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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090520
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】補強材、及び補強構造
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20230622BHJP
   E01D 19/12 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
E01D22/00 B
E01D19/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205504
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506353585
【氏名又は名称】学校法人ものつくり大学
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】紫桃孝一朗
(72)【発明者】
【氏名】佐久間智
(72)【発明者】
【氏名】大垣賀津雄
(72)【発明者】
【氏名】秀熊佑哉
(72)【発明者】
【氏名】櫻井俊太
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA16
2D059GG02
2D059GG40
(57)【要約】
【課題】デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる補強材を提供する。
【解決手段】補強材は、デッキプレートと、橋軸直角方向に沿って延設され前記デッキプレートの下面に溶接された横リブと、前記横リブに対して交差すると共に橋軸方向に沿って延設され、デッキプレートの下面に溶接された縦リブと、を有する鋼床版を補強する補強材であって、前記デッキプレートの下面に接着される第一接着部と、前記横リブに接着される第二接着部と、前記縦リブに接着される第三接着部と、を備え、繊維強化プラスチックで形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキプレートと、橋軸直角方向に沿って延設され前記デッキプレートの下面に溶接された横リブと、前記横リブに対して交差すると共に橋軸方向に沿って延設され、デッキプレートの下面に溶接された縦リブと、を有する鋼床版を補強する補強材であって、
前記デッキプレートの下面に接着される第一接着部と、
前記横リブに接着される第二接着部と、
前記縦リブに接着される第三接着部と、
を備え、
繊維強化プラスチックで形成された補強材。
【請求項2】
前記第一接着部、前記第二接着部、及び前記第三接着部は、板状に形成され、
前記第一接着部における前記橋軸方向の一端部と前記第二接着部の上端部とが連結され、
前記第一接着部における前記橋軸直角方向の一端部と前記第三接着部の上端部とが連結され、
前記第三接着部における前記橋軸方向の一端部と前記第二接着部における橋軸直角方向の一端部とが連結されている
請求項1に記載の補強材。
【請求項3】
前記第一接着部、前記第二接着部、及び前記第三接着部の各々は、交差する二方向に配向された繊維を含んでいる
請求項2に記載の補強材。
【請求項4】
前記第三接着部は、橋軸方向視にて、橋軸直角方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って配置され、
前記第二接着部は、前記傾斜方向に対して直交する直交方向に配向された繊維を含んでいる
請求項2又は3に記載の補強材。
【請求項5】
前記第三接着部は、橋軸方向視にて、橋軸直角方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って配置され、
前記第二接着部は、前記傾斜方向に配向された繊維を含んでいる
請求項2~4のいずれか1項に記載の補強材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の補強材を備え、
前記補強材の第一接着部が、鋼床版のデッキプレートの下面に接着され、
前記補強材の第二接着部が、前記鋼床版の横リブに接着され、
前記補強材の第三接着部が、前記鋼床版の縦リブに接着された
補強構造。
【請求項7】
前記補強材は、橋軸直角方向に隣り合う2つの前記縦リブの間の領域に一対が配置され、
前記一対の補強材の一方における前記第三接着部が、前記2つの縦リブの一方に接着され、
前記一対の補強材の他方における前記第三接着部が、前記2つの縦リブの他方に接着されている
請求項6に記載の補強構造。
【請求項8】
前記一対の補強材は、前記デッキプレート上を走行する車両の車輪が通過する第一範囲に存在する前記領域に配置され、
前記デッキプレート上を走行する車両の車輪が通過しない、又は、当該車輪の通過頻度が前記第一範囲より低い第二範囲に存在する前記領域には、前記補強材は配置されていない
請求項7に記載の補強構造。
【請求項9】
前記第一接着部、前記第二接着部、及び前記第三接着部の少なくとも1つの接着部と、前記鋼床版との間に、前記補強材よりも高い伸度を有する高伸度材を挟んだ状態で、当該少なくとも1つの接着部が接着されている
請求項6~8のいずれか1項に記載の補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼床版を補強する補強材、及びその補強材を用いた補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デッキプレート、横リブ及び縦リブを有する鋼床版を備えた橋梁が知られている。デッキプレートは、橋梁を通行する通行物(例えば、車両、人など)を支持する床板である。横リブは、橋軸直角方向に沿って延設され、デッキプレートの下面に溶接されたリブである。縦リブは、横リブに対して交差すると共に橋軸方向に沿って延設され、デッキプレートの下面に溶接されたリブである。
【0003】
なお、橋軸方向は、橋梁の延長方向である。橋軸直角方向は、橋軸方向及び鉛直方向に対して直角をなす方向である。
【0004】
このような鋼床版では、デッキプレート上を通行する通行物の荷重により、デッキプレートと縦リブとの溶接部などに応力が集中して、当該溶接部などで発生する疲労き裂を抑制することが課題とされている。
【0005】
特許文献1には、デッキプレートと縦リブとの溶接部を中心として、略L字状の炭素繊維樹脂プレートをデッキプレート下面から縦リブ側面にかけて接着剤にて貼り付ける補強構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-308881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、鋼床版では、デッキプレートと縦リブとの溶接部だけでなく、デッキプレートと横リブとの溶接部などでも、疲労き裂が発生する場合がある。
【0008】
特に、横リブと縦リブとの交差部分において、切欠きであるスカラップが横リブに形成された鋼床版では、スカラップの縁部分から、デッキプレートと横リブとの溶接部、及びその周辺において、疲労き裂が発生しやすい。なお、鋼床版としては、スカラップが形成されていない鋼床版も存在する。
【0009】
そして、特許文献1の炭素繊維樹脂プレートは、デッキプレート下面と縦リブ側面との二面にのみ貼り付けられるものであるため、デッキプレートと縦リブとの溶接部の疲労き裂を抑制できるものの、デッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生については抑制できなかった。
【0010】
本発明は、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる補強材、並びに補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様の補強材は、デッキプレートと、橋軸直角方向に沿って延設され前記デッキプレートの下面に溶接された横リブと、前記横リブに対して交差すると共に橋軸方向に沿って延設され、デッキプレートの下面に溶接された縦リブと、を有する鋼床版を補強する補強材であって、前記デッキプレートの下面に接着される第一接着部と、前記横リブに接着される第二接着部と、前記縦リブに接着される第三接着部と、を備え、繊維強化プラスチックで形成されている。
【0012】
このように、第1態様の補強材では、デッキプレートの下面に接着される第一接着部と、横リブに接着される第二接着部と、縦リブに接着される第三接着部と、を備えるため、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部において作用する応力を低減できる。この結果、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0013】
第2態様の補強材では、前記第一接着部、前記第二接着部、及び前記第三接着部は、板状に形成され、前記第一接着部における前記橋軸方向の一端部と前記第二接着部の上端部とが連結され、前記第一接着部における前記橋軸直角方向の一端部と前記第三接着部の上端部とが連結され、前記第三接着部における前記橋軸方向の一端部と前記第二接着部における橋軸直角方向の一端部とが連結されている。
【0014】
このため、補強材がブロック状に形成される構成に比べ、補強材の補強性能を維持しつつ、補強材の軽量化を図ることができる。
【0015】
第3態様の補強材では、前記第一接着部、前記第二接着部、及び前記第三接着部の各々は、交差する二方向に配向された繊維を含んでいる。
【0016】
このため、補強材に対して、当該交差する二方向に荷重が作用した場合でも、当該荷重に対抗できる。これにより、第一接着部、第二接着部、及び第三接着部の各々が一方向に配向された繊維のみを含んでいる構成に比べ、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部において作用する応力を低減できる。この結果、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0017】
第4態様の補強材では、前記第三接着部は、橋軸方向視にて、橋軸直角方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って配置され、前記第二接着部は、前記傾斜方向に対して直交する直交方向に配向された繊維を含んでいる。
【0018】
このように、第二接着部は、傾斜方向に対して直交する直交方向に配向された繊維を含んでいる。このため、補強材に対して、荷重が直交方向に作用した場合でも、当該荷重に対抗でき、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部において作用する応力を低減できる。この結果、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0019】
第5態様の補強材では、前記第三接着部は、橋軸方向視にて、橋軸直角方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って配置され、前記第二接着部は、前記傾斜方向に配向された繊維を含んでいる。
【0020】
このように、第二接着部は、前記傾斜方向に配向された繊維を含んでいる。このため、補強材に対して、荷重が傾斜方向に作用した場合でも、当該荷重に対抗でき、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部において作用する応力を低減できる。この結果、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0021】
第6態様の補強構造は、第1~第5態様のいずれかの補強材を備え、前記補強材の第一接着部が、鋼床版のデッキプレートの下面に接着され、前記補強材の第二接着部が、前記鋼床版の横リブに接着され、前記補強材の第三接着部が、前記鋼床版の縦リブに接着されている。
【0022】
第6態様の補強構造では、補強材が、デッキプレートの下面に接着される第一接着部と、横リブに接着される第二接着部と、縦リブに接着される第三接着部と、を備えるため、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部において作用する応力を低減できる。この結果、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる
【0023】
第7態様の補強構造では、前記補強材は、橋軸直角方向に隣り合う2つの前記縦リブの間の領域に一対が配置され、前記一対の補強材の一方における前記第三接着部が、前記2つの縦リブの一方に接着され、前記一対の補強材の他方における前記第三接着部が、前記2つの縦リブの他方に接着されている。
【0024】
このため、橋軸直角方向に隣り合う2つの縦リブの間の領域に1つの補強材のみが配置される構成に比べ、2つの縦リブの間の領域において、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部において作用する応力を低減できる。この結果、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0025】
第8態様の補強構造では、前記一対の補強材は、前記デッキプレート上を走行する車両の車輪が通過する第一範囲に存在する前記領域に配置され、前記デッキプレート上を走行する車両の車輪が通過しない、又は、当該車輪の通過頻度が前記第一範囲より低い第二範囲に存在する前記領域には、前記補強材は配置されていない。
【0026】
このため、2つの縦リブの間の領域の全てに補強材が配置される構成に比べ、デッキプレート上を走行する車両の輪荷重を効率的に支持できる。
【0027】
第9態様の補強構造では、前記第一接着部、前記第二接着部、及び前記第三接着部の少なくとも1つの接着部と、前記鋼床版との間に、前記補強材よりも高い伸度を有する高伸度材を挟んだ状態で、当該少なくとも1つの接着部が接着されている。
【0028】
このため、第一接着部、第二接着部、及び第三接着部の全部が、鋼床版に対して直接、接触した状態で接着される構成に比べ、補強材が鋼床版の変形に追従し、補強材の剥離が抑制される。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記構成としたので、デッキプレートと縦リブとの溶接部、及びデッキプレートと横リブとの溶接部における疲労き裂の発生を抑制できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る補強構造によって補強された橋梁の一部を示す概略図である。
図2図1に示される橋梁に備えられた鋼床版の一部を斜め下方から見た斜視図である。
図3図1に示される橋梁の一部を部分的に拡大した拡大図である。
図4】本実施形態に係る補強材を、橋軸方向の一方側(具体的には、図1及び図3の紙面手前側)から見た正面図である。
図5】本実施形態に係る補強材を、図4における矢印X1方向側から見た側面図である。
図6】本実施形態に係る補強材を、図4における矢印Z1方向側から見た底面図である。
図7】本実施形態に係る補強材が設けられていない構成(比較例)を示す図である。
図8】本実施形態に係る補強材と鋼床版との間に高伸度材を挟んだ変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0032】
(橋梁10)
まず、本実施形態に係る補強構造19によって補強される補強対象としての橋梁10について説明する。図1は、橋梁10の一部を示す概略図である。図2は、橋梁10に備えられた鋼床版12の一部を斜め下方から見た斜視図である。図3は、図1に示される橋梁10の一部を部分的に拡大した拡大図である。
【0033】
なお、各図では、X方向にて橋軸方向を示し、Y方向にて橋軸直角方向を示し、Z方向にて鉛直方向を示している。橋軸方向は、橋梁10の延長方向である。橋軸直角方向は、橋軸方向及び鉛直方向に対して直角をなす方向である。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する方向である。なお、以下の説明では、橋軸方向を前後方向という場合があり、橋軸直角方向を、左右方向という場合がある。
【0034】
図1に示される橋梁10は、例えば、高速道路が敷設された高架橋として用いられる橋梁である。橋梁10は、図1に示されるように、舗装材11と、鋼床版12と、を備えている。鋼床版12は、デッキプレート14と、複数の主桁16と、横リブ18と、複数のUリブ20と、を有している。デッキプレート14、主桁16、横リブ18及びUリブ20の各々は、鋼材から構成されている。なお、Uリブ20は、縦リブの一例である。
【0035】
デッキプレート14は、橋梁10を通行する通行物(例えば、車両100、人など)を支持する床板である。このデッキプレート14は、鉛直方向を厚み方向とする平板状に形成されている。デッキプレート14の上面14Aは、舗装材11によって舗装されている。舗装材11としては、例えば、アスファルト又はコンクリート等の種々の材料を用いることができる。
【0036】
主桁16は、橋軸方向に沿って延設されている。この主桁16は、橋軸方向視における断面形状が、一例として、I字形状をしている。主桁16の上端部は、例えば、デッキプレート14の下面14Bに溶接されている。
【0037】
横リブ18は、橋軸直角方向に沿って延設され、デッキプレート14の下面14Bに溶接されたリブである。この横リブ18は、橋軸直角方向視における断面形状が、一例として、逆T字形状をしている(図2参照)。横リブ18の橋軸直角方向の一端部及び他端部は、図1に示されるように、例えば、主桁16に溶接されている。
【0038】
横リブ18は、具体的には、図2に示されるように、橋軸方向を厚み方向とする板状に形成されたウェブ18Aと、ウェブ18Aの下端から前後方向(すなわち橋軸方向の一方及び他方)に張り出したフランジ18Bと、を有している。フランジ18Bは、鉛直方向を厚み方向とする板状をなしている。ウェブ18Aの上端部が、例えば、デッキプレート14の下面14Bに溶接されている。
【0039】
さらに、ウェブ18Aの上端部には、Uリブ20が配置される凹部18Cが形成されている。この凹部18Cは、橋軸直角方向に所定間隔をあけて複数が配置されている。凹部18Cの各々は、上方側(すなわち、デッキプレート14側)へ向かって開口している。
【0040】
Uリブ20は、横リブ18に対して交差すると共に橋軸方向に沿って延設され、デッキプレート14の下面14Bに溶接されたリブである。具体的には、Uリブ20は、横リブ18の凹部18Cを通されている。換言すれば、Uリブ20は、横リブ18を貫通するように、橋軸方向に沿って延設されている。
【0041】
さらに、Uリブ20は、図3に示されるように、橋軸方向視にて、上方側(すなわち、デッキプレート14側)が開口するU字状の断面形状に形成されている。具体的には、Uリブ20は、橋軸方向視にて橋軸直角方向に延びる底壁部22と、底壁部22の左端部及び右端部(すなわち橋軸直角方向の一端部及び他端部)の各々から上方側に延びる一対の側壁部23、25と、を有している。底壁部22は、鉛直方向を厚み方向とする板状に形成されている。
【0042】
側壁部23、25は、図3に示されるように、上端側(すなわちデッキプレート14側)ほど互いの間隔が広がるように、底壁部22に対して傾斜している。具体的には、側壁部23は、橋軸方向視にて、橋軸直角方向に対して傾斜する傾斜方向M1に沿って配置されている。側壁部25は、橋軸方向視にて、橋軸直角方向に対して傾斜する傾斜方向M2に沿って配置されている。
【0043】
側壁部23は、傾斜方向M1に直交する直交方向N1を厚み方向とする板状に形成されている。側壁部25は、傾斜方向M2に直交する直交方向N2を厚み方向とする板状に形成されている。側壁部23、25の上端部は、デッキプレート14の下面14Bに対して溶接されている。これにより、Uリブ20は、デッキプレート14とで閉断面を形成する。Uリブ20の外周面(すなわち、底壁部22の下面、及び側壁部23、25の外側面)は、横リブ18のウェブ18Aにおける凹部18Cの縁部分に対して溶接されている。
【0044】
横リブ18の凹部18Cにおける上端の縁部分には、扇状の切欠きであるスカラップ18Eが形成されている。スカラップ18Eにより、デッキプレート14とUリブ20の上端部との溶接部71(図7参照)、デッキプレート14と横リブ18との溶接部72(図7参照)、及び、Uリブ20の側壁部23、25と横リブ18との溶接部73(図7参照)が互いに重なることが避けられる。
【0045】
横リブ18の凹部18Cにおける下端には、図3に示されるように、切欠きであるスカラップ18Fが形成されている。スカラップ18Fは、橋軸方向視にて、Uリブ20の底壁部22及び側壁部23、25の下側部分に沿って形成されている。
【0046】
(補強構造19)
補強構造19は、図1に示されるように、一対の補強材50、51を複数備えている。この補強構造19では、一対の補強材50、51の各々が、鋼床版12に対して接着されている。以下、補強材50、51について具体的に説明する。図4は、補強材50を、橋軸方向の一方側(具体的には、図1及び図3の紙面手前側)から見た正面図である。図4は、図3に示される補強材を拡大した拡大図ともいえる。図5は、補強材50を、図4における矢印X1方向側から見た側面図である。図6は、補強材50を、図4における矢印Z1方向側から見た底面図である。
【0047】
(補強材50、51)
一対の補強材50、51は、図1に示されるように、橋軸直角方向に隣り合う2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29Rに配置されている。本実施形態では、領域29Rは、デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102が通過する第一範囲61に存在する領域である。すなわち、補強材50、51は、デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102が通過する第一範囲61に存在する領域29Rに配置されている。
【0048】
デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102が通過しない、又は、当該車輪102の通過頻度が第一範囲61より低い第二範囲62に存在する領域29Sには、一対の補強材50、51は、配置されていない。なお、図1では、複数存在する領域29Sのうち、1つの領域29Sに符号を付している。
【0049】
本実施形態では、2つのUリブ20の間の領域のうち、鉛直方向視において、第一範囲61に対して、少なくとも一部が重なる領域を、第一範囲61に存在する領域29Rと把握することができる。また、2つのUリブ20の間の領域のうち、鉛直方向視において、第二範囲62に対して、全部が重なる領域を、第二範囲62に存在する領域29Sと把握することができる。なお、第一範囲61及び第二範囲62は、橋軸直角方向に沿った範囲である。例えば、車両100が走行する車線を第一範囲61と把握し、路肩及び路側帯を第二範囲62と把握することができる。さらに、例えば、車線において、車輪が通過する位置(すなわち、輪荷重位置)を第一範囲61と把握し、それ以外の範囲を第二範囲62と把握してもよい。
【0050】
補強材50と補強材51とは、図3に示されるように、左右対称に形成されている点を除いて、同様に形成されている。このため、以下では、補強材50について説明し、補強材51については、補強材50と同一機能を有する部分に同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0051】
補強材50は、繊維強化プラスチックで形成されている。補強材50に用いられる繊維としては、例えば、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル等の有機繊維、バサルト繊維、炭素繊維、ガラス繊維、鋼繊維等の金属繊維などを一種、又は、複数種混入して使用することができる。
【0052】
補強材50は、図2図3及び図4に示されるように、デッキプレート14の下面14Bに接着されるプレート接着部54と、横リブ18に接着される横リブ接着部58と、Uリブ20に接着されるUリブ接着部52と、を有している。なお、プレート接着部54は、第一接着部の一例であり、横リブ接着部58は、第二接着部の一例であり、Uリブ接着部52は、第三接着部の一例である。
【0053】
プレート接着部54は、補強材50における上端部分を構成し、鉛直方向を厚み方向とする板状に形成されている。プレート接着部54の上面54Aが、デッキプレート14の下面14Bに接着される。すなわち、プレート接着部54の上面54Aが、デッキプレート14に対する接着面として機能する。
【0054】
横リブ接着部58は、図5に示されるように、補強材50における橋軸方向の一端部分を構成し、橋軸方向を厚み方向とする板状に形成されている。横リブ接着部58の橋軸方向の一端面58Aが、横リブ18のウェブ18Aに接着される。すなわち、横リブ接着部58の橋軸方向の一端面58Aが、横リブ18に対する接着面として機能する。本実施形態では、横リブ接着部58は、図3に示されるように、橋軸方向視にて、横リブ18のスカラップ18Eの少なくとも一部に重なる(覆う)ように横リブ18に接着される。また、横リブ接着部58は、橋軸方向視にて、略五角形状に形成されている。さらに、横リブ接着部58の下端部は、図4及び図5に示されるように、Uリブ接着部52の下端部よりも下方側に張り出している。また、横リブ接着部58の下端は、図4に示されるように、直交方向N2に沿って配置されており、橋軸直角方向に対して傾斜している。
【0055】
Uリブ接着部52は、図4に示されるように、補強材50における橋軸直角方向の一端部分を構成し、傾斜方向M2に沿って配置されている。Uリブ接着部52は、橋軸直角方向(具体的には、直交方向N2)を厚み方向とする板状に形成されている。Uリブ接着部52の橋軸直角方向(具体的には、直交方向N2)の一端面52Aが、Uリブ20(A)の側壁部25の外側面に接着される。すなわち、Uリブ接着部52の橋軸直角方向の一端面52Aが、Uリブ20(A)に対する接着面として機能する。なお、補強材51では、Uリブ接着部52は、傾斜方向M1に沿って配置され、Uリブ20(B)の側壁部23の外側面に対して接着される。
【0056】
なお、本実施形態では、図3に示されるように、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々は、例えば、鋼床版12の各部に直接、接着される。また、補強材50、51を鋼床版12へ接着する接着剤としては、例えば、常温硬化型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及び光硬化型樹脂などを使用することができる。また、補強材50、51を鋼床版12に対して接着する際には、接着剤が硬化するまで、例えば、リベットや磁石等の保持部材98を用いて、補強材50、51を鋼床版12に保持するようにしてもよい。
【0057】
補強材50は、さらに、連結部53(図5参照)、連結部55(図4参照)、及び連結部57(図6参照)を備えている。連結部53は、図5に示されるように、プレート接着部54における橋軸方向の一端部と横リブ接着部58の上端部とを連結している。連結部55は、図4に示されるように、プレート接着部54における橋軸直角方向の一端部と、Uリブ接着部52の上端部とを連結している。連結部57は、図6に示されるように、Uリブ接着部52における橋軸方向の一端部と、横リブ接着部58における橋軸直角方向の一端部とを連結している。連結部53(図5参照)、連結部55(図4参照)、及び連結部57(図6参照)の各々は、橋軸方向視にて、円弧状(R形状)に形成されている。
【0058】
補強材50では、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々が、交差する二方向に配向された繊維を含んでいる。具体的には、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々では、繊維が、各接着部の板面方向に沿って、直交する二方向に配向されている。さらに具体的には、プレート接着部54では、繊維が、橋軸方向、及び橋軸直角方向の二方向に配向されている。また、Uリブ接着部52では、繊維が、橋軸方向、及び傾斜方向M2(橋軸直角方向視における鉛直方向)の二方向に配向されている。また、横リブ接着部58では、繊維が、傾斜方向M2及び直交方向N2の二方向に配向されている。
【0059】
補強材50では、プレート接着部54(連結部55における周方向S1の中央55Pからプレート接着部54側の部分を含む)の橋軸直角方向の幅W1(図4参照)が、例えば、100mm以上200mm以下とされている。
【0060】
Uリブ接着部52(連結部55における周方向S1の中央55PからUリブ接着部52側の部分を含む)の傾斜方向M2の長さH1(図4参照)が、例えば、70mm以上170mm以下とされている。長さH1は、幅W1よりも短くされている。
【0061】
プレート接着部54(連結部53を含む)の橋軸方向の長さL1(図5参照)が、例えば、50mm以上150mm以下とされている。長さL1は、長さH1よりも短くされている。
【0062】
Uリブ接着部52(連結部57を含む)の橋軸方向の長さL2(図6参照)が、例えば、50mm以上150mm以下とされている。長さL2は、長さL1と同じとされている。
【0063】
プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々の厚さT1(図4図5及び図6参照)は、例えば、6mm以上12mm以下とされる。
【0064】
連結部53(図5参照)、連結部55(図4参照)、及び連結部57(図6参照)の各々の半径53R、55R、57Rは、例えば、20mm以上40mm以下とされている。また、橋軸方向において、プレート接着部54に対するUリブ接着部52の角度θ1(図4参照)は、例えば、95度以上115度以下とされる。
【0065】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態の作用効果を説明する。
【0066】
本実施形態に係る補強構造19では、一対の補強材50、51は、図2図3及び図4に示されるように、デッキプレート14の下面14Bに接着されるプレート接着部54と、横リブ18に接着される横リブ接着部58と、Uリブ20に接着されるUリブ接着部52と、を有している。
【0067】
ここで、図7に示されるように、鋼床版12に対して補強材50、51が設けられていない構成では、橋梁10を通行する通行物(例えば、車両100、人など)からの荷重が繰り返し作用すると、鋼床版12の各部で疲労き裂が発生する場合がある。疲労き裂は、例えば、デッキプレート14とUリブ20との溶接部71、デッキプレート14と横リブ18との溶接部72、及び横リブ18とUリブ20との溶接部73で発生する。
【0068】
特に、横リブ18とUリブ20との交差部分において、切欠きであるスカラップ18Eが横リブ18に形成されている場合には、スカラップ18Eの縁部分から、溶接部72、溶接部73、及びそれらの周辺において、疲労き裂が発生しやすい。
【0069】
これに対して、補強構造19では、前述のように、一対の補強材50、51は、図2図3及び図4に示されるように、デッキプレート14、横リブ18及びUリブ20の各々に接着される接着部(すなわち、プレート接着部54、横リブ接着部58及びUリブ接着部52)を有しているので、溶接部71、72、73において作用する応力を低減できる。この結果、溶接部71、72、73における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0070】
さらに、補強構造19では、補強材50、51の個々の部材が、プレート接着部54、横リブ接着部58及びUリブ接着部52を有しているため、1つの部材(具体的には補強材50又は補強材51)によって、複数の溶接部分(具体的には溶接部71、72、73)を同時に補強することができる。この結果、複数の溶接部分の各々を、別々の部材で補強する場合に比べ、部品点数の低減、及び、補強材50、51の鋼床版12への取付工程数の低減につながる。
【0071】
また、補強材50、51では、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52は、板状に形成され、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々が、互いに、連結部53(図5参照)、連結部55(図4参照)、及び連結部57(図6参照)によって、連結されている。このため、補強材50、51がブロック状(例えば多角柱形状)に形成される構成に比べ、補強材50、51の補強性能を維持しつつ、補強材50、51の軽量化を図ることができる。
【0072】
補強材50、51では、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々は、交差する二方向に配向された繊維を含んでいる。このため、補強材50、51に対して、当該交差する二方向に荷重が作用した場合でも、当該荷重に対抗できる。これにより、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々が一方向に配向された繊維のみを含んでいる構成に比べ、溶接部71、72、73において作用する応力を低減できる。この結果、溶接部71、72、73における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0073】
また、補強材50、51では、横リブ接着部58は、直交方向N2に配向された繊維を含んでいる。このため、補強材50、51に対して、荷重が直交方向N2に作用した場合でも、当該荷重に対抗でき、溶接部71、72、73において作用する応力を低減できる。この結果、溶接部71、72、73における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0074】
さらに、補強材50、51では、横リブ接着部58は、傾斜方向M2に配向された繊維を含んでいる。このため、補強材50、51に対して、荷重が傾斜方向M2に作用した場合でも、当該荷重に対抗でき、溶接部71、72、73において作用する応力を低減できる。この結果、溶接部71、72、73における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0075】
また、補強構造19では、一対の補強材50、51は、図1に示されるように、2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29Rに配置されている。さらに、補強材50のUリブ接着部52が、Uリブ20(A)の側壁部25に接着され、補強材51のUリブ接着部52が、Uリブ20(B)に接着されている。
【0076】
このため、2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29Rに1つの補強材50のみが配置される構成に比べ、領域29Rにおいて、溶接部71、72、73において作用する応力を低減できる。この結果、溶接部71、72、73における疲労き裂の発生を抑制できる。
【0077】
領域29Rは、デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102が通過する第一範囲61に存在する領域である。すなわち、一対の補強材50、51は、図1に示されるように、デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102が通過する第一範囲61に存在する領域29Rに配置されている。
【0078】
デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102が通過しない、又は、当該車輪102の通過頻度が第一範囲61より低い第二範囲62に存在する領域29Sには、一対の補強材50、51は、配置されていない。
【0079】
このため、2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29R、29Sの全てに一対の補強材50、51が配置される構成に比べ、デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102の輪荷重を効率的に支持できる。
【0080】
(補強構造19の第一変形例)
本実施形態では、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々は、例えば、鋼床版12の各部に直接、接着されていたが、これに限られない。例えば、図8に示されるように、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々と、鋼床版12の各部との間に、補強材50、51よりも高い伸度を有する高伸度材90を挟んだ状態で、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52が鋼床版12に接着されている構成であってもよい。なお、デッキプレート14及びUリブ20と高伸度材90との隙間(補強材50の連結部55における隙間)には、エポキシ樹脂などの樹脂材料で構成された不陸整正材92を塗布してもよい。
【0081】
高伸度材90としては、例えば、ポリウレア樹脂、ウレタン樹脂、又は、エポキシ樹脂などの樹脂材料が用いられる。高伸度材90は、パテ材として、鋼床版12の各部に直接塗布された後、硬化される。
【0082】
第一変形例によれば、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の全部が、鋼床版12に対して直接、接触した状態で接着される構成に比べ、補強材50、51が鋼床版12の変形に追従し、補強材50、51の剥離が抑制される。
【0083】
なお、第一変形例では、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々と、鋼床版12の各部との間に、高伸度材90を挟んだ状態とされていたが、これに限られない。プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の一部と、鋼床版12の各部との間に、高伸度材90を挟んだ状態とされていてもよく、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の少なくとも一部と、鋼床版12の各部との間に、高伸度材90が挟まれた状態とされていればよい。
【0084】
(補強構造19の他の変形例)
補強構造19では、デッキプレート14上を走行する車両100の車輪102が通過しない、又は、当該車輪102の通過頻度が第一範囲61より低い第二範囲62に存在する領域29Sには、一対の補強材50、51は、配置されていなかったが、これに限られない。例えば、2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29R、29Sの全てに一対の補強材50、51が配置される構成であってもよい。
【0085】
また、補強構造19では、一対の補強材50、51は、図1に示されるように、2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29Rに配置されていたが、これに限られない。例えば、2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29Rに、1つの補強材50又は1つの補強材51のみが配置される構成であってもよい。すなわち、本発明の補強構造としては、2つのUリブ20(A)、20(B)の間の領域29Rに、少なくとも1つの補強材が配置されていればよい。
【0086】
(補強材50の変形例)
補強材50、51では、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52は、板状に形成されていたが、これに限られない。例えば、補強材50、51がブロック状(例えば、多角柱形状)に形成される構成であってもよく、補強材50、51としては、デッキプレート14、横リブ18、及びUリブ20の各々に接着される接着部分を有していればよい。
【0087】
また、補強材50、51では、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々が、互いに、連結部53(図5参照)、連結部55(図4参照)、及び連結部57(図6参照)によって、連結されていたが、これに限られない。例えば、補強材50、51は、プレート接着部54、横リブ接着部58、及びUリブ接着部52の各々が、連結部53、55、57(すなわちR形状部分)を介さずに、連結されていてもよい。
【0088】
また、補強材50、51では、プレート接着部54における繊維が、橋軸方向、及び橋軸直角方向の二方向に配向されていたが、これに限られない。当該繊維は、例えば、橋軸方向及び橋軸直角方向以外の方向を含む、交差する二方向に配向されていてもよく、さらに、一方向のみに配向されている構成であってもよい。
【0089】
また、補強材50、51では、Uリブ接着部52における繊維が、橋軸方向、及び傾斜方向M2(橋軸直角方向視における鉛直方向)の二方向に配向されていたが、これに限られない。当該繊維は、例えば、橋軸方向及び傾斜方向M2以外の方向を含む、交差する二方向に配向されていてもよく、さらに、一方向のみに配向されている構成であってもよい。
【0090】
また、補強材50、51では、横リブ接着部58における繊維が、傾斜方向M2及び直交方向N2の二方向に配向されていたが、これに限られない。当該繊維は、例えば、傾斜方向M2及び直交方向N2以外の方向を含む、交差する二方向に配向されていてもよく、さらに、一方向のみに配向されている構成であってもよい。傾斜方向M2及び直交方向N2以外の方向としては、例えば、橋軸直角方向又は、鉛直方向が挙げられる。したがって、当該繊維が、例えば、傾斜方向M2又は直交方向N2と、橋軸直角方向又は鉛直方向との二方向に配向される構成であってもよい。
【0091】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 橋梁
11 舗装材
12 鋼床版
14 デッキプレート
14A 上面
14B 下面
16 主桁
18 横リブ
18A ウェブ
18B フランジ
18C 凹部
18E スカラップ
18F スカラップ
19 補強構造
20 Uリブ
22 底壁部
23 側壁部
25 側壁部
29R 領域
29S 領域
50 補強材
51 補強材
52 Uリブ接着部
52A 一端面
53 連結部
54 プレート接着部
54A 上面
55 連結部
55P 中央
57 連結部
58 横リブ接着部
58A 一端面
61 第一範囲
62 第二範囲
71 溶接部
72 溶接部
73 溶接部
90 高伸度材
100 車両
102 車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8