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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087513
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】コンパレータ
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/08 20060101AFI20230616BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
H03K5/08
H03F3/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201933
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晴彦
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA51
5J500AC36
5J500AC65
5J500AC81
5J500AF10
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH39
5J500AK02
5J500AK04
5J500AK05
5J500AK09
5J500AK17
5J500AM20
5J500AT01
5J500DN01
5J500DN12
5J500DN22
5J500DN23
(57)【要約】
【課題】回路電流を増加させることなく、応答特性を改善したコンパレータを提供する。
【解決手段】差動入力部2が、定電流源21及び定電流源22と、定電流源21及び定電流源22からの電流が供給される差動トランジスタM1及び差動トランジスタM2とを有する。出力部3が、トランジスタから構成され、差動トランジスタM1及び差動トランジスタM2に流れる電流の比較結果を出力する。電流制御部4が、出力部3の出力が反転する遷移期間にのみ定電流源22から差動トランジスタM1及び差動トランジスタM2に電流を供給させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電流源及び第2の電流源と、前記第1の電流源及び前記第2の電流源からの電流が供給され、第1の入力電位及び第2の入力電位に応じた電流比の電流が各々流れる第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタとを有する差動入力部と、
トランジスタから構成され、前記第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタに流れる電流の比較結果を出力する出力部と、
前記出力部の出力が反転する遷移期間にのみ前記第2の電流源から前記第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタに電流を供給させる電流制御部とを備えた、
コンパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンパレータにおいて、
前記出力部は、互いに反転した比較結果を出力する第1の出力回路及び第2の出力回路を有し、
前記電流制御部は、前記第2の電流源と前記第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタの間に直列接続された第3のトランジスタ及び第4のトランジスタを有し、
前記第3のトランジスタのゲート又はベースが前記第1の出力回路の出力に接続され、
前記第4のトランジスタのゲート又はベースが前記第2の出力回路の出力に接続された、
コンパレータ。
【請求項3】
請求項2に記載のコンパレータにおいて、
前記第1の出力回路は、前記第1の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第5のトランジスタと、前記第2の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第6のトランジスタとを有し、前記第6のトランジスタが出力段を構成し、
前記第2の出力回路は、前記第1の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第7のトランジスタと、前記第2の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第8のトランジスタとを有し、前記第7のトランジスタが出力段を構成する、
コンパレータ。
【請求項4】
請求項3に記載のコンパレータにおいて、
前記差動入力部が、前記第1の差動トランジスタに直列接続された第9の負荷トランジスタと、前記第2の差動トランジスタに直列接続された第10の負荷トランジスタとを有し、
前記第5のトランジスタ及び前記第7のトランジスタが、前記第9の負荷トランジスタにカレントミラー接続され、
前記第6のトランジスタ及び前記第8のトランジスタが、前記第10の負荷トランジスタにカレントミラー接続され、
前記第1の出力回路が、前記第5のトランジスタに直列接続された第11のトランジスタと、前記第11のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第11のトランジスタに流れる電流を折り返す第12のトランジスタとを有し、前記第6のトランジスタ及び前記第12のトランジスタが直列接続され、その接続点が出力となり、
前記第2の出力回路が、前記第8のトランジスタに直列接続された第13のトランジスタと、前記第13のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第13のトランジスタに流れる電流を折り返す第14のトランジスタとを有し、前記第7のトランジスタ及び前記第14のトランジスタが直列接続され、その接続点が出力となる、
コンパレータ。
【請求項5】
請求項4に記載のコンパレータにおいて、
前記電流制御部は、前記第6のトランジスタ及び前記第12のトランジスタの間にダイオード接続された第15のトランジスタと、前記第7のトランジスタ及び前記第14のトランジスタの間にダイオード接続された第16のトランジスタとを有し、
前記第3のトランジスタのゲート又はベースが、前記第15のトランジスタのゲート又はベースに接続され、
前記第4のトランジスタのゲート又はベースが、前記第16のトランジスタのゲート又はベースが接続された、
コンパレータ。
【請求項6】
請求項2~5の何れか1項に記載のコンパレータにおいて、
前記第1の出力回路の出力及び前記第2の出力回路の出力が各々接続され、出力信号を出力する出力バッファ回路を有する
コンパレータ。
【請求項7】
請求項6に記載のコンパレータにおいて、
前記出力バッファ回路は、前記第1の出力回路の出力がゲート又はベースに接続された第17のトランジスタと、前記第2の出力回路の出力がゲート又はベースに接続された第18のトランジスタとを有し、前記第17のトランジスタ及び前記第18のトランジスタの閾値電圧が、前記出力部を構成するトランジスタの少なくとも1つの閾値電圧よりも低い、
コンパレータ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のコンパレータにおいて、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上が電界効果トランジスタから構成されている、
コンパレータ。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のコンパレータにおいて、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上がバイポーラトランジスタから構成されている、
コンパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因は、COのような温暖効果ガスの濃度上昇により、大気の温室効果が強まったことによると考えられており、通信情報化社会の急速な進展に伴い、電子機器の低消費電力化も大きな課題になってきている。電子機器には多くの半導体集積回路が使用されており、半導体集積回路に幅広く使われるコンパレータは、応答速度と消費電流が主要な性能として挙げられる。コンパレータの応答速度と消費電流は反比例の関係にあることから、消費電流を増加させずに入力信号に対する応答特性を改善し、地球温暖化の抑制に貢献しようとするものである。
【0003】
半導体集積回路に用いられるコンパレータとして、図4に示すような回路が知られている(例えば特許文献1、2など参照)。図4に示されているコンパレータ100は、差動入力部101と、出力部102と、出力バッファ回路103を主たる構成要素として構成される。
【0004】
差動入力部101は、ソースが共通接続された差動トランジスタM1,M2と、そのドレインに各々接続された負荷トランジスタM3,M4と、トランジスタM1,M2の共通ソースと正電源電圧VDDとの間に接続された定電流源21とにより構成されている。
【0005】
出力部102は、負荷トランジスタM3,M4と各々カレントミラー接続されたトランジスタM5,M6と、そのドレインと正電源電圧VDDとの間に各々接続されたトランジスタM7,M8とから成る。トランジスタM7,M8をカレントミラー接続して、トランジスタM6のドレインとトランジスタM8のドレインとの接続ノードより、出力バッファ回路103を介して出力を取り出すように構成されている。
【0006】
上述した従来のコンパレータ100は、応答特性を改善するためには、回路電流を増加させないといけないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5141289号公報
【特許文献2】特開平7-245552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路電流を増加させることなく、応答特性を改善したコンパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコンパレータは、下記[1]~[9]を特徴としている。
[1]
第1の電流源及び第2の電流源と、前記第1の電流源及び前記第2の電流源からの電流が供給され、第1の入力電位及び第2の入力電位に応じた電流比の電流が各々流れる第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタとを有する差動入力部と、
トランジスタから構成され、前記第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタに流れる電流の比較結果を出力する出力部と、
前記出力部の出力が反転する遷移期間にのみ前記第2の電流源から前記第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタに電流を供給させる電流制御部とを備えた、
コンパレータであること。
[2]
[1]に記載のコンパレータにおいて、
前記出力部は、互いに反転した比較結果を出力する第1の出力回路及び第2の出力回路を有し、
前記電流制御部は、前記第2の電流源と前記第1の差動トランジスタ及び第2の差動トランジスタの間に直列接続された第3のトランジスタ及び第4のトランジスタを有し、
前記第3のトランジスタのゲート又はベースが前記第1の出力回路の出力に接続され、
前記第4のトランジスタのゲート又はベースが前記第2の出力回路の出力に接続された、
コンパレータであること。
[3]
[2]に記載のコンパレータにおいて、
前記第1の出力回路は、前記第1の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第5のトランジスタと、前記第2の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第6のトランジスタとを有し、前記第6のトランジスタが出力段を構成し、
前記第2の出力回路は、前記第1の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第7のトランジスタと、前記第2の差動トランジスタに流れる電流を折り返す第8のトランジスタとを有し、前記第7のトランジスタが出力段を構成する、
コンパレータであること。
[4]
[3]に記載のコンパレータにおいて、
前記差動入力部が、前記第1の差動トランジスタに直列接続された第9の負荷トランジスタと、前記第2の差動トランジスタに直列接続された第10の負荷トランジスタとを有し、
前記第5のトランジスタ及び前記第7のトランジスタが、前記第9の負荷トランジスタにカレントミラー接続され、
前記第6のトランジスタ及び前記第8のトランジスタが、前記第10の負荷トランジスタにカレントミラー接続され、
前記第1の出力回路が、前記第5のトランジスタに直列接続された第11のトランジスタと、前記第11のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第11のトランジスタに流れる電流を折り返す第12のトランジスタとを有し、前記第6のトランジスタ及び前記第12のトランジスタが直列接続され、その接続点が出力となり、
前記第2の出力回路が、前記第8のトランジスタに直列接続された第13のトランジスタと、前記第13のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第13のトランジスタに流れる電流を折り返す第14のトランジスタとを有し、前記第7のトランジスタ及び前記第14のトランジスタが直列接続され、その接続点が出力となる、
コンパレータであること。
[5]
[4]に記載のコンパレータにおいて、
前記電流制御部は、前記第6のトランジスタ及び前記第12のトランジスタの間にダイオード接続された第15のトランジスタと、前記第7のトランジスタ及び前記第14のトランジスタの間にダイオード接続された第16のトランジスタとを有し、
前記第3のトランジスタのゲート又はベースが、前記第15のトランジスタのゲート又はベースに接続され、
前記第4のトランジスタのゲート又はベースが、前記第16のトランジスタのゲート又はベースが接続された、
コンパレータであること。
[6]
[2]~[5]の何れか1項に記載のコンパレータにおいて、
前記第1の出力回路の出力及び前記第2の出力回路の出力が各々接続され、出力信号を出力する出力バッファ回路を有する
コンパレータであること。
[7]
[6]に記載のコンパレータにおいて、
前記出力バッファ回路は、前記第1の出力回路の出力がゲート又はベースに接続された第17のトランジスタと、前記第2の出力回路の出力がゲート又はベースに接続された第18のトランジスタとを有し、前記第17のトランジスタ及び前記第18のトランジスタの閾値電圧が、前記出力部を構成するトランジスタの少なくとも1つの閾値電圧よりも低い、
コンパレータであること。
[8]
[1]~[7]の何れか1項に記載のコンパレータにおいて、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上が電界効果トランジスタから構成されている、
コンパレータであること。
[9]
[1]~[8]の何れか1項に記載のコンパレータにおいて、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上がバイポーラトランジスタから構成されている、
コンパレータであること。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路電流を増加させることなく、応答特性を改善したコンパレータを提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態における本発明のコンパレータを示す回路図である。
図2図2は、第2実施形態における本発明のコンパレータを示す回路図である。
図3図3は、第3実施形態における本発明のコンパレータを示す回路図である。
図4図4は、従来のコンパレータの一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態のコンパレータ1について図1を参照して説明する。同図に示すように、コンパレータ1は、反転入力端子T11に入力された反転入力電位(=第1の入力電位)と非反転入力端子T12に入力された非反転入力電位(=第2の入力電位)とを比較し、その比較結果を出力端子T3から出力する。コンパレータ1は、差動入力部2と、出力部3と、電流制御部4と、出力バッファ回路5とを備えている。
【0015】
差動入力部2は、ソースが共通接続された差動トランジスタM1(=第1の差動トランジスタ)、差動トランジスタM2(=第2の差動トランジスタ)と、負荷トランジスタM3(=第9の負荷トランジスタ)、負荷トランジスタM4(=第10の負荷トランジスタ)と、定電流源21(第1の電流源),定電流源22(=第2の電流源)とを備える。
【0016】
差動トランジスタM1,M2は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。差動トランジスタM1のゲートは、反転入力端子T11に接続され、差動トランジスタM2のゲートは、非反転入力端子T12に接続されている。差動トランジスタM1,M2のソースは共通接続され、定電流源21,22に接続されている。
【0017】
負荷トランジスタM3,M4は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。負荷トランジスタM3は、差動トランジスタM1に直列接続されている。詳しく説明すると、負荷トランジスタM3は、ドレインが差動トランジスタM1のドレインに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。負電源端子T22には負電源電圧VSSが供給されている。負荷トランジスタM4は、差動トランジスタM2に直列接続されている。詳しく説明すると、負荷トランジスタM4は、ドレインが差動トランジスタM2のドレインに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。負荷トランジスタM3,M4は、それぞれのゲートとドレインが接続されている。
【0018】
定電流源21,22は、正電源端子T21と共通接続された差動トランジスタM1,M2のソースとの間に並列接続される。正電源端子T21には、正電源電圧VDDが供給されている。差動入力部2は、定電流源21,22が供給する電流(I1+I2)を差動トランジスタM1,M2に分流する。差動トランジスタM1,M2に流れる電流の電流比(分流比)は、反転入力電位INM、非反転入力電位INPに応じた値となる。
【0019】
出力部3は、差動トランジスタM1及び差動トランジスタM2に流れる電流の比較結果を出力する。本実施形態では、出力部3は、出力回路31(=第1の出力回路)と、出力回路32(=第2の出力回路)とを有している。出力回路31及び出力回路32は、互いに反転した比較結果を出力する。
【0020】
詳しく説明すると、差動トランジスタM2に流れる電流が差動トランジスタM1に流れる電流よりも大きい場合、出力回路31はLow状態(=負電源電圧VSS)を出力し、出力回路32はHigh状態(=正電源電圧VDD)を出力する。一方、差動トランジスタM1に流れる電流が差動トランジスタM2に流れる電流よりも大きい場合、出力回路31はHigh状態を出力し、出力回路32はLow状態を出力する。
【0021】
まず、出力回路31について説明する。出力回路31は、トランジスタM51,トランジスタM61と、トランジスタM71,トランジスタM81とを有している。トランジスタM51,M61は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM51は、ゲートが負荷トランジスタM3のゲート、ドレインに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。すなわち、トランジスタM51は、負荷トランジスタM3にカレントミラー接続され、負荷トランジスタM3に流れる電流をコピーして折り返す。トランジスタM61は、ゲートが負荷トランジスタM4のゲート、ドレインに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。すなわち、トランジスタM61は、負荷トランジスタM4にカレントミラー接続され、負荷トランジスタM4に流れる電流をコピーして折り返す。
【0022】
トランジスタM71,M81は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM71,M81は、ソースが共通接続され、正電源端子T21に接続される。トランジスタM71のドレインは、トランジスタM51のドレインに接続され、トランジスタM71とトランジスタM51とは直列接続されている。また、トランジスタM81は、ゲートがトランジスタM71のゲート、ドレインに接続されている。すなわち、トランジスタM81は、トランジスタM71にカレントミラー接続され、トランジスタM71に流れる電流をコピーして折り返す。
【0023】
トランジスタM81のドレインが、トランジスタM61のドレインに接続され、トランジスタM81とトランジスタM61とが直列接続され、出力段を構成する。このトランジスタM61とトランジスタM81との接続ノードAが出力回路31の出力となる。
【0024】
次に、出力回路32について説明する。出力回路32は、トランジスタM52,トランジスタM62と、トランジスタM72,トランジスタM82とを有している。トランジスタM52,M62は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM52は、ゲートが負荷トランジスタM3のゲート、ドレインに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。すなわち、トランジスタM52は、負荷トランジスタM3にカレントミラー接続され、負荷トランジスタM3に流れる電流をコピーして折り返す。トランジスタM62は、ゲートが負荷トランジスタM4のゲート、ドレインに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。すなわち、トランジスタM62は、負荷トランジスタM4にカレントミラー接続され、負荷トランジスタM4に流れる電流をコピーして折り返す。
【0025】
トランジスタM72,M82は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM72,M82は、ソースが共通接続され、正電源端子T21に接続される。トランジスタM82のドレインは、トランジスタM62のドレインに接続され、トランジスタM82とトランジスタM62とは直列接続されている。また、トランジスタM72は、ゲートがトランジスタM82のゲート、ドレインに接続されている。すなわち、トランジスタM72は、トランジスタM82にカレントミラー接続され、トランジスタM82に流れる電流をコピーして折り返す。
【0026】
トランジスタM72のドレインが、トランジスタM52のドレインに接続され、トランジスタM72とトランジスタM52とが直列接続される。このトランジスタM72とトランジスタM52との接続ノードBが出力回路32の出力となる。
【0027】
電流制御部4は、出力回路31,32の出力が反転する遷移期間のみに定電流源22から差動トランジスタM1及び差動トランジスタM2に電流を供給させる。電流制御部4は、トランジスタM91,M92を有している。トランジスタM91,M92は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM91,M92は、定電流源22と差動トランジスタM1,M2のソースとの間に直列接続されている。トランジスタM91は、ソースが定電流源22に接続され、ドレインがトランジスタM92のソースに接続され、ゲートが接続ノードAに接続されている。トランジスタM92は、ソースがトランジスタM91のドレインに接続され、ドレインが差動トランジスタM1,M2のソースに接続され、ゲートが接続ノードBに接続されている。
【0028】
出力バッファ回路5は、接続ノードA、Bが各々接続され、出力信号VOUTを出力する。出力バッファ回路5は、トランジスタM11~M16と、インバータ回路51とを有している。トランジスタM11,M12は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM11は、ゲートが接続ノードAに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。トランジスタM12は、ゲートが接続ノードBに接続され、ソースが負電源端子T22に接続されている。
【0029】
トランジスタM13~M16は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM13は、ソースが正電源端子T21に接続され、ドレインが後述するトランジスタM15のソースに接続され、ゲートがトランジスタM12のドレインに接続されている。トランジスタM14は、ソースが正電源端子T21に接続され、ドレインが後述するトランジスタM16のソースに接続され、ゲートがトランジスタM11のドレインに接続されている。
【0030】
トランジスタM15は、ソースがトランジスタM13のドレインに接続され、ゲート及びドレインがトランジスタM11のドレインに接続されている。トランジスタM16は、ソースがトランジスタM14のドレインに接続され、ゲート及びドレインがトランジスタM12のドレインに接続されている。
【0031】
インバータ回路51は、入力にトランジスタM15のドレインとトランジスタM11のドレインの接続ノードが接続され、出力に出力端子T3が接続されている。
【0032】
次に、上述した構成のコンパレータ1の動作について説明する。最初に、反転入力電位INMが、非反転入力電位INPよりも高く、出力端子T3の出力がLow状態、すなわち、出力信号がほぼ負電源電圧VSSとなっている場合の動作を説明する。
【0033】
反転入力電位INMが、非反転入力電位INPよりも高い場合、差動トランジスタM1よりも差動トランジスタM2の方に定電流源21からの電流がより多く流れ、負荷トランジスタM3よりも負荷トランジスタM4の方に多くの電流が流れる。このため、負荷トランジスタM3にカレントミラー接続されているトランジスタM51,M52よりも負荷トランジスタM4にカレントミラー接続されているトランジスタM61,M62の方に多くの電流が流れる。
【0034】
トランジスタM51に流れる小電流は、トランジスタM71に流れ、トランジスタM81のドレイン電流にコピーされる。トランジスタM81は小電流が流れるように動作し、トランジスタM61は大電流が流れるように動作するため、接続ノードAは、Low状態となる。接続ノードAがLow状態となると、トランジスタM11がオフする。トランジスタM11がオフすると、トランジスタM11のドレイン電位が上昇するため、トランジスタM14がオフする。
【0035】
また、トランジスタM62に流れる大電流は、トランジスタM82に流れ、トランジスタM72のドレイン電流にコピーされる。トランジスタM72は大電流が流れるように動作し、トランジスタM52は小電流が流れるように動作するため、接続ノードBは、High状態となる。接続ノードBがHigh状態となると、トランジスタM12がオンする。トランジスタM12がオンすると、トランジスタM12のドレイン電位が低下するため、トランジスタM13がオンする。
【0036】
上述したようにトランジスタM11がオフ、トランジスタM13がオンすると、インバータ回路51にHigh状態の電位が入力され、出力端子T3からLow状態の出力信号VOUTが出力される。
【0037】
なお、出力信号VOUTがLow状態のとき、上述したように接続ノードAはLow状態、接続ノードBは、High状態であるため、トランジスタM91がオン、トランジスタM92がオフとなる。
【0038】
次に、非反転入力電位INPが、反転入力電位INMよりも高く、出力端子T3の出力がHigh状態、すなわち、出力信号VOUTがほぼ正電源電圧VDDとなっている場合の動作を説明する。
【0039】
非反転入力電位INPが、反転入力電位INMよりも高い場合、差動トランジスタM2よりも差動トランジスタM1の方に定電流源21からの電流がより多く流れ、負荷トランジスタM4よりも負荷トランジスタM3の方に多くの電流が流れる。このため、負荷トランジスタM4にカレントミラー接続されているトランジスタM61,M62よりも負荷トランジスタM3にカレントミラー接続されているトランジスタM51,M52の方に多くの電流が流れる。
【0040】
トランジスタM51に流れる大電流は、トランジスタM71に流れ、トランジスタM81のドレイン電流にコピーされる。トランジスタM81は大電流が流れるように動作し、トランジスタM61は小電流が流れるように動作するため、接続ノードAは、High状態となる。接続ノードAがHigh状態となると、トランジスタM11がオンする。トランジスタM11がオンすると、トランジスタM11のドレイン電位が低下するため、トランジスタM14がオンする。
【0041】
また、トランジスタM62に流れる小電流は、トランジスタM82に流れ、トランジスタM72のドレイン電流にコピーされる。トランジスタM72は小電流が流れるように動作し、トランジスタM52は大電流が流れるように動作するため、接続ノードBは、Low状態となる。接続ノードBがLow状態となると、トランジスタM12がオフする。トランジスタM12がオフすると、トランジスタM12のドレイン電位が上昇するため、トランジスタM13がオフする。
【0042】
上述したようにトランジスタM11がオン、トランジスタM13がオフすると、インバータ回路51にLow状態の電位が入力され、出力端子T3からHigh状態の出力信号VOUTが出力される。
【0043】
なお、出力信号VOUTがHigh状態のとき、上述したように接続ノードAはHigh状態、接続ノードBは、Low状態であるため、トランジスタM91がオフ、トランジスタM92がオンとなる。
【0044】
次に、出力端子T3の出力信号VOUTがLow状態からHigh状態に変化する際の動作は、以下の通りとなる。
【0045】
このとき接続ノードAの電位は、LowからHighの状態に変化し、トランジスタM91はオン状態からオフ状態に変化する。一方、接続ノードBは、HighからLowの状態に変化し、トランジスタM92はオフ状態からオン状態に変化する。
【0046】
その結果、接続ノードAと接続ノードBの電位が変化する期間において、トランジスタM91とトランジスタM92が同時にオン状態となる期間が生じる。その期間、定電流源21から供給される電流に加え、定電流源22から供給される電流がトランジスタM91,M92を介して、差動トランジスタM1,M2のテール電流として流れる。
【0047】
次に、出力端子T3の出力信号VOUTがHigh状態からLow状態に変化する際の動作は、以下の通りとなる。
【0048】
このとき接続ノードAの電位は、HighからLowの状態に変化し、トランジスタM91はオフ状態からオン状態に変化する。一方、接続ノードBは、LowからHighの状態に変化し、トランジスタM92はオン状態からオフ状態に変化する。
【0049】
その結果、接続ノードAと接続ノードBの電位が変化する期間において、トランジスタM91とトランジスタM92が同時にオン状態となる期間が生じる。その期間、定電流源21から供給される電流に加え、定電流源22から供給される電流がトランジスタM91,M92を介して、差動トランジスタM1,M2のテール電流として流れる。
【0050】
上述した第1実施形態では、出力回路31,32の出力が反転する遷移期間に一時的にテール電流を電流(I1+I2)に増加させ、出力回路31,32の出力が反転した後はテール電流を電流I1に戻している。これにより、消費電流を増加させることなく、出力信号VOUTが変化する際の応答特性が改善されるという効果が得られるものとなっている。
【0051】
また、上述した第1実施形態では、出力回路31,32を設け、出力バッファ回路5を構成するトランジスタM11のゲートとトランジスタM12のゲートを接続ノードA,B間に生じる差動出力信号で制御することで、出力端子T3の出力信号VOUTが変化する応答特性も改善している。
【0052】
なお、トランジスタM11,M12を、出力回路31,32を構成するトランジスタM51、M61、M52、M62、の少なくとも1つの閾値電圧よりも低くすることで、トランジスタM11,M12がオフ状態からオン状態に変化する時間が短縮され、出力バッファ回路5の応答特性がさらに改善される。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のコンパレータ1Bについて図2を参照して説明する。なお、図2において、図1に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
同図に示すように、コンパレータ1Bは、第1実施形態と同様に、差動入力部2と、出力回路31,32を有する出力部3と、電流制御部4Bと、出力バッファ回路5とを備えている。差動入力部2、出力回路31,32、出力バッファ回路5については上述した第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
第1実施形態と第2実施形態とで異なる点は、電流制御部4BがトランジスタM91,M92に加えてトランジスタM101,M102を有する点である。
【0056】
トランジスタM101,M102は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM101は、ソースがトランジスタM81のドレインに接続され、ゲート及びドレインがトランジスタM61のドレインとトランジスタM91のゲートに接続されている。トランジスタM102は、ソースがトランジスタM72のドレインに接続され、ゲート及びドレインがトランジスタM52のドレインとトランジスタM92のゲートに接続されている。
【0057】
次に、上述した構成のコンパレータ1Bの動作について説明する。かかる構成におけるコンパレータ1Bは、後述する点を除けば、基本的には、第1実施形態と同様である。
【0058】
即ち、第1実施形態において、トランジスタM91及びM92のオフ状態時のゲート電位は正電源電圧VDD付近となるが、第2実施形態では、ダイオード接続されたトランジスタM101及びM102のゲート・ソース電位差分、オフ状態時のゲート電位が低くなる。このため、トランジスタM91及びM92がオフ状態からオン状態に変化するタイミングの遅れを短縮するものとなっている。
【0059】
したがって、この第2実施形態におけるコンパレータ1Bは、消費電流を増加させることなく、応答特性をさらに改善するという効果が得られるものとなっている。
【0060】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のコンパレータ1Cについて図3を参照して説明する。なお、図3において、図1に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0061】
同図に示すように、コンパレータ1Cは、第1実施形態と同様に、差動入力部2Cと、出力回路31C,32Cと、電流制御部4Cと、出力バッファ回路5Cとを備えている。
【0062】
第1実施形態と第3実施形態とで異なる点は、トランジスタM1~M4、M51,M52、M61,M62、M71,M72、M81,M82、M91,M92、M11~M16に相当するトランジスタM1C~M4C、M51C,M52C、M61C,M62C、M71C,M72C、M81C,M82C、M91C,M92C、M11C~M16Cの導電型を逆にした点である。また、第1実施形態と第3実施形態とで異なる点は、正電源端子T21と負電源端子T22との関係を逆にした点である。
【0063】
第3実施形態も第1実施形態と同様に、消費電流を増加させることなく、応答特性をさらに改善するという効果が得られる。
【0064】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0065】
例えば、上述した第1~第3実施形態では、トランジスタM1(C)~M4(C)、M51(C),M52(C)、M61(C),M62(C)、M71(C),M72(C)、M81(C),M82(C)、M91(C),M92(C)、M101,M102、M11(C)~M16(C)は、電界効果トランジスタから構成されていたが、これに限ったものではない。トランジスタM1(C)~M4(C)、M51(C),M52(C)、M61(C),M62(C)、M71(C),M72(C)、M81(C),M82(C)、M91(C),M92(C)、M101,M102、M11(C)~M16(C)の少なくとも一つ以上が、バイポーラトランジスタから構成されていてもよい。この場合、トランジスタのゲートをベースに、ソースをエミッタに、ドレインをコレクタに置き換えて説明することができる。
【0066】
また、上述した第1~第3施形態では、1つの負荷トランジスタM3(C)のゲートに2つのトランジスタM51(C),M52(C)が接続されていたが、これに限ったものではない。2つの負荷トランジスタM3(C)を設け、それぞれにトランジスタM51(C),M52(C)を接続してもよい。同様に、2つの負荷トランジスタM4(C)を設け、それぞれにトランジスタM61(C),M62(C)を接続してもよい。
【0067】
また、上述した第1~第3実施形態では、出力回路31(C),32(C)としては、負荷トランジスタM3(C)、M4(C)とカレントミラー接続されたトランジスタM51(C),M52(C)、M61(C),M62(C)から構成されていたが、これに限ったものではない。出力回路31(C),32(C)としては、差動トランジスタM1(C),M2(C)の比較結果を出力し、かつ、互いに反転した出力であればよい。例えば、出力回路31(C),32(C)としては、差動トランジスタM1(C),M2(C)にフォールデッドカスコード接続されたトランジスタから構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、1B、1C コンパレータ
2、2C 差動入力部
3、3C 出力部
4、4B、4C 電流制御部
5、5C 出力バッファ回路
21、21C 定電流源(第1の電流源)
22、22C 定電流源(第2の電流源)
31、31C 出力回路(第1の出力回路)
32、32C 出力回路(第2の出力回路)
INM 反転入力電位(第1の入力電位)
INP 非反転入力電位(第2の入力電位)
M1、M1C 差動トランジスタ(第1の差動トランジスタ)
M2、M2C 差動トランジスタ(第2の差動トランジスタ)
M3、M3C 負荷トランジスタ(第9の負荷トランジスタ)
M4、M4C 負荷トランジスタ(第10の負荷トランジスタ)
M11、M11C トランジスタ(第17のトランジスタ)
M12、M12C トランジスタ(第18のトランジスタ)
M51、M51C トランジスタ(第5のトランジスタ)
M52、M52C トランジスタ(第7のトランジスタ)
M61、M61C トランジスタ(第6のトランジスタ)
M62、M62C トランジスタ(第8のトランジスタ)
M71、71C トランジスタ(第11のトランジスタ)
M72、M72C トランジスタ(第14のトランジスタ)
M81、M81C トランジスタ(第12のトランジスタ)
M82、M82C トランジスタ(第13のトランジスタ)
M91、M91C トランジスタ(第3のトランジスタ)
M92、M92C トランジスタ(第4のトランジスタ)
M101 トランジスタ(第15のトランジスタ)
M102 トランジスタ(第16のトランジスタ)
VOUT 出力信号
図1
図2
図3
図4