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特開2023-91632食鳥腿肉筋入れ装置及び食鳥腿肉自動筋入れ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091632
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】食鳥腿肉筋入れ装置及び食鳥腿肉自動筋入れ方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20230623BHJP
   A22C 17/06 20060101ALI20230623BHJP
   A22C 17/02 20060101ALI20230623BHJP
   A22C 15/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
A22C17/06
A22C17/02
A22C15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206462
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】増渕 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
(72)【発明者】
【氏名】岡 賢一
(72)【発明者】
【氏名】桜井 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 徳幸
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA04
4B011FA05
(57)【要約】
【課題】脱骨した食鳥腿肉への骨片の残存を抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉の歩留まりを向上できる食鳥腿肉筋入れ装置及び食鳥腿肉自動筋入れ方法を提供する。
【解決手段】食鳥腿肉Mの足首を保持する足首保持部2と、筋入れナイフ23を有するナイフユニット3と、ナイフユニット3を駆動する刺し込み駆動部4と、食鳥腿肉Mの表面を押さえる腿肉押さえ部5と、足首保持部2を移動させる移動部9と、を備え、ナイフユニット3は、筋入れナイフ23の筋入れ移動方向で、かつ足首保持部2とは反対側に刃先が向くように筋入れナイフ23を保持するとともに、表裏方向に変位可能に筋入れナイフ23を保持するナイフ保持部22と、筋入れナイフ23の表裏方向で、かつ食鳥腿肉Mの骨に向かって筋入れナイフ23を弾性的に付勢するコイルスプリング25と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食鳥屠体の大腿骨から切断された骨付きの食鳥腿肉の足首を保持する足首保持部と、
筋入れナイフを有するナイフユニットと、
前記足首保持部に保持された前記食鳥腿肉のうち、脛骨における膝蓋骨とは反対側に沿って前記筋入れナイフの切先を刺し込むように前記ナイフユニットを駆動する刺し込み駆動部と、
前記食鳥腿肉の表面を前記膝蓋骨側から弾性的に押さえる腿肉押さえ部と、
前記足首保持部に保持された前記食鳥腿肉の延在方向に前記筋入れナイフが筋入れ移動するように、前記足首保持部及び前記ナイフユニットの少なくともいずれか一方を他方に対して移動させる移動部と、
を備え、
前記ナイフユニットは、
前記筋入れナイフの筋入れ移動方向で、かつ前記足首保持部とは反対側に刃先が向くように前記筋入れナイフを保持するとともに、表裏方向に変位可能に前記筋入れナイフを保持するナイフ保持部と、
前記筋入れナイフの表裏方向で、かつ前記食鳥腿肉の骨に向かって前記筋入れナイフを弾性的に付勢する付勢部と、
を備える
ことを特徴とする食鳥腿肉筋入れ装置。
【請求項2】
前記足首保持部は、前記食鳥腿肉を懸吊し、
前記移動部は、前記食鳥腿肉に対して前記筋入れナイフが下方に向かって筋入れ移動するように、前記足首保持部及び前記ナイフユニットの少なくともいずれか一方を上下移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の食鳥腿肉筋入れ装置。
【請求項3】
前記腿肉押さえ部は、前記移動部による前記足首保持部と前記ナイフユニットとの相対移動量に応じて前記食鳥腿肉への押圧力を変化させることにより、前記食鳥腿肉の骨に前記筋入れナイフが沿うように前記食鳥腿肉の骨の姿勢を変化させる押圧力調整部を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食鳥腿肉筋入れ装置。
【請求項4】
前記ナイフ保持部は、刃もとの後方を中心に前記筋入れナイフが揺動され、切先側が前記刃もとよりも大きく表裏方向に変位するように前記筋入れナイフを保持する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の食鳥腿肉筋入れ装置。
【請求項5】
前記ナイフ保持部は、前記筋入れナイフの変位範囲を規制する規制部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食鳥腿肉筋入れ装置。
【請求項6】
前記食鳥腿肉における前記筋入れナイフの刺し込み方向への逃げを押さえるまな板部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食鳥腿肉筋入れ装置。
【請求項7】
食鳥屠体の大腿骨から切断された骨付きの食鳥腿肉の足首を保持する足首保持工程と、
前記食鳥腿肉の前記足首近傍で、前記食鳥腿肉のうち脛骨における膝蓋骨とは反対側に沿って、かつ前記食鳥腿肉を貫通しないように、筋入れナイフの切先を刺し込むナイフ刺し込み工程と、
前記ナイフ刺し込み工程の後、前記食鳥腿肉の表面を前記膝蓋骨側から弾性的に押さえる押さえ工程と、
前記押さえ工程を継続した状態で、前記食鳥腿肉の大腿骨頭まで前記筋入れナイフを一直線に筋入れ移動し、前記食鳥腿肉の骨に沿って筋入れを行う筋入れ工程と、
を有し、
前記ナイフ刺し込み工程及び前記筋入れ工程では、前記骨に前記筋入れナイフの平が向かうように前記筋入れナイフを弾性的に付勢している
ことを特徴とする食鳥腿肉自動筋入れ方法。
【請求項8】
前記押さえ工程において、前記筋入れ工程の過程で前記筋入れナイフの移動量が所定量を超えたとき、前記食鳥腿肉への押圧力を低減する
ことを特徴とする請求項7に記載の食鳥腿肉自動筋入れ方法。
【請求項9】
前記足首保持工程において、前記食鳥腿肉を懸吊し、
前記筋入れ工程において、前記筋入れナイフを鉛直下降させる
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の食鳥腿肉自動筋入れ方法。
【請求項10】
前記ナイフ刺し込み工程、前記押さえ工程、及び前記筋入れ工程において、前記食鳥腿肉における前記筋入れナイフの刺し込み方向への逃げを押さえる逃げ押さえ工程を有する
ことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の食鳥腿肉自動筋入れ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食鳥腿肉筋入れ装置及び食鳥腿肉自動筋入れ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食鳥屠体の大腿骨から切断された骨付きの食鳥腿肉(以下、単に食鳥腿肉と称する)を、自動で脱骨する装置(自動脱骨装置)が知られている。このものは、骨から肉部を引き剥がす最終工程の前工程の装置として、食鳥腿肉を懸吊する保持機構と、この足首保持部に懸吊された食鳥腿肉に筋入れを行う筋入れ機構と、を備える。
保持機構は、食鳥腿肉の足首を保持して食鳥腿肉を懸吊する足首保持部(ハンガー)と、食鳥腿肉のアキレス腱側を押圧する上プッシャと、食鳥腿肉の下部を押さえる下プッシャと、を備える。筋入れ機構は、筋入れナイフと、食鳥腿肉に筋入れナイフを刺し込むための前後進部と、食鳥腿肉に刺し込んだ筋入れナイフを切り下げるための昇降部と、を備える。
【0003】
このような構成のもと、自動脱骨装置は、骨から肉部を引き剥がす最終工程の前工程として、食鳥腿肉に筋入れを行う。具体的には、食鳥腿肉の足首近傍の骨に沿わせて筋入れナイフを刺し込む。そして、大腿部における筋入れナイフの切り下げ時には上プッシャを減圧する。膝関節における筋入れナイフによる筋入れには、上下プッシャの押圧を解除して膝関節部の脱臼を防止して筋入れナイフを切り下げる。また、大腿部における筋入れナイフの切り下げには、下プッシャを加圧して大腿骨を斜め上方に押し上げた後、減圧して膝関節より下部の大腿骨に沿って下降するナイフ刃面に対し骨部の押圧を適宜変更し切り下げる。このように食鳥腿肉に筋入れを行うことにより、食鳥腿肉を自動で脱骨する際の歩留まりを向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4073133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食鳥屠体は、鶏種、日令、農場の飼育方法の違い等により骨の太さが異なる。このため、食鳥腿肉ごとに骨に対する筋入れナイフの最適な刺し込み位置が変化する。この結果、筋入れナイフによって骨を傷つけたり、骨に沿って筋入れを行えなかったりする場合がある。したがって、骨から肉部を引き剥がす最終工程において、脱骨した食鳥腿肉に骨片が残ってしまったり、脱骨した食鳥腿肉の歩留まりを向上しにくかったりという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、脱骨した食鳥腿肉への骨片の残存を抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉の歩留まりを向上できる食鳥腿肉筋入れ装置及び食鳥腿肉自動筋入れ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る食鳥腿肉筋入れ装置は、食鳥屠体の大腿骨から切断された骨付きの食鳥腿肉の足首を保持する足首保持部と、筋入れナイフを有するナイフユニットと、前記足首保持部に保持された前記食鳥腿肉のうち、脛骨における膝蓋骨とは反対側に沿って前記筋入れナイフの切先を刺し込むように前記ナイフユニットを駆動する刺し込み駆動部と、前記食鳥腿肉の表面を前記膝蓋骨側から弾性的に押さえる腿肉押さえ部と、前記足首保持部に保持された前記食鳥腿肉の延在方向に前記筋入れナイフが筋入れ移動するように、前記足首保持部及び前記ナイフユニットの少なくともいずれか一方を他方に対して移動させる移動部と、を備え、前記ナイフユニットは、前記筋入れナイフの筋入れ移動方向で、かつ前記足首保持部とは反対側に刃先が向くように前記筋入れナイフを保持するとともに、表裏方向に変位可能に前記筋入れナイフを保持するナイフ保持部と、前記筋入れナイフの表裏方向で、かつ前記食鳥腿肉の骨に向かって前記筋入れナイフを弾性的に付勢する付勢部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、刺し込み駆動部によって脛骨の側部に沿って筋入れナイフの切先を刺し込む際、骨に筋入れナイフが突き当たると筋入れナイフが表裏方向に沿って逃げるように変位する。この際、付勢部によって筋入れナイフが骨に向かって弾性的に付勢されているので、この弾性力に抗して筋入れナイフが逃げる。このため、骨に筋入れナイフが突き刺さってしまうことを防止できる。また、筋入れナイフが骨に沿うように押圧されているので、確実に骨に筋入れナイフを沿わせることができる。骨に筋入れナイフが突き当たった際に、骨から筋入れナイフが逃げるので、極力骨の側部の際を狙って筋入れナイフを刺し込むことができる。さらに、腿肉押さえ部によって骨と筋入れナイフとが互いに離間する方向に向かって変位することなく、骨に筋入れナイフを密着させながら筋入れナイフを筋入れ移動させることができる。よって、後の骨から肉部を引き剥がす最終工程において、脱骨した食鳥腿肉への骨片の残存を抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉の歩留まりを向上できる。
【0009】
上記構成において、前記足首保持部は、前記食鳥腿肉を懸吊し、前記移動部は、前記食鳥腿肉に対して前記筋入れナイフが下方に向かって筋入れ移動するように、前記足首保持部及び前記ナイフユニットの少なくともいずれか一方を上下移動させてもよい。
【0010】
このように構成することで、重力を利用して食鳥腿肉の姿勢を制御しやすくできる。また、筋入れナイフを骨に沿わせて切り込みやすくできる。
【0011】
上記構成において、前記腿肉押さえ部は、前記移動部による前記足首保持部と前記ナイフユニットとの相対移動量に応じて前記食鳥腿肉への押圧力を変化させることにより、前記食鳥腿肉の骨に前記筋入れナイフが沿うように前記食鳥腿肉の骨の姿勢を変化させる押圧力調整部を有してもよい。
【0012】
ここで、食鳥腿肉の大腿骨と脛骨とが連結される関節(膝蓋骨近傍)は曲がっている。このため、脛骨から大腿骨に至る間を骨に沿わせて筋入れナイフを切り込ませようとするべく、単純に一直線に筋入れナイフを移行させると、筋入れナイフによって関節の軟骨部を切り込んでしまう可能性がある。そこで、押圧力調整部によって腿肉押さえ部の押圧力を変化させることにより、筋入れナイフが関節の軟骨部を切り込もうとすると押圧力調整部の押圧力に抗して筋入れナイフから食鳥腿肉が逃げるように姿勢を変化させる。これにより、脛骨から大腿骨に至る間にこれら骨を傷つけることなく骨に筋入れナイフを確実に沿わせることができる。よって、脱骨した食鳥腿肉への骨片の残存をより確実に抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉の歩留まりをより確実に向上できる。
【0013】
上記構成において、前記ナイフ保持部は、刃もとの後方を中心に前記筋入れナイフが揺動され、切先側が前記刃もとよりも大きく表裏方向に変位するように前記筋入れナイフを保持してもよい。
【0014】
このように構成することで、骨に筋入れナイフの切先が突き当たった際に骨から筋入れナイフを逃げ易くすることができる。
【0015】
上記構成において、前記ナイフ保持部は、前記筋入れナイフの変位範囲を規制する規制部を備えてもよい。
【0016】
ここで、無駄に筋入れナイフの変位範囲を広げると、筋入れナイフの切先の位置が決まりづらく、骨の側部を狙って筋入れナイフを刺し込みにくくなる。このため、規制部によって筋入れナイフの変位範囲を規制することにより、骨の側部の際を狙って筋入れナイフの切先を刺し込みやすくできる。よって、脱骨した食鳥腿肉の歩留まりをさらに向上できる。
【0017】
上記構成において、前記食鳥腿肉における前記筋入れナイフの刺し込み方向への逃げを押さえるまな板部を備えてもよい。
【0018】
このように構成することで、食鳥腿肉に確実に筋入れナイフを刺し込むことができる。
【0019】
本発明に係る食鳥腿肉自動筋入れ方法は、食鳥屠体の大腿骨から切断された骨付きの食鳥腿肉の足首を保持する足首保持工程と、前記食鳥腿肉の前記足首近傍で、前記食鳥腿肉のうち脛骨における膝蓋骨とは反対側に沿って、かつ前記食鳥腿肉を貫通しないように、筋入れナイフの切先を刺し込むナイフ刺し込み工程と、前記ナイフ刺し込み工程の後、前記食鳥腿肉の表面を前記膝蓋骨側から弾性的に押さえる押さえ工程と、前記押さえ工程を継続した状態で、前記食鳥腿肉の大腿骨頭まで前記筋入れナイフを一直線に筋入れ移動し、前記食鳥腿肉の骨に沿って筋入れを行う筋入れ工程と、を有し、前記ナイフ刺し込み工程及び前記筋入れ工程では、前記骨に前記筋入れナイフの平が向かうように前記筋入れナイフを弾性的に付勢していることを特徴とする。
【0020】
このような方法とすることで、食鳥腿肉における骨の側部の際を狙って筋入れナイフの切先を刺し込むことができる。骨に筋入れナイフが突き当たった場合であっても骨に対して筋入れナイフを確実に逃がすことができる。このため、後の骨から肉部を引き剥がす最終工程において、脱骨した食鳥腿肉への骨片の残存を抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉の歩留まりを向上できる。
【0021】
上記方法において、前記押さえ工程において、前記筋入れ工程の過程で前記筋入れナイフの移動量が所定量を超えたとき、前記食鳥腿肉への押圧力を低減してもよい。
【0022】
このような方法とすることで、屈曲して連結されている脛骨及び大腿骨に沿わせて筋入れナイフを筋入れ移動させることができる。すなわち、押圧力調整部によって腿肉押さえ部の押圧力を低減させることにより、筋入れナイフが関節の軟骨部を切り込む前に食鳥腿肉を逃がすことができる。これにより、脛骨から大腿骨に至る間にこれら骨を傷つけることなく骨に筋入れナイフを確実に沿わせることができる。よって、脱骨した食鳥腿肉への骨片の残存をより確実に抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉の歩留まりをより確実に向上できる。
【0023】
上記方法において、前記足首保持工程において、前記食鳥腿肉を懸吊し、前記筋入れ工程において、前記筋入れナイフを鉛直下降させてもよい。
【0024】
このような方法とすることで、重力を利用して食鳥腿肉の姿勢を制御しやすくできる。また、筋入れナイフを骨に沿わせて切り込みやすくできる。
【0025】
上記方法において、前記ナイフ刺し込み工程、前記押さえ工程、及び前記筋入れ工程において、前記食鳥腿肉における前記筋入れナイフの刺し込み方向への逃げを押さえる逃げ押さえ工程を有してもよい。
【0026】
このような方法とすることで、食鳥腿肉に確実に筋入れナイフを刺し込むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、骨から肉部を引き剥がす最終工程において、脱骨した食鳥腿肉への骨片の残存を抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉の歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態における筋入れ装置に食鳥腿肉が搬送された直後の状態を示す筋入れ装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるホルダユニットを上方からみた平面図である。
図3】本発明の実施形態におけるホルダユニットを斜め上方からみた斜視図である。
図4】本発明の実施形態における筋入れ工程図であり、(a)~(c)は、各工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
<筋入れ装置>
図1は、筋入れ装置1の拡大斜視図である。
筋入れ装置1は、食鳥腿肉Mから自動で骨(脛骨T、大腿骨F)を脱骨する自動脱骨装置110内に設けられている。自動脱骨装置110は、円周方向に並ぶ複数の作業ステーションを有している。複数の作業ステーションとは、食鳥腿肉に、段階的に加工を施す工程ごとに設定された作業スペースである。
【0031】
例えば、自動脱骨装置110では、大まかには自動脱骨装置110に食鳥腿肉を投入するステーション、投入された食鳥腿肉に筋入れを施すステーション(以下、筋入れステーションと称する)、食鳥腿肉の足首周りの肉をカットするステーション、食鳥腿肉の関節まで肉部を引き剥がすステーション、関節筋、膝軟骨をカットするステーション、最終的に骨から肉部を引き剥がして脱骨するステーション、及び残った骨を排出するステーションが、これらの順で周方向に設定されている。
【0032】
各ステーションに、各々の機能を有する装置が設けられている。各ステーションに、順に食鳥腿肉が搬送されることにより、食鳥腿肉に段階的に加工が施される。筋入れ装置1は、筋入れステーションに設けられている。以下、フロア上に自動脱骨装置110を載置した状態での上下方向を単に上下方向、水平方向を単に水平方向と称する。
【0033】
<筋入れ装置>
図1に示すように筋入れ装置1は、食鳥腿肉Mの足首Aを保持する足首保持部2と、食鳥腿肉Mに筋入れを行うナイフユニット3と、ナイフユニット3を駆動する刺し込み駆動部4と、食鳥腿肉Mを押さえる腿肉押さえ部5、まな板部6、足首内押さえ部7、及び腿肉内押さえ部8と、足首保持部2を上下方向に移動させる移動部9と、腿肉測定部10と、を備える。
【0034】
<足首保持部>
足首保持部2は、上下方向に延びる円柱状の支持バー11と、支持バー11の下端11aに設けられたハンガー12と、を備える。以下の説明では、筋入れステーションに足首保持部2が搬送された状態について説明するものとする。
ハンガー12に食鳥腿肉が懸吊される。支持バー11の図示しない上端には、移動部9が着脱可能に連結されているとともに、図示しない回転テーブルが連結されている。これにより、円周方向に沿って足首保持部2が周回される。
【0035】
移動部9は、例えば電動リニアアクチュエータである。電動リニアアクチュエータは、図示しないスライダが上下方向に移動するように設けられている。筋入れを施すステーションに搬送された足首保持部2は、移動部9の例えば図示しないスライダに支持バー11の上端が着脱可能に連結される。これにより、移動部9が駆動されると、足首保持部2が上方に向かって引き上げられる。
【0036】
移動部9による足首保持部2の引き上げ量(請求項における移動量の一例)は、移動部9に設けられた図示しないセンサによって検出される。この検出結果は、信号として自動脱骨装置110の駆動を総括的に制御する制御部130に出力される。制御部130では、足首保持部2の引き上げ量が設定されている。この設定されている足首保持部2の引き上げ量は、後述の筋入れナイフ23が食鳥腿肉を通過しきる量である。引き上げ量は、流通し得る食鳥腿肉の最大の大きさを想定して設定される。制御部130は、移動部9からの検出結果に基づいて、移動部9の動作を制御する。
【0037】
<ナイフユニット>
ナイフユニット3は、上下方向に延びる支持パイプ15と、支持パイプ15に挿通されてこの支持パイプ15の上下から突出された円柱状の駆動バー16と、駆動バー16の下端16aに取付けブロック18を介して取り付けられたホルダユニット17と、を備える。駆動バー16、支持パイプ15に回転自在に支持されている。支持パイプ15は、自動脱骨装置110の図示しないフレームに固定されている。
【0038】
<ホルダユニット>
図2は、ホルダユニット17を上方からみた平面図である。図3は、ホルダユニット17を斜め上方からみた斜視図である。
図2図3に示すように、ホルダユニット17は、取付けブロック18に取り付けられる支持部21と、支持部21に回転自在に支持されるナイフ保持部22と、ナイフ保持部22に保持される筋入れナイフ23と、ナイフ保持部22の変位範囲を規制する規制部24と、ナイフ保持部22を介して筋入れナイフ23を弾性的に付勢するコイルスプリング(請求項における付勢部の一例)25と、を備える。
【0039】
支持部21は、水平方向に長い板状の固定部26と、固定部26の長手方向一側に一体成形されている支持部本体27と、を備える。固定部26には、この固定部26を取付けブロック18に締結固定するための図示しないボルトが挿通されるボルト孔26aが形成されている。
支持部本体27は、固定部26の長手方向一側に一体成形された上下方向に延びる縦壁31と、縦壁31の上下方向両端から固定部26とは反対側に向かって延出された横壁32と、を備える。横壁32は、縦壁31から離間するに従って固定部26から離間するように屈曲しながら延出されている。
【0040】
2つの横壁32のうち、上側の横壁32には、縦壁31とは反対側端に、下方に向かって屈曲延出された2つの舌片部34が水平方向に並んで配置されている。これら舌片部34は、規制部24を取り付けるためのものである。
また、支持部本体27には、2つの舌片部34の間に、2つの横壁32に連結された円柱状の支軸36が設けられている。支軸36は、上下方向に延びている。この支軸36に、ナイフ保持部22が回転自在に支持されている。
【0041】
ナイフ保持部22は、保持部本体37と、保持部本体37に筋入れナイフ23を取り付けるためのアタッチ38と、を備える。保持部本体37は、横壁32よりも固定部26側に配置された板状の保持ベース部41と、保持ベース部41における横壁32側の背面41aに一体成形された一対の脚部42a,42bと、を備える。保持ベース部41の背面41a及び背面41aと反対側の表面41bは、上下方向に沿っている。
【0042】
一対の脚部42a,42bは、背面41aの上下方向両端よりやや内側から水平方向に突出している。一対の脚部42a,42bは、2つの横壁32の間に位置している。また、一対の脚部42a,42bは、保持ベース部41の水平方向中央に配置されている。一対の脚部42a,42bの先端部には、上下方向に貫通する貫通孔43a,43bが形成されている。これら貫通孔43a,43bにブッシュ40が取り付けられている。これらブッシュ40に支軸36が挿通されている。これにより、ブッシュ40を介して支軸36に保持部本体37が回転自在に支持される。換言すれば、ナイフ保持部22は、支軸36を中心に首振り(揺動)される。
【0043】
アタッチ38は、保持ベース部41の表面41bに取り付けられるアタッチベース部44と、アタッチベース部44から脚部42a,42bとは反対側に向かって突出するナイフ取付部45と、が一体成形されている。アタッチベース部44は、上下方向に長い長方形状に形成されている。アタッチベース部44の上下方向両端が、ボルト46によって保持ベース部41に締結固定されている。
【0044】
ナイフ取付部45は、アタッチベース部44の上下方向中央に配置されている。ナイフ取付部45に筋入れナイフ23が取り付けられることにより、アタッチ38に筋入れナイフ23が保持される。ナイフ取付部45は、筋入れナイフ23の平23aが上下方向に沿うように筋入れナイフ23を保持する。筋入れナイフ23の平23aとは、筋入れナイフ23の表裏方向の平面部のうち、切刃23cが形成されている平面部をいう。
【0045】
筋入れナイフ23は、片刃である。筋入れナイフ23は、切先23bがアタッチベース部44とは反対側に向かって突出するようにナイフ取付部45に保持されている。また、筋入れナイフ23は、切刃23cが固定部26側を向くようにナイフ取付部45に保持されている。さらに、筋入れナイフ23は、刃先23dが下方を向くようにナイフ取付部45に保持されている。
【0046】
すなわち、筋入れナイフ23は、ナイフ保持部22を介して支軸36を中心に筋入れナイフ23の表裏方向に沿って揺動(変位)する。筋入れナイフ23は、切先23bがアタッチベース部44とは反対側に向かって突出し、刃もと23eが切先23bよりも支軸36側に位置するので、筋入れナイフ23が揺動する際、刃もと23eよりも切先23b側が大きく変位する。
筋入れナイフ23のナイフ取付部45からの突出量は、保持ベース部41の背面41aから螺合されアタッチベース部44の上下方向中央から突出する調整ねじ47によって調整可能である。
【0047】
このようなナイフ保持部22の変位範囲を規制する規制部24は、2つの舌片部34にそれぞれ別々に取り付けられた第1ストッパねじ48a及び第1ナット48bと、第2ストッパねじ49a及び第2ナット49bと、からなる。各ストッパねじ48a,49aは、それぞれ舌片部34に形成された図示しない雌ねじ部にナイフ保持部22とは反対側から螺合され、対応するナット48b,49bによって固定されている。これにより、各舌片部34からナイフ保持部22に向かうストッパねじ48a,49aの突出量を一旦決定した後、この突出量を維持できる。
【0048】
ここで、各ストッパねじ48a,49aの先端は、保持ベース部41の背面41aのうち、一対の脚部42a,42bを挟んで水平方向両側に位置されている。これにより、各ストッパねじ48a,49aによって、ナイフ保持部22の支軸36を中心とする首振り量(揺動量)が規制される。ナイフ保持部22の首振り量は、各ストッパねじ48a,49aの各舌片部34,35からの突出量によって決定される。
【0049】
コイルスプリング25は、第1ストッパねじ48aに装着されたスプリング押さえ50の上から装着されている。スプリング押さえ50は、第1ストッパねじ48aに遊嵌される円筒部50aと、円筒部50aの舌片部34側端に一体形成されたフランジ部50bと、からなる。フランジ部50bは、円筒部50aよりも段差を介して拡径形成されている。フランジ部50bにおける保持ベース部41側の端面50cにコイルスプリング25の端面が当接されるように、コイルスプリング25が装着されている。
【0050】
コイルスプリング25は、フランジ部50bと保持ベース部41との間で若干圧縮された状態で装着されている。これにより、コイルスプリング25の弾性力が作用して保持ベース部41の第1ストッパねじ48a側が前方に向かって付勢される。すなわち、コイルスプリング25は、ナイフ保持部22を介し、切刃23cが固定部26側に向かうように筋入れナイフ23を弾性的に付勢する。
【0051】
このような構成のもと、刺し込み駆動部4によって、駆動バー16がこの駆動バー16の軸心C回りに所定の範囲で回動される。刺し込み駆動部4は、例えばアクチュエータとリンク機構からなる。
駆動バー16が回動されることにより、ホルダユニット17が軸心C回りに所定の範囲で揺動される(図2の矢印Y1参照)。具体的には、ホルダユニット17は、筋入れナイフ23の切先23bがハンガー12の真下に位置するように前進、及びハンガー12の真下から後退するように、軸心C回りに揺動される。ここで、ホルダユニット17は、駆動バー16に取り付けられた取付けブロック18に固定部26が固定されている。このため、筋入れナイフ23は、コイルスプリング25によって軸心C側に向かうように弾性的に付勢されている形になる。
【0052】
以下の説明では、ホルダユニット17(筋入れナイフ23)が前進しきった位置を前進位置と称し、ホルダユニット17(筋入れナイフ23)が後退しきった位置を退避位置と称する。ホルダユニット17の前進位置では、足首保持部2に懸吊された食鳥腿肉に、筋入れナイフ23の切先23bが刺し込まれる(詳細は後述する)。
【0053】
<腿肉押さえ部>
図1に示すように、腿肉押さえ部5は、自動脱骨装置110の図示しないフレームに固定された防水ケース55と、防水ケース55内に収納された押さえアクチュエータ(請求項における押圧力調整部の一例)56と、押さえアクチュエータ56の図示しないロッドに連結された押さえバー57と、を備える。腿肉押さえ部5は、ハンガー12に懸吊された食鳥腿肉をハンガー12の径方向外側から押さえる。
【0054】
押さえバー57は、防水ケース55を介して外側に突き出ている。押さえバー57は、防水ケース55に対して進退移動するロッド部57aと、ロッド部57aの先端からこのロッド部57aに対して直角に屈曲延出される押さえバー本体57bと、からなる。押さえバー本体57bが、食鳥腿肉をハンガー12の径方向外側から押さえる。
【0055】
腿肉押さえ部5は、押さえアクチュエータ56によって押さえバー57が前進しきった状態において、ハンガー12のほぼ真下に押さえバー本体57bが位置される。また、腿肉押さえ部5は、押さえアクチュエータ56によって押さえバー57が後退しきった状態において、防水ケース55に押さえバー本体57bが接触しないように設けられている。以下の説明では、腿肉押さえ部5において、押さえバー57が前進しきった位置を押さえ位置と称し、押さえバー57が後退しきった位置を退避位置と称する。
【0056】
ここで、押さえアクチュエータ56は、押さえバー57の退避位置から押さえ位置に至る間は、押さえバー57に所定の弾性的な押圧力をかけつつ、押さえバー57を前進させる。また、押さえアクチュエータ56の弾性的な押圧力は一定ではなく、移動部9による足首保持部2の引き上げ量に応じて変化(例えば低減)される。すなわち、押さえアクチュエータ56は、移動部9による足首保持部2の引き上げ量に応じて押さえバー57の押圧力を変化させる押圧力調整部としても機能している。足首保持部2の引き上げ量の情報は、制御部130から取得する。
【0057】
<まな板部>
まな板部6は、自動脱骨装置110の図示しないフレームに取り付けられている。まな板部6は、ハンガー12を挟んでナイフユニット3とは反対側で、かつハンガー12の下方に位置するように配置されている。まな板部6は、ハンガー12の下方の大部分に位置するように板状に形成されている。また、まな板部6は、上下方向及び径方向に面するように配置されている。
【0058】
<足首内押さえ部>
足首内押さえ部7は、自動脱骨装置110の図示しないフレームに固定された防水ケース61と、防水ケース61内に収納された内押さえアクチュエータ62と、内押さえアクチュエータ62におけるロッド62aの先端に取り付けられた内押さえ63と、を備える。足首内押さえ部7は、ハンガー12に懸吊された食鳥腿肉の足首付近をハンガー12の径方向内側から押さえる。
【0059】
内押さえアクチュエータ62のロッド62aは、防水ケース61に形成された図示しないロッド挿通孔を介して防水ケース61の外側に突き出ている。この突き出た先端に取り付けられた内押さえ63は、径方向からみてL字状に形成されている。すなわち、内押さえ63は、ロッド62aに取り付けられたベース部63aと、ベース部63aの下端に一体成形された下板63bと、からなる。
【0060】
下板63bは、ベース部63aから径方向外側に向かって、かつ水平方向に沿って延出している。下板63bの先端辺63cは、腿肉押さえ部5の押さえバー本体57bと平行になるように形成されている。下板63bが、食鳥腿肉の足首付近を径方向内側から押さえる。
【0061】
足首内押さえ部7は、内押さえアクチュエータ62によって内押さえ63が前進しきった状態において、ハンガー12の直下で、かつハンガー12よりもやや径方向内側に下板63bの先端が位置するように配置されている。また、足首内押さえ部7は、内押さえアクチュエータ62によって内押さえ63が後退しきった状態において、防水ケース61に内押さえ63が接触しないように設けられている。以下の説明では、足首内押さえ部7において、内押さえ63が前進しきった位置を押さえ位置と称し、内押さえ63が後退しきった位置を退避位置と称する。
【0062】
<腿肉内押さえ部>
腿肉内押さえ部8は、自動脱骨装置110の図示しないフレームに固定された防水ケース65と、防水ケース65内に収納された腿肉内押さえアクチュエータ66と、腿肉内押さえアクチュエータ66に連結された腿押さえ68と、を備える。腿肉内押さえ部8は、ハンガー12に懸吊された食鳥腿肉をまな板部6とは反対側から押さえる。
【0063】
腿押さえ68は、腿肉内押さえアクチュエータ66に取り付けられる取付けブロック71と取付けブロック71に固定される押さえ板72と、を備える。腿肉内押さえ部8は、腿肉内押さえアクチュエータ66によって押さえ板72がまな板部6に接近、離間するように揺動される。押さえ板72の揺動範囲は、この押さえ板72がまな板部6と対向され押さえ板72とまな板部6とがほぼ平行となる位置と、押さえ板72が防水ケース65に接触しない程度にまな板部6から離間される位置との間の範囲である。
以下の説明では、腿肉内押さえ部8において、押さえ板72が前進してまな板部6と対向され、押さえ板72がまな板部6とほぼ平行となる位置を押さえ位置と称する。押さえ板72が後退して防水ケース65に接近する位置を退避位置と称する。
【0064】
<腿肉測定部>
腿肉測定部10は、自動脱骨装置110の図示しないフレームに固定された防水ケース75と、防水ケース75内に収納された腿肉測定アクチュエータ76と、腿肉測定アクチュエータ76に設けられた図示しないエンコーダと、腿肉測定アクチュエータ76に連結された測定アーム77と、を備える。腿肉測定部10は、移動部9によって足首保持部2を引き上げる際に食鳥腿肉の外形状を測定する(詳細は後述する)。
【0065】
測定アーム77は、防水ケース75から水平方向に沿って径方向外側に延出した後、上方に折り返すように屈曲形成されている。測定アーム77の先端には、食鳥腿肉に当接する当接板78が設けられている。腿肉測定アクチュエータ76によって、測定アーム77の基端を中心に当接板78が上下方向に移動するように測定アーム77が回動される。この回動位置が、図示しないエンコーダによって検出される。以下の説明では、腿肉測定部10において、当接板78が上昇した位置を測定位置と称し、当接板78が下降した位置を退避位置と称する。
【0066】
<筋入れ装置の動作>
次に、図1図2図4に基づいて、筋入れ装置1の動作について説明する。
図1に示すように、まず、筋入れ装置1に搬送される食鳥腿肉Mは、食鳥腿肉Mを投入するステーションにおいて、足首保持部2に設けられたハンガー12に足首Aが引っ掛かるように懸吊する。これにより、ハンガー12(足首保持部2)に食鳥腿肉Mの足首Aが保持される(足首保持工程)。
【0067】
このとき、食鳥腿肉Mの姿勢は、上方に脛骨Tが位置され、下方に大腿骨Fが位置された状態になっている。これら脛骨Tや大腿骨Fが延びる食鳥腿肉Mの身長方向が食鳥腿肉Mの延在方向となる。ハンガー12に懸吊された食鳥腿肉Mの延在方向は、上下方向とほぼ一致する。
【0068】
食鳥腿肉Mを投入するステーションから筋入れステーションに足首保持部2が搬送された時点では、食鳥腿肉Mの姿勢は、膝蓋骨Pが径方向外側を向いている。また、この時点では、ホルダユニット17(ナイフユニット3)、腿肉押さえ部5、足首内押さえ部7、腿肉内押さえ部8、及び腿肉測定部10は、それぞれ退避位置にある。
【0069】
上記工程の後、腿肉押さえ部5、足首内押さえ部7及び腿肉内押さえ部8を押さえ位置に移動する。すると、腿肉押さえ部5の押さえバー57のうちの押さえバー本体57bと足首内押さえ部7の内押さえ63のうちの下板63bとにより、食鳥腿肉Mのハンガー12の直下、つまり足首Aの直下を、径方向で挟持する(このうち、腿肉押さえ部5の押さえバー57による足首押さえが押さえ工程)。これにより、食鳥腿肉Mの足首A付近の姿勢決めが行われる。
【0070】
また、まな板部6と腿肉内押さえ部8の押さえ板72とにより、食鳥腿肉Mの足首A付近よりも下部の大部分を、周方向で挟持する。これにより、食鳥腿肉Mの姿勢が一定の姿勢に維持される。
さらに、腿肉測定部10を測定位置に移動する。すると、食鳥腿肉Mの膝蓋骨Pよりもやや上側に、腿肉測定部10の当接板78が当接される。
このような状態の後、ホルダユニット17(ナイフユニット3)を前進位置に移動する。
【0071】
図4は、筋入れ工程図であり、(a)~(c)は、各工程を示す。
図1図2図4(a)に示すように、ホルダユニット17(ナイフユニット3)の前進位置では、筋入れナイフ23が前進され(図2における矢印Y2参照)、食鳥腿肉Mのうち、ハンガー12の直下に筋入れナイフ23の切先23bが食鳥腿肉Mを貫通しないように刺し込まれる(ナイフ刺し込み工程)。
【0072】
より詳しくは、ハンガー12の直下において、脛骨Tにおける膝蓋骨Pとは反対側、つまり、脛骨Tの径方向内側に沿うように、筋入れナイフ23の切先23bが刺し込まれる。さらに換言すると、脛骨Tのうち、ホルダユニット17(ナイフユニット3)の揺動軸である軸線Cとは反対側に筋入れナイフ23の切先23bが刺し込まれる。
【0073】
筋入れナイフ23の切刃23cは固定部26側を向いていることから、食鳥腿肉Mに筋入れナイフ23を刺し込まれた状態での筋入れナイフ23の姿勢は、脛骨T側に平23a及び切刃23cが向いている。また、筋入れナイフ23の刃先23dは、下方を向いている。
【0074】
ところで、筋入れナイフ23の刺し込み位置は、脛骨Tに切先23bができる限り密接するように沿わせることが望ましい。しかしながら、食鳥腿肉Mは、鶏種、日令、農場の飼育方法の違い等により骨の太さが異なる。このため、腿肉押さえ部5と足首内押さえ部7とにより食鳥腿肉Mの足首A付近の姿勢決めを行っても食鳥腿肉Mごとに脛骨Tの側面の位置、つまり、筋入れナイフ23の切先23bの刺し込み位置が僅かに異なる。この結果、脛骨Tに切先23bが接するように、極力脛骨Tの側部の際を狙って筋入れナイフ23の刺し込み位置を調整すると、脛骨Tに筋入れナイフ23が突き刺さる可能性があった。
【0075】
ここで、筋入れナイフ23は、ナイフ保持部22を介して支軸36を中心に筋入れナイフ23の表裏方向に沿って揺動(変位)する。しかも筋入れナイフ23は、コイルスプリング25によって軸心C側に向かうように弾性的に付勢されている。すなわち、コイルスプリング25によって、脛骨T側に筋入れナイフ23の平23aが向かうように弾性的に付勢されている。
【0076】
このため、脛骨Tに筋入れナイフ23が突き当たった場合、コイルスプリング25のバネ力に抗し、脛骨Tに沿うように筋入れナイフ23の切先23bが表裏方向に沿って逃げる(図2における矢印Y3参照)。ナイフ保持部22は、刃もと23eの後方となる支軸36を中心に筋入れナイフ23が揺動するように、この筋入れナイフ23を保持する。これにより、筋入れナイフ23は、切先23b側が刃もと23eよりも大きく表裏方向に変位する。このため、脛骨Tに筋入れナイフ23が突き当たった場合に脛骨Tから切先23bが逃げ易い。
【0077】
しかも、脛骨T側に筋入れナイフ23の切刃23cが向いているので、脛骨Tに突き当たった際の筋入れナイフ23に脛骨Tから逃げる方向の力がかかりやすい。この結果、脛骨Tに沿って筋入れナイフ23が逃げ易い。したがって、脛骨Tに筋入れナイフ23が突き刺さることがない。しかも脛骨Tに向かって筋入れナイフ23が弾性的に付勢されているので、できる限り脛骨Tに沿いながら筋入れナイフ23が変位される。
【0078】
また、食鳥腿肉Mに筋入れナイフ23を刺し込む際、食鳥腿肉Mを挟んで筋入れナイフ23とは反対側にまな板部6が配置されている。このため、まな板部6によって、食鳥腿肉Mに筋入れナイフ23を刺し込む際、食鳥腿肉Mが筋入れナイフ23の刺し込み方向に逃げてしまうことが防止される(逃げ押さえ工程)。
このため、食鳥腿肉Mに確実に筋入れナイフ23が刺し込まれる。さらに、まな板部6と腿肉内押さえ部8の押さえ板72とによって食鳥腿肉Mを挟持するので、食鳥腿肉Mに筋入れナイフ23を刺し込む際の衝撃で食鳥腿肉Mがばたつくこともない。
【0079】
続いて、足首内押さえ部7を退避位置に戻した後、移動部9によって足首保持部2を引き上げる。この際、押さえ工程は継続されている。足首保持部2を引き上げることにより、食鳥腿肉Mとホルダユニット17(ナイフユニット3)との相対移動により、食鳥腿肉Mに対して筋入れナイフ23が鉛直下降される(筋入れ工程)。すなわち、この鉛直下降が、筋入れナイフ23の筋入れ移動方向となる。
【0080】
ここで、押さえ工程は、足首保持部2が所定量まで引き上げられるまで(筋入れ工程が完了するまで)継続される。足首保持部2の引き上げ時には、腿肉押さえ部5の押さえバー57によって、食鳥腿肉Mの表面を径方向外側(膝蓋骨P側)から弾性的に押さえながら食鳥腿肉Mが引き上げられる。すなわち、腿肉押さえ部5の押さえバー57によって、常に筋入れナイフ23側に向かって脛骨Tが弾性的に押圧されながら食鳥腿肉Mが引き上げられる。このため、脛骨Tに筋入れナイフ23が確実に沿いながら食鳥腿肉Mが引き上げられる。
【0081】
食鳥腿肉Mの姿勢は、膝蓋骨Pから下方に位置する大腿骨Fが脛骨Tよりも径方向内側に位置された状態である。このため、筋入れナイフ23が食鳥腿肉Mの膝蓋骨Pの裏側(径方向内側)を通過すると、膝蓋骨Pの関節部で大腿骨Fが上下方向に沿うように若干曲がる。また、筋入れナイフ23に大腿骨Fが押圧される反力によって、食鳥腿肉Mが径方向外側に変位しようとする。
【0082】
ここで、腿肉押さえ部5の押さえアクチュエータ56は、移動部9による足首保持部2の引き上げ量に応じて押さえバー57の押圧力を変化(低減)させる押圧力調整部としても機能している。より具体的には、押圧力調整部として、押さえバー57が食鳥腿肉Mの膝蓋骨Pを通過する際、食鳥腿肉Mへの押さえバー57の押圧力が最も低減するように設定されている。このため、筋入れナイフ23が膝蓋骨Pの裏側を通過する際に、食鳥腿肉Mの径方向外側への変位が適正に許容される(図8(b)における矢印Y4参照)。
【0083】
しかも、筋入れナイフ23にかかる荷重に応じて筋入れナイフ23が膝蓋骨Pの裏側や大腿骨Fから適正に逃げる。このため、膝蓋骨Pの裏側を通過して大腿骨Fの大腿骨頭Fhに至るまで、筋入れナイフ23によって関節の軟骨部を切り込んでしまうことなく、各骨T,Fに確実に筋入れナイフ23が沿う(図9(c)参照)。すなわち、押さえバー57の押圧力を変化(低減)させることにより、食鳥腿肉Mの骨に筋入れナイフ23が沿うように食鳥腿肉Mの骨の姿勢(位置)が変化される。
移動部9によって足首保持部2を所定量まで引き上げ、筋入れナイフ23が食鳥腿肉Mを通過しきると、食鳥腿肉Mへの筋入れが完了する。
【0084】
また、移動部9による足首保持部2の引き上げ時に、腿肉測定部10の当接板78が食鳥腿肉Mの径方向外側の形状に追随しながら変位する。この当接板78の変位によって、測定アーム77が回動される。この測定アーム77の回動位置を図示しないエンコーダによって検出することにより、食鳥腿肉Mのうちの当接板78が接触されていた箇所の外形状が測定される。この測定結果は、骨から肉部を引き剥がして脱骨するステーションで利用される。これらの動作が完了した後、腿肉押さえ部5及びナイフユニット3が退避位置に戻る。
【0085】
このように上述の筋入れ装置1は、足首保持部2と、ナイフユニット3と、刺し込み駆動部4と、腿肉押さえ部5と、移動部9と、を備える。ナイフユニット3は、ナイフ保持部22とコイルスプリング25と、を備える。このため、刺し込み駆動部4によって脛骨Tの側部に沿って筋入れナイフ23の切先23bを刺し込む際、脛骨Tに筋入れナイフ23が突き当たると筋入れナイフ23を表裏方向に沿って逃がすことができる。よって、骨に筋入れナイフが突き刺さってしまうことを防止できる。
【0086】
また、コイルスプリング25によって、脛骨Tに筋入れナイフ23が沿うように弾性的に付勢される。このため、確実に脛骨Tに筋入れナイフ23を沿わせることができる。脛骨Tに筋入れナイフ23が突き当たった際に、脛骨Tから筋入れナイフ23が逃げるので、極力脛骨Tの側部の際を狙って筋入れナイフ23を刺し込むことができる。さらに、腿肉押さえ部5によって各骨T,Fと筋入れナイフ23とが互いに離間する方向に向かって変位することなく、各骨T,Fに筋入れナイフ23を密着させながらこの筋入れナイフ23を筋入れ移動させることができる。よって、後の各骨T,Fから肉部を引き剥がす最終工程において、脱骨した食鳥腿肉Mへの骨片の残存を抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉Mの歩留まりを向上できる。
【0087】
筋入れ装置1は、足首保持部2によって食鳥腿肉Mを懸吊している。そして、移動部9によって足首保持部2を引き上げることにより、食鳥腿肉Mに対して筋入れナイフ23を下方に向かって筋入れ移動させている。このため、重力を利用して食鳥腿肉Mの姿勢を制御しやすくできる。また、各骨T,Fに筋入れナイフ23を沿わせて切り込みやすくできる。
【0088】
筋入れナイフ23は、片刃である。ナイフ保持部22は食鳥腿肉Mの脛骨Tに切刃23cが向くように筋入れナイフ23を保持している。切刃23cによって、脛骨Tに突き当たった際の筋入れナイフ23に骨から逃げる方向の力をかかりやすくすることができる。このため、より確実に極力各骨T,Fの側部の際を狙って筋入れナイフ23を刺し込むことができる。よって、脱骨した食鳥腿肉Mの歩留まりを確実に向上できる。
【0089】
押さえアクチュエータ56は、移動部9による足首保持部2の引き上げ量に応じて押さえバー57の押圧力を変化(低減)させる押圧力調整部としても機能している。このため、食鳥腿肉Mを一直線に引き上げても、膝蓋骨Pの裏側を通過して大腿骨Fの大腿骨頭Fhに至るまで、筋入れナイフ23によって関節の軟骨部を切り込んでしまうことがない。換言すれば、食鳥腿肉Mの延在方向に筋入れナイフ23を一直線に切り下げても、膝蓋骨Pの裏側を通過して大腿骨Fの大腿骨頭Fhに至るまで、筋入れナイフ23によって関節の軟骨部を切り込んでしまうことがない。すなわち、押さえバー57の押圧力を変化(低減)させることにより、食鳥腿肉Mの骨に筋入れナイフ23が沿うように食鳥腿肉Mの骨の姿勢(位置)を変化させることができる。そして、筋入れナイフ23によって各骨T,Fを傷つけることなく、各骨T,Fに確実に筋入れナイフ23を沿わせることができる。よって、脱骨した食鳥腿肉Mへの骨片の残存をより確実に抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉Mの歩留まりをより確実に向上できる。
【0090】
ナイフ保持部22は、刃もと23eの後方となる支軸36を中心に筋入れナイフ23が揺動するように、この筋入れナイフ23を保持する。これにより、筋入れナイフ23は、切先23b側が刃もと23eよりも大きく表裏方向に変位する。このため、各骨T,Fに筋入れナイフ23の切先23bが突き当たった際に各骨T,Fから筋入れナイフ23を逃げ易くすることができる。
【0091】
ナイフ保持部22は、規制部24によって揺動範囲(筋入れナイフ23の変位範囲)が規制されている。ここで、無駄にナイフ保持部22の揺動範囲を広げると、筋入れナイフ23の切先23bの位置が決まりづらく、脛骨Tの側部の際を狙って筋入れナイフ23を刺し込みにくくなる。このため、規制部24によってナイフ保持部22の揺動範囲を規制することにより、脛骨Tの側部の際を狙って筋入れナイフ23の切先23bを刺し込みやすくできる。よって、脱骨した食鳥腿肉Mの歩留まりをさらに向上できる。
【0092】
規制部24は、第1ストッパねじ48a及び第1ナット48bと、第2ストッパねじ49a及び第2ナット49bと、からなる。このため、ナイフ保持部22の揺動範囲を容易に調整できる。
刺し込み駆動部4は、軸心C回りにナイフユニット3を駆動している。このため、ナイフユニット3の移動量を最小限に抑えつつ、ナイフユニット3を退避しやすくできる。よって、食鳥腿肉Mの搬送スペースを確保しやすくでき、筋入れ装置1を小型化できる。
【0093】
筋入れ装置1は、まな板部6を備えている。このため、まな板部6によって、食鳥腿肉Mに筋入れナイフ23を刺し込む際、食鳥腿肉Mが筋入れナイフ23の刺し込み方向に逃げてしまうことを防止できる。よって、食鳥腿肉Mに確実に筋入れナイフ23を刺し込むことができる。
【0094】
食鳥腿肉Mに筋入れを行う方法として、足首保持工程と、ナイフ刺し込み工程と、押さえ工程と、筋入れ工程と、を有する。ナイフ刺し込み工程及び筋入れ工程では、各骨T,Fに筋入れナイフ23の平23aが向かうように筋入れナイフ23を弾性的に付勢している。このため、後の各骨T,Fから肉部を引き剥がす最終工程において、脱骨した食鳥腿肉Mへの骨片の残存を抑制でき、かつ脱骨した食鳥腿肉Mの歩留まりを向上できる。
【0095】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば上述の実施形態では、足首保持部2によって食鳥腿肉Mを懸吊する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、足首保持部2は、食鳥腿肉Mの足首Aを保持すればよい。まな板部6を水平方向に沿うように配置し、このまな板部6上に食鳥腿肉Mを載置してもよい。そして、この載置された食鳥腿肉Mの足首Aを保持するように構成してもよい。この場合、食鳥腿肉Mの姿勢に応じてナイフユニット3、刺し込み駆動部4、腿肉押さえ部5、足首内押さえ部7、腿肉内押さえ部8、移動部9、及び腿肉測定部10を設ければよい。移動部9は、足首保持部2を水平方向に移動させるように構成すればよい。
【0096】
上述の実施形態では、移動部9によって足首保持部2を移動することにより、食鳥腿肉Mに対して筋入れナイフ23が筋入れを行う場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、移動部9は、足首保持部2及びナイフユニット3の少なくともいずれか一方が他方に対して食鳥腿肉Mの延在方向に移動するように構成されていればよい。そして、移動部9によって、食鳥腿肉Mに対して筋入れナイフ23が移動し、筋入れを行えればよい。
【0097】
上述の実施形態では、ナイフ保持部22は、刃もと23eの後方となる支軸36を中心に筋入れナイフ23が揺動するように、この筋入れナイフ23を保持する場合について説明した。これにより、筋入れナイフ23が表裏方向に変位する場合について説明した。そして、各骨T,Fに筋入れナイフ23の切先23bが突き当たった際に各骨T,Fから筋入れナイフ23を逃げる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ナイフ保持部22は、表裏方向に変位可能に筋入れナイフ23を保持する構成であればよい。例えば筋入れナイフ23全体が平行に変位するように構成してもよい。
【0098】
上述の実施形態では、刺し込み駆動部4によって軸心Cを中心にナイフユニット3が回動することにより、ホルダユニット17が前進位置と退避位置との間を移動する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、刺し込み駆動部4は、ホルダユニット17を直線状に移動し、食鳥腿肉Mに筋入れナイフ23の切先23bを刺し込むように構成してもよい。
【0099】
上述の実施形態では、脛骨T側に筋入れナイフ23の平23aが向かうように弾性的に付勢する付勢部としてコイルスプリング25を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、付勢部として、筋入れナイフ23を弾性的に付勢する部材であればよい。例えばコイルスプリング25に代わってゴムやスポンジ等を使用してもよい。
【0100】
上述の実施形態では、ナイフ保持部22の変位範囲を規制する規制部24は、第1ストッパねじ48a及び第1ナット48bと、第2ストッパねじ49a及び第2ナット49bと、からなる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、規制部24は、ナイフ保持部22の変位範囲を規制する構成であればよい。例えば各ストッパねじ48a,49aに代わって凸部を形成してもよい。
【0101】
上述の実施形態では、筋入れナイフ23は、いわゆる片刃である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、筋入れナイフ23は両刃であってもよい。この場合、筋入れナイフ23の平23aとは、筋入れナイフ23の表裏方向の両平面部をいうものとする。
【符号の説明】
【0102】
1…筋入れ装置(食鳥腿肉筋入れ装置)、2…足首保持部、3…ナイフユニット、4…刺し込み駆動部、5…腿肉押さえ部、6…まな板部、8…腿肉内押さえ部、9…移動部、12…ハンガー(足首保持部)、22…ナイフ保持部、23…筋入れナイフ、23a…平、23b…切先、23c…切刃、23d…刃先、23e…歯もと、24…規制部、25…コイルスプリング(付勢部)、48a…第1ストッパねじ(規制部)、49a…第2ストッパねじ(規制部)、56…押さえアクチュエータ(押圧力調整部)、A…足首、C…軸心(軸線)、Fh…大腿骨頭、M…食鳥腿肉、P…膝蓋骨、T…脛骨
図1
図2
図3
図4