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  • 特開-スパッタ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091409
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】スパッタ装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20230623BHJP
   C23C 14/54 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
C23C14/34 G
C23C14/54 G
C23C14/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206139
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 洋紀
(72)【発明者】
【氏名】内田 敏治
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029DA10
4K029DA12
4K029DC13
4K029DC20
(57)【要約】
【課題】遮蔽部材の交換頻度を低減する。
【解決手段】基板へスパッタ粒子を飛散するターゲットと、前記基板と前記ターゲットとの間に位置し、成膜時に前記基板に対するスパッタ粒子の飛散範囲を規制する遮蔽部材と、を備えたスパッタ装置であって、前記遮蔽部材は、外周面を有する回転体であり、前記回転体の回転によって、前記外周面のうち、前記ターゲットに対向する領域が変更される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板へスパッタ粒子を飛散するターゲットと、
前記基板と前記ターゲットとの間に位置し、成膜時に前記基板に対するスパッタ粒子の飛散範囲を規制する遮蔽部材と、
を備えたスパッタ装置であって、
前記遮蔽部材は、外周面を有する回転体であり、
前記遮蔽部材の回転によって、前記外周面のうち、前記ターゲットに対向する領域が変更される、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスパッタ装置であって、
前記遮蔽部材は円筒形状である、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のスパッタ装置であって、
前記遮蔽部材を回転する駆動力を出力する駆動源と、
前記駆動源を制御する制御手段と、を備える、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスパッタ装置であって、
前記ターゲットは回転ターゲットであり、
前記駆動源は、前記遮蔽部材の回転と前記ターゲットの回転とに共用の駆動源である、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスパッタ装置であって、
前記遮蔽部材を冷却する冷却手段を更に備える、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のスパッタ装置であって、
前記スパッタ装置は、マグネトロンスパッタ装置であり、
前記遮蔽部材がアノード電位に、前記ターゲットがカソード電位にそれぞれ維持される、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のスパッタ装置であって、
成膜時に、前記基板と、前記遮蔽部材及び前記ターゲットと、を相対的に移動する移動手段を備える、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等の製造において、スパッタ装置により基板に成膜を行う技術が知られている。こうしたスパッタ装置として、ターゲットと基板との間に遮蔽部材を設けたスパッタ装置が知られている(例えば特許文献1)。遮蔽部材によってターゲットから飛散するスパッタ粒子の飛散範囲を規制することで、膜厚の均一化や基板の下地層へのダメージの低減等を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-090083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成膜工程が繰り返されることで遮蔽部材にスパッタ粒子が堆積する。スパッタ粒子の堆積によって遮蔽部材の表面に膜が成膜される。その膜厚に応じて遮蔽部材の寸法が変化し、飛散の規制範囲が変化する。これは成膜精度の低下の要因となる。膜厚が厚くなった遮蔽部材は、その交換が必要であるが、交換のためには製造を一時中断する必要があり、交換頻度が多いと生産性が低下する。
【0005】
本発明は、遮蔽部材の交換頻度を低減する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
基板へスパッタ粒子を飛散するターゲットと、
前記基板と前記ターゲットとの間に位置し、成膜時に前記基板に対するスパッタ粒子の飛散範囲を規制する遮蔽部材と、
を備えたスパッタ装置であって、
前記遮蔽部材は、外周面を有する回転体であり、
前記回転体の回転によって、前記外周面のうち、前記ターゲットに対向する領域が変更される、
ことを特徴とするスパッタ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遮蔽部材の交換頻度を低減する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)及び(B)は本発明の一実施形態に係るスパッタ装置の模式図。
図2】(A)は成膜動作の説明図、(B)は遮蔽部材の他の回転制御例を示す図。
図3】(A)はターゲット及び遮蔽部材の回転機構の例を示す図、(B)は遮蔽部材の他の形状例を示す図。
図4】(A)はターゲットと遮蔽部材との他のレイアウト例を示す図、(B)は基板と、ターゲット及び遮蔽部材との相対移動の他の例を示す図。
図5】ターゲット及び磁石ユニットの他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
<スパッタ装置の構成>
図1(A)及び図1(B)は本発明の一実施形態に係るスパッタ装置1の模式図であり、図1(A)はスパッタ装置1を側方から見た図、図1(B)はスパッタ装置1を上方から見た図である。各図において矢印Zは上下方向(重力方向)を示し、矢印X及び矢印Yは互いに直交する水平方向を示す。
【0011】
スパッタ装置1は、基板100に対して膜を形成する成膜装置であり、例えば表示装置(フラットパネルディスプレイなど)や薄膜太陽電池、有機光電変換素子(有機薄膜撮像素子)等の電子デバイスや、光学部材等を製造する製造装置に適用可能であり、特に、有機ELパネルを製造する製造装置に適用可能である。有機ELパネルの製造に適用される場合、例えば、基板100の下面には予め有機膜が成膜され、スパッタ装置1は有機膜の上に電極膜をスパッタリングによって成膜する。
【0012】
スパッタ装置1は、箱型の真空チャンバ2を有する。真空チャンバ2は不図示の真空ポンプに接続され、真空ポンプによる排気によって内部空間が減圧可能である。真空チャンバ2の内部空間にはアルゴンなどの不活性ガスがガス供給ユニット3によって供給される。
【0013】
スパッタ装置1は、真空チャンバ2内で基板を搬送する移動ユニット4を備える。移動ユニット4は一対のガイドレール4aと、一対のガイドレール4aに支持されて移動するキャリア5とを備える。各ガイドレール4aはX方向に延設され、一対のガイドレール4aはY方向に離間している。移動ユニット4は、リニアモータや、ボールねじ機構等の駆動機構を有しており、その駆動力によって一対のガイドレール4aに沿ってキャリア5を図1(B)で実線と破線で示すようにX方向に往復させる。
【0014】
キャリア5は基板100を保持する保持部5aを有している。基板100は入口ゲート2aから真空チャンバ2内に搬送され、キャリア5に保持される。キャリア5の移動によって基板100は、真空チャンバ2内を水平姿勢でX方向に移動する。移動の過程で、基板100の下面にはターゲット6から飛散するスパッタ粒子が堆積し、成膜される。成膜済みの基板100は出口ゲート2bから真空チャンバ2外へ搬出される。
【0015】
ターゲット6は、本実施形態の場合、Y方向の回転中心線C1回りに回転自在な回転ターゲットである。ターゲット6は一対の支持台10に支持されている。一方の支持台10にはモータ11が設けられており、ターゲット6はモータ11を駆動源としてモータ11の駆動力によって回転する。
【0016】
ターゲット6は円筒形状を有しており、その内周面にはカソード電極7が設けられており、電圧印加ユニット8により電圧が印加されてカソード電位に維持されて放電する。また、本実施形態のスパッタ装置1はマグネトロンスパッタ装置であり、ターゲット6の内部空間の上部には、ターゲット6の表面に磁場を形成する磁石9が配置されている。
【0017】
磁石9は、Y方向に延びる中心磁石9aと、中心磁石9aを取り囲む周辺磁石9bと、ヨーク9cとを備える。周辺磁石9bは、中心磁石9aと平行にY方向に延びる一対の直線部と、一対の直線部のY方向の両端部をそれぞれ接続する接続部とを有した環状の磁石であり、図1(A)等においては周辺磁石9bの一対の直線部の断面が図示されている。
【0018】
中心磁石9aと周辺磁石9bとは逆極性で、中心磁石9aの着磁方向は中央基準線N0の方向となっている。中央基準線NOは、中心磁石9aの磁極上のX方向中央部を通り、ターゲット6の表面に対して直交方向(ターゲット6の径方向)に延びる直線である。本実施形態の場合、中央基準線NOはZ方向に延び、ターゲット6の回転中心線C1を通る線であり、基板100の搬送面に対して直交している。周辺磁石32の着磁方向は、中心磁石9aと平行に延びており、中心磁石9aと周辺磁石9bの内端とが、ヨーク9cによって連結されている。これにより、ターゲット6の表面近傍の磁場は、中心磁石9aの磁極から、周辺磁石9bの直線部へ向けてループ状に戻る磁力線を有する。この磁場によって、電子が捕捉され、ターゲット6の表面近傍にプラズマを集中させ、スパッタリングの効率が高められる。
【0019】
遮蔽部材12は、基板100とターゲット6との間に位置し、成膜時に基板100に対するスパッタ粒子の飛散範囲を構造的に規制する防着部材である。遮蔽部材12は、スパッタ粒子が付着する外周面を有し、Y方向の回転中心線C2回りに回転自在な回転体である。遮蔽部材12は、ターゲット6の真上において一対の支持台10に支持されている。中央基準線N0は遮蔽部材12を通過しており、特に、回転中心線C2を通過している。一方の支持台10にはモータ14が設けられており、遮蔽部材12はモータ14を駆動源としてモータ14の駆動力によってターゲット6とは独立して回転する。
【0020】
遮蔽部材12は、本実施形態の場合、円筒形状を有しており、その内周面にはアノード電極13が設けられており、プラズマを安定化させる効果を持つ。成膜レートに影響するプラズマの安定化は基板間の膜厚ばらつきを小さくし部止まりを向上できる。アノード電極13はアノード電位(アース電位。真空チャンバ2の壁部と同電位)に維持される。
【0021】
スパッタ装置1は遮蔽部材12を冷却する冷却ユニット15を備えている。冷却ユニット15は、真空チャンバ2の外部に配置された循環ユニット15aと、真空チャンバ2の壁部及び他方の支持台10を通って遮蔽部材12へ延設された配管15bとを有する。配管15bは遮蔽部材12の内部をY方向の一方端部から他方端部へ延び、折り返して他方端部から一方端部へ延設されたU字状の配管である。循環ユニット15aは、水などの冷却媒体を循環ユニット15aと配管15bとの間で循環させるポンプと、循環する冷却媒体の熱交換を行って、冷却媒体の温度を一定に保つ熱交換器等を含む。遮蔽部材12を冷却することで、遮蔽部材12に付着したスパッタ粒子が基板100に飛散することを防止できる。
【0022】
なお、本実施形態では、配管15bを介して遮蔽部材12を冷却することとしたが、遮蔽部材12の内部に水などの冷却媒体を直接供給して遮蔽部材12の内部を冷却媒体で満たし、遮蔽部材12を冷却することも可能である。この場合、アノード電極13との絶縁処理や冷却媒体の漏れを防止するシール処理が遮蔽部材12に対して施される。
【0023】
スパッタ装置1は制御ユニット16を備えている。制御ユニット16は、少なくとも一つのプロセッサ、少なくとも一つの記憶デバイス、及び、センサやアクチュエータとのデータの入出力を行うインタフェースを含み、スパッタ装置1を制御する。記憶デバイスは例えばRAM、ROM等のメモリである。プロセッサは記憶デバイスに記憶されたプログラムを実行し、モータ11、14や移動ユニット4の駆動制御等を行う。
【0024】
<成膜動作>
図2(A)を参照してスパッタ装置1の成膜動作について説明する。基板100を移動ユニット4によって連続的に移動させつつ、ターゲット6からスパッタ粒子Pを基板100へ飛散させて基板100の下面に堆積し、成膜する。図2(A)に図示されているターゲット6の表面近傍の楕円のループLは、プラズマが集中する部分を模式的に示す。ターゲット6の表面の法線方向の磁束密度成分が零となる位置でプラズマ密度が高く、スパッタ粒子が集中的に飛散することが知られている。この点は、中心磁石31と周辺磁石32の直線部の間に位置する。ターゲット6から放出されるスパッタ粒子が搬送面に堆積するとした場合の単位時間当たりの堆積量である成膜レートの分布は、中央基準線N0付近をピークとして、X方向の上流側、下流側にレートが低下する山形の分布となる。
【0025】
本実施形態では、中央基準線N0上に遮蔽部材12が位置しているため、スパッタ粒子Pの飛散範囲は中央基準線N0付近で規制される。したがって、飛散範囲は、成膜レートが比較的低い、遮蔽部材12のX方向両側の範囲となる。遮蔽部材12のX方向両側の範囲を飛散するスパッタ粒子は、基板100の法線方向(Z方向)に対して傾斜したD1方向又はD2方向に飛散する傾向にある。図2(A)に例示するように成膜面である基板100の下面が凹凸を有する場合、D1方向又はD2方向に飛散するスパッタ粒子は凹凸の側面に堆積し易くなり、サイドカバレッジを向上できる。
【0026】
成膜中、モータ11及び14が駆動され、ターゲット6及び遮蔽部材12は例えば矢印R1、R2の方向(時計回り)に連続的に回転(自転)する。上記の通り、中央基準線N0付近では成膜レートが高く、遮蔽部材12に対するスパッタ粒子の堆積量が多くなる。一般に、こうした構成では遮蔽部材の寿命が短く、交換頻度が高い。なぜなら膜厚が厚くなることで、膜を含めた遮蔽部材の寸法が変化して飛散範囲が変動したり、膜が剥がれやすくなってターゲット6表面に付着し、パーティクル発生の要因になり得るからである。
【0027】
しかし、本実施形態では遮蔽部材12が回転して、ターゲット6に対向する領域(本実施形態では中央基準線N0を中心にX方向両側にそれぞれ60度(合計120)程度の範囲)が循環的に変更される。遮蔽部材12上のスパッタ粒子の堆積面をより広くすることができるので、膜厚の増加を遅らせることができる。つまり、遮蔽部材12の交換頻度を低減することができる。遮蔽部材12を連続的に回転させることで、膜厚が部分的に大きくことなることも防止でき、遮蔽部材12の長寿命化を図れる。
【0028】
<第二実施形態>
第一実施形態では、成膜中、遮蔽部材12を連続的に回転させたが、成膜中は停止させておき、所定の回転条件が成立した場合に回転させてもよい。言い換えると間欠的に回転させてもよい。回転条件は、例えば、一の基板毎、複数の基板毎、所定の時間毎、作業者の回転指示毎である。図2(B)はその説明図である。図示の例では、状態ST1に示すように遮蔽部材12の回転を停止した状態で基板100に対する成膜を行う。遮蔽部材12の外周面には部分的に(下部に)スパッタ粒子が堆積して膜が形成される。回転条件が成立すると、状態ST2に示すように遮蔽部材12を回転させる。回転量は例えばターゲット6に対向する領域が入れ替わる量(第一実施形態の構成だと120度)である。
【0029】
このように遮蔽部材12を間欠的に回転した場合も遮蔽部材12の交換頻度を低減することができる。
【0030】
また、遮蔽部材12の回転はモータ14によって自動化せずに手動で行ってもよい。手動で行う場合、例えば、遮蔽部材12の回転軸を真空チャンバ2の側壁を通過して外部に延設し、作業者が回転軸を手動で回せるようにしてもよい。
【0031】
<第三実施形態>
第一実施形態では、ターゲット6、遮蔽部材12にそれぞれ駆動源としてモータ11、14を設けたが、一つのモータを共用してターゲット6、遮蔽部材12を回転してもよい。図3(A)はその機構例を示す。
【0032】
共用のモータ17の出力軸には歯車18が設けられている。ターゲット6、遮蔽部材12には、それぞれ回転中心軸上に歯車19、20が設けられており、これらの歯車19、20は歯車18と噛み合っている。モータ17を駆動することで、ターゲット6、遮蔽部材12を同時に回転することができる。歯車18~20のギア比によって、ターゲット6、遮蔽部材12の回転速度比を調整することもできる。
【0033】
図3(A)の例は共用のモータ17からターゲット6、遮蔽部材12に駆動力を伝達する機構として歯車機構を用いたが、ベルト伝動機構等、他の機構であってもよい。
【0034】
<第四実施形態>
第一実施形態では、円筒形状の遮蔽部材12を例示したが、遮蔽部材12は角筒形状であってもよい。図3(B)はその一例を示す。図示の例では遮蔽部材12は断面形状が聖子角形の角筒形状を有しており、その外周面は5つの平面で構成されている。図示の例のように、5つの平面のうちの一の平面をターゲット6に対向させて基板100の成膜を行う。遮蔽部材12を72度回転させることで、別の平面をターゲット6に対向させることができる。本実施形態の場合、第二実施形態で説明したように遮蔽部材12を間欠的に回転させることで、スパッタ粒子Pの飛散範囲の均一性を維持しつつ、遮蔽部材12の5つの平面を順次活用することができる。
【0035】
<第五実施形態>
第一実施形態では、ターゲット6と遮蔽部材12とを上下に配置したが、別の配置も採用可能である。図4(A)はその一例を示す。図示の例では、遮蔽部材12がターゲット6の真上の位置からX方向にずれて配置されている。また、磁石9は、その中央基準線N0は、Z方向から、基板100の搬送方向で上流側に傾斜するように配置されている。遮蔽部材12は、成膜レートが比較的低い領域においてスパッタ粒子Pの飛散範囲を規制している。基板100は、スパッタ粒子Pの飛散範囲に進入した直後に、成膜レートが高い中央基準線N0上に位置することになり、成膜初期段階から厚い成膜を施すことができる。
【0036】
また、図4(A)の例では配管15bが上下に配置されている。下側の配管15bを冷却媒体の供給側、上側の配管15bを冷却媒体の排出側とすることで、遮蔽部材12のターゲット6の側の冷却性能を向上できる。
【0037】
<第六実施形態>
第一実施形態では、成膜時に、基板100と、遮蔽部材12及びターゲット6と、を相対的に移動するユニットとして、基板100をX方向に移動する移動ユニット4を例示したが、遮蔽部材12及びターゲット6を移動してもよい。図4(B)はその一例を示す。
【0038】
図示の移動ユニット21は、X方向に延設されたガイドレール22と、ガイドレール22に案内されてX方向に移動可能なスライダ23とを備える。一対の支持台10はスライダ23に搭載されている。移動ユニット21は、リニアモータや、ボールねじ機構等の駆動機構を有しており、その駆動力によって一対のガイドレール22に沿ってスライダ23を実線位置と破線位置との間でX方向に往復させる。基板100は成膜中、その位置が停止されている。スライダ23を移動させつつ、ターゲット6からスパッタ粒子を放出して基板100に対する成膜を行う。
【0039】
図4(B)の例でも配管15bが上下に配置されている。下側の配管15bを冷却媒体の供給側、上側の配管15bを冷却媒体の排出側とすることで、遮蔽部材12のターゲット6の側の冷却性能を向上できる。
【0040】
<第七実施形態>
第一実施形態では、ターゲット6として回転ターゲット6を例示したが、平板ターゲットを用いてもよい。図5はその一例を示す。図示の例では回転ターゲット6に代えて平板ターゲット25が設けられている。磁石9の構成は第一実施形態と基本的に同じである。図5の例でも配管15bが上下に配置されている。下側の配管15bを冷却媒体の供給側、上側の配管15bを冷却媒体の排出側とすることで、遮蔽部材12のターゲット25の側の冷却性能を向上できる。
【0041】
また、第一実施形態では、ターゲットの上方の基板にスパッタ粒子を放出する構成を例示したが、ターゲットの下方の基板にスパッタ粒子を放出する構成であってもよい。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0043】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0044】
1 スパッタ装置、6 ターゲット、12 遮蔽部材、100 基板
図1
図2
図3
図4
図5