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特開2023-88520プラズマエッチング処理装置及び上部電極
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088520
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】プラズマエッチング処理装置及び上部電極
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230620BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203304
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 一光
(72)【発明者】
【氏名】花岡 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智也
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB05
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD21
2G084DD23
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF15
5F004AA16
5F004BA06
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB28
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA15
5F004DA26
5F004DB01
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004EB01
(57)【要約】
【課題】グローバルチルティングを抑制することができるプラズマエッチング処理装置及び上部電極を提供する。
【解決手段】プラズマエッチング処理装置は、プラズマエッチングチャンバと、プラズマエッチングチャンバ内で基板及びエッジリングを支持するように構成された基板支持部と、基板支持部と対向する上部電極とを備え、上部電極は、第1の厚さのセンター領域と、上部電極の半径方向において、センター領域との接続部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である、第1の厚さ以上である第2の厚さのミドル領域と、半径方向において、ミドル領域との接続部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である、第2の厚さより厚い第3の厚さのエッジ領域と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマエッチングチャンバと、
前記プラズマエッチングチャンバ内で基板及びエッジリングを支持するように構成された基板支持部と、
前記基板支持部と対向する上部電極とを備え、
前記上部電極は、
第1の厚さのセンター領域と、
前記上部電極の半径方向において、前記センター領域との接続部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、前記第1の厚さ以上である第2の厚さのミドル領域と、
前記半径方向において、前記ミドル領域との接続部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、前記第2の厚さより厚い第3の厚さのエッジ領域と、
を有するプラズマエッチング処理装置。
【請求項2】
前記センター領域は、内周部と外周部とを有し、前記内周部の平面部の厚さが前記外周部の平面部の厚さよりも厚く、前記半径方向において、前記内周部の前記平面部と前記外周部の前記平面部との接続部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、
請求項1に記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項3】
前記センター領域は、内周部と外周部とを有し、前記内周部の平面部の厚さが前記外周部の厚さよりも厚く、前記半径方向において、前記外周部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、
請求項1に記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項4】
前記センター領域は、リング状の凸部を備える内周部と、外周部と有し、前記凸部の平面部の厚さが前記外周部の平面部の厚さよりも厚く、前記半径方向において、前記凸部の前記平面部と前記外周部の前記平面部との接続部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、
請求項1に記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項5】
前記センター領域は、リング状の凸部を備える内周部と、外周部と有し、前記凸部の平面部の厚さが前記外周部の厚さよりも厚く、前記半径方向において、前記外周部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、
請求項1に記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項6】
前記エッジ領域の前記第3の厚さは、前記センター領域の最も厚い領域よりも厚い、
請求項2~5のいずれか1つに記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項7】
前記ミドル領域は、前記センター領域との接続部から、前記エッジ領域との接続部までがテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、
請求項1~6のいずれか1つに記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項8】
前記ミドル領域は、厚さの異なる平面部を複数有し、前記平面部間がテーパ形状で接続され、前記テーパ形状の端部が線状である、
請求項1~6のいずれか1つに記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項9】
前記エッジ領域は、内周側の端部が前記エッジリングの内径よりも外側になるように形成される、
請求項1~8のいずれか1つに記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項10】
前記エッジ領域は、前記エッジリングの外径よりも外側になるように形成される、
請求項1~8のいずれか1つに記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項11】
前記エッジ領域は、最外周部に平面部を有する、
請求項9または10に記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項12】
前記上部電極の内部には、前記センター領域、前記ミドル領域及び前記エッジ領域にわたって、プロセスガスの流路が形成される、
請求項1~11のいずれか1つに記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項13】
前記上部電極は、シリコン又は炭化シリコンで形成される、
請求項1~12のいずれか1つに記載のプラズマエッチング処理装置。
【請求項14】
プラズマエッチング処理装置に用いる上部電極であって、
第1の厚さのセンター領域と、
前記上部電極の半径方向において、前記センター領域との接続部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、前記第1の厚さ以上である第2の厚さのミドル領域と、
前記半径方向において、前記ミドル領域との接続部がテーパ形状であり、前記テーパ形状の端部が線状である、前記第2の厚さより厚い第3の厚さのエッジ領域と、
を有する上部電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマエッチング処理装置及び上部電極に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマエッチング処理装置では、基板(以下、ウェハともいう。)を支持する基板支持面においてプラズマシースの厚みが不均一となる場合がある。このため、電界の向きが基板と垂直にならずにイオンの軌道が傾き、エッチングホールが斜めに傾くチルティングが発生する。チルティングは、エッジリングの消耗により、基板のエッジ領域のプラズマシースが変動することで発生することが知られている。この様なチルティングを抑制するために、基板周辺部のインピーダンスを調整するための可動部を設けることが提案されている(特許文献1)。また、エッジリングのポテンシャルを調整するために、バイアス電圧を印加することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-125637号公報
【特許文献2】特開2021-68880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、グローバルチルティングを抑制することができるプラズマエッチング処理装置及び上部電極を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマエッチング処理装置は、プラズマエッチングチャンバと、プラズマエッチングチャンバ内で基板及びエッジリングを支持するように構成された基板支持部と、基板支持部と対向する上部電極とを備え、上部電極は、第1の厚さのセンター領域と、上部電極の半径方向において、センター領域との接続部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である、第1の厚さ以上である第2の厚さのミドル領域と、半径方向において、ミドル領域との接続部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である、第2の厚さより厚い第3の厚さのエッジ領域と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、グローバルチルティングを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態における処理対象の基板の構造の一例を示す図である。
図3図3は、チルティングの一例を示す図である。
図4図4は、グローバルチルティングと改善策の一例を示す図である。
図5図5は、上部電極のテーパ形状によるチルティングへの影響の一例を示す図である。
図6図6は、上部電極のテーパ形状によるチルティングへの影響の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態における上部電極の断面の一例を示す図である。
図8図8は、上部電極のセンター領域の形状のバリエーションの一例を示す図である。
図9図9は、外周部に平面部があるセンター領域の各形状と第1のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。
図10図10は、外周部に平面部がないセンター領域の各形状と第1のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。
図11図11は、外周部に平面部があるセンター領域の各形状と第2のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。
図12図12は、外周部に平面部がないセンター領域の各形状と第2のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。
図13図13は、外周部に平面部があるセンター領域の各形状と第3のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。
図14図14は、外周部に平面部がないセンター領域の各形状と第3のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示するプラズマエッチング処理装置及び上部電極の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
近年、デバイスの微細化が進むことで、プラズマエッチングによる穴経が小さく、かつ、穴の深さも深くなってきている。このため、プラズマエッチングの精度も、より高精度が必要になってきている。そこで、基板のエッジ領域のチルティングだけでなく、基板の半径方向におけるセンター領域、ミドル領域及びエッジ領域それぞれにおけるチルティングの方向にバラツキが生じる、いわゆるグローバルチルティングが問題となっている。グローバルチルティングは、プラズマシースの厚みの分布が不均一となることで発生すると考えられる。そこで、プラズマシースの厚みの分布を平坦(均一)にすることで、グローバルチルティングを抑制することが期待されている。
【0010】
[プラズマ処理システムの構成]
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、本開示の一実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。図1に示すように、プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマエッチング処理装置の一例である。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、シールドリング12とともに、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマエッチングチャンバの一例である。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間10sからガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0011】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0012】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0013】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0014】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0015】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。シャワーヘッド13は、上部電極として、例えば、シリコン(Si)又は炭化シリコン(SiC)で形成される。また、以下の説明では、上部電極として機能するシャワーヘッド13について詳細に説明する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0016】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0017】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0018】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0019】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0020】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0021】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0022】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0024】
[グローバルチルティング]
次に、図2から図4を用いてグローバルチルティングについて説明する。図2は、本実施形態における処理対象の基板の構造の一例を示す図である。図2に示すように、処理対象の基板Wは、例えば、シリコン基板50上に、シリコン酸化膜51と、シリコン窒化膜52と、ポリシリコン膜53とが形成されている。基板Wには、エッチング処理にてエッチングホールである穴54が形成される。この様なエッチング処理のプロセス条件としては、例えば、下部電極に、プラズマソースとして40MHzのRF電力を1000~6000W供給し、バイアスとして、200~600kHz、2000~9000VのDCパルスを供給する。また、プラズマ処理空間10s内の圧力は、8~20mTorrとし、プロセスガスとして、C4F6、C4F8、CH2F2、NF3、O2といったガスが供給される。
【0025】
図3は、チルティングの一例を示す図である。図3に示すように、基板Wの場所によっては、穴54が斜めに傾くチルティングが発生する場合がある。例えば、穴54aで示す基板の中心側(Center)に傾くインナーチルト55や、穴54bで示す基板の端部側(Edge)側に傾くアウターチルト56が発生する。グローバルチルティングは、基板Wの半径方向におけるセンター領域、ミドル領域及びエッジ領域それぞれにおいて、インナーチルト55やアウターチルト56が発生している状態である。
【0026】
図4は、グローバルチルティングと改善策の一例を示す図である。図4に示す状態60では、プラズマシースの厚み分布に対応する、所定の電位をイメージする線である電位61が、基板Wに対して平行となっておらず、イオンの進行方向62が、基板Wに対して垂直となっていない。このため、状態60では、イオンの進行方向62に応じてグローバルチルティングが発生する。これに対し、状態63では、上部電極であるシャワーヘッド13のプラズマに接する下面の形状を変更することで、電子密度が高くなる領域64を生成する。領域64により、プラズマシースの厚み分布に対応する、所定の電位をイメージする線である電位65を平坦にすることで、イオンの進行方向66を基板Wに対して垂直とする。これにより、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0027】
[上部電極の形状変更による影響]
続いて、図5及び図6を用いて上部電極の形状変更によるチルティングへの影響について説明する。図5は、上部電極のテーパ形状によるチルティングへの影響の一例を示す図である。図5では、上部電極であるシャワーヘッド13の周縁部近傍にテーパ形状を設けた場合におけるチルティングへの影響を示す。シャワーヘッド13dは、基板Wの中心から端部までに対向する領域を平面とし、リングアセンブリ112に対向する領域から外縁部にかけてを、シャワーヘッド13dとリングアセンブリ112との距離が短くなるようにテーパ形状を設けたものである。グラフ67は、チルティングの量を表しており、縦軸の0より上側がアウターチルトに対応し、縦軸の0より下側がインナーチルトに対応する。グラフ67中、「Taper1」で表すグラフは、シャワーヘッド13dを用いた場合の実験結果である。また、グラフ67中、「Reference」で表すグラフは、従前の中心から外縁部まで平面であるシャワーヘッドを用いた場合の実験結果である。2つのグラフを比較すると、基板Wの中心から120mm付近において、矢印67aで示すように、シャワーヘッド13dを用いた場合、アウターチルトからインナーチルトへと変化している。
【0028】
図6は、上部電極のテーパ形状によるチルティングへの影響の一例を示す図である。図6に示すシャワーヘッド13eは、基板Wの中心から140mm付近までに対向する領域を平面とし、基板Wの140mm付近に対向する領域から外縁部にかけてを、シャワーヘッド13eとリングアセンブリ112との距離が短くなるようにテーパ形状を設けたものである。つまり、シャワーヘッド13eは、シャワーヘッド13dよりもテーパ形状が中心に近い部分に位置している。グラフ68は、チルティングの量を表しており、縦軸の0より上側がアウターチルトに対応し、縦軸の0より下側がインナーチルトに対応する。グラフ68中、「Taper2」で表すグラフは、シャワーヘッド13eを用いた場合の実験結果である。また、グラフ67中、「Reference」で表すグラフは、従前の中心から外縁部まで平面であるシャワーヘッドを用いた場合の実験結果である。2つのグラフを比較すると、基板Wの中心からの距離が30mm~110mm付近については、矢印68a,68bで示すように、シャワーヘッド13eを用いた場合、アウターチルトを抑制できている。一方、基板Wの中心からの距離が135mm付近では、矢印68cで示すように、シャワーヘッド13eを用いた場合、インナーチルト傾向であったものがアウターチルトへと変化している。
【0029】
グラフ67,68より、上部電極であるシャワーヘッド13dのエッジ領域を1段厚くするだけだと、基板Wのミドル領域のチルティングは抑制できるが、逆に基板Wのエッジ領域(外縁部)のチルティングの角度が悪化してしまうことがわかる。そこで、本実施形態では、シャワーヘッド13のミドル領域からエッジ領域にかけて2段以上に段階的に厚くすることで、ミドル領域及びエッジ領域のグローバルチルティングを抑制する。
【0030】
[上部電極の形状の詳細]
次に、図7から図14を用いて上部電極であるシャワーヘッド13の形状の詳細について説明する。以下のシャワーヘッド13の形状の説明においては、シャワーヘッド13の中心を通る断面における形状にて説明する。また、シャワーヘッド13は、その中心で線対称の構造であるため、特に記載のない限り、右半分を図示している。図7は、本実施形態における上部電極の断面の一例を示す図である。図7に示すように、本実施形態では、シャワーヘッド13のプラズマに接する下面について、中心側から順に、センター領域131、ミドル領域132及びエッジ領域133と定義する。また、図7から図14では、ガス拡散室13b及びガス導入口13cの図示を省略しているが、センター領域131、ミドル領域132及びエッジ領域133には、ガス拡散室13b及びガス導入口13cが設けられている。シャワーヘッド13では、ミドル領域132及びエッジ領域133を順に厚くすることで、グローバルチルティングを抑制している。なお、センター領域131、ミドル領域132及びエッジ領域133におけるテーパ形状の角度(斜面の角度)、テーパ形状の起点及び終点等の寸法は、プロセス条件に応じて最適化される。
【0031】
図8は、上部電極のセンター領域の形状のバリエーションの一例を示す図である。図8では、センター領域131の形状のバリエーションについて説明する。なお、図8においては、シャワーヘッド13の中心から左右両側を図示している。センター領域131aは、センター領域131が平坦(Flat)である場合である。なお、以下の説明では、平坦であるセンター領域131aのシャワーヘッド13の厚さを第1の厚さとして説明する。また、センター領域131a~131cに示すように、センター領域131の厚さを変更することで、基板Wの中心部におけるグローバルチルティングを調整可能としている。
【0032】
センター領域131bは、中心部分が下側(プラズマに接する側)に凸となった形状である。センター領域131bは、内周部134と外周部135とを有する。内周部134は、凸形状の頂部であり平面となっている。外周部135は、接続部135aと平面部135bとを有する。平面部135bの厚さは、内周部134より薄く、第1の厚さとなっており、テーパ形状の接続部135aを介して内周部134と接続されている。つまり、内周部134の平面部の厚さは、外周部135の平面部135bの厚さよりも厚い。また、シャワーヘッド13の半径方向において、内周部134と平面部135bとを接続する接続部135aがテーパ形状となっている。さらに、内周部134と接続部135aとの境界、及び、接続部135aと平面部135bとの境界は、テーパ形状の端部であり、シャワーヘッド13を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。なお、ここでの線状とは、面同士が直線的に交差していることを表す。面同士が曲面で交差する場合に比べて、加工寸法の管理が容易になり加工コストを抑えることができる。また、センター領域131bのバリエーションとして、外周部135に平面部135bを設けず、外周部135全体をテーパ形状の接続部135aとしてもよい。
【0033】
センター領域131cは、センター領域131bの凸部分の中心に凹部を設けた形状、つまり、リング状の凸部を設けた形状である。センター領域131cは、内周部136と外周部137とを有する。内周部136は、リング状の凸形状の頂部である平面部136aと、中心の凹部136bとを有する。外周部137は、接続部137aと平面部137bとを有する。平面部137bの厚さは、内周部136の平面部136aより薄く、第1の厚さとなっており、テーパ形状の接続部137aを介して内周部136と接続されている。つまり、内周部136の平面部136aの厚さは、外周部137の平面部137bの厚さよりも厚い。また、シャワーヘッド13の半径方向において、平面部136aと平面部137bとを接続する接続部137aがテーパ形状である。さらに、平面部136aと接続部137aとの境界、及び、接続部137aと平面部137bとの境界は、テーパ形状の端部であり、シャワーヘッド13を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。同様に、平面部136aと凹部136bとの境界、及び、凹部136bの底部平面とテーパ形状との境界も、シャワーヘッド13を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。また、センター領域131cのバリエーションとして、外周部137に平面部137bを設けず、外周部137全体をテーパ形状の接続部137aとしてもよい。
【0034】
図9は、外周部に平面部があるセンター領域の各形状と第1のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。図9では、センター領域131aと第1のミドル領域132-1との組み合わせをシャワーヘッド70として示している。また、センター領域131bと第1のミドル領域132-1との組み合わせをシャワーヘッド71として示している。また、センター領域131cと第1のミドル領域132-1との組み合わせをシャワーヘッド72として示している。なお、シャワーヘッド70~72は、シャワーヘッド13のバリエーションの一例である。
【0035】
第1のミドル領域132-1は、センター領域131a~131cとの接続部132aと、平面部132bとを有する。平面部132bは、センター領域131a、センター領域131bの平面部135b、及び、センター領域131cの平面部137bよりも厚くなっており、テーパ形状の接続部132aを介してセンター領域131a~131cと接続されている。また、センター領域131a~131cと接続部132aとの境界、及び、接続部132aと平面部132bとの境界は、テーパ形状の端部であり、シャワーヘッド70~72を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。同様に、平面部132bとエッジ領域133との境界も、シャワーヘッド70~72を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。また、平面部132bの厚さは、第2の厚さの一例であり、センター領域131a~131cの第1の厚さとは、差分73の差を有する。なお、第2の厚さは、例えば、シャワーヘッド72に示すように、センター領域131cの凸部(平面部136a)の厚さと同じ厚さとすることができる。
【0036】
また、シャワーヘッド70~72では、半径方向において、第1のミドル領域132-1の外周側にエッジ領域133を有する。エッジ領域133は、例えば外周側に向かって厚くなるようなテーパ形状である。エッジ領域133の最も厚い部分、例えば最外周部の厚さは、第3の厚さの一例であり、センター領域131a~131cの第1の厚さとは、差分74の差を有する。また、差分73と差分74とを比較すると、差分74の方が大きくなる。つまり、シャワーヘッド72の例では、エッジ領域133の第3の厚さは、センター領域131a~131cの最も厚い領域よりも厚くなる。なお、シャワーヘッド71についても、シャワーヘッド72と同様の厚さの関係を有する。また、図1のシャワーヘッド13に示すように、エッジ領域133は、内周側の端部(ミドル領域132との接続部)がエッジリング(リングアセンブリ112)の内径よりも外側になるように形成される。また、エッジ領域133は、エッジリング(リングアセンブリ112)の外径よりも外側になるように形成されてもよい。さらに、エッジ領域133は、最外周部に平面部を有するようにしてもよい。
【0037】
図10は、外周部に平面部がないセンター領域の各形状と第1のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。図10に示すシャワーヘッド75,76は、図9に示すシャワーヘッド71,72に対して、センター領域131b,131cをセンター領域131b1,131c1に変更したバリエーションの一例である。センター領域131b1は、センター領域131bの外周部135に平面部135bを設けず、外周部135全体をテーパ形状の接続部138としたものである。センター領域131c1は、センター領域131cの外周部137に平面部137bを設けず、外周部137全体をテーパ形状の接続部138としたものである。なお、接続部138と、第1のミドル領域132-1の接続部132aとの間には、加工時の制約による若干の平面部があってもよい。
【0038】
シャワーヘッド75,76では、センター領域131b1,131c1の接続部138と、第1のミドル領域132-1の接続部132aとの境界は、両側のテーパ形状の端部であり、シャワーヘッド75,76を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。また、センター領域131b1,131c1の第1の厚さは、当該境界における厚さである。また、平面部132bの厚さは、第2の厚さの一例であり、センター領域131b1,131c1の第1の厚さとは、差分77の差を有する。なお、第2の厚さは、例えば、シャワーヘッド76に示すように、センター領域131c1の凸部(平面部136a)の厚さと同じ厚さとすることができる。
【0039】
また、シャワーヘッド75,76では、半径方向において、第1のミドル領域132-1の外周側に、シャワーヘッド70~72と同様のエッジ領域133を有する。エッジ領域133の最も厚い部分、例えば最外周部の厚さは、第3の厚さの一例であり、センター領域131b1,131c1の第1の厚さとは、差分78の差を有する。また、差分77と差分78とを比較すると、差分78の方が大きくなる。つまり、シャワーヘッド76の例では、エッジ領域133の第3の厚さは、センター領域131b1,131c1の最も厚い領域よりも厚くなる。なお、シャワーヘッド75についても、シャワーヘッド76と同様の厚さの関係を有する。シャワーヘッド70~72,75,76に示すように、プラズマと接する領域(面)の形状を調整し、プラズマシースの厚みの分布を平坦(均一)にすることで、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0040】
図11は、外周部に平面部があるセンター領域の各形状と第2のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。図11では、センター領域131aと第2のミドル領域132-2との組み合わせをシャワーヘッド80として示している。また、センター領域131bと第2のミドル領域132-2との組み合わせをシャワーヘッド81として示している。また、センター領域131cと第2のミドル領域132-2との組み合わせをシャワーヘッド82として示している。なお、シャワーヘッド80~82は、シャワーヘッド13のバリエーションの一例である。
【0041】
第2のミドル領域132-2は、センター領域131a~131cとの接続部から、エッジ領域133との接続部までが、外周側の厚さが厚くなるようなテーパ形状である。センター領域131a~131cと第2のミドル領域132-2との境界、及び、第2のミドル領域132-2とエッジ領域133との境界は、テーパ形状の端部であり、シャワーヘッド80~82を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。第2のミドル領域132-2のエッジ領域133との接続部の厚さは、第2の厚さの一例であり、センター領域131a~131cの第1の厚さとは、差分83の差を有する。なお、第2の厚さは、例えば、シャワーヘッド82に示すように、センター領域131cの凸部(平面部136a)の厚さと同じ厚さとすることができる。
【0042】
また、シャワーヘッド80~82では、半径方向において、第2のミドル領域132-2の外周側にエッジ領域133を有する。エッジ領域133は、例えば外周側に向かって厚くなるようなテーパ形状である。エッジ領域133の最も厚い部分、例えば最外周部の厚さは、第3の厚さの一例であり、センター領域131a~131cの第1の厚さとは、差分84の差を有する。また、差分83と差分84とを比較すると、差分84の方が大きくなる。つまり、シャワーヘッド82の例では、エッジ領域133の第3の厚さは、センター領域131a~131cの最も厚い領域よりも厚くなる。なお、シャワーヘッド81についても、シャワーヘッド82と同様の厚さの関係を有する。
【0043】
図12は、外周部に平面部がないセンター領域の各形状と第2のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。図12に示すシャワーヘッド85,86は、図11に示すシャワーヘッド81,82に対して、センター領域131b,131cを、図10に示すセンター領域131b1,131c1に変更したバリエーションの一例である。
【0044】
シャワーヘッド85,86では、センター領域131b1,131c1の接続部138と、第2のミドル領域132-2との境界は、両側のテーパ形状の端部であり、シャワーヘッド85,86を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。なお、接続部138と、第2のミドル領域132-2との間には、加工時の制約による若干の平面部があってもよい。また、センター領域131b1,131c1の第1の厚さは、当該境界における厚さである。また、第2のミドル領域132-2とエッジ領域133との接続部の厚さは、第2の厚さの一例であり、センター領域131b1,131c1の第1の厚さとは、差分87の差を有する。なお、第2の厚さは、例えば、シャワーヘッド86に示すように、センター領域131c1の凸部(平面部136a)の厚さと同じ厚さとすることができる。
【0045】
また、シャワーヘッド85,86では、半径方向において、第2のミドル領域132-2の外周側に、シャワーヘッド80~82と同様のエッジ領域133を有する。エッジ領域133の最も厚い部分、例えば最外周部の厚さは、第3の厚さの一例であり、センター領域131b1,131c1の第1の厚さとは、差分88の差を有する。また、差分87と差分88とを比較すると、差分88の方が大きくなる。つまり、シャワーヘッド86の例では、エッジ領域133の第3の厚さは、センター領域131b1,131c1の最も厚い領域よりも厚くなる。なお、シャワーヘッド85についても、シャワーヘッド86と同様の厚さの関係を有する。このように、シャワーヘッド80~82,85,86に示すような形状としても、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0046】
図13は、外周部に平面部があるセンター領域の各形状と第3のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。図13では、センター領域131aと第3のミドル領域132-3との組み合わせをシャワーヘッド90として示している。また、センター領域131bと第3のミドル領域132-3との組み合わせをシャワーヘッド91として示している。また、センター領域131cと第3のミドル領域132-3との組み合わせをシャワーヘッド92として示している。なお、シャワーヘッド90~92は、シャワーヘッド13のバリエーションの一例である。
【0047】
第3のミドル領域132-3は、テーパ形状の接続部と平面部とを組み合わせた領域132c~132eを有する。領域132c~132eは、内周側から順に、領域132c、領域132d、領域132eの順に、外周側に向かって厚くなる。領域132cの内周側は、接続部を介してセンター領域131a~131cと接続されている。領域132cの外周側の平面部は、領域132dの内周側の接続部と接続されている。同様に、領域132dの外周側の平面部は、領域132eの内周側の接続部と接続されている。また、領域132eの外周側の平面部は、エッジ領域133と接続されている。
【0048】
センター領域131a~131cと領域132cとの境界、領域132cと領域132dとの境界、領域132dと領域132eとの境界、及び、領域132eとエッジ領域133との境界は、テーパ形状の端部であり、シャワーヘッド90~92を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。また、領域132c~132eの接続部と平面部との各境界についても、同様に、テーパ形状の端部であり、シャワーヘッド90~92を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。つまり、第3のミドル領域132-3は、厚さの異なる平面部を複数有し、平面部間がテーパ形状で接続され、テーパ形状の端部が線状である。なお、第3のミドル領域132-3では、領域132c~132eに対応する領域の段数は限定されない。
【0049】
領域132cの平面部の厚さは、センター領域131a~131cの第1の厚さと差分94の差を有する。領域132dの平面部の厚さは、センター領域131a~131cの第1の厚さと差分95の差を有する。領域132eの平面部の厚さは、センター領域131a~131cの第1の厚さと差分96の差を有する。領域132c~132eの各平面部の厚さは、第2の厚さの一例である。なお、第2の厚さは、例えば、シャワーヘッド92に示すように、センター領域131cの第1の厚さと差分93の差を有するセンター領域131cの凸部(平面部136a)の厚さより、薄い領域(領域132c,132d)と厚い領域(領域132e)とを設けるようにしてもよい。
【0050】
また、シャワーヘッド90~92では、半径方向において、第3のミドル領域132-3の外周側にエッジ領域133を有する。エッジ領域133は、例えば外周側に向かって厚くなるようなテーパ形状である。エッジ領域133の最も厚い部分、例えば最外周部の厚さは、第3の厚さの一例であり、センター領域131a~131cの第1の厚さとは、差分97の差を有する。ここで、各差分の関係の一例としてシャワーヘッド92の例を挙げると、差分94<差分95<差分93<差分96<差分97となる。つまり、シャワーヘッド92の例では、エッジ領域133の第3の厚さは、センター領域131a~131cの最も厚い領域よりも厚くなる。なお、シャワーヘッド91についても、シャワーヘッド92と同様の厚さの関係を有する。
【0051】
図14は、外周部に平面部がないセンター領域の各形状と第3のミドル領域との組み合わせの一例を示す図である。図14に示すシャワーヘッド98,99は、図13に示すシャワーヘッド91,92に対して、センター領域131b,131cをセンター領域131b1,131c1に変更したバリエーションの一例である。
【0052】
シャワーヘッド98,99では、センター領域131b1,131c1の接続部138と、第3のミドル領域132-3の領域132cとの境界は、両側のテーパ形状の端部であり、シャワーヘッド98,99を下側から見た場合に、同心円の線状となっている。なお、接続部138と、領域132cとの間には、加工時の制約による若干の平面部があってもよい。また、センター領域131b1,131c1の第1の厚さは、当該境界における厚さである。領域132c~132eの各平面部の厚さは、第2の厚さの一例である。領域132c~132eの各平面部の厚さと、センター領域131b1,131c1の第1の厚さとの差分は、シャワーヘッド90~92の差分94~96と同様である。また、シャワーヘッド99に示すように、領域132c~132eの各平面部の厚さと、センター領域131c1の凸部(平面部136a)の厚さとの関係は、シャワーヘッド92と同様である。
【0053】
また、シャワーヘッド98,99では、半径方向において、第3のミドル領域132-3の外周側にエッジ領域133を有する。エッジ領域133は、例えば外周側に向かって厚くなるようなテーパ形状である。エッジ領域133の最も厚い部分、例えば最外周部の厚さは、第3の厚さの一例である。また、差分93~97の関係は、シャワーヘッド90~92の差分93~97の関係と同様である。つまり、シャワーヘッド99の例では、エッジ領域133の第3の厚さは、センター領域131b1,131c1の最も厚い領域よりも厚くなる。なお、シャワーヘッド98についても、シャワーヘッド99と同様の厚さの関係を有する。このように、シャワーヘッド90~92,98,99に示すような形状としても、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0054】
以上、本実施形態によれば、プラズマエッチング処理装置(プラズマ処理装置1)は、プラズマエッチングチャンバ(プラズマ処理チャンバ10)と、プラズマエッチングチャンバ内で基板W及びエッジリング(リングアセンブリ112)を支持するように構成された基板支持部11と、基板支持部11と対向する上部電極(シャワーヘッド13)とを備え、上部電極は、第1の厚さのセンター領域131と、上部電極の半径方向において、センター領域131との接続部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である、第1の厚さ以上である第2の厚さのミドル領域132と、半径方向において、ミドル領域132との接続部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である、第2の厚さより厚い第3の厚さのエッジ領域133と、を有する。その結果、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、センター領域131bは、内周部134と外周部135とを有し、内周部134の平面部の厚さが外周部135の平面部135bの厚さよりも厚く、半径方向において、内周部134の平面部と外周部135の平面部135bとの接続部135aがテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である。その結果、基板Wの中央部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、センター領域131b1は、内周部134と外周部(接続部138)とを有し、内周部134の平面部の厚さが外周部の厚さよりも厚く、半径方向において、外周部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である。その結果、基板Wの中央部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、センター領域131cは、リング状の凸部を備える内周部136と、外周部137と有し、凸部の平面部136aの厚さが外周部137の平面部137bの厚さよりも厚く、半径方向において、凸部の平面部136aと外周部137の平面部137bとの接続部137aがテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である。その結果、基板Wの中央部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、センター領域131c1は、リング状の凸部を備える内周部136と、外周部(接続部138)と有し、凸部の平面部の厚さが外周部の厚さよりも厚く、半径方向において、外周部がテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である。その結果、基板Wの中央部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、エッジ領域133の第3の厚さは、センター領域131の最も厚い領域よりも厚い。その結果、基板Wの周縁部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、ミドル領域(第2のミドル領域132-2)は、センター領域131との接続部から、エッジ領域133との接続部までがテーパ形状であり、テーパ形状の端部が線状である。その結果、基板Wの中間部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、ミドル領域(第3のミドル領域132-3)は、厚さの異なる平面部を複数有し、平面部間がテーパ形状で接続され、テーパ形状の端部が線状である。その結果、基板Wの中間部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、エッジ領域133は、内周側の端部がエッジリングの内径よりも外側になるように形成される。その結果、基板Wの周縁部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、エッジ領域133は、エッジリングの外径よりも外側になるように形成される。その結果、基板Wの周縁部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、エッジ領域133は、最外周部に平面部を有する。その結果、基板Wの周縁部におけるプラズマシースを調整でき、グローバルチルティングを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、上部電極の内部には、センター領域131、ミドル領域132及びエッジ領域133にわたって、プロセスガスの流路(ガス拡散室13b,ガス導入口13c)が形成される。その結果、基板Wに対してプロセスガスのプラズマによるプラズマ処理をおこなうことができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、上部電極は、シリコン又は炭化シリコンで形成される。その結果、基板Wに対してプラズマ処理をおこなうことができる。
【0067】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、プラズマ源として容量結合型プラズマを用いて基板Wに対してエッチング等の処理を行うプラズマ処理装置1を例に説明したが、開示の技術はこれに限られない。プラズマを用いて基板Wに対して処理を行う装置であれば、プラズマ源は容量結合プラズマに限られず、例えば、誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、マグネトロンプラズマ等、任意のプラズマ源を用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
13 シャワーヘッド(上部電極)
112 リングアセンブリ
131,131a~131c,131b1,131c1 センター領域
132 ミドル領域
132-1 第1のミドル領域
132-2 第2のミドル領域
132-3 第3のミドル領域
133 エッジ領域
W 基板
図1
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