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特開2023-87636アクチュエータ、移動体及びロッカーボギー車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087636
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】アクチュエータ、移動体及びロッカーボギー車
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/02 20060101AFI20230616BHJP
   F16H 33/02 20060101ALI20230616BHJP
   F16H 33/08 20060101ALI20230616BHJP
   B62D 57/02 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
H02K7/02
F16H33/02 B
F16H33/08
B62D57/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136459
(22)【出願日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2021201439
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022088195
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水内 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】東 朋希
(72)【発明者】
【氏名】横山 颯太
(72)【発明者】
【氏名】菅野 公景
(72)【発明者】
【氏名】日吉 健太
(72)【発明者】
【氏名】山中 和之
(72)【発明者】
【氏名】牧野 洋三
(72)【発明者】
【氏名】興津 俊幸
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607CC01
5H607CC03
5H607CC09
5H607DD14
5H607DD15
5H607EE41
(57)【要約】
【課題】一時的に、アクチュエータの運動性能限界を超えてトルクを増加させること。
【解決手段】モータ(11)と、モータ(11)に接続された1つ又は複数の慣性体(12,12A)と、モータ(11)又は慣性体(12,12A)に接続された弾性体(13)と、弾性体(13)に接続された出力軸(14)と、を備え、モータ(11)と、慣性体(12,12A)と、弾性体(13)と、出力軸(14)とは、直列に接続されるアクチュエータ(10B)とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに接続された1つ又は複数の慣性体と、
前記モータ又は前記慣性体に接続された弾性体と、
前記弾性体に接続された出力軸と、を備え、
前記モータと、前記慣性体と、前記弾性体と、前記出力軸とは、直列に接続されるアクチュエータ。
【請求項2】
モータと、
1つ又は複数の慣性体と、
前記慣性体に接続された弾性体と、
前記モータ及び前記弾性体の双方に接続された出力軸と、を備え、
前記出力軸の回転が止まると、前記慣性体によって前記弾性体に弾性エネルギーが蓄積され、前記弾性エネルギーによって前記出力軸のトルクが増大されるアクチュエータ。
【請求項3】
前記弾性体は、渦巻バネである、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータを駆動力として駆動する移動体。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータによってボギーリンクを回転させるロッカーボギー車。
【請求項6】
請求項1に記載のアクチュエータを備えたロッカーボギー車であって、
ロッカーリンクと、
前記ロッカーリンクに軸支されたボギーリンクと、を備え、
前記モータは、前記ロッカーリンクに固定され、前記弾性体の第1の端部は、少なくとも1つの前記慣性体に接続され、前記弾性体の第2の端部は、前記出力軸を構成する前記ボギーリンクに接続される、請求項1に記載のアクチュエータを備えたロッカーボギー車。
【請求項7】
前記弾性体は、引きバネである、請求項6に記載のロッカーボギー車。
【請求項8】
前記ロッカーリンク、及び前記ボギーリンクの双方は、対向する2枚の側板を含む構成とされ、少なくとも1つの前記慣性体、及び前記弾性体は、前記ボギーリンクの前記2枚の側板の間に配置される、請求項6又は7に記載のロッカーボギー車。
【請求項9】
請求項1に記載のアクチュエータを備えた跳躍機構であって、
上脚部と、
下脚部と、
前記上脚部の下端と前記下脚部の上端とを連結し、前記アクチュエータによって駆動される関節部と、
前記アクチュエータを制御する第1の制御部と、を備える跳躍機構。
【請求項10】
前記第1の制御部は、前記アクチュエータの前記モータを正転、反転させることによって前記上脚部と前記下脚部とを屈曲、伸張させ、前記屈曲と前記伸張の振幅は、
前記上脚部と前記下脚部との離陸前の、前記アクチュエータの弾性体の変位の極大になるときの前と後とで、異なるように制御する、請求項9に記載の跳躍機構。
【請求項11】
前記第1の制御部は、前記アクチュエータの前記モータを正転、反転させることによって前記上脚部と前記下脚部とを屈曲、伸張させ、前記屈曲と前記伸張の周期は、前記上脚部と前記下脚部との離陸前と離陸後とで、異なるように制御する、請求項9または10に記載の跳躍機構。
【請求項12】
前記上脚部の上端と前記下脚部の下端との位置関係を制御する第2の制御部を備える請求項9または10に記載の跳躍機構。
【請求項13】
前記下脚部の下端には、車輪が設けられる、請求項9または10に記載の跳躍機構。
【請求項14】
前記上脚部の上端には、胴体が設けられ、前記第1の制御部及び前記第2の制御部は、前記胴体内に設けられる、請求項12に記載の跳躍機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、移動体及びロッカーボギー車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車輪により移動する移動体が進路上に存在する段差を乗り越えることには、ある程度の困難性がある。
段差を乗り越える際には大きなトルクを要し、トルクを大きくするためには大型のモータを要する。
従来技術である特許文献1には、高い段差を乗り越える移動体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-199105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動体の車輪が段差を越える際のトルクには、アクチュエータの運動性能によって決まる限界がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、一時的に、アクチュエータの運動性能限界を超えてトルクを増加させることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明の一態様は、モータと、前記モータに接続された1つ又は複数の慣性体と、前記モータ又は前記慣性体に接続された弾性体と、前記弾性体に接続された出力軸と、を備え、前記モータと、前記慣性体と、前記弾性体と、前記出力軸とは、直列に接続されるアクチュエータである。
【0007】
又は、本発明の一態様は、モータと、1つ又は複数の慣性体と、前記慣性体に接続された弾性体と、前記モータ及び前記弾性体の双方に接続された出力軸と、を備え、前記出力軸の回転が止まると、前記慣性体によって前記弾性体に弾性エネルギーが蓄積され、前記弾性エネルギーによって前記出力軸のトルクが増大されるアクチュエータである。
【0008】
又は、本発明の一態様は、前記弾性体は、渦巻バネである、アクチュエータである。
【0009】
又は、本発明の一態様は、前記アクチュエータを駆動力として駆動する移動体である。
【0010】
又は、本発明の一態様は、前記アクチュエータによってボギーリンクを回転させるロッカーボギー車である。
【0011】
又は、本発明の一態様は、前記アクチュエータを備えたロッカーボギー車であって、ロッカーリンクと、前記ロッカーリンクに軸支されたボギーリンクと、を備え、前記モータは、前記ロッカーリンクに固定され、前記弾性体の第1の端部は、少なくとも1つの前記慣性体に接続され、前記弾性体の第2の端部は、前記出力軸を構成する前記ボギーリンクに接続される、ロッカーボギー車である。
【0012】
又は、本発明の一態様は、前記弾性体は、引きバネである、ロッカーボギー車である。
【0013】
又は、本発明の一態様は、前記ロッカーリンク、及び前記ボギーリンクの双方は、対向する2枚の側板を含む構成とされ、少なくとも1つの前記慣性体、及び前記弾性体は、前記ボギーリンクの前記2枚の側板の間に配置される、ロッカーボギー車である。
【0014】
又は、本発明の一態様は、上述のアクチュエータを備えた跳躍機構であって、上脚部と、下脚部と、前記上脚部の下端と前記下脚部の上端とを連結し、前記アクチュエータによって駆動される関節部と、前記アクチュエータを制御する第1の制御部と、を備える。
【0015】
又は、本発明の一態様は、上述のアクチュエータを備えた跳躍機構であって、前記制御部は、前記アクチュエータの前記モータを正転、反転させることによって前記上脚部と前記下脚部とを屈曲、伸張させ、前記屈曲と前記伸張の振幅は、前記上脚部と前記下脚部との離陸前の、前記アクチュエータの弾性体の変位の極大になるときの前と後とで、異なるように制御する。
【0016】
又は、本発明の一態様は、上述のアクチュエータを備えた跳躍機構であって、前記制御部は、前記アクチュエータの前記モータを正転、反転させることによって前記上脚部と前記下脚部とを屈曲、伸張させ、前記屈曲と前記伸張の周期は、前記上脚部と前記下脚部との離陸前と離陸後とで、異なるように制御する。
【0017】
又は、本発明の一態様は、上述のアクチュエータを備えた跳躍機構であって、前記上脚部の上端と前記下脚部の下端との位置関係を制御する第2の制御部を備える。
【0018】
又は、本発明の一態様は、上述のアクチュエータを備えた跳躍機構であって、前記下脚部の下端には、車輪が設けられる。
【0019】
又は、本発明の一態様は、上述のアクチュエータを備えた跳躍機構であって、前記上脚部の上端には、胴体が設けられ、前記第1の制御部及び前記第2の制御部は、前記胴体内に設けられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一時的に、アクチュエータの運動性能限界を超えてトルクを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態1に係るアクチュエータを示す第1の模式図である。
図2図2は、実施形態1に係るアクチュエータを示す第2の模式図である。
図3図3は、実施形態1に係るアクチュエータを示す第3の模式図である。
図4図4は、実施形態1に係るアクチュエータの構成例を示す図である。
図5図5(A)は、図4に示すアクチュエータの構成を示す概略図であり、図5(B)は、図5(A)に示す構成から減速ギアを除いたアクチュエータの構成を示す概略図である。
図6図6は、図4に示すアクチュエータの構成を示す斜視図である。
図7図7(A)は、減速ギアが接続されたモータと、慣性付加部と、渦巻バネと、出力軸と、を示す分解図であり、図7(B)は、モータと、慣性付加部と、渦巻バネと、出力軸と、減速ギアと、を示す分解図であり、図7(C)は、モータと、慣性付加部と、渦巻バネと、出力軸と、を示す分解図である。
図8図8は、実施形態1に係るアクチュエータを駆動力として駆動する移動体を示す図である。
図9図9(A)は、移動体の走行中を示す図であり、図9(B)は、移動体の段差衝突時を示す図であり、図9(C)は、移動体において回転運動エネルギーがバネに蓄積していく様子を示す図である。
図10図10(A)は、移動体の渦巻バネが徐々に変形する様子を示す図であり、図10(B)は、移動体の段差乗り越え開始時を示す図であり、図10(C)は、移動体の段差乗り越え時を示す図である。
図11図11は、図10(A)における、移動体のバネが変形していき、次第に前車輪のトルクが増大していく様子を示す図である。
図12図12は、実施形態2に係るロッカーボギー車の構成を示す上面図である。
図13図13は、実施形態2に係るロッカーボギー車の重心及び車輪の構成例を示す側面概略図である。
図14図14(A)は、実施形態3に係る6輪のロッカーボギー車の前輪の段差乗り上げ時を示す図であり、図14(B)は、実施形態3に係る6輪のロッカーボギー車の中輪の段差乗り上げ時を示す図である。
図15図15は、実施形態3に係る6輪のロッカーボギー車の後輪の段差乗り上げ時を示す図である。
図16図16(A)は、バネの弾性によるアクチュエータの反転時のロッカーボギー車を示す図であり、図16(B)は、バネの弾性によるアクチュエータの再度の反転時のロッカーボギー車を示す図である。
図17図17は、実施形態4に係る、図5(A),(B)の変形例であるアクチュエータの構成を示す概略図である。
図18図18は、実施形態5に係るロッカーボギー車のロッカーリンクとボギーリンクの構成を示す概略図である。
図19図19は、実施形態5に係るロッカーボギー車のロッカーリンクとボギーリンクの構成を示す斜視図である。
図20図20は、図19のA-A断面矢視図である。
図21図21は、図19のB-B断面矢視図であって、要部の拡大図である。
図22図22は、モータリンク(慣性体)とボギーリンクとに接続された引きバネが変形していき、次第にボギーリンクを回転させるトルクが増大していく様子を示す図である。
図23図23は、本発明の実施形態に係る跳躍機構の構成を示す模式図である。
図24図24は、本発明の実施形態に係る跳躍機構の動作を示す模式図である。
図25図25は、本発明の実施形態に係る跳躍機構の力学系のモデルとその動作を表した図である。
図26図26は、本発明の実施形態に係る跳躍機構の制御を説明するグラフである。
図27図27は、本発明の実施形態に係る跳躍機構の制御を説明するグラフである。
図28図28は、本発明の実施形態の変形例に係る跳躍機構の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0023】
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係るアクチュエータ10を示す第1の模式図である。
図1に示すアクチュエータ10は、モータ11と、モータ11に接続された慣性体12と、慣性体12に接続された弾性体13と、弾性体13に接続された出力軸14と、を備える。
図1に示すアクチュエータ10において、モータ11と、慣性体12と、弾性体13と、出力軸14とは、この順に直列に接続されている。
【0024】
モータ11としては、DD(Direct Drive)モータを例示することができる。
慣性体12は、慣性力を付加するために設けられ、おもりとして機能する構成である。
弾性体13は、変形により弾性エネルギーが蓄積される構成であり、バネを例示することができる。
出力軸14は、モータ11から伝達された運動がアクチュエータ10から運動を出力する構成である。
【0025】
図1においては、慣性体12は、モータ11と弾性体13との間に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
慣性体12は、モータ11を基準として弾性体13とは反対側に配置されていてもよい。
【0026】
図2は、本実施形態に係るアクチュエータ10Aを示す第2の模式図である。
図2に示すアクチュエータ10Aは、モータ11と、モータ11に接続された慣性体12Aと、モータ11に接続された弾性体13と、弾性体13に接続された出力軸14と、を備える。
図2に示すアクチュエータ10Aにおいて、慣性体12Aと、モータ11と、弾性体13と、出力軸14とは、この順に直列に接続されている。
【0027】
図2においては、モータ11には慣性体12又は慣性体12Aが接続されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
モータ11には、慣性体12及び慣性体12Aの双方が接続されていてもよい。
【0028】
図3は、本実施形態に係るアクチュエータ10Bを示す第3の模式図である。
図3に示すアクチュエータ10Bは、モータ11と、モータ11に接続された慣性体12,12Aと、慣性体12に接続された弾性体13と、弾性体13に接続された出力軸14と、を備える。
図3に示すアクチュエータ10Bにおいて、慣性体12Aと、モータ11と、慣性体12と、弾性体13と、出力軸14とは、この順に直列に接続されている。
【0029】
すなわち、本発明の実施形態1に係るアクチュエータ10,10A,10Bは、モータ11と、モータ11に接続された1つ又は複数の慣性体12,12Aと、モータ11又は慣性体12に接続された弾性体13と、弾性体13に接続された出力軸14と、を備え、モータ11と、慣性体12,12Aと、弾性体13と、出力軸14とは、直列に接続される。
【0030】
図4は、本実施形態に係るアクチュエータ100の構成例を示す図である。
図4に示すアクチュエータ100は、モータ101と、慣性付加部102と、渦巻バネ103と、出力軸104と、第1エンコーダ105と、第2エンコーダ106と、を備える直列弾性アクチュエータである。
図4に示すアクチュエータ100において、モータ101の軸と、渦巻バネ103と、出力軸104とは、この順に直列に接続されている。
【0031】
図5(A)は、図4に示すアクチュエータ100の構成を示す概略図であり、図5(B)は、図5(A)に示す構成から減速ギア107を除いたアクチュエータ100Aの構成を示す概略図である。
図6は、図5(A)に示すアクチュエータ100の構成を示す斜視図である。
【0032】
モータ101の回転は、モータ101の軸から渦巻バネ103に伝達され、渦巻バネ103から出力軸104に伝達される。
第1エンコーダ105は、出力軸104に接続されている。
第2エンコーダ106は、モータ101のロータに接続されている。
第1エンコーダ105及び第2エンコーダ106は、渦巻バネ103の変位の測定に用いられる。
減速ギア107は、モータ101から伝達される回転を減速するために設けられているが、必ずしも設けられていなくてもよい。
渦巻バネ103は2つの渦巻バネを含み、左右の回転に対して対称的となるように、2つの渦巻バネの各々に初期張力をかけて接続されるとよい。
【0033】
図7(A)は、減速ギア107が接続されたモータ101と、慣性付加部102と、渦巻バネ103A,103Bと、出力軸104と、を示す分解図であり、図7(B)は、モータ101と、慣性付加部102と、渦巻バネ103A,103Bと、出力軸104と、減速ギア107と、を示す分解図であり、図7(C)は、モータ101と、慣性付加部102と、渦巻バネ103A,103Bと、出力軸104と、を示す分解図である。
図7(A)~(C)に示すように、渦巻バネ103A,103Bの各々の外端は出力軸104に固定され、渦巻バネ103A,103Bの各々の内端は慣性付加部102の巻き芯1020に設けられたスリット1021に固定されている。
なお、図7(B)に示す構成によれば、モータのみを交換することが可能である。
【0034】
図8は、本実施形態に係るアクチュエータ100を駆動力として駆動する移動体150を示す図である。
図8に示す移動体150は、アクチュエータ100と、4つの車輪151と、4つの車輪151が設けられたシャーシ152と、前輪2輪(又は後輪2輪)をつなぐシャフト153と、シャフト153を介して前輪(又は後輪)にアクチュエータ100の動力を伝達する動力伝達機構160と、を備える。
動力伝達機構160は、タイミングベルト及びプーリを含む。
【0035】
図8に示す移動体150は、車輪が越えられない段差に衝突すると、車輪が停止する。
しかしながら、アクチュエータ100内では、慣性により慣性付加部102は回転を継続しようとし、渦巻バネ103は少しずつ変形していく。
そして、渦巻バネ103の変形により車輪のトルクが増大していき、移動体150は、段差を越えることが可能となる。
このような機構により、図8に示す移動体150は、高い段差踏破性を実現可能である。
【0036】
図9(A)は、移動体150の走行中を示す図である。
図9(A)に示すように、移動体150において、慣性体と、弾性体と、前車輪と、は直列に接続されており、通常走行時にはすべての車輪が等速で回転している。
【0037】
図9(B)は、移動体150の段差衝突時を示す図である。
図9(B)に示すように、移動体150の前車輪が段差に衝突すると、前車輪は停止する。
【0038】
図9(C)は、移動体150において回転運動エネルギーがバネに蓄積していく様子を示す図である。
図9(C)に示すように、移動体150の前車輪が段差に衝突しても、フライホイール効果により慣性により慣性付加部102は回転を継続しようとし、バネの変形により回転運動エネルギーがバネに蓄積される。
【0039】
図10(A)は、移動体150の渦巻バネ103が徐々に変形する様子を示す図である。
図10(A)に示すように、移動体150のバネが変形していき、次第に前車輪のトルクが増大していく。
【0040】
図10(B)は、移動体150の段差乗り越え開始時を示す図である。
図10(B)に示すように、前車輪のトルクが増大していくことで、前車輪のトルクが段差越えに必要なトルクに達すると、移動体150の前車輪は段差を乗り越え始める。
【0041】
図10(C)は、移動体150の段差乗り越え時を示す図である。
図10(C)に示すように、移動体150の前車輪は段差を乗り越える。
【0042】
図11は、図10(A)における、移動体150のバネが変形していき、次第に前車輪のトルクが増大していく様子を示す図である。
図11では、前輪のホイール角(Wheel Angle)は、走行時には前輪の回転に伴って単調に増加していくが、段差に衝突すると、前輪は停止する。
図11におけるバネの変位角(Displacement Angle of Spring)は、図9,10においては矢印の大きさで示されており、段差に衝突すると大きく変化する。
【0043】
次に、移動体150が段差を乗り越えるために必要なトルクを発生できなかった場合について説明する。
移動体150において、段差を乗り越えるために必要なトルクが発生できなかった場合には、バネの弾性によりアクチュエータの回転が反転する。
この場合には、モータの回転を反転させて反対方向へ弾性エネルギーを蓄積する。
そして、バネの変位量が最大に達したタイミングでモータの回転を正転させることで、移動体150は、再度段差に衝突する。
移動体150は、このような動作を繰り返すことで、慣性エネルギーによってバネの変形量を増大させて、バネに蓄積される弾性エネルギーをより増大させ、段差を乗り越えるための大きなトルクをフライホイール効果により発生させることが可能になる。
【0044】
本実施形態によれば、一時的に、アクチュエータの運動性能限界を超えてトルクを増加させることができる。
これにより、フライホイール効果により高い段差踏破性を有する移動体を実現することができる。
【0045】
なお、本実施形態においては2つの渦巻バネが設けられる形態について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、両方向に変形できるバネを用いると、1つのバネであっても同様に適用することができる。
【0046】
<実施形態2>
実施形態1においては本発明の一実施形態に係るアクチュエータについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明には、実施形態1に係るアクチュエータを駆動力とするロッカーボギー車が含まれる。
【0047】
図12は、本実施形態に係るロッカーボギー車200の構成を示す上面図である。
図12に示すロッカーボギー車200は、左右対称のリンク構成を有し、6輪のロッカーボギー車体を構成している。
右前輪201aR及び右中輪201bRは、右ボギーリンク202Rに連結され、左前輪201aL及び左中輪201bLは、左ボギーリンク202Lに連結されている。
右後輪201cRは、右ロッカーリンク203Rに連結され、左後輪201cLは、左ロッカーリンク203Lに連結されている。
右ボギーリンク202Rと右ロッカーリンク203Rは、支持穴で軸支され、左ボギーリンク202Lと左ロッカーリンク203Lは、支持穴で軸支されている。
これらの軸支は、能動的に回転角を制御可能な機構であり、ボギーリンク角サスペッションと呼ばれる。
なお、右ボギーリンク202R及び左ボギーリンク202Lは、本体205に軸支されていてもよい。
図12に示すロッカーボギー車200は、右ボギーリンク202Rと右ロッカーリンク203Rとの間の角度を制御する機構として右リンク角アクチュエータ217Rを有し、左ボギーリンク202Lと左ロッカーリンク203Lとの間の角度を制御する機構として左リンク角アクチュエータ217Lを有する。
右リンク角アクチュエータ217R及び左リンク角アクチュエータ217Lは、軸支における角度制御を可能とし、又はトルクの掛からないフリージャンクション状態を作り出すことができる。
このような構成は、回転駆動力を自在に制御できるアクチュエータ、例えば、トルクモータ等により実現可能である。
【0048】
図12に示すロッカーボギー車は、走行時に前面の段差を、図示しない公知のセンサーで検出すると、右ボギーリンク202R及び左ボギーリンク202Lが各々右前輪201aR及び左前輪201aLを振り上げるように動作し、段差を踏破する。
【0049】
右前輪201aR、左前輪201aL、右後輪201cR及び左後輪201cLは、メカナムホイール(登録商標)であり、右中輪201bR及び左中輪201bLは、オムニホイール(登録商標)である。
右前輪201aR、左前輪201aL、右中輪201bR、左中輪201bL、右後輪201cR及び左後輪201cLの6輪は、それぞれ独立に駆動制御可能である。
この6輪の回転を前進又は後進としてそれぞれ制御することで、ロッカーボギー車200の前進、後進、横行、斜行又はスピンターン等の走行が可能である。
なお、以下の説明において、右前輪201aR及び左前輪201aLは、前輪201aと記載し、右中輪201bR及び左中輪201bLは、中輪201bと記載し、右後輪201cR及び左後輪201cLは、後輪201cと記載し、右ボギーリンク202R及び左ボギーリンク202Lは、ボギーリンク202と記載し、右ロッカーリンク203R及び左ロッカーリンク203Lは、ロッカーリンク203と記載し、右リンク角アクチュエータ217R及び左リンク角アクチュエータ217Lは、リンク角アクチュエータ217と記載することがある。
【0050】
図13は、本実施形態に係るロッカーボギー車200の重心及び車輪の構成例を示す側面概略図である。
ロッカーボギー車200の車体の重量mg、前輪201aが対地で支える力N3、中輪201bが対地で支える力N2及び後輪201cが対地で支える力N1は、N1=N2=N3、且つmg=N1+N2+N3であり、ロッカーボギー車200はバランスをとるように構成されている。
前輪201aと軸支との間隔をA1とし、中輪201bと軸支との間隔をA2とし、ロッカーボギー車200の重心の位置とボギーリンク202の軸支の位置との間隔をB1とし、ロッカーボギー車200の重心の位置とロッカーリンク203の後輪201cの位置との間隔をB2とすると、モーメントのつり合いから、A2×N2=A1×N3、B2×N1=B1×(N2+N3)となり、A1=A2、B2=2×B1である。
【0051】
図13に示す右前輪201aR、左前輪201aL、右後輪201cR及び左後輪201cLは、メカナムホイール(登録商標)であり、各々の主輪の外周には車軸に対して45°の傾きで回転可能に支持され、周方向に並んだ複数個のフリーホイールを有する。
なお、図12に示す、右前輪201aR、左前輪201aL、右後輪201cR及び左後輪201cL内の斜線は、フリーホイールの回転軸の方向を表している。
【0052】
右前輪201aRの主輪は、アクチュエータ214Rに接続されて駆動され、左前輪201aLの主輪は、アクチュエータ214Lに接続されて駆動され、右後輪201cRの主輪は、アクチュエータ216Rに接続されて駆動され、左後輪201cLの主輪は、アクチュエータ216Lに接続されて駆動される。
アクチュエータ214R,214L,216R,216Lは、各々独立しており、右前輪201aRの主輪、左前輪201aLの主輪、右後輪201cRの主輪及び左後輪201cLの主輪は、各々独立に制御可能である。
【0053】
図13に示す右中輪201bR及び左中輪201bLは、オムニホイール(登録商標)であり、各々の主輪の外周には車軸に対して90°の向きに回転可能に支持され、周方向に並んだ複数個のフリーホイールを有する。
なお、図12に示す、右中輪201bR及び左中輪201bL内の横線は、フリーホイールの回転軸の方向を表している。
【0054】
右中輪201bRの主輪は、アクチュエータ215Rに接続されて駆動され、左中輪201bLの主輪は、アクチュエータ215Lに接続されて駆動される。
アクチュエータ215R,215Lは、各々独立しており、右中輪201bRの主輪、左中輪201bLの主輪は、各々独立に制御可能である。
なお、以下の説明において、アクチュエータ214R,214Lは、アクチュエータ214と記載し、アクチュエータ215R,215Lは、アクチュエータ215と記載し、アクチュエータ216R,216Lは、アクチュエータ216と記載することがある。
【0055】
上述のように、ロッカーボギー車200は、右前輪201aR、左前輪201aL、右中輪201bR、左中輪201bL、右後輪201cR及び左後輪201cLの6輪の組み合わせにより、前後左右に自在に走行可能である。
【0056】
本実施形態に係るロッカーボギー車200は、アクチュエータ214,215,216のうちいずれか一部又は全部を、実施形態1に係るアクチュエータにより構成したものとする。
アクチュエータ214,215,216の一部を実施形態1に係るアクチュエータとする場合には、アクチュエータ214,215,216の他の部分は一般的なモータにより構成すればよい。
【0057】
本実施形態によれば、フライホイール効果により高い段差踏破性を有するロッカーボギー車を実現することができる。
【0058】
<実施形態3>
実施形態2においては、6輪のロッカーボギー車の車輪の一部又は全部に対して、実施形態1に係るアクチュエータを駆動力として適用した形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
左右各々のボギーリンクとロッカーリンクとの間の角度を制御する機構に対して、実施形態1に係るアクチュエータを駆動力として適用してもよい。
【0059】
図14(A)は、本実施形態に係る6輪のロッカーボギー車200Aの前輪の段差乗り上げ時を示す図である。
ロッカーボギー車200Aが前方に段差を認識してから、前輪を持ち上げるために、右リンク角アクチュエータ217R及び左リンク角アクチュエータ217L(リンク角アクチュエータ217)のモータを回転させると、バネは慣性により変形し、弾性エネルギーを蓄積する。
段差を乗り越える際に、リンク角アクチュエータ217に弾性エネルギーが蓄積されるとボギーリンクが回転し、前輪が持ち上がる。
そして、中輪及び後輪が前進回転して、前輪が段差を乗り越えると、ロッカーボギー車200Aは図14(A)に示す状態になる。
【0060】
図14(B)は、本実施形態に係る6輪のロッカーボギー車200Aの中輪の段差乗り上げ時を示す図である。
前輪が段差上に移動したタイミングで、リンク角アクチュエータ217のモータを反転させると、前輪は段差上に接地し、前輪の段差上への接地の際に、リンク角アクチュエータ217内のバネは慣性により大きく変形する。
このバネの変形によってバネには弾性エネルギーが蓄積され、中輪が持ち上がり、前輪及び後輪が前進回転して、中輪が段差を乗り越えようとすると、ロッカーボギー車200Aは図14(B)に示す状態になる。
【0061】
図15は、本実施形態に係る6輪のロッカーボギー車200Aの後輪の段差乗り上げ時を示す図である。
中輪が段差上に乗り上げた後に、リンク角アクチュエータ217のモータを更に回転させると、リンク角アクチュエータ217内のバネは慣性により大きく変形する。
このバネの変形によってバネには弾性エネルギーが蓄積され、蓄積された弾性エネルギーにより、ボギーリンクに対してロッカーリンクを回転させるトルクが発生し、このトルクが後輪の段差乗り上げを補助する。
このように、実施形態1に係るアクチュエータを駆動力としてボギーリンクに適用することで、ボギーリンクを小さなトルクで回転させることができ、ボギーリンクを回転させるモータを小型化することができる。
【0062】
次に、ロッカーボギー車が段差を乗り越えるために必要なトルクを発生できなかった場合について説明する。
図16(A)は、リンク角アクチュエータ217内のバネの弾性によるアクチュエータの反転時のロッカーボギー車200Aを示す図である。
ロッカーボギー車において、前輪を持ち上げる際に必要なトルクを発生できない場合には、図16(A)に示すように、リンク角アクチュエータ217はバネの弾性により反転する。
その際、モータを反転させると、反対側のバネには慣性により弾性エネルギーが蓄積される。
この弾性エネルギーによりアクチュエータは再度反転し、前輪を持ち上げる方向へトルクが発生する。
図16(B)は、バネの弾性によるリンク角アクチュエータ217の再度の反転時のロッカーボギー車200Aを示す図である。
反転を繰り返すとバネの変形が慣性により大きくなり、弾性エネルギーが徐々に増大する。
このように、ロッカーボギー車が段差を乗り越えるために必要なトルクを発生できなかった場合にもフライホイール効果により前輪を持ち上げるためのトルクを得ることができる。
【0063】
本実施形態によれば、実施形態1に係るアクチュエータを駆動力としてボギーリンクに適用することで、ロッカーボギー車のボギーリンクを小さなトルクで回転させることができ、ボギーリンクを回転させるモータを小型化することができる。
【0064】
なお、実施形態2の構成と実施形態3の構成とを組み合わせたロッカーボギー車も本発明に含まれる。
【0065】
<実施形態4>
本発明のアクチュエータの構成は、アクチュエータ100,100Aに限定されるものではない。
図17は、本実施形態に係る、図5(A),(B)の変形例であるアクチュエータ100Bの構成を示す概略図である。
図17には、モータ101と、慣性付加部102と、渦巻バネ103A,103Bと、出力軸104と、減速機1070,1071と、ギア1072,1073と、が示されている。
なお、減速機1070は、モータ101から伝達される回転を減速するために設けられているが、モータ101の回転の減速が必要でない場合には、設けられていなくてもよい。
また、減速機1071は、慣性付加部102から渦巻きバネ103A,103Bを介して伝達される回転を減速するために設けられているのみならず、減速機1071によれば、慣性付加部102の慣性モーメントを減速比の2乗に比例して増大させることができ、蓄積されるエネルギーを大きくすることができる。
そのため、減速機1071が設けられていると、慣性付加部102の軽量化が可能となるため、好ましい。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、減速機1071は、設けられていなくてもよい。
ギア1072,1073は、モータ101の駆動力を慣性付加部に伝達するが、この機構はギアに限らず、プーリとベルトが用いられてもよい。
【0066】
図17に示すアクチュエータ100Bでは、モータ101の軸は減速機1070に接続され、減速機1070はギア1072に接続されている。
また、慣性付加部102は、渦巻バネ103A,103Bを介して減速機1071に接続されている。
すなわち、慣性付加部102は、渦巻バネ103A,103Bと接続され、渦巻バネ103A,103Bは、減速機1071に接続されている。
減速機1071はギア1073に接続されている。
ギア1072は、ギア1073とかみ合うように配置されている。
【0067】
図17に示すアクチュエータ100Bでは、出力軸104のトルクが車輪に伝達される。
図17に示すアクチュエータ100Bでは、実施形態1,2と同様に段差に衝突して車輪及び出力軸の回転が止まると、回転し続ける慣性付加部102によって渦巻バネ103に弾性エネルギーが蓄積される。
この蓄積された弾性エネルギーによって発生するトルクにより、段差の乗り越えが可能となる。
また、減速機1071により減速比の2乗に比例する慣性モーメントが発生するため、慣性102が軽量であっても大きな慣性モーメントを得ることができ、渦巻きバネ103に蓄積される弾性エネルギーを大きくすることができる。
また、実施形態3と同様にボギーリンクとロッカーリンクとの間の角度を制御する機構に対して、図17に示すアクチュエータ100Bを適用してもよい。
【0068】
すなわち、本実施形態のように、モータ101と、1つ又は複数の慣性体102と、慣性体102に接続された弾性体である渦巻バネ103A,103Bと、モータ101及び弾性体である渦巻バネ103A,103Bの双方に接続された出力軸104と、を備え、出力軸104の回転が止まると、慣性体102によって弾性体である渦巻バネ103A,103Bに弾性エネルギーが蓄積され、この弾性エネルギーによって出力軸104のトルクが増大されるアクチュエータ100Bも本発明に含まれる。
また、アクチュエータ100Bを駆動力として駆動する移動体、及びアクチュエータ100Bによってボギーリンクを回転させるロッカーボギー車も本発明に含まれる。
図17に示すアクチュエータ100Bによっても実施形態1~3と同様の効果を得ることができる。
【0069】
<実施形態5>
本実施形態は、図12に示す実施形態2のロッカーボギー車と同等の構造を有するロッカーボギー車に係り、実施形態3と同様に、ボギーリンクの回転に前述のアクチュエータを利用する。異なる点は、ロッカーリンクとボギーリンクに対するアクチュエータの連結の構成である。本実施形態では、図12の紙面上部にある右ロッカーリンク203Rと右ボギーリンク202Rの連結の構成、および紙面下部にある左ロッカーリンク203Lと左ボギーリンク202Lの連結の構成は、等しいので、以下、片側のボギーリンクとロッカーリンクについてその構成を説明する。
【0070】
図18は、本実施形態に係るロッカーボギー車のロッカーリンクとボギーリンクの構成を示す概略図である。図18に示すように、本実施形態に係るロッカーボギー車300は、モータ307と、モータ307に接続された1つ又は複数の慣性体310と、モータ307又は慣性体310に接続された弾性体309と、弾性体309に接続された出力軸304と、を備え、モータ307と、慣性体310と、弾性体309と、出力軸304とは、直列に接続される。ここで、モータ307と、慣性体310と、弾性体309と、出力軸304とは、アクチュエータ301を構成している。モータ307と慣性体310とは、後述する減速機(図18では図示せず)を介して接続されている。
【0071】
図19は、本実施形態に係るロッカーボギー車のロッカーリンクとボギーリンクの構成をさらに詳細に示す斜視図である。このロッカーボギー車300は、アクチュエータ301を備えたロッカーボギー車300であって、ロッカーリンク303と、ロッカーリンク303に軸支されたボギーリンク305と、を備え、モータ307は、ロッカーリンク303に固定される。本実施形態におけるボギーリンク305は、出力軸304を構成している。ここで、本願発明における出力軸とは、前述の実施形態のような、回転駆動する軸、及び、回転可能に軸支されて回転駆動される部材(本実施形態におけるボギーリンク)を含むものとする。
【0072】
図20は、図19のA-A断面矢視図である。図20に示すように、弾性体309の第1の端部309bは、少なくとも1つの慣性体310に接続され、弾性体309の第2の端部309cは、出力軸304を構成するボギーリンク305に接続される。図20に示す通り、本実施形態における弾性体309は、引きバネ309aである。
【0073】
図19に示すように、ロッカーリンク303は、一方向に延びる板状の梁311と、この梁311の両側部に結合され、互いに対向するように設けられた板状の一対の側板313,313とを備えている。この側板313,313は、それぞれ一方向に延びる梁311に結合された主板部313a,313aとこの主板部313a,313aの一端から主板部313a,313aに直交する方向に延びる主脚部313b,313bと、主板部313a,313aの他端から主板部313a,313aに直交する方向に延びる連結脚部313c,313cとを備えている。連結脚部313c,313cの長さは、主脚部313b,313bの長さより短い。主脚部313b,313bの下端には、軸を介して車輪321が回転自在に支持されている。連結脚部313c,313cの下端には、ボギーリンク305が連結軸jを介して軸支されている。
【0074】
ボギーリンク305は、互いに対向するように設けられた一対の側板325,325と支柱331を備えている。この側板325,325は、間隙を開けて支柱331によって連結されている。この側板325,325は、それぞれ支柱331に結合された主板部325a,325aとこの主板部325a,325aの一端から主板部325a,325aに直交する方向に延びる前脚部325b,325bと、主板部325a,325aの他端から主板部325a,325aに直交する方向に延びる後脚部325c,325cとを備えている。前脚部325b,325bと後脚部325c,325cの長さは、等しく、それぞれの下端には、軸を介して車輪321,321が回転自在に支持されている。
【0075】
図21は、図19のB-B断面矢視図であって、ロッカーリンク303とボギーリンク305との連結軸jの近傍の要部の拡大図である。前述したとおり、ロッカーリンク303、及びボギーリンク305の双方は、対向する2枚の側板313,313、325,325を含む構成とされ、少なくとも一つの慣性体310、及び弾性体309である引きバネ309aは、ボギーリンクの2枚の側板325,325の間に配置される。
【0076】
図21に示すように、ロッカーリンク303に固定されたモータ307の駆動軸307aには、慣性体310の一つとして、錘310aが接続される。錘310aは、本実施形態では、真鍮で作成されてモータ307の外周を囲むように設けられ、駆動軸307aと共に回転し、モータ307の回転駆動の慣性を大きくしている。もう一つの慣性体310としては、モータリンク310bが設けられている。モータ307の駆動軸307aとモータリンク310bとは、モータ307の駆動軸307aの回転出力を減速するギア列からなる減速機333を介して接続されている。
【0077】
減速機333は、駆動軸307aの回転を伝達する駆動ギア333aとこの駆動ギア333aの回転を受けてモータリンク310bに回転を伝える受動ギア333bとを備えている。本実施形態では、減速機333は、モータ307の駆動軸307aからモータリンク310bの回転軸へ5:1の減速比で回転を伝達している。減速後のモータリンク310bの回転軸に対する減速前のモータ307の駆動軸307aの慣性モーメントは減速比の2乗になるため、モータ307の駆動軸307aに錘310aを取り付けることで少ない慣性モーメントで、大きな慣性増加の効果を得ることができる。ここで、ボギーリンク305は、これらのモータ307等の回転駆動とは独立して、回転自在に連結軸jに軸支されている。
【0078】
図18では、動作をわかりやすくするため慣性体310をレバーの様な長尺の部材として描写しているが、本実施形態の実装では、図19図20に示すように、円筒状のモータリンク310bを採用している。図20に示すように、モータリンク310b(少なくとも一つの慣性体310)には、引きバネ309aの第1の端部309bが円筒状のモータリンク310bの径方向の外縁部分で接続され、引きバネ309aの第2の端部309cは、出力軸304を構成するボギーリンク305の支柱331に接続される。
【0079】
このように構成されたアクチュエータ301を備えたロッカーボギー車300については、その段差乗り上げ時等のロッカーボギー車としての、ボギーリンクの回転駆動等の動作については、実施形態3とほぼ同等であるので、その詳細については実施形態3を参照することで、ここではその説明を省略する。以下、実施形態3とは異なるアクチュエータ301について詳細に説明する。
【0080】
図18に示すように、本実施形態におけるロッカーボギー車300において、ボギーリンク305の回転には引きバネ309aの振動を活用する。このとき、引きバネ309aの振動の周期が短いと、一回の振動で引きバネ309aがボギーリンク305に与える仕事量が小さくなるため、高い運動性能が期待できない。高い運動性能向上のためには,引きバネ309aの振動の周期を長くすることが有効である。本実施形態では、回転駆動における慣性を大きくすることによって、バネの振動の周期を長くすることができる。
【0081】
ロッカーボギー車300が,段差に乗り上げるなどして、ボギーリンク305に対して、通常より大きな回転力を付与する必要が生じた際には、フィードバック励振により引きバネ309aの振動の拡大を行う。フィードバック励振とは、バネの変形速度の向きにモータトルクを駆動することによって励振を行う手法である。バネの変形速度向きにモータトルクを駆動することにより運動エネルギーが蓄積し、力学的エネルギーの総和が増大するため、バネの振動が拡大できる。
【0082】
図22は、モータリンク310bとボギーリンク305とに接続された引きバネ309aが変形していき、次第にボギーリンク305を回転させるトルクが増大していく様子を示す図である。図22において、破線tは、フィードバック励振を実施しているときのモータ307の指令トルクを示している。実線kは、ロッカーリンク303とモータリンク310bとの間の角度を示している。
【0083】
図22では、バネの変形速度の向きに、0.6N・mのモータトルクを駆動させる励振動作を行ったときの、リンク関節角度の時系列、およびモータトルク指令値のトルクを表している。回転の向きは前輪持ち上げ向きが正の向きとなっている。実際の駆動としては、図18のモータリンク310bの白矢印で示された正回転、逆回転の連続する駆動が行われている。図22より、モータリンク310bの角度が励振され徐々に大きくなっていることがわかる。モータリンク310bの角度が25degのときにバネによって作用する関節トルクは0.36N・mとなり、78degのときは1.07N・mとなるデータが得られており、25degに対して78degでは、およそ3倍のトルクを獲得している。モータ307の直接の駆動トルク0.6N・mに対しては、およそ2倍のトルクを獲得している。
【0084】
以上述べたように、本実施形態では、実施形態3と同様に、フィードバック励振を利用することによって、ロッカーボギー車300のボギーリンク305を比較的小さなトルクを発生するモータ307でも回転させることができるので、ボギーリンク305を回転させるモータ307を小型化することができる。ロッカーリンク303、及びボギーリンク305は、対向する2枚の側板を含む構成とされている。したがって、ロッカーリンク303、ボギーリンク305の剛性を高めつつ軽量化できる。ボギーリンク305の側板325,325の間には、少なくとも1つの慣性体310であるモータリンク310bと弾性体309である引きバネ309aとを配置することができるので、アクチュエータ301を省スペースでコンパクトに構成することが可能となる。
【0085】
<実施形態6>
図23は、本実施形態に係る跳躍機構の構成を示す模式図である。図23に示すように、本実施形態に係る跳躍機構400は、上脚部401と、下脚部403と、関節部405と、連結部406と、制御装置407と、車輪411と、胴体413と、を備えている。関節部405は、上脚部401の下端401bと下脚部403の上端403aとを連結し、前述の実施形態にあるアクチュエータ405a(例えば、図1図3に示されるアクチュエータ)によって駆動される。車輪411は、下脚部403の下端403bに設けられている。胴体413は、上脚部401の上端401aに連結部406を介して設けられる。連結部406は、上脚部401の上端401aと胴体413との間に設けられるアクチュエータであって、上脚部401と胴体413との間の連結角度を調整する。
【0086】
制御装置407は、アクチュエータ405aを制御する第1の制御部407aと、上脚部401の上端401aと下脚部403の下端403bとの位置関係を制御する第2の制御部407bとを備えている。制御装置407は、本実施形態では、胴体413の内部に設けられている。第2の制御部407bは、アクチュエータ405a、連結部406、車輪411の駆動を制御し、跳躍機構400の姿勢を制御している。
【0087】
第1の制御部407aは、アクチュエータ405aのモータを正転、反転させることによって上脚部401と下脚部403とを屈曲、伸張させ、屈曲と伸張の振幅は、上脚部401と下脚部403との離陸前の、アクチュエータ405aの弾性体の変位の極大になるときの前と後とで、異なるように制御する。
【0088】
図24は、本発明の実施形態に係る跳躍機構400の動作を示す模式図である。図に示すように、跳躍機構400は、段差Dに向かって移動中に、第1の制御部407aによって制御されたアクチュエータ405aによって、上脚部401と下脚部403との屈伸動作が行われている。第2の制御部407bは、屈伸動作中に、胴体413が地面に対して垂直の姿勢となるように、連結部406、車輪411を制御する。ここで第2の制御部407bによる車輪411の制御は、倒立振子の制御を含む。倒立振子の制御とは、支点よりも重心が高い位置にある振り子の制御であって、本実施形態では、胴体413を垂直の姿勢となるように車輪411の駆動を制御する。
【0089】
跳躍機構400は、(a)~(c)への移動の間、上脚部401と下脚部403を屈曲させている。(c)~(d)への移動の間、上脚部401と下脚部403を伸張させて、地面から離陸する。(e)~(g)の離陸後の間も、上脚部401と下脚部403との屈伸動作は継続されている。図24において、破線Pは、跳躍機構400の重心軌道を表し、実線Qは、跳躍機構400の車輪411の軌道を表している。図に示すように、跳躍機構400は、離陸してから重心が最高点に達する時刻と、上脚部401と下脚部403とが最も縮む時刻が一致するように制御されている。
【0090】
次に、上述のように、離陸してから重心が最高点に達する時刻と、上脚部401と下脚部403とが最も縮む時刻が一致するように制御することについて、説明する。図25は、本実施形態に係る跳躍機構400の力学系のモデルMとその動作を表した図である。本モデルは、三質点一バネ一入力系として構成されている。このモデルMにおいて、「離陸してから重心が最高点に達する時刻と、上脚部401と下脚部403とが最も縮む時刻が一致するように制御する」とは、「跳躍時の重心最高点に達する時刻とバネが最も縮む時刻を一致」させることになる。
【0091】
このモデルは下から順に、跳躍機構400の足の慣性を想定した質点m[kg]、モータ慣性を想定した質点m[kg]、ボディ全体の慣性を想定した質点m[kg]の三つの質点から構成されている。加えて、mとmとの間にバネ定数k[N/m]のバネ、mとmとの間にモータ力が作用する構成となっている。これはボディ全体と足の間に上述のアクチュエータを使用することを想定している。ここでアクチュエータを位置制御することを想定し、アクチュエータ長さl[m]を入力とする。m、m、mの絶対位置をそれぞれz[m]、z[m]、z[m]で表す。この系の重心位置をz[m]で表す。ここで、接地区間においてはm,mに作用する重力と釣り合うだけバネが下向きにd=(m+m)g/k[m]だけ変位し、その点が振動中心となる。(ここでgは重力加速度である。)一方で空中区間においてはバネの振動中心はバネの自然長の位置となる。接地区間と空中区間におけるmの振動中心からの変位をそれぞれz[m]、zap[m]とする。また、tto[s]は離陸時刻、tmax[s]は足裏高さが最大になるときの時刻である。後述するグラフにおいては、空中区間では離陸時刻ttoをt=0s、tmax[s]を足裏高さが最大になるときの時刻とする。このモデルを用いて「跳躍時の重心最高点に達する時刻とバネが最も縮む時刻を一致」させる方法について説明する。
【0092】
重心の垂直方向の速度は、mの速度に依存している。ここで、mの垂直方向の速度は、跳躍までの経過時刻、すなわち振動回数nと設定されるアクチュエータ振幅lに依存するので、それを考慮してn回目の振動の腹以降で跳躍に至るようにするlは、式(1)で表す事ができる。ここで振動の腹とは、振動におけるバネ変位の極大値のことである。図26は、この振動の腹を説明するためのグラフG1であって、縦軸がバネ変位、横軸が時間を表している。横の実線Fは、跳躍機構400が離陸に至る閾値を示している。グラフG1では、破線Hで示された時刻が、n回目の振動の腹の時刻であって、この状態が、ギリギリ離陸には至らない離陸前のバネ変位が極大値となる時刻である。n回目の振動の腹では床からの反力がほぼ0となり、その次の振動中で跳躍に至る。図26では、破線Sの時刻の後に跳躍に至っている。
【0093】
【数1】
【0094】
つぎにn回目の振動の腹を迎えた後に振幅を係数α倍する。この係数αを操作することでアクチュエータ振幅lが変化し、離陸時の速度z(tto)が制御できる。これを考慮した接地区間、および離陸直前の振動の腹を迎えた後におけるアクチュエータ長さ振動を式(2)、式(3)に示す。図26では、離陸直前の振動の腹である破線Hまで式(2)の制御を行い、破線Hを経過後は、式(3)の制御に切り換える。図1図3に示されるアクチュエータを用いた場合には、モータの回転角度を適切に設定することで、ここで説明している力学系のモデルMのアクチュエータの振幅に相当する入力が可能となる。ここで制御のきっかけとなる振動の腹のタイミングは、エンコーダ等でバネの変位を計測することによって得ることができる。
【0095】
【数2】
【0096】
ここでl[m]は、アクチュエータの中立長、(2n-1)π/ω[s]はn回目の振動の腹を迎えるときの時刻である。ここでω[rad/s]は跳躍機構400の力学系のモデルMの固有角振動数(接地している状態での固有角振動数)である。図27は、跳躍機構400の破線で示される離陸後の重心位置zと、実線で示される足裏の位置を代表する質点mの位置zを時間の経過と共に示した図である。グラフG2は、α、または後述するωの調整前、グラフG3がα、および/またはωの調節後のグラフである。図27に示すように跳躍機構400は、離陸直前のバネ変位が極大値に至る振動の腹前後のαを調節することで重心最高点に達する時刻を操作できるようになり「離陸後の重心最高点に達する時刻とバネが最も縮む時刻を一致」することができる。
【0097】
以上述べたように、本実施形態では、上述の実施形態におけるアクチュエータ405aを関節部405に採用し、跳躍機構400を構成する。第1の制御部407aは、アクチュエータ405aのモータを正転、反転させることによって上脚部401と下脚部403とを屈曲、伸張させ、屈曲と伸張の振幅は、跳躍機構400の離陸直前のバネ変位が極大値に至る振動の腹前後で、異なるように制御する。このことによって、跳躍機構400は、離陸してから重心が最高点に達する時刻と、上脚部401と下脚部403とが最も縮む時刻が一致するように制御され、例えば、この跳躍機構400を、移動体に適用した場合の跳躍において、重心が最高点に達する時刻の足裏の高さが最高になり、大きな段差を乗り越えることができる。なお、本実施形態では、下脚部403の下端403bには、車輪411が設けられる例を説明したが、これに限定されず、車輪411に代えて、その場に自立する部材を設けてもよい。この場合は、第2の制御部407bの姿勢制御によって、跳躍機構400を前方に傾斜させると共に、跳躍機構400を跳躍させることにより、前方上方への移動が可能となる。
【0098】
<実施形態7>
本実施形態が実施形態6と異なるのは、図23に示す跳躍機構400の制御方法である。本実施形態では、第1の制御部407aは、アクチュエータ405aのモータを正転、反転させることによって上脚部401と下脚部403とを屈曲、伸張させ、屈曲と伸張の周期は、上脚部と下脚部との離陸前と離陸後とで、異なるように制御する。その他の構成、作用については、実施形態6と共通である。ここで離陸前と離陸後とは、図26に示す破線Sの前後のことである。
【0099】
本実施形態においても、n回目の振動の腹以降で跳躍に至るようにするlは、上述の式(1)で表す事ができる。本実施形態においては、このlを設定した上に、さらにn 回目の振動の腹を迎えるとき以降の上述の式(3)のαをα=lmax/(2l)と設定する。実施形態6と同様に振動の腹とは、図26に示す破線Hの時刻である。lmaxは、アクチュエータの最大長である。この設定により、n回目の振動の腹を迎えた後に最大の振幅でアクチュエータは振動することになり、地面からの離陸は一回のみという制約下で最も離陸速度を大きくできる。
【0100】
この設定に加え、「離陸後の重心最高点に達する時刻とバネが最も縮む時刻を一致」させるために、式(3)におけるアクチェータの周期に関係する角振動数ωを調節する。実施形態6と同様に、図27に示すように、跳躍機構400は、離陸後のωを調節することでバネが最も縮む時刻を操作できるようになり「離陸後の重心最高点に達する時刻とバネが最も縮む時刻を一致」することができる。本実施形態において、制御のきっかけとなる上述した振動の腹、および離陸のタイミングは、エンコーダ等でバネの変位を計測することによって得ることができる。
【0101】
本実施形態では、実施形態6と同様に、「離陸後の重心最高点に達する時刻とバネが最も縮む時刻を一致」させながら、n回目の振動の腹を迎えた後に最大の振幅でアクチュエータを振動させることにより、最も離陸速度を大きくできる。したがって、跳躍の高さを向上することができる。なお、本実施形態では、n回目の振動の腹前後で振幅を変更する制御と離陸前後で振動周期を変更する制御との両方を行っているが、これに限定されず、「離陸後の重心最高点に達する時刻とバネが最も縮む時刻を一致」させる簡易的な制御のため、離陸前後の振動周期のみを変更する制御を行ってよい。
【0102】
<実施形態6、7の変形例>
図28は、実施形態6、7の変形例を示す図である。図に示すとおり、本変形例における跳躍機構410は、胴体413と上脚部401の連結角度を制御する連結部406に代えて、リンク機構415が設けられている。リンク機構415は、リンクバー415a~415eとリンク軸415f~415jを備えている。リンクバー415a~415eは、リンク軸415f~415jに対して紙面平面上で回動可能に軸支されており、上脚部401と下脚部403の動作を、そのままリンクバー415dと415eに反映させる。リンクバー415aと415cは、平行関係を保つ。リンクバー415cには、車軸411aを介して車輪411が軸支されている。その他の作用効果については、実施形態6、7と同等である。本実施形態では、リンク機構415を採用することによって、跳躍機構410の姿勢を簡便な構造を用いて、実施形態6、7の連結部406のアクチュエータに代えて、容易に制御することができる。
【0103】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、上述の構成に対して、構成要素の付加、削除又は転換を行った様々な変形例も含むものとする。
【符号の説明】
【0104】
10,10A,10B アクチュエータ
11,307 モータ
12,12A,310 慣性体
13,309 弾性体
14 出力軸
100,100A,100B,301 アクチュエータ
101 モータ
102 慣性付加部
103,103A,103B 渦巻バネ
104,304 出力軸
105 第1エンコーダ
106 第2エンコーダ
107 減速ギア
1070,1071 減速機
1072,1073 ギア
150 移動体
151 車輪
152 シャーシ
153 シャフト
160 動力伝達機構
200,300 ロッカーボギー車
201a 前輪
201aR 右前輪
201aL 左前輪
201b 中輪
201bR 右中輪
201bL 左中輪
201c 後輪
201cR 右後輪
201cL 左後輪
202R 右ボギーリンク
202L 左ボギーリンク
203R 右ロッカーリンク
203L 左ロッカーリンク
205 本体
214,214R,214L,215,215R,215L,216,216R,216L アクチュエータ
217 リンク角アクチュエータ
217R 右リンク角アクチュエータ
217L 左リンク角アクチュエータ
303 ロッカーリンク
305 ボギーリンク
309a 引きバネ
309b 第1の端部
309c 第2の端部
310 慣性体
313、325 側板
400、410 跳躍機構
401 上脚部
401a 上脚部の上端
401b 上脚部の下端
403 下脚部
403a 下脚部の上端
403b 下脚部の下端
405 関節部
405a アクチュエータ
406 連結部
407a 第1の制御部
407b 第2の制御部
411 車輪
413 胴体
図1
図2
図3
図4
図5
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図28