(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088493
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】検出システム、検出方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230620BHJP
B05C 11/08 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/30 569C
B05C11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203264
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】牧 準之輔
【テーマコード(参考)】
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
4F042AA07
4F042AB00
4F042DH09
4F042EB05
4F042EB09
4F042EB18
4F042EB21
5F146JA04
5F146LA01
(57)【要約】
【課題】基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する撮像デバイス等の状態検出部が設けられた検出用基板をより有効的に活用できるようにする。
【解決手段】基板を処理する基板処理装置を備え、前記基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する検出システムであって、前記構造物の状態を検出する状態検出部が設けられた検出用基板と、処理対象の基板及び前記検出用基板それぞれを前記基板処理装置の前記処理空間に対して搬入出するように構成された搬送装置と、制御装置と、を備え、前記検出用基板は、基板表面内の互いに交わる二方向それぞれについて加速度を検出する加速度検出部がさらに設けられ、前記制御装置は、前記処理空間に対する前記検出用基板の搬入出時に当該検出用基板が搬入出方向に移動したときの、前記加速度検出部による検出結果に基づいて、前記処理空間内における前記検出用基板上の前記状態検出部の向きを推定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置を備え、前記基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する検出システムであって、
前記構造物の状態を検出する状態検出部が設けられた検出用基板と、
処理対象の基板及び前記検出用基板それぞれを前記基板処理装置の前記処理空間に対して搬入出するように構成された搬送装置と、
制御装置と、を備え、
前記検出用基板は、基板表面内の互いに交わる二方向それぞれについて加速度を検出する加速度検出部がさらに設けられ、
前記制御装置は、前記処理空間に対する前記検出用基板の搬入出時に当該検出用基板が搬入出方向に移動したときの、前記加速度検出部による検出結果に基づいて、前記処理空間内における前記検出用基板上の前記状態検出部の向きを推定する、検出システム。
【請求項2】
前記搬入出方向への移動時の加速度の履歴が取り得るパターンが予め分類されており、
前記制御装置は、前記加速度検出部により検出された加速度の履歴が前記パターンのいずれに該当するか、前記互いに交わる方向それぞれについて判定し、判定結果に基づき、前記向きを推定する、請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記搬入出方向への移動時前半の加速度と前記搬入出方向への移動時後半の加速度との大小関係に基づき、前記加速度検出部により検出された加速度の履歴が前記パターンのいずれに該当するかを判定する、請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記検出用基板は、前記加速度検出部が2つ設けられ、
2つの前記加速度検出部はそれぞれ、互いに異なる方向にかかる加速度を測定し、
前記制御装置は、一の前記加速度検出部による検出結果に基づいて推定された前記向きの範囲と、他の前記加速度検出部による検出結果に基づいて推定された前記向きの範囲とで重なる範囲を、前記向きの範囲として新たに推定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記互いに交わる二方向は、第1方向と第2方向であり、
前記第1方向にかかる加速度及び前記第2方向にかかる加速度それぞれを軸とする平面を加速度平面としたとき、
前記制御装置は、前記加速度平面における、前記移動時前半の前記第1方向にかかる加速度と前記移動時前半の前記第2方向にかかる加速度とにより表される点の位置、または、前記移動時後半の前記第1方向にかかる加速度と前記移動時後半の前記第2方向にかかる加速度とにより表される点の位置の少なくともいずれか一方に基づいて、前記向きを推定する、請求項1に記載の検出システム。
【請求項6】
前記検出用基板を回転させる回転機構をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記向きの推定結果に基づいて、前記検出用基板を回転させ、前記状態検出部による検出対象の前記構造物に対応する向きになるよう、前記向きを補正する、請求項6に記載の検出システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記向きが、前記状態検出部による検出対象の前記構造物に対応する向きとされた後、前記状態検出部による検出範囲内に前記検出対象の前記構造物が収まるまで前記検出用基板を段階的に回転させ、前記検出範囲内に前記検出対象の前記構造物が収まったときの前記状態検出部からの出力に基づいて、前記検出対象の前記構造物の状態を検出する、請求項6または7に記載の検出システム。
【請求項9】
基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する検出方法であって、
前記構造物の状態を検出する状態検出部と、基板表面内の互いに交わる二方向それぞれについて加速度を検出する加速度検出部と、が設けられた検出用基板を、前記処理空間内に対し搬入出する工程と、
前記搬入出する工程時に前記検出用基板が搬入出方向に移動したときの、前記加速度検出部による検出結果に基づいて、前記処理空間内における前記検出用基板上の前記状態検出部の向きを推定する工程と、を含む検出方法。
【請求項10】
前記搬入出方向への移動時の加速度の履歴が取り得るパターンが予め分類されており、
前記向きを推定する工程は、前記加速度検出部により検出された加速度の履歴が前記パターンのいずれに該当するか、前記互いに交わる方向それぞれについて判定し、判定結果に基づき、前記向きを推定する、請求項9に記載の検出方法。
【請求項11】
前記向きを推定する工程は、前記搬入出方向への移動時前半の加速度と前記搬入出方向への移動時後半の加速度との大小関係に基づき、前記加速度検出部により検出された加速度の履歴が前記パターンのいずれに該当するかを判定する、請求項10に記載の検出方法。
【請求項12】
前記検出用基板は、前記加速度検出部が2つ設けられ、
2つの前記加速度検出部はそれぞれ、互いに異なる方向にかかる加速度を測定し、
前記向きを推定する工程は、前記向きの範囲を推定する工程を含み、
前記向きの範囲を推定する工程は、一の前記加速度検出部による検出結果に基づいて推定された前記向きの範囲と、他の前記加速度検出部による検出結果に基づいて推定された前記向きの範囲とで重なる範囲を、前記向きの範囲として新たに推定する、請求項9~11のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項13】
前記互いに交わる二方向は、第1方向と第2方向であり、
前記第1方向にかかる加速度及び前記第2方向にかかる加速度それぞれを軸とする平面を加速度平面としたとき、
前記向きを推定する工程は、前記加速度平面における、前記移動時前半の前記第1方向にかかる加速度と前記移動時前半の前記第2方向にかかる加速度とにより表される点の位置、または、前記移動時後半の前記第1方向にかかる加速度と前記移動時後半の前記第2方向にかかる加速度とにより表される点の位置の少なくともいずれか一方に基づいて、前記向きを推定する、請求項9に記載の検出方法。
【請求項14】
前記向きの推定結果に基づいて、前記検出用基板を回転させ、前記状態検出部による検出対象の前記構造物に対応する向きになるよう、前記向きを補正する工程をさらに含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項15】
前記向きが、前記状態検出部による検出対象の前記構造物に対応する向きとされた後、前記状態検出部による検出範囲内に前記検出対象の前記構造物が収まるまで前記検出用基板を段階的に回転させ、前記検出範囲内に前記検出対象の前記構造物が収まったときの前記状態検出部からの出力に基づいて、前記検出対象の前記構造物の状態を検出する工程をさらに含む、請求項9~14のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項16】
請求項9~15のいずれか1項に記載の検出方法を検出システムに実行させるために、前記検出方法を制御する制御装置のコンピュータ上で動作するプログラムを記憶した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出システム、検出方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の装置は、基板搬送ロボットの搬送アームに基板のかわりに所定の治具を保持させる。この状態で、ノズルが吐出位置に移動され、ノズルと治具とが所定の相対的位置関係になるまで近接する。そして、当該近接状態において基板搬送ロボットがX方向とY方向とに動作され、治具がX方向とY方向とに移動する。この移動に伴って、治具に付設した投光部からの光がノズルによって遮光される位置があるため、治具に付設した受光部から得られる出力に基づいて演算が行われ、ノズル位置が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する撮像デバイス等の状態検出部が設けられた検出用基板をより有効的に活用できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を処理する基板処理装置を備え、前記基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する検出システムであって、前記構造物の状態を検出する状態検出部が設けられた検出用基板と、処理対象の基板及び前記検出用基板それぞれを前記基板処理装置の前記処理空間に対して搬入出するように構成された搬送装置と、制御装置と、を備え、前記検出用基板は、基板表面内の互いに交わる二方向それぞれについて加速度を検出する加速度検出部がさらに設けられ、前記制御装置は、前記処理空間に対する前記検出用基板の搬入出時に当該検出用基板が搬入出方向に移動したときの、前記加速度検出部による検出結果に基づいて、前記処理空間内における前記検出用基板上の前記状態検出部の向きを推定する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する撮像デバイス等の状態検出部が設けられた検出用基板の利便性をより友好的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ウェハ処理システムの内部構成の概略を示す説明図である。
【
図2】ウェハ処理システムの正面側の内部構成の概略を模式的に示す図である。
【
図3】ウェハ処理システムの背面側の内部構成の概略を模式的に示す図である。
【
図4】レジスト塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【
図5】レジスト塗布装置の構成の概略を示す横断面図である。
【
図6】検出用ウェハの一例の概略を示す平面図である。
【
図7】処理空間内における検出用ウェハ上のカメラの向きの推定原理を説明するための図である。
【
図8】処理空間内における検出用ウェハ上のカメラの向きの推定原理を説明するための図である。
【
図9】処理空間内における検出用ウェハ上のカメラの向きの推定原理を説明するための図である。
【
図10】検出用ウェハの搬入時の加速度の履歴が取り得るパターンの例を示す図である。
【
図11】処理空間内でのカメラの向きの推定に用いられるテーブルの一例を示す図である。
【
図12】溶剤吐出ノズルの高さの検出処理時の当該溶剤吐出ノズルと検出用ウェハとの位置関係の例を示す図である。
【
図13】ステップS4の検出工程の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】加速度の検出結果に基づく処理空間内におけるカメラの向きの推定方法の、他の例を説明するための図である。
【
図15】加速度の検出結果に基づく処理空間内におけるカメラの向きの推定方法の、他の例を説明するための図である。
【
図16】加速度の検出結果に基づく処理空間内におけるカメラの向きの推定方法の、他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板上にレジストパターンを形成するため所定の処理が行われる。上記所定の処理とは、例えば、基板上にレジスト液を供給しレジストの被膜を形成するレジスト塗布処理等である。また、レジスト膜が形成された基板の周縁部の上方に配置された溶剤吐出ノズルから溶剤を供給して、基板周縁部のレジスト膜を除去する処理(EBR(Edge Bead Removal)処理)が行われる場合もある。レジスト塗布処理やEBR処理等の所定の処理は、基板処理装置により行われる。
【0009】
ところで、所望のEBR処理結果を得るためには、EBR処理を行う基板処理装置の処理空間内において、溶剤吐出ノズルの基板表面に対する高さ(以下、「溶剤吐出ノズルの高さ」と省略することがある。)を適切にしておく必要がある。そのため、装置立ち上げ時やメンテナンス時に、溶剤吐出ノズルの高さを測定または検出することが行われている。
【0010】
また、溶剤吐出ノズルの高さを検出するための撮像デバイスが設けられた検出用基板を、基板搬送装置で基板処理装置の処理空間内に搬入して、この検出用基板上の撮像デバイスで溶剤吐出ノズルを撮像し、その撮像結果に基づいて、溶剤吐出ノズルの高さを検出することが考えられている。
【0011】
しかし、基板搬送装置により基板処理装置の処理空間内に搬入された時の、検出用基板上の撮像デバイスの向きは一定ではない。そのため、検出用基板の周縁部の上方に配置された溶剤吐出ノズルが検出用基板上の撮像デバイスの画角内に入るよう、撮像前に検出用基板を処理空間内で回転させる必要がある場合がある。この場合、処理空間内に搬入された時の撮像デバイスの向きによっては、検出用基板を略一回転させることがある。また、検出用基板を回転させる場合、検出用基板の周縁部表面に、高さがある部材を設けると、当該高さがある部材と、検出用基板の周縁部の上方に配置された溶剤吐出ノズルとが干渉するおそれがある。そのため、上述のように撮像デバイスの向きによっては検出用基板を略一回転させることがある場合、検出用基板の周縁部には、高さがある部材を全く設けることができない。
溶剤吐出ノズルの高さを検出するための撮像デバイス以外の、処理空間内の構造物の状態を検出するための状態検出部が設けられた検出用基板についても同様である。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、基板処理装置の処理空間内の構造物の状態を検出する撮像デバイス等の状態検出部が設けられた検出用基板の利便性を向上させる。
【0013】
以下、本実施形態にかかる検出システム及び検出方法を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<ウェハ処理システム>
図1は、検出システムとしてのウェハ処理システム1の内部構成の概略を示す説明図である。
図2及び
図3は、各々ウェハ処理システム1の正面側及び背面側の内部構成の概略を模式的に示す図である。なお、以下の例において、ウェハ処理システム1は、ウェハWに対して塗布現像処理を行う塗布現像処理システムである
【0015】
ウェハ処理システム1は、
図1に示すように、複数枚の基板としてのウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション10と、ウェハWに所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション11と、を有する。そして、ウェハ処理システム1は、カセットステーション10と、処理ステーション11と、処理ステーション11に隣接する露光装置12との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13と、を一体に接続した構成を有している。
【0016】
カセットステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、ウェハ処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置するカセット載置板21が複数設けられている。また、一実施形態において、いずれかのカセットCには、ウェハW以外に、後述の検出用ウェハWjも収容されている。
【0017】
カセットステーション10には、図のA方向に延びる搬送路22上を移動自在なウェハ搬送装置23が設けられている。ウェハ搬送装置23は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板21上のカセットCと、後述する処理ステーション11の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハW及び検出用ウェハWjを搬送できる。
【0018】
処理ステーション11には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション11の正面側(
図1のA方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション11の背面側(
図1のA方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション11のカセットステーション10側(
図1のB方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション11のインターフェイスステーション13側(
図1のB方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0019】
第1のブロックG1には、
図2に示すように複数の液処理装置、例えば現像処理装置30、レジスト塗布装置31が下からこの順に配置されている。現像処理装置30は、ウェハWを現像処理するものであり、レジスト塗布装置31は、ウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するものである。
【0020】
例えば現像処理装置30、レジスト塗布装置31はそれぞれ、上下方向と水平方向に並べて設けられている。なお、これら現像処理装置30、レジスト塗布装置31の数や配置は、任意に選択できる。
【0021】
これら現像処理装置30、レジスト塗布装置31では、例えばスピン塗布法により、ウェハW上に所定の処理液が供給される。スピン塗布法では、例えば吐出ノズルからウェハW上に処理液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、処理液をウェハWの表面に拡散させる。
【0022】
第2のブロックG2には、
図3に示すようにウェハWの加熱や冷却といった熱処理を行う熱処理装置40や、レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのアドヒージョン装置41が設けられている。これら熱処理装置40、アドヒージョン装置41は、上下方向と水平方向に並べて設けられており、その数や配置は、任意に選択できる。
【0023】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50、51、52、53、54、55が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60、61、62が下から順に設けられている。
【0024】
図1に示すように第1のブロックG1~第4のブロックG4に囲まれた領域には、基板搬送領域としてのウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、搬送装置としてのウェハ搬送装置70が配置されている。
【0025】
ウェハ搬送装置70は、例えばA方向、B方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有している。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハW及び検出用ウェハWjを搬送できる。ウェハ搬送装置70は、例えば
図3に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1~G4の同程度の高さの所定の装置にウェハW及び検出用ウェハWjを搬送できる。
【0026】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
【0027】
シャトル搬送装置80は、例えば
図3のB方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でB方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置52と第4のブロックG4の受け渡し装置62との間でウェハWを搬送できる。
【0028】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置90が設けられている。ウェハ搬送装置90は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム90aを有している。ウェハ搬送装置90は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0029】
インターフェイスステーション13には、ウェハ搬送装置95と受け渡し装置96が設けられている。ウェハ搬送装置95は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム95aを有している。ウェハ搬送装置95は、例えば搬送アーム95aにウェハW及び検出用ウェハWjを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置、受け渡し装置96及び露光装置12との間でウェハW及び検出用ウェハWjを搬送できる。
【0030】
以上のウェハ処理システム1には、
図1に示すように制御装置Uが設けられている。制御装置Uは、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成され、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1におけるウェハ処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、後述の、検出用ウェハWjを用いた検出結果に基づいて、レジスト塗布装置31等の処理装置の処理空間内に位置する構造物の状態を検出するプログラムが格納されている。すなわち、プログラム格納部には、検出用ウェハWjを用いた検出処理をウェハ処理システム1に実行させるために、上記ウェハ処理システム1を制御する制御装置Uのコンピュータ上で動作するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Mに記録されていたものであって、当該記憶媒体Mから制御装置Uにインストールされたものであってもよい。記憶媒体Mは、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0031】
<レジスト塗布装置31>
次に、上述した塗布装置31の構成について説明する。
図4及び
図5はそれぞれ、レジスト塗布装置31の構成の概略を示す縦断面図及び横断面図である。
レジスト塗布装置31は、
図4及び
図5に示すように、内部に処理空間100sを有し且つ内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送装置70側の側面には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0032】
処理容器100内の中央部には、基板保持部としてのスピンチャック110が設けられている。スピンチャック110は、ウェハWを保持するものであり、回転自在に構成されている。また、スピンチャック110は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック110上に吸着保持できる。このスピンチャック110は、検出用ウェハWjを吸着保持した状態で回転することもできる。
【0033】
スピンチャック110の下方には、回転機構としてのチャック駆動部111が設けられている。チャック駆動部111は、例えばモータ等を備えており、スピンチャック110を所望の速度で回転させることができ、これにより、スピンチャック110に保持されたウェハWを所望の速度で回転させることができる。また、チャック駆動部111には、例えばシリンダ等の昇降駆動源が設けられており、これによりスピンチャック110が昇降自在になっている。
【0034】
スピンチャック110の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ112が設けられている。カップ112の下面には、回収した液体を排出する排出管113と、カップ112内の雰囲気を真空引きして排気する排気管114が接続されている。
【0035】
図5に示すようにカップ112のA方向負方向(
図5中の下方向)側には、B方向(
図5中の左右方向)に沿って延伸するレール120、121が形成されている。レール120、121は、例えばカップ112のB方向負方向(
図5中の左方向)側の外方からB方向正方向(
図5中の右方向)側の外方まで形成されている。レール120、121にはそれぞれ、第1のアーム122、第2のアーム123が取り付けられている。
【0036】
第1のアーム122には、
図4及び
図5に示すように、レジスト液を吐出してウェハW上に供給するレジスト吐出ノズル124が支持されている。
第1のアーム122は、
図5に示すノズル駆動部125により、レール120上を移動自在である。これにより、レジスト吐出ノズル124は、カップ112のY方向正方向側の外方に設置された待機部126からカップ112内のウェハWの中心部上方まで移動できる。また、第1のアーム122は、ノズル駆動部125によって昇降自在であり、レジスト吐出ノズル124の高さを調節できる。
【0037】
レジスト吐出ノズル124には、レジスト液の供給源(図示せず)が接続されている。また、レジスト吐出ノズル124と上記レジスト液の供給源との間の供給管(図示せず)には、レジスト液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群が設けられている。
【0038】
第2のアーム123には、
図4及び
図5に示すように、溶剤吐出ノズル127が支持されている。溶剤吐出ノズル127は、構造物の一例であり、ウェハWの表面上に形成されたレジスト膜の周縁部を除去する除去液として、レジスト膜の溶剤を吐出してウェハW上に供給する。
第2のアーム123は、ノズル駆動部128により、レール121上を移動自在である。これにより、溶剤吐出ノズル127は、カップ112のY方向負方向側の外方に設置された待機部129からカップ112内のウェハWの周縁領域上方まで移動できる。また、第2のアーム123は、ノズル駆動部128によって昇降自在であり、溶剤吐出ノズル127の高さを調節できる。
【0039】
溶剤吐出ノズル127には、溶剤の供給源(図示せず)が接続されている。また、溶剤吐出ノズル127と上記溶剤の供給源との間の供給管(図示せず)には、溶剤の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群が設けられている。
【0040】
<検出用ウェハ>
上述のようなレジスト塗布装置31を備えるウェハ処理システム1では、装置立ち上げ時やメンテナンス時に、スピンチャック110に保持されたウェハWを基準とした溶剤吐出ノズル127の高さ(以下、「溶剤吐出ノズル127の高さ」と省略する。)が検出される。本実施形態において、溶剤吐出ノズル127の高さの検出には、検出用基板としての検出用ウェハWjが用いられる。
【0041】
図6は、検出用ウェハWjの一例の概略を示す側面図及び平面図である。
検出用ウェハWjは、ウェハWと同形状に形成された本体200を有する。検出用ウェハWjの表面(具体的には本体200の上面)には、カメラ210と加速度センサ220とが設けられている。
【0042】
カメラ210は、状態検出部の一例且つ撮像部の一例であり、溶剤吐出ノズル127の高さを検出するためのものであり、溶剤吐出ノズル127等を撮像する。
【0043】
加速度センサ220は、加速度検出部の一例であり、検出用ウェハWjの表面内の互いに交わる二方向である第1方向及び第2方向それぞれについて、加速度を検出する。本実施形態において、第1及び第2方向はそれぞれ、互いに直交する
図6のX方向及びY方向である。
【0044】
また、本実施形態において、カメラ210は、検出用ウェハWjの平面視における中心すなわち本体200の平面視における中心を通り図のX方向に平行な直線上であって、X方向正側に設けられている。また、カメラ210は、溶剤吐出ノズル127が検出用ウェハWjの周縁部の上方に位置するときに溶剤吐出ノズル127と干渉しないウェハ中央寄りの位置に設けられている。
【0045】
さらに、検出用ウェハWjは、本体200の周縁部の上面に、溶剤吐出ノズル127の高さより高い部材230を設けてもよい。上記高い部材230は、例えば、溶剤吐出ノズル127以外の処理空間100s内の構造物の状態を検出する他の検出部である。
【0046】
また、検出用ウェハWjは、電源(図示せず)や制御部(図示せず)を有する。検出用ウェハWjの制御部は、プロセッサ及び記憶手段を有し、記憶手段に記憶されたプログラムを実行して、カメラ210による撮像結果や加速度センサ220による検出結果が無線通信等により制御装置Uに送信されるよう制御する。
【0047】
<検出用ウェハWj上のカメラ210の向きの推定原理>
本実施形態では、検出用ウェハWjを用いた溶剤吐出ノズル127の高さの検出の際、ウェハ搬送装置70により、検出用ウェハWjが
図7に示すように処理容器100内すなわち処理空間100s内に搬入される。そして、溶剤吐出ノズル127の高さの検出に先立って、搬入後の処理空間100s内における検出用ウェハWj上のカメラ210の向きが推定される。
【0048】
以下では、まず、本実施形態での、処理空間100s内における検出用ウェハWj上のカメラ210の向き(すなわち周方向にかかるカメラの位置)の推定原理について
図8及び
図9を用いて説明する。なお、本実施形態において、「周方向」とは、スピンチャック110の回転中心を中心とした周方向を意味する。
【0049】
検出用ウェハWjは、上述のように、溶剤吐出ノズル127の高さの検出の際、ウェハ搬送装置70により、処理空間100s内に搬入される。このとき、検出用ウェハWjは、処理空間100s外の所定の位置から処理空間100s内のスピンチャック110の直上の位置まで直線的に移動する。また、このとき、検出用ウェハWjの速度履歴は、複雑なものではなく、例えば、速度が零から徐々に大きくなり、所定の値に到達した後は、徐々に小さくなり零に戻るような履歴である。
【0050】
そのため、ウェハ搬送装置70により搬入出方向(具体的には搬入方向)に移動しているときの検出用ウェハWjの向き(以下、「搬送時の検出用ウェハWjの向き」という。)と、加速度センサ220による検出結果との間には、
図8及び
図9に示すように相関が生じる。
【0051】
一部を抜粋して説明すると、例えば、
図8の左側に示すように、搬送時の検出用ウェハWjの向きが、搬入方向とX方向正方向が一致する向きの場合、搬送中に加速度センサ220により検出されるX方向の加速度は、次第に増加していった後、減少に転じ、その後、再び上昇する。一方、加速度センサ220により検出されるY方向の加速度は、搬送中、常に零である。
また、
図9の中央右側に示すように、搬送時の検出用ウェハWjの向きが、搬入方向とY方向正方向が一致する向きの場合、搬送中に加速度センサ220により検出されるY方向の加速度は、次第に増加していった後、減少に転じ、その後、再び上昇する。一方、加速度センサ220により検出されるX方向の加速度は、搬送中、常に零である。
さらに、
図8の右側に示すように、搬送時の検出用ウェハWjの向きが、X方向正方向が搬入方向と135°を成す向きの場合、搬送中に加速度センサ220により検出されるX方向の加速度は、次第に減少していった後、増加に転じ、その後、再び減少する。搬送中に加速度センサ220により検出されるY方向の加速度についても同様である。
また、
図9の右側に示すように、搬送時の検出用ウェハWjの向きが、X方向正方向が搬入方向と315°を成す向きの場合、搬送中に加速度センサ220により検出されるX方向の加速度は、次第に増加していった後、減少に転じ、その後、再び増加する。搬送中に加速度センサ220により検出されるY方向の加速度についても同様である。
【0052】
そして、搬送時の検出用ウェハWjの向きと、搬入後の処理空間100s内における検出用ウェハWj上のカメラ210の向き(以下、「処理空間100s内でのカメラ210の向き」という。)とは一定の関係にある。
そこで、本実施形態では、制御装置Uが、処理空間100sに対する検出用ウェハWjの搬入時に当該検出用ウェハWjが搬入方向に移動したときの、加速度センサ220による検出結果に基づいて、処理空間100s内でのカメラ210の向きを推定する。具体的な推定方法については後述する。
【0053】
<溶剤吐出ノズル127の高さの検出>
続いて、ウェハ処理システム1における、検出用ウェハWjを用いた溶剤吐出ノズル127の高さの検出処理の一例について、
図10~
図13を用いて説明する。
図10は、検出用ウェハWjの搬入時の加速度の履歴が取り得るパターンの例を示す図である。
図11は、処理空間100s内でのカメラ210の向きの推定に用いられるテーブルの一例を示す図である。
図12は、溶剤吐出ノズル127の高さの検出処理時の当該溶剤吐出ノズル127と検出用ウェハWjとの位置関係の例を示す図である。
図13は、後述のステップS4の検出工程の一例を説明するためのフローチャートである。
【0054】
(ステップS1:搬入及び加速度の検出)
まず、制御装置Uの制御の下、検出用ウェハWjが、ウェハ搬送装置70によって、レジスト塗布装置31の処理空間100s内に搬入されると共に、搬入時の検出用ウェハWjの加速度が加速度センサ220によって検出される。
【0055】
具体的には、まず、検出用ウェハWjが、制御装置Uの制御の下、カセット載置台20上のカセットCから取り出され、ウェハ搬送装置70の搬送アーム70aに保持される。その後、制御装置Uの制御の下、搬送アーム70aに保持された検出用ウェハWjが、レジスト塗布装置31の外側の所定の位置から、当該レジスト塗布装置31の処理空間100s内のスピンチャック110の直上の位置まで、搬入方向に沿って、直線的に移動する。次いで、制御装置Uの制御の下、検出用ウェハWjが搬送アーム70aからスピンチャック110に受け渡される。受け渡し後、搬送アーム70aは、レジスト塗布装置31から抜き出される。
【0056】
また、上述の搬入方向への直線的な移動の際、検出用ウェハWj上の加速度センサ220によって、検出用ウェハWjのX方向及びY方向それぞれの加速度が検出される。加速度の検出結果は、無線通信により制御装置Uに送信される。
【0057】
(ステップS2:処理空間100s内でのカメラ210の向きの推定)
続いて、制御装置Uが、ステップS1での加速度の検出結果に基づいて、処理空間100s内でのカメラ210の向きを推定する。
【0058】
具体的には、搬入方向への直線的な移動時の加速度の履歴が取り得るパターンを予め分類し、その分類のための情報(以下、「分類情報」という。)を記憶部(図示せず)に記憶させておく。そして、制御装置Uが、分類情報に基づき、加速度センサ220により検出された加速度の履歴が上記パターンのいずれに該当するか、X方向及びY方向それぞれについて判定し、判定結果に基づき、処理空間100s内でのカメラ210の向きを推定する。
すなわち、制御装置Uが、搬入出方向への移動時の加速度の履歴が取り得る、予め分類されたパターンのいずれに、加速度センサ220により検出された加速度の履歴が該当するか、X方向及びY方向それぞれについて判定し、判定結果に基づき、処理空間100s内でのカメラ210の向きを推定する。
【0059】
また、制御装置Uは、例えば、搬入方向への直線的な移動時前半の加速度と搬入方向への直線的な移動時後半の加速度との大小関係に基づき、加速度センサ220により検出された加速度の履歴が上記パターンのいずれに該当するかを判定する。
【0060】
以下、より具体的に説明する。ここで、上記移動時前半の加速度の履歴を示す指数Aと上記移動時後半の加速度の履歴を示す指数Bを以下のように定義する。
A=αf-αt
B=αb-αt
αf:上記移動時前半の加速度の平均
αb:上記移動時後半の加速度の平均
αt:搬入方向への直線的な移動中全体の平均
【0061】
制御装置Uは、指数Aと指数Bに基づき、加速度センサ220により検出された加速度の履歴が以下のパターン(1)~(3)のいずれに該当するかを判定する。なお、A-Bの絶対値が所定の値以下であるときは、下記パターン(2)に該当すると判定される。
(1)(
図10の中央に示すような)A>Bのパターン
(2)(
図10の上部に示すような)A≒Bのパターン
(3)(
図10の下部に示すような)A<Bのパターン
【0062】
そして、制御装置Uは、例えば、上記パターンにかかる判定結果と、
図11のテーブルTに基づいて、処理空間100s内でのカメラ210の向き(具体的には、処理空間100s内でのカメラ210の向きの範囲)を推定する。テーブルTは、X方向の加速度の履歴のパターンと、Y方向の加速度の履歴のパターンと、処理空間100s内でのカメラ210の向きとの対応関係を示す情報の一例である。
【0063】
例えば、X方向について検出された加速度の履歴がA>Bのパターン(1)であり、Y方向について検出された加速度の履歴がA≒Bのパターン(2)である場合、制御装置Uは、
図11のテーブルTに基づいて、処理空間100s内でのカメラ210の向きの範囲を、0°±45°と推定する。
【0064】
なお、加速度センサ220により検出された加速度の履歴のパターンとして、上述のパターン(1)、(2)、(3)の組み合わせに代えて、以下のパターン(1a)、(2a)、(3a)の組み合わせまたはパターン(1b)、(2b)、(3b)の組み合わせを用いてもよい。
【0065】
(1a)(
図10の中央に示すような)A>閾値Thのパターン
(2a)(
図10の上部に示すような)A≒閾値Thのパターン
(3a)(
図10の下部に示すような)A<閾値Thのパターン
【0066】
(1b)(
図10の中央に示すような)B<閾値Thのパターン
(2b)(
図10の上部に示すような)B≒閾値Thのパターン
(3b)(
図10の下部に示すような)B>閾値Thのパターン
【0067】
この場合、制御装置Uは、加速度センサ220により検出された加速度の履歴が、パターン(1a)、(2a)、(3a)のいずれに該当するかの判定や、パターン(1b)、(2b)、(3b)のいずれに該当するかの判定を行う。そして、制御装置Uは、判定結果と、
図11のテーブルと同様なテーブルに基づいて、処理空間100s内でのカメラ210の向きを推定する。
【0068】
(ステップS3:処理空間100s内でのカメラ210の向きの補正)
処理空間100s内でのカメラ210の向きの推定後、制御装置Uは、推定結果と、処理空間100s内における溶剤吐出ノズル127の周方向位置の情報と、に基づいて、検出用ウェハWjを保持したスピンチャック110を回転させ、上記カメラ210の向きを溶剤吐出ノズル127に対応する向きに補正する。
制御装置Uは、例えば、
図12(A)に示すように、検出用ウェハWjにおける上記カメラ210の向きの範囲Rの最大値に該当する部分が、溶剤吐出ノズル127と対向するよう、上記カメラ210の向きを補正する。
なお、制御装置Uが、検出用ウェハWjにおける上記カメラ210の向きの範囲Rの最小値に該当する部分が、溶剤吐出ノズル127と対向するよう、上記カメラ210の向きを補正してもよい。
【0069】
また、上記カメラ210の向きの補正は、
図12(A)に示すように、溶剤吐出ノズル127が平面視で検出用ウェハWjと重なる領域から退避された状態で行われる。補正の際に、溶剤吐出ノズル127と前述の高い部材230とが干渉するのを避けるためである。
【0070】
(ステップS4:溶剤吐出ノズル127の高さの検出)
次いで、
図12(B)に示すように、制御装置Uの制御の下、溶剤吐出ノズル127が検出用ウェハWjと重なる領域まで移動された後、当該溶剤吐出ノズル127の高さが検出される。
【0071】
ステップS4では、具体的には、まず、
図13に示すように、制御装置Uの制御の下、カメラ210による撮像が行われる(ステップS4a)。撮像結果は、制御装置Uに出力される。
【0072】
次いで、制御装置Uが、カメラ210による検出範囲内に溶剤吐出ノズル127が収まっているか否か、すなわち、カメラ210により撮像された画像内に溶剤吐出ノズル127が収まっているか否かを判定する(ステップS4b)。
【0073】
収まっていない場合(NOの場合)は、制御装置Uの制御の下、スピンチャック110に保持された検出用ウェハWjが所定の角度(例えば10°)回転される(ステップS4c)。その後、ステップS4aに戻り、再度、制御装置Uの制御の下、カメラによる撮像が行われる。
つまり、カメラ210による検出範囲内に溶剤吐出ノズル127が収まるまで、段階的に検出用ウェハWjが回転される。
【0074】
そして、ステップS4bの判定の結果、カメラ210による検出範囲内すなわちカメラにより撮像された画像内に溶剤吐出ノズル127が収まっている場合(YESの場合)、制御装置Uは、カメラ210による撮像結果に基づき、溶剤吐出ノズル127の高さを検出する(ステップS4c)。
【0075】
<加速度の検出タイミングの他の例>
以上では、検出用ウェハWjを処理空間100s内に搬入する時に、加速度センサ220により加速度を検出し、その検出結果を、処理空間100s内でのカメラ210の向きの推定に用いていた。これに代えて、検出用ウェハWjを、処理空間100s内に搬入した後、処理空間100sから搬出し、再び処理空間100s内に戻すものとし、搬出の際の、検出用ウェハWjの搬入出方向にかかる直線的な移動時の加速度を、加速度センサ220により検出し、その検出結果を上記カメラ210の向きの推定に用いてもよい。
【0076】
<本実施形態の主な効果>
以上のように、本実施形態では、溶剤吐出ノズル127の高さの検出に用いるカメラ210が設けられた検出用ウェハWjに、加速度センサ220が設けられている。そして、本実施形態では、処理空間100sに対する検出用ウェハWjの搬入出時に当該検出用ウェハWjが搬入出方向に直線的に移動したときの、加速度センサ220による検出結果に基づいて、処理空間100s内でのカメラ210の向きを推定する。そのため、本実施形態によれば、処理空間100s内でのカメラ210の向きを、推定結果に基づいて、溶剤吐出ノズル127の高さの検出の前に補正することができる。その結果、溶剤吐出ノズル127の位置に対するカメラ210の向きを調整するために検出用ウェハWjを回転させる量を、抑えることができる。したがって、前述のような高い部材230を設けても、検出用ウェハWjの周縁部上方に配置された溶剤吐出ノズル127と干渉することがない。よって、本実施形態によれば、検出用ウェハWjをより有効的に活用することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、異なるレジスト塗布装置31間で、検出用ウェハWjを共通にすることができる。そのため、処理空間100s内でのカメラ210の向きを検出するためのユニットを、レジスト塗布装置31毎に、処理空間100s内に設ける必要がない。したがって、ウェハ処理システム1全体のコストの増加を抑制することができる。
【0078】
<加速度の検出結果に基づく処理空間100s内でのカメラ210の向きの推定方法の他の例1>
以上の例では、検出用ウェハWjに加速度センサ220を1つ設けていたが、この加速度センサ220に加えて、
図14に示すように、当該加速度センサ220とは異なる方向にかかる加速度を検出する加速度センサ220Aを検出用ウェハWjに設けてもよい。加速度センサ220Aは、例えば、X方向に対し+22.5°の角度を成すXa方向にかかる加速度と、Y方向に対し+22.5°の角度を成すYa方向にかかる加速度と、を検出する。
【0079】
この場合、制御装置Uは、
図15に示すように、加速度センサ220による検出結果に基づいて推定された上記カメラ210の向きの範囲Rと、加速度センサ220Aによる検出結果に基づいて推定された上記カメラ210の向きの範囲RAと、で重なる範囲を、新たに上記カメラ210の向きの範囲RBとして推定する。例えば、1つの加速度センサ220による検出結果に基づいて推定された上記カメラ210の向きの精度は、±45°であるが、上述のように、2つの加速度センサ220、220Aを用いることにより、上記カメラの向きの精度を±25°にすることができる。
【0080】
<加速度の検出結果に基づく処理空間100s内でのカメラ210の向きの推定方法の他の例2>
加速度の検出結果に基づく処理空間100s内でのカメラ210の向きの推定は、以下のようにして行ってもよい。
この推定方法では、
図16に示すように、X方向にかかる加速度αx及びY方向にかかる加速度αyそれぞれを軸とする平面を加速度平面PLとする。
そして、制御装置Uは、加速度平面PLにおける以下の点Cまたは点Dの少なくともいずれか一方に基づいて、処理空間100s内でのカメラ210の向きを推定する。
【0081】
点C(αx1、αy1)
点D(αx2、αy2)
【0082】
αx1は、搬入方向への直線的な移動時前半のX方向にかかる加速度であり、より具体的には、例えば、上記移動時前半のX方向にかかる加速度の履歴を示す前述の指数Aである。
αy1は、上記移動時前半のY方向にかかる加速度であり、より具体的には、例えば、上記移動時前半のY方向にかかる加速度の履歴を示す前述の指数Bである。
αx2は、上記移動時後半のX方向にかかる加速度であり、より具体的には、例えば、上記移動時後半のX方向にかかる加速度の履歴を示す前述の指数Aである。
αy2は、上記移動時後半のY方向にかかる加速度であり、より具体的には、例えば、上記移動時後半のY方向にかかる加速度の履歴を示す前述の指数Bである。
【0083】
そして、制御装置Uは、例えば、加速度平面PLにおいて、原点から点Cに向かうベクトルがαx軸正方向に対し成す角度θを、処理空間100s内でのカメラ210の向きと推定する。
【0084】
<カメラ210による検出対象の他の例>
以上では、カメラ210の撮像結果に基づき、溶剤吐出ノズル127の高さを検出していた。これに加えて、例えば、カメラ210の撮像結果に基づき、カップ112の所定の部分の高さを検出するようにしてもよい。この検出は、例えば、周方向に互いに離間した複数個所(例えば6箇所)について行われる。
なお、カップ112の所定の部分の高さを検出するためのカメラを、カメラ210とは別に、検出用ウェハWjに設けてもよい。
【0085】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 ウェハ処理システム
31 レジスト塗布装置
70 ウェハ搬送装置
127 溶剤吐出ノズル
210 カメラ
220 加速度センサ
220A 加速度センサ
U 制御装置
W ウェハ
Wj 検出用ウェハ