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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089799
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230621BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/30 562
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204532
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下青木 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶介
(72)【発明者】
【氏名】松下 一也
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】中野 響
【テーマコード(参考)】
5F131
5F146
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA12
5F131BA13
5F131BA14
5F131BB03
5F131BB13
5F131BB22
5F131CA12
5F131DA62
5F131DB03
5F131DB62
5F131DB72
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA37
5F131JA05
5F131JA08
5F131JA09
5F131JA12
5F131KA22
5F131KA49
5F131KA54
5F146JA27
5F146KA07
5F146LA11
(57)【要約】
【課題】基板搬送装置について外部へのパーティクルの放出を抑制する。
【解決手段】第1貫通口が形成され、第1駆動機構を内部に備える第1筐体と、基板を保持すると共に第1貫通口を介して第1駆動機構に接続され、第1筐体に対して横方向に移動する基板保持部と、第2貫通口が形成され、第2貫通口を介して接続される第1筐体を昇降させる第2駆動機構を内部に備える第2筐体と、第1筐体内から第2筐体内に亘って形成される排気路と、第1貫通口から吸引した気体を排気路の下流側へ第1の排気流量で排気するように第1筐体に設けられると共に排気路に位置する第1排気機構と、排気路において第1排気機構の下流側で第2筐体に設けられ、第2貫通口から吸引した気体及び排気路の上流側から供給された気体を、排気路の下流側へ第1排気流量よりも大きい第2排気流量で排気する第2排気機構と、を備える装置を構成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外を連通させる第1貫通口が形成され、第1駆動機構を内部に備える第1筐体と、
基板を保持すると共に前記第1貫通口を介して前記第1駆動機構に接続され、当該第1筐体に対して横方向に移動する基板保持部と、
内外を連通させる第2貫通口が形成され、前記第2貫通口を介して接続される前記第1筐体を昇降させる第2駆動機構を内部に備える第2筐体と、
前記第1筐体内から前記第2筐体内に亘って形成され、当該第1筐体及び当該第2筐体のうち第2筐体側を下流側とする排気路と、
前記第1貫通口から吸引した気体を前記排気路の下流側へ第1の排気流量で排気するように前記第1筐体に設けられると共に当該排気路に位置する第1排気機構と、
前記排気路において前記第1排気機構の下流側で前記第2筐体に設けられ、前記第2貫通口から吸引した気体及び当該排気路の上流側から供給された気体を、前記排気路の下流側へ前記第1排気流量よりも大きい第2排気流量で排気する第2排気機構と、
を備える基板搬送装置。
【請求項2】
内外を連通させる第3貫通口が形成され、前記第3貫通口を介して接続される前記第2筐体を横方向に移動させる第3駆動機構を内部に備える第3筐体を備え、
前記排気路は第1筐体内から前記第3筐体内に亘って形成され、前記第2筐体及び当該第3筐体のうち第3筐体側を下流側とし、
前記排気路において前記第2排気機構の下流側で前記第3筐体に設けられ、前記第3貫通口から吸引した気体及び当該排気路の上流側から供給された気体を、前記排気路の下流側へ前記第2排気流量よりも大きい第3排気流量で排気する第3排気機構を備える請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記第1貫通口の外周縁との間に第1の隙間が形成されるように前記第1貫通口に重なる第1シール部と、
前記第2貫通口の外周縁との間に第2の隙間が形成されるように前記第2貫通口に重なる第2シール部と、
前記第3貫通口の外周縁との間に第3の隙間が形成されるように前記第3貫通口に重なる第3シール部と、が設けられる請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記第1排気流量と前記第2排気流量との合計は、前記第3排気流量よりも大きい請求項3記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記第1の貫通口の開口方向における前記第1の隙間の幅、前記第2の貫通口の開口方向における前記第2の隙間の幅、前記第2の貫通口の開口方向における前記第2の隙間の幅は各々、1.0mmより小さい請求項4記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記第1の貫通口の開口方向における前記第1の隙間の幅及び前記第2の貫通口の開口方向における前記第2の隙間の幅よりも、前記第3の貫通口の開口方向における前記第3の隙間の幅が大きい請求項3ないし5のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記第1の貫通口の開口方向における前記第1の隙間の幅、及び前記第2の貫通口の開口方向における前記第2の隙間の幅は、1.0mmより小さい請求項6記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記第1駆動機構による前記第1筐体の移動距離及び前記第2駆動機構による前記第2筐体の移動距離よりも、前記第3駆動機構による前記第3筐体の移動距離の方が大きい請求項4ないし7のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記第2の貫通口の開口方向における前記第2の隙間の幅と、前記第2筐体とが対応し、
前記第3の貫通口の開口方向における前記第3の隙間の幅と、前記第3筐体とが対応しているとすると、
前記第2の隙間の幅及び前記第3の隙間の幅について、前記第2駆動機構による前記第2筐体の移動距離及び前記第3駆動機構による前記第3筐体の移動距離のうち大きい方の移動距離を有する筐体に対応する幅の方が大きい請求項3記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記第1貫通口または前記第2貫通口の圧力を検出するための圧力検出部が設けられる請求項1ないし9のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記圧力検出部によって検出される圧力に基づいて異常の有無を判定する判定機構を備える請求項10記載の基板搬送装置。
【請求項12】
内外を連通させる第1貫通口が形成され、第1駆動機構を内部に備える第1筐体と、
基板を保持すると共に前記第1貫通口を介して前記第1駆動機構に接続され、当該第1筐体に対して横方向に移動する基板保持部と、
内外を連通させる第2貫通口が形成され、前記第2貫通口を介して接続される前記第1筐体を昇降させる第2駆動機構を内部に備える第2筐体と、
を備える基板搬送装置を用いた基板搬送方法において、
前記第1筐体内から前記第2筐体内に亘って形成され当該第2筐体内側を下流側とする排気路の当該下流側へ、前記第1貫通口から吸引した気体を当該第1筐体に設けられると共に当該排気路に位置する第1排気機構によって第1の排気流量で排気する工程と、
前記排気路において前記第1排気機構の下流側で前記第2筐体に設けられる第2排気機構により、前記第2貫通口から吸引した気体及び当該排気路の上流側から供給された気体を、前記排気路の下流側へ前記第1排気流量よりも大きい第2排気流量で排気する工程と、
圧力検出部により、前記第1貫通口または前記第2貫通口の圧力を検出する工程と、
前記圧力に基づいて異常の有無を判定する工程と、
を備える基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送装置及び基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に用いられる基板処理装置には、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)を処理する処理モジュールと、当該処理モジュールに対して基板を受け渡す基板搬送装置(基板搬送機構)と、が設けられる。特許文献1には、基板の搬送路の雰囲気を排気する構成とされた基板搬送機構について記載されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO/2021/117684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板搬送装置について外部へのパーティクルの放出を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の基板搬送装置は、内外を連通させる第1貫通口が形成され、第1駆動機構を内部に備える第1筐体と、
基板を保持すると共に前記第1貫通口を介して前記第1駆動機構に接続され、当該第1筐体に対して横方向に移動する基板保持部と、
内外を連通させる第2貫通口が形成され、前記第2貫通口を介して接続される前記第1筐体を昇降させる第2駆動機構を内部に備える第2筐体と、
前記第1筐体内から前記第2筐体内に亘って形成され、当該第1筐体及び当該第2筐体のうち第2筐体側を下流側とする排気路と、
前記第1貫通口から吸引した気体を前記排気路の下流側へ第1の排気流量で排気するように前記第1筐体に設けられると共に当該排気路に位置する第1排気機構と、
前記排気路において前記第1排気機構の下流側で前記第2筐体に設けられ、前記第2貫通口から吸引した気体及び当該排気路の上流側から供給された気体を、前記排気路の下流側へ前記第1排気流量よりも大きい第2排気流量で排気する第2排気機構と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、基板搬送装置について外部へのパーティクルの放出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の基板処理装置の一実施形態に係る塗布、現像装置の横断平面図である。
図2】前記塗布、現像装置の縦断正面図である。
図3】前記塗布、現像装置に設けられる処理ブロックの斜視図である。
図4】前記処理ブロックに設けられる搬送機構の概略縦断側面図である。
図5】前記搬送機構が備える基台の横断平面図である。
図6】前記基台の縦断側面図である。
図7】前記搬送機構が備えるフレームの縦断正面図である。
図8】前記搬送機構が備える左右駆動用ブロックの横断平図である
図9】評価試験の結果を示すチャート図である。
図10】前記搬送機構の一部を示す模式図である。
図11】前記搬送機構の一部を示す模式図である。
図12】評価試験の結果を示すグラフ図である。
図13】評価試験の結果を示すチャート図である。
図14】評価試験の結果を示すチャート図である。
図15】評価試験の結果を示すチャート図である。
図16】前記基台の他の構成例を示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の基板搬送装置の一実施形態に係る搬送機構F1~F6を備える塗布、現像装置1について、図1の平面図及び図2の縦断正面図を参照して説明する。塗布、現像装置1は大気雰囲気にてウエハWを搬送して処理を行う装置であり、キャリアブロックD1と、処理ブロックD2と、インターフェイスブロックD3と、が横方向に一列に接続されることで構成されている。以降の説明では、このブロックの列に沿った方向を左右方向とする。インターフェイスブロックD3には、処理ブロックD2が接続される側とは反対側に露光機D4が接続されている。ウエハWは搬送容器であるキャリアCに収納された状態で、当該キャリアブロックD1に設けられるステージ11に載置される。キャリアブロックD1は、ステージ11上のキャリアCに対してウエハWを搬入及び搬出する搬送機構12を備える。
【0009】
続いて、処理ブロックD2の構成を説明する。処理ブロックD2は、互いに区画された6つの単位ブロックH1~H6が、番号順に下から積層されて構成されている。各単位ブロックH(H1~H6)において、互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。単位ブロックH1~H3が互いに同様の構成であり、単位ブロックH4~H6が互いに同様の構成である。単位ブロックH1~H6のうち、代表して図1に示す単位ブロックH6について説明する。単位ブロックH6の前後の中央には、左右に直線状に伸びるウエハWの搬送路13が形成されている。搬送路13に対する前方側には、2つの現像モジュール14が左右に並んで設けられている。搬送路13対する後方側には、露光後、現像前の加熱処理であるPEB(Post Exposure Bake)を行う加熱モジュール15が左右に多数並んで設けられている。また、この加熱モジュール15は上下に積層されている。上記の搬送路13には、単位ブロックH6にてウエハWを搬送する搬送機構F6が設けられている。
【0010】
単位ブロックH1~H3について、単位ブロックH6との差異点を中心に説明すると、単位ブロックH1~H3は、現像モジュール14の代わりにレジスト膜形成モジュールを備えている。レジスト膜形成モジュールは、ウエハWにレジストを供給(塗布)してレジスト膜を形成する。また、単位ブロックH1~H3においては、PEB用の加熱モジュール15の代わりに、レジスト膜形成後のウエハWを加熱するための加熱モジュールが設けられる。図2では、搬送機構F6に相当する各単位ブロックH1~H5の搬送機構について、F1~F5として示している。
【0011】
そして、各単位ブロックH1~H6の搬送路13の左端部には、当該単位ブロックH1~H6に跨がるように上下に延びるタワーT1が設けられている。タワーT1には、単位ブロックH1~H6に各々対応する高さに受け渡しモジュールTRS、温度調整モジュールSCPLが設けられており、タワーT1の近傍に設けられる昇降自在な搬送機構16により、当該タワーT1のモジュール間でウエハWを受け渡しが可能となっている。
【0012】
タワーT1のTRS、SCPLについて、対応する単位ブロックH1~H6と同じ数字を付してTRS1~TRS6、SCPL1~SCPL6として示している。このTRS1~TRS6及び後述の各所のTRSは、搬送機構間でのウエハWの受け渡しのためにウエハWを仮置きするモジュールであり、搬送機構F1~F6がアクセスする。またタワーT1には、搬送機構16とキャリアブロックD1の搬送機構12との間でウエハWの受け渡しを行うためのTRS7、TRS8も設けられている。上記のSCPL1~SCPL6は、ウエハWの温度を調整可能なモジュールである。
【0013】
続いて、インターフェイスブロックD3について説明する。インターフェイスブロックD3は、単位ブロックH1~H6に跨がるように上下に伸びるタワーT2~T4を備えている。またインターフェイスブロックD3には搬送機構17~19が設けられており、これらの搬送機構17~19によってタワーT2~T4に各々設けられる各種のモジュール間をウエハWが受け渡されるが、説明の複雑化を避けるために、タワーT2に設けられるモジュール以外のモジュールの表示は省略する。
【0014】
タワーT2は、単位ブロックH1~H6の各高さにTRSを備えており、単位ブロックと同じ高さに位置するTRSについて、当該単位ブロックと同じ数字と英字のAとを付すことで、TRS1A~TRS6Aとして示す。さらに、タワーT2には、露光機D4との間でウエハWを受け渡すためのモジュールであるICPL、TRS7Aが設けられている。ICPLはSCPLと同様に、ウエハWの温度を調整する。
【0015】
キャリアCから搬送機構12により払い出されたウエハWは、タワーT1の受け渡しモジュールTRS7に搬送され、搬送機構16によりタワーT1の受け渡しモジュールTRS1~TRS3に振り分けられる。そして当該ウエハWは、搬送機構F1~F3により受け取られ、温度調整モジュールSCPL1~SCPL3→レジスト膜形成モジュール→加熱モジュールの順で搬送される。そのように搬送されてレジスト膜が形成されたウエハWは、受け渡しモジュールTRS1A~TRS3Aに搬送され、搬送機構17→ICPL→搬送機構19→露光機D4の順で搬送され、レジスト膜が露光される。
【0016】
露光後のウエハWは、搬送機構19→TRS7Aの順で搬送された後、搬送機構18により、受け渡しモジュールTRS4A~TRS6Aに振り分けられる。そのようにTRS4A~TRS6Aに搬送されたウエハWは、搬送機構F4~F6により加熱モジュール15→温度調整モジュールSCPL4~SCPL6→現像モジュール14の順で搬送される。それによりレジスト膜が現像されて、ウエハWにレジストパターンが形成される。現像後のウエハWは、受け渡しモジュールTRS4~TRS6に搬送され、搬送機構16→受け渡しモジュールTRS8の順で搬送され、搬送機構12により、キャリアCに搬入される。
【0017】
また塗布、現像装置1は、制御部10を備えている。制御部10はコンピュータにより構成されており、プログラム、メモリ及びCPUを備えている。プログラムには、後述する塗布、現像装置1における一連の動作を実施することができるようにステップ群が組み込まれている。そして、当該プログラムによって制御部10は塗布、現像装置1の各部に制御信号を出力し、各搬送機構の動作や各モジュールの動作が制御されることで、既述した搬送経路でのウエハWの搬送及びウエハWの処理が行われる。その搬送機構の動作の制御には、後述する各ファンB1~B3の動作の制御も含まれる。上記のプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体に格納されて、制御部10にインストールされる。
【0018】
処理ブロックD2の搬送機構F1~F6は、互いに同様に構成されている。以下、代表して搬送機構F6について、図3の斜視図及び図4の概略側面図を参照して先ず、その概略構成を説明する。搬送機構F6は構成部材として、2つの保持部2と、基台3と、昇降台4と、フレーム5と、左右駆動用ブロック6と、を備えている。左右駆動用ブロック6は既述した加熱モジュール15の下方に設けられており、搬送路13に沿って左右に伸びる長尺な平面視矩形状の部材である。フレーム5は起立した角枠として形成され、その下端部が左右駆動用ブロック6に対して前方側に位置している。フレーム5は、左右駆動用ブロック6の駆動機構に接続され、左右に(即ち、横方向に)直線移動する。
【0019】
昇降台4については後端側がフレーム5に囲まれると共に、当該フレーム5の駆動機構に接続され、鉛直方向に昇降する。昇降台4上には平面視矩形状に形成された基台3が設けられ、基台3は昇降台4によって鉛直軸回りに回転自在である。そして、基台3には2つの保持部2が接続されている。各保持部2は基台3の駆動機構に接続されることで互いに独立して進退可能であり、当該基台3の長さ方向に沿って水平に(即ち、横方向に)直線移動する。各保持部2はウエハWの裏面を保持する基板保持部を構成しており、進行方向が開放された平面視で概ねC字形状の水平な板状体をなす。2つの保持部2は基台3の移動中は互いに重なるように基台3上に設けられ、以降は上側の保持部2を2A、下側の保持部2を2Bとして記載する場合が有る。搬送機構F6をなす各構成部材が以上のように動作可能であることで、基台3が各モジュールの正面に位置した状態で保持部2A、2Bが各々モジュール内に進入し、当該モジュールに対してウエハWを受け渡すことができる。
【0020】
保持部2、昇降台4、フレーム5の各直線移動距離を図3中にU1、U2、U3として夫々示している。この直線移動距離とは、単位ブロックH6にて搬送機構F6によって既述した経路でウエハWを搬送するにあたり直線移動する構成部材に関して、当該直線上で最も一端側に位置した状態と最も他端側に位置した状態との間の距離、即ち搬送時における移動ストロークである。直線移動距離U1~U3の大きさを比較すると、フレーム5の直線移動距離U3>昇降台4の直線移動距離U2>保持部2の直線移動距離U1である。
【0021】
上記した搬送機構F6の各部を直線移動させる駆動機構(後述する駆動機構33A、33B、54、63)は搬送機構F6の内部に設けられており、これらの駆動機構と、駆動させる対象の構成部材とを接続するために、搬送機構F6はその内外を連通させる開口が設けられた構成とされる。その開口を介して、搬送機構F6内の異物がパーティクルとして搬送路13へ放出されることが抑制されるように搬送機構F6内は排気される。従って、搬送機構F6の各部から搬送機構F6の外側の大気が取込まれる。基台3の外部から当該基台3内に取込まれた大気については、昇降台4、フレーム5、左右駆動用ブロック6を順番に流れ、搬送機構F6の外部へと排出されるように、搬送機構F6内には各構成部材間を跨がる排気路60が形成されている。そして、その排気路60の各段にファンが設けられた構成となっている。図4では、このように搬送機構F6に取込まれて流れる大気について、矢印で示している。上記したパーティクルの種類は様々であり、主なものとしては例えば駆動機構に用いられるグリス(グリスパーティクル)である。搬送機構F6においては、当該パーティクルについての放出がより確実に抑制されるように、各ファンの排気流量及び搬送機構F6の各開口の大きさが設定されている。
【0022】
上記の開口及び排気路60の概要についてさらに説明しておくと、既述した搬送機構F6を構成する基台3、昇降台4、フレーム5及び左右駆動用ブロック6については筐体(後述する31、41、51、61)を備え、これら筐体同士が互いに接続されることで、当該排気路60が形成されている。そして基台3、フレーム5及び左右駆動用ブロック6の各筐体31、51、61には、筐体の壁部を貫通することで当該筐体の内外を連通させる貫通口としてスリット(後述する32A、32B、55、64)が形成される。このスリットからのパーティクルの排出を抑制するために、筐体の内側から当該スリットに重なるシールベルトが設けられる。直線移動する構成部材(保持部2、昇降台4またはフレーム5)は、このシールベルトの一部を貫いて駆動機構に接続される。そして、当該構成部材の直線移動と共にシールベルトは移動可能であり、常時スリットに重なる。そして、このシールベルトは風圧等の影響で撓んだ際に筐体と擦れることでパーティクルが発生しないように、筐体から若干離れている。従って、上記した搬送機構F6の内外を連通させる開口は、スリットの外周縁(開口縁)とシールベルトとがなす環状の隙間であり、後述の隙間R1~R3が該当する。
【0023】
続いて、搬送機構F6の各部の構成について詳しく説明する。説明にあたり、駆動機構、当該駆動機構によって直線移動する構成部材(保持部2、昇降台4またはフレーム5)、当該構成部材を移動させるために開口するスリット、当該スリットに重なるシールベルト、当該シールベルトが掛けられるプーリを互いに「対応する」関係にある部材として表記する場合が有る。
【0024】
先ず、図5の横断平面図及び図6の縦断側面図を参照して基台3について説明する。なお、図6は保持部2の進退方向に見た断面図である。基台3は平面視で長方形の筐体31を備えており、当該長方形の長辺をなす側壁に、第1貫通口であるスリット32A、32Bが上下に並んで設けられている。スリット32A、32Bは、筐体31の長さ方向に伸びる。筐体31内には、駆動機構33A、33Bが異なる高さに夫々設けられている。駆動機構33Aとスリット32Aと保持部2Aとが互いに対応する関係であり、駆動機構33Bとスリット32Bと保持部2Bとが互いに対応する関係である。
【0025】
第1駆動機構である駆動機構33Aは、ガイドレール34、各々水平軸周りに回転可能なプーリ35、36、プーリ35に接続されて当該プーリ35を回転させるモータ37、及びプーリ35、36に掛け渡されている無端(即ち環状)の駆動ベルト38により構成されている。ガイドレール34の伸長方向及びプーリ35、36の配列方向は、上記した保持部2Aの移動方向と同じであり、プーリ35、36の回転軸はこの配列方向に直交して水平に伸びる。上記した保持部2Aの側方には接続部材21が設けられており、各接続部材21は保持部2Aから下方に伸びた後、屈曲されて基台3に向い、スリット32Aを介して筐体31内に進入し、上記のガイドレール34及び駆動ベルト38に接続されている。
【0026】
また筐体31内には、互いに組となると共に鉛直軸回りに回転可能な複数のプーリ22が設けられている。スリット32Aの開口方向に見ると、組となるプーリ22はスリット32Aの長さ方向に離れ、スリット32Aを挟むように配置されている。このように組となる複数のプーリ22に、無端のシールベルト23が掛け渡されている。第1シール部であるシールベルト23の幅は、スリット32Aの幅よりも大きい。そしてシールベルト23の周の一部がスリット32Aに重なると共に、当該スリット32Aが形成された筐体31の側壁と近接、且つ対向する。それによってスリット32Aの外周縁の全周に亘り、幅がL1である隙間R1が形成されている。この幅L1について、より詳しく述べるとスリット32Aの開口方向における隙間R1の幅であり、即ちスリット32Aの外周縁とシールベルト23とのなす距離である。なお、この幅L1は、シールベルト23を撓みが無いようにプーリ22に掛けた場合における当該シールベルト23とスリット32Aの外周縁との距離であり、後述の幅L2、L3も同様にシールベルトの撓みが無いとした場合のシールベルトとスリットの外周縁との距離である。
【0027】
上記した保持部2Aの接続部材21は、このシールベルト23におけるスリット32Aに重なる部位の一部を貫通することで、既述したように駆動機構33Aに接続されている。従って、モータ37の回転により駆動ベルト38が回動し、ガイドレール34の長さ方向に沿って保持部2Aが移動する。シールベルト23はこの保持部2Aの移動に応じて回動可能であり、第1の隙間である隙間R1の幅L1は一定の大きさに保たれる。
【0028】
筐体31内には、保持部2Bに対応するシールベルト23及びシールベルト用のプーリ22も設けられている。保持部2Bに対応する駆動機構33B、シールベルト23、プーリ22については、保持部2Aに対応するこれらの部材と同様の構成である。また、保持部2Bは、保持部2Aと同様に接続部材21を介してシールベルト23、駆動機構33に接続されている。
【0029】
ところで、互いに組となりシールベルト23が掛け渡される複数のプーリ22について、図5では図示を簡素にするために2つであるように示しているが、各シールベルト23が上記したようにスリット32A、32Bに重なることができる個数、配置であればよく、実際には3つ以上設けられてもよい。以降に説明する昇降台4、フレーム5に対応するシールベルト用のプーリについても、プーリ22と同様に2つが組となっているものとして示すが3つ以上が組となって、それらのプーリにシールベルトが掛け渡される構成であってもよい。また、昇降台4に対応する各部材、フレーム5に対応する各部材の構成については、以上に述べた保持部2に対応する各部材の構成と略同様であるため、以降の説明で昇降台4、フレーム5に対応する各部材については、保持部2に対応する各部材との差異点を中心に説明する。
【0030】
基台3をなす筐体31について補足して説明すると、当該筐体31の下面には、鉛直下方に突出して、昇降台4を構成する筐体41内に進入する円筒部24が形成されており(図4参照)、円筒部24内の空間25を介して筐体31内と、昇降台4を構成する筐体41内とが連通している。当該筐体41内には、当該円筒部24を筒軸回りに回転させることで、基台3を回転させる回転機構が設けられるが、図示は省略する。なお、筐体31、41は第1筐体に相当する。
【0031】
昇降台4をなす筐体41の左側の側壁、右側の側壁には、夫々フレーム5へ向けて突出して進入する昇降スライダ42が設けられている。この昇降スライダ42内には流路43が形成され、当該流路を介して筐体41内はフレーム5を構成する筐体51内に連通する。また、筐体41内には第1排気機構であるファンB1が設けられている。このファンB1によって上記した基台3のスリット32A、32Bから、搬送路13の大気が取込まれる。そして、この大気は筐体31内、筐体41内を流れて当該ファンB1によって吸気され、流路43を介してフレーム5を構成する筐体51内へと排出される。
【0032】
続いて、フレーム5について図7の縦断正面図を参照して説明する。上記したようにフレーム5は筐体51を備えている。そして、フレーム5の左右の鉛直に伸びる部位を柱部52とすると、2つの柱部52は、搬送路13を前後方向に見て互いに鏡面対称に構成されており、左側の柱部52の右側壁、右側の柱部52の左側壁に、鉛直方向に伸びるスリット53が各々形成されている。上記の昇降台4の昇降スライダ42は第2貫通口であるスリット53を介して筐体51内に進入しており、当該昇降スライダ42の流路43は筐体51内に開口している。
【0033】
第2筐体である筐体51内における各柱部52を形成する部位には、昇降台4に各々対応する駆動機構54、シールベルト用のプーリ55の組及びシールベルト56が設けられている。第2駆動機構である駆動機構54における上記した駆動機構33との差異点としては、昇降台4の移動方向に対応して、ガイドレール34の伸長方向及びプーリ35、36の配列方向について鉛直方向であること、及びプーリ35、36が前後方向に伸びる水平軸回りに回転可能であることが挙げられる。シールベルト用の各プーリ55についても、そのプーリ35、36と同様、鉛直方向に離れて設けられると共に、前後の水平軸回りに回転可能である。スリット53の開口方向に見て、プーリ55はスリット53を挟むように位置し、これらのプーリ55に第2シール部をなすシールベルト56が掛け渡されている。
【0034】
スリット53の開口方向に見た当該スリット53とシールベルト56との位置関係は、上記した基台3におけるスリット32Aとシールベルト23との位置関係と同様である。従って、スリット53の外周縁の全周に亘ってシールベルト56が近接、対向している。当該スリット53の外周縁とシールベルト56との隙間をR2、当該外周縁とシールベルト56との距離である隙間R2の幅(即ち、隙間R2についてのスリット53の開口方向における幅)をL2として図7中に示している。なお、上記の昇降台4の昇降スライダ42は、シールベルト56におけるスリット53に重なる部位の一部を貫通することで、駆動機構54を構成するガイドレール34及び駆動ベルト38に接続されている。従って、駆動機構54のモータ37の回転により昇降台4が昇降可能であり、その昇降台4の昇降の際には、第2の隙間である隙間R2の幅L2が一定の大きさに保たれるようにシールベルト23が回動する。
【0035】
柱部52及び左右駆動用ブロック6の横断平面図である図8も参照して説明すると、各柱部52の底部の後方側にファンB2が設けられている。そして、これらのファンB2に挟まれてブロック状の水平スライダ58が設けられている。この水平スライダ58の後端側は、左右駆動用ブロック6内に進入している。各ファンB2によってスリット53から搬送路13の大気が取込まれる。そしてスリット53から流入した大気と、上記のようにファンB1によって筐体51内に流入した大気とが、ファンB2によって吸気され、水平スライダ58内に形成された流路59を介して左右駆動用ブロック6を構成する筐体61内へと排出される。
【0036】
続いて、左右駆動用ブロック6について上記の図8を参照して説明する。なお、この図8では点線の矢印で各部における大気の流れを示している。上記したように左右駆動用ブロック6は、第3筐体である筐体61を備えており、筐体61の前面には左右に延びるスリット62が形成されている。上記したフレーム5の水平スライダ58は第3貫通口であるスリット62を介して筐体61内に進入し、当該水平スライダ58の流路59は筐体61内に開口している。
【0037】
筐体61内には、フレーム5に各々対応する駆動機構63、シールベルト用のプーリ64の組及びシールベルト65が設けられている。第3駆動機構である駆動機構63についての基台3の駆動機構33との差異点としては、フレーム5の移動方向に対応して、ガイドレール34の伸長方向及びプーリ35、36の配列方向について左右の水平方向であること、及びプーリ35、36が前後の水平軸回りに回転可能であることが挙げられる。シールベルト用のプーリ64については左右の水平方向に離れて設けられ、鉛直軸回りに回転可能である。スリット62の開口方向に見て、組となるプーリ64はスリット62を挟むように位置し、これらのプーリ64に第3シール部をなすシールベルト65が掛け渡されている。
【0038】
スリット62の開口方向に見た当該スリット62とシールベルト65との位置関係は、上記したスリット32Aとシールベルト23との位置関係と同様である。従って、スリット62の外周縁の全周に亘ってシールベルト65が近接、対向している。当該スリット62の外周縁とシールベルト65との隙間をR3、当該外周縁とシールベルト65との距離である隙間R3の幅(即ち、隙間R3についてのスリット62の開口方向における幅)をL3として示している。なお、上記した水平スライダ58は、シールベルト65におけるスリット62に重なる部位の一部を貫通することで、駆動機構63を構成するガイドレール34及び駆動ベルト38に接続されている。従って、駆動機構63のモータ37の回転により、フレーム5が左右に移動可能であり、そのフレーム5の移動の際には、第3の隙間である隙間R3の幅L3が一定の大きさに保たれるようにシールベルト65が回動する。
【0039】
筐体61内において、当該筐体61の後方側の壁部における左端部、右端部にファンB3が各々設けられている。各ファンB3によってスリット62から搬送路13の大気が取込まれる。そしてスリット62から流入した大気と、上記のようにファンB1、B2を介して水平スライダ58から筐体51内に流入した大気とが、ファンB3によって吸気される。そのように吸気される大気はファンB3に接続される図示しない排気路を介して筐体61内から排出される。
【0040】
以上に述べたように、図4で説明した搬送機構F6における排気路60は筐体31内から、筐体41内及び筐体51内を介して筐体61内に亘るように形成され、筐体31、41、51、61の順で下流側へと向う。なお、フレーム5に2つ設けられるファンB2については、排気路60の上流端をなす基台3の筐体31内から当該排気路60を下流側に見て、互いに同じ長さの位置に設けられる。また、左右駆動用ブロック6に2つ設けられるファンB3についても筐体31内から排気路60を下流側に見て、互いに同じ長さの位置に設けられる。
【0041】
ところで基台3のファン43による排気流量(単位時間あたりの排気量)をEx、フレーム5の2つのファンB2による排気流量をEz、左右駆動用ブロック6の2つのファンB3による排気流量をEyとする。つまり、排気路60の下流側に向けて見たときに流路方向の同じ位置におけるファンについては1つのファンとみなし、当該流路方向の異なる位置の各ファンの排気流量について異なる符号で表すものとする。さらに具体的に述べると、Ezは排気路60の流路方向の同じ位置に2つ設けられるファンB2の排気流量の合計、Eyは排気路60の流路方向の同じ位置に2つのファンB3の排気流量の合計である。Exは第1排気流量、Ezは第2排気流量、Eyは第3排気流量である。
【0042】
搬送機構F6全体の排気流量ΣEとすると、ΣE=Ex+Ez+Ey-Eloss(式1)として表すことができる。Elossは排気流量に対する損失分を表しており、搬送機構F6の組み立ての精度や設計の精度などによって変化すると共に不可避的に生じる要素である。搬送機構F6から外部へのグリス等のパーティクルの飛散を抑制するには、Elossを低減させるように搬送機構F6を構成すること、あるいは各ファンB1~B3の排気流量を大きくすることでΣEを大きくするという対処が考えられる。しかし実験及び検証によってそのような対処の他に、Ex、Ey、Ez間のバランスや、上記した隙間R1~R3の幅L1~L3のバランスを適切に設定することが、上記のパーティクルの飛散を抑制する上で有効であることが確認された。以降はその実験及び検証についても適宜説明する。
【0043】
具体的に排気流量Ex、Ey、Ezについて、Ex<Ez<Eyとなるように、各ファンB1~B3の回転数が設定される。これは排気路60の下流側の位置ほど、設けられる排気機構による排気流量を大きくすることで、排気路60の途中で大気の流れが淀んだり、滞留したりすることを防ぐためである。その淀みや滞留を防止することで、排気路60に接続された構成とされている隙間R1~R3からパーティクルが漏れ出すことを防止する。
【0044】
排気流量の大小関係を検証した評価試験1について説明する。評価試験1-1として、上記したようにEx<Ez<Eyとなるように設定した。そして搬送機構F6により、所定の周回路にて繰り返しウエハWを搬送した。この搬送を10枚のウエハWについて行った。その後、各ウエハWに付着したパーティクルのうち、グリスパーティクルについての個数を検出した。そして、10枚のウエハWに付着したグリスパーティクルの合計÷上記の周回路を周回させた回数÷搬送したウエハWの枚数である10について算出した。当該算出値をグリスパーティクル個数/ループ数とする。比較試験1-2として、Ez<Ex<Eyとしたことを除いて評価試験1-1と同様の試験を行い、グリスパーティクル個数/ループ数を算出した。
【0045】
この評価試験1の結果を、図9にボックスチャートとして示している。なお、この図9のボックスチャート及び後述の各図のボックスチャートでは、中央値(第2四分位点)、第1四分位点、第3四分位点を表すボックスの横棒上に点を付し、これらの各四分位点を表す横棒が近接した場合でも各四分位点が識別されるようにしている。この図9のボックスチャートに示すように、評価試験1-1では評価試験1-2に比べてグリスパーティクル個数/ループ数が小さかった。評価試験1-2では、Ex>Ezであることにより、排気路60におけるファンB1、B2間にてグリスパーティクルの流れの淀み、滞留が起こったものと考えられる。その結果、基台3の駆動機構33A、33Bで発生した当該グリスパーティクルがフレーム5の隙間R2から搬送路13に放出されたことで、評価試験1-1よりもグリスパーティクル個数/ループ数が多くなったと推定される。このように評価試験1-1では、隙間R1~R3からのグリスパーティクルの放出が抑制されたことが示された。なお、以降に述べる各評価試験では、この評価試験1-1と同じくEx<Ez<Eyとなるように設定している。
【0046】
ところで図10では搬送機構F6の一部について、モデルG1として極めて概略的に示している。モデルG1は筐体71、ファン72、開口部73を備え、筐体71内に設けられるファン72により吸引され、筐体71の壁部に設けられる開口部73を介して筐体71の外部から内部へと大気が流入する。ファン72は上記したファンB1~B3のいずれかに該当し、開口部73は隙間R1~R3のうちのファン72に対応する隙間である。従ってファン72がB1である場合、B2である場合、B3である場合の夫々において、開口部73は隙間R1、R2、R3である。そして筐体71は、既述した排気路60を形成する各筐体31~61においてファン72から開口部73までの流路を形成する部位に相当する。開口部73を介さずに筐体71内をファン72に向けて流れる大気の流量をE1、開口部73の断面積をA1、開口部73における筐体71内へ流入する大気の速度をV1、開口部73における圧力をP1とすると、ファン72の総排気流量ΣEについてはΣE=E1+P1×V1×A1(式2)として表すことができる。
【0047】
図11でも搬送機構F6の一部について、モデルG1と同様のモデルG2として概略的に示している。ただしこのモデルG2では、開口部73の断面積がA2であり、モデルG1の開口部73の断面積A1よりも小さい。モデルG2においてこの断面積以外に変更が無いとすると、モデルG2の搬送機構F6の総排気流量ΣEとしては、モデルG1の式2と同様の式であるΣE=E2+P2×V2×A2(式3)として表すことができる。式3中のE2は、上記のE1と同じく、開口部73を介さずに筐体71内をファン72に向けて流れる大気の流量である。またP2、V2は、夫々モデルG2での開口部73の圧力、当該開口部73における筐体71内へ流入する大気の速度である。
【0048】
モデルG1、G2が、搬送機構F6における同じ部位を表しているものとする。つまり、モデルG1、G2は、同じ部位で隙間R(R1~R3のうちのいずれか)のみが変更された状態を表しているものとする。その場合、流量E1、E2は互いに同じである。そして、モデルG1、G2が置かれる環境が同じであることから、モデルG1、G2が外部から受けるエネルギーも同じである。式2中のP1×V1×A1、及び式3中のP2×V2×A2についてはその外部のエネルギーによって影響を受ける要素であるが、当該エネルギーが同じであることで、P1×V1×A1=P2×V2×A2とみなすことができる。つまり、モデルG1、G2間でファン72の総排気流量ΣEは同じであると考えることができる。そして断面積A1、A2の違いの影響により、P1>P2、V1<V2という関係になる。
【0049】
上記のようにV1<V2であることから、モデルG1よりもモデルG2の方が、高い流速で開口部73から筐体71内に大気が流れ込む。これは大気の高い流速によって、パーティクルを筐体71内に押し込め、開口部73を介した筐体71の外部への放出を防止できるということになる。従って、開口部73に相当する隙間R1~R3について、より小さく構成することが有効であると考えられる。
【0050】
なお、隙間R1~R3の幅L1~L3について、評価試験1では1.0mmとして行っており、説明の便宜上、この1.0mmを基準値とする。以降に述べる実験においては幅L1~L3を当該基準値よりも小さい縮小値とする場合が有る。従って、ファンB1~B3のうちの一つのファンと当該ファンに対応する隙間と、当該ファンと隙間との間の排気路を形成する筐体と、に関して、当該隙間を基準値とした場合にはモデルG1で表され、当該隙間を縮小値とした場合にはモデルG2で表されるものと考えることができる。なお、ファンB1~B3の排気流量についてEx、Ey、Ezとして表すものとしたが、以降は、対応する隙間の幅が縮小値である場合には便宜上、Eに「′」を付してE′x、E′y、E′zとして夫々示す場合が有る。つまり、対応する隙間についてモデルG2で表されるファンの排気流量については、E′として表す。
【0051】
上記した各隙間R1~R3を小さくした方が好ましいという考察に基づき、評価試験2を行った。評価試験1との差異点を中心に述べると、この評価試験2では基台3における隙間R1の幅L1を縮小値に設定し、隙間R2及びR3における幅L2、L3は基準値に設定している。そして評価試験1と同様に、10枚のウエハWについて周回路を周回するように搬送し、グリスパーティクル個数/ループ数を算出した。縮小値としては、0.5mm、0.7mm、0.85mmのいずれかとした。なお、幅L1について同一の設定で、周回路でのウエハWの搬送、及びグリスパーティクル個数/ループ数の算出を3回行い、この3回の平均値を算出した。
【0052】
図12のグラフは評価試験2の結果を示したものであり、横軸に幅L1を、縦軸にグリスパーティクル個数/ループ数を夫々示している。そして、上記したグリスパーティクル個数/ループ数の平均値を点で表し、各点に基づいた近似直線を点線で示している。このグラフに示されるように幅L1が小さいほど、グリスパーティクル個数/ループ数の値が小さい。このように評価試験2の結果は、上記した各隙間を小さくすることで当該隙間を通過する大気の速度を高めてパーティクルの放出を抑制することができるという推論に適合したものとなった。また、この評価試験2からは幅L1について、例えば0.5mm~0.85mmの範囲とすることが好ましく、この範囲中においてより小さい値とすることがより好ましいことが示された。
【0053】
なお、シールベルト23が設けられる各筐体31は、十分な強度を確保するために例えば金属により構成されている。隙間R1の幅L1を縮小値とすると、これらのシールベルト23が撓んだ際に筐体31に接触して当該筐体31からの金属のパーティクルの発生量が上昇することが考えられる。それを防ぐために、これらの筐体31の内壁におけるスリット32A、32Bの外周縁については、例えば樹脂などの当該筐体31をなす金属よりも弾性が高い部材により構成することで、当該パーティクルの発生が抑えられるようにしてもよい。シールベルト56、65が設けられる筐体51、61についても、そのようにスリットの外周縁を樹脂により構成してもよい。
【0054】
続いて、評価試験3について説明する。この評価試験3では、隙間R1~R3の幅L1~L3について、基準値としたものと、縮小値としたものとの組み合わせを変えて、評価試験1、2と同様に10枚のウエハWについて周回路を周回するように搬送し、グリスパーティクル個数/ループ数を算出した。この評価試験3では縮小値を0.5mmとした。評価試験3-1では幅L1~L3をいずれも基準値とした。評価試験3-2では幅L1のみを縮小値とし、幅L2、L3は基準値とした。評価試験3-3では幅L1、L2が縮小値とし、幅L3は基準値とした。評価試験3-4では幅L1~L3をいずれも縮小値とした。従って評価試験3-2ではE′x、評価試験3-3ではE′x、E′z、評価試験3-4ではE′x、E′z、E′yとしている。なお、幅L1~L3が縮小値とされた評価試験3-4では、搬送機構F6全体の排気流量ΣE′について式1と同様の式4:ΣE′=E′x+E′z+E′y-E′lossとして表すことができる。E′lossは、上記のElossと同様、排気流量の損失分である。
【0055】
図13のボックスチャートは評価試験3の結果を示している。このチャートに示すように、グリスパーティクル個数/ループ数について、評価試験3-1に比べると評価試験3-2では小さい。そして、評価試験3-3では評価試験3-2よりもさらに低く、略0であり、評価試験3-1~3-4の中で最も好ましい結果となった。しかし、評価試験3-4では評価試験3-1よりは小さいが、評価試験3-2、3-3よりも大きい値となった。上記の推論によれば、隙間R1~R3の全てを縮小値とする評価試験3-4では評価試験3-3と同等以上にグリスパーティクルが放出されることが見込まれるが、その見込みとは異なる結果となった。
【0056】
上記の評価試験3-4の結果については、左右駆動用ブロック6の筐体61内での大気の圧縮が影響していると考えられる。図3で説明したように、フレーム5の直線移動距離U3は、保持部2の直線移動距離U1及び昇降台4の直線移動距離U2よりも大きい。そのため筐体61内を移動する水平スライダ58について、筐体61内の左端部あるいは右端部に向けて移動する際に、比較的長い距離を移動する場合が有る。その場合、その筐体61内の左端部または右端部において大気が高い圧縮率をもって圧縮される。
【0057】
隙間R3の幅L3が基準値であって比較的大きい場合(モデルG1で隙間R3及び隙間R3に対応するファンB3を表せる場合)は、筐体61内へ流れる隙間R3の大気の流速が比較的小さいので、この大気が隙間R3を塞ぐ作用は比較的低く、筐体61の密閉性は抑えられている。従って、当該筐体61内で圧縮された大気は、その隙間R3内を拡散あるいは隙間R3外へと拡散することができる。その拡散により排気路60の上流側への影響は比較的小さい。
【0058】
しかし隙間R3の幅L3が縮小値であって比較的小さい場合(モデルG2で隙間R3及び隙間R3に対応するファンB3を表せる場合)は、筐体61内へ流れる隙間R3の大気の流速が比較的大きいので、この大気が隙間R3を塞ぐ作用は比較的高く、筐体61の密閉性が高くなる。従って、筐体61内で圧縮された大気は、隙間R3内及び隙間R3を介した外部への放出がなされ難い。それ故に、排気路60における大気の滞留や逆流が起こり、排気路60を流れる途中であったり、各駆動機構に付着していたりするグリスパーティクルが、排気路60の上流側に接続される隙間R1、R2を介して搬送路13へ放出されてしまったことで上記した結果となったと考えられる。
【0059】
評価試験3の実験条件について補足すると、Ex+Ez<Eyという関係となるように各ファンB1~B3の排気流量を設定した上で、上記した隙間R1~R3の幅L1~L3を各々変更して評価試験3-1~3-4を実施している。従って、評価試験3-4はE′x+E′z<E′yという関係が成立した状態で行われた。グリスパーティクルの放出を抑制するためには、この評価試験3-4におけるE′x+E′z<E′yの関係が成立しないようにすることが有効であると考えられる。具体的には例えばE′x+E′z>E′yとする。つまり、ファンB1~B3についてEx+Ez>Eyという関係が得られるように設定した上で、隙間R1~R3の幅L1~L3を各々縮小値、即ち1.0mmより小さい値にすることが有効であると考えられる。なお、そのようにE′x+E′z>E′yとすることは、E′x+E′z<E′yとすることに比べてE′yが比較的小さい値になるということであり、それは上記した隙間R3における大気の速度の上昇が防止されるということになる。従って、筐体61の密閉性が高くなることが防止され、隙間R3及び筐体61の外部への大気の拡散が可能であるため、上記した隙間R1、R2からのパーティクルの放出を抑制することができると考えられる。
【0060】
また、上記した評価試験3-4の条件であるE′x+E′z<E′yの関係を解消するにあたり、E′x+E′z>Eyとなるようにしてもよい。これは評価試験3-2での設定のように、隙間R3の幅L3のみ縮小値とはしないということである。即ち隙間R1、R2の幅L1、L2よりも隙間R3の幅L3が大きくなるように設定することになる。それによって隙間R3における大気の速度を低下させ、上記した隙間R1、R2からのパーティクルの放出を抑制することができる。
【0061】
続いて、評価試験4について説明する。この評価試験4は評価試験4-1~4-4として、上記した評価試験3-1~3-4と同様の試験を行っているが、検出対象をグリスパーティクルのみならず、全ての種類のパーティクルとしている。グリスパーティクルの個数の代わりに全種のパーティクルの個数を用いた他は、グリスパーティクル個数/ループ数の算出方法と同様の算出方法でパーティクル個数/ループ数を算出した。
【0062】
図14のボックスチャートは評価試験4の結果を示している。当チャートに示されるように、評価試験4-1に比べると評価試験4-2~4-4では、パーティクル個数/ループ数が抑制される傾向にあることが確認された。従って、隙間R1~R3の幅L1~L3を縮小値である0.5mmとしても、グリスパーティクル以外のパーティクルによる汚染のリスクの上昇は抑制されていることが確認された。そして、この評価試験4の結果からは、隙間R1~R3の幅L1~L3について1.0mmよりも小さい値とすることで各種のパーティクルの搬送路13への放出を抑制できることが示された。
【0063】
以上に述べたように、搬送機構F6の各ファンB1~B3の排気流量についてEx<Ez<Eyとする。それにより、各隙間R1~R3からの搬送路13へのグリスパーティクルの放出を抑制することができ、従って当該搬送路13を搬送されるウエハWへの当該パーティクルの付着を防止することができる。その結果として、ウエハWから製造される半導体製品の歩留りの低下を防止することができる。
【0064】
そして、評価試験3で述べたように上記の左右駆動用ブロック6での大気の圧縮による隙間R1、R2からのグリスパーティクルの放出を抑えるためにEx+Ez>Ey(即ち、第1排気流量と第2排気流量との合計が第3排気流量よりも大きい)となるようにする。そして、隙間R1~R3を縮小値とする1.0mmより小さい値とすることもグリスパーティクルの放出を抑制するにあたり有効である。評価試験2の結果を考慮すれば、これら隙間R1~R3は、例えば0.85mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下であるとより好ましい。また、評価試験3で述べたように隙間R1、R2の幅L1、L2については、隙間R3の幅L3よりも小さくすることによって、上記のグリスパーティクルの放出を抑制してもよい。この場合の隙間R1、R2の幅L1、L2についても評価試験の結果を考慮すれば、例えば0.85mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下であるとより好ましい。
【0065】
上記したように処理ブロックD2に設けられる他の搬送機構F1~F5についても搬送機構F6と同様の構成であるため、ファンB1~B3及び隙間R1~R3について、既述した搬送機構F6と同様の設定を行うことが好ましい。また、インターフェイスブロックD3における搬送機構19、キャリアブロックD1における搬送機構12についても搬送機構F1~F6と同様の構成であるため、搬送機構F1~F6と同様の設定を行うことが好ましい。
【0066】
そして、インターフェイスブロックD3に設けられる搬送機構17、18については、左右駆動用ブロック6が設けられず、そのためにファンB2によって排気された大気が装置の外部に排出されることを除いて搬送機構F6と同様の構成である。また、処理ブロックD2における搬送機構16については、基台3が回転しないことを除いて搬送機構17、18と同様の構成である。これらの左右駆動用ブロック6が設けられない搬送機構16~18についても下流側のファンほど排気流量が大きくなるようにすればよい。従って、Ex<EzとなるようにファンB1、B2の排気流量を設定すればよい。そして、各スリットがなす隙間R1~R2の幅についても例えば搬送機構F6について示した値、即ち1.0mmより小さい値とすればよい。
【0067】
次に評価試験5について説明する。この評価試験5では、図15に示すように基台3に配管74の一端を設けてスリット32Aの一端に開口するようにした。配管74の他端は、圧力計75に接続されている。つまり、圧力計75によってスリット32Aの圧力を計測できるように構成した。そして、評価試験2と同様に隙間R1の幅L1を0.5mm、0.7mm、0.85mmのいずれかに設定して搬送機構F6を稼働させて、当該圧力を検出した。
【0068】
図16はこの評価試験5の結果を示している。隙間R1の幅L1が小さいほどスリット32Aの圧力が小さく、幅L1とスリット32Aの圧力との間には正の相関関係が有ることが分かる。この評価試験5の結果と、幅L1によってグリスパーティクルの放出量が変化したことを示す評価試験2の結果とを合わせて考えると、搬送機構F6の稼働中にスリット32Aの圧力を検出することで、幅L1が適正であるか否か(シールベルト23と筐体31との位置関係が適正であるか否か)を判定することができる。そして、その幅L1についての判定は、グリスパーティクルの放出量が異常であるか否かを判定することになる。
【0069】
従って、搬送機構F6の各スリット32A、32B、53、62に各々配管74の一端が開口するように設けるようにする。つまり、図15ではスリット32Aのみに配管74の一端を設ける例を示したが他のスリットにも同様に配管74の一端を設ける。そして各配管74の他端に接続された圧力計75により、例えば搬送機構F6によるウエハWの搬送中における各スリット32A、32B、53、62の圧力を検出する。なお、これら配管74及び圧力計75は圧力検出部をなし、圧力計75は圧力の検出値に相当する信号を判定機構に相当する制御部10に送信する。そして、制御部10は各圧力計75からの検出値が予め設定された許容範囲内に収まるか否かを判定し、許容範囲内を外れたスリットが有ればその旨を所定の画面表示や音声出力によりユーザーに報知する。そのような構成とすることで、搬送路13の雰囲気をより清浄に保ち、ウエハWの歩留りの低下がより確実に防止される。
【0070】
なお、搬送機構F6の全てのスリットの圧力を監視することに限られず、一部のみのスリットの圧力を監視することで異常の有無を検出してもよい。また、圧力計75によって検出される圧力は制御部10を構成するモニタに表示され、異常の有無の判定は装置のユーザーが行ってもよい。
【0071】
ところで搬送機構F6について、単位ブロックH6に設けられるモジュールの配置によっては、フレーム5の直線移動距離U3よりも昇降台4の直線移動距離U2が大きくなることが考えられる。その場合には、左右駆動用ブロック6の筐体61内よりもフレーム5の筐体51内において大気の圧縮率が高くなるので、排気路60において筐体51の上流側での大気の滞留や逆流を抑制するために隙間R2は比較的大きくして、筐体51内の密閉性を緩和する。その一方で筐体31、51については密閉性を高くして隙間R1、R3における大気の流速を高めてパーティクルの放出を抑制することが有効である。そのため隙間R1、R3の幅L1、L3よりも隙間R2の幅L2を大きくすることが好ましい。
【0072】
以上のことから隙間R2の幅L2と昇降台4とが対応し、隙間R3の幅L3とフレーム5とが対応しているとすると、幅L2、L3の関係としては直線移動距離U2、U3のうちの大きい方の直線移動距離を有する構成要素(昇降台4またはフレーム5)に対応する幅の方を大きくすることが有効である。また、幅L1も含めた幅L1~幅L3間の関係としては、直線移動距離U2、U3のうちの大きい方の直線移動距離を有する構成要素に対応する幅を最も大きくすることが好ましい。
【0073】
なお上記の例では排気路60において、流路方向の3つの異なる位置にファンB1、B2、B3を夫々設けているが、そのように3つの異なる位置に設けることに限られない。例えば、基台3の筐体31内にもファンを設けることで計4つの異なる位置にファンを設けるようにしてもよい。その場合においても、排気路60の流路方向において同じ位置におけるファンはまとめて一つの排気機構として、排気路の下流側に設けられる排気機構の排気流量ほど大きくなるように各ファンを動作させればよい。また、排気機構としてはファンを用いることには限られず、ブロワなどにより構成してもよい。
【0074】
また、フレーム5は対応する駆動機構63のガイドレール34が直線状に形成されることで直線状に移動するが、例えばこのガイドレール34が曲線状に形成されることで弧を描くように移動する構成であってもよい。フレーム5以外の他の構成部材についても同様に、直線状に移動する構成とされることには限られない。また、上記した各搬送機構は大気雰囲気で用いられることには限られず、窒素ガスなど他の種類の気体が存在する雰囲気で使用することができる。
【0075】
なお、基板の搬送対象であるモジュールの構成については任意であり、既述したレジスト塗布、現像を行うものの他に、例えばレジスト以外の膜を形成するもの、検査のためにウエハW表面を撮像するもの、ウエハWの表面または裏面を洗浄するものなどのモジュールに対してウエハWを搬送することができる。さらに、円形基板であるウエハWの搬送を行うことには限られず、例えばフラットパネルディスプレイの製造用の基板などの角型の基板を搬送する搬送機構に本技術を適用してもよい。
【0076】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更及び組み合わせがなされてもよい。
【符号の説明】
【0077】
B1、B2 ファン
Ex、Ez 排気流量
F6 搬送機構
R1、R2 隙間
W ウエハ
2 保持部
31、41、51 筐体
32A、55 スリット
33A、54 駆動機構
60 排気路
図1
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