(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008877
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜、カラーフィルターおよび電子素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230112BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230112BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20230112BHJP
C09B 67/22 20060101ALI20230112BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20230112BHJP
C09B 57/02 20060101ALI20230112BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20230112BHJP
C07D 259/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C09B67/20 G
C09B67/22 Z
C09B57/00 X
C09B57/02 D
C09B57/00 Z
C07D413/14
C07D259/00
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103284
(22)【出願日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0087302
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 周 昊
(72)【発明者】
【氏名】金 善 大
(72)【発明者】
【氏名】辛 明 曄
(72)【発明者】
【氏名】李 珍 雅
(72)【発明者】
【氏名】張 春 根
(72)【発明者】
【氏名】鄭 義 樹
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4C063
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE09
2H148BE13
2H148BE14
2H148BE15
2H148BE16
2H148BE18
2H148BE22
2H148BF16
2H148BG01
2H148BG11
2H148BH05
2H148BH12
2H148BH13
2H225AC36
2H225AD06
2H225AE12P
2H225AM22P
2H225AN39P
2H225AN50P
2H225AN55P
2H225AN65P
2H225AN66P
2H225AN67P
2H225AN68P
2H225AN82P
2H225AN88P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA22P
2H225CA17
2H225CC01
2H225CC13
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC79
4C063DD52
4C063EE10
(57)【要約】
【課題】着色剤の含有量を最小限に抑えて色純度を高め、同時に耐久性の確保も可能な感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】着色剤を含む感光性樹脂組成物であって、前記着色剤は、下記化学式1で表される染料、コア-シェル構造の染料およびフタロシアニン系染料を含む感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターおよび前記カラーフィルターを含む電子素子が提供される。
前記化学式1中、各置換基は明細書に定義されたとおりである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を含む感光性樹脂組成物であって、
前記着色剤は、下記化学式1で表される染料、コアおよびシェルを有するコア-シェル構造の染料、ならびにフタロシアニン系染料を含む感光性樹脂組成物:
【化1】
前記化学式1中、
Xは、酸素原子または硫黄原子であり、
L
1は、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~41のアルキレン基であり、
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【請求項2】
前記化学式1中のL
1で表される基は、下記化学式L-1で表される基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化2】
前記化学式L-1中、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子で置換されているかもしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
*は、連結部位である。
【請求項3】
前記化学式1で表される染料は、下記化学式1-1~化学式1-3で表される染料のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】
【請求項4】
前記化学式1で表される染料は、前記コア-シェル構造の染料より多い含有量で含まれ、
前記化学式1で表される染料は、前記フタロシアニン系染料より多い含有量で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記フタロシアニン系染料は、前記コア-シェル構造の染料より多い含有量で含まれる、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記化学式1で表される染料は、前記コア-シェル構造の染料および前記フタロシアニン系染料の合計含有量より多い含有量で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記コア-シェル構造の染料は、下記化学式2で表されるコアおよび下記化学式3で表されるシェルから構成される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化4】
前記化学式2中、
R
7~R
10は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
【化5】
前記化学式3中、
R
11は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または*-C(=O)OR
16(*は連結部位であり、R
16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、
R
12~R
15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
mは、1~10の整数であり、
nは、0~3の整数であり、
L
2およびL
3は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。)
【請求項8】
前記化学式2で表されるコアの長さは、1nm~3nmである、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記化学式2で表されるコアは、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有する、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記化学式2で表されるコアは、下記化学式2-1~化学式2-6で表されるコアのうちの少なくとも1種である、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【化6】
【化7】
【請求項11】
前記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-1で表されるシェルである、請求項7に記載の感光性樹脂組成物:
【化8】
前記化学式3-1中、
R
11は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または*-C(=O)OR
16(*は連結部位であり、R
16は置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、
R
12~R
15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
nは、0~3の整数である。
【請求項12】
前記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-1-1~化学式3-1-3で表されるシェルのうちの少なくとも1種である、請求項7に記載の感光性樹脂組成物:
【化9】
【化10】
【化11】
前記化学式3-1-1~化学式3-1-3中、
R
12~R
15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R
17およびR
18は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR
16(*は連結部位であり、R
16は置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)である。
【請求項13】
前記化学式3で表されるシェルは、6.5Å~7.5Åのケージ幅を有する、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-A~化学式3-Eで表されるシェルのうちの少なくとも1種である、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【請求項15】
前記コア-シェル構造の染料は、前記コアおよび前記シェルを1:1のモル比で含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記フタロシアニン系染料は、下記化学式4で表される染料である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化17】
前記化学式4中、
R
101~R
116は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリールオキシ基であり、
ただし、R
101~R
104のうちの少なくとも1つ、R
105~R
108のうちの少なくとも1つ、およびR
109~R
112のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、下記化学式5で表される基であり、
R
113~R
116のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子または下記化学式5で表される基であり、
【化18】
前記化学式5中、
R
117およびR
118は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数2~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、1≦n1+n2≦5であり、
*は、連結部位である。
【請求項17】
前記化学式5で表される基は、下記化学式5-1~化学式5-4で表される基のうちの少なくとも1種である、請求項16に記載の感光性樹脂組成物。
【化19】
上記化学式5-1~5-4中、*は、連結部位である。
【請求項18】
前記着色剤は、顔料をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項19】
前記着色剤は、前記感光性樹脂組成物の総質量に対して1質量%~15質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項20】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項21】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総質量に対して、
前記着色剤 1質量%~15質量%;
前記バインダー樹脂 1質量%~20質量%;
前記光重合性単量体 1質量%~20質量%;
前記光重合開始剤 0.1質量%~10質量%;および
残部の前記溶媒;
を含む、請求項20に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項22】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基もしくは(メタ)アクリロキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項20に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなる感光性樹脂膜。
【請求項24】
請求項23に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルター。
【請求項25】
請求項24に記載のカラーフィルターを含む電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜、該感光性樹脂膜を含むカラーフィルターおよび該カラーフィルターを含む電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の1つである液晶ディスプレイ装置は、軽量化、薄形化、低価、低消費電力での駆動、および優れた集積回路との接合性などの長所を有しており、ノートパソコン、モニターおよびTV画像用としてその使用範囲が拡大している。このような液晶ディスプレイ装置は、ブラックマトリックス、カラーフィルター、およびITO(Indium Tin Oxide)画素電極が形成された下部基板と、液晶層、薄膜トランジスター、および蓄電キャパシター層で構成された能動回路部と、ITO画素電極が形成された上部基板とを含んで構成される。カラーフィルターは、画素間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリックス層、およびそれぞれの画素を形成するために複数の色、通常は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を定められた順序に配列した画素部が、順次に積層された構造を取っている。
【0003】
カラーフィルターを実現する方法の1つである顔料分散法は、黒色マトリックスが提供された透明な基質上に、着色剤を含有する光重合性組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶媒で除去して熱硬化させる一連の工程を繰り返すことによって着色薄膜が形成される方法である。顔料分散法によるカラーフィルターの製造に使用される着色感光性樹脂組成物は、一般的にアルカリ可溶性樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶媒、およびその他添加剤などを含む。顔料分散法は、携帯電話、ノートパソコン、モニター、TVなどのLCDの製造に活発に応用されている。しかし、最近は、多様な長所を有する顔料分散法を利用したカラーフィルター用感光性樹脂組成物においても、優れたパターン特性だけでなく、より向上した性能が要求されている。特に、高い色再現率と共に、高輝度および高明暗比の特性が至急に要求されている実情である。
【0004】
イメージセンサーは、携帯電話カメラやDSC(digital still camera)などで映像を生成する映像撮像素子部品をいい、その製作工程と応用方式により大きく固体撮像素子(charge coupled device、CCD)イメージセンサーと、相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)イメージセンサーとに分類することができる。固体撮像素子または相補性金属酸化物半導体に利用されるカラー撮像素子は、受光素子上に、赤色、緑色、および青色の加算混合原色のフィルターセグメント(filter segment)を備えたカラーフィルター(color filter)をそれぞれ設置し、色分解することが一般的である。最近、このようなカラー撮像素子に装着されるカラーフィルターのパターンの大きさは2μm以下で、既存のLCD用カラーフィルターパターンの1/100~1/200倍である。そのために、解像度の増加および残渣の減少が素子の性能を左右する重要な項目である。
【0005】
顔料型感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターでは、顔料粒子の大きさによる輝度と明暗比の限界が存在する。また、イメージセンサー用カラー撮像素子の場合には、微細なパターンの形成のために、より小さい分散粒度が要求される。このような要求に応えるために、顔料の代わりに粒子を形成しない染料を導入して、染料に適した感光性樹脂組成物を製造し、輝度と明暗比とが改善されたカラーフィルターを実現しようとする試みがある。しかし、染料の場合、顔料に比べて耐光性および耐熱性などの耐久性が劣るため、輝度の低下が憂慮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、着色剤の含有量を最小限に抑えて色純度を高め、同時に耐久性の確保も可能な感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、上記カラーフィルターを含む電子素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、着色剤を含む感光性樹脂組成物であって、
上記着色剤は、下記化学式1で表される染料、コア-シェル構造の染料およびフタロシアニン系染料を含む、感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
【0012】
上記化学式1中、
Xは、酸素原子または硫黄原子であり、
L1は、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~41のアルキレン基であり、
R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0013】
上記化学式1中のL1は、下記化学式L-1で表される基であることが好ましい。
【0014】
【0015】
上記化学式L-1中、
R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子で置換されているかもしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
*は、連結部位である。
【0016】
上記化学式1で表される染料は、下記化学式1-1~化学式1-3で表される染料の少なくとも1種であり得る。
【0017】
【0018】
上記化学式1で表される染料は、上記コア-シェル構造の染料より多い含有量で含まれ、上記化学式1で表される染料は、上記フタロシアニン系染料より多い含有量で含まれ得る。
【0019】
上記フタロシアニン系染料は、上記コア-シェル構造の染料より多い含有量で含まれ得る。
【0020】
上記化学式1で表される染料は、上記コア-シェル構造の染料の含有量および上記フタロシアニン系染料の含有量より多い含有量で含まれ得る。
【0021】
上記コア-シェル構造の染料は、下記化学式2で表されるコアおよび下記化学式3で表されるシェルから構成され得る。
【0022】
【0023】
上記化学式2中、
R7~R10は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
【0024】
【0025】
上記化学式3中、
R11は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、
R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
mは、1~10の整数であり、
nは、0~3の整数であり、
L2およびL3は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0026】
上記化学式2で表されるコアの長さは、1nm~3nmであり得る。
【0027】
上記化学式2で表されるコアは、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有することができる。
【0028】
上記化学式2で表されるコアは、下記化学式2-1~化学式2-6で表されるコアのうちの少なくとも1種であり得る。
【0029】
【0030】
【0031】
上記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-1で表されるシェルであり得る。
【0032】
【0033】
上記化学式3-1中、
R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、
R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
nは、0~3の整数である。
【0034】
上記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-1-1~化学式3-1-3で表されるシェルのうちの少なくとも1種であり得る。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
上記化学式3-1-1~化学式3-1-3中、
R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R17およびR18は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)である。
【0039】
上記化学式3で表されるシェルは、6.5Å~7.5Åのケージ幅を有することができる。
【0040】
上記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-A~化学式3-Eで表されるシェルのうちの少なくとも1種であり得る。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
上記コア-シェル構造の染料は、上記コアおよび上記シェルを1:1のモル比で含むことができる。
【0047】
上記フタロシアニン系染料は、下記化学式4で表される染料であり得る。
【0048】
【0049】
上記化学式4中、
R101~R116は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリールオキシ基であり、
ただし、R101~R104のうちの少なくとも1つ、R105~R108のうちの少なくとも1つ、およびR109~R112のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、下記化学式5で表される基であり、
R113~R116のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子または下記化学式5で表される基であり、
【0050】
【0051】
上記化学式5中、
R117およびR118は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数2~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、1≦n1+n2≦5であり、
*は、連結部位である。
【0052】
上記化学式5で表される基は、下記化学式5-1~化学式5-4で表される基のうちの少なくとも1種であり得る。
【0053】
【0054】
上記化学式5-1~5-4中、*は、連結部位である。
【0055】
上記着色剤は、顔料をさらに含むことができる。
【0056】
上記着色剤は、上記感光性樹脂組成物の総質量に対して1質量%~15質量%の含有量で含まれ得る。
【0057】
上記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。
【0058】
上記感光性樹脂組成物は、上記感光性樹脂組成物の総質量に対して、上記着色剤1質量%~15質量%;上記バインダー樹脂1質量%~20質量%;上記光重合性単量体1質量%~20質量%;上記光重合開始剤0.1質量%~10質量%;および残部の上記溶媒を含むことができる。
【0059】
上記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基もしくは(メタ)アクリロキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0060】
本発明の他の実施形態によれば、上記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0061】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0062】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記カラーフィルターを含む電子素子を提供する。
【0063】
その他、本発明の実施形態の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、着色剤の含有量を最小限に抑え色純度を高めて、同時に耐久性の確保も可能な感光性樹脂組成物が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】化学式3-Eで表されるシェルのケージ幅(cage width)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0067】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」とは、化合物中の少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0068】
本明細書で特別な言及がない限り、「ヘテロシクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルケニル基」、「ヘテロシクロアルキニル基」、および「ヘテロシクロアルキレン基」とは、それぞれ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、およびシクロアルキレンの環内に少なくとも1つのN(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)またはP(リン原子)のヘテロ原子が存在することを意味する。
【0069】
本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方共に可能であることを意味する。
【0070】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。
【0071】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0072】
また、本明細書で特別な言及がない限り、「*」は、同一もしくは異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0073】
本発明による感光性樹脂組成物は、着色剤を含み、当該着色剤は、下記化学式1で表される染料、コア-シェル構造の染料、およびフタロシアニン系染料を含む。
【0074】
【0075】
上記化学式1中、
Xは、酸素原子または硫黄原子であり、
L1は、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~41のアルキレン基であり、
R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~C20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0076】
CMOSイメージセンサー(CMOS image Sensor)とは、カメラが受け入れたイメージをデジタル信号に変換する非メモリ半導体をいい、DRAMと同じCMOS半導体工程で製造される。構造は、カラーフィルター、フォトダイオード、増幅器などのピクセル(Pixel)の集合体構造となっており、高画質、超スリムカメラモジュールの実現のためには、カラーフィルター技術の確保が肝心である。カラーフィルター技術は、高解像度と高感度材料とが要求され、この2つの特性を満足するためには、ネガティブフォトレジストの特性と感度とを制御できる特定波長の光をカットできなければならない。
【0077】
特定波長の光をカットするために、従来、波長に最も類似する顔料を選択して比率を上げて波長を制御する技術を使用した。しかし、この場合、フォトレジスト内の着色剤の含有量が増加して、加工性および信頼性が低下するため、実際の工程に適用されないか、所望する特性に合わせることができないことが大半であった。
【0078】
本発明は、上記の問題点を改善して、所望するカット特性を有する感光性樹脂組成物を提供する。具体的には、本発明の感光性樹脂組成物は、青色と緑色との間にある青緑色領域を、上記化学式1で表される染料の波長を調節してカットし、緑色と青色との間の黄色領域は、上記コア-シェル構造の染料を適用してカットを行って、緑色の色純度を上げることができる。さらには、フタロシアニン系染料を上記2種の染料と共に適用することによって、耐久性まで確保することができる。そして、このような3種の染料の組み合わせにより、着色剤の使用量を大幅に減らすことができる。
【0079】
つまり、本発明による感光性樹脂組成物は、特定の染料の組み合わせを通じて、着色剤の添加量が少量で済み、薄い厚さで加工性および信頼性を確保することができる。このため、LCDおよびCIS用加工材料に最適化されることで、透過度が低下することなく、色純度を向上させることができ、このような効果は、既存の技術との大きな差であるといえる。
【0080】
例えば、上記化学式1中、L1は、下記化学式L-1で表される基であり得る。
【0081】
【0082】
上記化学式L-1中、
R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子で置換されているかもしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
*は、連結部位である。
【0083】
例えば、上記化学式1で表される染料は、下記化学式1-1~化学式1-3で表される染料のうちの少なくとも1種であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0084】
【0085】
例えば、上記化学式1で表される染料は、上記コア-シェル構造の染料より多い含有量で含まれ得、上記化学式1で表される染料は、上記フタロシアニン系染料より多い含有量で含まれ得る。この場合、色純度および耐久性が共に確保しやすくなる。
【0086】
さらに、上記フタロシアニン系染料は、上記コア-シェル構造の染料より多い含有量で含まれ得る。具体的には、上記化学式1で表される染料は、上記フタロシアニン系染料より多い含有量で含まれ得、上記フタロシアニン系染料は、上記コア-シェル構造の染料より多い含有量で含まれ得、上記化学式1で表される染料は、上記コア-シェル構造の染料および上記フタロシアニン系染料の合計の含有量より多い含有量で含まれ得る。この場合、色純度および耐久性が共により確保しやすくなる。
【0087】
例えば、上記コア-シェル構造の染料は、下記化学式2で表されるコアおよび下記化学式3で表されるシェルから構成され得る。
【0088】
【0089】
上記化学式2中、
R7~R10は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~C20アリール基である;
【0090】
【0091】
上記化学式3中、
R11は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、
R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
mは、1~10の整数であり、
nは、0~3の整数であり、
L2およびL3は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0092】
例えば、上記コア-シェル構造の染料は、上記化学式2で表される化合物(コア)の酸素原子と、上記化学式3で表されるシェルの窒素原子と結合をなしている水素原子との間の非共有結合、つまり、水素結合を含むことができる。
【0093】
上記化学式2で表される化合物は、優れた緑色分光特性と高いモル吸光係数とを有しているため、緑色染料で使用することができる。しかし、顔料に比べて耐久性が劣り、カラーレジストを製造した後、ベーキング工程で輝度の低下が発生する問題がある。本発明では、上記化学式3で表されるシェルが上記化学式2で表される化合物をコアにしてコア-シェル構造をなすようにすることによって、コア-シェル構造の化合物が着色剤として適用されたカラーフィルターの耐久性を向上させることができ、そのために高輝度および高明暗比のカラーフィルターを実現することができる。
【0094】
具体的に、コア-シェル構造の染料は、上記化学式2で表される化合物であるコアと、このコアを囲むシェルとからなる構造を有し、シェルは、上記化学式3で表される巨大環状化合物であって、コアを囲みながらコーティング層を形成することができる。このような構造によって、つまり、上記化学式3で表される環の内部に、上記化学式2で表される化合物が存在する構造を有することによって、コア-シェル構造を有する染料の耐久性を向上させることができ、そのために高輝度および高明暗比のカラーフィルターを実現することができる。
【0095】
例えば、上記化学式3中、L2およびL3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり得る。この場合、溶解度に優れ、シェルが上記化学式2で表される化合物(コア)を囲む構造を形成しやすい。
【0096】
例えば、上記化学式2で、R7およびR9は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基であり、上記R8およびR10は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20のアリール基であり得る。
【0097】
例えば、上記R7およびR9は、それぞれ独立して、「炭素数1~10のアルコキシ基で置換されているかもしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基」または「炭素数1~10のアルコキシ基で置換されているかもしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基」であり得、上記R8およびR10は、それぞれ独立して、「炭素数1~10のアルキル基で置換されているかまたは非置換の炭素数6~20のアリール基」であり得る。
【0098】
例えば、上記炭素数1~10のアルコキシ基は、非置換の炭素数1~10のアルコキシ基または炭素数1~4のアルキル基で置換された炭素数1~6のアルコキシ基であり得る。
【0099】
上記化学式2で表される化合物は、下記構造式に示すように、3種類の共鳴構造を有するが、本明細書では便宜上1種類の共鳴構造のみで上記化学式2で表される化合物を表した。つまり、上記化学式2で表される化合物は、下記3種類の共鳴構造のうちのいずれか1つで表され得る。
【0100】
【0101】
例えば、上記コアは、下記化学式2-1~化学式2-6で表されるコアのうちの少なくとも1種であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0102】
【0103】
【0104】
例えば、上記化学式2-1~化学式2-6で表される化合物(コア)が感光性樹脂組成物内で(例えば染料で)使用される場合、後述する溶媒に対する溶解度が5以上、例えば5~10であり得る。当該溶解度は、溶媒100gに溶ける染料(化合物)の量(g)で得ることができる。化合物(例えば染料)の溶解度が、上記範囲内である場合、感光性樹脂組成物内の他の成分、つまり、後述するバインダー樹脂、光重合性単量体、および光重合開始剤との相溶性および着色力を確保することができ、染料の析出が防止され得る。
【0105】
例えば、上記化学式2-1~化学式2-6で表される化合物は、優れた耐熱性を有することができる。つまり、熱重量分析(TGA)で測定した際の熱分解温度が200℃以上、例えば200℃~300℃であり得る。
【0106】
例えば、上記コアに含まれる、または上記コアを構成する上記化学式2で表される化合物の長さは、1nm~3nm、例えば1.5nm~2nmであり得る。上記化学式2で表される化合物が上記範囲内の長さを有する場合、コア-シェル構造を容易に形成することができる。言い換えると、上記化学式2で表される化合物が上記範囲内の長さを有することによって、上記化学式3で表される巨大環状化合物であるシェルが、上記化学式2で表される化合物を囲む構造を容易に形成することができる。上記範囲の長さに該当しない他の化合物を使用する場合、上記シェルがコアとなる化合物を囲む構造を形成し難いため、耐久性の改善を期待し難い。
【0107】
例えば、上記コア-シェル構造の化合物は、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有することができる。このような分光特性を有するコア-シェル構造の染料を緑色染料として使用することによって、高輝度および高明暗比を有するカラーフィルター用感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0108】
例えば、上記コア-シェル構造の化合物は、上記コアおよび上記シェルを1:1のモル比で含むことができる。上記コアおよび上記シェルが上記のモル比で存在する場合、コアを囲むコーティング層(シェル)が良好に形成され得る。
【0109】
例えば、上記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-1で表されるシェルであり得る。
【0110】
【0111】
上記化学式3-1中、
R11は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、
R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
nは0~3の整数である。
【0112】
例えば、上記化学式3-1中で、R11は水素原子であり、R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子であり得る。
【0113】
例えば、上記化学式3-1中、R11は、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子であり得る。
【0114】
例えば、上記化学式3-1中のR11は、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)であり、R12~R15のうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり得る。
【0115】
例えば、上記化学式3で表されるシェルは、下記化学式3-1-1~化学式3-1-3で表されるシェルのうちの少なくとも1種であり得る。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
上記化学式3-1-1~化学式3-1-3中、
R12~R15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R17およびR18は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-C(=O)OR16(*は連結部位であり、R16は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)である。
【0120】
例えば、上記シェルのケージ幅(cage width)は、6.5Å~7.5Åであり得、上記シェルの体積は、10Å~16Åであり得る。本願でケージ幅(cage width)とは、シェル内部の距離、例えば上記化学式3で表されるシェルであれば、両側にメチレン基が連結された、互いに異なる2個のフェニレン基の間の距離を意味する(
図1参照)。上記シェルが上記範囲内のケージ幅を有する場合、スクアリリウム系化合物を囲む構造のコア-シェル染料を得ることができ、そのために、上記コア-シェル染料を、感光性樹脂組成物を構成する着色剤で使用することによって、耐久性に優れ、高輝度を有するカラーフィルターを実現することができる。
【0121】
例えば、上記シェルは、下記化学式3-A~化学式3-Eで表されるシェルのうちの少なくとも1種であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
例えば、上記コア-シェル構造の染料は、下記化学式A-1または化学式A-2で表される染料が、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0128】
【0129】
上記コア-シェル染料は、緑色染料であって、単独で使用することもでき、また調色染料と混合して使用することもできる。
【0130】
上記調色染料としては、例えば、トリアリールメタン系染料、アントラキノン系染料、ベンジリデン系染料、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アザポルフィリン系染料、インディゴ系染料、キサンテン系染料、ピリドンアゾ系染料などが挙げられる。
【0131】
例えば、上記フタロシアニン系染料は、下記化学式4で表される染料であり得る。
【0132】
【0133】
上記化学式4中、
R101~R116は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリールオキシ基であり、
ただし、R101~R104のうちの少なくとも1つ、R105~R108のうちの少なくとも1つ、およびR109~R112のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、下記化学式5で表される基であり、
R113~R116のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子または下記化学式5で表される基であり、
【0134】
【0135】
上記化学式5中、
R117およびR118は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数2~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、1≦n1+n2≦5であり、
*は、連結部位である。
【0136】
例えば、上記化学式5で表される基は、下記化学式5-1~化学式5-4で表される基のうちの少なくとも1種であり得る。
【0137】
【0138】
上記化学式5-1~5-4中、*は、連結部位である。
【0139】
例えば、上記フタロシアニン系染料は、下記化学式6~化学式8で表される染料のうちの少なくとも1種であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0140】
【0141】
上記着色剤は、顔料をさらに含むことができる。
【0142】
上記顔料としては、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、黒色顔料などを使用することができる。
【0143】
赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド89などが挙げられる。緑色顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59などが挙げられる。青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16などの銅フタロシアニン顔料が挙げられる。黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150などのようなニッケル錯体顔料などが挙げられる。黒色顔料の例としては、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、カーボンブラックなどが挙げられる。顔料は、これらを単独で使用することができまたは2種以上を混合して使用することもでき、これらの例に限定されるものではない。
【0144】
顔料は、分散液の形態でカラーフィルター用感光性樹脂組成物に含まれ得る。このような顔料分散液は、顔料と、溶媒、分散剤、分散樹脂などを含むことができる。
【0145】
溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができ、これらのうち、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0146】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散されるように助け、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の分散剤を全て使用することができる。具体的にはポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独でもまたは2種以上を混合しても使用することができる。
【0147】
分散樹脂は、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を使用することができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善させることができる。
【0148】
ただし、本発明による感光性樹脂組成物に含まれる着色剤は、上記3種の染料だけで構成されることもでき、この場合、顔料を追加的に含む場合と比較して、耐久性低下などの問題が発生しない。つまり、顔料なしに上記3種の染料だけで構成された着色剤を使用する場合、着色剤の使用量を大幅に減らすことができるため、薄い厚さでも加工性および信頼性の確保が可能になり得る。
【0149】
着色剤は、上記感光性樹脂組成物の総質量に対して1質量%~15質量%、例えば1質量%~10質量%、例えば1質量%~5質量%、例えば1質量%~3質量%の含有量で含まれ得る。着色剤の含有量が上記範囲内である場合、所望する色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0150】
本発明による感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂をさらに含むことができる。
【0151】
バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂(アクリル系バインダー樹脂)であり得る。
【0152】
第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0153】
第1エチレン性不飽和単量体は、バインダー樹脂の総質量に対して5質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%の含有量で含まれ得る。
【0154】
第2エチレン性不飽和単量体の例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0155】
バインダー樹脂の具体的な例としては、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0156】
バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであり得る。バインダー樹脂の重量平均分子量が上記の範囲である場合、基板との密着性に優れ、物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切である。
【0157】
バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであり得る。バインダー樹脂の酸価が前記範囲内である場合、優れたピクセルの解像度を得ることができる。なお、当該酸価は、
バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂と共に、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことができる。
【0158】
エポキシ系バインダー樹脂は、熱により重合され得るモノマー(monomer)またはオリゴマー(oligomer)であり、炭素-炭素不飽和結合および炭素-炭素環状結合を有する化合物などを含むことができる。
【0159】
エポキシ系バインダー樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂および脂肪族ポリグリシジルエーテルなどがさらに含まれ得る。
【0160】
このような化合物の市販品として、三菱ケミカル株式会社製のjER(登録商標、以下同じ)YX4000、jER YX4000H、jER YL6121H、jER YL6640、jER YL6677;日本化薬株式会社製のEOCN-102、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020、EOCN-1025、EOCN-1027、および三菱ケミカル株式会社製のjER 180S75;ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱ケミカル株式会社製のjER 1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010および828;ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては三菱ケミカル株式会社製のjER 807および834;フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては三菱ケミカル株式会社製のjER 152、154、157H65および日本化薬株式会社製のEPPN201、202;その他の環状脂肪族エポキシ樹脂としてはCIBA-GEIGY A.G社製のCY175、CY177およびCY179、U.C.C社製のERL-4234、ERL-4299、ERL-4221およびERL-4206、昭和電工株式会社製のショーダイン509、CIBA-GEIGY A.G社製のアラルダイト(登録商標)CY-182、CY-192およびCY-184、DIC株式会社製のエピクロン(登録商標、以下同じ)200および400、三菱ケミカル株式会社製のjER 871,872およびEP1032H60、セルラニズコーティング株式会社製のED-5661およびED-5662;脂肪族ポリグリシジルエーテルとしては三菱ケミカル株式会社製のjER 190Pおよび191P、共栄社化学株式会社製のエポライト100MF、日油株式会社製のエピオール(登録商標、以下同じ)TMPなどが挙げられる。
【0161】
バインダー樹脂は、上記感光性樹脂組成物の総質量に対して1質量%~20質量%、例えば1質量%~15質量%の含有量で含まれ得る。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内である場合、カラーフィルターの製造時に現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑性を得ることができる。
【0162】
本発明による感光性樹脂組成物は、光重合性単量体をさらに含むことができる。
【0163】
光重合性単量体は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0164】
光重合性単量体は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こし、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0165】
光重合性単量体の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0166】
光重合性単量体の市販品の例は、次のとおりである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックス(登録商標、以下同じ)M-101、同M-111、同M-114など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標、以下同じ) TC-110S、同TC-120Sなど;大阪有機化学工業株式会社製のV-158、V-2311などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210、同M-240、同M-6200など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA、同HX-220、同R-604など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312、V-335HPなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309、同M-400、同M-405、同M-450、同M-7100、同M-8030、同M-8060など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA、同DPCA-20、同-30、同-60、同-120など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295、同-300、同-360、同-GPT、同-3PA、同-400などが挙げられる。上記の製品は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0167】
光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0168】
光重合性単量体は、上記感光性樹脂組成物の総質量に対して1質量%~20質量%、例えば1質量%~15質量%の含有量で含まれ得る。光重合性単量体の含有量が上記範囲内である場合、カラーフィルターの製造時にパターン特性および現像性に優れている。
【0169】
本発明による感光性樹脂組成物は、光重合開始剤をさらに含むことができる。
【0170】
光重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などを使用することができる。
【0171】
アセトフェノン系の化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0172】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0173】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0174】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0175】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-トリクロロメチル(ピペロニル)-6-トリアジン、2-4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジンなどが挙げられる。
【0176】
オキシム系化合物の例としては、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンなどが挙げられる。
【0177】
光重合開始剤は、上記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0178】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、例えば0.1質量%~5質量%の含有量で含まれ得る。光重合開始剤の含有量がこの範囲内に含まれる場合、カラーフィルター製造のためのパターン形成工程において、露光時に光重合が十分に起こるようになって感度に優れ、透過率が改善される。
【0179】
本発明による感光性樹脂組成物は、溶媒をさらに含むことができる。
【0180】
溶媒の種類は、特に制限されず、具体的に例を挙げれば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸アルキルエステル類;メチルヒドロキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、ブチルヒドロキシアセテートなどのヒドロキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシメチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシメチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどの酢酸アルコキシアルキルエステル類;メチル3-ヒドロキシプロピオネート、エチル3-ヒドロキシプロピオネートなどの3-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネートなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、プロピル2-ヒドロキシプロピオネートなどの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-エトキシプロピオネート、メチル2-エトキシプロピオネートなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-エトキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチルプロピオネート、2-ヒドロキシ-2-メチルエチルプロピオネート、ヒドロキシエチルアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエートなどのエステル類;またはピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類の化合物があり、またN-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フェニルセロソルブアセテートなどがあり、これらを単独でもまたは2種以上を混合しても使用することができる。
【0181】
溶媒中の混和性および反応性などを考慮すれば、好ましい溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシエチルプロピオネートなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類当が挙げられる。
【0182】
溶媒は、上記感光性樹脂組成物の総質量に対して残部量で含まれ得、具体的には35質量%~90質量%の含有量で含まれ得る。溶媒の含有量がこの範囲内である場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、厚さ3μm以上の膜で優れた平坦性を維持することができる。
【0183】
一方、感光性樹脂組成物は、塗布時に染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリロキシ基を含むシラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;ラジカル重合開始剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0184】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するために、エポキシ化合物などの添加剤をさらに含むことができる。
【0185】
エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0186】
添加剤の含有量は、所望する物性により容易に調節することができる。
【0187】
本発明の他の実施形態は、前述した感光性樹脂組成物を硬化してなる感光性樹脂膜を提供する。
【0188】
また、本発明のさらに他の実施形態は、上記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。カラーフィルターの製造方法は、次のとおりである。
【0189】
何も塗布されていないガラス基板上に、または保護膜であるSiNxが500Å~1500Åの厚さに塗布されているガラス基板上に、前述したカラーフィルター用感光性樹脂組成物をスピンコーティング、スリットコーティングなどの適切な方法を使用し、3.1μm~3.4μmの厚さにそれぞれ塗布する。塗布後には、カラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。光を照射した後、塗布層をアルカリ現像液で処理すれば塗布層の未照射部分が溶解され、カラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を、必要なR、G、B色の数により繰り返して行うことによって、所望するパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。
【0190】
また、上記の工程で、現像により得られた画像パターンを再び加熱したりまたは活性線照射などにより硬化することによって、耐クラック性、耐溶剤性などをより向上させることができる。
【0191】
また、本発明の他の実施形態は、上記カラーフィルターを含む電子素子、例えばディスプレイ装置、カメラなどを提供する。
【実施例0192】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は、本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0193】
(染料の製造)
(製造例1:化学式1-1で表される化合物の製造)
7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボアルデヒド(7-(Diethylamino)-2-oxo-2H-chromene-3-carbaldehyde)8.15mmol、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis(3-amino-4-hydroxyphenyl)hexafluoropropane)4.08mmol、および酢酸ナトリウム163mmolを酢酸40mLに溶解して、90℃で10時間攪拌・反応を行った。次に、反応混合物に200mLの水を入れた。できた沈殿物をろ過して、ジクロロメタン(diloromethane)に溶解して、水と共に分液漏斗に入れて洗浄した。
【0194】
分液漏斗から回収したジクロロメタン(dichlromethane)層をMgSO4により乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、下記化学式1-1で表される化合物を得た。
【0195】
【0196】
(製造例2:化学式1-2で表される化合物の製造)
7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボアルデヒド(7-(Diethylamino)-2-oxo-2H-chromene-3-carbaldehyde)の代わりに、7-(4-(2-イソブチル-2,4-ジメチルフェニル)アミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボアルデヒド(7-(4-(2-isobutyl-2,4-dimetylphenyl)amino)-2-oxo-2H-chromene-3-carbaldehyde)を使用したことを除き、製造例1と同様にして、下記化学式1-2で表される化合物を得た。
【0197】
【0198】
(製造例3:化学式1-3で表される化合物の製造)
7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボアルデヒド(7-(Diethylamino)-2-oxo-2H-chromene-3-carbaldehyde)の代わりに、7-(4-ジフェニルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルブアルデヒド(7-(4-diphenylamino)-2-oxo-2H-chromene-3-carbaldehyde)を使用したことを除き、製造例1と同様にして、下記化学式1-3で表される化合物を得た。
【0199】
【0200】
(製造例4:化学式A-1で表される化合物の製造)
2,4-ジメチルジフェニルアミン(10mol)、1,2-エポキシシクロヘキサン(12mol)、および水素化ナトリウム(12mol)をN,N-ジメチルホルムアミドに入れ、90℃で加熱して24時間攪拌した。追加的にヨードメチル15mmolを投入後、3時間攪拌した。
【0201】
得られた溶液に酢酸エチルを入れ、水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、中間体1の化合物を得た。
【0202】
中間体1(60mmol)、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブチン-1,2-ジオン(30mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れ、還流して生成される水をディーンスターク(Dean-stark)蒸留装置で除去した。12時間攪拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体2の化合物を得た。
【0203】
中間体2(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、トリエチルアミン(50mmol)を入れ、溶液を得た。別途、2,6-ピリジンジカルボニルジクロリド(2,6-pyridinedicarbonyl dichloride)(20mmol)およびp-キシレンジアミン(p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、上記溶液に対して、常温で5時間同時に滴下した。12時間後、減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して、下記化学式A-1で表される化合物を得た。
【0204】
【0205】
(製造例5:化学式A-2で表される化合物の製造)
中間体2の合成までは、製造例4と同様にして合成を行った。中間体2(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、トリエチルアミン(50mmol)を入れ、溶液を得た。別途、2,6-ピリジンジカルボニルジクロリド(2,6-pyridinedicarbonyl dichloride)(20mmol)およびテトラフルオロ-p-キシレンジアミン(Tetrafluoro-p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、上記溶液に対して、常温で5時間同時に滴下した。12時間後、減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して、下記化学式A-2で表される化合物を得た。
【0206】
【0207】
(製造例6:化学式6で表される化合物の製造)
100mlフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(3,4,5,6-tetrachlorophthalonitrile)(5g)、2,4-ジ-t-ブチルフェノール(2,4-di-t-butylphenol)(3.8g)、K2CO3(3.898g)、およびN,N-ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide)(50ml)を入れ、70℃で加熱しながら攪拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、溶離液が酢酸エチル/ヘキサンであるカラムクロマトグラフィー(column chromatography)を用いて精製し、得られた液体を濃縮して固体を得た。得られた固体を真空乾燥して、3,5,6-トリクロロ-4-(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-フタロニトリル(3,5,6-Trichloro-4-(2,4-di-tert-butylphenoxy)-phthalonitrile)を得た。
【0208】
100mlフラスコに、3,5,6-トリクロロ-4-(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-フタロニトリル(3,5,6-Trichloro-4-(2,4-di-tert-butylphenoxy)-phthalonitrile)(1.45g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(1,8-Diazabicycloundec-7-ene)(0.38g)、および1-ペンタノール(7g)を入れて90℃で加熱して、固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.15g)を入れて、140℃で継続して加熱しながら攪拌した。反応終了後、メタノールで沈殿物をろ過した後、真空乾燥した。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた固体に少量のジクロロメタンを入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化させた。この際、得られた固体をろ過して真空乾燥して、下記化学式6で表される化合物を得た。
【0209】
【0210】
(製造例7:化学式7で表される化合物の製造)
100mlフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(3,4,5,6-tetrachlorophthalonitrile)(5g)、2-フェニルフェノール(2-Phenylphenol)(3.21g)、K2CO3(3.9g)、およびアセトン(25ml)を入れて70℃で加熱しながら攪拌した。反応終了後、ろ過を行い、アセトンで洗浄して、得られた液体を蒸留した。蒸留後に得られた固体を少量のジクロロメタンに溶かした後、ヘキサンで数回洗浄し、ろ過後、真空乾燥して、4-(ビフェニル-2-イロキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(4-(Biphenyl-2-yloxy)-3,5,6-trichloro-phthalonitrile)を得た。
【0211】
100mLフラスコに、4-(ビフェニル-2-イロキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(4-(Biphenyl-2-yloxy)-3,5,6-trichloro-phthalonitrile)(1.6g)、3,4,6-トリクロロ-5-2,6-ジクロロ-フェノキシ)-フタロニトリル(3,4,6-Trichloro-5-2,6-dichloro-phenoxy)-phthalonitrile)(1.5g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(1,8-Diazabicycloundec-7-ene)(1.74g)および1-ペンタノール(14g)を入れて90℃で加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.34g)を入れて140℃で加熱しながら攪拌した。反応終了後、メタノールで沈澱を確認し、ろ過後、真空乾燥して、乾燥された固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製後、得られた固体にジクロロメタンを適宜入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化させた。結晶化された固体をろ過して真空乾燥して、下記化学式7で表される化合物を得た。
【0212】
【0213】
(製造例8:化学式8で表される化合物の製造)
100mlフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(3,4,5,6-tetrachlorophthalonitrile)(5g)、2-シクロヘキシルフェノール(2-cyclohexylphenol)(3.3143g)、K2CO3(3.898g)およびN,N-ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide)(50ml)を入れて70℃で加熱しながら攪拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、溶離液が酢酸エチル/ヘキサンであるカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、得られた液体を濃縮して固体を得た。得られた固体を真空乾燥して、3,5,6-トリクロロ-4-(2-シクロヘキシルフェノキシ)-フタロニトリル(3,5,6-Trichloro-4-(2-cyclohexylphenoxy)-phthalonitrile)を得た。
【0214】
100mlフラスコに、3,5,6-トリクロロ-4-(2-シクロヘキシルフェノキシ)-フタロニトリル(3,5,6-Trichloro-4-(2-cyclohexylphenoxy)-phthalonitrile)(1.5g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(3,4,5,6-tetrachlorophthalonitrile)(0.33g))、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(1,8-Diazabicycloundec-7-ene)(1.3g)、およに1-ペンタノール(15ml)を入れて90℃で加熱し、固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.23g)を入れて140℃で継続して加熱しながら攪拌した。反応終了後、メタノールで沈殿物をろ過した後、真空乾燥し、乾燥された固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた固体に少量のジクロロメタンを入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化させた。この際、得られた固体をろ過して真空乾燥して、下記化学式8で表される化合物を得た。
【0215】
【0216】
(感光性樹脂組成物の製造)
感光性樹脂組成物の製造に使用される成分の仕様は次のとおりである:
(A)着色剤
(染料)
(A1)製造例1で製造された染料(化学式1-1で表される)
(A2)製造例2で製造された染料(化学式1-2で表される)
(A3)製造例3で製造された染料(化学式1-3で表される)
(A4)製造例4で製造された染料(化学式A-1で表される)
(A5)製造例5で製造された染料(化学式A-2で表される)
(A6)製造例6で製造された染料(化学式6で表される)
(A7)製造例7で製造された染料(化学式7で表される)
(A8)製造例8で製造された染料(化学式8で表される)
(顔料)
(A9)C.I.ピグメントグリーン58(山陽色素株式会社製)
(A10)C.I.ピグメントイエロー138(山陽色素株式会社製)
(B)バインダー樹脂
(B1)アクリル系バインダー樹脂(RY25、昭和電工株式会社製)
(B2)エポキシ系バインダー樹脂(EHPE3150、株式会社ダイセル製)
(C)光重合性単量体
ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製)
(D)光重合開始剤
SPI-03(SAMYANG社製)
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)。
【0217】
(実施例1~実施例6および比較例1~比較例4)
下記表1の組成で各成分を混合して感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、溶媒に光重合開始剤を溶解した後、常温で2時間攪拌し、着色剤を投入して30分間攪拌した。その後、バインダー樹脂と光重合性単量体とを添加して常温で2時間攪拌した。得られた溶液に対して、3回ろ過を行って不純物を除去し、感光性樹脂組成物を製造した。
【0218】
【0219】
(評価)
評価:信頼性の評価
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に、1μm~3μmの厚さに実施例1~実施例6および比較例1~比較例4で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に365nmの波長を有する高圧水銀ランプを使用して露光した後、200℃のオーブンで60時間乾燥させた。その後、接触式測定器(KLA-Tencor社製)を利用して厚さを測定し、膜厚測定用途マルチチャンネル分光器(MCPD、大塚電子株式会社製)を利用して透過度を評価し、その結果を下記表2に示した。
【0220】
【0221】
上記表2から明らかなように、本発明による感光性樹脂組成物は、薄い厚さにおいても透過度に優れるため、加工性および信頼性に優れていることを確認することができ、透過度の低下がないため、色純度にも優れていることを容易に予測することができる。
【0222】
本発明は、上記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるはずである。したがって、上記した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。