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特開2023-90709垂直炉用のライナーおよびフランジ組立品ならびにライナーおよび垂直炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090709
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】垂直炉用のライナーおよびフランジ組立品ならびにライナーおよび垂直炉
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230622BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20230622BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H01L21/31 E
H01L21/31 B
H01L21/22 511G
H01L21/22 511S
H01L21/324 Q
H01L21/324 T
H01L21/324 R
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023053849
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2020502654の分割
【原出願日】2018-07-25
(31)【優先権主張番号】15/660,805
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルシアン・イディラ
(72)【発明者】
【氏名】クリス・デ・リッデル
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・オーステルラーケン
(72)【発明者】
【氏名】クラース・ペー・ボーンストラ
(57)【要約】
【課題】基材を処理するための垂直炉用のライナーおよびフランジの組立品が提供される。
【解決手段】ライナーは、垂直炉のプロセスチューブの内部に延在するように構成され、フランジはライナー開口部を少なくとも部分的に閉鎖するように構成される。ライナーは、下端のライナー開口部および上端で区切られ、ガスのためにライナー開口部の上方で実質的に閉じられ、内部空間を画定する略円筒形の壁を含む。フランジは、ライナーの内部空間内に基材を搬送するように構成されたボートを挿入および取り出すように構成された入口開口部と、内部空間にガスを供給するガス入り口と、を含む。組立品は、内部空間およびライナーと低圧チューブとの間の空間からガスを除去するためのガス排出開口部を備えて構築および配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーおよびフランジの組立品であって、前記ライナーが垂直炉の低圧チューブの内部に延在するように構成され、前記ライナーが、
下端のライナー開口部およびより上端の頂部閉鎖によって区切られ、前記ライナー開口部の上方でガスのために実質的に閉じられ、内部空間を画定する略円筒形の壁であって、前記フランジが前記チューブの開口部を少なくとも部分的に閉じるように構成される、略円筒形の壁を含み、
前記ライナーの前記内部空間内で基材を搬送するように構成されたボートを挿入および取り出すように構成された入口開口部と、
ガスを前記内部空間に供給するためのガス入口であって、前記組立品が、前記内部空間および前記ライナーと前記低圧チューブとの間の空間からガスを除去するためのガス排出開口部を備えて構築および配置される、ガス入口と、を含む、組立品。
【請求項2】
前記ガス入口が、前記ライナーの前記略円筒形の壁に沿って前記内部空間内に上端に向かって延在するように前記組立品内に構築および配置され、前記内部空間内にガスを注入するための少なくとも一つの開口部を含む、インジェクターを備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項3】
垂直方向に延在する開口部のパターンが、前記インジェクターに沿って提供される、請求項2に記載の組立品。
【請求項4】
前記インジェクター内部のガス伝導チャネルの内側断面積が、100mm~1500mmである、請求項2に記載の組立品。
【請求項5】
前記インジェクター内部のガス伝導チャネルの水平方向の内側断面が、半径方向の寸法よりも大きい、前記略円筒形のライナーの円周に接する方向の寸法を備える形状を有する、請求項2に記載の組立品。
【請求項6】
前記少なくとも一つの開口部の面積が、1mm~200mmであり得る、請求項2に記載の組立品。
【請求項7】
前記インジェクターの前記下端から前記上端に向かうにつれ、前記開口部間の垂直方向の距離が減少する、請求項3に記載の組立品。
【請求項8】
前記開口部が、ガスが少なくとも二つの異なる方向に注入されるように構成される、請求項3に記載の組立品。
【請求項9】
前記少なくとも一つの開口部が、内側から外側に向かって凹形状を有する、請求項2に記載の組立品。
【請求項10】
前記開口部が、前記インジェクターの二つの垂直に延在する離間した分岐の上に位置付けられる、請求項2に記載の組立品。
【請求項11】
前記インジェクターが、前記ライナーの前記上端付近に一つの開口部を含む、請求項2に記載の組立品。
【請求項12】
前記内部空間を区切る前記ライナーが、半径方向外側に延在する膨張部を有する、請求項1に記載の組立品。
【請求項13】
前記内部空間からガスを除去するための前記ガス排出開口部が、前記ライナーの開放端の下に提供される、請求項1に記載の組立品。
【請求項14】
前記組立品が、前記ライナーと前記チューブとの間の空間にパージガスを供給するための前記フランジ上に取り付けられたパージガス入口を備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項15】
前記パージガス入口が、前記ライナーの前記略円筒形の壁の外表面に沿って、前記ライナーの前記上端に向かって延在するパージガスインジェクターを備える、請求項14に記載の組立品。
【請求項16】
前記組立品が、前記フランジ上に取り付けられ、前記ライナーの前記略円筒形の壁に沿って前記ライナーの前記上端に向かって延在し、温度を測定する温度測定システムを備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項17】
前記温度測定システムが、前記ライナーの外表面に沿って配置される、請求項16に記載の組立品。
【請求項18】
前記ライナーが、前記温度測定システムを収容するための半径方向内側に延在する膨張部を含む、請求項17に記載の組立品。
【請求項19】
前記ライナーおよびガスインジェクターのうちの少なくとも一つが、炭化ケイ素およびシリコンから選択される材料を含む、請求項1に記載の組立品。
【請求項20】
前記組立品が、前記ライナーの下面と前記フランジの上面との間に間隙があるように構成および配置される、請求項1に記載の組立品。
【請求項21】
前記フランジの上面が、前記低圧チューブを封止するためのシールを収容するための溝を備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項22】
前記組立品が、ライナー壁の外側の略円筒形の表面の半径方向外側に位置付けられた領域内に配置された少なくとも一つの排出開口部を含む、請求項1に記載の組立品。
【請求項23】
垂直炉であって、
内部を画定する低圧プロセスチューブと、
前記チューブの内部を加熱するように構成されたヒーターと、
請求項1に記載の組立品であって、前記フランジが前記プロセスチューブの開放端を部分的に閉じ、中心入口開口部を開いたままとし、前記ライナーが前記プロセスチューブの内部に延在する、組立品と、
前記フランジの前記中心入口開口部を閉鎖するように構成され、基材を保持するように構成されたウェーハボートを支持するように構成された垂直方向に可動に配置されたドアと、を含む、垂直炉。
【請求項24】
前記ドアが、前記内部空間内の前記ウェーハボートを回転させる回転子を備える、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項25】
前記フランジの上面と前記チューブとの間にシールが提供され、前記低圧チューブを封止する、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項26】
圧力制御システムが提供され、前記ガス排出開口部を介して前記チューブの内部からガスを除去する、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項27】
前記チューブが、前記内部空間および前記ライナーを含む前記チューブの低圧空間と、前記チューブ外側の大気圧空間との間に圧力バリアを提供するように構築および配置される、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項28】
垂直炉の低圧チューブの内部に延在するように構成されるライナーであって、
下端のライナー開口部および上端の頂部閉鎖によって区切られ、前記ライナー開口部の上方でガスのために実質的に閉じられ、内部空間を画定する略円筒形の壁であって、前記ライナーが炭化ケイ素を含む、略円筒形の壁を含む、ライナー。
【請求項29】
炭化ケイ素ライナーが、4mm~6mm厚である、請求項28に記載のライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧垂直炉、そしてさらに特には低圧垂直炉用のライナーおよびフランジの組立品ならびにその中で使用されるライナーに関する。ライナーは、垂直炉、およびチューブの内部を部分的に閉鎖するように構成されたフランジの低圧プロセスチューブの内部に延在するように構成される。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体ウェーハなどの基材を処理するための垂直処理炉は、ベルジャー形状のプロセスチューブの周りに配置された加熱手段およびプロセスチューブ内に同軸に配置される実質的に円筒形のライナーを含み得る。プロセスチューブの上端は、例えばドーム形構造によって閉じられていてもよいが、プロセスチューブの下端面は開いていてもよい。
【0003】
ライナーは、その上端および下端で開いていてもよい。下端はフランジによって部分的に閉じられてもよい。ライナーおよびフランジによって区切られた内部空間は、処理されるウェーハがその中で処理され得るプロセスチャンバーを形成する。ライナーとプロセスチューブとの間は、円周方向空間である。フランジは、ウェーハを搬送するウェーハボートを内部空間内に挿入するための入口開口部を備え得る。ウェーハボートは、垂直方向に移動可能に配置され、フランジの入口開口部を閉鎖するように構成されるドア上に配置されることができる。
【0004】
フランジは、ライナーによって区切られた内部空間と流体連結する少なくとも一つのガス入口をさらに含み得る。さらに、ライナーとプロセスチューブとの間の円周方向空間と流体接続するガス排気口が提供され得る。このガス排気口は、円周方向空間からガスを排出するために真空ポンプに接続され得る。この構成は、ライナーの下端のガス入口からライナーの内部空間を通ってライナーの開放端を介してライナーの開放端を上方向に通り、円周方向空間内へ、そしてガス排気口に至るガス流をもたらし得る。流れの中のガスは、基材上の堆積反応のための反応(プロセス)ガスとし得る。この反応ガスはまた、垂直炉内のウェーハ以外のその他の表面上に堆積され得る。
【0005】
基材を処理するための垂直処理炉の問題点は、プロセスチューブの内部空間における汚染であり得る。
【発明の概要】
【0006】
それゆえ汚染を低減し得る改善されたライナーおよびフランジの組立品が必要とされ得る。
【0007】
したがって、第一の実施形態によるライナーおよびフランジの組立品が提供され、当該ライナーは垂直炉の低圧プロセスチューブの内部に延在するように構成される。組立品のライナーは、下端のライナー開口部および上端の頂部閉鎖によって区切られた実質的に円筒形の壁を含み得る。ライナーは、ガスのためのライナー開口部の上方で実質的に閉じられていてもよく、かつ内部空間を画定する。フランジは、ライナーの内部空間内に基材を搬送するように構成されたボートを挿入および除去するように構成された入口開口部を含み得る。フランジは、チューブの開口部を少なくとも部分的に閉鎖するように構成され得る。フランジは、内部空間内に反応ガスを提供するためのガス入口ダクトを有し得る。組立品は、内部空間およびライナーと低圧プロセスチューブとの間の空間からガスを除去するためのガス排出開口部を備えて構築および配置され得る。
【0008】
汚染は、反応ガスのためのライナー開口部上のライナーを閉じること、および反応ガスがライナーとチューブとの間の空間に達しないように、フランジのガス排出ダクトによって、内部空間およびライナーとプロセスチューブとの間の空間から反応ガスを除去することにより、回避され得る。従って、プロセスチューブの内側およびライナーの外側は、実質的に反応ガスがそこを流れていないため、清浄に保たれ得る。
【0009】
一実施形態によれば、垂直炉が提供され、当該垂直炉は、
内部を画定する低圧プロセスチューブと、
チューブの内部を加熱するように構成されたヒーターと、
第一の実施形態による組立品であって、フランジがプロセスチューブの開放端を部分的に閉じ、中心入口開口部を開いたままとし、ライナーがプロセスチューブの内部内に延在する、組立品と、
フランジの中心入口開口部を閉鎖するように構成され、基材を保持するように構成されたウェーハボートを支持するように構成された垂直方向に可動に配置されたドアと、を含む。
【0010】
垂直炉は、ライナーおよびフランジの組立品を参照して上述された利点を有する。一つの利点は、内部空間とチューブとの間のバリアとしてライナーを提供することによって汚染が防止されることであり得る。
【0011】
さらなる実施形態によれば、垂直炉の低圧プロセスチューブの内部に延在するように構成されたライナーが提供され得、当該ライナーは、
下端のライナー開口部および上端の頂部閉鎖によって区切られ、ライナー開口部の上方でガスのために実質的に閉じられ、内部空間を画定する実質的に円筒形の壁であって、ライナーが炭化ケイ素を含む、実質的に円筒形の壁を含む。
【0012】
本発明の様々な実施形態を、互いに別々に適用してもよく、または組み合わせてもよい。本発明の実施形態は、図面に示されるいくつかの例を参照して、詳細な説明において更に明らかにされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
当然のことながら、図内の要素は、単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの幾つかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0014】
図1図1は、一実施形態によるライナーおよびフランジの組立品を含む垂直処理炉のチューブの断面図を示す。
図2図2は、図1の組立品の概略上面図である。
図3図3は、垂直炉のプロセスチューブも示される、図2の線III-IIIにわたる組立品の断面斜視側面図である。
図4図4は、図2の線IV-IV上の断面である。
図5図5は、図4に示したものと類似の断面であるが、フランジに支持パッドが備わっている一実施形態である。
図6図6は、さらなる実施形態によるライナーおよびフランジの組立品を含む垂直炉の断面図を示す。
図7図7は、またさらなる実施形態によるライナーおよびフランジの組立品を含む垂直炉の断面図を示す。
図8図8は、図1図6または図7によるライナー内に位置した一実施形態によるインジェクターの底面斜視図である。
図9図9は、図1図6図7、および図8で使用するためのインジェクターを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願において、類似のまたは対応する形体は、類似のまたは対応する参照符号によって示される。様々な実施形態の説明は、図に示される例に限定されず、発明を実施するための形態および特許請求の範囲で使用される参照番号は、図に示される例について記述されるものを限定することを意図していない。
【0016】
図1は、一実施形態によるライナーおよびフランジの組立品を含む垂直炉の断面図を示す。垂直炉は、内部を画定する低圧プロセスチューブ12および内部を加熱するように構成されたヒーターHを含む。
【0017】
ライナー2は内部に延在し、ライナーは、下端のライナー開口部と、上端のドーム形状上部封止部2dとにより画定される、実質的に円筒形の壁を備える。ライナーは、ライナー開口部の上方でガスのために実質的に閉じられ、かつ内部空間Iを画定する。
【0018】
低圧プロセスチューブ12の開口部を少なくとも部分的に閉じるためにフランジ3を設けることができる。垂直方向に移動可能に配置されるドア14は、フランジ3の中央の入口開口Oを閉鎖するように構成され、基材Wを保持するように構成されるウェーハボートBを支持するように構成されることができる。フランジ3は、プロセスチューブ12の開口端を部分的に閉じていてもよい。ドア14に台座Rを設けることができる。台座Rを回転させて内部空間のウェーハボートBを回転させることができる。ボートB内の最も低い基材の下には、ボート内の基材Wの間の反応ガスの流れを防止するために流れ空間が提供され得る。
【0019】
図1に示す例では、組立品1は、外側の実質的に円筒形の表面2aおよび内側の実質的に円筒形の表面2bを有する実質的に円筒形のライナー壁を含むライナー2を含む。フランジ3は、チューブ開口部および、ライナー2の下端面2cによってより精密に画定されたライナー開口部を部分的に閉じるように構成される。フランジ3は、
ライナー2の内部空間I内に基材Wを搬送するように構成されたボートBを挿入および除去するように構成された入口開口部Oと、
例えば、反応ガスなどのガスFを内部空間Iに提供するガス入口16と、
内部空間からガスを除去するためのガス排気ダクト7と、を含む。
【0020】
ガス入口16には、ライナー2の実質的に円筒形の壁に沿って内部空間I内に垂直に上端に向かって延在するように組立品内に構築および配置され、内部空間Iにガスを注入するためのインジェクター開口部18を備えるインジェクター17を設け得る。
【0021】
内部空間からガスを除去するためのガス排気ダクト7に接続するガス排出開口部8を、インジェクター開口部18の下に構築および配置し得る。このように、ガスのためにライナー開口部の上方でライナー2を閉じ、インジェクター17を用いて内部空間Iの上端のインジェクター開口部18を通して内部空間にガスを供給し、および、内部空間の下端のガス排出開口部8により内部空間からガスを除去することにより、ライナー2の内部空間に下降流Fを形成することができる。この下降流Fは、反応副生成物、基材Wからの粒子、ボートB、ライナー2および/または支持フランジ3の汚染を、処理された基材Wから離れて排出開口部8に向かって下方に搬送することがある。
【0022】
ライナー2の開口端の下方に、内部空間Iからガスを除去するためのガス排出開口部8を設けてもよい。これは、プロセスチャンバーの汚染源が、ライナー2とフランジ3との間の接触によって形成され得るので、有益であることができる。より具体的には、開放端でのライナーの下端面がフランジと接触する位置に汚染源が存在し得る。基材の処理中、および特に処理後のボートの取り出し中に、ライナーおよびフランジは、ライナーおよびフランジ両方の温度を上昇させる熱に曝され得る。温度上昇のため、ライナーおよびフランジは、熱膨張を経験し得、これによってこれらは半径方向に膨張する。例えばライナー2は炭化ケイ素から作られ、フランジは金属から作られ得るため、ライナーおよびフランジは異なる熱膨張係数を有し得、ライナーとフランジは熱膨張中、互いに対して動くことができる。これにより、ライナーの下端面とフランジの上面との間の摩擦をもたらし、これは汚染物質、例えばライナーおよび/またはフランジから剥離する微細粒子をもたらす可能性がある。粒子はプロセスチャンバー内に移動する可能性があり、プロセスチャンバーおよび処理される基材を汚染する可能性がある。
【0023】
ガスのためにライナー開口部の上方でライナーを閉じ、内部空間の上端でガスインジェクターを用いて内部空間にプロセスガスを供給し、内部空間の下端でガス排気によって内部空間からガスを除去することにより、内部空間に下降流を形成することができる。この下降流は、ライナー-フランジ界面からの粒子を、処理された基材から離れる方向で下方に、排気口へ輸送することができる。
【0024】
ガス排出開口部8は、ライナー2とチューブ12との間の円周方向空間からガスを除去するために、ライナー2とチューブ12との間のフランジ3内に構築および配置されてもよい。このようにして、円周方向空間と内部空間Iの圧力を等しくすることができ、低圧垂直炉内ではチューブ12を囲む周囲の大気圧より低くすることができる。縦型炉は、低圧縦型炉のチューブの内部(ライナーの内部空間を含む)からガスを除去するための圧力制御システムを備えることができる。
【0025】
このように、ライナー2は、大気圧を補償する必要がないので、かなり薄くて比較的弱い材料で作ることができる。これにより、ライナー2の材料を選択する際の自由度が大きくなる。ライナー2の材料の熱膨張は、それが内部空間内で基材上に堆積される材料と同程度になるように選択されることができる。後者は、ライナーの膨張とライナー上にも堆積される材料とが同じであることができるという利点を有する。後者は、ライナー2の温度変化の結果として堆積した材料が脱落するリスクを最小にする。
【0026】
チューブ12は、チューブの内側の低圧に対して大気圧を補償しなければならない場合があるので、かなり厚く、比較的強い圧縮強度の材料で作ることができる。例えば、低圧プロセスチューブ12は5~8、好ましくは約6mmの厚さの石英で作ることができる。石英は、0.59×10-6 K-1の非常に低い熱膨張係数(CTE)(表1参照)を有し、それにより装置内の熱変動に容易に対応することができる。堆積する材料のCTEはより高い場合がある(例えば、Si3N4のCTE=3×10-6 K-1であり、SiのCTE=2.3×10-6 K-1である)が、その差は比較的小さい可能性がある。石英製のチューブにフィルムを堆積させると、チューブが多数の大きな熱サイクルを受けても付着する可能性があるが、汚染のリスクが高まる可能性がある。
【0027】
ライナー2は、チューブ2の内側へのいかなる堆積を回避することができ、したがって、チューブ12への堆積が脱落するリスクを軽減することができる。したがって、チューブは石英から作製され得る。
【0028】
炭化ケイ素のライナー2(SiCのCTE=4×10-6 K-1)は堆積膜とライナーの間のCTEにおいてより良い一致度を提供し得、その結果、ライナーからの堆積膜の除去を必要とし得る前の累積厚さがより大きくなる。CTEの不一致は、堆積膜のクラックおよび剥がれ落ち、ならびに対応して高い粒子数をもたらし、これは望ましくなく、SICライナー2を使用することによって軽減され得る。同じ機構がインジェクター17について作用し得る。しかし、インジェクター17の場合、異なる熱膨張を有するあまりに多くの材料が堆積すると、インジェクターが破損し得る可能性がある。したがって、炭化ケイ素またはケイ素からインジェクター17を製造することが有利であり得る。
【0029】
表1
半導体加工における材料の熱膨張係数(CTE)
【表1】
【0030】
材料がライナー2に、およびまたはインジェクター17に好適であるか否かは、堆積される材料に依存し得る。したがって、ライナー2および/またはインジェクター17のように、堆積材料に対して実質的に同一の熱膨張を有する材料を使用することができることが有利である。したがって、ライナー2および/またはインジェクター17に石英よりも比較的高い熱膨張を有する材料を使用できることが有利であることができる。例えば、炭化ケイ素のSICを使用することができる。炭化ケイ素ライナーは、大気圧を補償する必要がないため、4~6、好ましくは5mmの厚さとすることができる。圧力補償はチューブで行うことができる。
【0031】
約4×10-6 K-1~6×10-6 K-1のCTEを有する金属および金属化合物材料、例えばTaN、HfO2、およびTaO5を堆積させるシステムでは、例えば炭化ケイ素を含むライナーおよびインジェクター材料は、好ましくは約4×10-6K-1~9×10-6 K-1のCTEを有し得る。
【0032】
更に高いCTEを有する材料の堆積のために、例えば表2に示されるライナー材料および/またはインジェクター材料を選択することができる。
【0033】
表2
セラミック構築材料の熱膨張係数(CTE)
【表2】
【0034】
組立品には、ライナー2bの外面とプロセスチューブ12との間の円周方向空間SにパージガスPを供給するためにフランジ上に取り付けられたパージガス入口19を設けることができる。パージガス入口は、フランジ3からライナーの上端に向かってライナー2の円筒状壁の外面に沿って垂直に延在するパージガスインジェクター20を含む。円周方向空間SへのパージガスPは、ガス排気口8内に流れを作り、排気チューブ7から円周方向空間Sへの反応ガスの拡散を妨げることができる。
【0035】
フランジ3は上面を有してもよい。ライナー2は、ライナー壁2aの外側円筒面に接続され得る支持部材4によって支持されることができる、それぞれ下向きの支持面を有する。ライナーはまた、フランジ3の上面においてライナーの下面2cで直接支持されてもよい。
【0036】
支持部材4の支持面は、ライナー2の内側円筒面2bから径方向外側に配置されてもよい。この例では、支持部材4の支持面はまた、それらが取り付けられているライナー2の外側円筒面2aから径方向外側に配置されてもよい。支持部材4の下方に向く支持面は、フランジ3の上面と接触してライナー2を支持することができる。
【0037】
封止部の支持フランジ3は、ライナー2の内部空間およびライナー2と低圧チューブ12との間の環状空間からガスを除去するためのガス排出開口部8を備えることができる。ガス排出開口部の少なくともいくつかを、ライナー2の径方向外側のフランジ3の上面に設けることができる。ガス排出開口部の少なくともいくつかを、ライナー開口部の近くに設けてもよい。ガス排出開口部8は、内部空間およびプロセスチューブ12とライナー2との間の円周方向空間からガスを引き出すために、排気ダクト7を介してポンプと流体連通することができる。支持部材4と支持フランジ3の上面部分との間の摩擦によって作り出され得るいかなる粒子も、ガス排出開口部8を通ってガスと共に排出されることができる。いずれの場合でも、放出された粒子は基材Wの周りのプロセスチャンバーに入ることができない。
【0038】
図2は、図1の組立品の概略上面図である。図は、内側の実質的に円筒形の表面2bおよび、基材を搬送するように構成されたボートを挿入するための開口部13を形成する外側の実質的に円筒形の表面2aを画定する、円筒形壁を有するライナー2を示す。
【0039】
支持部材4もまた見ることができる。この例において、ライナー2は、ライナー2の外側の円筒形表面2aの外周に沿って均等に離間した三つの支持部材4を有する。支持部材4は、ライナー2の円筒形の壁の外側の円筒形表面2aに接続されたノッチとして具体化され得る。フランジは、フランジの上表面3aから上方に延在する位置決め突起部5を含み得る。位置決め突起部5は、支持部材4をその接線の端部表面上に係合し得る。結果として、位置決め突起部5は、支持フランジ3に対するライナー2のセンタリング機能を有する。位置決め突起部5は、ライナー2の外側の円筒形表面2aから空間的に分離され、ライナー2が半径方向に膨張することを可能にする。
【0040】
支持部材4を形成するライナー2およびノッチは、石英、ケイ素、または炭化ケイ素から製造され得る。三つの支持部材4の代わりに、代替の実施形態は、二つの支持部材4または三つより多い支持部材4を含み得る。さらに、支持部材4は、内側の円筒形表面2bから半径方向外側に離間し、またライナー2の外側の円筒形表面2aから半径方向外側に離間することが好ましい。また、円筒形のライナー壁2の半径方向の膨張が可能であるように、ライナー2の外側の円筒形表面2aと位置決め突起部5との間の空間が明瞭に示される。支持部材4の接線方向の長さは、通常1~5cmの範囲であり得る。内部空間を区切るライナー2は、内部空間内のインジェクター17または温度測定システムを収容するために、半径方向外側に延在する膨張部2eを有し得る。
【0041】
図3は、垂直処理炉のプロセスチューブ12も示される、図2の線III-IIIにわたる組立品の部分斜視断面図である。フランジは、フランジ3とチューブ12との間の良好な封止を提供するように、その中にOリングなどのシールを提供するために構築および配置された溝15を備え得る。フランジ3、チューブ12およびOリングが、外気圧とチューブ12内の低圧との間で圧力バリアの一部を形成し得るため、この良好な封止が必要である。Oリングは、石英が比較的低い熱膨張を有し、Oリングの摩耗を引き起こし得るOリングに対する石英の動きがほとんどないため、石英の境界面に提供され得る。
【0042】
図3はさらに、ライナー2の外側の円筒形表面2aに取り付けられた支持部材4を有するライナー2を示す。支持部材4は、ライナー2の円筒形壁に関して半径方向外側に位置付けられ得ることが明らかに見て取れる。支持部材4の下方に向けられた支持面は、フランジ3の上面3aと接触してライナー2を支持し得る。フランジ3が第一の上面部分3aを有し、それは支持部材4および第二の上面部分3aの下に延在し、ライナー2の円筒形壁の下端面2cの下に延在し得ることが見て取れる。この例において、第二の上面部分3aはまた、ライナー2の内径よりも小さい内径を有する、円形溝として形成され得る。第二の上面部分3aを形成する溝の外径は、ライナー2の外径よりも大きな外径を有し得る。
【0043】
支持部材4は、ライナー2の下端面2cがフランジ3の第二上面部3aから垂直方向に離間するように、第一の上面部分3a上でライナー2を支持し得る。したがって、ライナー2の下端面2cと支持フランジ3の第二の上面部分3aとの間に間隙が形成され得る。この間隙のおかげで、ライナー2と、ライナー壁2の内側の円筒形表面2bに隣接するフランジ3の上面との間の接触がない場合がある。ライナー2と、内側の円筒形表面2bに隣接したフランジ3の上面との間に接触がないことにより、ライナー2と上面3aとの間の摩擦によって生成され得る粒子のリスクが減少され得る。間隙は、0.1~10、好ましくは0.2~0.5mmとし得る。支持部材4はさらに、支持部材4の接線方向の長さに沿って延在し、開いている下方向に向けられた面を有する窪み10を含み得る。
【0044】
図4は、図2の線IV-IVにわたる断面である。半径方向内側の窪み縁部10aは、ライナー2の内側の円筒形表面2bに対して半径方向外側に配置され得る。窪み10の半径方向外側の窪み縁部10bは、支持部材4の支持面に対して半径方向内側に配置され得る。その結果、窪み10は、支持フランジ3の円形溝3aを少なくとも部分的に横切って配置され得、半径方向内側の窪み縁部10aは、溝3aの外径の半径方向内側に位置し得、半径方向外側の窪み縁部10bは、溝3a外径の半径方向外側に位置し得る。この構成により、内側の円筒形表面2bによって区切られた空間からライナー2の外側の円筒形表面2aの外側とプロセスチューブ12によって区切られた空間へと反応ガス流が流れることを可能とし得る(図3に図示される)。
【0045】
支持部材4の下方向に向けられた面と、支持部材4と反対側の支持フランジ3の上面3aとの間の摩擦によって生成され得る粒子は、下端面2cとフランジの上面3aとの間の間隙から離れて移動され得る。粒子を含むガスは、ガス排出口8を通して、その後排気ダクト7を通ってポンプへと除去され得る。
【0046】
図5は、サポートフランジ3がサポートパッド11を備え得る異なる実施形態の図2における線IV-IVにわたる断面と類似する。図5は、ライナー2、支持部材4および支持フランジ3を示す。この例の支持フランジ3は、支持フランジ3内に埋め込まれた支持パッド11を備え得る。支持パッド11は、支持部材4の下方向に向けられた支持面と接触し得、支持フランジ3と支持部材4の支持面との間の摩擦を減少させるように構成され得る。前述の摩擦の減少を提供するために、支持パッド11は、例えば、テフロン(登録商標)、ポリイミド、PEEK、ハステロイ、または任意の他の適切な材料など、比較的低摩擦定数の材料で作製され得る。さらに、支持パッド11はまた、例えばテフロン(登録商標)、ポリイミド、PEEK、ハステロイ、その他のポリマーコーティング、またはダイヤモンド様炭素のコーティングなど、比較的摩擦定数の材料のコーティングを有する金属で作製され得る。
【0047】
図6および7は、さらなる実施形態によるライナー2およびフランジ3の組立品を含む垂直処理炉の断面図を示す。図6は、垂直処理路の一例の断面側面図であり、低圧内部プロセスチューブ空間を画定する低圧プロセスチューブ12、内部プロセスチューブ空間を加熱するよう構成されたヒーター、フランジ3の中央入口開口部を閉じるように構成され、かつ基材を保持するように構成されたウェーハボートBを支持するように構成された垂直方向に移動可能なドアと、を含み、フランジ3はプロセスチューブ12の開放端部を部分的に閉じ、ライナー2は内部プロセスチューブ空間内に延在する。ドアは回転子Mを備え、ウェーハボートBを内部空間内で回転させ得る。回転子MとウェーハボートBとの間に、台座Rが提供され得る。台座Rは、ボートB内のウェーハの熱均一性を改善するために、ヒーターおよび/または断熱材を備え得る。
【0048】
ライナー2は、例えば、ドーム形状でより高い端部で閉じられてもよく、ライナー開口部の上方のガスに対して実質的に閉じられてもよい。フランジ3は、ライナー2の内部空間内に基材を搬送するように構成されたボートBを挿入および除去するように構成された入口開口部を含む。ガス入口16は、ライナー2の円筒形壁に沿って内部空間内により高い端部に向かって延在するように組立品内に構築および配置されるインジェクター17を備え得る。図6のインジェクター17は、インジェクター17の長さに沿って提供された複数の穴を備え、内部空間内にガスを注入し得る。
【0049】
図7のインジェクター17は、インジェクターの上端付近に一つの大きな開口部を備え、ガスを内部空間内に注入し得る。インジェクターの端部にある一つの大きな開口部を有する図7のインジェクター17は、長さに沿って複数の穴を有する図6による一つまたは複数のインジェクターと組み合わされ得、そうして内部空間のそれぞれの部分にガスを提供し得る。内部空間を区切るライナー2は、内部空間内のインジェクター17を収容するために、半径方向外側に延在する膨張部を有し得る。
【0050】
ガスを除去するためのガス排出開口部8が内部空間Iの下端に構築および配置され得る。このように、ガスのためのライナー開口部の上方でライナー2を閉じ、インジェクター17を用いて内部空間にプロセスガスを供給し、内部空間の下端のガス排出開口部8により内部空間Iからガスを除去することにより、ライナー2の内部空間Iに下降流を形生成し得る。下降流は、反応副生成物による汚染、基材、ボートB、ライナー2および/またはフランジ3上のライナー2の支持領域からの粒子を下向きかつ半径方向外側に、処理済み基材Wから離れるように排気口8へと搬送し得る。内部空間Iからガスを除去するためのガス排気口8は、ライナー2の開放端の下方に提供され得る。
【0051】
組立品は、フランジ3上に取り付けられ、ライナー2の円筒形壁の外面に沿ってライナーの上端に向かって延在し、温度を測定する温度測定システム22を備え得る。温度測定システム22は、その長さに沿って備わった複数の温度センサーを有するビームを備え、ライナー2に沿って異なる高さの温度を測定し得る。温度測定システム22はライナー2の外側に位置付けられるため、堆積は温度測定システム22に達しない場合がある。これは、堆積が温度測定を妨害し得るため、有益であり得る。さらに、温度測定システム22は石英を含み得、そのため粒子のリスクを生じさせ、温度測定システム22の破壊する堆積物質とは異なる膨張係数を有する。ライナー2は、温度測定システムを収容するための半径方向内側に延在する膨張部を備え得る。
【0052】
ライナー2とチューブ12との間にパージガスPを供給するために、パージガス入口が、ライナー2とチューブ12との間の円周方向空間Sの底部に提供され得る。組立品は、ライナー2の下面とフランジ3の上面との間に狭い間隙21があるように構築および配置され得る。パージガスは、ライナー2とフランジ3との間の狭い間隙を通り、排出開口部8に向かって流れ得、対向流を生成し得る。間隙は、0.1~10mm、好ましくは0.2~0.5mmとし得る。対向流は、インジェクター17からのプロセスガスが、間隙を通って円周方向空間内へと拡散することを回避させ得る。従って、円周方向空間Sはプロセスガスによって汚染され得ない。
【0053】
組立品は、図7に示すように、ライナー2の外面とプロセスチューブ12の内面との間の円周方向空間にパージガスを供給するための、フランジ3上に取り付けられたパージガスインジェクター20を備え得る。パージガスインジェクター20は、フランジ3からライナーの上端に向かってライナー2の円筒状壁の外面に沿って延在し得る。このように、一つのパージガスインジェクター20のみで、円周方向空間の全周囲にわたって適正なパージガス流を得ることが容易となり得る。
【0054】
一実施形態による垂直炉は、
内部を画定する低圧プロセスチューブと、
前記チューブの内部を加熱するように構成されたヒーターと、
プロセスチューブの開放端を部分的に閉じて、中央入口開口部を開いたままにするフランジと、組立品内に構築および配置されて、チューブのより高い端部に向かって内部に延在し、ガスを注入するための少なくとも一つの開口部を含むインジェクターと、を備え得る。垂直方向に延在する開口部のパターンは、インジェクターに沿って提供され得る。インジェクター内部のガス伝導チャネルの水平方向の内部断面は、100~1500、好ましくは200~1000、最も好ましくは300~500mmとし得る。
【0055】
インジェクター内部のガス伝導チャネルの水平方向の内側断面は、径方向の寸法よりも大きい場合のある、実質的に円筒形のチューブの円周に接する方向の寸法を有する形状を有し得る。
【0056】
開口部の直径は、1~15mm、好ましくは3~12mm、より好ましくは4~10mmであり得る。開口部の面積は、1~200mm、好ましくは7~100mm、より好ましくは13~80mmであり得る。
【0057】
開口部間の垂直方向の距離は、インジェクターの下端から上端へと進むと減少し得る。開口部の数は、2~40、好ましくは3~30、より好ましくは4~10であり得る。
【0058】
開口部は、ガスが少なくとも二つの異なる方向に注入されるように構成され得る。開口部は、内側から外側に向かって凹形状を有し得る。開口部は、二つの垂直方向に延在する、離間したインジェクターの分岐上に配置され得る。インジェクターは、チューブの上端付近に一つの開口部を有し得る。
【0059】
ライナーおよびフランジの組立品が提供され得る。ライナーは、垂直炉の低圧チューブの内部に延在するように構成され得る。ライナーは、下端のライナー開口部および上端の頂部閉鎖によって区切られ、ガスのためにライナー開口部の上方で実質的に閉じられ、内部空間を画定する実質的に円筒形の壁を含む。フランジは、チューブの開口部を少なくとも部分的に閉鎖するように構成され、
ライナーの内部空間内に基材を搬送するように構成されたボートを挿入および取り出すように構成された入口開口部と、
ガスを内部空間に供給するガス入口と、を備える。組立品は、内部空間およびライナーと低圧チューブとの間の空間からガスを除去するためのガス排出開口部を備えて構築および配置され得る。
【0060】
図8は、ライナー2内に位置するインジェクターの底面斜視図を示す。インジェクター17は、例えば二つのインジェクター分岐22、および23などの複数のインジェクター分岐を含み得、各々が別個のガス供給導管接続24および25をそれぞれ備える。分岐22は、内部空間の下部内にガスを注入し、分岐23は内部空間の上部内にガスを注入する。分岐は、接続部品によって接続され得る。例えば、ライナーの端部付近に単一の開口部を有するものなど、追加的なインジェクター分岐が提供され得る。しかしながら、インジェクターが二つ以上のインジェクター分岐を含むことは本発明にとって必須ではない。
【0061】
インジェクターは開口部26のパターンを備えてもよく、このパターンは実質的にウェーハロード上に延在する。本発明によれば、開口部の総断面積は比較的大きく、例えば100~600、好ましくは200~400mmである。原料ガスの伝導に利用可能なインジェクター17の内側断面は、100~600、好ましくは200~500mmまたはそれより大きくてもよい。
【0062】
開口径は、1~15mm、好ましくは3~12mm、より好ましくは4~10mmとすることができる。開口部の面積は、1~200mm、好ましくは7~100mm、より好ましくは13~80mmとすることができる。より大きい開口部は、開口部内の堆積層により開口部が目詰まりするのにより長い時間がかかるという利点を有することができる。
【0063】
図8に示す例では、インジェクターは全体として40個の開口部を備えることができる。3mmの直径では、開口部の総断面は40×3×3×π/4=282mmとすることができる。インジェクターの各分岐の断面は、約11×30=330mmである。別のインジェクターは、直径4mmの20個の開口部を有することができ、総面積は251mmである。別のインジェクターは、直径8mmの5個の開口部を有することができ、総面積は251mmである。
【0064】
各インジェクター分岐22、23において、開口部を同じ高さで対をなして設けてもよく、二つの開口部は径方向の均一性を改善するために約90度の角度で二方向にガスを注入してもよい。
【0065】
開口部は、垂直方向および水平方向に離間した関係でインジェクター上に配置されてもよい。一つのインジェクター分岐上の開口部のパターンは、分岐のより高い部分の開口部で濃度がより高くなるように垂直に延在し、より高い部分でガス流が減少するのを補償することができる。インジェクター分岐はインジェクターチューブであってもよく、各インジェクターチューブはその供給端部が別々のガス供給導管に接続している。二つ以上の原料ガスを別々に注入するために、インジェクターチューブを別々のガス供給導管を介して別々のガス源に接続することができる。一つのインジェクター分岐上の開口部パターンはボートの一部のみにわたって垂直方向に延在してもよい。インジェクター17をライナー20内の膨張部2e内に収容してもよい。
【0066】
組立品は、フランジ上に取り付けられ、ライナー2の円筒形壁の内面または外面に沿ってライナーの上端に向かって延在する温度測定システムを備え、温度を測定することができる。温度測定システムは、ライナーに沿って異なる高さで温度を測定するためにビームの長さに沿って設けられる複数の温度センサーを有するビームを備えることができる。
【0067】
ライナーの内部表面に沿って構成される場合、内部空間内の温度を測定するための複数の温度センサーを有するビームを収容するために、ライナー2に第二の膨張部2fを設けることができる。図示のように、膨張部はライナーの内側に温度測定システムを収容するために外側に延びるが、膨張部はまた、ライナーの外側に温度測定システムを収容するために内側に延びてもよい。インジェクターおよび温度システムをそれぞれ膨張部2eおよび2f内に収容することによって、内部空間を実質的に円筒対称形に保つことができ、これは堆積プロセスの均一性に有利である。プロセスチューブ12は、ブロードニングフランジ27を底端部に備え得る。
【0068】
図9は、図1図6図7、または図8の組立品で使用するためのインジェクター17を示す。インジェクター17は、上から下に向かって31、33、35、37、39の番号が付けられた五つのインジェクター開口部18を備える。インジェクター17の上端近傍の開口部間の距離は、インジェクターの上端での圧力の減少を補償するために、インジェクター17の下端における距離と比較して狭くすることができる。圧力の減少を補償するために、第一の開口部31と第二の開口部33との間の距離は、45~49、好ましくは47mmとすることができ、開口部33と35との間では、51~55、好ましくは53mmとすることができ、開口部35と37との間では、55~59、好ましくは57mmとすることができ、開口部37と39の間では、70~100、好ましくは81mmとすることができる。
【0069】
開口部の総断面は、インジェクター内の圧力が比較的低い値に保たれるように比較的大きくてもよい。開口部18の直径は、4~15mmとすることができる。例えば、開口部は8mmの直径を有することができる。インジェクターの開口部内に堆積することにより、インジェクター開口部の目詰まりを引き起こす可能性がある。より大きい開口部、例えば4~15mm、好ましくは8mmを有することにより、インジェクター開口部が目詰まりするのにより長い時間がかかり、これはインジェクターの寿命を延ばす。
【0070】
インジェクター内部のガス伝導チャネルの水平方向の内側断面は、径方向の寸法よりも大きい、実質的に円筒形のライナーの円周に接する方向の寸法を有する長方形の形状を有することができる。インジェクター17の下部28は、より小さい断面、したがってより高い圧力を有することができる。通常、これは余分な堆積を引き起こす可能性があるが、この部分では温度がより低い可能性があるので、堆積速度は依然として許容可能であることができる。
【0071】
ガスインジェクター17の開口部18は、開口部の目詰まりを減らすように構成されてもよい。開口部は、内側から外側に向かって凹形状を有することができる。インジェクターの内側の表面上の開口部の表面積がインジェクターの外側の開口部18の表面積よりも大きい凹形状は、目詰まりを低減することができる。したがって内側の面積が大きいほど、圧力、および堆積がより大きい内側で、より多くの堆積が可能になる。外側では、圧力が低下し、したがって堆積もより遅くなり、より小さな面積は内側のより大きな直径と同じ堆積を集めることができる。
【0072】
反応速度は典型的には圧力の増加と共に増加するので、インジェクターで圧力を減少させると、インジェクター17内の反応速度が減少する可能性がある。インジェクター内の圧力が低いことの更なる利点は、インジェクターを通るガス量が低圧で膨張することであり、原料ガスの流れが一定の場合、インジェクター内の原料ガスの滞留時間はそれに対応して短くなる。両方の組み合わせのために、原料ガスの分解を減らすことができ、それによってインジェクター内の堆積も減らすことができる。
【0073】
インジェクター内に堆積すると、インジェクター内に引張強度が生じ、温度が変化した場合にインジェクターが破損する可能性がある。したがってインジェクター内の堆積量が少ないと、インジェクター17の寿命が延びる。インジェクターは、プロセスガスで堆積される材料の熱膨張係数を有する材料から作られてもよい。例えば、ガスインジェクターは、窒化ケイ素が堆積される場合には窒化ケイ素から、またはプロセスガスによってシリコンが堆積される場合にはシリコンから作られてもよい。それによりインジェクター内の堆積層の熱膨張は、インジェクターの熱膨張と一致する可能性があり、ガスインジェクターが温度変化中に破損する可能性を低減する。炭化ケイ素は、多くの堆積材料と一致する可能性がある熱膨張を有するので、インジェクター17に好適な材料となり得る。
【0074】
インジェクター内部の圧力が低いことの不利点は、インジェクターの伝導が著しく減少することである。これにより、インジェクターの全長にわたる開口部パターン上での原料ガスの流れの分布が不均一となるであろう。原料ガスの大部分は、インジェクターの入口端部近くの穴から流出するであろう。インジェクターの長さ方向に沿ってインジェクター内で原料ガスが容易に流れるように、インジェクターは大きな内側断面を備えることができる。本発明によるインジェクターを反応空間内に収容することができるようにするために、インジェクターの接線方向の大きさは径方向の大きさよりも大きく、反応空間を画定するライナーはインジェクターを収容するために外側に延在する膨張部を備えることができる。
【0075】
好ましい実施形態では、二成分膜の二つの構成元素を供給する二つの原料ガスは、インジェクターに入る前にガス供給システム内で混合される。これはボートの全長にわたって注入ガスの均一な組成を保証するための最も簡単な方法である。しかし、これは必須ではない。あるいは、二つの異なる原料ガスを別々のインジェクターを用いて注入し、注入後に反応空間内で混合することができる。
【0076】
二つのインジェクター分岐を使用することにより、いくつかの調整可能性が可能になる。実質的に同じ組成のガスが、別々の原料ガス供給によってインジェクターの両方の部分に供給される場合、ボート全体にわたって堆積速度の均一性を微調整するために、異なるインジェクター分岐に供給される流量は、異なるように選択され得る。ボート上の二成分膜の組成を微調整するために、異なる組成のガスをインジェクターの二つのラインに供給することも可能である。しかし、注入ガスの組成が両方のインジェクターラインについて同じである場合に、最良の結果が達成され得る。
【0077】
特定の実施形態を上述したが、記載した以外の方法で本発明を実施できることが理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではないことが意図されている。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、前述のように本発明に修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。様々な実施形態を組み合わせて適用してもよく、または互いに独立して適用してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーおよびフランジの組立品であって、前記ライナーが垂直炉の低圧チューブの内部に延在するように構成され、前記ライナーが、
下端のライナー開口部およびより上端の頂部閉鎖によって区切られ、前記ライナー開口部の上方でガスのために実質的に閉じられ、内部空間を画定する略円筒形の壁であって、前記フランジが前記低圧チューブの開口部を少なくとも部分的に閉じるように構成される、略円筒形の壁を含み、
前記ライナーの前記内部空間内で基材を搬送するように構成されたボートを挿入および取り出すように構成された入口開口部と、
ガスを前記内部空間に供給するためのガス入口であって、前記組立品が、前記フランジのガス排出開口部を通って前記内部空間および前記ライナーと前記低圧チューブとの間の空間からガスを除去するためのガス排出ダクトを備えて構築および配置される、ガス入口と、を含む、組立品。
【請求項2】
前記ガス入口が、前記ライナーの前記略円筒形の壁に沿って前記内部空間内に上端に向かって延在するように前記組立品内に構築および配置され、前記内部空間内にガスを注入するための少なくとも一つの開口部を含む、インジェクターを備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項3】
垂直方向に延在する開口部のパターンが、前記インジェクターに沿って提供される、請求項2に記載の組立品。
【請求項4】
前記インジェクター内部のガス伝導チャネルの内側断面積が、100mm~1500mmである、請求項2に記載の組立品。
【請求項5】
前記インジェクター内部のガス伝導チャネルの水平方向の内側断面が、半径方向の寸法よりも大きい、前記略円筒形のライナーの円周に接する方向の寸法を備える形状を有する、請求項2に記載の組立品。
【請求項6】
前記少なくとも一つの開口部の面積が、1mm~200mmであり得る、請求項2に記載の組立品。
【請求項7】
前記インジェクターの前記下端から前記上端に向かうにつれ、前記開口部間の垂直方向の距離が減少する、請求項3に記載の組立品。
【請求項8】
前記開口部が、ガスが少なくとも二つの異なる方向に注入されるように構成される、請求項3に記載の組立品。
【請求項9】
前記少なくとも一つの開口部が、内側から外側に向かって凹形状を有する、請求項2に記載の組立品。
【請求項10】
前記開口部が、前記インジェクターの二つの垂直に延在する離間した分岐の上に位置付けられる、請求項2に記載の組立品。
【請求項11】
前記インジェクターが、前記ライナーの前記上端付近に一つの開口部を含む、請求項2に記載の組立品。
【請求項12】
前記内部空間を区切る前記ライナーが、半径方向外側に延在する膨張部を有する、請求項1に記載の組立品。
【請求項13】
前記内部空間からガスを除去するための前記ガス排出開口部が、前記ライナーの開放端の下に提供される、請求項1に記載の組立品。
【請求項14】
前記組立品が、前記ライナーと前記低圧チューブとの間の前記空間にパージガスを供給するための前記フランジ上に取り付けられたパージガス入口を備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項15】
前記パージガス入口が、前記ライナーの前記略円筒形の壁の外表面に沿って、前記ライナーの前記上端に向かって延在するパージガスインジェクターを備える、請求項14に記載の組立品。
【請求項16】
前記組立品が、前記フランジ上に取り付けられ、前記ライナーの前記略円筒形の壁に沿って前記ライナーの前記上端に向かって延在し、温度を測定する温度測定システムを備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項17】
前記温度測定システムが、前記ライナーの外表面に沿って配置される、請求項16に記載の組立品。
【請求項18】
前記ライナーが、前記温度測定システムを収容するための半径方向内側に延在する膨張部を含む、請求項17に記載の組立品。
【請求項19】
前記ライナーおよびガスインジェクターのうちの少なくとも一つが、炭化ケイ素およびシリコンから選択される材料を含む、請求項1に記載の組立品。
【請求項20】
前記組立品が、前記ライナーの下面と前記フランジの上面との間に間隙があるように構成および配置される、請求項1に記載の組立品。
【請求項21】
前記フランジの上面が、前記低圧チューブを封止するためのシールを収容するための溝を備える、請求項1に記載の組立品。
【請求項22】
前記排出開口部がライナー壁の外側の略円筒形の表面の半径方向外側に位置付けられた領域内に配置された、請求項1に記載の組立品。
【請求項23】
垂直炉であって、
前記低圧チューブの内部を加熱するように構成されたヒーターと、
請求項1に記載の組立品と
前記フランジの前記中心入口開口部を閉鎖するように構成され、基材を保持するように構成されたウェーハボートを支持するように構成された垂直方向に可動に配置されたドアと、を含む、垂直炉。
【請求項24】
前記ドアが、前記内部空間内の前記ウェーハボートを回転させる回転子を備える、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項25】
前記フランジの上面と前記低圧チューブとの間にシールが提供され、前記低圧チューブを封止する、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項26】
圧力制御システムが提供され、前記ガス排出開口部を介して前記低圧チューブの内部からガスを除去する、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項27】
前記低圧チューブが、前記内部空間および前記ライナーを含む前記低圧チューブの低圧空間と、前記低圧チューブ外側の大気圧空間との間に圧力バリアを提供するように構築および配置される、請求項23に記載の垂直炉。
【請求項28】
垂直炉の低圧チューブの内部に延在するように構成されるライナーであって、
下端のライナー開口部および上端の頂部閉鎖によって区切られ、前記ライナー開口部の上方でガスのために実質的に閉じられ、内部空間を画定する略円筒形の壁と、
前記略円筒形の壁の外表面に接続された2つ以上の支持部材であって、前記支持部材の各々が、下方向に向けられた支持面を有し、前記支持部材が、前記略円筒形の壁の内表面から半径方向外側に離間する、2つ以上の支持部材と、
を含み、
前記ライナーが炭化ケイ素を含む、ライナー。
【請求項29】
前記炭化ケイ素ライナーが、4mm~6mm厚である、請求項28に記載のライナー。
【外国語明細書】