(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091229
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ハーネスクランプおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20230623BHJP
F16B 19/00 20060101ALI20230623BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20230623BHJP
F16L 3/08 20060101ALI20230623BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H02G3/30
F16B19/00 Q
F16B2/08 S
F16B2/08 F
F16B2/08 U
F16L3/08 D
G03G15/00 680
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205865
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】本田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】久田 真彦
(72)【発明者】
【氏名】津川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】横野 政治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌男
【テーマコード(参考)】
2H171
3H023
3J022
3J036
5G363
【Fターム(参考)】
2H171FA05
2H171GA12
2H171KA13
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA27
2H171MA03
2H171MA20
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB02
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC36
2H171RA01
2H171RA05
2H171SA11
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA28
3H023AA04
3H023AB02
3H023AD08
3H023AD22
3H023AE08
3J022DA12
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3J022EB14
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3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB42
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
3J036AA03
3J036DA14
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA16
5G363DC08
(57)【要約】
【課題】ハーネスの電線の本数にかかわらず収容可能とし、かつ治具等を用いることなく容易に係止を解除できるハーネスクランプを提供する。
【解決手段】底部22及び底部22から同方向に突出する長さの異なる一対の柱部21を有し、一または複数のハーネスを収容する収容本体20と、長手方向の異なる位置に配設された2以上の係止構造3を有し、収容本体20の開口を開閉可能に閉塞する蓋部2と、収容本体20を被取付体の取付孔に取り付けるための固定機構部9と、を備え、収容本体20は、一対の柱部20の少なくともいずれかに、蓋部2の係止構造3と噛み合う被係止構造5を有し、蓋部2の係止構造3が、収容本体20の被係止構造5との噛み合いを解除する係止解除爪6を有し、被係止構造5と噛み合う係止構造3の蓋部2における位置に応じて、収容本体20と蓋部2により画成されるハーネス収容部30の大きさが可変であるハーネスクランプ1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び前記底部から同方向に突出する長さの異なる一対の柱部を有し、一または複数のハーネスを収容する収容本体と、
長手方向の異なる位置に配設された2以上の係止構造を有し、前記収容本体の開口を開閉可能に閉塞する蓋部と、
前記収容本体を被取付体の取付孔に取り付けるための固定機構部と、を備え、
前記収容本体は、前記一対の柱部の少なくともいずれかに、前記蓋部の前記係止構造と噛み合う被係止構造を有し、
前記蓋部の前記係止構造が、前記収容本体の前記被係止構造との噛み合いを解除する係止解除爪を有し、
前記被係止構造と噛み合う前記係止構造の前記蓋部における位置に応じて、前記収容本体と前記蓋部により画成されるハーネス収容部の大きさが可変であることを特徴とするハーネスクランプ。
【請求項2】
前記収容本体及び前記蓋部は、前記蓋部が前記収容本体の前記一対の柱部のいずれか一方から延出した一体の部材であり、
前記蓋部の前記係止構造は、蓋部係止凸部と前記係止解除爪とからなる蓋部係止突起であり、
前記収容本体の前記被係止構造は、前記蓋部係止凸部と噛み合う本体係止凹部であることを特徴とする請求項1に記載のハーネスクランプ。
【請求項3】
前記収容本体と前記蓋部とは分離可能な別部材であり、
前記蓋部は、蓋部係止凸部と前記係止解除爪とからなる蓋部係止突起である第一の係止構造と、複数の連続した係止溝からなる第二の係止構造と、を有し
前記収容本体は、前記第一の係止構造の前記蓋部係止凸部と噛み合う本体係止凹部である第一の被係止構造と、前記第二の係止構造の前記係止溝と噛み合う係止爪部である第二の被係止構造と、を有することを特徴とする請求項1に記載のハーネスクランプ。
【請求項4】
前記収容本体は前記一対の柱部のいずれか一方に、前記蓋部が前記収容本体の開口を閉塞したときに生じる余長部を挿通して保持する余長挿通部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハーネスクランプ。
【請求項5】
前記余長挿通部は、前記余長部を引っ掛けて保持する引掛構造を有することを特徴とする請求項4に記載のハーネスクランプ。
【請求項6】
前記収容本体は前記底部の外側面に、前記蓋部が前記収容本体の開口を閉塞したときに生じる余長部の蓋部係止凸部を係止する余長係止凹部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハーネスクランプ。
【請求項7】
前記収容本体の前記本体係止凹部は、前記一対の柱部のうち長い柱部側の開口側端部に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハーネスクランプ。
【請求項8】
前記蓋部は、所望の位置で折曲げ可能とする複数の折曲溝を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のハーネスクランプ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のハーネスクランプを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーネスクランプおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器である電子写真方式の画像形成装置では、各ユニットを接続する複数本の電線で構成されたワイヤハーネスを機器に取り付けて姿勢を保持するために、ハーネスクランプ(ワイヤサドル)が使用されている。
【0003】
ハーネスクランプとしては、セットされたワイヤハーネス(以下、単に「ハーネス」という)を巻着バンドにより巻着緊締し、電線の本数にかかわらず拘束が可能な構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来、巻着バンド型のハーネスクランプは、巻着緊締状態のハーネスクランプを外すとき、緊締係止状態の巻着バンドと弾性係止片とが密着しているため、指先やツールを両者の間に入れづらく、また係止爪と係止溝を外すために相当の操作力が必要となるため、ハーネスクランプを外す作業は困難であった。作業にあたり弾性係止片等を損傷した場合は、リサイクル使用ができなくなるという問題があった。
【0005】
これに対し、特許文献1には、ワイヤハーネスの外周に巻き着け緊締してバンド挿通係止孔に挿通係止した巻着バンドを、ツール挿入口から係止解離用ツールを入れる係止解離機構の利用によって、容易かつ的確にルーズにできるようにした構造が開示されている。また、係止解離機構において、弾性係止片の係止解離用押え部を、挿通した巻着バンドによって遮蔽しないで露出状態を維持する手段は、巻着バンドの長手方向にツール用スリット孔を設けて、そのツール用スリット孔の下に係止解離用押え部を位置させる態様、または巻着バンドの挿通ゾーン外に係止解離用押え部を配設する態様が採択されることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の機構では、ワイヤハーネスの取り外しを行う際に係止解離機構のツール挿入口からドライバー等の解離用ツールを入れる必要があり、かつ解除ツールを用いてロックを解除したまま係止部に挿入した巻き付けバンドをすべて引き抜く必要があるため、作業に時間を要するという課題がある。
【0007】
そこで本発明は、ハーネスの電線の本数にかかわらず収容可能とし、かつ治具等を用いることなく容易に係止を解除できるハーネスクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のハーネスクランプは、底部及び前記底部から同方向に突出する長さの異なる一対の柱部を有し、一または複数のハーネスを収容する収容本体と、長手方向の異なる位置に配設された2以上の係止構造を有し、前記収容本体の開口を開閉可能に閉塞する蓋部と、前記収容本体を被取付体の取付孔に取り付けるための固定機構部と、を備え、前記収容本体は、前記一対の柱部の少なくともいずれかに、前記蓋部の前記係止構造と噛み合う被係止構造を有し、前記蓋部の前記係止構造が、前記収容本体の前記被係止構造との噛み合いを解除する係止解除爪を有し、前記被係止構造と噛み合う前記係止構造の前記蓋部における位置に応じて、前記収容本体と前記蓋部により画成されるハーネス収容部の大きさが可変であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハーネスの電線の本数にかかわらず収容可能とし、かつ治具等を用いることなく容易に係止を解除できるハーネスクランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係るハーネスクランプの構成を示す説明図である。
【
図2】第一の実施形態に係るハーネスクランプがハーネスを収容した状態の一例を示す説明図である。
【
図3】第一の実施形態に係るハーネスクランプがハーネスを収容した状態の一例を示す説明図である。
【
図4】第一の実施形態に係るハーネスクランプがハーネスを収容した状態の一例を示す説明図である。
【
図5】本発明の第二の実施形態に係るハーネスクランプの構成の説明図である。
【
図6】第二の実施形態に係るハーネスクランプがハーネスを収容した状態の一例を示す説明図である。
【
図7】第二の実施形態に係るハーネスクランプがハーネスを収容した状態の一例を示す説明図である。
【
図8】余長挿通部に蓋部の余長部分を挿通した状態を示す断面模式図である。
【
図9】蓋部材の余長部分を固定する係止構造の一例を示す説明図である。
【
図10】本発明に係るハーネスクランプを備える画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のハーネスクランプおよび画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
本発明に係るハーネスクランプは、底部及び前記底部から同方向に突出する長さの異なる一対の柱部を有し、一または複数のハーネスを収容する収容本体と、長手方向の異なる位置に配設された2以上の係止構造を有し、前記収容本体の開口を開閉可能に閉塞する蓋部と、前記収容本体を被取付体の取付孔に取り付けるための固定機構部と、を備えている。
前記収容本体は、前記一対の柱部の少なくともいずれかに、前記蓋部の前記係止構造と噛み合う被係止構造を有し、前記蓋部の前記係止構造が、前記収容本体の前記被係止構造との噛み合いを解除する係止解除爪を有し、前記被係止構造と噛み合う前記係止構造の前記蓋部における位置に応じて、前記収容本体と前記蓋部により画成されるハーネス収容部の大きさが可変である。
【0013】
なお、本発明に係るハーネスクランプは、前記蓋部の係止構造の態様と前記収容本体の被係止構造の態様との組み合わせにより、例えば、以下の第一の実施形態及び第二の実施形態を有する。
【0014】
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態に係るハーネスクランプの構成を示す説明図である。
本実施形態のハーネスクランプ1は、底部22及び底部22から同方向に突出する長さの異なる一対の柱部21(21a、21b)を有し、一または複数のハーネスを収容する収容本体20と、長手方向の異なる位置に配設された2以上の係止構造を有し、収容本体20の開口を開閉可能に閉塞する蓋部2と、収容本体20を被取付体の取付孔に取り付けるための固定機構部9と、を備えている。
【0015】
本実施形態において、収容本体20及び蓋部2は、蓋部2が収容本体20の一対の柱部21のいずれか一方(本実施形態では符号21bで示す柱部)から延出した一体の部材である。
蓋部2の係止構造は、蓋部係止凸部4と係止解除爪6とからなる蓋部係止突起3であり、収容本体20の被係止構造は、蓋部係止凸部4と噛み合う本体係止凹部5である。
【0016】
収容本体20は、一対の柱部21(21a、21b)の少なくともいずれかに、蓋部2の係止構造と噛み合う被係止構造を有している。
【0017】
蓋部2の係止構造(蓋部係止突起3)が、収容本体20の被係止構造との噛み合いを解除する係止解除爪6を有している。
【0018】
被係止構造(本体係止凹部5)と噛み合う係止構造(蓋部係止突起3)の蓋部2における位置に応じて、収容本体20と蓋部2により画成されるハーネス収容部30の大きさが可変となっている。
ハーネスの電線40の本数にかかわらず収容可能とするため、係止構造(蓋部係止突起3)は複数設けられている。
なお、配設される係止構造(蓋部係止突起3)の数、位置及び間隔等は、目的に応じて適宜選択、設定することができる。
【0019】
蓋部2は、ハーネスを構成する電線40が収容本体20の開口から飛び出すことを防止する部材であり、本実施形態では蓋部係止凸部4と収容本体20の被係止構造とが噛み合うことでロックされ、係止解除爪6を摘むことによりロックが解除される。
具体的には、係止解除爪6を手指で摘み、軽い力で操作することにより蓋部係止凸部4を本体係止凹部5に対して変位させ、係合を解除することができる。
【0020】
さらに、本実施形態のハーネスクランプ1は、収容本体20の柱部21のいずれか一方(本実施形態では符号21aで示す柱部)に、蓋部2が収容本体20の開口を閉塞したときに生じる余長部を挿通して保持する余長挿通部8を備えている。
【0021】
収容本体20の本体係止凹部5は、一対の柱部21のうち長い柱部側(本実施形態では符号21aの柱部側)の開口側端部に設けられている。
そのため、対向する他方の柱部(本実施形態では符号21bの柱部)と蓋部2との接合部は、底部22を基準とした高さにおいて本体係止凹部5よりも低い位置となる。これにより、電線40の本数が多くなった場合でも蓋部2が上方へ突出してしまうのを防ぐことができる。
【0022】
また、蓋部2は、所望の位置で折曲げ可能とする複数の折曲溝7を有している。
折曲溝7の配設数や配設間隔などは、使用態様に応じて適宜選択、設定することができる。
折曲溝7を有することにより、適切な位置で蓋部2を折曲げて変形させることにより、安定して必要な大きさの収容部を確保することができる。
【0023】
収容本体20の底部22の外側面には、画像形成装置等の被取付体に形成された取付孔に対し、ハーネスクランプ1を着脱可能に取付けるための固定機構部9が設けられている。
【0024】
固定機構部9は、収容本体20の底部22の外側面から垂直外方(図示では垂直下方)に突出した固定支柱部9bを備えている。固定支柱部9bの端部には、ロック機構9cが備えられている。固定機構部9を被取付体の取付孔内に挿入させる場合、ロック機構9cが取付孔に係合して抜け止めが図られる。
【0025】
また、収容本体20の底部22とロック機構9cとの間の位置には、下方に傾斜して突出する一対の抑え部9aが設けられている。抑え部9aは可撓性を有し、固定機構部9を被取付体の取付孔内に挿入させる場合、その挿入が深くなる程、被取付体の外表面から押力を受けて該外表面上を摺動しながら撓み角度を広げる。このとき受ける一対の抑え部9aの反力により収容本体20の姿勢が固定され、傾くことが防止される。
【0026】
図2~
図4は、第一の実施形態に係るハーネスクランプ1が複数の電線40からなるハーネスを収容した状態の一例を示す説明図である。
図2は、収容する電線40の本数が標準より少ない場合を示している。
図3は、収容する電線40が標準的な本数である場合を示している。
図4は、収容する電線40の本数が標準より多い場合を示している。
【0027】
図2に示すように、収容する電線40が少ない場合は、本体係止凹部5と、蓋部2の先端から長手方向において最も離れた位置にある蓋部係止凸部4とを噛み合わせることにより、収容部30の大きさ(収容領域)を小さくすることができる。
この場合、蓋部2は収容本体20の開口を閉塞する部分以外の余長部を生じている。
余長部は余長挿通部8に挿通され、保持される。これにより、周囲の部品との接触や、後付けされる部品との挟み込み等の障害の発生を防止することができる。なお、余長挿通部8については後述する。
【0028】
図3のように収容する電線40が標準的である態様においても余長部を生じることがあるが、折曲溝7の部位で折りたたまれることにより、周囲の部品との接触や、後付けされる部品との挟み込み等の障害の発生を防止される。
【0029】
図4のように収容する電線40が多い場合は、本体係止凹部5と、蓋部2の先端に最も近い位置にある蓋部係止凸部4とを噛み合わせることにより、収容部30の大きさ(収容領域)を大きく確保することができる。
【0030】
このように、本実施形態のハーネスクランプによれば、ハーネスの電線40の本数にかかわらず収容することができる。また、摘むだけで係止を解除可能な係止解除爪6を備えているため、治具等を用いることなく、またハーネスクランプを破壊することなく容易に係止を解除することができる。これにより、ハーネスクランプの再利用が可能となる。
【0031】
図8は、
図1中の矢印Aの方向からみた余長挿通部8に蓋部2の余長部分を挿通した状態を示す断面模式図である。
図8(A)は、余長挿通部8が挿通孔部23を有する枠状体の例を示したものである。
図8(A)の例では、蓋部2の余長部分を挿通孔部23に通すことで、余長部分が枠状体に保持される。
図8(B)は、余長挿通部8が挿通孔部23を有し、枠状体の一部が開口して引掛構造となっている例を示したものである。
図8(B)の例では、蓋部2の余長部分を引掛部25に引っ掛けるように挿通させることで、余長部分が該引掛部25に保持される。
【0032】
図9は蓋部2の余長部分を係止構造により固定する例を示す説明図である。
図9(A)は全体の説明図であり、
図9(B)は被係止構造である余長係止凹部26の部分拡大図である。
本実施形態では、収容本体20は底部22の外側面に、蓋部2が収容本体20の開口を閉塞したときに生じる余長部の蓋部係止突起3の蓋部係止凸部4を係止する余長係止凹部26を有している。
図8に示す余長挿通部8に代えて余長係止凹部26を備える態様とすることもでき、また余長挿通部8及び余長係止凹部26のいずれも備える態様とすることもできる。
【0033】
[第二の実施形態]
図5は、本発明の第二の実施形態に係るハーネスクランプの構成を示す説明図である。
本実施形態のハーネスクランプ1は、底部22及び底部22から同方向に突出する長さの異なる一対の柱部21(21a、21b)を有し、一または複数のハーネスを収容する収容本体20と、長手方向の異なる位置に配設された2以上の係止構造(蓋部係止突起3及び係止溝10)を有し、収容本体20の開口を開閉可能に閉塞する蓋部2と、収容本体20を被取付体の取付孔に取り付けるための固定機構部9と、を備えている。
【0034】
本実施形態において、収容本体20と蓋部2とは分離可能な別部材であり、
図5(A)は分離した状態を示している。
蓋部2は、蓋部係止凸部4と係止解除爪6とからなる蓋部係止突起3である第一の係止構造と、複数の連続した係止溝10からなる第二の係止構造と、を有している。
収容本体20は、第一の係止構造の蓋部係止凸部4と噛み合う本体係止凹部5である第一の被係止構造と、第二の係止構造の係止溝10と噛み合う係止爪部11である第二の被係止構造と、を有している。
【0035】
第一の係止構造の蓋部係止凸部4と第一の被係止構造である本体係止凹部5とが噛み合う態様は、第一の実施形態の例と同様である。
また、これらが噛み合った状態から係止を解除する機構である係止解除爪6の操作も第一の実施形態の例と同様である。
収容本体20は、一対の柱部21(21a、21b)の少なくともいずれか、本実施形態では柱部21aに本体係止凹部5を有している。
【0036】
一方、第二の係止構造と第二の被係止構造は、蓋部2に形成された複数の係止溝10に柱部21bに設けられた係止爪部11が噛み合うことにより係止される構成である。例えば、ハーネス収容部30に収容された電線40が十分に結束される状態まで蓋部2をスライドさせたとき、蓋部2が逆方向に戻ろうとする力によりロック機構が作用する。
【0037】
被係止構造である係止爪部11と噛み合う係止溝10の蓋部2における位置に応じて、収容本体20の開口を閉塞する蓋部2の長さが可変となり、収容本体20と蓋部2により画成されるハーネス収容部30の大きさが可変となる。
ハーネスの電線40の本数にかかわらず収容可能とするため、係止溝10は所定の領域にわたって設けられている。
なお、係止溝10の配設される範囲や位置等は、目的に応じて適宜選択、設定することができる。
【0038】
本実施形態のハーネスクランプ1は、第一の実施形態と同様に、収容本体20の柱部21のいずれか一方(本実施形態では符号21aで示す柱部)に、蓋部2が収容本体20の開口を閉塞したときに生じる余長部を挿通して保持する余長挿通部8を備えている。
【0039】
収容本体20の本体係止凹部5は、一対の柱部21のうち長い柱部側(本実施形態では符号21aの柱部側)の開口側端部に設けられている。
そのため、対向する他方の柱部(本実施形態では符号21bの柱部)と蓋部2との接合部は、底部22を基準とした高さにおいて本体係止凹部5よりも低い位置となる。これにより、電線40の本数が多くなった場合でも蓋部2が上方へ突出してしまうのを防ぐことができる。
【0040】
また、蓋部2は、所望の位置で折曲げ可能とする複数の折曲溝7を有していてもよい。
折曲溝7の配設数や配設間隔などは、使用態様に応じて適宜選択、設定することができる。
折曲溝7を有することにより、適切な位置で蓋部2を折曲げて変形させることにより、安定して必要な大きさの収容部を確保することができる。
【0041】
収容本体20の底部22の外側面には、第一の実施形態と同様に画像形成装置等の被取付体に形成された取付孔に対し、ハーネスクランプ1を着脱可能に取付けるための固定機構部9が設けられている。なお、固定機構部9の構成は、第一の実施形態において説明したものと同様である。
【0042】
図6及び
図7は、第二の実施形態に係るハーネスクランプ1が複数の電線40からなるハーネスを収容した状態の一例を示す説明図である。
図6は、収容する電線40の本数が標準より少ない場合を示している。
図7は、収容する電線40の本数が標準より多い場合を示している。
【0043】
図6に示すように、収容する電線40が少ない場合は、係止爪部11と、蓋部2の先端から長手方向において離れた位置に形成された係止溝10とを噛み合わせることにより、収容部30の大きさ(収容領域)を小さくすることができる。
この場合、蓋部2は収容本体20の開口を閉塞する部分以外の余長部を生じている。
余長部は余長挿通部8に挿通され、保持される。これにより、周囲の部品との接触や、後付けされる部品との挟み込み等の障害の発生を防止することができる。なお、余長挿通部8は、第一の実施形態において説明した態様と同様である。
【0044】
図7のように収容する電線40が多い場合は、係止爪部11と、蓋部2の先端に近い位置に形成された係止溝10とを噛み合わせることにより、収容部30の大きさ(収容領域)を大きく確保することができる。
【0045】
このように、本実施形態のハーネスクランプによれば、ハーネスの電線40の本数にかかわらず収容することができる。また、摘むだけで係止を解除可能な係止解除爪6を備えているため、治具等を用いることなく、またハーネスクランプを破壊することなく容易に係止を解除することができる。これにより、ハーネスクランプの再利用が可能となる。
【0046】
[画像形成装置]
図10は、本発明に係るハーネスクランプ1を備える画像形成装置200の概略構成図である。
図10において、画像形成装置200は、処理ユニットである画像形成ユニット201の上部に原稿画像読み取りユニット202が載置され、画像形成ユニット201は、被記録媒体Pを給送する被記録媒体給送ユニット203の上部に保持されている。
各ユニットに接続するハーネスHをクランプする上述のいずれかの実施形態にかかるハーネスクランプ1を備えている。
【0047】
画像形成装置は、例えば、原稿の画像をCCDラインセンサなどを含む光学系を介して光学的に読取ったアナログ画像信号をアナログ処理するアナログ処理回路(例えば、サンプルホールド回路、黒レベル補正回路、マルチプレクス回路、増幅回路など)や、アナログ画像信号をA/D変換した後のデジタル画像信号をデジタル処理するデジタル処理回路(例えば、シェーディング補正回路、γ補正回路など)を備える。また、インタフェイスなどを介して画像処理回路(例えば、画像のエッジ強調回路、スムージング回路、色変換回路、色補正回路、画像の移動、拡大、縮小などを行う画像変換回路など)をも備えている。このため複数のハーネスが必要となる。
【0048】
画像形成ユニット201は、電子写真方式の作像プロセスでトナーの記録画像を被記録媒体Pの記録用紙等に転写して形成するようになっている。
【0049】
原稿画像読み取りユニット202において、原稿台220に載置される原稿100の原稿画像は、原稿読取部221によって光学的に読み取られて原稿画像情報として画像処理部204で画像処理される。
そして、画像処理部204で画像処理された原稿画像情報に基づくレーザ光の露光光が、画像形成ユニット201の書き込み装置212によって像担持体210のドラム形状の感光体ドラム上に書き込まれる。画像処理部204と原稿読取部221、書き込み装置212、図示しない制御部等は複数本の電線からなるハーネスHで接続されてそれぞれの間に原稿画像情報や制御信号等が伝達されている。そして、ハーネスHはハーネスクランプ1によってクランプされている。
像担持体210の感光体ドラムは、矢印D方向の時計方向に回転し、この時、帯電装置211によって表面を一様に帯電され、その帯電面に書き込み装置212により原稿画像が書き込まれる。これによって、像担持体210上に静電潜像が形成される。この潜像は、現像装置213によってトナー画像として可視像化される。
【0050】
一方、被記録媒体給送ユニット203から被記録媒体Pが像担持体210に向けて搬送され、転写装置214によって像担持体210上のトナーの記録画像が被記録媒体Pに転写される。
転写装置214における転写工程後の被記録媒体Pは、転写装置214の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置215に達する。
定着装置215に達した被記録媒体Pは、定着ローラと加圧ローラとのニップ部に進入して、定着ローラから受ける熱と加圧ローラから受ける圧力とによってトナーの記録画像が定着される。トナーの記録画像が定着された被記録媒体Pは、定着ローラと加圧ローラとのニップ部から送り出された後に、排紙トレイ216に排出されて収納される。
【0051】
他方、転写装置214における転写工程後の像担持体210上に残留するトナーは、クリーニング装置217によって除去されて次工程に備えられる。
電源ユニット205から像担持体駆動モータ218、スキャナー駆動モータ222、被記録媒体給送駆動モータ230、定着装置215等にハーネスHで接続されて駆動または加熱電力が供給されている。そして、これらハーネスHは、ハーネスクランプ1によってクランプされている。
【0052】
画像形成装置には、たとえば原稿の画像をCCDラインセンサなどを含む光学系を介して光学的に読取ったアナログ画像信号をアナログ処理するアナログ処理回路(たとえばサンプルホールド回路、黒レベル補正回路、マルチプレクス回路、増幅回路など)や、アナログ画像信号をA/D変換した後のデジタル画像信号をデジタル処理するデジタル処理回路(たとえばシェーディング補正回路、γ補正回路など)を備える。また、たとえばインタフェイスなどを介して画像処理回路(たとえば画像のエッジ強調回路、スムージング回路、色変換回路、色補正回路、画像の移動、拡大、縮小などを行う画像変換回路など)をも備えている。このため複数のハーネスが必要となるが、本例においては、上述したアナログ処理回路やデジタル処理回路の付近の他、たとえばモータなどの所定の駆動部の付近、たとえば第1、第2キャリッジなどの所定の可動部の付近、たとえば光源ランプなどの所定の高温部の付近、あるいは複数のハーネスのばらけが発生し得る部分、ハーネスの追加作業が別々である部分、筐体の任意部分等の少なくとも一部もしくは少なくとも前記一部分、もしくはシャーシの他、任意の個所に上述したハーネスクランプ1を用いるものである。
【0053】
本発明に係る画像形成装置は、ハーネスの電線の本数にかかわらず収容可能とし、かつ治具等を用いることなく容易に係止を解除できるハーネスクランプを備えているため、例えば、ハーネス組み立てにおいて、部品管理工数や作業者のクランプ誤組付けを低減可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 ハーネスクランプ
2 蓋部
3 蓋部係止突起(第一の係止構造)
4 蓋部係止凸部
5 本体係止凹部(第一の被係止構造)
6 係止解除爪
7 折曲溝
8 余長挿通部
9 固定機構部
10 係止溝(第二の係止構造)
11 係止爪部(第二の被係止構造)
20 収容本体
21 柱部(収容本体柱部)
22 底部(収容本体底部)
23 挿通孔部
25 引掛部
26 余長係止凹部
30 収容部
40 電線
200 画像形成装置
H ハーネス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】