(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088259
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】光輝性トナー、トナー収容ユニット、現像剤、現像剤収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20230619BHJP
G03G 9/09 20060101ALI20230619BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G9/09
G03G9/087 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136677
(22)【出願日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2021202427
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】高橋 月子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 甲介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一己
(72)【発明者】
【氏名】久國 大地
(72)【発明者】
【氏名】不破 一興
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA06
2H500AA14
2H500BA24
2H500CA03
2H500CA06
2H500CB06
2H500EA40B
2H500EA40C
2H500EA58C
2H500FA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、高い画像光輝性を示し、転写性に優れる光輝性トナーを提供することを目的とする
【解決手段】表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料と、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂と、ポリエステル樹脂と、を含有する光輝性トナーであって、前記ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂の溶解度パラメータをSP1(cal/cm3)1/2とし、前記ポリエステル樹脂の溶解度パラメータをSP2(cal/cm3)1/2としたとき、前記SP1及び前記SP2が関係式(1)[SP2-SP1>0.3]を満たし、前記SP1が関係式(2)[10<SP1]を満たすことを特徴とする光輝性トナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料と、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂と、ポリエステル樹脂と、を含有する光輝性トナーであって、
前記ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂の溶解度パラメータをSP1(cal/cm3)1/2とし、前記ポリエステル樹脂の溶解度パラメータをSP2(cal/cm3)1/2としたとき、前記SP1及び前記SP2が下記関係式(1)を満たし、前記SP1が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする光輝性トナー。
SP2 - SP1 > 0.3 ・・・(1)
10 < SP1 ・・・(2)
【請求項2】
前記表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料の溶解度パラメータをSPpig(cal/cm3)1/2としたとき、前記SP2及び前記SPpigが下記関係式(3)を満たす、請求項1に記載の光輝性トナー。
SP2 < SPpig < 13 ・・・(3)
【請求項3】
前記SP2及び前記SPpigが下記関係式(4)を満たす、請求項2に記載の光輝性トナー。
SP2 < SPpig < 12 ・・・(4)
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光輝性トナーを収容したことを特徴とするトナー収容ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光輝性トナーと、キャリアと、を有することを特徴とする現像剤。
【請求項6】
請求項5に記載の現像剤を収容したことを特徴とする現像剤収容ユニット。
【請求項7】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を含み、
前記トナーが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光輝性トナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程と、を含み、
前記トナーが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光輝性トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性トナー、トナー収容ユニット、現像剤、現像剤収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式カラー画像形成装置が広く普及するに従い、その用途も多種多様に広がり、従来のカラー画像に加え、メタリック調の画像も望まれている。
金属のごとき光輝感を持つ画像を形成する目的から、結着性樹脂中に光輝性顔料を含有する光輝性トナーが用いられている。
【0003】
金属光沢の画像は一定の角度から見た光の反射性が強いことが重要である。そのため鱗片状の平面を持つ反射性の高い顔料(光輝性顔料)を静電荷像現像用トナー(以下、トナーという)中に配合する必要がある。
このような反射性の高い顔料としては、金属や金属でコートされた顔料が適当であり、また反射性能を確保するためには顔料1粒子に一定の面積の平面がある顔料を、トナー定着画像中に面状に配列する必要がある。
【0004】
金属感、意匠性に優れたメタリック塗膜を得るために、フレーク状アルミニウム粉末に対して樹脂を粉末表面に形成させたアルミニウム顔料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
優れた光輝性を有するために、画像の反射率とトナーの平均分子量が15000以上300000以下であるトナーが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、高い画像光輝性を得つつ、高温高湿環境においてトナーが飛散する現象を抑制するため、トナーの分子量を低くするトナーが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、かぶりの発生を抑制することを目的としてポリエステル樹脂と、光輝性顔料と、スチレンアクリル樹脂粒子及びアクリル樹脂粒子の少なくともいずれかと、を含有するトナーが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い画像光輝性を示し、転写性に優れる光輝性トナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は以下に記載する通りの構成を備えた光輝性トナーに係るものである。
表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料と、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂と、ポリエステル樹脂と、を含有する光輝性トナーであって、
前記ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂の溶解度パラメータをSP1(cal/cm3)1/2とし、前記ポリエステル樹脂の溶解度パラメータをSP2(cal/cm3)1/2としたとき、前記SP1及び前記SP2が下記関係式(1)を満たし、前記SP1が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする光輝性トナー。
SP2 - SP1 > 0.3 ・・・(1)
10 < SP1 ・・・(2)
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、高い画像光輝性を示し、転写性に優れる光輝性トナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態を示す画像形成装置の全体構成図である。
【
図2】
図2A、Bは、本発明の実施例1のトナー断面を観察して得たSEM図であり、
図2Aはトナーの全断面を示し、
図2Bは
図2Aの部分拡大写真である。
【
図3】
図3は、
図2Aに示したトナーの全断面を模式的に示した図であり、本発明のトナーにおける各成分の分散状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従来、光輝性画像を実現するためには、トナーにより形成される画像表面で光輝性顔料の平面が並んで配置されており、光を効率よく反射する必要があると考えられてきた。
しかし、従来の技術のトナーでは、トナーの厚さよりもトナーの平均径を大きくしているため、トナーの厚みは薄く、一定方向に配列した状態でトナー中に顔料が存在している場合が多い。このような場合、複数の扁平状の顔料は狭い間隔で重なった状態になることがある。
【0010】
光輝性顔料として金属又は金属がコートされているものを使用している場合、複数の扁平状の顔料は狭い間隔で重なった状態になると、トナーの電気抵抗は下がり、電気の導通経路ができやすくなる。また、トナーの比誘電率が高くなるため、トナー表面に電荷が保持されにくくなり、トナーの帯電性が低下することがある。
そのため、画像の光輝性を担保しつつ、高精細、高画質な画像を形成し、さらにトナーの電気抵抗の低下や誘電率の上昇を防ぐことにより、電気特性や帯電特性の劣化を防止する、これら全てを満足するトナーを提供するという観点からは、従来技術は不十分であった。
【0011】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料と、トナーマトリックスとなるポリエステル樹脂と、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂を含有したトナーの溶解度パラメータを適切に設定することにより、高い画像光輝性を得つつ、トナー像を記録媒体に転写する際の画像部から非画像部へトナーが飛散する現象を抑制する光輝性トナーを提供することが可能となった。また、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂の存在により光輝性顔料と結着性樹脂との密着性を高めることができるため、画像剥がれも抑制できる。
本発明の光輝性トナー及びその製造方法について、以下で詳しく説明する。
【0012】
(光輝性トナー)
本実施形態に係る光輝性トナー(以下、単に「トナー」と記載することがある)は、表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料と、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂と、ポリエステル樹脂と、を含有する。
本実施形態に係るトナーにおいては前記ポリエステル樹脂はトナーのマトリックスを形成し、このマトリックス中にポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂及び表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料が分散した状態を形成している。
図3は
図2Aに示した本実施形態に係るトナーの断面SEM図を模式的に示す図であり、トナーにおける各成分の分散状態を示すものである。
図3は、トナー中においてポリエステル樹脂から形成されるマトリックス20中に扁平状金属系メタリック顔料21及びポリエステルスチレンアクリル樹脂22が分散している状態を示す。
【0013】
前記ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂は、表面を樹脂で被覆したメタリック顔料を、過度の凝集を防ぎ且つトナーマトリックス中に分散した状態で配置するために用いられる。このポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂は、トナーマトリックスとなるポリエステル樹脂との相溶性に差があることで、微粒子としてトナーマトリックス中に析出して顔料分散剤としての効果を発揮する。
【0014】
ポリエステル樹脂によって形成されているマトリックス中にポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂(以下、「複合樹脂」ともいう)及び表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料(以下では「樹脂被覆メタリック顔料」ともいう)が分散した状態を形成するには、各成分の溶解度パラメータ(SP値)を適切な値とする必要がある。
【0015】
本発明の光輝性トナーにおいては、複合樹脂の溶解度パラメータをSP1(cal/cm3)1/2とし、ポリエステル樹脂の溶解度パラメータをSP2(cal/cm3)1/2としたとき、SP1及びSP2が下記関係式(1)を満たし、SP1が下記関係式(2)を満たす必要がある。
SP2 - SP1 > 0.3 ・・・(1)
10 < SP1 ・・・(2)
【0016】
SP2-SP1>0.3であることで、トナーマトリックス中に複合樹脂が析出する。SP2-SP1の値が0.3よりも小さくなる、すなわち、複合樹脂の溶解度パラメータがポリエステル樹脂の溶解度パラメータに近くなると複合樹脂とポリエステル樹脂とは相溶してしまい、複合樹脂が微粒子として析出せずに顔料分散剤としての効果を示さない。さらに複合樹脂の溶解度パラメータが10より大きい値をとることで樹脂被覆メタリック顔料を分散させることができる。複合樹脂の溶解度パラメータが10以下の値になると、複合樹脂の溶解度パラメータとポリエステル樹脂の溶解度パラメータとの乖離が大きくなり、複合樹脂がトナーマトリックス中で大きなドメインを形成してしまう。
【0017】
また、樹脂被覆メタリック顔料の溶解度パラメータをSPpigとしたとき、ポリエステル樹脂の溶解度パラメータ(SP2)と樹脂被覆メタリック顔料の溶解度パラメータ(SPpig)とは下記関係式(3)を満たすことが好ましく、下記関係式(4)を満たすことがより好ましい。
SP2 < SPpig < 13 ・・・(3)
SP2 < SPpig < 12 ・・・(4)
樹脂被覆した扁平状金属系メタリック顔料が示すSP値は扁平状金属系メタリック顔料の表面をコートとしている樹脂のSP値であり、本発明ではこの扁平状金属系メタリック顔料の表面をコートとしている樹脂が示すSP値を「表面を樹脂被覆した扁平状金属系メタリック顔料のSP値」という。
【0018】
上記のように、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂の溶解度パラメータと樹脂被覆した樹脂被覆メタリック顔料の溶解度パラメータとを適切に離し、ポリエステル樹脂の溶解度パラメータがその間にくることで、顔料分散剤の微粒子と樹脂被覆メタリック顔料がポリエステル樹脂のマトリックス中に存在した構造をとることができる。
【0019】
<メタリック顔料>
メタリック顔料は、光を効率よく反射するため金属顔料であることが好ましい。係る金属顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、銀、金、白金などの金属粉末、金属蒸着された薄片状ガラス粉などが挙げられる。この中でも、光の反射率が高く、酸化による反射率の低下が低い、アルミニウムが好ましい。
【0020】
前記メタリック顔料は、光の反射面を有するよう、扁平状であるとよい。これにより、光輝性を発現させることができる。
前記メタリック顔料の表面は分散性、耐汚触性の点で表面処理されていることが好ましい。メタリック顔料は、各種表面処理剤、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪酸、シリカ粒子、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などで被覆されていてもよい。
【0021】
その中でも、前記ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂が顔料分散剤としての効果を発揮するためには、メタリック顔料は樹脂で被覆されていると良い。ポリエステル樹脂、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂、メタリック顔料の溶解度パラメータを適切に設定することで顔料分散剤の微粒子とメタリック顔料がポリエステル樹脂のマトリックス中に存在した構造をとることができる。そのため親水性の大きなシラン処理は適さない。
【0022】
また、樹脂で被覆されたメタリック顔料の溶解度パラメータ(SPpig)はトナーマトリックスとなるポリエステル樹脂の溶解度パラメータ(SP2)よりも大きく、かつ、13より小さくなければトナー中にメタリック顔料を内包することができない。さらに好ましくは12よりも小さいことでよりトナー中にメタリック顔料が適切に内包される。
【0023】
光輝性顔料の厚さは25nm以上200nm以下であることが好ましい。光輝性顔料が過度に薄くなると、該光輝性顔料を透過する光の割合が増え、ハイライトでの明度を高くする上で不利になる。また、光輝性顔料は、その粒径に対して厚さが薄くなり過ぎると、変形し易くなって配向性に不利になる。その観点から、光輝性顔料の厚さはその粒径の0.4%以上であること、例えば30nm以上であることが好ましい。
【0024】
一方、光輝性顔料が過度に厚くなると、その配向性が低下し、また、光輝性を確保するために必要な光輝性顔料含有層における光輝性顔料の体積比が上がり、塗膜物性が低下する。よって、光輝性顔料の厚さは200nm以下にすることが好ましい。さらに好ましいのは、光輝性顔料の厚さを80nm以上150nm以下にすることである。
【0025】
前記金属薄膜顔料のアスペクト比(体積平均粒径/厚み)としては、20以上200以下が好ましく、40以上200以下がより好ましい。前記アスペクト比(径/厚み)が20以上であると、顔料が球形に近づきすぎず、光輝性に優れる。また、前記アスペクト比が40以上であると、質量あたりにおける顔料枚数が増加することでトナーの比誘電率を維持したまま定着時に顔料カバー率が向上する。前記アスペクト比が200以下であると、定着時に金属薄膜顔料が屈曲することを抑制するため、光輝性が向上する。
【0026】
<メタリック顔料を樹脂で被覆する方法>
メタリック顔料を樹脂で被覆する具体的な方法は、メタリック顔料を炭化水素系あるいはアルコール系溶媒(好ましくは炭化水素系溶剤)に分散した分散体に、モノマーおよび/またはオリゴマーと過酸化ベンゾイル、過酸化イソブチル、アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤とを添加し、撹拌させながら加熱してモノマーおよび/またはオリゴマーをラジカル重合させ、メタリック顔料表面に析出させる方法が好ましい。
【0027】
上記のモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、下記のものが例示される。すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシブチル、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸2-ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、1,4ブタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、1,9ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリスアクリロキシエチルホスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、ポリブタジエン、アマニ油、大豆油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、シクロヘキセンビニルモノオキサイド、ジビニルベンゼンモノオキサイド、モノ(2-アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(2-ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェート、2-メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、2-アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジフェニル-2-アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジブチル-2-メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジブチル-2-アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジオクチル-2-メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジオクチル-2-アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、2-メタクリロイロキシプロピルアッシドフォスフェート、ビス(2-クロロエチル)ビニルホスホネート、ジ-2-メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、トリ-2-メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジ-2-アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、トリ-2-アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジアリルジブチルホスホノサクシネート、アクリル変性ポリエステル(重合度2~20程度)、アクリル変性ポリエーテル(重合度2~20程度)、アクリル変性ウレタン(重合度2~20程度)、アクリル変性エポキシ(重合度2~20程度)、アクリル変性スピラン(重合度2~20程度)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
これらモノマーおよび/またはオリゴマーを意図的に変更することによってSP値の振れたサンプルを製造することができる。
【0029】
光輝性顔料を製造する方法の一例を以下に示す。
まず、ポリエステルフィルムからなる支持体の表面に、メタクリラートポリマーの酢酸エチル溶液を塗布し、この酢酸エチルを蒸発させてメタクリラートポリマーフィルムからなる剥離層を形成する。次いで、この剥離層表面にアルミニウムを真空蒸着してアルミニウム層を形成する。アルミニウム層が形成されたポリエステルフィルムを酢酸エチル中に入れて剥離層を溶解し、破砕されたアルミニウムフレークを得る。このアルミニウムフレークをホモジナイザー等により粉砕し、粉砕物をろ過し洗浄して光輝性顔料を得る。
【0030】
樹脂被覆層を有する光輝性顔料は、前記と同様にポリエステルフィルムの表面に剥離層を形成し、次いで、この剥離層の表面に樹脂層を形成したのち、この樹脂層の表面に真空蒸着によりアルミニウム層を形成する。次いで、このアルミニウム層の表面に樹脂層を形成する。次に、樹脂層及びアルミニウム層が形成されたポリエステルフィルムを酢酸エチル中に入れて剥離層を溶解し、破砕された、樹脂被覆層を有するアルミニウムフレークを得る。この樹脂被覆層を有するアルミニウムフレークをホモジナイザー等により粉砕し、粉砕物をろ過し洗浄して樹脂被覆層を有する光輝性顔料を得る。
【0031】
<溶解度パラメータ>
前記SP値(溶解度パラメータ/Solubility Parameter)について説明する。
前記SP値とは、溶解度パラメータと言われるもので、どれだけ互いが溶けやすいかということを数値化したものである。前記SP値は、互いの分子間の引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Density)の平方根で表される。
なお、前記CEDとは、1mLのものを蒸発させるのに要するエネルギー量である。
本発明における前記SP値の計算は、Fedors法により下記式(I)を用いて行うことができる。
SP値(溶解度パラメータ)=(CED値)1/2=(E/V)1/2・・式(I)
前記式(I)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm3/mol)であり、原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとしたとき、各々下式(II)、式(III)で表される。
E=ΣΔei ・・・式(II)
V=ΣΔvi ・・・式(III)
SP値の計算方法は諸説あるが、本発明においては一般的に用いられているFedorsの方法を用いた。
本計算方法、各原子団の蒸発エネルギーΔei及びモル体積Δviの諸データは、「接着の基礎理論」(井本稔著、高分子刊行会発行、第5章)に記載のデータを用いる。
また、-CF3基等示されていないものに関しては、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)を参照する。
例えば、前記表面を樹脂被覆した扁平状金属系メタリック顔料、前記ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂、前記ポリエステル樹脂をそれぞれ合成・混合した場合、これらのSP値は、上記のようにして、容易に算出できる。
【0032】
<ポリエステル樹脂>
ポリエステルは、THF(テトラヒドロフラン)に不溶な成分と、THFに可溶な成分を含む。THFに不溶な成分は、成分Aと成分Bを含み、THFに可溶な成分は、成分Cを含む。なお、成分Aと成分Bは、ポリエステルの共重合体を構成する成分であってもよいし、ポリエステルの混合物を構成する成分であってもよい。
【0033】
成分AのDSCの昇温2回目におけるガラス転移温度(Tg2nd)は、-45℃~5℃であり、-40℃~-20℃であることが好ましい。成分AのTg2ndが-45℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下し、5℃を超えると、低温定着性、画像の光輝性が低下し、画像の剥がれを抑制することができない。成分BのTg2ndは、45℃~70℃であり、50℃~60℃であることが好ましい。成分BのTg2ndが45℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下し、70℃を超えると、画像の光沢が劣化する。成分CのTg2ndは、40℃~65℃であり、50℃~60℃であることが好ましい。成分CのTg2ndが40℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下し、65℃を超えると、トナーの低温定着性、画像の光輝性が低下し、画像の剥がれを抑制することができない。
【0034】
成分A及び成分Bは、例えば、重量平均分子量(Mw)が100,000~200,000である非晶質ポリエステルに由来する成分であり、成分Cは、例えば、重量平均分子量(Mw)が3,000~10,000である非晶質ポリエステルに由来する成分である。
【0035】
成分Aは、トナーに可塑性を付与する。成分Aは、本実施形態に係るトナーのTg1stや溶融粘性を低下させ、低温定着性を担保しつつ、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが流動しないというゴム的な性質を有することになる。ここで、成分Aの含有量が多すぎると、トナーのTg1stが低下してしまい、トナーの耐熱保存性が担保できなくなる。一方、成分Aの含有量が少なすぎると、トナーに対する可塑性の付与が不十分となり、トナーの低温定着性を満足できなくなる。また、必要な弾性がトナーに付与されず、トナーの耐高温オフセット性が低下し、定着可能領域が狭くなることや、画像の光沢が高くなりすぎてしまうことが懸念される。
【0036】
本実施形態においては、Tg2ndがトナーのTg1stと同等であり、弾性を付与する成分Bを含有することで、トナーのTg1stを担保しつつ、弾性を付与することができ、その結果、オフセット領域を確保することができ、画像の光沢を適正な領域で制御することが可能となる。ただし、原因は定かではないが、任意の構成比で、成分A、B、Cを含有すると、ポリエステルが分離してしまい、光輝性顔料の分散不良が発生し、画像の光輝性が低下する。このため、成分A、B、Cの構成比が適切になるようにすることで、画像の光輝性が低下せず、トナーの定着可能領域、耐熱保存性を担保することができる。
【0037】
本実施形態に係るトナーのDSC(示差走査熱量測定)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)は、45℃~65℃であり、50℃~60℃であることが好ましい。トナーのTg1stが45℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下し、65℃を超えると、トナーの低温定着性、画像の光輝性が低下し、画像の剥がれを抑制することができない。なお、トナーの昇温1回目におけるDSC曲線において、ポリエステル由来のピーク、後述する離型剤由来のピーク等の複数のピークが存在する場合は、ポリエステル由来のピークを用いて、トナーのTg1stを求める。
【0038】
本実施形態に係るトナーのTg1stは、例えば、成分Aの脂肪族ジオール由来の構成単位と脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の構成比、成分Bのガラス転移温度、成分Cのガラス転移温度、成分A、成分B、成分Cの構成比を変更することにより、調整することができる。本実施形態に係るトナーは、成分A、成分B及び成分Cの合計質量に対する、成分Aの質量比をa、成分Bの質量比をb、成分Cの質量比をcとすると、下記式を満たすことが好ましい。
4(a+b)<c
これにより、画像の光輝性、トナーの定着可能領域、耐熱保存性がより向上する。
【0039】
また、成分A、B、Cの構成比を変更することにより分子凝集エネルギーや分子容が変動しSP値を振ることができる。
【0040】
<<成分A>>
成分Aは、多価アルコール由来の構成単位及び多価カルボン酸由来の構成単位を含むことが好ましく、ジオール由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位を含むことがより好ましい。なお、多価アルコール及び多価カルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ジオールとしては、例えば、炭素数3~10の脂肪族ジオールが挙げられる。炭素数3~10の脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどが挙げられる。多価アルコールに対する炭素数3~10の脂肪族ジオールの比率は、50mol%以上であることが好ましく、80mol%以上であることがより好ましい。また、ジオールは、ポリエステルの主鎖となる部分の炭素数が3~9の奇数であり、ポリエステルの側鎖となる部分にアルキル基を有することが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物であることがより好ましい。
HO(CR1R2)nOH・・・(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、nは、3~9の奇数であり、n個のR1及びR2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0041】
また、成分Aは、架橋構造を有する構成単位をさらに含むことが好ましい。架橋構造を有する構成単位としては、3価以上の脂肪族アルコール由来の構成単位を用いることができ、画像の光沢及び画像濃度の点から、3価又は4価の脂肪族アルコール由来の構成単位が好ましい。3価又は4価の脂肪族アルコールの炭素数は、3~10であることが好ましい。
【0042】
3価以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
なお、架橋構造を有する構成単位として、3価以上のカルボン酸由来の構成単位、3価以上のエポキシ化合物由来の構成単位などを用いてもよい。成分Aの全構成単位中の架橋構造を有する構成単位の比率は、0.5~5質量%であることが好ましく、1~3質量%であることがより好ましい。架橋構造を有する構成単位に対する3価以上の脂肪族アルコールの比率は、50~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましい。ジカルボン酸としては、例えば、炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。多価カルボン酸に対する炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸の比率は、50mol%以上であることが好ましい。炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。成分Aは、紙などの記録媒体に対する接着性が優れる点から、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有することが好ましい。これにより、ウレタン結合及び/又はウレア結合が擬似架橋点のような挙動を示し、成分Aのゴム的性質が強くなり、トナーの耐熱保存性、耐高温オフセット性がより向上する。
成分Aの重量平均分子量(Mw)は、100,000~200,000であることが好ましい。成分AのMwが100,000以上であると、トナーの耐熱保存性がより向上し、200,000以下であると、トナーの低温定着性、光輝性顔料とポリエステルとの密着性がより向上する。なお、Mwは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0043】
<<成分B>>
成分Bは、多価アルコール由来の構成単位と、多価カルボン酸由来の構成単位を含むことが好ましい。また、成分Bは、エステル結合以外の結合を含む変性ポリエステルであることが好ましい。なお、多価アルコール及び多価カルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
ジオールとしては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物等が挙げられる。
【0045】
これらの中でも、炭素数2~12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物など)が好ましい。また、3価以上のポリオールとしては、多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のポリフェノール類(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0046】
ジカルボン酸としては、アルキレンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸など);芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、ポリカルボン酸の代わりに、ポリカルボン酸の無水物または低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。また、成分Bは、紙などの記録媒体に対する接着性が優れる点から、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有することが好ましい。これにより、ウレタン結合及び/又はウレア結合が擬似架橋点のような挙動を示し、成分Bのゴム的性質が強くなり、トナーの耐熱保存性、耐高温オフセット性がより向上する。
【0047】
<<成分C>>
成分Cは、多価アルコール由来の構成単位と、多価カルボン酸由来の構成単位を含むことが好ましく、ジオール由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位を含むことがより好ましい。なお、多価アルコール及び多価カルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分Cは、線状のポリエステルであることが好ましい。また、成分Cは、無変性ポリエステルであることが好ましい。無変性ポリエステルとは、イソシアネート化合物などにより変性されていないポリエステルである。ジオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAのアルキレン(炭素数2~3)オキサイド(平均付加モル数1~10)付加物;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2~3)オキサイド(平均付加モル数1~10)付加物などが挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールが好ましい。ジオールに対するアルキレングリコールの比率は、40mol%以上であることが好ましい。
【0048】
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸などの炭素数1~20のアルキル基又は炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸などが挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましい。ジカルボン酸に対するテレフタル酸の比率は、50mol%以上であることが好ましい。また、成分Cは、酸価、水酸基価を調整するため、末端に3価以上のカルボン酸及び/又は3価以上のアルコール由来の構成単位をさらに含んでいてもよい。
【0049】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
また、成分Cは、架橋構造を有する構成単位をさらに含むことが好ましい。架橋構造を有する構成単位としては、3価以上の脂肪族アルコール由来の構成単位を用いることができ、画像の光沢及び画像濃度の点から、3価又は4価の脂肪族アルコール由来の構成単位が好ましい。3価又は4価の脂肪族アルコールの炭素数は、3~10であることが好ましい。3価以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。なお、架橋構造を有する構成単位として、3価以上のカルボン酸由来の構成単位、3価以上のエポキシ化合物由来の構成単位などを用いてもよい。
【0050】
成分Cの重量平均分子量(Mw)は、3,000~10,000であることが好ましく、4,000~7,000であることがより好ましい。成分CのMwが3,000以上であると、トナーの耐熱保存性、現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性がより向上し、10,000以下であると、トナーの溶融時の粘弾性が低くなり、光輝性顔料とポリエステルとの密着性がより向上する。成分Cの数平均分子量(Mn)は、1,000~4,000であることが好ましく、1,500~3,000であることがより好ましい。成分CのMw/Mnは、1.0~4.0であることが好ましく、1.0~3.5であることがより好ましい。なお、Mw、Mnは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。成分C中の分子量が600以下である成分の含有量は、2~10質量%であることが好ましい。成分C中の分子量が600以下である成分の含有量が2質量%以上であると、トナーの低温定着性がより向上し、10質量%以下であると、トナーの耐熱保存性、現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性がより向上する。なお、成分Cは、メタノールにより分子量が600以下である成分を抽出することで、精製することができる。
【0051】
成分Cの酸価は、1~50mgKOH/gであることが好ましく、5~30mgKOH/gであることがより好ましい。成分Cの酸価が1mgKOH/g以上であると、トナーの低温定着性がより向上し、50mgKOH/g以下であると、トナーの帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が向上する。成分Cの水酸基価は、5mgKOH/g以上であることが好ましい。
【0052】
トナー中の成分Cの含有量は、80~90質量%であることが好ましい。トナー中の成分Cの含有量が80質量%以上であると、トナー中の光輝性顔料の分散性がより向上するため、トナーの光輝性がより向上し、90質量%以下であると、トナーの耐高温オフセット性がより向上する。
【0053】
<ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂>
顔料分散剤として使用している複合樹脂は、スチレンアクリル部とポリエステル部とを有する非晶質樹脂である。ここで、スチレンアクリル部とは、スチレンアクリル系樹脂の原料モノマーに由来する構成単位を有するスチレンアクリル系樹脂成分をいい、ポリエステル部とは、ポリエステル系樹脂の原料モノマーに由来する構成単位を有するポリエステル系樹脂成分をいう。
前記複合樹脂は、ポリエステル系樹脂成分(ポリエステル樹脂ユニット)とスチレンアクリル系樹脂成分(スチレンアクリル系樹脂ユニット)とが部分的に化学結合して成る樹脂である。
【0054】
ポリエステル系樹脂ユニット及びスチレンアクリル系樹脂ユニットの二つの重合系樹脂の原料モノマーの混合物に加えて、さらに原料モノマーの一つとして該二つの重合系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得るモノマー(両反応性モノマー)を混合して得られた樹脂が好ましい。
【0055】
両反応性モノマーは、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基および第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基と、エチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性を向上させることができる。両反応性モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸等が挙げられ、これらのなかではアクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸が好ましい。
【0056】
両反応性モノマーの使用量は、ポリエステル系樹脂の原料モノマー100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。また、この方法でポリエステル系樹脂との比率を振ることによりSP値の異なる複合樹脂(顔料分散剤)を合成することができる。
【0057】
本発明において、複合樹脂を、以上の原料モノマー混合物及び両反応性モノマーを用いて、該二つの重合反応を行わせることにより得る際には、重合反応の進行及び完結が時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、反応を進行、完結させればよい。
【0058】
例えば、本発明における複合樹脂の製造方法では、ポリエステル系樹脂の原料モノマー、付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー、重合開始剤等の触媒等を混合し、まず、主として50~180℃でラジカル重合反応により縮重合反応が可能な官能基を有する付加重合系樹脂成分を得、次いで反応温度を190~270℃に上昇させた後、主として縮重合反応によりポリエステル系樹脂成分の形成を行わせることが好ましい。
【0059】
<その他の材料>
また、本発明のトナーは、ポリエステル樹脂以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂や、着色剤、ワックス、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などのその他の成分を必要に応じて含有していてもよい。
【0060】
-結晶性樹脂-
前記その他の樹脂として、結晶性樹脂を含有していても良い。
前記結晶性樹脂は、定着温度付近において、融解するものが好ましい。このような結晶性樹脂をトナー中に含有させておくことによって、定着温度では、結晶性樹脂の融解に伴って結着樹脂と相溶化し、トナーのシャープメルト性を向上させ、低温定着性に優れた効果を発揮する。
【0061】
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はないが、前記結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼン可溶分によるGPC測定において、重量平均分子量(Mw)が、3,000~30,000、数平均分子量(Mn)1,000~10,000、Mw/Mn1.0~10であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)5,000~15,000、数平均分子量(Mn)2,000~10,000、Mw/Mn1.0~5.0であることがより好ましい。重量平均分子量および数平均分子量が小さすぎる場合は、耐熱保存性が悪化することがあり、逆に大きすぎると、低温定着性への効果が少なくなる。また、Mw/Mnが5.0を超える場合は、トナーに十分なシャープメルト性を付与することが出来ないことがある。
【0062】
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はないが、紙と樹脂との親和性の観点から、所望の低温定着性を達成するためには、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。一方、耐高温オフセット性を向上させるには、45mgKOH/g以下が好ましい。
【0063】
前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はないが、所望の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには、0mgKOH/g~50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g~50mgKOH/gがより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂のトナー中における含有量としては、特に制限はないが、前記トナー100質量部に対して、3質量部~20質量部が好ましく、5質量部~15質量部がより好ましい。前記含有量が、3質量部未満であると、低温定着性への効果が乏しく、20質量部を超えると、耐熱保存性が低下したり、トナーの機械的耐久性や耐擦性が悪化したりすることがある。
【0064】
-ワックス-
前記ワックスとしては、特に制限はなく、公知の中から目的に応じて適宜選択することができる。
光輝性顔料のスタックを防止したり、光輝性顔料の面間隔を広げるために使用されるワックスとしては、ある程度の極性を持たせるためワックス製造途中で分岐させたり、極性基を導入したりしたワックスが好ましい。ワックスの融点はトナーに用いる樹脂の溶融温度と同程度、もしくは定着時の紙上画像の温度以下であれば高くてもよい。
【0065】
極性基としては水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基などの極性基を導入した変性ワックスが例示できる。また空気酸化法によって炭化水素を酸化させた酸化変性ワックス、そのカリウム、ナトリウムなどの金属塩、酸性基の入った重合体、例えば無水マレイン酸の共重合体とアルファーオレフィンとの共重合体、これらの塩、イミドエステル、4級アミン塩、水酸基で変性された炭化水素をアルコキシ化したものなどが挙げられる。
【0066】
本発明において使用するワックスとして、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素系ワックスなどが挙げられる。
カルボニル基含有ワックスをエステル化したものとして、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
【0067】
前記ポリアルカン酸エステル系のワックスとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。
【0068】
前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。
前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。
【0069】
前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記長鎖炭化水素系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
【0070】
前記ワックスの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上90℃以下がより好ましい。前記融点が50℃以上であれば、耐熱保存性を良好に維持することができ、100℃以下であれば、低温での定着時にコールドオフセットを生じさせない。
【0071】
前記ワックスの融点は、例えば、示差走査熱量計(TA-60WS及びDSC-60(島津製作所製))を用いて測定することができる。即ち、まず、ワックス5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC-60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
【0072】
-着色剤-
光輝性顔料と併用できる着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤から目的に応じて適宜選択することができる。
ブラック用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。
【0073】
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、150、163、177、179、184、202、206、207、209、211、269;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。
【0074】
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36等が挙げられる。
【0075】
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、139、151、154、155、180、185;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36等が挙げられる。
【0076】
トナー中における着色剤の含有量は、1質量%~15質量%が好ましく、3質量%~10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であれば、トナーの着色力の低下を防止でき、15質量%以下であれば、トナー中での顔料の分散不良を防止でき、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下の問題を有効に防止できる。
【0077】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はないが、結着樹脂との相溶性の点から、結着樹脂、又は結着樹脂と類似した構造の樹脂を用いることが好ましい。
前記マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤を混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
【0078】
-帯電制御剤-
また、トナーに適切な帯電能を付与するために、必要に応じて帯電制御剤をトナーに含有させることも可能である。
帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤がいずれも使用可能である。有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
前記帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではないが、前記結着樹脂に対し0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.02質量%以上2質量%以下がより好ましい。前記添加量が、5質量%以下であれば、トナーの帯電性が大きすぎることなく、帯電制御剤の効果を発揮でき、現像ローラとの静電気的吸引力を抑制し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下という問題を有効に防止することができる。0.01質量%以上であれば、帯電立ち上り性や帯電量が十分である。
【0080】
-外添剤-
トナーは流動性改質や帯電量調整、電気特性の調整などの目的として各種の外添剤を添加することが出来る。外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子、が好適に挙げられる。
【0081】
前記疎水化されたシリカ微粒子としては、例えばHDK H2000、HDK H2000/4、HDK H2050EP、HVK21、HDKH1303(いずれも、ヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。前記チタニア微粒子としては、例えばP-25(日本アエロジル株式会社製);STT-30、STT-65CS(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF-140(富士チタン工業株式会社製);MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。前記疎水化された酸化チタン微粒子としては、例えばT-805(日本アエロジル株式会社製);STT-30A、STT-65S-S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF-500T、TAF-1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製);MT-100S、MT-100T(いずれも、テイカ株式会社製);IT-S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0082】
前記疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子は、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。前記疎水化処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
【0083】
前記外添剤の一次粒子の平均粒径は、1nm~100nmが好ましく、3nm~70nmがより好ましい。前記平均粒径が1nm以上であれば、外添剤がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいという問題を有効に防止できる。100nm以下であれば、感光体表面が不均一に傷つけられるという問題を有効に防止できる。前記外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、20m2/g~500m2/gであることが好ましい。
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し0.1質量%~5質量%が好ましく、0.3質量%~3質量%がより好ましい。
【0084】
(トナーの製造方法)
トナーの製造方法や使用する材料は、本発明で規定する上記要件を満たすことができれば公知のものが適宜使用可能である。本発明のトナーの製造方法として、例えば、混練粉砕法や、水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法が挙げられる。
しかし、特に上記要件を実現する製造方法としては、トナー用樹脂や色材を有機溶剤に溶解、分散して油滴を作製する溶解懸濁法や、ラジカル重合性モノマーを用いた懸濁重合法が適している。
【0085】
より好ましい製造方法としては、光輝性顔料と、必要に応じ針状及び板状の少なくともいずれかの状態を示す物質とを含有する有機液体を、水系媒体中に分散して水中油滴(O/W型)エマルションを作製する工程を含むトナーの製造方法が挙げられる。水系媒体中で油滴が形成されるとその中で光輝性顔料やその他の針状、板状粒子が自由に動くことができ、光輝性顔料が同一方向に並ぶのを防止することができる。油滴はその後トナー粒子となるため、そのまま光輝性顔料やその他の針状、板状物質が固定化される。
【0086】
<溶解懸濁法及び懸濁重合法>
前記溶解懸濁法は、例えば、少なくとも結着樹脂乃至樹脂前駆体、着色剤、及びワックスを含有してなるトナー組成物を有機溶剤中に溶解乃至分散させた油相組成物を、水系媒体中で分散乃至乳化させることにより、トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記トナー組成物を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶剤としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。
【0087】
該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、これらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0088】
前記溶解懸濁法では、油相組成物を水系媒体中で分散乃至乳化させる際に、必要に応じて、乳化剤や分散剤を用いてもよい。
該乳化剤又は分散剤としては、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。該界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸、リン酸エステル等)、カチオン界面活性剤(四級アンモニウム塩型、アミン塩型等)、両性界面活性剤(カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型等)、非イオン界面活性剤(AO付加型、多価アルコール型等)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独又は2種以上の界面活性剤を併用してもよい。
【0089】
該水溶性ポリマーとしては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム-アクリル酸エステル共重合体)、スチレン-無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。
また、乳化又は分散の助剤として、上記の有機溶剤及び可塑剤等を併用することもできる。
【0090】
トナーは、溶解懸濁法において、少なくとも結着樹脂、活性水素基と反応可能な官能基を有する結着樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)、着色剤、及びワックスを含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に分散乃至乳化させ、該油相組成物中及び/又は水系媒体中に含まれる活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法によりトナーの母体粒子を造粒して得ることが好ましい。
前記樹脂微粒子は、公知の重合方法を用いて形成することができるが、樹脂微粒子の水性分散液として得ることが好ましい。
【0091】
樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法としては、例えば、以下の(a)~(h)に示す方法が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法のいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましく、加熱により液状化してもよい。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(d)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
【0092】
(e)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(f)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液に貧溶剤を添加する、又は予め溶剤に加熱溶解させた樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、溶剤を除去して樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(g)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を、適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、減圧等によって溶剤を除去して、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(h)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
【0093】
前記樹脂微粒子の体積平均粒径は10nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上120nm以下がより好ましい。該樹脂微粒子の体積平均粒径が10nm以上で、及び300nm以下であれば、トナーの粒度分布が悪化するという問題を有効に防止できる。
前記油相の固形分濃度は、40%~80%であることが好ましい。濃度が高すぎると、溶解乃至分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらく、濃度が低すぎると、トナーの製造性が低下する。
【0094】
前記着色剤やワックス等の結着樹脂以外のトナー組成物、及びそれらのマスターバッチ等は、それぞれ個別に有機溶剤に溶解乃至分散させた後、結着樹脂溶解液又は分散液に混合してもよい。
【0095】
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)等が挙げられる。
前記水系媒体中への分散乃至乳化の方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1,000rpm~30,000rpm、好ましくは5,000rpm~20,000rpmである。分散時の温度としては、通常、0℃~150℃(加圧下)、好ましくは20℃~80℃である。
【0096】
前記有機溶剤を、得られた乳化分散体から除去するためには、特に制限はなく、公知の方法を使用することができ、例えば、常圧または減圧下で系全体を撹拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
【0097】
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する方法としては、公知の技術が用いられる。即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温~約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離する。この工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いてもよいし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
【0098】
有機溶剤の代わりにラジカル重合性モノマーと重合開始剤を用いて油相を作製し、同様に乳化を行い油滴を作製してから重合反応を熱等で行えば懸濁重合法となる。ラジカル重合性モノマーはスチレン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル系モノマーが好ましく、重合開始剤としてはアゾ系、過酸化物系の開始剤が選ばれる。懸濁重合法の場合は有機溶剤を除去する工程が必要ない。
【0099】
扁平状の顔料を樹脂等でくるむ際にトナー表面の粘弾性を高くするとよい。
トナー表面に反応性官能基を優先的に配置し、高分子、架橋反応を生じさせるとよい。
例えば、トナー製造時において、水系媒体中における油滴と水系媒体との界面で反応を起こす別々の物質を存在させる。反応性プレポリマーを油滴側に、プレポリマーと反応する物質を水系側に入れておく。
またトナー表面の粘弾性を高く維持するために、固体微粒子をトナー表面に配置するようにすることも有効である。例えば油滴内に油水界面に配向しやすい有機変性無機微粒子を入れておくとよい。有機変性無機微粒子としては、有機変性ベントナイト、有機変性モンモリロナイト、有機溶媒分散型コロイダルシリカなどが挙げられる。
【0100】
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させて、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
【0101】
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
このため、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
前記トナーを二成分系現像剤に用いる場合には、キャリアと混合して用いればよい。前記二成分現像剤中の前記キャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90質量%~98質量%が好ましく、93質量%~97質量%がより好ましい。
【0102】
(キャリア)
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
【0103】
-芯材-
前記芯材としては、磁性を有する粒子であれば特に限定されるものではなく、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等が好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への適応性を配慮した場合には、フェライトであれば、従来の銅-亜鉛系フェライトではなく、例えば、マンガンフェライト、マンガン-マグネシウムフェライト、マンガン-ストロンチウムフェライト、マンガン-マグネシウム-ストロンチウムフェライト、リチウム系フェライト等を用いることが好適である。
【0104】
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
【0105】
プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、画像の光輝性を担保しつつ、高精細、高画質な画像を形成できる。
【0106】
本発明のトナーを用いて画像を形成する方法について以下説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す画像形成装置の全体構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、タンデム型の画像形成部(以下、作像部という)によってカラー画像を形成するカラー画像形成装置であり、画像読取部10、作像部11、給紙部12、転写部13、定着部14、排紙部15、コントロール部16から構成される。
【0107】
(画像読取部10)
画像読取部10は、原稿の画像を読み取り、画像情報を生成するためのものである。コンタクトガラス101及び読取センサ102から構成される。画像読取部10では、原稿に光を照射し、その反射光をCCD(電荷結合素子)やCIS(密着型イメージセンサ)等のセンサで受光し、光の3原色であるRGB各色の電気的な色分解信号を読み込む。
【0108】
(作像部11)
作像部11は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に加え、無色透明(クリア)や白色などの特色(S)のトナー像を形成・出力する5つの作像ユニット110S、110Y、110M、110C、110Kから構成されている。
【0109】
5つの作像ユニット110S、110Y、110M、110C、110Kは、画像形成材料として、互いに異なる色のS、Y、M、C、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。各作像ユニット110S、110Y、110M、110C、110Kは、装置本体2に対して着脱可能に構成されていて、所謂プロセスカートリッジを構成している。以下、共通する構成については、Kトナー像を形成するための作像ユニット110Kを例にとって説明する。
【0110】
作像ユニット110Kは、帯電装置111K、K色トナー像を表面に担持するK色トナー用像担持体としての感光体112K、現像装置114K、除電装置115K、感光体クリーニング装置116K等を備えている。これらの装置が共通の保持体に保持されていて、装置本体2に対して一体的に着脱することで、それらを同時に交換できるようになっている。
【0111】
感光体112Kは、基板の表面上に有機感光層が形成された外径60mmのドラム形状であり、駆動手段により反時計回りに回転駆動される。帯電装置111Kは、帯電チャージャ(帯電器)の帯電電極である帯電ワイヤに帯電バイアスを印加することで、帯電ワイヤと感光体112Kの外周表面との間に放電を発生させ、感光体112Kの表面を一様に帯電させる。本実施形態では、トナーの帯電極性と同じマイナスの極性に帯電させている。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。尚、帯電チャージャに代えて、感光体112Kに接触あるいは近接して設けられる帯電ローラを用いる方式を採用してもよい。
【0112】
一様に帯電された感光体112Kの表面には、後述する露光装置113から照射されるレーザ光により光走査されて、K用の静電潜像が形成される。感光体112Kの一様帯電した表面の全域のうち、レーザ光が照射された箇所は電位が減衰し、レーザ照射箇所の電位が、それ以外の箇所(地肌部)の電位よりも小さい静電潜像となる。このK用の静電潜像は、後述するKトナーを用いる現像装置114Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト131上に1次転写される。
【0113】
現像装置114Kは、Kトナーとキャリアを含む2成分現像剤が収容される容器を有し、この容器内に具備される現像スリーブ内部のマグネットローラの磁力によって現像剤を現像スリーブ表面に担持する。上記現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体112Kの静電潜像よりも大きく、感光体112Kの帯電電位よりも小さな現像バイアスが印加される。上記現像スリーブと感光体112Kの静電潜像との間には、上記現像スリーブから静電潜像に向かう現像ポテンシャルが作用する。また、上記現像スリーブと感光体112Kの地肌部との間には、上記現像スリーブ上のトナーをスリーブ表面に向けて移動させる非現像ポテンシャルが作用する。現像ポテンシャル及び非現像ポテンシャルの作用により、上記現像スリーブ上のKトナーが感光体112Kの静電潜像に選択的に付着され現像されることで、感光体112K上にK色のトナー像が形成される。
【0114】
除電装置115Kは、中間転写ベルト131にトナー像が1次転写された後の感光体112Kの表面を除電する。感光体クリーニング装置116Kは、クリーニングブレードとクリーニングブラシとを備えており、除電装置115Kによって除電された感光体112Kの表面に残った転写残トナー等を除去する。
【0115】
図1において、作像ユニット110Sは、帯電装置111S、特色トナー像を表面に担持する特色トナー用像担持体としての感光体112S、現像装置114S、除電装置115S、感光体クリーニング装置116S等を備えている。他の作像ユニット110C、110M、110Yについても同様である。よって、作像ユニット110C、110M、110Y、110Sにおいても、作像ユニット110Kと同様にして、各感光体112S、112Y、112M、112C上にS、Y、M、Cトナー像が形成される。
【0116】
作像ユニット110S、110Y、110M、110C、110Kの上方には、潜像書込手段ないしは露光手段としての露光装置113が配置されている。露光装置113は、画像読取部10やパーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザダイオードから発したレーザ光により、感光体112S、112Y、112M、112C、112Kを光走査する。
【0117】
露光装置113は、光源から発せられたレーザ光をポリゴンモータによって回転駆動されるポリゴンミラーによって主走査方向に偏光させながら複数の光学レンズやミラーを介して感光体112S、112Y、112M、112C、112Kに照射するものである。レーザ光に代えて、複数のLEDから発せられるLED光によって光書込み、照射する構成を採用してもよい。
【0118】
(給紙部12)
給紙部12は、転写部13に対して紙の一例である用紙を供給するものであり、用紙収容部121、給紙ピックアップローラ122、給紙ベルト123及びレジストローラ124を備えている。給紙ピックアップローラ122は、用紙収容部121に収容されている用紙を給紙ベルト123の方へ移動させるために回転するように設けられている。このように設けられている給紙ピックアップローラ122は、収容されている用紙のうち最上段にある用紙を一枚ずつ取り出し、給紙ベルト123に載置する。給紙ベルト123は、給紙ピックアップローラ122によって取り出された用紙を転写部13に搬送する。レジストローラ124は、中間転写ベルト131上のトナー像が形成されている部分が転写部13の転写ニップとしての2次転写ニップ139に到達されるタイミングで用紙を送り出すものである。
【0119】
(転写部13)
転写部13は、作像ユニット110S、110Y、110M、110C、110Kの下方に配置されている。転写部13は、駆動ローラ132、従動ローラ133、中間転写ベルト131、1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134K、2次転写ローラ135、2次転写対向ローラ136、トナー付着量センサ137、ベルトクリーニング装置138を備えている。
【0120】
中間転写ベルト131は、無端状の中間転写体として機能し、そのループの内側に配設された駆動ローラ132、従動ローラ133、2次転写対向ローラ136、1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134K等によって張架されている。尚、配設とは、配置して設けること、あるいは位置を決めて設けることを、張架とは、張力がかかった状態で掛け渡すことを、それぞれ意味する。
【0121】
駆動手段により図中時計回りに回転駆動される駆動ローラ132によって、中間転写ベルト131は同方向に無端移動・走行し、感光体112S、112Y、112M、112C、112Kに接しながら移動する。
【0122】
中間転写ベルト131としては、厚さ20~200[μm]、好ましくは60[μm]程度のものを用いている。また、体積抵抗率は1×106~1×1012[Ω・cm]、好ましくは1×109[Ω・cm]程度の(三菱化学製ハイレスターUP MCP HT45にて、印加電圧100Vの条件で測定)のカーボン分散ポリイミド樹脂が望ましい。
【0123】
駆動ローラ132に巻き掛けられている中間転写ベルト131近傍上には、トナー付着量センサ137が配置されている。トナー付着量センサ137は、中間転写ベルト131上に転写されたトナー像の量を検出するトナー量検出手段として機能する。トナー付着量センサ137は、光反射型のフォトセンサからなる。トナー付着量センサ137は、中間転写ベルト131上に付着・形成されているトナー像(特色トナーを含む)からの反射光量を検出する事により、トナー付着量を測定するものである。尚、トナー付着量センサ137としては、上記機能から、従来から一般的に使用されているトナー濃度を検出・測定するトナー濃度検出手段としてのトナー濃度センサなどを兼ねて用いても良い。その場合、新規なトナー量検出手段を配設することが回避できるので、部品点数を減らしてコストダウンに寄与できる。なお、中間転写ベルト131の対向位置に代えて、トナー付着量センサ137は感光体112上のトナー像を検出する位置に配置してもよい。
【0124】
1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134Kは、中間転写ベルト131を挟んで、それぞれ感光体112S、112Y、112M、112C、112Kと対向して配置され、中間転写ベルト131を移動させるように従動回転する。これにより、中間転写ベルト131の表の面と、感光体112S、112Y、112M、112C、112Kとが当接(突き当てた状態に接することを意味する)する1次転写ニップが形成される。1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134Kには、1次転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加される。これにより、感光体112S、112Y、112M、112C、112K上のS、Y、M、C、Kトナー像と、1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134Kとの間に1次転写バイアスが形成される。そして、中間転写ベルト131に対して順次、各色トナー像が転写される。
【0125】
S用の感光体112S表面に形成されたSトナー像は、感光体112Sの回転に伴ってS用の1次転写ニップに進入する。そして、転写バイアスやニップ圧の作用により、感光体112S上から中間転写ベルト131上に1次転写される。このようにしてSトナー像が1次転写された中間転写ベルト131は、その後、Y、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過する。そして、感光体112Y、112M、112C、112K上のY、M、C、Kトナー像が、Sトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト131上にはカラートナー像とクリアトナーなどの特色トナー像とを具備する重ね合わせトナー像が形成される。すなわち、中間転写ベルト131には、有色トナー用像担持体及び特色トナー用像担持体の表面にそれぞれ担持されるトナー像が重ね合わせて転写される。
【0126】
1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134Kは、金属製の芯金と、この表面上に固定された導電性のスポンジ層とを具備する弾性ローラからなり、外径16[mm]、芯金径10[mm]で構成されている。また、接地された外径30[mm]の金属ローラを10[N]の力でスポンジ層に押し当てた状態で、1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134Kの芯金に1000[V]の電圧を印加したときに流れる電流Iから、スポンジ層の抵抗値Rを算出した。具体的には、上記芯金に1000[V]の電圧を印加したときに流れる電流Iから、オームの法則(R=V/I)に基づいて算出したスポンジ層の抵抗値Rは、約3×107[Ω]である。このような1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134Kに対して、1次転写バイアス電源から定電流制御で出力される1次転写バイアスが印加される。尚、1次転写ローラ134S、134Y、134M、134C、134Kに代えて、転写チャージャや転写ブラシ等を採用してもよい。
【0127】
2次転写ローラ135は、2次転写対向ローラ136との間に中間転写ベルト131と用紙を挟み込んで、駆動手段により回転駆動される。2次転写ローラ135は、中間転写ベルト131の表の面に接触して転写ニップとしての2次転写ニップ139を形成するとともに、2次転写ニップで挟まれた記録媒体に中間転写ベルトのトナー像を転写するニップ形成部材及び転写部材として機能する。2次転写対向ローラ136は、ニップ形成部材及び対向部材として機能する。2次転写ローラ135は接地されているのに対し、2次転写対向ローラ136には、2次転写バイアス電源130によって2次転写バイアスが印加される。
【0128】
2次転写バイアス電源130は、直流電源と交流電源とを有しており、2次転写バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳したものを出力することができる。2次転写バイアス電源130の出力端子は、2次転写対向ローラ136の芯金に接続されている。2次転写対向ローラ136の芯金の電位は、2次転写バイアス電源130からの出力電圧値とほぼ同じ値になる。
【0129】
2次転写バイアスを2次転写対向ローラ136に印加することで、2次転写対向ローラ136と2次転写ローラ135との間に、マイナス極性のトナーを2次転写対向ローラ136側から2次転写ローラ135側に向けて静電移動させる2次転写バイアスが形成される。これにより、中間転写ベルト131上のマイナス極性のトナーを2次転写対向ローラ136側から2次転写ローラ135側へ移動させることができる。
【0130】
2次転写バイアス電源130には、直流成分としてトナーと同じマイナス極性のものを用い、重畳バイアスの時間平均の電位をトナーと同じマイナス極性にする。尚、重畳バイアスを2次転写対向ローラ136に印加しつつ、2次転写ローラ135を接地する代わりに、重畳バイアスを2次転写ローラ135に印加しつつ、2次転写対向ローラ136の芯金を接地してもよく、その場合は直流電圧・直流成分の極性を異ならせる。
【0131】
エンボス加工が施された用紙等、表面の凹凸が大きい紙を用いる場合には、前述の重畳バイアスを印加することによりトナーを往復移動させつつ相対的には中間転写ベルト131側から紙側に移動させて紙上に転移させる。これにより、用紙凹部への転写性を向上させて転写率の向上や中抜け等の異常画像を改善することができる。一方、通常の転写紙等の凹凸の小さい紙を用いる場合には、凹凸パターンにならった濃淡パターンが出現しないので、直流成分のみによる2次転写バイアスを印加することで十分な転写性を得ることができる。
【0132】
2次転写対向ローラ136は、ステンレスやアルミニウム等からなる芯金に抵抗層を積層したものからなる。2次転写対向ローラ136は、次の特性を有している。即ち、外径は約24[mm]である。また、芯金の径は約16[mm]である。抵抗層は、ポリカーボネート、フッ素系ゴム、シリコン系ゴムにカーボンや金属錯体等の導電粒子を分散させたもの、あるいはNBRやEPDM等のゴム、NBR/ECO共重合のゴム、ポリウレタン製の半導電性ゴム等よりなる。その体積抵抗は106~1012[Ω]、望ましくは107~109[Ω]である。また、ゴム硬度(ASKER-C)は20~50度の発泡タイプでもゴム硬度30~60度のゴムタイプでもよいが、中間転写ベルト131を介して2次転写ローラ135と接触するので小さな接触圧力でも非接触部分が生じないスポンジタイプが望ましい。
2次転写ニップを通過した2次転写後の中間転写ベルト131上には、紙に転写されなかった転写残トナーが残留している。これは、中間転写ベルト131の表面に当接しているクリーニングブレードを備えたベルトクリーニング装置138によって中間転写ベルト131表面から除去・クリーニングされる。
【0133】
(定着部14)
定着部14は、ベルト定着方式であり、無端状のベルトである定着ベルト141に加圧ローラ142を押し当てて構成されている。定着ベルト141は、定着ローラ143と加熱ローラ144とに掛け回されており、少なくとも一方のローラには熱源・加熱手段(ヒータ、ランプ、あるいは電磁誘導式の加熱装置等)が設けられている。定着ベルト141は、定着ローラ143と加圧ローラ142との間に挟持・押し付けられる状態で、定着ベルト141と加圧ローラ142との間に定着ニップを形成している。
【0134】
定着部14に送り込まれた紙は、その未定着トナー像担持面を定着ベルト141に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧によってトナー像中のトナーが軟化するため、トナー像が定着され、紙は機外へと排出される。また、紙のトナー像を転写した面の反対側の面にも画像を形成する場合には、トナー像を定着させた後に、紙反転機構に搬送させ、同紙反転機構により紙を反転させる。その後は、上述した画像形成工程と同様にして、反対面にもトナー像が形成される。
【0135】
定着部14でトナーが定着された紙は、排紙部15を構成する排紙ローラを経由して画像形成装置本体2から機外へ排出され、排紙トレイなどの用紙収容部151に収容される。
【実施例0136】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。尚、「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
【0137】
(樹脂被覆メタリック顔料の製造)
以下のようにして、樹脂被覆メタリック顔料1~4を得た。
【0138】
-樹脂被覆メタリック顔料1の製造-
三ツ口フラスコにミネラルスピリット300mlを入れ、これにメタリック顔料としてアルミニウム顔料(商品名:「アルミニウムペーストCS460」(金属分50%、平均粒径16μm)、東洋アルミニウム株式会社製)を200.0g、およびアクリル酸と大豆油脂肪酸とを熱重合した二重結合を有するカルボン酸(商品名:「ダイアシッド1550」、ハリマ化成株式会社製)20.0gを加え、加熱および攪拌した後、常温まで冷却し、これを濾過することにより、脱脂工程を行なった。これにより、脱脂処理されたメタリック顔料を得た。
【0139】
次いで、溶媒としてミネラルスピリット400ml、上記で脱脂処理したメタリック顔料200.0g、前記カルボン酸20.0g、およびエチルアミン20.0gを混練機に入れ、60℃で1時間攪拌することにより、メタリック顔料を含有するスラリーを得た。
【0140】
引き続き、上記で得られたメタリック顔料含有スラリー640gをミネラルスピリット1000mlが入った三ツ口フラスコに入れ、さらにアクリル酸1.0gを添加して攪拌した。次いでトリメチロールプロパントリメタクリレート30.0gおよびアゾビスイソブチロニトリル10.0gをそれぞれミネラルスピリット150mlに溶解したものを添加して、加熱(80℃)および攪拌(6時間)した後、常温まで冷却し、これを濾過することにより、表面に樹脂からなる保護層が形成された[樹脂被覆メタリック顔料1]を得た。
【0141】
-樹脂被覆メタリック顔料2の製造-
樹脂被覆メタリック顔料1の製造においてトリメチロールプロパントリメタクリレートをトリメチロールプロパントリアクリレートに変更した以外は樹脂被覆メタリック顔料1の製造と同様にして[樹脂被覆メタリック顔料2]を得た。
【0142】
-樹脂被覆メタリック顔料3の製造-
樹脂被覆メタリック顔料1の製造においてトリメチロールプロパントリメタクリレートをテトラメチロールメタンテトラアクリレートに変更した以外は樹脂被覆メタリック顔料1の製造と同様にして[樹脂被覆メタリック顔料3]を得た。
【0143】
-樹脂被覆メタリック顔料4の製造-
樹脂被覆メタリック顔料1の製造においてトリメチロールプロパントリメタクリレートをテトラエチレングリコールジアクリレートに変更した以外は樹脂被覆メタリック顔料1の製造と同様にして[樹脂被覆メタリック顔料4]を得た。
【0144】
実施例及び比較例においては上記で得た表面処理アルミニウムである[樹脂被覆メタリック顔料1]~[樹脂被覆メタリック顔料4]を用いた。[樹脂被覆メタリック顔料1]~[樹脂被覆メタリック顔料4]の物性を表1に示す。
【0145】
【0146】
(顔料分散剤の製造)
以下のようにして、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂である顔料分散剤1~4を得た。
【0147】
-顔料分散剤1の製造-
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、2、3-ブタンジオール7.2g、1,2-プロパンジオール4.08g、テレフタル酸20.59g、2-エチルヘキサン酸錫(II)0.18gを入れた。容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hrで昇温し、その後230℃で10時間縮重合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。160℃まで冷却した後、アクリル酸ブチル2.0g、スチレン8.50g、2-エチルヘキシルアクリレート1.48g、及びジブチルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温した後、無水トリメリット酸4.61gを投入し、210℃にて2時間反応を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、[顔料分散剤1]を得た。
【0148】
-顔料分散剤2の製造-
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、2、3-ブタンジオール7.2g、1,2-プロパンジオール6.08g、テレフタル酸18.59g、2-エチルヘキサン酸錫(II)0.18gを入れた。容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hrで昇温し、その後230℃で10時間縮重合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。160℃まで冷却した後、アクリル酸ブチル2.0g、スチレン8.50g、2-エチルヘキシルアクリレート1.48g、及びジブチルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温した後、無水トリメリット酸4.61gを投入し、210℃にて2時間反応を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、[顔料分散剤2]を得た。
【0149】
-顔料分散剤3の製造-
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、2、3-ブタンジオール7.2g、1,2-プロパンジオール8.08g、テレフタル酸16.59g、2-エチルヘキサン酸錫(II)0.18gを入れた。容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hrで昇温し、その後230℃で10時間縮重合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。160℃まで冷却した後、アクリル酸ラウリルオクチル2.0g、スチレン8.50g、2-エチルヘキシルアクリレート1.48g、及びジブチルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温した後、無水トリメリット酸4.61gを投入し、210℃にて2時間反応を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、[顔料分散剤3]を得た。
【0150】
-顔料分散剤4の製造-
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、2、3-ブタンジオール7.2g、1,2-プロパンジオール6.08g、テレフタル酸18.59g、2-エチルヘキサン酸錫(II)0.18gを入れた。容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hrで昇温し、その後230℃で10時間縮重合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。160℃まで冷却した後、アクリル酸ラウリル2.0g、スチレン8.50g、2-エチルヘキシルアクリレート1.48g、及びジブチルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温した後、無水トリメリット酸4.61gを投入し、210℃にて2時間反応を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、[顔料分散剤4]を得た。
【0151】
実施例及び比較例においては上記で得た顔料分散剤[顔料分散剤1]~[顔料分散剤4]を用いた。[顔料分散剤1]~[顔料分散剤4]の物性を表2に示す。
【0152】
【0153】
<水相の調製>
撹拌棒及び温度計を備えた反応容器に、水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS-30(三洋化成工業社製)16部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸n-ブチル110部、及び過硫酸アンモニウム1部を入れた。その後、400rpmで15分間撹拌した。次に、75℃まで昇温した後、5時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加えた後、75℃で5時間熟成して、ビニル系樹脂分散液を得た。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(堀場製作所社製)を用いて、ビニル系樹脂分散液の体積平均粒径を測定したところ、14nmであった。また、ビニル系樹脂は、酸価が45mgKOH/g、重量平均分子量が300,000、ガラス転移点が60℃であった。
水455部、ビニル系樹脂分散液7部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%の水溶液エレミノールMON-7(三洋化成工業社製)17部、及び酢酸エチル41部を混合撹拌し、[水相]を得た(合計520部)。
【0154】
<ワックス分散剤1の合成>
攪拌棒及び温度計を備えた反応槽中に、キシレン480部、パラフィンワックスHNP-9(日本精鑞社製)100部を入れて溶解するまで加熱した後、窒素置換し、170℃まで昇温した。次に、スチレン740部、アクリロニトリル100部、アクリル酸ブチル60部、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36部、及びキシレン100部の混合液を3時間で滴下した後、170℃で30分間保持した。さらに、脱溶剤し、[ワックス分散剤1]を得た。
【0155】
<ワックス分散液W1の調製>
撹拌棒及び温度計を備えた容器中に、パラフィンワックスHNP-9(日本精鑞社製)150部、15部のワックス分散剤1、及び酢酸エチル335部を入れた後、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃で5時間保持した。次に、1時間で30℃まで冷却した後、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/h、ディスクの周速度を6m/s、直径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填して、3パスの条件で、分散させ、[ワックス分散液W1]を得た。得られたワックス分散液W1中の粒子の粒子径はLA-920(堀場製作所社製)で測定したところ350nmであった。大過剰の酢酸エチルで希釈して乾燥し、電子顕微鏡で観察したところ、ワックスは平板状の形状をしていた(ワックスの固形分濃度30%、トータル固形分濃度33%)。
【0156】
<結晶性ポリエステル樹脂R1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202部、アジピン酸15部、1,6-ヘキサンジオール177部、及び縮合触媒テトラブトキシチタネート0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、220℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成する水及び1,6-ヘキサンジオールを留去しながら、4時間反応させた後、5mmHg~20mmHgの減圧下で、重量平均分子量がおよそ12,000に達するまで反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂R1]を得た。[結晶性ポリエステル樹脂R1]は、重量平均分子量が12,000、融点が60℃であった。
【0157】
<結晶性ポリエステル樹脂分散液C1の調製>
撹拌棒及び温度計を備えた容器中に、[結晶性ポリエステル樹脂R1]を150部、及び酢酸エチル335部を入れた後、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃で5時間保持し結晶性ポリエステル樹脂R1を溶解した。次に、ドライアイスで冷却したメタノール浴に浸漬し、急冷し、結晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。-20℃で1時間冷却して得られた結晶物は光学顕微鏡で観察すると1μm~15μmの大きさの針状結晶であった。
ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/h、ディスクの周速度を6m/s、直径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填して、3パスの条件で、分散させ、[結晶性ポリエステル樹脂分散液C1]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂分散液C1]中の粒子の粒子径はLA-920(堀場製作所製)で測定したところ460nmであった。(固形分濃度30%)。
【0158】
<非晶質ポリエステル樹脂R2の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物222部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物129部、イソフタル酸166部、及びテトラブトキシチタネート0.5部を入れた。その後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、230℃で8時間反応させた。次に、5mmHg~20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/gになった時点で180℃(常圧)まで冷却した後、無水トリメリット酸35部を加えて3時間反応させ、[非晶質ポリエステル樹脂R2]を得た。[非晶質ポリエステル樹脂R2]は、重量平均分子量が8,000、ガラス転移点が62℃であった。また、[非晶質ポリエステル樹脂R2]のSP値は11.2(cal/cm3)1/2であった。
【0159】
<有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1の調製>
水200部、有機変性層状無機化合物(CLAYTONE APA、ビックケミー・ジャパン株式会社製)500部、及び非晶質ポリエステル樹脂L1の500部を加え、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)で混合した。混合物を2本ロールを用いて120℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、[有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1]を得た。
【0160】
(実施例1)
[光輝性トナー1の製造]
<油相1の調製>
温度計及び撹拌機を備えた容器中に下記の成分を入れて攪拌し溶解させた。
・非晶質ポリエステル樹脂R2 271部
・酢酸エチル 93部
次いで上記で得た溶液に下記成分を加えた後、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、氷浴で内温を20℃にキープしながら、5,000rpmで1時間混合し[油相1]を得た(固形分60%)。
・ワックス分散液W1 240部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液C1 166部
・樹脂被覆メタリック顔料4 30部
・有機変性層状無機化合物のマスターバッチ 6部
・顔料分散剤2 59部
【0161】
<乳化・脱溶剤>
撹拌機及び温度計を備えた容器中に、[水相]550部を入れた後、水浴上20℃で保持した。次に、20℃に保持されている450部の[油相1]を加え、20℃に保持しながら、TK式ホモミサー(特殊機化工業社製)を用いて、12,000rpmで2分間混合し、乳化スラリーを得た。光学顕微鏡による観察では得られた油滴は扁平状であった。さらに40℃で減圧下脱溶剤して、有機溶剤揮発部分が0%のスラリーを得た。
【0162】
<洗浄・加熱・乾燥>
次に得られたスラリーを室温まで冷却後、減圧濾過した。濾過ケーキにイオン交換水200部を加え、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)を用いて、800rpmで5分間混合しリスラリー後、濾過した。さらに、濾過ケーキに1質量%水酸化ナトリウム水溶液10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。
次に、濾過ケーキに1%塩酸10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、リスラリーした後、濾過する操作を2回繰り返した。
循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュを用いて篩い、トナー母体粒子を得た。
【0163】
<外添剤の添加>
トナー母体粒子100部及び疎水化処理シリカHDK-2000(ワッカー・ケミー社製)1部、表面処理酸化チタンJMT-150IB(テイカ社製)1部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速を30m/sとして30秒間混合した後、1分間休止する操作を5回繰り返した。次に、目開きが35μmのメッシュを用いて篩い、[光輝性トナー1]を得た。
【0164】
(実施例2)
[光輝性トナー2の製造]
実施例1において、油相の調製に使用する[樹脂被覆メタリック顔料4]を[樹脂被覆メタリック顔料3]に変更した以外は、実施例1と同様にして[光輝性トナー2]を得た。
【0165】
(実施例3)
[光輝性トナー3の製造]
実施例1において、油相の調製に使用する[樹脂被覆メタリック顔料4]を[樹脂被覆メタリック顔料2]に変更した以外は、実施例1と同様にして[光輝性トナー3]を得た。
【0166】
(実施例4)
[光輝性トナー4の製造]
実施例1において、油相の調製に使用する[樹脂被覆メタリック顔料4]を[樹脂被覆メタリック顔料1]に変更した以外は、実施例1と同様にして[光輝性トナー4]を得た。
【0167】
(実施例5)
[光輝性トナー5の製造]
実施例1において、油相の調製に使用する[顔料分散剤2]を[顔料分散剤3]に変更し、[樹脂被覆メタリック顔料4]を[樹脂被覆メタリック顔料1]に変更した以外は、実施例1と同様にして[光輝性トナー5]を得た。
【0168】
(比較例1)
[光輝性トナー6の製造]
実施例1において、油相の調製に使用する[顔料分散剤2]を[顔料分散剤4]に変更し、[樹脂被覆メタリック顔料4]を[樹脂被覆メタリック顔料3]に変更した以外は、実施例1と同様にして[光輝性トナー6]を得た。
【0169】
(比較例2)
[光輝性トナー7の製造]
実施例1において、油相の調製に使用する[顔料分散剤2]を[顔料分散剤1]に変更し、[樹脂被覆メタリック顔料4]を[樹脂被覆メタリック顔料2]に変更した以外は、実施例1と同様にして[光輝性トナー7]を得た。
【0170】
(比較例3)
[光輝性トナー8の製造]
実施例1において、油相の調製に使用する[顔料分散剤2]を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして[光輝性トナー8]を得た。
【0171】
実施例1~5、比較例1~3で得られたトナーの比誘電率、体積抵抗、断面状態、表面状態を以下のようにして求めた。
【0172】
<比誘電率、体積抵抗の測定>
自動加圧成型機を用いてペレット化したトナーサンプルをTR-10C誘電体損測定器、WBG-9発振器、BDA-9平衝点検出器、SE-30電極(いずれも安藤電気株式会社製)を用いて測定した。測定結果を表3に示す。
【0173】
<断面状態の観察>
図2A、Bは、本発明の実施例1のトナー断面を観察して得たSEM図である。
図2Aはトナーの全断面のSEM図であり、
図2Bは
図2Aの部分拡大写真である。
図2Aに示すように、ポリエステル樹脂のマトリックス20中にメタリック顔料21が分散している。
また、
図2BのAで示した領域にみられるようにポリエステルスチレンアクリル樹脂の微粒子22がトナーにおけるポリエステル樹脂のマトリックス20中に分散している。
電界放出型走査電子顕微鏡による観察方法は以下の通りである。
-観察方法-
1:サンプルを30分硬化型エポキシ樹脂に埋包後、硬化させる。
2:硬化したサンプルをウルトラミクロトームULTRACUT S、ダイヤモンドナイフで切り出し断面を作成する。
3:得られた断面サンプルをRu04、5%水溶液蒸気雰囲気にて染色を行う。
4:作製した断面の様子を、電界放出型走査電子顕微鏡(コールドFE-SEM)を用いて観察をする。
観察条件を以下に示す。
SEM観察条件加速電圧 2.0kV
WD 8mm ×1K、×2K、×5X
SEM像:SE(∪)
-装置-
観察:冷陰極電界放出型走査顕微鏡(コールドFE-SEM)S―4800 株式会社日立ハイテク製
【0174】
得られた各トナーについて、以下のようにして「転写性」、「画像の光輝性」を評価した。
【0175】
<転写性>
低温定着性の複写機(imagioMF-6550、株式会社リコー製)を用い、転写紙に転写中に複写機を停止させ、感光体上に残存しているトナー量(以下、「転写残トナー」とも称する)を目視で確認し、下記評価基準に基づき、評価した。
[評価基準]
◎:転写残トナーが、感光体表面積の5%未満であり、非常に転写性に優れる
○:転写残トナーが、感光体表面積の5%以上10%未満であり、転写性に優れる
△:転写残トナーが、感光体表面積の10%以上15%未満である
×:転写残トナーが、感光体表面積の15%以上であり、転写性に劣る
【0176】
<画像の光輝性1>
複写機に現像剤を装填し、画像の光輝性1を評価した。具体的には、複写機imagio Neo C600(リコー製)を用いて、トナーの付着量が0.50±0.02mg/cm2となるように、用紙PODグロスペーパー(王子製紙製)にベタ画像(3cm×8cm)を形成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度を146rpm、定着温度を180℃とした。また、用紙の通紙方向の先端から3.0cmの位置に、ベタ画像を形成した。ベタ画像のフロップインデックス値を、下記式により算出し、画像の光輝性1を評価した。
2.69×(L*15°-L*110°)1.11/(L*45°)0.86
【0177】
ここで、多角度測色計BYK-mac iを用いて、明度(L*)を測定した。
なお、L*15°とは、画像に対して15°の角度から測定した明度であり、L*45°とは、画像に対して45°の角度から測定した明度であり、L*110°とは、画像に対して110°の角度から測定した明度である。
【0178】
また、フロップインデックス値が高い程、見る角度による色変化が大きくなるため、画像の光輝性が高くなる。
【0179】
〔評価基準〕
◎:フロップインデックス値が7.5以上である場合
〇:フロップインデックス値が6.5以上7.5未満である場合
△:フロップインデックス値が5.5以上6.5未満である場合
×:フロップインデックス値が5.5未満である場合
【0180】
<画像の光輝性2>
定着装置のニップ部を通過する速度を73rpmとし、評価基準を以下のようにした以外は、画像の光輝性1と同様にして、画像の光輝性2を評価した。
評価基準は画像の光輝性1の評価基準と同じである。
〔評価基準〕
◎:フロップインデックス値が7.5以上である場合
〇:フロップインデックス値が6.5以上7.5未満である場合
△:フロップインデックス値が5.5以上6.5未満である場合
×:フロップインデックス値が5.5未満である場合
【0181】
実施例1~5、比較例1~3で得られたトナーの構成、評価結果一覧をまとめて表3に示す。
【0182】
【0183】
実施例1はメタリック顔料の露出がなく比誘電率が低いため転写性は良好である。
【0184】
実施例2もメタリック顔料の露出がないが、ポリエステル樹脂とメタリック顔料との溶解度パラメータの差が実施例1よりも大きいため各種材料の親和性が低くなり電気抵抗が悪化するほどの影響は無いが光輝性1は実施例1に劣る。
【0185】
実施例3はポリエステル樹脂とメタリック顔料との溶解度パラメータの差が大きいためメタリック顔料が形成するトナーエッジの影響により転写性、光輝性1ともに実施例1に劣る。
【0186】
実施例4はポリエステル樹脂とメタリック顔料との溶解度パラメータの差が実施例3よりも大きいためメタリック顔料がトナー表面近傍に偏在し顔料露出する影響により光輝性2が実施例3に劣る。
【0187】
実施例5はポリエステル樹脂とメタリック顔料との溶解度パラメータの差が実施例3よりも大きいためメタリック顔料がトナー表面近傍に偏在し顔料露出する影響により光輝性2が実施例3に劣る。顔料分散剤とポリエステル樹脂との溶解度の差が実施例4よりも大きいことから顔料分散剤の主効果を期待したが、特性には大きな影響が見られなかった。
【0188】
比較例1は顔料分散剤の溶解度パラメータが低いため、ポリエステル樹脂との親和性が低く、トナー粒子内の材料が乖離する傾向になるため比誘電率が高く顔料分散も悪くなり、転写性・光輝性共に実施例5に劣る。転写性はランクNGとなる。
【0189】
比較例2は顔料分散剤とポリエステル樹脂との溶解度の差が小さいため顔料分散剤が主効果を発揮せず、光輝性2は比較例1に劣る。転写性、光輝性1はランクNGとなる。
【0190】
比較例3は顔料分散剤が存在しないため、トナー粒子内でのメタリック顔料の存在ばらつきが大きく光輝性2は比較例2に劣る。転写性・光輝性すべてランクNGとなる。
【0191】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
(1)表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料と、ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂と、ポリエステル樹脂と、を含有する光輝性トナーであって、
前記ポリエステル-スチレンアクリル複合樹脂の溶解度パラメータをSP1(cal/cm3)1/2とし、前記ポリエステル樹脂の溶解度パラメータをSP2(cal/cm3)1/2としたとき、前記SP1及び前記SP2が下記関係式(1)を満たし、前記SP1が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする光輝性トナー。
SP2 - SP1 > 0.3 ・・・(1)
10 < SP1 ・・・(2)
(2)前記表面を樹脂で被覆した扁平状金属系メタリック顔料の溶解度パラメータをSPpig(cal/cm3)1/2としたとき、前記SP2及び前記SPpigが下記関係式(3)を満たす、上記(1)に記載の光輝性トナー。
SP2 < SPpig < 13 ・・・(3)
(3)前記SP2及び前記SPpigが下記関係式(4)を満たす、上記(2)に記載の光輝性トナー。
SP2 < SPpig < 12 ・・・(4)
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の光輝性トナーを収容したことを特徴とするトナー収容ユニット。
(5)上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の光輝性トナーと、キャリアと、を有することを特徴とする現像剤。
(6)上記(5)に記載の現像剤を収容したことを特徴とする現像剤収容ユニット。
(7)静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を含み、
前記トナーが、上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の光輝性トナーであることを特徴とする画像形成装置。
(8)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程と、を含み、
前記トナーが、上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の光輝性トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0192】
前記(1)乃至(3)に記載の光輝性トナー、前記(4)に記載のトナー収容ユニット、前記(5)に記載の現像剤、前記(6)に記載の現像剤収容ユニット、前記(7)に記載の画像形成装置、前記(8)に記載の画像形成方法、によれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。