウエキスの調製には、前述するオトギリソウ植物体の全体をそのまま使用してもよい。またオトギリソウの花を使用してもよい。
【0026】
オトギリソウエキスの調製には、オトギリソウ植物体の全体または一部(例えば、花等)の生の状態のもの(未乾燥物)、乾燥させたもの(乾燥物)、又は凍結したもの(凍結物)を用いることができる。また、オトギリソウ植物体の未乾燥物、乾燥物又は凍結物を適切な大きさに細砕し粉末化したものを用いることもできる。
【0027】
オトギリソウエキスの調製方法としては、抽出工程及び分離工程を組み合わせる方法、上記方法に更に分画工程を組み合わせる方法等があげられるが、これらに限定されない。なおその詳細は、前述するアロエエキスの調製方法と同様である。斯くして調製されるオトギリソウエキスは、そのままの液状形態を有していてもよいが、その後、噴霧乾燥、真空乾燥、または凍結乾燥等の乾燥工程に供することで固体状の形態を有するように調製することができる。さらに必要に応じて粉砕処理や造粒処理をすることで、粉末状または顆粒状の形態を有するように調製することができる。
【0028】
本発明の頭皮頭髪用組成物に含まれるオトギリソウエキスの含有割合は、エキスとして0.0001~40質量%の範囲から、本発明の効果を奏するように適宜選択設定することができる。好ましくは0.001~35質量%、より好ましくは0.001~20質量%、特に好ましくは0.001~10質量%である。なお、乾燥固形分としては、0.000001~0.4質量%、好ましくは0.00001~0.35質量%、より好ましくは0.00001~0.2質量%、特に好ましくは0.00001~0.1質量%である。頭皮頭髪用組成物中に含まれる(A)アロエエキス1質量部に対する(B)オトギリソウエキスの割合としては、エキス/固形換算で、0.00000125~4000質量部
の範囲を挙げることができる。
【0029】
(C)ショウガエキス
本発明において使用されるショウガエキスの原料となるショウガ植物体としては、ショウガ属ショウガ(学名は Zingiber officinale)を挙げることができる。当該ショウガ植物体には、本発明の効果を奏することを限度として当該植物体の同類種や改良種も含まれる。これらの植物体は一種単独でショウガエキスの原料として用いることができるが、必要に応じて二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
ショウガエキスの調製には、前述するショウガ植物体の全体をそのまま使用してもよい。またショウガの根、根茎、茎または葉を使用することもできる。
【0031】
ショウガエキスの調製には、ショウガ植物体の全体または一部(例えば、根茎または茎葉等)の生の状態のもの(未乾燥物)、乾燥させたもの(乾燥物)、又は凍結したもの(凍結物)を用いることができる。また、ショウガ植物体の未乾燥物、乾燥物又は凍結物を適切な大きさに細砕し粉末化したものを用いることもできる。
【0032】
ショウガエキスの調製方法としては、抽出工程及び分離工程を組み合わせる方法、上記方法に更に分画工程を組み合わせる方法等があげられるが、これらに限定されない。なおその詳細は、前述するアロエエキスの調製方法と同様である。ショウガの根茎の乾燥物をエタノールまたは含水エタノールで抽出して調製したエキスはショウキョウチンキと称される。当該ショウキョウチンキは、本発明が対象とするショウガエキスの好適な態様である。
【0033】
斯くして調製されるショウガエキスは、そのままの液状形態を有していてもよいが、その後、噴霧乾燥、真空乾燥、または凍結乾燥等の乾燥工程に供することで固体状の形態を有するように調製することができる。さらに必要に応じて粉砕処理や造粒処理をすることで、粉末状または顆粒状の形態を有するように調製することができる。
【0034】
本発明の頭皮頭髪用組成物に含まれるショウガエキスの含有割合は、エキスとして0.001~15質量%の範囲から、本発明の効果を奏するように適宜選択設定することができる。好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~10質量%、特に好ましくは0.05~5質量%である。なお乾燥固形分としては、0.00001~0.1
5質量%、好ましくは0.0001~0.1質量%、より好ましくは0.005~0.1質量%、特に好ましくは0.0005~0.05質量%である。頭皮頭髪用組成物中に含まれる(A)アロエエキス1質量部に対する(C)ショウガエキスの割合としては、エキス/固形換算で、0.000000016~150質量部の範囲を挙げることができる。
【0035】
(D)その他の成分
本発明の頭皮頭髪用組成物は、本発明の効果を奏することを限度として、前述する(A)と(B)、または(A)と(B)と(C)に加えて、外用組成物(経皮投与用組成物)、好ましくは頭皮頭髪用組成物に慣用的に配合される任意の成分を含むことができる。例えば、基剤として、水、低級アルコール、多価アルコール、及び油脂類を、形態に応じて適宜選択使用することができる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1,3-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ベンジルアルコール等の炭素
数1~7のアルコール等を制限なく例示することができる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、BG (1,3-プチレングリコール)、プロパンジオール、PG
(プロピレングリコール)、ペンチレングリコール、ジプロピレングリコール(DPG)、
ソルビトール(ソルビット)、及びDL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム等を制限なく例示することができる。油脂類としては、アボガド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、馬油、豚脂又はこれら油脂類の水素添加物など、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス、スクワレン、スクワラン、プリスタン、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、及びマイクロクリスタンワックスなどを制限なく例示することができる。
【0036】
外用組成物として使用する場合、肌への刺激性軽減という理由から、そのpHが4~8の範囲にあることが好ましい。pH調整は、塩基性物質又は酸性物質を用いて行うことができる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩基;トリエタノールアミンやジイソプロパノールアミン等の有機アミン類;アルギニン、リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸等を挙げることができる。また、酸性物質としては、塩酸、硝酸、メタスルホン酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等の無機酸、有機酸及びそれらの塩を挙げることができる。
【0037】
また外用組成物として使用する場合、他成分として薬効補助剤を配合することも可能である。薬効補助剤としては、カンフル、テレピン油、ハッカ油、メントール及びその誘導体、ユーカリ油、乳酸メンチル等の清涼化剤;ノナン酸バニリルアミド、カプサイシン等の局所刺激剤;グリチルリチン酸等の抗炎症剤;ジフェニルイミダゾール、ジフェンヒドラミン及びその塩、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;酢酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル等の血行促進剤;アルニカチンキ、オウバクエキス、サンシシエキス、セイヨウトチノキエキス、ロートエキス、ベラドンナエキス、トウキエキス、シコンエキス、サンショウエキス、トウガラシエキス等の生薬等が挙げられる。上記の成分の他、適当な併用可能な活性成分(例えば血行促進剤、毛包賦活剤、抗脂漏剤、抗菌剤など)、増粘剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、香料、色素・着色剤等の通常の経皮投与用組成物に使用される添加剤を適宜用いることができる。
【0038】
形態・用法
本発明の頭皮頭髪用組成物は、経皮投与用組成物としての形態に調製することができる
。かかる形態としては、具体的には、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、ムース剤、クリーム剤、ローション剤、噴霧剤(スプレー剤、エアゾール剤)、溶液剤、懸濁液剤(サスペンション)、乳液剤(エマルション)、液剤を含浸したシート状剤等の形態を挙げることができる。これらの形態を有する本発明の頭皮頭髪用組成物は、例えば、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアパック、ヘアクリーム、コンディショニングムース、ヘアムース、ヘアスプレー、シャンプー、リーブオントリートメント等の商品形態とすることもできる。なお、本発明の頭皮頭髪用組成物は、医薬品、医薬部外品または化粧品のいずれの範疇に属するものであってもよい。
【0039】
本発明の頭皮頭髪用組成物は、外用製剤として調製され、局所的に外用投与(頭皮投与)することができる。その投与量は、対象者の年齢や性別、頭皮や頭髪の状態(例えば、薄毛の状態)によって異なり、一律に規定することはできないが、結果として頭髪の成長を促進し、毛髪の伸長を促進するか、及び/又は毛を太くする等の効果を発揮することができればよい。本発明の頭皮頭髪用組成物の投与量は、なかに含まれる(A)アロエエキスの乾燥重量に換算して、成人1日用量として、好ましくは0.00001~1g、より好ましくは0.0001~0.1g程度となる量であることが望ましい。なお、投与は、個別的に、頭皮や頭髪の状態に応じて変化させることもでき、例えば1日あたりの量を数回に分けて投与することもできる。
【0040】
作用
後述する試験例1及び2に示すように、本発明の頭皮頭髪用組成物は、毛髪の成長を促進する作用を有しており、頭皮に適用することで毛髪の伸長を早め、または/及び毛髪の太さを太くする効果を発揮する。また後述する試験例3に示すように、本発明の頭皮頭髪用組成物は、毛髪の成長を促進する作用に加えて、成長期にある毛の割合を増やす作用を有しており、頭皮に適用することで抜け毛の割合を減らして、増毛効果を発揮する。このように、本発明の頭皮頭髪用組成物によれば、毛髪の成長を促進し、及び/又は抜け毛を防止することで、薄毛を予防または改善することができる。このため、本発明の頭皮頭髪用組成物は、現在または将来、薄毛が気になる方に対して、男性及び女性といった性別を問わず、養毛剤または育毛剤として有用である。さらに後述する試験例3に示すように、本発明の頭皮頭髪用組成物は、ふけを抑制し、また頭皮に潤いを付与する効果に優れている。このため、本発明の頭皮頭髪用組成物によれば、育毛や養毛効果に加えて、かゆみ防止、ふけ防止等の効果を得ることもできる。
【0041】
(II)頭皮頭髪用組成物に対する毛髪成長促進作用等の作用付与または作用増強方法
前述するように、(A)アロエエキスと(B)オトギリソウエキスの組み合わせ物、または(A)アロエエキスと(B)オトギリソウエキスと(C)ショウガエキスの組み合わせ物には、毛髪成長促進作用がある。このため、頭皮頭髪用組成物に、これらの成分を配合することで、頭皮頭髪用組成物に対して毛髪成長促進作用を付与することができる。また頭皮頭髪用組成物が毛髪成長促進作用を有する場合は、その作用を増強することが可能である。ここで毛髪成長促進作用には、後述する試験例1に記載する方法で評価される毛伸長作用、及び/または試験例2に記載する方法で評価される毛の太さを太くする作用が含まれる。
【0042】
(A)アロエエキス、(B)オトギリソウエキス、及び(C)ショウガエキスの原料として使用される各植物体、及びそれらからエキスを調製する方法、最終頭皮頭髪用組成物中における各成分の含有割合は、前述する(I)に記載する通りであり、それらの記載はここに援用することができる。これらの成分を添加配合する対象の頭皮頭髪用組成物は、頭皮に適用するものであればよく、例えば軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、ムース剤、クリーム剤、ローション剤、噴霧剤(スプレー剤、エアゾール剤)、溶液剤、懸濁液剤(サス
ペンション)、乳液剤(エマルション)、液剤を含浸したシート状剤等の形態を有するものを挙げることができる。具体的には、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアパック、ヘアクリーム、コンディショニングムース、ヘアムース、ヘアスプレー、シャンプー、リーブオントリートメント等の商品形態を有するものであってもよい。
【0043】
また試験例3に示すように、特に(A)アロエエキスと(B)オトギリソウエキスと(C)ショウガエキスの組み合わせ物には、毛髪成長促進作用に加えて、成長期にある毛の割合を増やす作用を有しており、頭皮に適用することで抜け毛の割合を減らして、増毛効果を発揮することができる。このため、頭皮頭髪用組成物に、これらの成分を配合することで、頭皮頭髪用組成物に対して毛髪成長促進作用に加えて、抜け毛防止作用を付与することができる。また頭皮頭髪用組成物が抜け毛防止作用を有する場合は、その作用を増強することが可能である。
【0044】
また試験例3に示すように、特に(A)アロエエキスと(B)オトギリソウエキスと(C)ショウガエキスの組み合わせ物には、前記の作用に加えて、ふけ防止作用、または/及び頭皮潤い作用を有している。このため、頭皮頭髪用組成物に、これらの成分を配合することで、頭皮頭髪用組成物に対して毛髪成長促進作用、及び抜け毛防止作用に加えて、ふけ防止作用または/及び頭皮潤い作用を付与することができる。また頭皮頭髪用組成物がこれらの作用を有する場合は、その作用を増強することが可能である。
【0045】
以上、本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
【実施例0046】
以下、本発明の構成及び効果について、その理解を助けるために、実験例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実験例によって何ら制限を受けるものではない。以下の実験は、特に言及しない限り、室温(25±5℃)、及び大気圧条件下で実施した。なお、特に言及しない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0047】
下記の実験例で使用した試料は以下の通りである:
(1)キダチアロエエキス:
キダチアロエ葉の含水エタノール抽出液(商品名:アロエ抽出液<キダチ>、製造元:丸善製薬株式会社)(固形分量1.2%)
(2)アロエトーメントーサエキス:
アロエトーメントーサ葉(生の植物体として1kg)を細かく刻んだ後に乾燥し、その乾
燥物全量(30~70g)に、8倍量の含水エタノール(90重量%エタノール)を加えて50℃で5時間攪拌し、ろ過、濃縮工程を経て、アロエトーメントーサ葉の含水エタノール抽出液
を調製した(固形分量1%)。
(3)アロエベラエキス:
アロエベラ葉の水及び1,3-ブチレングリコールの混合液による抽出液(商品名:ビオ
セルアクトアロエベラB、製造元:一丸ファルコス株式会社)(固形分量0.5%)
(4)オトギリソウエキス:
セイヨウオトギリソウ花・葉・茎の含水エタノール抽出液(商品名:オトギリソウ抽出液-J、製造元:丸善製薬株式会社)
(5)ミノキシジル5%含有発毛用医薬品:
商品名:リアップX5プラス、販売元:大正製薬株式会社
(6)ショウガエキス:
ショウガの乾燥した根茎をエタノールで抽出したエキス(商品名:ショウキョウチンキ、製造元:丸善製薬株式会社)(固形分量1%)
【0048】
試験例1 毛伸長効果
マウス(C57BL6/Nマウス)(雌、7~8週齢)を用いて各種被験試料の毛伸長効果を評価した
【0049】
(1)試験方法
1. マウスを7群(実施例1~2、比較例1~3及び参考例1~2:各群n=6)に分け
、各マウスの背部皮膚(約2cm×3cm)から毛を抜毛し、当該皮膚部の毛周期を成長期初期にリセットした。
2. 各群のマウスの抜毛処理部(約2cm×3cm)に、21日間に亘って、表1に記載する
各被験試料を1日1回0.1mLの割合で塗布した。
3. 塗布から21日目に発毛した毛のうちランダムに選定した任意の毛の数本をピンセッ
トを用いて毛根から引っこ抜き、採取した毛について、光学顕微鏡(キーエンス製)を用いて観察し、画像を撮影した後、ソフト(キーエンスVHX-2000)を用いて多点間距離測定により、毛根の端部から毛幹の先端部までの距離を「毛の長さ」として測定した。抜毛した数本の毛の長さの平均値を当該マウスの「毛の長さ」とした。
【0050】
(2)試験結果
結果を表1に併せて示す。表1に示す実測値(μm)は、個々のマウスから得られた「毛の長さ」の平均値(n=6)を意味する。得られた毛幹部の長さを、参考例1(ミノキシジル5%含有発毛用医薬品)の結果と比較し、それよりも長い場合を「○:優れた毛伸長効果を発揮する」と評価し、それよりも短い場合を「×」と評価した。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示すように、アロエエキス単独(比較例1及び2)及びオトギリソウエキス単独(比較例3)では参考例1と比較して毛伸長度は低かったものの、アロエエキスとオトギリソウエキスを併用することで(実施例1及び2)、参考例1と比較して毛伸長度がより高まることが確認された。この結果から、アロエエキスとオトギリソウエキスを併用した頭皮頭髪用組成物は、アロエエキス単独またはオトギリソウエキス単独と比較して、発毛効果だけでなく、毛髪成長促進効果に優れていることが判明した。
【0053】
試験例2 毛を太くする効果
マウス(C57BL6/Nマウス)(雌、7~8週齢)を用いて各種被験試料の毛を太くする効
果を評価した。
【0054】
(1)試験方法
1. マウスを3群(実施例3、比較例4及び参考例1:各群n=6)に分け、各マウスの
背部皮膚(2cm×3cm)から毛を抜毛し、当該皮膚部の毛周期を成長期初期にリセットした。
2. 各群のマウスの抜毛処理部(2cm×3cm)に、21日間に亘って、表2に記載する各
被験試料を1日1回0.1mLの割合で塗布した。
3. 塗布から21日目に発毛した毛のうちランダムに選定した任意の毛の数本をピンセッ
トを用いて毛根から引き抜き、採取した毛について、光学顕微鏡(Thermo Fisher Scientific製)を用いて観察し、画像を撮影した後、撮影した画像(スケール付き)を印刷し、紙上で定規を用いて計測した後(ランダムに3箇所測定し平均値を算出)、スケール変換による測定により、毛の太さを測定した。抜毛した数本の毛の太さの平均値を当該マウスの「毛の太さ」とした。
【0055】
(2)試験結果
結果を表2に併せて示す。表2に示す実測値(μm)は、個々のマウスから得られた「毛の太さ」の平均値(n=6)を意味する。得られた毛の太さを、参考例1(ミノキシジル5%含有発毛用医薬品)の結果と比較し、それよりも太い場合を「○:毛を太くする効果に優れている」と評価し、それよりも細い場合を「×」と評価した。
【0056】
【表2】
【0057】
表2に示すように、アロエエキス単独(比較例4)では参考例1と比較して発毛した毛の太さは細かったものの、アロエエキスとオトギリソウエキスを併用することで、またアロエエキスとオトギリソウエキスとショウガエキス(ショウキョウチンキ)を併用することで(実施例3)、参考例1と比較して毛の太さがより太くなることが確認された。この結果から、アロエエキスとオトギリソウエキスを併用した頭皮頭髪用組成物、特にアロエ
エキスとオトギリソウエキスとショウガエキスを併用した頭皮頭髪用組成物は、アロエエキス単独と比較して、発毛効果及び毛伸長効果だけでなく、毛の太さを太くする効果に優れていること、つまり総合的に毛髪成長促進効果に優れていることが判明した。
【0058】
試験例3 人を対象とした試験
試験例2で毛髪成長促進効果を確認した実施例3の被験試料を人の頭皮に適用して、毛髪の成長促進効果を、フォトトリコグラム法及びアンケート法により評価した。なお、これらの試験は、24名の被験者(女性14名(平均年齢52.1歳)、男性10名(平均年齢46.4歳))を対象として実施した。これらの被験者は、薄毛が気になると意識している人のなかから、さらに医師による脱毛分類により薄毛と判断された者の集団である。
【0059】
(A)フォトトリコグラム法
(1)試験方法
1. 頭髪の一区画(1cm×1cm)を剃毛し、剃った直後とそれから3日経過後に、剃毛した
区画をデジタルマイクロスコープで撮影した(被験試料使用前撮影画像)。
2. 1日2回、洗髪後に、上記剃毛区画を含む頭皮全体に被験試料1.25mLを塗布し
、測定部分を中心に全体に行き渡るようにマッサージすることを24週間、継続実施してもらった。
3.24週間の使用後、塗布前に剃毛した区画と同一区画を再度剃毛し、剃った直後とそ
れから3日経過後に、当該区画をデジタルマイクロスコープで撮影した(被験試料使用後撮影画像)。
4. 被験試料使用前撮影画像(剃毛直後と3日後)と被験試料使用後撮影画像(剃毛直後
と3日後)から、下記の2項目の解析を行った。
【0060】
【表3】
【0061】
(2)試験結果
結果を表4に示す。
【表4】
【0062】
表4に示すように、被験試料(実施例3)を頭皮に塗布することで、塗布しない場合と比較して、毛の成長速度(mm/day)及び成長期毛率(%)が有意に上昇することが確認された。この結果から、本発明の頭皮頭髪用組成物は、毛伸長効果だけでなく、休止期にあ
る毛髪を成長期へと活性化する作用を発揮することで、増毛効果にも優れていることが確認された。
【0063】
(B)アンケート評価
24名の被験者(女性14名、男性10名)に、被験試料(実施例3)の使用前と、24週間使用後の各時点における、自分自身の頭髪(抜け毛、全体のボリューム)及び頭皮(ふけ、潤い)の状態を、スコア0~10(0が最も悪く、10が最も良好)の11段階で評価してもらった。結果を図1に示す。
図1に示すように、被験試料(実施例3)を頭皮に塗布することで、塗布しない場合と比較して、毛髪全体のボリューム増加(図1(a))、抜け毛の減少(図1(b))、頭皮のうるおい増加(図1(c))、及びふけの低減(図1(d))が認められた。この結果から、本発明の頭皮頭髪用組成物(実施例3)は、頭髪に対して毛髪成長促進効果だけでなく、頭皮に潤いを付与してふけ発生を抑制する効果にも優れていることが確認された。
【0064】
表5に記載する処方に従って各成分を配合することで本発明の頭皮頭髪用組成物(pH5.5)を調製することができる。
【表5】
図1