(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091937
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】粉体搬送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230626BHJP
G03G 21/10 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G03G15/08 360
G03G15/08 341
G03G21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206826
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】寺地 一
【テーマコード(参考)】
2H077
2H134
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA05
2H077AA09
2H077AB02
2H077AB05
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077EA01
2H077GA02
2H077GA03
2H134GB01
2H134JA02
2H134JB02
2H134JB06
2H134KB11
2H134KG07
2H134KH15
2H134KH16
(57)【要約】
【課題】粉体の搬送不良を生じにくくする。
【解決手段】トナー(粉体)を略水平方向に搬送する第1搬送スクリュ71(第1搬送部材)が内設された第1搬送経路91と、第1搬送経路91の流出口91bから流出されたトナーが落下する落下経路93と、落下経路93で落下したトナーが流入口92aから流入されてトナーを略水平方向に搬送する第2搬送スクリュ72(第2搬送部材)が内設された第2搬送経路92と、が設けられている。そして、トナーが搬送される搬送方向に直交する断面でみたときに、第1搬送経路91の内部において第1搬送スクリュ71が占有しない空間の断面積が、第2搬送経路92の内部において第2搬送部スクリュ72が占有しない空間の断面積に比べて、大きくなっている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を略水平方向に搬送する第1搬送部材が内設された第1搬送経路と、
前記第1搬送経路の流出口から流出された粉体が落下する落下経路と、
前記落下経路で落下した粉体が流入口から流入されて、粉体を略水平方向に搬送する第2搬送部材が内設された第2搬送経路と、
を備え、
粉体が搬送される搬送方向に直交する断面でみたときに、前記第1搬送経路の内部において前記第1搬送部材が占有しない空間の断面積が、前記第2搬送経路の内部において前記第2搬送部材が占有しない空間の断面積に比べて、大きいことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
粉体が搬送される搬送方向に直交する断面でみたときに、前記第1搬送経路の内径部と前記第1搬送部材の外径部との隙間が、前記第2搬送経路の内径部と前記第2搬送部材の外径部との隙間に比べて、大きいことを特徴とする請求項1に記載の粉体搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送経路の内径をM1として、前記第1搬送部材の外径をN1としたときに、
N1×0.75≦M1≦N1×0.9
なる関係が成立することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送部材によって搬送される単位時間の粉体量が、前記第2搬送部材によって搬送される単位時間の粉体量に比べて、大きいことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の粉体搬送装置。
【請求項5】
前記第1搬送部材を駆動するとともに、前記第2搬送部材を駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の粉体搬送装置。
【請求項6】
前記第1搬送経路において粉体が搬送される搬送方向と、前記第2搬送経路において粉体が搬送される搬送方向と、が交差する関係にあることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の粉体搬送装置。
【請求項7】
前記第2搬送経路は、湾曲する搬送経路が形成され、
前記第2搬送部材は、弾性を有することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の粉体搬送装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の粉体搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーなどの粉体を搬送する粉体搬送装置と、それを備えた画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置において、トナーなどの粉体を搬送する粉体搬送装置として、複数の搬送経路が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、第1の搬送手段によって廃トナーを水平方向に搬送する第1搬送経路と、第1搬送経路から排出され自重落下した廃トナーを第2の搬送手段によって斜め下方に搬送する第2搬送経路と、を備えた搬送装置において、第1の搬送手段によって廃トナーを搬送するトナー量を、第2の搬送手段によって廃トナーを搬送するトナー量に比べて、多くする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の粉体搬送装置は、複数の搬送経路を設けた場合に、粉体の詰まり(搬送不良)が生じてしまうことがあった。そして、そのように粉体の詰まりが生じてしまうことにより、粉体搬送装置から粉体が供給される供給先において粉体が不足(供給不良)する不具合などが生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、粉体の搬送不良が生じにくい、粉体搬送装置、及び、画像形成装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における粉体搬送装置は、粉体を略水平方向に搬送する第1搬送部材が内設された第1搬送経路と、前記第1搬送経路の流出口から流出された粉体が落下する落下経路と、前記落下経路で落下した粉体が流入口から流入されて、粉体を略水平方向に搬送する第2搬送部材が内設された第2搬送経路と、を備え、粉体が搬送される搬送方向に直交する断面でみたときに、前記第1搬送経路の内部において前記第1搬送部材が占有しない空間の断面積が、前記第2搬送経路の内部において前記第2搬送部材が占有しない空間の断面積に比べて、大きいものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、粉体の搬送不良が生じにくい、粉体搬送装置、及び、画像形成装置、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】トナー補給装置(粉体搬送装置)とその近傍とを示す全体構成図である。
【
図5】トナー収納容器に第1搬送経路が装着される動作を示す概略図である。
【
図6】トナー補給装置(粉体搬送装置)を示す概略図である。
【
図8】変形例1としての、トナー補給装置の駆動手段を示す図である。
【
図9】変形例2としての、第2搬送経路を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1~
図3にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、
図2は作像部を示す拡大図であり、
図3は粉体搬送装置としてのトナー補給装置とその近傍とを示す構成図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にある設置部31(トナー容器受台)には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4色の略円筒状のトナー収納容器32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に載置されている。
また、設置部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Y(像担持体)と、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、除電装置、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Yの表面にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって
図2の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(書込み部)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置(不図示)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光装置7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、2次転写対向ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14、中間転写クリーニング装置10等で構成される。中間転写ベルト8は、3つのローラ12~14によって張架・支持されるとともに、1つのローラ12の回転駆動によって
図1の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)の位置に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、
図2にて、作像部における現像装置(供給先)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51と、現像ローラ51に対向するドクターブレード52と、現像剤収容部53、54内に配設された2つの搬送スクリュ55と、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56と、等で構成される。現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53、54内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0025】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51のスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー収納容器32Yに収容されているトナーが、粉体搬送装置としてのトナー補給装置90を介して現像剤収容部54内に補給される。
【0026】
その後、現像剤収容部54内に補給された粉体としてのトナーは、2つの搬送スクリュ55によって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53、54を循環する(
図2の紙面垂直方向の長手方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
現像ローラ51上に担持された現像剤は、
図3中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0027】
次に、
図3にて、粉体搬送装置としてのトナー補給装置90の構成・動作について、簡単に説明する。
トナー補給装置90(粉体搬送装置)は、設置部31に設置されたトナー収納容器32Yの容器本体33を所定方向(
図3の矢印方向である。)に回転駆動して、トナー収納容器32Yの内部に収納された粉体としてのトナーを容器外に排出して、第1搬送経路91、落下経路92(第1落下経路)、第2搬送経路92、搬送管96(第2搬送経路)を介して現像装置5Yに導くためのものであって、トナー補給経路(トナー搬送経路)を形成している。
【0028】
画像形成装置本体100の設置部31に設置された各トナー収納容器32Y、32M、32C、32K内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置を経て適宜に各現像装置内に補給される。4つのトナー補給装置は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。
詳しくは、
図3(及び
図5)を参照して、トナー収納容器32Yが装置本体100の設置部31にセットされると、トナー収納容器32Yのシャッタ部材35が装置本体100の第1搬送経路91(ノズル部)に押動されて、第1搬送経路91が貫通穴部34a1を介してトナー収納容器32Y(容器本体33)の内部に挿入される。これにより、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーの排出(第1搬送経路91を介した排出である。)が可能になる。
なお、トナー収納容器32Yの底部(
図3の左方である。)には、トナー収納容器32Yの設置部31への装着操作を容易にするための把持部33dが形成されている。ユーザーは、把持部33dを把持しながら、トナー収納容器32Yを設置部31にセットしたり、設置部31からトナー収納容器32Yを取り出したりすることになる。
【0029】
ここで、
図3を参照して、トナー収納容器32Yには、長手方向(
図3の左右方向であって、容器本体33の回転軸方向である。)に螺旋状の溝33aが形成された容器本体33が設けられている。具体的に、この螺旋状の溝33aは、容器本体33の外周面から内周面にかけて形成されていて、容器本体33を回転駆動して容器本体33内のトナーを
図3の左方から右方に搬送するためのものである。容器本体33の内部において
図3の左方から右方に搬送されたトナーは、第1搬送経路91を介して容器外部に排出されることになる。
また、容器本体33の頭部側(
図3の右方である。)の外周面には、画像形成装置本体100(トナー補給装置90)の駆動機構110(
図7参照)のギア115に噛合するギア部37が形成されている。トナー収納容器32Yが設置部31に装着されると、容器本体33のギア部37が画像形成装置本体100のギア115(
図7参照)に噛合することになる。そして、駆動モータ111(
図7参照)が駆動されると、ギア列を介してギア部37に駆動が伝達されて、容器本体33が回転駆動されることになる。
なお、トナー補給装置90やの構成・動作については、後で
図6、
図7等を用いてさらに詳しく説明する。
【0030】
以下、
図4、
図5等を用いて、トナー収納容器32Y(32M、32C、32K)について、さらに詳しく説明する。
なお、
図4、
図5はトナー収納容器32Yの側断面図であるが、
図3におけるトナー収納容器32Yの図示方向とは逆方向から図示したものである(左右反転した図になっている)。
【0031】
先に
図1~
図3等を用いて説明したように、トナー収納容器32Yは、その内部にトナーを収納して、画像形成装置本体100(トナー補給装置90)に対して着脱可能に設置されるものである。
図4、
図5等を参照して、トナー収納容器32Yは、容器本体33と、シャッタユニット34~36、38と、で構成されている。また、シャッタユニットは、保持部材34、シャッタ部材35、ロッド部材36、圧縮スプリング38、などで構成されている。保持部材34には、キャップ部として機能する立設部34aが形成されている。容器本体33は、立設部34a(保持部材34)に対して固定されるとともに、内周面(内周部)に螺旋状の溝33a(
図3参照)が形成されたボトル状部材である。
そして、トナー収納容器32Yが画像形成装置本体100(設置部31)に装着された状態で、立設部34aが形成された保持部材34(及び、シャッタ部材35、ロッド部材36、圧縮スプリング38)と容器本体33は画像形成装置本体100に設置された駆動モータ111(駆動機構110)によって回転駆動されて、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーが第1搬送経路91を介して排出されることになる。
【0032】
図4、
図5等を参照して、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100へのトナー収納容器32Yの装着動作に連動して、第1搬送経路91(トナー補給装置90に設置されている。)が挿入される貫通穴部34a1を開閉するものである。シャッタ部材35は、樹脂材料からなり、後述するロッド部材36とともに一体成型によって形成されたものである。シャッタ部材35は、貫通穴部34a1に対して容器の内側から嵌合して係止されて、容器外には外れないように構成されている。シャッタ部材35が貫通穴部34a1を閉鎖した状態ではトナー収納容器32Yから外部にトナーは排出されず、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を開放した状態でトナー収納容器32Yから外部へのトナーの排出が可能になる。
なお、貫通穴部34a1は、容器本体33の回転中心を中心とする略円柱状の穴部である。シャッタ部材35は、そのような形状の貫通穴部34a1に嵌合するように形成された栓状部材である。
【0033】
ここで、トナー収納容器32Yには、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を閉鎖した状態で、シャッタ部材35と貫通穴部34a1との間を封止するシール部材40が設けられている。
また、ロッド部材36は、シャッタ部材35に対して一体的に設置されている。ロッド部材36は、トナー収納容器32Yの内部においてシャッタ部材35の開閉方向(
図4、
図5の左右方向である。)に延在するように形成されている。
また、
図4に示すように、ロッド部材36は、その軸中心が、容器本体33の回転中心に略一致するように配置されている。これにより、容器本体33が回転駆動されるときに、シャッタ部材35の位置がズレてしまう不具合などが生じにくくなる。
【0034】
図4、
図5を参照して、保持部材34は、立設部34a(キャップ部)、延在部34b、等で構成され、容器本体33に固定される部材であり、装置本体100からの回転駆動力を受けて容器本体33とともに第1搬送経路91の周りを回転する。
保持部材34の立設部34a(キャップ部)は、貫通穴部34a1が形成されていて、第1搬送経路91が挿入される方向(挿入方向であって、
図4、
図5の左右方向である。)に立設されている。
立設部34aには、第1搬送経路91が挿入される方向の手前側(挿入方向上流側であって、
図4、
図5の左方である。)に開口する開口部34a2(空洞部)が形成されている。開口部34a2は、容器本体33の回転中心を中心とする略円柱状の凹部である。
【0035】
保持部材34の延在部34bは、トナー収納容器32Yの内部においてシャッタ部材35が設置された側に対して反対側(
図4、
図5の右方である。)でロッド部材36を開閉方向に移動可能に保持するように形成されている。延在部34bは、トナー収納容器32Y(容器本体33)の内部において
図4、
図5の左右方向に延在するように略コの字状に形成されている。
付勢手段としての圧縮スプリング38は、シャッタ部材35と延在部34bの壁部との間でロッド部材36に巻装されている。圧縮スプリング38は、貫通穴部34a1が閉鎖される方向(
図4、
図5の左方である。)にシャッタ部材35を付勢するものである。
【0036】
このような構成により、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100(設置部31)への装着動作に連動して、第1搬送経路91に押動されて、圧縮スプリング38(付勢手段)の付勢力に抗するように、ロッド部材36とともにトナー収納容器32Yの内部に移動して、貫通穴部34a1を開放することになる。具体的に、シャッタ部材35(及び、ロッド部材36)は、開放時に
図5(A)、(B)の順番で動作することになる。
これに対して、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100(設置部31)からの離脱動作に連動して、第1搬送経路91の押動が解除されて、圧縮スプリング38の付勢力によって、ロッド部材36とともに貫通穴部34a1の側に移動して貫通穴部34a1を閉鎖することになる。具体的に、シャッタ部材35(及び、ロッド部材36)は、閉鎖時に
図5(B)、(A)の順番で動作することになる。
なお、
図5(B)に示すように、装置本体100へのトナー収納容器32Yのセットが完了した状態のとき、シャッタ部材35は延在部34bの壁部に当接した状態になり、圧縮スプリング38はシャッタ部材35の凹部に収納された状態になる。これにより、装置本体100にトナー収納容器32Yがセットされた状態のとき、圧縮スプリング38に容器内のトナーが付着する不具合を防止することができる。
【0037】
また、
図5を参照して、本実施の形態において、第1搬送経路91には、貫通穴部34a1への挿入動作に連動して開口部34a2に嵌合する嵌合部94が設けられている。
詳しくは、嵌合部94は、第1搬送経路91の主部の外径よりも大きな外径で形成されていて、立設部34aの開口部34a2に嵌合可能に略円柱状に形成されている。また、嵌合部94は、第1搬送経路91の主部に対して装着方向にスライド移動可能に設置されている。また、第1搬送経路91には、嵌合部94を挿入方向下流側(
図5の右方である。)に付勢する圧縮スプリング97が設置されている。嵌合部94は、第1搬送経路91の第1流入口91aをカバーするカバー部材としても機能する。トナー収納容器32Yがセットされていない状態では
図5(A)に示すように第1流入口91aを覆い、トナー収納容器32Yがセットされることで
図5(B)に示すように嵌合部94がスライド移動して第1搬送経路91の主部が容器本体33の内部に挿入される。なお、
図5(A′)は、嵌合部94をスライド移動させて第1流入口91aが露出した状態を示している。
このような構成により、嵌合部94は、トナー収納容器32Yの装着動作に連動して、第1搬送経路91がトナー収納容器32Y内に挿入されると、圧縮スプリング97に付勢されて開口部34a2に嵌合することになる。これに対して、嵌合部94は、トナー収納容器32Yの離脱動作に連動して、第1搬送経路91がトナー収納容器32Yから引き抜かれると、開口部34a2から引出されることになる。
【0038】
以下、
図6、
図7等を用いて、本実施の形態における粉体搬送装置としてのトナー補給装置90において、特徴的な構成・動作について説明する。
なお、
図6は、理解を容易にするために、第1搬送経路91に対する第2搬送経路92の配置方向を変えて図示している。実際には、
図3、
図7に示すように、第2搬送経路92は第1搬送経路91に対して略直交するように配置されている。
【0039】
図6、
図7等を参照して、粉体搬送装置としてのトナー補給装置90には、第1搬送経路91、落下経路92(第1落下経路)、第2搬送経路92、搬送管96(第2搬送経路)などが設けられている。そして、これらの搬送経路91~83、96を介してトナー収納容器32Yから排出された粉体としてのトナーが現像装置5Yに向けて搬送されることになる。
【0040】
ここで、第1搬送経路91は、トナー(粉体)を略水平方向に搬送する第1搬送部材としての第1搬送スクリュ71が内設されている。
第1搬送スクリュ71は、軸部71aにスクリュ部71bが螺旋状に巻装されたものであって、金属材料(又は、樹脂材料)で形成されている。本実施の形態において、第1搬送スクリュ71の外径N1(スクリュ径)は、9.1mm程度に設定されている。
また、第1搬送経路91は、円形の断面を有する搬送管であって、金属材料(又は、樹脂材料)で形成されている。本実施の形態において、第1搬送経路91の内径M1(内周径)は、11.2mm程度に設定されている。また、第1搬送経路91には、上流側にトナー収納容器32Yに連通する第1流入口91aが形成され、下流側に落下経路93に連通する第1流出口91b(流出口)が形成されている。
【0041】
落下経路93は、第1搬送経路91の流出口(第1流出口91a)から流出されたとトナーが落下(自重落下)する経路であって、略垂直方向に延びるように形成されている。落下経路93は、円形の断面を有する搬送管であっても良いし、多角形の断面を有する搬送管であっても良い。
なお、落下経路93として、垂直方向に対して傾斜したものを用いることもできる。その場合、傾斜した落下経路における傾斜面をトナーが滑落するような状態も、「トナー(粉体)が落下する」状態であるものと定義する。
また、本実施の形態では、落下経路93として、略垂直方向にある程度の距離で離間した第1搬送経路91と第2搬送経路92とを中継するものを用いたが、第1搬送経路91と第2搬送経路92とが略垂直方向に密着するように並設されている場合であっても、その中継部分に落下経路が形成されているものと定義する。
【0042】
第2搬送経路92は、落下経路93で落下したトナーが流入口(第2流入口92a)から流入されて、そのトナーを略水平方向に搬送する第2搬送部材としての第2搬送スクリュ72が内設されている。
第2搬送スクリュ72は、軸部72aにスクリュ部72bが螺旋状に巻装されたものであって、金属材料(又は、樹脂材料)で形成されている。本実施の形態において、第2搬送スクリュ72の外径N2(スクリュ径)は、7.9mm程度に設定されている。
また、第2搬送経路92は、円形の断面を有する搬送管であって、金属材料(又は、樹脂材料)で形成されている。本実施の形態において、第2搬送経路92の内径M1(内周径)は、8.3mm程度に設定されている。また、第2搬送経路92には、上流側に落下経路93に連通する第2流入口92aが形成され、下流側に搬送管96(第2落下経路)に連通する第2流出口92bが形成されている。
【0043】
搬送管96(第2落下経路)は、第2搬送経路92の第2流出口92bから流出されたとトナーが自重落下する経路であって、略垂直方向に延びるように形成されている。そして、搬送管96を自重落下したトナーは、現像装置5Y内に供給されることになる。
なお、本実施の形態では、第2搬送経路92から搬送管96を介して現像装置5Yにトナーが搬送されるように構成したが、第2搬送経路92から現像装置5Yに直接的にトナーが搬送されるように構成することもできる。
【0044】
このように構成されたトナー補給装置90(粉体搬送装置)において、
図6に示すように、トナー収納容器32Yから第1搬送経路91に白矢印方向に流入されたトナーは、所定方向に回転する第1搬送スクリュ71によって略水平方向(破線矢印方向)に左方から右方に搬送された後に、落下経路93を破線矢印方向(上方から下方)に自重落下する。その後、落下経路93から第2搬送経路92に流入されたトナーは、所定方向に回転する第2搬送スクリュ72によって略水平方向(破線矢印方向)に右方から左方に搬送される。その後、第2搬送経路92から搬送管96に流入されたトナーは、搬送管96を自重落下した後に、現像装置5Y内に流入される。
【0045】
このようにトナー補給装置90に複数の搬送経路91~93、96を設けることで、供給元となるトナー収納容器32Yと、供給先となる現像装置5Yと、が離れていたり向きが異なっていたりしても、トナーの供給が可能になる。換言すると、トナー収納容器32Yと現像装置5Yとのレイアウトの自由度を高めることができる。
特に、
図7を参照して、本実施の形態では、第1搬送経路91においてトナー(粉体)が搬送される搬送方向と、第2搬送経路92においてトナーが搬送される搬送方向と、が交差する関係(本実施の形態では、略直交する関係)にある。そのため、トナー収納容器32Yと現像装置5Yとのレイアウトの自由度をさらに高めることができる。
【0046】
ここで、本実施の形態におけるトナー補給装置90は、トナー(粉体)が搬送される搬送方向に直交する断面でみたときに、第1搬送経路91の内部において第1搬送スクリュ71(第1搬送部材)が占有しない空間の断面積が、第2搬送経路92の内部において第2搬送スクリュ72(第2搬送部材)が占有しない空間の断面積に比べて、大きくなるように構成されている。
すなわち、
図6を参照して、A-A断面において第1搬送経路91内のハッチングされていない白い部分が占める面積が、B-B断面において第2搬送経路92内のハッチングされていない白い部分が占める面積に比べて、大きくなるように設定されている。
具体的に、本実施の形態では、A-A断面において第1搬送経路91内のハッチングされていない白い部分が占める面積を1としたとき、B-B断面において第2搬送経路92内のハッチングされていない白い部分が占める面積が0.2になるように、面積比が設定されている。
【0047】
これにより、複数の搬送経路91~93が設けられたトナー補給装置90であっても、搬送経路中のトナーの詰まり(搬送不良)が生じにくくなる。
詳しくは、一般的に、複数の搬送経路が設けられたトナー補給装置(粉体搬送装置)は、下流側の搬送経路におけるトナー搬送速度(搬送部材によって搬送される単位時間のトナー量である。)が、上流側の搬送経路におけるトナー搬送速度に比べて遅くなってしまうと、搬送経路中(特に、上流側の搬送経路の流出口(連結部)の近傍である。)でトナーの詰まりが生じやすくなる。このようなトナー詰まりを防止するために、下流側の搬送経路におけるトナー搬送速度が、上流側の搬送経路におけるトナー搬送速度よりも速くなるように設定する方策が考えられる。しかし、下流側の搬送経路におけるトナー搬送速度が上流側のものに比べて速いと、下流側の搬送経路内でトナーが不足する状態になりやすく、供給元から供給先へのトナー供給不良が生じやすくなってしまう。
これに対して、本実施の形態では、第1搬送経路91の内部において第1搬送スクリュ71が占有しない非占有空間の断面積を、第2搬送経路92のものに比べて大きく設定しているため、第2搬送経路92におけるトナー搬送速度を第1搬送経路91におけるトナー搬送速度よりも大きく設定しなくても、大きく設定した非占有空間がトナーの詰まりを回避する空間となって、トナーの詰まり(搬送不良)が生じにくくなる。また、第2搬送経路92では、非占有空間が狭くなっているため、第2搬送経路92においてトナー搬送性が低下することもなく、効率的にトナーを搬送することができる。
したがって、本実施の形態におけるトナー供給装置90は、全体としてトナー搬送不良が生じにくく、トナー収納容器32Y(供給元)から現像装置5Y(供給先)に向けて過不足なく安定的にトナーを供給することができる。
【0048】
ここで、
図6を参照して、本実施の形態におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)は、トナー(粉体)が搬送される搬送方向に直交する断面でみたときに、第1搬送経路91の内径部(内周部)と第1搬送スクリュ71(スクリュ部71b)の外径部との隙間(クリアランス)が、第2搬送経路92の内径部(内周部)と第2搬送スクリュ72(スクリュ部72b)の外径部との隙間(クリアランス)に比べて、大きくなるように設定されている。
具体的に、第1搬送経路91の内径をM1として、第1搬送スクリュ71(スクリュ部71b)の外径(スクリュ径)をN1として、第2搬送経路92の内径をM2として、第2搬送スクリュ72(スクリュ部72b)の外径(スクリュ径)をN2としたときに、
M1-N1>M2-N2
なる関係が成立するように設定されている。
これにより、先に説明したものと同様の理由から、複数の搬送経路91~93が設けられたトナー補給装置90において、第2搬送経路92におけるトナー搬送速度を第1搬送経路91におけるトナー搬送速度よりも大きく設定しなくても、大きく設定した隙間(クリアランス)がトナーの詰まりを回避する空間となって、トナーの詰まり(搬送不良)が生じにくくなる。また、第2搬送経路92では、隙間(クリアランス)が狭くなっているため、第2搬送経路92においてトナー搬送性が低下することもなく、効率的にトナーを搬送することができる。
したがって、本実施の形態におけるトナー供給装置90は、全体としてトナー搬送不良が生じにくく、トナー収納容器32Y(供給元)から現像装置5Y(供給先)に向けて過不足なく安定的にトナーを供給することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、第1搬送経路91の内径をM1として、第1搬送スクリュ71(第1搬送部材)の外径をN1としたときに、
N1×0.75≦M1≦N1×0.9
なる関係が成立するように設定されている。
M1>N1×0.75の場合には、非占有空間の面積(又は、クリアランス)が大きくなりすぎて、第1搬送経路91におけるトナー搬送性(正方向のトナー搬送性はもちろん、逆流時のトナー搬送性をも含む。)が低下して、トナーの滞留が生じやすくなる。そのため、トナーが凝集して、その凝集体が現像装置5Yに供給されることで、異常画像の発生などが生じてしまう可能性がある。
また、M1>N1×0.9の場合には、非占有空間の面積(又は、クリアランス)が小さくなりすぎて、非占有空間(クリアランス)がトナーの詰まりを回避する空間になりにくくなる。そのため、トナーの詰まり(搬送不良)を軽減する効果が充分に発揮されなくなる可能性がある。
これに対して、本実施の形態では、第1搬送経路91の内径M1と、第1搬送スクリュ71の外径N1と、の関係を上述した範囲内に設定しているため、上述したような不具合が生じにくくなる。
【0050】
ここで、本実施の形態では、第1搬送スクリュ71(第1搬送部材)によって搬送される単位時間の粉体量(トナー量)が、第2搬送スクリュ72(第2搬送部材)によって搬送される単位時間の粉体量(トナー量)に比べて、大きくなるように設定されている。なお、上述した「単位時間の粉体量(トナー量)」は、「搬送経路におけるトナー搬送速度」である。
具体的に、本実施の形態において、第1搬送スクリュ71は、回転数が190rpmに設定され、スクリュ部71bの外径N1が9.1mmに設定され、スクリュ部71bのスクリュピッチが12.5mmに設定されている。また、第2搬送スクリュ72は、回転数が237rpmに設定され、スクリュ部72bの外径N2が7.9mmに設定され、スクリュ部72bのスクリュピッチが11mmに設定されている。これにより、第1搬送スクリュ71によって搬送される単位時間の粉体量が、第2搬送スクリュ72によって搬送される単位時間の粉体量に比べて、5%程度大きくなる。
このように設定することで、トナー収納容器32Yから流入されたトナーが、第1搬送経路91において充分に満たされることになるため、画像面積率が高い画像が印刷されるときなどに供給先である現像装置5Yでトナーが多量に消費されても、トナー供給不良が生じにくくなる。
【0051】
また、
図7を参照して、本実施の形態におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)には、第1搬送スクリュ71(第1搬送部材)を駆動するとともに、第2搬送スクリュ72(第2搬送部材)を駆動する駆動手段としての駆動機構110が設けられている。
すなわち、本実施の形態では、第1搬送スクリュ71を駆動する駆動手段と、第2搬送スクリュ72を駆動する駆動手段と、を別々に独立して設けるのではなくて、双方の駆動手段を共通化している。さらに、本実施の形態では、第1搬送スクリュ71と第2搬送スクリュ72とをそれぞれ駆動する駆動手段によって、トナー収納容器32Y(容器本体33)をも駆動するようにしている。
そのため、複数の駆動手段を別々に独立して設ける場合に比べて、装置を低コスト化、小型化することができる。
【0052】
具体的に、
図7を参照して、駆動手段としての駆動機構110は、駆動モータ111、複数のギア列112~118などで構成されている。
駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア112から、アイドラギア114、115を介して、トナー収納容器32Yのギア部37に伝達されて、トナー収容容器32Y(容器本体33)が回転駆動される。
また、駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア112から、2段ギア113の平歯車113a、アイドラギア117を介して、第1搬送経路91における第1搬送スクリュ71の従動ギア118に伝達されて、第1搬送スクリュ71が回転駆動される。
また、駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア112から、2段ギア113(平歯車113a、かさ歯車113bが段状に設けられている。)を介して、第2搬送経路92における第2搬送スクリュ72のかさ歯車116に伝達されて、第2搬送スクリュ72が回転駆動される。
このように構成された駆動機構110は、制御部による制御によって駆動モータ111が駆動されると、トナー収納容器32Y(容器本体33)、第1、第2搬送スクリュ71、72がそれぞれ回転駆動されることになる。
なお、駆動モータ111は、現像装置5Y内の現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が濃度検知センサ56(
図2参照)で検知されて、その検知結果が所定の範囲内になるように適宜駆動される。具体的に、濃度検知センサ56で検知されたトナー濃度が所定値を下回るたびに、駆動モータ111が所定時間駆動されることになる。
【0053】
このように構成された駆動機構110は、駆動モータ111の駆動ギア112から第1搬送スクリュ71の従動ギア118に至るギア列112、113a、117、118のギアの遊び分に比べて、駆動モータ111の駆動ギア112から第2搬送スクリュ72のかさ歯車116に至るギア列112、113、116のギアの遊び分が小さくなる。そのため、駆動モータ111が駆動開始されたときに、第1搬送スクリュ71よりも第2搬送スクリュ72が僅かに早く回転駆動を開始することになる。これにより、第2搬送経路92でトナー搬送が開始された後に、第1搬送経路91から落下経路93を介して第2搬送経路92にトナーが流入されることになり、第2搬送経路92でのトナー詰まりが生じにくくなる。
【0054】
<変形例1>
図8に示すように、変形例1におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)は、駆動手段としての駆動機構110におけるギア列の配列が、
図7に示すものと異なる。
変形例1における駆動機構110も、
図7に示すものと同様に、第1搬送スクリュ71と第2搬送スクリュ72とトナー収納容器32Y(容器本体33)とをそれぞれ駆動するように構成されている。
ここで、変形例1における駆動機構110は、駆動モータ111の駆動力が、モータ軸に設置された駆動ギア120から、アイドラギア121、2段ギア122の平歯車122a、アイドラギア124、125、126を介して、トナー収納容器32Yのギア部37に伝達されて、トナー収容容器32Y(容器本体33)が回転駆動される。
また、駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア120から、アイドラギア121を介して、第1搬送経路91における第1搬送スクリュ71の2段ギア122(平歯車122a)に伝達されて、第1搬送スクリュ71が回転駆動される。
また、駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア120から、アイドラギア121、2段ギア122(平歯車122a、かさ歯車122bが段状に設けられている。)を介して、第2搬送経路92における第2搬送スクリュ72のかさ歯車123に伝達されて、第2搬送スクリュ72が回転駆動される。
このように構成された駆動機構110を用いた場合にも、複数の駆動手段を別々に独立して設ける場合に比べて、装置を低コスト化、小型化することができる。
そして、変形例1におけるトナー補給装置90においても、第1搬送経路91内における非占有空間の断面積が、第2搬送経路92内における非占有空間の断面積に比べて、大きく設定されているため、トナーの搬送不良を生じにくくすることができる。
【0055】
<変形例2>
図9に示すように、変形例2におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)は、第2搬送経路92に湾曲する搬送経路(湾曲搬送経路92c)が形成されている。
そして、第2搬送スクリュ72(第2搬送部材)は、ゴム材料などの弾性材料で形成されていて、第2搬送経路92(湾曲搬送経路92c)の形状に沿うように弾性を有している。
このように、第2搬送経路92にトナー搬送可能な湾曲搬送経路92cを設けることで、トナー収納容器32Y(供給元)と現像装置5Y(供給先)とのレイアウトの自由度をさらに高めることができる。
そして、変形例2におけるトナー補給装置90においても、第1搬送経路91内における非占有空間の断面積が、第2搬送経路92内における非占有空間の断面積に比べて、大きく設定されているため、トナーの搬送不良を生じにくくすることができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)は、トナー(粉体)を略水平方向に搬送する第1搬送スクリュ71(第1搬送部材)が内設された第1搬送経路91と、第1搬送経路91の流出口91bから流出されたトナーが落下する落下経路93と、落下経路93で落下したトナーが流入口92aから流入されてトナーを略水平方向に搬送する第2搬送スクリュ72(第2搬送部材)が内設された第2搬送経路92と、が設けられている。そして、トナーが搬送される搬送方向に直交する断面でみたときに、第1搬送経路91の内部において第1搬送スクリュ71が占有しない空間の断面積が、第2搬送経路92の内部において第2搬送部スクリュ72が占有しない空間の断面積に比べて、大きくなっている。
これにより、粉体の搬送不良が生じにくくなる。
【0057】
なお、本実施の形態では、粉体としてのトナーを搬送するトナー補給装置90(粉体搬送装置)に対して本発明を適用したが、本発明が適用される粉体搬送装置はこれに限定されることなく、例えば、粉体として廃トナーやリサイクルトナーや2成分現像剤(トナーとキャリアとからなる現像剤である。)などを搬送する粉体搬送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、供給元としてのトナー収納容器32Yから供給先としての現像装置5Yに向けてトナー(粉体)を搬送するトナー補給装置90(粉体搬送装置)に対して本発明を適用したが、本発明が適用される粉体搬送装置の供給元と供給先とはこれらに限定されることなく、種々の供給元と供給先とを設定することが可能である。
また、本実施の形態では、供給元としてのトナー収納容器32Yとして容器本体33を回転させてトナーを排出するボトル状のものを用いたが、供給元としてのトナー収納容器はこれに限定されることなく、例えば、容器内にトナーを排出口に向けて搬送する搬送部材が設置されたものや、箱型のものなどを用いることもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0059】
5Y 現像装置(供給先)、
32Y、32M、32C、32K トナー収納容器(供給元)、
71 第1搬送スクリュ(第1搬送部材)、
72 第2搬送スクリュ(第2搬送部材)、
90 トナー補給装置(粉体搬送装置)、
91 第1搬送経路、
91a 第1流入口、 91b 第1流出口(流出口)、
92 第2搬送経路、
92a 第2流入口(流入口)、 92b 第2流出口、
92c 湾曲搬送経路、
93 落下経路、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
110 駆動機構(駆動手段)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】