(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089298
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】アデノ随伴ウイルス精製方法
(51)【国際特許分類】
C12N 7/02 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
C12N7/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072157
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2020536656の分割
【原出願日】2018-12-27
(31)【優先権主張番号】62/611,709
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フィードラー
(72)【発明者】
【氏名】マインハルト ハシュラヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ヤドランカ コーエン
(57)【要約】
【課題】アデノ随伴ウイルス(AAV)産物を産生する方法及びアデノ随伴ウイルスを精製する方法を本明細書に提供する。
【解決手段】AAVがアフィニティ樹脂に負荷され、洗浄ステップが行われ、AAVがアフィニティ樹脂から溶出される。様々な緩衝液が、洗浄ステップ及び溶出における使用について開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アデノ随伴ウイルス(AAV)を精製する方法であって、
(a)AAV含有溶液を、AAVを標的としたアフィニティ樹脂上に、前記溶液中の前記AAVと前記アフィニティ樹脂との間の結合を可能にする伝導下で負荷することと、
(b)少なくとも2つの洗浄ステップを行うことと、
(c)前記AAVを前記アフィニティ樹脂から溶出させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記AAV含有溶液を陰イオン交換体と接触させることと、前記AAV含有溶液を前記アフィニティ樹脂に負荷する前に前記陰イオン交換体から前記AAV含有溶液を溶出させることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記洗浄ステップのうちの少なくとも1つが、有機溶媒または界面活性剤を含む緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記緩衝液がTrisHCl及び塩を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記緩衝液が、ヒスチジン、ヒスチジン-HCl、アルギニン-HCl、リジン-HCl、グリシン、タウリン、MES-Na、Bis-Tris、及びN-アセチル-D,L-トリプトファンのうちの1つ以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記塩がNaClである、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記緩衝液が酢酸ナトリウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記緩衝液が塩化マグネシウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記緩衝液がTrisHCl及びエチレングリコールを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記緩衝液が、アルギニン-HClならびにスクロース及びグリセロールのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記緩衝液がタウリン及びエチレングリコールを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記緩衝液が、アルギニン-HCl、リジン-HCl、及びヒスチジン-HClを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記緩衝液がTrisHCl及びDMSOを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも3つの洗浄ステップが実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
3つの洗浄ステップが実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記3つの洗浄ステップが連続して実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶媒または界面活性剤が、ポリソルベート80、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、DMSO、スクロース、またはトレハロースである、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記界面活性剤がTriton X100、ポリソルベート80、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記緩衝液がBis-Trisを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の洗浄ステップが、約50~約2000mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約30~約200mMのTrisHCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約30~約200mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項21】
第1の洗浄ステップが、約50~約500mMの2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES-Na)のナトリウム塩と、約3~約30mMのEDTAと、ポリソルベート80、DMSO、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)を含む溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約30~約200mMのTrisHClまたはアルギニン-HCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20~約80mMのアルギニン-HCl及び約50~約200mMの塩を含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項22】
第1の洗浄ステップが、約50~約200mMのタウリン及び0.2~1.5%のPEG(例えば、PEG 6000)を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが約30~約300mMのグリシンを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20~約150mMのタウリン、約30~約75体積%のエチレングリコール、及び0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシドを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項23】
第1の洗浄ステップが、約80~約400mMのBis-Trisと、約11:3:3の比率(重量による)でTriton-X100、ポリソルベート80、及びTNBPを含む約10~約20グラムの溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが約5~約20mmolのクエン酸ナトリウムを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約50~約200mMのアルギニン-HCl、約50~約200mMのリジンHCl、約50~約200mMのヒスチジン-HCl、及び約1mM~約4mMのN-アセチル-D,L-トリプトファン、及び約10%~約40%(w/w)のポリソルベート80を含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項24】
第1の洗浄ステップが、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200nMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20mM~約100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項25】
第1の洗浄ステップが、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200nMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20mM~約100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記塩が、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムうちの1つ以上の組み合わせから選択される、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記塩がNaClである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記塩の濃度が500mMを超えない、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記塩の濃度が200mMを超えない、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第3の緩衝液中の塩の濃度が500mMを超えない、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第3の緩衝液中の塩の濃度が200mMを超えない、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、前記第4の緩衝液が約6.5~約8.0のpHを有する、請求項20~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の緩衝液が約100mMの酢酸ナトリウム、約0.1%のポリソルベート80を含み、前記第1の緩衝液が約6.0のpHを有する、請求項20~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、前記第2の緩衝液が約8.5のpHを有する、請求項20~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第3の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、前記第3の緩衝液が約8.5のpHを有する、請求項20~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
第1の洗浄ステップが、約50~約200mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.5~約6.5のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約10~約70mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約8.0~約9.0のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約10~約70mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約8.0~約9.0のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、前記第4の緩衝液が約6.5~約8.0のpHを有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の緩衝液が約100mMの酢酸ナトリウム及び約0.1%のポリソルベート80を含み、前記第1の緩衝液が約6.0のpHを有する、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、前記第2の緩衝液が約8.5のpHを有する、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第3の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、前記第3の緩衝液が約8.0のpHを有する、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
酸性成分が除去される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記酸性成分がHEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、前記酸性成分がqPCRによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記酸性成分がHEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、前記酸性成分がELISAによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
溶出させることが勾配溶出による溶出緩衝液の伝導性の連続的な線形増加を適用することを含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
溶出させることが勾配溶出による有機溶媒の濃度の連続的な線形増加を適用することを含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
溶出させることが、エチレングリコール、NaClのような塩、及びTrisHClのような緩衝液を含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることを含み、前記pHが少なくとも7.0である、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記塩濃度が約750mMであり、前記緩衝液濃度が約50mMであり、前記エチレングリコールが50~60%(w/w)である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記pHが約8.0である、請求項46または請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記塩がNaClであり、前記緩衝液がTrisHClである、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
溶出させることが、約750mMのNaCl及び50~60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも7.0のpHで接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記溶出緩衝液が少なくとも約55%(w/w)のエチレングリコールを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
溶出させることが、約50mMのTris HCl、約750mM~約1250mMのNaCl及び約60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも7.8のpHで接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
溶出させることが、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのアルギニン-HCl、約750mM~約1000mMのNaCl及び少なくとも約55%(w/w)のスクロースを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約8.0のpHで接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
溶出させることが、
(a)約20~約100mMのアルギニン-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約7.5~約8.5のpHを有する、前記接触させることと、
(b)約20~約100mMのアルギニン-HCl、約40~約60%(w/w)のグリセロール、及び約500~1000mMの塩を含む第2の溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第2の緩衝液が約7.5~約8.5のpHを有する、前記接触させることと、をさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ステップが連続して実行される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
溶出させることが、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのアルギニン-HCl、約750mM~約1000mMのNaCl及び少なくとも約50%(w/w)のグリセロールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約8.0のpHで接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
溶出させることが、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのタウリン、約600mM~約1000mMのNaCl、約0.05~約0.2%のオクチルグリコピラノシド、及び少なくとも約60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約7.8のpHで接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
溶出させることが、
(a)約20~約100mMのTris-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約8.0~約8.8のpHを有する、前記接触させることと、
(b)少なくとも約6.8のpHで約1Mの硫酸アンモニウム、約50mMのTris HCl、及び約50%(v/v)のエチレングリコールを含む第2の溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることと、をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ステップが連続して実行される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
溶出させることが、少なくとも約6.8のpHで約1Mの硫酸アンモニウム、約50mMのTris HCl、及び約50%(v/v)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
溶出させることが、約20%(w/w)のスクロース、約10%(w/w)のソルビトール、約5%(w/w)のマンニトールまたは約5%(w/w)のスクロース、約15%(w/w)のグリセロール、約50mMのヒスチジン、及び約750~約1000mMのNaClを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約7.8のpHで接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
溶出させることが、
(a)約20~約100mMのヒスチジン、約80~約120mMのNaClを含む第5の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約8.0~約8.8のpHを有する、前記接触させることと、
(b)約20~約100mMのヒスチジン及び約600~約900mMのNaCl、及び約5~60%(w/w)のDMSOを含む第2の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約6.5~約8.5のpHを有する、前記接触させることと、をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ステップが連続して実行される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
溶出させることが、約100mMのグリシン-HCl、約200mMのNaClを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を約2.5のpHで接触させることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記溶出緩衝液が約8.0のpHにある、請求項50~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記溶出緩衝液が8.0のpHにある、請求項50~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
溶出させることが対イオン濃度の段階的な増加を含む、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
溶出させることが有機溶媒濃度の段階的な増加を含む、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記溶出緩衝液中の前記塩が、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、クエン酸塩のような、一価、二価または多価の陰イオンから選択される、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
第1の洗浄ステップが、約50~約200mMの酢酸ナトリウム、約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが約25~約100mMのTrisHCl及び約50~約200mMのNaClを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項71】
約20~約50mMのHClを前記アフィニティ樹脂に約1.7~約2.5のpHで適用することが後に続く、前記アフィニティ樹脂に精製水を適用することによる溶出をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
0~100%の勾配の20~50mMの塩酸/0.5~2.0mMの塩酸中の800~1200mMのNaClを適用することによる溶出をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記溶出させるステップから得られた前記AAVが99.9%以下のHC不純物レベルを有する、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記溶出させるステップから得られた前記AAVが99.0%以下のHC不純物レベルを有する、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記AAVがAAV8であり、前記アフィニティ樹脂がPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8であり、前記溶出緩衝液が酸性でありエチレングリコールを含まない、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記AAVがAAV9であり、前記アフィニティ樹脂がPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9であり、前記溶出緩衝液が酸性でありエチレングリコールを含まない、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記AAVがAAV8であり、前記アフィニティ樹脂が、クロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK8またはADK8/9からのAAV8に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記AAVがAAV9であり、前記アフィニティ樹脂が、クロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK9またはADK8/9からのAAV9に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
酸性の荷電した汚染物質を前記AAV含有溶液から枯渇させるために有効な正に荷電した基を含むフィルタに前記AAV含有溶液を接触させることをさらに含む、請求項1~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
35nmを超えるウイルスを除去するためのAAV画分のナノ濾過をさらに含む、請求項1~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
テンタクルゲルを含むカラムを用いてAEXクロマトグラフィーを実行することを含む磨きステップをさらに含む、請求項1~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
AAV特異的ELISAを介してAAV画分を試験することをさらに含む、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記AAV特異的ELISAがAAVに特異的なサンドイッチELISAである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
請求項1~83のいずれか一項に記載の方法により産生されるAAV産物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年12月29日に出願された米国仮出願第62/611,709号に対する優先権を主張するものであり、その開示の全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を精製する材料及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、線状の1本鎖DNAゲノムをパッケージ化する小さな非エンベロープウイルスである。AAVによる増殖性感染が、例えば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスのようなヘルパーウイルスの存在下でのみ発生するため、AAVは、Parvoviridae科及びDependovirus属に属する。ヘルパーウイルスが存在しない場合でさえも、AAV(血清型2)は、宿主ヒトゲノムの染色体19q13.4に組み込むことで、潜伏を達成できる。AAVは、部位特異的組込みが可能であることが知られている唯一の哺乳動物DNAウイルスである(非特許文献1)。
【0004】
臨床において安全に使用されるAAVのために、AAVは、そのゲノム内のいくつかの位置で遺伝学的に修飾されている。例えば、ウイルス複製に必要なRep遺伝子、及び部位特異的組込みに必要な要素は、多くのウイルスベクターにおいてAAVゲノムから削除されている。かかる組換えAAV(rAAV)は、染色体外状態で存在し、非常に低いゲノムDNAへの組込み効率を有する。したがって、完全に排除されないとしても、宿主細胞においてrAAVがランダム変異誘発を誘導する可能性は低下する。これらの特性及び病原性の欠如のため、rAAVは、前臨床及び臨床適用の複数の側面における遺伝子治療ベクターとして大きな見通しを示している。新しい血清型及び自己相補的ベクターは、臨床において試験されている。これらの進行中のベクター開発に加えて、継続的な努力は、高い純度及び効力を有する高力価のrAAVベクターを効率的に生成できるスケーラブルな製造プロセスに集中している。
【0005】
ヒト投与に適したAAV産物を精製するための効率的で大規模な方法を設計する努力は大きいが、より良いAAV精製方法に対する必要性が残っている。AAVの精製中により効率的に除去され得る、宿主細胞培養マトリックスからの他の様々なタンパク質及び材料がある。したがって、最終的なAAV産物から宿主細胞材料を除去するためのステップを含むAAV精製方法が望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Daya and Berns,Clinical Microbiology Reviews,pages 583-593(2008)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
細胞培養におけるAAVベクター生成の特徴は、破壊された細胞からの材料を含む複雑なマトリックスの形成である。特に、宿主細胞タンパク質、プロテアソーム、細胞片、及び潜在的なウイルス特異的受容体は、破壊された細胞からの材料中にしばしば存在する。生理学的に適用可能なpHでより高い純度を生じる条件において最終AAV産物から宿主細胞材料を除去するためのステップを含む開示された方法。
【0008】
一態様では、
(a)AAV含有溶液を、AAVを標的としたアフィニティ樹脂上に、溶液中のAAVとアフィニティ樹脂との間の結合を可能にする伝導下で負荷することと、
(b)少なくとも2つの洗浄ステップを行うことと、
(c)AAVをアフィニティ樹脂から溶出させることと、を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)を精製する方法が提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、AAV含有溶液を陰イオン交換体と接触させることと、AAV含有溶液をアフィニティ樹脂に負荷する前に陰イオン交換体からAAV含有溶液を溶出させることと、をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、洗浄ステップのうちの少なくとも1つは、有機溶媒または界面活性剤を含む緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl及び塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ヒスチジン、ヒスチジン-HCl、アルギニン-HCl、リジン-HCl、グリシン、タウリン、MES-Na、Bis-Tris、及びN-アセチル-D,L-トリプトファンのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸ナトリウム緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、塩化マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl及びエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニン-HClならびにスクロース及びグリセロールのうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、タウリン及びエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニン-HCl、リジン-HCl、及びヒスチジン-HClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl及びDMSOを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行される。いくつかの実施形態では、3つの洗浄ステップが実行される。いくつかの実施形態では、3つの洗浄ステップが連続して実行される。
【0012】
いくつかの実施形態では、有機溶媒または界面活性剤は、ポリソルベート80、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、DMSO、スクロース、またはトレハロースである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、Triton X100、ポリソルベート80、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、Bis-Trisを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50~約2000mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約30~約200mMのTrisHCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップは、約30~約200mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHを有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50~約500mMの2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES-Na)のナトリウム塩と、約3~約30mMのEDTAと、ポリソルベート80、DMSO、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)を含む溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約30~約200mMのTrisHClまたはアルギニン-HCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップは、約20~約80mMのアルギニン-HCl及び約50~約200mMの塩を含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHを有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMのタウリン及び0.2~1.5%のPEG(例えば、PEG 6000)を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約30~約300mMのグリシンを含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップは、約20~約150mMのタウリン、約30~約75体積%のエチレングリコール、及び0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシド(octylglycopyranoside)を含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約80~約400mMのBis-Trisと、約11:3:3の比率(重量による)でTriton-X100、ポリソルベート80、及びTNBPを含む約10~約20グラムの溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約5~約20mmolのクエン酸ナトリウムを含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップは、約50~約200mMのアルギニン-HCl、約50~約200mMのリジンHCl、約50~約200mMのヒスチジン-HCl、及び約1mM~約4mMのN-アセチル-D,L-トリプトファン、及び約10%~約40%(w/w)のポリソルベート80を含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHを有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200nMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有し、
第3の洗浄ステップは、約20mM~100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200mMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有し、
第3の洗浄ステップは、約20mM~100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。
【0020】
いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液中の塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液中の塩の濃度は、200mMを超えない。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約6.5~約8.0のpHを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMの酢酸ナトリウム、約0.1%のポリソルベート80を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、第3の緩衝液は、約8.5のpHを有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.5~約6.5のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約10~約70mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約8.0~約9.0のpHを有し、
第3の洗浄ステップは、約10~約70mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約8.0~約9.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約6.5~約8.0のpHを有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMの酢酸ナトリウム及び約0.1%のポリソルベート80を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、第3の緩衝液は、約8.0のpHを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、酸性成分が除去される。いくつかの実施形態では、酸性成分は、HEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、酸性成分は、qPCRによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する。いくつかの実施形態では、酸性成分は、HEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、酸性成分は、ELISAによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する。
【0026】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、勾配溶出による溶出緩衝液の伝導性の連続的な線形増加を適用することを含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、勾配溶出による有機溶媒の濃度の連続的な線形増加を適用することを含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、エチレングリコール、NaClのような塩、及びTrisHClのような緩衝液を含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも7.0である。いくつかの実施形態では、塩濃度は約750mMであり、緩衝液濃度は約50mMであり、エチレングリコールは50~60%(w/w)である。いくつかの実施形態では、pHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、塩はNaClであり、緩衝液はTrisHClである。
【0027】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、約750mMのNaCl及び50~60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を少なくとも7.0のpHで接触させることを含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、少なくとも約55%(w/w)のエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、約50mMのTris HCl、約750mM~約1250mMのNaCl及び約60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を少なくとも7.8のpHで接触させることを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのアルギニン-HCl、約750mM~約1000mMのNaCl及び少なくとも約55%(w/w)のスクロースを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を少なくとも約8.0のpHで接触させることを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、
(a)約20~約100mMのアルギニン-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることをさらに含み、第5の緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有し、
(b)約20~約100mMのアルギニン-HCl、約40~約60%(w/w)のグリセロール、及び約500~1000mMの塩を含む第2の溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることをさらに含み、第2の緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、これらのステップが連続して実行される。
【0031】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのアルギニン-HCl、約750mM~約1000mMのNaCl及び少なくとも約50%(w/w)のグリセロールを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を少なくとも約8.0のpHで接触させることを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのタウリン、約600mM~約1000mMのNaCl、約0.05~約0.2%のオクチルグリコピラノシド、及び少なくとも約60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を少なくとも約7.8のpHで接触させることを含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、
(a)約20~約100mMのTris-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることをさらに含み、第5の緩衝液は約8.0~約8.8のpHを有し、
(b)少なくとも約6.8のpHで約1Mの硫酸アンモニウム、約50mMのTris HCl、及び約50%(v/v)のエチレングリコールを含む第2の溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、これらのステップが連続して実行される。
【0034】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、少なくとも約6.8のpHで約1Mの硫酸アンモニウム、約50mMのTris HCl、及び約50%(v/v)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることを含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、約20%(w/w)のスクロース、約10%(w/w)のソルビトール、約5%(w/w)のマンニトールまたは約5%(w/w)のスクロース、約15%(w/w)のグリセロール、約50mMのヒスチジン、及び約750~約1000mMのNaClを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を少なくとも約7.8のpHで接触させることを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、
(a)約20~約100mMのヒスチジン、約80~約120mMのNaClを含む第5の緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることをさらに含み、第5の緩衝液は約8.0~約8.8のpHを有し、
(b)約20~約100mMのヒスチジン及び約600~約900mMのNaCl、及び約5~60%(w/w)のDMSOを含む第2の緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることをさらに含み、第5の緩衝液は約6.5~約8.5のpHを有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、これらのステップが連続して実行される。いくつかの実施形態では、溶出させることは、約100mMのグリシン-HCl、約200mMのNaClを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を約2.5のpHで接触させることを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約8.0のpHにある。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、8.0のpHにある。
【0038】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、対イオン濃度の段階的な増加を含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、有機溶媒濃度の段階的な増加を含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液中の塩は、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、クエン酸塩のような、一価、二価または多価の陰イオンから選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMの酢酸ナトリウム、約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップは、約25~約100mMのTrisHCl及び約50~約200mMのNaClを含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップは約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は約7.5~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、約20~約50mMのHClをアフィニティ樹脂に約1.7~約2.5のpHで適用することが後に続く、アフィニティ樹脂に精製水を適用することによる溶出をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、0~100%の勾配の20~50mMの塩酸/0.5~2.0mMの塩酸中の800~1200mMのNaClを適用することによる溶出をさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、溶出させるステップから得られたAAVは、99.9%以下のHC不純物レベルを有する。いくつかの実施形態では、溶出させるステップから得られたAAVは、99.0%以下のHC不純物レベルを有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、AAVはAAV8であり、アフィニティ樹脂はPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8であり、溶出緩衝液は酸性でありエチレングリコールを含まない。いくつかの実施形態では、AAVはAAV9であり、アフィニティ樹脂はPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9であり、溶出緩衝液は酸性でありエチレングリコールを含まない。
【0042】
いくつかの実施形態では、AAVはAAV8であり、アフィニティ樹脂はクロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK8またはADK8/9からのAAV8に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である。いくつかの実施形態では、AAVはAAV9であり、アフィニティ樹脂はクロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK9またはADK8/9からのAAV9に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、酸性の荷電した汚染物質をAAV含有溶液から枯渇させるために有効な正に荷電した基を含むフィルタにAAV含有溶液を接触させることをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、方法は、35nmを超えるウイルスを除去するためのAAV画分のナノ濾過をさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法は、テンタクルゲル(tentacle gel)を含むカラムを用いてAEXクロマトグラフィーを実行することを含む磨きステップをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、AAV特異的ELISAを介してAAV画分を試験することをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、AAV特異的ELISAは、AAVに特異的なサンドイッチELISAである。
【0048】
別の態様では、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法により産生されるAAV産物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】洗浄ステップを伴わない比較精製プロトコル(レーン6)と対照的な本明細書に記載される複数の洗浄ステップを伴う精製プロトコル(レーン4)に従う実質的により少ない熱ショックタンパク質70kDa(HSP70)を示すウエスタンブロットを示す。
【
図2】レーン2におけるAAV8タンパク質を示すSDS-PAGE銀染色ゲル、本明細書に記載される複数の洗浄ステップを伴う精製プロトコル(レーン4)及び洗浄ステップを伴わない比較精製プロトコル(レーン6)からのAAV8含有溶出物を示す。
【
図3】洗浄ステップを伴わない比較精製プロトコル(レーン6)より本明細書に記載される複数の洗浄ステップを伴う精製プロトコル(レーン4)に従って調製された溶出物中により多く存在するAAV8を示すウエスタンブロットを示す。AAV8参照試料はレーン2にある。
【
図4】AAV8を発現するHEK 293細胞からの細胞培養培地の(L)初期負荷からAAV8に富んだ溶出物(E)までの様々な分画中に存在するタンパク質を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。洗浄ステップ(W1、W2、及びW3)からのフロースルーにおけるAAV8の損失はほとんどなく、ストリッピング(S)中にカラムから溶出されたAAV8はほとんどなかった。
【
図5】AAV8抗原に対するウエスタンブロットを示す。AAV8は、AAV8を発現するHEK 293細胞からの細胞培養培地の初期負荷(L)において発現された。実質的により少ないAAV8が、その初期負荷からのフロースルー(FT)ならびにその後の洗浄ステップ(W1、W2、及びW3)において存在した。AAV8は、溶出物中に存在した(E、E2)。そのうえ、実質的により少ないAAV8が、ストリッピング(S)中にカラムから溶出された。
【
図6】実施例3に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図7】実施例11に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図8】実施例11に従う様々な洗浄ステップ及び溶出液からの様々な画分に存在するタンパク質を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。
【
図9】実施例12に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図10】実施例12に従う様々な洗浄ステップ及び溶出液からの様々な画分に存在するタンパク質を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。
【
図11】実施例13に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図12】実施例13に従う様々な洗浄ステップ及び溶出液からの様々な画分に存在するタンパク質を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。
【
図13】実施例14に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図14】実施例14に記載されるような洗浄ステップ及び溶出液から採取した様々な画分に存在するタンパク質を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。
【
図15】実施例14に記載されるような洗浄ステップ及び溶出液から採取した様々な画分からのAAV抗原に対するウエスタンブロットを示す。
【
図16】実施例15に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図17】実施例16に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図18】実施例16に記載されるような洗浄ステップ及び溶出液から採取した様々な画分からのAAV抗原に対するウエスタンブロットを示す。
【
図19】実施例17に従う分離手順のクロマトグラムを示す。
【
図20】実施例17に記載されるような洗浄ステップ及び溶出液から採取した様々な画分に存在するタンパク質を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。
【
図21】実施例18に記載される溶出スクリーンからの結果を示すクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
アデノ随伴ウイルス(AAV)産物を産生する方法、AAVを精製する方法、ならびに空のAAVキャプシド及び完全なAAVキャプシドを含む濃縮されたAAV画分から完全なAAVキャプシドを精製する方法が、本明細書で提供される。
【0051】
本開示を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」、「an」及び「the」ならびに同様の指示語の使用は、本明細書において別段示されない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含有する」という用語は、別段述べられない限り、開放型用語(すなわち、「含むがそれに限定されない」ことを意味する)であると解釈されるべきである。
【0052】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別段示されない限り、単に、範囲及び各エンドポイント内に収まる各別個の値を個々に指す速記方法としての役割を果たすことが意図され、各別個の値及びエンドポイントは、本明細書に個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。
【0053】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段示されない限り、または文脈によって別段明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書に提供される任意の及び全ての例または例示的な言語(例えば、「~のような」)の使用は、単に本開示をより良く例示することを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書における言語は、任意の請求されていない要素を本開示の実施にとって必須であるものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0054】
本開示を行うために発明者に知られている最良の形態を含む、本開示の好ましい実施形態が、本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形例は、前述の記載を読む際に、当業者に明らかになり得る。発明者は当業者がかかる変形例を必要に応じて採用することを期待し、発明者は本開示が特に本明細書で説明される以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての修正形態及び均等物を含む。さらに、本明細書に別段示されない限り、または文脈に別段明らかに矛盾しない限り、上記要素の全ての可能な変形例における任意の組み合わせが、本開示に包含される。
【0055】
細胞培養におけるAAVベクター生成の特徴は、破壊された細胞からの材料を含む複雑なマトリックスの形成である。特に、宿主細胞タンパク質、プロテアソーム、細胞片、及び潜在的なウイルス特異的受容体は、破壊された細胞からの材料中にしばしば存在する。生理学的に適用可能なpHでより高い純度を生じる条件において最終AAV産物から宿主細胞材料を除去するためのステップを含む開示された方法。
【0056】
一態様では、アデノ随伴ウイルス(AAV)を精製する方法が、提供される。方法は、(a)AAV含有溶液を、AAVを標的としたアフィニティ樹脂上に、溶液中のAAVとアフィニティ樹脂との間の結合を可能にする伝導下で負荷することと、(b)少なくとも2つの洗浄ステップを行うことと、(c)AAVをアフィニティ樹脂から溶出させることと、を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法により精製されたAAVは、AAV1血清型、AAV2血清型、AAV3血清型、AAV4血清型、AAV5血清型、AAV6血清型、AAV7血清型、AAV8血清型、AAV9血清型、AAV10血清型、AAV11血清型、AAV12血清型、AAV13血清型、AAAV血清型、BAAV血清型、AAV(VR-195)血清型、及びAAV(VR-355)血清型のものである。いくつかの実施形態では、AAVは、遺伝子工学によって修飾され、及び/または化学的に修飾される。
【0058】
いくつかの実施形態では、方法は、AAV含有溶液を陰イオン交換体と接触させることと、AAV含有溶液をアフィニティ樹脂に負荷する前に陰イオン交換体からAAV含有溶液を溶出させることと、をさらに含む。陰イオン交換体は、フロースルーモードで操作され得る。いくつかの実施形態では、洗浄ステップのうちの少なくとも1つは、有機溶媒または界面活性剤を含む緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl及び塩、例えば、NaClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、塩化マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl及びエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニン-HClならびにスクロース及びグリセロールのうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、タウリン及びエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニン-HCl、リジン-HCl、及びヒスチジン-HClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl及びDMSOを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニン-HCl及び塩、例えば、NaClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ヒスチジン及び塩、例えば、NaClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl及びエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エチレングリコールである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、DMSOである。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。
【0060】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行される。いくつかの実施形態では、3つの洗浄ステップが実行される。いくつかの実施形態では、3つの洗浄ステップが連続して実行される。
【0061】
いくつかの実施形態では、有機溶媒または界面活性剤は、ポリソルベート80、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、DMSO、スクロース、またはトレハロースである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、Triton X100、ポリソルベート80、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、Bis-Trisを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約50~約2000mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約30~約200mMのTrisHCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、第3の洗浄ステップは、約30~約200mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は約7.3~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液中の塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液中の塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約6.5~約8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMの酢酸ナトリウム、約0.1%のポリソルベート80を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、第3の緩衝液は、約8.5のpHを有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、有機溶媒または界面活性剤は、ポリソルベート80、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、またはトレハロースである。
【0064】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.5~約6.5のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約10~約70mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約8.0~約9.0のpHを有し、第3の洗浄ステップは、約10~約70mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は約8.0~約9.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約6.5~約8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMの酢酸ナトリウム及び約0.1%のポリソルベート80を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、第3の緩衝液は、約8.0のpHを有する。
【0065】
さらなる実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行される。第1の洗浄ステップは、約50~約500mMの2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES-Na)のナトリウム塩と、約3~約30mMのEDTAと、ポリソルベート80、DMSO、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)を含む溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約30~約200mMのTrisHClまたはアルギニン-HCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、第3の洗浄ステップは、約20~約80mMのアルギニン-HCl及び約50~約60%(w/w)のスクロースを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液中の塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液中の塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約20~約100mMのアルギニン-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出ステップは、約20~約100mMのアルギニン-HCl及び約40~約60%(w/w)のスクロースを含む第1の溶出緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の溶出緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第1の溶出ステップの後及び第2の溶出ステップの前に起こる第5の洗浄ステップをさらに含み、洗浄ステップは、約20~約100mMのアルギニン-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の溶出ステップは、約20~約100mMのアルギニン-HCl、約40~約60%(w/w)のグリセロール、及び約500~1000mMの塩(例えば、NaCl)を含む第2の溶出緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。第5の洗浄ステップは、第1及び第2の溶出ステップの間でフロンティング(fronting)効果を最小化するために有効であり得、例えば、第1及び第2の溶出緩衝液自体のみによって誘発される溶出を生じ、これは第1及び第2の溶出緩衝液の混合物により生じ得るフロンティングからのものでない。いくつかの実施形態では、方法は、第5の洗浄ステップ及び第2の溶出ステップの後に起こる第6の洗浄ステップをさらに含み、洗浄ステップは、約20~約100mMのアルギニン-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第6の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。
【0066】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMの2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES-Na)のナトリウム塩と、約10mMのEDTAと、約18グラムのポリソルベート80、3.5グラムのDMSO、及び3.5グラムのトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)を含む約11g/kgの溶媒/界面活性剤混合物と、を含み、第1の緩衝液は約6.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約50mMのアルギニン-HCl及び約100mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約8.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのアルギニン-HCl及び約50%(w/w)のスクロースを含み、第3の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約50mMのアルギニン-HCl及び約100mMのNaClを含み、第4の緩衝液は、約8.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第5の緩衝液は、約50mMのアルギニン-HCl及び約100mMのNaClを含み、第5の緩衝液は、約8.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第6の緩衝液は、約50mMのアルギニン-HCl及び約100mMのNaClを含み、第6の緩衝液は、約8.0のpHを有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMのタウリン、及び0.2~1.5%のPEG(例えば、PEG 6000)を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約30~約300mMのグリシンを含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、第3の洗浄ステップは、約20~約150mMのタウリン、約30~約75体積%のエチレングリコール、及び0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシドを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は約7.3~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1の溶出ステップは、約30~約70mMのタウリン、約50~約70体積%のエチレングリコール、0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシド、及び約600~約900mMのNaClを含む第1の溶出緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第1の溶出ステップの後及び第2の溶出ステップの前に起こる第5の洗浄ステップをさらに含み、洗浄ステップは、約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は約7.5~約8.8のpHを有する。第5の洗浄ステップは、フロンティング効果を最小化するために有効であり得る。いくつかの実施形態では、第2の溶出ステップは、約30~約70mMのTrisHCl、0.05~0.2Mの硫酸アンモニウム、及び約40~約60体積%のエチレングリコールを含む第2の溶出緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は約6.5~約7.5のpHを有する。第5の洗浄ステップは、第1及び第2の溶出ステップの間でフロンティング効果を最小化するために有効であり得、例えば、第1及び第2の溶出緩衝液自体のみによって誘発される溶出を生じ、これは第1及び第2の溶出緩衝液の混合物により生じ得るフロンティングからのものでない。
【0069】
いくつかの実施形態では、方法は、第5の洗浄ステップ及び第2の溶出ステップの後に起こる第6の洗浄ステップをさらに含み、洗浄ステップは、約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第6の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。
【0070】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMのタウリン及び約0.5%のPEG 6000を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は約100mMのグリシンを含み、第2の緩衝液は約7.5~約9.2のpHを有する。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのタウリン、約50%(w/w)のエチレングリコール、及び0.1%のオクチルグリコピラノシドを含み、第3の緩衝液は約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第4の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第5の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第5の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第6の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第6の緩衝液は、約8.5のpHを有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約80~約400mMのBis-Trisと、約11:3:3の比率(重量による)でTriton-X100、ポリソルベート80、及びTNBPを含む約10~約20グラムの溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約5~約20mmolのクエン酸ナトリウムを含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有し、第3の洗浄ステップは、約50~約200mMのアルギニン-HCl、約50~約200mMのリジン-HCl、約50~約200mMのヒスチジン-HCl、約1mM~約4mMのN-アセチル-D,L-トリプトファン、及び約10%~約40%(w/w)のポリソルベート80を含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約20~約100mMのヒスチジン及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1の溶出ステップは、約15~25%のスクロース、5%~15%(w/w)のソルビトール、3%~7%(w/w)のマンニトール、10%~20%(w/w)のグリセロール、40~60mMのヒスチジン及び900mMの塩(例えば、NaCl)を含む第1の溶出緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の溶出緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第1の溶出ステップの後及び第2の溶出ステップの前に起こる第5の洗浄ステップをさらに含み、洗浄ステップは、約20~約100mMのヒスチジン及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は約7.5~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の溶出ステップは、約30~約70mMのTrisHCl、約700~約900mMの塩(例えば、NaCl)、及び40%~60%(w/w)のDMSOを含む第2の溶出緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は約7.5~約8.5のpHを有する。第5の洗浄ステップは、第1及び第2の溶出ステップの間でフロンティング効果を最小化するために有効であり得、例えば、第1及び第2の溶出緩衝液自体のみによって誘発される溶出を生じ、これは第1及び第2の溶出緩衝液の混合物により生じ得るフロンティングからのものでない。いくつかの実施形態では、方法は、第5の洗浄ステップ及び第2の溶出ステップの後に起こる第6の洗浄ステップをさらに含み、洗浄ステップは、約20~約100mMのヒスチジン及び約75~約250mMのNaClを含む第6の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。
【0073】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約200mMのBis-Trisと、約11:3:3の比率(重量による)でTriton-X100、ポリソルベート80、及びTNBPを含む約16~約17グラムの溶媒/界面活性剤混合物と、を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は約10mmolのクエン酸ナトリウムを含み、第2の緩衝液は約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、第3の緩衝液は、約100mMのアルギニン-HCl、約100mMのリジン-HCl、約100mMのヒスチジン-HCl、約2mMのN-アセチル-D,L-トリプトファン、及び約20%(w/w)のポリソルベート80を含み、第3の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約50mMのヒスチジン及び約100mMのNaClを含み、第4の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第5の緩衝液は、約50mMのヒスチジン及び約100mMのNaClを含み、第5の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第6の緩衝液は、約50mMのヒスチジン及び約100mMのNaClを含み、第6の緩衝液は、約8.5のpHを有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200nMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有し、第3の洗浄ステップは、約20mM~約100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は約7.5~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約50mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約6.5~約8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第3の洗浄ステップの後に起こる第5の洗浄ステップをさらに含み、約20mM~約100mMのTrisHCl、約50%~約70%(w/w)のエチレングリコール、及び約500~約900mMのNaClを含む第5の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は、約7.5~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第5の洗浄ステップの後に起こり、約10mM~約50mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第6の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第6の洗浄ステップをさらに含み、第6の緩衝液は、約7.0~約8.0のpHを有する。
【0075】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMのタウリン及び約0.5%のPEG 6000を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は約100mMのグリシンを含み、第2の緩衝液は約7.5~約9.2のpHを有する。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのタウリン、約50体積%のエチレングリコール、及び0.1%からのオクチルグリコピラノシドを含み、第3の緩衝液は約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約20mMのTris-HCl及び約150mMのNaClを含み、第4の緩衝液は、約7.4のpHを有する。ある特定の実施形態では、第5の緩衝液は、約50mMのTrisHCl、60%(w/w)のエチレングリコール、及び750mMのNaClを含み、第5の緩衝液は、約8.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第6の緩衝液は、約20mMのTrisHCl及び約150mMのNaClを含み、第6の緩衝液は、約7.4のpHを有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200nMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有し、第3の洗浄ステップは、約20mM~約100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第3の緩衝液は約7.5~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、200mMを超えない。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約50mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、第4の緩衝液は、約6.5~約8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第3の洗浄ステップの後に起こる第5の洗浄ステップをさらに含み、約20mM~約100mMのTrisHCl、約50%~約70%(w/w)のエチレングリコール、及び約500~約900mMのNaClを含む第5の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第5の緩衝液は、約7.5~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、方法は、第5の洗浄ステップの後に起こり約10mM~約50mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第6の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第6の洗浄ステップをさらに含み、第6の緩衝液は、約7.0~約8.0のpHを有する。
【0077】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMのタウリン及び約0.5%のPEG 6000を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は約100mMのグリシンを含み、第2の緩衝液は約7.5~約9.2のpHを有する。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのタウリン、約50体積%のエチレングリコール、及び0.1%からのオクチルグリコピラノシドを含み、第3の緩衝液は約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約20mMのTris-HCl及び約150mMのNaClを含み、第4の緩衝液は、約7.4のpHを有する。ある特定の実施形態では、第5の緩衝液は、約50mMのTrisHCl、60%(w/w)のエチレングリコール、及び750mMのNaClを含み、第5の緩衝液は、約8.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、第6の緩衝液は、約20mMのTrisHCl及び約150mMのNaClを含み、第6の緩衝液は、約7.4のpHを有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMの酢酸ナトリウム、及び0.05~0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約25~約100mMのTrisHCl及び約50~200mMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第3の洗浄ステップをさらに含み、第3の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出ステップは、約25~約100mMのTrisHCl、約500~約1000mMのNaCl、及び約25%~75%のDMSO(w/w)を含む緩衝液を適用することが後に続く、3.0~3.5のpHで0.5~2mMのHClを適用することが後に続く、アフィニティ樹脂に精製水を適用することを含み、緩衝液は、約7.5~約8.5のpHを含む。いくつかの実施形態では、方法は、第1の溶出ステップの後及び第2の溶出ステップの前に起こる第4の洗浄ステップをさらに含み、洗浄ステップは、精製水をアフィニティ樹脂に適用することを含む。いくつかの実施形態では、第2の溶出ステップは、約20~約50mMのHClをアフィニティ樹脂に約1.7~約2.5のpHで適用することを含む。
【0079】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMの酢酸ナトリウム、及び約0.1%のポリソルベート80を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は、約50mMのTrisHCl、約125mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、第3の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第1の溶出ステップは、約50mMのTrisHCl、約750mMのNaCl、及び約50%のDMSO(w/w)を含む緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することが後に続く、1mMのHClを約3.2のpHで適用することが後に続く、アフィニティ樹脂に精製水を適用することを含み、緩衝液は、約8.0のpHを含む。ある特定の実施形態では、第2の溶出ステップは、約33mMのHClをアフィニティ樹脂に約2.0のpHで適用することを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの洗浄ステップが実行され、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMの酢酸ナトリウム、及び0.05~0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第1の緩衝液は、約5.2~約6.8のpHを有し、第2の洗浄ステップは、約25~約100mMのTrisHCl及び約50~約200mMの塩を含む第2の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、方法は、第1の洗浄ステップの前に起こり、約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第3の緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含む第3の洗浄ステップをさらに含み、第3の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出ステップは、0~100%の勾配の20~50mMの塩酸/0.5~2.0mMの塩酸中の800~1200mMのNaClをアフィニティ樹脂に適用することを含む。ある特定の実施形態では、勾配は、0~100%の33mMの塩酸/1mMの塩酸中の1000mMのNaClのものである。ある特定の実施形態では、第1の溶出ステップの前に、精製水を用いた洗浄が先行する。
【0081】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約100mMの酢酸ナトリウム、及び約0.1%のポリソルベート80を含み、第1の緩衝液は、約6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は、約50mMのTrisHCl、約125mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50mMのTrisHCl及び約125mMからのNaClを含み、第3の緩衝液は、約8.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、第1の溶出ステップは、約50mMのTrisHCl、約750mMのNaCl、及び約50%のDMSO(w/w)を含む緩衝液をアフィニティ樹脂に適用することを含み、緩衝液は、約8.0のpHを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、有機溶媒または界面活性剤は、ポリソルベート80、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、またはトレハロースである。
【0083】
いくつかの実施形態では、酸性成分が除去される。いくつかの実施形態では、酸性成分は、HEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、酸性成分は、qPCRによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する。いくつかの実施形態では、酸性成分は、HEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、酸性成分は、ELISAによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する。
【0084】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、エチレングリコール、NaClのような塩、及びTrisHClのような緩衝液を含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも7.0である。いくつかの実施形態では、塩濃度は約750mMであり、緩衝液濃度は約50mMであり、エチレングリコールは50~60%(w/w)である。いくつかの実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも55%(w/w)である。いくつかの実施形態では、塩はNaClであり、緩衝液はTrisHClである。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、8.0である。
【0085】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、スクロースのような糖、塩、及びアルギニン-HClのような緩衝液を含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも8.0である。いくつかの実施形態では、塩濃度は、約800mMである。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は、約50mMである。いくつかの実施形態では、糖はスクロースであり、溶出緩衝液は50~60%(w/w)スクロースを含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、1~3mMのMgCl2、または約2mMのMgCl2を含む。いくつかの実施形態では、塩はNaClであり、緩衝液はアルギニン-HClである。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、8.0である。
【0086】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、エチレングリコール、NaClのような塩、及びタウリンを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも7.0である。いくつかの実施形態では、pHは、8.0である。いくつかの実施形態では、塩濃度は、約750mMである。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は、約50mMである。いくつかの実施形態では、エチレングリコール濃度は、50~70%(w/w)である。いくつかの実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも55%(w/w)である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシドをさらに含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、8.0である。
【0087】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、(i)スクロース、ソルビトール、マンニトール、及びグリセロールの混合物と、(ii)NaClのような塩と、(iii)ヒスチジンのような緩衝液と、を含む溶出緩衝液にアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも7.8である。いくつかの実施形態では、塩濃度は、約800mMである。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は、約50mMである。いくつかの実施形態では、スクロースの濃度は、約20%(w/w)である。いくつかの実施形態では、ソルビトールの濃度は、約10%(w/w)である。いくつかの実施形態では、マンニトールの濃度は、約5%(w/w)である。いくつかの実施形態では、グリセロールの濃度は、約15%(w/w)である。いくつかの実施形態では、塩はNaClであり、緩衝液はヒスチジンである。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、8.0である。
【0088】
いくつかの実施形態では、(i)緩衝液、(ii)NaClのような塩、及び(iii)50~60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液にアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも8.0である、第2の溶出させるステップが行われる。いくつかの実施形態では、塩濃度は、約1000mMである。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は、約50mMである。いくつかの実施形態では、エチレングリコールの濃度は、60%(w/w)である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、Tris HClである。いくつかの実施形態では、塩はNaClであり、緩衝液はヒスチジンである。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、8.0である。
【0089】
いくつかの実施形態では、(i)緩衝液、(ii)NaClのような塩、及び(iii)50~60%(v/v)のグリセロールを含む溶出緩衝液にアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも8.0である、第2の溶出させるステップが行われる。いくつかの実施形態では、塩濃度は約800mMであり、緩衝液濃度は約50mMであり、グリセロールの濃度は50%(v/v)である。いくつかの実施形態では、塩はNaClであり、緩衝液はアルギニン-HClである。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、8.0である。様々な実施形態では、第5の洗浄ステップは、第1の溶出ステップの後及び第2の溶出ステップの前に行われる。第5の洗浄ステップは、40~60mMのアルギニン-HCl及び80~120mMのNaClを含む第5の緩衝液にアフィニティ樹脂を7.5~8.5のpHで接触させることを含む。第5の洗浄ステップは、第1及び第2の溶出ステップの間でフロンティング効果を最小化するために有効であり得、例えば、第1及び第2の溶出緩衝液自体のみによって誘発される溶出を生じ、これは第1及び第2の溶出緩衝液の混合物により生じ得るフロンティングからのものでない。
【0090】
いくつかの実施形態では、(i)緩衝液、(ii)(NH4)2SO4のような塩、及び(iii)40~60%(v/v)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液にアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも8.0である、第2の溶出させるステップが行われる。いくつかの実施形態では、塩濃度は約1Mであり、緩衝液濃度は約50mMであり、エチレングリコールの濃度は50%(v/v)である。いくつかの実施形態では、塩は(NH4)2SO4であり、緩衝液はTrisHClである。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約7.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、7.0である。様々な実施形態では、第5の洗浄ステップは、第1の溶出ステップの後及び第2の溶出ステップの前に行われる。第5の洗浄ステップは、40~60mMのタウリン、50~70%(w/w)のエチレングリコール、600~900mMのNaCl、及び0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシドを含む第5の緩衝液にアフィニティ樹脂を7.5~8.5のpHで接触させることを含む。第5の洗浄ステップは、第1及び第2の溶出ステップの間でフロンティング効果を最小化するために有効であり得、例えば、第1及び第2の溶出緩衝液自体のみによって誘発される溶出を生じ、これは第1及び第2の溶出緩衝液の混合物により生じ得るフロンティングからのものでない。
【0091】
いくつかの実施形態では、(i)緩衝液、(ii)NaClのような塩、及び(iii)50~60%(w/w)のDMSOを含む溶出緩衝液にアフィニティ樹脂を接触させることを含み、pHは、少なくとも8.0である、第2の溶出させるステップが行われる。いくつかの実施形態では、塩濃度は、約1000mMである。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は、約50mMである。いくつかの実施形態では、DMSOの濃度は、50%(w/w)である。いくつかの実施形態では、塩はNaClであり、緩衝液はTrisHClである。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約8.0である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、8.0である。様々な実施形態では、DMSO含有溶出緩衝液は、Capture Select AAV8樹脂からAAV8ではなくAAV9を溶出するために有効である。様々な実施形態では、DMSO含有溶出緩衝液は、Capture Select AAVx樹脂からAAV8及びAAV9を溶出するために有効である。様々な実施形態では、DMSO含有溶出緩衝液は、Capture Select AAV8樹脂から、AAV8でなく、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAAV、BAAV、AAV(VR-195)及びAAV(VR-355)のうちの1つ以上を溶出するために有効である。様々な実施形態では、DMSO含有溶出緩衝液は、Capture Select AAVx樹脂から、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAAV、BAAV、AAV(VR-195)及びAAV(VR-355)のいずれかを溶出するために有効である。
【0092】
様々な実施形態では、第5の洗浄ステップは、第1の溶出ステップの後及び第2の溶出ステップの前に行われる。第5の洗浄ステップは、40~60mMのヒスチジン及び70~130mMのNaClを含む第5の緩衝液にアフィニティ樹脂を8.0~8.8のpHで接触させることを含む。第5の洗浄ステップは、第1及び第2の溶出ステップの間でフロンティング効果を最小化するために有効であり得、例えば、第1及び第2の溶出緩衝液自体のみによって誘発される溶出を生じ、これは第1及び第2の溶出緩衝液の混合物により生じ得るフロンティングからのものでない。
【0093】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、勾配溶出による溶出緩衝液の伝導性の連続的な線形増加を含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、勾配溶出による有機溶媒の濃度の連続的な線形増加を含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、約750mMのNaCl及び50~60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液とアフィニティ樹脂を少なくとも7.0のpHで接触させることを含む。いくつかの実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも55%(w/w)である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約8.0のpHにある。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、8.0のpHにある。
【0094】
いくつかの実施形態では、溶出させることは、対イオン濃度の段階的な増加を含む。いくつかの実施形態では、溶出させることは、有機溶媒濃度の段階的な増加を含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液中の塩は、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、クエン酸塩のような、一価、二価または多価の陰イオンから選択される。いくつかの実施形態では、溶出させるステップから得られたAAVは、99.9%以下のHC不純物レベルを有する。いくつかの実施形態では、溶出させるステップから得られたAAVは、99.0%以下のHC不純物レベルを有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、AAVはAAV8であり、アフィニティ樹脂はPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8であり、溶出緩衝液は酸性でありエチレングリコールを含まない。いくつかの実施形態では、AAVはAAV9であり、アフィニティ樹脂はPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9であり、溶出緩衝液は酸性でありエチレングリコールを含まない。いくつかの実施形態では、AAVはAAV8であり、アフィニティ樹脂はクロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK8またはADK8/9からのAAV8に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である。いくつかの実施形態では、AAVはAAV9であり、アフィニティ樹脂はクロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK9またはADK8/9からのAAV9に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である。
【0096】
いくつかの実施形態では、方法は、酸性の荷電した汚染物質をAAV含有溶液から枯渇させるために有効な正に荷電した基を含むフィルタにAAV含有溶液を接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、35nmを超えるウイルスを除去するためのAAV画分のナノ濾過をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、テンタクルゲルを含むカラムを用いてAEXクロマトグラフィーを実行することを含む磨きステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、AAV8に特異的であるか、またはAAV9に特異的である、AAV特異的ELISAを介してAAV画分を試験することをさらに含む。AAV特異的ELISAは、AAV、例えば、AAV8またはAAV9に特異的なサンドイッチELISAであり得る。
【0097】
別の態様では、本明細書に記載される任意の方法によって産生されたAAV産物が提供される。
【0098】
AAV粒子、例えば、AAV8及びAAV9粒子は、複数の定義された洗浄ステップを行うことによる、例えば、AAV結合アフィニティマトリックスに洗浄緩衝液を適用し、溶出を中性pH近傍の条件で適用して該ウイルスの感染力を維持することによる、アフィニティステップで精製される。ある特定の実施形態では、陰イオン交換ステップは、アフィニティステップの前に含まれる。陰イオン交換体ステップは、フロースルーモードにおいて行われ得る。ある特定の実施形態では、アフィニティステップにおいて使用されるアフィニティ樹脂のサイクル時間に影響を与える汚染物質が、枯渇し得る。
【0099】
本発明の方法は、より高い純度のAAV、宿主細胞タンパク質の除去、宿主細胞DNAの枯渇、潜在的なウイルス受容体の除去、AAVがリガンドに結合する脂質エンベロープウイルス部分的から完全な不活性化(例えば、洗浄ステップ中)、及び液相中の脂質エンベロープウイルスの部分的から完全な不活性化(例えば、溶出ステップ中)を生じ得る。理論に拘束されることを望まないが、エチレングリコールはそれ自体で、または別の添加剤と組み合わされて、かかる脂質エンベロープウイルスを不活性化できる。例示的な添加剤は、非イオン性界面活性剤、脂肪族薬剤(例えば、TnBP)、及び界面活性剤(例えば、ポリソルベート(例えば、Tween(登録商標))、Triton X100、TnBP)を含む。例えば、溶媒-界面活性剤混合物は、1%のTriton X100、0.3%のトリ-N-ブチルホスフェート、及び0.3%のTWEEN(登録商標) 80を含むことができる。
【0100】
エンベロープウイルスの不活性化は、Baculoトランスフェクションシステムが使用される際に、特に重要になり得る。本明細書に記載される様々な実施形態に従う溶出は、低pH曝露を防止し、AAVの高い効力を維持できる。さらなる改善は、本明細書に記載される様々な実施形態及び実施例に従って、洗浄ステップ及び溶出ステップを連続して行う場合、見られ得る。
【0101】
「カラム上」の脂質エンベロープウイルスの不活性化を、以下の表1に要約されるように、上の実施例11、12、及び13において実行される様々なアフィニティクロマトグラフィーにおいて試験した。
【表1】
【0102】
DMSO含有緩衝液洗浄X緩衝液は、中性pH近傍(例えば、pH8.0)でCapsureSelect AAV8樹脂上で、AAV8でなくAAV9の溶出を誘発するために有効であり得、このことは驚くべき結果であった。DMSO含有緩衝液洗浄X緩衝液は、中性pH近傍(例えば、pH8.0)でCapsureSelect AAVx樹脂上で、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAAV、BAAV、AAV(VR-195)、及びAAV(VR-355)を含むがこれらに限定されない、様々なAAVの溶出を誘発するために有効であり得、このことは驚くべき結果であった。理論に拘束されることを望まないが、洗浄X緩衝液は、カラムを洗浄する及び/または脂質エンベロープウイルスを不活性化もしくは分解する活性を有することが期待される。洗浄X緩衝液がAAV8よりAAV9を示差的に溶出させるであろうという期待は、なかった。
【0103】
アフィニティ精製ステップは、1つ以上の洗浄ステップを含む。1つ以上の洗浄ステップには1つ以上の溶出ステップが後に続くことができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、アフィニティ精製ステップの前に発生する濾過ステップを含む。
【0104】
AAV粒子(例えば、AAV8、AAV9など)を産生する宿主細胞、例えばHEK293細胞を培養し、清澄化された無細胞培養上清が濃縮及び/または濾過された後に、ウイルス粒子はアフィニティマトリックスに負荷される。ある特定の実施形態では、ウイルス粒子は、約7.4~約7.8の範囲のpHを有する溶液中に負荷される。ある特定の実施形態では、ウイルス粒子は、約8.3~約8.7の範囲のpHを有する溶液中に負荷される。ある特定の実施形態では、ウイルス粒子は、約8.5のpHを有する溶液中に負荷される。ある特定の実施形態では、pHは8.3~8.7であり、溶液はNaCl及びTrisHClを含む。ある特定の実施形態では、ウイルス粒子は、約20mMのTrisHCl及び約150mMのNaClを含み、約8.5のpHを有する溶液中に負荷される。
【0105】
少なくとも3つの異なる洗浄ステップが行われ得、各々は同じまたは異なる緩衝液に関与する。ある特定の実施形態では、洗浄緩衝液は異なる。
【0106】
ある特定の実施形態では、第1の洗浄ステップは、酢酸ナトリウム(NaAcetate)ベースの緩衝液であり得る第1の緩衝液を使用する。ある特定の実施形態では、第1の洗浄ステップは、2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES-Na)のナトリウム塩と、EDTAと、ポリソルベート80、DMSO、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)を含む溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液を使用する。ある特定の実施形態では、第1の洗浄ステップは、約50~約200mMのタウリン及び0.2~1.5%のPEG(例えば、PEG 6000)を含む第1の緩衝液を使用する。ある特定の実施形態では、第1の洗浄ステップは、Bis-Trisを含む第1の緩衝液と、Triton-X100、ポリソルベート80、及びTNBPを含む溶媒/界面活性剤混合物と、を使用する。ある特定の実施形態では、第1の洗浄ステップは、酢酸ナトリウム及びポリソルベート80を含む第1の緩衝液を使用する。
【0107】
ある特定の実施形態では、第2の洗浄ステップは、塩化ナトリウム(NaCl)を含むTrisベースの緩衝液、グリシンベースの緩衝液、クエン酸ナトリウムベースの緩衝液、またはNaClを含むアルギニン-HClベースの緩衝液であり得る第2の緩衝液を使用する。ある特定の実施形態では、第3の洗浄ステップは、エチレングリコール及び/またはNaClを含むTrisベースの緩衝液、タウリンベースの緩衝液、またはNaClを含むアルギニン-HClベースの緩衝液であり得る第3の緩衝液を使用する。代替的には、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、またはトレハロースのうちの1つ以上は、エチレングリコールと組み合わされるか、またはエチレングリコールの代わりに使用され得る。ある特定の実施形態では、任意選択の第4の洗浄ステップ、または再平衡化ステップは、上に列挙された3つの洗浄ステップの前に実行される。任意選択の第4の洗浄ステップでは、NaClを含むTrisベースの緩衝液であり得る第4の緩衝液が使用される。
【0108】
ある特定の実施形態では、事前精製は、宿主細胞産生からのAAV含有溶液のアフィニティ精製の前に、1つ以上の複雑な酸性タンパク質構造及び宿主細胞DNAを除去するために行われ得る。事前精製は、フロースルーモードにおいて陰イオン交換によって行われ得る。事前精製ステップは、本明細書に記載されるアフィニティ精製方法のいずれかの前に着手され得る。以下のうちの1つ以上は、かかるAAV含有溶液の事前精製により除去され得る:ヒストン(例えば、ヒストンH2A型1、ヒストンH2B型1ーB、ヒストンH4、ヒストンH1.4)、60Sリボソームタンパク質(例えば、60Sリボソームタンパク質L27、60Sリボソームタンパク質L6及び60Sリボソームタンパク質L30)、細胞質アクチン(例えば、細胞質アクチン1)、チューブリン(例えば、チューブリンベータ-2A鎖)、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質C、Rep68タンパク質、HEK293ラミニン受容体37kDa形態(LamR 37kDa)及びATP依存性分子シャペロンHSC82。
【0109】
洗浄ステップは、AAV及び/またはアフィニティマトリックスの底部樹脂から強く結合した汚染物質を除去するために有効であり得る。例えば、緩衝液は、TrisHCl、酢酸塩、ホスフェート、ヒスチジン、イミダゾール、リジン、アルギニン、グリシン、タウリン、クエン酸塩、HEPES、MES、MES-Na、ホウ酸塩、Bis-Tris、MOPS、ビシン、トリシン、TAPS、TAPSO、MES、PIPES、TES(2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸)、ナトリウムバルビタール(Veronal)、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸)、ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、Bis-Trisプロパン、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、DIPSO(3-(N,N-Bis[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、Trizma、HEPPSO(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))、POPSO(ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)二水和物)、TEA、EPPS(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸)、HEPBS(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(4-ブタンスルホン酸)、AMPD(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、AMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、単一アミノ酸、またはHEK-HCPのpH範囲及び枯渇率を確実にする2個以上のアミノ酸、例えば、グリシン、アルギニン、トリプトファン、アミノ酸の誘導体、例えば、タウリン(酸化されたシステイン)、N-アセチル-トリプトファン、及びグリシルグリシン、の任意の組み合わせ、のうちの1つ以上を含むことができる。同時に、洗浄ステップで使用される緩衝液は、AAVを実質的に溶出させない。
【0110】
ある特定の実施形態では、洗浄緩衝液は、有機溶媒または界面活性剤をさらに含むことができる。例えば、有機溶媒または界面活性剤は、Tween(登録商標) 80、ポリソルベート80、Triton X100、トリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、またはトレハロースであり得るが、これらに限定されない。例えば、界面活性剤は、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤(例えば、Brij 35)、4-ノニルフェニル-ポリエチレングリコール(Arkopal N100)、オクチルグルコシド、n-ドデシルβ-D-マルトシド、ジギトニン、6-シクロヘキシルヘキシルβ-D-マルトシド、またはオクチルグリコピラノシドであり得るが、これらに限定されない。例えば、エチレングリコールは、PEG 2000、PEG4000、PEG6000(Macrogol)のようなPEGであり得るが、これらに限定されない。例えば、有機溶媒は、グリセロール(1,2,3-プロパントリオール)、及びエリトリトール(メソ-1,2,3,4-ブタンテトロール(butantetrol))であり得るが、これらに限定されない。
【0111】
有機溶媒または界面活性剤は、使用される全ての洗浄緩衝液中に存在する必要はない。しかし、有機溶媒または界面活性剤は、使用される洗浄緩衝液のうちの少なくとも1つにおいて存在する。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液、例えば、第1の洗浄緩衝液は、酢酸ナトリウム及びTween(登録商標) 80の両方を含む。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液は、Tween(登録商標) 80、DMSO及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液は、Triton-X100、ポリソルベート80及びTNBPのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液、例えば、第3の洗浄緩衝液は、Tris及びエチレングリコールを含む。理論に拘束されることを望まないが、洗浄緩衝液中の有機溶媒及び界面活性剤は、強く結合した宿主タンパク質及びウイルス受容体を除去するために有効であるが、また他方では脂質エンベロープウイルスを不活性化及び/または分解する。
【0112】
第1の緩衝液は、5.2~6.8のpHで、約50~約2000mMの酢酸ナトリウム、または50~約250mMの酢酸ナトリウム、及び約0.05~約5%のポリソルベート80もしくはTween(登録商標) 80または0.05~約0.2%のポリソルベート80もしくはTween(登録商標) 80を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50~約75mM、約75~約100mM、約90~約110mM、約100~約125mM、約125~約150mMの酢酸ナトリウム、約150~約175mMの酢酸ナトリウム、約175~約200mMの酢酸ナトリウム、約200~約250mMの酢酸ナトリウム、約250~約300mMの酢酸ナトリウム、約300~約350mMの酢酸ナトリウム、約350~約400mMの酢酸ナトリウム、約400~約450mMの酢酸ナトリウム、約450~約500mMの酢酸ナトリウム、約500~約550mMの酢酸ナトリウム、約550~約600mMの酢酸ナトリウム、約600~約650mMの酢酸ナトリウム、約650~約700mMの酢酸ナトリウム、約700~約750mMの酢酸ナトリウム、約750~約800mMの酢酸ナトリウム、約800~約850mMの酢酸ナトリウム、約850~約900mMの酢酸ナトリウム、約900~約950mMの酢酸ナトリウム、約950~約1000mMの酢酸ナトリウム、約1000~約1050mMの酢酸ナトリウム、約1050~約1100mMの酢酸ナトリウム、約1100~約1150mMの酢酸ナトリウム、約1150~約1200mMの酢酸ナトリウム、約1200~約1250mMの酢酸ナトリウム、約1250~約1300mMの酢酸ナトリウム、約1300~約1350mMの酢酸ナトリウム、約1350~約1400mMの酢酸ナトリウム、約1400~約1450mMの酢酸ナトリウム、約1450~約1500mMの酢酸ナトリウム、約1500~約1550mMの酢酸ナトリウム、約1550~約1600mMの酢酸ナトリウム、約1600~約1650mMの酢酸ナトリウム、約1650~約1700mMの酢酸ナトリウム、約1700~約1750mMの酢酸ナトリウム、約1750~約1800mMの酢酸ナトリウム、約1800~約1850mMの酢酸ナトリウム、約1850~約1900mMの酢酸ナトリウム、約1900~約1950mMの酢酸ナトリウム、または約1950~約2000mMの酢酸ナトリウムを含むことができる。
【0113】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50~約500mMの2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES-Na)のナトリウム塩と、約3~約30mMのEDTAと、ポリソルベート80、DMSO及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)を含む溶媒/界面活性剤混合物と、を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50~約75mM、約75~約100mM、約90~約110mM、約100~約125mM、約125~約150mM、約150~約175mM、約175~約200mM、約200~約250mM、約250~約300mM、約300~約350mM、約350~約400mM、約400~約450mM、または約450~約500mMのMES-Naのナトリウム塩を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50、約75、約90mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、または約500mMのMES-Naのナトリウム塩を含むことができる。
【0114】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50~約200mMのタウリンを含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50~約75mM、約75~約100mM、約90~約110mM、約100~約125mM、約125~約150mM、約150~約175mM、約175~約200mMのタウリンを含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50、約75、約90mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mMのタウリンを含むことができる。
【0115】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約80~約400mMのBis-Trisを含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約80~約100mM、約90~約110mM、約100~約125mM、約125~約150mM、約150~約175mM、約175~約200mM、約200~約250mM、約250~約300mM、約300~約350mM、約350~約400mMのBis-Trisを含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50、約75、約90mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mMのBis-Trisを含むことができる。
【0116】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50~約200mMの酢酸ナトリウムを含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約50~約80mM、約70~約100mM、約80~約110mM、約90~約120mM、約100~約130mM、約120~約150mM、約140~約170mM、約170~約200mMの酢酸ナトリウムを含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約60、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、または約160mMの酢酸ナトリウムを含むことができる。
【0117】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約25mMの酢酸ナトリウム、約50mMの酢酸ナトリウム、約75mMの酢酸ナトリウム、約100mMの酢酸ナトリウム、約125mMの酢酸ナトリウム、約150mMの酢酸ナトリウム、約175mMの酢酸ナトリウム、約200mMの酢酸ナトリウム、約225mMの酢酸ナトリウム、約250mMの酢酸ナトリウム、約275mMの酢酸ナトリウム、約300mMの酢酸ナトリウム、約325mMの酢酸ナトリウム、約350mMの酢酸ナトリウム、約375mMの酢酸ナトリウム、約400mMの酢酸ナトリウム、約425mMの酢酸ナトリウム、約450mMの酢酸ナトリウム、約475mMの酢酸ナトリウム、約500mMの酢酸ナトリウム、約525mMの酢酸ナトリウム、約550mMの酢酸ナトリウム、約575mMの酢酸ナトリウム、約600mMの酢酸ナトリウム、約625mMの酢酸ナトリウム、約650mMの酢酸ナトリウム、約675mMの酢酸ナトリウム、約700mMの酢酸ナトリウム、約725mMの酢酸ナトリウム、約750mMの酢酸ナトリウム、約775mMの酢酸ナトリウム、約800mMの酢酸ナトリウム、約825mMの酢酸ナトリウム、約850mMの酢酸ナトリウム、約875mMの酢酸ナトリウム、約900mMの酢酸ナトリウム、約925mMの酢酸ナトリウム、約950mMの酢酸ナトリウム、約975mMの酢酸ナトリウム、約1000mMの酢酸ナトリウム、約1025mMの酢酸ナトリウム、約1050mMの酢酸ナトリウム、約1075mMの酢酸ナトリウム、約1100mMの酢酸ナトリウム、約1125mMの酢酸ナトリウム、約1150mMの酢酸ナトリウム、約1175mMの酢酸ナトリウム、約1200mMの酢酸ナトリウム、約1225mMの酢酸ナトリウム、約1250mMの酢酸ナトリウム、約1275mMの酢酸ナトリウム、約1300mMの酢酸ナトリウム、約1325mMの酢酸ナトリウム、約1350mMの酢酸ナトリウム、約1375mMの酢酸ナトリウム、約1400mMの酢酸ナトリウム、約1425mMの酢酸ナトリウム、約1450mMの酢酸ナトリウム、約1475mMの酢酸ナトリウム、約1500mMの酢酸ナトリウム、約1525mMの酢酸ナトリウム、約1550mMの酢酸ナトリウム、約1575mMの酢酸ナトリウム、約1600mMの酢酸ナトリウム、約1625mMの酢酸ナトリウム、約1650mMの酢酸ナトリウム、約1675mMの酢酸ナトリウム、約1700mMの酢酸ナトリウム、約1725mMの酢酸ナトリウム、約1750mMの酢酸ナトリウム、約1775mMの酢酸ナトリウム、約1800mMの酢酸ナトリウム、約1825mMの酢酸ナトリウム、約1850mMの酢酸ナトリウム、約1875mMの酢酸ナトリウム、約1900mMの酢酸ナトリウム、約1925mMの酢酸ナトリウム、約1950mMの酢酸ナトリウム、約1975mMの酢酸ナトリウム、または約2000mMの酢酸ナトリウムを含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約100mM、または100mMの酢酸ナトリウムを含むことができる。
【0118】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約0.05~約0.08%、約0.08~約0.11%、約0.11~約0.14%、約0.14~約0.17%、または約0.17~約0.20%のポリソルベート80を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約0.1%または0.1%のポリソルベート80を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約0.05~約0.08%、約0.08~約0.11%、約0.11~約0.14%、約0.14~約0.17%、または約0.17~約0.20%のTween(登録商標) 80を含むことができる。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約0.1%のTween(登録商標) 80を含むことができる。ある特定の実施形態では、pHは、約5.2~約5.5、約5.5~約5.8、約5.8~約6.1、約6.1~約6.4、または約6.4~約6.8であり得る。ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、約6.0または6.0のpHを有する。
【0119】
ある特定の実施形態では、第1の緩衝液は、キレート剤、例えば、EDTAを含む。
【0120】
第2の緩衝液は、約30~約200mMのTrisHCl、または30~約80mMのTrisHCl、及び塩を含むことができ、第2の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、またはNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせである。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。塩、例えば、NaClの濃度は、約75~約500mMであり得る。いくつかの実施形態では、塩濃度、例えば、NaCl濃度は、約75~約200mMである。いくつかの実施形態では、塩濃度、例えば、NaCl濃度は、500mMを超えない。いくつかの実施形態では、塩濃度、例えば、NaCl濃度は、200mMを超えない。理論に拘束されることを望まないが、500mMを超えないか、または200mMを超えない塩濃度は、塩溶液の伝導性が低すぎて溶出を引き起こすことができないため、洗浄ステップ中にAAVの溶出を防止できる。
【0121】
第2の緩衝液は、約30~約35mM、約35~約40mM、約40~約45mM、約45~約50mM、約50~約55mM、約55~約60mM、約60~約65mM、約65~約70mM、約70~約75mM、または約75~約80mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約50mM、または50mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約75~約100mM、約100~約125mM、約125~約150mM、約150~約175mM、約175~約200mM、約200~約225mM、または約225~約250mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約150mM、または150mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約7.5~約7.7、約7.7~約7.9、約7.9~約8.1、約8.1~約8.3、約8.3~約8.5、約8.5~約8.7、約8.7~約8.9、または約8.9~約9.2であり得る。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約8.5、または8.5であり得る。
【0122】
第2の緩衝液は、約30~約35mM、約35~約40mM、約40~約45mM、約45~約50mM、約50~約55mM、約55~約60mM、約60~約65mM、約65~約70mM、約70~約75mM、または約75~約80mMのアルギニン-HClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約50mM、または50mMのアルギニン-HClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約75~約100mM、約100~約125mM、約125~約150mM、約150~約175mM、約175~約200mM、約200~約225mM、または約225~約250mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約150mM、または150mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約7.5~約7.7、約7.7~約7.9、約7.9~約8.1、約8.1~約8.3、約8.3~約8.5、約8.5~約8.7、約8.7~約8.9、または約8.9~約9.2であり得る。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約8.5、または8.5であり得る。
【0123】
第2の緩衝液は、約50~約200mMのグリシンを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約50~約100mM、約70~約120mM、約100~約150mM、約120~約170mM、約150~約200mMのグリシンを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約7.5~約7.7、約7.7~約7.9、約7.9~約8.1、約8.1~約8.3、約8.3~約8.5、約8.5~約8.7、約8.7~約8.9、または約8.9~約9.2であり得る。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約8.5、または8.5であり得る。
【0124】
第2の緩衝液は、約5~約20mMのクエン酸ナトリウムを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、約5~約10mM、約7~約12mM、約10~約15mM、約12~約17mM、約15~約20mMのクエン酸ナトリウムを含むことができる。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約7.5~約7.7、約7.7~約7.9、約7.9~約8.1、約8.1~約8.3、約8.3~約8.5、約8.5~約8.7、約8.7~約8.9、または約8.9~約9.2であり得る。ある特定の実施形態では、第2の緩衝液のpHは、約8.5、または8.5であり得る。
【0125】
ある特定の実施形態では、第2の緩衝液は、キレート剤、例えば、EDTAを含む。
【0126】
第3の緩衝液は、約7.5~約9.2のpHで、約30~約200mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含むことができる。第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHで、約20~約80mMのアルギニン-HCl及び約50~約200mMの塩を、含むことができる。第3の緩衝液は、約8.5のpHで、約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含むことができる。第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHで、約20~約150mMのタウリン、約30~約75体積%のエチレングリコール、及び0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシドを含むことができる。第3の緩衝液は、約7.3~約8.8のpHで、約50~約200mMのアルギニン-HCl、約50~約200mMのリジンHCl、約50~約200mMのヒスチジン-HCl、及び約1mM~約4mMのN-アセチル-D,L-トリプトファン、及び約10%~約40%(w/w)のポリソルベート80を含むことができる。塩、例えばNaClが第3の緩衝液中に存在する場合、ある特定の実施形態では、塩の濃度は500mMを超えず、ある特定の実施形態では、塩の濃度は200mMを超えない。ある特定の実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、またはNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムのうちの1つ以上の組み合わせである。ある特定の実施形態では、塩は、NaClである。ある特定の実施形態では、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、またはトレハロースのうちの1つ以上は、エチレングリコールと組み合わされるか、またはエチレングリコールの代わりに使用され得る。
【0127】
理論に拘束されることを望まないが、AAVの溶出の程度は、エチレングリコールの量及び第3の緩衝液中の塩の伝導性の両方に影響される。緩衝液中の少なくとも55%(w/w)のエチレングリコールの量は、50%(w/w)のエチレングリコールと比較すると、溶出量を顕著に増加させることができる。したがって、所与のエチレングリコール濃度で、NaCl濃度の増加は、溶出の程度及び速度を増加させることができる。所与のエチレングリコール濃度で、NaClの多価の塩での置換も、溶出の程度及び速度を増加させることができる。
【0128】
理論に拘束されることを望まないが、塩が一定、例えば、750mMのNaClである場合、エチレングリコールの量を増やすことは、緩衝液の溶出強度を増加させることができる。エチレングリコール含有量が一定、例えば、55%である場合、塩の量を増加させることは、緩衝液の溶出強度を増加させることができる。したがって、溶出強度は、750mMのNaCl中で40%から45%、50%、55%、60%(w/w)へのエチレングリコールで増加する。
【0129】
一定の塩含有量を有する溶液のエチレングリコール含有量を増加させることは、伝導性を低下させることができる。増加したエチレングリコールの量は、緩衝液中の塩の溶解度の量を低下させることができる。
【0130】
ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約30~約35mM、約35~約40mM、約40~約45mM、約45~約50mM、約50~約55mM、約55~約60mM、約60~約65mM、約65~約70mM、約70~約75mM、約75~約80mM、約80~約90mM、約90~約100mM、約100~約110mM、約110~約120mM、約120~約130mM、約130~約140mM、約140~約150mM、約150~約160mM、約160~約170mM、約170~約180mM、約180~約190mM、または約190~約200mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50mM、または50mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約30~約35体積%、35~約40体積%、約40~約45体積%、約45~約50体積%、約48~約52体積%、約50~約55体積%、約55~約60体積%、約60~約65体積%、約65~約70体積%、または約70~約75体積%のエチレングリコールを含むことができる。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、約50%、または50%のエチレングリコールを含むことができる。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液のpHは、約7.5~約7.7、約7.7~約7.9、約7.9~約8.1、約8.1~約8.3、約8.3~約8.5、約8.5~約8.7、約8.7~約8.9、または約8.9~約9.2であり得る。ある特定の実施形態では、第3の緩衝液のpHは、約8.5、または8.5であり得る。
【0131】
ある特定の実施形態では、第3の緩衝液は、キレート剤、例えば、EDTAを含む。
【0132】
第4の緩衝液は、約6.5~約8.0のpHで、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約10~約15mM、約15~約20mM、約20~約25mM、または約25~約30mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約20mM、または20mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約75~約100mM、約100~約125mM、約125~約150mM、約150~約175mM、約175~約200mM、約200~約225mMのNaCl、または約225~約250mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約150mM、または150mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、pHを有し、約6.5~約6.9、約6.8~約7.2、約7.1~約7.5、約7.4~約7.9、または約7.6~約8.0であり得る。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約7.4、または7.4のpHを有することができる。
【0133】
第4の緩衝液は、約7.5~約8.8のpHで、約20~約100mMのヒスチジン及び約75~約250mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約20~約40mM、約40~約60mM、約60~約75mM、または約75~約100mMのヒスチジンを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約20mM、または20mMのヒスチジンを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約75~約100mM、約100~約125mM、約125~約150mM、約150~約175mM、約175~約200mM、約200~約225mMのNaCl、または約225~約250mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約150mM、または150mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、pHを有し、約7.5~約7.9、約7.8~約8.2、約8.1~約8.5、約8.4~約8.9、または約8.6~約9.0であり得る。ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、約8.0、または8.0のpHを有することができる。
【0134】
ある特定の実施形態では、第4の緩衝液は、キレート剤、例えば、EDTAを含む。ある特定の実施形態では、追加的な洗浄は、キレート剤、例えばEDTAを含む緩衝液を用いて行われ得る。
【0135】
洗浄ステップに続いて、AAV粒子は溶出緩衝液を使用して溶出される。溶出緩衝液は、約30~約200mMの緩衝液、約30~約75体積%のエチレングリコール、及び約500mM~約2000mMの塩を含むことができ、溶出緩衝液は約7.3~約8.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも50%(w/w)である。いくつかの実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも55%(w/w)である。いくつかの実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも60%(w/w)である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHCl、グリシン、クエン酸塩、アルギニン、ホスフェートグリシン-HCl、硫酸アンモニウム、塩化マグネシウム、ホウ酸塩、ビス-Tris、MOPS、ビシン、トリシン、TAPS、TAPSO、MES、PIPES、TES(2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸)、ナトリウムバルビタール(Veronal)、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸)、ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、Bis-Trisプロパン、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、DIPSO(3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、Trizma、HEPPSO(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))、POPSO(ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)二水和物)、TEA、EPPS(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸)、HEPBS(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(4-ブタンスルホン酸)、AMPD(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、AMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、単一アミノ酸、またはAAVのpH及び溶出を確実にするための2個以上のアミノ酸、例えば、グリシン、アルギニン、トリプトファン、アミノ酸の誘導体、例えば、タウリン(酸化されたシステイン)、N-アセチル-トリプトファン、及びグリシルグリシン、の任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TrisHClである。
【0136】
いくつかの実施形態では、塩は、NaCl、KCl、CaCl2、CsCl、LiCl、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、またはKCl、CaCl2、CsCl、LiCl、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、及びCsClのうちの1つ以上の組み合わせである。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。塩、例えば、NaClの濃度は、約500~約2000mMであり得る。いくつかの実施形態では、塩濃度は、約500~約900mM、約750mMのNaCl、または750mMのNaClである。いくつかの実施形態では、NaClの濃度勾配が使用される場合、標的濃度は2000mMである。
【0137】
ある特定の実施形態では、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、トレハロース、グリセロール(1,2,3-プロパントリオール)、またはエリトリトール(メソ-1,2,3,4-ブタンテトロール)のうちの1つ以上は、エチレングリコールと組み合わされるか、またはエチレングリコールの代わりに使用され得る。ある特定の実施形態では、溶出緩衝液は、約30~約35mM、約35~約40mM、約40~約45mM、約45~約50mM、約50~約55mM、約55~約60mM、約60~約65mM、約65~約70mM、約70~約75mM、または約75~約80mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、溶出緩衝液は、約50mM、または50mMのTrisHClを含むことができる。ある特定の実施形態では、溶出緩衝液は、約30~約35体積%、約35~約40体積%、約40~約45体積%、約45~約50体積%、約48~約52体積%、約50~約55体積%、約55~約60体積%、約60~約65体積%、約65~約70体積%、または約70~約75体積%のエチレングリコールを含むことができる。ある特定の実施形態では、溶出緩衝液は、約50%、または50%のエチレングリコールを含むことができる。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも55%(w/w)である。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも56%(w/w)である。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも57%(w/w)である。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、少なくとも58%(w/w)である。ある特定の実施形態では、溶出緩衝液は、約500~約700mM、約550~約750mM、約600~約800mM、約650~約850mM、約700~約900mM、約750~約950mM、約800~約1000mMのNaCl、約900~約1100mMのNaCl、約1000~約1200mMのNaCl、約1100~約1300mMのNaCl、約1200~約1400mMのNaCl、約1300~約1500mMのNaCl、約1400~約1600mMのNaCl、約1500~約1700mMのNaCl、約1600~約1800mMのNaCl、約1700~約1900mMのNaCl、約1800~約2000mMのNaClを含むことができる。ある特定の実施形態では、溶出緩衝液は、約750mM、または750mMのNaClを含むことができる。pHは、7.3~7.6であり得る。pHは、7.5~7.8であり得る。pHは、7.7~8.0であり得る。pHは、7.9~8.2であり得る。pHは、8.1~8.4であり得る。pHは、8.3~8.6であり得る。pHは、8.5~8.8であり得る。
【0138】
ある特定の実施形態では、溶出は、有機溶媒を含む溶出緩衝液を用いて行われる。例えば、有機溶媒は、1つ以上のポリオール(例えば、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、グリセロール、スクロース、トレハロース、またはポリオールの組み合わせを含むことができる。緩衝液は、7.5~8.5のpH範囲を有することができる。理論に拘束されることを望まないが、有機溶媒は、例えば、AAVの産生がSf9昆虫細胞のBaculovirusトランスフェクションを伴う場合に産生され得る脂質エンベロープウイルスを不活性化できる。アフィニティ溶出物は、後の超遠心分離ステップにおいて調整可能な密度勾配において使用され得る有機溶媒(例えば、エチレングリコールのようなポリオール)を含有できる。
【0139】
洗浄緩衝液中または溶出緩衝液中の任意の有機溶媒は、脂質エンベロープウイルスを分解または不活性化でき得る。かかる不活性化は、オンカラム不活性化と液体状態中不活性化との組み合わせによって発生し得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液及びまたは洗浄緩衝液中の有機溶媒は、脂質エンベロープウイルスの分解または不活性化を確実にするために、約50%(w/w)~約80%(w/w)の濃度を有する。いくつかの実施形態では、濃度は、約50%(w/w)である。いくつかの実施形態では、濃度は、約55%(w/w)である。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、約56%(w/w)である。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、約57%(w/w)である。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、約58%(w/w)である。ある特定の実施形態では、エチレングリコールの濃度は、約59%(w/w)である。いくつかの実施形態では、濃度は、約60%(w/w)である。いくつかの実施形態では、濃度は、約65%(w/w)である。いくつかの実施形態では、濃度は、約70%(w/w)である。いくつかの実施形態では、濃度は、約75%(w/w)である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液及びまたは洗浄緩衝液中の有機溶媒は、脂質エンベロープウイルスの分解または不活性化を確実にするために、約40%(w/w)の濃度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液及びまたは洗浄緩衝液中の有機溶媒は、脂質エンベロープウイルスの分解または不活性化を確実にするために、約30%(w/w)の濃度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液または洗浄緩衝液中の有機溶媒は、Baculovirusを不活性化または分解できる。
【0140】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液は、約5.8~約6.2のpHにあり、約90~約110mMの酢酸ナトリウム及び約0.09~約0.11%のポリソルベート80/Tween(登録商標) 80を含み、第2の緩衝液は、約8.2~約8.8のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl及び約110~約135mMのNaClを含み、第3の緩衝液は、約8.2~約8.8のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl及び約45~約55%のエチレングリコールを含み、任意選択の第4の緩衝液は、約7.2~約7.6のpHにあり、約15~約25mMのTrisHCl及び約135~約165mMのNaClを含む。ある特定の実施形態では、溶出緩衝液は、約7.8~約8.2のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl、約45~約55%のエチレングリコール及び約650~約850mMのNaClを含む。約2カラム体積~約15カラム体積、約3カラム体積~約7カラム体積、約4カラム体積~約8カラム体積、約5カラム体積~約10カラム体積、または約7カラム体積~約12カラム体積のような、様々な体積が使用され得る。第1、第2、第3、第4、及び溶出緩衝液の各々の約5カラム体積、または5カラム体積が、使用され得る。代替的には、第1、第2、第3、第4、及び溶出緩衝液の各々の約10カラム体積、または10カラム体積が、使用され得る。例えば、カラム体積が約2ml~約3mlの際に、10カラム体積が使用され得る。洗浄ステップの時間を延長することは、AAV純度を改善するためにさらに行われ得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液は、約7.2~約7.6のpHにあり、約15~約25mMのTrisHCl及び約135~約165mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約5.8~約6.2のpHにあり、約90~約110mMの酢酸ナトリウム及び約0.09~約0.11%のポリソルベート80を含み、第3の緩衝液は、約8.2~約8.8のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl及び約110~約135mMのNaClを含み、第4の緩衝液は、約7.5~約8.5のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl及び約45~約55%のエチレングリコールを含み、溶出緩衝液は、約7.8~約8.2のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl、約45~約55%のエチレングリコール及び約650~約850mMのNaClを含む。各洗浄緩衝液の約10カラム体積、または10カラム体積が、使用され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液は、約7.2~約7.6のpHにあり、約15~約25mMのTrisHCl及び約135~約165mMのNaClを含み、第2の緩衝液は、約5.8~約6.2のpHにあり、約90~約110mMの酢酸ナトリウム及び約0.09~約0.11%のポリソルベート80を含み、第3の緩衝液は、約8.2~約8.8のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl及び約110~約135mMのNaClを含み、第4の緩衝液は、約7.5~約8.5のpHにあり、約45~約55mMのTrisHCl及び約45~約55%のエチレングリコールを含む。溶出は、約7.8~約8.2のpHでの第1の溶出緩衝液で開始する勾配を用いて行われ、約45~約55mMのTrisHCl、約45~約55%のエチレングリコール及び約650~約850mMのNaClを含み、約7.8~約8.2のpHでの第2の溶出緩衝液で終了し、約45~約55mMのTrisHCl、約45~約55%のエチレングリコール及び約1900~約2100mMのNaClを含む。各洗浄緩衝液の約10カラム体積、または10カラム体積が、使用され得る。溶出は、勾配の10カラム体積を用いて行われ得る。
【0143】
ある特定の実施形態では、AAV粒子を含有する溶液は、イオン交換クロマトグラフィーを受ける。ある特定の実施形態では、イオン交換は、陰イオン交換である。ある特定の実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー支持体は、細胞培養物からの残留粒子汚染物質だけでなく、酸性不純物及びウイルス粒子も除去できる。ある特定の実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィーは、プロテアーゼ及び/または宿主細胞DNAを除去できる。ある特定の実施形態では、イオン交換クロマトグラフィーは、膜ベースの分離、例えば、ハイブリッド膜-陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて行われ得る。ある特定の実施形態では、純粋なAEXクロマトグラフィーが、例えば、フロースルーモードまたは結合/溶出モードにおいて使用される。ある特定の実施形態では、陰イオン交換支持体は、Mustang(登録商標)Q、STREAMLINE Q XL(商標)、POROS 50 PI(商標)、Q SEPHAROSE(商標)、Emphase(商標)AEX Hybrid Purifier、Nuvia Q、POROS 50 HQ、Capto Q、Capto Qインプレス(impress)、Unosphere Q、Q Ceramic HYPERD(登録商標)F、TOYOPEARL(登録商標)Q、TOYOPEARL(登録商標)Super Q、混合モードAEX樹脂(例えば、Capto Adhere、Capto付着インプレス、MEP Hypercell)、及び任意のDEAE、TMAE、三級または四級アミン、またはPEIベースの樹脂であり得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、イオン交換支持体は、Mustang(登録商標)Qである。
【0144】
ある特定の実施形態では、HEK293細胞、または使用される任意の宿主細胞からのDNAは、Benzonase及び/またはDNaseで処理されない。本明細書に記載される陰イオン交換体及び洗浄ステップは、かかるDNAを除去するために有効であり得、BenzonaseまたはDNaseを用いて処理する必要がない。
【0145】
AAVは、一般に、(pHに依存して)フロースルー画分における陰イオン交換ステップから回収される。代替的には、AAVは、結合/溶出方法において使用され得る。フロースルー方法または結合/溶出方法のいずれかは、AAVよりも高い伝導性(一定のpHで)または低いpH(一定の伝導性で)で溶出する宿主細胞不純物を除外するために行われるべきである。結合/溶出モードにおいて操作する際に、緩衝液のpH及び組成物は、酸性の宿主細胞不純物のものでなく、産物の溶出を誘発するために有効である。理論に拘束されることを望まないが、各結合及び溶出ステップは、非結合条件におけるフロースルー方法が結合/溶出方法よりも少ないAAVの損傷または分解を引き起こすことができるように、微小環境において力を引き起こすことができる。
【0146】
様々な実施形態では、本明細書に記載される精製ステップ後の、かつITR-qPCRアッセイにより重量/体積として測定される、AAV、例えば、AAV8及びAAV9の収率は、洗浄手順が実行されない比較手順によって得られるものより少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または、65%大きい。
【0147】
様々な実施形態では、本明細書に記載される精製ステップ後の、かつITR-qPCRアッセイにより重量/重量として測定される、AAV、例えば、AAV8及びAAV9の収率は、洗浄手順が実行されない比較手順によって得られるものより少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または、65%大きい。
【0148】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法は、同じ洗浄プロトコルを伴わない比較手順によって得られるものよりも、タンパク質不純物の数を約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%低下させる。驚くべきことに、本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法は、タンパク質不純物の数を少なくとも25%減少させることが見出された。驚くべきことに、本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法は、AAV粒子の溶液がアフィニティマトリックス上に負荷される前に陰イオン交換クロマトグラフィーに曝露される際に、タンパク質不純物の数を少なくとも75%減少させることが見出された。例えば、実施例2の表7のデータは、タンパク質不純物の数が20から14(事前の陰イオン交換なし)かつ20から4(事前の陰イオン交換あり)に低下することを示す。
【0149】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法は、陰イオン交換及び洗浄ステップを伴うアフィニティ精製の両方が本明細書に提供されるように行われる際に少なくとも98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、または99.2%であるAAV、例えば、AAV8及びAAV9の純度を提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法は、洗浄ステップを伴うアフィニティ精製が本明細書に提供されるように行われる際に少なくとも96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、または98.0%であるAAV、例えば、AAV8及びAAV9の純度を提供する。
【0150】
有利には、方法は、例えば、細胞培養物などの大量の出発材料に拡張可能である。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、少なくとももしくは約500L、少なくとももしくは約600L、少なくとももしくは約700L、少なくとももしくは約800L、少なくとももしくは約900L、または少なくとももしくは約1000Lの体積からのAAVを精製することができる大規模な方法である。ある特定の実施形態では、方法は、少なくとももしくは約1250L、少なくとももしくは約1500L、少なくとももしくは約2000L、少なくとももしくは約2500L、少なくとももしくは約3000L、少なくとももしくは約4000L、少なくとももしくは約5000L、少なくとももしくは約6000L、少なくとももしくは約7000L、少なくとももしくは約8000L、少なくとももしくは約9000L、少なくともまたは約10,000L、またはそれ以上の出発材料(例えば、細胞培養物)の最小体積に拡張可能である。例えば、方法は、AAVを産生する約1000Lまたは約10,000Lまたは25,000Lまたはそれ以上の細胞培養物の最小体積で行われる。
【0151】
本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法はまた、方法が高力価のAAV産生を生じるため、有利である。ある特定の実施形態では、少なくとも約1010のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1011のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1012のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1013のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1014のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1015のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1016のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1017のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約2×1016のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。ある特定の実施形態では、少なくとも約5×1017のウイルス粒子(vp)を含むAAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される。
【0152】
本明細書に記載される方法の別の利点は、方法が非常に純粋なAAV産物をもたらすことである。ある特定の実施形態では、本開示の方法を通じて産生されるAAV産物は、1つ以上の以下の汚染物質を実質的に含まない:宿主細胞タンパク質、宿主細胞核酸(例えば、遊離宿主細胞DNA及び遊離プラスミドDNA)、プラスミドDNA、空のウイルスキャプシド、熱ショックタンパク質70(HSP70)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、プロテアソーム、汚染物質非AAVウイルス(例えば、脂質エンベロープウイルス)、宿主細胞培養成分(例えば、抗生物質)、マイコプラズマ、パイロジェン、細菌性エンドトキシン、細胞破片(例えば、膜脂質、タンパク質及び他の生物学的高分子から構成される破片)、ならびに外来性薬剤。AAVが本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法に従って精製される際に、1つ以上の、または全ての以下の不純物は、検出不可能であり得る:ヒストンH2A型1、ヒストンH2B型1-B、ヒストンH4、熱ショック70kDaタンパク質1A、ピルビン酸キナーゼPKM、伸長因子2、ATP-クエン酸シンターゼ、ヒストンH1.4、免疫グロブリン重定常ガンマ1(酸性溶出方法からの固定化されたリガンド)、60Sリボソームタンパク質L27、フルクトース-ビスホスフェートアルドラーゼA、熱ショック同族71kDaタンパク質、細胞質アクチン1、S-ホルミルグルタチオンヒドロラーゼ、アスパラギンシンテターゼ(グルタミン加水分解)、L-乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、チューブリンベータ-2A鎖、X染色体RNA結合モチーフタンパク質、60Sリボソームタンパク質L6、細胞質スレオニンtRNAリガーゼ、免疫グロブリンカッパ定数、60Sリボソームタンパク質L30、WDリピート含有タンパク質1、アデノシルホモシステイナーゼ、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質C、タンパク質Rep68、チメット(thimet)オリゴペプチダーゼ、D-3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ、ATP依存性分子シャペロンHSC82。本明細書に記載されるAAVを産生及び精製する方法に従って、洗浄ステップの前に陰イオン交換ステップを追加することは、以下のものを検出不可能にすることもできる:ヒストンH1.4、60Sリボソームタンパク質L27、細胞質アクチン1、チューブリンベータ-2A鎖、60Sリボソームタンパク質L6、60Sリボソームタンパク質L30、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質C、タンパク質Rep68、及びATP依存性分子シャペロンHSC82。
【0153】
例示的な実施形態では、本開示の方法は、出発材料(例えば、細胞培養物)中に見出される汚染物質の少なくともまたは約50%が除去される精製されたAAV産物を提供する。例示的な実施形態では、本開示の方法は、出発材料(例えば、細胞培養物)中に見出される汚染物質の少なくともまたは約60%が除去される精製されたAAV産物を提供する。例示的な実施形態では、本開示の方法は、出発材料(例えば、細胞培養物)中に見出される汚染物質の少なくともまたは約70%が除去される精製されたAAV産物を提供する。例示的な実施形態では、本開示の方法は、出発材料(例えば、細胞培養物)中に見出される汚染物質の少なくともまたは約80%が除去される精製されたAAV産物を提供する。例示的な実施形態では、本開示の方法は、出発材料(例えば、細胞培養物)中に見出される汚染物質の少なくともまたは約90%が除去される精製されたAAV産物を提供する。
【0154】
ある特定の実施形態では、本開示の方法を通じて産生されるAAV産物は、ヒトへの投与に好適である。ある特定の実施形態では、AAVは、組換えAAV(rAAV)である。ある特定の実施形態では、本開示の方法を通じて産生されるAAV産物は、無菌であり、及び/または適正製造基準(GMP)グレードのものである。ある特定の実施形態では、本開示の方法を通じて産生されるAAV産物は、遺伝子治療医薬品に関してU.S.Pharmacopeia Chapter 1046またはEuropean Pharmacopoeiaに示されるか、または米国食品医薬品局(USFDA)または欧州医薬品庁(EMA)によって命じられるような要件に準拠する。
【0155】
追加的に、本明細書に記載される方法から産生されたAAV産物は、非常に効力がある。AAV産物、例えば、AAV8またはAAV9産物の効力は、(1)マウス血漿のmLあたりの単位(FIXまたはFVIII)として与えられるインビボ生物効力(biopotency)(例えば、マウスにおける活性タンパク質の産生)、または(2)インビトロ生物効力の観点で記載され得る。インビトロ生物効力試験は、細胞、例えば、培地中に目的のタンパク質を発現及び分泌し、ELISA技法及び/または酵素活性によって量を決定するHepG2細胞に感染するAAVベクターの可能性を測定する。インビボ及びインビトロ生物効力を測定する好適な方法は、当技術分野で既知であり、本明細書にも記載される。
【0156】
さらなる実施形態では、本明細書に記載される方法から産生されるAAV産物は、優れた比活性を実証する。AAVの「比活性」は、AAV8μgに対するqPCRの比率で表される。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法から産生されるAAV産物は、AAVのμgあたりのベクターゲノムの優れた比率を実証し、AAV産物が大量の「完全な」ウイルス粒子を有することを実証する。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、AAV特異的ELISAを介してAAV画分を試験することを含む。ある特定の実施形態では、AAV画分中のキャプシドの大部分は完全なキャプシドであるため、AAV特異的ELISAは、AAV画分の効力についての代表的な読みを提供するのに十分である。
【0157】
rAAV粒子の供給源
本開示の方法に関して、AAVは、任意のAAV血清型のものであり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により精製されたAAVは、AAV1血清型、AAV2血清型、AAV3血清型、AAV4血清型、AAV5血清型、AAV6血清型、AAV7血清型、AAV8血清型、AAV9血清型、AAV10血清型、AAV11血清型、AAV12血清型、AAV13血清型、AAAV血清型、BAAV血清型、AAV(VR-195)血清型、及びAAV(VR-355)血清型、またはキメラAAVベクターのものである。ある特定の実施形態では、AAVは野生型である。ある特定の実施形態では、AAVは、遺伝子工学によって修飾され、及び/または化学的に修飾される。ある特定の実施形態では、AAVは、修飾されたキャプシド、例えば、遺伝子操作されたまたは化学的に修飾されたAAVキャプシドを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法によって精製されたAAV粒子は、AAV8血清型のものである。
【0158】
本発明の方法に関して、AAV画分は、例示的な態様では、濃縮されたAAV画分である。ある特定の実施形態では、AAV画分は、mLあたり少なくとも1×1010、1×1011または1×1012のAAVキャプシドを含む。ある特定の実施形態では、AAV画分は、mLあたり少なくとも1×1012のAAVキャプシドを含む。AAVキャプシドは、空のAAVキャプシド及び完全なAAVキャプシドを含むことができる。
【0159】
ある特定の実施形態では、AAV画分は、トランスフェクトされた宿主細胞によって産生されるAAV画分を表す。ある特定の実施形態では、AAV画分は、トリプルプラスミドシステムを用いてトランスフェクトされた宿主細胞を含む細胞培養物から採取された上清を表し、システムの1個のプラスミドは目的の遺伝子またはcDNAを含み、1個のプラスミドはキャプシドタンパク質VP1、キャプシドタンパク質VP2及び/またはキャプシドタンパク質VP3をコードする。ある特定の実施形態では、VP1、VP2、及び/またはVP3は、AAV8 VP1、AAV8 VP2、及び/またはAAV8 VP3である。ある特定の実施形態では、VP1、VP2、及び/またはVP3は、AAV9 VP1、AAV9 VP2、及び/またはAAV9 VP3である。rAAV産生の目的のためのトリプルプラスミドトランスフェクションは、当該分野で既知である。例えば、Qu et al.,2015,上記、及びMizukami et al.,“A Protocol for AAV vector production and purification”PhD dissertation,Division of Genetic Therapeutics,Center for Molecular Medicine,1998、及びKotin et al.,Hum Mol Genet 20(R1):R2-R6(2011)を参照されたい。ある特定の実施形態では、トランスフェクションは、無機化合物、例えば、リン酸カルシウム、または有機化合物、ポリエチレンイミン(PEI)、または非化学的手段、例えば、エレクトロポレーションを使用して行われ得る。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、付着細胞である。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、懸濁細胞(suspension cell)である。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、HEK293細胞またはSf9細胞である。ある特定の実施形態では、細胞培養物は、血清及びタンパク質を含まない培養培地を含む。ある特定の実施形態では、培地は、化学的に定義され、動物由来の成分、例えば加水分解物を含まない。ある特定の実施形態では、rAAV粒子を含む画分は、トリプルプラスミドシステムを用いてトランスフェクトされたHEK293細胞を含む画分を表す。ある特定の実施形態では、rAAV粒子を含む画分は、米国仮出願第62/417,775及び国際出願第PCT/US2017/059967に記載される。
【0160】
追加的なステップ
本開示の方法は、本明細書に開示されるステップの任意の組み合わせを含み、任意選択で、1つ以上の追加的なステップと組み合わされ得る。したがって、例示的な態様では、本開示の方法は、本明細書に記載されるようなトリプルプラスミドシステムを用いて宿主細胞をトランスフェクトするステップをさらに含む。例示的な態様では、本開示の方法は、トリプルプラスミドシステムを用いてトランスフェクトされた宿主細胞、例えばHEK293細胞を含む細胞培養物から上清を採取することを含む。例示的な態様では、トランスフェクション及び採取するステップは、本明細書に記載される超遠心分離ステップの前に発生する。
【0161】
本開示の方法は、AAVの純度をさらに増加させ、他の不要な成分をさらに除去し、及び/または画分を濃縮し、及び/またはその後のステップのための画分を条件づけることができるさらに他の追加的なステップを含むことができる。追加的なステップは、上に記載される超遠心分離ステップの前または後に発生し得る。
【0162】
例示的な態様では、方法は、深層濾過(depth filtration)ステップを含む。例示的な態様では、方法は、トランスフェクトされたHEK293細胞培養上清の画分を、セルロース及びパーライトを含み約500L/m2の最小透過性を有するフィルタを使用して深層濾過に供することを含む。例示的な態様では、この方法は、約0.2μmの最小孔径を有するフィルタの使用をさらに含む。例示的な態様では、深層濾過の後に、約0.2μmの最小孔径を有するフィルタを通じた濾過が続く。例示的な態様では、深層フィルタ及び約0.2μmの最小孔径を有するフィルタの一方または両方は洗浄され、洗浄液は収集される。例示的な態様では、洗浄液は一緒にプールされ、深層濾過及び約0.2μmの最小孔径を有するフィルタでの濾過により得られた濾液と組み合わされる。
【0163】
例示的な態様では、本開示の方法は、1つ以上のクロマトグラフィーステップを含む。例示的な態様では、方法は、望ましくない成分がクロマトグラフィー樹脂に結合し、所望のAAVがクロマトグラフィー樹脂に結合しない負のクロマトグラフィーステップを含む。例示的な態様では、方法は、負の陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィーステップ、または「非結合モード」でのAEXクロマトグラフィーステップを含む。実施例2は、かかるステップについて説明する。「非結合モード」の利点は、手順を行うこと及びその後のアッセイを行う際の相対的容易さを含む。
【0164】
したがって、例示的な実施形態では、AAV粒子を精製する方法は、AAVがAEXクロマトグラフィーカラムまたは膜を通って流れることを可能にする条件下で画分をAEXクロマトグラフィーカラムまたは膜に適用することと、AAV粒子を収集することと、によってAAV粒子を含む画分に対して負の陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィーを実施することを含む。例示的な態様では、画分は、約100mM~約150mMの塩、例えば、NaClを任意選択で含む負荷緩衝液と共にAEXクロマトグラフィーカラムまたは膜に適用され、ここで、負荷緩衝液のpHは約8~約9である。例示的な態様では、負荷緩衝液は、約115mM~約130mMの塩、例えば、NaClを任意選択で含み、負荷緩衝液は、約120mM~約125mMの塩、例えば、NaClを含む。例示的な態様では、負のAEXステップは、本明細書に記載される超遠心分離ステップの前に発生する。
【0165】
例示的な態様では、本開示の方法は、超/透析濾過システムを使用してAAV画分を濃縮することを含む。例示的な態様では、本開示の方法は、1つ以上のタンジェンシャルフロー(tangential flow filtration)濾過(TFF)ステップを含む。例示的な態様では、AAV画分は超/透析濾過を受ける。例示的な態様では、AAV画分は、負のAEXクロマトグラフィーを実行することを含むステップの前、負のAEXクロマトグラフィーを実行することを含むステップの後、または負のAEXクロマトグラフィーを実行することを含むことの前及び後に超/透析濾過システムを用いて濃縮される。例示的な態様では、TFFステップは、本明細書に記載される超遠心分離ステップの前に発生する。
【0166】
例示的な態様では、本開示の方法は、画分中のrAAV粒子よりも大きいサイズのウイルスを除去するために、rAAV粒子を含む画分の濾過を含む。
【0167】
例示的な態様では、本開示の方法は、1つ以上の品質制御ステップ、例えば、プロセスの1つ以上のステップ後に(例えば、各ステップ後に)得られたAAV画分の効力または比活性を測定するステップを含む。例示的な態様では、本開示の方法は、AAVに特異的なELISAを含む。例示的な態様では、ELISAはサンドイッチELISAである。例示的な態様では、サンドイッチELISAは、AAVエピトープに特異的な抗体を含む。例示的な態様では、AAVエピトープは、組み立てられたAAVキャプシド上に存在する立体構造エピトープである。本明細書で論じられるように、ELISAは、AAV画分の効力を決定する方法としてqPCRに取って代わることができる。例示的な態様では、本開示の方法はAAV特異的ELISAを介してAAV画分を試験することを含み、方法は定量的PCRを介して効力を測定する方法を含まない。例示的な態様では、AAV画分中のキャプシドの大部分は完全なキャプシドであるため、AAV特異的ELISAは、AAV画分の効力についての代表的な読みを提供するのに十分である。
【0168】
例示的な態様では、本開示の方法は、本開示のステップのうちの1つ以上の後にAAVに特異的なELISAを含む。例示的な態様では、本開示の方法は、AAV特異的ELISAを介して深層濾過後に得られたAAV画分を試験して、その画分中のAAVの比活性を決定することを含む。例示的な態様では、本開示の方法は、AAV特異的ELISAを介して超/透析濾過後を使用してAAV画分を濃縮することの後に得られたAAV画分を試験して、その画分中のAAVの比活性を決定することを含む。例示的な態様では、本開示の方法は、AAV特異的ELISAを介してタンジェンシャルフロー濾過(TFF)ステップ後に得られたAAV画分を試験して、その画分中のAAVの比活性を決定することを含む。例示的な態様では、本開示の方法は、AAV特異的ELISAを介して負の陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィー後に得られたAAV画分を試験して、その画分中のAAVの比活性を決定することを含む。例示的な態様では、本開示の方法は、AAV特異的ELISAを介して磨きステップ後に得られたAAV画分を試験して、その画分中のAAVの比活性を決定することを含む。
【0169】
本開示の方法によって産生されたAAV産物は、本明細書にさらに提供される。例示的な態様では、AAV産物は、約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される少なくとも約1012のウイルス粒子(vp)、または約1000Lの出発材料(例えば、細胞培養物)から産生される少なくとも約1013のウイルス粒子(vp)を含む。例示的な態様では、AAV産物は、導入遺伝子プラスミドを伴わずにrep-cap及びAdヘルパープラスミドをトランスフェクトすることによって生成される空のキャプシドである。精製された空のプラスミドは、患者の血液からAAV抗原に特異的な抗体を枯渇または除去するために使用され得る。
【0170】
例示的な態様では、本開示のAAV産物は、非常に純粋であり、非常に効力があり、ヒトにおける臨床的使用に好適である。例示的な態様では、AAV産物は、均質な集団及び高純度のAAV粒子を含む。例示的な態様では、AAV産物は、完全長ベクターDNAを含む。例示的な実施形態では、AAV産物は、切断されたもしくは不完全なベクターDNAを含有するAAV粒子、不完全なタンパク質組成及びオリゴマー化構造を有するAAV粒子、または汚染ウイルス、例えば、非AAV、脂質エンベロープウイルスを含むがこれらに限定されない、望ましくない汚染物質を実質的に含まない。例示的な実施形態では、AAV産物は、目的のタンパク質の大量のコード化cDNAを含有する。例示的な実施形態では、本開示のAAV産物は、ヒトへの投与に好適である。例示的な態様では、AAV産物は、無菌であり、及び/または適正製造基準(GMP)グレードのものである。例示的な実施形態では、AAV産物は、遺伝子治療医薬品に関してU.S.Pharmacopeia Chapter 1046またはEuropean Pharmacopoeiaに示されるか、または米国食品医薬品局(USFDA)または欧州医薬品庁(EMA)によって命じられるような要件に準拠する。例示的な態様では、AAV産物は、取扱または加工をほとんどまたは全く用いずにヒトへの直接投与のためのすぐに使用できる産物である。
【実施例0171】
以下の実施例は、単に本発明を例示するために与えられ、決してその範囲を限定するものではない。
【0172】
実施例1
以下の例は、HEK293細胞株をトリプルプラスミドシステムを用いてトランスフェクトして、目的のタンパク質をコードする核酸を含むrAAV粒子を産生する例示的な方法を記載する。
【0173】
付着性のHEK293細胞を、例えば、PCT/US2017/059967のパラグラフ[00146]~[00150]に記載されるように、化学的に定義され、動物由来の成分、タンパク質及び血清が含まない市販の培養培地中で懸濁状態で成長させた。細胞は3つのプラスミドでトランスフェクトした:(1)増殖性AAV感染に不可欠なヘルパーウイルス機能を提供するヘルパープラスミド、(2)ウイルスのキャプシド生成、複製及びパッケージ化に関する全ての情報を担持するrepcap-プラスミド、(3)生じるrAAV粒子中にパッケージ化される目的の遺伝子(GOI)を含有するプラスミド。目的の遺伝子を担持するrAAV粒子は、トランスフェクション後3~5日の期間にわたってHEK293細胞株中にある。
【0174】
トランスフェクトされたHEK293細胞培養の上清を、例えば、PCT/US2017/059967の[00151]~[00155]、表1及び表2に記載されるように採取した。採取された上清を、例えば、PCT/US2017/059967のパラグラフ[00156]~[00160]、表3及び表4に記載されるように濃縮及び条件付け(透析濾過(diafiltered))した。負のクロマトグラフィーを、例えば、PCT/US2017/059967のパラグラフ[00161]~[00165]及び表5に記載されるように透析濾過された濃縮物に対して実行した。
【0175】
実施例2
AAV8産生を、目的のタンパク質ならびにAAV8-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 100kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、非結合条件で、すなわち、pH8.5で125mMのNaCl及び50mMのTrisHClを含む溶液中で、膜吸着体(MustangQ、Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。pH条件づけられた負荷を、25%HClで7.4~7.8のpH範囲にAAV8含有フロースルーを調整することによって得た。
【0176】
以下の試験手順を行った。まず、59mmのベッド高さ及び体積47.45mlを有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(カタログ番号195338010、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径32mm)を、pH7.4で少なくとも5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化させた。pH条件づけられた負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(カタログ番号195338010、Thermo Fisher)を含有するカラム上に適用した。次いで、カラムを、pH7.4で5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化させた(任意選択の第4の緩衝液)。
【0177】
次いで、カラムを、pH6.0で5カラム体積の洗浄1(W1):100mMの酢酸ナトリウム及び0.1%のTween(登録商標)80を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で5カラム体積の洗浄2(W2):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で5カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び50%のエチレングリコールを用いて洗浄した。
【0178】
5カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び750mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を行った。次いで、5カラム体積の以下の第2の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び2000mMのNaClをカラムに適用した。
【0179】
上のステップについて線形流量(linear flow rate)は、60cm/時であった。
【0180】
以下の比較手順を行った。2.5mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(カタログ番号195338010、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径10mm)を、pH7.4で少なくとも10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化させた。pH条件づけられた負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(カタログ番号195338010、Thermo Fisher)を含有するカラム上に適用した。次いで、カラムを、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化させた。
【0181】
洗浄ステップを、以下のTBS緩衝液:20mMのTrisHCl/150mMのNaCl/pH7.4を使用することによって実行した。代わりに、溶出を、pH3.0で10カラム体積の100mMのクエン酸ナトリウムを用いて行った。
【0182】
上記の試験及び比較手順は、表2により詳細に説明され、「CV」は、ステップにおいて添加された溶液のカラム体積の数を示す。
【表2】
【0183】
以下のアッセイを、表3に重量/体積で示されるデータを用いて行った。溶出緩衝液の密度を、振動Uチューブ密度計DMA 4500M(Anton Paar)で測定した。
【0184】
ELISAを、AAV8抗原の量を測定するために使用した。ELISAを、AAV-8滴定ELISAキット(Art.番号PRAAV8、Progen(Heidelberg,Germany)を用いてTECAN Roboterシステムで行った。簡単に言えば、組み立てられたAAV8キャプシド(ADK8)上の立体構造エピトープに特異的なモノクローナル抗体を、マイクロタイターストリップ上に被覆し、AAV画分からAAV8粒子を捕捉するために使用した。捕捉AAV8粒子は、2つのステップにより検出された。第1のステップでは、ADK8抗体に特異的なビオチン結合モノクローナル抗体を、(ADK8及びADK8抗体の)免疫複合体に結合した。ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートをビオチン結合モノクローナル抗体に結合した免疫複合体に添加し、ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートはビオチンと反応した。ペルオキシダーゼ基質溶液を添加し、結合したAAV粒子の量に比例する呈色反応が発生する。呈色反応は、450nmで測光的に測定される。
【0185】
ITR-qPCRアッセイを、目的の遺伝子(例えば、ヒト第VIII因子またはヒト第IX因子)をコードするベクターにおいて見出される逆タンデムリピートを定量化することにより、ゲノムコピー力価を決定するために使用した。HEK-HCPは、ELISAによる残存宿主細胞タンパク質の測定値である。LDHを、比色活性アッセイによって決定した。
【0186】
AAV8リガンド漏出ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)は、AAV8アフィニティリガンドを捕捉薬剤として含有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティ培地を用いて精製された産物中に存在し得る1ng/mLのAAV8アフィニティリガンドの検出のために設計される。AAV8リガンド漏出ELISAは、最適な精製プロセス開発において、及び最終産物と同様にインプロセスストリームの日常的な品質管理において役立つツールとして使用され得る。
【0187】
量「リガンド漏出ELISA/AAV8-抗原」は、AAV8のマイクログラムあたりのリガンドのナノグラムとして計算された、「AAV8抗原」に対する「リガンド漏出ELISA」の比率を反映する。
【0188】
インビトロ生物効力アッセイでは、ウイルスベクターAAV8は、その後、機能的で測定可能なコードされたタンパク質を培地中に分泌する肝標的細胞株に感染する。最初のステップでは、HepG2標的細胞は、AAV8に感染して形質導入される。インキュベーション時間中に、コードされたタンパク質は細胞上清に放出される。第2のステップでは、細胞培養上清へのコードされたタンパク質の活性は、活性アッセイにより直接測定される。AAV8試料の測定値は、参照材料に対するパーセンテージとして示される。方法は、AAV8遺伝子治療ベクターの生物学的機能の定量的な評価を可能にする。
【表3】
【0189】
試験手順についてITR-qPCRについてのステップ収率は105.3%であったが、比較手順のものは71.2%であった。試験手順のインビトロ生物効力は0.45であったが、比較手順のものは0.33であった。
【0190】
アッセイも、表4における重量/重量で示されるデータを用いて行った。
【表4】
【0191】
試験手順についてITR-qPCRについてのステップ収率は127.4%であったが、比較手順のものは72.4%であった。AAV8の感染力及び生物効力を低下させるであろう極端な条件を使用しなくてもよいことと組み合わされた、収率及び純度の向上は、驚くべきことであった。また、特に精製前に存在する不純物との非特異的結合や産物の複合体が実質的に多い条件下では、試験手順がアフィニティリガンドから産物を溶出させることもなくほとんどの不純物を除去することは驚くべきことであった。
【0192】
SDS-PAGE分析を、比較手順の代わりに洗浄ステップを伴う試験手順を使用する際に、熱ショックタンパク質70kDa(HSP70)の減少があったかどうかを決定するために、実行した。ウエスタンブロットを、1:2000希釈で一次抗体として抗Hsp70抗体(Abcam、カタログ番号ab79852)を2時間、及び1:1000希釈で二次抗体としてヤギ抗ウサギigG(H+L)AP複合体(Sigma、カタログ番号A8025)を1時間使用して実行した。結果は
図1に示される。レーン4(テスト手順)をレーン6(比較手順)と比較すると、テスト手順でHSP70の大幅な減少が観察された。レーン2は20ngのHSP70を示し、レーン4は4ngのHSP70を示す。
【0193】
SDS-PAGE銀染色アッセイを、存在する不純物の全体的なレベルを決定するために実行した。結果は
図2に示される。レーン2は、AAV8参照を表し、3つの特徴的なバンドを示す。溶出物(190μg/ml)を、試験手順及び比較手順の両方に従って精製した。試験手順の結果は、レーン4に示される。比較手順の結果は、レーン6に示される。比較手順では、試験手順よりも実質的により多くの不純物が見られる。
【0194】
12%の抗AAV抗体を用いたウエスタンブロットを、試験及び比較手順に従って精製後に回収されたAAV8のレベル及び純度を決定するために実行した。ウエスタンブロットを、一次抗体としてAAVのVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体を用い、二次抗体としてヤギ抗マウスALP抗体(Sigma、カタログ番号A4656)を用いて実行した。結果は、
図3に示される。レーン2は、VP1、VP2及びVP3の各々に3つのバンドを有するAAV参照(130ng、60μg/mlに対応する)を示す。レーン4は試験手順(190μg/mlのAAV8抗原)に従う溶出物を示し、比較手順に従う溶出物を示す。ウエスタンブロットに従うと、収率は、比較手順に対し試験手順でより高い。
【0195】
LC-MSを、様々な宿主細胞不純物の同一性及び量を決定するために実行した(rp-HPLC-UV-ESI-MS/MS)。試料を、酵素トリプシンを使用して消化した。得られたペプチド混合物を、RPカラム(ZORBAX 300SB-C18カラム、0.5×150mm、3.5μm)を使用するHPLCシステムで分離し、その後、ペプチドをQ-Exactive HF質量分析計で分析した。データを、ソフトウェアProteome Discovererを使用して試料中のタンパク質を特定するために分析した。
【0196】
Agilent HPLC1209(1200 capHPLC)を、LC 3Dシステム用のChemStationを用いて使用した(Rev.B.04.03-SP2(105))。HPLC方法は、PEPMAP_CAP_170.Mであった。溶出物Aは、脱イオン水中0.1%(v/v)のHCOOHであり、溶出物Bは、アセトニトリル中0.08%(v/v)のHCOOHであった。HPLCの詳細は以下の表5に提供される:
【表5】
【0197】
MSの詳細は以下の表6に提供される:
【表6-1】
【表6-2】
【0198】
3つの異なる精製のモードを行った。1つはこの例の比較手順を含み、もう1つはこの例の試験手順(アフィニティ精製の前にMustangQによる陰イオン交換精製を含んだ)を含み、第3のものは試験手順に従って行われたがMustangQによる陰イオン交換精製を伴わなかった。表7は全体的な結果を要約する。
【表7】
【0199】
上の表では、純度は、全てのタンパク質の総曲線下面積(AUC)に対する、AAV8キャプシドに関連するAUCパーセントを反映する。
【0200】
以下の表8~10は、各タンパク質について、比較手順(表8)についてLC/MSにより特定されたAUC値及びペプチドの数、事前の陰イオン交換を伴う試験手順(表9)、ならびに事前の陰イオン交換を伴わない試験手順(表10)を列挙する。
【表8-1】
【表8-2】
【表9-1】
【表9-2】
【表10-1】
【表10-2】
【0201】
最も少ないタンパク質は、事前の陰イオン交換と組み合わされた試験手順で検出された。陰イオン交換がないと、純度は低下し、検出されるタンパク質の数は増加する。最も低い純度及び検出されたタンパク質の最大数は、比較手順で見られる。
【0202】
実験例3
AAV8産生を、目的のタンパク質ならびにAAV8-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 100kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、非結合条件で膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。得られたAAV8含有フロースルーを、25%HClで7.4~7.8のpH範囲にpH調整しなかった。代わりに、負荷を、pH8.5で125mMのNaCl及び50mMのTrisHClを含む負荷緩衝液でAAV-8含有フロースルーを再構成することにより形成した。
【0203】
pH8.5を有することは、pH調整ステップを含まなくてよいことに固有の利点に加えて、親和性性能における改善した頑健性と、産物または樹脂のいずれかへの不純物の非特異的結合の防止を可能にする。
【0204】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料を、どれほどのAAV8が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV8が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、25mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(カタログ番号195338010.Thermo Fisher)を含有するカラム(内径10mm)を、pH7.4で少なくとも5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(カタログ番号195338010.Thermo Fisher)を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。次いで、カラムを、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化させた。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。
【0205】
次いで、カラムを、pH6.0で10カラム体積の洗浄1(W1):100mMの酢酸ナトリウム及び0.1%のTween(登録商標)80を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄2(W2):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び50%のエチレングリコールを用いて洗浄した。W1、W2、及びW3の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした。
【0206】
10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び750mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を行った。
【0207】
上の試験手順は、表11により詳細に記載される。
【表11】
【0208】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によってアッセイした。表12は、表11に列挙される洗浄、溶出、及び溶出後のステップの画分の全てにおいてITR qPCRによってアッセイされたAAV8の分布を示す。
【表12】
【0209】
以下の表13は、表11に列挙される洗浄、溶出、及び溶出後のステップの画分の全てにおいてELISAによってアッセイされたAAV8の分布を示す。
【表13】
【0210】
以下の表14は、負荷及び溶出ステップのみでELISAによって存在するHEK 293 HCPの量を決定するためのアッセイの結果を示す。
【表14】
【0211】
表12~14におけるデータに関連するクロマトグラムが、
図6に示される。
【0212】
上の試料を、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイした。結果は、
図4に示され、各レーンに対するラベルは図の中に示される。AAV8バンドは、溶出物(E)及び50%溶出物希釈(E2)レーン中に明らかに見える。非常に少ないAAV8が、洗浄バンドフロースルー試料(W1、W2、及びW3)中ならびにストリッピング(S)フロースルー試料中において見られる。したがって、方法は、洗浄中の実質的な損失または溶出後にAAV8をカラム上に残すことなく、AAV8を効率的に除去する。
【0213】
次いで、試料を、SDS-PAGE及びAAV抗原に対するウエスタンブロットによってアッセイした。一次抗体はAAVのVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体であるが、二次抗体はアルカリホスファターゼと結合したヤギ抗マウスである。結果は、
図5に示され、
図4におけるものと同じ各レーンに対するラベルが使用される。洗浄及びストリッピングステップにおけるAAV8の損失は最小限である。
【0214】
実施例4
AAV9産生は、目的のタンパク質ならびにAAV9-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後にHEK293細胞株において展開される。清澄化した無細胞培養上清は、濃縮され、Pall Omega T-Series Cassette 100kDaを用いて透析濾過される。ウイルス粒子は、非結合条件で、すなわち、pH8.5で125mMのNaCl及び50mMのTrisHClを含む溶液中で、膜吸着体(MustangQ、Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷される。pH条件づけられた負荷は、25%HClを用いて7.4~7.8の間のpH範囲にAAV9含有フロースルーを調整することによって得られる。
【0215】
以下の試験手順が、行われる。まず、59mmのベッド高さ及び体積47.45mlを有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティ樹脂(カタログ番号A27354、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径32mm)は、pH7.4で少なくとも5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化される。pH条件づけられた負荷は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティ樹脂(カタログ番号A27354、Thermo Fisher)を含有するカラム上に適用される。次いで、カラムは、pH7.4で5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化される(任意選択の第4の緩衝液)。
【0216】
次いで、カラムは、pH6.0で5カラム体積の洗浄1(W1):100mMの酢酸ナトリウム及び0.1%のTween(登録商標)80を用いて洗浄される。次いで、カラムは、pH8.5で5カラム体積の洗浄2(W2):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄される。次いで、カラムを、pH8.5で5カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び50%のエチレングリコールを用いて洗浄される。
【0217】
溶出は、5カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び750mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって行われる。次いで、5カラム体積の以下の第2の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び2000mMのNaClが、カラムに適用される。
【0218】
上のステップについての線形流量は、60cm/時である。
【0219】
以下の比較手順が、行われる。2.5mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティ樹脂(カタログ番号A27354、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径10mm)は、pH7.4で少なくとも10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化される。pH条件づけられた負荷は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティ樹脂(カタログ番号A27354、Thermo Fisher)を含有するカラム上に適用される。次いで、カラムは、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化される。
【0220】
洗浄ステップは、以下のTBS緩衝液:20mMのTrisHCl/150mMのNaCl/pH7.4を使用することによって実行される。代わりに、溶出は、pH3.0で10カラム体積の100mMのクエン酸ナトリウムを用いて行われる。
【0221】
上記の試験及び比較手順は、表15により詳細に説明され、「CV」は、ステップにおいて添加された溶液のカラム体積の数を示す。
【表15】
【0222】
溶出緩衝液の密度は、振動Uチューブ密度計DMA 4500M(Anton Paar)で測定される。
【0223】
ELISAは、AAV9抗原の量を測定するために使用される。ELISAは、AAV-9滴定ELISAキット(Art.番号PRAAV9、Progen(Heidelberg,Germany)を用いてTECAN Roboterシステムで行われる。簡単に言えば、組み立てられたAAV9キャプシド(ADK9)上の立体構造エピトープに特異的なモノクローナル抗体は、マイクロタイターストリップ上に被覆され、AAV画分からAAV9粒子を捕捉するために使用される。捕捉AAV9粒子は、2つのステップにより検出される。第1のステップでは、ADK9抗体に特異的なビオチン結合モノクローナル抗体は、(ADK9及びADK9抗体の)免疫複合体に結合する。ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートはビオチン結合モノクローナル抗体に結合した免疫複合体に添加され、ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートはビオチンと反応する。ペルオキシダーゼ基質溶液が添加され、結合したAAV粒子の量に比例する呈色反応が発生する。呈色反応は、450nmで測光的に測定される。
【0224】
ITR-qPCRアッセイは、目的の遺伝子(例えば、ヒト第VIII因子またはヒト第IX因子)をコードするベクターにおいて見出される逆タンデムリピートを定量化することにより、ゲノムコピー力価を決定するために使用される。HEK-HCPは、ELISAによる残存宿主細胞タンパク質の測定値である。LDHは、比色活性アッセイによって決定される。
【0225】
AAV9リガンド漏出ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)は、AAV9アフィニティリガンドを捕捉薬剤として含有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティ培地を用いて精製された産物中に存在し得る1ng/mLのAAV9アフィニティリガンドを検出できる。AAV9リガンド漏出ELISAは、最適な精製プロセス開発において、及び最終産物と同様にインプロセスストリームの日常的な品質管理において役立つツールとして使用され得る。量「リガンド漏出ELISA/AAV9-抗原」は、AAV9のマイクログラムあたりのリガンドのナノグラムとして計算された、「AAV9抗原」に対する「リガンド漏出ELISA」の比率を反映する。
【0226】
インビトロ生物効力アッセイでは、ウイルスベクターAAV9は、その後、機能的で測定可能なコードされたタンパク質を培地中に分泌する肝標的細胞株に感染する。第1のステップでは、HepG2標的細胞は、AAV9に感染され形質導入される。インキュベーション時間中に、コードされたタンパク質は、細胞上清に放出される。第2のステップでは、細胞培養上清へのコードされたタンパク質の活性は、活性アッセイにより直接測定される。AAV9試料の測定値は、参照材料に対するパーセンテージとして示される。方法は、AAV9遺伝子治療ベクターの生物学的機能の定量的な評価を可能にする。
【0227】
SDS-PAGE分析は、比較手順の代わりに洗浄ステップを伴う試験手順を使用する際に、熱ショックタンパク質70kDa(HSP70)の減少があったかどうかを決定するために、実行される。ウエスタンブロットは、1:2000希釈で一次抗体として抗Hsp70抗体(Abcam、カタログ番号ab79852)を2時間、及び1:1000希釈で二次抗体としてヤギ抗ウサギigG(H+L)AP複合体(Sigma、カタログ番号A8025)を1時間使用して実行される。
【0228】
SDS-PAGE銀染色アッセイは、存在する不純物の全体的なレベルを決定するために実行される。
【0229】
12%の抗AAV抗体を用いたウエスタンブロットは、試験及び比較手順に従って精製後に回収されたAAV9のレベル及び純度を決定するために実行される。ウエスタンブロットは、一次抗体としてAAV9のVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体を用い、二次抗体としてヤギ抗マウスALP抗体(Sigma、カタログ番号A4656)を用いて実行される。
【0230】
LC-MSは、様々な宿主細胞不純物の同一性と量を決定するために実行される(rp-HPLC-UV-ESI-MS/MS)。試料は、酵素トリプシンを使用して消化される。得られたペプチド混合物は、RPカラム(ZORBAX 300SB-C18カラム、0.5×150mm、3.5μm)を使用するHPLCシステムで分離され、その後、ペプチドはQ-Exactive HF質量分析計で分析される。データは、ソフトウェアProteome Discovererを使用して試料中のタンパク質を特定するために分析される。
【0231】
Agilent HPLC1209(1200 capHPLC)は、LC 3Dシステム用のChemStationを用いて使用される(Rev.B.04.03-SP2(105))。HPLC方法は、PEPMAP_CAP_170.Mである。溶出物Aは、脱イオン水中0.1%(v/v)のHCOOHであり、溶出物Bは、アセトニトリル中0.08%(v/v)のHCOOHである。HPLCの詳細は以下の表16に提供される:
【表16】
【0232】
MSの詳細は以下の表17に提供される:
【表17-1】
【表17-2】
【0233】
3つの異なる精製のモードが、実行される。1つはこの例の比較手順を含み、もう1つはこの例の試験手順(アフィニティ精製の前にMustangQによる陰イオン交換精製を含む)を含み、第3のものは試験手順に従って行われるがMustangQによる陰イオン交換精製を伴わない。
【0234】
実施例5
AAV9産生は、目的のタンパク質ならびにAAV9-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後にHEK293細胞株において展開される。清澄化した無細胞培養上清は、濃縮され、Pall Omega T-Series Cassette 100kDaを用いて透析濾過される。ウイルス粒子は、非結合条件で、膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷される。得られたAAV9含有フロースルーは、25%HClで7.4~7.8のpH範囲にpH調整されない。代わりに、負荷は、pH8.5で125mMのNaCl及び50mMのTrisHClを含む負荷緩衝液でAAV-8含有フロースルーを再構成することにより形成される。
【0235】
pH8.5を有することは、pH調整ステップを含まなくてよいことに固有の利点に加えて、親和性性能における改善した頑健性と、産物または樹脂のいずれかへの不純物の非特異的結合の防止を可能にできる。
【0236】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV9が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取される。アッセイは、どれほどのAAV9が様々な洗浄ステップにおいて失われるかを示す。以下の試験手順が、行われる。まず、25mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティ樹脂(カタログ番号A27354、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径10mm)は、pH7.4で少なくとも5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化される。負荷は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティ樹脂(カタログ番号A27354、Thermo Fisher)を含有するカラム上に適用される。カラム上に負荷した試料の一部は、保存され、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイされる。次いで、カラムは、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化される。フロースルーの試料は、保存され、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイされる。
【0237】
次いで、カラムは、pH6.0で10カラム体積の洗浄1(W1):100mMの酢酸ナトリウム及び0.1%のTween(登録商標)80を用いて洗浄される。次いで、カラムは、pH8.5で10カラム体積の洗浄2(W2):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄される。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び50%のエチレングリコールを用いて洗浄される。W1、W2及びW3の各々の溶出液からの試料は、採取され、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイされる。
【0238】
溶出は、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び750mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって行われる。
【0239】
上の試験手順は、表18により詳細に記載される。
【表18】
【0240】
採取された試料は、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によってアッセイされる。
【0241】
上の試料は、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイされる。
【0242】
次いで、試料は、SDS-PAGE及びAAV9抗原に対するウエスタンブロットによってアッセイされる。一次抗体はAAV9のVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体であるが、二次抗体はホスファターゼと結合したヤギ抗マウスである。
【0243】
実施例6
AAV9産生は、目的のタンパク質ならびにAAV9-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後にHEK293細胞株において展開される。清澄化した無細胞培養上清は、濃縮され、Pall Omega T-Series Cassette 100kDaを用いて透析濾過される。ウイルス粒子は、非結合条件で、すなわち、pH8.5で125mMのNaCl及び50mMのTrisHClを含む溶液中で、膜吸着体(MustangQ、Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷される。pH条件づけられた負荷は、25%HClを用いて7.4~7.8の間のpH範囲にAAV9含有フロースルーを調整することによって得られる。
【0244】
以下の試験手順が、行われる。まず、樹脂(「ADK8/9アフィニティ樹脂」)上に固定化された59mmのベッド高さ及び体積47.45mlを有する抗インタクトAAV8/9抗体(カタログ番号03-651161、American Research Products,Inc.,Waltham,MA)を含有するカラム(内径32mm)は、pH7.4で少なくとも5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化される。pH条件づけられた負荷は、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用される。次いで、カラムは、pH7.4で5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化される(任意選択の第4の緩衝液)。
【0245】
次いで、カラムは、pH6.0で5カラム体積の洗浄1(W1):100mMの酢酸ナトリウム及び0.1%のTween(登録商標)80を用いて洗浄される。次いで、カラムは、pH8.5で5カラム体積の洗浄2(W2):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄される。次いで、カラムを、pH8.5で5カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び50%のエチレングリコールを用いて洗浄される。
【0246】
溶出は、5カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び750mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって行われる。次いで、5カラム体積の以下の第2の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び2000mMのNaClが、カラムに適用される。
【0247】
上のステップについての線形流量は、60cm/時である。
【0248】
以下の比較手順が、行われる。2.5mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)は、pH7.4で少なくとも10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化される。pH条件づけられた負荷は、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用される。次いで、カラムは、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化される。
【0249】
洗浄ステップは、以下のTBS緩衝液:20mMのTrisHCl/150mMのNaCl/pH7.4を使用することによって実行される。代わりに、溶出は、pH3.0で10カラム体積の100mMのクエン酸ナトリウムを用いて行われる。
【0250】
上記の試験及び比較手順は、表1により詳細に説明され、「CV」は、ステップにおいて添加された溶液のカラム体積の数を示す。
【0251】
溶出緩衝液の密度は、振動Uチューブ密度計DMA 4500M(Anton Paar)で測定される。
【0252】
ELISAは、AAV9抗原の量を測定するために使用される。ELISAは、AAV-9滴定ELISAキット(Art.番号PRAAV9、Progen(Heidelberg,Germany)を用いてTECAN Roboterシステムで行われる。簡単に言えば、AAV9キャプシド(AAV8/9抗体(「ADK8/9抗体」、カタログ番号03-651161、American Research Products,Inc.,Waltham,MA))に特異的なモノクローナル抗体は、マイクロタイターストリップ上に被覆され、AAV画分からAAV9粒子を捕捉するために使用される。捕捉AAV9粒子は、2つのステップにより検出される。第1のステップでは、ADK8/9抗体に特異的なビオチン結合モノクローナル抗体は、(ADK8/9及びADK8/9抗体の)免疫複合体に結合する。ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートはビオチン結合モノクローナル抗体に結合した免疫複合体に添加され、ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートはビオチンと反応する。ペルオキシダーゼ基質溶液が添加され、結合したAAV粒子の量に比例する呈色反応が発生する。呈色反応は、450nmで測光的に測定される。
【0253】
ITR-qPCRアッセイは、目的の遺伝子(例えば、ヒト第VIII因子またはヒト第IX因子)をコードするベクターにおいて見出される逆タンデムリピートを定量化することにより、ゲノムコピー力価を決定するために使用される。HEK-HCPは、ELISAによる残存宿主細胞タンパク質の測定値である。LDHは、比色活性アッセイによって決定される。
【0254】
AAV8/9リガンド漏出ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)は、ADK8/9アフィニティ樹脂を用いて精製された製品に存在し得るアフィニティリガンドを検出できる。
【0255】
インビトロ生物効力アッセイでは、ウイルスベクターAAV9は、その後、機能的で測定可能なコードされたタンパク質を培地中に分泌する肝標的細胞株に感染する。第1のステップでは、HepG2標的細胞は、AAV9に感染され形質導入される。インキュベーション時間中に、コードされたタンパク質は、細胞上清に放出される。第2のステップでは、細胞培養上清へのコードされたタンパク質の活性は、活性アッセイにより直接測定される。AAV9試料の測定値は、参照材料に対するパーセンテージとして示される。方法は、AAV9遺伝子治療ベクターの生物学的機能の定量的な評価を可能にする。
【0256】
SDS-PAGE分析は、比較手順の代わりに洗浄ステップを伴う試験手順を使用する際に、熱ショックタンパク質70kDa(HSP70)の減少があったかどうかを決定するために、実行される。ウエスタンブロットは、1:2000希釈で一次抗体として抗Hsp70抗体(Abcam、カタログ番号ab79852)を2時間、及び1:1000希釈で二次抗体としてヤギ抗ウサギigG(H+L)AP複合体(Sigma、カタログ番号A8025)を1時間使用して実行される。
【0257】
SDS-PAGE銀染色アッセイは、存在する不純物の全体的なレベルを決定するために実行される。
【0258】
12%の抗AAV抗体を用いたウエスタンブロットは、試験及び比較手順に従って精製後に回収されたAAV9のレベル及び純度を決定するために実行される。ウエスタンブロットは、一次抗体としてAAV9のVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体を用い、二次抗体としてヤギ抗マウスALP抗体(Sigma、カタログ番号A4656)を用いて実行される。
【0259】
LC-MSは、様々な宿主細胞不純物の同一性と量を決定するために実行される(rp-HPLC-UV-ESI-MS/MS)。試料は、酵素トリプシンを使用して消化される。得られたペプチド混合物は、RPカラム(ZORBAX 300SB-C18カラム、0.5×150mm、3.5μm)を使用するHPLCシステムで分離され、その後、ペプチドはQ-Exactive HF質量分析計で分析される。データは、ソフトウェアProteome Discovererを使用して試料中のタンパク質を特定するために分析される。
【0260】
Agilent HPLC1209(1200 capHPLC)は、LC 3Dシステム用のChemStationを用いて使用される(Rev.B.04.03-SP2(105))。HPLC方法は、PEPMAP_CAP_170.Mである。溶出物Aは、脱イオン水中0.1%(v/v)のHCOOHであり、溶出物Bは、アセトニトリル中0.08%(v/v)のHCOOHである。HPLCの詳細は以下の表19に提供される:
【表19】
【0261】
MSの詳細は以下の表20に提供される:
【表20-1】
【表20-2】
【0262】
3つの異なる精製のモードが、実行される。1つはこの例の比較手順を含み、もう1つはこの例の試験手順(アフィニティ精製の前にMustangQによる陰イオン交換精製を含む)を含み、第3のものは試験手順に従って行われるがMustangQによる陰イオン交換精製を伴わない。
【0263】
実施例7
AAV9産生は、目的のタンパク質ならびにAAV9-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後にHEK293細胞株において展開される。清澄化した無細胞培養上清は、濃縮され、Pall Omega T-Series Cassette 100kDaを用いて透析濾過される。ウイルス粒子は、非結合条件で、膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷される。得られたAAV9含有フロースルーは、25%HClで7.4~7.8のpH範囲にpH調整されない。代わりに、負荷は、pH8.5で125mMのNaCl及び50mMのTrisHClを含む負荷緩衝液でAAV9-含有フロースルーを再構成することにより形成される。
【0264】
pH8.5を有することは、pH調整ステップを含まなくてよいことに固有の利点に加えて、親和性性能における改善した頑健性と、産物または樹脂のいずれかへの不純物の非特異的結合の防止を可能にできる。
【0265】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV9が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取される。アッセイは、どれほどのAAV9が様々な洗浄ステップにおいて失われるかを示す。以下の試験手順が、行われる。まず、25mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)は、pH7.4で少なくとも5カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて平衡化される。負荷は、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用される。カラム上に負荷した試料の一部は、保存され、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイされる。次いで、カラムは、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl及び150mMのNaClを用いて再平衡化される。フロースルーの試料は、保存され、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイされる。
【0266】
次いで、カラムは、pH6.0で10カラム体積の洗浄1(W1):100mMの酢酸ナトリウム及び0.1%のTween(登録商標)80を用いて洗浄される。次いで、カラムは、pH8.5で10カラム体積の洗浄2(W2):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄される。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び50%のエチレングリコールを用いて洗浄される。W1、W2及びW3の各々の溶出液からの試料は、採取され、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイされる。
【0267】
溶出は、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、50%のエチレングリコール、及び750mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって行われる。
【0268】
上の試験手順は、表21により詳細に記載される。
【表21】
【0269】
採取された試料は、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によってアッセイされる。
【0270】
上の試料は、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイされる。
【0271】
次いで、試料は、SDS-PAGE及びAAV9抗原に対するウエスタンブロットによってアッセイされる。一次抗体はAAV9のVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体であるが、二次抗体はホスファターゼと結合したヤギ抗マウスである。
【0272】
実施例8
AAV8 ELISAを、AAV-8滴定ELISAキット(Art.番号PRAAV8、Progen(Heidelberg,Germany)を用いてTECAN Roboterシステムで行った。組み立てられたAAV8キャプシド(ADK8)上の立体構造エピトープに特異的なモノクローナル抗体を、マイクロタイターストリップ上に被覆し、AAV画分からAAV8粒子を捕捉するために使用した。捕捉AAV8粒子は、2つのステップにより検出された。第1のステップでは、ADK8抗体に特異的なビオチン結合モノクローナル抗体を、免疫複合体に結合した。ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートをビオチン結合モノクローナル抗体に結合した免疫複合体に添加し、ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートはビオチンと反応した。ペルオキシダーゼ基質溶液を添加し、結合したAAV粒子の量に比例する呈色反応が発生する。呈色反応を、450nmで測光的に測定した。
【0273】
実施例9
実施例において行われたITR-qPCRアッセイについて、以下の手順を行った。ミリリットル(ml)あたりのベクターゲノム力価(vg)を、プライマーと、ベクターゲノムのITR配列内の配列を検出する蛍光標識プローブと、を用いるTaqManベースのqPCRを使用して決定した。AAV粒子中のITR特異的配列を検出するために、試料は異なる処理を受けた。試料を、scAAVゲノムがキャプシドから放出されるように、DNAse I、その後にプロテイナーゼKで処理した。次いで、AAV ITR T形状構造を分解するために、制限酵素消化を実行した。
【0274】
参照材料として使用されるプラスミドを、単一のカッター制限酵素で線形化し、アガロースゲルからさらに精製した。ゲル抽出されたDNAのUV A260吸光度を、UV分光光度計で3回測定し、DNA濃度の平均値をμg/mlで計算した。
【0275】
線形化された標準プラスミドについてのmlあたりのコピー数を決定するために、ds DNAの分子量を、基礎となる配列の各個々のヌクレオチドの正確な質量を考慮して、molあたりのグラムで計算した。
【0276】
試験物品中のベクターゲノム力価(mLあたりのベクターゲノム)を、線形回帰に適合するプラスミド標準曲線を介して計算した。
【0277】
実施例10
AAV8産生を、目的のタンパク質ならびにAAV8-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 300kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、AAV8についての非結合条件で膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。得られたAAV8含有フロースルーを、AAV8アフィニティマトリックス用の負荷を調製するために、pH8.0で100mMのアルギニン、200mMのNaClを含む希釈緩衝液で希釈した。アルギニン含有負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(Thermo Fisher、カタログ番号A30793)を含有するカラム上に適用した。
【0278】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV8が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV8が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、25mmのベッド高さ及び体積2.04mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)を、pH8.5で少なくとも10カラム体積の20mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。
【0279】
次いで、カラムを、pH6.0で10カラム体積の洗浄2(W2):100mMの酢酸ナトリウム及び0.1%のTween(登録商標)80を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄4(W4):50mMのTrisHCl及び50%のエチレングリコールを用いて洗浄した。W2、W3及びW4の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした。
【0280】
まず、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、60%(w/w)のエチレングリコール、及び750mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を行った。洗浄ステップは、その後に実行しなかった。次に、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、60%(w/w)のエチレングリコール、及び1000mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を継続した。次いで、カラムを、pH7.4で20mMのTris HClで洗浄した。次いで、カラムを、pH2.5で100mMのグリシン及び200mMのNaClを含む10カラム体積の溶液をカラムに適用することによって再生した。
【0281】
上の試験手順は、表22により詳細に記載される。
【表22】
【0282】
実施例11
AAV8産生を、目的のタンパク質ならびにAAV8-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。30LのHarvestアリコートから、細胞を、Megatron MT3000(Pall)を使用して破壊し、その後、a)深層フィルタPDP8面積0.5m2b)深層フィルタV100面積:0.5m2及びc)Kleenpak Capsule 0.2μm面積0.15m2上でのAAV8含有溶液の濾過が続いた。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 300kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、AAV8についての非結合条件で膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。得られたAAV8含有フロースルーを、AAV8アフィニティマトリックス用の負荷を調製するために、pH8.0で100mMのアルギニン、200mMのNaClを含む希釈緩衝液で1:2希釈した。アルギニン含有負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(Thermo Fisher、カタログ番号A30793)を含有するカラム(内径10mm、ベッド高さ26mm、体積2.04ml)上に適用した。
【0283】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV8が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV8が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、25mmのベッド高さ及び体積2.04mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)を、pH8.0で少なくとも10カラム体積の50mMのアルギニン-HCl及び100mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。次いで、カラムを、pH8.0で10カラム体積の50mMのアルギニン-HCl及び100mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。
【0284】
次いで、カラムを、pH6.0で10カラム体積の洗浄2(W2):100mMのMES-ナトリウム、10mMのEDTA、ならびに11.2g/kgのS/D II溶液(18.0gのTween(登録商標) 80、3.4gのDMSO、及び3.6gのTnBP)を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.0で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのアルギニン-HCl及び100mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄4(W4):50mMのアルギニン-HCl及び50%のスクロースを用いて洗浄した。W2、W3及びW4の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした。
【0285】
まず、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのアルギニン-HCl、55%(w/w)のスクロース、2mMのMgCl2、及び800mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を行った。次いで、カラムを、pH8.0で10カラム体積の洗浄5(W5):50mMのアルギニン-HCl及び100mMのNaClを用いて洗浄した。次に、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのアルギニン-HCl、50%(v/v)のグリセロール、及び800mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を継続した。次いで、カラムを、pH8.0で50mMのアルギニン-HCl及び100mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH2.7で100mMのグリシン及び200mMのNaClを含む10カラム体積の溶液をカラムに適用することによって再生した。
【0286】
上の試験手順は、表23により詳細に記載される。39cm/時の線形流量を、全てのステップにおいて適用した。
【表23】
【0287】
上の負荷ステップでは、Mustang Qカラムにおける1:2希釈を、平衡化緩衝液のマトリックスに近い条件に負荷を調整するために行った。このステップを、リガンドへのAAV8の結合に関して緩衝物質の影響を調査するために行った。任意の新しく導入された化合物は潜在的な競争力のある特性を有することができ、及び/またはそれは溶出を潜在的に誘発できる。
【0288】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によってアッセイした。上の例に関連するクロマトグラムが、
図7に示される。以下の表24は、上の各ステップで採取された試料を示し、各成分の収率は表25に示される。
【表24】
【0289】
「洗浄5」ステップは、溶出におけるフロンティング効果を低下させた。
【表25】
【0290】
上の試料を、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイした。SDS-PAGEアッセイの結果は
図8に示される。
【0291】
実施例12
AAV8産生を、目的のタンパク質ならびにAAV8-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。30LのHarvestアリコートから、細胞を、Megatron MT3000(Pall)を使用して破壊し、その後、a)深層フィルタPDP8面積0.5m2b)深層フィルタV100面積:0.5m2及びc)Kleenpak Capsule 0.2μm面積0.15m2上でのAAV8含有溶液の濾過が続いた。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 300kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、AAV8についての非結合条件で膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(Thermo Fisher、カタログ番号A30793)を含有するカラム(内径10mm、ベッド高さ26mm、体積2.04ml)上に適用した。
【0292】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV8が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV8が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、25mmのベッド高さ及び体積2.04mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)を、pH8.5で少なくとも10カラム体積の50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。
【0293】
次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄2(W2):100mMのタウリン、125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):100mMのグリシンを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄4(W4):50mMのタウリン、50%(w/w)のエチレングリコール、0.1%のオクチルグリコピラノシドを用いて洗浄した。W2、W3及びW4の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした。
【0294】
まず、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのタウリン、60%(w/w)のエチレングリコール、750mMのNaCl、0.1%のオクチルグリコピラノシド、をpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を行った。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄5(W5):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄した。次に、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:1Mの(NH4)2SO4、50mMのTrisHCl及び50%(v/v)のエチレングリコールをpH7.0でカラムに適用することによって、溶出を継続した。次いで、カラムを、pH8.5で50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH2.7で100mMのグリシン及び200mMのNaClを含む10カラム体積の溶液をカラムに適用することによって再生した。
【0295】
上の試験手順は、表26により詳細に記載される。39cm/時の線形流量を、全てのステップにおいて適用した。
【表26】
【0296】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA(上の実施例8に記載されるように)、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によってアッセイした。上の例に関連するクロマトグラムが、
図9に示される。以下の表27は、上の各ステップで採取された試料を示し、各成分の収率は表28に示される。
【表27】
【0297】
「洗浄5」ステップは、溶出におけるフロンティング効果を低下させた。
【表28】
【0298】
上の試料を、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイした。SDS-PAGEアッセイの結果は、
図10に示される。
【0299】
実施例13
AAV8産生を、目的のタンパク質ならびにAAV8-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。30LのHarvestアリコートから、細胞を、Megatron MT3000(Pall)を使用して破壊し、その後、a)深層フィルタPDP8面積0.5m2b)深層フィルタV100面積:0.5m2及びc)Kleenpak Capsule 0.2μm面積0.15m2上でのAAV8含有溶液の濾過が続いた。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 300kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、AAV8についての非結合条件で膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。得られたAAV8含有フロースルーを、希釈緩衝液[100mMヒスチジン、200mM NaCl、pH8.5]で1:2希釈し、追加的な4gのポリソルベート80/kgを、AAV8-アフィニティについての負荷を調製するために添加した。ヒスチジン含有負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティマトリックス(カタログ番号A30793、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径10mm、ベッド高さ26mm、体積2.04ml)上に適用した。
【0300】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV8が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV8が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、26mmのベッド高さ及び体積2.04mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)を、pH8.5で少なくとも10カラム体積の50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA(上の実施例9に記載されるように)、及びHEK293 HCP抗原に対するELISA(上の実施例8に記載されるように)によって後でアッセイした。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の50mMのヒスチジン及び100mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR及びAAV抗原に対するELISA(上の実施例8及び9に記載されるように)、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。
【0301】
次いで、カラムを、pH6.0で10カラム体積の洗浄2(W2):200mMのBis-Tris、16.6gのS/D溶液(Triton X-100、ポリソルベート80、TNBP=10.87、3.31:3.01(重量による)を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):10mMのNa-クエン酸塩を用いて洗浄した。次いで、カラムを、20%(w/w)のポリソルベート80と共に、pH8.5で10カラム体積の洗浄4(W4):100mMのアルギニン-HCl、100mMリジン-HCl、100mMのヒスチジン-HCl、2mMのN-アセチル-D,L-トリプトファンを用いて洗浄した。W2、W3及びW4の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした(上の実施例8及び9に記載されるように)。
【0302】
まず、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:20%(w/w)のスクロース、10%(w/w)のソルビトール、5%(w/w)のマンニトール(スクロース)、15%(w/w)のグリセロール、50mMのヒスチジン、800mMのNaClをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を行った。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄5(W5):50mMのヒスチジン及び100mMのNaClを用いて洗浄した。次に、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:50mMのTrisHCl、750mMのNaCl、50%(w/w)のDMSOをpH8.0でカラムに適用することによって、溶出を継続した。次いで、カラムを、pH8.5で50mMのヒスチジン及び100mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH2.7で100mMのグリシン及び200mMのNaClを含む10カラム体積の溶液をカラムに適用することによって再生した。
【0303】
上の試験手順は、表29により詳細に記載される。39cm/時の線形流量を、全てのステップにおいて適用した。
【表29】
【0304】
「洗浄5」ステップは、溶出におけるフロンティング効果を低下させた。AAV8の溶出は、第2の溶出ステップ(溶出2)において見られなかった。AAV8について、DMSOは、洗浄緩衝液として、及び/または脂質エンベロープウイルスを不活性化または分解する可能性のある緩衝液として、未だに好適であり得る。
【0305】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によって(上の実施例8及び9に記載されるように)アッセイした。上の例に関連するクロマトグラムが、
図11に示される。以下の表30は、上の各ステップで採取された試料を示し、各成分の収率は表31に示される。
【0306】
Capture Select AAV8樹脂からのAAV8の溶出が、ポリオール及びある特定の量の塩の存在下で中性近傍条件で発生することは予想外である。樹脂製造業者は、溶出がpH3.5未満の酸性条件を必要とするであろうことを提案した。溶出が糖、糖アルコール及び/または糖及び糖アルコールの混合物で誘発され得ることも驚くべきことであった。また、極性溶媒としてのDMSOがCapture Select AAV8樹脂からAAV8を溶出できないことも予想外であった。
【表30】
【0307】
「洗浄5」ステップは、溶出におけるフロンティング効果を低下させた。AAV8の溶出は、第2の溶出ステップ(溶出2)において見られなかった。
【表31】
【0308】
上の試料を、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイした。SDS-PAGEアッセイの結果は、
図12に示される。
【0309】
実施例14
AAV2産生を、目的のタンパク質ならびにAAV2-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。AAV2試料を、負荷を提供するために150mMのNaCl、20mMのTrisHCl、pH7.4で希釈した。負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティマトリックス(カタログ番号:A36739、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径10mm、ベッド高さ25mm、体積1.96ml)上に適用した。
【0310】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV2が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV2が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、25mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)を、pH7.4で少なくとも10カラム体積の20mMのTrisHCl、150mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした(上の実施例8及び9に記載されるように)。次いで、カラムを、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl、150mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした(上の実施例8及び9に記載されるように)。
【0311】
次いで、カラムを、pH6.0で10カラム体積の洗浄2(W2):100mMのNaAcetate、0.1%のポリソルベート80を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄4(W4):50mMのTrisHCl、50%(w/w)のエチレングリコールを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.0で10カラム体積の洗浄5(W5):50mMのTrisHCl、60%(w/w)のエチレングリコール+750mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、10カラム体積の洗浄6(W6):20mMのTrisHCl、150mMのNaCl、pH7.4を用いて洗浄した。W2、W3及びW4の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした(上の実施例8及び9に記載されるように)。
【0312】
まず、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:100mMのグリシン-HCl、200mMのNaCl、pH2.5をカラムに適用することによって溶出を行った。次いで、カラムを、pH7.4で10カラム体積の洗浄7(W7):20mMのTrisHCl、150mMのNaClを用いて洗浄した。カラムを、10カラム体積の50mMリン酸pH2.0でストリップし、pH7.4で10カラム体積の洗浄8(W8):20mMのTrisHCl、150mMのNaClで洗浄し、次いで、pH2.0で10カラム体積の50mMのリン酸でストリップした。
【0313】
上の試験手順は、表32により詳細に記載される。39cm/時の線形流量を、全てのステップにおいて適用した。
【表32】
【0314】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によって(上の実施例8及び9に記載されるように)アッセイした。上の例に関連するクロマトグラムが、
図13に示される。以下の表33は、上の各ステップで採取された試料を示し、各成分の収率は表34に示される。
【表33】
【表34】
【0315】
上の試料を、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイした。SDS-PAGEアッセイの結果は、
図14に示される(レーン2~11を参照されたい)。
【0316】
次いで、試料を、SDS-PAGE及びAAV抗原に対するウエスタンブロットによってアッセイした。一次抗体はAAVのVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体であるが、二次抗体はアルカリホスファターゼと結合したヤギ抗マウスである。ウエスタンブロットアッセイの結果は、
図15に示される(レーン2~11を参照されたい)。
【0317】
実施例15
AAV9産生を、目的のタンパク質ならびにAAV9-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。AAV9試料を、負荷を提供するために150mMのNaCl、20mMのTrisHCl、pH7.4で希釈した。負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティマトリックス(カタログ番号:A36739、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径10mm、ベッド高さ25mm、体積1.96ml)上に適用した。
【0318】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV9が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV9が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、25mmのベッド高さ及び体積1.96mlを有するADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)を、pH7.4で少なくとも10カラム体積の20mMのTrisHCl、150mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、ADK8/9アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした(上の実施例8及び9に記載されるように)。次いで、カラムを、pH7.4で10カラム体積の20mMのTrisHCl、150mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした(上の実施例8及び9に記載されるように)。
【0319】
次いで、カラムを、pH6.0で10カラム体積の洗浄2(W2):100mMのNaAcetate、0.1%のポリソルベート80を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄4(W4):50mMのTrisHCl、50%(w/w)のエチレングリコールを用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.0で10カラム体積の洗浄5(W5):50mMのTrisHCl、60%(w/w)のエチレングリコール+750mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、10カラム体積の洗浄6(W6):20mMのTrisHCl、150mMのNaCl、pH7.4を用いて洗浄した。W2、W3及びW4の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした(上の実施例8及び9に記載されるように)。
【0320】
まず、10カラム体積の以下の溶出緩衝液:100mMのグリシンHCl、200mMのNaCl、pH2.5をカラムに適用することによって、溶出を行った。次いで、カラムを、pH7.4で10カラム体積の洗浄7(W7):20mMのTrisHCl、150mMのNaClを用いて洗浄した。カラムを、10カラム体積の50mMリン酸pH2.0でストリップし、pH7.4で10カラム体積の洗浄8(W8):20mMのTrisHCl、150mMのNaClで洗浄し、次いで、pH2.0で10カラム体積の50mMのリン酸でストリップした。
【0321】
上の試験手順は、表35により詳細に記載される。39cm/時の線形流量を、全てのステップにおいて適用した。
【表35】
【0322】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によって(上の実施例8及び9に記載されるように)アッセイした。上の例に関連するクロマトグラムが、
図16に示される。以下の表36は、上の各ステップで採取された試料を示し、各成分の収率は表37に示される。
【表36】
【表37】
【0323】
上の試料を、総タンパク質を検出するために、SDS-PAGE及び12%銀染色によってもアッセイした。SDS-PAGEアッセイの結果は、
図14に示される(レーン12~20を参照されたい)。
【0324】
次いで、試料を、SDS-PAGE及びAAV抗原に対するウエスタンブロットによってアッセイした。一次抗体はAAVのVP1、VP2及びVP3に対するモノクローナル抗体であるが、二次抗体はアルカリホスファターゼと結合したヤギ抗マウスである。ウエスタンブロットアッセイの結果は、
図15に示される(レーン12~20を参照されたい)。
【0325】
実施例16
この例は、酸性グリシンまたはリン酸の使用に対して、AAV9について増強された溶出条件を実証する。
【0326】
AAV9産生を、目的のタンパク質及びAAV9-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。30LのHarvestアリコートから、細胞を、Megatron MT3000(Pall)を使用して破壊し、その後、a)深層フィルタPDP8面積0.5m2、b)深層フィルタV100面積:0.5m2及びc)Kleenpak Capsule 0.2μm面積0.15m2上でのAAV9含有溶液の濾過が続いた。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 300kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、AAV9についての非結合条件で膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティマトリックス(Thermo Fisher、カタログ番号A36739、Thermo Fisher)を含有するカラム(内径16mm、ベッド高さ50mm、体積10.0ml)上に適用し、その後、示されるようなカラム体積を伴う緩衝液ステップが続いた。
【0327】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV9が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV9が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、カラムを、pH8.5で少なくとも5カラム体積の50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。次いで、カラムを、pH8.5で5カラム体積の50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。
【0328】
次いで、カラムを、pH6.0で5カラム体積の洗浄2(W2):100mMのNaAcetate、0.1%のポリソルベート80を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて洗浄した。W2及びW3の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした。
【0329】
まず20カラム体積の精製水、次いで20カラム体積のpH3.2で1mMのHCl、次いで20カラム体積のpH8.0で50mMのTrisHCl、750mMのNaCl、50%のDMSO(w/w)適用することによって、溶出を行った。カラムを、pH2.0で20カラム体積の精製水、その後、10カラム体積の33mMのHClで洗浄した。
【0330】
上の試験手順は、表38により詳細に記載される。39cm/時の線形流量を、全てのステップにおいて適用した。
【表38】
【0331】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA(上の実施例8に記載されるように)、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によってアッセイした。上の例に関連するクロマトグラムが、
図17に示される。以下の表39は、上の各ステップで採取された試料を示し、ある特定の成分の収率は表40に示される。
【表39】
【表40】
【0332】
上の試料も、SDS-PAGE及びウエスタンブロッティングでアッセイし、結果を
図18に示した。
【0333】
AAV9は、1mM塩酸でCapture select AAVxから溶出され得、このことは、水系に非常に少量の遊離酸のみを導入することの利点を有する。中性近傍のpHでのさらなる溶出手順は、DMSO含有水性緩衝溶液(750mMのNaCl、50mMのTrisHCl、50%w/wのジメチルスルホキシド)で行われ得る。DMSO含有溶出物がスクロース勾配を使用した超遠心分離に適用される場合、DMSOは有益であり得る。両方の溶出戦略は、3未満のpHで100mM及び/または大量の塩化ナトリウムまたは塩化マグネシウムのような過酷な溶出条件と比較して、全てのAAVサブタイプについてAAVX樹脂からの溶出中の生物効力を維持するための改善された特性を潜在的に有する。
【0334】
実施例17
この例は、酸性グリシンまたはリン酸の使用に対して、AAV9について増強された溶出条件を実証する。
【0335】
AAV9産生を、目的のタンパク質(FIX-padua、2本鎖)ならびにAAV9-、VP1、-VP2及び-VP3のコード化cDNAを含有するトリプルプラスミドシステムを用いたトランスフェクション後のHEK293細胞株において展開した。30LのHarvestアリコートから、細胞を、Megatron MT3000(Pall)を使用して破壊し、その後、a)深層フィルタPDP8面積0.5m2b)深層フィルタV100面積:0.5m2及びc)Kleenpak Capsule 0.2μm面積0.15m2上でのAAV9含有溶液の濾過が続いた。清澄化した無細胞培養上清を、濃縮し、Pall Omega T-Series Cassette 300kDaを用いて透析濾過した。ウイルス粒子を、AAV9についての非結合条件で膜吸着体(MustangQ.Pall部品番号XT140MSTGQP05)上に負荷した。負荷を、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティマトリックス(Thermo Fisher、カタログ番号A36739)を含有するカラム(10mm、ベッド高さ28mm、体積2.2ml)上に適用した。
【0336】
様々な洗浄及び溶出ステップからの試料は、どれほどのAAV9が試料中に存在するかをアッセイするために様々な点で採取した。アッセイは、どれほどのAAV9が様々な洗浄ステップにおいて失われたかを示す。以下の試験手順を行った。まず、28mmのベッド高さ及び体積2.2mlを有するアフィニティ樹脂を含有するカラム(内径10mm)を、pH8.5で少なくとも10カラム体積の50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて平衡化させた。負荷を、アフィニティ樹脂を含有するカラム上に適用した。カラム上に負荷した試料の一部を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の50mMのTrisHCl、125mMのNaClを用いて再平衡化させた(洗浄1、W1)。フロースルーの試料を、保存し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAによって後でアッセイした。
【0337】
次いで、カラムを、pH6.0で10カラム体積の洗浄2(W2):100mMのNaAcetate及び0.1%のポリソルベート80を用いて洗浄した。次いで、カラムを、pH8.5で10カラム体積の洗浄3(W3):50mMのTrisHCl及び125mMのNaClを用いて洗浄した。次いで、カラムを、30カラム体積の精製水(洗浄4(W4))で洗浄した。W2、W3及びW4の各々の溶出液からの試料を、採取し、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA、及びHEK293 HCP抗原に対するELISAに従ってアッセイした。
【0338】
まず20カラム体積の0~100%の勾配の33mMの塩酸/1mMの塩酸中の1000mMのNaClを適用することによって、溶出を行った。
【0339】
上の試験手順は、表41により詳細に記載される。39cm/時の線形流量を、全てのステップにおいて適用した。
【表41】
【0340】
採取された試料を、収率と、損失がステップにおいて発生したかどうかと、を評価するために、ITR qPCR、AAV抗原に対するELISA(上の実施例8に記載されるように)、及びHEK293 HCPに対するELISAの各々によってアッセイした。上の例に関連するクロマトグラムが、
図19に示される。銀染色は、
図20に示される。
【0341】
溶出されたAAV9の生物効力は、0.51 BPUであった。
【0342】
実施例18
様々な樹脂の型の溶出特性を、異なる溶出緩衝液に関して評価した。50%エチレングリコール(w/w)、50mMのTrisHCl、750~2000mMのNaCl、pH8.0を含むポリオール溶出緩衝液を、調製した。100mMのグリシンpH2.5、100mMのNa-クエン酸塩pH3.0、及び50mMのリン酸pH2.0を含む酸性溶出緩衝液を、調製した。pH7.4で2MのMgCl2及び50mMのTrisHClを含むMgCl2含有溶出緩衝液を、調製した。
【0343】
いくつかの樹脂を試験した。結果は、以下の表42に示される。表において、「あり」は、AAV8が負荷の10%を超える量を有する潜在的な「溶出緩衝液」を用いて樹脂から溶出され得ることを示し、「なし」は、AAVが負荷の1%未満の量で「潜在的な溶出」緩衝液を用いて樹脂から溶出され得ることを示す。
【表42】
【0344】
様々な緩衝液を、上のCapture Select AAV8樹脂からAAV8を溶出させるそれらの能力について試験した。結果は、以下の表43に示される。
【表43】
【0345】
表44に列挙される溶出緩衝液も、それらがThermo Fisher Scientificから入手可能なCapture Select(登録商標)AAV9からAAVを溶出するのに十分であるかどうか決定するために試験した。
【表44】
【0346】
表44に記載される潜在的な溶出緩衝液の各々を、Capture選択AAVxで使用され得る溶出緩衝液を決定するために、溶出スクリーンの一部として連続して適用した。スクリーンは、最低の溶出強度を持つ可能性のある溶出緩衝液で始まり、潜在的に最高の溶出強度を有する緩衝液で終わる。クロマトグラムが、
図21に示される。このことは、Capture選択AAVxに適用され得る溶出オプションの例である。
【0347】
本明細書に引用される出願公開、特許出願、及び特許を含む全ての参照文献は、各参照文献が参照によって組み込まれるよう個々に及び具体的に示され、その全体が本明細書に示されているような場合と同じ程度、参照によって本明細書に組み込まれる。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
【0348】
[実施態様1]
アデノ随伴ウイルス(AAV)を精製する方法であって、
(a)AAV含有溶液を、AAVを標的としたアフィニティ樹脂上に、前記溶液中の前記AAVと前記アフィニティ樹脂との間の結合を可能にする伝導下でロードすることと、
(b)少なくとも2つの洗浄ステップを行うことと、
(c)前記AAVを前記アフィニティ樹脂から溶出させることと、
を含む、方法。
【0349】
[実施態様2]
前記AAV含有溶液を前記アフィニティ樹脂にロードする前に、前記AAV含有溶液を陰イオン交換体と接触させることと、前記陰イオン交換体から前記AAV含有溶液を溶出させることと、をさらに含む、実施態様1に記載の方法。
【0350】
[実施態様3]
前記洗浄ステップのうちの少なくとも1つが、有機溶媒または界面活性剤を含む緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0351】
[実施態様4]
前記緩衝液がTrisHCl及び塩を含む、実施態様3に記載の方法。
【0352】
[実施態様5]
前記緩衝液が、ヒスチジン、ヒスチジン-HCl、アルギニン-HCl、リジン-HCl、グリシン、タウリン、MES-Na、Bis-Tris、及びN-アセチル-D,L-トリプトファンのうちの1つ以上を含む、実施態様3に記載の方法。
【0353】
[実施態様6]
前記塩がNaClである、実施態様4または実施態様5に記載の方法。
【0354】
[実施態様7]
前記緩衝液が酢酸ナトリウムを含む、実施態様3に記載の方法。
【0355】
[実施態様8]
前記緩衝液が塩化マグネシウムを含む、実施態様3に記載の方法。
【0356】
[実施態様9]
前記緩衝液がTrisHCl及びエチレングリコールを含む、実施態様3に記載の方法。
【0357】
[実施態様10]
前記緩衝液が、アルギニン-HClならびにスクロース及びグリセロールのうちの1つを含む、実施態様3に記載の方法。
【0358】
[実施態様11]
前記緩衝液がタウリン及びエチレングリコールを含む、実施態様3に記載の方法。
【0359】
[実施態様12]
前記緩衝液が、アルギニン-HCl、リジン-HCl、及びヒスチジン-HClを含む、実施態様3に記載の方法。
【0360】
[実施態様13]
前記緩衝液がTrisHCl及びDMSOを含む、実施態様3に記載の方法。
【0361】
[実施態様14]
少なくとも3つの洗浄ステップが実行される、実施態様1に記載の方法。
【0362】
[実施態様15]
3つの洗浄ステップが実行される、実施態様8に記載の方法。
【0363】
[実施態様16]
前記3つの洗浄ステップが連続して実行される、実施態様9に記載の方法。
【0364】
[実施態様17]
前記有機溶媒または界面活性剤が、ポリソルベート80、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、DMSO、スクロース、またはトレハロースである、実施態様3に記載の方法。
【0365】
[実施態様18]
前記界面活性剤がTriton X100、ポリソルベート80、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)のうちの1つ以上を含む、実施態様17に記載の方法。
【0366】
[実施態様19]
前記緩衝液がBis-Trisを含む、実施態様18に記載の方法。
【0367】
[実施態様20]
第1の洗浄ステップが、約50~約2000mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約30~約200mMのTrisHCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約30~約200mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0368】
[実施態様21]
第1の洗浄ステップが、約50~約500mMの2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES-Na)のナトリウム塩と、約3~約30mMのEDTAと、ポリソルベート80、DMSO、及びトリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)を含む溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約30~約200mMのTrisHClまたはアルギニン-HCl及び約75~約500mMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20~約80mMのアルギニン-HCl及び約50~約200mMの塩を含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0369】
[実施態様22]
第1の洗浄ステップが、約50~約200mMのタウリン及び0.2~1.5%のPEG(例えば、PEG 6000)を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが約30~約300mMのグリシンを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20~約150mMのタウリン、約30~約75体積%のエチレングリコール、及び0.05~0.2%のオクチルグリコピラノシドを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0370】
[実施態様23]
第1の洗浄ステップが、約80~約400mMのBis-Trisと、約11:3:3の比率(重量による)でTriton-X100、ポリソルベート80、及びTNBPを含む約10~約20グラムの溶媒/界面活性剤混合物と、を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが約5~約20mmolのクエン酸ナトリウムを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約50~約200mMのアルギニン-HCl、約50~約200mMのリジンHCl、約50~約200mMのヒスチジン-HCl、及び約1mM~約4mMのN-アセチル-D,L-トリプトファン、及び約10%~約40%(w/w)のポリソルベート80を含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.3~約8.8のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0371】
[実施態様24]
第1の洗浄ステップが、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200nMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20mM~約100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0372】
[実施態様25]
第1の洗浄ステップが、約50nM~約200mMのNaAcetate及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約20nM~約100mMのTrisHCl及び約50nM~約200nMの塩を含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20mM~約100mMのTrisHCl、約40%~約60%(w/w)のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0373】
[実施態様26]
前記塩が、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、酢酸ナトリウム、ならびにNaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、クエン酸ナトリウム、LiCl、CsCl、及び酢酸ナトリウムうちの1つ以上の組み合わせから選択される、実施態様20~25のいずれかに記載の方法。
【0374】
[実施態様27]
前記塩がNaClである、実施態様26に記載の方法。
【0375】
[実施態様28]
前記塩の濃度が500mMを超えない、実施態様20~27のいずれかに記載の方法。
【0376】
[実施態様29]
前記塩の濃度が200mMを超えない、実施態様20~27のいずれかに記載の方法。
【0377】
[実施態様30]
前記第3の緩衝液中の塩の濃度が500mMを超えない、実施態様20~29のいずれかに記載の方法。
【0378】
[実施態様31]
前記第3の緩衝液中の塩の濃度が200mMを超えない、実施態様20~29のいずれかに記載の方法。
【0379】
[実施態様32]
前記第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、前記第4の緩衝液が約6.5~約8.0のpHを有する、実施態様20~31のいずれかに記載の方法。
【0380】
[実施態様33]
前記第1の緩衝液が約100mMの酢酸ナトリウム、約0.1%のポリソルベート80を含み、前記第1の緩衝液が約6.0のpHを有する、実施態様20~32のいずれかに記載の方法。
【0381】
[実施態様34]
前記第2の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、前記第2の緩衝液が約8.5のpHを有する、実施態様20~33のいずれかに記載の方法。
【0382】
[実施態様35]
前記第3の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、前記第3の緩衝液が約8.5のpHを有する、実施態様20~34のいずれかに記載の方法。
【0383】
[実施態様36]
第1の洗浄ステップが、約50~約200mMの酢酸ナトリウム及び約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.5~約6.5のpHを有し、
第2の洗浄ステップが、約10~約70mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約8.0~約9.0のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約10~約70mMのTrisHCl及び約30~約75体積%のエチレングリコールを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約8.0~約9.0のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0384】
[実施態様37]
前記第1の洗浄ステップの前に起こり、約10~約30mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第4の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含む第4の洗浄ステップをさらに含み、前記第4の緩衝液が約6.5~約8.0のpHを有する、実施態様36に記載の方法。
【0385】
[実施態様38]
前記第1の緩衝液が約100mMの酢酸ナトリウム及び約0.1%のポリソルベート80を含み、前記第1の緩衝液が約6.0のpHを有する、実施態様36または実施態様37に記載の方法。
【0386】
[実施態様39]
前記第2の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約125mMのNaClを含み、前記第2の緩衝液が約8.5のpHを有する、実施態様36~38のいずれかに記載の方法。
【0387】
[実施態様40]
前記第3の緩衝液が約50mMのTrisHCl及び約50体積%のエチレングリコールを含み、前記第3の緩衝液が約8.0のpHを有する、実施態様36~39のいずれかに記載の方法。
【0388】
[実施態様41]
酸性成分が除去される、実施態様40に記載の方法。
【0389】
[実施態様42]
前記酸性成分がHEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、前記酸性成分がqPCRによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する、実施態様41に記載の方法。
【0390】
[実施態様43]
前記酸性成分がHEK293 DNAのような宿主細胞DNAであり、前記酸性成分がELISAによって測定されるように、AAV抗原のマイクログラムあたり250pg未満の値に低下する、実施態様41に記載の方法。
【0391】
[実施態様44]
溶出させることが勾配溶出による溶出緩衝液の伝導性の連続的な線形増加を適用することを含む、実施態様1~43のいずれかに記載の方法。
【0392】
[実施態様45]
溶出させることが勾配溶出による有機溶媒の濃度の連続的な線形増加を適用することを含む、実施態様1~44のいずれかに記載の方法。
【0393】
[実施態様46]
溶出させることが、エチレングリコール、NaClのような塩、及びTrisHClのような緩衝液を含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることを含み、前記pHが少なくとも7.0である、実施態様1~45のいずれかに記載の方法。
【0394】
[実施態様47]
前記塩濃度が約750mMであり、前記緩衝液濃度が約50mMであり、前記エチレングリコールが50~60%(w/w)である、実施態様46に記載の方法。
【0395】
[実施態様48]
前記pHが約8.0である、実施態様46または実施態様47に記載の方法。
【0396】
[実施態様49]
前記塩がNaClであり、前記緩衝液がTrisHClである、実施態様46~48のいずれかに記載の方法。
【0397】
[実施態様50]
溶出させることが、約750mMのNaCl及び50~60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも7.0のpHで接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0398】
[実施態様51]
前記溶出緩衝液が少なくとも約55%(w/w)のエチレングリコールを含む、実施態様50に記載の方法。
【0399】
[実施態様52]
溶出させることが、約50mMのTris HCl、約750mM~約1250mMのNaCl及び約60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも7.8のpHで接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0400】
[実施態様53]
溶出させることが、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのアルギニン-HCl、約750mM~約1000mMのNaCl及び少なくとも約55%(w/w)のスクロースを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約8.0のpHで接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0401】
[実施態様54]
溶出させることが、
(a)約20~約100mMのアルギニン-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約7.5~約8.5のpHを有する、前記接触させることと、
(b)約20~約100mMのアルギニン-HCl、約40~約60%(w/w)のグリセロール、及び約500~1000mMの塩を含む第2の溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第2の緩衝液が約7.5~約8.5のpHを有する、前記接触させることと、をさらに含む、実施態様53に記載の方法。
【0402】
[実施態様55]
前記ステップが連続して実行される、実施態様54に記載の方法。
【0403】
[実施態様56]
溶出させることが、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのアルギニン-HCl、約750mM~約1000mMのNaCl及び少なくとも約50%(w/w)のグリセロールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約8.0のpHで接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0404】
[実施態様57]
溶出させることが、約2mMの塩化マグネシウム、約50mMのタウリン、約600mM~約1000mMのNaCl、約0.05~約0.2%のオクチルグリコピラノシド、及び少なくとも約60%(w/w)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約7.8のpHで接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0405】
[実施態様58]
溶出させることが、
(a)約20~約100mMのTris-HCl及び約75~約250mMのNaClを含む第5の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約8.0~約8.8のpHを有する、前記接触させることと、
(b)少なくとも約6.8のpHで約1Mの硫酸アンモニウム、約50mMのTris HCl、及び約50%(v/v)のエチレングリコールを含む第2の溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることと、をさらに含む、実施態様57に記載の方法。
【0406】
[実施態様59]
前記ステップが連続して実行される、実施態様58に記載の方法。
【0407】
[実施態様60]
溶出させることが、少なくとも約6.8のpHで約1Mの硫酸アンモニウム、約50mMのTris HCl、及び約50%(v/v)のエチレングリコールを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0408】
[実施態様61]
溶出させることが、約20%(w/w)のスクロース、約10%(w/w)のソルビトール、約5%(w/w)のマンニトールまたは約5%(w/w)のスクロース、約15%(w/w)のグリセロール、約50mMのヒスチジン、及び約750~約1000mMのNaClを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を少なくとも約7.8のpHで接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0409】
[実施態様62]
溶出させることが、
(a)約20~約100mMのヒスチジン、約80~約120mMのNaClを含む第5の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約8.0~約8.8のpHを有する、前記接触させることと、
(b)約20~約100mMのヒスチジン及び約600~約900mMのNaCl、及び約5~60%(w/w)のDMSOを含む第2の緩衝液と前記アフィニティ樹脂を接触させることであって、前記第5の緩衝液が約6.5~約8.5のpHを有する、前記接触させることと、をさらに含む、実施態様61に記載の方法。
【0410】
[実施態様63]
前記ステップが連続して実行される、実施態様62に記載の方法。
【0411】
[実施態様64]
溶出させることが、約100mMのグリシン-HCl、約200mMのNaClを含む溶出緩衝液と前記アフィニティ樹脂を約2.5のpHで接触させることを含む、実施態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0412】
[実施態様65]
前記溶出緩衝液が約8.0のpHにある、実施態様50~63のいずれかに記載の方法。
【0413】
[実施態様66]
前記溶出緩衝液が8.0のpHにある、実施態様50~63のいずれかに記載の方法。
【0414】
[実施態様67]
溶出させることが対イオン濃度の段階的な増加を含む、実施態様1~66のいずれかに記載の方法。
【0415】
[実施態様68]
溶出させることが有機溶媒濃度の段階的な増加を含む、実施態様1~67のいずれかに記載の方法。
【0416】
[実施態様69]
前記溶出緩衝液中の前記塩が、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、クエン酸塩のような、一価、二価または多価の陰イオンから選択される、実施態様1~68のいずれかに記載の方法。
【0417】
[実施態様70]
第1の洗浄ステップが、約50~約200mMの酢酸ナトリウム、約0.05~約0.2%のポリソルベート80を含む第1の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第1の緩衝液が約5.2~約6.8のpHを有し、
第2の洗浄ステップが約25~約100mMのTrisHCl及び約50~約200mMのNaClを含む第2の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第2の緩衝液が約7.5~約9.2のpHを有し、
第3の洗浄ステップが、約20~約100mMのTrisHCl及び約75~約250mMのNaClを含む第3の緩衝液を前記アフィニティ樹脂に適用することを含み、前記第3の緩衝液が約7.5~約8.8のpHを有する、実施態様15または実施態様16に記載の方法。
【0418】
[実施態様71]
約20~約50mMのHClを前記アフィニティ樹脂に約1.7~約2.5のpHで適用することが後に続く、前記アフィニティ樹脂に精製水を適用することによる溶出をさらに含む、実施態様70に記載の方法。
【0419】
[実施態様72]
0~100%の勾配の20~50mMの塩酸/0.5~2.0mMの塩酸中の800~1200mMのNaClを適用することによる溶出をさらに含む、実施態様70に記載の方法。
【0420】
[実施態様73]
前記溶出させるステップから得られた前記AAVが99.9%以下のHC不純物レベルを有する、実施態様1~72のいずれかに記載の方法。
【0421】
[実施態様74]
前記溶出させるステップから得られた前記AAVが99.0%以下のHC不純物レベルを有する、実施態様1~73のいずれかに記載の方法。
【0422】
[実施態様75]
前記AAVがAAV8であり、前記アフィニティ樹脂がPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8であり、前記溶出緩衝液が酸性でありエチレングリコールを含まない、実施態様1~74のいずれかに記載の方法。
【0423】
[実施態様76]
前記AAVがAAV9であり、前記アフィニティ樹脂がPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9であり、前記溶出緩衝液が酸性でありエチレングリコールを含まない、実施態様1~74のいずれかに記載の方法。
【0424】
[実施態様77]
前記AAVがAAV8であり、前記アフィニティ樹脂が、クロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK8またはADK8/9からのAAV8に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である、実施態様1~76のいずれかに記載の方法。
【0425】
[実施態様78]
前記AAVがAAV9であり、前記アフィニティ樹脂が、クロマトグラフィーマトリックス上に固定化されたタイプADK9またはADK8/9からのAAV9に対して固定化されたモノクローナル抗体からなる免疫アフィニティ樹脂である、実施態様1~76のいずれかに記載の方法。
【0426】
[実施態様79]
酸性の荷電した汚染物質を前記AAV含有溶液から枯渇させるために有効な正に荷電した基を含むフィルタに前記AAV含有溶液を接触させることをさらに含む、実施態様1~78のいずれかに記載の方法。
【0427】
[実施態様80]
35nmを超えるウイルスを除去するためのAAV画分のナノ濾過をさらに含む、実施態様1~79のいずれかに記載の方法。
【0428】
[実施態様81]
テンタクルゲルを含むカラムを用いてAEXクロマトグラフィーを実行することを含む磨きステップをさらに含む、実施態様1~80のいずれかに記載の方法。
【0429】
[実施態様82]
AAV特異的ELISAを介してAAV画分を試験することをさらに含む、実施態様1~81のいずれかに記載の方法。
【0430】
[実施態様83]
前記AAV特異的ELISAがAAVに特異的なサンドイッチELISAである、実施態様82に記載の方法。
【0431】
[実施態様84]
実施態様1~83のいずれかに記載の方法により産生されるAAV産物。