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  • 特開-元素分析方法、及び、元素分析装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088682
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】元素分析方法、及び、元素分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/12 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
G01N31/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203578
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】513279283
【氏名又は名称】株式会社堀場テクノサービス
(71)【出願人】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】田中 悟
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄大
【テーマコード(参考)】
2G042
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA01
2G042BA08
2G042CA03
2G042CA04
2G042CB06
2G042DA04
2G042EA20
2G042GA03
(57)【要約】
【課題】試料を燃焼させる元素分析においても試料が加熱炉に投入されるまでの間に試料が大気に暴露されないようにでき、より高精度な分析が可能となる元素分析方法を提供する。
【解決手段】酸素が供給される加熱炉内において試料を加熱する元素分析方法であって、助燃剤で形成された助燃容器内に試料を封入して試料体を形成する封入ステップと、前記試料体を前記加熱炉へ投入する投入ステップと、前記加熱炉において前記試料体を加熱し、前記試料が燃焼して発生する燃焼ガスを抽出する抽出ステップと、前記燃焼ガスに基づいて、前記試料に含まれる元素を分析する分析ステップと、を備え、前記助燃容器9が、本体91と、前記本体91に対して取り付けられる蓋体92と、を具備し、不活性ガス雰囲気中で前記本体91に対して前記蓋体92を取り付けて、前記助燃容器9内に前記試料が封入されるようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素が供給される加熱炉内において試料を加熱する元素分析方法であって、
助燃剤で形成された助燃容器内に試料を封入して試料体を形成する封入ステップと、
前記試料体を前記加熱炉へ投入する投入ステップと、
前記加熱炉において前記試料体を加熱し、前記試料が燃焼して発生する燃焼ガスを抽出する抽出ステップと、
前記燃焼ガスに基づいて、前記試料に含まれる元素を分析する分析ステップと、を備え、
前記助燃容器が、本体と、前記本体に対して取り付けられる蓋体と、を具備し、
不活性ガス雰囲気中で前記本体に対して前記蓋体を取り付けて、前記助燃容器内に前記試料が封入されることを特徴とする元素分析方法。
【請求項2】
前記助燃容器が、前記本体と前記蓋体との間に形成された嵌合構造又は螺合構造をさらに具備する請求項1記載の元素分析方法。
【請求項3】
前記助燃容器が、W(タングステン)、Sn(スズ)、Cu(銅)、Fe(鉄)、及び、Ni(ニッケル)からなる群から選択される少なくとも1種類の元素で形成されている請求項1又は2いずれかに記載の元素分析方法。
【請求項4】
前記助燃容器が、前記本体と前記蓋体がそれぞれ異なる元素で形成されている請求項1乃至3いずれか一項に記載の元素分析方法。
【請求項5】
前記助燃容器は、それぞれ大きさの異なる複数種類が予め用意されている請求項1乃至4いずれか一項に記載の元素分析方法。
【請求項6】
前記封入ステップが、不活性ガスで内部が満たされたグローブボックス内で行われる請求項1乃至5いずれか一項に記載の元素分析方法。
【請求項7】
前記グローブボックス内において前記試料の計量が行われる請求項6記載の元素分析方法。
【請求項8】
不活性ガス雰囲気中において、前記試料体を収容体内に収容し、前記加熱炉へ搬送する気密搬送ステップをさらに備えた請求項1乃至7いずれか一項に記載の元素分析方法。
【請求項9】
前記収容体がバイアル瓶である請求項8記載の元素分析方法。
【請求項10】
酸素が供給される加熱炉内において試料を加熱する元素分析装置であって、
助燃剤で形成された助燃容器内に試料を封入して試料体を形成する封入器と、
前記試料体を前記加熱炉へ投入する投入器と、
前記加熱炉において前記試料体を加熱し、前記試料が燃焼して発生する燃焼ガスを抽出する抽出機構と、
前記燃焼ガスに基づいて、前記試料に含まれる元素を分析する分析器と、を備え、
前記助燃容器が、本体と、前記本体に対して取り付けられる蓋体と、を具備し、
前記封入器が、不活性ガス雰囲気中で前記本体に対して前記蓋体を取り付けて、前記助燃容器内に前記試料を封入するように構成されていることを特徴とする元素分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素が供給される加熱炉内において試料を加熱して燃焼させて、該試料から発生する燃焼ガスにより試料に含まれる元素を分析する元素分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば金属やセラミックス等の試料中に含まれるC(炭素)やS(硫黄)等の元素を定量分析する場合、酸素供給下の加熱炉内において、るつぼに収容されている試料を燃焼させる。そして、試料から発生する燃焼ガスをNDIR(非分散型赤外線ガス分析法)で分析して、試料に含まれていたCやS等の元素が定量される(特許文献1参照)。
【0003】
このような試料を燃焼させて元素分析が行われる元素分析装置では、加熱炉の構造的な制約等から試料が計量されてから加熱炉に投入されるまでの間は、試料は大気に暴露された状態にされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-305122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、試料を燃焼させる元素分析においても試料が加熱炉に投入されるまでの間に試料が大気に暴露されないようにでき、より高精度な分析が可能となる元素分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る元素分析方法は、酸素が供給される加熱炉内において試料を加熱する元素分析方法であって、助燃剤で形成された助燃容器内に試料を封入して試料体を形成する封入ステップと、前記試料体を前記加熱炉へ投入する投入ステップと、前記加熱炉において前記試料体を加熱し、前記試料が燃焼して発生する燃焼ガスを抽出する抽出ステップと、前記燃焼ガスに基づいて、前記試料に含まれる元素を分析する分析ステップと、を備え、前記助燃容器が、本体と、前記本体に対して取り付けられる蓋体と、を具備し、不活性ガス雰囲気中で前記本体に対して前記蓋体を取り付けて、前記助燃容器内に前記試料が封入されることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、前記封入ステップにおいて前記試料は不活性ガス雰囲気中で前記助燃容器内に封入されるので、前記加熱炉に投入されるまでの間は大気非暴露の状態を実現できる。また、前記助燃容器自体が助燃剤で形成されているので、前記試料体をそのまま前記加熱炉に入れて加熱しても、前記助燃容器は前記試料の燃焼を促進するだけであって、前記試料の元素分析の妨げにはならない。したがって、試料の大気非暴露を実現して、前記試料に含まれる元素を従来よりも高精度に定量分析することが可能となる。
【0008】
例えば特殊な機器を使用しなくても不活性ガス雰囲気中において前記助燃容器内に前記試料を封入できるようにして、封入作業を簡単にするには、前記助燃容器が、前記本体と前記蓋体との間に形成された嵌合構造又は螺合構造をさらに具備するものであればよい。このようなものであれば、不活性ガス雰囲気が例えばグローブボックス内において実現されており、内部に封入用の機器を内包することが難しい場合であっても、手作業で前記試料を前記助燃容器内に簡単に封入できる。
【0009】
前記加熱炉内において前記試料の燃焼を促進するのに適した前記助燃容器としては、前記助燃容器が、W(タングステン)、Sn(スズ)、Cu(銅)、Fe(鉄)、及び、Ni(ニッケル)からなる群から選択される少なくとも1種類の元素で形成されているものが挙げられる。
【0010】
前記試料体を前記加熱炉内に投入するだけで、複数種類の元素からなる助燃剤の効果を得られるようにして、より簡単かつ適切な燃焼ガスによる元素分析を可能とするには、前記助燃容器が、前記本体と前記蓋体がそれぞれ異なる元素で形成されていればよい。
【0011】
前記試料体を前記加熱炉内に投入するだけで前記試料の量に応じた適切な量の助燃剤が提供されるようにして、高精度な元素分析をさらに簡単に行いやすくするには、前記助燃容器は、それぞれ大きさの異なる複数種類が予め用意されていればよい。
【0012】
それほど高度な設備を用意しなくても前記試料が前記加熱炉内に投入されるまでの間に大気に暴露されないようにするには、前記封入ステップが、不活性ガスで内部が満たされたグローブボックス内で行われるものであればよい。
【0013】
前記グローブボックス内において前記試料の計量が行われれば、計量された質量からほとんど変化を生じさせずに前記試料を前記助燃容器内に封入でき、さらに高精度な元素分析が可能となる。
【0014】
例えば元素分析装置を有してないユーザが他者に元素分析を依頼する場合のように、前記試料体が形成されてから前記加熱炉に投入されるまでに長時間必要となるとしても前記試料又は前記助燃容器が大気の影響を受けにくくして、元素分析の精度を保証できるようにするには、不活性ガス雰囲気中において、前記試料体を収容体内に収容し、前記加熱炉へ搬送する気密搬送ステップをさらに備えたものであればよい。
【0015】
前記気密搬送ステップを簡単に行うための具体的な態様としては、前記収容体がバイアル瓶であるものが挙げられる。
【0016】
例えば試料を大気に暴露させずにほぼ全自動で元素分析が行えるようにするには、酸素が供給される加熱炉内において試料を加熱する元素分析装置であって、助燃剤で形成された助燃容器内に試料を封入して試料体を形成する封入器と、前記試料体を前記加熱炉へ投入する投入器と、前記加熱炉において前記試料体を加熱し、前記試料が燃焼して発生する燃焼ガスを抽出する抽出機構と、前記燃焼ガスに基づいて、前記試料に含まれる元素を分析する分析器と、を備え、前記助燃容器が、本体と、前記本体に対して取り付けられる蓋体と、を具備し、前記封入器が、不活性ガス雰囲気中で前記本体に対して前記蓋体を取り付けて、前記助燃容器内に前記試料を封入するように構成されていることを特徴とする元素分析装置を用いればよい。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明に係る元素分析方法であれば、前記試料が前記助燃容器内に不活性ガス雰囲気中で封入されて前記試料体が形成されるので、例えば前記試料が計量されてから前記加熱炉に投入されるまでの間に前記試料を大気非暴露の状態にできる。このため、前記試料から抽出される燃焼ガスに大気の影響がほとんど現れないようにでき、該試料の元素分析を従来よりも高精度に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態における元素分析方法に用いられる元素分析装置を示す模式図。
図2】同実施形態における試料の封入ステップ及び機密搬送ステップについて示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る元素分析方法について各図を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態の元素分析方法は、例えば試料が燃焼した際に発生する燃焼ガスを赤外線吸光分析法により分析して、試料に含まれるC(炭素)やS(硫黄)といった元素を定量する方法である。
【0021】
図1に示すようにこの元素分析方法に用いられる元素分析装置100は、加熱炉3内に発生した燃焼ガスをキャリアガス(例えば酸素ガス等)とともに流通させる単一ガス流路Lを形成する流通管を有している。当該流通管上に、ダストフィルタ4、脱水剤5、赤外線検出器6がこの順に直列に設けられている。また、加熱炉3の上流側には加熱炉3内に酸素ガスを供給するための酸素ボンベ1と、キャリアガス精製器2が設けられている。
【0022】
加熱炉3は酸素ガスが供給されている状態において内部に収容された試料が高周波加熱により燃焼される高周波燃焼炉として構成されている。本実施形態では試料は後述する助燃容器内に収容された試料体の形で加熱炉3内に収容される。加熱炉3内において試料から抽出された燃焼ガスは、流通管内を流れて赤外線検出器6の出力に基づいてNDIR(非分散型赤外線ガス分析法)により試料中に含まれていたC又はSの濃度が算出される。
【0023】
次に加熱炉3内に試料が投入されるまでの各手順について図2を参照しながら説明する。
【0024】
まず、図2で示されるように窒素等の不活性ガスで満たされて、大気圧よりも内圧が加圧されたグローブボックス7内に設けられた電子天秤8により試料の質量が計量される。計量が済んだ試料についてはそのままグローブボックス6内において概略円筒状をなすとともに、助燃剤であるNi(ニッケル)やCu(銅)で形成された助燃容器9内に封入される。ここで、助燃容器9は、先端側が基端側よりも若干細くなるとともに開口している中空円筒状の本体91と、本体1の先端部の外径とほぼ同じ内径を有する中空円筒状の蓋体92を具備している。また、本体91の先端部と蓋体92の内側面との間には嵌合構造93が形成されており、本体91に対して蓋体92を差し込むだけで助燃容器9内を密閉できるように構成されている。本実施形態ではグローブボックス7内において人間の手作業だけで本体91内に試料を入れた後、本体91の先端部に対して蓋体92を嵌め込むことにより試料の封入が行われて、試料体Sが形成される。ここで、試料については所定の大きさを有する塊となっているものであっても助燃容器9内にそのまま封入できるようにしてある。
【0025】
グローブボックス7の近くに元素分析装置100が配置されており、グローブボックス7から加熱炉3まで試料体Sを搬送して投入するまでに必要となる時間が十分に短い場合には、試料体Sのままで大気中にさらされながら搬送される。このような場合でも助燃容器9内は不活性ガスが充填されている状態なので、中身の試料については大気非暴露状態を十分に保つことができる。
【0026】
一方、元素分析装置100を所有していないユーザは遠隔地にいる他者に試料の分析を依頼する場合もある。このような依頼分析が行われる場合には、まずグローブボックス7内において助燃容器9内に試料が封入されて試料体Sが形成された後、さらにグローブボックス7内において試料体Sを収容体の一例であるバイアル瓶B内に収容する作業がさらに加わる。すなわち、試料は助燃容器9内とバイアル瓶B内の不活性ガスで二重に保護されている状態となるため、グローブボックス7から加熱炉3までの搬送にかかる時間が長くても中身の試料については大気非暴露状態を保ち続ける事が可能となる。
【0027】
このように本実施形態の元素分析方法であれば、試料が不活性ガス雰囲気中において助燃容器9内に封入されるので、試料の計量が行われてから加熱炉3内に投入されるまでの間、試料が大気に暴露されることがない。したがって、例えば試料が大気にさらされることによる酸化による変質や酸化による試料の質量(重量)誤差に由来して、算出される元素濃度にわずかな測定誤差が発生のも防ぐことができる。このため、CやSについて高精度の元素分析が必要とされるような用途であっても既存の元素分析装置であっても十分に対応することが可能となる。
【0028】
また、試料が封入される助燃容器9は助燃剤で形成されているので、加熱炉3内において助燃容器9から試料を取り出して投入する必要がなく、試料体Sをまるごとそのまま加熱炉3内に投入できる。すなわち、助燃容器9自体は例えば試料の燃焼を促進するだけであって、測定される元素の濃度には影響を与えないので、試料だけを加熱炉3内に導入する必要がない。このため、加熱炉3内への試料の投入時にも試料が大気に暴露されないようにできるとともに、加熱炉3への試料の投入の手間も軽減できる。加えて、試料の他に別途助燃剤を添加しなくても助燃容器9がその役割を果たすので、このことも分析の手間を軽減させることに寄与する。
【0029】
さらに、本実施形態の元素分析方法であれば不活性ガス雰囲気中で試料を助燃容器9内に封入するだけで試料の大気非暴露状態を実現できるので、例えば元素分析装置100の加熱炉3に試料の大気非暴露を実現するための機構や設備を別途設ける必要もない。したがって、燃焼ガスを用いる従来の元素分析装置のように加熱炉の構造の制約が強い場合でも、試料の大気非暴露を実現でき、元素の分析精度を向上させることが可能となる。
【0030】
その他の実施形態について説明する。
【0031】
前記実施形態では、助燃容器は円筒状をなすものであったが、これに限られるものではなく、角筒状等様々な形状であってもかまわない。助燃容器は本体と蓋体とを備えたものであり、好ましくは手作業により本体に対して蓋体を取り付けられるものであればよい。また、本体と蓋体との間に形成されているのは嵌合構造だけに限られるものではなく、例えば本体と蓋体との間に螺合構造が形成されていてもよい。このような螺合構造が設けられていれば、ユーザは本体に対して蓋体を回転させるだけで、助燃容器内に試料を封入できるとともに、内部を密閉しやすくできる。
【0032】
また、本体に対する蓋体の取り付けは簡単な工具を使用してされるものであっても構わない。本体と蓋体はそれぞれ異なる材料で形成されていてもよく、例えば本体はCuで形成されており、蓋体がNiで形成されている、あるいは、その逆の関係であっても構わない。さらに、助燃容器は、W(タングステン)、Sn(スズ)、Cu(銅)、Fe(鉄)、及び、Ni(ニッケル)からなる群から選択される少なくとも1種類の元素で形成されているものであってもよい。これらの元素であれば助燃容器自体を試料の燃焼を促進させる助燃剤として機能させることができる。また、本体と蓋体は前述した群から選択されるそれぞれ異なる種類の元素で形成されていてもよい。
【0033】
試料の大きさや質量に合わせて、助燃容器自体が適切な量の助燃剤として作用させやすくするために、助燃容器が複数の異なるサイズで展開されてもよい。このように複数種類の大きさの助燃容器が予め用意されていれば、元素分析にかかる手間をさらに軽減できる。なお、助燃剤の量を調節するために、助燃容器内に試料だけでなく、さらに助燃剤のかけら等が併せて封入されてもよい。また、複数種類の助燃容器についてそれぞれ異なる元素で形成するとともに、それぞれの大きさも異ならせておいてもよい。さらに、試料をある助燃容器内に封入した後、さらに大きな容積を有する別の助燃容器内に試料が封入されている助燃容器ごと封入してもよい。すなわち、試料体は複数の助燃容器が入れ子構造を形成していてもよい。もちろん、入れ子構造をなす複数の助燃容器のうち最も内側の試料容器に封入される場合に限られず、例えば入れ子構造をなす複数の助燃容器の間に形成される空間内に封入されていてもよい。それぞれ異なる元素で形成されており、かつ、大きさが異なる入れ子構造を形成可能な助燃容器が予め用意されていれば、入れ子構造を形成する複数の助燃容器の組み合わせを適宜選択でき、試料の燃焼を促進するのに適した組み合わせを実現しつつ、試料をさらに大気に暴露されにくくできる。
【0034】
助燃容器内に試料を封入する作業は必ずしもグローブボックス内で行う必要はなく、不活性ガス雰囲気中で行えば良い。例えば助燃容器の周囲に不活性ガスを吹き付けながら試料の封入作業を行ってもよい。
【0035】
前記実施形態では試料の秤量や試料を助燃容器内への封入は手作業で行っていたが、例えば機械によって秤量、試料の助燃容器の封入、燃焼ガスの抽出、試料に含まれている元素の分析をすべて機械が自動で行うようにしてもよい。このような場合でも、試料の秤量や試料の助燃容器への封入は、不活性ガス雰囲気中行われるように構成されていれば、試料が大気に暴露される瞬間が存在しないようにして、元素分析の精度を向上させることができる。より具体的には、元素分析装置は、助燃剤で形成された助燃容器内に試料を封入して試料体を形成する封入器と、試料体を前記加熱炉へ投入する投入器と、加熱炉において試料体を加熱し、試料が燃焼して発生する燃焼ガスを抽出する抽出機構と、燃焼ガスに基づいて、試料に含まれる元素を分析する分析器と、を備えたものであればよい。また、助燃容器が、本体と、前記本体に対して取り付けられる蓋体と、を具備し、封入器が、不活性ガス雰囲気中で本体に対して蓋体を取り付けて、助燃容器内に試料を封入するように構成されていればよい。
【0036】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の組み合わせや、各実施形態の一部同士を組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0037】
100・・・元素分析装置
3 ・・・加熱炉
7 ・・・グローブボックス
9 ・・・助燃容器
91 ・・・本体
92 ・・・蓋体
93 ・・・嵌合構造
図1
図2