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特開2023-87236気化装置、基板処理システム及び気化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087236
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】気化装置、基板処理システム及び気化方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/448 20060101AFI20230616BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201509
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】綾井 裕太
(72)【発明者】
【氏名】岡部 庸之
(72)【発明者】
【氏名】進藤 侑也
(72)【発明者】
【氏名】平尾 圭志
(72)【発明者】
【氏名】徳田 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 瑞貴
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA01
4K030JA10
4K030JA16
4K030KA25
4K030KA39
4K030KA41
4K030KA45
5F045DP03
5F045EE02
5F045EE07
5F045GB05
5F045GB06
(57)【要約】
【課題】気化装置内に貯留される液体の温度を高い精度で監視できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による気化装置は、筐体と、前記筐体内に設けられ、液体原料を貯留するトレイと、前記トレイの底壁に埋め込まれる温度センサと、前記液体原料を加熱するヒータと、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、液体原料を貯留するトレイと、
前記トレイの底壁に埋め込まれる温度センサと、
前記液体原料を加熱するヒータと、
を有する、気化装置。
【請求項2】
前記トレイは、前記温度センサが埋め込まれるセンサ穴を有し、
前記センサ穴は、前記筐体の外部と連通し、かつ前記筐体の内部と連通しない、
請求項1に記載の気化装置。
【請求項3】
前記センサ穴は、水平方向に延在する、
請求項2に記載の気化装置。
【請求項4】
前記ヒータは、前記トレイの前記底壁に埋め込まれる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の気化装置。
【請求項5】
前記トレイは、前記ヒータが埋め込まれるヒータ穴を有し、
前記ヒータ穴は、前記筐体の外部と連通し、かつ前記筐体の内部と連通しない、
請求項4に記載の気化装置。
【請求項6】
前記ヒータ穴は、水平方向に延在する、
請求項5に記載の気化装置。
【請求項7】
前記トレイは、多段に設けられており、
多段に設けられた前記トレイの上段から下段に向けて前記液体原料が流入する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の気化装置。
【請求項8】
前記温度センサの検出値に基づいて前記ヒータを制御する制御装置を有する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の気化装置。
【請求項9】
液体原料供給源と、
前記液体原料供給源から供給される液体原料を気化させて原料ガスを生成する気化装置と、
基板を収容し、前記気化装置で生成された前記原料ガスにより前記基板に処理が施される処理容器と、
を備え、
前記気化装置は、
筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記液体原料を貯留するトレイと、
前記トレイの底壁に埋め込まれる温度センサと、
前記液体原料を加熱するヒータと、
を有する、
基板処理システム。
【請求項10】
筐体内に設けられたトレイに液体原料を供給することと、
前記トレイの底壁に埋め込まれた温度センサの検出値に基づいて前記液体原料の温度を調整し、前記液体原料を気化させることと、
を有する、気化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気化装置、基板処理システム及び気化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のトレイに貯蔵された液体前駆体を気化させて、プロセスチャンバに気化前駆体を供給する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-110837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、気化装置内に貯留される液体の温度を高い精度で監視できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による気化装置は、筐体と、前記筐体内に設けられ、液体原料を貯留するトレイと、前記トレイの底壁に埋め込まれる温度センサと、前記液体原料を加熱するヒータと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、気化装置内に貯留される液体の温度を高い精度で監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る基板処理システムを示す概略図
図2】実施形態の第2構成例に係る気化装置を示す左側面図
図3】実施形態の第2構成例に係る気化装置を示す正面図
図4】実施形態の第2構成例に係る気化装置を示す右側面図
図5図2の1A-1A矢視断面図
図6図2の1B-1B矢視断面図
図7図3の1C-1C矢視断面図
図8図4の1D-1D矢視断面図
図9】実施形態の第1構成例に係る気化装置を示す左側面図
図10】実施形態の第1構成例に係る気化装置を示す正面図
図11】実施形態の第1構成例に係る気化装置を示す右側面図
図12図9の2A-2A矢視断面図
図13図9の2B-2B矢視断面図
図14図10の2C-2C矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理システム〕
図1を参照し、実施形態に係る基板処理システム1について説明する。
【0010】
基板処理システム1は、液体原料供給源2と、液体原料気化供給装置3と、処理容器4と、を備える。基板処理システム1は、液体原料供給源2から供給された液体原料(液体プリカーサ)を液体原料気化供給装置3に供給する。基板処理システム1は、液体原料気化供給装置3で液体原料を気化させて気化した原料ガスを処理容器4に供給することにより、処理容器4内の載置台5に載置された基板Wに所望の処理(例えば、成膜処理)を施す。
【0011】
液体原料供給源2は、液体原料を貯留し、液体原料気化供給装置3に液体原料を供給する。
【0012】
液体原料気化供給装置3は、液体原料供給源2から供給された液体原料を気化させて気化した原料ガスを貯留する。液体原料気化供給装置3は、貯留した原料ガスを処理容器4に供給する。液体原料気化供給装置3は、液体供給弁10、気化装置20、ガス流量調整装置30及び制御装置40を備える。
【0013】
液体供給弁10は、例えば開閉弁であって、液体原料供給源2から液体原料気化供給装置3に液体原料を供給する供給路に設けられている。液体供給弁10の開閉は、制御装置40によって制御される。
【0014】
気化装置20は、液体原料を気化させて原料ガスを生成し、生成した原料ガスを処理容器4に供給する。気化装置20の構成については後述する。
【0015】
ガス流量調整装置30は、圧力センサ31、流量センサ32及び流量制御弁33を備える。
【0016】
圧力センサ31は、原料ガスの圧力を検出する。圧力センサ31は、気化装置20から処理容器4に原料ガスを供給する供給路に設けられている。圧力センサ31で検出した原料ガスの圧力は、制御装置40に出力される。
【0017】
流量センサ32は、原料ガスの流量を検出する。流量センサ32は、気化装置20から処理容器4に原料ガスを供給する供給路に設けられている。流量センサ32で検出した原料ガスの流量は、制御装置40に出力される。
【0018】
流量制御弁33は、気化装置20から処理容器4に原料ガスを供給する供給路に設けられ、気化装置20から処理容器4に供給する原料ガスの流量を制御する。流量制御弁33の開度(流量)は、制御装置40によって制御される。
【0019】
制御装置40は、圧力センサ31で検出した原料ガスの圧力に基づいて、液体供給弁10の開閉を制御する。制御装置40は、流量センサ32で検出した原料ガスの流量に基づいて、流量制御弁33の開閉を制御する。
【0020】
〔気化装置〕
図2図8を参照し、実施形態の第1構成例に係る気化装置20について説明する。
【0021】
気化装置20は、筐体21、複数のトレイ22a~22d、複数の温度センサ23a~23d及び複数のヒータ24a~24dを有する。
【0022】
筐体21は、略直方体形状を有する。筐体21は、内部に気化室Aを形成する。気化室Aでは、液体原料が気化される。筐体21は、底壁21a、天壁21b、前壁21c、後壁21d、第1側壁21e及び第2側壁21fを有する。底壁21a、天壁21b、前壁21c、後壁21d、第1側壁21e及び第2側壁21fは、例えば3Dプリンティングにより一体で形成される。ただし、各々が別体で形成された後に溶接により一体とされてもよい。第1側壁21eの上部には、液体原料導入ポート21gが形成されている。液体原料導入ポート21gは、第1側壁21eを貫通して設けれ、液体原料供給源2から供給される液体原料を筐体21内の気化室Aに導入する。天壁21bには、ガス排出ポート21hが形成されている。ガス排出ポート21hは、気化室Aに貯留された原料ガスを処理容器4に供給する。筐体21は、熱伝導性が高く、かつ耐腐食性を有する材料、例えばSUS316Lにより形成される。
【0023】
複数のトレイ22a~22dは、筐体21内に多段に設けられている。各トレイ22a~22dは、液体原料を貯留する。各トレイ22a~22dに液体原料が貯留されることで気化室Aにおける液体原料の表面積が大きくなるので、気化量が向上し、大流量の原料ガスを処理容器4に供給できる。液体原料導入ポート21gから導入される液体原料は、多段に設けられた複数のトレイ22a~22dの上段から下段に向けて流入する。すなわち、液体原料導入ポート21gから導入される液体原料は、最上段のトレイ22aに導入される。最上段のトレイ22aに貯留される液体原料が仕切り22pの高さを超えると、最上段のトレイ22aから2段目のトレイ22bへと液体原料が流れ込む。2段目のトレイ22bに貯留される液体原料が仕切り22qの高さを超えると、2段目のトレイ22bから3段目のトレイ22cへと液体原料が流れ込む。3段目のトレイ22cに貯留される液体原料が仕切り22rの高さを超えると、3段目のトレイ22cから4段目のトレイ22dへと液体原料が流れ込む。
【0024】
各トレイ22a~22dは、例えば3Dプリンティングにより、前壁21c、後壁21d、第1側壁21e及び第2側壁21fと一体で形成される。ただし、各々が別体で形成された後に溶接により一体とされてもよい。各トレイ22a~22dは、例えば筐体21と同じ材料により形成される。各トレイ22a~22dの底部には、センサ穴22h及びヒータ穴22iが設けられている。
【0025】
センサ穴22hは、各トレイ22a~22dの底部内において水平方向に延在する。センサ穴22hは、筐体21の外部(大気側)に連通し、気化室Aに連通しないように形成される。センサ穴22hは、例えば一端22h1及び他端22h2が筐体21の外部(大気側)に連通する通し穴である(図6参照)。ただし、センサ穴22hは、一端22h1及び他端22h2のいずれか一方が閉塞する止まり穴であってもよい。また、センサ穴22hは、各トレイ22a~22dの底部に複数設けられていてもよい。
【0026】
ヒータ穴22iは、各トレイ22a~22dの底部内にセンサ穴22hとは別に設けられる。ヒータ穴22iは、各トレイ22a~22dの底部内において水平方向に延在する。ヒータ穴22iは、各トレイ22a~22dの底部内におけるセンサ穴22hの下方に形成される。ただし、ヒータ穴22iは、各トレイ22a~22dの底部内におけるセンサ穴22hの上方に形成されてもよい。また、ヒータ穴22iとセンサ穴22hとが1つの共通の穴であってもよい。ヒータ穴22iは、筐体21の外部に連通し、気化室Aに連通しないように形成される。ヒータ穴22iは、例えば止まり穴である(図8参照)。ただし、ヒータ穴22iは、通し穴であってもよい。また、ヒータ穴22iは、各トレイ22a~22dの底部に複数設けられていてもよい。
【0027】
温度センサ23a~23dは、トレイ22a~22dの底部に設けられるセンサ穴22hに設置される。これにより、各トレイ22a~22dに貯留される液体原料の温度に限りなく近い温度を検出できる。そのため、各トレイ22a~22dに貯留される液体原料の温度を高い精度で監視できる。温度センサ23a~23dは、例えば熱電対、測温抵抗体であってよい。温度センサ23a~23dが検出した温度は、制御装置40に出力される。
【0028】
ヒータ24a~24dは、トレイ22a~22dの底部に設けられるヒータ穴22iに設置される。これにより、広い加温面積が得られ、かつ各トレイ22a~22dに貯留される液体原料に限りなく近い位置から加温ができる。そのため、効率よく液体原料を加熱できる。ヒータ24a~24dは、例えば窒化アルミヒータ、スペースヒータ、カートリッジヒータであってよい。ヒータ24a~24dの出力は、制御装置40によって制御される。制御装置40は、各温度センサ23a~23dの検出値に基づいて、各ヒータ24a~24dの出力を制御する。一例としては、制御装置40は、各温度センサ23a~23dが検出した温度が設定温度を保持するように、各ヒータ24a~24dの出力を独立して制御する。設定温度は、各トレイ22a~22dで同じ設定温度にしてもよく、異なる設定温度にしてもよい。ガス排出ポート21hに近い上段のトレイ22aでは、内部圧力が低く液体原料が気化しやすい傾向がある。そのため、各トレイ22a~22dの液体原料が均等に消費されるように、トレイ22aからトレイ22dに向けて温度が高くなるように設定するのが望ましい。
【0029】
以上に説明した第1構成例に係る気化装置20によれば、トレイ22a~22dの底部に温度センサ23a~23dが埋め込まれている。これにより、各トレイ22a~22dに貯留される液体原料の温度に限りなく近い温度を検出できる。そのため、各トレイ22a~22dに貯留される液体原料の温度を高い精度で監視できる。
【0030】
また、実施形態の第1構成例に係る気化装置20によれば、トレイ22a~22dの底部にヒータ24a~24dが埋め込まれている。これにより、広い加温面積が得られ、かつ各トレイ22a~22dに貯留される液体原料に限りなく近い位置から加温ができる。そのため、効率よく液体原料を加熱できる。
【0031】
また、第1構成例に係る気化装置20によれば、制御装置40が、各温度センサ23a~23dが検出した温度が設定温度を保持するように、各ヒータ24a~24dの出力を独立して制御する。これにより、トレイ22a~22dごとに液体原料の温度を調整できる。
【0032】
なお、第1構成例に係る気化装置20では、トレイ22a~22dの底部に温度センサ23a~23d及びヒータ24a~24dが埋め込まれる場合を説明したが、これに限定されない。例えば、複数のトレイ22a~22dのうちの少なくとも1つに温度センサ及びヒータが埋め込まれていればよい。
【0033】
また、第1構成例に係る気化装置20では、4つのトレイ22a~22dが多段に設けられる場合を説明したが、これに限定されない。トレイの数は1つや2つであってもよく、5つ以上であってもよい。
【0034】
図9図14を参照し、実施形態の第2構成例に係る気化装置20Aについて説明する。
【0035】
気化装置20Aは、気化装置20における複数のヒータ24a~24dに代えてヒータ25を有する点で、気化装置20と異なる。以下、気化装置20と異なる点を中心に説明する。
【0036】
気化装置20Aは、筐体21、複数のトレイ22a~22d、複数の温度センサ23a~23d及びヒータ25を有する。
【0037】
ヒータ25は、筐体21の周囲に設けられている。ヒータ25は、筐体21の周囲から各トレイ22a~22dに貯留される液体原料を加温する。ヒータ25は、例えばマントルヒータであってよい。ヒータ25の出力は、制御装置40によって制御される。制御装置40は、各温度センサ23a~23dの検出値のいずれか1つ或いは各温度センサ23a~23dの検出値の平均値に基づいて、ヒータ25の出力を制御する。一例としては、制御装置40は、各温度センサ23a~23dが検出した温度が設定温度を保持するように、ヒータ25の出力を制御する。なお、ヒータ25は、各トレイ22a~22dの高さ位置に合わせて複数に分割されてもよい。
【0038】
以上に説明した第2構成例に係る気化装置20Aによれば、気化装置20と同様に、トレイ22a~22dの底部に温度センサ23a~23dが埋め込まれている。これにより、各トレイ22a~22dに貯留される液体原料の温度に限りなく近い温度を検出できる。そのため、各トレイ22a~22dに貯留される液体原料の温度を高い精度で監視できる。
【0039】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
20,20A 気化装置
21 筐体
22a~22d トレイ
23a~23d 温度センサ
24a~24d ヒータ
25 ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14