(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090029
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】洗浄液、洗浄液とインクとのセット、及びインクジェットシステム
(51)【国際特許分類】
C11D 7/50 20060101AFI20230622BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20230622BHJP
C09D 11/54 20140101ALI20230622BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20230622BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
C11D7/50
C09D11/30
C09D11/54
B41J2/165 401
B41M5/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204749
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】戸村 辰也
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4H003
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA16
2C056EB04
2C056EB07
2C056EB38
2C056EC03
2C056EC23
2C056EC53
2C056JB04
2C056JB14
2C056JC23
2H186FA08
2H186FA09
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB18
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB48
2H186FB50
2H186FB53
2H186FB54
4H003BA12
4H003DA12
4H003DB03
4H003DC01
4H003EA03
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB20
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA12
4H003FA28
4J039EA46
4J039EA48
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】本発明は、インク吐出ヘッドや周辺部材の腐食防止とインクの除去性を備えた洗浄液を提供することを目的とする。
【解決手段】水と、炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物を含有する有機溶剤と、を含む洗浄液であって、pHが7以上10以下であり、リン酸イオンの濃度が100ppm以上5000ppm以下であり、前記有機溶剤の、前記洗浄液全量中における割合が5質量%以上20質量%以下であり、前記OH基の数が2個又は3個である化合物の前記有機溶剤全量中における割合が60質量%以上100質量%以下であることを特徴とする洗浄液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物を含有する有機溶剤と、を含む洗浄液であって、
pHが7以上10以下であり、
リン酸イオンの濃度が100ppm以上5000ppm以下であり、
前記有機溶剤の、前記洗浄液全量中における割合が5質量%以上20質量%以下であり、
前記OH基の数が2個又は3個である化合物の前記有機溶剤全量中における割合が60質量%以上100質量%以下である
ことを特徴とする洗浄液。
【請求項2】
前記炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物として、プロピレングリコール、グリセリン、1,2-エタンジオール、及びジプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の洗浄液。
【請求項3】
前記有機溶剤がアミド基含有環構造の化合物を含む、請求項1又は2に記載の洗浄液。
【請求項4】
前記アミド基含有環構造の化合物が2-ピロリドン及び/又はε-カプロラクタムである、請求項3に記載の洗浄液。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の洗浄液と、インクと、を組み合わせたことを特徴とする洗浄液とインクとのセット。
【請求項6】
前記インクが染料インクである、請求項5に記載の洗浄液とインクとのセット。
【請求項7】
前記染料インクにおける染料がビニルスルホン基を有する染料化合物である、請求項6に記載の洗浄液とインクとのセット。
【請求項8】
インクを収容するインク収容容器と、前記インクを吐出するインク吐出ヘッドと、前記インク吐出ヘッドと前記インク収容容器とを接続するインク供給路と、前記インク吐出ヘッド内及び前記インク供給路内のインクを置換するための洗浄液を収容した洗浄液収容容器と、前記洗浄液収容容器内の前記洗浄液を前記インク供給路及び前記インク吐出ヘッドに供給する洗浄液供給手段と、を備え、
前記インク及び前記洗浄液が、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の洗浄液と染料インクとのセットにおけるインク及び洗浄液であることを特徴とするインクジェットシステム。
【請求項9】
あらかじめ設定した時間内に前記吐出ヘッドへのインクの供給が連続して行われない場合に、前記洗浄液を前記インク供給路及び前記インク吐出ヘッドに供給して前記インク供給路及び前記インク吐出ヘッド内のインクを前記洗浄液で置換する手段を備えた、請求項8に記載のインクジェットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液、洗浄液とインクとのセット、及びインクジェットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェット用インクとしては、その発色性の良さや信頼性の高さ等の点から染料インクが主流であり、近年では、顔料インクも用いられることが多くなってきている。
布帛に染料で図柄を堅牢・精細に描く方法として、スクリーン捺染、ローラ捺染、ロータリースクリーン捺染、グラビア印刷又はこれらのプリント技法を用いた転写捺染法が知られている。
近年では、捺染する図柄等の画像をスキャナーで読み取り、コンピュータで処理した画像の信号を用いて、布帛等の繊維材に直接プリント(捺染)する方式(電子写真方式やインクジェット方式)や、一旦転写紙に画像等をプリントし、その画像等を布帛等の繊維材に転写する方式が実用化されている。
【0003】
上記のような布帛等の繊維材にプリントする際に使用されるインクには、多様な色材や溶剤が用いられている。特に染料化合物の化学構造には反応基が含まれており、インク自体の変質などによりヘッドやインクが接触する部材及びその周辺部材が腐食するという懸念があった。
【0004】
特許文献1には、着色剤、水および水溶性有機溶剤を含むインクジェット記録用水性インクであって、前記水性インク中のリン酸イオン濃度を35ppm以下とすることで腐食を防止できることが提案されている。
特許文献2ではインクと接触する金属の表面を保護する方法であって、0.01質量%~1.0質量%の範囲の濃度のリン酸塩と0.001質量%~1.0質量%の範囲の濃度のクエン酸塩とを含んだインクを使用することで金属表面の腐食を低減できることが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インクジェットインクはインクジェットヘッド内で長期間滞留すると、染料や顔料の変質が生じることがあり、特にインクのpHが低い場合や電気伝導度が高い場合にはヘッドをはじめとする接液部材の腐食を招きやすいという問題がある。前記インクのpHが低く電導度が高い場合には、変質反応が加速され、より腐食を生じやすくなる。腐食が生じると、ノズル孔の形状変化が生じるなど、吐出安定性の低下やインクの目詰まり、インク吐出時の飛翔方向等に異常が生じることがある。また、さらに腐食が進行するとヘッドや液送系などのインクと接する部材からインクが漏れ出すインクリークが発生する。
【0006】
本発明は、インクの除去性に優れ、インク吐出ヘッドや周辺部材の腐食を防止し、長期間にわたり安定した吐出特性を保持することができる洗浄液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は以下に記載する通りの構成を備えた洗浄液に係るものである。
水と、炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物を含有する有機溶剤と、を含む洗浄液であって、
pHが7以上10以下であり、
リン酸イオンの濃度が100ppm以上5000ppm以下であり、
前記有機溶剤の、前記洗浄液全量中における割合が5質量%以上20質量%以下であり、
前記OH基の数が2個又は3個である化合物の前記有機溶剤全量中における割合が60質量%以上100質量%以下である
ことを特徴とする洗浄液。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄液はインクの除去性に優れ、インク吐出ヘッドや周辺部材の腐食を防止して、長期間にわたり安定した吐出特性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る全体概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるメインタンクの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(洗浄液)
本発明の洗浄液は、インクの洗浄に用いる洗浄液であり、少なくとも水及び有機溶剤を含有する。
前記有機溶剤は、炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物を含有する。
また、本発明の洗浄液は、pHが7以上10以下であり、リン酸イオンの濃度が100ppm以上5000ppm以下である。
また、前記有機溶剤の、前記洗浄液全量中における割合が5質量%以上20質量%以下であり、前記OH基の数が2個又は3個である化合物の前記有機溶剤全量中における割合が60質量%以上100質量%以下である。
【0011】
本発明の洗浄液は、界面活性剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0012】
―有機溶剤―
洗浄液の有機溶剤の成分として用いる、炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物としては、プロピレングリコール、グリセリン、1,2-エタンジオール、及びジプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
また、その他の有機溶剤としては、アミド基含有環構造の化合物を含むことが好ましく、このような化合物としては、2-ピロリドン及び/又はε-カプロラクタムが好ましい。
前記有機溶剤の、前記洗浄液全量中における割合は5質量%以上20質量%以下である。
また、前記OH基の数が2個又は3個である化合物の前記有機溶剤全量中における割合は60質量%以上100質量%以下である。
なお、有機溶剤としては後述するインクの成分として述べた有機溶剤と同様のものを用いることができる。
【0013】
―水―
洗浄液に用いる水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。洗浄液における含有量は、10質量%以上98質量%以下が好ましく、80質量%以上95質量%以下がより好ましい。
【0014】
-樹脂-
洗浄液は樹脂を含有しても含有しなくてもよいが、樹脂を含まない方が望ましい。
洗浄液が樹脂を含む場合は後述するインクが含有する樹脂と同様の種類、含有量であることが好ましい。
【0015】
―添加剤―
本発明の洗浄液は、必要に応じて、界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を含有してもよい。
【0016】
(界面活性剤)
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高pHでも分解しないものが好ましい。例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
前記側鎖変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、一般式(S-1)式で表わされるポリジメチルシロキサンのSi部側鎖に変性基を導入することを示す。
前記両末端変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、一般式(S-1)式で表わされるポリジメチルシロキサンの両末端に変性基を導入することを示す。
前記片末端変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、一般式(S-1)式で表わされるポリジメチルシロキサンのどちらか一方の末端に変性基を導入することを示す。
前記側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、一般式(S-1)式で表わされるポリジメチルシロキサンのSi部側鎖及び両末端に変性基を導入することを示す。
【化1】
(但し、一般式(S-1)式中、m及びnは、それぞれ独立に整数を表わし、Xは側鎖を表す。)
例えば、前記側鎖変性ポリジメチルシロキサンは、一般式(S-1)式で表わされるジメチルポリシロキサンのSi部側鎖Xに、一般式(S-2)式で表わされるポリアルキレンオキシド構造を導入することで、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とすることができる。
【化2】
(但し、一般式(S-2)式中a、及びbは、それぞれ独立に整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
【0018】
前記変性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基、ポリアルキレンオキシド構造などが挙げられる。
【0019】
前記シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学株式会社などから入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、DOWSIL FZ-2105、DOWSIL FZ-2154、DOWSIL FZ-2161、DOWSIL FZ-2162、DOWSIL FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)などが挙げられる。
【0020】
前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、起泡性が少ない点で、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤は、一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされる化合物であることがより好ましい。
【化3】
(但し、一般式(F-1)において、m及びnは、それぞれ独立に整数を表す。)
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
一般式(F-2)
C
nF
2n+1-CH
2CH(OH)CH
2-O-(CH
2CH
2O)
a-Y
(ただし、上記一般式(F-2)において、YはH、又はC
mF
2m+1でmは1~6の整数、又はCH
2CH(OH)CH
2-CmF
2m+1でmは4~6の整数、又はCpH
2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。)
【0021】
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物の具体例としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
【0022】
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
【0023】
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物の具体例としては、例えば、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
【0024】
前記フッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
【0025】
前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
【0026】
前記フッ素系界面活性剤としては、市販品を使用してもよい。
前記フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS-111、サーフロンS-112、サーフロンS-113、サーフロンS-121、サーフロンS-131、サーフロンS-132、サーフロンS-141、サーフロンS-145(いずれも、AGCセイミケミカル株式会社)、フルラードFC-93、フルラードFC-95、フルラードFC-98、フルラードFC-129、フルラードFC-135、フルラードFC-170C、フルラードFC-430、フルラードFC-431(いずれも、スリーエムジャパン株式会社製)、メガファックF-470、メガファックF-1405、メガファックF-474(いずれも、DIC株式会社製)、ゾニール(Zonyl)TBS、ゾニール(Zonyl)FSP、ゾニール(Zonyl)FSA、ゾニール(Zonyl)FSN-100、ゾニール(Zonyl)FSN、ゾニール(Zonyl)FSO-100、ゾニール(Zonyl)FSO、ゾニール(Zonyl)FS-300、ゾニール(Zonyl)UR、キャプストーンFS-30、キャプストーンFS-31、キャプストーンFS-3100、キャプストーンFS-34、キャプストーンFS-35(いずれも、Chemours社製)、FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-136A,ポリフォックスPF-156A、ポリフォックスPF-151N、ポリフォックスPF-154、ポリフォックスPF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、ゾニールFS-300、ゾニールFS-3100、キャプストーンFS-34、(いずれもChemours社製)、FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-151N(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)が好ましい。
【0027】
前記両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
【0028】
前記ノニオン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0029】
前記アニオン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
【0030】
前記インク中における前記界面活性剤の含有量としては、特に制限はないが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0031】
前記界面活性剤は、消泡剤として使用することができる。
前記消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
(防腐防黴剤)
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0033】
(防錆剤)
防錆剤としては、防錆作用を示すものであれば、特に制限はなく、例えば、複素環式芳香族化合物などが挙げられる。
前記複素環式芳香族化合物は金属イオンと結合して不溶性の被膜を形成することで、ノズル内金属部位の防錆作用を示す。
【0034】
前記複素環式芳香族化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、ベンゾトリアゾール化合物などが挙げられる。
【0035】
前記ベンゾトリアゾール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0036】
前記ベンゾトリアゾール化合物の前記インク中における含有量としては、特に制限はないが、0.001質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。
【0037】
(リン酸系化合物)
洗浄液が含有するリン酸系化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム及びリン酸アンモニウム等が挙げられる。
洗浄液中に含まれるリン酸イオン濃度は100ppm以上5000ppm以下であることが好ましい。
【0038】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、pHを7以上10以下に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。また、pHを安定させるためpH緩衝剤を含有していても良い。pH緩衝剤は、特に制限がなく、リン酸系化合物やN-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホニックアシッドなどが挙げられる。
【0039】
本発明の洗浄液の物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
【0040】
本発明の洗浄液の25℃での表面張力としては、特に制限はないが、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
【0041】
(インク)
本発明のインクにおけるインクは、水、有機溶剤、色材を含む。
色材としては染料又は顔料を用いることができる。
【0042】
―染料―
インクに含まれる染料としては、特に限定されることなく、反応性染料、酸性染料、直接染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明における色材が染料である場合に効果が高い場合が多く、特に反応性染料である場合が特に効果が高い。好適な染料としては反応性染料あれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、染料インクがビニルスルホン基を有する場合にインクのpHを低く保つことがインクの安定性を向上させることができることから特に腐食を招きやすいため本発明の洗浄液やインクセット、インクジェットシステムの効果が高い。反応性染料の具体例としては、例えば、C.I.リアクティブブラック1、C.I.リアクティブブラック3、C.I.リアクティブブラック5、C.I.リアクティブブラック8、C.I.リアクティブブラック10、C.I.リアクティブブラック12、C.I.リアクティブブラック13、C.I.リアクティブブラック39、C.I.リアクティブブルー2、C.I.リアクティブブルー3、C.I.リアクティブブルー5、C.I.リアクティブブルー7、C.I.リアクティブブルー13、C.I.リアクティブブルー14、C.I.リアクティブブルー15、C.I.リアクティブブルー25、C.I.リアクティブブルー26、C.I.リアクティブブルー39、C.I.リアクティブブルー40、C.I.リアクティブブルー49、C.I.リアクティブレッド3、C.I.リアクティブレッド4、C.I.リアクティブレッド7、C.I.リアクティブレッド15、C.I.リアクティブレッド16、C.I.リアクティブレッド24、C.I.リアクティブレッド29、C.I.リアクティブレッド31、C.I.リアクティブレッド32、C.I.リアクティブレッド33、C.I.リアクティブレッド43、C.I.リアクティブレッド45、C.I.リアクティブレッド46、C.I.リアクティブレッド58、C.I.リアクティブレッド59、C.I.リアクティブレッド256、C.I.リアクティブレッド245、C.I.リアクティブイエロー3、C.I.リアクティブイエロー6、C.I.リアクティブイエロー12、C.I.リアクティブイエロー18、C.I.リアクティブイエロー95、C.I.リアクティブイエロー99、C.I.リアクティブオレンジ2、C.I.リアクティブオレンジ5、C.I.リアクティブオレンジ9、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブオレンジ39、C.I.リアクティブグリーン5、C.I.リアクティブグリーン8、C.I.リアクティブバイオレット1、C.I.リアクティブバイオレット2などが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記酸性染料としては、例えば、C.I.アシッド・イエロー17、C.I.アシッド・イエロー23、C.I.アシッド・イエロー42、C.I.アシッド・イエロー44、C.I.アシッド・イエロー79、C.I.アシッド・イエロー142、C.I.アシッド・レッド1、C.I.アシッド・レッド8、C.I.アシッド・レッド13、C.I.アシッド・レッド14、C.I.アシッド・レッド18、C.I.アシッド・レッド26、C.I.アシッド・レッド27、C.I.アシッド・レッド35、C.I.アシッド・レッド37、C.I.アシッド・レッド42、C.I.アシッド・レッド52、C.I.アシッド・レッド82、C.I.アシッド・レッド87、C.I.アシッド・レッド89、C.I.アシッド・レッド92、C.I.アシッド・レッド97、C.I.アシッド・レッド106、C.I.アシッド・レッド111、C.I.アシッド・レッド114、C.I.アシッド・レッド115、C.I.アシッド・レッド134、C.I.アシッド・レッド186、C.I.アシッド・レッド249、C.I.アシッド・レッド254、C.I.アシッド・レッド289、C.I.アシッド・ブルー9、C.I.アシッド・ブルー29、C.I.アシッド・ブルー45、C.I.アシッド・ブルー92、C.I.アシッド・ブルー249、C.I.アシッド・ブラック1、C.I.アシッド・ブラック2、C.I.アシッド・ブラック7、C.I.アシッド・ブラック24、C.I.アシッド・ブラック26、C.I.アシッド・ブラック94などが挙げられる。
前記食用染料としては、例えば、C.I.フード・イエロー3、C.I.フード・レッド14、C.I.フード・ブラック1、C.I.フード・ブラック2などが挙げられる。
【0044】
前記直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクト・イエロー1、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・イエロー24、C.I.ダイレクト・イエロー26、C.I.ダイレクト・イエロー33、C.I.ダイレクト・イエロー44、C.I.ダイレクト・イエロー50、C.I.ダイレクト・イエロー86、C.I.ダイレクト・イエロー120、C.I.ダイレクト・イエロー132、C.I.ダイレクト・イエロー142、C.I.ダイレクト・イエロー144、C.I.ダイレクト・レッド1、C.I.ダイレクト・レッド4、C.I.ダイレクト・レッド9、C.I.ダイレクト・レッド13、C.I.ダイレクト・レッド17、C.I.ダイレクト・レッド20、C.I.ダイレクト・レッド28、C.I.ダイレクト・レッド31、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド80、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・レッド225、C.I.ダイレクト・レッド227、C.I.ダイレクト・オレンジ26、C.I.ダイレクト・オレンジ29、C.I.ダイレクト・オレンジ62、C.I.ダイレクト・オレンジ102、C.I.ダイレクト・ブルー1、C.I.ダイレクト・ブルー2、C.I.ダイレクト・ブルー6、C.I.ダイレクト・ブルー15、C.I.ダイレクト・ブルー22、C.I.ダイレクト・ブルー25、C.I.ダイレクト・ブルー71、C.I.ダイレクト・ブルー76、C.I.ダイレクト・ブルー79、C.I.ダイレクト・ブルー86、C.I.ダイレクト・ブルー87、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・ブルー98、C.I.ダイレクト・ブルー163、C.I.ダイレクト・ブルー165、C.I.ダイレクト・ブルー199、C.I.ダイレクト・ブルー202、C.I.ダイレクト・ブラック19、C.I.ダイレクト・ブラック22、C.I.ダイレクト・ブラック32、C.I.ダイレクト・ブラック38、C.I.ダイレクト・ブラック51、C.I.ダイレクト・ブラック56、C.I.ダイレクト・ブラック71、C.I.ダイレクト・ブラック74、C.I.ダイレクト・ブラック75、C.I.ダイレクト・ブラック77、C.I.ダイレクト・ブラック154、C.I.ダイレクト・ブラック168、C.I.ダイレクト・ブラック171などが挙げられる。
【0045】
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシック・イエロー1、C.I.ベーシック・イエロー2、C.I.ベーシック・イエロー11、C.I.ベーシック・イエロー13、C.I.ベーシック・イエロー14、C.I.ベーシック・イエロー15、C.I.ベーシック・イエロー19、C.I.ベーシック・イエロー21、C.I.ベーシック・イエロー23、C.I.ベーシック・イエロー24、C.I.ベーシック・イエロー25、C.I.ベーシック・イエロー28、C.I.ベーシック・イエロー29、C.I.ベーシック・イエロー32、C.I.ベーシック・イエロー36、C.I.ベーシック・イエロー40、C.I.ベーシック・イエロー41、C.I.ベーシック・イエロー45、C.I.ベーシック・イエロー49、C.I.ベーシック・イエロー51、C.I.ベーシック・イエロー53、C.I.ベーシック・イエロー63、C.I.ベーシック・イエロー64、C.I.ベーシック・イエロー65、C.I.ベーシック・イエロー67、C.I.ベーシック・イエロー70、C.I.ベーシック・イエロー73、C.I.ベーシック・イエロー77、C.I.ベーシック・イエロー87、C.I.ベーシック・イエロー91、C.I.ベーシック・レッド2、C.I.ベーシック・レッド12、C.I.ベーシック・レッド13、C.I.ベーシック・レッド14、C.I.ベーシック・レッド15、C.I.ベーシック・レッド18、C.I.ベーシック・レッド22、C.I.ベーシック・レッド23、C.I.ベーシック・レッド24、C.I.ベーシック・レッド27、C.I.ベーシック・レッド29、C.I.ベーシック・レッド35、C.I.ベーシック・レッド36、C.I.ベーシック・レッド38、C.I.ベーシック・レッド39、C.I.ベーシック・レッド46、C.I.ベーシック・レッド49、C.I.ベーシック・レッド51、C.I.ベーシック・レッド52、C.I.ベーシック・レッド54、C.I.ベーシック・レッド59、C.I.ベーシック・レッド68、C.I.ベーシック・レッド69、C.I.ベーシック・レッド70、C.I.ベーシック・レッド73、C.I.ベーシック・レッド78、C.I.ベーシック・レッド82、C.I.ベーシック・レッド102、C.I.ベーシック・レッド104、C.I.ベーシック・レッド109、C.I.ベーシック・レッド112、C.I.ベーシック・ブルー1、C.I.ベーシック・ブルー3、C.I.ベーシック・ブルー5、C.I.ベーシック・ブルー7、C.I.ベーシック・ブルー9、C.I.ベーシック・ブルー21、C.I.ベーシック・ブルー22、C.I.ベーシック・ブルー26、C.I.ベーシック・ブルー35、C.I.ベーシック・ブルー41、C.I.ベーシック・ブルー45、C.I.ベーシック・ブルー47、C.I.ベーシック・ブルー54、C.I.ベーシック・ブルー62、C.I.ベーシック・ブルー65、C.I.ベーシック・ブルー66、C.I.ベーシック・ブルー67、C.I.ベーシック・ブルー69、C.I.ベーシック・ブルー75、C.I.ベーシック・ブルー77、C.I.ベーシック・ブルー78、C.I.ベーシック・ブルー89、C.I.ベーシック・ブルー92、C.I.ベーシック・ブルー93、C.I.ベーシック・ブルー105、C.I.ベーシック・ブルー117、C.I.ベーシック・ブルー120、C.I.ベーシック・ブルー122、C.I.ベーシック・ブルー124、C.I.ベーシック・ブルー129、C.I.ベーシック・ブルー137、C.I.ベーシック・ブルー141、C.I.ベーシック・ブルー147、C.I.ベーシック・ブルー155、C.I.ベーシック・ブラック2、C.I.ベーシック・ブラック8などが挙げられる。
【0046】
他の反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブ・ブラック4、C.I.リアクティブ・ブラック7、C.I.リアクティブ・ブラック11、C.I.リアクティブ・ブラック17、C.I.リアクティブ・イエロー1、C.I.リアクティブ・イエロー5、C.I.リアクティブ・イエロー11、C.I.リアクティブ・イエロー13、C.I.リアクティブ・イエロー14、C.I.リアクティブ・イエロー20、C.I.リアクティブ・イエロー21、C.I.リアクティブ・イエロー22、C.I.リアクティブ・イエロー25、C.I.リアクティブ・イエロー40、C.I.リアクティブ・イエロー47、C.I.リアクティブ・イエロー51、C.I.リアクティブ・イエロー55、C.I.リアクティブ・イエロー65、C.I.リアクティブ・イエロー67、C.I.リアクティブ・レッド1、C.I.リアクティブ・レッド14、C.I.リアクティブ・レッド17、C.I.リアクティブ・レッド25、C.I.リアクティブ・レッド26、C.I.リアクティブ・レッド37、C.I.リアクティブ・レッド44、C.I.リアクティブ・レッド55、C.I.リアクティブ・レッド60、C.I.リアクティブ・レッド66、C.I.リアクティブ・レッド74、C.I.リアクティブ・レッド79、C.I.リアクティブ・レッド96、C.I.リアクティブ・レッド97、C.I.リアクティブ・ブルー23、C.I.リアクティブ・ブルー32、C.I.リアクティブ・ブルー35、C.I.リアクティブ・ブルー38、C.I.リアクティブ・ブルー41、C.I.リアクティブ・ブルー63、C.I.リアクティブ・ブルー80、C.I.リアクティブ・ブルー95などが挙げられる。
【0047】
前記染料の前記インク中における含有量としては、特に制限はなく、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0048】
―顔料―
インクに含まれる色材として、顔料も使用可能である。顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、顔料として、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
【0049】
前記顔料の前記インク中における含有量としては、特に制限はなく、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0050】
―水―
水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
前記水の前記インク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0051】
―有機溶剤―
インクの構成材料である有機溶剤としては、水溶性有機溶剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
【0053】
前記水溶性有機溶剤として、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いたときに好適に使用され、紙に対するインクの浸透性を向上させることができる。
前記炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0054】
前記有機溶剤の沸点としては、特に制限はなく、湿潤効果や良好な乾燥性の点で、250℃以下であることが好ましい。
【0055】
前記有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はないが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0056】
―樹脂―
インクに含有される樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子は、水を分散媒として分散した樹脂エマルジョンの状態で、色材や有機溶剤等の材料と混合してインクを得ることが可能である。
【0057】
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はないが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0058】
前記樹脂の前記インク中における含有量としては、特に制限はないが、定着性、インクの保存安定性の点から、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0059】
―添加剤―
本発明のインクセットにおけるインクには、必要に応じて、界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
【0060】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、前記洗浄液の成分として述べた界面活性剤と同様のものを用いることができる。
【0061】
(防腐防黴剤)
防腐防黴剤としては、前記洗浄液の成分として述べた防腐防黴剤と同様のものを用いることができる。
【0062】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、前記洗浄液の成分として述べたpH調整剤と同様のものを用いることができる。
【0063】
(アルカリ土類金属イオン)
本発明のインクセットにおけるインクは、必要に応じて、アルカリ土類金属イオンを含むことができる。
前記アルカリ土類金属イオンは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどが挙げられる。
【0064】
前記アルカリ土類金属イオンの前記インク中における含有量としては、撥インク層内のシリコーン樹脂を溶解させる可能性があるため、50ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましい。
【0065】
本発明のインクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
【0066】
本発明のインクセットにおけるインクの25℃での粘度としては、特に制限はないが、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、0.5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、2mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。
前記粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業株式会社製RE-80L)を使用して測定することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34‘×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
【0067】
本発明のインクセットにおけるインクの25℃での表面張力としては、特に制限はないが、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
【0068】
本発明のインクセットにおけるインクの25℃でのpHとしては、特に制限はないが、接液する金属部材の腐食防止の観点から、6~12が好ましく、7~11がより好ましい。
【0069】
[インクジェットシステム]
本発明のインクジェットシステムは、インクを収容するインク収容容器と、前記インクを吐出するインク吐出ヘッドと、前記インク吐出ヘッドと前記インク収容容器とを接続するインク供給路と、前記インク吐出ヘッド内及び前記インク供給路内のインクを置換するための洗浄液を収容した洗浄液収容容器と、前記洗浄液収容容器内の前記洗浄液を前記インク供給路及び前記インク吐出ヘッドに供給する洗浄液供給手段と、を備えたインクジェットシステムであって、前記インク及び洗浄液が本発明の洗浄液とインクとのセットにおけるインク及び洗浄液である。また、必要に応じてその他の手段を有する。
【0070】
本発明のインクジェットシステムは、あらかじめ設定した時間内に前記吐出ヘッドへのインクの供給が連続して行われない場合に、本発明の洗浄液をインク供給路及びインク吐出ヘッドに供給して、インク供給路及びインク吐出ヘッド内のインクを洗浄液で置換する手段を備えていることが好ましい。
【0071】
<記録媒体>
本発明における記録媒体とは、本発明のインクジェットシステムを用いて記録される対象物のことである。
前記記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
前記記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
前記記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、前記記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
【0072】
<記録物>
本発明における記録物とは、本発明のインクジェットシステムを備えた記録装置及び記録方法により記録することで、記録物とすることができる。
前記記録物は、前記記録媒体上に、本発明のインクジェットシステムを用いて形成された画像等を有してなる。
【0073】
<記録装置、記録方法>
本発明における記録装置及び記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な本発明のインクジェットシステムを備えた装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。
本発明のインクセットは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
【0074】
前記記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、前記記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
【0075】
前記記録装置及び前記記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有してもよい。
前記加熱手段及び前記乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。
前記加熱手段及び前記乾燥手段としては、特に制限はなく、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。
前記加熱手段及び前記乾燥手段は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
【0076】
前記記録装置及び前記記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
【0077】
前記記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、前記記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
【0078】
前記記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前記前処理装置、前記後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、洗浄液や、前処理液、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前記前処理装置、前記後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
【0079】
本発明のインクジェットシステムを備えたプリンタがあらかじめ設定した時間連続稼働しない場合、本発明の洗浄液でインクを置換することで長期間にわたりインクとヘッドをはじめとするユニットや部材が接することを回避し、腐食のリスクを低減できる。腐食を生じる材質としては金属が挙げられ、金属が用いられる箇所としてはヘッドの筐体部などや送液系のつなぎ手などがあり、その主な金属素材としてはSUSが挙げられる。また、本発明の洗浄液は長期間にわたりヘッドなどに接しても腐食のリスクが低い。1日から3週間プリンタが連続稼働しない場合にインクを洗浄液で置換することが好ましく、2日から1週間連続稼働しない場合にインクを洗浄液で置換することがさらに好ましい。
【0080】
インクを洗浄液で置換する際にワイピングを並行して実施するとヘッドのノズル穴の目詰まりが低減でき好ましい。
【0081】
インクを洗浄液で置換した後、ワイピングと洗浄液空吐出を複数回繰り返すとさらにヘッドのノズル穴の目詰まりが生じにくくさらに好ましい。
【0082】
前記立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
【0083】
以下、記録装置の一例について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は記録装置の斜視説明図である。
図2はメインタンクの斜視説明図である。
記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
【0084】
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
【0085】
本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
【実施例0086】
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
<洗浄液の調製>
洗浄液の組成を表1に示す。表中の数値は質量%を示す。
表1の組成になるように各成分を容器に入れ、2時間攪拌後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過を行うことで、洗浄液1~12を得た。
・水(イオン交換水)
・プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・グリセリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・1,2-エタンジオール(三共株式会社製)
・ジプロピレングリコール(東京化成工業株式会社製)
・1,3-プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)
・2-ピロリドン(三菱ケミカル株式会社製)
・ε-カプロラクタム(宇部興産株式会社製)
・3-エチルー3-ヒドロキシメチルオキセタン(東京化成工業株式会社製)
・1,2,3-ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製)
・プロキセルLV(アビシア社製)
・LS-106(花王株式会社製)
・リン酸水素ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・N-シクロヘキシル―2―アミノエタンスルホニックアシッド(株式会社同仁化学研究所製)
・希硝酸(関東化学株式会社製)
【0088】
得られた洗浄液のpH及び電気電導度を測定した。
前記pHは、マルチ水質計(東亜ティーディーケー株式会社製)を用いて、25℃の恒温にして測定した。
前記電気電導度は、マルチ水質計(東亜ティーディーケー株式会社製)を用いて測定した。
各測定値は表1に記載した。
【0089】
【0090】
<インクの調製>
インクの処方を表2に示す。
以下の材料を表2の組成になるように容器に入れ、2時間攪拌後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過を行うことで、インク1~12を得た。
・水(イオン交換水)
・プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・グリセリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・ジプロピレングリコール(東京化成工業株式会社製)
・2-ピロリドン(三菱ケミカル株式会社製)
・ε-カプロラクタム(宇部興産株式会社製)
・1,2,3-ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製)
・プロキセルLV(アビシア社製)
・Bk39(C.I.リアクティブブラック39)
・Red24(C.I.リアクティブレッド24)
・Red245(C.I.リアクティブレッド245)
・Or13(C.I.リアクティブオレンジ13)
・Bl49(C.I.リアクティブブルー49)
・Y95(C.I.リアクティブイエロー95)
・Bk5(C.I.リアクティブブラック5)
・Direct Bl199(C.I.ダイレクトブルー199)
・Acid Bk 172(C.I.アシッドブラック172)
・Acid Red 249(C.I.アシッドレッド249)
【0091】
【0092】
顔料インクとして以下のインク13、14、15を用いた。
インク13、14は樹脂を含有するインクである。
インク13:樹脂含有インクであるLX100/LX101 ラテックスインクカートリッジ ホワイトインク(株式会社ミマキエンジニアリング製、品番:LX100-W-22)
インク14:樹脂含有インクであるHP 831B 775-ml マゼンタ Latex インクカートリッジ(HP社製、品番:CZ690A)
インク15:ガーメントインクであるCGX-4W50 ホワイトインク(ブラザー工業株式会社製)
【0093】
上記洗浄液1~12とインク1~15とを用いて、以下の表3に示す組み合わせで以下の試験方法によって洗浄液によるインクの洗浄試験を行った。
インクをシリンジに20ml充填して、内径1mm、長さ50cmのチューブに充填する。次いで、洗浄液をシリンジに50ml充填する。前記インクが充填されたチューブのインクを洗浄液50mlで押し出してインクの色が確認できるかどうかを観察する。
評価結果を下記の評価基準で評価した。
評価結果を表3に示す。
(評価基準)
〇:透明であった。
△:インクの色が確認できた。
【0094】
【0095】
(実施例1~6、比較例1~6)
洗浄液1~12について、洗浄液30mlと直径10mm、長さ40mmの円柱形状のSUS303をポリプロピレン容器に投入して、その容器を50℃7日保存してその後、室温にて円柱状SUS303を取出し、腐食の具合を観察するとともに各洗浄液のFe溶出量を測定した。
前記溶出Fe量は、ICPE-9000(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
評価結果を表4に示す。
【0096】
また、リコー製インクジェットヘッドMH5241Fを用いて以下の吐出試験を行った。
・インクジェットヘッドに洗浄液を充填してそのまま50℃7日保存した。
・インクジェットヘッドから洗浄液を取り出し、充填した洗浄液と同様の洗浄液であって室温で保管した洗浄液を用いてインクジェットヘッドを洗浄した。
・インク1をインクジェットヘッドから吐出させて、インクの吐出状況を、吐出液滴が正規の位置に着弾したかどうか(着弾精度)を評価指標とし、下記の評価基準で評価した。
評価結果を表4に示す。
なお、室温で保管したインク及びインクヘッドを用いた吐出試験では、各インクの吐出状況に問題がないことを確認している。
【0097】
(評価基準)
〇:液滴が正規の位置に比べて前後左右の最も大きいずれが液滴5滴以内の範囲に着弾した場合:
△:液滴が正規の位置に比べて前後左右で最も大きいずれが液滴5滴を超え15滴以内のずれ範囲に着弾した場合
×:液滴が正規の位置に比べて前後左右いずれかで液滴15滴を超えた場合
【0098】
【0099】
(実施例7~12、比較例7~12)
リコー製インクジェットヘッドMH5241Fに表5に示すインクを充填した後、実施例7~12では表5に示す洗浄液で置換し、比較例7~12では洗浄液では置換せずインクを充填したまま30℃に保管して、1、3、5日後に充填されたインクの鉄の溶出量を測定した。また30℃5日経過後にヘッドの外観観察を実施した結果を表5に示す。
(評価基準)
〇:変化なし
△:金属部が褐色に変色した
×:腐食あり
【0100】
また、実施例1で行ったと吐出試験と同様の吐出試験を行い、実施例1におけると同様の評価基準でインクの吐出状況を評価した。
評価結果を表5に示す。
【0101】
【0102】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
(1)水と、炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物を含有する有機溶剤と、を含む洗浄液であって、
pHが7以上10以下であり、
リン酸イオンの濃度が100ppm以上5000ppm以下であり、
前記有機溶剤の、前記洗浄液全量中における割合が5質量%以上20質量%以下であり、
前記OH基の数が2個又は3個である化合物の前記有機溶剤全量中における割合が60質量%以上100質量%以下である
ことを特徴とする洗浄液。
(2)前記炭素数が2以上であり、かつ、OH基の数が2個又は3個である化合物として、プロピレングリコール、グリセリン、1,2-エタンジオール、及びジプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、上記(1)に記載の洗浄液。
(3)前記有機溶剤がアミド基含有環構造の化合物を含む、上記(1)又は(2)に記載の洗浄液。
(4)前記アミド基含有環構造の化合物が2-ピロリドン及び/又はε-カプロラクタムである、上記(3)に記載の洗浄液。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の洗浄液と、インクと、を組み合わせたことを特徴とする洗浄液とインクとのセット。
(6)前記インクが染料インクである、上記(5)に記載の洗浄液とインクとのセット。
(7)前記染料インクにおける染料がビニルスルホン基を有する染料化合物である、上記(6)に記載の洗浄液とインクとのセット。
(8)インクを収容するインク収容容器と、前記インクを吐出するインク吐出ヘッドと、前記インク吐出ヘッドと前記インク収容容器とを接続するインク供給路と、前記インク吐出ヘッド内及び前記インク供給路内のインクを置換するための洗浄液を収容した洗浄液収容容器と、前記洗浄液収容容器内の前記洗浄液を前記インク供給路及び前記インク吐出ヘッドに供給する洗浄液供給手段と、を備え、
前記インク及び前記洗浄液が、上記(5)乃至(7)のいずれか1項に記載の洗浄液と染料インクとのセットにおけるインク及び洗浄液であることを特徴とするインクジェットシステム。
(9)あらかじめ設定した時間内に前記吐出ヘッドへのインクの供給が連続して行われない場合に、前記洗浄液を前記インク供給路及び前記インク吐出ヘッドに供給して前記インク供給路及び前記インク吐出ヘッド内のインクを前記洗浄液で置換する手段を備えた、上記(8)に記載のインクジェットシステム。