(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089824
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】バッテリ状態検出装置および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/367 20190101AFI20230621BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20230621BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20230621BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20230621BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
G01R31/367
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/392
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204566
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】今村 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】井上 圭
(72)【発明者】
【氏名】浅野 実
(72)【発明者】
【氏名】魚津 篤司
(72)【発明者】
【氏名】上田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和義
【テーマコード(参考)】
2G216
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA01
2G216BA21
2G216CB12
2G216CB31
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】充電可能バッテリの状態検出の精度を高める。
【解決手段】バッテリ状態検出装置10は、センサ22と、通信部32と、推定部23と、を備える。センサ22は、車両2に搭載される充電可能バッテリ4の電圧、電流、および温度のうち少なくとも1つを測定する。通信部32は、バッテリ状態検出に関する参照情報を外部装置40から取得するように構成される。推定部23は、センサ22の測定値に基づいて充電可能バッテリ4の状態を推定するように構成される。推定部23は、参照情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを補正するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される充電可能バッテリの電圧、電流、および温度のうち少なくとも1つを測定するセンサと、
バッテリ状態検出に関する参照情報を外部装置から取得するように構成される通信部と、
前記センサの測定値に基づいて前記充電可能バッテリの状態を推定するように構成される推定部と、を備え、
前記推定部は、前記参照情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを補正するように構成される、
バッテリ状態検出装置。
【請求項2】
前記参照情報は、
前記充電可能バッテリを特定できるバッテリ特定情報、
前記車両に後付けした電装品に関する電装品情報、
ユーザの車両利用頻度および車両利用方法の少なくとも1つに関するユーザ利用情報、および
前記充電可能バッテリの交換履歴および再接続履歴の少なくとも1つに関する履歴情報
の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のバッテリ状態検出装置。
【請求項3】
放電回路をさらに備え、
前記推定部は、前記放電回路にパルス状の電流を流した際の応答に基づいて、前記充電可能バッテリの等価回路を構成する成分を求めるように構成され、
前記推定部は、前記等価回路を構成する成分に基づいて前記充電可能バッテリの状態を推定するように構成される、
請求項1または2に記載のバッテリ状態検出装置。
【請求項4】
前記参照情報は、前記充電可能バッテリを特定できるバッテリ特定情報を含み、
前記推定部は、前記バッテリ特定情報に基づいて前記等価回路を構成する成分を補正するように構成される、
請求項3に記載のバッテリ状態検出装置。
【請求項5】
前記参照情報は、前記車両に後付けした電装品に関する電装品情報を含み、
前記推定部は、前記電装品情報に基づいて前記充電可能バッテリの状態の推定に関する推定処理情報を補正するように構成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリ状態検出装置。
【請求項6】
前記参照情報は、ユーザの車両利用頻度およびユーザの車両利用方法の少なくとも1つに関するユーザ利用情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザ利用情報に基づいて、前記等価回路を構成する成分を補正する補正係数を選択するように構成される、
請求項3または4に記載のバッテリ状態検出装置。
【請求項7】
前記参照情報は、前記充電可能バッテリの交換履歴および再接続履歴の少なくとも1つを示す履歴情報を含み、
前記推定部は、前記履歴情報に基づいて、前記等価回路を構成する成分を用いた推定過程または推定結果を補正するように構成される、
請求項3または4に記載のバッテリ状態検出装置。
【請求項8】
前記通信部は、前記センサおよび前記推定部の少なくとも1つと別体で設けられ、前記センサおよび前記推定部の少なくとも1つに取り外し可能に取り付けられるように構成される、
請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリ状態検出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の前記バッテリ状態検出装置と、
前記バッテリ状態検出装置の前記通信部と無線で通信するように構成されるユーザ端末と、
前記バッテリ状態検出装置および前記ユーザ端末とインターネットを介して接続されるように構成されるサーバと、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、バッテリ状態検出装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池充電制御装置が記載される。二次電池充電制御装置は、将来における二次電池の始動可能性を判定し、携帯端末を介して判定結果をユーザに通知する。
【0003】
特許文献2には、クラウドサーバに使用態様情報を送信する充電可能電池状態検出装置が記載される。クラウドサーバは、使用態様情報に基づいてSOHを求め、充電可能電池状態検出装置に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-182518号公報
【特許文献2】特開2021-093359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の二次電池充電制御装置は、車両の外部からの情報を利用する構成を有していない。特許文献2に記載の充電可能電池状態検出装置は、使用態様情報をクラウドサーバに送信する構成を有しているが、使用態様情報などの情報を外部から取得してバッテリの状態検出に利用するような構成を有していない。バッテリ状態検出の精度を高めるためには、外部からの情報を利用するのが好ましい。
【0006】
本願に開示される技術の課題は、充電可能バッテリの状態検出の精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴によれば、バッテリ状態検出装置は、センサと、通信部と、推定部と、を備える。センサは、車両に搭載される充電可能バッテリの電圧、電流、および温度のうち少なくとも1つを測定する。通信部は、バッテリ状態検出に関する参照情報を外部装置から取得するように構成される。推定部は、センサの測定値に基づいて充電可能バッテリの状態を推定するように構成される。推定部は、参照情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを補正するように構成される。
【0008】
第1の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、外部装置から取得した参照情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを推定部が補正するので、外部装置を介して充電可能バッテリに応じて参照情報を更新し、バッテリ状態検出の精度を高めることができる。
【0009】
第2の特徴によれば、第1の特徴に係るバッテリ状態検出装置において、参照情報は、充電可能バッテリを特定できるバッテリ特定情報、車両に後付けした電装品に関する電装品情報、ユーザの車両利用頻度および車両利用方法の少なくとも1つに関するユーザ利用情報、および充電可能バッテリの交換履歴および再接続履歴の少なくとも1つに関する履歴情報の少なくとも1つを含む。
【0010】
第2の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、バッテリ特定情報、電装品情報、ユーザ利用情報、および履歴情報の少なくとも1つを用いることで、バッテリ状態検出の精度をより高めることができる。
【0011】
第3の特徴によれば、第1または第2の特徴に係るバッテリ状態検出装置は、放電回路をさらに備える。推定部は、放電回路にパルス状の電流を流した際の応答に基づいて、充電可能バッテリの等価回路を構成する成分を求めるように構成される。推定部は、等価回路を構成する成分に基づいて充電可能バッテリの状態を推定するように構成される。
【0012】
第3の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、パルス放電を活用した等価回路モデルに基づく推定により、バッテリ状態情報の推定の精度を高めることができる。
【0013】
第4の特徴によれば、第3の特徴に係るバッテリ状態検出装置において、参照情報は、充電可能バッテリを特定できるバッテリ特定情報を含む。推定部は、バッテリ特定情報に基づいて等価回路を構成する成分を補正するように構成される。
【0014】
第4の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、バッテリ特定情報を用いて等価回路を構成する成分を補正することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0015】
第5の特徴によれば、第1から第4の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態検出装置において、参照情報は、車両に後付けした電装品に関する電装品情報を含む。推定部は、電装品情報に基づいて充電可能バッテリの状態の推定に関する推定処理情報を補正するように構成される。
【0016】
第5の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、電装品情報を用いて推定処理情報を補正することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0017】
第6の特徴によれば、第3または第4の特徴に係るバッテリ状態検出装置において、参照情報は、ユーザの車両利用頻度およびユーザの車両利用方法の少なくとも1つに関するユーザ利用情報を含む。推定部は、ユーザ利用情報に基づいて、等価回路を構成する成分を補正する補正係数を選択するように構成される。
【0018】
第6の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、ユーザ利用情報を用いて等価回路を補正する補正係数を選択することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0019】
第7の特徴によれば、第3または第4の特徴に係るバッテリ状態検出装置において、参照情報は、充電可能バッテリの交換履歴および再接続履歴の少なくとも1つを示す履歴情報を含む。推定部は、履歴情報に基づいて、等価回路を構成する成分を用いた推定過程または推定結果を補正するように構成される。
【0020】
第7の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、履歴情報を用いて等価回路を構成する成分を用いた推定過程または推定結果を補正することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0021】
第8の特徴によれば、第1から第7の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態検出装置において、通信部は、センサおよび推定部の少なくとも1つと別体で設けられ、センサおよび推定部の少なくとも1つに取り外し可能に取り付けられるように構成される。
【0022】
第8の特徴に係るバッテリ状態検出装置では、通信部をセンサおよび推定部の少なくとも1つと別体にすることで、通信部を有さない構成に通信部を取り付けることができ、利便性が向上する。
【0023】
第9の特徴によれば、情報処理システムは、第1から第8の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態検出装置と、バッテリ状態検出装置の通信部と無線で通信するように構成されるユーザ端末と、バッテリ状態検出装置およびユーザ端末とインターネットを介して接続されるように構成されるサーバと、を備える。
【0024】
第9の特徴に係る情報処理システムでは、インターネットを介して通信ユニットおよびユーザ端末がサーバと接続されるので、バッテリ状態情報をサーバに送信して有効利用できる。
【発明の効果】
【0025】
本願に開示される技術によれば、充電可能バッテリの状態検出の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】バッテリ状態検出装置を含む情報処理システムの概略ブロック図である。
【
図2】バッテリ状態検出装置および外部装置の概略ブロック図である。
【
図4】充電可能バッテリの等価回路図の一例である。
【
図7】車両の車種およびグレードごとの暗電流標準値を示す図である。
【
図9】バッテリタイプごとの暗電流と電圧降下値との関係を示す図である。
【
図10】バッテリ状態検出装置および情報処理システムの動作のフローチャートである。
【
図11】バッテリ状態検出装置および情報処理システムの動作のフローチャートである。
【
図12】変形例に係るバッテリ状態検出装置および外部装置の概略ブロック図である。
【
図13】変形例に係るバッテリ状態検出装置および外部装置の概略ブロック図である。
【
図14】変形例に係るバッテリ状態検出装置および外部装置の概略ブロック図である。
【
図15】変形例に係るバッテリ状態検出装置および外部装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
【0028】
図1に示すように、車両2は、充電可能バッテリ4、エンジン5、スタータモータ6、オルタネータ7、負荷8、およびバッテリ状態検出装置10を備える。本実施形態では、エンジン5は、車両2の駆動力を生成するように構成され、例えば、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンなどの内燃機関を含む。しかし、車両2は、動力源としてエンジン(内燃機関)および車両駆動モータが搭載されるハイブリッド車、ならびに動力源として車両駆動モータが搭載される電気自動車または燃料電池自動車であってもよい。したがって、例えば、車両2は、充電可能バッテリ4以外に車両駆動用バッテリを備えてもよい。車両2は、例示された車両に限定されない。
【0029】
充電可能バッテリ4の例は、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、およびリチウムイオン電池を含む。充電可能バッテリ4は、スタータモータ6、オルタネータ7、および負荷8に電気的に接続されるように構成される。スタータモータ6は、エンジン5を始動するようにエンジン5に連結される。スタータモータ6は、充電可能バッテリ4から供給される電気により動作する。オルタネータ7は、エンジン5により生成される駆動力を利用して発電するようにエンジン5に連結される。オルタネータ7は、例えば、エンジン5の駆動力を利用して交流電力を発生する交流回路と、交流電力を直流電力に変換する清流回路と、を含む。オルタネータ7で生成される直流電力は、充電可能バッテリ4に充電される。
【0030】
負荷8は、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)、ハーネス、ユーザインターフェース、ライト、ヒータ、カメラ、電動ステアリングモータ、デフォッガ、イグニッションコイル、カーオーディオ装置、およびカーナビゲーション装置の少なくとも1つを含む。負荷8は、充電可能バッテリ4から供給される電気により動作する。本実施形態では、負荷8は、車載コントローラ8Aおよびワイヤーハーネス8Bを含む。車載コントローラ8Aは、電子制御ユニットの一種である。
【0031】
図1に示すように、バッテリ状態検出装置10は、バッテリ状態検出ユニット20および通信ユニット30を備える。バッテリ状態検出ユニット20は、車両2に搭載される充電可能バッテリ4の状態を示すバッテリ状態情報を検出するように構成される。バッテリ状態情報は、例えば、充電可能バッテリ4の電圧、電流、温度、充電率(SOC:State of Charge)、および劣化状態(SOH:State of Health)の少なくとも1つを含む。通信ユニット30は、バッテリ状態情報を外部装置40に送信するように構成される。本実施形態では、通信ユニット30は、バッテリ状態検出ユニット20と別体である。通信ユニット30は、バッテリ状態検出ユニット20に取り付けられるように構成される。通信ユニット30は、バッテリ状態検出ユニット20に取り外し可能に取り付けられるように構成される。しかし、バッテリ状態検出ユニット20および通信ユニット30が一体のユニットとして構成されていてもよい。また、通信ユニット30が、バッテリ状態検出ユニット20に取り付けられた後にバッテリ状態検出ユニット20から取り外せないように構成されてもよい。
【0032】
バッテリ状態検出ユニット20は、センサ22および推定部23を含む。すなわち、バッテリ状態検出装置10は、センサ22および推定部23を備える。センサ22は、車両2に搭載される充電可能バッテリ4の電圧、電流、および温度のうち少なくとも1つを測定する。推定部23は、センサ22の測定値に基づいて充電可能バッテリ4の状態を推定するように構成される。センサ22は、電圧センサ22A、電流センサ22B、および温度センサ22Cを含む。すなわち、バッテリ状態検出ユニット20は、電圧センサ22A、電流センサ22B、および温度センサ22Cを含む。
【0033】
電圧センサ22Aは、充電可能バッテリ4の電圧を測定するように構成される。電流センサ22Bは、充電可能バッテリ4の電流を測定するように構成される。温度センサ22Cは、充電可能バッテリ4の温度を測定するように構成される。推定部23は、電圧センサ22Aの測定電圧、電流センサ22Bの測定電流、および温度センサ22Cの測定温度の少なくとも1つに基づいて充電可能バッテリ4の状態を推定するように構成される。
【0034】
通信ユニット30は、第1接続部31および通信部32を含む。すなわち、バッテリ状態検出装置10は、通信部32を備える。通信部32は、第1接続部31に電気的に接続される。通信部32は、情報通信部33および無線通信部34を含む。すなわち、通信ユニット30は、第1接続部31、情報通信部33、および無線通信部34を備える。
【0035】
第1接続部31は、バッテリ状態検出ユニット20に取り外し可能に取り付けられるように構成される。第1接続部31は、バッテリ状態検出ユニット20に取り付けられる状態でバッテリ状態検出ユニット20に電気的に接続される。情報通信部33は、第1接続部31を介してバッテリ状態検出ユニット20からバッテリ状態情報を取得するように構成される。
【0036】
本実施形態では、第1接続部31は、バッテリ状態検出ユニット20に取り外し可能に取り付けられるように構成される。しかし、第1接続部31がバッテリ状態検出ユニット20に取り付けられた後にバッテリ状態検出ユニット20から取り外せないように構成されてもよい。また、バッテリ状態検出ユニット20および通信ユニット30が一体のユニットとして構成される場合、第1接続部30は通信ユニット30から省略される。
【0037】
無線通信部34は、情報通信部33により取得されるバッテリ状態情報を外部装置40へ無線で送信するように構成される。無線通信部34は、Bluetooth(登録商標)規格およびWi-Fi(登録商標)規格の少なくとも一方で無線通信を行うように構成される。本実施形態では、無線通信部34は、Bluetooth規格およびWi-Fi規格で無線通信を行うように構成される。しかし、無線通信部34は、Bluetooth規格およびWi-Fi規格の一方のみで無線通信を行うように構成されてもよい。無線通信部34は、Bluetooth規格およびWi-Fi規格以外の通信規格で無線通信を行うように構成されてもよい。
【0038】
外部装置40は、ユーザ端末41およびサーバ42の少なくとも一方を含む。本実施形態では、外部装置40は、ユーザ端末41およびサーバ42を含む。ユーザ端末41の例は、スマートフォンおよびタブレットコンピュータを含む。無線通信部34は、Bluetooth規格でユーザ端末41と無線通信を行うように構成される。無線通信部34は、インターネットを介してWi-Fi規格でサーバ42と無線通信を行うように構成される。しかし、無線通信部34は、Bluetooth規格以外の通信規格でユーザ端末41と無線通信を行うように構成されてもよい。無線通信部34は、Wi-Fi規格以外の通信規格でサーバ42と無線通信を行うように構成されてもよい。また、外部装置40は、ユーザ端末41およびサーバ42の一方のみを含んでいてもよく、ユーザ端末41およびサーバ42以外の装置を含んでいてもよい。
【0039】
通信ユニット30の情報通信部33は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果の少なくとも1つをバッテリ状態情報として第1接続部31を介して取得するように構成される。本実施形態では、情報通信部33は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果をバッテリ状態情報として第1接続部31を介して取得するように構成される。しかし、情報通信部33が取得するバッテリ状態情報は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果に限定されない。情報通信部33は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果の少なくとも1つをバッテリ状態情報として第1接続部31を介して取得するように構成され得る。
【0040】
情報処理システム50は、バッテリ状態検出装置10、ユーザ端末41、およびサーバ42を備える。すなわち、情報処理システム50は、通信ユニット30、ユーザ端末41、およびサーバ42を備える。情報処理システム50は、バッテリ状態情報を収集し、バッテリ状態検出に用いられる情報(後述の参照情報)をアップデートするように構成される。
【0041】
ユーザ端末41は、バッテリ状態検出装置10の通信部32と無線で通信するように構成される。ユーザ端末41は、通信ユニット30の無線通信部34と無線で通信するように構成される。サーバ42は、インターネットを介してバッテリ状態検出装置10およびユーザ端末41と接続されるように構成される。サーバ42は、通信ユニット30およびユーザ端末41とインターネットを介して接続されるように構成される。
【0042】
バッテリ状態検出装置10は、ユーザ端末41およびインターネットを介してサーバ42へバッテリ状態情報を送信するように構成される。ユーザ端末41は、インターネットを介してサーバ42へバッテリ状態情報を送信するように構成される。バッテリ状態検出装置10は、インターネットを介してサーバ42からアップデート情報を受信するように構成される。ユーザ端末41は、インターネットを介してサーバ42からアップデート情報を受信するように構成される。
【0043】
バッテリ状態検出ユニット20は、放電回路24を含む。放電回路24は、充電可能バッテリ4を放電するように構成される。例えば、放電回路24は、充電可能バッテリ4をパルス放電するように構成される。放電回路24は、例えば、直列接続される半導体スイッチおよび抵抗素子を含む。推定部23は、放電回路24の半導体スイッチをオン/オフ制御するように構成される。放電回路24は、推定部23により半導体スイッチがオン/オフ制御されることで充電可能バッテリ4を間欠的に放電させる。推定部23は、放電回路24にパルス状の電流を流した際の応答に基づいて、充電可能バッテリ4の等価回路を構成する成分を求めるように構成される。推定部23は、等価回路を構成する成分に基づいて充電可能バッテリ4の状態を推定するように構成される。
【0044】
図2に示すように、推定部23は、例えば、プロセッサ23P、メモリ23M、回路基板23C、およびバス23Bを含む。プロセッサ23Pは、例えば、CPU(Central Processing Unit)および/またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。メモリ23Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリの例は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、およびフラッシュメモリを含む。プロセッサ23Pおよびメモリ23Mは、電気的に回路基板23C上に搭載される。プロセッサ23Pおよびメモリ23Mは、回路基板23Cおよびバス23Bを介して互いに電気的に接続される。センサ22および放電回路24のそれぞれは、回路基板23Cおよびバス23Bを介してプロセッサ23Pおよびメモリ23Mに電気的に接続される。メモリ23Mは、プログラムを記憶するように構成される。プロセッサ23Pによりプログラムが読み込まれ実行されることで、推定部23のアルゴリズムが実現される。しかし、推定部23の構造は、上記の構造に限定されない。推定部23のアルゴリズムがハードウェアのみ、または、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。推定部23は、推定回路23または推定回路構成23とも称し得る。
【0045】
情報通信部33は、例えば、プロセッサ33P、メモリ33M、回路基板33C、およびバス33Bを含む。プロセッサ33Pは、例えば、CPUおよび/またはMPUを含む。メモリ33Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAMを含む。不揮発性メモリの例は、ROM、EEPROM、およびフラッシュメモリを含む。プロセッサ33Pおよびメモリ33Mは、電気的に回路基板33C上に搭載される。プロセッサ33Pおよびメモリ33Mは、回路基板33Cおよびバス33Bを介して互いに電気的に接続される。第1接続部31および無線通信部34のそれぞれは、回路基板33Cおよびバス33Bを介してプロセッサ33Pおよびメモリ33Mに電気的に接続される。メモリ33Mは、プログラムを記憶するように構成される。プロセッサ33Pによりプログラムが読み込まれ実行されることで、情報通信部33のアルゴリズムが実現される。しかし、情報通信部33の構造は、上記の構造に限定されない。情報通信部33のアルゴリズムがハードウェアのみ、または、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。情報通信部33は、情報通信回路33または情報通信回路構成33とも称し得る。
【0046】
無線通信部34は、無線通信プロトコルを用いて情報を送受信するように構成される通信回路を含む。例えば、無線通信部34は、アンテナ、無線信号送信回路、および無線信号受信回路を含む。すなわち、無線通信部34は、無線通信回路34または無線通信回路構成34とも称し得る。
【0047】
情報通信部33は、第1有線通信部35を含む。第1有線通信部35は、第1接続部31を介してバッテリ状態検出ユニット20からバッテリ状態情報を有線で受信するように構成される。第1有線通信部35は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果の少なくとも1つをバッテリ状態情報として第1接続部31を介してバッテリ状態検出ユニット20から有線で受信するように構成される。本実施形態では、第1有線通信部35は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果をバッテリ状態情報として第1接続部31を介してバッテリ状態検出ユニット20から有線で受信するように構成される。しかし、第1有線通信部35が取得するバッテリ状態情報は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果に限定されない。第1有線通信部35は、測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果の少なくとも1つをバッテリ状態情報として第1接続部31を介して取得するように構成され得る。
【0048】
情報通信部33は、第2有線通信部36を含む。第2有線通信部36は、車両2の車載コントローラ8Aへバッテリ状態情報を有線で送信するように構成される。通信ユニット30は、車載コントローラ8Aに電気的に接続可能な第2接続部37をさらに備える。第2有線通信部36は、第2接続部37を介して車載コントローラ8Aへバッテリ状態情報を有線で送信するように構成される。
【0049】
第2有線通信部36は、第2接続部37を介して車両2の車載コントローラ8Aへ測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果の少なくとも1つをバッテリ状態情報として有線で送信するように構成される。本実施形態では、第2有線通信部36は、第2接続部37を介して車両2の車載コントローラ8Aへ測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果をバッテリ状態情報として有線で送信するように構成される。しかし、第2有線通信部36が送信するバッテリ状態情報は、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果の少なくとも1つを含み得る。第2有線通信部36は、第2接続部37を介して車両2の車載コントローラ8Aへ測定電圧、測定電流、測定温度、および推定部23の推定結果の少なくとも1つをバッテリ状態情報として有線で送信するように構成され得る。
【0050】
負荷8は、システム接続部8Cを含む。第2接続部37は、システム接続部8Cに取り外し可能に接続されるように構成される。第2接続部37は、システム接続部8Cに電気的に接続可能である。システム接続部8Cは、ワイヤーハーネス8Bの端部に設けられる。
【0051】
図2に示すように、第1有線通信部35は、第1接続部31を介してバッテリ状態検出ユニット20から第1プロトコルを用いてバッテリ状態情報を有線で受信するように構成される。第2有線通信部36は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルを用いて、車載コントローラ8Aへバッテリ状態情報を有線で送信するように構成される。第1有線通信部35は、第1プロトコルを用いて有線で情報を送受信するように構成される通信回路を含む。第2有線通信部36は、第2プロトコルを用いて有線で情報を送受信するように構成される通信回路を含む。すなわち、第1有線通信部35は、第1有線通信回路35または第1有線通信回路構成35とも称し得る。第2有線通信部36は、第2有線通信回路36または第2有線通信回路構成36とも称し得る。
【0052】
本実施形態では、第1プロトコルは、LIN(Local Interconnect Network)を含む。第2プロトコルは、CAN(Controller Area Network)を含む。しかし、第1プロトコルはLIN以外のプロトコルを含み得る。第2プロトコルはCAN以外のプロトコルを含み得る。
【0053】
バッテリ状態検出ユニット20は、検出ユニット接続部25を含む。第1接続部31は、バッテリ状態検出ユニット20の検出ユニット接続部25に取り外し可能に接続されるように構成される。第1接続部31は、検出ユニット接続部25に電気的に接続可能である。
【0054】
バッテリ状態検出ユニット20は、第3有線通信部26を含む。第3有線通信部26は、検出ユニット接続部25および推定部23に電気的に接続される。第3有線通信部26は、検出ユニット接続部25を介して通信ユニット30へバッテリ状態情報を有線で送信するように構成される。第3有線通信部26は、検出ユニット接続部25を介して通信ユニット30へ第1プロトコルを用いてバッテリ状態情報を有線で送信するように構成される。第3有線通信部26は、第1プロトコルを用いて有線で情報を送受信するように構成される通信回路を含む。すなわち、第3有線通信部26は、第3有線通信回路26または第3有線通信回路構成26とも称し得る。
【0055】
バッテリ状態検出ユニット20は、バッテリ接続部21Aを含む。バッテリ接続部21Aは、充電可能バッテリ4の端子4Aに取り付け可能である。バッテリ接続部21Aは、充電可能バッテリ4の端子4Aに取り外し可能に接続されるように構成される。バッテリ接続部21Aは、センサ22、推定部23、放電回路24、および第3有線通信部26に電気的に接続される。
【0056】
図3に示すように、車両2のハーネス2Aは、充電可能バッテリ4の端子4Aに接続される。充電可能バッテリ4の端子4Aは、充電可能バッテリ4のスタッドボルトを含む。バッテリ接続部21Aおよびハーネス2Aは、ナット4Nにより充電可能バッテリ4の端子4Aに接続される。充電可能バッテリ4から車両2の負荷8へハーネス2Aを介して電気が供給される。
【0057】
バッテリ状態検出ユニット20は、バッテリポスト4Bに取り付けられるように構成される。バッテリ状態検出ユニット20は、バッテリポスト端子2Bを含む。バッテリポスト端子2Bは、バッテリポスト4Bに取り外し可能に接続されるように構成される。
【0058】
第1接続部31の形状は、検出ユニット接続部25の形状と相補的である。例えば、第1接続部31は、第1接続穴31Aおよび第1接続端子31B(
図2参照)を含む。第1接続端子31Bは、第1接続穴31A内に設けられる。検出ユニット接続部25は、接続突出部25Aおよび検出ユニット端子25B(
図2参照)を含む。検出ユニット端子25Bは、接続突出部25Aに設けられる。バッテリ状態検出ユニット20は、ユニットハウジング27を含む。接続突出部25Aは、ユニットハウジング27から突出する。検出ユニット接続部25の接続突出部25Aは、第1接続部31の第1接続穴31Aに挿入可能である。接続突出部25Aが第1接続穴31A内に配置される状態で、検出ユニット端子25Bは第1接続端子31Bと接触する。したがって、第1接続部31は、バッテリ状態検出ユニット20の検出ユニット接続部25と電気的に接続可能である。
【0059】
なお、バッテリ状態検出ユニット20が接続穴を含み、接続穴に挿入可能な突出部を第1接続部31が含んでいてもよい。第1接続部31および検出ユニット接続部25の形状は、突出部および穴以外の形状であってもよい。第1接続部31の形状が、検出ユニット接続部25の形状と相補的でなくてもよい。
【0060】
第2接続部37の形状は、負荷8のシステム接続部8Cの形状と相補的である。例えば、システム接続部8Cは、システム接続穴8Dおよびシステム接続端子8E(
図2参照)を含む。システム接続端子8Eは、システム接続穴8D内に設けられる。第2接続部37は、第2接続突出部37Aおよび第2接続端子37B(
図2参照)を含む。第2接続端子37Bは、第2接続突出部37Aに設けられる。通信ユニット30は、情報通信部33を収容するハウジング38をさらに備える。第2接続突出部37Aは、ハウジング38から突出する。第2接続突出部37Aは、システム接続部8Cのシステム接続穴8Dに挿入可能である。第2接続突出部37Aがシステム接続穴8D内に配置される状態で、第2接続端子37Bはシステム接続端子8Eと接触する。したがって、システム接続部8Cは、第2接続部37と電気的に接続可能である。
【0061】
なお、第2接続部37が接続穴を含み、接続穴に挿入可能な突出部をシステム接続部8Cが含んでいてもよい。第2接続部37およびシステム接続部8Cの形状は、突出部および穴以外の形状であってもよい。第2接続部37の形状が、システム接続部8Cの形状と相補的でなくてもよい。
【0062】
本実施形態では、第2接続部37の形状は、第1接続部31の形状と相補的である。したがって、検出ユニット接続部25の形状は、システム接続部8Cの形状と相補的である。通信ユニット30を検出ユニット接続部25およびシステム接続部8Cから取り外して、システム接続部8Cを検出ユニット接続部25に接続することができる。具体的には、検出ユニット接続部25の接続突出部25Aは、システム接続部8Cのシステム接続穴8Dに挿入可能である。接続突出部25Aがシステム接続穴8D内に配置される状態で、検出ユニット端子24Bはシステム接続端子8Eと接触する。したがって、バッテリ状態検出ユニット20の検出ユニット接続部25は、システム接続部8Cと電気的に接続可能である。しかし、第2接続部37の形状は、第1接続部31の形状と相補的でなくてもよい。検出ユニット接続部25の形状は、システム接続部8Cの形状と相補的でなくてもよい。
【0063】
ハウジング38は、充電可能バッテリ4の側面4Cに接触可能な回り止め部38Aを含む。ハウジング38は、ハウジング本体38Bを含む。回り止め部38Aは、ハウジング本体38Bから突出する。バッテリ状態検出ユニット20が充電可能バッテリ4に取り付けられ、かつ、通信ユニット30がバッテリ状態検出ユニット20に取り付けられる状態で、回り止め部38Aは、充電可能バッテリ4の側面4Cに接触する。したがって、回り止め部38Aにより、バッテリ状態検出ユニット20および通信ユニット30の充電可能バッテリ4に対する回転を制限できる。なお、回り止め部38Aは、ハウジング38から省略されてもよい。回り止め部38Aがバッテリ状態検出ユニット20に設けられてもよい。
【0064】
図2および
図3に示すように、通信部32は、センサ22および推定部23の少なくとも1つと別体で設けられる。通信部32は、センサ22および推定部23の少なくとも1つに取り外し可能に取り付けられるように構成される。
【0065】
本実施形態では、通信部32は、センサ22および推定部23と別体で設けられる。通信部32は、センサ22および推定部23に取り外し可能に取り付けられるように構成される。通信ユニット30のハウジング38は、バッテリ状態検出ユニット20のユニットハウジング27に取り外し可能に取り付けられるように構成される。具体的には、通信ユニット30の第1接続部31は、バッテリ状態検出ユニット20の検出ユニット接続部25に取り外し可能に取り付けられるように構成される。しかし、通信ユニット30がバッテリ状態検出ユニット20と一体のユニットとして構成されてもよい。通信部32が、センサ22および推定部23と一体のユニットとして構成されてもよい。また、センサ22が推定部23と別体の場合、通信部32がセンサ22および推定部23の一方と別体で設けられてもよく、通信部32がセンサ22および推定部23の他方と一体のユニットとして構成されてもよい。
【0066】
図2に示すように、通信部32は、バッテリ状態検出に関する参照情報を外部装置40から取得するように構成される。無線通信部34は、バッテリ状態検出に関する参照情報を外部装置40から無線で受信するように構成される。情報通信部33は、無線通信部34により受信される参照情報を、車載コントローラ8Aおよびバッテリ状態検出ユニット20の少なくとも一方に送信する。本実施形態では、通信部32は、ユーザ端末41から参照情報を取得するように構成される。無線通信部34は、バッテリ状態検出に関する参照情報をユーザ端末41から無線で受信するように構成される。情報通信部33は、無線通信部34により受信される参照情報を、車載コントローラ8Aおよびバッテリ状態検出ユニット20に送信する。
【0067】
参照情報は、充電可能バッテリを特定できるバッテリ特定情報、車両に後付けした電装品に関する電装品情報、ユーザの車両利用頻度および車両利用方法の少なくとも1つに関するユーザ利用情報、および充電可能バッテリの交換履歴および再接続履歴の少なくとも1つに関する履歴情報の少なくとも1つを含む。本実施形態では、参照情報は、バッテリ特定情報、電装品情報、ユーザ利用情報、および履歴情報を含む。また、参照情報は、車両の車種およびグレードに関する車両特定情報を含む。しかし、参照情報は、上記の情報に限定されない。
【0068】
バッテリ特定情報は、充電可能バッテリ4の規格(JISなど)、サイズ、メーカ、およびタイプの少なくとも1つを含む。充電可能バッテリ4のタイプは、液式バッテリ、強化型液式バッテリ(EFB:Enhanced Flooded Battery)、およびドライバッテリ(例えば、AGM(Absorbed Glass Mat)バッテリ)を含む。電装品情報は、モニタ、ETC(Electric Toll Collection)ユニット、およびドライブレコーダなどの電装品を含む。
【0069】
ユーザの車両利用頻度は、1週間での車両2の利用頻度(エンジン5を始動する頻度)と、1日あたりの車両2の利用時間と、を含む。ユーザの車両利用方法は、例えば、通勤、業務、および一般家庭での利用などを含む。充電可能バッテリ4の交換履歴は、充電可能バッテリ4を新しいバッテリに交換したか否かを示す。充電可能バッテリ4の再接続履歴は、充電可能バッテリ4を一旦外して再度接続したか否かを示す。
【0070】
ユーザ端末41は、バッテリ状態検出に関する参照情報の入力を受け付けるように構成される。具体的には、ユーザ端末41は、コントローラ41A、ディスプレイ41D、ユーザインターフェース41U、端末通信部41F、およびケース41Eを含む。ケース41Eは、コントローラ41Aおよび端末通信部41Fを収容する。コントローラ41Aは、ディスプレイ41D、ユーザインターフェース41U、および端末通信部41Fと電気的に接続され、ディスプレイ41D、ユーザインターフェース41U、および端末通信部41Fを制御するように構成される。
【0071】
コントローラ41Aは、例えば、プロセッサ41P、メモリ41M、回路基板41C、およびバス41Bを含む。プロセッサ41Pは、例えば、CPUおよび/またはMPUを含む。メモリ41Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAMを含む。不揮発性メモリの例は、ROM、EEPROM、およびフラッシュメモリを含む。プロセッサ41Pおよびメモリ41Mは、電気的に回路基板41C上に搭載される。プロセッサ41Pおよびメモリ41Mは、回路基板41Cおよびバス41Bを介して互いに電気的に接続される。センサ22および放電回路24のそれぞれは、回路基板41Cおよびバス41Bを介してプロセッサ41Pおよびメモリ41Mに電気的に接続される。メモリ41Mは、プログラムを記憶するように構成される。プロセッサ41Pによりプログラムが読み込まれ実行されることで、コントローラ41Aのアルゴリズムが実現される。しかし、コントローラ41Aの構造は、上記の構造に限定されない。コントローラ41Aのアルゴリズムがハードウェアのみ、または、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。コントローラ41Aは、コントロール回路41Aまたはコントロール回路構成41Aとも称し得る。
【0072】
ディスプレイ41Dは、参照情報を入力するための情報を表示するように構成される。ユーザインターフェース41Uは、参照情報の入力を受け付けるように構成される。ユーザインターフェース41Uは、複数のボタンおよびタッチパネルのうち少なくとも一方を含む。タッチパネルの場合、ユーザインターフェース41Uは、ディスプレイ41D上に設けられる。コントローラ41Aは、ユーザインターフェース41Uを介して入力される参照情報を記憶するように構成される。
【0073】
端末通信部41Fは、無線で情報の送受信をするように構成される。端末通信部41Fは、無線で情報の送受信をするように構成される通信回路を含む。例えば、端末通信部41Fは、アンテナ、無線信号送信回路、および無線信号受信回路を含む。すなわち、端末通信部41Fは、端末通信回路41Fまたは端末通信回路構成41Fとも称し得る。端末通信部41Fは、ユーザインターフェース41Uを介して入力される参照情報を、無線で通信ユニット30に送信するように構成される。通信ユニット30の無線通信部34は、ユーザ端末41の端末通信部41Fから無線で参照情報を受信するように構成される。通信ユニット30の情報通信部33は、無線通信部34を介して受信する参照情報をメモリ33Mに記憶する。なお、ユーザ端末41の構造は、上記の構造に限定されない。ユーザ端末41が他の構造を有していてもよい。
【0074】
ユーザは、ユーザ端末41のディスプレイ41Dに表示される情報を見ながら、ユーザインターフェース41Uを介して、参照情報(バッテリ特定情報、電装品情報、ユーザ利用情報、および履歴情報)を入力できる。入力された参照情報は、ユーザ端末41から通信ユニット30へ無線で送信され、通信ユニット30からバッテリ状態検出ユニット20に送信される。推定部23は、受信した参照情報をメモリ23Mに記憶する。
【0075】
例えば、ユーザは、ディスプレイ41Dに表示される複数のメーカ、複数の型番、および複数のサイズから、ユーザインターフェース41Uを介して、車両2に搭載される充電可能バッテリ4のメーカ、型番、およびサイズを選択できる。ユーザは、ディスプレイ41Dに表示される複数の電装品から、ユーザインターフェース41Uを介して、車両2に後付けされた電装品を選択できる。ユーザは、ディスプレイ41Dに表示される複数の利用頻度および複数の利用時間から、ユーザインターフェース41Uを介して、車両2の実際の利用頻度および利用時間を選択できる。ユーザは、ディスプレイ41Dに表示される「バッテリを新品に交換したか?」および「バッテリを再接続したか?」という質問に対して、ユーザインターフェース41Uを介して、回答を入力できる。これらの回答は、参照情報に含まれる。
【0076】
バッテリ状態検出ユニット20は、通信ユニット30を介してユーザ端末41から受信した参照情報に基づいて充電可能バッテリ4の状態(SOCおよびSOH)を検出する。推定部23は、参照情報に基づいて充電可能バッテリ4の状態の推定に関する推定処理情報を補正するように構成される。推定処理情報は、例えば、推定式およびパラメータの少なくとも1つを含む。すなわち、推定部23は、参照情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを補正するように構成される。
【0077】
図4に示すように、充電可能バッテリ4の電気的な等価回路は、成分(素子)として、例えば、導電抵抗Rohm、反応抵抗Rct1およびRct2、ならびに電気二重層容量C1およびC2を有する。導電抵抗Rohmは、充電可能バッテリ4内部の導体要素および電解液抵抗に対応する抵抗成分である。反応抵抗Rct1およびRct2は、電極の活物質反応の反応抵抗に対応する抵抗成分である。電気二重層容量C1およびC2は、電極と電解液の界面との電気二重層に対応する容量成分である。
【0078】
推定部23は、等価回路を構成する素子の素子値を最適化するように構成される。推定部23は、等価回路を構成する素子の素子値を学習処理により最適化するように構成される。素子値の最適化の手法としては、例えば、特許第4532416号に記載されているように、拡張カルマンフィルタ演算により最適な状態ベクトルを推定し、推定された状態ベクトルから等価回路の調整パラメータを最適なものに更新する、という手法が用いられ得る。
【0079】
具体的には、充電可能バッテリ4の充放電の休止状態において、推定部23は、ある状態における状態ベクトルから得られる調整パラメータを用いた等価回路に基づき、所定の電流パターンで充電可能バッテリ4を放電させたときの電圧降下値を計算する。例えば、推定部23は、充電可能バッテリ4をパルス放電させるように放電回路24を制御する。推定部23は、所定の電流パターンとなるように充電可能バッテリ4をパルス放電させるように放電回路24を制御する。
【0080】
なお、充電可能バッテリ4の充放電が休止状態か否かを判定する方法としては、例えば、測定電流の絶対値|Im|を用いる方法がある。すなわち、測定電流の絶対値|Im|が所定の閾値Ithより大きい場合は、推定部23は、充放電が行われている状態(起動、走行状態)と結論付ける。絶対値|Im|が所定の閾値Ith以下の場合は、推定部23は、充電可能バッテリ4の充放電が休止状態(充放電が実質的に行われておらず、暗電流のみが流れている状態)にあると結論付ける。
【0081】
推定部23は、電圧降下値が実測値に近づくように状態ベクトルを更新する。推定部23は、更新された状態ベクトルから最適な調整パラメータを算出し、定数と最適化された調整パラメータとに基づいて等価回路を構成する素子の素子値を算出する。なお、等価回路を構成する素子の素子値を最適化の手法は、最小自乗演算や適切に教育されたニューラル・ネットワーク等の他の手法であってもよい。
【0082】
導電抵抗Rohm、反応抵抗Rct1およびRct2、ならびに電気二重層容量C1およびC2の素子値を以下の第1推定式(1)に代入することで、充電可能バッテリ4のSOHを推定できる。
【0083】
SOH=f(Rohm,Rct1,Rct2,C1,C2)・・・(1)
しかし、最適化に用いられる定数は、充電可能バッテリ4のサイズによって異なる。そこで、推定部23は、参照情報に基づいて等価回路を構成する成分を補正するように構成される。具体的には、推定部23は、バッテリ特定情報に基づいて等価回路を構成する成分を補正するように構成される。推定部23は、バッテリ特定情報に含まれるサイズに基づいて、等価回路を構成する素子の素子値を最適化するための定数を取得する。
【0084】
例えば、
図5に示すように、推定部23は、複数のサイズに対応する複数の定数をメモリ23Mに記憶する。前述のように、車両2に搭載される(すなわち、バッテリ状態検出ユニット20が接続される)充電可能バッテリ4のサイズは、ユーザ端末41に入力され、通信ユニット30を介してバッテリ状態検出ユニット20に送信される。推定部23は、受信したサイズをメモリ23Mに記憶する。推定部23は、メモリ23Mに記憶される複数の定数の中から、ユーザ端末41に入力されたサイズに対応する定数を選択する。推定部23は、選択された定数に基づいて、前述の方法により、等価回路を構成する成分の素子値を算出する。すなわち、推定部23は、選択された定数に基づいて等価回路を構成する成分を補正する。これにより、充電可能バッテリ4のSOHをより正確に推定できる。
【0085】
また、推定部23は、ユーザ利用情報に基づいて、等価回路を構成する成分を補正する補正係数を選択するように構成される。推定部23は、ユーザ端末41から通信ユニット30を介して受信するユーザ利用情報に基づいて、等価回路を構成する成分を補正する補正係数を選択するように構成される。
【0086】
ユーザ端末41は、ユーザ利用情報の入力を受け付けるように構成される。ユーザ利用情報は、例えば、車両2のエンジン5が始動される頻度(例えば、週1回、週2回、週5回、毎日など)およびエンジン5の1日あたりの平均使用時間を含む。入力されるユーザ利用情報に基づいて、車両2の使用態様は、例えば、
図6に示す使用態様A~Eに分類できる。使用態様A~Eのそれぞれは、エンジン5の始動頻度および平均使用時間の閾値を有する。エンジン5の始動頻度および平均使用時間を使用態様A~Eの閾値と比較することで、車両2の使用態様として、使用態様A~Eのいずれか1つを選択できる。使用態様Aは、後述するように、充電可能バッテリ4を新品に交換した場合に対応する。したがって、エンジン5の始動頻度および平均使用時間がゼロの場合が使用態様Aに対応する。なお、上記以外の基準によって、使用態様を分類したり、使用態様A~Eよりも多い使用態様または少ない使用態様に分類したりしてもよい。
【0087】
推定部23は、使用態様毎に、前述した第1推定式(1)に対する補正係数を求める。推定部23は、複数の使用態様にそれぞれ対応する複数の補正係数をメモリ23Mに記憶する。
図6に示すように、推定部23は、使用態様Aに対応する補正係数f_Rohm_A、f_Rct1_A、f_Rct2_A、f_Rct1_A、f_C1_A、およびf_C2_Aをメモリ23Mに記憶する。使用態様Aが充電可能バッテリ4を新品に交換した場合に対応しているので、補正係数f_Rohm_A、f_Rct1_A、f_Rct2_A、f_Rct1_A、f_C1_A、およびf_C2_Aは1である。推定部23は、使用態様Bに対応する補正係数f_Rohm_B、f_Rct1_B、f_Rct2_B、f_Rct1_B、f_C1_B、およびf_C2_Bをメモリ23Mに記憶する。推定部23は、使用態様Cに対応する補正係数f_Rohm_C、f_Rct1_C、f_Rct2_C、f_Rct1_C、f_C1_C、およびf_C2_Cをメモリ23Mに記憶する。推定部23は、使用態様Dに対応する補正係数f_Rohm_D、f_Rct1_D、f_Rct2_D、f_Rct1_D、f_C1_D、およびf_C2_Dをメモリ23Mに記憶する。推定部23は、使用態様Eに対応する補正係数f_Rohm_E、f_Rct1_E、f_Rct2_E、f_Rct1_E、f_C1_E、およびf_C2_Eをメモリ23Mに記憶する。
【0088】
推定部23は、メモリ23Mに記憶される複数の補正係数から、通信ユニット30を介して受信するユーザ利用情報に含まれる使用態様に対応する補正係数を選択する。例えば、ユーザ利用情報に含まれる使用態様が使用態様Aである場合、推定部23は、使用態様Aに対応する補正係数f_Rohm_A、f_Rct1_A、f_Rct2_A、f_Rct1_A、f_C1_A、およびf_C2_Aを選択する。推定部23は、選択された補正係数を用いて式(1)からSOHを算出する。これにより、使用態様に応じてSOHを算出でき、高精度のSOHを取得できる。
【0089】
推定部23は、補正係数を選択した後、等価回路の素子Rohm,Rct1,Rct2,C1,およびC2の素子値を学習処理によって算出し、第1推定式(1)に適用してSOHを算出する。また、推定部23は、学習処理よって算出した素子Rohm,Rct1,Rct2,C1,およびC2の素子値とSOHをメモリ23Mに記憶する。
【0090】
具体的には、推定部23は、等価回路の素子値の初期値Rohmi,Rct1i,Rct2i,C1i,およびC2iをメモリ23Mに記憶する。推定部23は、学習処理によって算出した素子値と初期値との差分値ΔRohm,ΔRct1,ΔRct2,ΔC1,およびΔC2を以下の式(3)~(7)に基づいて計算する。
ΔRohm=Rohm-Rohmi ・・・(3)
ΔRct1=Rct1-Rct1i ・・・(4)
ΔRct2=Rct2-Rct2i ・・・(5)
ΔC1=C1-C1i ・・・(6)
ΔC2=C2-C2i ・・・(7)
使用態様Aを選択した場合、推定部23は、以下の式(8)~(12)に基づいて、Δα_Rohm,Δα_Rct1,Δα_Rct2,Δα_C1,およびΔα_C2を算出する。なお、使用態様B~Eのいずれかを選択した場合には、式(8)~(12)の右辺の第2項が、使用態様B~Eの選択された使用態様に対応する補正係数に置き換わる。
Δα_Rohm=ΔRohm×f_Rohm_A ・・・(8)
Δα_Rct1=ΔRct1×f_Rct1_A ・・・(9)
Δα_Rct2=ΔRct2×f_Rct2_A ・・・(10)
Δα_C1=ΔC1-C1i×f_C1_A ・・・(11)
Δα_C2=ΔC2-C2i×f_C2_A ・・・(12)
推定部23は、以下の第2推定式(13)に基づいて、充電可能バッテリ4のSOHを算出する。なお、f()は、Δα_Rohm,Δα_Rct1,Δα_Rct2,Δα_C1,およびΔα_C2を変数とする所定の関数である。
【0091】
SOH=f(Δα_Rohm,Δα_Rct1,Δα_Rct2,Δα_C1,Δα_C2) ・・・(13)
推定部23は、履歴情報に基づいて、等価回路を構成する成分を用いた推定過程または推定結果を補正するように構成される。具体的には、充電可能バッテリ4が交換されたことを履歴情報が示す場合、推定部23は、使用態様として使用態様Aを選択することで、前述の各補正係数を1に補正する。つまり、推定部23は、充電可能バッテリ4が交換されたことを履歴情報に基づいて、等価回路を構成する成分による推定過程を補正する。
【0092】
充電可能バッテリ4が一旦外されて再接続されたことを履歴情報が示す場合、推定部23は、ユーザ端末41を介してユーザにユーザ利用情報の入力を求め、ユーザ端末41に新たに入力されたユーザ利用情報に基づいて使用態様を選択する。推定部23は、選択された使用態様に基づいて補正係数を選択し、選択した補正係数に基づいて等価回路を構成する素子の素子値を補正する。つまり、推定部23は、充電可能バッテリ4が一旦外されて再接続されたことを履歴情報に基づいて、等価回路を構成する成分による推定過程を補正する。
【0093】
また、車両2が停車しエンジン5が停止すると、負荷8に含まれる電動ステアリングモータ、デフォッガ、イグニッションコイル、カーオーディオ、およびカーナビゲーション装置等の動作が停止され、車両2に後付けした電装品(例えば、時計、カーセキュリティシステム、およびバッテリ状態検出ユニット20)のみが動作する。したがって、充電可能バッテリ4から負荷8には、暗電流と呼ばれる微弱な電流(数mA~数百mA程度の電流)が流れる。微弱ではあるが、暗電流は、充電可能バッテリ4の開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の測定に影響する。
【0094】
一方、車両2の車種およびグレードなどの車両特定情報に基づいて、電装品を後付けする前の車両2の暗電流の標準値も予め設定可能である。また、後付けした電装品に起因する暗電流の標準値は、電装品ごとに予め設定可能である。したがって、推定部23は、電装品情報に基づいて充電可能バッテリ4の状態の推定に関する推定処理情報を補正するように構成される。具体的には、推定部23は、電装品情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを補正するように構成される。
【0095】
図7に示すように、推定部23は、複数の車種およびグレードに対応する複数の第1暗電流標準値をメモリ23Mに予め記憶する。推定部23は、通信ユニット30を介してユーザ端末41から受信した車両特定情報から、車両の車種およびグレードを取得しメモリ23Mに記憶する。推定部23は、車両特定情報に含まれる車種およびグレードに対応する暗電流標準値をメモリ23Mに記憶される複数の第1暗電流標準値から選択する。
【0096】
図8に示すように、推定部23は、想定される複数の電装品に対応する複数の第2暗電流標準値をメモリ23Mに予め記憶する。推定部23は、通信ユニット30を介してユーザ端末41から受信した電装品情報に含まれる後付けされた電装品をメモリ23Mに記憶する。推定部23は、電装品情報に含まれる各電装品に対応する暗電流標準値をメモリ23Mに記憶される複数の第2暗電流標準値から選択する。推定部23は、選択された第1暗電流標準値と、選択された第2暗電流標準値と、の合計を算出し、合計暗電流値としてメモリ23Mに記憶する。
【0097】
推定部23は、暗電流値から電圧降下値を推定する第3推定式をメモリ23Mに予め記憶する。推定部23は、合計暗電流値を第3推定式に入力することで、電圧降下値を算出する。推定部23は、測定電圧に電圧降下値を加算し、OCVを算出する。推定部23は、OCVとSOCとの関係式である第4推定式をメモリ23Mに記憶する。推定部23は、OCVおよび第4推定式に基づいてSOCを算出する。これにより、暗電流を考慮してSOCを正確に推定できる。
【0098】
しかし、充電可能バッテリ4の種類によって暗電流値と電圧降下値との関係を示す第3推定式が変わる場合も考えられる。例えば、
図9は、充電可能バッテリ4の温度を25℃、SOCを100%の状態として、異なる3タイプの充電可能バッテリ4で流れる暗電流値と、電圧降下値ΔVとの関係を測定し、それぞれの結果を比較した図である。
図9において、四角、三角、および、菱形は3つのバッテリタイプそれぞれの実測結果を示し、実線は前述した式(1)による各バッテリタイプの推定結果を示している。
図9から分かるように、バッテリの種類(例えば、規格、容量、サイズ、メーカ、充電状態等)によって、暗電流値と電圧降下値との関係が変わる。したがって、推定部23は、複数のバッテリタイプに対応する複数の第3推定式をメモリ23Mに予め記憶する。推定部23は、メモリ23Mに記憶される複数の第3推定式から、通信ユニット30を介して受信したバッテリ特定情報に含まれるバッテリタイプに対応する推定式を選択する。推定部23は、選択した第3推定式に基づいて暗電流値に対応する電圧降下値を算出する。推定部23は、選択した第3推定式に合計暗電流値を入力することで、より正確な電圧降下値を算出できる。したがって、暗電流およびバッテリタイプを考慮してSOCをより正確に推定できる。
【0099】
また、バッテリ状態検出ユニット20により取得されたバッテリ状態情報は、サーバ42へアップロードされバッテリ状態検出の推定精度を高めるために利用される。
【0100】
具体的には、バッテリ状態検出ユニット20は、充電可能バッテリ4から取得したバッテリ状態情報(例えば、SOC、SOH)を通信ユニット30へ送信する。通信ユニット30の情報通信部33は、バッテリ状態検出ユニット20からバッテリ状態情報を取得する。無線通信部34は、情報通信部33により取得されるバッテリ状態情報をサーバ42にアップロードするように構成される。無線通信部34は、情報通信部33により取得されるバッテリ状態情報をサーバ42にインターネットを介してアップロードするように構成される。無線通信部34は、情報通信部33により取得されるバッテリ状態情報をユーザ端末41に無線で送信する。ユーザ端末41は、インターネットを介してバッテリ状態情報をサーバ42にアップロードする。
【0101】
ユーザ端末41は、バッテリ状態情報のアップロードを許可するか否かをユーザ端末41のユーザに問い合わせるように構成される。コントローラ41Aは、バッテリ状態情報のアップロードを許可するか否かの問い合わせをディスプレイ41Dに表示させる。ユーザがアップロードを許可した場合、端末通信部41Fは、インターネットを介してバッテリ状態情報をサーバ42に送信する。
【0102】
サーバ42は、アップロードされたバッテリ状態情報を解析するように構成される。サーバ42が様々なバッテリ状態情報を収集し解析することで、バッテリ状態情報の精度を高めるためのアップデート情報を生成できる。サーバ42は、アップデート情報をユーザ端末41へ送信する。ユーザ端末41は、通信ユニット30を介してバッテリ状態検出ユニット20へアップデート情報を送信する。バッテリ状態検出ユニット20の推定部23は、アップデート情報に基づいて参照情報をアップデートし、アップデータされた参照情報をメモリ23Mに記憶する。これにより、バッテリ状態検出の精度を高めることができる。
【0103】
図10および
図11を参照しながら、バッテリ状態検出装置10および情報処理システム50の動作について説明する。
【0104】
図10に示すように、通信ユニット30を介してユーザ端末41から参照情報を受信したか否かがバッテリ状態検出ユニット20の推定部23により判定される(ステップS1)。参照情報を受信した場合、メモリ23Mに記憶される参照情報が新たに受信した参照情報によりアップデートされる(ステップS2)。具体的には、バッテリ特定情報、電装品情報、ユーザ利用情報、履歴情報、および車両特定情報が、受信された参照情報に基づいて推定部23によりアップデートされる。参照情報を受信していない場合、参照情報をアップデートせずに、処理がステップS3に進む。
【0105】
参照情報に基づいて推定処理情報(推定式およびパラメータ)が推定部23により補正される(ステップS3)。具体的には、バッテリ特定情報に含まれるサイズに基づいて、等価回路の素子値を最適化するための定数が推定部23により取得される(ステップS31)。より詳細には、メモリ23Mに記憶される複数の定数の中から、バッテリ特定情報に含まれるサイズに対応する定数が推定部23により選択される。また、ユーザ利用情報に基づいて、等価回路を構成する成分を補正する補正係数が推定部23により選択される(ステップS32)。具体的には、メモリ23Mに記憶される複数の補正係数から、ユーザ利用情報に含まれる使用態様に対応する補正係数が推定部23により選択される。
【0106】
履歴情報に基づいて、等価回路を構成する成分を用いた推定過程または推定結果が推定部23により補正される(ステップS33)。具体的には、充電可能バッテリ4が交換されたことを履歴情報が示す場合、使用態様として使用態様Aが推定部23により選択される。
【0107】
車両特定情報に基づいて推定処理情報が推定部23により補正される。具体的には、メモリ23Mに記憶される複数の第1暗電流標準値から、車両特定情報に含まれる車種およびグレードに対応する暗電流標準値が推定部23により選択される(ステップS34)。
【0108】
電装品情報に基づいて推定処理情報が推定部23により補正される。具体的には、メモリ23Mに記憶される複数の第2暗電流標準値から、電装品情報に含まれる電装品に対応する暗電流標準値が推定部23により選択される(ステップS35)。選択された第1暗電流標準値と、選択された少なくとも1つの第2暗電流標準値と、の合計が合計暗電流値として推定部23により算出される(ステップS36)。
【0109】
メモリ23Mに記憶される複数の第3推定式(暗電流値と電圧降下値との関係式)から、バッテリ特定情報に含まれるバッテリタイプに対応する推定式が推定部23により選択される(ステップS37)。合計暗電流値および選択された第3推定式に基づいて、推定部23により電圧降下値が算出される(ステップS38)。
【0110】
充電可能バッテリ4の充放電が休止状態か否かが推定部23により判定される(ステップS39)。充電可能バッテリ4の充放電が休止状態でない場合、ステップS1~S38が繰り返される(ステップS39)。
【0111】
一方、
図11に示すように、充電可能バッテリ4の充放電が休止状態の場合、充電可能バッテリ4の電圧および電流が電圧センサ22Aおよび電流センサ22Bにより測定される(ステップS40)。測定電圧および測定電流はメモリ23Mに一時的に記憶される。測定電圧に電圧降下値を加算することで推定部23によりOCVが算出される(ステップS41)。OCVおよび第4推定式に基づいてSOCが推定部23により算出される(ステップS42)。
【0112】
充電可能バッテリ4の充放電の休止状態において、放電回路24により充電可能バッテリ4のパルス放電が開始される(ステップS43)。充電可能バッテリ4の電圧および電流が電圧センサ22Aおよび電流センサ22Bにより測定される(ステップS44)。パルス放電が終了するまで電圧および電流の測定が繰り返される(ステップS45)。パルス放電の終了後、式(3)~(13)を用いて、充電可能バッテリ4のSOHが推定部23により算出される(ステップS46)。算出されたSOCおよびSOHが通信ユニット30を介して車載コントローラ8Aに送信される(ステップS5)。
【0113】
複数の車両からバッテリ状態情報を収集するために、算出されたSOCおよびSOHがインターネットを介してサーバ42にアップロードされる(ステップS6)。具体的には、データ収集方法は、車両2に搭載される充電可能バッテリ4の状態を検出するように構成されるバッテリ状態検出装置10によりバッテリ状態情報を取得する工程(ステップS1~S46)と、バッテリ状態検出装置10によりバッテリ状態情報をユーザ端末41に送信する工程(ステップS61)と、バッテリ状態情報のアップロードを許可するか否かをユーザ端末41によりユーザに問い合わせる工程(ステップS62)と、ユーザがアップロードを許可した場合にユーザ端末41によりバッテリ状態情報をサーバ42へアップロードする工程(ステップS63)と、を備える。ユーザがアップロードを許可しなかった場合、ユーザ端末41からサーバ42へバッテリ状態情報がアップロードされず、処理がステップS1に戻る(ステップS62)。ユーザがアップロードを許可した場合、バッテリ状態情報がアップデートされる度に、ユーザ端末41からサーバ42へ最新のバッテリ状態情報がアップロードされる(ステップS63)。なお、ユーザ端末41からではなく、通信ユニット30からインターネットを介してサーバ42にバッテリ状態情報がアップロードされてもよい。
【0114】
(1)以上に説明したように、バッテリ状態検出装置10は、センサ22と、通信部32と、推定部23と、を備える。センサ22は、車両2に搭載される充電可能バッテリ4の電圧、電流、および温度のうち少なくとも1つを測定する。通信部32は、バッテリ状態検出に関する参照情報を外部装置40から取得するように構成される。推定部23は、センサ22の測定値に基づいて充電可能バッテリ4の状態を推定するように構成される。推定部23は、参照情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを補正するように構成される。
【0115】
バッテリ状態検出装置10では、外部装置40から取得した参照情報に基づいて推定式およびパラメータの少なくとも1つを推定部23が補正するので、外部装置40を介して充電可能バッテリ4に応じて参照情報を更新し、バッテリ状態検出の精度を高めることができる。
【0116】
(2)参照情報は、充電可能バッテリ4を特定できるバッテリ特定情報、車両2に後付けした電装品に関する電装品情報、ユーザの車両利用頻度および車両利用方法の少なくとも1つに関するユーザ利用情報、および充電可能バッテリ4の交換履歴および再接続履歴の少なくとも1つに関する履歴情報の少なくとも1つを含む。したがって、バッテリ特定情報、電装品情報、ユーザ利用情報、および履歴情報の少なくとも1つを用いることで、バッテリ状態検出の精度をより高めることができる。
【0117】
(3)バッテリ状態検出装置10は、放電回路24をさらに備える。推定部23は、放電回路24にパルス状の電流を流した際の応答に基づいて、充電可能バッテリ4の等価回路を構成する成分を求めるように構成される。推定部23は、等価回路を構成する成分に基づいて充電可能バッテリ4の状態を推定するように構成される。したがって、パルス放電を活用した等価回路モデルに基づく推定により、バッテリ状態情報の推定の精度を高めることができる。
【0118】
(4)参照情報は、充電可能バッテリ4を特定できるバッテリ特定情報を含む。推定部23は、バッテリ特定情報に基づいて等価回路を構成する成分を補正するように構成される。したがって、バッテリ特定情報を用いて等価回路を構成する成分を補正することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0119】
(5)参照情報は、車両2に後付けした電装品に関する電装品情報を含む。推定部23は、電装品情報に基づいて充電可能バッテリ4の状態の推定に関する推定処理情報を補正するように構成される。したがって、電装品情報を用いて推定処理情報を補正することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0120】
(6)参照情報は、ユーザの車両利用頻度およびユーザの車両利用方法の少なくとも1つに関するユーザ利用情報を含む。推定部23は、ユーザ利用情報に基づいて、等価回路を構成する成分を補正する補正係数を選択するように構成される。したがって、ユーザ利用情報を用いて等価回路を補正する補正係数を選択することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0121】
(7)参照情報は、充電可能バッテリ4の交換履歴および再接続履歴の少なくとも1つを示す履歴情報を含む。推定部23は、履歴情報に基づいて、等価回路を構成する成分を用いた推定過程または推定結果を補正するように構成される。したがって、履歴情報を用いて等価回路を構成する成分を用いた推定過程または推定結果を補正することで、バッテリ状態情報の推定の精度をより高めることができる。
【0122】
(8)通信部32は、センサ22および推定部23の少なくとも1つと別体で設けられ、センサ22および推定部23の少なくとも1つに取り外し可能に取り付けられるように構成される。したがって、通信部32をセンサ22および推定部23の少なくとも1つと別体にすることで、通信部32を有さない構成に通信部32を取り付けることができ、利便性が向上する。
【0123】
なお、通信部32は、センサ22および推定部23の少なくとも1つと単一のユニットとして設けられてもよい。例えば、通信ユニット30がバッテリ状態検出ユニット20と単一のユニットとして設けられてもよい。
【0124】
(9)情報処理システム50は、第1から第8の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態検出装置10と、バッテリ状態検出装置10の通信部32と無線で通信するように構成されるユーザ端末41と、バッテリ状態検出装置10およびユーザ端末41とインターネットを介して接続されるように構成されるサーバ42と、を備える。
【0125】
情報処理システム50では、インターネットを介して通信ユニットおよびユーザ端末41がサーバ42と接続されるので、バッテリ状態情報をサーバ42に送信して有効利用できる。
【0126】
なお、前述の実施形態では、情報通信部33が第2有線通信部36を含むが、
図12に示すように、第2有線通信部36が情報通信部33から省略されてもよい。この場合、第2接続部37が通信ユニット30から省略される。
図12に示す変形例に係る通信ユニット30は、車載コントローラと通信する構成を有さないバッテリ状態検出ユニット20に取り付け可能である。前述の実施形態と同様に、
図12に示す変形例の場合でも、第1接続部31がバッテリ状態検出ユニット20に取り外し可能に取り付けられるように構成されてもよく、第1接続部31がバッテリ状態検出ユニット20に取り付けられた後にバッテリ状態検出ユニット20から取り外せないように構成されてもよい。
【0127】
また、
図13~15に示すように、通信ユニット30がバッテリ状態検出ユニット20と一体のユニットとして構成されてもよい。
図13~15に示すように、バッテリ状態検出ユニット20および通信ユニット30が一体のユニットとして構成される場合、例えば、第1有線通信部35および第1接続部30が通信ユニット30から省略される。
図13および
図14に示す変形例では、通信部32の情報通信部33が測定部22および推定部23に電気的に接続される。
図14に示す変形例では、第2有線通信部36および第2接続部37が通信ユニット30から省略される。
図15に示す変形例では、情報通信部33が通信部32から省略され、無線通信部34が測定部22および推定部23に電気的に接続される。この場合、例えば、推定部23のプロセッサ23Pが無線通信部34の制御を行うように構成されてもよい。
【0128】
なお、本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0129】
本願において、「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0130】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0131】
また、本開示における「AおよびBのうち少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、および(3)AおよびBの両方、のいずれも包含している。「A、BおよびCのうち少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AおよびB、(5)BおよびC、(6)AおよびC、(7)A、BおよびCの全て、のいずれも包含している。本開示では、「AおよびBのうち少なくとも1つ」という表現は、「Aのうち少なくとも1つおよびBのうち少なくとも1つ」とは解釈されない。
【0132】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0133】
2 :車両
4 :充電可能バッテリ
8 :負荷
8A :車載コントローラ
8B :ワイヤーハーネス
10 :バッテリ状態検出装置
19 :負荷
20 :バッテリ状態検出ユニット
22 :センサ
22A :電圧センサ
22B :電流センサ
22C :温度センサ
23 :推定部
24 :放電回路
30 :通信ユニット
31 :第1接続部
32 :通信部
33 :情報通信部
34 :無線通信部
35 :第1有線通信部
36 :第2有線通信部
37 :第2接続部
38 :ハウジング
38A :回り止め部
40 :外部装置
41 :ユーザ端末
42 :サーバ
50 :情報処理システム