(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091333
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20230623BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 370
G03G15/00 657
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206019
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】笠舞 真史
(72)【発明者】
【氏名】桐生 光示
(72)【発明者】
【氏名】芦川 正啓
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳平
(72)【発明者】
【氏名】生方 幹二
(72)【発明者】
【氏名】中村 なぎさ
【テーマコード(参考)】
2H035
2H270
【Fターム(参考)】
2H035CA07
2H035CD14
2H035CG01
2H270LA15
2H270LA20
2H270LA32
2H270LA45
2H270LD03
2H270MB25
2H270MB31
2H270MB32
2H270MB33
2H270MB43
2H270MD02
2H270MD04
2H270MD10
2H270MD12
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】画像の濃度むらを好適に低減可能とする。
【解決手段】画像形成装置100では、基準選択部79が、複数の感光体ドラム40のうち、相対位相差算出部78の算出結果より位相補正値が最小となるドラムを、基準ドラム40S(基準の像担持体)として選択する。補正制御部80は、複数のモータ71を駆動した状態で、基準選択部79によって求めた基準ドラム40Sを基準として、複数の感光体ドラム40の基準ドラム40S以外の他のドラムのそれぞれの回転位置を位相補正値へ制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、
前記複数の像担持体のそれぞれを回転駆動する複数のモータと、
前記複数の像担持体の回転位置を検出する回転位置検出部と、
前記複数の像担持体に形成されたトナー像の濃度を検知する濃度検知部と、
所定の画像パターンを形成し、前記回転位置検出部、及び、前記濃度検知部による検知結果から、前記複数の像担持体のそれぞれの回転体周期の濃度ムラと回転位置基準からの濃度ムラ位相を検知する濃度ムラ検知部と、
前記濃度ムラ検知部にて取得した前記濃度ムラ位相より、前記複数の像担持体のそれぞれの目標位相を算出する目標位相算出部と、
前記回転位置検出部にて取得した前記回転位置と、前記目標位相算出部によって算出した前記目標位相より、前記複数の像担持体のそれぞれの相対位相差を算出する相対位相差算出部と、
前記複数の像担持体のうち、前記相対位相差算出部の算出結果より位相補正値が最小となる像担持体を、基準の像担持体として選択する基準選択部と、
前記複数のモータを駆動した状態で、前記基準選択部によって求めた前記基準の像担持体を基準として、前記複数の像担持体の他の像担持体のそれぞれの前記回転位置を前記位相補正値へ制御する補正制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のモータの回転速度を検出する回転速度検出部と、
前記複数の像担持体の回転速度が目標速度内に収まったか判定する判定部と、
を備え、
前記補正制御部は、前記判定部の判定結果に基づき、前記複数のモータを駆動した状態を判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正制御部は、
前記回転位置を前記位相補正値に制御するときに、前記他の像担持体のそれぞれを減速させて合わせる、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正制御部は、
前記回転位置を前記位相補正値に制御するときに、前記他の像担持体のそれぞれを加速させて合わせる、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体として複数の感光体ドラムを有するタンデムカラー式の画像形成装置では、感光体ドラムの偏芯などにより感光体周長で発生する周期的な画像濃度むらが発生する場合がある。
【0003】
特許文献1、2には、感光体ドラムの周期むらを検出して、周期むらを補正するように目標速度を可変させる構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2などに記載の従来手法では、感光体ドラムの駆動用のモータの起動中に、Y、M、Cなどの各色の周期むらを合わせることにより二次色以上の濃度むらを低減し、改善しようとする点については、十分でない。
【0005】
本発明は画像の濃度むらを好適に低減可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る画像形成装置は、複数の像担持体と、前記複数の像担持体のそれぞれを回転駆動する複数のモータと、前記複数の像担持体の回転位置を検出する回転位置検出部と、前記複数の像担持体に形成されたトナー像の濃度を検知する濃度検知部と、所定の画像パターンを形成し、前記回転位置検出部、及び、前記濃度検知部による検知結果から、前記複数の像担持体のそれぞれの回転体周期の濃度ムラと回転位置基準からの濃度ムラ位相を検知する濃度ムラ検知部と、前記濃度ムラ検知部にて取得した前記濃度ムラ位相より、前記複数の像担持体のそれぞれの目標位相を算出する目標位相算出部と、前記回転位置検出部にて取得した前記回転位置と、前記目標位相算出部によって算出した前記目標位相より、前記複数の像担持体のそれぞれの相対位相差を算出する相対位相差算出部と、前記複数の像担持体のうち、前記相対位相差算出部の算出結果より位相補正値が最小となる像担持体を、基準の像担持体として選択する基準選択部と、前記複数のモータを駆動した状態で、前記基準選択部によって求めた前記基準の像担持体を基準として、前記複数の像担持体の他の像担持体のそれぞれの前記回転位置を前記位相補正値へ制御する補正制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
画像の濃度むらを好適に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図
【
図3】画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図
【
図6】位相合わせ制御に関する画像形成装置の機能ブロック図
【
図8】
図7に示した位相合わせ制御における各種信号のタイミングチャート
【
図9】位相検出期間での各ドラムの位相取得処理のフローチャート
【
図10】本実施形態で位相補正に用いるパラメータを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
以下、タンデム方式といわれる二次転写機構を備える電子写真方式の画像形成装置を一例として、実施形態を説明する。
【0011】
この画像形成装置は、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ機能等を一つの筐体に搭載したMFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)である。また記録媒体には、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、オーバーヘッドプロジェクターシート(OHPシート)、カード、ハガキ等の厚紙又は封筒等が挙げられるが、ここでは用紙Pを記録媒体の一例として説明する。
【0012】
<画像形成装置100の構成例>
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の構成の一例を示す図であり、実施形態に係る画像形成装置100の要部を示す断面図である。
図1に示すように画像形成装置100は、中央に中間転写ユニットを備え、中間転写ユニットは、無端ベルトである中間転写ベルト10を備えている。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14~16に掛け廻され、時計廻りに回動駆動される。
【0013】
また、画像形成装置100は、3つの支持ローラ14~16のうちの第2の支持ローラ15の左方に、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニングユニット17を備える。
【0014】
第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に配置された中間転写ベルト10に対向するようにして、イエロー(Y)の作像部、マゼンタ(M)の作像部、シアン(C)の作像部、及びブラック(K)の作像部から構成される作像部20が設けられ、各色の作像部が中間転写ベルト10の移動方向に沿って配置されている。
【0015】
なお、各色の作像部は、使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成となっている。そのため、説明及び図面では、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略して説明する場合がある。
【0016】
作像部20は、各色の感光体ドラム(像担持体)40(40Y、40M、40C、40K)と、帯電ローラ18(18Y、18M、18C、18K)と、現像ユニットと、クリーニングユニットとを備え、画像形成装置100に対して着脱可能に装着されている。
【0017】
画像形成装置100には、画像形成装置100の内部を保護するため、前方(紙面の手前側)に傾けて開閉可能なカバー部が設けられている。画像形成装置100のユーザやメンテナンスを行うサービスマンは、カバー部を開けて画像形成装置100の内部にアクセスし、作像部20を画像形成装置100内の所定箇所に着脱することができる。
【0018】
この作像部20は、例えば、感光体ドラム40の寿命に応じて交換可能プロセスカートリッジドラムユニット(以下、PCDUという)である。
【0019】
また、画像形成装置100は、作像部20の上方には、光ビーム走査部21を備える。光ビーム走査部21は、各色の感光体ドラム40に、画像形成のための光ビーム(レーザ光)を照射することで、各色の感光体ドラム40に画像データに応じた静電潜像を形成することができる。
【0020】
各色の感光体ドラム40の静電潜像は現像ユニットにより現像され、現像された各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に重ね合わせされて一次転写される。これにより、中間転写ベルト10上にカラーのトナー像が形成される。トナー像は、像担持体の一例としての中間転写ベルト10に担持され、中間転写ベルト10の移動方向に沿って移動される。なお、作像部20の構成は、別途、
図2を参照して詳述する。
【0021】
また、画像形成装置100は、中間転写ベルト10の下方に2次転写ユニット22を備えている。2次転写ユニット22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を架け渡し、中間転写ベルト10を押し上げて第3の支持ローラ16に押当てるようにして配置されている。2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10上に形成されたトナー像を、用紙P上に二次転写させることができる。
【0022】
さらに、画像形成装置100は、2次転写装置22の側方に、定着ユニット25を備えている。定着ユニット25は、トナー像が二次転写された状態で搬送されてきた用紙P上のトナー像を、用紙Pに定着させる。定着ユニット25は、無端ベルトである定着ベルト26と、加熱ローラと、加圧ローラ27とを備え、定着ベルト26及び加圧ローラ27による熱と圧力とにより、用紙Pの表面に転写されたトナー像を用紙Pに定着させることができる。
【0023】
また、画像形成装置100は、2次転写ユニット22、及び定着ユニット25の下方に、表面に画像形成された直後の用紙Pの裏面にも画像形成するために、用紙Pの表裏を反転させて送り出すシート反転ユニット28を備えている。
【0024】
次に、画像形成装置100において、用紙P上に画像が形成される一連の流れを説明する。
【0025】
画像形成装置100は、操作部(図示を省略)における「コピー」のスタートボタンが押されると、原稿自動搬送部であるADF(Auto Document Feeder)400の原稿給紙台30上に原稿が載置されている場合には、ADF400に、原稿をコンタクトガラス32上に向けて搬送させる。一方、原稿給紙台30上に原稿が載置されていない場合には、コンタクトガラス32上に手置きされた原稿を読むために、第1キャリッジ33、及び第2キャリッジ34を備える画像読み取りユニット300を駆動させる。
【0026】
画像読み取りユニット300において、第1キャリッジ33に含まれる光源は、コンタクトガラス32に光を照射する。原稿面からの反射光は、第1キャリッジ33に含まれる第1ミラーにより第2キャリッジ34に向けて反射され、第2キャリッジ34に含まれるミラーで反射される。そして、原稿面からの反射光は、結像レンズ35により読取りセンサであるCCD(Charge Coupled Device)36の撮像面上で結像させられる。CCD36は原稿面の像を撮像し、CCD36により撮像された画像信号に基づいてY、M、C、BKの各色の画像データが生成される。
【0027】
また、画像形成装置100は、「プリント」のスタートボタンが押された時や、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像形成の指示があった時、FAX(Facsimile)の出力指示があった時には、中間転写ベルト10の回動駆動を開始させるとともに、作像部20の各ユニットの作像準備を行う。
【0028】
その後、画像形成装置100は、各色の作像プロセスを開始する。各色用の感光体ドラム40に各色の画像データに基づいて変調されたレーザが照射され、静電潜像が形成される。そして、静電潜像が現像された各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に、一枚の画像として重ね合わされて形成される。
【0029】
その後、中間転写ベルト10上のトナー画像の先端が2次転写ユニット22に進入するタイミングで、用紙Pの先端が2次転写ユニット22に進入するように、タイミングをはかって用紙Pが2次転写ユニット22に送り込まれる。そして、2次転写ユニット22により、中間転写ベルト10上のトナー像が用紙Pに二次転写される。トナー像が二次転写された用紙Pは、定着ユニット25に送り込まれ、トナー像が用紙Pに定着される。
【0030】
ここで、二次転写位置までの用紙Pの給紙について説明する。用紙Pは、給紙テーブル200の給紙ローラ42のうちの1つが回転駆動することで、給紙ユニット43に多段に備えられた給紙トレイ44のうちの1つから繰り出される。その後、分離ローラ45で1枚だけ分離され、搬送コロユニット46に進入し、搬送ローラ47により搬送される。その後、画像形成装置100内の搬送コロユニット48に導かれ、搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てられて一時停止された後、上述したように、2次転写のタイミングに合わせて2次転写ユニット22に向けて送り出される。
【0031】
また、ユーザが手差しトレイ51に用紙Pを差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51に用紙Pを差し込んだ場合には、画像形成装置100は、給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51上の用紙Pの一枚を分離して手差し給紙路53に引き込む。そして、上述したものと同様に、レジストローラ49に突き当てて一旦停止させてから、上述した2次転写のタイミングに合わせて2次転写ユニット22に送り出す。
【0032】
定着ユニット25で定着されて排出された用紙Pは、切換爪55で排出ローラ56に案内され、排出ローラ56により排出されて、排紙トレイ57上にスタックされる。或いは、切換爪55でシート反転ユニット28に案内され、シート反転ユニット28により反転されて再び二次転写位置に導かれる。その後、用紙Pの裏面にも画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【0033】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写体クリーニングユニット17で除去され、再度の画像形成に備えられる。
【0034】
画像形成装置100は、このようにして、用紙Pにカラー画像を形成することができる。
【0035】
<作像部20の構成例>
次に、画像形成装置100における作像部20の構成について、
図2を用いて説明する。
【0036】
図2は、作像部20の構成の一例を示す図であり、各色の作像部のうちの1つの構成例を示している。上述したように、その他の3色の作像部は、使用するトナーの色が異なる点を除き、同様の構成であるため、図示と説明を省略し、1つの作像部のみを説明する。つまり、
図2中の各符号は、
図1の場合には、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字が付されて表される。
【0037】
作像部20は、感光体ドラム40と、帯電ローラ18と、現像器29と、クリーニングブレード13と、除電器19と、一次転写ローラ62とを備える。帯電ローラ18には帯電用高圧電源181が電気的に接続され、一次転写ローラ62には転写用高圧電源621が電気的に接続されている。
【0038】
像担持体の一例としての感光体ドラム40は、負帯電性の有機感光体であり、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。感光体ドラム40は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、保護層、すなわち表面層が順次積層されている。感光体ドラム40の導電性支持体には、体積抵抗が1010Ωcm以下の導電性材料等を用いることができる。
【0039】
帯電ローラ18は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材である。帯電用高圧電源181から所定の電圧が印加され、帯電ローラ18に対向する感光体ドラム40の表面を一様に帯電する。帯電ローラ18の汚れを除去するクリーニングローラを、帯電ローラ18に接触させて設けた構成としてもよい。
【0040】
帯電ローラ18と感光体ドラム40との間には微小な空隙が設けられ、帯電ローラ18は感光体ドラム40に対し非接触な状態で配置されている。このような状態で感光体ドラム40を帯電させる帯電方式は、非接触帯電方式と称される。
【0041】
非接触帯電方式は、帯電ローラ18と感光体ドラム40を接触させて帯電させる接触帯電方式に比べ、感光体ドラム40上に残留するトナーや潤滑剤などの異物が帯電ローラ18に付着し難いため、異物の付着による帯電ムラを抑えることができる。但し、実施形態は、非接触帯電方式に限定されるものではなく、接触帯電方式に適用しても良い。帯電用高圧電源181は、帯電ローラ18に帯電バイアスを印加する。
【0042】
現像器29は、感光体ドラム40に対向する現像ローラ29aを有している。現像ローラ29aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブとを備える。マグネットによって現像ローラ29a上に複数の磁極が形成されて、現像ローラ29a上に現像剤が担持される。
【0043】
クリーニングブレード13は、感光体ドラム40表面に付着する未転写トナー等の付着物を機械的に掻き取る。クリーニングブレード13は、ウレタンゴム等のゴム材料からなり略板状に形成されたブレード状部材であり、感光体ドラム40表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。
【0044】
除電器19は、トナー像が転写された後に、感光体ドラム40表面の電荷を除去する。 帯電ローラ18で一様に帯電された感光体ドラム40は、画像データに応じて光ビーム走査部21による光ビームで露光される。感光体ドラム40表面には静電潜像が形成される。現像器29は、感光体ドラム40表面に形成された静電潜像に、トナーを付着させる。これにより感光体ドラム40表面にトナー像が現像される。
【0045】
転写用高圧電源621で生成された電圧が一次転写ローラ62に印加されることで、感光体ドラム40表面のトナー像は、中間転写ベルト10に転写される。中間転写ベルト10のトナー像は、二次転写ユニット22で用紙Pに転写され、定着ユニット25で用紙Pに定着される。感光体ドラム表面の残トナー等は、クリーニングブレード13で除去される。また、感光体ドラム40表面の電荷は、除電器19により除去される。
【0046】
<画像形成装置100のハードウェア構成例>
次に、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
図3は、画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
図3に示すように、画像形成装置100は、コントローラ910と、近距離通信回路920と、エンジン制御部930と、操作パネル940と、ネットワークI/F950と、制御基板960とを備える。
【0048】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901と、システムメモリ(MEM-P)902と、ノースブリッジ(NB)903と、サウスブリッジ(SB)904と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906と、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907と、HDDコントローラ908と、記憶部であるHD909とを備える。また、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0049】
これらのうち、CPU(Central Processing Unit)901は、画像形成装置100の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを備える。
【0050】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM(Read Only Memory)902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM(Random Access Memory)902bとからなる。
【0051】
なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0052】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDD908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0053】
このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。
【0054】
なお、ASIC906には、USBのインタフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインタフェースを接続するようにしても良い。
【0055】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。
【0056】
AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0057】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0058】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。なお、
図2で説明した作像部20は、このプリンタ部932に含まれている。
【0059】
操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940bを備えている。
【0060】
コントローラ910は、画像形成装置100全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0061】
なお、画像形成装置100は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。
【0062】
ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0063】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークを利用してデータ通信をするためのインタフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0064】
<位相合わせ制御の概要>
図1に示すように、像担持体として複数の感光体ドラム40(40Y、40M、40C、40K)を有するタンデムカラー式の画像形成装置1では、感光体ドラム40の偏芯などにより感光体周長で発生する周期的な画像濃度むらが発生する場合がある。そこで本実施形態の画像形成装置1では、画像の濃度むらを好適に低減可能とするために、各色の濃度位相むらを同期させる「位相合わせ制御」を実施する。
【0065】
図4は、位相合わせ制御の概要を説明する図である。
図4の(A)、(B)は、従来技術と本実施形態の位相合わせ制御の概要を示す。
図4の(C)、(D)は、従来技術と本実施形態の位相合わせ制御によって生成された画像の印刷結果の例を示す。この技術に関しては、Y、M、C、K、S色で濃度むらの位相を同期させても効果があるが、
図4では一例としてY、M、Cの三色のみ記載している。
【0066】
図4(A)、(B)の各図の横軸は時間を示し、縦軸は各色の感光体ドラム40Y、40M、40C濃度ムラを示す。
図4(C)、(D)の各図の横軸は副走査方向を示し、縦軸は印刷画像の明度L*と、色度a*、b*を示す。
【0067】
図4(A)に示すように、感光体周期で発生するトナー付着量変動(濃度ムラ)に対して各色の感光体をそれぞれ独立で駆動すると、位相の同期を取らないため各色の位相はずれたままとなる。このため、
図4(C)に示すように、2色以上の重ね画像を形成したときに、濃度ムラが強調されてしまい、大きな濃度変動となる場合がある。
図4(C)の例では、色相成分a*、b*が変動するため、周期的な色味変動が目立つ。
【0068】
一方、本実施形態では、
図4(B)に示すように、各色の感光体濃度ムラ位相が画像上で一致するよう各色の感光体ドラム40を駆動させる、位相合わせ制御を実施する。位相合わせ制御により、
図4(D)に示すように、生成画像の明度や色度にも同期が取られて色相成分a*、b*を抑制できるので、回転体による副走査方向の濃度ムラ(ΔE)を抑制できる。
【0069】
図5は、位相合わせ制御のイメージ図である。
図5の(A)は位相合わせ制御開始時の各色の感光体ドラム40C、40M、40Yの位相を示し、
図5の(B)は位相合わせ制御完了時の各色の感光体ドラム40C、40M、40Yの位相を示す。
図5の(C)は、ドラムの位相と濃度ムラとの関係の一例を示す図であり、横軸がドラム位相、縦軸が濃度ムラを示す。また、
図5(C)には、濃度ムラが最大となる位相が符号aで示されている。また、
図5(C)には、ドラム位相の所定の基準位置も示されている。また、
図5(A)、(B)では、各感光体ドラムC、M、Yにおける、濃度ムラの頂点、すなわち、
図5(C)に示す濃度ムラが最大となる位相aとなる位置と、基準位置とが、各ドラムの円形状の周方向に沿って図示されている。
【0070】
図5(A)に示すように、位相合わせ制御開始時には、各感光体ドラム40C、40M、40Yでは、基準位置に対する濃度ムラの頂点の位置がバラバラであり、各感光体ドラム40C、40M、40Yの濃度ムラの頂点の位置の位相もバラバラとなっている。
【0071】
位相合わせ制御では、各感光体ドラム40C、40M、40Yが中転ベルトに当接する前に、各感光体ドラム40C、40M、40Yの濃度ムラの頂点となる位相が印刷画像上で一致するように、各感光体ドラム40C、40M、40Yの回転速度を調整する。
【0072】
各ドラム40C、40M、40Yのドラム位相に対する濃度ムラの関係(濃度ムラ位相)は、別の調整動作で事前に取得したものを用いることができる。
図5の例では、感光体ドラムの位相検出手段としてホームポジションセンサなどの基準位置検出部を、速度検出部としてロータリエンコーダを用いている場合を例示している。
【0073】
図5(B)に示すように、位相合わせ制御完了時には、各感光体ドラム40C、40M、40Yの濃度ムラの頂点となる位相が同一に揃えられている。
【0074】
<位相合わせ制御の具体的な構成>
図6は、位相合わせ制御に関する画像形成装置の機能ブロック図である。
【0075】
画像形成装置100は、上記の感光体ドラム40に加えて、モータ71と、回転速度検出部72と、回転位置検出部73とを備える。さらにコントローラ910は、位相合わせ制御に関する機能として、判定部74と、濃度検知部75と、濃度ムラ検知部76と、目標位相算出部77と、相対位相差算出部78と、基準選択部79と、補正制御部80とを有する。
【0076】
モータ71は、複数の感光体ドラム40のそれぞれを回転駆動する。モータ71は、具体的には、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのそれぞれを駆動するための複数個で構成され、複数のモータ71Y、71M、71C、71Kとも表記される。上述の
図5(A)、(B)には、感光体ドラム40C、40M、40Yに対応するモータ71C、71M、71Yが図示されている。
【0077】
回転速度検出部72は、複数のモータ71の回転速度を検出する。回転速度検出部72も、具体的には複数のモータ71Y、71M、71C、71Kのそれぞれの回転速度を検出するための複数個で構成され、複数の回転速度検出部72Y、72M、72C、72Kとも表記される。回転速度検出部72としては、例えば
図5に例示した速度検出部のように、ロータリエンコーダなどの要素を適用できる。回転速度検出部72は、検出した各モータ71の回転速度の情報を判定部74に出力する。
【0078】
回転位置検出部73は、複数の感光体ドラム40の回転位置(
図10などに示すθy、θm、θc)を検出する。回転位置検出部73は、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのそれぞれの回転位置を検出するための複数個で構成され、複数の回転位置検出部73Y、73M、73C、73Kとも表記される。回転位置検出部73としては、例えば
図5に示した基準位置検出部のように、ホームポジションセンサなどの要素を適用できる。回転位置検出部73は、検出した感光体ドラム40の回転位置の情報を、濃度ムラ検知部76及び相対位相差算出部78に出力する。
【0079】
判定部74は、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの回転速度が目標速度内に収まったか判定する。判定部74は、例えば回転速度検出部72が検出したモータ71の回転速度の情報を用いて感光体ドラム40の回転速度を算出して判定を行うことができる。なお、回転速度検出部72が感光体ドラム40の回転速度を直接計測して、判定部74が回転速度検出部72により直接計測されて感光体ドラム40の回転速度を用いて判定を行う構成としてもよい。判定部74は、判定結果を補正制御部80に出力する。
【0080】
濃度検知部75は、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kに形成されたトナー像の濃度を検知する。濃度検知部75は、検知したトナー像の濃度の情報を濃度ムラ検知部76に出力する。
【0081】
濃度ムラ検知部76は、所定の画像パターンを形成し、回転位置検出部73、及び、濃度検知部75による検知結果から、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのそれぞれの回転体周期の濃度ムラと回転位置基準からの濃度ムラ位相を検知する。濃度ムラ検知部76は、例えば濃度検知部75により検知されたトナー像の濃度の情報に基づき、
図4(A)、(B)に例示したような各感光体ドラム40の周期的な濃度ムラを算出する。また、濃度ムラ検知部76は、例えば回転位置検出部73により検出された各感光体ドラム40の回転位置の情報に基づき、
図5(A)(B)に例示したような各感光体ドラム40の基準位置を、各感光体ドラム40の回転位置基準として導出する。そして、
図5(C)に例示したような周期的な濃度ムラと回転位置基準との関係から、濃度ムラ位相を導出する。濃度ムラ検知部76は、検知した濃度ムラ位相の情報を目標位相算出部77に出力する。
【0082】
目標位相算出部77は、濃度ムラ検知部76にて取得した濃度ムラ位相より、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのそれぞれの目標位相(
図10などに示すθy_offset、θm_offset、θc_offset)を算出する。目標位相算出部77は、算出した各感光体ドラム40の目標位相の情報を相対位相差算出部78に出力する。
【0083】
相対位相差算出部78は、回転位置検出部73にて取得した複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの回転位置と、目標位相算出部77によって算出した目標位相より、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのそれぞれの相対位相差(
図11に示すeYM、eYC、eMY、eMC、eCY、eCM)を算出する。相対位相差算出部78は、算出した各感光体ドラム40の相対位相差の情報を基準選択部79に出力する。
【0084】
基準選択部79は、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのうち、相対位相差算出部78の算出結果より位相補正値(
図11に示すMax(eY#)、Max(eM#)、Max(eC#))が最小となる感光体ドラムを、基準の像担持体である基準ドラム40Sとして選択する。基準選択部79は、選択した基準ドラム40Sの情報を補正制御部80に出力する。
【0085】
補正制御部80は、複数のモータ71Y、71M、71C、71Kを駆動した状態で、基準選択部79によって求めた基準ドラム40Sを基準として、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのうち、基準ドラム40S以外の他の感光体ドラムのそれぞれの回転位置を、基準選択部79で求めた位相補正値へ制御する。補正制御部80は、例えば各モータ71Y、71M、71C、71に制御指令を出力して、各モータが駆動する感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの回転位置を補正することができる。
【0086】
図5(A)、(B)では、感光体ドラム40Mが基準ドラム40Sとして選択されて、他の感光体ドラム40C、40Yの回転位置は濃度ムラ位相が基準ドラム40Sに揃うように補正されている。
【0087】
また、補正制御部80は、例えば上述の判定部74の判定結果に基づき、複数の感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの回転速度が目標速度内に収まっているときに、複数のモータ71Y、71M、71C、71Kを駆動した状態であると判定することができる。補正制御部80は、このようにモータの駆動状態を判定したときに、上述の各ドラムの回転位置の補正を行う。
【0088】
図7は、位相合わせ制御のフローチャートである。
図7では、Y、M、C、Kの4色で印刷を行い、Y、M、Cのドラム(感光体ドラム40Y、40M、40C)で位相合わせを行う場合を例にして説明する(以下、特記なしの場合同様)。なお、本実施形態では、画質に最も影響を及ぼすY、M、Cを例にとって説明するが、本実施形態の位相合わせ制御の手法は、K色の場合、また、5色以上の場合でも適用可能である。
【0089】
まず、ステップS101~S104にて、コントローラ910により各感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kが起動され、ステップS105にて判定部74により位相合わせを行う感光体ドラム40Y、40M、40Cが目標速度に収束しているか否かが判定される。目標速度に収束していない状態では(ステップS105のNo)待機する。
【0090】
判定部74により収束が確認されたら(ステップS105のYes)、感光体ドラム40Y、40M、40Cを回転駆動させるモータ71を駆動した状態になったと判定して、位相合わせ制御のステップS106以降の処理が開始される。
【0091】
ステップS106にて、回転位置検出部73により、各感光体ドラム40Y,40M、40Cの位相検出が開始される。位相検出が完了していない状態では(ステップS107のNo)待機する。
【0092】
各感光体ドラム40Y,40M、40Cの位相検出が完了したら(ステップS107のYes)、ステップS108にて位相補正値が算出される。ステップS108の処理の詳細については
図11を参照して後述する。ステップS109では、補正制御部80により位相補正が開始される。位相補正が完了していない状態では(ステップS109のNo)待機する。
【0093】
ここで、ステップS108では、補正制御部80は、各感光体ドラム40の回転位置を位相補正値に制御するときに、基準ドラム40S以外の他の感光体ドラム40のそれぞれを減速させて合わせるよう構成してもよい。または、補正制御部80は、各感光体ドラム40の回転位置を位相補正値に制御するときに、基準ドラム40S以外の他の感光体ドラム40のそれぞれを加速させて合わせるよう構成してもよい。減速または加速のどちらを選択するかは、位相合わせ制御の実行時のモータ71や感光体ドラム40の動作条件に応じて適宜選択できる。これにより、動作環境に応じたより適切な位相合わせ制御を行うことができる。
【0094】
各感光体ドラム40Y,40M、40Cの位相補正が完了すると(ステップS109のYes)、位相合わせは完了となり、ステップS111にてコントローラ910により各ドラム40と中転ベルト(中間転写ベルト10)を当接し、ステップS112にて印刷動作へ移る。
【0095】
なお、印刷を行う色の数は2色以上であれば本フロー記載の色以外でも良く、また感光体ドラム40の起動順は本フローに記載の順序でなくても良い。
【0096】
また、感光体ドラム40以外の部品の駆動制御については記載を省略している。
【0097】
なお、
図7のフローチャートでは、ステップS105にて判定部74により位相合わせを行う感光体ドラム40Y、40M、40Cの回転速度が目標速度に収まったことが確認された場合に、感光体ドラム40Y、40M、40Cを回転駆動させるモータ71を駆動した状態になったと判定して、位相合わせ制御のステップS106以降の処理が開始される構成を例示した。ただし、本実施形態では、感光体ドラム40Y、40M、40Cを回転駆動させるモータ71を駆動した状態になった後に位置合わせ制御を実施できればよく、モータ71の駆動状態の判定は、判定部74以外の手法により行ってもよい。
【0098】
図8は、
図7に示した位相合わせ制御における各種信号のタイミングチャートである。
図8には、各感光体ドラム40Y,40M、40Cのモータ回転速度(Y)、(M)、(C)と、基準位置信号(Y)、(M)、(C)と、回転位相取得信号と、位相補正値演算処理信号と、位相補正値入力信号の時間推移の一例が示されている。また、
図8の最下部には、上記の各信号の時間軸に対応する、各感光体ドラム40Y,40M、40Cの状態[1]~[5]が示されている。
【0099】
各感光体ドラム40Y、40M、40Cは、起動後、[1]立ち上げ期間、[2]位相検出期間、[3]演算期間、[4]位相補正期間、[5]速度制御期間を順に遷移する。
図7にも示す通り、[1]立ち上げ期間は
図7のステップS101~S105に対応し、[2]位相検出期間はステップS106~S107に対応し、[3]演算期間はステップS108に対応し、[4]位相補正期間はステップS109~S110に対応し、[5]速度制御期間はステップS111~S112に対応する。
【0100】
図8に示すように、[1]立ち上げ期間では、位相合わせ制御を行うドラムモータ71Y、71M、71Cの立ち上げ(=同一の目標速度への収束)を行う。例えば、目標速度の±3%の範囲に50ミリ秒間連続で入った場合に、目標速度に収束したと判断することができる。
図8の例では、ドラムモータ71Y、71M、71Cのモータ回転速度(Y)、(M)、(C)が、この順番で立ち上がり、それぞれ目標速度に到達したタイミングで[2]位相検出期間に遷移している。
【0101】
[2]位相検出期間では、それぞれの感光体ドラム40Y、40M、40Cの基準位置信号(Y)、(M)、(C)の立ち上がりエッジで回転位相取得を行う。
図8の例では、感光体ドラム40Y→感光体ドラム40C→感光体ドラム40Mの順で基準位置信号(Y)、(C)、(M)が検出され、これらの基準位置信号の立ち上がりのタイミングで回転位相信号が取得されている。すべての回転位相信号が取得されたタイミングで[3]演算期間に遷移している。
【0102】
[3]演算期間では、位相補正値演算処理信号が立ち上がり、各感光体ドラム40Y,40M、40C回転位相差とそれぞれの濃度ムラ位相の関係から位相補正値を演算する。位相補正値の演算が完了するタイミングで[4]位相補正期間に遷移する。
【0103】
[4]位相補正期間では、[3]演算期間で算出した位相補正値をそれぞれのドラムモータ71Y、71M、71Cへ入力し、各感光体ドラム40Y、40M、40Cの回転位相を調整する。
図8の例では、位相補正値入力信号がON状態に切り替わり、これに応じて各モータ71Y、71M、71Cのモータ回転速度(Y)、(M)、(C)が調整され、これにより各感光体ドラム40Y、40M、40Cの回転位相が補正されている。各ドラムの回転位相の補正が完了すると、モータ回転速度(Y)、(M)、(C)が目標速度に戻されて、[5]速度制御期間に遷移する。
【0104】
[5]速度制御期間では、ドラムモータ71Y、71M、71Cの速度制御を行い定常速度で制御を行う。なお、[4]位相補正期間中は各モータ71回転速度を変化させるため、回転速度が安定した後の[5]速度制御期間から感光体ドラム40と中間転写ベルト10との当接を行う。例えば目標速度の±3%の範囲に50ミリ秒間連続で入った場合に、回転速度が安定したと判断することができる。
【0105】
図9は、位相検出期間での各ドラムの位相取得処理のフローチャートである。
【0106】
図8中の[2]位相検出期間では、各感光体ドラム40Y、40M、40Cの最初のHP割り込みで、ある一つのドラムのエンコーダパルス数(角度)を記録し、各ドラムの回転位相差を把握する。なお、
図9では一例としてドラムY(感光体ドラム40Y)のエンコーダパルス数(角度)を記録しているが、ほかの色のドラムでもよい。
【0107】
図10は、本実施形態で位相補正に用いるパラメータを説明する図である。
図10の(A)、(B)、(C)は、それぞれドラムY、M、C(感光体ドラム40Y、40M、40C)の濃度ムラのグラフである。各グラフの横軸はドラム位相を示し、縦軸は濃度ムラを示す。
【0108】
本実施形態では、
図10に示すように、各感光体ドラム40Y、40M、40Cの[2]位相検出期間の位相をθy、θm、θcと記憶し、濃度むら位相算出結果(事前に取得したもの)の目標位相をθy_offset, θm_offset, θc_offsetとする。
図10より、角度θy、θm、θcは、位相検出期間の開始時の位置から各感光体ドラム40Y、40M、40Cの基準位置(Y)、(M)、(C)までの回転角度とも表現できる。また、目標位相θy_offset、θm_offset、θc_offsetは、各感光体ドラム40Y、40M、40Cの濃度ムラが最大となる位置と基準位置(Y)、(M)、(C)との差分とも表現できる。
【0109】
図11は、位相補正値演算処理のフローチャートである。
図11に示すフローチャートは、
図7に示した位相合わせ制御のステップS108に対応するもので、ステップS108のサブルーチン処理である。また、
図11に示すフローチャートの処理は、
図8に示した[3]演算期間に実施される。
【0110】
図8に示した[3]演算期間に
図11のフローの処理を実施して、位相合わせの基準の色を選択し、目標位相補正量を最小になるように計算する。目標位相補正量を最小にすることができれば、位相合わせにかかる時間が短くなり課題を解決することができる。
【0111】
図11のフローについて、
図10に示した各パラメータがθy=200、θm=200、θc=90、θy_offset=200、θm_offset=180、θc_offset=180の場合を例にして説明する。
【0112】
なお、目標位相θy_offset, θm_offset, θc_offsetは、
図11のフローチャートの前段階においては、濃度検知部75により、各感光体ドラム40に形成されたトナー像の濃度が検知される。次に、濃度ムラ検知部76により、回転位置検出部73、及び、濃度検知部75による検知結果から、例えば
図10に例示したグラフのように、各感光体ドラム40のそれぞれの回転体周期の濃度ムラと回転位置基準からの濃度ムラ位相とが検知される。次に、目標位相算出部77により、濃度ムラ検知部76にて取得した濃度ムラ位相より、各感光体ドラム40のそれぞれの目標位相θy_offset、θm_offset、θc_offsetが算出されている。また、各感光体ドラム40の位相θy、θm、θcは、
図7のステップS106、S107にて回転位置検出部73により予め検出されている。
【0113】
ステップS301では、相対位相差算出部78により、Y基準、M基準、C基準で相対位相角度が計算される。相対位相差算出部78は、各感光体ドラム40Y、40M、40Cを起点とする相対位相角度を求める。
【0114】
感光体ドラム40Yを起点とするY基準の場合、感光体ドラム40Mの相対位相差eYMと、感光体ドラム40Cの相対位相差eYCは下記の(1)、(2)式で算出できる。
eYM=(θy+θy_offset)-(θm+θm_offset) ・・・(1)
eYC=(θy+θy_offset)-(θc+θc_offset) ・・・(2)
【0115】
感光体ドラム40Mを起点とするM基準の場合、感光体ドラム40Yの相対位相差eMYと、感光体ドラム40Cの相対位相差eMCは下記の(3)、(4)式で算出できる。
eMY=(θm+θm_offset)-(θy+θy_offset) ・・・(3)
eMC=(θm+θm_offset)-(θc+θc_offset) ・・・(4)
【0116】
感光体ドラム40Cを起点とするC基準の場合、感光体ドラム40Yの相対位相差eCYと、感光体ドラム40Mの相対位相差eCMは下記の(5)、(6)式で算出できる。
eCY=(θm+θm_offset)-(θy+θy_offset) ・・・(5)
eCM=(θm+θm_offset)-(θc+θc_offset) ・・・(6)
【0117】
上述の各パラメータの数値例の場合、ステップS301の処理後には、eYM=-20、eYC=-130、eMY=-20、eMC=110、eCY=-130、eCM=-110となる。
【0118】
ステップS302~305では、相対位相差算出部78により、ステップS301にて算出された相対位相角度が回転方向一周未満(0以上360未満)の値に変換される。
【0119】
ステップS302、S304に記載されるパラメータ「e##」は、eYM、eYC、eMY、eMC、eCY、eCMの6個のパラメータを纏めて表現したものである。各パラメータが負の値の場合には(S302のYes)、360が加算される(S303)。また、各パラメータが360以上の値の場合には(S304のYes)、360が減算される(S305)。
【0120】
上述の各パラメータの数値例の場合、ステップS302~305の処理後には、eYM=350、eYC=230、eMY=340、eMC=110、eCY=230、eCM=250となる。
【0121】
ステップS306では、基準選択部79により基準ドラム40Sが選択される。起点ドラムごとに2つの相対位相角度のうち大きい方を選択し(Max(e##))、さらに、起点ドラムごとに選択された相対位相角度の中で最小になる色(Min(Max(eY#)、Max(eM#)、Max(eC#))のドラムを基準ドラム40Sとする。
【0122】
上述の各パラメータの数値例の場合、まず各基準ごとに大きいものはY基準:eYM=350、M基準:eMY=340、C基準:eCM=250となる。そして、これらの中で一番小さい値であるeCMであるので基準Cの起点となる感光体ドラム40Cが基準ドラム40Sとして選択される。
【0123】
ステップS307~S309では、補正制御部80により、ステップS307で選択された基準ドラム40Sに基づき他のドラムの目標位相(位相補正値)が設定される。
【0124】
ステップS307では、基準Yの起点となる感光体ドラム40Yが基準ドラム40Sとして選択されているので、目標位相(位相補正値)は、感光体ドラム40Yが0、感光体ドラム40Mが-eYM、感光体ドラム40Cが-eYCと設定される。
【0125】
ステップS308では、基準Mの起点となる感光体ドラム40Mが基準ドラム40Sとして選択されているので、目標位相(位相補正値)は、感光体ドラム40Yが-eMY、感光体ドラム40Mが0、感光体ドラム40Cが-eMCと設定される。
【0126】
ステップS309では、基準Cの起点となる感光体ドラム40Cが基準ドラム40Sとして選択されているので、目標位相(位相補正値)は、感光体ドラム40Yが-eCY、感光体ドラム40Mが-eCM、感光体ドラム40Cが0と設定される。
【0127】
上述の各パラメータの数値例の場合、ステップS307で基準Cが選択されているので、ステップS309の処理後には、目標位相Y:-230、M:-250、C:0となる。
【0128】
本実施形態の画像形成装置100では、基準選択部79が、複数の感光体ドラム40のうち、相対位相差算出部78の算出結果より位相補正値が最小となるドラムを、基準ドラム40S(基準の像担持体)として選択する。補正制御部80は、複数のモータ71を駆動した状態で、基準選択部79によって求めた基準ドラム40Sを基準として、複数の感光体ドラム40の基準ドラム40S以外の他のドラムのそれぞれの回転位置を位相補正値へ制御する。
【0129】
この構成により、複数の感光体ドラム40の位相合わせを効率よく行うことが可能となり、画像の濃度むらを好適に低減することができる。
【0130】
また、本実施形態では、感光体ドラム40の位置検出が完了した時点の角度をθy、θm、θcと記憶し、濃度むら位相算出結果の目標位相をθy_offset、θm_offset、θc_offsetとして、演算時に
図11に示したフローの処理を実施して、目標位置補正量を最小になるように計算する。目標位置補正量を最小にすることができれば、位相合わせにかかる時間を短縮化できる。
【0131】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0132】
100 画像形成装置
40(40Y、40M、40C、40K) 感光体ドラム(像担持体)
40S 基準ドラム(基準の像担持体)
71(71Y、71M、71C、71K) モータ
72(72Y、72M、72C、72K) 回転速度検出部
73(73Y、73M、73C、73K) 回転位置検出部
910 コントローラ
74 判定部
75 濃度検知部
76 濃度ムラ検知部
77 目標位相算出部
78 相対位相差算出部
79 基準選択部
80 補正制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】特開2020-177098号公報
【特許文献2】特開2011-081171号公報