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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088059
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】水分解用光触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/02 20060101AFI20230619BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B01J35/02 J ZAB
B01J23/89 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202688
(22)【出願日】2021-12-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(71)【出願人】
【識別番号】513056835
【氏名又は名称】人工光合成化学プロセス技術研究組合
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】池宮 桂
(72)【発明者】
【氏名】高田 剛
(72)【発明者】
【氏名】堂免 一成
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169BA48A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC12A
4G169BC12B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB81
4G169CC33
4G169DA08
4G169EA01Y
4G169EC28
4G169ED05
4G169FA01
4G169FA02
4G169FC08
4G169HA02
4G169HA04
4G169HB01
4G169HB06
4G169HD02
4G169HE09
(57)【要約】
【課題】希少金属であるロジウムを使用せずとも高い水分解能力のある助触媒を用いた水分解用光触媒を提供する。
【解決手段】光半導体と助触媒とを有する水分解用光触媒であって、該助触媒がCoとCrをともに含み、かつRu及び/またはPtを含む水分解用光触媒。前記Ru及び/またはPtの含有量は、光触媒100質量%に対して、合計で0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、Co及びCrの含有量は、光半導体100質量%に対して、それぞれ0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体と助触媒とを有する水分解用光触媒であって、該助触媒がCoとCrをともに含み、かつRu及び/またはPtを含むことを特徴とする水分解用光触媒。
【請求項2】
前記Ru及び/またはPtの含有量が、前記光触媒を100質量%として、合計で0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の水分解用光触媒。
【請求項3】
前記Co及びCrの含有量が、前記光半導体を100質量%として、それぞれ0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1または2に記載の水分解用光触媒。
【請求項4】
前記光半導体がAlを含有したSrTiOである、請求項1~3のいずれかに記載の水分解用光触媒。
【請求項5】
前記Alを含有したSrTiOにおけるAlの含有量が、SrTiOを100モル%として、0.01モル%以上20モル%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の水分解用光触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分解用光触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーを利用した高性能な光エネルギー変換システムを実用化することは、地球温暖化の抑制、及び枯渇しつつある化石資源依存からの脱却を目指す観点から、近年になって急激にその重要性が増している。中でも、太陽エネルギーを用いて水を分解し水素を製造する技術は、現行の石油精製、アンモニア、メタノールの原料供給技術としてのみならず、燃料電池をベースとした来たる水素エネルギー社会において、必須とされる技術である。
【0003】
光触媒による水分解反応は、1970年代から広く研究されている。これらの光触媒においては、例えばZrOのように単独で十分な活性を示すものもあるが、多くの場合、助触媒が大きな役割を果たしている。様々な光触媒において、水素発生用(還元反応用)の助触媒としてPtなどの貴金属や、RuO、NiOなどを光触媒上に担持すると、反応速度が著しく向上することが知られている(非特許文献1)。
【0004】
光触媒粒子上での酸性水溶液中における水の分解反応は、次のように推定されている。
O+2h→1/2O+2H (1)
2H+2e→H (2)
助触媒の効果は、これら反応の活性化エネルギーを低下させて反応を促進することにある。しかしながら、助触媒が
+1/2O→HO (3)
で表される燃焼反応を触媒してしまうと、これは水分解反応の逆反応であるので好ましくない。
従って、助触媒には上記(1)、(2)の反応に対しては触媒しながらも、上記(3)の反応に対しては触媒しないことが求められる。
なお、助触媒は、1種類を用いることのみならず、複数種類を組み合わせて用いることも提案されている。
【0005】
一般に白金族金属は高い触媒効果を持つが、上記(1)、(2)の反応と同時に上記(3)の反応にも触媒する。従って、白金族金属の高い触媒効果を活かして水分解反応において大きな水素及び酸素の生成速度を得ようとすると、他の助触媒を組み合わせて使用するなどといった工夫が必要になる(非特許文献2)。
【0006】
白金族金属と他の助触媒を組み合わせたものとして、例えば特許文献1には、ロジウムとクロムの酸化物を助触媒として併用することが開示され、高い水分解能力が得られることが記載されている。
しかしながら、ロジウムのような希少金属を使用することは資源確保の点からも好ましくなく、その他の金属を使用して同等以上の水分解能力を有する助触媒が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Chem.Soc.Rev.,2009,38,253-278
【非特許文献2】Wang,Qian,and Kazunari Domen.“Particulate photocatalysts for light-driven water splitting:mechanisms,challenges,and design strategies.”Chemical reviews 120.2(2019):919-985.
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-185605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、水分解能力の高い助触媒を用いた水分解用光触媒を提供することを課題とする。また、本発明の別の課題は、希少金属であるロジウムを使用せずとも高い水分解能力のある助触媒を用いた水分解用光触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、白金族金属であるRu及び/またはPtをCo及びCrと組み合わせた助触媒を用いることで、大きな水素及び酸素の生成速度が得られることを見出した。
また本発明者は、特に光半導体であるAlを含有したSrTiOに対して、このような助触媒を組み合わせて用いることで、大きな水素及び酸素の生成速度が得られることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0011】
[1] 光半導体と助触媒とを有する水分解用光触媒であって、該助触媒がCoとCrをともに含み、かつRu及び/またはPtを含むことを特徴とする水分解用光触媒。
【0012】
[2] 前記Ru及び/またはPtの含有量が、前記光触媒を100質量%として、合計で0.01質量%以上10質量%以下である、[1]に記載の水分解用光触媒。
【0013】
[3] 前記Co及びCrの含有量が、前記光半導体を100質量%として、それぞれ0.01質量%以上10質量%以下である、[1]または[2]に記載の水分解用光触媒。
【0014】
[4] 前記光半導体がAlを含有したSrTiOである、[1]~[3]のいずれかに記載の水分解用光触媒。
【0015】
[5] 前記Alを含有したSrTiOにおけるAlの含有量が、SrTiOを100モル%として、0.01モル%以上20モル%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の水分解用光触媒。
【発明の効果】
【0016】
本発明の水分解用光触媒によれば、希少金属であるロジウムを使用せずとも高い水分解能力のある助触媒を用いることで、大きな水素及び酸素の生成速度を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
【0018】
本発明の水分解用光触媒は、光半導体と助触媒とを有する水分解用光触媒であって、該助触媒がCoとCrをともに含み、かつRu及び/またはPtを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の水分解用光触媒用の助触媒(以下、「本発明の助触媒」と称す場合がある。)について説明する。
本発明の助触媒は、CoとCrをともに含み、かつRu及び/またはPtを含む。助触媒としてRu及び/またはPtのみを用いた場合には大きな水素及び酸素の生成速度は実現されないが、助触媒としてRu及び/またはPtに加えてCo及びCrを用いた場合に大きな水素及び酸素の生成速度が実現される。
【0020】
本発明の水分解用光触媒における助触媒担持方法は特に限定されず、例えば光電着法や含浸法を用いることが出来る。特に光電着法では、光半導体の活性点近傍に助触媒が選択的に担持されるため、助触媒の効果が大きくなる。
【0021】
光電着法の一般的な方法は、光半導体と助触媒として使用する金属が含まれる物質を媒体中に分散させ、そこに光を当てることにより、光半導体表面に所望の金属を電着する方法である。この場合、所望の金属全てを分散させてから光を照射してもよいが、助触媒を構成する元素一つづつ順次電着させることがより好ましい。
媒体としては一般に水、特に脱イオン水を含む純水を用いることが、不純物の混入を防げるために好ましい。
【0022】
使用する金属が含まれる物質は、特に限定されないが、入手しやすさ、電着の効率などの点から、CoはCo(NO水溶液、CrはKCrO水溶液、PtはHPtCl水溶液、RuはRuCl水溶液が好ましい。ただし、光により電着させることができれば、その他の酸の塩や塩化物等を用いてもよい。
また、各助触媒金属水溶液の濃度としても特に制限はないが、水溶液の安定性の観点から、助触媒金属化合物濃度として0.05~1質量%程度の水溶液を用いることが好ましい。
【0023】
これらの助触媒金属水溶液は、光により光半導体に電着させる金属量を含む量となるように光電着に供される。
また電着の順番は特に限定されないが、Pt、Co、Cr又はRu、Cr、Coの順とすることが好ましい。
なお、PtとRuを併用してもよい。この場合、PtとRuのいずれを先に電着してもよい。
【0024】
さらに本発明の効果を妨げない限りにおいて、Pt、Ru、Co、Cr以外の金属を添加してもかまわないが、その量はPt、Ru、Co、Crの合計量に対し10質量%以下とすることが好ましい。
【0025】
次に、本発明の水分解用光触媒用の光半導体(以下、「本発明の光半導体」と称す場合がある。)について説明する。
光半導体は、紫外光または可視光を吸収することで電子と正孔を生成するものであり、例えば金属の酸化物、複合酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物などがある。特に、異なる結晶面が露出した光半導体は、電子と正孔が再結合しにくいため光触媒に適すると言われている。このような触媒としてはTiO、WO、BiVO、BiOBr、BiOCl、PbTiO、AgPO、SrTiO、Alを含有したSrTiOを挙げることができ、特に好ましくはAlを含有したSrTiO(以下、「Al含有SrTiO」と称す場合がある。)である。この光半導体では{100}面及び{110}面が露出している。
【0026】
Al含有SrTiOにおけるAl含有量は、SrTiOを100モル%として、0.01モル%以上20モル%以下が好ましく、より好ましくは0.05モル%以上15モル%以下であり、更に好ましくは0.1モル%以上10モル%以下である。
Al含有量が上記下限以上であれば{110}面成長や光キャリア再結合抑制効果が大きく得られ、上記上限以下であればSrTiO構造が大きく乱れることがなく、好ましい。
Al含有SrTiOは、従来公知の方法に従って合成することができる。
【0027】
前述の通り、本発明の助触媒は、CoとCrを必須としている。本発明の水分解用光触媒中のCo及びCrの含有量は、本発明の光半導体を100質量%として、それぞれ0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以上1質量%以下であることが更に好ましい。
Co及びCrの含有量がそれぞれ上記下限以上であれば助触媒効果を十分に得ることができ、上記上限以下であれば凝集による助触媒の表面積低下が起こりにくく、好ましい。
【0028】
また、本発明の助触媒は、Ru及び/またはPtを必須としている。本発明の水分解用光触媒中のRu及び/またはPtの含有量は、光半導体を100質量%として、合計で0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以上1質量%以下であることが更に好ましい。
Ru及び/またはPtの合計の含有量が、上記下限以上であれば助触媒効果を十分に得ることができ、上記上限以下であれば凝集による助触媒の表面積低下が起こりにくく、好ましい。
【0029】
なお、本発明の水分解用光触媒中のCoとCrとRu及び/またはPtの合計の含有量は、各々の金属の含有量が上記範囲内であればよく、特に制限はないが、光半導体を100質量%として、0.01~10質量%、特に0.03~3質量%であることが好ましい。
また、Co及びCrの合計の含有量と、Ru及び/またはPtの合計の含有量の比は、質量比で、(CoとCrの合計量):(Ru及び/またはPtの合計量)=1:0.1~10、特に1:0.2~3であることが好ましい。
【0030】
本発明の水分解用光触媒は、粉末のまま水中に存在させ、光を照射することにより、光触媒として動作させることができるが、必要に応じ、基体上に塗布して光触媒層を作成するなどして用いることもできる。
【0031】
用いた光半導体により、吸収する光の波長は異なるが、前述の従来技術の欄に記載したように、助触媒には(1)、(2)の反応には触媒しながらも(3)の反応には触媒しないという特性が求められるため、本発明の助触媒は、Al含有SrTiOに限らず、基本的には異なる光半導体であっても動作すると考えることができる。しかしながら、本発明の助触媒は、特に好ましくは上述のAl含有SrTiOに対する助触媒として使用される。
本発明の水分解用光触媒を用いて、水を分解することにより発生させた水素と酸素は、必要に応じて分離され、原料やエネルギー源として使用することができる。
【実施例0032】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
【0033】
[実施例1:Ru/Cr/Co/SrTiO:Al]
AlをドープしたSrTiO(以下、SrTiO:Alと表記する)は、市販のSrTiO及びAlと、フラックスとしてのSrClをアルミナるつぼに入れ、空気中にて1150℃で10時間焼成することにより合成した。ここで、SrTiO:Al:SrCl=100:2:1000(モル比)とした。焼成後に過剰のSrClを除去するために蒸留水中で洗浄した。ろ液のpHが中性領域になるまで蒸留水中で撹拌・濾過を繰り返した。
【0034】
次に合成したSrTiO:Alに助触媒を担持させた。担持には遂次光電着法を用いた。まずSrTiO:Al 0.1gを蒸留水100mLに懸濁させ、そこにRuを0.0001g含有するRuCl水溶液(RuCl濃度0.41質量%)を添加し、Xeランプを用いて10分程度光照射した。更に、一旦光照射を止めてCrを0.00005g含有するKCrO水溶液(KCrO濃度0.149質量%)を添加し5分ほど光を照射した。更に、Coを0.00005g含有するCo(NO水溶液(Co(NO濃度0.124質量%)を添加して5分ほど光照射することによって担持操作を完結した。
以上の様にして得られた試料を以下、「Ru/Cr/Co/SrTiO:Al」と表記する。
【0035】
Ru/Cr/Co/SrTiO:Alの光触媒活性(水分解活性)の評価は、閉鎖循環系に直結したパイレックスガラス製反応容器にて、以下の通り行った。
助触媒担持完結後に反応系内を一旦排気し、溶存している空気を除去し、そこにArを2kPa以上導入し、Xeランプで光照射した。生成気体の定性、定量はガスクロマトグラフィー(TCD-GC,Arキャリアー,モレキュラーシーブ5Aカラム)を用いて行った。
表1に、Ru/Cr/Co/SrTiO:Alの水分解活性(H生成速度とO生成速度)を示す。表1に示す通り、高い水分解活性が発現された。
【0036】
[実施例2:Pt/Cr/Co/SrTiO:Al]
実施例1と同様にして合成したSrTiO:Al 0.1gを蒸留水100mLに懸濁させ、そこにPtを0.0001g含有するHPtCl水溶液(HPtCl濃度0.42質量%)を添加し、Xeランプを用いて10分程度光照射した。更に、一旦光照射を止めてCrを0.00005g含有するKCrO水溶液(KCrO濃度0.149質量%)を添加し5分ほど光を照射した。更に、Coを0.00005g含有するCo(NO水溶液(Co(NO濃度0.124質量%)を添加して5分ほど光照射することによって担持操作を完結した。
以上の様にして得られた試料を以下、「Pt/Cr/Co/SrTiO:Al」と表記する。実施例1と同様にPt/Cr/Co/SrTiO:Alの水触媒活性(水分散活性)を評価した。
表1に、Pt/Cr/Co/SrTiO:Alの水分解活性(H生成速度とO生成速度)を示す。表1に示す通り、高い水分解活性が発現された。
【0037】
[比較例1:Ru/Cr/SrTiO:Al]
実施例1と同様にして合成したSrTiO:Al 0.1gを蒸留水100mLに懸濁させ、そこにRuを0.0001g含有するRuCl水溶液(RuCl濃度0.41質量%)を添加し、Xeランプを用いて10分程度光照射した。更に、一旦光照射を止めてCrを0.00005g含有するKCrO水溶液(KCrO濃度0.149質量%)を添加し5分ほど光照射することによって担持操作を完結した。以上の様にして得られた試料を以下、「Ru/Cr/SrTiO:Al」と表記する。
実施例1と同様に、Ru/Cr/SrTiO:Alの水触媒活性(水分散活性)を評価した。
表1に、Ru/Cr/SrTiO:Alの水分解活性(H生成速度とO生成速度)を示す。表1に示す通り、水分解活性は著しく低かった。
【0038】
[比較例2:Pt/Cr/SrTiO:Al]
実施例1と同様にして合成したSrTiO:Al 0.1gを蒸留水100mLに懸濁させ、そこにPtを0.0001g含有するHPtCl水溶液(HPtCl濃度0.42質量%)を添加し、Xeランプを用いて10分程度光照射した。更に、一旦光照射を止めてCrを0.00005g含有するKCrO水溶液(KCrO濃度0.149質量%)を添加し5分ほど光照射することによって担持操作を完結した。以上の様にして得られた試料を以下、「Pt/Cr/SrTiO:Al」と表記する。
実施例1と同様に、Pt/Cr/SrTiO:Alの水触媒活性(水分散活性)を評価した。
表1に、Pt/Cr/SrTiO:Alの水分解活性(H生成速度とO生成速度)を示す。表1に示す通り、水分解活性は著しく低かった。
【0039】
[比較例3:Ru/Co/SrTiO:Al]
実施例1と同様にして合成したSrTiO:Al 0.1gを蒸留水100mLに懸濁させ、そこにRuを0.0001g含有するRuCl水溶液(RuCl濃度0.41質量%)を添加し、Xeランプを用いて10分程度光照射した。更に、一旦光照射を止めてCoを0.00005g含有するCo(NO水溶液(Co(NO濃度0.142質量%)を添加して5分ほど光照射することによって担持操作を完結した。以上の様にして得られた試料を以下、「Ru/Co/SrTiO:Al」と表記する。
実施例1と同様に、Ru/Co/SrTiO:Alの水触媒活性(水分散活性)を評価した。
表1に、Ru/Co/SrTiO:Alの水分解活性(H生成速度とO生成速度)を示す。表1に示す通り、水分解活性は著しく低かった。
【0040】
[比較例4:Pt/Co/SrTiO:Al]
実施例1と同様にして合成したSrTiO:Al 0.1gを蒸留水100mLに懸濁させ、そこにPtを0.0001g含有するHPtCl水溶液(HPtCl濃度0.42質量%)を添加し、Xeランプを用いて10分程度光照射した。更に、一旦光照射を止めてCoを0.00005g含有するCo(NO水溶液(Co(NO濃度0.149質量%)を添加して5分ほど光照射することによって担持操作を完結した。以上の様にして得られた試料を以下、「Pt/Co/SrTiO:Al」と表記する。
実施例1と同様に、Pt/Co/SrTiO:Alの水触媒活性(水分散活性)を評価した。
表1に、Pt/Co/SrTiO:Alの水分解活性(H生成速度とO生成速度)を示す。表1に示す通り、水分解活性は著しく低かった。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より、本発明の水分解用光触媒によれば、希少金属であるロジウムを使用せずとも、比較的入手が容易なCo及びCrとPt及び/またはRuを用いて、非常に高い水分解活性を得ることができることが分かる。