(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087436
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】鼻腔粘膜適用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/534 20060101AFI20230616BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230616BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20230616BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20230616BHJP
A61K 31/34 20060101ALI20230616BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20230616BHJP
A61K 31/23 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61K36/534
A61P25/20
A61K31/045
A61K31/122
A61K31/34
A61K31/015
A61K31/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201810
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 貴史
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA05
4C086BA08
4C086MA01
4C086MA03
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4C086NA14
4C086ZA05
4C088AB38
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4C088MA17
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4C088NA14
4C088ZA05
4C206AA01
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4C206CB15
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4C206DB51
4C206KA01
4C206KA03
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4C206MA01
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA79
4C206NA14
4C206ZA05
(57)【要約】
【課題】本発明は、睡眠障害を改善できる新たな天然物由来成分の用途を提供することを目的とする。
【解決手段】ハッカ属植物の抽出物を含有し、睡眠障害の予防及び/又は改善に用いられる、鼻腔粘膜適用組成物は、睡眠障害の予防及び/又は改善に有効である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハッカ属植物の抽出物を含有し、睡眠障害の予防及び/又は改善に用いられる、鼻腔粘膜適用組成物。
【請求項2】
前記ハッカ属植物が、ペパーミント、スペアミント、ラベンダーミント、ベルガモットミント、及び薄荷からなる群より選択される、請求項1に記載の鼻腔粘膜適用組成物。
【請求項3】
前記抽出物が、メントール、メントン、メントフラン、リモネン、ピネン、カルボン、ジヒドロカルボン、酢酸テルピニル、及びシネオールからなる群より選択される成分を含む、請求項1又は2に記載の鼻腔粘膜適用組成物。
【請求項4】
鼻腔内洗浄用組成物である、請求項1~3のいずれかに記載の鼻腔内の鼻腔粘膜適用組成物。
【請求項5】
前記睡眠障害が、呼吸器疾患を原因としない睡眠障害である、請求項1~4のいずれかに記載の鼻腔粘膜適用組成物。
【請求項6】
前記睡眠障害が、耳鼻科疾患を原因としない睡眠障害である、請求項1~5のいずれかに記載の鼻腔粘膜適用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠障害の予防及び/又は改善に用いられる鼻腔粘膜適用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本人の5人に1人が何らかの睡眠障害を抱え、60歳以上では約3人に1人に及ぶといわれており、睡眠障害はもはや国民病ともいえる問題となっている。
【0003】
睡眠障害に対しては、一般的に薬物療法が選択される。薬物療法は、医師の処方の元で慎重に適用される必要があるためハードルが高く、また、副作用の懸念のため長期の使用を忌避する傾向もある。
【0004】
そこで、天然物由来成分による睡眠障害の改善が検討されてきた。特に、酢酸リナリルを主成分とするラベンダーの睡眠改善への活用に関する報告が多い(例えば、非特許文献1、特許文献1等)
【0005】
一方、植物由来の芳香成分については睡眠への作用以外にも様々な生理学的作用も知られている。例えば、メントールやハッカ油の製造原料となる薄荷には、興奮作用があること(非特許文献2)等が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】芳香温浴が睡眠中の心臓自律神経活動に及ぼす影響,日本温泉気候物理医学会雑誌,64(2), 87-92 (2001)
【非特許文献2】新常用和漢薬集,“ハッカ(薄荷)”,[online],平成31年3月16日,公益社団法人 東京生薬協会,[令和3年12月7日検索],インターネット<URL: https://www.tokyo-shoyaku.com/wakan.php?id=196>
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ラベンダーを代表とする天然物由来の成分の睡眠への効能は広く受け入れられている。一方で、天然物由来の成分は特有の芳香があり個人間で嗜好の差が大きく、当該成分自体の匂いを好まない人にとってはかえってストレスにもなるため、効果的に睡眠への改善作用が得られない場合もある。このため、睡眠障害の改善に用いられる天然物由来成分として、さらなる選択肢が望まれる。
【0009】
そこで、本発明は、睡眠障害を改善できる新たな天然物由来成分の用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は鋭意検討の結果、一般的に興奮作用があるハッカ属植物の抽出物に、予想外にも、睡眠障害を改善する効果があることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0011】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ハッカ属植物の抽出物を含有し、睡眠障害の予防及び/又は改善に用いられる、鼻腔粘膜適用組成物。
項2. 前記ハッカ属植物が、ペパーミント、スペアミント、ラベンダーミント、ベルガモットミント、及び薄荷からなる群より選択される、項1に記載の鼻腔粘膜適用組成物。
項3. 前記抽出物が、メントール、メントン、メントフラン、リモネン、ピネン、カルボン、ジヒドロカルボン、酢酸テルピニル、及びシネオールからなる群より選択される成分を含む、項1又は2に記載の鼻腔粘膜適用組成物。
項4. 鼻腔内洗浄用組成物である、項1~3のいずれかに記載の鼻腔内の鼻腔粘膜適用組成物。
項5. 前記睡眠障害が、呼吸器疾患を原因としない睡眠障害である、項1~4のいずれかに記載の鼻腔粘膜適用組成物。
項6. 前記睡眠障害が、耳鼻科疾患を原因としない睡眠障害である、項1~5のいずれかに記載の鼻腔粘膜適用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、睡眠障害を改善できる新たな天然物由来成分の用途が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の鼻腔粘膜適用組成物は、ハッカ属植物の抽出物を含有し、睡眠障害の予防及び/又は改善に用いられることを特徴とする。以下、本発明の鼻腔粘膜適用組成物について詳述する。
【0014】
ハッカ属植物の抽出物
ハッカ属植物は特に限定されるものではないが、例えば、ペパーミント、スペアミント、ラベンダーミント、ベルガモットミント、及び薄荷が挙げられる。
【0015】
本発明において、ハッカ属植物の抽出物としては、上記の植物のうち1種の植物の抽出物を単独で用いてもよいし、2種以上の植物それぞれの抽出物を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
ハッカ属植物の抽出物は、上記植物の葉を原料とし、水蒸気蒸留又は溶剤抽出することにより得ることができる。水蒸気蒸留による抽出物の場合、加熱によって発生する高温水蒸気(気体)を原料に当て、必要とする高沸点物質の沸点を下げて留出させることで得られる抽出(精油)が挙げられる。溶剤抽出による抽出物の場合、例えば、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、メチレンクロライド、エチレンジクロライド、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール等の低級一価アルコール;アセトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒等の抽出溶媒を用いて抽出処理し、溶媒を除去することで得られる抽出物が挙げられる。これらの抽出物の中でも、睡眠障害の予防及び/又は改善効果を向上させる観点から、ハッカ属植物の抽出物は、水蒸気蒸留により得られる抽出物(精油)であることが好ましい。
【0017】
ハッカ属植物の抽出物は、上記の植物に由来する成分を特に制限なく含んでよい。例えば、ハッカ属植物の抽出物には、メントール、メントン、メントフラン、リモネン、ピネン、カルボン、ジヒドロカルボン、酢酸テルピニル、及びシネオールからなる群より選択される成分が含まれる。睡眠障害の予防及び/又は改善効果を向上させる観点から、ハッカ属植物の抽出物は、メントール、メントン、メントフラン及びシネオールを含むことが好ましく、ハッカ属植物の抽出物100重量部当たり、10~50重量部のメントール、0.5~5重量部のメントン、10~50重量部のメントフラン、及び2~10重量部のシネオールを含むことがより好ましい。
【0018】
上記のハッカ属植物の抽出物の中でも、睡眠障害の予防及び/又は改善効果を向上させる観点から、特に好ましくは、ペパーミントの水蒸気蒸留による抽出物(ペパーミント油)が挙げられ、最も好ましくは、ペパーミント油100重量部当たり、20~40重量部のメントール、2~4重量部のメントン、20~30重量部のメントフラン、及び4~9重量部のシネオールを含むペパーミント油が挙げられる。
【0019】
本発明の鼻腔粘膜適用組成物におけるハッカ属植物の抽出物の含有量については、付与すべき睡眠障害の予防及び/又は改善効果の程度に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.0005~0.1重量%、好ましくは0.001~0.01重量%、より好ましくは0.002~0.006重量%が挙げられる。なお、ハッカ属植物の抽出物の含有量とは、ハッカ属植物由来成分のみの含有量を意味し、当該抽出物に、抽出操作に用いた溶媒等の、ハッカ属植物由来成分以外の他の成分が含まれる場合、当該他の成分の含有量を除外した量を意味する。
【0020】
他の成分
本発明の鼻腔粘膜適用組成物には、上記のハッカ属植物の抽出物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、製剤化等に必要とされる他の基剤及び/又は添加剤が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、水、炭素数1~5の一価低級アルコール、多価アルコール、界面活性剤、等張化剤、防腐剤、着色剤、粘稠剤、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤、安定化剤、酸化防止剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。
【0021】
これらの基材や添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの基剤や添加剤の含有量は、製剤形態等に応じて適宜設定することができる。
【0022】
上記の界面活性剤としては、具体的には非イオン性界面活性剤が挙げられ、より具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル又はアラキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。上記のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。上記のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおける酸化エチレン(EO)の平均付加モル数としては特に限定されないが、例えば5~40モル、好ましくは10~30モル、より好ましくは15~25モル、さらに好ましくは18~22モルが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの界面活性剤の中でも、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、さらに好ましくは、酸化エチレン(EO)の付加モル数が18~22モルのモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリオキシエチレン(18~22)ソルビタンモノオレート)が挙げられる。本発明の鼻腔粘膜適用組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量としては、例えば0.02~0.12重量%、好ましくは0.04~0.09重量%、より好ましくは0.05~0.08重量%が挙げられる。
【0023】
本発明の鼻腔粘膜適用組成物には、前記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の薬理成分を含有していてもよい。このような薬理成分としては、例えば、ビタミン類、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、粘膜保護剤、血行促進成分、清涼化剤、ムコ多糖類等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの薬理成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0024】
形態
本発明の鼻腔粘膜適用組成物の形態については、鼻腔内粘膜に適用可能な形態であれば特に限定されず、液剤、及び半固形剤(軟膏剤、ゲル剤等)が挙げられ、好ましくは、液剤が挙げられる。
【0025】
用途
本発明の鼻腔粘膜適用組成物は、睡眠障害の予防及び/又は改善に用いられる。本発明において、「睡眠障害」とは、ピッツバーグ睡眠質問票の総合得点(PSQIG)が5.5以上である状態を指す。好ましくは、本発明において、睡眠障害は、呼吸器疾患を原因としない睡眠障害、及び/又は、耳鼻科疾患を原因としない睡眠障害である。
【0026】
本発明の鼻腔粘膜適用組成物は睡眠障害の改善効果に優れるため、睡眠障害の程度が大きくても効果的な改善を見込める。このような観点から、本発明における睡眠障害の好適な程度としては、PSQIGが7以上、好ましくは8以上、より好ましくは8.5以上が挙げられる。
【0027】
より具体的には、本発明の鼻腔粘膜適用組成物は、睡眠の質の向上、入眠時間(入眠するまでにかかる時間)の短縮、睡眠時間の延長、睡眠効率の向上、睡眠困難性の改善、睡眠剤の使用頻度の低減、及び/又は日中覚醒困難性の改善に用いることができる。
【0028】
用量・用法
本発明の鼻腔粘膜適用組成物は、鼻腔内の粘膜に適用して使用される。具体的な適用形態としては、本発明の鼻腔粘膜適用組成物と鼻腔内粘膜とが接触する形態であれば特に限定されず、例えば、洗浄、噴霧及び塗布等が挙げられるが、好ましくは洗浄が挙げられる。このため、本発明の鼻腔粘膜適用組成物は鼻腔内洗浄用組成物として用いられることが好ましい。
【0029】
本発明の鼻腔粘膜適用組成物の具体的な使用方法としては、適用による効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、鼻腔内に直接流し込んで洗浄する方法、スプレー等で粘膜に噴霧する方法、治具を用いて直接粘膜に塗布する方法等が挙げられる、好ましくは、鼻腔内に直接流し込んで洗浄する方法が挙げられる。鼻腔内に直接流し込んで洗浄する方法としては、さらに具体的には、鼻腔内洗浄用組成物として調製された鼻腔粘膜適用組成物を鼻腔に流しこみ口から吐き出す方法、及び鼻腔内洗浄用組成物として調製された鼻腔粘膜適用組成物を一方の鼻腔に流しこみ他方の鼻腔から吐き出す方法等が挙げられる。
【0030】
本発明の鼻腔粘膜適用組成物の投与量としては、付与すべき睡眠障害の予防及び/又は改善効果の程度、年齢等に応じて適宜設定されるが、例えば、1日当たり鼻腔粘膜に適用されるハッカ属植物の抽出物の量に換算して、例えば5~100mg、好ましくは10~80mg、より好ましくは20~60mgが挙げられる。
【0031】
また、本発明の鼻腔粘膜適用組成物を鼻腔粘膜に適用するタイミングについては特に制限されず、例えば、起床時、外出前、帰宅時、入浴前、就寝前等、が挙げられる。
【0032】
本発明の鼻腔粘膜適用組成物は、睡眠障害の予防及び/又は改善を効果的に得るために、継続的に適用することが好ましい。例えば、本発明の鼻腔粘膜適用組成物は、2週間以上、好ましくは3週間以上、より好ましくは4週間以上連続適用することができる。
【実施例0033】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
試験例
表1に示す組成の被験サンプルを鼻洗浄組成物の形態で調製した。なお、表1に示すペパーミント香料材料は、ペパーミント油(ペパーミントの葉の水蒸気蒸留で得られた精油)7.33重量%、エタノール52.0重量%、グリセリン脂肪酸エステル0.2重量%、抽出トコフェロール0.07重量%、及び精製水40.4重量%を含み、ペパーミント香料100重量部当たり、メントール30重量部(香料材料中2.2重量%)、メントフラン25重量部(香料材料中1.8重量%)、シネオール(1,8-シネオール)6重量部(香料材料中0.44重量%)、及びメントン3重量部(香料材料中0.22重量%)を含む。
【0035】
【0036】
睡眠障害症状を自覚し、鼻洗浄を常用しておらず、呼吸器疾患及び耳鼻科疾患に罹患していない被験者22名を2群(比較例群11名、実施例群11名)に分けた。比較例群及び実施例群にそれぞれ、比較例及び実施例の鼻洗浄組成物を用い、起床後と就寝前の1日2回の頻度で4週間、両鼻腔に対して鼻洗浄させた。1回当たりの鼻洗浄組成物の使用量は、50mlとした。試験開始前と4週間の試験終了時とにおいて、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)による評価を行った。表2に、ピッツバーグ睡眠質問票の総合スコア(PSQIG)の平均値について小数点第3位を四捨五入した値示す。PSQIGが5.5以上の場合に睡眠障害ありとみなされる。
【0037】
【0038】
また、表3に、PSQIの各項目のスコアの改善率を示す。スコアの改善率は、以下の式に基づいて導出した値の小数点第一を四捨五入して算出した。
【0039】
【0040】
【0041】
表2から明らかな通り、実施例の鼻洗浄組成物を適用することで、PSQIGが5.5を下回り、睡眠障害が改善されたことが認められた。また、表3に示す通り、PSQIの各スコアのいずれも顕著に改善されたことが認められた。