(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089456
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】脱気装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/19 20060101AFI20230621BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B41J2/19
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203958
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】羽橋 尚史
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA15
2C056EA20
2C056EB16
2C056EB34
2C056EB50
2C056EC15
2C056EC29
2C056EC51
2C056EE18
2C056KB04
2C056KB08
2C056KB11
2C056KB16
2C056KB37
2C056KB40
(57)【要約】
【課題】脱気に伴う揮発溶剤を液化して回収できる脱気装置、液体を吐出する装置を提供する。
【解決手段】脱気装置200は、液体タンク110からヘッド100に至る液体経路121に配置される脱気手段201と、脱気手段201を減圧する減圧手段202と、脱気手段201と減圧手段202との間に配置され、脱気手段201から排気される気体を捕捉する回収部203と、回収部203で捕捉される気体を冷却する冷却手段204とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器から液体吐出手段に至る液体経路に配置される脱気手段と、
前記脱気手段を減圧する減圧手段と、
前記脱気手段と前記減圧手段との間に配置され、前記脱気手段から排気される気体を捕捉する回収部と、
前記回収部で捕捉される前記気体を冷却する冷却手段と、を備えている
ことを特徴とする脱気装置。
【請求項2】
前記冷却手段は、前記回収部内に捕捉された前記気体を冷却する手段である
ことを特徴とする請求項1に記載の脱気装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、前記回収部内に捕捉された前記気体を冷却する手段、及び、前記脱気手段から前記回収部に至る経路を通過する前記気体を冷却する手段である
ことを特徴とする請求項1に記載の脱気装置。
【請求項4】
前記回収部内に捕捉された前記気体を冷却する手段は、少なくとも一部が前記回収部内に配置されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の脱気装置。
【請求項5】
前記回収部内に捕捉された前記気体を冷却する手段は、前記回収部の外周部に配置されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の脱気装置。
【請求項6】
前記回収部を囲む断熱部材を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の脱気装置。
【請求項7】
前記冷却手段は、前記脱気手段から前記回収部に至る経路を通過する前記気体を冷却する手段である
ことを特徴とする請求項1に記載の脱気装置。
【請求項8】
前記脱気手段に対して直列に接続された複数の前記回収部を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の脱気装置。
【請求項9】
前記脱気手段に対して並列に接続された複数の前記回収部を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の脱気装置。
【請求項10】
前記回収部から前記気体が液化した回収液体を排出する排出部を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の脱気装置。
【請求項11】
液体を吐出する手段と、
前記液体を収容する液体容器と、
前記液体容器から前記液体を吐出する手段に前記液体を送液する送液手段と、
請求項1ないし10のいずれかに記載の脱気装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項12】
前記脱気装置の前記減圧手段を駆動する前に前記冷却手段を駆動する
ことを特徴とする請求項11に記載の液体を吐出する装置。
【請求項13】
前記送液手段を駆動する前に、前記脱気装置の前記冷却手段を駆動する
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の液体を吐出する装置。
【請求項14】
前記送液手段を駆動している間は、前記脱気装置の前記冷却手段を断続的に駆動する
ことを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱気装置、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する装置において、液体中に含まれる溶存気体を減圧下で液体中から報酬ツさせる脱気装置を備えるものがある。
【0003】
従来、インクを貯留するインクタンクと、インクを吐出するノズルを含むインクジェットヘッドと、インクタンクから供給されたインクが流れ、インクジェットヘッドを経由して再びインクタンクに回収されるインクを循環させる循環流路と、循環流路に設けられ、循環流路にインクを流す送液部と、インク中の溶存気体を除去する脱気モジュールと、を備え、脱気モジュールに負圧流路を介して繋がり脱気モジュールを負圧状態にする負圧部と、負圧流路に設けられるセパレータと、を備え、セパレータに貯留された液体を回収する出口流路に第1の開閉弁と、セパレータと負圧部とを繋ぐ負圧流路に第2の開閉弁を備えるインクジェット記録装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従前、印刷に使用する水性インクなどでは低揮発性溶剤が多く使用されていたが、最近では、多様な溶剤が使用され、減圧条件で揮発する溶剤が増加している。そのため、脱気に伴って脱気部内や排気経路から揮発溶剤がVOC(揮発性有機化合物)として排出され、揮発した溶剤が意図しない箇所で結露するなどの課題が生じている。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、脱気に伴う揮発溶剤を液化して回収できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る脱気装置は、
液体容器から液体吐出手段に至る液体経路に配置される脱気手段と、
前記脱気手段を減圧する減圧手段と、
前記脱気手段と前記減圧手段との間に配置され、前記脱気手段から排気される気体を捕捉する回収部と、
前記回収部で捕捉される前記気体を冷却する冷却手段と、を備えている
構成とした。
【0008】
本発明によれば、脱気に伴う揮発溶剤を液化して回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置の説明図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る液体を吐出する装置の説明図である。
【
図3】同実施形態における回収部からの液化溶剤の排出処理の制御に係る部分の説明に供するブロック説明図である。
【
図4】同実施形態における液化溶剤の排出処理の説明に供するフロー図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る液体を吐出する装置の説明図である。
【
図6】本発明の第4実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図7】本発明の第5実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図8】本発明の第6実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図9】本発明の第7実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図10】本発明の第8実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図11】本発明の第9実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図12】本発明の第10実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図13】本発明の第11実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【
図14】本発明の第12実施形態に係る液体を吐出する装置の概略説明図である。
【
図15】同装置の印刷手段の部分の平面説明図である。
【
図16】同実施形態の制御部の概要の説明に供するブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について
図1を参照して説明する。
図1は同実施形態に係る液体を吐出する装置の説明図である。
【0011】
液体を吐出する装置1は、液体111を吐出する液体吐出手段であるヘッド100と、ヘッド100に供給するインクなどの液体111を収容する液体容器である液体タンク110と、液体111を送液する送液手段として送液ポンプ120とを備えている。液体タンク110は大気開放路113を有している。送液ポンプ120は、液体タンク110からヘッド100に至る供給経路としての液体経路121に配置されている。
【0012】
そして、液体を吐出する装置1は、液体タンク110からヘッド100に送液される液体111を脱気する本発明に係る脱気装置200を備えている。
【0013】
脱気装置200は、脱気手段201と、減圧手段202と、回収部203と、冷却手段204とを備えている。脱気手段201と回収部203とは減圧用経路である減圧用配管205を介して、回収部203と減圧手段202とは減圧用経路である減圧用配管206を介して接続されている。
【0014】
脱気手段201は、液体タンク110からヘッド100に至る液体経路121に配置されている。脱気手段201は、例えば、内部に中空糸膜などを使用した気液分離膜を有し、減圧手段202により、液体側と反対側が減圧されることで、気液分離膜を介して液体中の溶存気体が減圧側に移動することで脱気する。
【0015】
回収部203は、脱気手段201と減圧手段202との間に配置され、脱気手段201から排気される気体を捕捉するトラップタンクである。回収部203は、密閉容器であり、底部に排液経路となる排液用配管207が接続されている。排液用配管207には、開閉弁である排液用バルブ208が設けられている。
【0016】
冷却手段204は、少なくとも一部が回収部203内に配置された第1冷却手段241である。第1冷却手段241は、回収部203内に捕捉された気体を冷却する。第1冷却手段241としては、例えば、冷却源として冷媒を介した熱交換器やペルチェ素子を用いたヒートポンプ、液体窒素など低温物質との接触による冷却、溶解熱による吸熱を利用する方法など種々の冷却手段を1又は複数組み合わせて用いることができる。本実施形態では、熱交換器やペルチェ素子を使用し、装置の消耗品を少なくしている。
【0017】
第1冷却手段241は、冷却源から冷却部材を介して冷却する構成でもよい。この場合、第1冷却手段241にて回収部203内の気体を直接冷やすことができるので、回収部203の材質を問わずに冷却効果を得ることができる。また、回収部203の中央部などに設置することで、比較的に小型に作ることができる。
【0018】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0019】
まず、脱気装置200の回収部203は、排液用バルブ208が閉じられていることで、密閉空間を形成している。この状態で、減圧手段202が駆動されると、脱気手段201、減圧用配管205、回収部203、減圧用配管206が周囲の気圧より減圧される。
【0020】
これにより、脱気手段201内で中空糸膜などの気液分離膜を介して液体111に減圧が掛かり、液体111内に溶解している気体が気液分離膜外に放出され、液体111が脱気されて液体111の溶存気体が減少する。
【0021】
ここで、脱気手段201で脱気されて排気される気体は減圧用配管205を通じて回収部203に捕捉される。このとき、第1冷却手段241を駆動して、液体温度以下に冷却することにより、脱気手段201から排気されて回収部203に捕捉された気体に含まれる溶剤の揮発成分が冷却結露して液化し、回収液体としての液化溶剤112となる。
【0022】
液化溶剤112は回収部203内に溜まるので、減圧装置200を停止したときに、排液用バルブ208を開いて排液用配管207から外部に排出回収することができる。
【0023】
このようにして、脱気に伴う揮発溶剤を液化して回収することができる。
【0024】
なお、第1冷却手段241として冷却源を直接使用して回収部203の気体を冷却する代わりに、エチレングリコール水溶液のような不凍液を介して冷却部品を冷却し、冷却部品にて回収部203を冷却することもできる。
【0025】
この場合、直接冷却する構成に比べて部品点数が増えてしまうが、冷却部品の形状を自由に設計できるため、比表面積を上げることができ、気体に対する冷却効率を上げることができる。また、冷却部品に熱伝導性の高い銅やアルミニウムのような金属を用いることで冷却効率を高めることができる。また、溶剤と接するため第1冷却手段241が腐食するおそれがあるときには、冷却部品を介することで、SUSなどの腐食に強い素材の使用や素材表面の耐腐食めっきを行うことで耐久性を高めることができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態について
図2を参照して説明する。
図2は同実施形態に係る液体を吐出する装置の説明図である。
【0027】
本実施形態では、前記第1実施形態の構成に加えて、回収部203に、内部を大気開放する大気開放路211と、大気開放路211を開閉する大気開放バルブ212とを備えている。また、回収部203には液化して貯留される液化溶剤112の液面高さが所定の高さになったことを検知する液面検知手段としての液検知センサ213を備えている。
【0028】
また、回収部203と脱気手段201との間の減圧用配管205には、減圧用配管205を開閉する開閉弁としての遮断用バルブ214と、減圧用配管205の遮断用バルブ214よりも回収部203側の圧力を検知する圧力センサ215とを配置している。
【0029】
次に、本実施形態における回収部からの液化溶剤の排出処理の制御に係る部分について
図3のブロック説明図を参照して説明する。
【0030】
排出制御手段600は、液検知センサ213及び圧力センサ215の各検知結果の取り込み、減圧手段202の駆動制御、排液用バルブ208、大気開放バルブ212及び遮断用バルブ214の各開閉制御を行う。
【0031】
次に、本実施形態における液化溶剤の排出処理について
図4のフロー図を参照して説明する。
【0032】
排出制御手段600は、装置1が稼働しているときに、予め定めた所定時間経過毎に、この液化溶剤の排出処理を実行する。
【0033】
まず、液検知センサ213の検知結果をチェックして(ステップS1、以下、単に「S1」というように表記する。)、液検知センサ213が液化溶剤112を検知しているか否かを判別する(S2)。つまり、回収部203内に所定量の液化溶剤112が貯留されているか否かを判別する。
【0034】
ここで、液検知センサ213が液化溶剤112を検知しているときには、遮断用バルブ214を閉じ(S3)、大気開放バルブ212を閉じ(S4)、減圧手段202の作動を停止する(S5)。
【0035】
その後、圧力センサ215の検知結果をチェックし(S6)、減圧用配管205内が大気圧になっているか否かを判別する(S7)。
【0036】
そして、減圧用配管205内が大気圧になっているときには、排液用バルブ208を開き、所定時間の経過を待つ(S9)。所定時間は、液検知センサ213が検知する量の液化溶剤112が回収部203の排液用配管207から排出されるまでに要する予め定めた時間である。
【0037】
そして、排液用バルブ208を開いてから所定時間が経過したときには、液検知センサ213の検知結果をチェックして(S10)、液検知センサ213が液化溶剤112を検知しているか否かを判別する(S11)。
【0038】
ここで、液検知センサ213が液化溶剤112を検知していないときには、排液用バルブ208を閉じ(S12)、大気開放バルブ212を閉じる(S13)。その後、減圧手段202を起動し(S14)、圧力センサ215の検知結果をチェックし(S15)、減圧用配管205が動作圧(所定の減圧状態)になったか否かを判別する(S16)。
【0039】
そして、減圧用配管205が動作圧になったときには、遮断用バルブ214を開いて、脱気手段201に減圧を作用させ、排出処理を終了する。
【0040】
これに対し、ステップS11において、液検知センサ213が液化溶剤112を検知しているときには、異常動作としてエラーを通知し、エラー処理に移行する。
【0041】
なお、この液化溶剤の排出処理は、液化溶剤の溜まる速度や回収部203の容積を鑑みて起動間隔を任意に設定できるが、脱気装置200の故障による液体の流入を併せてチェックできる意味から、1分から1日の間で設定することが好ましい。
【0042】
このように、減圧用配管205に遮断用バルブ214、回収部203に大気開放路211及び大気開放バルブ212を設けることで、遮断用バルブ214を閉じ、大気開放バルブ212を開けることで回収部203の減圧を解除することができる。
【0043】
これにより、回収部203に溜まった脱気手段201より排出された液化溶剤112を排液用配管207に設けられた排液用バルブ208を開けることで排液用配管207から排出することができる。
【0044】
そして、液化溶剤112の排出後に大気開放バルブ212、排液用バルブ208を閉じ、減圧手段202を稼働した後に遮断用バルブ214を開けることで、再び、脱気手段201から発生する揮発溶剤を回収することができる。
【0045】
このようにして、液体を吐出する装置1が吐出中でも、一連の排液排出動作が可能となり、排液排出のために液体を吐出する装置1を停止することなく運用できる。
【0046】
また、回収部203に液検知センサ213を設けることで、回収部203に溜まった液化溶剤112が既定の量を超えた場合は、液量に応じてユーザーに排液の排出を促すことができる。
【0047】
さらに、減圧用配管205、若しくは、回収部203に圧力センサ215を設けることで、各センサ215の検知結果に応じて、遮断用バルブ214、大気開放バルブ212、排液用バルブ208のバルブ動作を実施することで、回収部203内の液化溶剤112を自動的に排出することができる。
【0048】
これにより、回収部203内の液化溶剤112の液量を一定量以下に管理することができ、回収部203に液化溶剤112が溜まりすぎて減圧装置200に溜まった液が流れ出て、減圧装置200が故障することを防ぐことができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態について
図5を参照して説明する。
図5は同実施形態に係る液体を吐出する装置の説明図である。
【0050】
本実施形態では、ヘッド100として、フロースルーヘッド(循環型ヘッド)を使用している。
【0051】
そして、サブタンク130から送液手段120によって供給側の液体経路121を介してヘッド100に液体111を供給し、ヘッド100から回収した液体111を回収側の液体経路122を介してサブタンク130に戻している。送液手段120を駆動している間、サブタンク130からヘッド100に液体111が供給され、吐出されない液体111はサブタンク130に戻される。
【0052】
サブタンク130には、液体タンク110から送液手段140によって液体経路141を介して液体111が補給される。サブタンク130は大気開放路133を備えている。サブタンク130には、内部の液体111を撹拌する撹拌羽及び駆動源を含む撹拌手段135を備えている。
【0053】
回収部203に接続された排出用配管207はサブタンク130に接続され、回収部203で回収した液化溶剤112は排液用バルブ208を開けることでサブタンク130に戻される。
【0054】
また、減圧手段202と回収部203との間の減圧用配管206には、開閉弁としての遮断用バルブ216を備えている。
【0055】
これにより、回収部203を大気開放するときに減圧手段202との間も遮断できるようにしている。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態について
図6を参照して説明する。
図6は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0057】
本実施形態は、前記第1実施形態の構成において、前記第3実施形態と同様に、減圧手段202と回収部203との間の減圧用配管206には、開閉弁としての遮断用バルブ216を備えている。
【0058】
これにより、回収部203を大気開放するときに減圧手段202との間も遮断できるようにしている。
【0059】
次に、本発明の第5実施形態について
図7を参照して説明する。
図7は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0060】
本実施形態では、第1冷却手段241は回収部203の外周部に配置されている。第1冷却手段241は回収部203の外周部を冷却することで、回収部203内の気体を冷却する。この場合、回収部203は、熱伝導性の高い金属のような素材で形成されることが好ましい。
【0061】
このように、第1冷却手段241が回収部203の外周部に配置して回収部203の外周部から内部を冷却することで、回収部203全体を冷却することができ、気体との接触面積が広くなり、冷却効率が向上する。また、回収部203自体が冷却されることで、液化した溶剤が再揮発することを抑制できる。
【0062】
次に、本発明の第6実施形態について
図8を参照して説明する。
図8は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0063】
本実施形態では、脱気手段201と回収部203との間の減圧用配管205を通って回収部203に捕捉される気体を冷却する冷却手段204としての第2冷却手段242を備えている。
【0064】
このように、冷却手段204として、脱気手段201から回収部203に至る経路で冷却する第2冷却手段242を備えることで、経路(減圧用配管205)は、回収部203に比べて細長く、気体と多く(時間的長く)接触するので、冷却効率が優れている。
【0065】
次に、本発明の第7実施形態について
図9を参照して説明する。
図9は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0066】
本実施形態では、第1冷却手段241と、第2冷却手段242とを併用している。ここで、第2冷却手段242は、減圧用配管205が冷却で液化した液化溶剤112で塞がれない程度に予備冷却する。第1冷却手段241で回収部203に捕捉された気体を本冷却する。
【0067】
つまり、減圧用配管205が冷却で液化した液化溶剤112で塞がれると、吸引抵抗が高くなる。そこで、第2冷却手段242で予備冷却をした後、第1冷却手段241で本冷却をすることで、吸引抵抗の増大を抑制しつつ、冷却効率を上げ、配管で結露させないで蒸気の回収を行うことができる。
【0068】
次に、本発明の第8実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0069】
本実施形態は、前記第4実施形態において、回収部203の外周部に覆う断熱部材250を備えている。
【0070】
これにより、回収部203内への外部からの熱を遮断し、冷却効率を高めるとともに、併せて、装置外の空気から回収部203を遮断することで回収部203に発生する外部空気起因の結露を抑制することができる。
【0071】
次に、本発明の第9実施形態について
図11を参照して説明する。
図11は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0072】
本実施形態では、脱気手段201に対して複数(ここでは、2つ)の回収部203A、回収部203Bを直列に接続している。
【0073】
つまり、脱気手段201は、減圧用配管205を介して一段目の回収部203Aに接続されている。一段目の回収部203Aは、減圧用配管219を介して、二段目の回収部203Bに接続されている。二段目の回収部203Bは、減圧用配管206を介して減圧手段202に接続されている。
【0074】
また、回収部203Aは排液用配管207aを介して排液用配管207に接続され、回収部203Bは排液用配管207bを介して排液用配管207に接続されている。さらに、減圧用配管219に大気開放路211が接続されている。
【0075】
このように、回収部203を多段構成とすることで、一段目の回収部203Aの第1冷却手段241と二段目の回収部203の第1冷却手段241との設定温度を変えることができる。
【0076】
これにより、一段目の回収部203Aで除去できなかった溶剤を二段目の回収部203Bで除去することができるようになる。
【0077】
また、水の様に凍結する溶剤の場合、冷却温度によっては第1冷却手段241に結露後凍結し、回収部203に液体として回収できないことがある。このとき、凍結しない弱い冷却では気体の冷却が不十分で溶剤の回収効率が低下する。
【0078】
そこで、本実施形態のように複数段の回収部203を備えることで、片側の第1冷却手段241の冷却を弱めることで凍結した溶剤を溶解させて回収部203内に液化溶剤112として回収することが可能となり、2つの回収部203間で相互に繰り返すことで、溶剤蒸気の凍結を解消することができる。
【0079】
次に、本発明の第10実施形態について
図12を参照して説明する。
図12は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0080】
本実施形態では、回収部203に接続した排液用経路207を接続した排出部233を備えている。排出部233には排液用経路237が接続され、排液用経路237には開閉弁としての排液用バルブ238が設けられている。また、排出部233には大気開放路234が接続され、大気開放路234には大気開放バルブ235が設けられている。
【0081】
このように構成したので、第1冷却手段241を備える回収部203に溜まった液化溶剤112を排出部233に移送し、排液用バルブ208を閉じることで、排出部233は脱気系から分離された状態とする。
【0082】
そこで、排出部233の大気開放路234の大気開放バルブ235を開け、排液用バルブ238を開けることで、脱気手段201から減圧手段202までの減圧系を開放せずに排液(液化溶剤112)を排出することができる。
【0083】
次に、本発明の第11実施形態について
図13を参照して説明する。
図13は同実施形態に係る脱気装置の説明図である。
【0084】
本実施形態では、脱気手段201と減圧手段202との間に、脱気手段201に対して2つの回収部203A及び回収部203Bを並列に接続している。
【0085】
つまり、回収部203Aは、減圧用配管205及び減圧用配管205から分岐した減圧用配管205aを介して脱気手段201と接続されている。また回収部203Aは、減圧用配管206及び減圧用配管206から分岐した減圧用配管206aを介して減圧手段202と接続されている。減圧用配管205aには遮断用バルブ214が設けられ、減圧用配管206aには遮断用バルブ216が設けられている。
【0086】
回収部203Aには第1冷却手段241が設けられている。回収部203Aには、排液用配管207が接続され、排液用配管207には排液用バルブ208が設けられている。回収部203Aには大気開放路211及び大気開放路211から分岐する大気開放路211aが接続され、大気開放路211aには大気開放バルブ212が設けられている。
【0087】
回収部203Bは、減圧用配管205及び減圧用配管205から分岐した減圧用配管205bを介して脱気手段201と接続されている。また回収部203Bは、減圧用配管206及び減圧用配管206から分岐した減圧用配管206bを介して減圧手段202と接続されている。減圧用配管205bには遮断用バルブ214が設けられ、減圧用配管206bには遮断用バルブ216が設けられている。
【0088】
回収部203Bには第1冷却手段241が設けられている。回収部203Bには、排液用配管207が接続され、排液用配管207には排液用バルブ208が設けられている。回収部203Bには大気開放路211及び大気開放路211から分岐する大気開放路211bが接続され、大気開放路211bには大気開放バルブ212が設けられている。
【0089】
このように構成したので、回収部203Aと回収部203Bとは、それぞれの第1冷却手段241によって個別の温度制御を行うことができる。
【0090】
これにより、結露後凍結するような溶剤を使用する場合でも、回収部203Aと回収部203とを交互に使用して、例えば、回収部203Aの凍結が解凍するまでは回収部203Bを使用して、回収部203Aの凍結が解凍した後に排出することができる。
【0091】
また、例えば、回収部203Aに通じる減圧用配管205a、206aの遮断用バルブ214、216を閉じることで、回収部203Aのみを減圧系から切り離すことができる。同様に、回収部203Bに通じる減圧用配管205b、206bの遮断用バルブ214、216を閉じることで、回収部203Bのみを減圧系から切り離すことができる。
【0092】
これにより、減圧系を解除することなく、回収部203A又は回収部203Bの液化溶剤112を排出することができるようになる。
【0093】
なお、上記各実施形態の脱気装置200は、相互に組み合わせることができる。
【0094】
次に、本発明の第12実施形態について
図14及び
図15を参照して説明する。
図14は同実施形態に係る液体を吐出する装置の概略説明図、
図15は同装置の印刷手段の部分の平面説明図である。
【0095】
液体を吐出する装置1は、印刷装置であり、搬入手段10と、案内搬送手段30と、印刷手段50と、乾燥手段70と、搬出手段90などを備えている。
【0096】
搬入手段10は、連続紙などのシート材Pを搬入する。案内搬送手段30は、搬入手段10から搬入されたシート材Pを印刷手段50に案内搬送する。印刷手段50は、シート材Pに対して液体を吐出して画像などを形成する印刷を行う。乾燥手段70は液体が付与されたシート材Pを加熱などして乾燥する。搬出手段90は、シート材Pを搬出する。
【0097】
シート材Pは搬入手段10の元巻きローラ11から送り出され、搬入手段10、案内搬送手段30、乾燥手段70、搬出手段90の各ローラによって案内、搬送されて、搬出手段90の巻取りローラ91にて巻き取られる。
【0098】
シート材Pは、印刷手段50において、吐出ユニット51に対向して搬送され、吐出ユニット51から吐出される液体によって画像が形成される。
【0099】
吐出ユニット51には、例えば、搬送方向上流側から、6色分のフルライン型ヘッドアレイ501(501A~501F)が配置されている。ヘッドアレイ501は、液体吐出手段である。搬送されるシート材Pに対して、ヘッドアレイ501AはブラックK、ヘッドアレイ501BはシアンC、ヘッドアレイ501CはマゼンタM、ヘッドアレイ501DはイエローYの各液体(インク)を吐出する。ヘッドアレイ501Eは、ホワイトWの液体を吐出する。ヘッドアレイ501Fは、金色又は銀色の液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0100】
ヘッドアレイ501は、ベース部材502に千鳥状に配置された複数のヘッド100を有する。ヘッド100はノズル面101に液体を吐出する複数のノズル102が配列されている。
【0101】
次に、本実施形態の制御部の概要について
図16のブロック説明図を参照して説明する。
【0102】
制御部700は、装置全体の制御を司るCPU701、CPU701が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM702と、画像データ等を一時格納するRAM703を備えている。
【0103】
制御部700は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリNVRAM704、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他の制御するための入出力信号を処理するASIC705を備えている。
【0104】
制御部700は、ホストとの間でデータを送受するホストI/F706、I/O707を備えている。
【0105】
制御部700は、吐出ユニット51の各ヘッド100を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段、バイアス電圧出力手段を含む印刷制御部711と、各ヘッド100を駆動するための駆動ICからなるヘッドドライバ710を備えている。
【0106】
制御部700は、送液ポンプからなる送液手段120と、電磁弁群712を駆動制御する供給系制御部713を備えている。制御部700は、ヘッド100のノズル面をキャッピングするキャップ714に繋がる吸引ポンプ715と電磁弁群716を駆動制御する維持系制御部717を備えている。
【0107】
制御部700は、脱気装置200の減圧手段202、冷却部材243を備える冷却手段204、各種電磁弁群260を駆動制御する脱気制御部720を備えている。なお、冷却手段は、第1冷却手段241及び第2冷却手段242のいずれか、又は、両者としている。
【0108】
制御部700は、I/O707を通じて、各種のセンサ情報を入力して処理することができる。例えば、圧力センサ215の検知結果(センサ情報)、回収部203の液検知センサ213、脱気手段201に設けられる脱気圧力センサ271、冷却手段204の温度を検知する冷却温度センサ272、その他のセンサ群733の各センサ情報を取得して処理する。そして、制御部700は、取得した情報から装置1の制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部711、供給系制御部713、維持系制御部717、脱気制御部720による制御などに使用する。
【0109】
制御部700には操作パネル740が接続される。操作パネル740には、各種情報を入力する入力部741、各種情報を表示出力する表示部742、各種情報を音で出力するスピーカ743を備えている。
【0110】
本実施形態における制御部による制御の概要について説明する。
【0111】
本発明に係る脱気装置200を使用するとき、冷却手段204による冷却に時間がかかる。そこで、制御部700の脱気制御部720は、減圧手段202を起動する前に、脱気装置200の冷却手段204を起動させ、脱気蒸気を冷却できる状態にする。
【0112】
冷却手段204が気体を冷却できる状態にしておくことで、脱気手段201で脱気された蒸気が回収部203に送られ、例えば第1冷却手段241に触れると、蒸気から溶剤を除去できる。これに対し、冷却手段204が気体を冷却できる状態になっていないときには、蒸気から溶剤を除去できず、減圧手段202から排気として溶剤が放出され、あるいは、減圧手段202内に溶剤媒が析出するおそれが高くなる。
【0113】
また、送液手段120によってヘッド100に向けて送液を行う前に、脱気装置200を起動させておく。これにより、新たに、脱気手段201からヘッド100まで送液される液体を脱気したものとすることができ、液体中の溶解気体による吐出異常を減らすことができる。このとき、十分に脱気を行うためには、冷却ができている方が、脱気効率が向上する。そこで、冷却手段204は送液手段120による送液開始前に起動する。
【0114】
さらに、送液手段120を駆動している間は、脱気装置200の冷却手段204を断続的に駆動することができる。
【0115】
これにより、冷却手段204が第1冷却手段241であるときに、第1冷却手段241に付着する結露の凍結を抑制し、第1冷却手段241に固体として付着する溶剤を減らし、液として回収排出できる。
【0116】
本願において、吐出される「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶剤等の溶剤、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0117】
「液体吐出ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0118】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0119】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0120】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0121】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0122】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0123】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0124】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0125】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【符号の説明】
【0126】
1 印刷装置(液体を吐出する装置)
50 印刷手段
100 ヘッド
110 液体タンク
111 液体
112 液化溶剤
120 送液ポンプ(送液手段)
121 液体経路
200 脱気装置
201 脱気手段
202 減圧手段
203、203A、203B 回収部
204 冷却手段
233 排出部
241 第1冷却手段
242 第2冷却手段
600 排出制御手段