(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087935
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】加熱装置、定着装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202498
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 有信
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033BA16
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB37
2H033BB39
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】回転部材の長手方向の温度分布を改善することを課題とする。
【解決手段】ハロゲンヒータ22と、定着ベルト20と、定着ベルト20を加圧する加圧ローラ20と、定着ベルト20の内側に配置され、定着ベルト20を介して加圧ローラ20との間に定着ニップNを形成するニップ形成部材23と、定着ベルト20とニップ形成部材23との間に設けられた摺動シート26とを備えた定着装置9であって、摺動シート26は、その熱伝導率がその他の部分よりも大きい高熱伝導部261を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱体と、
回転部材と、
前記回転部材を加圧する加圧部材と、
前記回転部材の内側に配置され、前記回転部材を介して前記加圧部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記回転部材と前記ニップ形成部材との間に設けられた摺動シートとを備えた加熱装置であって、
前記摺動シートは、その熱伝導率を長手方向に変化させることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
第1の記録媒体と、前記第1の記録媒体よりも前記長手方向の長さの大きい第2の記録媒体とに対応する請求項1記載の加熱装置であって、
前記摺動シートは、前記長手方向の前記第2の記録媒体の通過領域の内側であって、前記第1の記録媒体の通過領域よりも外側の領域である第一長手領域の熱伝導率が、前記第1の記録媒体の通過領域内の領域である第二長手領域の熱伝導率よりも大きく設定される請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記摺動シートの前記第一長手領域は金属繊維を含む請求項2記載の加熱装置。
【請求項4】
前記第一長手領域は前記第二長手領域よりもその厚みが小さい請求項2または3記載の加熱装置。
【請求項5】
前記摺動シートの前記第一長手領域および前記第二長手領域は繊維状の材料により形成され、
前記第一長手領域は前記第二長手領域よりも繊維の密度が大きい請求項2から4いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記摺動シートの前記第一長手領域および前記第二長手領域は繊維状の材料により形成され、
前記第一長手領域は前記第二長手領域よりも繊維の径が大きい請求項2から5いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記長手方向の長さが前記第1の記録媒体よりも大きく前記第2の記録媒体よりも小さい第3の記録媒体に対応する請求項2から6いずれか1項に記載の加熱装置であって、
前記摺動シートは、前記第一長手領域の内、前記第3の記録媒体の通過領域よりも内側の領域の熱伝導率が、前記第3の記録媒体の通過領域よりも外側の領域の熱伝導率よりも大きい加熱装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれか1項に記載の加熱装置により、記録媒体上の熱を加熱して定着させる定着装置。
【請求項9】
請求項8記載の定着装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱装置としての定着装置では、回転部材としての定着ベルトの内面に設けられたニップ形成部材が、定着ベルトを介して、加圧部材としての加圧ローラとの間に定着ニップを形成する。
【0003】
このような定着装置には、ニップ形成部材と定着ベルトの摺動性を改善したり、定着ベルトの摩耗を抑制したりする目的で、摺動性に優れた摺動シートが設けられるものが存在する。
【0004】
例えば特許文献1(特開2016-33636号公報)の定着装置では、ニップ形成部材と定着ベルトとの間に摺動シートが設けられる。また、ニップ形成部材は、熱伝導率の異なる複数の部材によって構成されており、定着ベルトの非通紙部における過昇温を抑制するための均熱板や吸熱部材などの高熱伝導部材が設けられる。
【0005】
ところが、前述の摺動シートを設けることにより、回転部材とニップ形成部材との間での伝熱がしにくくなる。従って、前述した高熱伝導部材による回転部材の長手方向の均熱効果も抑制されてしまうなど、加熱装置内の回転部材等の各部材において、理想の長手方向の温度分布を得られないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転部材の長手方向の温度分布を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、加熱体と、回転部材と、前記回転部材を加圧する加圧部材と、前記回転部材の内側に配置され、前記回転部材を介して前記加圧部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、前記回転部材と前記ニップ形成部材との間に設けられた摺動シートとを備えた加熱装置であって、前記摺動シートは、その熱伝導率を長手方向に変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転部材の長手方向の温度分布を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の一実施形態に係る定着装置の構成を示す側面断面図である。
【
図3】ハロゲンヒータ、摺動シート、用紙の長手方向の位置関係を示す図である。
【
図4】本発明と異なる定着装置に小サイズの用紙が通紙された場合を示す図で、(a)図が非通紙領域を示す図、(b)図が定着ベルトの長手方向の温度分布を示す図である。
【
図5】ニップ形成部材および摺動シートを示す分解斜視図である。
【
図6】異なる実施形態の定着装置のハロゲンヒータ、摺動シート、用紙の長手方向の位置関係を示す図である。
【
図7】さらに異なる実施形態の定着装置のハロゲンヒータ、摺動シート、用紙の長手方向の位置関係を示す図である。
【
図8】
図2と異なる実施形態の定着装置を示す側面断面図である。
【
図9】
図2と異なる実施形態の定着装置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。以下、本発明の一実施形態に係る加熱装置として、画像形成装置に設けられた定着装置を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0012】
図1に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体に対して着脱可能な4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkを備える。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。これらの色の現像剤は、カラー画像の色分解成分に対応する。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、像担持体としてのドラム状の感光体2と、帯電装置3と、現像装置4と、クリーニング装置5とを備える 。帯電装置3は感光体2の表面を帯電する。現像装置4は、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する。クリーニング装置5は感光体2の表面をクリーニングする。
【0013】
また、画像形成装置100は、露光装置6と、給紙装置7と、転写装置8と、定着装置9と、排紙装置10とを備える。露光装置6は、各感光体2の表面を露光し、その表面に静電潜像を形成する。給紙装置7は、記録媒体としての用紙Pを用紙搬送路14に供給する。転写装置8は各感光体2に形成されたトナー画像を用紙Pに転写する。定着装置9は用紙Pに転写されたトナー画像を用紙P表面に定着させる。排紙装置10は用紙Pを装置外に排出する。各作像ユニット1、感光体2、帯電装置3、露光装置6、転写装置8などは、用紙に画像を形成するための画像形成手段を構成している。
【0014】
転写装置8は、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト11と、一次転写部材としての4つの一次転写ローラ12と、二次転写部材としての二次転写ローラ13とを有する。中間転写ベルト11は複数のローラによって張架される。一次転写ローラ12は各感光体2上のトナー画像を中間転写ベルト11へ転写する。二次転写ローラ13は中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像を用紙Pへ転写する。複数の一次転写ローラ12は、それぞれ、中間転写ベルト11を介して感光体2に接触している。これにより、中間転写ベルト11と各感光体2とが互いに接触し、これらの間に一次転写ニップが形成される。一方、二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して中間転写ベルト11を張架するローラの1つに接触している。これにより、二次転写ローラ13と中間転写ベルト11との間には二次転写ニップが形成されている。
【0015】
また、用紙搬送路14における給紙装置7から二次転写ニップ(二次転写ローラ13)に至るまでの途中には、一対のタイミングローラ15が設けられている。
【0016】
次に、
図1を参照して上記画像形成装置の印刷動作について説明する。
【0017】
印刷動作開始の指示があると、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkにおいては、感光体2が
図1の時計回りに回転駆動され、帯電装置3によって感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に基づいて、露光装置6が各感光体2の表面を露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4からトナーが供給され、各感光体2上にトナー画像が形成される。
【0018】
各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って回転し、一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達する。そしてトナー画像は、
図1の反時計回りに回転駆動する中間転写ベルト11に順次重なり合うように転写される。そして、中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送される。トナー画像は、二次転写ニップにおいて搬送されてきた用紙Pに転写される。この用紙Pは、給紙装置7から供給されたものである。給紙装置7から供給された用紙Pは、タイミングローラ15によって一旦停止された後、中間転写ベルト11上のトナー画像が二次転写ニップに至るタイミングに合わせて二次転写ニップへ搬送される。かくして、用紙P上にフルカラーのトナー画像が担持される。また、トナー画像が転写された後、各感光体2上に残留するトナーは各クリーニング装置5によって除去される。
【0019】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置9へと搬送され、定着装置9によって用紙Pにトナー画像が定着される。その後、用紙Pは排紙装置10によって装置外に排出されて、一連の印刷動作が完了する。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、回転部材あるいは定着部材としての定着ベルト20と、対向回転部材あるいは加圧部材としての加圧ローラ21と、加熱体としてのハロゲンヒータ22と、ニップ形成部材23と、支持部材としてのステー24と、反射部材25と、摺動シート26と、分離部材27等を備えている。定着ベルト20は無端状のベルトからなる。加圧ローラ21は定着ベルト20の外周面に接触して、定着ベルト20との間に定着ニップNを形成する。ハロゲンヒータ22は定着ベルト20を加熱する。ステー24はニップ形成部材23を支持する。定着装置に設けられる定着部材は、加熱装置に設けられる回転部材の一態様である。本実施形態の定着装置9には、この定着部材の具体例として定着ベルト20が設けられる。また定着装置に設けられる加圧部材は、加熱装置に設けられる対向回転部材の一態様である。本実施形態の定着装置9には、この加圧部材の具体例として加圧ローラ21が設けられる。
【0021】
図2の紙面に直交する方向で
図3の両矢印X方向は、定着ベルト20、加圧ローラ21、ハロゲンヒータ22、ニップ形成部材23、ステー24、摺動シート26等の長手方向であり、以下、この方向を単に長手方向と呼ぶ。なお、この長手方向は搬送される用紙の幅方向、定着ベルト20のベルト幅方向、そして、加圧ローラ21の軸方向でもある。
【0022】
定着ベルト20は、無端状のベルト部材で構成されている。このベルト部材は薄肉で可撓性を有する。またこのベルト部材にはフィルムが含まれる。詳しくは、定着ベルト20は、内周側の基材と外周側の離型層により構成される。この基材はニッケルもしくはSUS等の金属材料またはポリイミド(PI)等の樹脂材料で形成される。離型層はテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等で形成される。また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させても良い。
【0023】
加圧ローラ21は、芯金21aと、芯金21aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム又はフッ素ゴム等から成る弾性層21bと、弾性層21bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層21cによって構成されている。そして、加圧ローラ21は、付勢手段によって定着ベルト20側へ付勢され、定着ベルト20を介してニップ形成部材23に当接している。この加圧ローラ21と定着ベルト20とが圧接する箇所では、加圧ローラ21の弾性層21bが押し潰されることで、所定の幅の定着ニップNが形成されている。また、加圧ローラ21は、プリンタ本体に設けられたモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。そして、加圧ローラ21が回転駆動すると、その駆動力がニップNで定着ベルト20に伝達され、定着ベルト20が従動回転する。
【0024】
本実施形態では、加圧ローラ21を中実のローラとしているが、中空のローラであっても良い。その場合、加圧ローラ21の内部にハロゲンヒータ等の加熱体を配設しても良い。また、加圧ローラ21が弾性層を有していない場合は、加圧ローラ21の熱容量が小さくなり定着性が向上する。一方で、未定着トナーを押し潰して定着させるときに、ベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、加圧ローラ21に厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。加圧ローラ21に厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができる。弾性層21bは、ソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ21の内部に加熱体が無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。断熱性が高まり定着ベルト20の熱が奪われ難くなるため、加圧ローラ21の弾性層にはスポンジゴムを用いる方が望ましい。また、定着部材と加圧部材は、互いに圧接する態様に限らず、加圧を行わず単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
【0025】
定着ベルト20とハロゲンヒータ22との間に、ハロゲンヒータ22からの熱を一部遮蔽する遮蔽部材を配設しても良い。これにより、特に、連続通紙時の定着ベルト20の非通紙領域における過剰な温度上昇を抑制することができ、定着ベルト20の熱による劣化や損傷を防止することができる。
【0026】
ニップ形成部材23は、耐熱温度200℃以上の耐熱性部材で構成される。これにより、トナー定着温度域で、熱によるニップ形成部材23の変形を防止し、安定した定着ニップNの状態を確保して、出力画質の安定化を図っている。ニップ形成部材23には、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。
【0027】
ニップ形成部材23と定着ベルト20の内面との間には、摺動シート26が設けられる。
【0028】
ステー24はニップ形成部材23を支持する。ステー24の端部は、定着装置の筐体に固定されている。これにより、加圧ローラ21による圧力でニップ形成部材23の撓みの発生が防止される。そのため、加圧ローラ21の回転軸方向にわたって均一なニップ幅が得られるようになる。また、ステー24は、ニップ形成部材23の撓み防止機能を満足させるために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成されることが望ましい。なお、ステー24を樹脂製とすることも可能である。
【0029】
反射部材25は、ステー24とハロゲンヒータ22との間に配設されている。本実施形態では、反射部材25をステー24に固定している。また、反射部材25は、ハロゲンヒータ22によって直接加熱されるため、高融点の金属材料等で形成されることが望ましい。反射部材25を配設することにより、ハロゲンヒータ22からステー24側に放射された光が定着ベルト20へ反射される。これにより、定着ベルト20に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト20を効率良く加熱可能となる。また、ハロゲンヒータ22からの輻射熱がステー24等に伝達されるのを抑制することができるので、省エネルギー化も図れる。
【0030】
なお、本実施形態のような反射部材25を設ける代わりに、ハロゲンヒータ22側のステー24の面を研磨または塗装等の鏡面処理を施し、反射面を形成しても良い。また、上記反射部材25またはステー24の反射面の反射率は、90%以上であることが望ましい。
【0031】
また、ステー24は、その強度を確保するために形状や材質を自由に選択できない。このため、本実施形態のように反射部材25を別途設けた方が、形状や材質の選択の自由度が広がり、反射部材25とステー24はそれぞれの機能に特化させることができる。また、反射部材25をハロゲンヒータ22とステー24との間に設けることにより、ハロゲンヒータ22に対する反射部材25の位置が近くなる、従って、ハロゲンヒータ22が定着ベルト20を効率良く加熱できる。
【0032】
次に、本実施形態に係る定着装置の基本動作について説明する。画像形成装置本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ22に電力が供給されると共に、加圧ローラ21が
図2中の時計回りに回転駆動を開始する。これにより、定着ベルト20は、加圧ローラ21との摩擦力によって
図2中の反時計回りに従動回転する。
【0033】
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像Tが担持された用紙Pが、
図2の矢印A1方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト20および加圧ローラ21のニップNに送入される。そして、ハロゲンヒータ22によって加熱された定着ベルト20による熱と、定着ベルト20と加圧ローラ21との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像Tが定着される。
【0034】
トナー画像Tが定着された用紙Pは、定着ニップニップNから
図2中の矢印方向に搬出される。このとき、用紙Pの先端が分離部材27の先端に接触することにより、用紙Pが定着ベルト20から分離される。
【0035】
本実施形態の定着装置9は2本のハロゲンヒータ22を有する。より詳細には、
図3に示すように、定着装置9は、長手方向中央側に主な発熱領域を有する中央側ヒータ22aと、長手方向の両端部側に主な発熱領域を有する端部側ヒータ22bとを有する。中央側ヒータ22aあるいは端部側ヒータ22bの主な発熱領域とは、ハロゲンヒータ22のガラス管内部に設けられたフィラメントが密に巻かれた部分である。また
図3に示す点線Dは定着装置に通紙される用紙の幅方向中央位置であり、中央側ヒータ22aの主な発熱領域の長手方向の中央位置、あるいは摺動シート26の中央位置でもある。
【0036】
用紙P1、P2などの幅の小さい用紙が定着装置9に通紙される場合には、中央側ヒータ22aのみが点灯する。また、用紙P3のような幅の大きい用紙が定着装置9に通紙される場合には、中央側ヒータ22aおよび端部側ヒータ22bが点灯する。用紙P1は例えばA6サイズの用紙である。
【0037】
ここで、本実施形態と異なる構成の
図4の定着装置を用いて、非通紙領域における定着ベルトの過昇温の問題について説明する。
図4(a)は長手方向の中央側ヒータ22aと摺動シート26’、そして用紙P1の位置関係を示す図で、
図4(b)は用紙P1を通紙した場合の定着ベルトの長手方向の温度分布の一例を示す図である。
【0038】
図4(a)に示すように、本実施形態と異なる構成の定着装置は、摺動シート26’が長手方向に同じ材料で形成され、その熱伝導率も同じである。またニップ形成部材に後述する高熱伝導部材が設けられていてない点も本実施形態の定着装置と異なる点である。
【0039】
このような定着装置では、ハロゲンヒータ22の主な加熱領域よりも小さい幅の用紙が通紙された場合に、定着ベルトが過昇温する。例えば
図4(a)に示すように、用紙P1が定着装置9に通紙された場合には、中央側ヒータ22aのみが点灯する。この際、中央側ヒータ22aの主な発熱領域内で、用紙P1の通紙領域よりも外側の領域である非通紙領域Bでは、定着ベルト20が中央側ヒータ22aによって加熱されるが、定着ベルト20の温度が用紙によって奪われない。このため、
図4(b)に示すように、非通紙領域Bにおいて定着ベルト20が過昇温してしまい、定着ベルトの破損の原因となってしまう。
【0040】
これに対して本実施形態の定着装置9は、ニップ形成部材23に高熱伝導部材を設けることにより、定着ベルト20の長手方向の伝熱を促進して定着ベルト20の非通紙領域における過昇温を抑制している。以下、ニップ形成部材23のより詳細な構成について
図5を用いて説明する。
【0041】
図5に示すように、ニップ形成部材23は、高熱伝導部材としての均熱部材31、第1吸熱部材32、および、第2吸熱部材33と、第1断熱部材34と、第2断熱部材35と、を有する。
【0042】
均熱部材31には、金属板の両側に略直角方向へ曲げた曲げ部31bが形成される。中央に設けられた当接部31aは、摺動シート26を介して定着ベルト20の内面に当接する部分である。
【0043】
摺動シート26は、均熱部材31の当接部31aの定着ベルト20側である
図5の下側に設けられ、均熱部材31と定着ベルト20との間に配置される。摺動シート26は、その両端が均熱部材31の各曲げ部31bの先端で折り返され、曲げ部31bの内側で保持される。また、摺動シート26を、両面テープなどにより当接部31aおよび両側の曲げ部31bに接着させてもよい。
【0044】
第1吸熱部材32は、第1断熱部材34あるいは第2断熱部材35よりも熱伝導率の大きい材料により構成される。第1吸熱部材32は、ニップ形成部材23の厚み方向の定着ニップN側と反対側に設けられる。第1吸熱部材32は長手方向のハロゲンヒータ22の加熱領域C全域にわたって設けられる。なお、ハロゲンヒータ22の加熱領域Cは、長手方向の中央側ヒータ22aおよび端部側ヒータ22bの主な発熱領域が設けられた範囲のことである。
【0045】
第2吸熱部材33は、第1断熱部材34あるいは第2断熱部材35よりも熱伝導率の大きい材料により構成される。第2吸熱部材33は、長手方向の用紙P1の通紙領域より外側の両側に設けられる。つまり、定着装置9に用紙P1が通紙されて中央側ヒータ22aが点灯した際に、中央側ヒータ22aの主な発熱領域内で長手方向の用紙P1よりも外側である非通紙領域B(
図4参照)に対向して設けられる。
【0046】
第2断熱部材35は均熱部材31より熱伝導率の低い材料により形成され、例えば樹脂材料により形成される。第2断熱部材35は長手方向の第2吸熱部材33が設けられる位置に設けられ、第2吸熱部材33と重ね合わせされている。
【0047】
第1断熱部材34は均熱部材31より熱伝導率の低い材料により形成され、例えば樹脂材料により形成される。第1断熱部材34は、ニップ形成部材23の厚み方向の均熱部材31と第1吸熱部材32との間に設けられる。また第1断熱部材34は、長手方向の第2吸熱部材33および第2断熱部材35が設けられていない位置に設けられる。別の言い方をすると、ニップ形成部材23には、長手方向に、第1断熱部材34、あるいは、第2吸熱部材33および第2断熱部材35が交互に設けられる。
【0048】
均熱部材31が設けられることにより、定着ベルト20の長手方向の伝熱を促進し、定着ベルト20の温度を長手方向に均一化できる。従って、定着ベルト20の非通紙領域Bにおける過昇温を抑制できる。また、第1吸熱部材32および第2吸熱部材33を設けることにより、均熱部材31側からニップ形成部材23の厚み方向へ熱の移動を促進することができる。つまり、第1吸熱部材32および第2吸熱部材33により、均熱部材31の熱量不足を補うことができる。また、第1断熱部材34を設けることにより、通紙領域において定着ベルト20の熱を過剰に奪うことを抑制し、定着ベルト20の通紙部における温度落ち込みを防止できる。第2断熱部材35を設けることにより、長手方向の非通紙領域Bにおけるニップ形成部材23の厚み方向の熱の移動量を調整できる。従って、長手方向の第2吸熱部材33が設けられる位置で、定着ベルト20の熱がニップ形成部材23によって過剰に奪われることを防止できる。
【0049】
このようなニップ形成部材23の構成により、前述のように定着ベルト20の温度を長手方向に均一化し、定着ベルト20の非通紙領域における過昇温も抑制できる。しかし、定着ベルト20と均熱部材31が摺動シート26を介して当接することにより、定着ベルト20から均熱部材31へ熱が移動しにくくなり、定着ベルト20の温度を長手方向に均一化する効果や定着ベルト20の過昇温を抑制する効果が小さくなってしまうという問題がある。
【0050】
このような問題に対して、本実施形態では、摺動シート26の非通紙領域に対応する部分の熱伝導率を大きくしている。具体的には、
図3に示すように、摺動シート26は、長手方向の非通紙領域Bに対向する位置に、摺動シート26のその他の領域よりも熱伝導率の大きい、第一長手領域としての高熱伝導部261を有する。別の言い方をすると、摺動シート26の長手方向において、第2の記録媒体である用紙P2の通紙領域の内側であって、第1の記録媒体である用紙P1の通紙領域よりも外側の領域である領域Bに相当する領域を摺動シート26の第一長手領域261とし、用紙P1の通紙領域に対向する領域を第二長手領域262とすると、第一長手領域261の熱伝導率が第二長手領域262の熱伝導率よりも大きく設けられる。なお、ここで言う非通紙領域Bとは、前述のように用紙P1を通紙した場合の、中央側ヒータ22aによる主な発熱領域内で用紙P1が通紙されない領域のことである。
【0051】
このように、摺動シート26の長手方向の非通紙領域Bに対向する領域を高熱伝導部261とすることにより、非通紙領域Bにおいて定着ベルト20から均熱部材31へ熱を移動しやすくすることができる。従って、ニップ形成部材23による定着ベルト20の長手方向の均熱効果を高め、用紙P1が通紙された際の定着ベルト20の非通紙領域Bにおける過昇温を抑制できる。このように、摺動シート26の熱伝導率をその長手方向に変化させることにより、定着ベルト20の長手方向の温度分布を改善し、より理想的な状態に近づけることができる。また以上の構成により、ニップ形成部材23の定着ベルト20に対する十分な均熱効果が得られる場合には、第1吸熱部材32を省略する等、ニップ形成部材23の部品数を減らすこともできる。従って、ニップ形成部材の組立性の改善やコストダウンを実現できる。なお、高熱伝導部261は非通紙領域Bの全域に設けられる必要はなく、その一部であってもよい。
【0052】
摺動シート26は耐摩耗性および定着ベルト20との摺動性に優れた材料により形成される。摺動シート26の高熱伝導部261は、例えば金属繊維とフッ素系の樹脂繊維とにより構成することができる。一方、摺動シート26の高熱伝導部261以外の部分は、例えばフッ素系の樹脂繊維のみにより構成することができる。これにより、高熱伝導部261の熱伝導率を第二長手領域262などのその他の部分の熱伝導率と比較して大きくすることができる。
【0053】
金属繊維は樹脂繊維と比較してその熱伝導率が大きいものの、摺動性に劣っている。このため、高熱伝導部261を構成する金属繊維とフッ素系の樹脂繊維の割合を変更することで、摺動シート26の伝熱効果と摺動性のバランスをとった最適な割合を採用することができる。また、高熱伝導部261の厚みを摺動シート26のその他の部分より小さくして高熱伝導部261の熱伝導率を大きくすることもできる。さらに、高熱伝導部261を構成する繊維の径を大きくしたり、繊維の割合を増やして密度を大きくすることで、高熱伝導部261の熱伝導率を大きくすることもできる。
【0054】
次に、上記の熱伝導率の算出方法について説明する。熱伝導率を算出する際には、まず、対象の物体の熱拡散率を測定し、この熱拡散率を用いて熱伝導率を算出する。
【0055】
熱拡散率の計測は、熱拡散率・熱伝導率測定装置(商品名:ai-Phase Mobile 1u、株式会社アイフェイズ性)を用いた。
【0056】
上記熱拡散率を熱伝導率に換算するためには、密度と比熱容量の値が必要である。 密度の計測には、乾式自動密度計(商品名:Accupyc 1330、株式会社島津製作所製)を用いた。 また、比熱容量の計は、示差走査型熱量測定装置(商品名:商品名:DSC-60 株式会社島津製作所製)を用い、比熱容量が既知の基準物質としてサファイアを用いて測定した。本実施例では比熱容量測定を5回行い、50℃における平均値を用いた。密度および比熱容量をそれぞれρ、Cとすると、上記熱拡散率測定で得られた熱拡散率αとから、熱伝導率λは、以下の式(1)により得ることができる。
【0057】
【0058】
以上で説明した摺動シートの高熱伝導部の構成は一例であり、これに限るものではない。以下、摺動シートに設けられた高熱伝導部の変形例について説明する。
【0059】
図6に示すように、本実施形態の定着装置9は、用紙P1よりもその幅が大きく、用紙P2よりもその幅が小さい、第3の記録媒体としての用紙P4に対応する。本実施形態では、定着装置9に用紙P1を通紙した場合には、前述の実施形態と同じ範囲である長手方向の範囲B1が、中央側ヒータ22aによる主な発熱領域内であって、用紙P1が通紙される領域の外側の領域である非通紙領域B1で定着ベルト20の温度が大きくなる。一方、定着装置9に用紙P4を通紙した場合には、中央側ヒータ22aによる主な発熱領域内であって、用紙P4が通紙される領域の外側の領域である非通紙領域B2で定着ベルト20の温度が大きくなる。
【0060】
このように本実施形態では、中央側ヒータ22aのみが点灯する用紙として、3種類の用紙P1,P2,P4があり、非通紙領域の範囲も通紙される用紙のサイズによって異なる。
【0061】
これに対して本実施形態の摺動シート26は、高熱伝導部261が、内側高熱伝導部261aと外側高熱伝導部261bとからなる。内側高熱伝導部261aは、長手方向の非通紙領域B1内であって、非通紙領域B2の外側の領域に設けられる。外側高熱伝導部261bは、長手方向の非通紙領域B2内の領域に設けられる。内側高熱伝導部261aは外側高熱伝導部261bよりもその熱伝導率が大きく設定される。
【0062】
非通紙領域の幅が大きくなるほど、定着ベルト20の用紙によって熱量を奪われない領域が大きくなることになり、定着ベルト20の温度はより大きくなりやすい。つまり、用紙P1を通紙した場合の非通紙領域B1の方が用紙P2を通紙した場合の非通紙領域B2よりも定着ベルト20の温度が大きくなりやすい。また、定着ベルト20は加熱時にはその中央側の方が、温度が高くなりやすい。以上のことから、本実施形態では、より定着ベルト20の温度が高くなりやすい領域に対応する内側高熱伝導部261aの熱伝導率を、外側高熱伝導部261bの熱伝導率よりも大きく設定する。これにより、摺動シート26の長手方向の熱伝導率の分布を、小サイズの用紙を通紙時の定着ベルト20の温度分布に合わせたより適切な値に設定できる。従って、定着ベルト20の過昇温を効果的に抑制できる。このように、摺動シート26の高熱伝導部261の熱伝導率は長手方向に均一である必要はなく、定着ベルト20の長手方向の温度分布に合わせて変更できる。
【0063】
次に、
図7に示す定着装置は、用紙P2よりもその幅が大きく、用紙P3よりもその幅が小さい用紙P5に対応する。用紙P5が定着装置に通紙される場合には、中央側ヒータ22aおよび端部側ヒータ22bの両方が点灯する。
【0064】
本実施形態の定着装置では、用紙P1を通紙した際に非通紙領域B1が形成される点はこれまでの実施形態と同様である。そして、用紙P5を定着装置9に通紙した際に、長手方向の用紙P5よりも外側の領域であって、端部側ヒータ22bの主な発熱領域内の領域である非通紙領域B3で定着ベルト20の温度が上昇する。
【0065】
そこで本実施形態の摺動シート26は、長手方向の非通紙領域B1に対向する範囲に設けられる第1高熱伝導部261とは別に、長手方向の非通紙領域B3に対向する範囲に設けられる第2高熱伝導部262を有する。これにより、用紙P5が定着装置に通紙された際の非通紙領域B3における定着ベルト20の過昇温を抑制できる。このように、定着装置9が、端部側ヒータ22bの主な発熱領域で複数のサイズの用紙3、P5に対応する場合には、摺動シート26に、端部側ヒータ22bの主な発熱領域に対向する高熱伝導部を設けることもできる。またこのように、摺動シート26は、長手方向の複数の領域に高熱伝導部を設けることができる。
【0066】
また定着装置9に設けられるハロゲンヒータの数は上記の2本に限らない。例えば
図8に示すように、1本のハロゲンヒータ22を有する定着装置に本発明の摺動シートを適用できる。また定着ベルト20の定着ニップN側とは反対側の外周面に対向して、温度センサ28が設けられる。
図8の定着装置の場合、前述の実施形態の
図3や
図6のように、中央側ヒータ22aの長手方向の主な発熱領域でその非通紙領域に対向する位置に高熱伝導部261を設けたように、
図8のハロゲンヒータに対して摺動シート26に高熱伝導部261を設けることができる。また
図9に示すように、3本のハロゲンヒータ22を有する定着装置に本発明の摺動シートを適用できる。これらのハロゲンヒータ22は、
図3の中央側ヒータ22aに相当するヒータと、一方の端部側ヒータ22bに相当するヒータと他方の端部側ヒータ22bに相当するヒータとが設けられる。このような定着装置においても、
図3や
図7などのように摺動シート26に高熱伝導部を設けることができる。
【0067】
これらの定着装置においても、本発明の摺動シートを適用することにより、回転部材としての定着ベルト20の長手方向の温度分布を改善できる。つまり、定着ベルト20の温度を長手方向に均一化したり、非通紙領域における過昇温を抑制できる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0069】
本発明に係る画像形成装置は、
図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【0070】
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【0071】
また、本発明は、上記の実施形態で説明したような定着装置に限らず、用紙に塗布されたインクを乾燥させる乾燥装置、さらには、被覆部材としてのフィルムを用紙等のシートの表面に熱圧着するラミネータや、包材のシール部を熱圧着するヒートシーラーなどの熱圧着装置のような加熱装置にも適用可能である。このような装置にも本発明の摺動シートを適用することで、回転部材の長手方向の温度分布を改善できる。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
9 定着装置(加熱装置)
20 定着ベルト(回転部材あるいは定着部材)
21 加圧ローラ(対向回転部材あるいは加圧部材)
22 ハロゲンヒータ(加熱体)
22a 中央側ヒータ
22b 端部側ヒータ
23 ニップ形成部材
26 摺動シート
261 高熱伝導部(第一長手領域)
262 第二長手領域
B 非通紙領域
P 用紙(記録媒体)
P1 用紙(第1の記録媒体)
P2 用紙(第2の記録媒体)
P4 用紙(第3の記録媒体)
X 摺動シートの長手方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】