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特開2023-8986クリーニングガスを提供するクリーニングガスシステムを有する化学蒸着炉
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  • 特開-クリーニングガスを提供するクリーニングガスシステムを有する化学蒸着炉 図1
  • 特開-クリーニングガスを提供するクリーニングガスシステムを有する化学蒸着炉 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008986
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】クリーニングガスを提供するクリーニングガスシステムを有する化学蒸着炉
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230112BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20230112BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20230112BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230112BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/318 B
H01L21/302 201A
C23C16/44 J
C23C16/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022107016
(22)【出願日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】63/218,604
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ピエルー
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・ジー・エム・オーステルレークン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト・テルホルスト
(72)【発明者】
【氏名】ルシアン・イディラ
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・ヨングブルート
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA13
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA40
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA03
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA05
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030KA11
4K030KA41
4K030LA02
4K030LA15
5F004AA15
5F004BA19
5F004BD04
5F004DA17
5F004DB07
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB33
5F045AC00
5F045AC05
5F045AC12
5F045AD09
5F045AE01
5F045AF01
5F045BB15
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB06
5F045EE12
5F045EE13
5F045EE14
5F045EE17
5F045EF03
5F045EF09
5F045EK06
5F058BA20
5F058BC08
5F058BD10
5F058BF04
5F058BF21
5F058BF24
5F058BF30
5F058BF37
(57)【要約】
【課題】改善されたクリーニングを有する化学蒸着炉を提供する。
【解決手段】窒化ケイ素膜を堆積するための化学蒸着炉が開示されている。炉は、実質的に垂直の方向に細長いプロセスチャンバと、プロセスチャンバ内で複数のウエハを支持するためのウエハボートとを有する。プロセスチャンバ内部のプロセスガスインジェクタには、プロセスガスインジェクタの内部で供給端において導入されたガスをプロセスチャンバに提供するために、複数の垂直に離隔されたガス注入穴が設けられている。プロセスガスインジェクタの供給端に接続された弁システムは、窒化ケイ素層を堆積するために、ケイ素前駆体および窒素前駆体の供給源を供給端に接続するように構築および配設されている。弁システムは、プロセスガスインジェクタの供給端をクリーニングガスシステムに接続して、プロセスガスインジェクタおよび/またはプロセスチャンバから窒化ケイ素を除去するためにクリーニングガスを提供してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ケイ素膜を複数のウエハ上に堆積するための化学蒸着炉であって、
実質的に垂直の方向に細長いプロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバ内で前記複数のウエハを支持するためのウエハボートと、
前記プロセスチャンバ内部のプロセスガスインジェクタであって、前記ウエハボートに沿って前記実質的に垂直の方向に延在し、かつ前記プロセスガスインジェクタの内部の供給端において導入されたガスを前記プロセスチャンバに提供するための複数の垂直に離隔したガス注入穴が設けられた、プロセスガスインジェクタと、
窒化ケイ素層を堆積するために、前記プロセスガスインジェクタの前記供給端に動作可能に接続され、かつケイ素前駆体の供給源および窒素前駆体の供給源を前記プロセスガスインジェクタの前記供給端に接続するように構築および配設されている弁システムであって、前記プロセスガスインジェクタおよび/またはプロセッシングチャンバから窒化ケイ素を除去するためのクリーニングガスを前記内部に提供するために前記プロセスガスインジェクタの前記供給端をクリーニングガスシステムに接続するようにさらに構築および配設されている弁システムと、を備える、化学蒸着炉。
【請求項2】
前記プロセスガスインジェクタの前記複数のガス注入穴が、実質的に前記ウエハボートの高さにわたって延在する、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項3】
前記クリーニングガスシステムが、クリーニングガス供給源に接続されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項4】
前記クリーニングガスシステムが、不活性ガスと混合したクリーニングガスを提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項5】
前記クリーニングガスシステムが、アルゴン、ヘリウム、または窒素を不活性ガスとして混合したクリーニングガスを提供するように構築および配設されている、請求項4に記載の化学蒸着炉。
【請求項6】
前記クリーニングガスシステムが、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から成る群から選択される少なくとも1つのハロゲンを含むクリーニングガスを提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項7】
前記クリーニングガスシステムが、三フッ化窒素(NF)を含む前記クリーニングガスを提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項8】
前記クリーニングガスシステムが、フッ素(F)を含む前記クリーニングガスを提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項9】
前記クリーニングガスシステムが、不活性ガスとしてのヘリウムとの1~20%、好ましくは3~10%、最も好ましくは約5%の混合物の状態にあるクリーニングガスを提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項10】
前記クリーニングガスシステムが、クリーニングガスを10~300、好ましくは50~200立方センチメートル毎分(SCCM)の流量で提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項11】
前記炉が、前記クリーニングガスシステムを用いて前記クリーニングガスを前記プロセスガスインジェクタの前記内部に、0.01~0.5、最も好ましくは0.05Torrの分圧で提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項12】
前記炉が、前記クリーニングガスシステムを用いて前記クリーニングガスを前記プロセスチャンバ内に、0.001~0.1、最も好ましくは0.02Torrの分圧で提供するように構築および配設されている、請求項1に記載の化学蒸着炉。
【請求項13】
請求項1に記載の化学蒸着炉であって、
前記プロセスガスインジェクタと無関係に不活性ガスを前記プロセッシングチャンバに提供するためのパージシステムと、
クリーニング中に前記プロセスチャンバ内の前記クリーニングガスを希釈するためのパージガスを提供する前記パージシステムを制御するために、前記弁システム、前記クリーニングガスシステム、および前記パージシステムに動作可能に接続されたコントローラと、が設けられている、化学蒸着炉。
【請求項14】
請求項1に記載の化学蒸着炉であって、
前記プロセッシングチャンバを加熱するためのヒーターと、
クリーニング中に前記プロセスチャンバを加熱するための前記ヒーターを制御するために、前記弁システム、前記クリーニングガスシステム、および前記ヒーターに動作可能に接続されたコントローラと、が設けられている、化学蒸着炉。
【請求項15】
前記ヒーターが、前記垂直の方向で前記プロセッシングチャンバにわたって温度差を作り出すように構築および配設されていて、かつ前記コントローラが前記ヒーターを制御して、クリーニング中に前記プロセッシングチャンバの前記底部と比べてより高い温度を前記プロセッシングチャンバの前記上部内に提供し、前記プロセッシングチャンバの上部内のクリーニングを改善する、請求項14に記載の化学蒸着炉。
【請求項16】
請求項1に記載の化学蒸着炉であって、
前記プロセッシングチャンバからガスを除去するためのポンプと、
クリーニング中に前記プロセスチャンバからガスを除去するための前記ポンプを制御するために、前記弁システム、前記クリーニングガスシステム、および前記ポンプに動作可能に接続されたコントローラと、が設けられている、化学蒸着炉。
【請求項17】
窒化ケイ素層を複数のウエハ上に堆積する方法であって、
ウエハボート内に複数のウエハを提供し、かつ前記ウエハボートを実質的に垂直の方向に化学蒸着炉のプロセスチャンバの中に装填することと、
ケイ素前駆体および窒素前駆体に基づくプロセスガスを前記ウエハボート内の前記ウエハにわたって前記プロセスチャンバに提供して窒化ケイ素を堆積するために、前記ウエハボートに平行に、複数の垂直に離隔したガス注入穴に延在するプロセスガスインジェクタの内部の中に前記プロセスガスを流すことと、
前記ウエハボート内の前記複数のウエハを前記プロセスチャンバから取り出すことと、
前記プロセスガスインジェクタおよび/または前記プロセッシングチャンバから窒化ケイ素を除去するために、前記プロセスガスインジェクタの前記内部に、および前記プロセスガスインジェクタの前記内部から前記プロセッシングチャンバの中にクリーニングガスを提供することと、
クリーニング中にポンプを用いて前記プロセスチャンバからガスを除去することと、を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の、窒化ケイ素層を堆積する方法であって、
前記プロセスガスインジェクタの前記内部に提供する前に、前記クリーニングガスを不活性ガスと混合することと、
クリーニング中に前記プロセスチャンバ内の前記クリーニングガスを希釈するために、前記プロセスチャンバをパージガスでパージすることと、含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の、窒化ケイ素層を堆積する方法であって、
クリーニング中に前記プロセスチャンバをヒーターで加熱することであって、前記プロセスチャンバを加熱することが、
-前記プロセスチャンバの前記上部を、前記クリーニングの開始中に前記ヒーターを用いて前記プロセスチャンバの前記底部よりも高い温度に加熱することと、
-前記プロセスチャンバの前記底部を、前記クリーニングの開始後に前記加熱システムを用いて前記プロセスチャンバの前記上部と実質的に同じ温度に加熱することと、を含む、加熱することを含む、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の、窒化ケイ素層を堆積する方法であって、
プロセスガスを前記プロセスチャンバの中に流す間、ポンプを用いてガスを前記プロセスチャンバからプロセッシング圧力に除去することと
クリーニング中にポンプを用いてガスを前記プロセスチャンバから、前記プロセッシング圧力よりも低いクリーニング圧力に除去することと、を含む、方法。
【請求項21】
窒化ケイ素層を複数のウエハ上に堆積する方法であって、
ウエハボート内に複数のウエハを提供し、かつ前記ウエハボートを実質的に垂直の方向に化学蒸着炉のプロセスチャンバの中に装填することと、
ケイ素前駆体および窒素前駆体に基づくプロセスガスを前記ウエハボート内の前記ウエハにわたって前記プロセスチャンバに提供して窒化ケイ素を堆積するために、前記ウエハボートに平行に、複数の垂直に離隔したガス注入穴に延在するプロセスガスインジェクタの内部の中に前記プロセスガスを流すことと、
前記ウエハボート内の前記複数のウエハを前記プロセスチャンバから取り出すことと、
前記プロセスガスインジェクタにクリーニングガスを提供し、その一方で前記プロセッシングチャンバに不活性ガスを提供し、それによって前記プロセスガスインジェクタから窒化ケイ素を除去することと、
前記プロセスガスインジェクタへの前記クリーニングガスの前記提供を停止することと、
前記プロセスガスインジェクタに前記不活性ガスを提供し、その一方で前記プロセッシングチャンバに前記クリーニングガスを提供し、それによって前記プロセッシングチャンバから窒化ケイ素を除去することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体処理装置の分野に関する。より具体的に、クリーニングガスを用いて化学蒸着炉をクリーニングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ上に膜を堆積するための化学蒸着炉は、プロセスチャンバと、プロセスチャンバ内で複数のウエハを支持するためのウエハボートとを有してもよい。プロセスガスインジェクタは、プロセスチャンバの壁に沿って延在するプロセスチャンバ内部に設けられてもよい。プロセスガスインジェクタには、プロセスガスインジェクタの内部に導入されたガスを供給端においてプロセスチャンバの中に提供して膜をウエハ上に堆積するために、複数の垂直に離隔したガス注入穴が設けられてもよい。
【0003】
このプロセスによって生成された膜は、ウエハ上に堆積するだけでなく、プロセスチャンバ、ウエハボート、およびプロセスガスインジェクタ上にも堆積する。膜は高い引張応力を有する場合があり、これは反応器、ウエハボート、およびプロセスガスインジェクタの膜の剥がれからのウエハの高レベルの粒子汚染につながる場合がある。プロセスチャンバ、ウエハボート、およびプロセスガスインジェクタは、ウエハの汚染を防止するために、膜が剥がれ始める前にクリーニングまたは交換されてもよい。クリーニングのため、膜を一掃するためにエッチャントガスが使用されてもよい。多すぎるエッチャントガスが提供される場合、プロセスチャンバおよびプロセスガスインジェクタの部品は過剰にエッチングされる場合があり、これはそれらの部品の損傷につながる場合がある。少なすぎるエッチャントガスしか提供されない場合、プロセスチャンバおよびプロセスガスインジェクタの部品上には依然として膜がある場合がある。
【0004】
部品が十分にクリーニングされる一方で、部品がエッチングされすぎないことを保証するのに十分なクリーニングの適正なバランスを見つけることは困難であることが見いだされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この「発明の概要」は、選択された複数の概念を簡略化した形態で紹介するために提供されている。これらの概念は、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図していなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0006】
目的に従って、改善されたクリーニングを有する化学蒸着炉が提供されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、窒化ケイ素膜を複数のウエハの上に堆積するための化学蒸着炉が提供されてもよい。炉は、実質的に垂直方向に細長いプロセスチャンバと、プロセスチャンバ内に複数のウエハを支持するためのウエハボートとを備える。炉は、プロセスチャンバ内部のプロセスガスインジェクタであって、ウエハボートに沿って実質的に垂直の方向に延在し、かつプロセスガスインジェクタの内部の供給端において導入されたガスをプロセスチャンバに提供するための複数の垂直に離隔したガス注入穴が設けられた、プロセスガスインジェクタを有してもよい。炉には、プロセスガスインジェクタの供給端に動作可能に接続された、かつ窒化ケイ素層を堆積するために、ケイ素前駆体の供給源および窒素前駆体の供給源をプロセスガスインジェクタの供給端に接続するように構築および配設されている弁システムが設けられてもよい。弁システムは、プロセスガスインジェクタおよび/またはプロセスチャンバから窒化ケイ素を除去するためのクリーニングガスを内部に提供するためにプロセスガスインジェクタの供給端をクリーニングガスシステムに接続するように構築および配設されてもよい。
【0008】
さらなる一実施形態によると、窒化ケイ素層を複数のウエハ上に堆積するための方法が提供されている。方法は、ウエハボート内に複数のウエハを提供し、かつウエハボートを実質的に垂直の方向に化学蒸着炉のプロセスチャンバの中に装填することと、窒化ケイ素を堆積するために、ケイ素前駆体および窒素前駆体に基づくプロセスガスを、ウエハボートに平行に延在するプロセスガスインジェクタの内部の中に、複数の垂直に離隔したガス注入穴に流して、プロセスガスをウエハボート内のウエハにわたってプロセスチャンバに提供することと、プロセスチャンバからウエハボート内の複数のウエハを取り出すこととを含む。方法は、プロセスガスインジェクタおよび/またはプロセッシングチャンバから窒化ケイ素を除去するために、プロセスガスインジェクタの内部に、およびプロセスガスインジェクタの内部からプロセッシングチャンバの中にクリーニングガスを提供することを含んでもよい。
【0009】
なおさらなる一実施形態によると、窒化ケイ素層を複数のウエハ上に堆積するための方法が提供されている。方法は、ウエハボート内に複数のウエハを提供し、かつウエハボートを実質的に垂直の方向に化学蒸着炉のプロセスチャンバの中に装填することと、窒化ケイ素を堆積するために、ケイ素前駆体および窒素前駆体に基づくプロセスガスを、ウエハボートに平行に延在するプロセスガスインジェクタの内部の中に、複数の垂直に離隔したガス注入穴に流して、プロセスガスをウエハボート内のウエハにわたってプロセスチャンバに提供することと、プロセスチャンバからウエハボート内の複数のウエハを取り出すこととを含む。方法は、プロセスガスインジェクタにクリーニングガスを提供し、その一方でプロセスガスチャンバに不活性ガスを提供し、それによってプロセスガスインジェクタから窒化ケイ素を除去することと、プロセスガスインジェクタへのクリーニングガスの提供を停止することと、プロセスガスインジェクタに不活性ガスを提供し、その一方でプロセッシングチャンバにクリーニングガスを提供し、それによってプロセッシングチャンバから窒化ケイ素を除去することとを含んでもよい。
【0010】
本発明の様々な実施形態は、互いに別々に適用されてもよく、または組み合わされてもよい。本発明の実施形態は、図面に示される一部の実施例を参照しながら、発明を実施するための形態においてさらに解明されるであろう。
【0011】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されていて、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素と相対的に誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、プロセスチューブを含む化学蒸着炉の一実施例の断面側面図である。
図2図2は、弁システム、クリーニングガスシステム、および図1の化学蒸着炉のコントローラを開示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。本明細書に提示された図は、任意の特定の材料、構造、または装置の実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用されている、単に理想化された表現にすぎない。
【0014】
本明細書で使用される「基材」または「ウエハ」という用語は、使用されうる、または装置、回路、もしくは膜が形成されうる任意の下地材料(複数可)を指してもよい。「半導体装置構造」という用語は、半導体基材上または半導体基材の中に形成される半導体装置の能動部品または受動部品の少なくとも一部分である、またはそれらを含む、またはそれらを画定する、プロセスされた半導体構造または部分的にプロセスされた半導体構造の任意の部分を指す場合がある。半導体基材は、垂直炉内でバッチでプロセスされてもよい。こうしたプロセッシングの一実施例は、基材上での様々な材料の層の堆積である。プロセスの一部は、例えば塩化物およびアンモニアに基づく場合がある。
【0015】
図1は、低圧プロセスチャンバ4を画定する低圧プロセスチューブ1を含む、化学蒸着炉の一実施例の断面側面図である。炉は、下部フランジおよび/または上部フランジ3の中央入口開口部10を閉め切るように構成された、かつ複数の基材を保持するように構成されているウエハボート6を支持するように構成された、垂直方向に移動可能なドア5を備えてもよい。上部フランジおよび下部フランジ3は、プロセスチューブ1の開放端を部分的に閉じてもよい。ライナー2は、プロセスチューブ1に沿って延在してチューブ1を保護してもよい。
【0016】
ドア5には、プロセスチャンバ4内のウエハボート6の回転を可能にする駆動部7が設けられてもよい。駆動部7とウエハボート6の間に、ペデスタル9が設けられてもよい。ペデスタル9には、ボート6内のウエハの熱均一性を改善するために、ヒーターおよび/または断熱材が設けられてもよい。ライナー2は、例えばドーム形状を用いて上端において閉じられてもよく、また底部において開口部の上方のガスに対して実質的に閉じられてもよい。下部フランジ3は、プロセスチャンバ4内で複数の基材を搬送するように構成されたボート6を挿入するおよび取り出すように構成された入口開口部10を備える。
【0017】
プロセスガスインジェクタ17は、実質的にウエハボート6の高さを越えて実質的に垂直方向に延在するプロセスチャンバ4内部に設けられてもよい。チューブ1に沿って延在するライナー2は、プロセスガスインジェクタ17を収容するために、半径方向外向きに延在する膨張部を有してもよい。プロセスガスインジェクタ17は、第一の供給ライン19に動作可能に接続された供給端18を備え、この供給ラインはケイ素前駆体20の供給源に接続されてもよい。供給端18はまた、第二の供給ライン21に動作可能に接続されてもよく、この供給ラインは窒素前駆体の供給源22に接続されてもよい。
【0018】
プロセスガスインジェクタの供給端18において提供されたケイ素前駆体は、シランを含んでもよい。ケイ素前駆体は、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、ジシラン、およびトリシランから成る群から選ばれる1つ以上の化合物を含んでもよい。プロセスガスインジェクタの供給端18において提供された窒素前駆体は、アンモニアを含んでもよい。
【0019】
窒素前駆体およびケイ素前駆体は、供給端18においてプロセスガスインジェクタ17の内部に入る時、互いに混合および反応し始めてもよい。混合は、良好な生産性と堆積プロセスの良好な均一性とを保証する。プロセスガスインジェクタ17を通した、プロセスチャンバ4の中へのプロセスガスの流れは、100~500、好ましくは250立方センチメートル毎分(SCCM)であってもよい。
【0020】
任意選択的に、窒素前駆体およびケイ素前駆体は、原子層堆積モードにおいて、弁システム31によってプロセスチャンバ4に逐次的に提供されてもよい。後者は、層厚さを制御するための高い可能性をもたらす。
【0021】
プロセスガスインジェクタ17には、供給端18においてインジェクタ17の内部で受容したガスを、プロセスチャンバ4にウエハボート6の長さにわたって均一に提供するための複数の垂直に離隔したガス注入穴23が設けられてもよい。複数のガス注入穴は、ガスプロセスガスインジェクタ17の高さの一部を越えて延在してもよい。第一の供給ライン19および第二の供給ライン21は、フランジ3のうちの1つを通る通路として、またさらに窒素前駆体22またはケイ素前駆体20の供給源へのチューブとして、部分的に設けられてもよい。
【0022】
複数のガス注入穴は、プロセスガスインジェクタ17の高さの一部を越えて延在してもよい。ガス注入穴23は各々、少なくとも約1mmのガス注入穴の直径を有してもよい。ガス注入穴の直径は、例えば約3mmであってもよい。プロセスガスインジェクタ17のすべてのガス注入穴直径は、実質的に等しくてもよい。各ガス注入穴は、ガス注入穴面積を有してもよく、プロセスガスインジェクタ17のすべてのガス注入穴面積の合計面積は、少なくとも約30mmであってもよい。すべてのガス注入穴面積の合計面積は、約200mm~400mmであってもよい。
【0023】
化学蒸着炉には、プロセスチャンバ4の下端の近くでプロセスチャンバ4の中にパージガス25を提供するために、パージライン24を備えるパージガス注入システムが設けられてもよい。パージライン24は、フランジ3のうちの1つを通る通路として、およびさらにパージガス25の供給源へのチューブとして部分的に設けられてもよい。パージ注入ガスシステムは、不活性ガスをパージガスとして提供するように構築および配設されてもよい。パージガス注入システムは、窒素を不活性パージガスとして提供するように構築および配設されてもよい。窒素は安価な不活性ガスであり、半導体製造工場において容易に使用可能である。
【0024】
パージガス注入システムは、15~100、好ましくは30~70、最も好ましくは、おおよそ50立方センチメートル毎分(SCCM)のパージガスをプロセスチャンバの中に提供するように構築および配設されてもよい。パージ注入ガスシステムは、ボートにわたる高さを越えるウエハ上の窒化ケイ素堆積の均一性を改善するために、不活性ガスをパージガスとしてプロセッシングチャンバ内に提供するように構築および配設されてもよい。パージ注入ガスシステムには、ボートにわたる高さを越えるウエハ上の窒化ケイ素堆積の均一性を調整するために、プロセッシングチャンバ内のパージガスの流れを調整するための調整ノブが設けられてもよい。
【0025】
化学蒸着炉には、プロセスチャンバ4の下端においてガスを除去するためのガス排気開口部8が設けられてもよい。このようにして、ガス用のライナー開口部の上方でライナー2を閉じることと、プロセスガスをプロセスガスインジェクタ17を用いて、かつパージガス25をパージガス注入システムを用いてプロセスチャンバ4に提供することと、プロセスチャンバ4の下端においてガス排気開口部8によってプロセスチャンバ4からガスを除去することとによって、プロセスチャンバ4内に下降流26が生成されてもよい。この下降流は、反応副産物の汚染物質、基材、ボート6、ライナー2、および/またはフランジ3上のライナー2の支持区域からの粒子を、プロセスされた基材Wから離れるようにガス排気開口部8に下向きに、かつ半径方向外向きに搬送する場合がある。プロセスチャンバ4からガスを除去するためのガス排気開口部8は、ポンプに動作可能に接続されてもよい。ポンプは、プロセスチャンバ4内の圧力を、20~500、より好ましくは50~300、最も好ましくは100~150ミリトールの圧力に制御するために使用されてもよい。
【0026】
化学蒸着炉は、ウエハボート6内に複数のウエハを提供し、かつウエハボートを実質的に垂直方向で化学蒸着炉のプロセスチャンバ4の中に装填することと、ケイ素前駆体20および窒素前駆体22に基づくプロセスガスをプロセスガスインジェクタ17の中に、複数の垂直に離隔したガス注入穴23に流して、プロセスガスをプロセスチャンバ4に、およびウエハボート6内のウエハにわたって提供することとによって、窒化ケイ素層をウエハW上に堆積するために使用されてもよい。任意選択的に、パージガス25および/またはプロセスガスは、プロセスチャンバ4の下端の近くでプロセスチャンバ4の中に提供されてもよい。堆積プロセス中に、プロセスチャンバ4内の圧力は、20~500、より好ましくは50~300、最も好ましくは100~150ミリトールの圧力へと制御されてもよい。
【0027】
この堆積プロセスによって生成された膜は、ウエハ上に堆積するだけでなく、プロセスチャンバ4のライナー2上、ウエハボート6上、およびプロセスガスインジェクタ17の内部および外部上にも堆積する。膜は、高い引張応力を有する場合があり、これは反応チャンバ4、ウエハボート6、およびプロセスガスインジェクタ17の膜の剥がれからのウエハの高レベルの粒子汚染につながる場合がある。プロセスチャンバ4、ウエハボート6、およびプロセスガスインジェクタ17は、ウエハWの汚染を防止するために、膜が剥がれ始める前にクリーニングまたは交換されてもよい。
【0028】
クリーニングのため、膜を一掃するためにエッチャントガスが使用されてもよい。多すぎるエッチャントガスが提供される場合、プロセスチャンバおよびプロセスガスインジェクタの部品は過剰にエッチングされる場合があり、これはそれらの部品の損傷につながる場合がある。少なすぎるエッチャントガスしか提供されない場合、プロセスチャンバおよびプロセスガスインジェクタの部品上には依然として膜がある場合がある。部品が十分にクリーニングされる一方で、部品がエッチングされすぎないことを保証するのに十分なクリーニングの適正なバランスを見つけることは困難であることが見いだされてきた。これは特にプロセスガスインジェクタ17の内部について言えることである。プロセスガスインジェクタ17の内部は、プロセスガスの高い濃度のため、堆積に対して特に感受性が高い。
【0029】
図2は、図1の化学蒸着炉と協働するための弁システム31およびクリーニングシステム43、33を開示する。図2は、第二の供給ライン21および第二の弁35を介して、ケイ素前駆体20の第二の供給源41に接続されているプロセスガスインジェクタ17の供給端18を示す。プロセスガスインジェクタ17の供給端18はまた、第一の供給ライン19および第二の弁37を介して窒素前駆体22の第一の供給源39に接続されてもよい。図示の通り、第一の弁35と第二の弁37の両方は、ケイ素前駆体20および窒素前駆体22に対して閉じられている。しかしながら、第一の弁35と第二の弁37の両方が、ケイ素前駆体20および窒素前駆体22に対して開放されている場合、プロセスガスインジェクタ17の供給端18は、プロセスチャンバ4内に窒化ケイ素層を堆積するためにプロセスガスを受容する。
【0030】
弁システム31はさらに、プロセスガスインジェクタ17の供給端18を、クリーニングガス供給源が設けられたクリーニングガスシステム43に接続するように構築および配設されてもよい。これは、図2に示す通り、第二の供給ライン21を介したケイ素前駆体20の第二の供給源41を、第一の弁35を用いて閉じることによって行われてもよい。同時に、第一の供給源39から第一の供給ライン19を介して供給端18に至る窒素前駆体22の流れは、第二の弁37によって閉じられてもよい。このようにして、クリーニングガスシステム43からプロセスガスインジェクタ17の内部にクリーニングガス33を提供して、そこで窒化ケイ素を除去してもよく、またクリーニングガスは後で、ガス注入穴23を介してプロセスガスインジェクタの内部から出てプロセッシングチャンバ4の中に至る時に、プロセッシングチャンバ4をクリーニングしてもよい。プロセスガスインジェクタ17の内部は、未使用のクリーニングガス33が提供されることになる第一のエリアである場合があるため、エッチング速度は反応チャンバ4内よりもプロセスガスインジェクタの内部において高い場合がある。これは有利なことに、堆積速度もプロセスガスインジェクタ17の内部ではより高く、そのためそこでは特にプロセスガスインジェクタ17の内部でのより高いエッチング速度から利益を得る場合があるためである。
【0031】
供給源を用いて、ガスを含有する容器、またはガスを提供するガス接続が意味されることが理解されてもよい。図示の通り、第一の弁35は、ケイ素前駆体またはクリーニングガスのいずれかを供給端18に接続する二方弁であってもよい。弁システム31はまた、この機能を別々に実施する2つの弁とともに設計されてもよい。
【0032】
弁システム31とクリーニングシステム43とに動作可能に接続されているコントローラ50が設けられてもよい。コントローラ50は、堆積中およびクリーニング中に、第一の弁35および第二の弁37を制御してもよい。コントローラ50には、メモリ50およびプロセッサ53が設けられてもよい。コントローラ50には、例えば時間に応じてレシピを実行するためのプロセッサ53の一部として、クロックが設けられてもよい。堆積および/またはクリーニングのためのレシピは、メモリ50内に記憶されてもよい。
【0033】
クリーニングガスシステム43は、不活性ガス供給源45から受容した不活性ガスと混合されたクリーニングガス33を提供するように構築および配設されてもよい。不活性ガス供給源45は、不活性ガスとしてアルゴン、ヘリウム、または窒素を提供してもよい。クリーニングガスシステム43は、アルゴン、ヘリウム、または窒素と混合されたクリーニングガスを提供するように構築および配設されてもよい。クリーニングガスシステム43は、クリーニングガス供給源33からのフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から成る群から選択される少なくとも1つのハロゲンを含むクリーニングガスを提供するように構築および配設されてもよい。クリーニングガスシステム43は、クリーニングガス供給源33からの三フッ化窒素(NF)を含むクリーニングガスを提供するように構築および配設されてもよい。
【0034】
クリーニングガスシステム43は、クリーニングガス供給源33からのクリーニングガスを、不活性ガス供給源45からの不活性ガスと混合するように構築および配設されてもよい。クリーニングガスは、クリーニングガスシステム43によって、不活性ガス中で1~20%、好ましくは3~10%、最も好ましくは約5%の混合物へと混合されてもよい。クリーニングガスシステム43による混合は、必要とされる範囲内でクリーニングガスの分圧を得るように、コントローラ50によって制御されてもよい。必要とされる範囲内では、過剰なエッチングは発生しない場合がある。クリーニングガスシステム43は、10~300、好ましくは50~200立方センチメートル毎分(SCCM)の流量で、クリーニングガス(純粋なエッチング剤)を弁システム31に提供するように構築および配設されてもよい。クリーニングガスは不活性ガスと混合されるため、5%の濃度のエッチング剤が、0.2~6、好ましくは1~4リットル毎分(SLM)使用される場合、これは総流量を意味することになる。
【0035】
クリーニングガスは、フッ素であってもよく、またクリーニングガスシステム43によって、不活性ガスとしてのヘリウム中で1~20%、好ましくは3~10%、最も好ましくは約5%の混合物へと混合されてもよい。
【0036】
化学蒸着炉は、クリーニングガスシステム43を用いてクリーニングガスをプロセスガスインジェクタ17の内部に提供するように構築および配設されてもよい。炉は、プロセスガスインジェクタの内部で0.01~0.5、最も好ましくは0.05Torrの分圧でクリーニングガスを提供するように構築されてもよい。この分圧において、インジェクタ17の内部内の比較的に厚い層のクリーニングは、比較的に迅速に達成されてもよい。
【0037】
化学蒸着炉は、クリーニングガスシステム43を用いてクリーニングガスをプロセスガスインジェクタ17を介してプロセスチャンバ4内に提供するように構築および配設されてもよい。プロセスチャンバ4からガスを除去するためのガス排気開口部8は、ポンプに動作可能に接続されてもよい。ポンプは、コントローラ50に接続されて、プロセスチャンバ4内の圧力を、0.001~0.1、最も好ましくは0.02Torrのクリーニングガスの分圧へと制御してもよい。この分圧において、プロセスチャンバ4内の比較的に薄い層のクリーニングは、プロセスチャンバ4の過剰なエッチングを回避するために比較的に遅く達成されてもよい。過剰なエッチングは、表面を粗化する可能性があるため、プロセスガスインジェクタ17、プロセスチューブ1、またはライナー2の寿命に悪影響を与える場合がある。化学蒸着炉には、プロセスチャンバ内のクリーニングガスの分圧を下げるために、プロセスチャンバ4の下端の近くでプロセスチャンバ4の中にパージガス25を提供するように構築および配設されたパージガス注入システム24が設けられてもよい。パージガス注入システム24は、プロセスチャンバ4をクリーニングする一方で過剰なエッチングを回避するために、コントローラ50に接続されて、クリーニングガスの分圧を0.001~0.1、最も好ましくはおおよそ0.02Torrへと制御してもよい。
【0038】
プロセスガスインジェクタ17の内部が十分にクリーニングされている時、クリーニングガスの分圧は、プロセスチャンバ4のクリーニングのためにコントローラ50によって増加される場合がある。
【0039】
任意選択的に、パージガス注入システム24は、プロセスチャンバ4の下端の近くでプロセスチャンバ4にクリーニングガスを提供するように構築および配設されてもよい。これは、プロセスガスインジェクタを介するクリーニングガスの追加として、または別個の解決策として達成されてもよい。これは、プロセスチャンバ4の時間内のクリーニングを助ける場合がある。
【0040】
プロセスガスインジェクタ17およびプロセスチャンバ4のクリーニングは一実施形態において、互いに分離されてもよい。これは、2工程のクリーニング手順によって達成されてもよい。それ故に、化学蒸着炉は、プロセスガスインジェクタ17の内部にクリーニングガスシステム43を有するクリーニングガスを第一の工程において提供し、その一方で不活性ガス供給源45からの不活性ガスがプロセスチャンバ4に直接提供されるように構築および配設されてもよい。これは、プロセスチャンバ4内の分圧を調節することを可能にする場合がある。クリーニングガスが、ガス注入穴23を介してプロセスガスインジェクタ17の内部から出てプロセスチャンバ4の中に至る時、堆積プロセスによって生成された膜のエッチングも、プロセスチャンバ4内で行われる。それ故に、プロセスチャンバ4への不活性ガスの提供は、プロセスチャンバ4内のクリーニングガスの分圧の減少をもたらす場合がある。これは、プロセスチャンバ4内の堆積プロセスによって生成された膜のエッチング速度の低減につながる場合がある。これは有利なことに、プロセスチャンバ4の過剰なエッチングの回避を可能にする一方で、それによってプロセスガスインジェクタ17をクリーニングし、プロセスチャンバ4の寿命を損ねることがない。
【0041】
それ故に、このガスインジェクタ17のクリーニングをプロセスチャンバ4のクリーニングから分離することは、第一の工程中のガスインジェクタ17のクリーニングにつながる場合がある。
【0042】
第一の工程中のプロセスガスインジェクタ17内のクリーニングガスの分圧は、第一の工程のクリーニング中に主にプロセスガスインジェクタ17のクリーニングが達成されるように、プロセスガスインジェクタ17内の堆積プロセスによって生成された膜のエッチング速度と、プロセスチャンバ4内のそのエッチング速度との比は、約2以上であってもよいように構成されてもよい。
【0043】
次いで、コントローラ50に接続されてもよいポンプは、第一の工程中にプロセスチャンバ4内のクリーニングガスの分圧が0.2Torr未満になるように調整してもよく、その一方でプロセスガスインジェクタ17内のクリーニングガスの分圧を0.2Torrよりも大きくなるように調整してもよい。これは有利なことに、プロセスチャンバ4のクリーニングと比較してより高い選択性を伴って、第一の工程中にプロセスガスインジェクタ17のクリーニングを提供することを可能にする場合がある。
【0044】
一実施形態において、第一の工程中のプロセスガスインジェクタ内のクリーニングガスの分圧は、0.2Torr~0.5Torrの範囲内であってもよい。
【0045】
第一の工程中の不活性ガス供給源45からプロセスチャンバ4への不活性ガスの直接の提供は一実施形態において、底部入口を通して行われてもよい。
【0046】
1つの実施形態において、第一の工程中のプロセスチャンバ4への不活性ガスの直接の提供は、プロセスチャンバ4内に存在してもよい別のプロセスガスインジェクタ17を通して行われてもよい。これが当てはまる場合があるのは、複数のプロセスガスインジェクタが使用され、各々が、プロセスガスに含まれてもよい異なる前駆体の個々の提供のために方向付けられている時である。
【0047】
プロセスガスインジェクタ17のクリーニングの完了後、第一の工程中にガスインジェクタ17へのクリーニングガスの提供は停止されてもよく、第二の工程中に不活性ガス供給源45からの不活性ガスの提供によって置き換えられてもよい。次いで、クリーニングガスは、プロセスチャンバ4にのみ提供され、それによってクリーニングの第二の工程を実行してもよい。これは次いで、プロセスガスインジェクタ17のクリーニングから分離して実行されるプロセスチャンバ4のクリーニングを可能にしてもよい。分離は、プロセスガスインジェクタ17およびプロセスチャンバ4の互いに独立したクリーニングを可能にし、それによって、プロセスガスインジェクタ17および/またはプロセスチャンバ4の過剰なエッチングのリスクを最小化する場合がある。
【0048】
一実施形態において、プロセスチャンバ4へのクリーニングガスの提供は、底部入口を通して直接行われてもよい。別の実施形態において、プロセスチャンバ4へのクリーニングガスの提供は、プロセスチャンバ4内に存在してもよい別のプロセスガスインジェクタ17を通して行われてもよい。
【0049】
コントローラ50に接続されてもよいポンプは、第二の工程中にプロセスチャンバ4内のクリーニングガスの分圧を、0.2Torr以上になるように調整してもよい。これは有利なことに、プロセスチャンバ4のクリーニングを提供することを可能にしてもよく、その一方で不活性ガスはプロセスガスインジェクタ17に提供されている。
【0050】
2工程のクリーニングに従って窒化ケイ素を除去するための例示的な一実施形態において、Heと混合された5%のFガスは、クリーニングガスとして550℃において使用されてもよい。第一の工程中にクリーニングガスは、約0.3Torrでプロセスガスインジェクタ17に提供されてもよい。第二の工程中にクリーニングガスは、約0.2Torrでプロセッシングチャンバ4に提供されてもよい。
【0051】
クリーニングガスの分圧値と、堆積プロセスによって生成された膜をエッチングするために必要とされるクリーニング時間とは、クリーニングされる膜の厚さと、クリーニングガス中の不活性ガスの割合とが変化するにつれて変更される場合があることが理解されるべきである。
【0052】
化学蒸着炉には、ウエハボート6内のウエハを加熱するためのヒーター11が設けられてもよい。化学蒸着炉には、温度を測定するために、フランジ3上に取り付けられた、かつライナー2の外表面に沿ってライナーの頂端に向かって延在する温度測定システムが設けられてもよい。温度測定システムは、異なる高さでの温度を測定するために、梁の長さに沿って設けられた複数の温度センサを有する梁を備えてもよい。ヒーター11および温度測定システムは、コントローラ50に接続されて、クリーニングおよび堆積中にプロセスチャンバ4の温度を制御してもよい。
【0053】
ヒーター11は、コントローラ50によって制御されて、プロセスチャンバ4の上部を、クリーニングの開始中にプロセスチャンバ4の底部よりも高い温度に加熱してもよい。まず、プロセスチャンバ4の上部の摂氏625度に加熱することから開始し、ヒーター11を用いてプロセスチャンバ4の下部を摂氏575度未満に加熱し、その一方で第一のクリーニングガスを提供する。これは、プロセスガスインジェクタ17の底部におけるクリーニングガスの消費を防止し、かつプロセスガスインジェクタ17の上部におけるエッチングを可能にする。その後、プロセスチャンバ4の中央の温度、およびその後の底部の温度は、コントローラ50の制御下でヒーター11によってゆっくりと上昇されて、プロセスガスインジェクタ17の下部でのエッチングを増大させる場合がある。
【0054】
好ましい実施形態は、塩素含有前駆体が、例えばアンモニア(NH)などの窒素前駆体と組み合されて使用される化学物質に特に適用可能である。塩素含有前駆体の実施例は、TiCl、SiCl、HfCl、およびAlClである。窒素前駆体は窒素ではない場合があることが理解されなければならない。窒素前駆体は反応性である場合があり、その一方で窒素は反応性ではない場合がある。
【0055】
本発明の例示的な実施形態を、添付図面を部分的に参照しながら上述してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本開示の実施形態に対する変形形態は、特許請求される発明を実施する当業者によって、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、理解および達成することができる。
【0056】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」の参照は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体の様々な個所での「1つの実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」という句の使用は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、1つ以上の実施形態の特定の特徴、構造、または特性は、明示的に記述されていない新しい実施形態を形成するために任意の適切な様態で組み合わせられてもよいことが留意される。
図1
図2
【外国語明細書】